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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】テーブルゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A63F1/06 A
A63F1/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021539659
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2021005243
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】510020516
【氏名又は名称】株式会社スポーツレジャーシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北垣 智佑貴
(72)【発明者】
【氏名】西 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】西 貴範
(72)【発明者】
【氏名】清水 哲弥
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-198651(JP,A)
【文献】特開2005-334334(JP,A)
【文献】特開2002-102529(JP,A)
【文献】特開2018-130183(JP,A)
【文献】国際公開第2015/104803(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームが行われるゲームエリアと、前記ゲームの結果に対するベット用のチップであって仮想貨幣としての仮想価格を含む識別情報が読み取り可能に書き込まれたRFIDタグを一体で備えたチップが置かれる所定のプレイヤ数分のベットエリアと、が少なくとも設定可能な上面を有するゲームテーブルと、
前記ゲームテーブルの上面より下方で前記各ベットエリアに対向して配置され、前記各ベットエリアに置かれた前記チップのRFIDタグから前記識別情報を読み取るRFIDリーダと、
前記ゲームテーブルの上方空間に配置され、前記ゲームテーブルの上面に前記ゲームエリア及び前記ベットエリアに対応させてゲーム盤面画像を投射する投影部とを備え
前記ゲームテーブルは、下部の支柱によって所定高さ位置に支持される下層部と、厚さ方向の上層に積層された上層部とを有し、前記上層部は、その肉厚内に前記RFIDリーダを埋め込む凹部を有する テーブルゲーム装置。
【請求項2】
仮想貨幣の仮想価格を含む識別情報が読み取り可能に書き込まれたRFIDタグを一体で備えたベット用のチップと、
ゲームが行われるゲームエリアと前記ゲームの結果に対する前記ベット用のチップが置かれる所定のプレイヤ数分のベットエリアとが少なくとも設定可能な上面を有するゲームテーブルと、
前記ゲームテーブルの上面より下方で前記各ベットエリアに対向して配置され、前記各ベットエリアに置かれた前記チップのRFIDタグから前記識別情報を読み取るRFIDリーダと、
前記ゲームテーブルの上方空間に配置され、前記ゲームテーブルの上面に前記ゲームエリア及び前記ベットエリアに対応させてゲーム盤面画像を投射する投影部とを備え
前記ゲームテーブルは、下部の支柱によって所定高さ位置に支持される下層部と、厚さ方向の上層に積層された上層部とを有し、前記上層部は、その肉厚内に前記RFIDリーダを埋め込む凹部を有するテーブルゲーム装置。
【請求項3】
前記チップは、樹脂を主体とし、かつ圧縮成形されたものである請求項2に記載のテーブルゲーム装置。
【請求項4】
前記投影部は、前記ゲームテーブルの略中央位置の上方に配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のテーブルゲーム装置。
【請求項5】
前記投射する映像は線画像であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のテーブルゲーム装置。
【請求項6】
前記投影部は、前記ベットエリアに置かれた1又は複数のチップのRFIDタグから読み取った前記識別情報に基づいてベットの合計値を前記ベットエリアの位置に対応させて演出表示する請求項1~5のいずれかに記載のテーブルゲーム装置。
【請求項7】
記ゲームに用いられる前記チップのRFIDタグに書き込まれた前記識別情報と真贋照合する照合用情報を記憶した記憶部と、
前記RFIDリーダによって読み取られた前記識別情報を前記記憶部に記憶された照合用情報と照合する照合手段を備えた 請求項1~6のいずれかに記載のテーブルゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル上で行われるカジノゲーム等に適用されるテーブルゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲーム施設で行われるテーブルを用いたカジノゲームでは、使用されるチップの真贋及びそれに起因する不正行為が問題となっており、様々な対策が講じられている。例えば特許文献1には、識別情報が予め記録されたRFID(RadioFrequency Identification )タグを埋め込んだメダルを使用し、メダル投入口に投入されたメダルの識別情報を投入口に設置のリーダにより読み取り、読み取った識別情報を事前にROMに登録した情報と照合して本物かどうかを判定するようにした遊技機が記載されている。特許文献2には、カジノなどの遊技施設において、賭けられたチップの枚数や総額を把握するために各チップに情報を記録した無線IC(RFID)タグを付けると共に、ゲームテーブルの下に設けたICタグの読取装置で記録した情報を読み取る管理システムが記載されている。
【0003】
また、特許文献3には、電子テーブルゲームの実現に供するものとして、透明なテーブル盤の下方空間に配置されたプロジェクタからテーブル盤の下面に向けてゲーム盤面映像を投射し、映像に対応させてテーブル盤上にチップを置いてゲームを管理するゲームシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-110114
【文献】特開2020-121166
【文献】US2020105087A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、投入口を通過するメダルの真贋を検出する記載があるのみで、ゲームテーブル上のベットエリアに積み上げられるなどして置かれた複数枚のメダルの種類等を識別し、メダル価値の総額をプレイヤ毎に集計する技術は記載されていない。特許文献2は、ゲームテーブルの下に設けたICタグの読取り装置では、ベットされたチップの価値の総額が正確に読み取れないとの事情から、ゲームテーブルの上方に監視カメラを設け、撮像されたカメラ映像からチップの種類の識別及び枚数の画像解析で可能とするものである。
【0006】
また、特許文献3は、テーブル盤の下方空間に設けられたプロジェクタからテーブル盤の下面に映像を投射して上面側のプレイヤから視認可能にするため、テーブル盤は透光性を有するガラス等の素材で構成される必要があり、その分複雑、特殊な構造となる。また、テーブル盤の下面にチップセンサを配置すると投射光を遮って映像が途切れ、また見栄え上の問題も生じ得る。さらに、テーブル盤の上方に監視カメラを配してテーブル面を撮像する構成では、プロジェクタの投射光と対向するため、監視画像に投射光が混入する虞があり、高精度での映像解析に一定の限界があり得る。一方、特許文献3を改良してプロジェクタと監視カメラの双方を上方側に配置する構成を想定した場合には見栄えの問題も生じ得る。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、チップの識別処理に影響しない電子ゲームテーブルを備える簡易構成のテーブルゲーム装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るテーブルゲーム装置は、ゲームが行われるゲームエリアと、前記ゲームの結果に対するベット用のチップであって仮想貨幣としての仮想価格を含む識別情報が読み取り可能に書き込まれたRFIDタグを一体で備えたチップが置かれる所定のプレイヤ数分のベットエリアと、が少なくとも設定可能な上面を有するゲームテーブルと、前記ゲームテーブルの上面より下方で前記各ベットエリアに対向して配置され、前記各ベットエリアに置かれた前記チップのRFIDタグから前記識別情報を読み取るRFIDリーダと、前記ゲームテーブルの上方空間に配置され、前記ゲームテーブルの上面に前記ゲームエリア及び前記ベットエリアに対応させてゲーム盤面画像を投射する投影部とを備えたものである。
【0009】
また、本発明に係るテーブルゲーム装置は、仮想貨幣の仮想価格を含む識別情報が読み取り可能に書き込まれたRFIDタグを一体で備えたベット用のチップと、ゲームが行われるゲームエリアと前記ゲームの結果に対する前記ベット用のチップが置かれる所定のプレイヤ数分のベットエリアとが少なくとも設定可能な上面を有するゲームテーブルと、前記ゲームテーブルの上面より下方で前記各ベットエリアに対向して配置され、前記各ベットエリアに置かれた前記チップのRFIDタグから前記識別情報を読み取るRFIDリーダと、前記ゲームテーブルの上方空間に配置され、前記ゲームテーブルの上面に前記ゲームエリア及び前記ベットエリアに対応させてゲーム盤面画像を投射する投影部とを備えたものである。
【0010】
本発明によれば、ゲームテーブル上のベットエリアに置かれたチップの識別情報がゲームテーブルの下方側のRFIDリーダによって自動的に読み取られ、読み取られた識別情報から仮想価格が検出され、また必要な真贋照合も可能となる。一方、ゲームテーブル上のゲーム盤面画像が上方の投影部からゲームテーブル面上に投影されることで、いわゆる電子ゲームテーブルとして機能する。また、ゲームテーブル面上にはチップが置かれるだけとなって投射光を遮る障害物はないため、ベットされたチップの識別処理に影響しない電子ゲームテーブルを備える簡易構成のテーブルゲーム装置が提供できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベットされたチップの識別処理に影響しない電子ゲームテーブルを備える簡易構成のテーブルゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るテーブルゲーム装置が所定台数設置されたゲームシステムの一実施形態を示す全体概略構成図である。
図2】ゲームテーブルの一例を示す図で、(A)はRFIDリーダが埋設された状態の斜視図、(B)はB-B’矢視図である。
図3】ゲーム盤面図形の映像例を示す図で、(A)はブラックジャックゲーム用のゲーム盤面画像例、(B)はバカラゲーム用のゲーム盤面画像例を示している。
図4】RFIDリーダとその指向性を示す図で、(A)はRFIDリーダの平面視形状が長方形の場合、(B)はRFIDリーダの平面視形状が円形の場合を示している。
図5】チップの構造を示す図で、(A)は平面図、(B)はB-B’矢視図、(C)は他の態様を示すB-B’矢視図である。
図6】本発明に係るテーブルゲーム装置を備えたゲームシステムの一実施形態を示す機能構成図である。
図7】ベットされたチップの仮想価格の合計額を演出する映像例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に係るテーブルゲーム装置20が所定台数設置されたゲームシステム1の一実施形態を示す全体概略構成図である。施設Fは、例えば業務用である1又は複数台のテーブルゲーム装置20が設置されるゲーム場である。施設Fには、各テーブルゲーム装置20の管理運営を行う施設管理部10、施設Fの出入口の監視を行う入出監視部30がハブ100を介して備えられている。施設管理部10には、プロセッサ(CPU)を有して情報処理を実行する制御部11が配備されると共に、制御部11に接続された表示部12、後述するRFIDリーダ13及びサーバ14が配置されている。入出監視部30は、プロセッサ(CPU)を有して情報処理を実行する制御部31、後述するRFIDリーダ321,322が配備されている。なお、施設管理部10及び入出監視部30の詳細に関しては後述する。
【0014】
テーブルゲーム装置20は、電磁波が透過する材質からなるゲームテーブル200を備え、その適所乃至近傍にゲーム進行及びゲーム結果の処理を実行する制御部21を備えると共に、必要に応じて採用される表示部26を備える。ゲームテーブル200には、予め設定された台数のRFIDリーダ23として、RFIDリーダ230、RFIDリーダ231,…23mが設けられている。ゲームテーブル200の、好ましくは中央の上方空間適所には、光学的な映像をゲームテーブル200の上面に投射する投影部25が配置されている。投影部25は、施設の天井から懸下され、または床等に立設された支柱を介して取り付けられる態様でもよい。光学的な映像は、カラー映像が好ましく、ゲーム盤面図形である静的な映像であり、また必要に応じてゲーム進行に応じた、あるいは演出の際の静的、動的な映像を含む。
【0015】
テーブルゲーム装置20は、ゲームテーブル200の盤面上で行われるゲームで、例えばブラックジャックゲーム、バカラゲーム、ポーカーゲームその他のゲームであって、異なるスコアが付された複数種類のカードを用いて行われ、所定のゲームルールに従って勝敗を決するゲームの全般に適用可能である。テーブルゲーム装置20は、ゲームの勝敗に対して仮想貨幣の代用としてのチップを用いてベットを行い、勝敗に応じて、すなわちプレイヤが負けた場合にはベット分はディーラ側に、すなわち施設F側に回収され、逆にプレイヤが勝利した場合には、ベット分に応じた所定の仮想価格分がプレイヤに償還(払い戻し)される。
【0016】
ゲームテーブル200は、所定の形状および厚さを有する盤面を有し、例えば図2(A)に示すような楕円形状の一部、あるいは他の形状が採用可能である。ゲームテーブル200は、支柱201などによって所定高さ位置に支持される。また、ゲームテーブル200は、従来のような、ゲームの種類に応じた図形が盤面に描かれたゲームテーブルに代えて、例えば緑色、白色系又はその他の色が付され、あるいは単一色で構成され、投射光を適宜に反射する素材の盤面を有する。
【0017】
投影部25は、ゲームテーブル200の上方空間から盤面に向けてゲームの種類に応じた光学的な映像をゲーム盤面画像として投射して表示するもので、ゲームテーブル200を電子ゲームテーブルとして機能させる。
【0018】
図3は、例えば図2(A)のゲームテーブル200の盤面に表示され得る光学的な投射映像例であって、(A)はブラックジャックゲーム用のゲーム盤面画像5、(B)はバカラゲーム用のゲーム盤面画像6を示している。図3(A)、(B)において、直線の端縁側(各図の上側)はディーラの立ち位置に対応し、楕円の円弧側はプレイヤの立ち位置に対応する。
【0019】
図3(A)に示すゲーム盤面画像5は、楕円の周方向にベットエリアを示す所定形状の、例えば円形のマーク50(51,52,…)の映像と、各マーク51,52,…に対応する番号1~7の映像と、ディーラの立ち位置側のゲームエリアにおける適宜の図形の映像とを含む。プレイヤは空いている番号の位置で対応するベットエリアに、所持するチップを置くことでブラックジャックゲームに参加することができる。なお、各マーク51,52,…には、代表するマーク51に示すように、マーク51を囲むように、チップの情報を読み取る後述のRFIDリーダ231が破線で示すように、ゲームテーブル200に対向配置されている。
【0020】
図3(B)に示すゲーム盤面画像6は、楕円の円弧形状と同心で、ほぼ相似の大小3種類のライン61,62,63の映像と、ディーラの立ち位置側を中心にして周方向に等間隔となるように放射状に伸びる直線64の映像と、各ライン61,62,63と直線64とで囲まれる領域である各ベットエリアAp,Ab,Atに表示される「Player」、「Banker」及び「Tie」の映像と、最外周のベットエリアApに対応する番号1~7の映像と、ディーラの立ち位置側のゲームエリアとなる適宜の図形(図3(B)では省略)の映像とを含む。図3に示すゲーム盤面画像は、プレイヤやディーラの手など人体の一部によって上方からの投射映像ができるだけ遮られないように、全部又は一部(例えばベットエリアを区画する線画像)は面画像よりも線画像であることが好ましい。また、ベットエリアの形状は、図3(A)、(B)に限らず、種々の形状が採用可能である。
【0021】
図2に戻って、RFIDリーダ23(230,231,…,234,…23m)は、ゲームテーブル200の肉厚内に埋設されている。RFIDリーダ230は、図略のチップトレイが載置される箇所に対応しており、他のRFIDリーダ231,…より広い指向幅を有して、チップトレイ内のチップ4の識別情報を読み取る。なお、図略のチップトレイは、償還用の複数(種類、枚数)のチップ4及び回収したチップ4を一時的に収納するものである。チップトレイは、ディーラによって操作され、敗者となったプレイヤがベットしたチップ4を回収したり、一方、勝者となったプレイヤへの、例えばベット額に等しい仮想価格分のチップ4を償還したりするために用いられる。RFIDリーダ23は、対応するベットエリア内にベットされたチップの情報を読み取る。図2(B)は、RFIDリーダ230,234の設置状態を示す図である。この実施形態に示すように、ゲームテーブル200は、下層部201と上層部202とが積層された構成を有し、上層部202の下面側のうち、RFIDリーダ23が埋設される部分及びリード線部分に収納用の凹部2021が穿設されている。このように構成することで、ゲーム種類に応じて上層部202を交換すれば、対応するゲームテーブルが容易に組み立てられる。
【0022】
RFIDリーダ23の上方にはベットエリアを表すマーク50の映像が表示され、図2(B)に例示するように、その位置にプレイヤによってベットされたチップ4が積み上げられている。図2(B)に示すように、RFIDリーダ23に適用される、例えば短波乃至UHF帯電波の指向性STは、±90°の指向角が好ましい。本実施形態では、RFIDリーダ23の指向性は、図4(A)に示すように、RFIDリーダ23の放射面が平面視で長方形の場合も、図4(B)に示すように、RFIDリーダ23’の放射面が平面視で円形の場合も、同様に±90°の指向性ST,ST’に設定されている。なお、指向性(指向角)は正確に±90°である必要はなく、それよりも狭くあるいは広くでもよい。
【0023】
図5は、チップ4の構造を示す図で、(A)は平面図、(B)はB-B’矢視図、(C)は他の実施形態を示すB-B’矢視図である。チップ4は、円盤形状(メダル形状)を有し、粘土材又は樹脂材を主体として形成されている。なお、所要の重量感を醸し出すべく、樹脂を圧縮成形したものでもよい。チップ4は、例えば直方体形状を有するRFID(Radio Frequency Identification )タグ7が埋め込まれたり(図5(B))、又は裏面側に一面が露出する状態で貼付され又は収納されたり(図5(C))している。RFIDタグ7は、識別情報が書き込まれた記憶部を備えており、記憶内容は、チップ4すなわちRFIDタグ7がRFIDリーダ23に近接されることで、電波を介して非接触で読み取られる。
【0024】
RFIDタグ7及びRFIDリーダ23は公知の技術であり、従って、以下簡単に説明する。RFIDタグ7は、記憶部と、起電部と、アンテナ部とを少なくとも備える。一方、RFIDリーダ23は、アンテナと、送受信部と、信号処理部とを少なくとも備える。RFIDリーダ23の送受信部は、RFIDタグ7の起電部への電力供給と、記憶部に書き込まれている識別情報の読み取りと、読み取った信号に対する所定の信号処理とを実行する。
【0025】
RFIDタグ7の記憶部には、一体化されるチップ4を特定するための、個々の属性を含む識別情報が、例えば外部の専門業者によって書き込まれる。識別情報には、例えば、遊技用の仮想貨幣であるチップ4の生産情報、カジノ情報、チップの種類を示す仮想価格情報などの各情報、シリアルナンバー等が含まれる。仮想価格情報は、例えば1ドル、…10ドル、…100ドル、…10000ドルのように複数種類の数値情報である。
【0026】
RFIDリーダ23の信号処理部は、受信した識別情報の再生処理、及び一括読み取り処理(アンチコリージョン)を実行する。一括読み取り処理は、公知の技術であり、電波の指向性範囲内に複数のRFIDタグ7が混在している場合でも、例えばタイムスロット方式のデータ処理技術を利用して、それぞれを個別に認識する技術である。
【0027】
続いて、図6を参照して、ゲームシステム1の各部の機能構成及び動作について説明する。施設管理部10は、施設F内の全てのテーブルゲーム装置20と有線又は無線で通信可能に接続されており、各テーブルゲーム装置20のゲーム状況、ゲーム結果情報、チップの状況を統括的に管理すると共に、入出監視部30の監視結果を常時管理している。
【0028】
施設管理部10において、RFIDリーダ13は、外部専門業者等から納品された全てのチップ4のRFIDタグ7の記憶部に書き込まれた識別情報を予め読み取る。読み取られた識別情報はサーバ14に記憶(登録)される。識別情報を登録することで、チップ4のシリアルナンバーと仮想価格情報とが少なくとも対応付けられる。識別情報は、全チップ4の登録情報とされる他、後にテーブルゲーム装置20、入出管理部30で読み取られたチップ4の識別情報との照合を経て真贋判定、所在(テーブルゲーム装置20、RFIDリーダ23,32)認識に供される。
【0029】
サーバ14は、識別情報の他、施設Fの全体の運用管理を実行する管理プログラム、それぞれのゲームルール及びゲーム盤面画像(図3参照)や各種の演出画像(ゲーム中の他、ゲーム休止中を含めてもよい)を記憶する。サーバ14は、また、各テーブルゲーム装置20からのゲームに関する情報、入出監視部30での読み取り情報を取り込んで記憶する。
【0030】
制御部11は、サーバ14の管理プログラムが実行されることによって運用管理部111及びチップ管理部112として機能する。運用管理部111は、各テーブルゲーム装置20から取り込まれるディーラ側のカード情報及び各プレイヤのカード情報、さらに各プレイヤがベットしたチップの仮想価格の総計額とゲームルールとに従ってゲーム進行の管理とゲームの結果管理とを実行する。なお、ゲームの進行に関する情報は、ゲームルール及びディーラによる操作情報、また、ゲームで用いられるカードを繰り出し、繰り出し時にカードに付されている画像をスキャンしてスコア(典型的にはトランプカードに標記されたスコア:数字A,1,…10,J,…K)を読み取る機能を備えたシューと称される公知のカード提供部24(図6参照)からの読み取り情報等を含む。カード提供部24を利用する態様では、読み取り情報に基づいてゲームの勝敗がゲームルールによって自動的に決定され得る。
【0031】
チップ管理部112は、各ベットエリア50にベットされたチップ4の識別情報を読み取り、真贋判定処理及び仮想価格額の算出処理を実行する。各ベットエリアにおける仮想価格が算出されると、対応するベットエリア50の所定の近傍位置に仮想価格の映像が投影部25から投射されてテーブル盤面上に表示される。
【0032】
図7は、チップ4の仮想価格の合計値を演出表示する映像例の図で、図2(B)と対応するように、ベットエリア54に、10ドルの仮想価格が表記された4枚のチップ4が積み上げられ、その横に100ドルの仮想価格が表記された2枚のチップ4が積まれている。チップ4に対するRFIDリーダ23による読み取りが終了すると、チップ管理部112によって算出された総計仮想価格がベットエリア54に対応する所定の領域8に、投影部25によって演出用の映像81として視認可能に投射される。映像81による演出効果によって興趣が向上する。なお、運用管理部111もゲームの進行に併せて演出映像を表示したり、勝敗が決した時点で各プレイヤの勝敗に対応して勝利演出、敗北演出の映像を表示したりするようにしてもよい。
【0033】
入出監視部30は、プレイヤがチップ4を不正に持ち出したり、贋物を持ち込んだりすることを検知して必要な警告(例えば図略の警告部による警告表示とか警告音の出力)を行う。出入口の通路の適所に1又は所要数のRFIDリーダ32を配置することで効果的に真贋を検知することが可能となる。RFIDリーダ32で読み取られた情報は、有線又は無線によって施設管理部10のサーバ14に取り込まれ、チップ管理部112で判断され、警報を発したり、読み取った識別情報を不正チップ情報とする紐づけを行ったり、廃棄したりする。本実施形態では出入り口の左右に、すなわち例えば出口路と入口路とに1個ずつRFIDリーダ321,322を設け、これにより不正な持ち出し、持ち込みの存在を検出可能にしている。なお、出入り口の広さに応じて天井側、床面側に所要数だけ設けてもよい。また、偽物の有無を検出するため、複数のRFIDリーダが重複して検出してもよい。
【0034】
テーブルゲーム装置部20は、複数台配置されているが、ここでは同一種類のゲームが適用されているとして、テーブルゲーム装置20aを代表にして、以下説明する。
【0035】
テーブルゲーム装置20aは、プロセッサ(CPU)を有する制御部21を備える。制御部21には、記憶部22、複数個のRFIDリーダ23、カード提供部24、投影部25及び表示部26が接続されている。記憶部22は、実行予定のテーブルゲームのゲームプログラム、テーブルゲームのルール、その他の情報がサーバ14からインストールされるメモリ領域、及びデータ処理を行うためのワークエリアを備える。
【0036】
複数個のRFIDリーダ23は、例えば図2(A)のように8個のRFIDリーダ230,231,…23mがゲームテーブル200の肉厚内に埋設され、あるいは裏面に配置される。RFIDリーダ23の個数は、設定されるゲームの種類に応じて異なり、例えば図3(B)のバカラゲームでは、1プレイヤ当たり3か所のベットエリアを有し、すなわち3個が必要となる。施設F内の各RFIDリーダ23は、シリアルナンバーなどの固有のIDが設定されており、有線又は無線によって制御部21と通信可能に接続されると共に、通信に際して固有のID情報を付加するようにして、送信元のRFIDリーダ23が制御部21で識別可能にされている。
【0037】
カード提供部24は、必要に応じて設けられるもので、前記したカード読み取り器(シュー)である。カード提供部24を設ける態様では、ゲーム結果が装置側で判定可能となる。
【0038】
表示部26は、必要に応じて設けられるもので、投影部25によるゲーム盤面画像や演出映像のテーブル盤面への投射の他に、表示部26によって演出等の表示を行うようにしたものである。表示部26としては平面画面を有する画像表示器、サイネージ用などの中空への映像描画を行う公知の立体画像表示器が適用可能であり、後者のサイネージ用ではゲームテーブル200の盤面上の空間適所に配置してプレイヤに中空映像を提示可能にする。
【0039】
制御部21は、ゲームプログラム等を実行することで、ゲーム進行処理部211、RFタグ情報処理部212、映像投射処理部213及びチップ管理部214として機能する。
【0040】
ゲーム進行処理部211は、ディーラによるゲーム開始指示から、ベット情報の取り込み指示、カードの配布及びスコアの読み取り、ゲーム結果判定、プレイヤ単位でのチップの回収、償還額の処理が終了するまでの間の各処理を実行する。ゲーム進行処理部211は、RFIDリーダ23で読み取られたプレイヤ毎のベットエリアのチップ4の仮想価格の総計額を一時的に保管すると共に演出表示(例えば図7)を指示する。
【0041】
RFタグ読取部212は、ベット期間終了時点での確定したベット内容、すなわち、各プレイヤのベットエリアに置かれたチップ4の識別情報を読み取ってサーバ10での真贋判定処理に供する処理を実行すると共に、ベットされた仮想価格の総計を算出する。
【0042】
映像投射処理部213は、ゲーム盤面画像の映像、ゲーム進行中及びゲーム終了に伴う各種の演出映像の選出及びそれらの投射を指示する。各映像は、サーバ14から読み出す態様でもよいし、設定されるゲームの種類に応じて予め記憶部22に読み出し、ゲーム中には記憶部22から読み出す態様でもよい。
【0043】
チップ管理部214は、チップトレイに収納されている、乃至チップトレイに回収されるチップをそれらの識別情報に基づいて管理する。
【0044】
本実施形態では、カード提供部24でのカードの読み取り動作を利用して、ベットされたチップ4の識別情報の読み取り終了タイミングとしているが、カード提供部24に代えてあるいは別に、ディーラが操作可能な操作部を設け、この操作部への操作を受け付けて前記チップ4の読み取り動作、その他の演出表示の動作を指示するようにしてもよい。
【0045】
本実施形態では、ゲームルール及びゲーム盤面画像の情報をサーバ14が記憶する態様としたが、各テーブルゲーム装置20の記憶部22に設ける態様としてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、ブラックジャックゲームを例にして説明したが、他のテーブルゲーム例えばバカラゲームでは、プレイヤ毎の各ベットエリアにベットされたチップの仮想価格とゲーム勝敗に伴う回収、償還による移動を経てチップトレイに収納の仮想価格の総計を管理することが可能となる。
【0047】
以上説明したように、本発明に係るテーブルゲーム装置は、ゲームが行われるゲームエリアと、前記ゲームの結果に対するベット用のチップであって仮想貨幣としての仮想価格を含む識別情報が読み取り可能に書き込まれたRFIDタグを一体で備えたチップが置かれる所定のプレイヤ数分のベットエリアと、が少なくとも設定可能な上面を有するゲームテーブルと、前記ゲームテーブルの上面より下方で前記各ベットエリアに対向して配置され、前記各ベットエリアに置かれた前記チップのRFIDタグから前記識別情報を読み取るRFIDリーダと、前記ゲームテーブルの上方空間に配置され、前記ゲームテーブルの上面に前記ゲームエリア及び前記ベットエリアに対応させてゲーム盤面画像を投射する投影部とを備えることが好ましい。
【0048】
また、本発明に係るテーブルゲーム装置は、仮想貨幣の仮想価格を含む識別情報が読み取り可能に書き込まれたRFIDタグを一体で備えたベット用のチップと、ゲームが行われるゲームエリアと前記ゲームの結果に対する前記ベット用のチップが置かれる所定のプレイヤ数分のベットエリアとが少なくとも設定可能な上面を有するゲームテーブルと、前記ゲームテーブルの上面より下方で前記各ベットエリアに対向して配置され、前記各ベットエリアに置かれた前記チップのRFIDタグから前記識別情報を読み取るRFIDリーダと、前記ゲームテーブルの上方空間に配置され、前記ゲームテーブルの上面に前記ゲームエリア及び前記ベットエリアに対応させてゲーム盤面画像を投射する投影部とを備えることが好ましい。
【0049】
これらの発明によれば、ゲームテーブル上のベットエリアに置かれたチップの識別情報がゲームテーブルの下方側のRFIDリーダによって自動的に読み取られる。一方、ゲームテーブル上のゲーム盤面画像が上方の投影部から投射され、ゲームテーブル面上に投影されて、いわゆる電子ゲームテーブルとして機能する。また、ゲームテーブル面上にはチップが置かれるだけとなり、投射光を遮る障害物はなく、ベットされたチップの識別処理に影響しない電子ゲームテーブルを備える簡易構成のテーブルゲーム装置が提供できる。
【0050】
また、前記ゲームテーブルは、厚さ方向に下層部と上層部とが積層され、前記上層部内に前記RFIDリーダを埋め込む凹部を有することが好ましい。この構成によれば、上層部を交換するだけで別のテーブルゲームのゲームテーブルが容易に構成される。
【0051】
また、前記投影部は、前記ゲームテーブルの略中央位置の上方に配置されることが好ましい。この構成によれば、投影部からの投射光がプレイヤなどの人物によって遮られることがほとんどなくなる。
【0052】
また、前記投射する映像は線画像であることが好ましい。この構成によれば、ゲームテーブル上でベットエリア内にベットされたチップ表面に投射映像が映ることが抑止される。なお、全てが線画像である必要はなく、例えばベットエリアを除く部分の一部については面画像が投射されてもよい。
【0053】
また、前記投影部は、前記ベットエリアに置かれた1又は複数のチップのRFタグから読み取った前記記憶情報に基づいてベットの合計値を前記ベットエリアの位置に対応させて演出表示することが好ましい。この構成によれば、合計値が演出表示されるので、誤った額をベットした場合に気付くことができ、また他のプレイヤのベット状況が容易に視認可能となる。
【0054】
また、前記RFIDリーダから放射される電波は、±90°の指向性を有することが好ましい。この構成によれば、ベットエリアとほぼ同様な電波放射面を有するRFIDリーダを適用すればよい。従って、複数のベットエリアが密接するバカラゲーム等の場合でも、RFIDリーダの設置が可能となる。
【0055】
また、本発明は、前記テーブルゲームに用いられる前記チップのRFタグに書き込まれた識別情報と真贋照合する照合用情報を記憶した記憶部と、前記RFIDリーダによって読み取られた識別情報を前記記憶部に記憶された照合用情報と照合する照合手段を備えることが好ましい。この構成によれば、RFIDリーダによって読み取られるチップ、すなわちゲームに使用されるチップは全て真贋照合されるので、不正行為が可及的に阻止され得る。
【符号の説明】
【0056】
1 ゲームシステム
10 施設管理部
112 チップ管理部(照合部)
14 サーバ(記憶部)
20,20a,…20n テーブルゲーム装置
200 ゲームテーブル
21 制御部
211 ゲーム進行処理部
212 RFタグ情報処理部
213 映像投射処理部
214 チップ管理部
22 記憶部
23,23’、32 RFIDリーダ
25 投影部
30 入出監視部
4 チップ
5,6 ゲーム盤面画像
50,Ap,Ab,At ベットエリア
7 RFIDタグ
8 演出エリア
【要約】
テーブルゲーム装置(20)は、仮想貨幣の仮想価格を含む識別情報が読み取り可能に書き込まれたRFIDタグ(7)を一体で備えたベット用のチップ(4)と、ゲームが行われるゲームエリアとゲームの勝敗に対するベット用のチップ(4)が置かれる所定のプレイヤ数分のベットエリア(50)とが少なくとも設定可能な上面を有するゲームテーブル(200)と、ゲームテーブル(200)の肉厚内で各ベットエリア(50)に対向して配置され、各ベットエリア(50)に置かれたチップ(4)のRFIDタグ(7)から識別情報を読み取るRFIDリーダ(23)と、ゲームテーブル(200)の上方空間に配置され、ゲームテーブル(200)の上面にゲームエリア及びベットエリア(50)に対応させてゲーム盤面画像(5)を投射する投影部(25)とを備えたものである。これにより、チップ(4)の識別処理に影響しない電子ゲームテーブルを備える簡易構成のテーブルゲーム装置(20)が提供可能となる。
図1
図2
図3
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図5
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図7