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特許7177563メタン発酵原料生成装置、メタン生成装置、発電システム、流動物生成装置、メタン発酵原料生成方法、メタン生成方法および発電方法および流動物生成方法
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  • 特許-メタン発酵原料生成装置、メタン生成装置、発電システム、流動物生成装置、メタン発酵原料生成方法、メタン生成方法および発電方法および流動物生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】メタン発酵原料生成装置、メタン生成装置、発電システム、流動物生成装置、メタン発酵原料生成方法、メタン生成方法および発電方法および流動物生成方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/35 20220101AFI20221116BHJP
   B09B 3/65 20220101ALI20221116BHJP
   C02F 11/04 20060101ALI20221116BHJP
   B09B 3/45 20220101ALI20221116BHJP
   B09B 101/70 20220101ALN20221116BHJP
【FI】
B09B3/35
B09B3/65 ZAB
C02F11/04 A
B09B3/45
B09B101:70
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022105799
(22)【出願日】2022-06-30
【審査請求日】2022-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516086738
【氏名又は名称】株式会社エキシーエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】藤原 博夫
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慎太郎
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-095729(JP,A)
【文献】特開2014-124614(JP,A)
【文献】特開2012-236115(JP,A)
【文献】特開2004-123848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
C02F 11/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用品で包装されている食物を粒状物に粉砕する粉砕機と、前記粉砕機で得られた粒状物に水分を加えこの水分が加えられた前記粒状物を所定の温度および所定の圧力下で処理することで粘度の高い流動物を生成する流動物生成部とを有する流動物生成装置と、
前記流動物生成装置で生成された流動物を、真空吸引することで内部に入れ、この内部に入った流動物に水を加えて加水分解することで発酵原料を生成するタンクと、前記タンクで生成された発酵原料からメタンガスを得るメタンガス生成槽とを有するメタン生成装置と、
前記メタン生成装置で得られたメタンを用いて発電する発電機と、
を有し、前記発電機は、前記流動物生成装置で発生する可燃性ガスをも用いて発電するように構成されており、
前記所定の温度は、100℃以上300℃以下の温度であり、前記所定の圧力は、0.1MPa以上3.01MPa以下の圧力である発電システム。
【請求項2】
包装用品で包装されている食物を粒状物に粉砕する粉砕機と、前記粉砕機で得られた粒状物を、発酵原料を生成するために、所定の温度および所定の圧力下で処理する粒状物処理機とを有するメタン発酵原料生成装置と、
前記メタン発酵原料生成装置で得られた発酵原料に前処理を施す前処理槽と、前記前処理槽で得られた前処理済み発酵原料からメタンガスを得るメタンガス生成槽とを有するメタン生成装置と、
前記メタン生成装置で得られたメタンを用いて発電する発電機と、
を有し、前記発電機が、前記メタン発酵原料生成装置で発酵原料を生成するときに発生するメタンガスも用いて発電するように構成されており、
前記所定の温度は、100℃以上300℃以下の温度であり、前記所定の圧力は、0.1MPa以上3.01MPa以下の圧力であり、
前記前処理は、前記発酵原料を加水分解する処理である発電システム。
【請求項3】
包装用品で包装されている食物を粒状物に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で得られた粒状物を、発酵原料を生成するために、所定の温度および所定の圧力下で処理する粒状物処理工程と有するメタン発酵原料生成方法と、
前記メタン発酵原料生成方法で得られた発酵原料に前処理を施す前処理工程と、前記前処理工程で得られた前処理済み発酵原料からメタンガスを得るメタン生成工程とを有するメタン生成方法と、
前記メタン生成工程法で得られたメタンを用いて発電する発電工程を有し、前記発電工程が、前記粒状物処理工程で発酵原料を生成するときに発生するメタンを用いて発電し、
前記所定の温度は、100℃以上300℃以下の温度であり、前記所定の圧力は、0.1MPa以上3.01MPa以下の圧力であり、
前記前処理は、前記発酵原料を加水分解する処理である発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタン発酵原料生成装置、メタン生成装置、発電システム、流動物生成装置、メタン発酵原料生成方法、メタン生成方法および発電方法および流動物生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、売れ残り等によって生まれてしまう未利用食品を、メタン発酵用の原料として用い、メタンガスを得るメタン発酵システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のメタン発酵システムでは、包装容器に入った未利用食品をたとえば人手によって包装容器と未利用食品とに分別(分離)している。そして、分別した未利用食品を、メタンガスを得るための原料として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5730120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のメタン発酵システムでは、上述したように、包装容器に入った未利用食品を用いる場合に、包装容器から未利用食品を分別しなければならない。したがって、上記分別にコストがかかってしまう。これにより、特許文献1に記載のメタン発酵システムで得られたメタンガスの価格も上昇してしまう。
【0006】
本発明は、包装容器に入った未利用食品を未利用食品と包装容器とに分別することなくそのまま用い、メタン発酵によりメタンガスを生成するための流動物を得ることができる流動物生成装置、流動物生成方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、包装容器に入った未利用食品を未利用食品と包装容器とに分別することなくそのまま用い、メタン発酵によりメタンガスを生成するための発酵原料を得ることができるメタン発酵原料生成装置、メタン発酵原料生成方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、メタン発酵原料生成装置やメタン発酵原料生成方法で得られた発酵原料を用いてメタンガスを生成するメタン生成装置、メタン生成方法を提供することを目的とする。また、本発明は、メタン生成装置やメタン生成方法で得られてメタン(メタンガス)を用いた発電システム、発電を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に係る流動物生成装置は、包装用品で包装されている食物を粒状物に粉砕する粉砕機と、前記粉砕機で得られた粒状物に水分を加えこの水分が加えられた前記粒状物を所定の温度および所定の圧力下で処理することで粘度の高い流動物を生成する流動物生成部とを有する流動物生成装置である。
【0010】
本発明の態様に係るメタン生成装置は、前記流動物生成装置で生成された流動物を、真空吸引することで内部に入れ、この内部に入った流動物に水を加えて加水分解することで発酵原料を生成するタンクと、前記タンクで生成された発酵原料からメタンガスを得るメタンガス生成槽とを有するメタン生成装置である。
【0011】
本発明の態様に係る発電システムは、前記メタン生成装置で得られたメタンを用いて発電する発電機を有する発電システムである。
【0012】
また、本発明の態様に係る発電システムは、前記発電機が、前記流動物生成装置で発生する可燃性ガスをも用いて発電するように構成されている発電システムである。
【0013】
本発明の態様に係る流動物生成方法は、包装用品で包装されている食物を粒状物に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で得られた粒状物に水分を加えこの水分が加えられた前記粒状物を所定の温度および所定の圧力下で処理することで粘度の高い流動物を生成する流動物生成工程と有する流動物生成方法である。
【0014】
本発明の態様に係るメタン生成方法は、前記流動物生成方法で生成された流動物を、真空吸引することでタンクの内部に入れ、この内部に入った流動物に水を加えて加水分解することで発酵原料を生成する発酵原料生成工程と、前記発酵原料生成工程で生成された発酵原料からメタンガスを得るメタンガス生成工程とを有するメタン生成方法である。
【0015】
本発明の態様に係る発電方法は、前記メタン生成方法で得られたメタンを用いて発電する発電工程を有する発電方法である。
【0016】
また、本発明の態様に係るメタン発酵原料生成装置は、包装用品で包装されている食物を粒状物に粉砕する粉砕機と、前記粉砕機で得られた粒状物を、発酵原料を生成するために、所定の温度および所定の圧力下で処理する粒状物処理機とを有するメタン発酵原料生成装置である。
【0017】
また、本発明の態様に係るメタン発酵原料生成装置は、上記メタン発酵原料生成装置と、前記メタン発酵原料生成装置で得られた発酵原料に前処理を施す前処理槽と、前記前処理槽で得られた前処理済み発酵原料からメタンガス得るメタンガス生成槽とを有するメタン生成装置である。
【0018】
また、本発明の態様に係る発電システムは、上記メタン生成装置と、前記メタン生成装置で得られたメタンを用いて発電する発電機とを有し、前記発電機が、前記メタン発酵原料生成装置で発酵原料を生成するときに発生するメタンガスも用いて発電するように構成されている発電システムである。
【0019】
また、本発明の態様に係るメタン発酵原料生成方法は、包装用品で包装されている食物を粒状物に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で得られた粒状物を、発酵原料を生成するために、所定の温度および所定の圧力下で処理する粒状物処理工程と有するメタン発酵原料生成方法である。
【0020】
また、本発明の態様に係るメタン生成方法は、上記メタン発酵原料生成方法で得られた発酵原料に前処理を施す前処理工程と、前記前処理工程で得られた前処理済み発酵原料からメタンガス得るメタン生成工程とを有するメタン生成方法である。
【0021】
また、本発明の態様に係る発電方法は、上記メタン生成方法で得られたメタンを用いて発電する発電工程を有し、前記発電工程が、前記粒状物処理工程で発酵原料を生成するときに発生するメタンを用いて発電する発電方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、包装容器に入った未利用食品を未利用食品と包装容器とに分別することなくそのまま用い、メタン発酵によりメタンガスを生成するための流動物や発酵原料を得ることができるという効果を奏する。また、上記流動物や発酵原料を用いてメタンガスを生成することができるという効果を奏する。また、上記メタンガスを用いて発電することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る発電システムの概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る発電システムで使用されるメタン発酵原料生成装置の概略構成を示す図であり、(b)は(a)におけるIIB矢視図である。
図3】本発明の実施形態に係る発電システムで使用されるメタン生成装置の概略構成を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る発電システムで用いられるメタンの発酵原料となる包装済み食物を例示した図である。
図5】変形例に係るメタン生成装置の概略構成を示す図である。
図6A】別の変形例に係るメタン生成装置の概略構成を示す図である。
図6B】別の変形例に係るメタン生成装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る発電システム1は、メタン(メタンガス)を用いて発電するものであり、図1で示すように、メタン生成装置(メタンガス生成機)3と発電機5と備えて構成されている。発電機5は、メタン生成装置3で得られたメタンガスを用いて発電するようになっている。
【0025】
メタン生成装置3は、メタン発酵原料生成装置(発酵原料生成機;ハイドロ前処理装置)7と、前処理槽(第1の処理槽)9と、メタンガス生成槽(メタン発酵槽;第2の処理槽)11とを備えて構成されている。
【0026】
また、発電機5は、メタン生成装置3で得られたメタンガスに加えて、メタン発酵原料生成装置7で発酵原料(メタン発酵用原料)を生成するときに発生する可燃性ガスを用いて発電するように構成されている。より詳しくは、後述する粒状物処理機15での処理によって、たとえば包装用品89からメタンガス等の可燃性ガスが発生する場合がある。この場合、上記発生したメタンガス等の可燃性ガスをも用いて、発電機5が発電をするように構成されている。
【0027】
前処理槽9は、メタン発酵原料生成装置7で得られたペースト状の発酵原料に前処理を施すようになっている。前処理槽9で施す前処理では、発酵原料が加水分解される。メタンガス生成槽11では、前処理槽9で得られた前処理済み発酵原料(流動体)からメタンガスが得られる。さらに、メタンガス生成槽11では、メタン生成菌によってメタンガスが生成されるようになっている。
【0028】
メタン発酵原料生成装置7は、粉砕機13と粒状物処理機15を備えて構成されている。粉砕機13は、包装済み食物(包装容器に入った未利用食品)17を粒状物に粉砕するようになっている。すなわち、粉砕機13によって包装済み食物17が粉砕されて、粒状物が得られるようになっている。なお、粉砕機13による粉砕で包装済み食物17から流動体状のものや粒状物と流動物とが混ざったものが得られるようになっていてもよい。
【0029】
包装済み食物17は、合成樹脂や紙で構成されている包装用品89で包装されている食物(未利用食物)87である。粉砕機13は、食物87と包装用品89とを分別することなく、包装用品89で包装されている食物87をそのまま粉砕するようになっている。そして、粒状になった食物87と粒状になった包装用品89とほぼ均一とが混じり合った状態になっている粒状物が得られるようになっている。
【0030】
粉砕機13は、たとえば、特許第5275690号公報で示す生ごみ破砕分別装置で使用されているブレードを、上記特許公報で示す態様で回転させることで、包装済み食物17を粉砕するようになっている。これにより、たとえば、細長い紐状の包装用品89であっても、粒状物に粉砕されるようになっている。
【0031】
ここで包装済み食物17について説明する。図4で示す包装済み食物17A~17Kは、包装済み食物17を例示したものである。包装済み食物17では、食物87が包装用品89で包装されている。
【0032】
包装済み食物17Aは、市販の弁当であり、弁当の中身である食物87Aが包装用品である容器89Aの中に入っている。なお、包装済み食物17Aでは、容器89Aの蓋が開かないように、シート状の部材95が箍状に巻かれているが、シート状の部材95も包装用品89に含めるものとする。また、包装済み食物17Aには、割りばし91とこの割りばし91を内部に収めている割りばしの袋93が付属しているが、割りばし91と割りばしの袋93も、包装用品89に含めるものとする。
【0033】
包装済み食物17Bは、パッケージされている調理前の食品であり、食物である干物87Bが包装用品である容器89Bの中に入っている。包装済み食物17Cは、食物であるおにぎり87Cが包装用品であるフィルム状包装材で包まれている。
【0034】
包装済み食物17Dは、食物である複数の生たまご87Dが包装用品である容器89Dの中に並べられて入っている。包装済み食物17Eは、食物である沢庵等の漬物87Eが包装用品である容器89Eの中に完全に密閉された状態で入っている。
【0035】
包装済み食物17Fは、食物であるパン(たとえば調理パン)87Fが包装用品である袋89Fの中に密閉された状態で入っている。包装済み食物17Gは、食物である納豆87Gが包装用品である容器89Gの中に入っている。なお、包装済み食物17Gでは、複数の容器89Gそれぞれの中に納豆87Gが入っており、複数の容器89Gは、お互いが重ねられた状態で、シート状の部材95で束ねられている。上述したように、シート状の部材95も、包装用品89に含めるものとする。
【0036】
包装済み食物17Hは、食物である豆腐87Hが包装用品である容器89Hの中に完全に密閉された状態で入っている。包装済み食物17Iは、食物である複数個の飴87Iが包装用品である袋89Iの中に完全に密閉された状態で入っている。
【0037】
包装済み食物17Jは、束ねられた調理前の食品であり、食物である複数本の生ネギ87Jが包装用品である細長いテープ89Jで束ねられている。包装済み食物17Kは、テープが巻かれている調理前の食品であり、食物であるたけのこ87Kに包装用品であるテープ89Kが、たけのこ87Kを識別するために、たとえば一重に巻かれて設置されている。包装済み食物17Lは、市販されているチューングガムである。
【0038】
なお、包装済み食物17Jのテープ89J、包装済み食物17Kのテープ89Kは、包装用品とは言い難いかもしれないが、本願では、包装用品に含めるものとする。さらに、食物17につけられているシールや荷札や付箋やタグも、本願では、包装用品に含めるものとする。
【0039】
粒状物処理機15として、たとえば、蒸煮装置(蒸煮機)が採用されている。粒状物処理機15は、粉砕機13で得られた粒状物を、所定の温度(所定の適宜な温度)の下および所定の圧力(所定の適宜な圧力)の下で、所定の時間処理する。そして、前処理槽9に供給される発酵原料(メタンガス生成用の発酵原料)を生成するようになっている。
【0040】
上記所定の温度(所定の適宜な温度)は、100℃以上300℃以下の温度である。上記所定の圧力(所定の適宜な圧力)は、0.1MPa以上3.01MPa(ゲージ圧)以下の圧力である。上記所定の時間は、次に示す昇温昇圧時間と加熱加圧時間と降温降圧時間との合計時間であり、この合計時間は、1時間以下の時間である。
【0041】
ここで、発電システム1についてさらに詳しく説明する。
【0042】
粒状物処理機15は、図2で示すように、内部に円柱状の閉空間19が形成されている筐体21を備えて構成されている。閉空間19内に粉砕機13で得られた粒状物が供給されるようになっている。
【0043】
粒状物処理機15には、攪拌部23と加圧部(図示せず)と加熱部(図示せず)とが設けられている。攪拌部23は、閉空間19に供給された粒状物を攪拌等するようになっており、加圧部は、閉空間19内の圧力を高めこの高めた圧力を所定時間維持するようになっている。
【0044】
加熱部は、閉空間19内の温度を高めこの高めた温度を所定時間維持するようになっている。なお、発電機5によって得られる熱を、粒状物処理機15での昇温(筐体21内の昇温)に、たとえば補助的に用いてもよい。
【0045】
前処理槽9内には、図示しない給水装置から適宜の量の水(加水分解のための水)が供給されるようになっている。また、前処理槽9には、図3で示すように、処理すべき流動体(発酵原料+水)の量を制御するために用いる複数の液位計25(25A、25B、25C)が設けられている。複数の液位計25のそれぞれは、互いに異なる上位、中位、下位の各位置にあり、それらの各位置でスイッチが作動するフロートスイッチ27(27A、27B、27C)を備えている。
【0046】
また、前処理槽9には、流動体を撹拌のするための攪拌機29と、前処理槽9内を観察するための覗き窓31と、液位計33とが設けられている。前処理槽9では、前処理槽9内の流動体の有機物の加水分解を行うようになっている。
【0047】
図1で示すように、粉砕機13で得られた粒状物は、移送ポンプ35と供給ライン37とで前処理槽9に移送されるようになっている。供給ライン37を通して前処理槽9に入った粒状物に水が加えられて流動体が生成され、この流動体が、攪拌機29で撹拌されつつ、加水分解細菌により分解され、前処理済み発酵原料(前処理済み流動体)が得られるようになっている。
【0048】
前処理槽9で得られた前処理済み発酵原料は、移送ライン39と移送ポンプ41とによって、メタンガス生成槽11に移送されるようになっている。
【0049】
メタンガス生成槽11には、移送ライン39に連絡する入口の近くに圧力計43が設けられている。これにより、メタンガス生成槽11内の圧力を知ることができる。圧力計43は移送ライン39に連絡する前処理済み発酵原料の入口の近くに設けられている。
【0050】
メタンガス生成槽11の上部の中央付近には覗き窓45と、覗き窓45よりも大きな口径の点検口47とが設けられている。覗き窓45はメタンガス生成槽11内を観察するための窓であり、点検口47は点検のための出入り口である。そして、点検口47に隣り合う部分にブリーザ弁49が設けられている。ブリーザ弁49は、メタンガス生成槽11内の圧力変動を自動的に調整する弁である。
【0051】
さらに、メタンガス生成槽11では、ブリーザ弁49の近くにガス排出ライン51が接続されている。ガス排出ライン51は、メタンガス生成槽11で生成あるいは発生したガス(メタンガスほか、二酸化炭素や水分その他の不純物ガスを含む)を脱硫装置53まで送り出すようになっている。
【0052】
脱硫装置53を通ったガスは、一旦、ガスホルダ55に蓄えられ、ガスホルダ55からガスブースタ57を備えたガス供給ライン59によって発電機5に供給されるようになっている。そして、供給されたガスをエネルギー源として発電機5での発電がされるようになっている。
【0053】
なお、ガス排出ライン51の途中(メタンガス生成槽11の近傍)には、ドレンセパレータ61があり、メタンガス生成槽11で生成されたガスを脱硫装置53に送るに先立ち、ガス中の水分を除去するようになっている。なお、図1に参照符号63で示すものは、脱硫装置53の近傍でガス排出ライン51の途中に設けられている逆止弁(たとえば、ボールフロート式の逆止弁)である。
【0054】
また、メタンガス生成槽11には、メタンガス生成槽11内の温度を検出する温度センサー65と、メタンガス生成槽11内の水素イオン濃度を検出するPH計67と、メタンガス生成槽11撹拌機内の流動体を攪拌する撹拌機70とが設けられている。メタンガス生成槽11内の水素イオン濃度は、PH計67での検出値に基づいて、手動もしくは自動で調整されるようになっている。
【0055】
さらに、メタンガス生成槽11には、メタンガス生成槽11内の流動体(メタン生成後に残った流動体)を排出するための流動体出口69が設けられている。流動体出口69は、移送ポンプを用いないオーバーフロー形式で流動体を排出するようになっている。
【0056】
また、発電システム1には、水槽71が設けられている。水槽71と発電機5との間には、水循環用流路73が設けられている。水循環用流路73の途中には、循環用ポンプ75が設けられている。
【0057】
そして、発電機5を冷却するための水が、発電機5と水槽71とを循環するようになっている。発電機5が稼働することで、水槽71内に温水が一旦蓄えられるようになっている。また、水槽71内の温水が循環するようになると、水槽71のヒータ(後述のヒータ)85のスイッチを自動的切り、電力の節約をするようになっている。
【0058】
メタンガス生成槽11内には、熱交換用パイプ77が設けられている。熱交換用パイプ77と水槽71との間には、水循環用流路79が設けられている。水循環用流路79の途中には、循環用ポンプ81が設けられている。
【0059】
そして、水槽71の水(温まった水)が、熱交換用パイプ77と水槽71とを適宜循環するようになっている。これにより、メタンガス生成槽11内の流動体の温度が、メタン発酵のための適切な温度(37℃~38℃)になる。
【0060】
また、水槽71には、水槽71内の水の温度を検出する温度センサー83と、水槽71内の水を加熱するヒータ(たとえば電気ヒータ)85とが設けられている。ヒータ85は、水槽71内の水の所定の温度よりも低い場合に、水槽71内の水を加熱するようになっている。なお、上述したように、水槽71内の温水を用いて、メタン発酵原料生成装置7(粒状物処理機15)内を一定の温度に保つようになっている。
【0061】
次に、発電システム1の動作について説明する。発電システム1は、図示しない制御装置(たとえばCPUとメモリとを備えた制御装置)の制御の下、動作するようになっている。
【0062】
粉砕機13に供給された包装済み食物17が粒状物になって粒状物処理機15に供給される。粒状物処理機15に供給された粒状物は、所定の温度および所定の圧力下で所定の時間処理されることで発酵原料が生成される。
【0063】
粒状物処理機15で得られた発酵原料は、前処理槽9に供給される。前処理槽9に供給された発酵原料には前処理(加水分解処理)を施され前処理済み発酵原料が得られる。
【0064】
前処理槽9で得たられた前処理済み発酵原料は、メタンガス生成槽11に供給される。メタンガス生成槽11で、供給された前処理済み発酵原料からメタンガスが得られる。
【0065】
メタンガス生成槽11で得られたメタンガスは、発電機5に供給される。発電機5は、供給されたメタンガスによって発電をする。
【0066】
メタン発酵原料生成装置7は、粉砕機13と粒状物処理機15とを備えて構成されている。粉砕機13は、包装用品89で包装されている食物87(包装済み食物17)を粒状物に粉砕するようになっている。粒状物処理機15は、粉砕機13で得られた粒状物を所定の温度および所定の圧力下で所定の時間処理することで発酵原料を生成するようになっている。
【0067】
これにより、包装されている未利用食品(未利用食材;売残り食材)17を未利用食品87と包装容器89とに分別することなくそのまま用いても、メタン発酵によりタンガスを生成するための発酵原料を得ることができる。
【0068】
すなわち、メタン発酵原料生成装置7を用いることによって、包装用品89を構成している樹脂は昇華し、紙類や木質は溶解したような状態になり、未利用食品87とともにペースト状に変化した発酵原料になる。この発酵原料に適宜の量の水を加えるだけで、メタンの発酵に適した水分含有率状態の発酵原料を容易に得ることができる。そして、廃棄物の焼却処分を大幅に減らす事が可能になり、温室効果ガスの低減に寄与することができる。なお、上記「昇華」とは、上述した100℃以上300℃以下の温度であって0.1MPa以上3.01MPa以下の亜臨界状態での、加水分解による樹脂の分解をいう。この分解によって、樹脂を原料の一部として利用することができる。
【0069】
なお、近年、法規制により、食品廃棄物発生事業者に報告、再生利用実施率、義務化罰則が強化された。また、食品廃棄物等多重発生事業者(約300kg/日)に定期報告が義務付けられた。メタン発酵原料生成装置7を使用すれば、包装容器に入った未利用食品を未利用食品と包装容器とに分別する必要が無くなるので、上記法規制に容易に対応することができる。
【0070】
また、包装容器89に入った未利用食品87を未利用食品87と包装容器89とに分別することなくそのまま(販売されていた状態のまま)用いることができるので、未利用食品87を、メタン発酵に適用することが容易になっている。
【0071】
木材や竹をチップに含まれるセルロースやリグニンは硬度が高く、従来の技術では、木材や竹からメタン発酵をさせることは困難であった。しかし、メタン発酵原料生成装置7による処理を行うことによって、メタンガス生成槽11で、メタン菌が木質チップも餌として食べる事が可能となる。これにより、木材や竹からもメタン発酵が可能になる。
【0072】
これにより、売れ残った弁当についている割りばし等の活用だけでなく、木材としての活用が向かない間伐材や公園や公共施設の植栽の剪定枝の処分は、従来焼却処分等が主だったが、メタン発酵に用いる事によって、再生エネルギー電力に用いる事が可能になる。
【0073】
また、メタン発酵対象物のアンモニア性窒素濃度は5,700mg/L以下が適正な数値とされている。しかし、発酵原料生成装置による処理を行う事によって、アンモニア性窒素濃度を処理前の7,200mg/Lから3,167mg/Lというように、50%程度に下げる事が可能となった。
【0074】
また、メタン発酵原料生成装置7を用いることで、食品リサイクル法に基づき、未利用食品87を容器89ごと再エネメタン電力に変換し、SDGsを構築することができる。
【0075】
メタン生成装置3は、メタン発酵原料生成装置7で得られた発酵原料を用いてメタンガスを生成するようになっている。すなわち、包装容器89に入った未利用食品87を未利用食品87と包装容器89とに分別することなくそのまま用いてメタンガスを得ることができる。これにより、メタンガスの価格の上昇を抑えることができる。
【0076】
発電システム1では、発電機5が、メタン発酵原料生成装置7で発酵原料を生成するときに発生するメタンガスも用いて発電するように構成されている。これにより、メタン発酵原料生成装置7で発生したメタンガスも有効利用することができ、発電コストを一層下げることができる。
【0077】
ここで変形例に係る発電システム107について図5を参照しつつ説明する。なお、発電システム107は、粒状物処理機15と前処理槽9とに代えて、加水分解槽(流動物生成部)103とタンク(リザーブタンク)105とが設けられている点が、図1で示す発電システム1と異なる。発電システム107のその他の点は、発電システム1と同様に構成されており、発電システム107は発電システム1と同様の効果を奏する。
【0078】
発電システム107の流動物生成装置101は、粒状物処理機15と流動物生成部103とを備えて構成されている。なお、図5では発電機5等の表示を省略している。
【0079】
さらに説明すると、図5で示す発電システム107は、メタン生成装置3と発電機5とを備えて構成されている。メタン生成装置3は、メタンガス生成槽11と流動物生成装置101とを備えて構成されている。流動物生成装置101は、上述したように、粉砕機13と流動物生成部103とを備えて構成されている。
【0080】
粉砕機13は、上述したように、図4で示すような包装用品89で包装されている食物87を、たとえば、そのまま粒状物に粉砕するものである。
【0081】
流動物生成部103は、粉砕機13で得られた粒状物から発酵原料を生成するために、粒状物に若干の水分(たとえば蒸気)を加えるようになっている。また、流動物生成部103は、水分が加えられた粒状物を所定の温度の下、および、所定の圧力の下で所定の時間処理(加熱、加圧)することで粘度の高い流動物を生成するようになっている。粘度の高い流動物は、発酵原料となるヘドロ状の流動物である。
【0082】
上記所定の温度としては、100℃から300℃の間の温度のうちの所定の温度が採用される。なお、上記300℃を250℃としてもよい。上記所定の圧力として、0.1MPaから3.0MPa(ゲージ圧)の間の圧力のうちの所定の圧力が採用される。なお、上記3.0MPaを2.5MPaとしてもよい。また、上記所定の時間として1分から1時間うちの所定の時間が採用される。なお、上記1分から1時間を10分から50分としてもよい。
【0083】
さらに、流動物生成部103では、上記所定の温度、上記所定の圧力、上記所定の時間のそれぞれを、粉状物となる包装用品89および食物87の種類に応じて、別箇に変更し設定することができるようになっている。
【0084】
たとえば、包装用品89および食物87として、硬い物(かぼちゃのヘタ、割りばし、生け花用の木等)が含まれている場合には、上記所定の温度を高くし、上記所定の圧力を高くし、上記所定の時間を長くする設定がされるようになっている。
【0085】
一方、包装用品89および食物87が、柔らかい物(豆腐、スイーツ、もしくは、牛乳、ヨーグルト等の液状体等)のみである場合には、上記所定の温度を低くし、上記所定の圧力を低くし、上記所定の時間を短くする設定がされるようになっている。
【0086】
さらに、上記所定の温度、上記所定の圧力および上記所定の時間が互いに連動して(関連性をもって)変更され設定されるようになっていてもよい。たとえば、上記所定の温度を高くすることで、上記所定の圧力が自動的に高くなり、上記所定の時間が自動的に長くなるようになっていてもよい。
【0087】
流動物生成部103では、粒状物に水分が加えられ加熱等がされることで、粒状物の加水分解がある程度されるようになっている。
【0088】
リザーブタンク105は、流動物生成装置101で生成(加水分解)された流動物を、真空吸引(バキューム吸引)することで内部に入れるようになっている。また、リザーブタンク105は、内部に入った流動物に水を加えて加水分解し、これをポンプ145でメタンガス生成槽11へ送り込みメタンガスを生成するようになっている。
【0089】
メタンガス生成槽11には、リザーブタンク105内に貯留された発酵原料が送られるようになっている。メタンガス生成槽11では、発酵原料からメタンガスを得るようになっている。発電機5(図5では図示せず、図1参照)は、メタン生成装置3で得られたメタンガスを用いて発電するようになっている。
【0090】
なお、発電システム107では、加水分解槽103で流動物を生成するときに発生するメタンガス、リザーブタンク105で発酵原料を生成するときに発生する樹脂類の昇華ガスがある。この昇華ガスは、脱硫装置53(図5では図示せず、図1参照)の入口でメタンガス生成槽11で造られたメタンガスと合流し可燃性ガスの総量に役立てられる。
【0091】
ここで、発電システム107の流動物生成装置101とリザーブタンク105とについてさらに詳しく説明する。流動物生成装置101の流動物生成部103は、筐体109と図示しないヒータ等の昇温部と図示しない加圧部とを備えて構成されている。なお、粒状物処理機15や前処理槽9と同様にして、筐体109に筐体109の内部の粒状物等を撹拌する撹拌部(図示せず)等が設けられていてもよい。
【0092】
筐体109は有底円筒状に形成されている。筐体109内には、筐体109の上部に設けられている投入口(図示せず)から、粉砕機13で得られた粒状物が投入されるようになっている。なお、投入口には図示しない蓋が設けられていることで、投入口は開閉自在になっている。
【0093】
筐体109内には、配管111を介してボイラ115から蒸気が供給されるようになっている。配管111の途中には、配管111の流路を開閉するためのバルブ(たとえばソレノイドバルブ)113が設けられている。筐体109の上部には、大気と通じる配管117が設けられている。配管117の途中には、配管117の流路を開閉するためのバルブ(たとえばソレノイドバルブ)119が設けられている。
【0094】
流動物生成部103の筐体109の内部とリザーブタンク105の内部とは配管121で互いにつながっている。配管121を通って、流動物生成部103で生成された流動物がリザーブタンク105内に供給されるようになっている。配管121の途中には、配管121の流路を開閉するためのバルブ(たとえばソレノイドバルブ)123が設けられている。
【0095】
配管121の一方の端は、たとえば、筐体109の下端で筐体109に接続されており、配管121の他方の端は、たとえば、リザーブタンク105の上端でリザーブタンク105に接続されている。配管121の一方の端(筐体109側の端)は、配管121の他方の端(リザーブタンク105側の端)よりも下側に位置している。
【0096】
リザーブタンク105内には、配管125を介して水供給部129から水が供給されるようになっている。配管125の途中には、配管125の流路を開閉するためのバルブ(たとえばソレノイドバルブ)127が設けられている。リザーブタンク105の上部には、大気と通じる配管131が設けられている。
【0097】
配管131の途中には、配管131の流路を開閉するためのバルブ(たとえばソレノイドバルブ)133が設けられている。リザーブタンク105内への水の供給によって、最終的は、リザーブタンク105内での水の質量比が90%程度になる。なお、リザーブタンク105にリザーブタンク内を撹拌するための撹拌部等が設けられていてもよい。
【0098】
リザーブタンク105からはサブタンク135につながっている配管137が設けられている。配管137は、リザーブタンク105の内部とサブタンク135の内部とをつないでいる。配管137の一方の端は、リザーブタンク105の上端で、リザーブタンク105につながっている。配管137の途中には、逆止弁139が設けられている。サブタンク135の内部は逆止弁付きの真空ポンプ141によって、減圧されるようになっている。
【0099】
リザーブタンク105の内部とメタンガス生成槽11の内部とは配管143でつながっている。配管143を通って、リザーブタンク105内で生成された発酵原料がメタンガス生成槽11内に供給されるようになっている。配管143の途中には、配管143で発酵原料を流すためのポンプ(たとえば逆止弁付きポンプ)145が設けられている。
【0100】
次に、発電システム107の動作について説明する。なお、発電システム107は、たとえば、CPUとメモリとを備えて構成されている図示しない制御部の制御の下、動作するようになっている。また、流動物生成部103での温度等の設定は、図示しない操作部によってなされるものとする。
【0101】
初期状態では、粉砕機13で粒状物が生成されており、流動物生成部103の筐体109の投入口が開いており、バルブ113、119、123、127が閉じており、ポンプ145が停止している。また、初期状態では、筐体109内は空になっており、リザーブタンク105内が負圧になっている。
【0102】
上記初期状態で、筐体109内に粒状物を投入し、筐体109の投入口を閉じる。続いて、バルブ113を開き筐体109内に蒸気を供給し、筐体109内を昇温昇圧し、この状態を所定の時間維持する。
【0103】
続いて、バルブ113を閉じ、筐体109内の温度および圧力を下げる。続いて、バルブ119を開き、バルブ123を開くことで、流動物を流動物生成部103(筐体109内)からリザーブタンク105内にバキュームにより入れる。なお、配管117およびバルブ119を設けることなく、筐体109の投入口をごく僅かに開いて、流動物を流動物生成部103(筐体109)からリザーブタンク105内に入れるようにしてもよい。
【0104】
続いて、バルブ123を閉じバルブ127を開いて、リザーブタンク105内に水を供給し、加水分解によって発酵原料を得る。続いて、バルブ127を閉じバルブ133を開きポンプ145を稼働させて、発酵原料をリザーブタンク105からメタンガス生成槽11内に入れる。続いて、メタンガス生成槽11でメタンガスを生成し、発電機5(図5では図示せず)で発電をする。
【0105】
図5で示すメタン生成装置3では、流動物を、真空吸引(バキューム吸引)することでリザーブタンク105内に入れるようになっている。これにより、粘度の高い流動物を送るためのポンプを用いることなく、また、重力を利用することなく、流動物を流動物生成装置101(筐体109内)からリザーブタンク105内に入れることができる。また、流動物生成装置101とリザーブタンク105とをつないでいる配管121内に、粘度の高い流動物が引っ掛かってしまうことが防止される。
【0106】
ここで別の変形例に係る発電システム107aについて図6A図6Bを参照しつつ説明する。なお、図6Aに「A」で示している配管の端は、図6Bに「A」で示している配管の端につながっており、図6Aに「B」で示している配管の端は、図6Bに「B」で示している配管の端につながっている。また、発電システム107aは、流動物生成装置101で発生する可燃性ガス(たとえば水素ガスやメタンガス)をも用いて発電するように構成されている点が、図5で示す発電システム107と異なる。発電システム107aにおけるその他の点は、図5で示す発電システム107と同様に構成されており、発電システム107と同様の効果を奏する。なお、図6A図6Bでは発電機5等を表示している。
【0107】
図6で示す発電システム107aには、タンク151が設けられている。タンク151は、リザーブタンク105の上側に設けられている。タンク151には、図示しない水供給部から水(たとえば水道水)161が適宜供給されるようになっている。タンク151には定水位弁153が設けられており、タンク151内の水位を一定に保つことができるようになっている。定水位弁153からタンク151の外に出た水は、重力により、配管155内を通って、リザーブタンク105内に入るようにんなっている。
【0108】
加水分解槽103の内部とタンク151の内部とは配管157でつながっている。配管157の途中にはバルブ(たとえばソレノイドバルブ)159が設けられており、配管157の流路を開閉できるようになっている。
【0109】
配管157の流路が開いている状態で、加水分解槽103で発生した可燃性ガスが配管157内を通って、タンク151内に入るようになっている。配管157の一方の端は、加水分解槽103の筐体109の上部に接続されている。配管157の他方の端部は、タンク151の上部でタンク151に入り込んでおり配管157内で、下方に向けて延びている。
【0110】
配管157の他方の端は、タンク151の底の近くに位置しており、加水分解槽103で発生した可燃性ガスが配管157内を流れ、配管157の他方の端からタンク151内に放出されるようになっている。配管157の他方の端は、タンク151内の水161内に入っている。
【0111】
これにより、配管157の他方の端からタンク151内に放出された可燃性ガスが、水161内を通って、水161の水面からタンク151内の上部に出てくるようになっている。配管157の他方の端からタンク151内に放出された可燃性ガスが、水161内を通ることで、不純物が除去されるようになっている。
【0112】
タンク151の上部とガス排出ライン51とは配管163でつながっている。これにより、タンク151内の上部の可燃性ガス(水161より上にある可燃性ガス)が、ガスホルダ55に供給され発電機5での発電に使用されるようになっている。これにより、加水分解槽103で発生した可燃性ガスを無駄なく使用して発電をすることができるようになっている。なお、配管163の途中に、配管163の流路を開閉するためのバルブ(たとえばソレノイドバルブ)が設けられていてもよい。
【0113】
次に、発電システム107aの動作について説明する。なお、発電システム107aも、発電システム107と同様に、たとえば、CPUとメモリとを備えて構成されている図示しない制御部の制御の下、発電システム107と同様な動作をするようになっている。
【0114】
初期状態では、粉砕機13で粒状物が生成されており、流動物生成部103の筐体109の投入口が開いており、バルブ113、119、123、127、159が閉じており、ポンプ145が停止している。また、初期状態では、筐体109内は空になっており、リザーブタンク105内が負圧になっている。
【0115】
上記初期状態で、筐体109内に粒状物を投入し、筐体109の投入口を閉じる。続いて、バルブ113を開き筐体109内に蒸気を供給し、筐体109内を昇温昇圧し、この状態を所定の時間維持する。
【0116】
続いて、バルブ113を閉じ、バルブ159を開き、配管157を通してタンク151内に加水分解槽103で発生した可燃性ガスを入れる。また、筐体109内の温度および圧力を下げる。続いて、バルブ159を閉じ、バルブ119を開き、バルブ123を開くことで、流動物を流動物生成部103(筐体109内)からリザーブタンク105内にバキュームにより入れる。
【0117】
続いて、バルブ123を閉じバルブ127を開いて、リザーブタンク105内に水を供給し、加水分解によって発酵原料を得る。続いて、バルブ127を閉じバルブ133を開きポンプ145を稼働させて、発酵原料をリザーブタンク105からメタンガス生成槽11内に入れる。続いて、メタンガス生成槽11でメタンガスを生成し、発電機5で発電をする。また、タンク151内の上部の可燃性ガスをガスホルダ55に供給し発電機5での発電に使用する。
【0118】
ところで、上記記載内容を方法の発明として把握してもよい。
【0119】
すなわち、包装用品で包装されている食物を粒状物に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で得られた粒状物から発酵原料を生成するために、前記粒状物に水分を加えこの水分が加えられた前記粒状物を所定の温度および所定の圧力下で所定の時間処理することで粘度の高い流動物を生成する流動物生成工程と有する流動物生成方法として把握してもよい。
【0120】
また、上記流動物生成方法で生成された流動物を、真空吸引することでタンクの内部に入れ、この内部に入った流動物に水を加えて加水分解することで発酵原料を生成する発酵原料生成工程と、前記発酵原料生成工程で生成された発酵原料からメタンガスを得るメタンガス生成工程とを有するメタン生成方法として把握してもよい。
【0121】
また、上記メタン生成方法で得られたメタンを用いて発電する発電工程を有する発電方法として把握してもよい。また、上記発電方法が、前記粒状物生成工程で流動物を生成するときに発生するメタンガス、前記発酵原料生成工程で発酵原料を生成するときに発生するメタンガスの少なくともいずれかをも用いて発電する発電方法であるとしてもよい。
【0122】
また、包装用品で包装されている食物を粒状物に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で得られた粒状物を、発酵原料を生成するために、所定の温度および所定の圧力下で所定の時間処理する粒状物処理工程と有するメタン発酵原料生成方法(発酵原料生成方法)として把握してもよい。
【0123】
また、上記メタン発酵原料生成方法で得られた発酵原料に前処理を施す前処理工程と、前記前処理工程で得られた前処理済み発酵原料からメタンガス得るメタン生成工程とを有するメタン生成方法として把握してもよい。
【0124】
また、上記メタン生成方法で得られたメタンを用いて発電する発電工程を有し、前記発電工程が、前記粒状物処理工程で発酵原料を生成するときに発生するメタンを用いて発電する発電方法として把握してもよい。
【0125】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 発電システム
3 メタン生成装置
5 発電機
7 メタン発酵原料生成装置
9 前処理槽
11 メタンガス生成槽
13 粉砕機
15 粒状物処理機
89 包装用品
87 食物
101 流動物生成装置
103 流動物生成部
105 タンク(リザーブタンク)
107、107a 発電システム
【要約】
【課題】包装容器に入った未利用食品を未利用食品と包装容器とに分別することなくそのまま用い、メタン発酵によりメタンガスを生成するための発酵原料を得ることができるメタン発酵原料生成装置を提供する。
【解決手段】包装用品89で包装されている食物87を粒状物に粉砕する粉砕機13と、粉砕機13で得られた粒状物を、発酵原料を生成するために、所定の温度および所定の圧力下で処理する粒状物処理機15と有するメタン発酵原料生成装置7である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B