(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料
(51)【国際特許分類】
B41M 5/333 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
B41M5/333 220
(21)【出願番号】P 2022552611
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2021048438
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2020219044
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021014999
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391052574
【氏名又は名称】三光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】石橋 良三
(72)【発明者】
【氏名】木西 良一
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-43005(JP,A)
【文献】特開2020-104274(JP,A)
【文献】特開2020-40287(JP,A)
【文献】特開2019-126933(JP,A)
【文献】特開2020-82406(JP,A)
【文献】特開2020-131452(JP,A)
【文献】特開2018-103469(JP,A)
【文献】特開2019-142056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/28-5/48
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱記録層用の顕色剤であって、
下記一般式(I)で表される化合物、及び、下記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を含むことを特徴とする顕色剤。
【化I】
前記一般式(I)中、
Lは、イミノ基(-NH-)又はオキシ基(-O-)であり、
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルケニル基、フルオロアルキル基、N(R
4)
2基(式中、R
4は、水素原子、フェニル基、ベンジル基、又はC1~C6のアルキル基を表す。)、NHCOR
5基(式中、R
5はC1~C6のアルキル基を表す。)、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、又は、アリールスルホニルアミノ基を表し、
n1、n2及びn3は、それぞれ独立して、0~5のいずれかの整数を表し、
R
1、R
2及びR
3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R
1が複数の場合は、各R
1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
2が複数の場合は、各R
2は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
3が複数の場合は、各R
3は互いに同一でも異なっていてもよい。
(R
0-X)-Y-(Z) ・・・(II)
前記一般式(II)中、
R
0は、C6~C10のアリール基を有するアルキル基、又は、C1~C8のアルキル基、C7~C11のアラルキル基、C6~C10のアリール基、若しくはC1~C8のアルコキシ基の置換基を有していてもよいアリール基を表し、
Xは、YのN末端に結合する基であって、-OCO-、-SO
2NHCO-、-NHCO-、-NHCS-、又は-SO
2-を表し、
Yは、アミノ酸残基又はペプチド残基を表わし、Y基中の、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、又はチロシン残基のOH基は、OR
0基又はOR”基に置換していてもよく、システイン残基のSH基は、SR
0基又はSR”基に置換していてもよく、ヒスチジン残基のNH基は、NR
0基又はNR’基に置換していてもよく、リシン残基又はオルニチン残基のNH
2基は、NHR
0基又はNHR’基に置換していてもよく、R’はアミノ保護基を表し、R”はカルボキシ保護基を表し、
ただし、Yは、シスチン残基以外のアミノ酸残基又はシスチン残基を有さないペプチド残基であり、
Zは、YのC末端に結合する基であって、OH基又はOR”基を表し、
R
0、R’及びR”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
0が複数の場合は、各R
0は互いに同一でも異なっていてもよく、
R’が複数の場合は、各R’は互いに同一でも異なっていてもよく、
R”が複数の場合は、各R”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
0、R’及びR”のうち2つ以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。
【請求項2】
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の含有量が、前記一般式(I)で表される化合物100質量部に対して、1質量部以上である、請求項1に記載の顕色剤。
【請求項3】
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(I-1)で表されるN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物である請求項1又は2に記載の顕色剤。
【化I-1】
前記一般式(I-1)中、
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、C1~C6のアルキル基、C1~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のシクロアルキルオキシ基、C2~C6のアルケニル基、C1~C6のフルオロアルキル基、N(R
4)
2基(式中、R
4は水素原子、フェニル基、ベンジル基、又はC1~C6のアルキル基を表す。)、NHCOR
5基(式中、R
5はC1~C6のアルキル基を表す。)、置換されていてもよいフェニル基、又は置換されていてもよいベンジル基を表し、
n1及びn3は、それぞれ独立して、1~5のいずれかの整数を表し、
n2は、1~4のいずれかの整数を表し、
R
1、R
2及びR
3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R
1が複数の場合は、各R
1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
2が複数の場合は、各R
2は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
3が複数の場合は、各R
3は互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項4】
前記一般式(I-1)で表されるN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物が、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミドである、請求項3に記載の顕色剤。
【請求項5】
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の含有量が、前記一般式(I-1)で表される化合物100質量部に対して、1~500質量部である、請求項3又は4に記載の顕色剤。
【請求項6】
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物である請求項1又は2に記載の顕色剤。
【化I-2】
前記一般式(I-2)中、
R
1及びR
3は、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、又は、アリールスルホニルアミノ基を表し、
n1及びn3は、それぞれ独立して、0~5のいずれかの整数を表し、
R
1及びR
3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R
1が複数の場合は、各R
1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
3が複数の場合は、各R
3は互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項7】
前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物が、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートである、請求項6に記載の顕色剤。
【請求項8】
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の含有量が、前記一般式(I-2)で表される化合物100質量部に対して、1~500質量部である、請求項6又は7に記載の顕色剤。
【請求項9】
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体が、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン又はN-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニンである、請求項1から8のいずれか一項に記載の顕色剤。
【請求項10】
前記一般式(I-1)で表されるN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物が、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミドであり、
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体が、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン又はN-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニンである、
請求項3に記載の顕色剤。
【請求項11】
前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物が、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートであり、
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体が、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン又はN-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニンである、
請求項6に記載の顕色剤。
【請求項12】
支持体上に感熱記録層が設けられた感熱記録材料であって、
前記感熱記録層は、常温で無色又は淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含み、
前記顕色剤が、請求項1から
11のいずれか一項に記載の顕色剤であることを特徴とする感熱記録材料。
【請求項13】
前記支持体が、紙及びフィルムの少なくとも一方である請求項
12に記載の感熱記録材料。
【請求項14】
感熱記録層の形成に用いるための感熱記録層用塗料であって、
常温で無色又は淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含み、
前記顕色剤が、請求項1から
11のいずれか一項に記載の顕色剤であることを特徴とする感熱記録層用塗料。
【請求項15】
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の含有量が、前記一般式(I)で表される化合物100質量部に対して、3質量部以上である、請求項
14に記載の感熱記録層用塗料。
【請求項16】
請求項
12又は
13に記載の感熱記録材料における前記感熱記録層の形成に用いるための感熱記録層用塗料である、請求項
14又は
15に記載の感熱記録層用塗料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
支持体上に感熱記録層が設けられた感熱記録材料は、産業上の様々な分野に用いられる。常温で無色又は淡色の塩基性染料と有機顕色剤とを含み、感熱ヘッド、熱ペン等の熱エネルギー(ジユール熱)を加えることにより発色記録が得るようにした感熱記録層及びそれを含む感熱記録材料は、すでに広く実用化されている。
【0003】
感熱記録材料の感熱記録層によって形成される印字部の要求性能は、例えば、感熱記録層の成分である塩基性染料、顕色剤、増感剤等に影響され、特に、顕色剤の影響が大きい。顕色剤としては、フェノール系化合物、スルホニル尿素化合物など石油化学由来の合成化合物が提案されてきた。その中でもフェノール系化合物が数多く開発され、実用化されている。
【0004】
しかしながら、フェノール系化合物の一部は、内分泌攪乱物質等の疑義が呈されていることから、近年は、その使用が抑制される傾向がある。このため、フェノール系化合物に代わる顕色剤として非フェノール系顕色剤が種々提案されている。
【0005】
例えば、非フェノール顕色剤としては、N-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物(特許文献1)、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート等のフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物(特許文献2)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2014/080615号
【文献】国際公開第2017/111032号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されているN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物、及び、特許文献2に記載されている3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート等のフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物は、印字特性等は良好であるが、耐可塑剤性が低く、可塑剤が共存すると印字部が消失するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、耐可塑剤性に優れた顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の顕色剤は、
感熱記録層用の顕色剤であって、
下記一般式(I)で表される化合物、及び、下記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を含むことを特徴とする。
【化I】
前記一般式(I)中、
Lは、イミノ基(-NH-)又はオキシ基(-O-)であり、
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルケニル基、フルオロアルキル基、N(R
4)
2基(式中、R
4は、水素原子、フェニル基、ベンジル基、又はC1~C6のアルキル基を表す。)、NHCOR
5基(式中、R
5はC1~C6のアルキル基を表す。)、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、又は、アリールスルホニルアミノ基を表し、
n1、n2及びn3は、それぞれ独立して、0~5のいずれかの整数を表し、
R
1、R
2及びR
3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R
1が複数の場合は、各R
1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
2が複数の場合は、各R
2は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
3が複数の場合は、各R
3は互いに同一でも異なっていてもよい。
(R
0-X)-Y-(Z) ・・・(II)
前記一般式(II)中、
R
0は、C6~C10のアリール基を有するアルキル基、又は、C1~C8のアルキル基、C7~C11のアラルキル基、C6~C10のアリール基、若しくはC1~C8のアルコキシ基の置換基を有していてもよいアリール基を表し、
Xは、YのN末端に結合する基であって、-OCO-、-SO
2NHCO-、-NHCO-、-NHCS-、又は-SO
2-を表し、
Yは、アミノ酸残基又はペプチド残基を表わし、Y基中の、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、又はチロシン残基のOH基は、OR
0基又はOR”基に置換していてもよく、システイン残基のSH基は、SR
0基又はSR”基に置換していてもよく、ヒスチジン残基のNH基は、NR
0基又はNR’基に置換していてもよく、リシン残基又はオルニチン残基のNH
2基は、NHR
0基又はNHR’基に置換していてもよく、R’はアミノ保護基を表し、R”はカルボキシ保護基を表し、
ただし、Yは、シスチン残基以外のアミノ酸残基又はシスチン残基を有さないペプチド残基であり、
Zは、YのC末端に結合する基であって、OH基又はOR”基を表し、
R
0、R’及びR”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
0が複数の場合は、各R
0は互いに同一でも異なっていてもよく、
R’が複数の場合は、各R’は互いに同一でも異なっていてもよく、
R”が複数の場合は、各R”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
0、R’及びR”のうち2つ以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0010】
本発明の感熱記録材料は、
支持体上に感熱記録層が設けられた感熱記録材料であって、
前記感熱記録層は、常温で無色又は淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含み、
前記顕色剤が、前記本発明の顕色剤であることを特徴とする。
【0011】
本発明の感熱記録層用塗料は、
感熱記録層の形成に用いるための感熱記録層用塗料であって、
常温で無色又は淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含み、
前記顕色剤が、前記本発明の顕色剤であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐可塑剤性に優れた顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料は、前述のとおり、顕色剤として、前記一般式(I)で表される化合物に対し、前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を併用する。これによれば、例えば、前記一般式(I)で表される化合物の発色濃度、白色度等の、良好な各種の保存特性を低下させずに、耐可塑剤性をさらに向上させることができる。
【0014】
感熱記録材料に求められる性能としては、例えば、種々の環境条件における未印字部の白色度、印字部の発色濃度とその印字部の保存安定性などが挙げられる。
【0015】
印字部の保存安定性は、印字部が熱や高湿度の環境下に置かれた場合の安定性、水が付着した場合の安定性、油類やアルコール類の付着した場合の安定性、又は財布等の革製品に使用される鞣しや合成革やフィルム製品の可塑性を出すのに使用される可塑剤に付着した場合の安定性等、これらの外的要因によって印字部の残存性の性能を意味する。
【0016】
特に、感熱記録材料はPOSレジ用紙に多く使用される。POSレジ用紙は革や合成革製品の財布に長期に保管されることが有り、POSレジ用紙の印字部が可塑剤によって消失するおそれがある。一方、食品ラベルの用途では、使用されるラップ等のフィルム製品が、食品ラベル用紙に直接触れることがあり、フィルム製品の可塑剤によって、食品ラベル用紙の印字部が消失する可能性がある。このように、印字部の耐可塑剤性は、感熱記録材料の保存安定性における最重要項目の一つである。
【0017】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料は、前述のとおり、耐可塑剤性に優れるため、前述のPOSレジ用紙、食品ラベル等の用途にも適しており、さらに、これらに限定されず広範な用途に用いることができる。
【0018】
前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、印字特性、耐熱性、耐湿熱性、耐水性等に優れる。本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料は、前記一般式(I)で表される化合物に対し、前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を併用することで、例えば、前記一般式(I)で表される化合物の優れた印字特性、耐熱性、耐湿熱性、耐水性等を保持したまま、耐可塑剤性をさらに向上させることができる。
【0019】
また、本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、前記一般式(I)で表される化合物が、前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物である場合、前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を併用することで、例えば、耐湿熱性及び耐熱性をさらに向上させることができる。これによれば、例えば、耐湿熱性及び耐熱性の問題により印字部が消失する現象を抑制又は防止できる。
【0020】
本発明において、化合物(例えば、前記一般式(I)で表される化合物、前記一般式(II)で表される化合物等)に互変異性体又は立体異性体(例:幾何異性体、配座異性体及び光学異性体)等の異性体が存在する場合は、特に断らない限り、いずれの異性体も本発明に用いることができる。また、化合物が塩を形成し得る場合は、特に断らない限り、前記塩も本発明に用いることができる。前記塩は、酸付加塩でも良いが、塩基付加塩でも良い。さらに、前記酸付加塩を形成する酸は無機酸でも有機酸でも良く、前記塩基付加塩を形成する塩基は無機塩基でも有機塩基でも良い。前記無機酸としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜フッ素酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、亜フッ素酸、亜塩素酸、亜臭素酸、亜ヨウ素酸、フッ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過フッ素酸、過塩素酸、過臭素酸、及び過ヨウ素酸等が挙げられる。前記有機酸も特に限定されないが、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモベンゼンスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸及び酢酸等が挙げられる。前記無機塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩等が挙げられ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウム等が挙げられる。前記有機塩基も特に限定されないが、例えば、エタノールアミン、トリエチルアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられる。これらの塩の製造方法も特に限定されず、例えば、前記化合物に、前記のような酸や塩基を公知の方法により適宜付加させる等の方法で製造することができる。
【0021】
また、本発明において、鎖状置換基(例えば、アルキル基、不飽和脂肪族炭化水素基等の炭化水素基)は、特に断らない限り、直鎖状でも分枝状でも良く、その炭素数は、特に限定されないが、例えば、1~40、1~32、1~24、1~18、1~12、1~6、又は1~2(不飽和炭化水素基の場合は2以上)であっても良い。また、本発明において、環状の基(例えば、アリール基、ヘテロアリール基等)の環員数(環を構成する原子の数)は、特に限定されないが、例えば、5~32、5~24、6~18、6~12、又は6~10であっても良い。また、置換基等に異性体が存在する場合は、特に断らない限り、どの異性体でも良く、例えば、単に「ナフチル基」という場合は、1-ナフチル基でも2-ナフチル基でも良い。
【0022】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、下記一般式(I-1)で表されるN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物であってもよい。
【0023】
【0024】
前記一般式(I-1)中、
R1、R2及びR3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、C1~C6のアルキル基、C1~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のシクロアルキルオキシ基、C2~C6のアルケニル基、C1~C6のフルオロアルキル基、N(R4)2基(式中、R4は水素原子、フェニル基、ベンジル基、又はC1~C6のアルキル基を表す。)、NHCOR5基(式中、R5はC1~C6のアルキル基を表す。)、置換されていてもよいフェニル基、又は置換されていてもよいベンジル基を表し、
n1及びn3は、それぞれ独立して、1~5のいずれかの整数を表し、
n2は、1~4のいずれかの整数を表し、
R1、R2及びR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R1が複数の場合は、各R1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R2が複数の場合は、各R2は互いに同一でも異なっていてもよく、
R3が複数の場合は、各R3は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0025】
前記一般式(I-1)において、ハロゲン原子としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
【0026】
前記一般式(I-1)において、C1~C6のアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。
【0027】
前記一般式(I-1)において、C1~C6のシクロアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、2-メチルシクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のシクロアルキル基を挙げることができる。
【0028】
前記一般式(I-1)において、C1~C6のアルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシル基を挙げることができる。
【0029】
前記一般式(I-1)において、C1~C6のシクロアルキルオキシ基としては、特に限定されないが、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、2-メチルシクロプロピルオキシ基、シクロプロピルメチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の環状のアルコキシル基を挙げることができる。
【0030】
前記一般式(I-1)において、C2~C6のアルケニル基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタンジエニル基、又は2-メチル-2-プロペニル基等を挙げることができる。
【0031】
前記一般式(I-1)において、C1~C6のフルオロアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0032】
前記一般式(I-1)中、N(R4)2基としては、特に限定されないが、例えば、R4が水素原子、フェニル基、ベンジル基、又はC1~C6アルキル基等のアミノ基を挙げることができる。
【0033】
前記一般式(I-1)中、NHCOR5基としては、特に限定されないが、例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノカルボニルアミノ基、ブチルカルボニルアミノカルボニルアミノ基、イソブチルカルボニルアミノカルボニルアミノ基、sec-ブチルカルボニルアミノ基、t-ブチルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、イソペンチルカルボニルアミノ基、ネオペンチルカルボニルアミノ基、ヘキシルカルボニルアミノ基、イソヘキシルカルボニルアミノ基、シクロプロピルカルボニルアミノ基、シクロブチルカルボニルアミノ基、2-メチルシクロプロピルカルボニルアミノ基、シクロプロピルメチルカルボニルアミノ基、シクロペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基等を挙げることができる。
【0034】
前記一般式(I-1)中、置換されていてもよいフェニル基及び置換されていてもよいベンジル基の置換基としては、上記のC1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のシクロアルキルオキシ基、C2~C6のアルケニル基、C1~C6のフルオロアルキル基、N(R4)2基(式中、R4は水素原子、フェニル基、ベンジル基、又はC1~C6のアルキル基を表す。)、NHCOR5基等を挙げることができる。
【0035】
前記一般式(I-1)で表されるN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物としては、特に限定されないが、例えば、4-メチル-N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
【0036】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、下記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物であってもよい。
【0037】
【0038】
前記一般式(I-2)中、
R1及びR3は、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、又は、アリールスルホニルアミノ基を表し、
n1及びn3は、それぞれ独立して、0~5のいずれかの整数を表し、
R1及びR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R1が複数の場合は、各R1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R3が複数の場合は、各R3は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0039】
前記一般式(I-2)において、R1及びR3のアルキル基としては、C1~C6のアルキル基が好ましい。C1~C6のアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が挙げられる。特に、メチル基が好ましい。
【0040】
前記一般式(I-2)において、R1及びR3のシクロアルキル基としては、C1~C6のシクロアルキル基が好ましい。C1~C6のシクロアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、2-メチルシクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0041】
前記一般式(I-2)において、R1及びR3のアルコキシ基としては、C1~C6のアルコキシ基が好ましい。C1~C6のアルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を挙げることができる。
【0042】
前記一般式(I-2)において、R1及びR3のシクロアルキルオキシ基としては、C1~C6のシクロアルキルオキシ基が好ましい。C1~C6のシクロアルキルオキシ基としては、特に限定されないが、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、2-メチルシクロプロピルオキシ基、シクロプロピルメチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の環状のシクロアルキルオキシ基を挙げることができる。
【0043】
前記一般式(I-2)において、R1及びR3のアリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールカルボニルアミノ基、又は、アリールスルホニルアミノ基のアリール基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基又はナフチル基が挙げられる。ナフチル基としては、1-ナフチル基又は2-ナフチル基が挙げられる。
【0044】
前記一般式(I-2)において、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、又は、アルキルスルホニルアミノ基のアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、前述のC1~C6のアルキル基が好ましく、特に、メチル基が好ましい。
【0045】
前記一般式(I-2)において、n1は0又は1が好ましく、1がより好ましい。n3は、0又は1が好ましく、0がより好ましい。n1が1のとき、R1の置換位置はオルト位又はパラ位が好ましく、パラ位がより好ましい。n3が1のとき、R2の置換位置はオルト位又はパラ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0046】
前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物としては、特に限定されないが、例えば、以下に例示する化合物が挙げられる。
【0047】
[前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物の例(1)]
3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-ベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-ベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-ベンゼンスルホナート
【0048】
[前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物の例(2)]
3-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、4-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、2-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、3-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、4-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、2-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、3-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、4-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、2-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、3-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-ベンゼンスルホナート、4-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-ベンゼンスルホナート、2-[3-(4-メチルフェニルウレイド)]フェニル-ベンゼンスルホナート
【0049】
[前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物の例(3)]
3-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、4-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、2-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、3-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、4-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、2-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、3-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、4-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、2-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、3-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-ベンゼンスルホナート、4-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-ベンゼンスルホナート、2-[3-(2-メチルフェニルウレイド)]フェニル-ベンゼンスルホナート
【0050】
[前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物の例(4)]
3-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、4-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、2-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、3-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、4-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、2-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-2-メチルベンゼンスルホナート、3-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、4-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、2-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-3-メチルベンゼンスルホナート、3-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-ベンゼンスルホナート、4-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-ベンゼンスルホナート、2-[3-(3-メチルフェニルウレイド)]フェニル-ベンゼンスルホナート
【0051】
[前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物の例(5)]
3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-プロピルオキシベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-プロピルオキシベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-プロピルオキシベンゼンスルホナート、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-フェニルオキシベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-フェニルオキシベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-フェニルオキシベンゼンスルホナート、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-エチルカルボニルオキシベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-エチルカルボニルオキシベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-エチルカルボニルオキシベンゼンスルホナート、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-エチルカルボニルアミノベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-エチルカルボニルアミノベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-エチルカルボニルアミノベンゼンスルホナート
【0052】
[前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物の例(6)]
3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-フェニルカルボニルアミノベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-フェニルカルボニルアミノベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-フェニルカルボニルアミノベンゼンスルホナート、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-(2-プロピルスルホニルアミノ)ベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-(2-プロピルスルホニルアミノ)ベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-(2-プロピルスルホニルアミノ)ベンゼンスルホナート、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-フェニルスルホニルアミノベンゼンスルホナート、4-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-フェニルスルホニルアミノベンゼンスルホナート、2-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-フェニルスルホニルアミノベンゼンスルホナート
【0053】
以下、本明細書において、前記一般式(I)で表される化合物を、「顕色剤(B)」ということがある。前記一般式(I)で表される顕色剤(B)としては、前述のとおり、例えば、前記一般式(I-1)で表されるN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物、及び、前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物が挙げられる。
【0054】
本発明の感熱記録層用塗料、又は、本発明の感熱記録材料における前記感熱記録層において、前記顕色剤(B)の含有量は、特に限定されないが、発色濃度の観点から、感熱記録層の塩基性染料100質量部に対して、30~800質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましく、100~400質量部がさらに好ましい。
【0055】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、前記顕色剤は、前述のとおり、下記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を含む。
(R0-X)-Y-(Z) ・・・(II)
【0056】
前記一般式(II)中、R0は、前述のとおり、C6~C10のアリール基を有するアルキル基、又は、C1~C8のアルキル基、C7~C11のアラルキル基、C6~C10のアリール基、若しくはC1~C8のアルコキシ基の置換基を有していてもよいアリール基を表す。C6~C10のアリール基を有するアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、o-トリルメチル基、m-トリルメチル基、p-トリルメチル基、o-トリルエチル基、m-トリルエチル基、p-トリルエチル基等が挙げられる。C1~C8のアルキル基の置換基を有してもよいアリール基としては、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、1-エチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、1-プロピルフェニル基、2-プロピルフェニル基、3-プロピルフェニル基、1-ブチルフェニル基、2-ブチルフェニル基、3-ブチルフェニル基、1-ペンチルフェニル基、2-ペンチルフェニル基、3-ペンチルフェニル基などが挙げられる。C7~C11のアラルキル基の置換基を有していてもよいアリール基としては、p-ベンジルビフェニル基などが挙げられる。C6~C10のアリール基の置換基を有していてもよいアリール基としては、ビフェニル基、3,3’-ジメチルビフェニル基などが挙げられる。C1~C8のアルコキシ基の置換基を有していてもよいアリール基としては、6-メトキシフェニル基などが挙げられる。
【0057】
前記一般式(II)中、Xは、YのN末端に結合する基であって、前述のとおり、-OCO-、-SO2NHCO-、-NHCO-、-NHCS-、又は-SO2-(スルホニル基)を表わす。
【0058】
前記一般式(II)中、Yは、前述のとおり、アミノ酸残基又はペプチド残基を表わし、Y基中の、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、又はチロシン残基のOH基は、OR0基又はOR”基に置換していてもよく、システイン残基のSH基は、SR0基又はSR”基に置換していてもよく、ヒスチジン残基のNH基は、NR0基又はNR’基に置換していてもよく、リシン残基又はオルニチン残基のNH2基は、NHR0基又はNHR’基に置換していてもよく、R’はアミノ保護基を表し、R”はカルボキシ保護基を表す。Y基中のヒスチジン残基のNH基、又は、リシン残基若しくはオルニチン残基のNH2基を保護するアミノ保護基(R’基)としては、例えば、R0X基が挙げられ、この他に、アシル基、アルキル基が挙げられる。Y基中のアスパラギン酸残基又はグルタミン酸残基を保護するカルボキシ保護基(R”基)として、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基などが挙げられる。また、Y基中のセリン残基、スレオニン残基、若しくはチロシン残基のOH基、又はシステイン残基のSH基の保護基として、前記カルボキシ保護基(R”基)が挙げられる。
【0059】
ただし、Yは、前述のとおり、シスチン残基以外のアミノ酸残基又はシスチン残基を有さないペプチド残基である。
【0060】
前記一般式(II)中、Zは、前述のとおり、YのC末端に結合する基であって、OH基又はOR”基を表す。
【0061】
前記一般式(II)中において、前述のとおり、
R0、R’及びR”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R0が複数の場合は、各R0は互いに同一でも異なっていてもよく、
R’が複数の場合は、各R’は互いに同一でも異なっていてもよく、
R”が複数の場合は、各R”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R0、R’及びR”のうち2つ以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0062】
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ショッテンバウマン反応などの公知の方法を適用することによりアミノ酸又はアミノ酸誘導体とスルホン酸塩化物やイソシアネート化合物などから容易に製造することができる。
【0063】
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の構成成分として利用されるアミノ酸、ペプチド及びこれらのエステル、アミドは、特に限定されず、例えば、L-体であってもよく、D-体であってもよく、DL-体であってもよい。前記アミノ酸は、例えば、天然アミノ酸であってもよく、非天然アミノ酸であってもよく、α-アミノ酸であってもよく、β-アミノ酸であってもよい。前記エステルは、特に限定されないが、例えば、C1~C4のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステル等が挙げられる。前記アミドは、特に限定されないが、例えば、アミド、アルキル置換アミド、アリール置換アミドなどである。
【0064】
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の構成成分として利用されるアミノ酸、ペプチド及びこれらのエステル、アミドは、具体的には、例えば、グリシン、グリシンメチルエステル、グリシンエチルエステル、グリシン-tert-ブチルエステル、グリシンフェニルエステル、グリシンp-クレジルエステル、グリシンm-クレジルエステル、グリシンベンジルエステルなどのエステル誘導体、グリシンアミド、N’-メチルグリシンアミド、グリシルアニリドなどのアミド誘導体、フェニルグリシン、フェニルグリシンメチルエステル、フェニルグリシンエチルエステル、フェニルグリシンベンジルエステルなどのエステル誘導体、フェニルグリシンアミド、アラニン、アラニンメチルエステル、アラニンエチルエステル、アラニンベンジルエステルなどのエステル誘導体、アラニンアミド、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、フェニルアラニンメチルエステル、フェニルアラニンエチルエステル、フェニルアラニンベンジルエステルなどのエステル誘導体、フェニルアラニンアミド、N’-メチルフェニルアラニンアミド、フェニルアラニルアニリドなどのアミド誘導体、バリン、バリンメチルエステル、バリンメチルエステル、バリンイソプロピルエステル、バリン-tert-ブチルエステル、バリンベンジルエステルなどのエステル誘導体、バリンアミド、ロイシン、ロイシンメチルエステル、イソロイシン、セリン、o-メチルセリン、o-ベンジルセリンなどのo-置換セリン、セリンメチルエステル、セリンベンジルエステルなどのエステル誘導体、スレオニン、o-メチルスレオニン、o-ベンジルスレオニンなどのo-置換スレオニン、スレオニンメチルエステル、スレオニン-tert-ブチルエステルなどのエステル誘導体、チロシン、o-メトキシチロシン、o-ベンジルオキシチロシン、チロシンなどのo-置換チロシン、3-(3’,4’-ジヒドロキシフェニル)アラニン(DOPA)、チロシンメチルエステル、チロシンベンジルエステルなどのエステル誘導体、チロシンアミド、プロリン、ヒドロキシプロリン、プロリンメチルエステル、プロリン-tert-ブチルエステル、プロリンベンジルエステルなどのエステル誘導体、プロリンアミド、リシン、オルニチン、リシンメチルエステル、リシンエチルエステル、リシンベンジルエステル、オルニチンメチルエステル、オルニチンエチルエステル、オルニチンベンジルエステルなどのエステル誘導体、アルギニン、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、ヒスチジン、ヒスチジンメチルエステル、トリプトファン、トリプトファンメチルエステル、トリプトファンベンジルエステル、トリプトファンアミド、システイン、シスチン、S-メチルシステイン、S-エチルシステイン、S-ベンジルシステイン、S-フェニルシステインなどのS-置換システイン、システインメチルエステル、システインベンジルエステルなどのエステル誘導体及びシステインスルホキシドとスルホンなどのS-酸化誘導体、メチオニン、メチオニンスルホキシド、メチオニンスルホンなどのS-酸化誘導体、メチオニンメチルエステル、メチオニンベンジルエステルなどのエステル誘導体、メチオニンアミド、アスパラギン酸、アスパラギン酸メチルエステル、アスパラギン酸エチルエステル、アスパラギン酸ベンジルエステルなどのエステル誘導体、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン酸メチルエステル、グルタミン酸エチルエステル、グルタミン酸ベンジルエステルなどのエステル誘導体、グルタミンが挙げられる。更に、ホモセリン、ホモシステイン、ノルロイシンなどのアミノ酸及びその誘導体であってもよい。また、β-アラニン、5-アミノバレリン酸、7-アミノヘプタン酸などC1~C8のアミノカルボン酸なども選ばれる。
【0065】
前記ペプチドは、特に限定されないが、例えば、グリシルグリシン、グリシルグリシンメチルエステル、グリシルグリシンアミド、グリシルアラニン、グリシルアラニンメチルエステル、グリシルバリン、グリシルロイシン、グリシルフェニルアラニン、グリシルフェニルアラニンメチルエステル、グリシルフェニルアラニンアミド、グリシルプロリン、アラニルアラニン、アラニルプロリン、アラニルメチオニン、アラニルメチオニンメチルエステル、アラニルフェニルアラニン、グリシルグリシルグリシンなどが挙げられる。
【0066】
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体は、例えば、アミノ基が保護されたアミノ酸、ペプチド又はそれらの誘導体である。その保護基は、特に限定されないが、例えば、アミノ酸化学又はペプチド合成化学の分野で数多く一般的に利用されている保護基であってもよい。
【0067】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の、N-置換基により形成される官能基(-XNH-基)としては、特に限定されないが、例えば、スルホニルアミノ基、ウレタン基、(チオ)尿素基(ウレイッド)、スルホニル尿素基が挙げられる。これらの官能基は、例えば、スルホニルアミノ基は塩化アリールスルホニルから誘導される。ウレタン基はクロロギ酸ベンジルエステルなどのクロロギ酸エステルあるいは炭酸ジフェニルなどの炭酸エステルなどから誘導される。(チオ)尿素基は、イソ(チオ)シアン酸フェニルなどのイソ(チオ)シアン酸エステルから誘導される。スルホニル尿素はトルエンスルホニルイソシアネートなどのスルホニル尿素から誘導される。
【0068】
スルホニルアミノ基を形成する化合物(X1)としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、塩化ベンゼンスルホニル、塩化p-トルエンスルホニル、塩化m-トルエンスルホニル、塩化o-トルエンスルホニル、塩化p-メトキシベンゼンスルホニル、塩化p-キシレンスルホニル、塩化m-キシレンスルホニル、塩化メシチレンスルホニル、塩化1-ナフタレンスルホニル、塩化2-ナフタレンスルホニルなどの塩化物及び臭化物、ヨウ化物などがあげられる。
【0069】
ウレタン基を形成する化合物(X2)としては、特に限定されないが、例えば、クロロギ酸ベンジルエステル、クロロギ酸フェニルエステルなどのハロゲン化ギ酸エステル、炭酸ジフェニル、炭酸ジベンジルなどの炭酸エステルなどが挙げられる。
【0070】
(チオ)尿素基を形成する化合物(X3)としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p-トリルイソシアネート、m-トリルイソシアネート、o-トリルイソシアネート、1-ナフチルイソシアネート、2-ナフチルイソシアネート、フェニレン1,4-ジイソシアネート(1,4-フェニレン-ジイソシアネート)、フェニレン1,3-ジイソシアネート(1,3-フェニレン-ジイソシアネート)、トリレン2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、ナフタレン1,5-ジイソシアネ-ト(1,5-ナフタレンジイル-ジイソシアネ-ト)、4,4’-ジイソシアナート-3,3’-ジメチルビフェニル、メチレンジフェニル-4,4‘-ジイソシアナート、4,4’-ジイソシアナート-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、フェニルイソチオシアネート、m-トリルイソチオシアネート、p-トリルイソチオシアネートなどが挙げられる。
【0071】
スルホニル尿素基を形成する化合物(X4)としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼンスルホニルイソシアネート、p-トルエンスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
【0072】
前記一般式(II)で、スルホニルアミノ基を形成する化合物(X1)を使用して得られるN-置換アミノ酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、N-ベンゼンスルホニル-グリシン、N-ベンゼンスルホニル-グリシンメチルエステル、N-ベンゼンスルホニル-グリシンアミド、N-ベンゼンスルホニル-メチオニンメチルエステル、N-ベンゼンスルホニル-システイン-S-ベンジル、N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、N-(p-トルエンスルホニル)-フェニルアラニン、N-(p-トルエンスルホニル)-フェニルアラニンメチルエステル、N-(p-トルエンスルホニル)-フェニルアラニンベンジルエステル、N-(p-トルエンスルホニル)-メチオニン、N-(p-トルエンスルホニル)-メチオニンベンジルエステル、N-(m-トルエンスルホニル)-イソロイシン、3-N-(o-トルエンスルホニル)アミノカプロン酸、N-(2,4-キシレンスルホニル)-アラニン、N-(2,4,6-メシチレンスルホニル)-セリン、N-(p-エチルベンゼンスルホニル)-スレオニン、N、N’-ジ(p-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-リシン、N、N’-ジ(p-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-オルニチン、N-(1-ナフタレンスルホニル)-トリプトファン、N-2-ナフタレンスルホニル-アスパラギンなどのN-アリールスルホニル-アミノ酸、エステル及びアミド、N-ベンジルスルホニル-バリン、N-ベンジルスルホニル-チロシン、N-ベンジルスルホニル-フェニルグリシンなどのN-アラルキルスルホニル-アミノ酸、エステル及びアミド等が挙げられる。
【0073】
前記一般式(II)で、尿素基を形成する化合物(X3)を使用して得られるN-置換アミノ酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、N-フェニルアミノカルボニル-グリシン-メチルエステル、N-フェニルアミノカルボニル-グリシンベンジルエステル、N-フェニルアミノカルボニル-グリシンアミド、N-フェニルアミノカルボニル-アラニン、N-フェニルアミノカルボニル-アラニン-メチルエステル、N-フェニルアミノカルボニル-β-アラニン、N-フェニルアミノカルボニル-メチオニン、N-フェニルアミノカルボニル-メチオニン-メチルエステル、N-フェニルアミノカルボニル-グルタミン、N,N’-ジ(フェニルアミノカルボニル)-リシン、N,N’-ジ(フェニルアミノカルボニル)-オルニチン、N-フェニルアミノカルボニル-フェニルアラニン、N-フェニルアミノカルボニル-ノルバリン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-グリシン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-アラニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-バリン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-グルタミン酸、N-(p-トリルアミノカルボニル)-グルタミン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-グリシン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-グリシルグリシン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-グリシルグリシルグリシン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-グリシルアラニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-ロイシルアラニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン-スルホン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-バリン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン-メチルエステル、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-バリン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン、N-(3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジル)アミノカルボニル-メチオニン、及びN-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシンからなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが良好である。
【0074】
尿素基を形成する化合物(X3)を使用して得られるN-置換アミノ酸誘導体としては、他には、例えば、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン-メチルエステル、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン-エチルエステル、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン-ベンジルエステル、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン-メチルエステル、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン-エチルエステル、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン-ベンジルエステル、N-(m-トリルアミノカルボニル)-β-フェニルアラニンアミド、N,N’-ジ(m-トリルアミノカルボニル)-リシン、N,N’-ジ(m-トリルアミノカルボニル)-リシン-メチルエステル、N,N’-ジ(m-トリルアミノカルボニル)-オルニチン、N,N’-ジ(m-トリルアミノカルボニル)-オルニチン-メチルエステル、N-(m-トリルアミノカルボニル)-グルタミン酸、N-(o-トリルアミノカルボニル)-アラニン、N-(o-トリルアミノカルボニル)-ホモセリン、N-(o-トリルアミノカルボニル)-バリン、1,6-ヘキサメチレンビス(N-アミノカルボニル-フェニルアラニン)、2,4-フェニレンビス(N-アミノカルボニルーフェニルアラニン)、1,3-トリレンビス(N-アミノカルボニル-フェニルグリシン)等が挙げられる。
【0075】
前記一般式(II)で、チオ尿素基を形成する化合物(X3)を使用して得られるN-置換アミノ酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、N-フェニルアミノチオカルボニル-フェニルアラニン、N-フェニルアミノチオカルボニル-フェニルアラニン-メチルエステル、N-フェニルアミノチオカルボニル-バリン-イソプロピルエステル、N-フェニルアミノチオカルボニル-チロシン-メチルエステル、N-フェニルアミノチオカルボニル-メチオニン-メチルエステル、N-フェニルアミノチオカルボニル-グリシルグリシン、N-フェニルアミノチオカルボニル-グリシルアラニン、N-m-トリルアミノチオカルボニル-フェニルアラニン、N-m-トリルアミノチオカルボニル-フェニルアラニン-ベンジルエステル、N-m-トリルアミノチオカルボニル-フェニルアラニンアミド、N-m-トリルアミノチオカルボニル-バリン、N-m-トリルアミノチオカルボニル-バリン-イソプロピルエステル、N-m-トリルアミノチオカルボニル-メチオニン-メチルエステル、N-m-トリルアミノチオカルボニル-グリシルグリシン、N-p-トリルアミノチオカルボニル-フェニルアラニン、N-p-トリルアミノチオカルボニル-フェニルアラニン-ベンジルエステル、N-p-トリルアミノチオカルボニル-フェニルアラニンアミド、N-p-トリルアミノチオカルボニル-バリン、N-p-トリルアミノチオカルボニル-バリン-イソプロピルエステル、N-p-トリルアミノチオカルボニル-メチオニン-メチルエステル、N-p-トリルアミノチオカルボニル-グリシルグリシン等が挙げられる。
【0076】
前記一般式(II)で、ウレタン基を形成する化合物(X2)を使用して得られるN-置換アミノ酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、N-ベンジルオキシカルボニル-グリシン、N-ベンジルオキシカルボニル-フェニルグリシン、N-ベンジルオキシカルボニル-バリン、N-ベンジルオキシカルボニル-メチオニン、N-ベンジルオキシカルボニル-チロシン、N-ベンジルオキシカルボニル-ヒドロキシプロリン、N-ベンジルオキシカルボニル-アルギニン、N-ベンジルオキシカルボニル-グリシン等が挙げられる。
【0077】
前記一般式(II)で、で、スルホニル尿素基を形成する化合物(X4)を使用して得られるN-置換アミノ酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、N-(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-グリシン、N-(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン-メチルエステル、N-(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン-エチルエステル、N-(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-フェニルアラニンアミド、N-(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-β-アラニン、N-(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-β-アラニン-メチルエステル、N-(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-メチオニン-メチルエステル、N-(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-ロイシン、N,N’-ジ(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-リシン-メチルエステル、N,N’-ジ(p-トルエンスルホニルアミノカルボニル)-オルニチン-メチルエステル等が挙げられる。
【0078】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の、Y基中のヒスチジン残基のNH基、又は、リシン残基若しくはオルニチン残基のNH2基を保護するアミノ保護基(R’基)として、R0X基が挙げられ、この他に、アシル基、アルキル基が挙げられる。これらのアミノ保護基(R’基)は、公知の方法により導入することができる。例えば、アシル基は酸無水物を用いて導入することができる。アルキル基は、例えば、アミン等の存在下で塩化トリチル等のハロゲン化アルキルにより導入することができる。
【0079】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の、Y基中のアスパラギン酸残基又はグルタミン酸残基を保護するカルボキシ保護基(R”基)として、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基などが挙げられる。また、Y基中のセリン残基、スレオニン残基、若しくはチロシン残基のOH基、又はシステイン残基のSH基の保護基として、前記カルボキシ保護基(R”基)が挙げられる。これらのカルボキシ保護基(R”基)は、公知の方法により導入することができる。
【0080】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、前記一般式(II)で表される顕色剤として好ましいN-置換アミノ酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニンなどのN-アリルスルホニル-アミノ酸、N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、N-フェニルアミノカルボニル-バリン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシンなどのN-アミノカルボニル-アミノ酸であり、特に好ましくは、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-バリン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルグリシン及びN-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシンを挙げることができる。
【0081】
前記一般式(II)において、ZについてはOH基であることが好ましく、Xが-NHCO-基であることが好ましく、具体的は、N-置換アミノ酸誘導体がN-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-バリン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルグリシン及びN-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシンからなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが良好である。
【0082】
また、前記一般式(II)で表される顕色剤として、これらN-置換アミノ酸誘導体は、1種類のみ用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。
【0083】
本発明で使用する、前記一般式(II)で表されるN-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン等のN-置換アミノ酸誘導体は、本願発明者らが食品でもあるアミノ酸を感熱記録材料に使用できないか、との観点から検討して、顕色剤としての利用が可能であることを見出したものである。アミノ酸は、塩基性のアミノ基と酸性のカルボキシ基が同一分子内に共存し分子内中和している為、塩基性染料と接触しても呈色しない。
【0084】
本発明者等は、感熱記録材料の顕色剤としての要求性能や顕色能に寄与する官能基をアミノ酸のアミノ基の保護基として導入することにより、分子内中和が解消し、更にアミノ酸の顕色能が強く発現し、特に天然アミノ酸を原料とするN-置換アミノ酸誘導体を顕色剤とする感熱記録材料に関する発明を提案している(特許6726048号公報)。前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体は、特許6726048号公報に記載された顕色剤である。
【0085】
以下、本明細書において、前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を、顕色剤(C)ということがある。
【0086】
本発明の感熱記録層用塗料、又は本発明の感熱記録材料の前記感熱記録層において、前記顕色剤(C)の含有量は、発色濃度及び耐可塑剤性の観点から、感熱記録層の塩基性染料100質量部に対して、5~400質量部が好ましく、8~300質量部がより好ましく、10~200質量部がより好ましい。
【0087】
本発明の顕色剤、本発明の感熱記録層用塗料、又は本発明の感熱記録材料の前記感熱記録層において、前記顕色剤(C)の含有量は、特に限定されないが、耐可塑剤性の観点から、前記顕色剤(B)100質量部に対して、例えば、1質量部以上であってもよく、3質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、さらに5質量部以上が好ましく、10質量部以上が好ましく、14質量部以上が好ましく、20質量部以上が好ましく、30質量部以上が好ましく、40質量部以上が好ましく、60質量部以上が好ましく、80質量部以上が好ましい。前記顕色剤(B)が前記一般式(I-1)で表される場合においても、前記顕色剤(B)が前記一般式(I-2)で表される場合においても、それぞれ同様である。
【0088】
本発明の顕色剤、本発明の感熱記録層用塗料、又は本発明の感熱記録材料の前記感熱記録層において、前記顕色剤(B)100質量部に対する前記顕色剤(C)の含有量の上限値は、特に限定されないが、耐可塑剤性の効果が得られる範囲内での適正量とするのが好ましい。具体的には、例えば、500質量部以下であってもよく、450質量部以下であってもよく、300質量部以下であってもよく、200質量部以下であってもよく、100質量部以下であってもよい。前記顕色剤(B)が前記一般式(I-1)で表される場合においても、前記顕色剤(B)が前記一般式(I-2)で表される場合においても、それぞれ同様である。
【0089】
本発明の感熱記録層用塗料、又は本発明の感熱記録材料の前記感熱記録層において、前記顕色剤(B)及び前記顕色剤(C)の合計含有量は、特に限定されないが、発色濃度の観点から、感熱記録層の塩基性染料100質量部に対して、例えば、1~500質量部、5~300質量部、10~200質量部、10~100質量部、14~100質量部、又は30~100質量部が好ましく、また、例えば、35~500質量部が好ましく、40~400質量部がより好ましく、60~300質量部がより好ましい。前記顕色剤(B)が前記一般式(I-1)で表される場合においても、前記顕色剤(B)が前記一般式(I-2)で表される場合においても、それぞれ同様である。
【0090】
本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、前記顕色剤(B)及び前記顕色剤(C)は、本発明の効果を阻害することのない範囲で、前記顕色剤(B)及び前記顕色剤(C)以外の他の顕色剤と併用してもよい。前記他の顕色剤は、特に限定されないが、例えば、公知又は既存の任意の顕色剤であってもよい。前記他の顕色剤を用いる場合は、前記他の顕色剤は、1種類のみ用いてもよいし2種類以上併用してもよい。
【0091】
本発明の感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、常温で無色又は淡色の塩基性染料は、特に限定されないが、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、スピロ系、フルオレン系、チアジン系化合物等が挙げられる。前記常温で無色又は淡色の塩基性染料は、例えば、従来公知のロイコ染料から選ぶことができる。前記常温で無色又は淡色の塩基性染料は、常温で固体である無色又は淡色の塩基性染料が好ましく、融点が60℃以上である無色又は淡色の塩基性染料が、より好ましい。
【0092】
なお、本発明において、「常温」は、例えば、室温であってもよい。本発明において、「常温」又は「室温」は、例えば、-10℃以上、-5℃以上、0℃以上、5℃以上、又は10℃以上であってもよく、例えば、60℃以下、55℃以下、50℃以下、45℃以下、40℃以下、35℃以下、又は30℃以下であってもよい。すなわち、本発明において、前記「常温で無色又は淡色の塩基性染料」は、例えば、前記「常温」又は「室温」の温度範囲(例えば、-10℃~60℃又は10℃~30℃等の温度範囲)で無色又は淡色の塩基性染料であってもよい。また、本発明において、前記「常温で固体である無色又は淡色の塩基性染料」は、例えば、前記「常温」又は「室温」の温度範囲(例えば、-10℃~60℃又は10℃~30℃等の温度範囲)で固体である無色又は淡色の塩基性染料であってもよい。
【0093】
また、本発明において、「常温で無色又は淡色の塩基性染料」は、加熱により発色することで感熱記録材料の感熱記録層に使用可能な塩基性染料であればよい。そのような塩基性染料は、特に限定されないが、例えば、感熱記録材料の感熱記録層に使用されている一般的な塩基性染料でもよいし、例えば、前述のとおり、従来公知の塩基性染料であってもよい。その具体例も、特に限定されないが、例えば、前述のとおりである。本発明において、「淡色」は特に限定されないが、例えば、淡い黄色、淡い青色等であってもよい。
【0094】
本発明の感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、常温で無色又は淡色の塩基性染料の具体例は、例えば、以下のとおりである。ただし、本発明の感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、常温で無色又は淡色の塩基性染料は、下記の具体例のみには限定されない。また、本発明の感熱記録材料及び感熱記録層用塗料において、常温で無色又は淡色の塩基性染料は、1種類のみ用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0095】
[常温で無色又は淡色の塩基性染料の具体例(1)]
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3,3-ビス(P-メチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノベンゾ[α]フルオラン、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-n-ヘキシルオキシフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3-(2-メチル-1-n-オクチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、3-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン
【0096】
[常温で無色又は淡色の塩基性染料の具体例(2)]
3-(N-エチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-[N-(3-エトキシプロピル)-N-エチルアミノ]6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-n-ヘキシル-N-エチルアミノ)-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-2-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2,2-ビス{4-[6’-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-3’-メチルスピロ[フタリド-3,9’-キサンテン]-2’-イルアミノ]フェニル}プロパン及び3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン
【0097】
[常温で無色又は淡色の塩基性染料の具体例(3)]
3,6-ジメトキシフルオラン、3-ピロリジノ-6-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7,8-ジベンゾフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,7-ジメチルフルオラン、3-(N-メチル-p-トルイジノ)-7-メチルフルオラン、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7,8-ベンゾフルオラン、3,3’-ビス(1-n-アミル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7-フェノキシフルオラン、3,3’-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-7-(N-フェニル-N-メチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-ジベンジルアミノフルオラン
【0098】
本発明の感熱記録材料における前記感熱記録層及び本発明の感熱記録層用塗料は、前述のとおり、常温で無色又は淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含むが、これら以外の任意成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0099】
前記任意成分としては、例えば、増感剤が挙げられる。前記増感剤としては、特に限定されないが、例えば、従来公知の増感剤を併用することができる。前記増感剤としては、具体的には、例えば、ステアリン酸アミド、ビスステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド、p-トルエンスルホンアミド、ステアリン酸、ベヘン酸やパルミチン酸などのカルシウム、亜鉛あるいはアルミニウムなどの脂肪酸金属塩、p-ベンジルビフェニル、ジフェニルスルホン、ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2-ベンジルオキシナフタレン、1,2-ビス(p-トリルオキシ)エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,3-ビス(フェノキシ)プロパン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸p-メチルベンジル、m-ターフェニル、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸などが挙げられる。
【0100】
前記任意成分としては、例えば、保存安定剤が挙げられる。前記保存安定剤としては、特に限定されないが、例えば、従来公知の保存安定剤を併用することができる。前記保存安定剤としては、具体的には、例えば、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4、6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチルm-クレゾール)、1,1、3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1、3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、トリス(2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-チオビス(3-メチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸グリシジル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウム塩又は多価金属塩、ビス(4-エチレンイミンカルボニルアミノフェニル)メタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン及び、下記式(3)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。これらの保存安定剤は、感熱記録材料の印字部の保存安定性に寄与する。
【0101】
【0102】
保存安定剤を用いるとき、前記保存安定剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、前記顕色剤(B)及び前記顕色剤(C)の合計含有量100質量部に対して2.5~100質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましい。
【0103】
前記任意成分としては、例えば、助剤が挙げられる。前記助剤としては、特に限定されないが、例えば、ジオクチオルコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、グリオキザール、ホウ酸、ジアルデヒドスターチ、メチロール尿素、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料、蛍光染料、及び顔料等が挙げられる。
【0104】
本発明の感熱記録材料における前記感熱記録層及び本発明の感熱記録層用塗料に使用される前記任意成分としては、例えば、バインダーが挙げられる。前記バインダーとしては、特に限定されないが、例えば、重合度200~1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレンーブタジエン共重合体ならびにエチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラールポリスチロール及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クロマン樹脂などが挙げられる。これらのバインダーは単独又は2種以上を使用でき、溶剤に溶解して使用するほか、水又は他の媒体中に乳化あるいはペースト状に分散した状態で使用することもできる。
【0105】
本発明の感熱記録材料における前記感熱記録層及び本発明の感熱記録層用塗料に使用される前記任意成分としては、例えば、顔料が挙げられる。前記顔料としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ポリスチレン樹脂、尿素-ホルマリン樹脂、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体や中空プラスチックピグメント等の無機あるいは有機顔料等が挙げられる。
【0106】
本発明の感熱記録材料における前記感熱記録層及び本発明の感熱記録層用塗料に使用される塩基性染料、顕色剤、増感剤、バインダー、顔料及びその他の添加剤の種類や使用量は、特に限定されず、例えば、感熱記録層に要求される品質性能に応じて適宜決定することができる。
【0107】
本発明の感熱記録層用塗料の製造方法は、特に限定されず、例えば、顕色剤として前記顕色剤(B)(前記一般式(I)で表される化合物)及び前記顕色剤(C)(前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体)を併用すること以外は、一般的な感熱記録層用塗料と同様にして製造することができる。具体的には、例えば、常温で無色又は淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤に加えて、バインダー、増感剤、充填剤、滑剤、その他の添加剤等を添加して本発明の感熱記録層用塗料を製造することができる。本発明の感熱記録層用塗料は、例えば、後述の実施例に記載の製造方法により製造することもできる。
【0108】
本発明の感熱記録材料において、感熱記録層の形成方法及び感熱記録材料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、感熱記録層用塗料として本発明の感熱記録層用塗料を用いること以外は、一般的な感熱記録層の形成方法及び感熱記録材料の製造方法と同様でもよい。具体的には、例えば、前述のようにして製造した本発明の感熱記録層用塗料(塗工液)を支持体上に塗工して感熱記録層を形成し、本発明の感熱記録材料を製造することができる。本発明の感熱記録材料において、支持体は特に限定されないが、例えば、紙及びフィルムの少なくとも一方であってもよい。すなわち、本発明の感熱記録材料は、例えば、支持体が紙である感熱記録紙であってもよい。また、本発明の感熱記録材料は、例えば、支持体がフィルムである感熱記録フィルムであってもよい。前記紙は、特に限定されないが、例えば、紙、再生紙、合成紙等が挙げられる。前記フィルムは、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルム、不織布、金属箔等が挙げられる。また、本発明の支持体は、例えば、単一の材質により形成されていてもよいが、複数の材質を組み合せた複合シートであってもよい。
【0109】
本発明の感熱記録材料における前記感熱記録層及び本発明の感熱記録層用塗料は、例えば、塩基性染料100質量部に対し20~400質量部の増感剤を含有することが好ましく、全固形分中5~50質量%のバインダーを含有することが好ましい。
【0110】
本発明の感熱記録材料は、前記支持体及び前記感熱記録層以外の他の任意構成要素を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。例えば、前記任意構成要素として、感熱記録層の保存安定性を高める目的で、有機顔料を含有する高分子物質からなるオーバーコート層を設けても良い。また、例えば、サーマルヘッドヘの粕付着の防止、印字画質向上、感度を向上させる等の目的で、前記任意構成要素として、有機顔料、無機顔料や中空微粒子などを含有するアンダーコート層を設けても良い。
【0111】
本発明において、感熱記録層又は感熱記録層用塗料に使用される塩基性染料、顕色剤、増感剤及び必要により保存安定剤等は、例えば、水を分散媒体として、ボールミル、アトライター、サンドミル等の攪拌粉砕機によって平均粒子径が2μm以下になるように微分散して使用してもよい。
【0112】
このように微分散された分散液に、必要により顔料、バインダー、助剤等を混合撹拌することで、前述のとおり、感熱記録層用塗料を製造することができる。
【0113】
さらに、このようにして得られた感熱記録層用塗料を、支持体上に塗布した後、乾燥することにより、支持体上に感熱記録層を形成し、本発明の感熱記録材料を製造することができる。支持体上への感熱記録層用塗料の塗布量は、特に限定されないが、例えば、感熱記録層用塗料の乾燥後の塗布量が1.5~12g/m2であることが好ましく、3~7g/m2であることがより好ましい。
【0114】
本発明の感熱記録材料における支持体としては、前述のとおり、例えば、紙、再生紙、合成紙、プラスチックフィルム、不織布、金属箔等が使用可能である。また、これらを組み合せた複合シートも支持体として使用可能である。前記支持体の厚さは、特に限定されず、例えば、本発明の感熱記録材料の用途に応じて適宜調整可能である。
【0115】
本発明によれば、例えば、発色濃度、白色度、及び印字部の耐湿熱性、耐熱性、耐水性、耐可塑剤性等の感熱記録材料としての要求性能を満たす感熱記録材料を提供することができる。
【実施例】
【0116】
以下、本発明の実施例について、比較例と併せて示す。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例中において、「部」は、特に断らない限り「質量部」を表し、「%」は、特に断らない限り「質量%」を表す。
【0117】
本実施例において、感熱記録層用塗料及び感熱記録材料は、以下のようにして製造した。
【0118】
[アンダーコート層用塗料の調製]
プラスチック中空粒子(商品名:ローペイク(登録商標)SN-1055:中空率:55% 固形分26.5%)100部、焼成カオリンの50%分散液100部、スチレン-ブタジエン系ラテックス(商品名:L-1571 固形分48%)25部、酸化澱粉の10%水溶液50部及び水20部を混合して、アンダーコート層用塗料を調製した。このアンダーコート層用塗料を、以下の実施例1~14及び比較例1~10における感熱記録材料の製造に使用した。
【0119】
(実施例1)
[感熱記録層用塗料の製造(調製)]
A液(塩基性染料分散液の調製)
3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン
10部
10%ポリビニルアルコール水溶液 10部
水 16.7部
【0120】
B液(顕色剤(B)分散液の調製)
N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
20部
10%ポリビニルアルコール水溶液 20部
水 33.3部
【0121】
C液(顕色剤(C)分散液の調製)
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン
20部
10%ポリビニルアルコール水溶液 20部
水 33.3部
【0122】
D液(増感剤分散液の調製)
1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン 15部
10%ポリビニルアルコール水溶液 15部
水 25部
【0123】
上記A液、B液、C液及びD液の各分散液を、サンドグラインダーで平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕し、下記割合で各分散液を混合して塗布液とした。
A液(塩基性染料分散液) 36.7部
B液(顕色剤(B)分散液) 55.0部
C液(顕色剤(C)分散液) 18.3部
D液(増感剤分散液) 55.0部
【0124】
上記の塗布液に、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライト(登録商標)H-42)27部、無定形シリカ(商品名:ミズカシル(登録商標)P-605)10部、酸化澱粉の10%溶解物100部、ステアリン酸亜鉛分散液:(商品名:ハイドリン(登録商標)Z-8-36)19.4部及び水20部からなる組成分を混合して、本実施例の感熱記録層用塗料を製造(調製)した。
【0125】
[感熱記録材料の製造(作製)]
支持体として、坪量が53gm2の上質紙(酸性紙)を準備した。その支持体上に、前述のアンダーコート層用塗料を乾燥後の面積当たりの質量が6g/m2となるように塗布及び乾燥し、アンダーコート層を形成した。そのアンダーコート層上に、前述した本実施例の感熱記録層用塗料を、乾燥後の面積当たりの質量が3.8g/m2になるように塗布乾燥し、感熱記録層を形成し、上質紙、アンダーコート層及び感熱記録層を備えるシートを得た。得られたシートを、ス-パーカレンダーで平滑度が900~1200sになるように処理して、本実施例の感熱記録材料を製造(作製)した。なお、平滑度は、JIS P8155:2010「紙及び板紙-平滑度試験方法-王研法」に準ずる方法により測定した。
【0126】
[各種試験]
本実施例で製造(作製)した感熱記録材料に対し、下記1.~5.の試験方法で各種試験を行った。
【0127】
1.感熱記録性試験(発色試験)
作製した感熱記録材料について、感熱記録紙印字試験機(大倉電気社製TH-PMD)を用い、印加エネルギー0.38mJ/dotで印加した。記録部の印字濃度をマクベス反射濃度計(商品名:RD-914、グルタグマクベス社製)で測定した。これをサンプル(ブランク)とした。
【0128】
2.耐湿熱性試験
感熱記録性試験で記録した感熱記録材料を試験温度40℃、90%RHの環境下に24時間放置した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0129】
3.耐熱性試験
感熱記録性試験で記録した感熱記録材料を試験温度60℃の恒温環境下に24時間放置した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0130】
4.耐水性試験
感熱記録性試験で記録した感熱記録紙を水中に15時間浸漬しその後、試験片を風乾させ、画像濃度と未印字部をマクベス反射濃度計で測定した。
【0131】
5.耐可塑剤性試験
ポリカーボネートパイプ(48mmφ)上にラップフィルム(商品名:ハイラップ(登録商標)KMA、三井化学製)を3重に巻き付け、感熱記録性試験で記録した感熱記録紙を乗せ、更にその上にラップフィルムを3重に巻き付け20℃65%RHの環境下で24時間放置し、その後、画像濃度と未印字部をマクベス反射濃度計で測定した。
【0132】
本実施例の感熱記録材料に対する前記1.~5.の各種試験結果は、後述する表1に記載の通りであった。
【0133】
(実施例2)
実施例1のB液55.0部、C液18.3部を、B液64.1部、C液9.2部に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行って実施例2の感熱記録層用塗料及び実施例2の感熱記録材料を作製した。
実施例2による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0134】
(実施例3)
実施例1のB液55.0部、C液18.3部を、B液69.6部、C液3.7部に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行って実施例3の感熱記録層用塗料及び実施例3の感熱記録材料を作製した。
実施例3による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0135】
(実施例4)
実施例1のB液55.0部、C液18.3部を、B液36.7部、C液36.7部に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行って実施例4の感熱記録層用塗料及び実施例4の感熱記録材料を作製した。 実施例4による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0136】
(実施例5)
実施例1のB液55.0部、C液18.3部を、B液18.3部、C液55部に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行って実施例5の感熱記録層用塗料及び実施例5の感熱記録材料を作製した。
実施例5による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0137】
(実施例6)
実施例1のC液のN-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニンを、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニンに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行って実施例6の感熱記録層用塗料及び実施例6の感熱記録材料を作製した。
実施例6による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0138】
(実施例7)
実施例4のC液のN-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニンをN-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニンに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行って実施例7の感熱記録層用塗料及び実施例7の感熱記録材料を作製した。
実施例7による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0139】
[比較例1]
実施例1のB液55.0部、C液18.3部を、B液73.3部に変更し、C液を使用しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行って比較例1の感熱記録層用塗料及び比較例1の感熱記録材料を作製した。
比較例1による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0140】
[比較例2]
実施例1のB液55.0部、C液18.3部を、C液73.3部に変更し、B液を使用しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行って比較例2の感熱記録層用塗料及び比較例2の感熱記録材料を作製した。
比較例2による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0141】
[比較例3]
比較例2の、C液のN-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニンを、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン変更したこと以外は比較例2と同様の操作を行って比較例3の感熱記録層用塗料及び比較例3の感熱記録材料を作製した。
比較例3による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0142】
[比較例4]
比較例1のB液のN-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミドをビスフェノールAに変更したこと以外は比較例1と同様の操作を行って比較例4の感熱記録層用塗料及び比較例4の感熱記録材料を作製した。
比較例4による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0143】
[比較例5]
比較例1のB液のN-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミドをビスフェノールSに変更したこと以外は比較例1と同様の操作を行って比較例5の感熱記録層用塗料及び比較例5の感熱記録材料を作製した。
比較例5による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0144】
【0145】
実施例1~7の感熱記録材料は、顕色剤(B)として、一般式(I)又は一般式(I-1)で表されるN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物を含み、且つ、顕色剤(C)として、一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を含む顕色剤を含む感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であった。表1より明らかなように、実施例1~7の感熱記録材料は、顕色剤(B)を含む感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料の特性を維持しながら、顕色剤(B)を単独で含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料(比較例1)よりも耐可塑剤性が優れていた。さらに、実施例1~7の感熱記録材料は、顕色剤(C)を単独で含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料(比較例2~3)よりも耐可塑剤性が優れていた。
【0146】
(実施例8)
[感熱記録層用塗料の製造(調製)]
A液(塩基性染料分散液の調製)
3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン
10部
10%ポリビニルアルコール水溶液 10部
水 16.7部
【0147】
B液(顕色剤(B)分散液の調製)
3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート
20部
10%ポリビニルアルコール水溶液 20部
水 33.3部
【0148】
C液(顕色剤(C)分散液の調製)
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン
20部
10%ポリビニルアルコール水溶液 20部
水 33.3部
【0149】
D液(増感剤分散液の調製)
1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン 15部
10%ポリビニルアルコール水溶液 15部
水 25部
【0150】
上記A液、B液、C液及びD液の各分散液を、サンドグラインダーで平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕し、下記割合で各分散液を混合して塗布液とした。
A液(塩基性染料分散液) 36.7部
B液(顕色剤(B)分散液) 55.0部
C液(顕色剤(C)分散液) 18.3部
D液(増感剤分散液) 55.0部
【0151】
上記の塗布液に、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライト(登録商標)H-42)27部、無定形シリカ(商品名:ミズカシル(登録商標)P-605)10部、酸化澱粉の10%溶解物100部、ステアリン酸亜鉛分散液:(商品名:ハイドリン(登録商標)Z-8-36)19.4部及び水20部からなる組成分を混合して、感熱記録層用塗料を製造(調製)した。
【0152】
[感熱記録材料の製造(作製)]
支持体として、坪量が53gm2の上質紙(酸性紙)を準備した。その支持体上に、前述のアンダーコート層用塗料を乾燥後の面積当たりの質量が6g/m2となるように塗布及び乾燥し、アンダーコート層を形成した。そのアンダーコート層上に、前述した本実施例の感熱記録層用塗料を、乾燥後の面積当たりの質量が3.8g/m2になるように塗布乾燥し、感熱記録層を形成し、上質紙、アンダーコート層及び感熱記録層を備えるシートを得た。得られたシートを、ス-パーカレンダーで平滑度が900~1200sになるように処理して、本実施例の感熱記録材料を製造(作製)した。なお、平滑度は、JIS P8155:2010「紙及び板紙-平滑度試験方法-王研法」に準ずる方法により測定した。
【0153】
本実施例の感熱記録材料に対し、前述した1.~5.の試験方法で各種試験を行った。その各種試験結果は、後述する表2に記載の通りであった。
【0154】
(実施例9)
実施例8のB液55.0部、C液18.3部を、B液64.1部、C液9.2部に変更したこと以外は実施例8と同様の操作を行って実施例9の感熱記録層用塗料及び実施例9の感熱記録材料を作製した。
実施例9による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0155】
(実施例10)
実施例8のB液55.0部、C液18.3部を、B液69.6部、C液3.7部に変更したこと以外は実施例8と同様の操作を行って実施例10の感熱記録層用塗料及び実施例10の感熱記録材料を作製した。
実施例10による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0156】
(実施例11)
実施例8のB液55.0部、C液18.3部を、B液36.7部、C液36.7部に変更したこと以外は実施例8と同様の操作を行って実施例11の感熱記録層用塗料及び実施例11の感熱記録材料を作製した。
実施例11による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0157】
(実施例12)
実施例8のB液55.0部、C液18.3部を、B液18.3部、C液55部に変更したこと以外は実施例8と同様の操作を行って実施例12の感熱記録層用塗料及び実施例12の感熱記録材料を作製した。
実施例12による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0158】
(実施例13)
実施例8のC液のN-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニンを、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニンに変更したこと以外は実施例8と同様の操作を行って実施例13の感熱記録層用塗料及び実施例13の感熱記録材料を作製した。
実施例13による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0159】
(実施例14)
実施例11のC液のN-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニンをN-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニンに変更したこと以外は実施例8と同様の操作を行って実施例14の感熱記録層用塗料及び実施例14の感熱記録材料を作製した。
実施例14による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0160】
[比較例6]
実施例8のB液55.0部、C液18.3部を、B液73.3部に変更し、C液を使用しなかったこと以外は実施例8と同様の操作を行って比較例6の感熱記録層用塗料及び比較例6の感熱記録材料を作製した。
比較例6による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0161】
[比較例7]
実施例8のB液55.0部、C液18.3部を、C液73.3部に変更し、B液を使用しなかったこと以外は実施例8と同様の操作を行って比較例7の感熱記録層用塗料及び比較例7の感熱記録材料を作製した。
比較例7による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0162】
[比較例8]
比較例7の、C液のN-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニンを、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン変更したこと以外は比較例7と同様の操作を行って比較例8の感熱記録層用塗料及び比較例8の感熱記録材料を作製した。
比較例8による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0163】
[比較例9]
比較例6のB液の3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートをビスフェノールAに変更したこと以外は比較例6と同様の操作を行って比較例9の感熱記録層用塗料及び比較例9の感熱記録材料を作製した。
比較例9による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0164】
[比較例10]
比較例6のB液の3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートをビスフェノールSに変更したこと以外は比較例6と同様の操作を行って比較例10の感熱記録層用塗料及び比較例10の感熱記録材料を作製した。
比較例10による感熱記録材料の各種試験結果を表2に示す。
【0165】
【0166】
実施例8~14の感熱記録材料は、顕色剤(B)として、一般式(I)又は一般式(I-2)で表される化合物の一種である3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートを含み、且つ、顕色剤(C)として、一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を含む顕色剤を含む感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であった。表2より明らかなように、実施例8~14の感熱記録材料は、顕色剤(B)を含む感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料の特性を維持しながら、顕色剤(B)を単独で含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料(比較例6)よりも耐可塑剤性が優れていた。さらに、実施例8~14の感熱記録材料は、顕色剤(C)を単独で含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料(比較例7~8)よりも耐可塑剤性が優れていた。
【0167】
本発明は、以下の付記のようにも記載することが可能である。ただし、本発明は、これらには限定されない。
(付記1)
感熱記録層用の顕色剤であって、
下記一般式(I)で表される化合物、及び、下記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を含むことを特徴とする顕色剤。
【化I】
前記一般式(I)中、
Lは、イミノ基(-NH-)又はオキシ基(-O-)であり、
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルケニル基、フルオロアルキル基、N(R
4)
2基(式中、R
4は、水素原子、フェニル基、ベンジル基、又はC1~C6のアルキル基を表す。)、NHCOR
5基(式中、R
5はC1~C6のアルキル基を表す。)、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、又は、アリールスルホニルアミノ基を表し、
n1、n2及びn3は、それぞれ独立して、0~5のいずれかの整数を表し、
R
1、R
2及びR
3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R
1が複数の場合は、各R
1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
2が複数の場合は、各R
2は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
3が複数の場合は、各R
3は互いに同一でも異なっていてもよい。
(R
0-X)-Y-(Z) ・・・(II)
前記一般式(II)中、
R
0は、C6~C10のアリール基を有するアルキル基、又は、C1~C8のアルキル基、C7~C11のアラルキル基、C6~C10のアリール基、若しくはC1~C8のアルコキシ基の置換基を有していてもよいアリール基を表し、
Xは、YのN末端に結合する基であって、-OCO-、-SO
2NHCO-、-NHCO-、-NHCS-、又は-SO
2-を表し、
Yは、アミノ酸残基又はペプチド残基を表わし、Y基中の、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、又はチロシン残基のOH基は、OR
0基又はOR”基に置換していてもよく、システイン残基のSH基は、SR
0基又はSR”基に置換していてもよく、ヒスチジン残基のNH基は、NR
0基又はNR’基に置換していてもよく、リシン残基又はオルニチン残基のNH
2基は、NHR
0基又はNHR’基に置換していてもよく、R’はアミノ保護基を表し、R”はカルボキシ保護基を表し、
ただし、Yは、シスチン残基以外のアミノ酸残基又はシスチン残基を有さないペプチド残基であり、
Zは、YのC末端に結合する基であって、OH基又はOR”基を表し、
R
0、R’及びR”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
0が複数の場合は、各R
0は互いに同一でも異なっていてもよく、
R’が複数の場合は、各R’は互いに同一でも異なっていてもよく、
R”が複数の場合は、各R”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
0、R’及びR”のうち2つ以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。
(付記2)
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の含有量が、前記一般式(I)で表される化合物100質量部に対して、1質量部以上である、付記1に記載の顕色剤。
(付記3)
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(I-1)で表されるN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物である付記1又は2に記載の顕色剤。
【化I-1】
前記一般式(I-1)中、
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、C1~C6のアルキル基、C1~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のシクロアルキルオキシ基、C2~C6のアルケニル基、C1~C6のフルオロアルキル基、N(R
4)
2基(式中、R
4は水素原子、フェニル基、ベンジル基、又はC1~C6のアルキル基を表す。)、NHCOR
5基(式中、R
5はC1~C6のアルキル基を表す。)、置換されていてもよいフェニル基、又は置換されていてもよいベンジル基を表し、
n1及びn3は、それぞれ独立して、1~5のいずれかの整数を表し、
n2は、1~4のいずれかの整数を表し、
R
1、R
2及びR
3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R
1が複数の場合は、各R
1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
2が複数の場合は、各R
2は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
3が複数の場合は、各R
3は互いに同一でも異なっていてもよい。
(付記4)
前記一般式(I-1)で表されるN-(フェニルウレイドフェニル)ベンゼンスルホンアミド化合物が、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミドである、付記3に記載の顕色剤。
(付記5)
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の含有量が、前記一般式(I-1)で表される化合物100質量部に対して、1~500質量部である、付記3又は4に記載の顕色剤。
(付記6)
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物である付記1又は2に記載の顕色剤。
【化I-2】
前記一般式(I-2)中、
R
1及びR
3は、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、又は、アリールスルホニルアミノ基を表し、
n1及びn3は、それぞれ独立して、0~5のいずれかの整数を表し、
R
1及びR
3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R
1が複数の場合は、各R
1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
3が複数の場合は、各R
3は互いに同一でも異なっていてもよい。
(付記7)
前記一般式(I-2)で表されるフェニルウレイドフェニル-ベンゼンスルホナート化合物が、3-(3-フェニルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートである、付記6に記載の顕色剤。
(付記8)
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の含有量が、前記一般式(I-2)で表される化合物100質量部に対して、1~500質量部である、付記6又は7に記載の顕色剤。
(付記9)
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体が、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン又はN-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニンである、付記1から8のいずれかに記載の顕色剤。
(付記10)
支持体上に感熱記録層が設けられた感熱記録材料であって、
前記感熱記録層は、常温で無色又は淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含み、
前記顕色剤が、付記1から9のいずれかに記載の顕色剤であることを特徴とする感熱記録材料。
(付記11)
前記支持体が、紙及びフィルムの少なくとも一方である付記10に記載の感熱記録材料。
(付記12)
感熱記録層の形成に用いるための感熱記録層用塗料であって、
常温で無色又は淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含み、
前記顕色剤が、付記1から9のいずれかに記載の顕色剤であることを特徴とする感熱記録層用塗料。
(付記13)
前記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体の含有量が、前記一般式(I)で表される化合物100質量部に対して、3質量部以上である、付記12に記載の感熱記録層用塗料。
(付記14)
付記10又は11に記載の感熱記録材料における前記感熱記録層の形成に用いるための感熱記録層用塗料である、付記12又は13に記載の感熱記録層用塗料。
【0168】
以上、実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0169】
以上、説明したとおり、本発明によれば、耐可塑剤性に優れた顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料を提供することができる。本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料によれば、例えば、前記一般式(I)で表される化合物の発色濃度、白色度、及び良好な各種の保存特性を低下させずに、耐可塑剤性を一層向上させることも可能である。本発明の顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料の用途は特に限定されず、例えば、一般的な顕色剤、感熱記録材料及び感熱記録層用塗料と同様の用途に広く使用可能であり、産業上の利用可能性は多大である。
【0170】
この出願は、2020年12月28日に出願された日本出願特願2020-219044及び2021年2月2日に出願された日本出願特願2021-014999を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【要約】
耐可塑剤性に優れた顕色剤を提供する。
前記目的を達成するために、本発明の顕色剤は、
感熱記録層用の顕色剤であって、
下記一般式(I)で表される化合物、及び、下記一般式(II)で表されるN-置換アミノ酸誘導体を含むことを特徴とする。
【化I】
前記一般式(I)中、
Lは、イミノ基(-NH-)又はオキシ基(-O-)であり、
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルケニル基、フルオロアルキル基、N(R
4)
2基(式中、R
4は、水素原子、フェニル基、ベンジル基、又はC1~C6のアルキル基を表す。)、NHCOR
5基(式中、R
5はC1~C6のアルキル基を表す。)、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、又は、アリールスルホニルアミノ基を表し、
n1、n2及びn3は、それぞれ独立して、0~5のいずれかの整数を表し、
R
1、R
2及びR
3は、互いに同一でも異なっていてもよく、
R
1が複数の場合は、各R
1は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
2が複数の場合は、各R
2は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
3が複数の場合は、各R
3は互いに同一でも異なっていてもよい。
(R
0-X)-Y-(Z) ・・・(II)
前記一般式(II)中、
R
0は、C6~C10のアリール基を有するアルキル基、又は、C1~C8のアルキル基、C7~C11のアラルキル基、C6~C10のアリール基、若しくはC1~C8のアルコキシ基の置換基を有していてもよいアリール基を表し、
Xは、YのN末端に結合する基であって、-OCO-、-SO
2NHCO-、-NHCO-、-NHCS-、又は-SO
2-を表し、
Yは、アミノ酸残基又はペプチド残基を表わし、Y基中の、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、又はチロシン残基のOH基は、OR
0基又はOR”基に置換していてもよく、システイン残基のSH基は、SR
0基又はSR”基に置換していてもよく、ヒスチジン残基のNH基は、NR
0基又はNR’基に置換していてもよく、リシン残基又はオルニチン残基のNH
2基は、NHR
0基又はNHR’基に置換していてもよく、R’はアミノ保護基を表し、R”はカルボキシ保護基を表し、
ただし、Yは、シスチン残基以外のアミノ酸残基又はシスチン残基を有さないペプチド残基であり、
Zは、YのC末端に結合する基であって、OH基又はOR”基を表し、
R
0、R’及びR”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
0が複数の場合は、各R
0は互いに同一でも異なっていてもよく、
R’が複数の場合は、各R’は互いに同一でも異なっていてもよく、
R”が複数の場合は、各R”は互いに同一でも異なっていてもよく、
R
0、R’及びR”のうち2つ以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。