(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】光コネクタ及び二重コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20221116BHJP
G02B 6/38 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/38
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018010598
(22)【出願日】2018-01-25
【審査請求日】2021-01-25
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
【住所又は居所原語表記】6920 Seaway Boulevard, Everett, Washington 98203 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セイモール・ゴールドステイン
(72)【発明者】
【氏名】イアン・マイケル・デヴィッドソン
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0213478(US,A1)
【文献】実開昭54-147237(JP,U)
【文献】米国特許第07481664(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0323940(US,A1)
【文献】特開昭62-231203(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0148039(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36 - 6/40
G02B 6/26 - 6/27
H01R 13/56 - 13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタであって、
外面及び空洞を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記空洞内に配置されたフェルールアセンブリと、
前記ハウジングに取り外し可能かつ回転可能に固定された第1の端部、及び前記ハウジングから離間した第2の端部を有する剛性ラッチ部材であって、係合位置にあるときに別の部品と係合するように構成された係合部材を含む、剛性ラッチ部材と、
前記ハウジングに当接する第1の端部、及び前記ラッチ部材に当接する第2の端部を有するリテーナばねであって、前記ラッチ部材の前記第2の端部を前記ハウジングから離して押す力を提供するように構成されている、リテーナばねと、
前記リテーナばねによって提供される前記力に対抗するように構成されたラッチリテーナと、を備え、前記リテーナばね及び前記ラッチリテーナが一緒に、前記ラッチ部材を前記係合位置に置くように構成されているコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記外面が、隆起部分又は凹部を含み、前記リテーナばねの前記第1の端部が、前記隆起部分上又は前記凹部内に静置する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ラッチ部材が、凹部又は隆起部分を含み、前記リテーナばねの前記第2の端部が、前記ラッチ部材の前記凹部内又は前記隆起部分上に配置される、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ラッチ部材の前記第1の端部が、前記ハウジングの前記第1の端部を受容する凹部を有するハウジングフックによって前記ハウジングに回転可能に連結され、前記ラッチリテーナが、前記ラッチ部材の前記第1の端部を前記ハウジングフックの前記凹部内に維持するように構成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ラッチ部材の前記第1の端部が、係止ヒンジ式継手によって前記ハウジングに回転可能に連結される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ラッチリテーナが、湾曲した上部を有し、前記ラッチ部材の上面と係合する、前記ラッチリテーナのクロス部材の下面が、前記ラッチ部材の上面と平行である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ラッチリテーナが、前記ハウジングの下に延びる突出部を含み、前記突出部が、二重クリップと係合して前記コネクタを前記二重クリップ内に保持するように構成されている、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記リテーナばねが、前記ラッチリテーナに隣接して配置され、前記ラッチリテーナが、前記ラッチ部材を受容する貫通開口を含む、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記コネクタが光通信リンクに連結されるように構成された光コネクタである請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
コネクタ部品であって、
フェルールアセンブリを受容するように構成された開口を含むハウジングと、
前記ハウジングと取り外し可能かつ回転可能に係合された第1の端部、及び前記ハウジングから離間した第2の端部を有する剛性ラッチ部材であって、係合位置にあるときに別の部品と係合するように構成された係合部材を含む、剛性ラッチ部材と、
前記ハウジングと前記ラッチ部材との間のリテーナばねであって、前記ラッチ部材の前記第2の端部を前記ハウジングから離して押す力を提供するように構成されている、リテーナばねと、
前記リテーナばねによって提供される前記力に対抗するように構成されたラッチリテーナと、を備え、前記リテーナばね及び前記ラッチリテーナが一緒に、前記ラッチ部材を前記係合位置に置くように構成されているコネクタ部品。
【請求項11】
前記ハウジングの表面が、隆起部分を含み、前記リテーナばねの第1の端部が、前記隆起部分を取り囲む、請求項10に記載のコネクタ部品。
【請求項12】
前記ラッチ部材が、凹部を含み、前記リテーナばねの第2の端部が、前記ラッチ部材の前記凹部内に配置される、請求項11に記載のコネクタ部品。
【請求項13】
前記ハウジングが、ハウジングフックを含み、前記ラッチ部材が、前記ハウジングフックの凹部内に配置されている前記ラッチ部材の第1の端部によって前記ハウジングと取り外し可能かつ回転可能に係合される、請求項10に記載のコネクタ部品。
【請求項14】
前記ラッチリテーナが、前記コネクタを保持するように構成された二重クリップと係合するための突出部を含む、請求項10に記載のコネクタ部品。
【請求項15】
光通信リンクを有するフェルールアセンブリが、LC光コネクタを形成するために、前記ハウジングの開口内に受容される、請求項10に記載のコネクタ部品。
【請求項16】
二重コネクタアセンブリであって、
ブリッジ部材によって一緒に連結される第1及び第2の湾曲部材と、
前記第1及び第2の湾曲部材から延びる第1及び第2のタブと、を含む二重クリップを備え、
前記第1及び第2の湾曲部材が、それぞれ、第1及び第2のコネクタを受容及び保持するようにサイズ決めされており、前記第1及び第2のコネクタが、それぞれ、前記請求項1のコネクタであり、前記第1及び第2のコネクタのそれぞれのラッチリテーナが、前記二重クリップの前記第1及び第2のタブと係合して前記第1及び第2のコネクタを前記二重クリップ内の定位置に保持する突出部を含む、二重コネクタアセンブリ。
【請求項17】
前記第1のコネクタの前記ラッチリテーナの前記突出部が、前記第1のタブの対向する側部に当接し、前記第2のコネクタの前記ラッチリテーナの前記突出部が、前記第2のタブの対向する側部に当接する、請求項16に記載の二重コネクタアセンブリ。
【請求項18】
前記第1及び第2のタブが、
前記第1及び第2のコネクタが前記第1及び第2の湾曲部材内に据え付けられている間は屈曲し、かつ
前記第1及び第2のコネクタが前記第1及び第2の湾曲部材内に据え付けられると、それぞれ、前記第1と第2のコネクタを保持するように構成されている、請求項17に記載の二重コネクタアセンブリ。
【請求項19】
前記第1及び第2のタブが、凹部を含み、前記突出部が、前記凹部で前記タブの前記対向する側部に当接する、請求項18に記載の二重コネクタアセンブリ。
【請求項20】
前記第1と第2のコネクタが、光通信リンクに連結されるように構成された光コネクタである請求項16に記載の二重コネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光通信リンク用の光コネクタ及び二重コネクタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
光ファイバケーブルのような光通信リンクは、比較的低損失のデータの高速伝送を提供する。様々な部品への連結若しくは連結解除、又はファイバのセグメントをより長くするための接合などの、通信リンクのネットワークの調整の容易さを可能にするために、光ファイバケーブルの各端部が光コネクタによって保持されている。
【0003】
概して記載されるように、光コネクタは、光ファイバケーブルの端部を定位置に保持し、アダプタのような別の部品と係合して、保持された光ファイバケーブルを、同様に光コネクタによって保持され得る別の光ファイバケーブルと位置合わせする。アダプタでは、2つの光コネクタは、それぞれの光コネクタによって保持されている2つの光ファイバケーブルの端面を位置合わせし、かつ互いに物理的に接触している端面に当接するように設計されており、これにより、光信号が当接している光ファイバケーブル間を移動することができるようになる。
【0004】
上述したように、光コネクタは、様々な光ファイバを一緒に連結及び連結解除する容易さを可能にすることができる。ローカル光コネクタとも呼ばれるLC光コネクタなどのいくつかの光コネクタは、ハウジングと一体的に形成された可撓性部材を有する。一体的に形成された可撓性部材は、光コネクタを受容するアダプタ又は部品から光コネクタを連結及び連結解除するために使用される。可撓性部材の繰返しの屈曲により、光コネクタの可撓性部材に疲労が引き起こされ、それによりコネクタの寿命を短くする可能性がある。これは、異常に高い使用量にさらされる試験装置を備えた試験コードに使用される光コネクタにとって特に問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
様々なタイプの光コネクタが存在するが、本開示は、LCタイプにおける光コネクタを対象とする。LC光コネクタは、国際電気標準会議(IEC)61754-20及び電気通信工業会TIA-604-10Aによって定められた規格に準拠している。具体的には、実施形態は、二重コネクタアセンブリを形成するためのLC光コネクタ及び二重クリップを対象とする。1つ以上の実施形態は、LC光コネクタの寿命を延ばすことを対象とする。
【0007】
一実施形態は、外面及び空洞を有するハウジングを含むLC光コネクタを対象とする。フェルールアセンブリは、ハウジングの空洞内に配置される。ハウジングは、ハウジングに取り外し可能かつ回転可能に固定された第1の端部と、ハウジングから離間した第2の端部とを有する剛性ラッチ部材を含む。ラッチ部材は、係合位置にあるときに別の部品と係合するように構成された係合部材を含む。光コネクタは、ハウジングに当接する第1の端部と、ラッチ部材に当接する第2の端部とを有するリテーナばねを更に含む。リテーナばねは、ラッチ部材の第2の端部をハウジングから離して押す力を提供するように構成されている。光コネクタは、リテーナばねによって提供される力に対抗するように構成されたラッチリテーナを更に含む。リテーナばね及びラッチリテーナは一緒に、ラッチ部材を係合位置に置くように構成されている。
【0008】
別の実施形態は、光ファイバケーブル用のLC光コネクタ部品を対象とする。光コネクタ部品は、フェルールアセンブリ及び剛性ラッチ部材を受容するように構成された開口を含むハウジングを備える。ラッチ部材は、ハウジングと取り外し可能かつ回転可能に係合された第1の端部と、ハウジングから離間した第2の端部とを有する。ラッチ部材は、係合位置にあるときに別の部品と係合するように構成された係合部材を含む。光コネクタ部品は、ハウジングとラッチ部材との間にリテーナばねを更に含む。リテーナばねは、ラッチ部材の第2の端部をハウジングから離して押す力を提供するように構成されている。光コネクタ部品は、リテーナばねによって提供される力に対抗するように構成されたラッチリテーナを更に含む。リテーナばね及びラッチリテーナは一緒に、ラッチ部材を係合位置に置くように構成されている。
【0009】
他の実施形態は、二重コネクタアセンブリを対象とする。一実施形態は、二重クリップを備える二重コネクタアセンブリを対象とする。二重クリップは、ブリッジ部材によって一緒に連結された第1及び第2の湾曲部材と、第1及び第2の湾曲部材から延びる第1及び第2のタブとを含む。第1及び第2の光コネクタは、それぞれ、第1及び第2の湾曲部材によって保持される。第1及び第2の光コネクタは、それぞれ、二重クリップの第1及び第2のタブと係合する突出部を含むラッチリテーナを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面中、同一の参照番号は、同様の要素を特定する。図面中の構成要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも尺度どおりに描かれていない。
【
図1A】一実施形態による、光コネクタの側面図の概略図である。
【
図2】
図1Aの光コネクタのラッチリテーナの正面図の概略図である。
【
図3】別の実施形態による、光コネクタの側面図の概略図である。
【
図4A】一実施形態による、二重クリップの上面図の概略図である。
【
図5A】一実施形態による、二重コネクタアセンブリを形成するために光コネクタを二重クリップ内に取り付けるための組立プロセスの様々な図を示す概略図である。
【
図5B】一実施形態による、二重コネクタアセンブリを形成するために光コネクタを二重クリップ内に取り付けるための組立プロセスの様々な図を示す概略図である。
【
図5C】一実施形態による、二重コネクタアセンブリを形成するために光コネクタを二重クリップ内に取り付けるための組立プロセスの様々な図を示す概略図である。
【
図5D】一実施形態による、二重コネクタアセンブリを形成するために光コネクタを二重クリップ内に取り付けるための組立プロセスの様々な図を示す概略図である。
【
図5E】一実施形態による、二重コネクタアセンブリを形成するために光コネクタを二重クリップ内に取り付けるための組立プロセスの様々な図を示す概略図である。
【
図5F】一実施形態による、二重コネクタアセンブリを形成するために光コネクタを二重クリップ内に取り付けるための組立プロセスの様々な図を示す概略図である。
【
図5G】一実施形態による、二重コネクタアセンブリを形成するために光コネクタを二重クリップ内に取り付けるための組立プロセスの様々な図を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の特定の実施形態が例示目的のために本明細書に記載されているが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が加えられてもよいことが理解されるであろう。
【0012】
実施形態は、二重コネクタアセンブリを形成するためのLC光コネクタ及び二重クリップを対象とする。具体的には、一実施形態は、光コネクタのラッチングシステムを対象とする。ラッチングシステムは、光コネクタが、機器のためのアダプタ又はポートなどの別個の部品と係合し、かつそれから係脱することを可能にする。ラッチングシステムは、第1の端部でハウジングに回転可能に連結された剛性本体を含む。ばねが剛性本体とハウジングとの間に配置され、これにより、ユーザが剛性本体の第2の端部を押圧することによってラッチングシステムを別個の部品から係脱することを可能にする。ラッチングシステムは、ばねと共に、ユーザが剛性本体の端部を解放したときに、別個の部品との係合のために剛性本体を定位置に置くように構成されたラッチリテーナを更に含む。剛性本体は、アダプタ又はテストポートのような光学部品と係合又は係脱するために屈曲する必要がないことを理解されたい。したがって、ラッチングシステムの寿命を延ばすことができ、それによりコネクタの寿命を延ばすことができる。
【0013】
図1A~
図1Dは、一実施形態による、光コネクタ100の様々な図を例示する。光コネクタ100は、第1の端部104及び第2の端部106を有するハウジング102を含むLC光コネクタである。ハウジング102は、第1の端部104から第2の端部106まで延びる空洞108(
図1C)を含む中空体である。空洞108はフェルールアセンブリ110を受容し、これにより、フェルールアセンブリ110によって保持されるフェルール管の端部が、光ファイバケーブルの端面を露出させるハウジング102の第1の端部104から延びる。フェルールアセンブリ110は標準的なフェルールアセンブリであり、したがって、フェルールアセンブリ110の詳細は、簡潔にするために詳細に説明しない。
【0014】
空洞108を画定するハウジング102の内面の一部は、それに対応してフェルールアセンブリ110と係合するように形作られている。例えば、ハウジング102の内面は、フェルールアセンブリ110の六角形部分と係合する六角形部分を有する。ハウジング102の内面はまた、対応する六角形部分に近似するテーパ状部分を含む。フェルールアセンブリ110がハウジング102内に配置されると、フェルールアセンブリ110は、圧縮ばね114及び後部フェルールリテーナ116によってテーパ状部分に押圧される。後部フェルールリテーナ116は、フェルールアセンブリ110をハウジング102内に保持し、第2の端部106でハウジング102と係止様式で係合し、これは、後部フェルールリテーナ116の突出部がハウジング102の開口内に受容されることを含み得る。
【0015】
ハウジング102の外面は、フェルールアセンブリ110の光ファイバケーブルを別の光ファイバケーブルと位置合わせするために、光コネクタ100を光学機器用のアダプタ又はポートなどの、他の光学部品と係合及び係脱するように構成されたラッチシステム120を含む。
【0016】
剛性ラッチ部材122は、ハウジング102に面する内面と外面とを有する。ラッチ部材122の第1の端部124は、ハウジング102の外面に回転可能に連結される。例示された
図1A~
図1Dの実施形態では、ラッチ部材122の第1の端部124は、ヒンジ式継手を形成するハウジング102の外面上のハウジングフック126の凹部内に配置される。ラッチ部材122の第1の端部124は、ハウジングフック126の凹部内で旋回又は回転するように構成されており、これにより、ラッチ部材122の第2の端部128が
図1Aの矢印によって示されるようにハウジング102に向かってかつハウジング102から離れるように移動するようになる。
【0017】
ラッチ部材122の第2の端部128は、ハウジング102から離れて保持される。特に、ラッチ部材122の第2の端部128は、リテーナばね130によってハウジング102から離間して保持される。リテーナばね130は、ハウジング102及びラッチ部材122によって定位置に保持される圧縮ばねである。具体的には、リテーナばね130の第1の端部は、ハウジング102の隆起部分132上に静置し、第2の端部は、ラッチ部材122の凹部134内に静置する。その点で、ハウジング102の隆起部分132及びラッチ部材122の凹部134は、リテーナばね130を定位置に保持する。他の実施形態では、ハウジング102及びラッチ部材122の両方は、リテーナばね130を保持するための凹部又は隆起部分を有する。あるいは、ハウジング102は凹部を含んでもよく、ラッチ部材122は隆起部分を含んでもよい。更に他の実施形態では、リテーナばね130は、接着剤又は溶接継手によって、ラッチ部材122及びハウジング102の一方又は両方に連結される。リテーナばね130は、
図1A~
図1Cにコイルばねとして例示されているが、代わりに、リーフばねを含む他の形態のばねが使用されてもよい。
【0018】
ラッチ部材122の第2の端部128は、リテーナばね130だけでなく、ラッチリテーナ136によっても定位置に保持される。具体的には、ラッチリテーナ136のクロス部材146は、ラッチ部材122に加えられている、ラッチ部材122をハウジング102から離して押す力に、リテーナばね130によって対抗するように設けられる。その点で、当業者には理解されるように、リテーナばね130とラッチリテーナ136との組み合わせにより、光コネクタ100をアダプタのような別の部品内に係止するために、ラッチ部材122は係合位置に保持される。ラッチングシステム120は、光コネクタ100を係合部材152によってアダプタ又はポート内の定位置に係止する剛性ラッチ部材122を含む。
【0019】
ラッチリテーナ136の正面図が
図2に示される。ラッチリテーナ136は、上部貫通開口140を含む上部138と、下部貫通開口144を含む下部142とを含む。上部
138は、クロス部材146を含む。ラッチ部材122は、ラッチリテーナ136の上部貫通開口140を通って延びる。上部138のクロス部材146はラッチ部材120を押圧し、リテーナばね130によって生成されるラッチ部材122をハウジング102から離れるように押すばね力に対抗する。
【0020】
ラッチリテーナ136の下部142の下部貫通開口144は、
図1Dに最もよく示されているように、ハウジング102の第2の端部106で空洞108と位置合わせされる。フェルールアセンブリ110及びフェルールリテーナ116は、ラッチリテーナ136の下部貫通開口144を通って延びる。ラッチリテーナ136の下部142は、フェルールリテーナ116の表面とハウジング102の表面との間に、ハウジング102の第2の端部106で配置される。ラッチリテーナ136の下部142は、
図5A~
図5Gを参照してより詳細に述べられるように、二重クリップと係合するように構成された突起150を更に含む。突起150は、ハウジング102及び後部フェルールリテーナ116の下に延びる。
【0021】
図1A~
図1Dに示されるように、ラッチリテーナ136の上部138は、ラッチ部材122の上面と係合するクロス部材146の下面を位置合わせするために湾曲形状を有する。特に、ラッチリテーナ136のクロス部材146の下面は、ラッチ部材122の上面と実質的に平行であり、それらの間に改良された係合を提供する。
【0022】
ラッチ部材122は、
図1A、
図1B、及び
図1Dに示される位置など、リテーナばね130とラッチリテーナ136との両方によって係合位置に保持されたときに
、別の光学部品と係合するように構成された係合部材152を含む。使用時に、光コネクタ100がアダプタに置かれると、ラッチ部材122の係合部材152は、光コネクタ100をアダプタ内の定位置に係止する。光コネクタ100をアダプタから取り外すことができるように、ラッチ部材122の係合部材152をアダプタから係脱するために、ユーザがラッチ部材122の第2の端部128をハウジング102に向かって押圧することなどによって、下向きの力がラッチ部材122の第2の端部128に加えられ、それによりリテーナばね130を圧縮する。ラッチ部材122の第2の端部128の動きにより、ラッチ部材122の係合部材152がアダプタから係脱し、次いで光コネクタ100がアダプタから取り外され得る。ラッチリテーナ136の上部138の上部貫通開口140は、ラッチ部材122の動きを案内かつ制限する。一部の実施形態では、ラッチ部材122は、当技術分野で現在使用されているハウジングと一体化された可撓性ラッチ部材よりも長い。追加された長さは、ユーザがラッチ部材122に到達してこれを押圧する能力を支援するだけでなく、押圧されたときにラッチ部材122に生じる可能性のある応力を減少させる。
【0023】
リテーナばね130及びラッチリテーナ136は一緒に、ラッチ部材122を置く自己復帰動作を提供し、これにより、ラッチ部材122の係合部材152は、ユーザがラッチ部材122の第2の端部128を解放すると、係合位置に戻る。したがって、光コネクタ100は定位置にあり、他の部品又はアダプタを係止する準備ができている。更に、剛性部材であってアダプタから係脱するために屈曲しないラッチ部材122を設けることによって、光コネクタ100の寿命は延び得る。したがって、一部の実施形態では、ラッチ部材122は、典型的には弾性プラスチック材料であり、かつハウジングと一体化されている、従来技術とは異なる材料で作製されてもよい。例えば、一実施形態では、ラッチ部材122は、金属材料で作製される。あるいは、ラッチ部材122は、成形プラスチッで作製されてもよいが、係脱が係脱するためにラッチ部材122の屈曲に依存しないため、従来技術よりも厚くするか又は硬くしてもよい。リテーナばね130及びラッチリテーナ136は、任意の好適な材料で作製されてもよい。一部の実施形態では、リテーナばね130はステンレス鋼のような金属製であり、ラッチリテーナ136は、特に突起150を屈曲させることができる弾性材料で作製され、この目的は
図4及び
図5を参照に以下に述べられる。ハウジング102は、プラスチック又は金属で作製されてもよい。
【0024】
当業者には理解されるように、ラッチ部材122の第1の端部124は、任意の好適な構造によってハウジング102に回転可能に連結されてもよい。例えば、別の実施形態では、ラッチ部材122の第1の端部124は、
図3の光コネクタ100aに示されるように、ピンヒンジ式継手又はナックルピンヒンジ式継手160などの係止ヒンジ式継手によってハウジング102に回転可能に連結される。具体的には、光コネクタ100aのラッチ部材122の第1の端部124は、ヒンジ又はナックルジョイント160によってハウジングに回転可能に連結され、第1の端部124は、例示された実施形態では、ラッチ部材122の第1の端部124内の開口及びハウジングフック126内の開口を通って延びるピンを含む。
図3の光コネクタ100aの残りの部品は、
図1A~
図1Dの光コネクタ100と、構造及び動作において実質的に同様であるため、簡潔にするために説明は繰り返さない。
【0025】
図4A~
図4Cは、
図1及び図
3の光コネクタ100及び100aのような2つの光コネクタを保持して二重コネクタアセンブリ180(
図5G)を形成するように構成された二重クリップ170を例示する。
図4Aは二重クリップ170の上面図であり、
図4Bは二重クリップ170の側面図である。二重クリップ170は、
図4Bに最もよく示されて
いるように、C字形の開口が互いに対面するように、概ねC字形である第1及び第2の湾曲部材172、174を含む。二重クリップ170の下端で、第1及び第2の湾曲部材172、174がブリッジ部材176によって一緒に連結される一方で、二重クリップ170の上端
には、第1及び第2の湾曲部材172、174の間の開口
がある。第1及び第2の湾曲部材172、174は、光コネクタを受容し、かつ光コネクタ100及び100aなどの光コネクタを保持して、二重コネクタアセンブリ180(
図5G)を形成するように構成される。
【0026】
第1及び第2の湾曲部材172、174の下部
には、第1及び第2の湾曲部材172、174の側部から外側に延びるタブ178
がある。タブ178は、光コネクタが二重クリップ170内に保持されているとき、光コネクタと係合するための対向する側部上の凹部182を含む。例えば、
図1A~
図1Dの光コネクタ100のラッチリテーナ136の突起150は、凹部182で第1及び第2の湾曲部材172、174のタブ178と係合するように構成される。特に、突起150は、凹部182でタブ178の側面に当接する。一実施形態では、タブ178は、突起150と係合するように屈曲するように構成される。
【0027】
図4Cは、一実施形態では、
図4A及び
図4Bに示されるC字形及び湾曲ブリッジ部材176に形成される前の、ステンレス鋼である金属薄板のような薄板材料における二重クリップ170の平面図である。
図4Cに示されるように、二重クリップ170は、
図4A及び
図4Bに示される二重クリップ170を形成するために、薄板材料をC字形に容易に形成するための切欠き(除去された材料)を含む。一実施形態では、二重クリップ170は金属薄板材料で作製される。
【0028】
図5A~
図5Gは、
図1及び
図3の光コネクタ100、100aであり得る第1及び第2の光コネクタ100b、100cを、二重クリップ170に取り付けて二重コネクタアセンブリ180を形成するための組立プロセスを例示する。
図5Aでは、第1及び第2の光コネクタ100b、100cは、垂直軸に対して一定位置に配向される。この垂直配向位置では、ラッチリテーナ136の突起150は、垂直軸に平行に配向される。
【0029】
図5Bを参照すると、第1の光コネクタ100bは、
図5Cに示されているように垂直軸に対して約50°の角度で配向された第1の位置に配置された状態で、
図5Bの矢印によって示される方向へ二重クリップ170の第1の湾曲部材172内に摺動する。
図5Dは、二重クリップ170の第1の湾曲部材172内に摺動された後の第1の光コネクタ100bの側面図を示す。
【0030】
図5Eに示されるように、第1の光コネクタ
100bは、第1の湾曲部材172内にある間に第2の位置に回転し、これにより第1の光コネクタ
100bを垂直軸に対して垂直に配向する。第1の光コネクタ
100bが、
図5Cに示されるような第1の位置から
図5Eの第2の位置に回転している間、図の左側の突起150は、それぞれの凹部182間のタブ178と係合する。一実施形態では、第1の光コネクタ100bが第1の位置から第2の位置に回転しているときに左突起150がタブ178に押圧されることによって引き起こされるカム動作は、タブ178を屈曲させる。二重クリップ170の内側に延びるスロットは、タブ178が屈曲することができるように支援する。第1の光コネクタ
100bが第2の位置に移動すると、突起150は、タブ178の側面の凹部182内に配置され、タブ178はそれ以上屈曲されない。
【0031】
第1の光コネクタ100bを第1の湾曲部材172内に保持するために、第1の光コネクタ100bのラッチリテーナ136の突起150は、凹部182でタブ178と係合する。概して、突起150は、凹部182でタブ178の側面に当接する。しかしながら、第1の光コネクタ100bは、ソケットなどの別の部品との好適な位置合わせを可能にするために、第1の湾曲部材172の内側で移動することができる。
【0032】
図5Fに示されるように、第2の光コネクタ100cは、反対方向の垂直軸に対して約50°の一定の角度をなす第1の位置にある間に、開口を通って第2の湾曲部材174内に摺動する。第2の光コネクタ100cは第2の位置に回転し、
図5B~5Eを参照して上述されたものと同様の方法であるが、鏡像的に第2の湾曲部材174に固定される。第1の光コネクタ100bと同様に、第2の光コネクタ100cのラッチリテーナ136の突起150は、凹部182でタブ178と係合する。
図5Gに示されるように、第2の光コネクタ100cの第2の位置を回転させると、二重コネクタアセンブリ180が形成される。第1及び第2の光コネクタ100b、100cは、二重LCソケットとの好適な位置合わせを可能にするために、内部で一部の動きを可能にする方法で、第1及び第2の湾曲部材172、174内に保持される。
【0033】
前述の説明は、光コネクタ及び二重コネクタの構成要素のための様々な材料を記載しているが、任意の好適な材料を使用してもよいことを理解されたい。更に、光コネクタ及び二重コネクタの構成要素の様々な形状は、図示されかつ記載されたものとは異なっていてもよい。例えば、光コネクタのラッチリテーナの突出部は、二重クリップのタブと係合するように構成された任意の形状であってもよい。
【0034】
上述の様々な特徴及び実施形態は、更なる実施形態を提供するために任意の様式で組み合わせられてもよい。上記の発明を実施するための形態を考慮すれば、これら及び他の変更が実施形態に加えられてもよい。概して、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書に開示される特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではないが、かかる特許請求の範囲に権利が与えられた等価物の全範囲と共に全ての可能な実施形態を包含するものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、開示される特定の実施形態に制限されない。