(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】検体測定装置及び検体測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
G01N35/10 C
G01N35/10 F
(21)【出願番号】P 2018033636
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山登 隆司
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 淳
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直介
(72)【発明者】
【氏名】中村 良則
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-040032(JP,A)
【文献】特開平03-054474(JP,A)
【文献】特開2010-216876(JP,A)
【文献】特開2008-224244(JP,A)
【文献】特開2016-191561(JP,A)
【文献】特開2008-058163(JP,A)
【文献】特開2000-105247(JP,A)
【文献】特開2007-256084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0021820(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルと前記ノズルを昇降させる駆動部とを含み、第1の液体と、前記第1の液体と異なる種類の第2の液体と、を吸引する吸引部と、
前記第1及び第2の各液体の液面を検出する液面検出部と、
前記吸引部を制御する制御部と、
前記吸引した前記第1の液体により調製された測定試料の測定を行う測定部と、を備え、
前記制御部は、
前記ノズルを下降させている間に検出した前記第1の液体の液面検出結果に基づいて前記ノズルの下降を停止させ、前記ノズルによって前記第1の液体を吸引させるように前記吸引部を制御し、
前記ノズルを下降させている間に検出した前記第2の液体の液面検出結果に基づいて前記ノズルの下降を停止させ、前記ノズルによって前記第2の液体を吸引させるように前記吸引部を制御し、
前記第2の液体の液面を検出する時に前記ノズルが下降する速さである第2の速さは、前記第1の液体の液面を検出する時に前記ノズルが下降する速さである第1の速さよりも速く、
前記第2の液体は、前記ノズルを洗浄するための洗浄液である、検体測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、
第2の液体に対しては、加速、一定速、減速の各期間を含む加減速駆動モードで前記ノズルを下降させ、前記加減速駆動モードの減速期間中に、前記液面検出部に前記第2の液体の液面を検出させる請求項1に記載の検体測定装置。
【請求項3】
第2の高さを記憶する記憶部と、一定量の前記第2の液体を貯留する第2の液体貯留部と、を更に備え、
前記制御部は、前記第2の液体貯留部に貯留された前記一定量の第2の液体の液面高さより下方の第2の高さまで前記ノズルを下降させる請求項1又は2に記載の検体測定装置。
【請求項4】
第2の高さを記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、
第2の液体に対して、前記第2の高さまで、加速、一定速、減速の各期間を含む加減速駆動モードで前記ノズルを下降させる請求項1又は2に記載の検体測定装置。
【請求項5】
前記第1の液体は、検体または試薬である請求項1~4のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項6】
前記第1の液体は、検体容器に収容された全血を遠心分離して分離された血漿である請求項1~4のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1の液体に対して、加速、一定速、減速を含む加減速駆動モードで前記ノズルを下降させた後、一定速度である定速駆動モードで前記ノズルを下降させ、前記定速駆動モードでの前記ノズルの下降中に、前記液面検出部に前記第1の液体の液面を検出させる請求項1~6のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項8】
第1の高さを記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、
前記第1の液体に対して、加速、一定速、減速を含む加減速駆動モードで前記第1の高さまで前記ノズルを下降させ、前記第1の高さから下方は一定速度である定速駆動モードで前記ノズルを下降させる請求項1~6のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記液面検出結果が所定範囲内である場合、前記第1及び第2の各液体を吸引するよう前記吸引部を制御する請求項1~8のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記液面検出結果が所定範囲内にない場合、異常を示す情報を出力する及び/または前記測定部による測定を中止させる請求項1~9のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項11】
一定量の前記第2の液体を貯留する第2の液体貯留部と、
前記第2の液体貯留部に一定量の前記第2の液体を供給する第2の液体供給部と、
前記第2の液体貯留部に貯留された前記第2の液体を排出する第2の液体排出部と、を更に備え、
前記制御部は、前記液面検出結果が前記所定範囲の下限を超える場合、前記異常を示す情報として、前記第2の液体の供給異常を示す情報を出力し、前記液面検出結果が前記所定範囲の上限を超える場合、前記異常を示す情報として前記第2の液体の排出異常を示す情報を出力する請求項10に記載の検体測定装置。
【請求項12】
一定量の前記洗浄液を貯留する第2の液体貯留部を更に備え、
前記制御部は、前記吸引した洗浄液を前記第2の液体貯留部に吐出するよう前記吸引部を制御する請求項1に記載の検体測定装置。
【請求項13】
前記第2の液体貯留部に貯留された前記洗浄液を排出する第2の液体排出部を更に備え、
前記第2の液体排出部は、前記ノズルによって前記洗浄液を吸引した後、前記第2の液体貯留部から前記洗浄液を排出する請求項12に記載の検体測定装置。
【請求項14】
前記駆動部は、ステッピングモータであり、
前記制御部は、前記液面検出結果として、液面が検出されたときの前記ステッピングモータに供給されたパルス信号のパルス数を用いる請求項1~13のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項15】
前記液面検出部は、前記ノズルと前記第1の液体との接触を検出することにより前記第1の液体の液面を検出し、前記ノズルと前記第2の液体との接触を検出することにより前記第2の液体の液面を検出する請求項1~14のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項16】
前記液面検出部は、静電容量センサである請求項1~15のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項17】
前記第1の液体は、検体または試薬であり、
前記第2の液体は、前記ノズルを洗浄するための洗浄液であり、
前記制御部は、前記第2の液体に対しては、加速、一定速、減速の各期間を含む加減速駆動モードで前記ノズルを下降させ、前記加減速駆動モードの減速期間中に前記ノズルに前記第2の液体の液面を検出させ、
前記第1の液体に対して、加速、一定速、減速を含む加減速駆動モードで前記ノズルを下降させた後、一定速度である定速駆動モードで前記ノズルを下降させ、定速駆動モードの下降中に、前記ノズルに前記第1の液体の液面を検出させる請求項1に記載の検体測定装置。
【請求項18】
一定量の前記第2の液体を貯留する第2の液体貯留部を更に備え、
前記第1の液体は、検体または試薬であり、
前記第2の液体は、前記ノズルを洗浄するための洗浄液であり、
前記制御部は、前記第2の液体貯留部に貯留された前記一定量の前記第2の液体の液面高さより下方の第2の高さまで前記ノズルを下降させる請求項1に記載の検体測定装置。
【請求項19】
前記第2の液体貯留部は、洗浄槽である請求項3、11~13、18のいずれか1項に記載の検体測定装置。
【請求項20】
前記第2の液体供給部は、前記第2の液体貯留部と接続される管である請求項11に記載の検体測定装置。
【請求項21】
前記第2の液体排出部は、前記第2の液体貯留部と接続される管である請求項11または13に記載の検体測定装置。
【請求項22】
第1の速さでノズル
を下降
させている間に検出した第1の液体の液面検出結果に基づいて前記ノズルの下降を停止させ、前記第1の液体を吸引する工程と、
前記第1の速さより速い第2の速さでノズル
を下降
させている間に検出した第2の液体の液面検出結果に基づいて前記ノズルの下降を停止させ、前記第2の液体を吸引する工程と、
前記吸引した前記第1の液体により調製された測定試料の測定を行う工程と、を含み、
前記第2の液体は、洗浄槽に収容され前記ノズルを洗浄するための洗浄液である、検体測定方法。
【請求項23】
前記第1の液体は、検体容器に収容された検体である請求項22に記載の検体測定方法。
【請求項24】
前記第1の液体は、試薬容器に収容された試薬である請求項22に記載の検体測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液等の検体を測定するための検体測定装置及び検体測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検体測定装置は、検体や試薬等の液体を収容した容器からノズルにより液体を吸引するための作業部を含んでいる(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の検体測定装置では、
図19に示すように、検体や試薬などの液体を吸引するのに、容器500内の液体の液面高さT1より上方に下降速度の切替高さT2を設定している。ノズル501は、設定された下降速度の切替高さT2まで高速で下降し、下降速度の切替高さT2から下方ではノズル501は低速で下降し、液体内にノズル501が浸入する。
【0003】
ノズルが液面高さT1まで降下したとき、ノズル501の液面への接触がセンサ502により検出されて液面高さT1が求められる。液体の吸引量と容器の形状は既知であるから、液面高さT1から液体の吸引量に応じた深さだけノズル501が液体内に浸入して停止し、その位置で液体の吸引が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の検体測定装置では、ノズルの下降速度は下降速度の切替高さから下方は低速に設定されており、低速でノズルが液体内に浸入することで精度良く液面が検出できる。一方で、ノズルの下降速度を低速に切り替えているため、液体の吸込作業に時間が掛かり、検体測定を高速に行うことの妨げとなっている。特に、検体測定装置においては様々な種類の液体の吸引が行われるが、どの液体に対しても特許文献1のようにノズルの下降速度を低速に切り替えて吸引を行うと、測定を高速に行うことが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、検体測定装置に関する。本形態に係る検体測定装置(100)は、ノズル(31)とノズル(31)を昇降させる駆動部(37)とを含み、第1の液体と、第1の液体と異なる第2の液体と、を吸引する吸引部と、前記第1及び第2の各液体の液面を検出する液面検出部(35)と、吸引部を制御する制御部(61a)と、吸引した第1の液体により調製された測定試料の測定を行う測定部(51)と、を備え、制御部(61a)は、ノズル(31)を下降させている間に検出した第1の液体及び第2の液体の各液面検出結果に基づいて第1の液体及び第2の液体を吸引し、第2の液体の液面を検出する時にノズル(31)が下降する速さである第2の速さは、第1の液体の液面を検出する時にノズル(31)が下降する速さである第1の速さよりも速い。
【0007】
検体測定装置においては、ノズルを下降させて第1及び第2の各液体を吸引する。出願人は、検体測定装置内で吸引される液体の中には、液面検出の精度がそれほど良くなくても測定試料の測定結果に与える影響が少ないものがあることを見出した。このため、本形態では、液面検出の精度が測定に与える影響が大きい第1の液体と、液面検出の精度が測定に与える影響が第1の液体より小さい第2の液体とに対して、それぞれ、ノズルを下降させる速度を異ならせている。第2の液体に対しては、第1の速度よりも速い第2の速さでノズルを下降させているため、ノズルの先端が第1の液体の液面に接触するときに液面の変動が少なく、また、ノズルの先端が接触の衝撃で振動しにくい。このため、第1の液体の液面を、第2の液体に比べて精度良く検出することができ、第1の液体は正確な量が吸引されるため、第1の液体により調製される測定試料の測定が正確に行われる。一方、第2の液体は、測定試料の測定に影響は及ぼす影響は小さいため、第1の液体に比べて、正確な量を吸引しなくてもよく、液面を検出する精度も高い必要がない。このため、第2の液体に対して、高速にノズルを下降させることができる。
【0008】
このように、液面検出の精度が測定に与える影響が大きい第1の液体と、液面検出の精度が測定に与える影響が第1の液体より小さい第2の液体とに対して、それぞれ、ノズルを下降させる速度を異ならせ、第2の液体に対しては、第1の速度よりも速い第2の速さでノズルを下降させることで、測定の高速化を図りつつ、正確な測定が可能となる。
【0009】
本形態に係る検体測定装置において、第2の液体は、ノズル(31)を洗浄するための洗浄液であり得る。
【0010】
洗浄液はノズルを洗浄できればよく、測定試料の測定に与える影響が少ないため、第1の液体を吸引する場合と比較して、それほど正確な量で吸引する必要がない。
【0011】
本形態に係る検体測定装置において、制御部(61a)は、第2の液体に対しては、加速、一定速、減速の各期間を含む加減速駆動モードでノズル(31)を下降させ、加減速駆動モードの減速期間中に、液面検出部(35)に第2の液体の液面を検出させる。
【0012】
第2の液体は、液面検出の精度が測定試料の測定に与える影響が少ないが、できるだけ精度良く液面を検出することが望ましい。このため、ノズルの下降の減速期間中に液面検出を行う。
【0013】
本形態に係る検体測定装置において、第2の高さ(hC2)を記憶する記憶部と、一定量の第2の液体を貯留する第2の液体貯留部(41,42,43,44)とを備え、制御部(61a)は、第2の液体貯留部(41,42,43,44)に貯留された一定量の第2の液体の液面高さより下方の第2の高さ(hC2)までノズル(31)を下降させてもよい。
【0014】
第2の高さは、第2の液体の吸引量に所定の余裕値を加えて予め定められて記憶部に記憶されており、制御部は、ノズルを第2の高さまで下降させることで、確実に第2の液体を所定量吸引することができる。
【0015】
本形態に係る検体測定装置において、第2の高さ(hC2)を記憶する記憶部を備え、制御部(61a)は、第2の液体に対して、第2の高さ(hC2)まで、加速、一定速、減速の各期間を含む加減速駆動モードでノズル(31)を下降させてもよい。
【0016】
ノズルを加減速駆動モードで第2の高さまで下降させることで、第2の高さまで高速で到達させることができる。
【0017】
本形態に係る検体測定装置において、第1の液体は、検体または試薬であり得る。
【0018】
検体や試薬は、吸引される量が異なると、分注される量が変わり、測定に必要な検体と試薬の反応に影響を及ぼす。そのため、検体と試薬の吸引量の違いにより測定結果に与える影響が大きく、正確な吸引量での吸引が求められる。
【0019】
本形態に係る検体測定装置において、第1の液体は、検体容器(10)に収容された全血を遠心分離して分離された血漿であり得る。
【0020】
検体が血漿であり、かつ、測定が凝固測定である場合には、より慎重に下降させることが好ましい。以下に理由を説明する。全血を遠心分離した場合、検体容器内の血漿領域と赤血球領域との間に、バフィーコートと呼ばれる血小板および白血球の層が形成される。検体へのバフィーコートの混入が、血液凝固検査に関する測定に影響を及ぼし、血液凝固検査に関する測定に基づく分析において偽陽性を生じるおそれがある。血液凝固検査を行う場合に、ノズルを高速で下降すると、ノズルの下降のさせ過ぎ、すなわちオーバーランが生じることがあるが、ノズルを低速で下降させて液面検出することで、ノズルの下降のさせ過ぎを抑制することができる。その結果、凝固測定に用いられる検体へのバフィーコートの混入を抑制できる。よって、血液凝固検査に関する測定を適正に行うことができる。
【0021】
本形態に係る検体測定装置において、制御部(61a)は、第1の液体に対して、加速、一定速、減速を含む加減速駆動モードでノズル(31)を下降させた後、一定速度である定速駆動モードでノズル(31)を下降させ、定速駆動モードでのノズル(31)の下降中に、液面検出部(35)に第1の液体の液面を検出させてもよい。
【0022】
加減速駆動モードで高速でノズルを下降させ、その後、低速の定速駆動モードでノズルを下降させて液面検出を行うことにより、ノズルを速く下降させることができるとともに、精度良く液面検出を行うことができる。
【0023】
本形態に係る検体測定装置において、第1の高さ(hS1,hR1,hR1-1)を記憶する記憶部を備え、制御部(61a)は、第1の液体に対して、加速、一定速、減速を含む加減速駆動モードで第1の高さ(hS1,hR1,hR1-1)までノズル(31)を下降させ、第1の高さ(hS1,hR1,hR1-1)から下方は一定速度である定速駆動モードでノズル(31)を下降させてもよい。
【0024】
第1の高さは、どのような第1の液体の液面高さからでも十分に離れた位置となるように設定されており、第1の高さで加減速駆動モードと定速駆動モードとを切り換えることにより、加減速駆動モードで高速でノズルを下降させ、その後、低速の定速駆動モードでノズルを下降させて液面検出を行うことができ、ノズルを速く下降させることができるとともに、精度良く液面検出を行うことができる。
【0025】
本形態に係る検体測定装置において、制御部(61a)は、液面検出結果が所定範囲内である場合、第1及び第2の各液体を吸引するよう吸引部を制御してもよい。
【0026】
第1、第2の各液体に対して、液面高さが所定範囲内にある場合にのみ吸引を行うことで、確実に所定の量を吸引できる。
【0027】
本形態に係る検体測定装置において、制御部(61a)は、液面検出結果が所定範囲内にない場合、異常を示す情報を出力する及び/または測定部(51)による測定を中止させてもよい。
【0028】
作業者は液面検出結果の異常を知ることができる。また、液面検出結果が所定範囲内にない場合には、ノズルは各液体を所定の量吸引できず、ノズルで吸引された液体を用いて測定を行っても正確な測定が行われないことがある。制御部が測定を中止させることで、不正確な測定が行われるのを防ぐことができる。
【0029】
本形態に係る検体測定装置において、一定量の第2の液体を貯留する第2の液体貯留部(41,42,43,44)と、第2の液体貯留部(41,42,43,44)に一定量の第2の液体を供給する第2の液体供給部(41c)と、第2の液体貯留部(41,42,43,44)に貯留された第2の液体を排出する第2の液体排出部(41c)と、を備え、制御部(61a)は、液面検出結果が所定範囲の下限を超える場合、異常を示す情報として、第2の液体の供給異常を示す情報を出力し、液面検出結果が所定範囲の上限を超える場合、異常を示す情報として第2の液体の排出異常を示す情報を出力してもよい。
【0030】
第2の液体は、ノズルの洗浄時に第2の液体供給部から第2の液体貯留部に貯留され、ノズルが洗浄された後で第2の液体排出部から排出される。制御部は、第2の液体の液面の適正な所定範囲を定めることで、第2の液体の供給異常及び排出異常を検知することができる。
【0031】
本形態に係る検体測定装置において、一定量の洗浄液を貯留する第2の液体貯留部(41,42,43,44)を備え、制御部(61a)は、吸引した洗浄液を第2の液体貯留部(41,42,43,44)に吐出するよう吸引部を制御してもよい。
【0032】
ノズルが洗浄液を吸引した後に吐出することで、ノズル内の流路を洗浄することができる。
【0033】
本形態に係る検体測定装置において、第2の液体貯留部(41,42,43,44)に貯留された洗浄液を排出する第2の液体排出部(41c)と、を備え、第2の液体排出部(41c)は、洗浄液を吸引した後、第2の液体貯留部(41,42,43,44)から洗浄液を排出してもよい。
【0034】
洗浄液を吸引した後、第2の液体貯留部から残った洗浄液を排出しない場合、ノズルから吸引した洗浄液を吐出すると、ノズルの流路の汚れを含んだ洗浄液が第2の液体貯留部内に戻り、ノズルの外周面が汚染される。しかし、本形態では、洗浄液を吸引した後、第2の液体貯留部から洗浄液を排出し、その後にノズルから吸引した洗浄液を吐出しているので、吐出した洗浄液は第2の液体貯留部の底部に溜まりノズルの外周面を汚染しない。
【0035】
本形態に係る検体測定装置において、駆動部(37)は、ステッピングモータであり、制御部(61a)は、液面検出結果として、液面が検出されたときのステッピングモータに供給されたパルス信号のパルス数を用いてもよい。
【0036】
ステッピングモータを用いてノズルを駆動することで、ステッピングモータに供給するパルス信号のパルス数を液面高さに相当する値として用いることができる。
【0037】
本形態に係る検体測定装置において、液面検出部(35)は、ノズル(31)と第1及び第2の各液体との接触を検出することにより第1及び第2の各液体の液面を検出することが好ましい。
【0038】
ノズルの先端と第1及び第2の各液体との接触を検出することで、確実に液面を検出することができる。
【0039】
本形態に係る検体測定装置において、液面検出部(35)は、静電容量センサであることが好ましい。
【0040】
本形態に係る検体測定装置において、第1の液体は、検体または試薬であり、第2の液体は、ノズル(31)を洗浄するための洗浄液であり、制御部(61a)は、第2の液体に対しては、加速、一定速、減速の各期間を含む加減速駆動モードでノズル(31)を下降させ、加減速駆動モードの減速期間中にノズル(31)に第2の液体の液面を検出させ、第1の液体に対して、加速、一定速、減速を含む加減速駆動モードでノズル(31)を下降させた後、一定速度である定速駆動モードでノズル(31)を下降させ、定速駆動モードの下降中に、ノズル(31)に第1の液体の液面を検出させてもよい。
【0041】
液面検出の精度が測定に与える影響が大きい試薬または検体と、液面検出の精度が測定に与える影響が試薬または検体より小さい洗浄液とに対して、それぞれ、ノズルを下降させる速度を異ならせている。洗浄液に対しては、ノズルの下降が加減速駆動モードの減速期間中である場合に液面を検出し、試薬または検体に対しては、定速駆動モードでノズルを下降させている場合に液面を検出している。洗浄液は、試薬または検体に比べて、正確な量を吸引しなくてもよく、液面を検出する精度も高くなくて良い。このため、洗浄液の液面を検出する時に時にノズルが下降する速さである第2の速さは、試薬または検体の液面を検出する時にノズルが下降する速さである第1の速さよりも速くできる。
【0042】
本形態に係る検体測定装置において、一定量の第2の液体を貯留する第2の液体貯留部(41,42,43,44)を備え、第1の液体は、検体または試薬であり、第2の液体は、ノズル(31)を洗浄するための洗浄液であり、制御部(61a)は、第2の液体貯留部(41,42,43,44)に貯留された一定量の第2の液体の液面高さより下方の第2の高さ(hC2)までノズル(31)を下降させてもよい。
【0043】
ノズルを第2の高さまで下降させることで、確実に洗浄液の吸引を行うことができる。
【0044】
本形態に係る検体測定装置において、第2の液体貯留部(41)は、洗浄槽であってもよい。
【0045】
本形態に係る検体測定装置において、第2の液体供給部(41c)は、第2の液体貯留部(41)と接続される管であってもよい。
【0046】
本形態に係る検体測定装置において、第2の液体排出部(41c)は、第2の液体貯留部(41)と接続される管であってもよい。
【0047】
本発明に係る第2の態様は、検体測定方法に関する。本態様に係る検体測定方法によれば、第1の速さでノズル(31)が下降する時に検出した第1の液体の液面検出結果に基づいて第1の液体を吸引する工程と、第1の速さより速い第2の速さでノズル(31)が下降する時に検出した第2の液体の液面検出結果に基づいて第2の液体を吸引する工程と、吸引した第1の液体により調製された測定試料の測定を行う工程と、を含む。
【0048】
本態様による検体測定方法によれば、液面検出の精度が測定に与える影響が大きい第1の液体と、液面検出の精度が測定に与える影響が第1の液体より小さい第2の液体とに対して、それぞれ、ノズルを下降させる速度を異ならせ、第2の液体に対しては、第1の速度よりも速い第2の速さでノズルを下降させることで、測定の高速化を図りつつ、正確な測定が可能となる。
【0049】
本態様による検体測定方法において、第1の液体は、検体容器に収容された検体であることが好ましい。
【0050】
本態様による検体測定方法において、第1の液体は、試薬容器に収容された試薬であることが好ましい。
【0051】
検体や試薬は、吸引される量が異なると、分注される量が変わり、測定に必要な検体と試薬の反応に影響を及ぼす。そのため、検体と試薬の吸引量の違いにより測定結果に与える影響が大きく、正確な吸引量での吸引する必要があり、液面検出の精度が求められる。
【0052】
本態様による検体測定方法において、第2の液体は、洗浄槽に収容され前記ノズルを洗浄するための洗浄液であることが好ましい。
【0053】
洗浄液はノズルを洗浄できればよく、測定試料の測定に与える影響が少ないため、第1の液体を吸引する場合と比較して、それほど正確な量で吸引する必要がない。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、測定の高速化を図りつつ、正確な測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】一実施形態に係る検体測定装置の概略構成を示す図である。
【
図3】記憶部に記憶されるパラメータを示す図である。
【
図4】ノズルが検体容器内へ下降する動作の説明図であり、(A)はノズルを検体容器の真上に位置付けた状態を示す図であり、(B)はノズルを第1の高さまで下降させた状態を示す図であり、(C)はノズルが検体の液面と接触した状態を示す図であり、(D)は検体の分注量に応じた深さまでノズルを下降させた状態を示す図である。
【
図5】(A)は検体分注動作におけるステッピングモータの速度変化の説明図、(B)は洗浄動作におけるステッピングモータの速度変化の説明図である。
【
図6】ノズルが洗浄槽内へ下降する動作の説明図であり、(A)はノズルを洗浄槽の真上に位置付けた状態を示す図であり、(B)はノズルが洗浄液の液面と接触した状態を示す図であり、(C)は第2の高さまでノズルを下降させた状態を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る検体測定装置の構成を示す図である。
【
図12】液面高さの異常を通知する画面の例である。
【
図13】検体測定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】洗浄動作処理の手順を示すフローチャートである。
【
図15】洗浄動作処理の手順を示すフローチャートである。
【
図16】初期液面高さ検出動作処理の手順を示すフローチャートである。
【
図17】検体分注動作処理の手順を示すフローチャートである。
【
図18】試薬分注動作処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1~
図18を参照して、一実施形態の検体測定装置100及び検体測定方法を説明する。
図1において、XYZ軸は互いに直交しており、Z軸正方向は鉛直下方向に対応する。なお、他の図においても、XYZ軸は
図1と同様に設定されている。
【0057】
(検体測定装置100の概略構成)
図1を参照して、検体測定装置100の概略構成を説明する。検体測定装置100は、検体容器10に収容された検体を測定する。一例では、検体測定装置100は血液凝固測定装置であり、検体は全血または血漿であり、検体容器10は採血管である。検体測定装置100は、検体分注機構30と、試薬分注機構161と、洗浄機構40、46と、測定部51とを備える。検体分注機構30は、検体を検体容器10から例えばキュベットである他の容器20に分注するものであり、ノズル31とアーム32を備える。ノズル31は吸引管から構成され、検体の吸引および吐出が可能に構成されている。アーム32の端部に、ノズル31が設けられ、アーム32は、旋回可能に構成されている。試薬分注機構161は、試薬を試薬容器131から他の容器20に分注するものである。洗浄機構40は検体分注機構30のノズル31を洗浄するためのものであり、洗浄槽41と、洗浄槽41に洗浄液及び洗浄水を供給するための機構と、ノズル31の内部に洗浄液及び洗浄水を供給するための機構とを備える。洗浄機構46は、試薬分注機構161のノズル31を洗浄するためのものであり、洗浄槽43を備える。他の構成は洗浄機構40と同様である。
【0058】
検体容器10が所定の位置に位置付けられると、検体分注機構30は、アーム32を旋回させてノズル31を検体容器10の真上に位置付ける。続いて、検体分注機構30は、アーム32を下降させてノズル31を下降させ、ノズル31の先端31aから検体容器10内の検体を吸引する。
【0059】
検体が吸引されると、検体分注機構30は、アーム32を上昇させてノズル31を上昇させる。続いて、検体分注機構30は、アーム32を旋回させてノズル31を他の容器20の真上に位置付け、アーム32を下降させてノズル31の先端を他の容器20に挿入する。そして、検体分注機構30は、検体容器10から吸引した検体を他の容器20に吐出する。
【0060】
その後、他の容器20に吐出された検体には、試薬分注機構161により所定の試薬が添加される。試薬分注機構161は、アーム32を旋回させてノズル31を試薬容器131の真上に位置付ける。続いて、試薬分注機構161は、アーム32を下降させてノズル31を下降させ、ノズル31の先端31aから試薬容器131内の試薬を吸引する。
【0061】
試薬が吸引されると、試薬分注機構161は、アーム32を上昇させてノズル31を上昇させる。続いて、試薬分注機構161は、ノズル31を検体が収容された他の容器20の真上に位置付け、アーム32を下降させてノズル31の先端31aを他の容器20に挿入し、試薬容器131から吸引した試薬を他の容器20に吐出する。
【0062】
試薬が添加された検体は測定試料として測定部51に移送されて、例えば、血液凝固検査に関する測定が行われる。
【0063】
検体容器10から他の容器20への検体の分注を終えた検体分注機構30は、アーム32を旋回させてノズル31を洗浄槽41の真上に位置付ける。続いて、ノズル31を下降させてノズル31の先端31aを洗浄槽41の内部に挿入する。洗浄機構40は、洗浄槽41に洗浄液を供給して、洗浄液中に進入したノズル31の外周面を洗浄するとともに、ノズル31が洗浄液を吸引、吐出することで、ノズル31内の流路31bが洗浄される。ノズル31の洗浄は、異なる検体の吸引ごとに行われる。
【0064】
試薬容器131から他の容器20への試薬の分注を終えた試薬分注機構161は、検体分注機構30と同様に、洗浄槽46を有する洗浄機構43によりノズル31内の流路31bおよび外周面が洗浄される。ノズル31の洗浄は、異なる試薬の吸引ごとに行われる。
【0065】
(検体測定装置100の概略回路構成)
図2は、検体測定装置100の概略回路構成を示すブロック図である。
図2の回路構成は、
図1を参照して説明した構成を示している。検体測定装置100は、検体分注機構30と、試薬分注機構161と、洗浄機構40と、測定部51と、制御部61aと、記憶部61bと、通知部61cとを備える。検体分注機構30は、ノズル31を下降、旋回させるための駆動部37、38、液面検出用のセンサ35等を備える。試薬分注機構161は、ノズル31を下降させるための駆動部37、センサ35等を備える。洗浄機構40は、ノズル31及び洗浄槽41に洗浄液及び洗浄水を供給するためのポンプ等の機構を備える。駆動部37、38は本形態ではステッピングモータを含む。
【0066】
制御部61aは、CPUから構成され、記憶部61bに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して各機構を制御する。制御部61aは、検体分注機構30に後述する検体分注動作を行わせるとともに、試薬分注機構161に後述する試薬分注動作を行わせる。また、制御部61aは、後述するように、洗浄機構40に、検体分注動作が終了した検体分注機構30のノズル31の洗浄動作を行わせ、試薬分注動作が終了した試薬分注機構161のノズル31の洗浄を行わせる。記憶部61bは、ROM、RAM、ハードディスク等により構成され、制御部61aが実行するプログラムを記憶するととともに、
図3に示すような、検体分注動作、試薬分注動作、試薬の初期液面高さ検出動作、洗浄動作に必要なパラメータを記憶している。パラメータとは、項目と項目に対応する値とを含むものであり、
図3に示す項目に対応する値は一例である。通知部61cは、各動作の異常動作時に異常を通知するものである。
【0067】
(検体分注動作の概略)
検体分注動作の概略について説明する。制御部61aは、
図4(A)に示すように、検体分注機構30のノズル31を検体容器10の真上に位置付けた後、
図4(B)に示すように、第1の高さhS1まで加減速駆動モードでノズル31を下降させる。第1の高さhS1は検体に応じて定められており、予め記憶部61bに記憶されている。第1の高さhS1より下方では、ノズル31の下降速さを切り替え、定速駆動モードでノズル31を下降させる。第1の高さhS1は、ノズル31の下降のモードを加減速駆動モードから定速駆動モードへ切り替える高さであり、ノズル31が確実に定速駆動モードで下降するように、検体の液面高さから十分に上方に離れた位置となるように設定されている。第1の高さhS1は、記憶部61bにおいて、ノズル31を第1の高さhS1まで下降させたときにステッピングモータに供給されるパルス数として記録されている。例えば、
図3に示す一例では、第1の高さhS1は250パルス(pls)である。
【0068】
図4(C)に示すように、制御部61aはノズル31の先端31aが検体の液面と接触したことをセンサ35により検出すると、駆動部37のステッピングモータに供給したパルス数、すなわち、その時点における液面高さLSに相当するパルス数を記憶部61bに記憶する。
図3に示す一例では、液面高さLSは300パルス(pls)である。
【0069】
制御部61aは、
図4(D)に示すように、液面高さLSから検体の分注量に応じた深さhS0までさらに下方位置にノズル31を下降させ検体を吸引する。検体の分注量に応じた深さhS0は検体の種類に応じて異なり、予め記憶部61bに記憶されている。検体の分注量に応じた深さhS0は、検出される液面高さLSからノズル31を下降させる深さであり、検体容器10に収容された検体の量、検体の吸引量、検体容器10の形状とが既知であることから、検体の吸引量に所定の余裕値を加えて予め定められる。検体の分注量に応じた深さhS0は、記憶部61bにおいて、ノズル31を液面高さLSから検体の分注量に応じた深さhS0までさらに下方位置に下降させたときにステッピングモータに供給されるパルス数として記録されており、
図3に示す一例では、検体の分注量に応じた深さhS0は25パルス(pls)である。
【0070】
「加減速駆動モード」とは、加速、一定速、減速の各期間を含むように加減速する速度でノズル31及びステッピングモータを駆動するモードを言う。また、「定速駆動モード」とは、時間に対して一定の速度でノズル31及びステッピングモータを駆動するモードを言う。ノズル31は、駆動部37を構成するステッピングモータにより駆動され、ステッピングモータに供給されるパルス数がノズル31の下降する距離に比例する。このため、ステッピングモータを加減速駆動モード及び定速駆動モードで駆動することで、ノズル31は加減速駆動モード及び定速駆動モードで下降する。例えば、ステッピングモータに1パルス供給されると、ノズル31は0.12mm下降する。
【0071】
図5(A)は、検体分注動作におけるステッピングモータの速度の変化の一例を示す図である。制御部61aは、ノズル31の下降開始時点である時刻t0から、第1の高さhS1にノズル31の先端31aが到達する時刻t3まで、ステッピングモータを加減速駆動モードで駆動させ、時刻t3から、ノズル31の先端31aが検体の液面高さLSから検体の分注量に応じた深さhS0を減じた位置に到達する時刻t5までは、ノズル31を定速駆動モードで下降させる。
【0072】
加減速駆動モードは、時刻t0でステッピングモータを起動パルス速度f1で起動させてノズル31を駆動した後、加速期間を設けて運転パルス速度を徐々に上げて加速し、時刻t1でステッピングモータが運転パルス速度f2に達した後は運転パルス速度f2の一定速運転を行わせ、時刻t2から減速期間を設けてパルス速度を徐々に下げて減速し、時刻t3でステッピングモータが起動パルス速度f1に達する駆動を行う。
図3に示す一例では、起動パルス速度f1は650pps(パルス数/秒)であり、運転パルス速度f2は2000pps(パルス数/秒)である。
【0073】
定速駆動モードは、加速・減速期間を設けることなく、ステッピングモータを一定速度で駆動させており、本形態では、加減速駆動モードが終了しステッピングモータが起動パルス速度f1に達した時刻t3から、起動パルス速度f1の一定速で時刻t5まで駆動し、時刻t5で運転を瞬時に停止させる。
【0074】
起動パルス速度f1は、ステッピングモータの最大自起動速度よりも低速側の領域(自起動領域)に設定されており、運転パルス速度f2は、最大自起動速度よりも高速側(スルー領域)に設定されている。
【0075】
制御部61aは、時刻t3から時刻t5までの定速駆動モードでの駆動時にノズル31の先端31aが検体の液面と接触するようにステッピングモータを駆動させる。ノズル31の先端31aが検体の液面と接触した時の時刻t4における速さを第1の速さV1と言う。第1の速さV1は、起動パルス速度f1と同じ速さとなる。
【0076】
(試薬分注動作の概略)
次に、試薬分注動作の概略について説明する。制御部61aは、
図4(A)に示すように、試薬分注機構161のノズル31を試薬容器131の真上に位置付けた後、
図4(B)に示すように、加減速駆動モード試薬液面の高さLRに応じて設定された第1の高さhR1まで、加減速駆動モードでノズル31を下降させる。第1の高さhR1より下方では、ノズル31の下降速さを切り替え、加減速駆動モードより遅い定速駆動モードによってノズル31を下降させる。なお、加減速駆動モード及び定速駆動モードは、検体分注動作の加減速駆動モード、定速駆動モードと同様に説明される。第1の高さhR1は、ノズル31の下降のモードを加減速駆動モードから定速駆動モードへの切り替える高さである。第1の高さhR1は、記憶部61bにおいて、ノズル31を第1の高さhR1まで下降させたときにステッピングモータに供給されるパルス数として記録されている。例えば、
図3に示す一例では、第1の高さhR1は250パルス(pls)である。
【0077】
制御部61aは、前回の試薬分注動作において、ノズル31の先端31aが検体の液面と接触したことをセンサ35により検出すると、この液面高さLRから試薬の吸引量に応じた高さを減ずることで前回の吸引後の液面高さLRを算出して記憶部61bに記憶している。今回の試薬分注動作では、この記憶部61bに記憶された前回の吸引後の液面高さLRから所定距離上方の位置を第1の高さhR1として設定する。これにより、加減速駆動モード時にノズル31を下降させる距離を液面高さLRに応じて変化させることができ、試薬の分注動作を高速に行うことができる。前回の吸引後の液面高さLRは、記憶部61bにおいて、ノズル31を第1の高さhR1まで下降させたときにステッピングモータに供給されるパルス数として記録されている。例えば、
図3に示す一例では、前回の吸引後の液面高さLRは300パルス(pls)である。
【0078】
制御部61aは、
図4(C)に示すように、ノズル31の先端31aが試薬の液面と接触したことをセンサ35により検出すると、駆動部37のステッピングモータに供給したパルス数、すなわち、その時点における液面高さLRに相当するパルス数を記憶部61bに記憶する。
図3に示す一例では、液面高さLRは300パルス(pls)である。
【0079】
制御部61aは、
図4(D)に示すように、液面高さLRから試薬の分注量に応じた深さhR0までさらに下方の位置にノズル31を下降させる。試薬の分注量に応じた深さhR0は試薬の種類に応じて異なり、予め記憶部61bに記憶されている。試薬の分注量に応じた深さhR0は、検出される液面高さLRからノズル31を下降させる深さであり、試薬容器131に収容された試薬の量、試薬の吸引量、試薬容器131の形状とが既知であることから、試薬の吸引量に所定の余裕値を加えて予め定められる。試薬の分注量に応じた深さhR0は、記憶部61bにおいて、ノズル31を液面高さLRから試薬の分注量に応じた深さhR0まで下降させたときにステッピングモータに供給されるパルス数として記録されており、
図3に示す一例では、試薬の分注量に応じた深さhR0は25パルス(pls)である。
【0080】
上述したように、第1の高さhR1を設定するための試薬の液面高さLRは、前回の試薬分注動作において液面を検出したときの液面高さから試薬の吸引量に応じた高さを減ずることによって得ている。このため、一度試薬分注を行うと、その後も高速な試薬分注動作を行うことが可能である。しかし、検体測定装置100が起動された直後や、起動後に試薬容器131が交換された場合には、記憶部61bに各試薬容器131の液面高さLRの情報が記憶されていなかったり、誤った情報が記憶されている場合がある。このため、制御部61aは、検体測定装置100が起動された直後や、試薬容器131が交換された直後であることを検知すると、使用する試薬が収容された試薬容器131に対して試薬の液面高さLRを検出する動作(以下、「初期液面高さ検出動作」という)を行い、試薬の液面高さLRを取得して記憶部61bに記憶する。初期液面高さ検出動作においては、制御部61aは、予め定められた第1の高さhR1-1で加減速駆動モードと定速駆動モードとを切り替える。第1の高さhR1-1は、記憶部61bにおいて、ノズル31を第1の高さhR1-1まで下降させたときにステッピングモータに供給されるパルス数として記録されている。例えば、
図3に示す一例では、第1の高さhR1-1は250パルス(pls)である。
【0081】
(洗浄動作の概略)
次に、洗浄動作の概略について説明する。制御部61aは、
図6(A)に示すように、検体分注機構30のノズル31を洗浄機構40の洗浄槽41の真上に位置付けた後、加減速駆動モードによってノズル31を下降させる。
図6(B)に示すように、制御部61aはノズル31の先端31aが洗浄液の液面と接触したことをセンサ35により検出すると、駆動部37のステッピングモータに供給したパルス数、すなわち、その時点における液面高さLCに相当するパルス数を記憶部61bに記憶する。
図3に示す一例では、液面高さLCは220パルス(pls)である。
【0082】
制御部61aは、
図6(C)に示すように、第2の高さhC2までさらにノズル31を下降させる。第2の高さhC2は、ノズル31を第2の高さhC2まで下降させたときにステッピングモータに供給されるパルス数として、記憶部61bに記憶されている。第2の高さhC2は、予め定められた高さであり、洗浄槽41に収容された洗浄液の量、洗浄液の吸引量、洗浄槽41の形状とが既知であることから、洗浄槽41に収容された洗浄液の高さ位置に、洗浄液の吸引量に相当する高さと所定の余裕値を減じた高さとして予め定められる。なお、洗浄液の吸引量は、検体及び試薬の吸引量よりも多く設定される。
図3に示す一例では、第2の高さhC2は300パルス(pls)である。
【0083】
制御部61aは、液面高さLCに相当するパルス数が、記憶部61bに記憶された液面高さが正常であることを示す所定の範囲内にあるか否かを判断し、所定の範囲内にある場合には、洗浄液を吸引する。所定の範囲内にない場合には、通知部61cにより異常を通知する。
図3に示す一例では、液面高さの正常範囲の下限値が280パルス(pls)、液面高さの正常範囲の上限値が320パルス(pls)である。
【0084】
洗浄動作の加減速駆動モードは、検体分注動作の加減速駆動モードと同様に説明される。
図5(B)は、洗浄動作におけるステッピングモータの速度の変化の一例を示す図である。制御部61aは、ノズル31の下降開始時点である時刻t6から第2の高さhC2に達する時刻t10まで、ステッピングモータを加減速駆動モードで駆動させる。加減速駆動モードは、時刻t6でステッピングモータを起動させてノズル31を起動パルス速度f1で駆動した後、加速時間を設けて運転パルス速度を徐々に上げて加速し、時刻t7でステッピングモータが運転パルス速度f2に達した後は運転パルス速度f2の一定速運転を行わせ、時刻t8から減速時間を設けてパルス速度を徐々に下げて減速し、時刻t10でステッピングモータが起動パルス速度f1に達する駆動を行う。
【0085】
ノズル31の先端31aが検体の液面と接触する時刻t9は、ノズル31の減速時間の間、すなわち、時刻t8から時刻t10までの間に設定される。時刻t9における速さを第2の速さV2と言う。第2の速さV2は、検体分注動作、試薬分注動作時の第1の速さV1よりも速く設定される。
【0086】
検体分注動作、試薬分注動作、初期液面高さ検出動作、洗浄動作の各動作における各起動パルス速度f1、各運転パルス速度f2は、同じ値が設定されてもよいが、異なる値が設定されていてもよい。また、検体分注動作における起動パルス速度f1、各運転パルス速度f2は、それぞれ、検体毎に異なっていてもよく、試薬分注動作、初期液面高さ検出動作の各動作における各起動パルス速度f1、各運転パルス速度f2は、それぞれ、試薬毎に異なっていてもよい。また、検体分注動作、試薬分注動作、初期液面高さ検出動作の各動作の加減速駆動モードにおいて、時刻t0における起動パルス速度f1と、時刻t3における起動パルス速度f1とは同じ値が設定されてもよいが、異なる値が設定されていてもよい。また、洗浄動作において、時刻t6における起動パルス速度f1と、時刻t10における起動パルス速度f1とは同じ値が設定されてもよいが、異なる値が設定されていてもよい。
【0087】
第1の液体は、吸引量の誤差が測定部51の測定結果に与える影響が後述する第2の液体よりも大きい液体、または第2の液体よりも確実に液面を検出する必要がある液体であることが好ましく、例えば、検体、試薬、二次分注液体のいずれかとされ得る。第2の液体は、例えば、洗浄液又は一次分注液体のいずれかとされ得る。なお、一次分注液体とは、検体容器から検体を多めに吸引して他の容器に吐出する一次分注を行い、次に、他の容器から規定量の検体を吸引してさらに別の容器に吐出する二次分注を行う場合に、一次分注される液体を言い、二次分注液体とは、同様の場合に二次分注される液体を言う。
【0088】
第1の液体は、ノズル31を加減速駆動モードで下降させた後、定速駆動モードで下降させて、定速駆動モード時に吸引される。ノズル31が第1の液面に接触する時の第1の速度V1は、第2の液面に接触する時の第2の速度V2よりも遅く、かつ下降の速度が一定であるため、ノズル31の先端31aが第1の液体の液面に接触するときに液面の変動が少なく、また、ノズル31の先端31aが接触の衝撃で振動しにくい。このため、第2の液体に比べ、精度良く第1の液体の液面を検出することができる。また、ノズル31が第1の液体の分注量に応じた深さで正確に停止できずオーバーランすることが防がれ、第2の液体の吸引に比べ、正確な分注量を吸引することができる。従って、測定試料の測定を正確に行うことができる。
【0089】
また、第2の液体は、ノズル31が第1の液体に比べて正確な量を吸引しなくても、測定試料の測定に及ぼす影響は小さいため、ノズル31が第2の液面に接触する時の第2の速度V2は第1の液面に接触する時の第1の速度V1よりも速くするこができる。このため、加減速駆動モードと定速駆動モードとの切り替えを行わず、ノズル31を加減速駆動モードで下降させることができ、結果として測定試料の測定の高速化につながる。
【0090】
このように、液面検出の精度が測定に与える影響が大きい第1の液体と、液面検出の精度が測定に与える影響が第1の液体より小さい第2の液体とに対して、それぞれ、ノズル31を下降させる速度を異ならせ、第2の液体に対しては、第1の速度よりも速い第2の速さでノズル31を下降させることで、測定の高速化を図りつつ、正確な測定が可能となる。
【0091】
(検体測定装置100の具体的構成)
以下、検体測定装置100の具体的構成について
図7~
図11を用いて説明する。本形態においては、検体測定装置100は血液凝固測定装置である。検体は、検体容器に収容された全血を遠心分離して分離された血漿である。なお、検体測定装置100は免疫測定装置または生化学分析装置であってもよく、この場合、検体は全血、血漿、血清のいずれかであり得る。
【0092】
検体測定装置100は、測定ユニット61と、搬送ユニット63と、分析ユニット64とを備える。測定ユニット61は、搬送ユニット63と分析ユニット64に対して通信可能に接続されている。
【0093】
(搬送ユニット63)
搬送ユニット63は、検体容器10を測定ユニット61に搬送するための機構であり、
図7に示すように、ラックセット部63aと、ラック搬送部63bと、ラック回収部63cとを備える。ラックセット部63aとラック回収部63cは、それぞれ、ラック搬送部63bの右端および左端に繋がっている。ラック搬送部63bの後方には、バーコードリーダ102が配置されている。オペレータは、検体容器10をセットした検体ラック101を、ラックセット部63aに設置する。
【0094】
搬送ユニット63は、ラックセット部63aに設置された検体ラック101をラック搬送部63bの右端に送り、さらに、バーコードリーダ102の前方へと送る。バーコードリーダ102は、検体容器10に貼られたバーコードラベルからバーコードを読み取り、検体IDを取得する。検体IDは、検体を個別に識別可能な情報である。取得された検体IDは、検体に対する測定オーダの取得のために、分析ユニット64に送信される。
【0095】
続いて、搬送ユニット63は、検体容器10を保持した検体ラック101を搬送して、
検体容器10を順次、検体吸引位置103aまたは検体吸引位置103bに位置付ける。
検体吸引位置103aは、検体分注機構30が検体を吸引するための位置であり、検体吸引位置103bは、検体分注機構110が検体を吸引するための位置である。搬送ユニット63は、検体ラック101に保持された全ての検体容器10に対する検体の吸引が終了すると、検体ラック101をラック回収部63cへと搬送する。
【0096】
(測定ユニット61)
測定ユニット61は、検体分注機構30、110と、洗浄槽41、42、43、44を有する洗浄機構40、45、46、47と、反応容器テーブル120と、試薬テーブル130と、加温テーブル140と、反応容器収納部151と、反応容器供給部152と、移送部105、106と、試薬分注機構161、162と、測定部51と、廃棄口107と、制御部61aと、記憶部61bと、通知部61cとを備える。
【0097】
図8を用いて、検体分注機構30の詳細な構成を説明する。検体分注機構30は、本体部30aと、ノズル31と、アーム32と、軸部33と、ガイド部材34と、センサ35とを備える。
図8には、検体分注機構30のほか検体容器10が図示されている。
【0098】
本体部30aは、軸部33をZ軸方向に移動させるための駆動部37と、Z軸方向を回転の中心として軸部33を回転させるための駆動部38とを備える。駆動部37、38は、ステッピングモータを備えている。軸部33は、アーム32を支持している。ノズル31は、アーム32の端部において下方向に向けて設置されている。ガイド部材34は、軸部33の回転に合わせて回転可能であり、かつ、Z軸方向の位置が変わらないように軸部33に対して設置されている。ガイド部材34の先端には上下方向に貫通する孔34aが形成されており、ノズル31は、孔34aに通されている。孔34aにより、ノズル31の移動方向がZ軸方向に規制される。ノズル31の動作は、制御部61aが駆動部37、38のステッピングモータに出力するパルス信号により制御され、パルス信号のパルス数をカウントすることで、ノズル31の高さ位置及び旋回位置が求められる。なお、駆動部37、38がロータリーエンコーダを備え、ロータリーエンコーダが出力するパルス数をカウントすることで、ステッピングモータの回転方向及び回転量を検出してノズル31の高さ位置及び旋回位置を求めてもよい。また、駆動部37、38は、ステッピングモータに代えて、例えばDCサーボモータを含むものであってもよく、ノズル31をZ軸方向に移動可能及び旋回可能であればいずれのモータであってもよい。センサ35は、液面検出部を構成し、ノズル31の先端31aが液面に接触したことを検出する。センサ35は、本形態では静電容量式のセンサであるが、これに限定されず、例えば、ノズル31に加わる圧力値の変化を検出する圧力センサであってもよい。また、センサ35は、検体の液面の高さを検出する超音波センサであってもよい。なお、ノズル31には、検体や洗浄液を吸引又は吐出するためのポンプや定量シリンダ等の機構が接続されており、これらの機構と、ノズル31と、駆動部37、38とは吸引部を構成している。
【0099】
なお、検体分注機構110は、
図8に示す検体分注機構30とはガイド部材34及び駆動部38とを備えていない点で異なっており、その他の構成は検体分注機構30と同様の構成であるため、説明を省略する。試薬分注機構161、162は、本体部30aと、ノズル31と、アーム32と、軸部33と、ガイド部材34と、センサ35と、軸部33をZ軸方向に移動させるための駆動部37とを備えている。これらの構成は
図8に示す検体分注機構30と同様である。また、図示しないが、ノズル31をアーム32に沿って移動させる移動機構を備えている。
【0100】
図9(A),(B)を用いて、洗浄機構40の構成を説明する。洗浄機構40は、検体分注機構30のノズル31を洗浄するための機構であり、上方が開口した洗浄槽41と、洗浄槽41の上部に設けられた洗浄水注入管41bと、洗浄水注入管41bと同じ高さ位置に設けられる洗浄液のオーバーフロー管41aと、洗浄槽41の底部に設けられた洗浄液注入出管41cとを備える。洗浄槽41は第2の液体貯留部を構成し、洗浄液注入出管41cは第2の液体供給部及び第2の液体排出部を構成する。また、洗浄機構40は、図示しないが、洗浄水が貯留された洗浄水チャンバ及び洗浄液が貯留された洗浄液チャンバ等を備えており、洗浄水チャンバはポンプ等を介して洗浄水注入管41bと接続され、洗浄液チャンバはポンプ等を介して洗浄液注入出管41cと接続されている。
【0101】
洗浄機構40は、洗浄水注入管41bを通じて、ノズル31の外周面を洗浄するための洗浄水を洗浄槽41内のノズル31に向けて高圧で供給する。洗浄機構40は、洗浄液注入出管41cを通じて、洗浄液を洗浄槽41に供給し、洗浄液を洗浄槽41に溜める。オーバーフロー管41aは、洗浄液注入出管41cにより洗浄槽41に過剰に供給された洗浄液を流出させるものであり、これによりオーバーフロー管41aの高さ以上に洗浄液が洗浄槽41に貯留されずに一定量が洗浄槽41に貯留される。また、洗浄槽41に溜められた洗浄液及び洗浄槽41に排出された洗浄水は洗浄液注入出管41cを通って外部に排出される。
【0102】
ノズル31は、洗浄液注入出管41cにより洗浄槽41に溜められた洗浄液を吸引、吐出し、これによりノズル31内の流路31bの洗浄が行われる。また、ノズル31の流路31bには、ポンプ等を介して洗浄水が貯留された洗浄水チャンバ(図示せず)が接続されており、洗浄時には、ノズル31の流路31bの洗浄液を流すための洗浄水がノズル31の流路31bを通って洗浄槽41に排出される。
【0103】
なお、本形態では、洗浄液注入出管41cにより、洗浄槽41に洗浄液を供給するとともに洗浄槽41に溜まった洗浄液及び洗浄水を排出しているが、この形態に限定されない。例えば、洗浄液を供給する洗浄液注入管と、洗浄槽41に溜まった洗浄液及び洗浄水を排出する洗浄液等排出管とを洗浄槽41に別々に設けてもよい。
【0104】
なお、洗浄機構45は、洗浄槽42を備え、検体分注機構110の各ノズル31を洗浄するためのものであり、洗浄機構46、47は、洗浄槽43、44を備え、試薬分注動作が終了した試薬分注機構161、162の各ノズル31を洗浄するためのものである。洗浄機構45、46、47の構成は洗浄機構40と同様であるため、説明を省略する。
【0105】
反応容器21は、上方に開口を有する容器であり、いわゆるキュベットである。反応容器21は、測定ユニット61の測定部51において測定を行うための使い捨ての容器である。
【0106】
反応容器テーブル120は、平面視においてリング形状を有し、試薬テーブル130の外側に配置されている。反応容器テーブル120は、周方向に回転可能に構成されている。反応容器テーブル120は、反応容器21を保持するための複数の保持孔121を有する。
【0107】
反応容器収納部151は、新しい反応容器21を収納する。反応容器供給部152は、反応容器収納部151から反応容器21を1つずつ取り出し、取り出した反応容器21を、移送部105による把持位置に供給する。移送部105は、反応容器供給部152によって把持位置に供給された反応容器21を把持して、反応容器テーブル120の保持孔121にセットする。
【0108】
加温テーブル140は、反応容器21を保持するための複数の保持孔141と、反応容器21を移送するための移送部142とを備える。加温テーブル140は、平面視において円形の輪郭を有し、周方向に回転可能に構成されている。加温テーブル140は、保持孔141にセットされた反応容器21を37℃に加温する。
【0109】
反応容器テーブル120に保持された新しい反応容器21に検体が吐出されると、反応容器テーブル120が回転され、検体を収容する反応容器21が加温テーブル140の近傍まで移送される。そして、加温テーブル140の移送部142が、この反応容器21を把持して、加温テーブル140の保持孔141にセットする。
【0110】
試薬テーブル130は、血液凝固検査に関する測定に使用する調製試薬およびトリガー試薬を収容した試薬容器131を複数設置可能に構成されている。試薬テーブル130は周方向に回転可能に構成されている。加温テーブル140で加温された反応容器21には、試薬分注機構161、162により試薬が分注される。
【0111】
調製試薬を反応容器21に分注する場合、加温テーブル140の移送部142が、加温テーブル140の保持孔141から反応容器21を取り出し、所定の位置に位置付ける。そして、試薬分注機構161または試薬分注機構162は、試薬容器131から調製試薬を吸引し、吸引した調製試薬を反応容器21に吐出する。こうして、検体に調製試薬が混合される。その後、移送部142は、反応容器21を加温テーブル140の保持孔141に再びセットする。
【0112】
トリガー試薬を反応容器21に分注する場合、移送部106が、加温テーブル140の保持孔141から反応容器21を取り出し、所定の位置に位置付ける。そして、試薬分注機構161または試薬分注機構162は、試薬容器131からトリガー試薬を吸引し、吸引したトリガー試薬を反応容器21に分注する。こうして、検体にトリガー試薬が混合され、測定試料が調製される。その後、移送部106は、反応容器21を測定部51の保持孔51aにセットする。
【0113】
測定部51は、試薬や検体等の第1の液体により調製された測定試料の測定を行い、例えば、血液凝固検査に関する測定を行うものである。本形態では、線溶系の活性化剤の存在下で検体である血液を凝固させて凝固波形を光学的測定法により取得している。測定部51は、
図10(a)に示すように、複数の保持孔51aと、光源部411と、受光部412とを備える。
図10(a)には1つの保持孔51aの周辺が図示されている。光源部411は、半導体レーザ光源を含み、異なる波長の光を出射する。光源部411は、各保持孔51aにセットされた反応容器21に対して光を照射する。反応容器21中の測定試料に光が照射されると、測定試料を透過した光または測定試料により散乱された光が受光部412に入射する。受光部412は、保持孔51aごとに設けられており、光検出器により構成される。具体的には、受光部412は、光電管や光ダイオードなどにより構成される。受光部412は、透過光または散乱光を受光して、受光量に応じた電気信号を出力する。制御部61aは、受光部412から出力された電気信号に基づいて、血液凝固検査に関する分析で用いられる測定データを生成する。測定部51の測定原理は、たとえば、凝固法、合成基質法、免疫比濁法、凝集法、などである。なお、凝固波形を物理的測定法により取得してもよい。物理的測定法としては、例えば、スチールボールを用いて検体の粘度などの物理的情報を取得する方法が挙げられる。この方法は、血液中で電磁石によりスチールボールを左右に振幅運動させ、この振幅の変化をコイルにより検出する方法である。血液の凝固が始まると粘度が増加し、スチールボールの振幅が減少するため、血液の粘度や凝固時間を求めることができる。
【0114】
測定部51は、免疫検査に関する測定を行うものであってもよい。この場合、
図10(b)に示すように、測定部51は、保持孔51aに加えて、受光部421を備える。
図10(b)には、1つの保持孔51aの周辺が図示されている。反応容器21に収容された測定試料から生じた化学発光は、受光部412に入射する。受光部412は、フォトンカウンティング可能な光検出器により構成される。具体的には、受光部412は、光電子増倍管により構成される。受光部412がフォトンカウンティング可能な光電子増倍管により構成されると、測定部51により高感度かつ高精度な測定を行うことができる。受光部412は、化学発光を受光して、光子すなわちフォトンの受光に応じたパルス波形を出力する。測定部51は、内部に備える回路により、受光部412の出力信号に基づいて、一定間隔でフォトンを計数し、カウント値を出力する。制御部61aは、測定部51から出力されたカウント値に基づいて、免疫検査に関する分析で用いられる測定データを生成する。
【0115】
ここで、化学発光とは、化学反応によるエネルギーを利用して発せられる光であり、たとえば、化学反応により分子が励起されて励起状態になり、そこから基底状態に戻る時に放出される光である。実施形態において測定部51が測定する化学発光は、酵素免疫化学発光法(CLEIA)に基づく光であり、酵素と基質との反応により生じた光である。なお、第2測定部52が測定する化学発光は、たとえば、化学発光分析法(CLIA)、電気化学発光分析法(ECLIA)、蛍光酵素測定法(FEIA法)、LOCI法(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)、BLEIA法(生物発光酵素免疫法)などに基づく光であってもよい。
【0116】
測定部51は、生化学検査に関する測定を行うものであってもよい。この場合の測定部51は、
図10(a)に示す血液凝固検査に関する測定を行う場合と同様の構成を備える。制御部61aは、受光部412から出力された電気信号に基づいて、生化学検査に関する分析で用いられる測定データを生成する。
【0117】
反応容器21内の測定試料の測定が終了すると、この反応容器21は、移送部106により廃棄口107に廃棄される。
【0118】
図11に示すように、測定ユニット61は、回路部の構成として、制御部61aと、記憶部61bと、通知部61cと、バーコードリーダ102と、検体分注機構30、110と、洗浄機構40、45、46、47と、反応容器テーブル120と、試薬テーブル130と、加温テーブル140と、反応容器収納部151と、反応容器供給部152と、移送部105、106と、試薬分注機構161、162と、測定部51とを備える。検体分注機構30、110、試薬分注機構161、162は、それぞれ、
図8に示したセンサ35と、駆動部37、38とを含む。洗浄機構40、45、46、47は、それぞれ、洗浄槽41、42、43、44を含む。
【0119】
制御部61aは、例えば、CPUやマイクロコンピュータにより構成され、記憶部61bに記憶されたプログラムに従って、測定ユニット61内の各構成および搬送ユニット63を制御する。記憶部61bは、ROM、RAMおよびハードディスク等により構成される。通知部61cは、例えば、モニタやスピーカーから構成されている。制御部61aは、検体、試薬、洗浄液の液面高さの異常を検知すると、通知部61cがモニタである場合、例えば
図12に示すような画面71をモニタ70上に表示させて液面高さLCが異常であることを通知する。また、通知部61cがスピーカーの場合、音声により異常を通知する。
【0120】
(分析ユニット64)
分析ユニット64は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成される。分析ユニット64は、測定ユニット61で生成された測定データに基づいて、血液凝固検査に関する分析を行う。本形態においては、測定データである凝固波形に基づいて、血液検体の線溶能に関する情報を取得する。また、PT、APTT、Fbg、外因系凝固因子、内因系凝固因子、凝固第XIII因子、HpT、TTO、FDP、Dダイマー、PIC、FM、ATIII、Plg、APL、PC、VWF:Ag、VWF:RCoなどの分析項目について分析を行う。
【0121】
また、分析ユニット64は、測定ユニット61で生成された測定データに基づいて、免疫検査に関する分析を行ってもよい。具体的には、分析ユニット64は、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、HCV抗体、TP抗体、HTLV抗体、HIV抗原・抗体、TAT、PIC、TM、tPAI・c、TSH、FT3、FT4などの分析項目について分析を行う。
【0122】
また、分析ユニット64は、測定ユニット61で生成された測定データに基づいて、生化学検査に関する分析を行ってもよい。具体的には、分析ユニット64は、T-BIL、D-BIL、AST、ALT、ALP、LDH、γ-GTP、T-CHO、CRE、CKなどの分析項目について分析を行う。
【0123】
(検体測定装置100の動作)
図13~
図18に示すフローチャートを参照して、検体測定装置100の動作処理について説明する。
図13は、ある検体容器10に対する検体測定装置100の処理を示すフローチャートである。検体測定装置100が起動すると、ステップST101において、制御部61aは、検体分注機構30、110と試薬分注機構161、162と洗浄機構40、45、46、47とを駆動させて、検体分注機構30、110、試薬分注機構161、162の各ノズル31を洗浄する洗浄動作処理を行う。
【0124】
ステップST102において、制御部61aは、搬送ユニット63を駆動して、検体容器10をバーコードリーダ102の前方まで搬送し、バーコードリーダ102を駆動して、検体容器10のバーコードラベルから検体IDを取得する。ステップST103において、制御部61aは、ステップST102において取得した検体IDに基づいて分析ユニット64に測定オーダの問い合わせを行い、測定条件、使用する試薬、試薬及び検体の分注量等の問い合わせ結果を取得する。
【0125】
ステップST104において、制御部61aは、使用する試薬の初期液面高さ検出動作処理を行う。ステップST105において、制御部61aは、検体分注動作処理を行う。すなわち、検体分注機構30を駆動して、検体容器10内の検体を吸引して、吸引した検体を反応容器テーブル120に保持された新しい反応容器21に吐出する。ステップST106において、制御部61aは、検体分注機構30と洗浄機構40とを駆動させて、検体分注機構30のノズル31を洗浄する洗浄動作処理を行う。ステップST107において、制御部61aは、試薬分注動作処理を行う。すなわち、試薬分注機構161を駆動して、試薬容器131の試薬を吸引して、吸引した試薬を反応容器21に吐出する。ステップST108において、制御部61aは、試薬分注機構161と洗浄機構43を駆動させて、試薬分注機構161のノズル31を洗浄する洗浄動作処理を行う。ステップST109において、制御部61aは、測定部51により検体に基づく測定を行う。
【0126】
こうして、検体吸引位置103aに位置付けられた1つの検体容器10に対して処理が終了すると、処理がステップST102に戻され、制御部61aは、後続の検体容器10に対して、ステップST102~ST109の処理を行う。ステップST104の試薬の初期液面高さ検出動作処理は、検体測定装置100の起動直後か、または、試薬容器131が交換されたり、試薬容器131に試薬が追加で注入されたことを制御部61aが検知した直後にのみ行われる。
【0127】
図14及び
図15は、
図13のステップST101の洗浄動作処理の手順を示すフローチャートである。以下、検体分注機構30の洗浄動作について説明するが、検体分注機構110、試薬分注機構161、162の洗浄動作は検体分注機構30と同じ処理が行われる。
【0128】
まず、
図14のステップST201において、制御部61aは、洗浄液注入出管41cを通じて洗浄槽41に洗浄液を供給し、洗浄槽41内に貯留させる。制御部61aは、オーバーフロー管41aから溢れ出る量の洗浄液を洗浄槽41に供給し、これにより洗浄液の液面をオーバーフロー管41aの直下に位置させる。ステップST202において、制御部61aは、検体分注機構30の駆動部38を駆動させて、ノズル31を洗浄槽41の直上に位置決めする。ステップST203において、制御部61aは、駆動部37を駆動させて、検体分注機構30のノズル31を加減速駆動モードで下降させる。ノズル31は、以下のステップST204~ST206を実行している間も下降している。ステップST204において、制御部61aは、センサ35からの出力信号を監視し、ノズル31の先端31aが液面に接触したか否かを判断する。ノズル31の先端31aが液面に接触していない場合、制御部61aはノズル31の先端31aが液面に接触するまでステップST204を繰り返す。ノズル31の先端31aが液面に接触した場合、ステップST205に進む。ステップST205において、制御部61aは、ノズル31の先端31aが液面に接触したときの駆動部37のステッピングモータに供給したパルス数、すなわち、その時点における液面高さLCに相当するパルス数を、液面検出結果として記憶部61bに記憶させる。
【0129】
ステップST206において、制御部61aは、駆動部37のステッピングモータに供給したパルス数から、記憶部61bに記憶された第2の高さhC2にノズル31の先端31aが到達したか否かを判断する。第2の高さhC2にノズル31が到達していない場合には、制御部61aは第2の高さhC2にノズル31が到達するまでステップST206を繰り返す。第2の高さhC2にノズル31の先端31aが到達した場合、ステップST207に進む。ステップST207において、制御部61aは、駆動部37を制御してノズル31の下降を停止させる。ステップST208において、制御部61aは、ステップST205で記憶した液面高さLCに相当するパルス数が、記憶部61bに記憶された液面高さの正常範囲を示すパルス数の上限及び下限の範囲に入っているか否かを判断する。例えば、記憶部61bに記憶された液面高さの正常範囲を示すパルス数の下限値が280、上限値が320である場合に、液面高さLCに相当するパルス数が300であれば、制御部61aは、液面高さLCが正常であると判断し、ステップST209に進む。
【0130】
ステップST209において、制御部61aは、ノズル31に接続されたポンプ等を制御して、ノズル31に洗浄液を所定量吸引させる。なお、吸引後に洗浄液を吐出して、再度吸引してもよい。洗浄液の吸引及び吐出を繰り返すことで、ノズル31の内部が洗浄される。次に、ステップST210において、制御部61aは、洗浄液注入出管41cに接続されたポンプ等を制御して、洗浄槽41に残った洗浄液を排出させる。
図15のステップST211において、制御部61aは、ノズル31から洗浄液を吐出させた後、ノズル31に接続された洗浄水チャンバからノズル31の流路31bに洗浄水を通して洗浄槽41に排出させ、ノズル31内の流路31bに残った洗浄液を流す。また、制御部61aは、洗浄水注入管41bに接続されたポンプ等を制御して洗浄水をノズル31の外周面に噴射させ、ノズル31の外周面を洗浄する。ステップST212において、制御部61aは、洗浄液注入出管41cに接続されたポンプ等を制御して、ステップST211の動作で洗浄槽41に溜まった洗浄液及び洗浄水を排出させる。ステップST213において、制御部61aは、駆動部37を制御してノズル31を上昇させ、処理を終了する。
【0131】
ステップST208に戻って、液面高さLCに相当するパルス数が正常範囲の下限値を下回った場合、例えば、記憶部61bに記憶された液面高さの正常範囲を示すパルス数の下限値が280、上限値が320である場合に、液面高さLCに相当するパルス数が250であれば、制御部61aは、液面高さLCが異常であり、洗浄液の排出異常が発生していると判断し、
図15のステップST214に進む。ステップST214において、制御部61aは、通知部61cを制御して供給異常を通知し、処理を終了する。また、ステップST208において、液面高さLCを反映したパルス数が正常範囲の上限値を上回った場合、例えば、記憶部61bに記憶された液面高さの正常範囲を示すパルス数の下限値が280、上限値が320である場合に、液面高さLCに相当するパルス数が350であれば、制御部61aは、液面高さLCが異常であり、洗浄液の供給異常が発生していると判断し、ステップST214に進む。ステップST214において、制御部61aは、通知部61cを制御して排出異常を通知し、処理を終了する。なお、ステップST214の供給異常、排出異常の通知を行わずに処理を終了してもよい。
【0132】
ステップST208において、液面高さLCが異常であると判断された場合、制御部61aは、
図13において、次のステップに進まず、処理を終了する。
【0133】
図16は、
図13のステップS104の初期液面高さ検出動作処理の手順を示すフローチャートである。ステップST301において、制御部61aは、試薬分注機構161の駆動部38を駆動させて、ノズル31を試薬容器131の直上に位置決めする。次に、ステップST302において、制御部61aは、駆動部37を駆動させて、試薬分注機構161のノズル31を加減速駆動モードで下降させる。ステップST303において、制御部61aは、駆動部37のステッピングモータに供給したパルス信号をカウントしたパルス数から、記憶部61bに記憶された第1の高さhR1-1にノズル31が到達したか否かを判断する。第1の高さhR1-1にノズル31が到達していない場合には、制御部61aは第1の高さhR1-1にノズル31が到達するまでステップST303を繰り返す。なお、ステップST303を実行している間、ノズル31は加減速駆動モードで下降している。
【0134】
第1の高さhR1-1にノズル31が到達した場合には、ステップST304に進む。ステップST304において、制御部61aは、駆動部37を制御して、ノズル31を定速駆動モードで下降させる。ステップST305において、制御部61aは、センサ35からの出力信号を監視し、ノズル31の先端31aが液面に接触したか否かを判断する。ノズル31の先端31aが液面に接触していない場合には、制御部61aはノズル31の先端31aが液面に接触するまでステップST305を繰り返す。なお、ステップST30を実行している間、ノズル31は定速駆動モードで下降している。ノズル31の先端31aが液面に接触した場合には、ステップST306において、制御部61aは、駆動部37を制御してノズル31の下降を停止させる。ステップST307において、制御部61aは、ノズル31の先端31aが液面に接触したときの駆動部37のステッピングモータに供給したパルス数、すなわち、その時点における液面高さLRに相当するパルス数を、液面検出結果として記憶部61bに記憶させる。その後、ステップST308において、制御部61aは駆動部37を制御してノズル31を上昇させ、処理を終了する。
【0135】
図17は、
図13のステップST105に示す検体分注動作処理の手順を示すフローチャートである。
図17のステップST401において、制御部61aは、検体分注機構30の駆動部38を駆動させて、ノズル31を検体容器10の直上に位置決めする。次に、ステップST402において、制御部61aは、駆動部37を駆動させて、検体分注機構30のノズル31を加減速駆動モードで下降させる。ステップST403において、制御部61aは、駆動部37のステッピングモータに供給したパルス信号をカウントしたパルス数から、記憶部61bに記憶された第1の高さhS1にノズル31の先端31aが到達したか否かを判断する。第1の高さhS1にノズル31が到達していない場合には、制御部61aは第1の高さhS1にノズル31が到達するまでステップST403を繰り返す。なお、ステップST403を実行している間、ノズル31は加減速駆動モードで下降している。
【0136】
第1の高さhS1にノズル31が到達した場合には、ステップST404に進み、制御部61aは、駆動部37を制御して、ノズル31を定速駆動モードで下降させる。ステップST405において、制御部61aは、センサ35からの出力信号を監視し、ノズル31の先端31aが液面に接触したか否かを判断する。ノズル31の先端31aが液面に接触していない場合、制御部61aはノズル31の先端31aが液面に接触するまでステップST405を繰り返す。ノズル31の先端31aが液面に接触した場合、ステップST406に進む。ステップST406において、制御部61aは、ノズル31の先端31aが液面に接触したときの駆動部37のステッピングモータに供給したパルス数、すなわち、その時点における液面高さLSに相当するパルス数を、液面検出結果として記憶部61bに記憶させる。
【0137】
ステップST407において、制御部61aは、ステッピングモータに供給したパルス数から、液面高さLSから検体の分注量に応じた深さhS0分さらに下方の位置にノズル31の先端31aが到達したか否かを判断する。液面高さLSから検体の分注量に応じた深さhS0までさらに下方位置にノズル31の先端31aが到達していない場合、制御部61aは、検体の分注量に応じた深さhS0にノズル31の先端31aが到達するまでステップST407を繰り返す。なお、ステップST405~407を実行している間、ノズル31は定速駆動モードで下降している。液面高さLSから検体の分注量に応じた深さhS0までさらに下方位置にノズル31の先端31aが到達した場合、ステップST408において、制御部61aは駆動部37を制御してノズル31の下降を停止させる。
【0138】
ステップST409において、制御部61aは、ノズル31に接続されたポンプ等を制御して、ノズル31に検体を所定量吸引させる。次に、ステップST410において、駆動部37を制御してノズル31を上昇させ、ステップST411において、駆動部38を制御して検体吐出先の他の容器20までノズル31を移動させ他の容器20の直上に位置決めする。ステップST412において、制御部61aは、ノズル31に接続されたポンプ等を制御して検体を他の容器20に吐出し、処理を終了する。
【0139】
図18は、
図13のステップST106の試薬分注動作処理の手順を示すフローチャートである。
図18のステップST501において、制御部61aは、試薬分注機構161の駆動部38を駆動させて、ノズル31を試薬容器131の直上に位置決めする。ステップST502において、制御部61aは、
図16のステップST307で記憶部61bに記憶された試薬の液面高さLRを示すパルス数の情報を読み出し、この試薬の液面高さから所定距離上方の高さを第1の高さhR1に設定する。また、試薬分注動作が2回目以降の場合には、前回の吸引後の試薬の液面高さLRを示すパルス数の情報を記憶部61bから読み出し、この試薬の液面高さから所定距離上方の高さを第1の高さhR1に設定する。ステップST503において、制御部61aは駆動部37を駆動させて、試薬分注機構161のノズル31を加減速駆動モードで下降させる。ステップST504において、制御部61aは、駆動部37のステッピングモータに供給したパルス数から、記憶部61bに記憶された第1の高さhR1にノズル31が到達したか否かを判断する。第1の高さhR1にノズル31の先端31aが到達していない場合には、制御部61aは第1の高さhR1にノズル31が到達するまでステップST504を繰り返す。なお、ステップST504を実行している間、ノズル31は加減速駆動モードで下降している。
【0140】
第1の高さhR1にノズル31が到達した場合には、ステップST505に進む。ステップST505において、制御部61aは、駆動部37を制御して、ノズル31を定速駆動モードで下降させる。ステップST505でノズル31を下降させている間、ステップST506において、制御部61aは、センサ35からの出力信号を監視し、ノズル31の先端31aが液面に接触したか否かを判断する。ノズル31の先端31aが液面に接触していない場合、制御部61aはノズル31の先端31aが液面に接触するまでステップST506を繰り返す。ノズル31の先端31aが液面に接触した場合、ステップST507に進み、制御部61aは、ノズル31の先端31aが液面に接触したときの駆動部37のステッピングモータに供給したパルス数、すなわち、その時点における今回の液面高さLRに相当するパルス数を、液面検出結果として記憶部61bに記憶させる。
【0141】
ステップST508において、制御部61aは、ステッピングモータに供給したパルス数から、液面高さLRから試薬の分注量に応じた深さhR0分さらに下方の位置にノズル31の先端31aが到達したか否かを判断する。液面高さLRから試薬の分注量に応じた深さhR0までさらに下方位置にノズル31の先端31aが到達していない場合、制御部61aは、液面高さLRから試薬の分注量に応じた深さhR0までさらに下方位置にノズル31の先端31aが到達するまでステップST508を繰り返す。なお、ステップST506~ST508を実行している間、ノズル31は定速駆動モードで下降している。液面高さLRから試薬の分注量に応じた深さhR0までさらに下方位置にノズル31の先端31aが到達した場合、ステップST509に進み、制御部61aは駆動部37を制御してノズル31の下降を停止させる。
【0142】
ステップST510において、制御部61aは、ノズル31に試薬を所定量吸引させる。ステップST511において、制御部61aは、駆動部37を制御してノズル31を上昇させ、ステップST512において、制御部61aは、駆動部38を制御して試薬吐出先の他の容器20までノズル31を移動させ他の容器20の直上に位置決めする。ステップST513において、制御部61aは、ノズル31に接続されたポンプ等を制御して試薬を他の容器20に吐出し、処理を終了する。
【0143】
上記の検体測定装置を用いた検体測定方法は、第1の速さでノズル(31)が下降する時に検出した第1の液体の液面検出結果に基づいて第1の液体を吸引する工程と、
第1の速さより速い第2の速さでノズル(31)が下降する時に検出した第2の液体の液面検出結果に基づいて第2の液体を吸引する工程と、吸引した第1の液体により調製された測定試料の測定を行う工程と、を含む。
【0144】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0145】
10 検体容器
30、110 検体分注機構
31 ノズル
37 駆動部
35 センサ(液面検出部)
41、42、43、44 洗浄槽(第2の液体貯留部)
41c 洗浄液注入出管(第2の液体供給部、第2の液体排出部)
51 測定部
61a 制御部
61b 記憶部
61c 通知部
100 検体測定装置
131 試薬容器
161、162 試薬分注機構
hS1,hR1 第1の高さ
hC2 第2の高さ