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特許7177605乗物設定変更システム、変更装置、変更指示プログラム、及び乗物設定変更方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】乗物設定変更システム、変更装置、変更指示プログラム、及び乗物設定変更方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/10 20120101AFI20221116BHJP
   B62J 99/00 20200101ALI20221116BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20221116BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20221116BHJP
   B62K 25/00 20060101ALI20221116BHJP
   B60W 30/182 20200101ALI20221116BHJP
【FI】
B60W50/10
B62J99/00
F02D45/00
F02D29/02 L
F02D29/02 K
B62K25/00
B60W30/182
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018100333
(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公開番号】P2019202704
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨永 淳
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛之
(72)【発明者】
【氏名】松田 義基
(72)【発明者】
【氏名】榊原 ゆい
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-85850(JP,A)
【文献】特開2010-84631(JP,A)
【文献】特開2015-178336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B62J 1/00-99/00
B60K 25/00-28/16
F02D 29/00-29/06
F02D 41/00-45/00
B62K 25/00-27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物に搭載され、当該乗物の設定変更を実行する変更装置と、
前記変更装置に設定変更を指示するための変更指示を前記変更装置に送信する指示装置と、
前記乗物に搭載され、運転者が前記乗物の設定変更を承認する操作をしたことを示す承認信号を送信する送信部と、を備え、
前記変更装置および前記指示装置の一方又は双方は、前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定部を有し、
前記変更装置および前記指示装置の前記一方、他方又は双方は、前記乗物が停止状態にあると前記判定部が判定し、且つ、前記送信部から送信される承認信号を受信した場合に、前記乗物の設定変更を許可し、それ以外の場合に、前記乗物の設定変更を禁止する、変更許可部を有する、乗物設定変更システム。
【請求項2】
前記指示装置は、前記乗物から分離して構成され、無線通信により前記変更装置へ変更指示を送信する、請求項1に記載の乗物設定変更システム。
【請求項3】
前記変更装置は、前記指示装置から前記変更指示を受信したときに、運転者が前記変更指示に基づく前記乗物の設定変更を承認するか否かを選択するための承認画面を前記乗物の表示装置に表示させ、
前記変更許可部は、前記表示装置に前記承認画面が表示されているときに、前記承認信号を受信した場合に、前記乗物の設定変更を許可する、請求項1又は2に記載の乗物設定変更システム。
【請求項4】
前記承認画面には、設定変更内容を示す情報が表示される、請求項に記載の乗物設定変更システム。
【請求項5】
前記判定部が、前記乗物が走行状態にあると判定した場合、前記表示装置は、前記承認画面を非表示にする、請求項又はに記載の乗物設定変更システム。
【請求項6】
乗物に搭載され、当該乗物の設定変更を実行する変更装置と、
前記変更装置に設定変更を指示するための変更指示を前記変更装置に送信する指示装置と、を備え、
前記変更装置および前記指示装置の一方又は双方は、前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定部を有し、
前記変更装置および前記指示装置の前記一方、他方又は双方は、少なくとも前記乗物が走行状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を禁止し、前記乗物が停止状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を許可する、変更許可部を有し、
前記判定部が、前記乗物が走行状態にあると判定した場合、前記乗物の表示装置は、走行停止を促すための警告画面を表示する、乗物設定変更システム。
【請求項7】
乗物に搭載され、当該乗物の設定変更を実行する変更装置と、
前記変更装置に設定変更を指示するための変更指示を前記変更装置に送信する指示装置と、を備え、
前記変更装置および前記指示装置の一方又は双方は、前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定部を有し、
前記変更装置および前記指示装置の前記一方、他方又は双方は、少なくとも前記乗物が走行状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を禁止し、前記乗物が停止状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を許可する、変更許可部を有し、
前記判定部が、前記乗物が走行状態にあると判定した場合、前記変更許可部は、前記指示装置が前記変更指示を前記変更装置に送信するのを禁止する、乗物設定変更システム。
【請求項8】
乗物に搭載され、当該乗物の設定変更を実行する変更装置と、
前記変更装置に設定変更を指示するための変更指示を前記変更装置に送信する指示装置と、を備え、
前記変更装置および前記指示装置の一方又は双方は、前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定部を有し、
前記変更装置および前記指示装置の前記一方、他方又は双方は、少なくとも前記乗物が走行状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を禁止し、前記乗物が停止状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を許可する、変更許可部を有し、
前記指示装置は、指示者からの入力を受け付ける入力部、および設定変更を指示するための変更指示画面を表示する表示部を有し、
前記判定部が、前記乗物が走行状態にあると判定した場合、前記指示装置の前記変更許可部は、前記変更指示を前記変更装置に送信するための入力を前記入力部が受け付けないように前記変更指示画面を非表示にする、乗物設定変更システム。
【請求項9】
前記乗物は、鞍乗車両であり、
前記変更装置は、前記乗物の設定情報を変更することにより、前記乗物の設定変更を実行し、
前記設定情報には、走行挙動の変更に関する走行挙動情報が含まれる、請求項1~のいずれか1項に記載の乗物設定変更システム。
【請求項10】
前記設定情報には、前記乗物が有する計器の表示に関する情報が含まれる、請求項に記載の乗物設定変更システム。
【請求項11】
乗物に搭載され、当該乗物の設定変更を実行する変更装置と、
前記変更装置に設定変更を指示するための変更指示を前記変更装置に送信する指示装置と、を備え、
前記変更装置および前記指示装置の一方又は双方は、前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定部を有し、
前記変更装置および前記指示装置の前記一方、他方又は双方は、少なくとも前記乗物が走行状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を禁止し、前記乗物が停止状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を許可する、変更許可部を有し、
前記乗物は、鞍乗車両であり、
前記変更装置は、前記乗物の設定情報を変更することにより、前記乗物の設定変更を実行し、
前記設定情報には、走行挙動の変更に関する走行挙動情報が含まれ、
前記指示装置は、前記指示装置が記憶する第1時刻情報を、外部から取得した別の時刻情報に基づき時刻合わせし、
前記指示装置は、前記変更装置に前記第1時刻情報を送信し、
前記変更装置は、受信した前記第1時刻情報に基づき、前記変更装置が記憶する第2時刻情報を時刻合わせする、乗物設定変更システム。
【請求項12】
乗物の設定変更を実行する変更装置であって、
外部の端末から、前記乗物の設定変更を指示するための変更指示を受信する受信部と、
前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定部と、
記乗物が停止状態にあると前記判定部が判定し、且つ、前記乗物に搭載された送信部から、前記乗物の運転者が前記乗物の設定変更を承認する操作をしたことを示す承認信号を受信した場合に、前記乗物の設定変更を許可し、それ以外の場合に、前記乗物の設定変更を禁止する、変更許可部と、を備える、変更装置。
【請求項13】
乗物の設定変更を実行する変更装置に、設定変更を指示するための変更指示を送信する送信工程と、
前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定工程と、
前記乗物が走行状態にあると判定された場合に、前記変更指示を前記変更装置に送信するのを禁止する変更禁止工程と、
前記乗物が停止状態にあると判定され、且つ、前記乗物に搭載された送信部から、前記乗物の運転者が前記乗物の設定変更を承認する操作をしたことを示す承認信号を受信した場合に、前記変更指示を前記変更装置に送信するのを許可する変更許可工程と、をコンピュータに実行させる、変更指示プログラム。
【請求項14】
乗物の設定変更を実行する変更装置における、前記乗物の設定を変更するための乗物設定変更方法であって、
前記変更装置が、外部の端末から、前記乗物の設定変更を指示するための変更指示を受信するステップと、
前記変更装置が、前記乗物の設定変更によって走行フィーリングの違和感が生じるか否かを判定するための所定の判定条件を、前記乗物が満たすか否かを判定するステップと、
前記変更装置が、前記判定条件を満たすと判定し、且つ、前記乗物に搭載された送信部から、前記乗物の運転者が前記乗物の設定変更を承認する操作をしたことを示す承認信号を受信した場合に、前記変更指示に基づく前記乗物の設定変更を実行し、それ以外の場合に、前記変更指示に基づく前記乗物の設定変更を禁止するステップと、を含む、乗物設定変更方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物の設定を変更するための乗物設定変更システム、変更装置、変更指示プログラム、及び乗物設定変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動二輪車等の乗物についての各種設定を変更するための設定変更システムが提案されている。例えば特許文献1には、自動二輪車のエンジン制御を行うエンジン制御装置と、入力情報を基に車両設定を変更するための設定変更情報(補正制御マップ)を作成する端末装置と、エンジン制御装置と端末装置との間のデータ通信を中継する通信アダプタを備える設定変更システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-84544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した設定変更システムにおいて、設定が変更されるときに、運転者の感じる走行フィーリングに違和感が生じることがある。
【0005】
そこで、本発明は、走行フィーリングに違和感が生じることを抑えることができる乗物設定変更システム、変更装置、変更指示プログラム、及び乗物設定変更方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る乗物設定変更システムは、乗物に搭載され、当該乗物の設定変更を実行する変更装置と、前記変更装置に設定変更を指示するための変更指示を前記変更装置に送信する指示装置と、を備え、前記変更装置および前記指示装置の一方又は双方は、前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定部を有し、前記変更装置および前記指示装置の前記一方、他方又は双方は、少なくとも前記乗物が走行状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を禁止し、前記乗物が停止状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を許可する、変更許可部を有する。
【0007】
上記の構成によれば、走行中の乗物の設定が変更されることを防ぐことができる。これにより、走行中の設定変更に起因する走行フィーリングの違和感を抑えることができる。
【0008】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記指示装置は、前記乗物から分離して構成され、無線通信により前記変更装置へ変更指示を送信してもよい。この構成によれば、指示装置と変更装置との間を有線を介して電気的に接続する必要がないため、利便性を向上することができる。ここで、「指示装置が乗物から分離して構成される」とは、指示装置が乗物に対する相対位置を自由に変更可能なものであることを意味する。例えば、乗物に設けられたホルダにより指示装置が保持されている場合であっても、当該ホルダから取り外し可能に構成された指示装置は、乗物から分離して構成された指示装置に含まれる。
【0009】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記乗物に搭載され、運転者が前記乗物の設定変更を承認する操作をしたことを示す承認信号を前記変更許可部に送信する送信部を更に備え、前記変更許可部は、前記乗物が停止状態にあると前記判定部が判定し、且つ、前記送信部から送信される承認信号を受信した場合に、前記乗物の設定変更を許可してもよい。この構成によれば、運転者の承認なしで設定変更が実行されるのを防止することができる。
【0010】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記変更装置は、前記指示装置から前記変更指示を受信したときに、運転者が前記変更指示に基づく前記乗物の設定変更を承認するか否かを選択するための承認画面を前記乗物の表示装置に表示させ、前記変更許可部は、前記表示装置に前記承認画面が表示されているときに、前記承認信号を受信した場合に、前記乗物の設定変更を許可してもよい。この構成によれば、運転者は表示装置の表示部を視ながら承認操作を行うことが可能であるため、設定変更が実行されたか否かを容易に認識することができる。
【0011】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記承認画面には、設定変更内容を示す情報が表示されてもよい。この構成によれば、変更内容を認識したうえで、承認操作を行うことができる。
【0012】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記判定部が、前記乗物が走行状態にあると判定した場合、前記表示装置は、前記承認画面を非表示にしてもよい。この構成によれば、変更装置が設定変更を承認できる状態にあるか否かを、運転者は表示装置を視て容易に認識することができる。
【0013】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記判定部が、前記乗物が走行状態にあると判定した場合、前記乗物の表示装置は、走行停止を促すための警告画面を表示してもよい。この構成によれば、設定変更要求に対する行動を運転者に理解させることができる。
【0014】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記判定部が、前記乗物が走行状態にあると判定した場合、前記変更許可部は、前記指示装置が前記変更指示を前記変更装置に送信するのを禁止してもよい。この構成によれば、乗物が走行状態にあると判定された場合の指示装置からの変更指示を確実に禁止することができる。
【0015】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記指示装置は、指示者からの入力を受け付ける入力部、および設定変更を指示するための変更指示画面を表示する表示部を有し、前記判定部が、前記乗物が走行状態にあると判定した場合、前記指示装置の前記変更許可部は、前記変更指示を前記変更装置に送信するための入力を前記入力部が受け付けないように前記変更指示画面を非表示にしてもよい。この構成によれば、指示装置が設定変更を指示できる状態にあるか否かを、運転者は表示部を視て容易に認識することができる。
【0016】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記乗物は、鞍乗車両であり、前記変更装置は、前記乗物の設定情報を変更することにより、前記乗物の設定変更を実行し、前記設定情報には、走行挙動の変更に関する走行挙動情報が含まれてもよい。
【0017】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記設定情報には、前記乗物が有する計器の表示に関する情報が含まれてもよい。
【0018】
上記の乗物設定変更システムにおいて、前記指示装置は、前記指示装置が記憶する第1時刻情報を、外部から取得した別の時刻情報に基づき時刻合わせし、前記指示装置は、前記変更装置に前記第1時刻情報を送信し、前記変更装置は、受信した前記第1時刻情報に基づき、前記変更装置が記憶する第2時刻情報を時刻合わせしてもよい。
【0019】
また、本発明に係る変更装置は、乗物の設定変更を実行する変更装置であって、外部の端末から、前記乗物の設定変更を指示するための変更指示を受信する受信部と、前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定部と、前記乗物が走行状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を禁止し、前記乗物が停止状態にあると前記判定部が判定した場合に、前記乗物の設定変更を許可する、変更許可部と、を備える。
【0020】
また、本発明に係る変更指示プログラムは、乗物の設定変更を実行する変更装置に、設定変更を指示するための変更指示を送信する送信工程と、前記乗物が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する判定工程と、前記乗物が走行状態にあると判定された場合に、前記変更指示を前記変更装置に送信するのを禁止する変更禁止工程と、前記乗物が停止状態にあると判定された場合に、前記変更指示を前記変更装置に送信するのを許可する変更許可工程と、をコンピュータに実行させる。
【0021】
また、本発明に係る乗物設定変更方法は、乗物の設定を変更するための乗物設定変更方法であって、外部の端末から、前記乗物の設定変更を指示するための変更指示を受信するステップと、前記乗物の設定変更によって走行フィーリングの違和感が生じるか否かを判定するための所定の判定条件を、前記乗物が満たすか否かを判定するステップと、前記判定条件を満たす場合に、前記変更指示に基づく前記乗物の設定変更を実行し、前記乗物が前記判定条件を満足しない場合に、前記変更指示に基づく前記乗物の設定変更を禁止するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、走行フィーリングに違和感が生じることを抑えることができる乗物設定変更システム、変更装置、変更指示プログラム、及び乗物設定変更方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態に係る乗物設定変更システムの概略構成図である。
図2図1の乗物設定変更システムの構成と乗物の構成を示すブロック図である。
図3】指示装置のタッチパネルに表示された変更指示画面の一例を示す図である。
図4】乗物の表示装置に表示された通常画面の一例を示す図である。
図5図1の乗物設定変更システムにおける設定変更手順を示すフローチャートである。
図6】指示装置のタッチパネルに表示された警告画面の一例を示す図である。
図7】乗物の表示装置に表示された承認画面の一例を示す図である。
図8】指示装置のタッチパネルに表示された変更完了通知画面の一例を示す図である。
図9】指示装置のタッチパネルに表示された一般設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。全図を通じて同一の又は対応する要素には同一の符号を付して詳細説明の重複を省略する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る乗物設定変更システム100の概略構成図である。図2は、乗物設定変更システム100の構成と乗物設定変更システム100により設定が変更される乗物の構成を示すブロック図である。乗物設定変更システム100は、乗物の設定を変更するためのシステムであり、乗物に搭載された変更装置40と、変更装置40に設定変更を指示するための変更指示を変更装置40に送信する指示装置50とを備える。本実施形態では、乗物として、運転者が跨るシートを備えた鞍乗車両、特にそのなかでも、従動輪である前輪2と駆動輪である後輪3とを備える自動二輪車1を例示する。
【0026】
(自動二輪車)
まず、変更装置40が搭載される自動二輪車1の主な構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。自動二輪車1は、図1に示すように運転者が騎乗可能な車体4を備えており、車体4は、前輪2を操舵するステアリング軸(図示せず)を回転自在に支持するヘッドパイプ部4aと、ヘッドパイプ部4aから後方に延びるフレーム部4bとを有する。フレーム部4bには、後輪3を駆動する駆動源として、エンジン5が搭載されている。エンジン5には、その動力を変速して後輪3に伝達する変速装置(図示せず)が接続されており、変速装置には、動力伝達を遮断/接続するためのクラッチ(図示せず)が設けられている。フレーム部4bの後部には、スイングアーム6の前端部が軸支され、スイングアーム6の後端部に後輪3が回転自在に軸支されている。エンジン5から出力される動力は、動力伝達部材(例えば、チェーン又はベルト)を介して後輪3に伝達される。
【0027】
ヘッドパイプ部4aに支持されたステアリング軸には、左右方向へ延びるバー型のハンドル7が接続されている。ハンドル7の右側部分には、運転者から加速指令が入力されるアクセル操作子8(例えば、アクセルグリップ)が設けられている。アクセル操作子8の前方には、運転者から制動指令が入力されるブレーキ操作子9(例えば、ブレーキレバー)が設けられている。また、ハンドル7の左側部分には、クラッチを操作するためのクラッチレバー(図示せず)が設けられている。
【0028】
ハンドル7には、変更装置40を操作するための操作装置10が設けられている。操作装置10は、運転者による操作を受け付ける例えば1つ又は複数のスイッチを含む。但し、操作装置10の態様は、これに限らず、例えばレバー等であってもよい。操作装置10は、変更装置40に運転者の操作に応じた信号を送る送信部10a(図2参照)を有している。また、車体4におけるハンドル7の前側の近傍には、車速などを表示する表示装置11が配置されている。表示装置11は、表示部としての液晶パネル11aを有する。
【0029】
ハンドル7の後方には燃料タンク12が設けられ、燃料タンク12の後方に運転者が騎乗するシート13が設けられている。車体4の左下部には、自動二輪車1の駐車時に当該自動二輪車1を支えるサイドスタンド(図示せず)が設けられている。サイドスタンドを下方に揺動すると、サイドスタンドおよび前後輪2,3の3点で接地し、車体4が左傾起立する。
【0030】
前輪2には前輪ブレーキ15が設けられている。後輪3には後輪ブレーキ16が設けられている。前輪ブレーキ15及び後輪ブレーキ16は、例えば油圧式である。シート13の下方かつ左右両側には、運転者が足を載せるステップ部材18が設けられている。片側のステップ部材18には、運転者から制動指令が入力されるブレーキ操作子19(例えば、ブレーキペダル)が設けられている。ブレーキ操作子9が操作されると主に前輪ブレーキ15が作動し、ブレーキ操作子19が操作されると主に後輪ブレーキ16が作動する。車体4には、ブレーキECU(Electronic Control Unit)33(図2参照)が搭載されており、前輪ブレーキ15及び後輪ブレーキ16に発生させる制動力は、ブレーキECU33により制御される。
【0031】
図2に示すように、自動二輪車1は、電子制御式のスロットル装置21を備える。スロットル装置21は、エンジン5の吸気ポートに連通する吸気通路に配置されたスロットル弁(図示せず)と、スロットル弁の開度を変更する弁アクチュエータ(図示せず)とを有する。スロットル装置21は、アクセル操作子8の操作量に応じて弁アクチュエータを制御して、スロットル弁の開度、即ちエンジン5に供給される吸気量を調整する。また、上述の吸気通路には、燃料タンク12からの燃料を吸気通路に噴射するインジェクタ22(図2参照)が設けられている。また、エンジン5には、燃焼室の混合気を着火する点火プラグ23(図2参照)が設けられている。これらスロットル装置21、インジェクタ22、及び点火プラグ23は、エンジンECU31により制御される。
【0032】
また、図2に示すように、自動二輪車1は、フロントサスペンション25とリアサスペンション26を備える。フロントサスペンション25は、車体4の前部に設けられ、前輪2が路面から受ける衝撃を吸収する。リアサスペンション26は、車体4の後部に設けられ、後輪3が路面から受ける衝撃を吸収する。フロントサスペンション25とリアサスペンション26は、いずれも電子制御可能に構成されており、サスペンションECU32により制御される。
【0033】
また、図2に示すように、自動二輪車1は、複数の車載機器27を備える。複数の車載機器27には、各種センサ、例えば、アクセル開度を検出するアクセルポジションセンサ、スロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ、変速装置の変速段を検出するギヤポジションセンサ、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ、前輪2の回転速度を検出する前輪車速センサ、後輪3の回転速度を検出する後輪車速センサ、エンジン冷却水温を検出する水温センサ、車間距離を測定する距離センサ、前輪ブレーキ圧を検出する前ブレーキ圧センサ、後輪ブレーキ圧を検出する後ブレーキ圧センサ、燃料残量を検出する燃料残量センサ、車体傾斜角を検出する傾斜角センサなどが含まれる。また、複数の車載機器27には、各種スイッチ、例えば、ブレーキ操作の有無を検出するブレーキスイッチ、クラッチ操作の有無を検出するクラッチスイッチ、サイドスタンドの降下/上昇を検出するサイドスタンドスイッチなどが含まれる。なお、図2では、図の簡単化のため、複数の車載機器27をまとめて1つのブロックで示す。
【0034】
上述したエンジンECU31、サスペンションECU32及びブレーキECU33は、それぞれ、マイコン等の演算装置や各種のメモリ等より構成される。エンジンECU31、サスペンションECU32及びブレーキECU33は、それぞれ、車載機器27の一部の機器と接続されている。エンジンECU31、サスペンションECU32及びブレーキECU33には、車載機器27から信号が直接、又は他のECUなどを介して間接的に送られる。エンジンECU31、サスペンションECU32及びブレーキECU33は、それぞれ車載機器27から送られてきた各種信号に基づき、各々の制御対象を制御する。
【0035】
(乗物設定変更システム)
本実施形態の乗物設定変更システム100は、変更装置40及び指示装置50の他、変更装置40に設けられた無線通信部34、並びに上述した操作装置10及び表示装置11を含む。無線通信部34は、車体4に搭載されており、アンテナやRF(Radio Frequency)回路等から構成される。本実施形態では、指示装置50が、無線通信により変更装置40へ自動二輪車1の設定を変更するための変更指示を送る。そして、変更装置40は、送られてきた変更指示に基づき、自動二輪車1の設定に関する設定情報を変更し、この結果、自動二輪車1の各種設定が変更される。
【0036】
なお、以下の説明では、便宜上、自動二輪車1の操作装置10を操作したり、表示装置11を見たりする者を、「運転者」と呼び、指示装置50に対し所定の入力を行い、変更装置40に変更指示を送る者を、「指示者」と呼ぶこととする。但し、「運転者」と「指示者」とは、同一人物であってもよい。
【0037】
変更装置40は、ハードウェア面では、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有する。例えば、変更装置40は、エンジンECU31、サスペンションECU32及びブレーキECU33を統合的に制御するメインECUとして機能する。変更装置40は、ソフトウェア面では、通信制御部41、表示制御部42、判定部43、変更許可部44、及び設定変更実行部45を有する。通信制御部41、表示制御部42、判定部43、変更許可部44、及び設定変更実行部45は、不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理することで実現される。
【0038】
通信制御部41は、無線通信部34を制御して、指示装置50へ信号を送信したり、指示装置50から信号を受信したりする。表示制御部42は、表示装置11の動作を制御する。判定部43は、自動二輪車1が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する。変更許可部44は、少なくとも自動二輪車1が走行状態にあると判定部43が判定した場合に、自動二輪車1の設定変更を禁止する。また、変更許可部44は、自動二輪車1が停止状態にあると判定部43が判定した場合に、自動二輪車1の設定変更を許可する。設定変更実行部45は、変更許可部44が自動二輪車1の設定変更を許可したときに、設定変更を実行する。
【0039】
指示装置50は、自動二輪車1から分離して構成された携帯型のコンピュータであり、例えばスマートフォン(多機能携帯電話)である。指示装置50は、無線通信部51、タッチパネル(タッチスクリーン)52、及び制御部53を備える。
【0040】
無線通信部51は、自動二輪車1側の無線通信部34と無線通信を行うものであり、アンテナやRF(Radio Frequency)回路等から構成される。本実施形態では、自動二輪車1側の無線通信部34と指示装置50側の無線通信部51とが行う無線通信は、ブルートゥース(登録商標)通信であり、ペアリングされることにより無線通信可能となる。ペアリングとは、近くにいる無関係な機器と通信しないように、機器同士(本実施形態では、無線通信部51と無線通信部34の間)で通信可能であるように相互認証を行うことである。
【0041】
タッチパネル52は、指示装置50から変更装置40に変更指示を送るための指示者からの入力を受け付ける入力部、及び設定変更を指示するための変更指示画面P1(図3参照)を表示する表示部を兼ねる。
【0042】
制御部53は、ハードウェア面では、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有する。制御部53は、ソフトウェア面では、通信制御部61、表示制御部62、判定部63、及び変更許可部64を有する。通信制御部61、表示制御部62、判定部63、及び変更許可部64は、不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理することで実現される。
【0043】
通信制御部61は、無線通信部34を制御して、指示装置50へ信号を送信したり、指示装置50から信号を受信したりする。表示制御部62は、タッチパネル52の動作を制御する。判定部63は、自動二輪車1が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する。変更許可部64は、少なくとも自動二輪車1が走行状態にあると判定部43が判定した場合に、自動二輪車1の設定変更を禁止する。また、変更許可部64は、自動二輪車1が停止状態にあると判定部63が判定した場合に、自動二輪車1の設定変更を許可する。
【0044】
(設定情報)
次に、変更装置40により変更される設定情報について説明する。設定情報には、自動二輪車1の走行挙動の変更に関する走行挙動情報、表示装置11の表示形式に関する表示形式情報、及び時刻情報が含まれる。本実施形態の乗物設定変更システム100では、設定情報のうち、運転者の走行フィーリングに影響を与える走行挙動情報が、指示装置50からの変更指示に基づき変更される。
【0045】
走行挙動情報は、自動二輪車1の走行挙動の変更に関する情報であり、変更されることにより、運転者の走行フィーリングに変化を生じさせ得る情報である。走行挙動情報には、エンジン5の制御に関するエンジン制御情報、サスペンション25,26の制御に関するサスペンション制御情報、及びブレーキ15,16の制御に関するブレーキ制御情報が含まれる。例えば、エンジン制御情報は、エンジンECU31のメモリに格納され、サスペンション制御情報は、サスペンションECU32に格納され、ブレーキ制御情報は、ブレーキECU33に格納される。なお、表示形式情報及び時刻情報は、変更装置40が有するメモリに格納される。即ち、エンジンECU31、サスペンションECU32及びブレーキECU33の各制御対象の制御方法は、それらの各メモリに記憶された走行挙動情報に基づいて定められる。走行挙動情報は、指示装置50から送られる変更指示に基づき変更される。
【0046】
図3は、指示装置50のタッチパネル52に表示された変更指示画面P1の一例を示す図である。変更指示画面P1は、自動二輪車1の設定変更を指示する変更指示を生成して、当該変更指示を変更装置40に送るための画面である。変更指示は、指示装置50のタッチパネル52に表示された変更指示画面P1上で指示者が操作することにより送られる。変更指示画面P1は、指示装置50において所定のアプリケーションプログラムを起動(実行)することによりタッチパネル52に表示される。
【0047】
変更指示画面P1には、自動二輪車1の設定(即ち、走行挙動情報)を変更する変更指示を生成するための複数の設定項目が列挙されており、複数の設定を一回の変更指示の送信により一度に変更することが可能となっている。図3に示すように、本実施形態では、設定項目としては、「トラクション制御」、「エンジン出力特性」、「クイックシフター」、「エンジンブレーキ」、「プリロード調整」、「ダンパー調整(前)」、及び「ダンパー調整(後)」などがある。
【0048】
図3に示す設定項目のうち、「トラクション制御」、「エンジン出力特性(パワーモード)」、「クイックシフター」、及び「エンジンブレーキ制御」は、エンジン5に関する設定項目である。
【0049】
「トラクション制御」は、駆動輪である後輪3のスリップ状態に応じてエンジン5の出力を調整するトラクション制御の調整量(即ち、後輪3を駆動するトルクの調節量)を設定する項目である。本実施形態では、指示者は、変更指示画面P1内のトラクション制御についての設定ボタン71を選択した後に、トラクション制御を実行しないモードである「オフ(Off)」と、トラクション制御の調整量の異なるいくつかのモードの中から選択できるようになっている。
【0050】
「エンジン出力特性(パワーモード)」は、アクセル操作子8の操作量(例えば、アクセルグリップの回転角度)とアクセル操作子8の操作に応じて開くスロットル弁の開度の比率を設定する項目であり、いわばエンジン5の出力特性を変更するための設定項目である。本実施形態では、指示者は、変更指示画面P1内のエンジン出力特性についての設定ボタン72を選択した後に、エンジンの出力制限を行わないモードである「フル(Full)」と、エンジンの最大出力を所定の割合に抑えたモードである「ロー(Low)」のいずれかを選択できるようになっている。
【0051】
「クイックシフター」は、クラッチ操作せずにシフトアップを可能にするか否かを設定する項目である。本実施形態では、指示者は、変更指示画面P1内のクイックシフターについての設定ボタン73を選択した後に、クラッチ操作せずにシフトアップを可能にするモードである「オン(On)」と、可能にしないモードである「オフ(Off)」のいずれかを選択できるようになっている。
【0052】
「エンジンブレーキ」は、エンジンブレーキの利きを調整する項目であり、具体的には、アクセル操作子8を戻したときのエンジン出力を落とす速度を調整する項目である。本実施形態では、指示者は、変更指示画面P1内のエンジンブレーキについての設定ボタン74を選択した後に、エンジンブレーキの利きを抑えるモードである「オン(On)」と、通常のエンジンブレーキの利きに設定したモードである「オフ(Off)」のいずれかを選択できるようになっている。
【0053】
図3に示す設定項目のうち、「プリロード調整」、「ダンパー調整(前)」、及び「ダンパー調整(後)」は、サスペンション25,26に関する設定項目である。
【0054】
「プリロード調整」は、初期荷重がかかっているときのリアサスペンション26のスプリングの縮み具合を調整する項目である。本実施形態では、指示者は、変更指示画面P1内のプリロード調整についての設定ボタン75を選択した後に、運転者のみが騎乗するモードである「1人乗り」、運転者と同乗者が騎乗するモードである「2人乗り」、運転者と同乗者が騎乗し且つ荷物も積むモードである「荷物あり」のいずれかを選択できるようになっている。本実施形態では、プリロード調整は、リアサスペンション26のみ設定変更可能であるが、フロントサスペンション25についても設定変更できてもよい。
【0055】
「ダンパー調整(前)」及び「ダンパー調整(後)」は、それぞれフロントサスペンション25及びリアサスペンション26のスプリングの伸び縮みの速さを調整する項目である。本実施形態では、指示者は、変更指示画面P1内の「ダンパー調整(前)」及び「ダンパー調整(後)」の各々についての設定ボタン76,77を選択した後に、「ハード(Hard)」、「ノーマル(Normal)」、「ソフト(Soft)」の3つのモードの中からいずれかを選択できるようになっている。「ハード(Hard)」、「ノーマル(Normal)」、「ソフト(Soft)」の3つのモードは、この順にスプリングの減衰力が高くなるように設定される。また、これら3つのモードの各々について、減衰力の微調整が可能となっている。
【0056】
本実施形態では、サスペンション25,26に関する設定項目を変更することにより、ブレーキ15,16の制御、具体的にはABS(Antilock Brake System)制御に関する設定が自動的に変更される。ABS制御は、公知の制御であって、制動時に車輪のスリップ率が大きくなり、ロックするおそれがあるときにはブレーキ液圧を強制的に低下させて、スリップを抑制する制御である。ABS制御についての設定が変更されることで、例えばABS制御の介入するタイミング(即ち、どの程度の後輪3のスリップ率が検出された場合にABS制御を介入させるか)が変更される。
【0057】
また、図に示さないが、変更指示画面P1では、上述の複数の設定項目を運転状況に適したものに一括変更できるように、運転モードを選択できるようになっている。運転モードには、雨の日の運転に適した設定となる「レインモード」、市街地の運転に適した設定となる「ロードモード」、エンジン5のレスポンスを高めた設定となる「スポーツモード」、各項目を手動で個別に設定可能な「マニュアルモード」がある。レインモード、ロードモード及びスポーツモードを選択した場合、選択したモードに応じた設定に選択される。
【0058】
変更指示画面P1には、上述の設定項目を設定するための設定ボタン71~77の他、設定受信ボタン78と設定送信ボタン79が配置される。設定受信ボタン78は、自動二輪車1の現在の設定を受信するためソフトウェアボタンである。指示装置50と変更装置40とが通信接続されている場合に、指示者が設定受信ボタン78をタップすることにより、指示装置50から変更装置40に現在の走行挙動情報を要求し、その要求に応答して、変更装置40は、現在の走行挙動情報を指示装置50に送る。これにより、指示装置50のタッチパネル52には、現在の設定が選択された状態の変更指示画面P1が表示される。
【0059】
設定送信ボタン79は、変更指示画面P1にて選択した内容の変更指示を変更装置40に送るためのソフトウェアボタンである。なお、本実施形態では、変更指示の送信は、変更許可部64が自動二輪車1の設定変更を許可した場合に制限される。
【0060】
図4は、自動二輪車1の表示装置11(より詳しくは、液晶パネル11a)に表示される通常画面D1の一例を示す図である。通常画面D1には、車速表示領域81、運転モード表示領域82、残量表示領域83、設定表示領域84が配置される。車速表示領域81には、自動二輪車1の車速が表示される。運転モード表示領域82には、現在設定されている運転モードが表示される。残量表示領域83には、燃料タンク12内の燃料の残量が表示される。設定表示領域84には、走行挙動情報に関する現在の設定が表示される。運転者は、設定表示領域84を見て、自動二輪車1の現在の設定を確認することが可能となっている。
【0061】
また、通常画面D1には、時刻表示領域85、通信接続報知アイコン86、電話着信報知アイコン87及びメール着信報知アイコン88も表示される。時刻表示領域85は、現在の時刻を表示するための領域である。通信接続報知アイコン86は、変更装置40の無線通信部34と指示装置50の無線通信部51との通信接続が確立したことを報知するアイコンである。本実施形態では、通信接続報知アイコン86が表示されているか否かによって、変更装置40の無線通信部34と指示装置50の無線通信部51との通信接続が確立したか否かを示す。電話着信報知アイコン87は、電話として機能する指示装置50に電話着信があったことを報知する。メール着信報知アイコン88は、電子メール受信装置として機能する指示装置50に電子メールの着信があったことを報知する。
【0062】
これら時刻表示領域85、通信接続報知アイコン86、電話着信報知アイコン87及びメール着信報知アイコン88は、設定情報のうち、上述した時刻情報及び表示形式情報に関連する。表示形式情報には、例えば、表示装置11が表示する時刻の表示形式や日付の表示形式、速度や温度などの単位の表示形式など、各種表示形式を定める情報が含まれる。変更装置40による時刻情報及び表示形式情報の変更について、詳細は後述する。
【0063】
(設定変更の流れ)
次に、乗物設定変更システム100における設定変更の流れについて、図5を参照しながら説明する。図5は、乗物設定変更システム100における設定変更手順を示すフローチャートである。なお、図5に示す設定変更手順の説明において、指示装置50の無線通信部51と変更装置40の無線通信部34とは、既にペアリングがなされているものとして説明する。
【0064】
まず指示装置50において、自動二輪車1の設定を変更するための所定のアプリケーションプログラム(本発明の「変更指示プログラム」に相当)を起動する(ステップS1)。ペアリング済みである指示装置50の無線通信部51が変更装置40の無線通信部34の通信範囲内に入ることにより、無線通信部51と無線通信部34との間で通信接続が確立される(ステップS2,S3)。
【0065】
無線通信部51と無線通信部34との間で通信接続が確立されると、変更装置40は、現在の設定を指示装置50に送信する(ステップS4)。これにより、指示装置50のタッチパネル52には、現在の設定が選択された状態の変更指示画面P1が表示される(ステップS5)。
【0066】
但し、指示装置50に対して指示者が所定の入力を行うことにより、現在の設定データを指示装置50から要求された場合(例えば上述の設定受信ボタン78をタップした場合)にのみ、変更装置40は、現在の設定を指示装置50に送信してもよい。あるいは、ステップS4はなくてもよく、この場合、指示装置50のタッチパネル52には、予め定められた設定が選択された状態の変更指示画面P1が表示されてもよい。
【0067】
変更指示画面P1にて、指示者が所望の設定を選択した後に、設定送信ボタン79をタップすると、指示装置50の通信制御部61は、判定情報を要求する判定情報要求を変更装置40に送信する(ステップS6)。判定情報は、自動二輪車1が走行状態にあるか停止状態にあるかを指示装置50の判定部63が判定するための情報であり、車載機器27である各種センサやスイッチ等が取得した検出結果を示す情報である。そして、変更装置40の通信制御部41は、受信した判定情報要求に応答して、車載機器27から取得した判定情報を指示装置50に送信する(ステップS7)。
【0068】
判定情報には、少なくとも自動二輪車1の車速情報が含まれる。また、判定情報には、車速情報の他、アクセルポジションセンサの検出値及びギヤポジションセンサの検出結果が含まれる。指示装置50の判定部63は、判定情報に基づき、自動二輪車1が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する(ステップS8;本発明の変更指示プログラムの「判定工程」に相当)。本実施形態では、指示装置50の判定部63は、判定情報に基づき、下記の判定条件(i)~(iii)が全て満たされている場合に、自動二輪車1が停止状態にあると判定する。
(i)車速が所定の速度(例えば5km/h)未満であること、
(ii)アクセルポジションセンサの検出値がアクセル全開に対する5%未満を示すこと、
(iii)ギヤがニュートラルであること
【0069】
なお、判定情報は、変更装置40により指示装置50に送信される必要はない。例えば、判定情報は、車載機器27、あるいは車載機器27から検出結果を取得したエンジンECU31などから、変更装置40を介さずに指示装置50に送信されてもよい。
【0070】
指示装置50の判定部63が、自動二輪車1が走行状態にあると判定した場合に(ステップS8:NO)、指示装置50の変更許可部64は、指示装置50が変更指示を変更装置40に送信するのを禁止する。具体的には、指示装置50の変更許可部64は、表示制御部62を介して、変更指示画面P1を非表示にし、走行停止を促すための警告画面P2を表示する(ステップS9;本発明の変更指示プログラムの「変更禁止工程」に相当)。
【0071】
図6は、指示装置50のタッチパネル52に表示された警告画面P2の一例を示す図である。図6に示すように、警告画面P2には、自動二輪車1が停止状態にないことを示すメッセージ(例えば、「車両が停止していません。」というメッセージ)が記述された警告ウィンドウ91が含まれる。警告ウィンドウ91内のOKボタン92を指示者がタップすると、警告画面P2は解除され、変更指示画面P1に戻る。OKボタン92はなくてもよく、所定時間経過後に警告画面P2を自動的に解除して、変更指示画面P1に戻してもよい。
【0072】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「変更指示画面」とは、変更指示を送るための指示者の入力を受付可能な状態の画面をいう。このため、警告画面P2が、変更指示画面P1の表示内容に対して警告ウィンドウ91を重畳表示した画面(変更指示画面P1に表示された内容の一部が見えている画面)であっても、警告画面P2から変更指示の送信が不能である限り、警告画面P2の表示は、「変更指示画面を非表示にする」ことに含まれる。
【0073】
指示装置50の判定部63が、自動二輪車1が停止状態にあると判定した場合に(ステップS8:YES)、指示装置50の変更許可部64は、指示装置50の通信制御部61が変更指示を変更装置40に送信するのを許可する(本発明の変更指示プログラムの「変更許可工程」に相当)。許可された通信制御部61は、変更指示を変更装置40に送信する(ステップS10;本発明の変更指示プログラムの「送信工程」に相当)。
【0074】
変更装置40が指示装置50から変更指示を受信したとき、変更装置40の表示制御部42は、表示装置11の液晶パネル11aに承認画面D2を表示する(ステップS11)。
【0075】
図7は、自動二輪車1の表示装置11に表示された承認画面D2の一例を示す図である。承認画面D2は、指示装置50から受信した変更指示に基づく自動二輪車1の設定変更を、運転者が承認するか否かを選択するための画面である。図7に示すように、承認画面D2には、承認ボタン111、キャンセルボタン112、及び変更指示内容表示領域113が配置される。
【0076】
承認画面D2では、運転者が操作装置10を操作することにより、承認ボタン111とキャンセルボタン112のいずれかを選択できるようになっている。変更指示内容表示領域113には、設定変更内容を示す情報が表示される。本実施形態では、変更指示内容表示領域113に、設定項目の全てが示されるわけではなく、現在の設定から変更した設定内容のみが示される。
【0077】
承認画面D2が表示されている間、変更装置40の判定部43は、判定情報に基づき、自動二輪車1が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する(ステップS12)。変更装置40の判定部43が判定する判定条件は、指示装置50の判定部63の判定条件と同じである。即ち、変更装置40の判定部43は、判定情報に基づき、上述の判定条件(i)~(iii)が全て満たされている場合に、自動二輪車1が停止状態にあると判定する。
【0078】
判定部43が、自動二輪車1が走行状態にあると判定した場合(ステップS12:NO)、変更許可部44は、自動二輪車1の設定変更を禁止する。具体的には、変更装置40の変更許可部44は、表示制御部42を介して、承認画面D2を非表示にし、承認画面D2が表示される前に表示されていた通常画面D1(即ち、ステップS10で変更指示が送られる前の状態)に戻す(ステップS13)。
【0079】
なお、判定部43が、自動二輪車1が走行状態にあると判定した場合に、変更許可部44は、承認画面D2を非表示にするとともに、指示装置50に、自動二輪車1が停止状態にないことを報知する信号を送ってもよく、指示装置50は、警告画面P2をタッチパネル52に表示してもよい。あるいは又は加えて、判定部43が、自動二輪車1が走行状態にあると判定した場合、変更許可部44は、承認画面D2から通常画面D1に戻す代わりに、走行停止を促すための警告画面を表示装置11に表示してもよい。
【0080】
また、運転者が操作装置10に対し自動二輪車1の設定変更をキャンセルする操作、即ちキャンセルボタン112を選択する操作を行った場合にも、承認画面D2は非表示となる。具体的には、キャンセルボタン112を選択する操作が行われると、操作装置10の送信部10aからキャンセル信号が変更許可部44に送信される。キャンセル信号を受信した変更許可部44は、表示制御部42を介して、承認画面D2を非表示にし、通常画面D1に戻す。
【0081】
運転者が自動二輪車1の設定変更を承認する操作、即ち承認ボタン111を選択する操作を行うと、操作装置10の送信部10aから承認信号が変更許可部44に送信される。変更許可部44は、自動二輪車1が停止状態にあると判定部が判定し(ステップS12:YES)、且つ、送信部10aから送信される承認信号を受信した場合に(ステップS14:YES)、自動二輪車1の設定変更を許可する。設定変更を許可された設定変更実行部45は、自動二輪車1の設定変更を実行する(ステップS15)。
【0082】
設定変更実行部45が自動二輪車1の設定変更を実行したときに、通信制御部41は、設定変更が完了したことを知らせる変更完了通知を指示装置50に送信する(ステップS16)。指示装置50が変更完了通知を受信した後に、表示制御部62は、変更完了通知をタッチパネル52に表示する(ステップS17)。
【0083】
図8は、指示装置50のタッチパネル52に表示された変更完了通知画面P3の一例を示す図である。図8に示すように、変更完了通知画面P3には、変更指示に基づく設定変更が完了したことを示すメッセージ(例えば、「設定変更が完了しました。」というメッセージ)が記述された通知ウィンドウ93が含まれる。通知ウィンドウ93内のOKボタン94を指示者がタップすると、変更完了通知画面P3は解除され、変更指示画面P1に戻る。OKボタン94はなくてもよく、所定時間経過後に変更完了通知画面P3を自動的に解除して、変更指示画面P1に戻してもよい。なお、変更完了通知画面P3には、設定変更内容を示す情報が表示される変更指示内容表示領域が含まれてもよい。
【0084】
なお、乗物設定変更システム100では、変更装置40は、指示装置50からの送られる信号に基づき、表示装置11の表示形態を変更する。これについて、図4及び図9を参照しつつ説明する。
【0085】
図9は、指示装置50のタッチパネル52に表示された一般設定画面P4の一例を示す図である。一般設定画面P4は、変更装置40と通信接続されているときの指示装置50の動作を設定する画面である。一般設定画面P4には、自動同期ボタン121、日付表示形式ボタン122、時刻表示形式ボタン123、電話着信通知ボタン124、メール着信通知ボタン125、速度単位ボタン126が配置される。
【0086】
自動同期ボタン121は、変更装置40の無線通信部34と指示装置50の無線通信部51との通信接続が確立した場合に、指示装置50の時刻に変更装置40の時刻を自動的に同期させるか否かを指定するためのソフトウェアボタンである。
【0087】
指示装置50が有するメモリには、時刻情報(以下、「第1時刻情報」と呼ぶ。)が格納されており、指示装置50は、外部から取得した別の時刻情報に基づき、この第1時刻情報を時刻合わせする。指示装置50の時刻合わせは、例えば、GPS(Global Positioning Sytem)、NTP(Network Time Protocol)、NITZ(Network Identity and Time Zone))などの仕組みにより実現される。自動同期ボタン121がオンになっている場合、変更装置40と指示装置50との通信接続が確立したときに、指示装置50の通信制御部61は、指示装置50の第1時刻情報を変更装置40へ送信する。変更装置40は、受信した第1時刻情報に基づき、変更装置40がメモリに格納する時刻情報(以下、「第2時刻情報」と呼ぶ。)を修正し、指示装置50の時刻と同期を行う。表示制御部42は、同期された時刻を表示装置11(より詳しくは、通常画面D1の時刻表示領域85)に反映する。
【0088】
日付表示形式ボタン122は、表示装置11に表示される日付の表示形式をいくつかの形式(例えば、「YYYY/MM/DD」、「MM.DD.YYYY」、「DD/MM/YYYY」など)の中から選択するためのソフトウェアボタンである。時刻表示形式ボタン123は、表示装置11に表示される時刻の表示形式をいくつかの形式(例えば、「24時間表記」、「12時間表記」など)の中から選択するためのソフトウェアボタンである。
【0089】
日付表示形式ボタン122又は時刻表示形式ボタン123を操作すると、その操作に対応した表示形式変更信号が指示装置50から変更装置40に送られる。変更装置40は、受信した表示形式変更信号に基づき、変更装置40のメモリに格納された表示形式情報を変更し、表示制御部42が、例えば図4に示す時刻表示領域85に反映する。
【0090】
電話着信通知ボタン124は、電話として機能する指示装置50に電話着信があった場合に、表示装置11に電話着信報知アイコン87を表示させるか否かを選択するためのソフトウェアボタンである。電話着信通知ボタン124がオンになっている場合に指示装置50に電話着信があると、指示装置50は、電話着信報知信号を変更装置50へ送る。変更装置40は、電話着信報知信号を受信した場合に、図4に示すように電話着信報知アイコン87を表示装置11に表示する。
【0091】
メール着信通知ボタン125は、電子メール受信装置として機能する指示装置50に電子メールの着信があった場合に、表示装置11にメール着信報知アイコン88を表示させるか否かを選択するためのソフトウェアボタンである。メール着信通知ボタン125がオンになっている場合に指示装置50に電子メールの着信があると、指示装置50は、電子メール着信報知信号を変更装置50へ送る。変更装置40は、電子メール着信報知信号を受信した場合に、図4に示すようにメール着信報知アイコン88を表示装置11に表示する。
【0092】
速度単位ボタン126は、表示装置11に表示される速度の単位をいくつかの単位(例えば、「km/h」、「MPH」など)の中から選択するためのソフトウェアボタンである。速度単位ボタン126を操作すると、その操作に対応した表示形式変更信号が指示装置50から変更装置40に送られる。変更装置40は、受信した表示形式変更信号に基づき、変更装置40のメモリに格納された表示形式情報を変更し、表示制御部42が、図4に示す単位の表記81aに反映する。
【0093】
以上に説明したように、本実施形態に係る乗物設定変更システム100によれば、変更装置40及び指示装置50の判定部43,63は、それぞれ、自動二輪車1が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する。そして、変更装置40の変更許可部44は、少なくとも自動二輪車1が走行状態にあると判定部43が判定した場合に、自動二輪車1の設定変更を禁止し、自動二輪車1が停止状態にあると判定部43が判定した場合に、自動二輪車1の設定変更を許可する。一方、指示装置50の変更許可部64も、同様に、少なくとも自動二輪車1が走行状態にあると判定部63が判定した場合に、自動二輪車1の設定変更を禁止し、自動二輪車1が停止状態にあると判定部63が判定した場合に、自動二輪車1の設定変更を許可する。
【0094】
このように、本実施形態では、走行中の自動二輪車1の設定が変更されることを防ぐことができる。これにより、走行中の設定変更に起因する走行フィーリングの違和感を抑えることができる。
【0095】
また、本実施形態では、指示装置50は、自動二輪車1から分離して構成され、無線通信により変更装置40へ変更指示を送信する。このため、指示装置50と変更装置40との間を有線を介して電気的に接続する必要がないため、利便性を向上することができる。
【0096】
また、本実施形態では、変更装置40の変更許可部44は、自動二輪車1が停止状態にあると判定部43が判定し、且つ、操作装置10の送信部10aから送信される承認信号を受信した場合に、自動二輪車1の設定変更を許可する。このため、操作装置10を操作する運転者の承認なしで設定変更が実行されるのを防止することができる。
【0097】
また、本実施形態では、指示装置50から変更指示を受信したときに承認画面D2を表示装置11に表示させ、変更許可部44は、表示装置11に承認画面D2が表示されているときに承認信号を受信した場合に、自動二輪車1の設定変更を許可する。このため、運転者は表示装置11を視ながら操作装置10に対して承認操作を行うことが可能であるため、設定変更が実行されたか否かを容易に認識することができる。
【0098】
また、本実施形態では、承認画面D2の変更指示内容表示領域113に、設定変更内容を示す情報が表示されるため、変更内容を認識したうえで、承認操作を行うことができる。
【0099】
また、本実施形態では、変更装置40の判定部43が、自動二輪車1が走行状態にあると判定した場合、表示装置11は、承認画面D2を非表示にする。このため、変更装置40が設定変更を承認できる状態にあるか否かを、運転者は表示装置11を視て容易に認識することができる。
【0100】
また、本実施形態では、判定部63が、自動二輪車1が走行状態にあると判定した場合、変更許可部64は、指示装置50が変更指示を変更装置40に送信するのを禁止するため、自動二輪車1が走行状態にあると判定された場合の指示装置50からの変更指示を確実に禁止することができる。
【0101】
また、本実施形態では、判定部63が、自動二輪車1が走行状態にあると判定した場合、指示装置50の変更許可部64は、変更指示画面P1を非表示にする。このため、指示装置50が設定変更を指示できる状態にあるか否かを、運転者は指示装置50の表示部であるタッチパネル52を視て容易に認識することができる。
【0102】
また、本実施形態では、変更装置40は、自動二輪車1の設定変更を実行したときに、設定変更が完了したことを知らせる変更完了通知を指示装置50に送信するため、指示装置50が受信した変更完了通知により、変更指示を送った指示者は、設定変更が完了したことを知ることができる。
【0103】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0104】
上記実施形態では、判定部を変更装置と指示装置の双方が備えていたが、いずれか一方が備えていればよい。また、変更許可部も、変更装置と指示装置の双方が備えていたが、いずれか一方が備えていればよい。
【0105】
例えば、変更装置40が判定部43と変更許可部44を有し、指示装置50が判定部63と変更許可部64とを有さなくてもよい。この場合、変更装置40の判定部43が、自動二輪車1が走行状態にあると判定した場合に、変更装置40の変更許可部44が、通信制御部41を介して、変更指示の送信を禁止させるための禁止命令を指示装置50に送信してもよい。
【0106】
あるいは、変更許可部44は、指示装置50による変更指示の送信を禁止しなくてもよく、変更装置44側で変更許可を禁止してもよい。具体的には、指示装置50の変更指示画面P1にて、設定送信ボタン79が押された場合に、判定情報要求を送ることなく、変更指示を変更装置40に送る。そして、変更指示を受信した後に、変更装置40の判定部43が判定を行い、判定部44が自動二輪車1が走行状態にあると判定した場合に、変更許可部44は、承認画面D2を非表示にすることで、設定変更を禁止してもよい。
【0107】
また、例えば、指示装置50が判定部63と変更許可部64を有し、変更装置50が判定部43と変更許可部44とを有さなくてもよい。この場合、変更装置40が指示装置50から変更指示を受信したときに、承認が面D1を表示装置11が表示することなく、変更指示に基づく設定変更を行ってもよい。
【0108】
また、例えば、指示装置50が判定部63を有さず、変更装置50が変更許可部44を有さなくてもよい。この場合、指示装置50の変更指示画面P1にて、設定送信ボタン79が押された場合に、判定情報要求を送る代わりに、判定結果要求を変更装置40に送ってもよい。変更装置40の判定部43は、判定結果要求に応答して、例えば上記判定条件(i)~(iii)から、判定結果を導出し、指示装置50に送ってもよい。指示装置50の変更許可部64は、受信した判定結果に基づき、変更指示の送信を許可するか否かを決定してもよい。
【0109】
上記実施形態では、判定部43,63が、判定条件(i)~(iii)が全て満たされている場合に、自動二輪車1が停止状態にあると判定したが、停止状態にある(走行状態にない)と判定する条件はこれに限定されない。例えば、判定部43,63は、判定条件(i)~(iii)のうちの1つ又は2つを判定条件としてもよい。
【0110】
また、判定条件(i)~(iii)に加えて、または判定条件(i)~(iii)の代わりに、別の条件を、自動二輪車1が走行状態にあるか停止状態にあるかを判定する条件としてもよい。例えば、サイドスタンドスイッチがサイドスタンドの降下を検出したことを判定条件の1つとしてもよい。判定部43の判定条件と判定部63の判定条件とは同じでなくてもよい。また、上記実施形態では、判定部43,63の各々の判定条件は、走行状態か停止状態かの判定を含まなくてもよく、乗物の設定変更によって走行フィーリングの違和感が生じるか否かを判定できる判定条件であればよい。
【0111】
指示装置50の判定部63は、乗物から送られる判定情報に基づき、走行状態にあるか停止状態にあるかを判定したが、指示装置50の判定部63は、指示装置に設けられた装置(例えばGPS装置やジャイロセンサなど)の検出結果に基づき、走行状態にあるか停止状態にあるかを判定してもよい。
【0112】
また、変更指示画面P1を非表示にする態様として、上記実施形態では、警告画面P2を表示させたが、変更指示画面P1の非表示の態様はこれに限定されない。即ち、変更指示の送信が不能な状態の画面が表示されれば、変更指示画面P1を非表示に含まれる。例えば、設定送信ボタン79がグレーアウトして指定できない状態となった画面となることも、変更指示画面の非表示に含まれる。
【0113】
操作装置10は、ハンドルに設けられたスイッチであったが、表示装置11の液晶パネル11aの側方などに設けられていてもよい。
【0114】
乗物の設定項目は、上記実施形態で説明されたものに限定されない。例えば、上記実施形態では、サスペンション25,26に関する設定の変更に、ブレーキ15,16のABS制御に関する設定の変更が関連付けられていたが、乗物の設定項目に、サスペンションとは別に、ABS制御についての設定項目が含まれてもよい。また、フロントサスペンション25及びリアサスペンション26のスプリングの伸び縮みの速さを調整する設定項目について、例えば、スプリングが伸びる速さと縮む速さを個別に調整できてもよい。
【0115】
また、上記実施形態で説明された一般設定画面P4も一例であり、例えば、一般設定画面P4に、速度単位ボタン126の他、温度単位など別の単位の表示形式に関するボタンが表示されてもよい。
【0116】
また、上記で説明された表示装置11の液晶パネル11aの表示態様も一例にすぎない。表示装置11の液晶パネル11aにおける通常画面D1は、表示モードを切り替え可能であってもよく、表示モードを切り替えることにより、例えば設定表示領域84の代わりに、自動二輪車1の通算走行距離やエンジン5を冷却する冷却水の温度などが表示されてもよい。また、表示装置11は、液晶パネル11aの代わりに又は加えて、表示ランプ等を備えていてもよい。
【0117】
変更装置40は、エンジンECU31、サスペンションECU32及びブレーキECU33を統合的に制御するメインECUとして機能しなくてもよい。変更装置40は、他のECU31~33のうちの一部または全部の機能を有する構成であってもよい。即ち、変更装置40は、他のECU31~33と一つにまとめられてもよい。設定情報は、1つのメモリに格納されてもよい。
【0118】
指示装置50から送られる変更指示に基づき変更装置40が変更する走行挙動情報は、変更されることにより、運転者の走行フィーリングに変化を生じさせ得る情報であればよく、エンジン制御情報、サスペンション制御情報、及びブレーキ制御情報に限定されない。また、上記実施形態では、変更装置40が変更する走行挙動情報として、エンジン制御情報、サスペンション制御情報、及びブレーキ制御情報が説明されたが、走行挙動情報は、エンジン制御情報、サスペンション制御情報、及びブレーキ制御情報の少なくとも1つを含んでいればよい。
【0119】
指示装置50は、スマートフォンでなくてもよく、電話や電子メール受信装置として機能しないものでもよい。例えば指示装置50は、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯情報端末等の他の種類の携帯型のコンピュータでもよいし、据置型のコンピュータでもよい。また、上記実施形態では、指示装置50は、指示者からの入力を受け付ける入力部及び変更指示画面を表示する表示部を兼ねたタッチパネルを備えていたが、指示装置50は、入力部と表示部を別個に備えていてもよい。また、指示装置50は、無線通信により変更装置40へ変更指示を送信するものでなくてもよく、有線通信により変更装置40へ変更指示を送信するものでもよい。
【0120】
上記実施形態では、駆動輪を駆動する駆動源として、吸気系に開度可変のスロットル弁を装備したエンジン5が示されたが、駆動源には、エンジン5に代えて又は加えて電気モータが用いられてもよい。また、乗物の一例として、自動二輪車を例示したが、本発明は、自動二輪車以外の乗物、例えばPWC(パーソナルウォータークラフト)やユーティリティビークル等の設定変更にも適用可能である。
【符号の説明】
【0121】
100 :乗物設定変更システム
1 :自動二輪車(乗物)
7 :ハンドル
10 :操作装置
10a :送信部
11 :表示装置
34 :無線通信部(受信部)
40 :変更装置
41 :通信制御部
42 :表示制御部
43 :判定部
44 :変更許可部
45 :設定変更実行部
50 :指示装置
51 :無線通信部
52 :タッチパネル
53 :制御部
61 :通信制御部
62 :表示制御部
63 :判定部
64 :変更許可部
D1 :通常画面
D2 :承認画面
P1 :変更指示画面
P2 :警告画面
P3 :変更完了通知画面
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9