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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】塗装模型
(51)【国際特許分類】
   G09B 25/04 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
G09B25/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018127557
(22)【出願日】2018-07-04
(65)【公開番号】P2020008638
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-10-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中間 康博
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-258099(JP,A)
【文献】実開平04-099999(JP,U)
【文献】実開昭52-135263(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 25/04
G09F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁塗装の配色決定に用いられる塗装模型であって、
第1の直方体模型と、前記第1の直方体模型よりも小さい第2の直方体模型との組み合わせを少なくとも有し、
前記第1および第2の直方体模型の直方体を構成する各面に、前記建物の外壁塗装と同じ塗料により塗装色が施されており、
前記第1および第2の直方体模型の天面に、建物屋根をイメージして被せられる、箱型のキャップをさらに有する、塗装模型。
【請求項2】
前記第1および第2の直方体模型の各面に施された前記塗装色は、ひとつの直方体面において異なる3色以上が配置された、請求項1に記載の塗装模型。
【請求項3】
前記第1および第2の直方体模型は立方体を含む模型である、請求項1または2に記載の塗装模型。
【請求項4】
前記第2の直方体模型の1辺の長さは、前記第1の直方体模型の1辺の長さに対し、0.3~0.8倍である、請求項3に記載の塗装模型。
【請求項5】
前記第1および第2の直方体模型は、輸送時または非使用時には平板状に折り畳み可能な、箱体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の塗装模型。
【請求項6】
前記第1および第2の直方体模型の各面に、該面に施された前記塗装色を指示する記号が表示されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の塗装模型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装模型に関する。詳しくは、本発明は、建物の外壁塗装の配色組み合わせの決定に用いられる塗装模型に関する。
【背景技術】
【0002】
建物、特に戸建て住宅を建築する場合、外観上の美観を左右するものとして、建物の外壁がある。これらの色は、通常、建築工事にかかる以前に或いは建築工事の進行に伴って決定されていく。
【0003】
例えば、外壁の塗装色を決定する場合には、塗料の「カラーサンプル帳」や「CG(computer graphics)画像イメージ図」等のツールを使って設計者、カラーコーディネーター、あるいはエクステリア(インテリア)アドバイザー等と打ち合わせを行うのが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
しかし、平面のカラーサンプル帳(または板見本)等では、実際の建物の垂直に位置する壁面でのイメージがつきにくく、CG画像イメージ図では実際の塗装色を疑似化させたものであるため、顧客が想定する色とのズレがしばしば生じ、実際の外壁の色が当初のイメージに合わないという問題が生じる。結果として注文者に十分に納得してもらえない場合がある。
【0005】
また、昨今の外壁塗装は、大まかな部分を占める「ベースカラー」と、ベランダ部分や玄関部等の小範囲な箇所に用いる「アクセントカラー」とを組み合わせた配色で構成することが多く、その場合には、上記のようなツールを使っての色決定は更に難しいものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平1-315553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、本発明の目的は、建物外壁の塗装色およびその組み合わせ配色の決定において、壁面でのイメージをつかみやすくした塗装模型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を続けた結果、大小2つの直方体模型を組み合わせて用いることにより上記課題を解決できることに想到し本発明を完成させるにいたった。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
建物の外壁塗装の配色決定に用いられる塗装模型であって、
第1の直方体模型と、前記第1の直方体模型よりも小さい第2の直方体模型との組み合わせを少なくとも有し、
前記第1および第2の直方体模型の直方体を構成する各面に、前記建物の外壁塗装と同じ塗料により塗装色が施されており、
前記第1および第2の直方体模型の天面に、建物屋根をイメージして被せられる、箱型のキャップをさらに有する、塗装模型。
[2]
前記第1および第2の直方体模型の各面に施された前記塗装色は、ひとつの直方体面において異なる3色以上が配置された、[1]に記載の塗装模型。
[3]
前記第1および第2の直方体模型は立方体を含む模型である、[1]または[2]に記載の塗装模型。
[4]
前記第2の直方体模型の1辺の長さは、前記第1の直方体模型の1辺の長さに対し、0.3~0.8倍である、[3]に記載の塗装模型。
[5]
前記第1および第2の直方体模型は、輸送時または非使用時には平板状に折り畳み可能な、箱体である、[1]~[4]のいずれかに記載の塗装模型。
[6]
前記第1および第2の直方体模型の各面に、該面に施された前記塗装色を指示する記号が表示されている、[1]~[5]のいずれかに記載の塗装模型。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、建物外壁のカラーサンプルを直方体模型とすることにより、外壁の塗装色およびその組み合わせ配色の決定において、壁面でのイメージをつかみやすくした塗装模型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の塗装模型の第1および第2の直方体模型を示す斜視図である。
図2】直方体模型の展開体を表す平面図および断面図である。
図3】直方体模型の折り畳み体を示す平面図である。
図4】配色コーディネートガイドの一例を示す図である。
図5】第1および第2の直方体模型の並べ方の一例を示す図である。
図6】第1および第2の直方体模型の並べ方の一例を示す図である。
図7】第1および第2の直方体模型に箱型キャップをかぶせた状態を示す図である。
図8】塗装模型を複数並べた状態を示す図である。
図9】塗装模型を複数並べて街並みをイメージした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。
<塗装模型>
図1は、塗装模型の第1および第2の直方体模型を示す斜視図であり、図2は直方体模型の展開体を表す平面図および断面図、図3は直方体模型の折り畳み体を示す平面図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の塗装模型1は、第1の直方体模型10と、第1の直方体模型よりも小さい第2の直方体模型20との組み合わせを少なくとも有し、第1および第2の直方体模型10,20の直方体を構成する各面に、建物の外壁塗装と同じ塗料により塗装色が施されてなる。
【0013】
図2に示すように、第1および第2の直方体模型10,20は、ダンボール紙のような厚紙からなる基材2の表面に、ベース層3の上に壁材塗料が塗装されてなる塗膜層4が形成されてなる。
【0014】
ベース層3は、紙または布製であり、例えばスパンボンド法によって形成された、ポリエステル又はポリプロピレン又はナイロン長繊維不織布であり、第1および第2の直方体模型10,20の表面において壁材塗料を保持する。
また、ベース層3には、壁材塗料が乗りやすいように、表面に凹凸が形成されるエンボス加工によって模様を施していてもよい。
【0015】
第1および第2の直方体模型10,20の塗料層4は、実際に壁材に用いる塗料(壁材塗料)にて構成されている。このため、壁材塗料の色のみならず、塗料の模様および質感をも正確に再現することができる。塗装色は、特に限定されるものではなく、単色系であってもよいし、多彩色系であってもよい。また模様が施されていてもよい。
【0016】
本発明の塗装模型1(第1および第2の直方体模型10,20)は直方体である。直方体以外の多面体、例えば正八面体や正十二面体などの場合、塗装模型1を例えば机上に載置した場合に、載置面に対する垂直面がないため、地面に対して垂直である建物の壁面としてのイメージをつかむことが難しい。
【0017】
また一般的に、建物において、隣り合う壁同士も垂直であるため、載置面に対する垂直面があっても、隣り合う側面同士が垂直ではない、三角柱や六角柱のような角柱体も、本発明の塗装模型には適さない。
塗装模型1を直方体とすることで、側面が載置面に対して垂直であるとともに、隣り合う面同士も垂直となり、建物をより具体的にイメージすることができる。
【0018】
第1および第2の直方体模型10,20は立方体であることが好ましい。すべての面が正方形であり同じ大きさ(面積)であることで、2つあるいはそれ以上の直方体模型を用いた、色の組み合わせパターンのイメージの比較検討を行いやすくなる。また第1および第2の直方体模型10,20を転がして前面(観察者、例えば決定者側)に表れる色を変える操作も行いやすくなる。
【0019】
第2の直方体模型20が第1の直方体模型10に対して大きさがほとんど変わらなかったり、あるいは小さすぎたりすると、大小2つの直方体模型を組み合わせて、一般的な建物の色分け面積に応じた色の組み合わせパターンのイメージをつかみやすくするという、本発明の効果が十分に得られない。そのため、第2の直方体模型の1辺の長さは、第1の直方体模型の1辺の長さに対し、例えば0.3~0.8倍であることが好ましい。
【0020】
第1および第2の直方体模型10,20の大きさは、特に限定されるものではないが、色のイメージのしやすさに加えて、携帯性および操作性を考えると、大きい第1の直方体模型10については、1辺が100~300[mm]、好ましくは100~200[mm]程度である。小さい第2の直方体模型20については、1辺が50~200[mm]、好ましくは50~100[mm]程度である。1つの具体例としては、第1の直方体模型10の1辺が130mmであり、第2の直方体模型20の1辺が70mmである。
【0021】
前記第1および第2の直方体模型10,20は箱体であり、輸送時または非使用時には平板状に折り畳み可能である。
図2は、塗装模型1(第1および第2の直方体模型10,20)の展開体であり、輸送時など組み立てる前は平板状に小さくすることができる。
図3は、塗装模型1(第1および第2の直方体模型10,20)の折り畳み体であり、輸送時または非使用時には、塗装模型1は側面部分が筒状とされた状態で折り畳まれ、平板状に小さくすることができる。
【0022】
このように塗装模型1を小さくすることで、展開体または折り畳み体を封筒や紙袋に入れても嵩張らずに、平板状態で持ち運ぶことができる。また、郵便などにより相手方(建築事務所やデザイン事務所など)に送付することもできる。また、複数の展開体または折り畳み体を折り畳んで一緒に入れることで、様々な塗装模型1を嵩張らずに持ち運びあるいは送付することができる。
【0023】
また、第1および第2の直方体模型10,20は、上述したように主に紙や不織布から構成されているので、非常に軽量であり、持ち運びや回転操作を容易に行うことができる。
【0024】
第1および第2の直方体模型10,20は、送付先(建築事務所やデザイン事務所など)において簡単に組み立てられる。使用時には、図2に示す展開体を、塗料層4が表側になるように折り曲げ線で折り曲げて、のりしろ5で糊または両面テープ等を用いて張り合わせることにより、簡単に箱型の直方体模型を作製することができる。また図3に示す折り畳み体も立体的に広げて、糊または両面テープ等を用いて張り合わせることにより、簡単に箱型の直方体模型を作製することができる。また面ファスナー等を用いて剥離と張り合わせを繰り返しできるようにしてもよい。
【0025】
第1および第2の直方体模型10,20の各面には施された塗装色は、ひとつの直方体面において、それぞれ原則すべて異なる色とするが、3色以上配置されていればよい。
第1および第2の直方体模型10,20の各面に、ひとつの直方体面においてそれぞれ原則異なる塗装色を施すことにより、第1の直方体模型10で最大6色、第2の直方体模型20で最大6色の色を表示することができる。そして、第1の直方体模型10と第2の直方体模型20との色の組合せとしては、6×6で計36パターン(同色の組み合わせも含む)となり、多くの配色検討を行うことが可能となる。
【0026】
また多くの組合せパターンも、第1の直方体模型10と第2の直方体模型20をそれぞれ回転させて前面(観察者(顧客)側)に現れる色の組み合わせを変化させるという非常に簡単な動作で創出(提案、プレゼン)することができ、効率よく確認していくことができる。
【0027】
建物の外観イメージや目的に合わせ、塗装模型1が表出する色を適宜選択することで、目的とする配色組み合わせを創出することができる。
【0028】
一般家屋の外壁塗装においては、大まかな部分を占める「ベースカラー」と、ベランダ部分や玄関部等の小範囲な箇所に用いる「アクセントカラー」とを組み合わせた配色で構成することが多い。
【0029】
第1および第2の直方体模型10,20は、それぞれ、建物の外観イメージに合わせ、適応するベースカラー系やアクセントカラー系といった用途別カラーでまとめると、目的とする外観配色を創出することができ、活用度が高まる。
【0030】
大きな第1の直方体模型10には、ベースカラーとなる色を配し、小さな第2の直方体模型20には、アクセントカラーとなる色を配することが好ましい。大きな第1の直方体模型10の色と、小さな第2の直方体模型20の色とを組み合わせることによって、ベースカラーと、アクセントカラーとを組み合わせたときのイメージをつかみやすくなる。
【0031】
また、第1および第2の直方体模型10,20は、それぞれ、建物の外観イメージに合わせ、適応するモノトーン系やナチュラル系といったテーマカラーでまとめると、目的とする外観配色を創出することができ、活用度がより高まる。
【0032】
例えば、第1の直方体模型10(大)をモノトーンの白系カラー、第2の直方体模型20(小)をモノトーンの黒系カラーとすることが挙げられる。白色のベース色に黒系アクセントでスタイリッシュな印象となる。
【0033】
また例えば、第1の直方体模型10(大)をモノトーンの黒系カラー、第2の直方体模型20(小)をモノトーンの白系カラーとすることが挙げられる。黒色のベース色に白系アクセントでシャープな印象となる。
モノトーンの白系カラーと黒系カラーとを第1の直方体模型10(大)の中で塗り分け、また第2の直方体模型20(小)でも同様の塗り分けを行い、第1の直方体模型10(大)と第2の直方体模型20(小)との組み合わせで配色を創出することも可能である。
【0034】
モノトーン系カラーの場合、マンセル値・属性において「彩度」のみが対象となる。彩度は、0が無彩色に当たり、数値が大きくなるに従って色が鮮やかになっていく。なお、色相の違いで彩度の最大値は異なってくるが、本実施形態におけるモノトーン系カラーの場合、第1および第2の直方体模型10,20の色は、それぞれ、マンセル表色系で表す彩度で0(無彩色)~2の範囲であることが好ましい。
【0035】
以下に、第1および第2の直方体模型10,20にそれぞれ施された塗装色が無彩色に近いモノトーン系である場合の、そのマンセル値の一具体例を表1に示す。この例では、第1の直方体模型10と第2の直方体模型20とで、塗装色は共通である。なお、本発明は表に示される色(マンセル値)および組み合わせに限定されるものではないことは言うまでもない。
また、表1および後掲する表2,3におけるマンセル値は、塗板材における10ポイントにおける測定の平均値である。
【0036】
【表1】
【0037】
また例えば、第1の直方体模型10(大)をナチュラルトーンのベージュ系、第2の直方体模型20(小)をナチュラルトーンのブラウン系とすること等が挙げられる。ナチュラルトーン系は、上記無彩色に近いモノトーン系以外の色彩であり、色みを感じさせる有彩色系の色彩である。淡色系のベース色とやや濃色系のアクセント色との組み合わせで塗装の奥行きを感じさせる印象となる。
【0038】
本実施形態において、ナチュラルトーン系カラーの場合、第1および第2の直方体模型10,20の色は、色みを感じさせる有彩色系の色彩であることが好ましい。
【0039】
以下に、第1および第2の直方体模型10,20にそれぞれ施された塗装色がナチュラルトーン系である場合の、そのマンセル値の一具体例を表2,および表3に示す。本発明は表に示される色(マンセル値)および組み合わせに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
このような色の組み合わせで、大・小2つの直方体模型10,20を並べて、あるいは積み重ねて配色のシミュレーションを行っていく。
特に本発明では、平面ではなく、立体、特に立方体(直方体)の模型とすることにより、外壁の塗装色およびその組み合わせ配色の決定において、壁面でのイメージをつかみやすくすることができる。
また、大きな第1の直方体模型10と小さな第2の直方体模型20を組み合わせて用いることで、ベースカラーと、アクセントカラーとを組み合わせたときのイメージを、多くの組み合わせパターンについて、よりリアルにつかむことができる。
【0043】
第1および第2の直方体模型10,20の各面に、該面に施された塗装色を指示する記号が表示されていることが好ましい。
第1および第2の直方体模型10,20の各面に施された塗装色に記号を付け、それぞれの記号の組み合わせを「符号化」することで、色の組み合わせパターンの識別を明確にすることができる。
【0044】
例えば表1~表3に示すように、各色に「い」「ろ」「は」「に」「ほ」…、あるいは「a」「c」「g」「h」「k」…と記号をつけておき、色の組み合わせを「大(ベース色)&小(アクセント色)」の順に「い&ほ」、「g&p」、「ろ&h」等のように表す。これにより色の組み合わせパターンを特定することができる。
記号の表示は、例えば図1に示すように、塗装色を指示する記号が記されたシール6を、第1および第2の直方体模型10,20の各面に施された塗装色に対応させて貼り付けることにより、表示することができる。
【0045】
<外壁配色パターンの決定方法>
上述したような本発明の塗装模型1を用いての、外壁の配色パターンの決定方法について説明する。
【0046】
注文者(決定者)には、配色決定の打ち合わせに先立って、事前ガイドツールとして、配色コーディネートガイドを渡しておくことが好ましい。
【0047】
図4は、配色コーディネートガイドの一例を示す図である。配色コーディネートガイド50には、大パターンと小パターンの組み合わせとして、おすすめの配色組み合わせが複数掲載されている。大パターンと小パターンは、それぞれ、第1の直方体模型10と第2の直方体模型20に相当する。注文者は、事前にこのガイド50を見て、気に入った組み合わせ候補を選んでおく。
本発明の塗装模型1に加えて、配色コーディネートガイド50によりおおまかな配色を事前に決定してもらうことで、実際の打合せ時における配色の決定をよりスムーズに行うことができる。
【0048】
次に、設計者、カラーコーディネーター、あるいはエクステリア(インテリア)アドバイザー等との実際の打合せにおいて、図5および図6に示すように、大きな第1の直方体模型10と小さな第2の直方体模型20とを使用し、大小2つの直方体模型に施された色を実際に組み合わせて確認しながら、配色組み合わせを決定していく。
第1の直方体模型10と第2の直方体模型20とを前後や横に並べて、あるいは積み重ねて、光の当たり方、陰影のつき方などを確認しながら色合わせをすることができる。
【0049】
このとき、図5に示すように、第1の直方体模型10と第2の直方体模型20とを揃えて並べてもよいし、図6に示すように、第1の直方体模型10と第2の直方体模型20とをずらして並べたりしてもよい。例えば玄関が奥まっている場合などには、第2の直方体模型20を第1の直方体模型10に対して奥側にずらして並べることで、玄関のイメージをより的確につかむことができる。
【0050】
特に本発明では、平面ではなく、立体、特に立方体(直方体)の模型を用いることにより、外壁の塗装色およびその組み合わせ配色の決定において、壁面でのイメージをつかみやすくすることができる。
【0051】
また、第1および第2の直方体模型10,20には、実際に壁材に用いられる塗料が塗装されているため、塗料の色のみならず、塗料の模様および質感をも、正確にイメージすることができる。
【0052】
さらに、大きな第1の直方体模型10と小さな第2の直方体模型20を組み合わせて用いることで、ベースカラーと、アクセントカラーとを組み合わせたときのイメージを、多くの組み合わせパターンについて、よりリアルにつかむことができる。
【0053】
そして多くの組合せパターンも、第1の直方体模型10と第2の直方体模型20をそれぞれ回転させて前面(観察者(顧客)側)に現れる色を変化させるという非常に簡単な動作で創出(提案、プレゼン)することができ(図5の矢印参照)、効率よく確認していくことができる。
【0054】
さらに、図7に示すように、第1および第2の直方体模型10,20の天面に、建物屋根をイメージした箱型のキャップ30をかぶせてもよい。これにより、建物としてのイメージをよりリアルにイメージすることができる。キャップ30の色は特に限定されない。
【0055】
以上のようにして、決定者(注文者)は、外壁の塗装色およびその配色組み合わせを決定する。本発明の塗装模型1を用いることで、外壁配色の決定において、壁面でのイメージをつかみやすいため、実際に出来上がった家屋において、顧客が想定する色とのズレが生じる可能性が低く、注文者に十分に納得してもらうことができる。
【0056】
また、外観設計を行う場合は、図8および図9に示すように、分譲住宅が立ち並ぶ街並みを想定して、塗装模型1を複数並べて配置することで、一戸だけではなく街並みとしての外観のシミュレーションも行うことができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0058】
例えば上述した説明では、大きい第1の直方体模型と、小さい第2の直方体模型の2つを用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の直方体模型を用いてもよい。例えば第1の直方体模型と、第2の直方体模型を2つ、合わせて3つの直方体模型を用いることができる。また、第1および第2の直方体模型とは大きさの異なる直方体模型を用いてもよい。例えば第2の直方体模型より大きく、第1の直方体模型より小さい、第3の直方体模型をさらに用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明による塗装模型を用いることで、外壁の塗装色およびその組み合わせ配色の決定において、壁面でのイメージをつかみやすいものとなり、外壁の塗装模型として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 :塗装模型
2 :基材
3 :ベース層
4 :塗料層
5 :のりしろ
6 :シール
10 :第1の直方体模型
20 :第2の直方体模型
30 :キャップ
50 :配色コーディネートガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9