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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】バッテリ保護装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20221116BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20221116BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D25/20 E
H01M10/42 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018137665
(22)【出願日】2018-07-23
(65)【公開番号】P2020015332
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鐘ヶ江 将太
(72)【発明者】
【氏名】山根 和也
(72)【発明者】
【氏名】山下 透
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-517819(JP,A)
【文献】特開2017-112752(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0253114(US,A1)
【文献】特表2015-511559(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009053138(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
H01M 10/42
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ間隔を空けて設置された複数のバッテリと、
車両に対する衝突の状況を判定する衝突状況判定部と、
前記衝突状況判定部が判定した衝突の状況に応じて、所定の前記バッテリを移動させるバッテリ移動手段と、
を備え
前記衝突状況判定部は、車両に対する衝突位置を判定し、
前記バッテリ移動手段は、前記衝突状況判定部に判定された前記衝突位置に対応する位置に設置された前記バッテリのみを移動させる、
ことを特徴とするバッテリ保護装置。
【請求項2】
前記衝突状況判定部は、車両に対する衝突の大きさを判定し、
前記バッテリ移動手段は、前記衝突状況判定部に判定された前記衝突の大きさに応じて前記バッテリを移動させる、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリ保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両では、電気を使用するため、バッテリが設けられている。また、電気自動車やハイブリッド車両等においては、多くの電気を使用するため、多数のバッテリを備えている。
ここで、このような車両において、車両に対する衝突に対して、バッテリを破損から守るだけでなく、バッテリの損傷による火災の発生の虞があるため、バッテリの保護機能が求められる。そこで、例えば、衝突時にバッテリを移動させるバッテリ保持構造が提案されている。このバッテリ保持構造は、車両の前後方向に複数のバッテリを並べ、衝突によりバッテリに所定値以上の荷重が作用すると、バッテリがクランプから外れ車両前方へ移動するようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平07-246843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バッテリの重量は重いものであるので、上記のようなバッテリ保護構造では、全てのバッテリが最大限の移動量を移動してしまうため、バッテリ移動に伴い車両の重心が大きく変化してしまい、車両の姿勢が不安定になってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、衝突などにおいてバッテリを十分に保護しつつ、車両の姿勢を安定して保つことができるバッテリ保護装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るバッテリ保護装置は、それぞれ間隔を空けて設置された複数のバッテリと、車両に対する衝突の状況を判定する衝突状況判定部と、前記衝突状況判定部が判定した衝突の状況に応じて、所定の前記バッテリを移動させるバッテリ移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記衝突状況判定部は、車両に対する衝突位置を判定し、前記バッテリ移動手段は、前記衝突状況判定部に判定された前記衝突位置に対応する位置に設置された前記バッテリのみを移動させる、ようにしてもよい。
【0008】
さらに、前記衝突状況判定部は、車両に対する衝突の大きさを判定し、前記バッテリ移動手段は、前記衝突状況判定部に判定された前記衝突の大きさに応じて前記バッテリを移動させる、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バッテリを十分に保護しつつ、車両の姿勢を安定して保つことができるバッテリ保護装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態におけるバッテリ保護装置を備えた車両の一例を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態におけるバッテリ収納室の平面図である。
図3】本発明の実施の形態におけるバッテリ収納室の側面図および正面図である。
図4】側面前方に衝突物が衝突した際のバッテリの退避状況を示すバッテリ収納室の平面図である。
図5】所定位置のコイルばねを外した場合のバッテリの退避状況を示すバッテリ収納室の平面図である。
図6】斜突の際のバッテリの退避状況を示すバッテリ収納室の平面図である。
図7】斜突の際に所定位置のコイルばねを外した場合のバッテリの退避状況を示すバッテリ収納室の平面図である。
図8】他の実施の形態のストッパを説明するためのバッテリ収納室の側面図および正面図である。
図9】レール上にバッテリを配置したバッテリ収納室の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(車両の構成)
まず、本発明の実施の形態におけるバッテリ保護装置を備えた車両の構成について、説明する。なお、図1は、本発明の実施の形態におけるバッテリ保護装置を備えた車両の一例を示す概略構成図である。また、図2は、バッテリ収納室の平面図である。また、図3は、バッテリ収納室の側面図および正面図である。
【0013】
図1に示すように、車両1には、車室2と床下空間を区切るフロアパネル3が設けられ、車両1の下部には、アンダフロア4が設けられている。フロアパネル3とアンダフロア4との間の床下空間には、バッテリ収納室5が設けられている。
【0014】
図2に示すように、バッテリ収納室5には、縦横「4個」ずつ、16個のバッテリ10が、それぞれ間隔を空けて設けられている。また、図3に示すように、バッテリ10には、それぞれストッパ11が設けられている。そして、バッテリ10は、通常時には、このストッパ11によって移動が抑制されている。
【0015】
また、バッテリ10は、前後左右の隣り合うバッテリ10と、弾性体、例えば、コイルばね12によって接続されている。そして、このコイルばね12によって、隣り合うバッテリ10同士には、引きつけあう力が働いている。ただし、上記のように、通常時、バッテリ10は、ストッパ11によって移動が抑制されているため、移動することなく、バッテリ10同士の距離は保たれている。
なお、バッテリ10間を接続する弾性体は、コイルばね12に限らず、他のばねや、ゴムなどであってもよい。
【0016】
ストッパ11は、各バッテリ10に対してそれぞれ設けられている。ストッパ11は、各バッテリ10の規定位置、すなわち、各バッテリ10の通常時の位置の下部から突出して、各バッテリ10の保持孔10aに挿入されている。したがって、各バッテリ10は、対応するストッパ11によって、移動が抑制されている。
【0017】
また、ストッパ11は、上下動が可能となっており、ECU100により、動作が制御されるようになっている。具体的には、ストッパ11は、初期位置が突出状態(固定位置)となっており、ECU100により動作(解除)されると、先端部がアンダフロア4の上面よりも下となる位置(解除位置)まで下降するようになっている。このように、ストッパ11が下降(解除)されると、バッテリ10は、前後左右に移動可能となる。
【0018】
さらに、車両1には、車載カメラ90と、ECU100と、が設けられている。
車載カメラ90は、車両1の前方、側方、あるいは、後方を含めた検知方向を撮像するものである。そして、車載カメラ90は、撮像し、取得した画像データを、ECU100に出力して、ECU100に衝突予測や衝突予測位置を算出させる。すなわち、車載カメラ90は、車両1の外部の状況を検出するものである。
【0019】
また、車載カメラ90は、複数のカメラを有していることが望ましい。複数のカメラが取得した画像データをECU100に出力することにより、ECU100は、障害物や移動体との距離や相対速度を正確に算出することができる。なお、車載カメラ90は、例えば、赤外線カメラ、CCDカメラ、CMOSカメラ、MOSカメラ等である。
【0020】
また、車載カメラ90の代わりに、レーダを用いてもよい。レーダは、レーザ光やミリ波等の発信信号を検知方向に向けて発信し、この発信信号が外部の物体(検知対象物)によって反射されることで生じた反射信号を受信し、所定の検知エリア内の状況を検出する。レーダは、この検知情報をECU100に出力することにより、車載カメラ90と同様に、ECU100によって、衝突予測や衝突予測位置を算出させることができる。
【0021】
ECU100は、車両1全体を制御するためものである。また、ECU100は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUにより実行される制御プログラム、データテーブル、各コマンドやデータ等の記憶を行うROM(Read Only Memory)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)および入出力インターフェース回路を備え、車両1の制御を統括するようになっている。
【0022】
また、ECU100は、車載カメラ90から車両1の外部の情報を入力し、外部状況を把握、判定するものである。具体的には、ECU100は、車載カメラ90から入力した画像データに基づいて、車両1に対する衝突予測判定を行う。また、ECU100は、車両1に対する衝突予測を検出した場合、衝突予測位置を算出する。さらに、ECU100は、車両1に対する衝突予測を検出した場合、衝突の大きさを算出する。
【0023】
ECU100は、衝突予測位置を算出すると、この衝突予測位置と衝突の大きさから、衝突物の進入範囲を算出する。次に、ECU100は、衝突物の進入範囲から、衝突により損傷の虞のあるバッテリ10を特定し、移動対象のバッテリ10を決定する。次いで、ECU100は、移動対象となったバッテリ10に対応するストッパ11を特定する。そして、ECU100は、特定したストッパ11に対して、解除指示を出力する。
【0024】
(衝突物と衝突する際の安全装置の動作)
次に、車両1が衝突物と衝突する際の安全装置の動作について、説明する。
まず、車両1の側面の前方に衝突物が衝突する場合について、説明する。
なお、図4は、車両1の側面前方に衝突物が衝突した際のバッテリ10の退避状況を示すバッテリ収納室5の平面図である。
【0025】
ECU100は、車載カメラ90から車両1の外部の情報を入力し、車両1に対する衝突予測判定を行う。ECU100は、車両1に対する衝突予測を検出すると、衝突予測位置を算出するとともに、衝突の大きさを算出する。
【0026】
次いで、ECU100は、衝突予測位置と衝突の大きさから、衝突物の進入範囲を算出し、移動対象のバッテリ10を決定する。なお、このとき、移動対象となるバッテリ10は、衝突物の進入範囲にあるバッテリ10に限らず、進入範囲にあるバッテリ10を移動させるために必要なバッテリ10も対象となる。
ここでは、側面前方への衝突で、最前列の左側から3列目までの3つバッテリ10が移動対象となったとする。
【0027】
次いで、ECU100は、対象となったバッテリ10に対応するストッパ11を特定する。そして、ECU100は、特定したストッパ11に対して、解除指示を出力する。
特定されたストッパ11は、ECU100から解除指示信号が入力されることにより、下降動作が行われる。したがって、特定されたストッパ11は、先端部がアンダフロア4の上面よりも下まで下降する。これにより、特定されたバッテリ10は、ストッパ11が解除され、前後左右に移動可能となる。
【0028】
ここで、バッテリ10は、前後左右をコイルばね12で結ばれている。したがって、ストッパ11が解除され、移動可能となったバッテリ10は、隣のバッテリ10によって引きつけられ、移動することとなる。
すなわち、図4に示すように、最前列の左側から3列目までの3つバッテリ10が、右側に移動して、衝突物X1による進入位置から退避される。また、16個のバッテリ10のうち、3つのバッテリ10しか移動させていないので、車両1の重心位置が大きく動くこともない。したがって、バッテリ10を十分に保護しつつ、車両1の姿勢を安定して保つことができる。
【0029】
なお、バッテリ10に設けられているコイルばね12について、所定の方向のコイルばね12を取り外すようにしてもよい。例えば、バッテリ10に設けられているコイルばね12の取り付け箇所を、所定の信号を入力することにより取り外しが可能としておく。そして、ECU100が、特定したストッパ11に対して解除指示を出力するのと同様に、特定したバッテリ10の所定方向のコイルばね12について、取り外し信号を出力するようにすればよい。また、特定したストッパ11に対する解除指示を利用して、特定したバッテリ10の所定方向のコイルばね12の取り外し信号を出力するようにしてもよい。
【0030】
このように、所定方向のコイルばね12をバッテリ10から取り外すことにより、図5に示すように、より少ない数のバッテリ10の移動で、バッテリ10の保護、および、車両1の姿勢を安定して保つことができる。
図5においては、2つのバッテリ10の移動で、上記と同様の衝突物X1による進入位置からの退避を実現している。
【0031】
(衝突物と斜突する際の安全装置の動作)
次に、車両1の前方斜め前から衝突物と衝突(斜突)する場合について、説明する。
なお、図6は、車両1の前方斜め前から衝突物が衝突した際のバッテリ10の退避状況を示すバッテリ収納室5の平面図である。
【0032】
ECU100は、車載カメラ90から車両1の外部の情報を入力し、車両1に対する衝突予測判定を行う。ECU100は、車両1に対する衝突予測を検出すると、衝突予測位置を算出するとともに、衝突の大きさを算出する。
【0033】
次いで、ECU100は、衝突予測位置と衝突の大きさから、衝突物の進入範囲を算出し、移動対象のバッテリ10を決定する。ここでは、左前方からの斜突で、最前列の左側から2列目までと前方から2列目の左側から2列目までとの4つバッテリ10が移動対象となったとする。
【0034】
次いで、ECU100は、対象となったバッテリ10に対応するストッパ11を特定し、解除指示を出力する。これにより、特定されたストッパ11が下降(解除)され、特定されたバッテリ10は、前後左右に移動可能となる。
【0035】
この結果、図6に示すように、最前列と2列目の左側から2列目までの4つのバッテリ10が、右後方に移動して、衝突物X2による進入位置から退避される。また、16個のバッテリ10のうち、4つのバッテリ10しか移動させていないので、車両1の重心位置が大きく動くこともなく、バッテリ10を十分に保護しつつ、車両1の姿勢を安定して保つことができる。
【0036】
また、この場合においても、所定のコイルばね12を取り外すようにすることにより、図7に示すように、よりバッテリ10の移動範囲を大きくすることができ、保護機能を向上させることができる。
【0037】
(ストッパの別の形態)
次に、ストッパの他の形態について、説明する。
図8は、ストッパの他の実施形態を示す図である。また、図8(a)は、バッテリ収納室5の内部を示す側面図であり、図8(b)は、バッテリ収納室5の内部を示す正面図である。
【0038】
図8に示すように、本実施の形態のストッパ11a~11dは、バッテリ10の前後左右の四方に設けられている。すなわち、バッテリ10の前にストッパ11a、バッテリ10の後にストッパ11b、バッテリ10の左にストッパ11c、バッテリ10の右にストッパ11dがそれぞれ設けられている。このように、バッテリ10のまわりにストッパ11a~11dを設けることにより、バッテリ10の下部に、保持孔10aを設けなくてよく、既存のバッテリ10をそのまま使用することができる。
【0039】
また、このようにバッテリ10のまわりにストッパ11a~11dを設けた場合、移動対象のバッテリ10でも、移動させない方向のストッパ11a~11dは解除させなくてよい。さらに、移動させたくない方向のストッパ11a~11dを解除させないことにより、慣性力などによる無用な方向への移動を抑えることができ、バッテリ10に移動を速やかに行うことができる。
【0040】
なお、上記コイルばね12を用いる構成において、コイルばね12を隣り合うバッテリ10との間にのみ設けるようにしているが、これに限らず、壁際のバッテリ10において、壁とバッテリ10とをコイルばね12で接続するようにしてもよい。これにより、より広範囲にバッテリ10を移動させることができる。
【0041】
(レールを用いた構成)
次に、バッテリ10をレール上で移動させる場合について、説明する。
図9は、レール上にバッテリ10を配置したバッテリ収納室5の平面図である。
【0042】
図9に示すように、バッテリ10の下部には、それぞれ縦(車両1の前後方向)、横(車両1の幅方向)に、レール20が設けられている。
縦方向には、4本のレール20が設けられ、それぞれのレール20に4つずつバッテリ10が設けられている。また、横方向には、4本のレール20が設けられ、それぞれのレール20に4つずつバッテリ10が設けられている。バッテリ10は、それぞれこのレール20上を縦横に移動可能となっている。
【0043】
レール20上の各バッテリ10は、上記のようなコイルばね12とストッパ11の組み合わせで、移動および固定させるようにしてもよいが、磁力を用いたり、他の動力を用いる等、移動および固定を他の方法で行うものであってもよい。
このように、レール20上を移動させることにより、バッテリ10の移動を滑らかにすることができる。
【0044】
以上のように、本実施の形態におけるバッテリ保護装置は、外部状況を検出し、外部状況に応じて所定のバッテリ10を移動させるので、バッテリ10を十分に保護しつつ、車両1の姿勢を安定して保つことができる。
【0045】
また、本実施の形態におけるバッテリ保護装置は、車両1に対する衝突位置を判定し、衝突位置に対応する位置に設置されたバッテリ10のみを移動させるので、必要なバッテリ10のみを移動させ、移動の必要がないバッテリ10については位置を保持させるため、車両1の重心位置が大きくずれることなく、バッテリ10を十分に保護しつつ、車両1の姿勢を安定して保つことができる。
【0046】
さらに、本実施の形態におけるバッテリ保護装置は、車両1に対する衝突の大きさを判定し、衝突の大きさに応じて対象のバッテリ10のみを移動させるので、移動の必要がないバッテリ10については位置を保持させることができ、車両1の重心位置が大きくずれることなく、バッテリ10を十分に保護しつつ、車両1の姿勢を安定して保つことができる。
【0047】
また、本実施の形態において、車載カメラ90およびECU100は、本願の衝突状況判定部を構成する。
【0048】
また、本実施の形態において、ストッパ11、コイルばね12およびECU100は、本願のバッテリ移動手段を構成する。
【0049】
なお、本実施の形態においては、全てのバッテリ10を一様にコイルばねで接続しているが、これに限らず、バッテリ10を複数のグループに分け、グループごとにコイルばねで接続するようにしてもよい。また、バッテリ10同士を接続するのではなく、所定の箇所、例えば、バッテリ10ごとにバッテリ収納室の所定の壁面と接続するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施の形態においては、バッテリ10を水平方向に移動させるようにしているが、これに限らず、バッテリ10を垂直方向等に移動させるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、バッテリ10を16個としているが、これに限らず、バッテリ10の数はいくつであっても構わない。また、本実施の形態においては、バッテリ10を4*4個の列としているが、これに限らず、縦横ともにいくつであっても構わないし、縦と横の数が異なっても構わない。さらに、平方配置にかかわらず、縦横とも列によって数が変わってもよい。また、ランダムな配置であっても構わない。
【0051】
さらに、本実施の形態においては、衝突範囲に入るバッテリ10の移動のみを行うようにしているが、これに限らず、移動させるバッテリ10と対象位置にあるバッテリ10も移動させるようにすることもできる。これにより、衝突範囲に入るバッテリ10の移動によりずれた車両1の重心位置を、元の重心位置に戻すことができ、車両1の姿勢をより安定して保つことができる。
【符号の説明】
【0052】
1 車両、2 車室、3 フロアパネル、4 アンダフロア、5 バッテリ収納室、10 バッテリ、10a 保持孔、11,11a,11b,11c,11d ストッパ、12 コイルばね、20 レール、90 車載カメラ、100 ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9