(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】流体システム
(51)【国際特許分類】
F04B 45/04 20060101AFI20221116BHJP
F04B 45/047 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
F04B45/04 F
F04B45/047 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018158970
(22)【出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-04-07
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508252837
【氏名又は名称】研能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Microjet Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】NO. 28, R&D 2nd Rd. Science-Based Industrial Park, Hsin-Chu, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】莫皓然
(72)【発明者】
【氏名】黄啓峰
(72)【発明者】
【氏名】韓永隆
(72)【発明者】
【氏名】陳宣▲カイ▼
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-213421(JP,A)
【文献】国際公開第2011/145544(WO,A1)
【文献】特開2012-036789(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101550929(CN,A)
【文献】特開2005-317515(JP,A)
【文献】特表2009-532184(JP,A)
【文献】特開2019-065846(JP,A)
【文献】特開2019-065845(JP,A)
【文献】特開2019-063981(JP,A)
【文献】特開2019-063980(JP,A)
【文献】特開2019-052645(JP,A)
【文献】特開2019-044768(JP,A)
【文献】特開2014-132860(JP,A)
【文献】特開2013-245649(JP,A)
【文献】特開2013-057247(JP,A)
【文献】特表平10-508808(JP,A)
【文献】特開昭59-129590(JP,A)
【文献】特許第4934750(JP,B1)
【文献】国際公開第2015/045727(WO,A1)
【文献】国際公開第1999/031420(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0003786(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101550927(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/00-45/10
F16K 7/00- 7/20、31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積化して作製された、流体システムであって、流体動作領域と流体流路と合流チャンバーとセンシング素子と複数の弁部材とを備え、
前記流体動作領域は、少なくとも一つの流体誘導ユニットで構成され、
前記流体誘導ユニットは、入口板と基材と共振板と作動板と圧電素子と出口板とを備え、
前記入口板は、少なくとも一つ入口孔を有し、
前記共振板は、中空孔を有し、且つ前記共振板と前記入口板との間に第1チャンバーを有し、
前記作動板は、浮揚部材と外枠部材と少なくとも一つの空隙とを有し、
前記圧電素子は、前記作動板の前記浮揚部材の一つの表面に粘着され、
前記出口板は、出口孔を有し、
前記入口板と前記基材と前記共振板と前記作動板と前記出口板とで順次集積して設けられ、前記共振板と前記作動板との間に隙間を有することで第2チャンバーを形成し、前記作動板と前記出口板との間に第3チャンバーを形成し、前記圧電素子の駆動により前記作動板を曲がるように共振させることで、前記第2チャンバーと前記第3チャンバーとに圧力差が生じられ、
流体を前記入口板の前記入口孔から前記第1チャンバーに流入させて、共振板の中空孔より第2チャンバーに流入し、少なくとも一つの空隙より第3チャンバーに流入し、最後、前記出口板の前記出口孔から流体を輸送し、
前記流体流路は、前記流体動作領域の前記出口孔に連通し、且つ複数の分岐通路を有し、前記流体動作領域から輸送された流体を分流して所要の輸送量を形成し、
前記合流チャンバーは、前記流体流路と連通され、流体を前記合流チャンバーの内部に蓄積させ、
前記センシング素子は、前記流体流路に設けられ、前記流体流路の流体を感知測定するために用いられ、
前記複数の弁部材は、前記分岐通路に設けられ、弁部材の開閉状態を制御することによって、流体を前記分岐通路より輸出させ、前記複数の弁部材は、制御部によって複数の弁部材の開閉状態を制御し、前記制御部と前記流体誘導ユニットとが集積化された構造に包装される、
ことを特徴とする流体システム。
【請求項2】
前記流体動作領域は、複数の流体誘導ユニット
を直列配置に連接して設けることで流体を輸送する、ことを特徴とする請求項1に記載の流体システム。
【請求項3】
前記流体動作領域は、複数の流体誘導ユニットを並列配置に連接して設けることで流体を輸送する、ことを特徴とする請求項1に記載の流体システム。
【請求項4】
前記流体動作領域は、複数の流体誘導ユニットを並列・直列配置に連接して設けることで流体を輸送する、ことを特徴とする請求項1に記載の流体システム。
【請求項5】
前記流体動作領域は、複数の流体誘導ユニットを環状に配置して設けることで流体を輸送する、ことを特徴とする請求項1に記載の流体システム。
【請求項6】
前記流体動作領域は、複数の流体誘導ユニットをハニカム形状に配置して設けることで流体を輸送する、ことを特徴とする請求項1に記載の流体システム
【請求項7】
前記弁部材は、それぞれ、通路基材と、圧電アクチュエータと、連結ロッドとを備え、
前記通路基材は、第1貫通孔と第2貫通孔を有し、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが互いに離間して設けられ、且つ前記分岐通路に連通し、前記通路基材はチャンバーを更に凹設し、前記チャンバーは、前記第1貫通孔に連通する第1出口と、前記第2貫通孔に連通する第2出口とを設け、
前記圧電アクチュエータは、キャリアと前記キャリアの一つの表面に粘着されている圧電セラミックスとで構成され、且つ前記圧電アクチュエータは前記チャンバーを覆い、
前記連結ロッドは、前記キャリアの他面に連結され、且つ前記第2出口を挿入して自由に変位し、前記連結ロッドの一端は、前記第2出口の直径よりも大きい断面積を有するブロッキング部材を有し、前記ブロッキング部材は前記第2出口を閉じるために用いられ、
前記圧電アクチュエータが作動されて、前記キャリアが変位するように駆動することで、前記連結ロッドのブロッキング部材が連動されて前記第2出口の開閉状態を制御し、流体を分岐通路から輸出することを制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の流体システム。
【請求項8】
前記複数の分岐通路は、直列配置、並列配置、直列・並列配置のうちのいずれか一つの配置で構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の流体システム。
【請求項9】
集積化して作製された、流体システムであって、少なくとも一つの流体動作領域と、少なくとも一つの流体流路と、少なくとも一つの合流チャンバーと、少なくとも一つのセンシング素子と、複数の弁部材とを備え、
前記少なくとも一つの流体動作領域は、少なくとも一つの流体誘導ユニットで構成され、前記流体誘導ユニットは、少なくとも一つの入口板と少なくとも一つの基材と少なくとも一つの共振板と少なくとも一つの作動板と少なくとも一つの圧電素子と少なくとも一つの出口板とを備え、
前記少なくとも一つの入口板は、少なくとも一つ入口孔を有し、
前記少なくとも一つの共振板は、少なくとも一つの中空孔を有し、且つ前記共振板と前記入口板との間に少なくとも一つの第1チャンバーを有し、
前記少なくとも一つの作動板は、少なくとも一つの浮揚部材と少なくとも一つの外枠部材と少なくとも一つの空隙とを有し、
前記少なくとも一つの圧電素子は、前記作動板の前記浮揚部材の一つの表面に粘着され、
前記少なくとも一つの出口板は、少なくとも一つの出口孔を有し、
前記入口板と前記基材と前記共振板と前記作動板と前記出口板とで順次集積して設けられ、前記共振板と前記作動板との間に少なくとも一つの隙間を有することで少なくとも一つの第2チャンバーを形成し、前記作動板と前記出口板との間に少なくとも一つの第3チャンバーを形成し、前記圧電素子の駆動により前記作動板を曲がるように共振させることで、前記第2チャンバーと前記第3チャンバーとに少なくとも一つの圧力差が生じられ、
流体を前記入口板の前記入口孔から前記第1チャンバーに流入させて、共振板の中空孔より第2チャンバーに流入し、少なくとも一つの空隙より第3チャンバーに流入し、最後、前記出口板の前記出口孔から流体を輸送し
前記少なくとも一つの流体流路は、前記流体動作領域における前記出口孔に連通され、且つ複数の分岐通路を有し、前記流体動作領域から輸送された流体を分流して所要の輸送量を形成し、
前記少なくとも一つの合流チャンバーは、前記流体流路と連通され、流体を前記合流チャンバーの内部に蓄積させ、
前記少なくとも一つのセンシング素子は、前記流体流路に設けられ、前記流体流路内の流体を感知測定するために用いられ、
前記複数の弁部材は、前記分岐通路に設けられ、弁部材の開閉状態を制御することによって、流体を制御して前記分岐通路より輸出させ、前記複数の弁部材は、制御部によって複数の弁部材の開閉状態を制御し、前記制御部と前記流体誘導ユニットとが集積化された構造に包装される、
ことを特徴とする流体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体システムに関し、特に集積化して作製されたマイクロ流体制御システムに関する。
【先行技術】
【0002】
近年、医学、コンピュータ技術、印刷、エネルギー産業などの様々な分野において、製品の微小化に進んでいる。その中では、マイクロポンプ、噴霧器、インクジェットヘッド、工業印刷装置などの製品に含まれている流体輸送構造は最も重要な構造であり、どのように革新的な構造を得られるのか、どのように技術的な欠点を解決するのかは重要な課題とされている。
【0003】
技術の急速な発展に伴って、流体輸送装置の用途は、産業用途、生物医学用途、医療、電子放熱などますます多様化しており、かつウェアラブル装置としての用途もなされている。従来の流体輸送装置は、徐々に、装置の小型化と流速の最大化という傾向を示している。
【0004】
しかしながら、現在の微小化された流体輸送装置は連続的に気体を輸送することができるが、微小化して限られた空間を有するチャンバー又は流路においてより多くの気体を輸送する要求があるが、その設計は困難である。したがって、弁部材を有する設計では、気流の連続性又は中断するように制御できることだけではなく、一方向への流通も制御でき、且つ限られた容積のチャンバー又は流路において気体を蓄積させて、最終的に気体量の輸送を向上させることができることが求められる。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。
【発明の概要】
【0005】
先行技術が流体システムの小型化への要求を満たすことができないという問題を解決するために、本発明は、流体システムを提供し、前記流体システムは集積化にして作製されたものである。前記流体システムは、流体動作領域と流体流路と合流チャンバーとセンシング素子と複数の弁部材とを備える。前記流体動作領域は、少なくとも一つの流体誘導ユニットで構成され、前記流体誘導ユニットは、入口板と基材と共振板と作動板と出口板とを備え、前記入口板は少なくとも一つの入口孔を有し、前記共振板は中心孔を有し、且つ前記共振板と入口板との間に第1チャンバーを有し、前記作動板は、浮揚板と外枠部材と空隙とを有し、圧電素子が、前記作動板の浮揚板の一つの表面に粘着され、前記出口板は出口孔を有し、その中で、前記入口板と前記基材と前記共振板と前記作動板と前記出口板とが順次集積して設けられ、前記共振板と前記作動板との間に隙間を有することで第2チャンバーを形成し、前記作動板と前記出口板との間に第3チャンバーを形成し、前記圧電素子が駆動されることで共振板を曲がるように共振させ、前記第2チャンバーと前記第3チャンバーとの間に圧力差が生じられ、流体を入口板の入口孔から前記流体誘導ユニットの第1チャンバーに誘導させ、さらに共振板の中空孔より第2チャンバーに流入し、作動板の空隙より第3チャンバーに流入し、最後、出口板の出口孔から加圧導出させる。前記流体流路は、流体動作領域で前記出口孔に連通しており、且つ複数の分岐通路を有し、流体動作領域を分流して所要の輸送量を形成する。前記合流チャンバーは、前記流体流路に連通され、流体を前記合流チャンバーの内部に蓄積される。前記センシング素子は、前記流体流路内に設けられ、前記流体流路内の流体を感知測定するために用いられている。前記複数の弁部材は、それぞれ、前記分岐通路に設けられ、弁部材の開閉状態を制御することによって、流体を前記分岐通路から輸出させる。
【0006】
本発明の一つの好ましい実施形態においては、流体システムは、制御部を更に備え、前記制御部は前記複数の弁部材と電気的に接続され、弁部材の開閉状態を制御することができる。また、制御部と前記流体誘導ユニットとが、集積化にした構造に包装されている。流体動作領域は、複数の流体誘導ユニットを備え、且つ前記複数の流体誘導ユニットは、並列・直列配置に設けられている。前記複数の分岐通路の長さ及び幅は、特定の輸送量又は流速の需要に応じて予め設計されている。前記複数の分岐通路は、直列・並列配置に設けられている。上記の設計により、本発明の流体システムを使用することによって、特定の流量、圧力及び輸送量の流体を輸送することができる。
【0007】
本発明の一つの実施形態においては、弁部材は、通路基材と、圧電アクチュエータと、連結ロッドとを備える。前記通路基材は、入口貫通孔と出口貫通孔とを有し、前記入口貫通孔と出口貫通孔とが互いに離間して設けられ、且つチャンバーを凹設し、前記チャンバーは入口貫通孔と出口貫通孔とに連通されている。前記圧電アクチュエータは、キャリアと前記キャリアの一つの表面に粘着されている圧電セラミックスとで構成され、且つ前記圧電アクチュエータは前記チャンバーを覆う。前記連結ロッドは、前記キャリアの他面に連結され、且つ前記入口貫通孔を挿入して自由に変位することができ、且つ、前記連結ロッドの一端は、前記入口貫通孔の直径よりも大きい断面積を有するブロッキング部材を有し、前記連結ロッドの変位を規定して前記入口貫通孔を閉じることができる。前記圧電アクチュエータが作動され、前記キャリアが変位するように駆動することで、前記連結ロッドのブロッキング部材が連動されて前記入口貫通孔の開閉状態を制御し、流体を分岐通路から輸出することを制御することができる。上述した動作によって、弁部材は、圧電アクチュエータが作動していない状態では、設けられた分岐通路の開状態を維持し、圧電アクチュエータが作動している状態では、前記分岐通路を閉じることができる。或いは、圧電アクチュエータが作動していない状態では、設けられた分岐通路の閉状態を維持し、圧電アクチュエータが作動している状態では、前記分岐通路を開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は本発明の一つの好ましい実施形態における流体システムの構造概念図である。
【
図2】
図2Aは本発明の一つの好ましい実施形態における流体誘導ユニットの構造概念図である。
図2B~
図2Dは
図2Aに示されている流体誘導ユニットが作動している状態を示す図である。
【
図3】
図3Aは本発明のもう一つの好ましい実施形態における流体動作領域の構造概念図である。
図3Bは本発明の流体誘導ユニットが直列に接続された配置の構造概念図である。
図3C図は本発明の流体誘導ユニットが並列に接続された配置の構造概念図である。
図3Dは本発明の流体誘導ユニットが直列・並列に接続された配置の構造概念図である。
【
図4】
図4は本発明のもう一つの好ましい実施形態における流体動作領域の構造概念図である。
【
図5】
図5は本発明のもう一つの好ましい実施形態における流体動作領域の構造概念図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは本発明に係る弁部材の第1実施形態における作動状態を示す図である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは本発明に係る弁部材の第2実施形態における作動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴及び優れる点をより具体化にしたいくつの例示的な実施形態は、以下の説明において詳しく説明する。本発明は、様々な態様において様々な変更が可能であり、限定として解釈されるものではないことを理解されたい。
【0010】
図1~
図3Dを参照されたい。本発明は
流体システム100を提供し、少なくとも一つの流体動作領域10、少なくとも一つの流体誘導ユニット10a、少なくとも一つの入口板17、少なくとも一つの入口孔170、少なくとも一つの基材11、少なくとも一つの共振板13、少なくとも一つの中空孔130、少なくとも一つの第1チャンバー12、少なくとも一つの作動板14、少なくとも一つの浮揚部材141、少なくとも一つの外枠部材142、少なくとも一つの空隙143、少なくとも一つの圧電素子15、少なくとも一つの出口板16、少なくとも一つの出口孔160、少なくとも一つの隙間g0、少なくとも一つの第2チャンバー18、少なくとも一つの第3チャンバー19、少なくとも一つの圧力差、少なくとも一つの流体流路2
0、少なくとも一つの合流チャンバー30、少なくとも一つのセンシング素子40、複数の弁部材50、50a、50b、50c、50dを備える。以下の実施形態において、流体動作領域10、入口板17、基材11、共振板13、中空孔130、第1チャンバー12、作動板14、浮揚部材141、
外枠部材142、圧電素子15、出口板16、出口孔160、隙間g0、第2チャンバー18、第3チャンバー19、圧力差、流体流路20、合流チャンバー30、センシング素子40の数量が一つであることを例として説明されているが、これには限定されず、流体動作領域10、入口板17、基材11、共振板13、中空孔130、第1チャンバー12、作動板14、浮揚部材141、
外枠部材142、圧電素子15、出口板16、出口孔160、隙間g0、第2チャンバー18、第3チャンバー19、圧力差、流体流路20、合流チャンバー30、センシング素子40は複数個を組み合わせてなるのもでも良い。
【0011】
図1を参照されたい。
図1は、本発明の一つの好ましい実施形態における流体システムの構造概念図である。本発明の流体システム100は、流体動作領域10、流体流路20、合流チャンバー30、センシング素子40、複数の弁部材50a、50b、50c、50d、及び制御部60を備える。本発明の好ましい実施形態においては、上述した全ての構成が基材11に包装されて、集積化されたマイクロ構造を形成し、すなわち前記流体システムは集積化にして作製されたものである。その中で、流体動作領域10が一つ又は複数の流体誘導ユニット10aで構成され、これらの流体誘導ユニット10aが直列、並列、又は直列・並列に接続された配置であり、各流体誘導ユニットが作動した後に各自の内部に圧力差が生じることで、気体である流体を吸入して、設けられた出口孔160(
図3に示している)を介して加圧して吐出する。これによって、流体の輸送を達成することができる。
【0012】
本実施形態において、流体動作領域10は、4つの流体誘導ユニット10aを含み、且つ前記流体誘導ユニット10aが並列・直列に接続して配置されている。流体流路20は、流体動作領域10での全ての流体誘導ユニット10aの出口孔160(
図3Cに示している)に連通しており、これらの流体誘導ユニット10aから排出された流体を受け取る。流体誘導ユニット10aと流体流路20との構造、作動方式及び設置方式は後述する。流体流路20は、複数の分岐通路20a及び20bをさらに備え、当該流体動作領域10から排出された流体を分流して所要の輸送量を形成する。実施形態においては、分岐通路20a及び20bを用いて説明しているが、これには限定されない。合流チャンバー30が分岐通路20a及び20bに連通することによって、流体流路20に連通し、輸送流体を合流チャンバー30内部に蓄積させ、流体システム100を制御して輸出する必要がある時に、流体流路20の輸出に供給し、流体の輸送量を増大させることができる。さらに、センシング素子40は、前記流体流路20に設けられ、前記流体流路20内の流体を感知測定するために用いられている。
【0013】
上述した分岐通路20a、20bが流体流路20に連通する方式について、図では分岐通路20a、20bと流体流路20とが並列に接続して配置されていることを示しているが、これには限定されない。複数の分岐通路20a、20bを直列に接続して配置しても良く、或いは複数の分岐通路20a、20bを直列・並列に接続して配置しても良い。その中で、複数の分岐通路20a、20bの長さ及び幅は、いずれも、所要の特定の輸送量に応じて予め設計することができ、すなわち、分岐通路20a、20bの長さ及び幅に関する設計は、輸送量の流速及び輸送量の多少に影響を与え、所要の特定の輸送量に従って長さ及び幅を予め計算することによって得られる。
【0014】
本実施形態において、図に示すように、分岐通路20aは、分岐して連通する2つの分岐通路21a、22aを備える。同じように、分岐通路20bも分岐して連通する2つの分岐通路21b、22bを備える。図においては分岐通路21a、22aがそれぞれ分岐して連通されている分岐通路20a、20bと直列に接続して配置されていることであるが、これには限定されない。さらに、複数の分岐通路21a、22aを並列に接続して配置しても良く、或いは複数の分岐通路21a、22aを直列・並列に接続して配置しても良い。複数の弁部材50a、50c、50b及び50dは、弁部材又はパッシブ弁部材である。本実施形態においてアクティブ弁部材であり、且つそれぞれ分岐通路21a、22a、21b、22bに順次配置されている。弁部材50a、50c、50b及び50dは、設けられた分岐通路21a、22a、21b、22bの連通状態を制御することができる。例えば、弁部材50aが開くと、分岐通路21aを開いて流体を輸出領域Aに輸出する。弁部材50bが開くと、分岐通路21bを開いて流体を輸出領域Aに輸出する。弁部材50cが開くと、分岐通路22aを開いて流体を輸出領域Aに輸出する。弁部材50dが開くと、分岐通路22bを開いて流体を輸出領域Aに輸出する。制御部60は、2本の電気的な接続線610、620を有し、電気的な接続線610が弁部材50a、50dの開閉状態を制御するように電気的に接続され、電気的な接続線620が弁部材50b、50cの開閉状態を制御するように電気的に接続されている。これにより、弁部材50a、50b、50c及び50dが制御部60によって駆動され、それに対応して設けられた分岐通路21a、22a、21b、22bの連通状態を制御し、結果としては、流体を輸出領域Aに輸出することを制御することができる。
【0015】
図2Aを参照されたい。
図2Aは本発明の一つの好ましい実施形態における流体誘導ユニットの構造概念図である。本発明の一つの好ましい実施形態では、流体誘導ユニット10aは圧電ポンプでも良い。図に示すように、各流体誘導ユニット10aは、入口板17、基材11、共振板13、作動板14、圧電素子15及び出口板16などの構成で順次集積してなる。その中で、入口板17は、少なくとも一つの入口孔170を有し、共振板13は中空孔130及び可動部材131を有し、可動部材131は、共振板13が基材11に固設されていない部分で形成された可撓構造であり、且つ可動部材131の中心部の位置付近に中空孔130が設けられている。共振板13と入口板17との間に第1チャンバー12が形成されている。作動板14は中空浮動構造であり、浮揚部材141、外枠部材142及び複数の空隙143を有する。作動板14の浮揚部材141は、複数の連接部材(図示せず)が外枠部材142に連接することによって、浮揚部材141を外枠部材142中に浮動させ、且つ、気体の流通するように、浮揚部材141と外枠部材142との間に複数の空隙143が形成されている。浮揚部材141、外枠部材142及び空隙143の設置方式、実施形態及び数量はこれには限定されず、実際の状況に応じて変更することができる。好ましくは、作動板14は金属材料の薄膜又はポリシリコンからなる薄膜で構成され、ただし、これには限定されない。作動板14と共振板13との間には隙間g0があり、第2チャンバー18を形成する。出口孔160が出口板16に設けられ、且つ、作動板14と出口板16との間に第3チャンバー19が形成される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、流体誘導ユニット10aの基材11は駆動回路(図示せず)を更に備え、圧電素子15の正極及び陰極と電気的に接続されるように用いられる。これによって、圧電素子15に駆動電源を提供することができるが、これには限定されない。駆動回路は、流体誘導ユニット10a内部の任意の位置に配置されることができ、実際の状況に応じて変更することができる。
【0017】
図2A~
図2Cを参照されたい。
図2B~
図2Dは、
図2Aに示されている流体誘導ユニット10aが作動する状態を示す図である。
図2Aに
示されているのは、流体誘導ユニット10aが作動していない状態(すなわち、初期状態)である。圧電素子15に電圧を印加すると、変形が生じ、作動板14が垂直方向に沿って往復振動するように駆動される。
図2Bに示すように、作動板14の浮揚部材141が上に振動すると、第2チャンバー18の体積を増大させ、圧力が減少し、流体が入口板17上の入口孔170から外部圧力に応じて流入して第1チャンバー12のところに合流し、共振板13に第1チャンバー12と対応して設けられた中央孔130より上に流れて第2チャンバー18に流入する。
【0018】
そして、
図2Cに示すように、作動板14の浮揚部材141の振動より、共振板13が共振し、可動部材131も上方に振動するようになる。この時に、作動板14の浮揚部材141は下方に振動し、共振板13の可動部材131が作動板14の浮揚部材141の下方に付着して当接するようになる。なお、この際に、共振板13の中央孔130と第2チャンバー18との間にある流通空隙が閉じられ、第2チャンバー18は、圧縮を受けて体積が小さくなり、圧力が増大する。これに対して、第3チャンバー19は体積が増大し、圧力が小さくなる。これによって、圧力勾配が形成され、第2チャンバー18中の流体が圧力を受けて両側に流され、作動板14の複数の空隙143を介して第3チャンバー19中に流入する。
図2Dに示すように、作動板14の浮揚部材141が下方に振動し続け、共振板13の可動部材131が下方に振動するように連動し、第2チャンバー18を更に圧縮させ、流体の大部分は一時的な貯蔵のために第3のチャンバー19に流入する。
【0019】
最後に、作動板14の浮揚部材141が上方に振動し、第3チャンバー19を圧縮させて体積が小さくなり、圧力が増大し、第3チャンバー19内部の流体を出口板16の出口孔160から流出させ、出口板16の外部へ誘導して流体の輸送を達成する。上述した動作は、作動板14が往復振動を行う時に、完全な振動の動作が完了する。圧電素子15が作動した状態では、作動板14の浮揚部材141と共振板13の可動部材131とが上述した動作を繰り返し行うことで、流体を入口孔170から出口孔160へ加圧吐出させ、流体の輸送を達成する。本発明のある実施形態においては、共振板13の垂直往復振動頻度は、作動板14の振動頻度と同じになってもよく、すなわち、両者が同時に上向きまたは下向きであってもよく、実際の状況に応じて任意に変更することでも良い。本実施形態に示す動作形態に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態の流体誘導ユニット10aの流路による圧力勾配では、流体が高速で流れ、且つ流路の流れ方向における抵抗が異なり、流入を吸入端から吐出端に転送し、吐出端では圧力を有する場合でも、流体を押し出せることができ、且つ騒音を抑えられる効果を奏する。
【0021】
図3Aを参照されたい。
図3Aは本発明の一つの好ましい実施形態における流体動作領域の構造概念図である。当該流体動作領域10は、複数の流体誘導ユニット10aを備え、これらの流体誘導ユニット10aが特定の配置方式で当該流体動作領域10より輸出される流体の輸送量を調整することができ、本実施形態において、これらの流体誘導ユニット10aは、直列・並列の方式で基材11に配置されている。
【0022】
図3B~
図3Cを参照されたい。
図3Bは本発明の流体誘導ユニットが直列に接続された配置である構造を示す図である。
図3Cは本発明の流体誘導ユニットが並列方式で配置された構造を示す図である。
図3Dは本発明の流体誘導ユニットが直列・並列の方式で配置された構造を示す図である。
図3Bに示すように、当該流体動作領域10内の流体誘導ユニット10aが直列方式で配置され、流体誘導ユニット10aを直列方式で配置することによって、流体動作領域10の出口孔160での流体の圧力を上昇させることができる。
図3Cに示すように、当該流体動作領域10内部の当該流体誘導ユニット10aが並列方式で配置され、流体誘導ユニット10aを並列方式で配置することによって、流体動作領域10の出口孔160の輸出流体量を更に増大させることができる。
図3Dに示すように、当該流体動作領域10内部の当該流体誘導ユニット10aが並列・直列の方式で配置され、流体動作領域10の圧力値および出力を同期して増加させることができる。
【0023】
図4~
図5を参照されたい。
図4は本発明のもう一つの好ましい実施形態における流体動作領域の構造を示す図である。
図5は本発明のもう一つの好ましい実施形態における流体動作領域の構造を示す図である。
図4に示すように、当該流体動作領域10内部の当該流体誘導ユニット10aが環状の方式で配置されて流体を輸送する。
図5に示すように、当該流体動作領域10内部の当該流体誘導ユニット10aがハニカム方式で配置されている。
【0024】
本実施形態においては、流体システム100の流体誘導ユニット10aは、駆動回路に結合され、適用性に優れ、多様な電子部品に適用することができ、且つ同時に気体を輸送することができ、大容量の気体の輸送する需要を満たすことができる。さらに、流体誘導ユニット10aと、もう一つの流体誘導ユニット10aとが亦別々に制御して動作させたり、停止させたりすることも可能である。例えば、流体誘導ユニット10aが作動し、もう一つの流体誘導ユニット10aが停止してもよく、又は交互に作動しても良い。ただし、これに限定されるものではなく、様々な気体の流通を容易に実現することができ、且つ、消費電力を大幅に低減することができる。
【0025】
図6A~
図6Bは、本発明の弁部材が第1実施形態において作動している状態を示す図である。弁部材50は、通路基材51、圧電アクチュエータ52、連結ロッド53を備える。以下の本実施形態の弁部材50が分岐通路21aに設けられたことを説明するが、他の分岐通路22a、21b、22bに設けられた弁部材50の構造及び動作は同じであるため、ここでは省略する。通路基材51は、第1貫通孔511及び第2貫通孔512を備え、それぞれ分岐通路21aに連通しており、且つ通路基材51によって互いに離隔して配置されている。通路基材51の上方にチャンバー513が凹設され、チャンバー513には、第1貫通孔511に連通する第1出口514が設けられ、且つ第2貫通孔512に連通する第2出口515が設けられている。圧電アクチュエータ52は、キャリア521及び圧電セラミックス522を備える。キャリア521
が可撓性材料で構成され、圧電セラミックス522がキャリア521の一つの表面に付着し、且つ制御部60に電気的に接続されている。圧電アクチュエータ52がチャンバー513を覆い、キャリア521上に設けられている。連結ロッド53は、キャリア521の他面に連結され、且つ第2出口515を挿入して垂直方向に自由変位できる。連結ロッド53の一端には、第2出口515の開孔の直径よりも大きい断面積を有するブロッキング部材531が設けられ、第2出口515の連通を閉じることにより制限する。ブロッキング部材531は、平板状又はドーム状であってもよい。
【0026】
図6A示すように、弁部材50は、圧電アクチュエータ52が作動していない状態では、連結ロッド53は常に開いている初期位置にある。この時に、ブロッキング部材531と第2出口515との間に空隙を有し、第2貫通孔512、チャンバー513及び第1貫通孔511を当該空隙により互いに連通させ、分岐通路21aに連通して輸送流体を通過させることができる。これに対して、
図6Bに示すように、圧電アクチュエータ52が作動すると、圧電セラミックス522は、キャリア521を上方に撓ませるように駆動し、連結ロッド53がキャリア521の連動を受けて上方に移動し、ブロッキング部材531が第2出口515の開口を遮るようになる。この時に、ブロッキング部材531が第2出口515を遮り、輸送流体を通過させないこととする。上述した作動方式によって、弁部材50が作動していない状態では分岐通路21aの開状態を維持し、作動している状態では分岐通路21aを閉じることができる。すなわち、弁部材50は、第2貫通孔512の開閉状態を制御することによって、流体が分岐通路21aから輸出することを制御できる。
【0027】
図7A~
図7Bは、本発明の弁部材が第2実施形態において作動している状態を示す図である。弁部材50の構造は同じであるため、その説明はここで省略し、弁部材50が作動していない状態では常に閉じる状態の動作について説明する。
【0028】
図7Aに示すように、弁部材50は、圧電アクチュエータ52が作動していない状態では、連結ロッド53が常に閉じる初期位置にある。この時に、ブロッキング部材531が第2出口515の開口を閉じ、輸送流体を通過させないこととする。
図7Bに示すように、圧電アクチュエータ52が作動すると、圧電セラミックス522は、キャリア521を下方に撓ませるように駆動し、連結ロッド53は、キャリア521の連動を受け下方に移動する時、ブロッキング部材531と第2出口515との間に流動空間を有し、第2貫通孔512、チャンバー513及び第1貫通孔511を当該流体空間により互いに連通させ、分岐通路21aに連通して輸送流体を通過させることができる。上述した作動方式によって、弁部材50が作動していない状態では、分岐通路21aの閉状態を維持し、作動している状態では、分岐通路21aを開くことができる。すなわち、弁部材50は、第2貫通孔512の開閉状態を制御することによって、分岐通路21aから流体の輸出を制御することができる。
【0029】
上述したとおり、本発明が提供する流体システムは、少なくとも一つの流体誘導ユニットを介して、気体を合流チャンバー内に輸送し、且つ分岐通路内の弁部材を用いて流体システムが輸出する流体の流量、流速及び圧力を更に制御・調整する。さらに、本発明は、流体誘導ユニットを介して、分岐通路の数量、設置方式及び駆動方式などにより、多様な機器や気体輸送の需要に対応することができ、高輸送量、効率良く、且つ適用性に優れる効果を奏することができる。
【0030】
本発明の技術方案の範囲を逸脱しない範囲で、当業者が、上記の技術内容に基づいて行う変更、修飾は、同等に変化した等価の実施例であり、本発明の技術方案を逸脱しない限り、本発明の要旨に基づいて上記実施例に対して行ういかなる簡単な修正、同等変化、及び修飾は、いずれも本発明の技術方案の範囲内に属するものである。
【符号の説明】
【0031】
100:流体システム
10:流体動作領域
10a:流体誘導ユニット
11:基材
12:第1チャンバー
13:共振板
130:中空孔
131:可動部材
14:作動板
141:浮揚部材
142:外枠部材
143:空隙
15:圧電素子
16:出口板
160:出口孔
17:入口板
170:入口孔
18:第2チャンバー
19:第3チャンバー
20:流体流路
20a、20b、21a、21b、22a、22b:分岐通路
30:合流チャンバー
40:センシング素子
50、50a、50b、50c、50d:弁部材
51:通路基材
511:第1貫通孔
512:第2貫通孔
513:チャンバー
514:第1出口
515:第2出口
52:圧電アクチュエータ
521:キャリア
522:圧電セラミックス
53:連結ロッド
531:ブロッキング部材
60:制御部
610、620:電気的な接続線
g0:隙間
A:輸出領域