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特許7177633増核剤、樹脂組成物、成形体、及び増核剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】増核剤、樹脂組成物、成形体、及び増核剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 1/00 20060101AFI20221116BHJP
   C08B 1/00 20060101ALI20221116BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20221116BHJP
   C08L 1/12 20060101ALI20221116BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C08L1/00
C08B1/00
C08L1/02
C08L1/12
C08L67/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018159590
(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公開番号】P2020033423
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 慎一
(72)【発明者】
【氏名】木村 邦生
(72)【発明者】
【氏名】山崎 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】小林 慧子
(72)【発明者】
【氏名】大村 雅也
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/136086(WO,A1)
【文献】特表2015-533950(JP,A)
【文献】特開平09-291102(JP,A)
【文献】特開2017-165946(JP,A)
【文献】特開2018-039860(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0118936(US,A1)
【文献】特開2013-124301(JP,A)
【文献】特開2007-112859(JP,A)
【文献】特開2019-081856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/16
C08B 1/00-17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースからなり、
下記式(1)により求められる前記セルロースの結晶化度が50%以上であり、
長軸方向長さが500nm以下である、増核剤。
【数1】

18.0 は、X線回折図において、セルロースI型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=18.0°における絶対ピーク強度であり、I 22.9 は、セルロースI型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=22.9°における絶対ピーク強度である。
【請求項2】
長軸方向長さの標準偏差が10nm以上200nm以下である、請求項1に記載の増核剤。
【請求項3】
セルロースアセテートからなり、
前記セルロースアセテートのアセチル置換度が0.01以上3.0以下であり、
長軸方向長さが1000nm以下である、増核剤。
【請求項4】
長軸方向長さが10nm以上1000nm以下である、請求項3に記載の増核剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の増核剤と樹脂とを含有する、樹脂組成物。
【請求項6】
前記増核剤の含有量が0.1質量%以上50質量%以下である、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂がポリ乳酸又はポリカプロラクトンである、請求項5又は6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形してなる、成形体。
【請求項9】
前記成形体が筐体又は自動車内装材である、請求項8に記載の成形体。
【請求項10】
セルロースナノファイバー懸濁液に硫酸を添加し、30℃以上100℃以下で、30分以上300分以下撹拌して、セルロースナノファイバーと硫酸とを反応させる工程、
前記反応によって得られた懸濁液を水で希釈する工程、
前記希釈によって得られた懸濁液を固液分離して、液体を回収する工程、並びに
前記液体を洗浄及び乾燥する工程を有する、セルロースからなる増核剤の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法により製造したセルロースからなる増核剤を、前記セルロースからなる増核剤を溶解しない分散媒と無水酢酸とを含有する混合分散媒に分散する工程、
前記分散によって得られた分散液を30℃以上200℃以下で撹拌して、前記セルロースからなる増核剤をアセチル化する工程、
前記アセチル化後の分散液を固液分離し、沈殿物を回収する工程、並びに
前記沈殿物を洗浄及び乾燥する工程を有する、セルロースアセテートからなる増核剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、増核剤、樹脂組成物、成形体、及び増核剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の観点から、自然界の物質循環に適合する生分解性プラスチックのニーズが高くなってきた。特には、化石資源に替わって、微生物や酵素などの生体触媒を利用して、再生可能なバイオマスからL-乳酸、D-3-ヒドロキシ酪酸、及びコハク酸などの生分解性プラスチックの原料を生産することも提案されている。生分解性プラスチックの中には、石油化学原料から合成されるポリカプロラクトン(PCL)及びポリ(ブチレンサクシネート)(PBS);微生物が生産するポリ(3-ヒドロキシ酪酸)(PHB);並びにバイオマスを原料とするポリ(L-乳酸)(PLLA)等がある。これらは石油あるいはバイオマスなど原料に関わらず、すべてが脂肪族ポリエステルと呼ばれる高分子物質である。
【0003】
これらの脂肪族ポリエステルの結晶化速度は極めて遅く、結晶化しないため、十分な耐熱性や強度が得られない。また、成形加工上の問題もある。このため、効果的な増核剤の開発が求められている。増核剤は、様々なものが提案されているが、生分解性があるものが好ましく、特に非石油系であることが好ましい。
【0004】
特許文献1及び2には、生体高分子物品の機能強化のための添加剤が記載されている。しかしながら、その添加剤は天然系高分子から作製された添加剤ではない。
【0005】
特許文献3には、「ポリ乳酸75重量%以上を含む分解性の樹脂組成物であって、ポリ乳酸に対して0.05~10重量%のセルロースナノ繊維を含む、樹脂組成物を提供する。セルロースナノ繊維としては、セルロースを対向衝突処理して得られたものが好ましく、またバクテリアセルロースを対向衝突処理して得られたものであることがさらに好ましい。本発明の樹脂組成物を用いて製造された成形加工品は、セルロースナノ繊維のポリ乳酸の結晶化を促進する作用により、成形加工性が良好であり、また耐熱性と強度とにおいて優れる。」と記載されている。しかしながら、特許文献3のセルロースナノ繊維は、バクテリアセルロースを対向衝突処理して得られたものであり、原料入手が困難なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6272273号公報
【文献】国際公開第2011/162354号
【文献】国際公開第2007/136086号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非石油系高分子や生分解性高分子の結晶化において、従来使用されている増核剤は、環境負荷の低減を十分に考えられていない有機系材料又は無機系材料のものしかない。
【0008】
本開示は、環境負荷が小さく、高分子の結晶化を促進する増核剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第一は、セルロースからなり、前記セルロースの結晶化度が50%以上である、増核剤に関する。
【0010】
本開示の第二は、セルロースアセテートからなり、前記セルロースアセテートのアセチル置換度が0.01以上3.0以下である、増核剤に関する。
【0011】
本開示の第三は、前記増核剤と樹脂とを含有する、樹脂組成物に関する。
【0012】
本開示の第四は、前記樹脂組成物を成形してなる、成形体に関する。
【0013】
本開示の第五は、セルロースナノファイバー懸濁液に硫酸を添加し、30℃以上100℃以下で、30分以上300分以下撹拌して、セルロースナノファイバーと硫酸とを反応させる工程、前記反応によって得られた懸濁液を水で希釈する工程、前記希釈によって得られた懸濁液を固液分離して、液体を回収する工程、並びに前記液体を洗浄及び乾燥する工程を有する、セルロースからなる増核剤の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、環境負荷が小さく、高分子の結晶化を促進する増核剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】結晶化度の算出に用いるピーク強度を説明する図面である。
図2】結晶化観察の条件を説明する図面である。
図3】結晶化観察の条件を説明する図面である。
図4】結晶核生成数Nと結晶化時間tとの関係を示すグラフである。
図5】結晶核生成速度Iと増核剤の添加量CNAとの関係を示すグラフである。
図6】結晶核生成数Nと結晶化時間tとの関係を示すグラフである。
図7】結晶核生成速度Iと増核剤の添加量CNAとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[増核剤]
本開示の第一の増核剤は、セルロースからなり、前記セルロースの結晶化度が50%以上である。本開示の第一の増核剤を高分子に添加することにより、その高分子の単位体積あたりの結晶核生成数、及び結晶核生成速度を変化させることができる。
【0017】
本開示において、増核剤とは、結晶核の数を増加させるために加える物質である。高分子の結晶化は不純物や熱運動によって促進され、胚種(少数の微粒子の集まり)等を核として起こる。したがって、増核剤等の異物質を加えると、結晶核の数は増加する。その結果、成長した球晶の大きさは、結晶核の数が少ない場合に比べて小さくなる。そして、球晶の大きさが小さいほど、高分子の力学的性質、透明性等は良好になる。なお、増核剤は、結晶核剤とも言い換えることができる。
【0018】
本開示の第一の増核剤は、セルロースからなるものである。そのため、環境負荷も小さい。
【0019】
セルロースの結晶化度は、50%以上であるところ、55%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。上限はなく、100%以下であってよい。結晶化度が低すぎると、結晶核生成の促進に影響を及ぼし、増核剤としての効果が弱まる可能性がある。
【0020】
本開示において、結晶化度とは、セルロースI型結晶成分の分率とも言い換えることができる。
【0021】
結晶化度は、以下の方法により求めることができる。図1を参照して説明する。乾燥試料を粉状に粉砕して得られたパウダーを薄膜状に成形し、線源CuKαで反射法により得た広角X線回折図において、セルロースI型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=18.0°における絶対ピーク強度I18.0と、2θ=22.9°における絶対ピーク強度I22.9とから、下記式(1)により、結晶化度を算出できる。
【0022】
【数1】
【0023】
本開示の第一の増核剤は、少なくとも一方向の長さが1000nm以下程度であることが好ましい。増核剤の大きさが小さいほど、増核剤を添加する高分子の単位体積当りの増核剤の数が多くなる。増核剤の数が多くなるほど結晶核の数が増えるので好ましい。
【0024】
本開示の第一の増核剤の形状は限定されるものではないが、長軸方向長さが1000nm以下であることが好ましく、10nm以上1000nm以下であることがより好ましく、10nm以上500nm以下であることがさらに好ましく、20nm以上300nm以下であることが最も好ましい。長軸方向長さを小さくすることで、本開示の第一の増核剤の添加により、高分子の結晶化速度を向上することができる。また、その高分子の成形加工性の向上や透明性の向上が可能となる。
【0025】
本開示において、長軸方向とは、増核剤内で最も長い軸の方位をいう。また、長軸方向長さは、例えば、走査型電子顕微鏡にて撮影した画像を解析することにより求めることができる。長軸方向長さは、複数(例えば、200個)の増核剤の長軸方向長さの平均値とすればよい。
【0026】
本開示の第一の増核剤は、長軸方向長さの標準偏差が10nm以上200nm以下であることが好ましく、10nm以上150nm以下であることがより好ましい。長軸方向長さの標準偏差を当該範囲とすることにより、本開示の第一の増核剤の添加により、高分子の結晶化速度を向上することができる。また、その高分子の成形加工性の向上や透明性の向上が可能となる。
【0027】
長軸方向長さの標準偏差は、下記式(2)のとおり算出できる。
【0028】
【数2】
【0029】
本開示の第二の増核剤は、セルロースアセテートからなり、前記セルロースアセテートのアセチル置換度が0.01以上3.0以下である。本開示の第二の増核剤を高分子に添加することにより、その高分子の単位体積あたりの結晶核生成数、及び結晶核生成速度を変化させることができる。
【0030】
本開示の第二の増核剤は、セルロースアセテートからなるものである。そのため、環境負荷も小さい。
【0031】
セルロースアセテートは、セルロースをアセチル化したものであり、セルロースアセテートのアセチル置換度は、特に限定されるものではないが、0.01以上3.0以下であってよく、0.05以上2.0以下であってよく、0.1以上1.0以下であってよい。特に、結晶化させようとする高分子が、ポリ乳酸及びポリカプロラクトン等の疎水性高分子である場合、アセチル置換度を変化させることにより、その高分子の結晶核生成速度を変化させることができる。
【0032】
増核剤としては、その表面が高分子によってぬれるか吸着されて界面エネルギーを減少させ、高分子に不溶で、高分子の成形加工温度で融解、若しくは高分子の融点以上で溶融し、高分子と反応しないことが必要であるといわれており(高分子学会編、「高分子辞典」参照)、アセチル置換度の変化による高分子の結晶核生成速度の変化は、増核剤の表面自由エネルギーが核生成に影響を及ぼすことによるものと推測される。
【0033】
セルロースアセテートのアセチル置換度は、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて、KBr錠剤法にて求めることができる。
【0034】
本開示の第二の増核剤の形状は限定されるものではないが、長軸方向長さが10nm以上1000nm以下であることが好ましく、10nm以上500nm以下であることがより好ましく、20nm以上300nm以下であることがさらに好ましい。長軸方向長さを当該範囲とすることにより、本開示の第二の増核剤の添加により、高分子の結晶化速度を向上することができる。また、その高分子の成形加工性の向上や透明性の向上が可能となる。
【0035】
本開示の第二の増核剤の長軸方向長さは、第一の増核剤の長軸方向長さと同じ方法により求めることができる。
【0036】
本開示の第二の増核剤は、長軸方向長さの標準偏差が10nm以上200nm以下であることが好ましく、10nm以上150nm以下であることがより好ましい。長軸方向長さの標準偏差を当該範囲とすることにより、本開示の第二の増核剤の添加により、高分子の結晶化速度を向上することができる。また、その高分子の成形加工性の向上や透明性の向上が可能となる。
【0037】
本開示の第二の増核剤の長軸方向長さの標準偏差は、第一の増核剤の長軸方向長さの標準偏差と同じ方法で算出できる。
【0038】
[樹脂組成物]
本開示の樹脂組成物は、本開示の増核剤と樹脂とを含有する。
【0039】
本開示の樹脂組成物は、本開示の増核剤を樹脂に添加することにより得られる。このような樹脂としては、特に限定されるものではなく、石油系高分子、及び非石油系高分子のいずれであってもよい。また、石油系高分子とは、石油資源を原料として得られる高分子であり、非石油系高分子とは、石油資源を原料としない高分子である。
【0040】
これらの中でも、非石油系高分子が好ましく、生分解性高分子が特に好ましい。生分解性高分子は、微生物や酵素により分解可能な高分子であるので、特に環境負荷が小さい。
【0041】
生分解性高分子としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカン酸、及びポリエチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル;これらの脂肪族ポリエステルからなる共重合体;並びにポリジオキサノン等のポリエーテルエステル等が挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸又はポリカプロラクトンが好ましい。ポリ乳酸又はポリカプロラクトンは、共に脂肪族ポリエステルであり、分子構造上高分子鎖が動き易く、結晶化速度が遅いにもかかわらず、結晶化を促進することができる。
【0042】
生分解性高分子の中でも、特に好ましくは非石油系の生分解性高分子であるポリ(L-乳酸)(PLLA)である。
【0043】
ポリ乳酸は植物由来のカーボンを利用しているため、ポリ乳酸からなる製品を使用した後の廃棄処理として、完全に水と二酸化炭素に生分解し、焼却処分を実施する場合においても、温室効果ガスである炭酸ガスの増加にはつながらない。このように、ポリ乳酸は、石油資源を使用しないので、カーボンニュートラル性があり、環境負荷が小さい。
【0044】
また、ポリカプラクトンは、ここに挙げた脂肪族ポリエステルの中でも、高分子の融点が60℃と最も低いために、高分子を溶融成形する製造プロセスの処理温度をより下げられることから製造時に投入するエネルギーを小さくすることができ、製造時に発生する二酸化炭素量を最も少なくせしめることができる。
【0045】
生分解性高分子の重量平均分子量Mwは、1万以上100万以下が好ましく、5万以上80万以下がより好ましく、10万以上50万以下がさらに好ましい。生分解性高分子の重量平均分子量Mwが大きすぎると成形性の問題があり、また生分解に要する時間が長くなる。一方、生分解性高分子の重量平均分子量Mwが小さすぎると機械的強度が低くなる等要求物性に適合しない場合がある。
【0046】
本開示の樹脂組成物における、前記増核剤の含有量は、特に限定されるものではないが、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。0.1質量%以上1.0質量%以下であってもよい。含有量が多すぎても、結晶核生成速度がほとんど変化しないためである。
【0047】
[成形体]
本開示の成形体は、上記樹脂組成物を成形してなるものである。その成形体の形状としては、特に制限されず、所望の形状に成形することができる。例えば、繊維等の一次元的成形体;フィルム等の二次元的成形体;並びに筐体又は自動車内装材等の三次元的成形体が挙げられる。
【0048】
また、筐体は、パーソナルコンピュータ、タブレット、及び複写機等の筐体を含み、自動車内装材は、天井材、ドア、インスツルメントパネル、及びコンソール類等を含む。
【0049】
成形は、射出成形、圧縮成形、及び押出成形等の公知の成形法を用いて行うことができる。
【0050】
[増核剤の製造方法]
本開示のセルロースからなる増核剤の製造方法は、セルロースナノファイバー懸濁液に硫酸を添加し、30℃以上100℃以下で、30分以上300分以下撹拌して、セルロースナノファイバーと硫酸とを反応させる工程、前記反応によって得られた懸濁液を水で希釈する工程、前記希釈によって得られた懸濁液を固液分離して、液体を回収する工程、並びに前記液体を洗浄及び乾燥する工程を有する。
【0051】
本開示のセルロースからなる増核剤の製造方法によれば、高い結晶化度を有するセルロースからなる増核剤が得られる。また、複数の有機溶媒による置換を繰り返す必要がない。
【0052】
セルロースナノファイバーと硫酸とを反応させる工程について述べる。セルロースナノファイバーと硫酸とを反応させる工程では、セルロースナノファイバー懸濁液に硫酸を添加し、30℃以上100℃以下で、30分以上300分以下撹拌する。
【0053】
セルロースナノファイバー懸濁液は、ミクロフィブリル化セルロースが水に分散したものである。ミクロフィブリル化セルロースの平均繊維長は、例えば、1μm以上1000μm以下である。ミクロフィブリル化セルロースの平均繊維径は、例えば、0.01μm以上100μm以下である。また、セルロースナノファイバー懸濁液の固形分含量は、10~35質量%であってよい。
【0054】
セルロースナノファイバーの原料としては、特に限定されるものではないが、コットンリンター、並びに針葉樹及び広葉樹等の木材パルプ等が挙げられる。
【0055】
硫酸としては、濃硫酸(例えば、98質量%)を用いることができる。セルロースナノファイバー懸濁液の固形分40質量部に対し、98質量%硫酸は、10質量部以上80質量部以下添加してよい。そして、セルロースナノファイバー懸濁液の硫酸濃度としては、20質量%以上75質量%以下となるように調整してよい。
【0056】
セルロースナノファイバーと硫酸とを反応させる工程撹拌時の温度(反応温度と言い換えることができる)は、30℃以上100℃以下であるところ、35℃以上80℃以下が好ましく、40℃以上70℃以下がより好ましい。
【0057】
また、撹拌の時間(反応時間と言い換えることができる)は、30分以上300分以下であるところ、60分以上180分以下であってよい。
【0058】
前記反応によってセルロースの非晶領域はセルロースナノファイバーから除去される。
【0059】
次に得られた懸濁液を水で希釈する工程について述べる。前記反応によって得られた懸濁液100質量部に対し、500質量部以上10000質量部以下の水を添加してよい。これにより、セルロースナノファイバーと硫酸との反応を止めることができる。
【0060】
前記希釈によって得られた懸濁液を固液分離して、液体を回収する工程について述べる。前記希釈によって得られた懸濁液の固液分離は、遠心分離、濾過、又はこれらを組合せて行ってもよい。
【0061】
前記液体の洗浄について述べる。洗浄により、前記液体中に含まれる不純を除去する。洗浄は、液体の中和、及び塩の除去等を行ってよい。固液分離して回収した液体の中和のため、水酸化ナトリウム等の塩基を添加することが好ましい。さらに、液体中に含まれる塩を除去するため、透析を行うことが好ましい。
【0062】
前記液体の乾燥について述べる。乾燥方法としては、限定されるものではない。乾燥効率に優れるため、減圧乾燥を行うことが好ましく、さらに凍結して減圧乾燥をすることがより好ましい。
【0063】
本開示のセルロースアセテートからなる増核剤の製造方法は、前記製造方法により製造したセルロースからなる増核剤を、前記セルロースからなる増核剤を溶解しない分散媒と無水酢酸とを含有する混合分散媒に分散する工程、前記分散によって得られた分散液を30℃以上200℃以下で撹拌して、前記セルロースからなる増核剤をアセチル化する工程、前記アセチル化後の分散液を固液分離し、沈殿物を回収する工程、並びに前記沈殿物を洗浄及び乾燥する工程を有する。
【0064】
本開示のセルロースアセテートからなる増核剤の製造方法によれば、結晶化度が高いセルロースの表面だけがアセチル化されるため、高い結晶化度を有するセルロースアセテートからなる増核剤が得られる。
【0065】
セルロースからなる増核剤を、前記セルロースからなる増核剤を溶解しない分散媒と無水酢酸とを含有する混合分散媒に分散する工程について述べる。
【0066】
前記セルロースからなる増核剤を溶解しない分散媒としては、限定されるものではない。例えば、水;メタノール等のアルコール;ベンゼン;アセトン;ピリジン及びN-メチルピロリドン(NMP)等の含窒素化合物、並びにこれらの混合溶液等が挙げられる。これらの中でも、工業的に安価に入手可能であって、芳香族基を有しており、セルロースからなる増核剤との親和性が高いことから、アセチル化の反応時間を短縮するための反応促進剤となり、なおかつ分散媒としても機能するピリジンが好ましい。
【0067】
混合分散媒は、セルロースからなる増核剤を溶解しない分散媒5質量部~50質量部に対し、無水酢酸1質量部~15質量部を混合して調製すればよい。
【0068】
また、混合分散媒50質量部に対し、セルロースからなる増核剤0.5質量部~50質量部を分散すればよい。
【0069】
前記セルロースからなる増核剤をアセチル化する工程について述べる。前記分散によって得られた分散液を30℃以上200℃以下で撹拌して、前記セルロースからなる増核剤をアセチル化する。
【0070】
前記セルロースからなる増核剤をアセチル化する工程においては、アセチル化の反応速度を向上して、反応時間を短縮するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン及びピコリン等の3級アミンを併用することも可能である。
【0071】
前記セルロースからなる増核剤をアセチル化する工程における、撹拌時の温度(反応時間とも言い換えることができる)は、30℃以上200℃以下であるところ、35℃以上150℃以下が好ましく、40℃以上100℃以下がより好ましい。
【0072】
また、撹拌の時間(反応時間と言い換えることができる)は、30分以上300分以下であってよく、60分以上180分以下であってよい。
【0073】
前記アセチル化後の分散液を固液分離し、沈殿物を回収する工程について述べる。前記分散液の固液分離は、遠心分離、濾過、又はこれらを組合せて行ってもよい。
【0074】
前記沈殿物の洗浄について述べる。洗浄により、前記沈殿物中に含まれる不純を除去する。洗浄は、例えば、水、又は水及びアセトンの混合溶液を用いて行ってよい。さらに、沈殿物中に含まれる塩を除去するため、透析を行うことが好ましい。
【0075】
前記液体の乾燥について述べる。乾燥方法としては、限定されるものではない。乾燥効率に優れるため、減圧乾燥を行うことが好ましく、さらに凍結して減圧乾燥をすることがより好ましい。
【0076】
[樹脂組成物の製造方法]
本開示の樹脂組成物の製造方法は、増核剤と樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法であって、前記増核剤を、前記樹脂を可溶な溶媒に分散する工程、前記分散により得られる分散液を前記樹脂に加えて、前記樹脂を溶解する工程、及び貧溶媒を加えて前記樹脂を再沈殿する工程を有する。
【0077】
前記増核剤を、前記樹脂を可溶な溶媒に分散する工程について述べる。用いる溶媒は、前記樹脂を可溶な溶媒であれば、限定されるものではなく、樹脂の種類に応じて適宜変更することができる。例えば、ポリ-L-乳酸(PLLA)である場合は、クロロホルムが好ましく、ポリカプロラクトン(PCL)である場合は、クロロホルム及びテトラヒドロフランが好ましい。
【0078】
本開示の樹脂組成物の製造方法における、増核剤と溶媒との配合量は限定されるものではない。
【0079】
前記分散により得られる分散液を前記樹脂に加えて、前記樹脂を溶解する工程について述べる。前記樹脂の溶解は、前記樹脂が完全に溶解するまで撹拌することが好ましい。
【0080】
貧溶媒を加えて前記樹脂を再沈殿する工程について述べる。貧溶媒としては、樹脂の再沈殿が可能であれば、限定されるものではなく、例えば、メタノール、トルエン、及びイソプロピルアルコール(IPA)等が挙げられる。
【実施例
【0081】
[実施例1]
<セルロースからなる増核剤の調製>
セルロースナノファイバー懸濁液(ダイセル社製、セリッシュ(原料パルプ:wood pulp))に濃硫酸を添加し、硫酸濃度60wt%、反応温度55℃、反応時間90分、撹拌速度200rpmで反応させた。
【0082】
その後、蒸留水で10倍に希釈することにより反応を止めた後、得られた懸濁液を遠心分離(4000rpm,10min)することで上澄み液と固体沈殿物を分離し、上澄み液を回収した。
【0083】
得られた上澄み液を水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、塩を除去するために透析を行い、得られた懸濁液を凍結し減圧乾燥し、セルロースからなる増核剤を得た。
【0084】
<セルロースアセテートからなる増核剤の調製>
上記で調製したセルロースからなる増核剤0.100gにピリジン(20.0mL,0.248mol)及び無水酢酸(5.00mL,5.29×10-2mol)を加え、80℃、反応時間1時間で撹拌し、セルロースからなる増核剤をアセチル化した。
【0085】
反応終了後の懸濁液を蒸留水に加え、遠心分離を行い、沈殿物の回収を行なった。
【0086】
その後、沈殿物に蒸留水とアセトンの混合溶媒を加えて一晩静置した。静置後の懸濁液を透析し、凍結後減圧乾燥し、セルロースアセテートからなる増核剤を得た。
【0087】
セルロースアセテートからなる増核剤の各種測定は、以下のとおり行なった。結果は、表1に示す。
【0088】
<アセチル置換度>
フーリエ変換赤外分光光度計(MAGNA-IR 860)を用いてKBr錠剤法にて求めた。アセチル置換度既知、0~2.5のセルロースアセテートを標準品とし、1750cm-1/1050cm-1の検量線を用いてアセチル置換度を求めた。
【0089】
<長軸方向長さ及び標準偏差>
走査型電子顕微鏡(HITACHI製E-1030型日立イオンスパッター)にて撮影した画像を解析することにより求めた。長軸方向長さは、200個の増核剤の平均値とした。また、その長軸方向長さの標準偏差を下記式(2)にて算出した。
【0090】
【数3】
【0091】
増核剤の添加による高分子の各種評価は、以下のとおり行なった。結果は、表1に示す。
【0092】
<結晶核生成数、及び結晶核生成速度>
母体ポリマーであるポリ-L-乳酸(PLLA)(重量平均分子量Mw=30,000)に対し、セルロースアセテートからなる増核剤を0.1wt%になるよう添加し、静置場にて結晶化観察を行なった。詳細な条件は以下のとおりである。
【0093】
結晶化観察では、20℃から210℃まで30℃/minで昇温し、1分間アニールした後、母体ポリマーであるポリ-L-乳酸(PLLA)の結晶化温度128℃まで30℃/minで降温した。結晶化温度に到達した時間をt=0とし、等温結晶化にて結晶化時間tを測定した。この時の温度T(℃)と、結晶化時間t(min)との関係は、図2に示すとおりである。
【0094】
結晶化温度に到達した時間t=0から母体ポリマーの結晶化が完了するまで、結晶核が生成する様子を偏光顕微鏡(ホットステージ:Linkam LK-600M、偏光顕微鏡:Olympus BX-51、カメラ:VictorKY-F1030)で観察して行なった。
【0095】
t=0から母体ポリマーの結晶化が完了するまでの核生成数を単位体積あたりの結晶核生成数とし、結晶化時間tから結晶核生成速度を算出した。
【0096】
[実施例2]
セルロースからなる増核剤をアセチル化する工程において、反応時間を2時間に代えた以外は、実施例1と同様にしてセルロースアセテートからなる増核剤を調製した。得られたセルロースアセテートからなる増核剤、及びセルロースアセテートからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例1と同様にして行なった。結果は、表1に示す。
【0097】
[実施例3]
セルロースからなる増核剤をアセチル化する工程において、反応時間を3時間に代えた以外は、実施例1と同様にしてセルロースアセテートからなる増核剤を調製した。得られたセルロースアセテートからなる増核剤、及びセルロースアセテートからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例1と同様にして行なった。結果は、表1に示す。
【0098】
[実施例4-6]
実施例1-3と同様にして、それぞれセルロースアセテートからなる増核剤を調製した。母体ポリマーであるポリ-L-乳酸(PLLA)に対し、セルロースアセテートからなる増核剤を0.5wt%になるよう添加して、結晶化観察を行なった以外は、得られたセルロースアセテートからなる増核剤、及びセルロースアセテートからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例1-3と同様にして行なった。結果は、表1、図4及び図5に示す。
【0099】
[実施例7-9]
実施例1-3と同様にして、それぞれセルロースアセテートからなる増核剤を調製した。母体ポリマーであるポリ-L-乳酸(PLLA)に対し、セルロースアセテートからなる増核剤を1.0wt%になるよう添加して、結晶化観察を行なった以外は、得られたセルロースアセテートからなる増核剤、及びセルロースアセテートからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例1-3と同様にして行なった。結果は、表1に示す。
【0100】
[実施例10]
実施例2と同様にして、セルロースアセテートからなる増核剤を調製した。得られたセルロースアセテートからなる増核剤の各種の測定も実施例2と同様にして行った。
【0101】
母体ポリマーとしてポリカプロラクトン(PCL)(重量平均分子量Mw=25,000)を用い、図3に示すように、20℃から120℃まで30℃/minで昇温し、1分間アニールした後、母体ポリマーであるポリカプロラクトン(PCL)の結晶化温度45℃まで30℃/minで降温した以外は、セルロースアセテートからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例2と同様にして行なった。結果は、表1に示す。
【0102】
[実施例11]
セルロースからなる増核剤をアセチル化する工程において、反応時間を3時間に代えた以外は、実施例10と同様にしてセルロースアセテートからなる増核剤を調製した。得られたセルロースアセテートからなる増核剤、及びセルロースアセテートからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例10と同様にして行なった。結果は、表1に示す。
【0103】
[実施例12-13]
実施例10-11と同様にして、それぞれセルロースアセテートからなる増核剤を調製した。母体ポリマーであるポリカプロラクトン(PCL)に対し、セルロースアセテートからなる増核剤を0.5wt%になるよう添加して、結晶化観察を行なった以外は、得られたセルロースアセテートからなる増核剤、及びセルロースアセテートからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例10-11と同様にして行なった。結果は、表1、図6及び図7に示す。
【0104】
[実施例14-15]
実施例10-11と同様にして、それぞれセルロースアセテートからなる増核剤を調製した。母体ポリマーであるポリカプロラクトン(PCL)に対し、セルロースアセテートからなる増核剤を1.0wt%になるよう添加して、結晶化観察を行なった以外は、得られたセルロースアセテートからなる増核剤、及びセルロースアセテートからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例10-11と同様にして行なった。結果は、表1に示す。
【0105】
[実施例16]
セルロースアセテートからなる増核剤に代えて、実施例1と同様にして調製したセルロースからなる増核剤を用いた。得られたセルロースからなる増核剤、及びセルロースからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例1と同様にして行なった。また、増核剤の結晶化度を、以下のとおり測定した。結果は、表1に示す。
【0106】
<結晶化度>
X線回折装置(RIGAKU製、粉末X線回折装置MiniFlex)を用いてX線回折測定を行なった。セルロースI型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=18.0°における絶対ピーク強度I18.0と、2θ=22.9°における絶対ピーク強度I22.9とから、下記式(1)により、結晶化度を算出した。この結晶化度は、セルロースI型結晶成分の分率とも言い換えることができる。
【0107】
【数4】
【0108】
[実施例17-18]
実施例16と同様にして、セルロースからなる増核剤を調製した。母体ポリマーであるポリ-L-乳酸(PLLA)に対し、セルロースからなる増核剤をそれぞれ0.5wt%、1.0wt%になるよう添加して、結晶化観察を行なった以外は、得られたセルロースからなる増核剤、及びセルロースからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例16と同様にして行なった。結果は、表1、図4及び図5に示す。
【0109】
[実施例19-21]
セルロースナノファイバー懸濁液(ダイセル社製、セリッシュ(原料パルプ:wood pulp))に代えて、セルロースナノファイバー懸濁液(ダイセル社製、セリッシュ(原料パルプ:cotton linter))を用い、濃硫酸との反応時間を120分に代えた以外は、それぞれ実施例16-18と同様にして、セルロースからなる増核剤を調製した。得られたセルロースからなる増核剤、及びセルロースからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例16-18と同様にして行なった。結果は、表1、図4及び図5に示す。
【0110】
[実施例22-24]
実施例16-18と同様にして、それぞれセルロースからなる増核剤を調製した。得られたセルロースからなる増核剤の各種の測定も実施例16-18と同様にして測定した。
【0111】
母体ポリマーとしてポリカプロラクトン(PCL)を用い、20℃から120℃まで30℃/minで昇温し、1分間アニールした後、母体ポリマーであるポリカプロラクトン(PCL)の結晶化温度45℃まで30℃/minで降温した以外は、セルロースからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例16-18と同様にして行なった。結果は、表1、図6及び図7に示す。
【0112】
[実施例25-27]
セルロースナノファイバー懸濁液(ダイセル社製、セリッシュ(原料パルプ:wood pulp))に代えて、セルロースナノファイバー懸濁液(ダイセル社製、セリッシュ(原料パルプ:cotton linter))を用い、濃硫酸との反応時間を120分に代えた以外は、それぞれ実施例22-24と同様にして、セルロースからなる増核剤を調製した。得られたセルロースからなる増核剤、及びセルロースからなる増核剤の添加による高分子の各種評価も実施例22-24と同様にして行なった。結果は、表1に示す。
【0113】
[比較例1]
セルロースアセテートからなる増核剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、結晶核生成数、及び結晶核生成速度を算出した。結果は、表1及び図5に示す。
【0114】
[比較例2]
セルロースアセテートからなる増核剤を添加しなかった以外は、実施例10と同様にして、結晶核生成数、及び結晶核生成速度を算出した。結果は、表1、図6及び図7に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7