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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】塗料組成物及び塗膜ならびに物品
(51)【国際特許分類】
   C09D 1/00 20060101AFI20221116BHJP
   C09D 101/04 20060101ALI20221116BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20221116BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20221116BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20221116BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C09D1/00
C09D101/04
C09D7/63
C09D167/00
C09D5/02
C09D201/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018162375
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033487
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000135265
【氏名又は名称】株式会社ネオス
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】皆川 優
(72)【発明者】
【氏名】西井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】重松 遥
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-119073(JP,A)
【文献】特開2018-119066(JP,A)
【文献】特開2011-73368(JP,A)
【文献】特開2002-86950(JP,A)
【文献】特開2011-37171(JP,A)
【文献】特開2017-136814(JP,A)
【文献】特開2010-229586(JP,A)
【文献】特開2000-154374(JP,A)
【文献】特開昭59-58065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00- 10/00
C09D101/00-201/10
B05D 1/00- 7/26
C09K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロイダルシリカと、酸化セルロースナノファイバーと、水溶性樹脂と、シラン誘導体化合物とを含む、塗料組成物であって、
コロイダルシリカは、塗料組成物中の固形分の重量を基準として25~60%含まれ、
酸化セルロースナノファイバーは、塗料組成物中の固形分の重量を基準として8~40%含まれ、
水溶性樹脂は、塗料組成物中の固形分の重量を基準として8~40%含まれ、
シラン誘導体は、塗料組成物中の固形分の重量を基準として8~40%含まれている、塗料組成物
【請求項2】
該コロイダルシリカが、分散状態にある、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
該コロイダルシリカの粒子の平均一次粒子径が50nm以下である、請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
該酸化セルロースナノファイバーが、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカルにより酸化したセルロースナノファイバーである、請求項1~3のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項5】
該水溶性樹脂が、水溶性ポリエステルである、請求項1~4のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項6】
該シラン誘導体化合物が、シランカップリング剤である、請求項1~5のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項7】
該シランカップリング剤が、以下の式:
【化1】

(式1中、ここでXは有機官能基であり、Rはアルキル基であり、nは2または3である。)で表される、請求項6に記載の塗料組成物。
【請求項8】
さらに界面活性剤を含む、請求項1~7のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項9】
さらに水及び/又はアルコール類を含む、請求項1~8のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項10】
コロイダルシリカと、酸化セルロースナノファイバーと、水溶性樹脂と、シラン誘導体化合物とを反応してなる、塗膜であって、
コロイダルシリカは、塗膜の重量を基準として25~60%含まれ、
酸化セルロースナノファイバーは、塗膜の重量を基準として8~40%含まれ、
水溶性樹脂は、塗膜の重量を基準として8~40%含まれ、
シラン誘導体は、塗膜の重量を基準として8~40%含まれている、塗膜
【請求項11】
基材と、コロイダルシリカと、酸化セルロースナノファイバーと、水溶性樹脂と、シラン誘導体化合物とを反応してなる塗膜とを含む、物品であって、
コロイダルシリカは、塗膜の重量を基準として25~60%含まれ、
酸化セルロースナノファイバーは、塗膜の重量を基準として8~40%含まれ、
水溶性樹脂は、塗膜の重量を基準として8~40%含まれ、
シラン誘導体は、塗膜の重量を基準として8~40%含まれている、物品
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物及びこれを用いて作成した塗膜ならびに物品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の前照灯などの照明装置は、光源と光源の前方に配置されたガラスやプラスチックなどで形成された透明部材とから主に構成されている。そして光源が発する光が透明部材を介して照明装置の外部および周辺部に照射される。このような照明装置では、透明部材の内側(光源側)に曇りが発生することがあり、照射光の強度が低下して安全性の問題を生じることがある。また曇りの生じた透明部材を介して照射された光は光量が少なく、美観の点でも問題となりうる。
【0003】
特許文献1には、水性媒体とネックレス状コロイダルシリカとシラン誘導体と界面活性剤とを含む防曇剤が開示されている。一方、特許文献2には、メタノール及び/又はエタノールと、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール又はグリコールエーテルと、オルガノシリカゾルと、テトラヒドロフランと、ホウ酸とを含有する有機基材用防曇防汚剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-126647号
【文献】特許第5804996号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や2に開示されている防曇剤は、それぞれの構成成分からも明らかなように、水系塗料である。水系塗料を有機基材に塗工しようとすると、濡れ性が低いことが問題となりうる。また、水系塗料は一般に粘度が低いため、基材に塗布した際にハジキや液よれを起こすことがある。さらに特許文献1や2に開示されている防曇剤により形成した塗膜の成分は柔軟性がやや低いため、一定以上の膜厚の塗膜を形成すると、乾燥時に収縮し、クラックが発生する場合があった。そこで、防曇剤の塗工量を調節しながら塗布作業をする必要が生じるが、特にスプレー塗工等では、塗工量の調整が難しく、作業性に難があった。
そこで本発明は、有機基材に対して高い濡れ性を有し、塗工作業が容易な、塗料組成物と、乾燥時にクラックを発生しにくい塗膜ならびにこのような塗膜を備えた物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態における塗料組成物は、コロイダルシリカと、酸化セルロースナノファイバーと、水溶性樹脂と、シラン誘導体化合物とを含むことを特徴とする。
本発明の他の実施形態は、コロイダルシリカと酸化セルロースナノファイバーと水溶性樹脂とシラン誘導体化合物とを反応してなる、塗膜である。
本発明のさらに他の実施形態は、基材と、コロイダルシリカと酸化セルロースナノファイバーと水溶性樹脂とシラン誘導体とを反応してなる塗膜とを含む、物品である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の塗料組成物は、基材表面上でハジキや液よれを起こしにくいため、塗工作業を容易に行うことができる。本発明の塗料組成物を用いて形成した塗膜は柔軟性が高く、膜厚を大きくしても、乾燥によるクラックを生じにくい。本発明の塗料組成物を利用した物品(たとえば照明装置)は、外観変化を生じにくく、安定した光量を長期にわたり維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を以下に説明する。本発明の一の実施形態は、コロイダルシリカと、酸化セルロースナノファイバーと、水溶性樹脂と、シラン誘導体化合物とを含む、塗料組成物である。
【0009】
本実施形態において、塗料組成物とは、ガラスやプラスチックなどの基材上に塗膜を形成して、水蒸気が原因の水滴による曇りを発生しにくくすることができる組成物のことである。基材で隔てられた両空間に温度差がある場合、高温側の湿気が基材表面上に結露して、水滴を形成する。この水滴が光の乱反射を起こして基材表面に曇りが発生する。基材上における水滴の形成を防止する仕組みとして、基材表面に付着した水分を瞬時に水膜にするメカニズムと、基材表面に付着した水分を瞬時に吸収するメカニズムがあることが知られている。本実施形態の塗料組成物は、基材表面に付着した水分を瞬時に水膜にして、水滴の形成を防止することにより基材の曇りを防ぐ塗膜を形成する。
【0010】
本実施形態の塗料組成物は、コロイダルシリカを含む。コロイダルシリカとは、二酸化ケイ素(シリカ、SiO)またはその水和物のコロイド溶液である。コロイド溶液の溶媒(または分散媒)の性質により、水系のコロイダルシリカと、有機溶媒系のオルガノシリカゾルとがあるが、実施形態で特に好適に用いられるシリカは水系のコロイダルシリカである。実施形態においてコロイダルシリカは分散状態であることが好ましい。分散状態とは、表面が正又は負に帯電したシリカ同士の静電反発により、媒質中(例えば水など)にシリカが細粒として浮遊している状態のことをいう。コロイダルシリカを形成する球状のシリカの一次粒子径は、通常10~300nm程度であり、これが凝集等してさらに大きな二次粒子を形成している場合がある。本実施形態で好適に用いられるコロイダルシリカのシリカ粒子の平均一次粒子径は、50nm以下である。平均一次粒子径の大きいシリカ粒子を含む塗料組成物を用いて形成した塗膜に光が入射したときに、入射光が大きく散乱して、塗膜が白く見えてしまう場合がある。そこで、コロイダルシリカを形成するシリカの平均一次粒子径を50nm程度までとすることが好ましく、より好ましくは3~40nm、さらに好ましくは5~25nm、最も好ましくは10~15nmである。コロイダルシリカの分散媒は、水及び/又はアルコール類であることが好ましい。水を分散媒としたコロイダルシリカには、酸性、中性、アルカリ性のものが存在する。本実施形態の一成分として好適に用いられるコロイダルシリカは、水に分散して、酸性又はアルカリ性示すコロイダルシリカである。また分散媒として用いることができるアルコール類として、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブタンジオール等が挙げられる。コロイダルシリカは、基材の表面上に広がって吸着し、被膜を形成することができるため、塗料組成物の成分として好ましく使用することができる。特に分散状態のコロイダルシリカは、より透明性の高い被膜を形成することができるため、塗料組成物の成分として、より好ましく使用することができる。
【0011】
実施形態の塗料組成物は、酸化セルロースナノファイバーを含む。ここでセルロースナノファイバー(以下、「CNF」と称する場合がある。)とは、植物繊維をナノサイズにまで細かくほぐした材料である。セルロースナノファイバーは、通常、幅4~100nm、長さ5μm程度の大きさを有し、軽くて優れた強度を有する。また、セルロースナノファイバーは、熱による変形が少なく、大きな比表面積を有しているため、各種材料の補強用繊維として用いられている。実施形態の塗料組成物は、酸化セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする。酸化セルロースナノファイバーとは、セルロース分子に存在する1級水酸基の一部または全部が、アルデヒド基またはカルボキシル基まで酸化されもののことを云う。セルロース分子は、β-グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合したものであり、グルコース分子の6位の炭素には1級水酸基が存在している。これらの水酸基は互いに水素結合を形成し、セルロース分子同士は凝集してファイバーを形成している。ところが、酸化セルロースナノファイバーは、グルコース分子の6位の炭素の水酸基が酸化されているため、セルロース同士が水素結合しにくくなっている。酸化セルロースナノファイバーの水溶液に物理的なせん断力を加えて解繊すると、3nm程度の極細の繊維径にまでサイズダウンすることができる。酸化セルロースナノファイバーの水溶液は、透明度の高い高粘度のゲル状態となる。塗料組成物に酸化セルロースナノファイバーが含まれていると、粘度が増加し、塗料組成物から形成する塗膜の柔軟性が向上する。酸化セルロースナノファイバーも、上記のコロイダルシリカと同様、基材の表面上に広がって吸着し、被膜を形成することができるため、塗料組成物の成分として好ましく使用することができる。また酸化セルロースナノファイバーは、コロイダルシリカの粒子間に入り込んで被膜を形成するため、塗膜に柔軟性を付与することができる。
【0012】
酸化セルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーに通常の酸化剤を反応させて、化学的に酸化することにより得ることができる。特にセルロースナノファイバーを2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル(以下、「TEMPO」と称する。)で酸化したTEMPO酸化セルロースナノファイバーは、本実施形態で好適に用いられる。TEMPOによりセルロースナノファイバーを酸化する反応は、常温常圧下、水中で容易に行うことができる。TEMPO酸化セルロースナノファイバーは、グルコース分子の6位の炭素に結合している1級水酸基がカルボキシル基に変換されており、グルコースの一部または全部がグルクロン酸になっている。特にTEMPOによる酸化反応を塩基性条件下で行うと、グルコース分子の6位の炭素に結合している1級水酸基はカルボキシラートアニオン(-COO)に変換され、グルコースの一部または全部がグルクロン酸(またはその塩)となる。グルコースよりも水溶性の高いグルクロン酸(グルクロン酸ナトリウム)が増加しているTEMPO酸化セルロースナノファイバーは、より水に溶けやすい。さらに上述の通り、TEMPO酸化セルロースナノファイバーは水素結合を形成しにくく、分子同士の静電反発も生じるため、これをミクロフィブリル単位にまで細分化することができる。
【0013】
実施形態の塗料組成物は、水溶性樹脂を含む。水溶性樹脂とは、高分子化合物のうち水に溶解するか、少なくとも分散することができる物質である。水溶性樹脂は、分子内にカルボキシル基、水酸基、あるいはスルホン酸基等の水溶性置換基を有し、水に溶解する。水溶性樹脂は、各種の基材への密着性に優れている。本実施形態の塗料組成物において、水溶性樹脂は、コロイダルシリカと酸化セルロースナノファイバーとの間に入り込んで塗膜をうめ、緻密な塗膜を形成することを可能とする。水溶性樹脂として、ポリアクリルアミド等の水溶性ポリアクリル樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース等の合成高分子化合物のほか、デンプン、ゼラチン、カゼイン等の天然高分子化合物等を挙げることができる。本実施形態では、特に水溶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。水溶性ポリエステル樹脂として飽和ポリエステル樹脂を用いると、塗料組成物から形成した塗膜の耐候性が向上する。
【0014】
実施形態の塗料組成物は、シラン誘導体化合物を含む。シラン誘導体化合物とは、たとえばアルコキシシランやシラザンのような、シラン(ケイ素)を分子内に含む化合物である。シラン誘導体化合物としてシランカップリング剤を用いることが好ましい。シランカップリング剤は、有機物と反応するか、あるいは有機物と親和性の高い官能基と、無機物と反応する官能基とを有するシラン誘導体化合物である。シランカップリング剤は、ガラス、金属、顔料、充填材等の無機材料と、有機材料とを結びつけてハイブリッド材料を作製するのに用いることができる。すなわちシランカップリング剤を含むシラン誘導体化合物は、本実施形態においては、コロイダルシリカ、酸化セルロースナノファイバーおよび水溶性樹脂を架橋し、さらに場合によってはシラン誘導体化合物同士を架橋し、強固な塗膜を形成する役割を果たす。
【0015】
シランカップリング剤は、以下の式:
【化1】

(式1中、Xは有機官能基であり、Rはアルキル基であり、nは2または3である。)で表される。式1において、有機官能基であるXは有機物と反応するか、有機物と親和性の高い官能基であり、置換基-OR部分は無機物と反応する官能基である。有機官能基は、有機物と反応する基であればどのような基でもよいが、ビニル基等のビニル系官能基、アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、N-フェニル-3-アミノプロピル基等のアミノ系官能基、グリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシ系官能基、p-スチリル基等のスチリル系官能基、アクリロキシプロピル基などのアクリル系官能基、メタクリロキシプロピル基等のメタクリル系官能基、3-イソシアネートプロピル基等のイソシアネート系官能基、3-ウレイドプロピル基等のウレイド系官能基、イソシアヌレート基等のイソシアヌレート系官能基、3-メルカプトプロピル基等のメルカプト系官能基等、n個のエチレングリコールが結合したPEG-nとメチル基とがエーテル結合したメトキシPEG-n基(n=5~20)、同様にエトキシPEG-n基、プロポキシPEG-n基およびそれらの誘導体を挙げることができる。また、Rとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基等のアルキル基を挙げることができる。式中、nは2または3である。nが1の化合物は、無機物と反応する官能基である-ORが一つしかないことを意味し、シランカップリング剤同士の架橋ができない。またnが4の化合物は、酸化セルロースナノファイバーとの相溶性が悪く、これを含む塗料組成物を塗膜にすると、塗膜の白化の原因となりうる。
【0016】
コロイダルシリカ、酸化セルロースナノファイバー、水溶性樹脂およびシラン誘導体化合物の配合の割合は、塗料組成物の塗工性や、形成された塗膜の防曇性、ならび強度などを総合的に考慮して決定する。コロイダルシリカは、塗料組成物中に含まれている固形分の重量を基準として25~60%、好ましくは30~55%含まれていると良い。コロイダルシリカの配合率が25%を下回ると、得られる塗膜の防曇性が低下しうる。またコロイダルシリカの配合率が60%を超えると、得られる塗膜の強度が低下して、外観変化を起こすことがある。酸化セルロースナノファイバーは、塗料組成物中に含まれている固形分重量を基準として8~40%、好ましくは15~30%含まれていると良い。酸化セルロースナノファイバーの配合率が8%を下回ると、塗料組成物の塗工性が低下しうる。一方酸化セルロースナノファイバーの配合率が40%を超えることは塗料組成物や得られる塗膜には大きな影響を及ぼさないものの、コストの上昇に鑑み、40%程度までとすることが好ましい。水溶性樹脂は、用いる樹脂の種類にもよるが、塗料組成物中に含まれている固形分重量を基準として8~40%、好ましくは10~30%程度含まれていると良い。水溶性樹脂の配合率が10%を下回ると、得られる塗膜の強度が不十分となるほか、外観変化を引き起こしやすくなる。水溶性樹脂の配合率が40%を超えると、得られる塗膜のヘイズが上昇する。シラン誘導体化合物は、用いる誘導体化合物の種類にもよるが、塗料組成物中に含まれている固形分重量を基準として8~40%、好ましくは10~35%含まれていると良い。シラン誘導体化合物の配合率が8%を下回ると、得られる塗膜の強度が不十分とるほか、外観変化を引き起こしやすくなる。シラン誘導体化合物の配合率が40%を超えると、得られる塗膜の防曇性が低下しうる。
【0017】
このように、塗料組成物の各構成成分の配合率と、塗料組成物の塗工性、塗膜の強度ならびに防曇性と塗膜の防曇性とのバランスを考慮して、たとえば、コロイダルシリカ50~55%、酸化セルロースナノファイバー15~20%、水溶性樹脂10~15%およびシラン誘導体化合物20~25%(いずれも固形分重量割合)となるように混合することができる。固形分重量割合とは、塗料組成物に含まれている固形分に、コロイダルシリカ、酸化セルロースナノファイバー、水溶性樹脂およびシラン誘導体化合物の各固形分が実質的に占める割合である。
【0018】
実施形態の塗料組成物は、さらに界面活性剤を含んでいてよい。実施形態の塗料組成物において、界面活性剤は、基材表面上へのコロイダルシリカの広がりを補助し、塗工作業を容易にするために用いられる。界面活性剤は、塗膜の表面張力を調整し、塗膜を均質化する役割も果たす。界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用することができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。アニオン性界面活性剤として、たとえば、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンサルフェート塩、パーフルオロアルキル基を含有するスルホン酸塩型、パーフルオロアルキル基を含有するカルボン酸塩型、パーフルオロアルケニル基を含有するスルホン酸塩型、パーフルオロアルケニル基を含有するカルボン酸塩型等のアニオン性フッ素系界面活性剤類が挙げられる。カチオン性界面活性剤として、たとえば、エタノールアミン類、ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミンモノ蟻酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩等のアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を含有する4級アンモニウム塩型等のカチオン性フッ素系界面活性剤類が挙げられる。
【0019】
ノニオン性界面活性剤として、たとえば、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレングリコールモノステアレート等のポリオキシエチレンアシルエステル類、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル類、シュガーエステル類、セルロースエーテル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン類、パーフルオロアルキル基を含有するエチレンオキシド付加物型、パーフルオロアルキル基を含有するアミンオキサイド型、パーフルオロアルキル基を含有するオリゴマー型、パーフルオロアルケニル基を含有するエチレンオキシド付加物型、パーフルオロアルケニル基を含有するアミンオキサイド型、パーフルオロアルケニル基を含有するオリゴマー型等のノニオン性フッ素系界面活性剤類が挙げられる。両性界面活性剤として、ウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩、ジメチルアルキルラウリルベタイン、ジメチルアルキルステアリルベタイン等の脂肪酸型両性界面活性剤、ジメチルアルキルスルホベタインのようなスルホン酸型両性界面活性剤、アルキルグリシン、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を含有するベタイン型の両性フッ素系界面活性剤類等を挙げることができる。本実施形態の界面活性剤として、上記のいずれの界面活性剤も好ましく用いることができる。界面活性剤の配合量は、塗料組成物100重量部(固形分、媒体なども含む総重量100重量部)に対して0.001~0.10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.001~0.01重量部である。
【0020】
さらに実施形態の塗料組成物は、水及び/又はアルコール類を含んでいてよい。塗料組成物の構成成分であるコロイダルシリカの分散媒として、さらに酸化セルロースナノファイバーの溶媒として、水及び/又はアルコール類を用いることが特に好適である。アルコール類として、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブタンジオール等が挙げられる。塗料組成物が水及び/又はアルコール類を含む場合は、塗料組成物100重量部に対して5~95重量部程度含まれていることが好ましい。
【0021】
実施形態の塗料組成物は、必要に応じて有機溶剤を含有していてもよい。実施形態の塗料組成物の主成分である、水を分散媒としたコロイダルシリカと酸化セルロースナノファイバー混合物単独でも基材表面上に塗布して塗膜を形成することができる。しかし、これにさらに有機溶剤が含まれていれば、塗膜形成時の水の乾燥が促進されるため、より早く塗膜を形成することが可能となる。実施形態で用いることができる有機溶剤は、水と相溶性を有するか、水と所定の範囲で混和する有機溶剤である。このような有機溶剤としてたとえば、エーテル類(ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブタンジオール等)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド等)や、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ニトロメタン、トリエチルアミンを挙げることができる。有機溶剤を用いる場合は、塗料組成物100重量部に対して1~20重量部程度含まれていることが好ましい。
【0022】
本実施形態の好適な塗料組成物は、まずコロイダルシリカ、酸化セルロースナノファイバー、水溶性樹脂、およびシラン誘導体化合物を用意し、次いで必要に応じて界面活性剤、水及び/又はアルコール類、有機溶剤とを混合して製造することができる。コロイダルシリカと酸化セルロースナノファイバーは、分散媒である水に特定の固形分割合で分散している状態であるため、各成分の固形分重量比が上記に記載した範囲になるように計算して混合することができる。実施形態の塗料組成物は、これらの成分のほか、塗料組成物に通常含まれている添加剤(たとえば染料、顔料、可塑剤、分散剤、防腐剤、つや消し剤、帯電防止剤、難燃剤、レベリング剤)を適宜配合することができる。
【0023】
コロイダルシリカ、酸化セルロースナノファイバー、水溶性樹脂、シラン誘導体化合物および場合により界面活性剤、水及び/又はアルコール類、有機溶剤を適切に配合した実施形態の塗料組成物は、基材表面に塗布することができる。基材として、ガラス、プラスチック、金属などを挙げることができるが、必要に応じて表面処理を施したものであっても良い。実施形態の塗料組成物は、特に透明プラスチック上に好適に塗布することができる。塗料組成物の基材表面への塗布は、ドクターブレード法、バーコート法、ディッピング法、エアスプレー法、ローラーブラシ法、ローラーコーター法等の従来のコーティング方法により適宜行うことができる。塗布した塗料組成物を加熱して、コロイダルシリカ、酸化セルロースナノファイバー、水溶性樹脂およびシラン誘導体化合物が反応してなる塗膜を形成することができる。
【0024】
シラン誘導体化合物としてシランカップリング剤を用いた場合について説明すると、以下の式:
【化2】

(式1中、Xは有機官能基であり、Rはアルキル基であり、nは2または3である。)で表されるシランカップリング剤のうち、置換基RO-はコロイダルシリカと結合し、置換基Xは酸化セルロースナノファイバーおよび水溶性樹脂と結合する。このように、シラン誘導体化合物を架橋点として、コロイダルシリカ、酸化セルロースナノファイバー、水溶性樹脂同士が結合するので、強固な塗膜を得ることができる。
【0025】
塗布した塗料組成物の加熱は、水、アルコール類および有機溶剤が蒸発するのに充分な温度まで加熱すればよい。使用するアルコール類や有機溶剤の種類にもよるが、通常は80~150℃、好ましくは100~150℃程度に加熱することで水、アルコール類および有機溶剤を蒸発させることができる。塗料組成物塗布物の加熱は、バーナーやオーブンなどの加熱装置による加熱のほか、ドライヤーなどの温風による加熱方法により行うことができる。
実施形態の塗料組成物を基材に塗布し、加熱することにより乾燥し形成した塗膜は、基材に対する高い密着性を有するとともに、その塗膜表面は親水性による高い濡れ性を有するため、基材に対して濡れ性や密着性の低い塗料を塗工する際のプライマーとしても好適に使用することができる。
【0026】
実施形態の塗料組成物を基材に塗布し、加熱することにより乾燥し、コロイダルシリカ、酸化セルロースナノファイバー、水溶性樹脂およびシラン誘導体化合物が反応してなる塗膜を形成して、物品を得ることができる。本実施形態の塗料組成物を利用した物品として、たとえば、照明装置、前照灯、窓、レンズ、レンズカバー、モニター、モニターカバー等が挙げられる。実施形態の物品は、優れた防曇性能を有し、塗膜にクラックや水垂れ跡の形成などの外観変化を引き起こさないほか、透明で美しい外観を維持することができる。
【実施例
【0027】
(1)塗料組成物の作製
コロイダルシリカ(ST-N[固形分20%、水分散液]、平均一次粒子径=10~15nm日産化学工業(株))10.20重量部、酸化セルロースナノファイバー(セレンピアC-01A[固形分1%、水分散液]、日本製紙(株))65.55重量部、水溶性樹脂(プラスコートZ-221[固形分20%、水分散液]互応化学工業(株))2.18重量部、シラン誘導体化合物であるメトキシPEG10(ポリエチレングリコール)トリメトキシシラン([固形分100%]、エボニックジャパン(株))0.87重量部、界面活性剤(フタージェント-150[固形分100%]0.003重量部と、フタージェント-410[固形分30%、水/イソプロパノール分散液]0.011重量部、それぞれ(株)ネオス)と、水8.96重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)12.22重量部を混合して、塗料組成物を作製した(実施例1)。
塗料組成物の各成分の配合比を表1または表3に示すとおりに変えて、各塗料組成物を作製した(実施例2~9、比較例1~10)。表中、コロイダルシリカとして用いた他の物質は、ST-O[固形分20%]、平均一次粒子径=10~15nm、日産化学(株)であり、シラン誘導体化合物として用いた他の物質は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン([固形分100%]、信越化学工業(株)である。なお、各組成物において、コロイダルシリカ、酸化セルロースナノファイバー、水溶性樹脂、シラン誘導体化合物の固形分比をそれぞれ記載した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
なお、表中の略号の意味は、以下の通りである:
CNF:セルロースナノファイバー
ST-N:日産化学工業(株)商品名、水分散性コロイダルシリカ(弱塩基性)
ST-O:日産化学工業(株)商品名、水分散性コロイダルシリカ(酸性)
セレンピアTC-01A:日本製紙(株)商品名、TEMPO酸化セルロースナノファイバー
プラスコートZ-221:互応化学工業(株)商品名、末端に-SONaを有する水溶性ポリエステル樹脂
FT-150:(株)ネオス商品名(フタージェント-150)、アニオン性フッ素系界面活性剤
FT-410:(株)ネオス商品名(フタージェント-410)、ベタイン型両性フッ素系界面活性剤
PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0033】
(2)塗膜の作製
ガラス基材上に、各塗料組成物を塗布した。塗布は、ハンドスプレーガン(アネスト岩田(株)製)を用いたスプレーコート法で行い、塗料組成物が形成した後の塗膜の厚さが1μmとなるように調整した。塗料組成物が塗布された基材を110℃のオーブンに入れ15分間加熱し、塗膜を形成した。こうして各塗膜試験片を得た。
【0034】
(3)塗料組成物の塗工性評価
得られた塗膜を目視により観察し、塗料組成物のハジキ・液ヨレおよびクラックの有無から、塗料組成物の塗工性を以下のように評価した:
良好:均質な塗膜が形成され、塗工性が良好である
不良:塗膜にハジキ、液ヨレ、クラックが見られ、塗工性に難がある
【0035】
(4)塗膜のヘイズ測定
作製したと膜のヘイズをJIS K7136に準拠した方法で測定した。ヘイズが1.0の値を超えると、塗膜の白身が目立ち、透明性が損なわれている。なお、塗膜に大きなラックが生じたり、ハジキがあったりして、ヘイズが測定できない場合、表中には「-」と記載した。
【0036】
(5)塗膜の防曇性評価
40℃の温水浴の水面から高さ1cmの位置に塗膜試験片を塗膜が下向きになるように配置して、塗膜に温水浴からの蒸気をあてた。2分間経過後に塗膜上に曇りが形成されているかを目視により観察した。
曇りなし:塗膜の表面に曇りが生じていない
曇りあり:塗膜の表面に曇りが生じている
【0037】
(6)防曇性評価後の塗膜の外観評価
上記の防曇性評価を行った後に、塗膜試験片を垂直に立てかけた状態で30分間乾燥させ、塗膜試験片上に水タレ跡や白化などの外観変化が生じているかどうかを目視により環雑した。
変化なし:外観変化が見られない
変化あり:外観変化が見られる
【0038】
実施例1と実施例8とを比較すると、コロイダルシリカとして、水分散性弱塩基性コロイダルシリカ、水分散性酸性コロイダルシリカのいずれを使用しても、塗工性などの良好な塗料組成物を得ることができる。これに対し比較例1を検討すると、コロイダルシリカを含まない組成物から形成した塗膜には防曇性がない。防曇性を有する塗膜を得るためには、コロイダルシリカが必須であると云える。
【0039】
実施例1と比較例2とを比較すると、酸化セルロースナノファイバーを含む実施例1の塗膜には液ヨレ、ハジキ、クラックなどが発生せず、組成物の塗工性が良好であるのに対し、酸化セルロースナノファイバーを含まない比較例2の塗膜には液ヨレ、ハジキが見られ、組成物の塗工性が不良であった。塗料組成物中に酸化セルロースナノファイバーを配合することで、液ヨレやハジキ等の塗工性の不都合を抑制することができると云える。
【0040】
実施例1と比較例3とを比較すると、水溶性樹脂を含む実施例1の塗膜は、防曇性評価後の外観に変化は見られなかったのに対し、水溶性樹脂を含まない比較例3の塗膜は、防曇性評価後の外観が変化していた。比較例3の塗膜は一度表面が濡れると外観変化が起きてしまう可能性が高い。上記の通り、水溶性樹脂は、塗膜を緻密にする役割を果たしていると考えられる。水溶性樹脂を含む実施例1の塗膜は、強度が高く、外観変化を起こしにくいものであると云える。
【0041】
実施例1、実施例9、比較例4をそれぞれ比較する。シラン誘導体化合物として、PEG(ポリエチレングリコール)基を含有する親水性のシラン誘導体化合物を使用(実施例1)しても、エポキシ基含有の疎水性シラン誘導体化合物を使用(実施例9)しても、塗膜の塗工性等の性質には影響はない。ところがシラン誘導体化合物を含まない比較例4の塗膜は、防曇性評価後の塗膜の外観に大きな変化が生じる。シラン誘導体化合物による架橋反応により、塗膜の強度を高めることができることがわかる。
【0042】
実施例1~7、比較例5~10をそれぞれ検討すると、コロイダルシリカの配合率(固形分割合)は、30~60%程度とすることが好ましいと考えられる。コロイダルシリカの配合率が30%を下回ると、防曇性が低下し、60%を超えると、防曇性評価後の外観が変化してしまうおそれがある。
酸化セルロースナノファイバーの配合率(固形分割合)は、10~40%程度とすることが好ましいと考えられる。酸化セルロースナノファイバーの配合率が10%を下回ると、塗工性が不良となり、40%を超えると、コストが上がり、経済的に好ましくない。
水溶性樹脂の配合率(固形分割合)は、10~40%程度とすることが好ましいと考えられる。水溶性樹脂の配合率が10%を下回ると、得られる塗膜の強度が足りず、40%を超えると、塗膜のヘイズが上昇する。
シラン誘導体化合物の配合率(固形分割合)は、10~35%程度とすることが好ましいと考えられる。シラン誘導体化合物の配合率が10%を下回ると、得られる塗膜の強度が足りず、35%を超えると塗膜の防曇性が低下する。