(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】安定板及びエレベータを利用した飛行機の離陸トリム
(51)【国際特許分類】
B64C 13/16 20060101AFI20221116BHJP
B64C 13/00 20060101ALI20221116BHJP
B64C 5/02 20060101ALN20221116BHJP
【FI】
B64C13/16 Z
B64C13/00 Z
B64C5/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018171045
(22)【出願日】2018-09-13
【審査請求日】2021-09-07
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジョナサン ピー.
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-540229(JP,A)
【文献】特開2016-153296(JP,A)
【文献】特開2004-123010(JP,A)
【文献】国際公開第2016/106353(WO,A1)
【文献】米国特許第04825375(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0222944(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0137496(US,A1)
【文献】特開2016-104614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/16
B64C 13/00
B64C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行機(100)のトリムシステム(300)を制御する方法(500)であって、
データベース(311)を使用して、飛行機離陸パラメータ(105)に基づいて離陸トリム設定(315)を決定することを含み、
前記離陸トリム設定(315)が、安定板向き設定(315a)とエレベータ向き設定(315b)を含み、
前記飛行機離陸パラメータ(105)が、飛行機の重量、飛行機の重心、離陸フラップ設定、又は離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含み、
前記方法(500)が、更に、
前記離陸トリム設定(315)の前記安定板向き設定(315a)に従って、前記飛行機(100)の安定板向き機構(112)を使用して、前記飛行機(100)の安定板(110)の向きを調整すること、及び
前記離陸トリム設定(315)の前記エレベータ向き設定(315b)に従って、前記飛行機(100)のエレベータ向き機構(122)を使用して、前記飛行機(100)のエレベータ(120)の向きを調整することを含む、方法。
【請求項2】
前記離陸トリム設定(315)の前記エレベータ向き設定(315b)が、前記エレベータ(120)の中立的な向き(601)と異なっている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記離陸トリム設定(315)の前記安定板向き設定(315a)と前記エレベータ向き設定(315b)が、相互に依存している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記離陸トリム設定(315)を決定することが、前記エレベータ向き設定(315b)に基づいて前記安定板向き設定(315a)を決定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エレベータ向き設定(315b)に基づいて前記安定板向き設定(315a)を決定することが、
初期エレベータ向き設定を選択すること、
前記初期エレベータ向き設定に基づいて、初期安定板向き設定を決定すること、
前記初期安定板向き設定を運用条件(220)と比較すること、及び
前記初期エレベータ向き設定を前記エレベータ向き設定(315b)として、且つ、前記初期安定板向き設定を前記安定板向き設定(315a)として選択することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記初期エレベータ向き設定が、エレベータ離陸小範囲(602)の離陸制限(602a)であり、前記エレベータ離陸小範囲(602)が、エレベータ全作動範囲(600)の一部分であり、前記エレベータ全作動範囲(600)が、1以上の飛行制御マージン(604)を更に含み、前記エレベータ離陸小範囲(602)が、前記エレベータ(120)の飛行制御態様に基づいて設定さ
れる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記初期エレベータ向き設定が、前記エレベータ(120)の中立的な向き(601)である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記初期エレベータ向き設定を選択すること、前記初期安定板向き設定を決定すること、及び前記初期安定板向き設定を前記運用条件(220)と比較することが、前記初期安定板向き設定が前記運用条件(220)の平均から設定閾値の範囲内にあるまで繰り返される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記エレベータ向き設定(315b)が中立的な向き(601)と異なるならば、飛行制御システム(350)内のエレベータ制御バイアスを低減させることを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記安定板(110)の向きが前記安定板向き設定(315a)に従い、且つ、前記エレベータ(120)の向きが前記エレベータ向き設定(315b)に従った状態で、前記飛行機(100)の離陸を開始することを更に含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記飛行機離陸パラメータ(105)を受信することを更に含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
飛行機(100)のトリムシステム(300)であって、
データベース(311)を使用して、飛行機離陸パラメータ(105)に基づい
て前記飛行機(100)の離陸トリム設定(315)を決定するように使用可能なトリムコントローラ(310)であって、前記離陸トリム設定(315)が、安定板向き設定(315a)とエレベータ向き設定(315b)を含み、前記飛行機離陸パラメータ(105)が、飛行機の重量、飛行機の重心、飛行機のフラップ設定、又は飛行機の離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含む、トリムコントローラ(310)、
前記安定板向き設定(315a)に基づいて制御可能な安定板向き機構(112)、
前記安定板向き機構(112)と機械的に連結された安定板(110)であって、前記安定板向き機構(112)が、前記安定板向き設定(315a)に基づいて前記安定板(110)の向きを変更するように使用可能である、安定板(110)、
前記エレベータ向き設定(315b)に基づいて制御可能なエレベータ向き機構(122)、及び
前記エレベータ向き機構(122)と機械的に連結されたエレベータ(120)であって、前記エレベータ向き機構(122)が、前記エレベータ向き設定(315b)に基づいて前記エレベータ(120)の向きを変更するように使用可能である、エレベータ(120)を備える、トリムシステム(300)。
【請求項13】
前記トリムコントローラ(310)が、前記安定板向き機構(112)又は前記エレベータ向き機構(122)のうちの少なくとも一方と通信可能に接続されている、請求項
12に記載のトリムシステム(300)。
【請求項14】
前記トリムコントローラ(310)が、飛行コントローラ(360)から前記エレベータ向き設定(315b)を受信し、前記飛行コントローラ(360)から受信した前記エレベータ向き設定(315b)に基づいて、前記安定板向き設定(315a)を決定するように使用可能である、請求項
12又は
13に記載のトリムシステム(300)。
【請求項15】
飛行機(100)のトリムシステム(300)を制御する方法(500)であって、
飛行機離陸パラメータ(105)に基づいて離陸トリム設定(315)を決定することを含み、
前記離陸トリム設定(315)が、安定板向き設定(315a)とエレベータ向き設定(315b)を含み、
前記飛行機離陸パラメータ(105)が、飛行機の重量、飛行機の重心、離陸フラップ設定、又は離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含み、
前記方法(500)が、更に、
前記離陸トリム設定(315)の前記安定板向き設定(315a)に従って、前記飛行機(100)の安定板向き機構(112)を使用して、前記飛行機(100)の安定板(110)の向きを調整すること、
前記離陸トリム設定(315)の前記エレベータ向き設定(315b)に従って、前記飛行機(100)のエレベータ向き機構(122)を使用して、前記飛行機(100)のエレベータ(120)の向きを調整すること、及び
前記エレベータ向き設定(315b)が中立的な向き(601)と異なるならば、飛行制御システム(350)内のエレベータ制御バイアスを低減させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
可動水平安定板を有する飛行機は、離陸のために安定板の適切な向き(例えば、角度)を利用する。この向きは、離陸トリム安定板設定としても知られ、尾部の全ピッチングモーメントに対応する。これらの特性は、再トリミングすること、及び/又は、所与のパイロット制御入力に対して離陸時の回転に応じた特定のピッチ速度を有することなしに、クライムアウトを完了することを含み得る。離陸トリム安定板設定は、飛行機の重量、重心(CG)、離陸推力設定、離陸フラップ角などの、様々なパラメータに依拠し得る。離陸に先立って、離陸トリム安定板設定は、フラップ角及び離陸推力設定のパイロットの選択のみならず、飛行機積み込みマニフェスト情報に基づいて決定され得る。安定板全移動範囲の大部分は、特に、可能な離陸積み込み、フラップ角、及び推力設定の大きな範囲を有する飛行機にとって、可能な離陸条件を受け入れるために使用され得る。
【0002】
安定板全移動範囲のより小さい部分を利用する新しい方法とシステムが、開発されてきている。
【発明の概要】
【0003】
そのようなシステムを制御する飛行機トリムシステム及び方法が提供される。これらのシステムは、他のトリムシステムと比較して、離陸トリム設定のための水平安定板全移動範囲のより小さい部分を利用する。説明されるトリムシステムは、安定板及びエレベータを含む。これらの構成要素は、離陸全尾部ピッチングモーメントを実現するために共に使用される。エレベータ、又はエレベータ作動範囲の少なくとも一部分は、飛行制御のために利用可能である。そのようにして、離陸トリム設定は、安定板及びエレベータ向き設定を含む。離陸尾部ピッチングモーメントを制御するためのエレベータの追加は、安定板全移動を低減させることを可能にする。エレベータの向きは、安定板のものよりもかなり速く変更され得る。そして、パイロットにより多くの制御を提供する。
【0004】
ある実施形態では、飛行機のトリムシステムを制御する方法は、飛行機離陸パラメータに基づいて、離陸のための離陸トリム設定を決定することを含む。離陸トリム設定は、安定板向き設定とエレベータ向き設定を含む。飛行機離陸パラメータは、飛行機の重量、飛行機の重心、離陸フラップ設定、又は離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含む。その後、該方法は、安定板向き機構を使用して且つ離陸トリム設定の安定板向き設定に従って、飛行機の安定板の向きを調整することへ進む。該方法は、エレベータ向き機構を使用して且つ離陸トリム設定のエレベータ向き設定に従って、飛行機のエレベータの向きを調整することも含む。
【0005】
離陸トリム設定のエレベータ向き設定は、エレベータの中立的な向きとは異なり得る。代替的に、安定板向き設定は、エレベータ向き設定がその中立的な向きに一致するように選択され得る。
【0006】
離陸トリム設定の安定板向き設定とエレベータ向き設定は、相互に依存している。言い換えると、離陸トリム設定の安定板向き設定とエレベータ向き設定は、互いに依存している。特に、トリム離陸設定を決定することは、エレベータ向き設定に基づいて安定板向き設定を決定することを含み得る。これらの実施形態では、安定板向き設定を決定することが、(a)初期エレベータ向き設定を選択すること、(b)初期エレベータ向き設定に基づいて、初期安定板向き設定を決定すること、(c)初期安定板向き設定を運用条件と比較すること、及び(d)初期エレベータ向き設定をエレベータ向き設定として、且つ、初期安定板向き設定を安定板向き設定として選択することを含み得る。
【0007】
初期エレベータ向き設定は、エレベータ離陸小範囲の離陸制限であり得る。エレベータ離陸小範囲は、エレベータ全作動範囲の一部分である。エレベータ全作動範囲は、1以上の飛行制御マージンを更に含み、エレベータ離陸小範囲は、エレベータの飛行制御作動可能性に基づいて設定される。代替的に、初期エレベータ向き設定は、エレベータの中立的な向きである。
【0008】
ある実施形態では、初期エレベータ向き設定を選択すること、初期安定板向き設定を決定すること、及び初期安定板向き設定を運用条件と比較することが、初期安定板向き設定が運用条件の平均から設定閾値の範囲内にあるまで繰り返される。代替的に、これらの作動は、初期安定板向き設定が運用条件の範囲内にある間に、初期エレベータ向き設定が中立的な向きから設定閾値の範囲内にあるまで繰り返され得る。
【0009】
ある実施形態では、該方法が、飛行制御システム内のエレベータ制御バイアスを低減させることを更に含む。本開示の目的のために、エレベータ制御バイアスは、離陸トリム設定のエレベータ向き設定がエレベータの中立的な向きに一致しない状態として定義される。離陸トリム設定のエレベータ向き設定は、エレベータ向き離陸設定とも称され得る。このエレベータ向き離陸設定が、離陸トリム設定の一部分であり、飛行制御入力の一部分ではないという事実によって、バイアスがもたらされる。そのようにして、エレベータ向き設定が中立的な向きと異なるならば、動作が実行される。ある実施形態では、飛行制御システムがフライ・バイ・ワイヤシステムであり得る。
【0010】
ある実施形態では、離陸トリム設定を決定することが、データベースを使用して実行される。ある実施形態では、該方法が、安定板の向きが安定板向き設定に従い、エレベータの向きがエレベータ向き設定に従った状態で、飛行機の離陸を開始することを更に含む。これらの実施形態では、該方法が、離陸後に、エレベータ向き機構の中立的な向きがエレベータの中立的な向きに一致するまで、安定板の向きを変更することを更に含み得る。言い換えると、離陸後に、離陸に関連付けられたエレベータのバイアスが設定レベルまで低減されるか又は消去されるように、トリム設定が変更され得る。
【0011】
ある実施形態では、エレベータ向き機構又は安定板向き機構のうちの少なくとも一方が、電子的に制御される。電子制御は、パイロットの制御にバイアスが導入されないか又は低減されたバイアスが導入される状態で、離陸のためのエレベータの向きを変更することを可能にする。
【0012】
ある実施形態では、安定板向き機構が、安定板向き設定とエレベータ向き設定を安定板向き機構に直接的に提供するトリムコントローラによって自動的に制御される。
【0013】
ある実施形態では、飛行機のトリムシステムが、トリムコントローラ、安定板向き機構、安定板、エレベータ向き機構、及びエレベータを備える。トリムコントローラは、飛行機離陸パラメータに基づいて、飛行機の離陸のためのトリム設定を決定するように使用可能である。例えば、離陸トリム設定は、安定板向き設定とエレベータ向き設定を含み得る。飛行機離陸パラメータは、飛行機の重量、飛行機の重心、飛行機のフラップ設定、又は飛行機の離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含み得る。安定板向き機構は、安定板向き設定に基づいて制御可能である。安定板は、安定板向き機構と機械的に連結されている。安定板向き機構は、安定板向き設定に基づいて安定板の向きを変更するように使用可能である。エレベータ向き機構は、エレベータ向き設定に基づいて制御可能である。エレベータは、エレベータ向き機構と機械的に連結されている。更に、エレベータ向き機構は、エレベータ向き設定に基づいてエレベータの向きを変更するように使用可能である。
【0014】
ある実施形態では、トリムコントローラが、安定板向き機構又はエレベータ向き機構のうちの少なくとも一方と通信可能に接続されている。トリムコントローラは、飛行コントローラからエレベータ向き設定を受信し、飛行コントローラから受信したエレベータ向き設定に基づいて、安定板向き設定を決定するように使用可能であり得る。
【0015】
本発明の一実施形態は、飛行機のトリムシステムを制御する方法を含み、該方法が、飛行機離陸パラメータに基づいて離陸トリム設定を決定することであって、離陸トリム設定が安定板向き設定とエレベータ向き設定を含み、飛行機離陸パラメータが飛行機の重量、飛行機の重心、離陸フラップ設定、又は離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含む、離陸トリム設定を決定すること、離陸トリム設定の安定板向き設定に従って飛行機の安定板向き機構を使用して飛行機の安定板の向きを調整すること、及び離陸トリム設定のエレベータ向き設定に従って飛行機のエレベータ向き機構を使用して飛行機のエレベータの向きを調整することを含む。離陸トリム設定のエレベータ向き設定は、エレベータの中立的な向きと異なり得る。離陸トリム設定の安定板向き設定とエレベータ向き設定は、相互に依存し得る。トリム離陸設定を決定することは、エレベータ向き設定に基づいて安定板向き設定を決定することを含み得る。エレベータ向き設定に基づいて安定板向き設定を決定することは、初期エレベータ向き設定を選択すること、初期エレベータ向き設定に基づいて、初期安定板向き設定を決定すること、初期安定板向き設定を運用条件と比較すること、及び初期エレベータ向き設定をエレベータ向き設定として、且つ、初期安定板向き設定を安定板向き設定として選択することを含み得る。初期エレベータ向き設定は、エレベータ離陸小範囲の離陸制限であり、エレベータ離陸小範囲はエレベータ全作動範囲の一部分であり、エレベータ全作動範囲は、1以上の飛行制御マージンを更に含み、エレベータ離陸小範囲はエレベータの飛行制御態様に基づいて設定され得る。初期エレベータ向き設定は、エレベータの中立的な向きであり得る。初期エレベータ向き設定を選択すること、初期安定板向き設定を決定すること、及び初期安定板向き設定を運用条件と比較することは、初期安定板向き設定が運用条件の平均から設定閾値の範囲内にあるまで繰り返され得る。初期エレベータ向き設定を選択すること、初期安定板向き設定を決定すること、及び初期安定板向き設定を運用条件と比較することは、初期安定板向き設定が運用条件の範囲内にあり得る間に、初期エレベータ向き設定が中立的な向きから設定閾値の範囲内にあり得るまで繰り返され得る。該方法は、エレベータ向き設定が中立的な向きと異なるならば、飛行制御システム内のエレベータ制御バイアスを低減させることも含み得る。飛行制御システムがフライ・バイ・ワイヤシステムであり得る。離陸トリム設定を決定することが、データベースを使用して実行され得る。該方法は、安定板の向きが安定板向き設定に従い、エレベータの向きがエレベータ向き設定に従った状態で、飛行機の離陸を開始することも含み得る。該方法は、離陸後に、飛行制御システムの中立的な制御点がエレベータの中立的な向きに一致するまで、安定板の向きを変更することも含み得る。該方法は、飛行機離陸パラメータを受信することも含み得る。飛行機離陸パラメータのうちの少なくとも1つが、飛行機のセンサから受信され得る。飛行機のセンサは、飛行機の着陸装置内に設置された重量センサを含み得る。
【0016】
本発明の別の一実施形態は、飛行機のトリムシステムを含み、該トリムシステムが、飛行機離陸パラメータに基づいて飛行機の離陸トリム設定を決定するように使用可能なトリムコントローラであって、離陸トリム設定が安定板向き設定とエレベータ向き設定を含み、飛行機離陸パラメータが飛行機の重量、飛行機の重心、飛行機のフラップ設定、又は飛行機の離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含む、トリムコントローラ、安定板向き設定に基づいて制御可能な安定板向き機構、安定板向き機構と機械的に連結された安定板であって、安定板向き機構が安定板向き設定に基づいて安定板の向きを変更するように使用可能であり得る、安定板、エレベータ向き設定に基づいて制御可能なエレベータ向き機構、及び、エレベータ向き機構と機械的に連結されたエレベータであって、エレベータ向き機構がエレベータ向き設定に基づいてエレベータの向きを変更するように使用可能であり得る、エレベータを含む。トリムコントローラが、安定板向き機構又はエレベータ向き機構のうちの少なくとも一方と通信可能に接続されている。トリムコントローラは、飛行コントローラからエレベータ向き設定を受信し、飛行コントローラから受信したエレベータ向き設定に基づいて、安定板向き設定を決定するように使用可能であり得る。
【0017】
上述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施例において独立に実現することが可能であり、また別の実施例において組み合わせることも可能である。これらの実施例について、以下の説明及び添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ある実施形態による、安定板とエレベータを備えた飛行機の概略的な表現である。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、ある実施形態による、安定板の向きのみがトリム設定として使用されるときに、離陸トリムのために使用される小範囲に対応する、作動可能及び作動不可能な条件の例示的なプロットである。
【
図3】ある実施形態による、
図1の飛行機のトリムシステムと飛行制御システムの概略的な表現である。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、ある実施形態による、安定板及びエレベータの向きがトリム設定として使用されるときに、離陸トリムのために使用される小範囲に対応する、作動可能及び作動不可能な条件の例示的なプロットである。
【
図5】ある実施形態による、飛行機のトリムシステムを制御する方法のプロセスフローチャートである。
【
図6】ある実施形態による、エレベータ作動範囲の一実施例の概略的な表現である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、ある実施形態による、エレベータ作動設定とエレベータ制御設定との間の対応の概略的な表現である。
【
図8】ある実施形態に従って構成されたデータ処理システムを示す。
【
図9】ある実施例による、飛行機の製造及び保守方法の一実施例のフローチャートを示す。
【
図10】ある実施形態による、飛行機の一実施例のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
下記の説明では、提示されている概念の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細事項を明示する。提示されている概念は、これらの具体的な詳細事項の一部又は全部を含まずとも実践可能である。他の事例においては、記載される概念を不必要に分かりにくくしないように、周知の処理工程については詳細に記載していない。一部の概念は具体例を踏まえて説明されるが、これらの例は限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0020】
イントロダクション
多くの飛行機、特に旅客機は、調整可能な入射角を有する水平尾翼を有する。その水平尾翼は、可動水平安定板とも称され得る。特定の安定板角度が、離陸のために使用され、それは、離陸トリム安定板設定又は単に安定板向き設定とも称され得る。この安定板角度又はより一般的に安定板の向きは、離陸トリム設定の一部分である。更に、安定板角度は、飛行中に、例えば、燃料が燃焼され飛行機の重心が変動する際に変動し得る。
【0021】
安定板角度が、尾部全飛行機ピッチングモーメントを決定する主要な要因であり、しばしば、唯一の要因である他のトリムシステムとは異なり、本明細書で説明されるトリムシステムは、適切なピッチングモーメントを生成するために安定板とエレベータの組み合わせを利用する。言い換えると、安定板の向きとエレベータの向きの両方が、離陸トリムの部分である。そのようにして、本明細書で説明される離陸トリム設定は、少なくとも安定板向き設定とエレベータ向き設定を含む。離陸中のエレベータの更なる効果によって、安定板移動範囲は、他のシステムと比較して大幅に低減され得る。
【0022】
図1で示されている飛行機100の短い説明が、本開示のある特徴を示し得る。特に、飛行機100は、安定板110とエレベータ120を備える。それらは、飛行操縦翼面の2つの構成要素である。飛行操縦翼面の他の構成要素は、スラット130、エルロン140、及びラダー150を含み得る。エルロン140、エレベータ120、及びラダー150は、主要な制御構成要素とみなされ得る。これらの構成要素の向きを変更することは、これらの構成要素の周りの空気の流れを再誘導し、1以上の関連する軸(例えば、横軸、縦軸、及び/又は垂直軸)の周りで飛行機100を回転させる不安定な力を生成する。
【0023】
エルロン140は、主翼の後縁に取り付けられ得る(例えば、フラップが胴体のより近くに取り付けられる一方で、エルロンは翼端の近くに取り付けられる)。エルロン140は、両方向に動き、飛行機100のロールとターンをもたらす。特に、下げられたエルロンが揚力を高める一方で、上げられたエルロンはその翼の揚力を低減させる。
【0024】
ラダー150は、垂直安定板の後縁に取り付けられ、飛行機100のヨーを変更するために使用され得る。ラダーを右に偏向させることは、尾部を左に押し、今度は、ノーズが右へヨーすることをもたらす。ラダーを中立的な位置へ戻すことは、飛行機100のヨーを停止させる。
【0025】
安定板110は、飛行機100の尾部に位置付けられ安定と制御のために使用される(主翼と比較して)より小さい揚力を生む翼面である。特に、安定板110は、例えば、速度及び高度の変更、燃料消費、貨物又はペイロードを落下させることなどによって、飛行機100の圧力の中心又は重心が変動することに対応した調整を支援する。安定板110の向きは、以下で更に説明されるように調整され得る。安定板110は、他の種類の航空機、例えば、ヘリコプター及びジャイロプレーンなどの非固定翼航空機でも使用され得る。安定板110の向きは、安定板向き機構112を介して、パイロット及び/又はトリムコントローラ310によって制御される。
【0026】
エレベータ120は、安定板110の後ろに可動に連結(例えば、ヒンジ)され、安定板110よりもかなり小さくなり得る。このサイズの差のために、エレベータ120の向きは、安定板110の向きよりもかなり速く変更され得る。このより高い向き調整の速度のために、エレベータ120は、安定板110と比較してより動的な制御を提供することができる。2つのエレベータ120は、尾部の異なる側に位置決めされ、共に上下移動する。エレベータ120は、エレベータ向き機構122を介してパイロット、飛行コントローラ360、及び/又はトリムコントローラ310によって制御される。他の飛行機のエレベータ120は、エレベータ120がトリムシステムの部分ではないので、トリムコントローラ310によって制御されない。飛行機の作動中に、上げられたエレベータ120は、尾部を下向きに押し、飛行機100のノーズがピッチアップすることをもたらす。今度は、これが、より大きい揚力とより大きい抗力を生成するより高い迎え角で主翼を飛行させる。
【0027】
離陸トリムのために主として安定板の向きに頼ることは、様々な問題を提示する。
図2A及び
図2Bは、安定板の向きが主要なトリム設定として使用されるときの、運用条件220と作動不可能な条件210の例示的なプロットである。この実施例では、作動不可能な条件210と運用条件220が、安定板角度と離陸パラメータの様々な組み合わせに基づいて特定される。飛行機の重量、飛行機の重心、離陸フラップ設定、及び離陸推力設定などの、種々の種類の離陸パラメータが本開示の範囲内にある。更に、当業者は、これらの離陸パラメータが様々な組み合わせ効果を有することを理解するだろう。簡略化のために、主として飛行機の重量に対して参照がなされることとなる。本開示の目的のために、運用条件220は、その間に飛行機が安全に作動することができる、例えば、離陸を完了することができるところの、安定板向き設定(又は、より一般的に、離陸トリム設定)と離陸パラメータの任意の組み合わせとして規定される。安定板の向き又はより具体的には安定板角度は、その中立的な位置からの安定板の偏差として規定され得る。作動不可能な条件210は、避けられるべき安定板向き設定(又は、より一般的に、離陸トリム設定)と離陸パラメータの任意の組み合わせとして規定される。そのようにして、作動不可能な条件210は避けられる。更に、ある運用条件220は、作動不可能な条件210により近く、不注意で(又は誤って)作動不可能な条件に入るより高い危険性を有し得る。これらの部分は、
図2Bで斜線のパターンを伴って特定され、敏感な条件222とも称され得る。敏感な条件222は、可能であるならば、全体の危険性を低減させるためにも避けられる。
【0028】
例えば、尾部ピッチングモーメントを生成して飛行機が離陸中に回転することを可能にするように、より大きい安定板角度が、より大きな飛行機の重量のために使用される。更に、所与の飛行機の重量のために、安定板角度のある範囲が概して受け入れ可能である。そのようにして、運用条件220は、
図2A及び
図2Bにおいて傾斜したブロックとして表現されている。小さい飛行機の重量のために大きな安定板角度が選択されるならば、
図2A及び
図2Bにおいて上側の影が付けられたブロックによって表現されている作動不可能な条件210に対応して、離陸中に過剰な尾部ピッチングモーメントが生成され得る。これは、飛行機が離陸中に制御不可能にピッチアップすることをもたらす。同様なやり方で、より大きな飛行機の重量のために小さい安定板角度が選択されるならば、
図2A及び
図2Bにおいて下側の影が付けられたブロックによって表現されている作動不可能な条件210に対応して、生成されるピッチングモーメントが、離陸のために十分高くなく、離陸中の飛行機の回転を制限し、したがって、離陸を可能とすることができない。
【0029】
トリムシステムの実施例
図3は、ある実施形態による、飛行機100のトリムシステム300と飛行制御システム350の概略的な表現である。トリムシステム300は、トリムコントローラ310、安定板向き機構112、及び安定板110を備え得る。更に、他のトリムシステムと異なり、
図3で提示されているトリムシステム300は、エレベータ向き機構122及びエレベータ120も備える。言い換えると、安定板110とエレベータ120は、両方ともトリムシステム300の部分である。エレベータ向き機構122とエレベータ120は、飛行制御システム350の部分でもあることに留意されたい。そのようにして、以下で更に説明されるように、エレベータ120の作動及び機能は、飛行制御システム350とトリムシステム300によって共有されている。
【0030】
図4Aは、ある実施形態による、安定板及びエレベータの向きがトリム設定として使用されるときの、運用条件220と作動不可能な条件210の一実施例である。
図2Bと
図4Aのプロットを比較すると、安定板とエレベータの向きを共にトリム設定として使用することにおいて、敏感な条件222が全体的に避けられ得ることが見て取れる。
【0031】
図4Bは、ある実施形態による、安定板及びエレベータの向きがトリム設定として共に使用されるときの、運用条件220と作動不可能な条件210の一実施例である。
図2Bと
図4Bのプロットを比較すると、
図4Bで示されている運用条件220が、
図2Bのものよりも作動不可能な条件210にから更に離れていることがはっきりと分かる。そのようにして、安定板とエレベータをトリム設定として使用することは、性能を改良してきた。
【0032】
トリムコントローラ310は、離陸トリム設定315を決定し、離陸後にこれらのトリム設定を更に調整するために使用可能である。トリムコントローラ310は、コンピュータシステムであり得る。該コンピュータシステムのある実施例が以下で説明される。ある実施形態では、離陸トリム設定315を決定することに関連付けられた動作が、例えば、トリムコントローラ310に接続され得る又はトリムコントローラ310の一部分であり得るデータベース311を使用して、自動的に実行される。データベース311の一実施例は、検索データベースである。更に、離陸トリム設定315を決定するために使用される飛行機離陸パラメータ105は、トリムコントローラ310に直接的に送信され得る。代替的に、その間に離陸トリム設定315が決定される且つ/又は飛行機離陸パラメータ105が送信されるところの動作に関連付けられたある態様は、パイロットによって実行され得る。例えば、パイロットは、(マニフェスト385内で提供される)飛行機離陸パラメータ105のうちの少なくとも幾つかを、トリムコントローラ310の中へ手動で入力し得る。更に、パイロットは、例えば、トリムコントローラ310又は紙のバージョンのユーザインターフェース上の、例えば、データベース311の視覚表現を使用して、(飛行機離陸パラメータ105に基づいて)離陸トリム設定315を手動で決定し得る。
【0033】
ある実施形態では、トリムコントローラ310が、飛行機離陸パラメータ105のうちの少なくとも幾つかを生成しトリムコントローラ310へ送信するために使用可能な飛行機100のセンサ380(又は複数のセンサ)と通信可能に接続されている。センサ380の一実施例は、着陸装置の重量センサである。重量センサが飛行機100の着陸装置又は、より具体的には、各着陸装置の中へ設置されたときに、これらのセンサの組み合された出力は、飛行機100の全重量及び重心の位置を決定するために使用され得る。
【0034】
離陸トリム設定315は、安定板向き設定315aとエレベータ向き設定315bを含む。安定板向き設定315aの一実施例は、安定板110の中立的な位置に対する安定板110の角度である。
【0035】
トリムコントローラ310は、安定板向き機構112又はエレベータ向き機構122のうちの少なくとも一方と通信可能に接続されている。その後、安定板向き設定315aは、安定板110の向き(例えば、角度)を制御するために、安定板向き機構112に送信される。安定板110は、安定板向き機構112と機械的に連結されている。安定板向き機構112は、向きを変更するように使用可能な油圧、電気、又は他の種類の機構であり得る。
【0036】
エレベータ向き設定315bは、エレベータ120の向き(例えば、角度)を制御するために、エレベータ向き機構122に送信される。エレベータ120は、エレベータ向き機構122と機械的に連結されている。エレベータ向き機構122は、向きを変更するように使用可能な油圧、電気、又は他の種類の機構であり得る。飛行機100を操縦するための主要なデバイスとしてエレベータ120を使用するので、エレベータ120は速く動くように設計されている。
【0037】
安定板110は、主としてトリムデバイスとして使用されるが、それは、安定板110が、特に、安定板110の大きなサイズのために速く動かないことを意味する。より速い移動速度は、安定板向き機構の設計における多くの課題を提示する。安定板110と比較してエレベータ120のより小さいサイズのために、エレベータ向き機構122は、安定板向き機構112が安定板110の向きを変更することができるよりも速く、エレベータ120の向きを変更することができる。更に、エレベータ向き機構122は、飛行コントローラ360によっても制御されることに留意されたい。言い換えると、エレベータ向き設定315bは、トリムコントローラ310から、及び、飛行コントローラ360から、エレベータ向き機構122によって受信される。エレベータ120の全作動範囲は、更に説明されるように、エレベータ離陸小範囲と飛行制御マージンに分割される。
【0038】
離陸トリム設定315は、飛行機離陸パラメータ105に基づいて、トリムコントローラ310(又はパイロット)によって決定される。飛行機離陸パラメータ105のある実施例は、飛行機の重量、飛行機の重心、飛行機のフラップ設定、及び飛行機の離陸推力設定を含む。少なくとも安定板向き設定315aへの飛行機の重量の効果は、上述された通りである。当業者は、離陸トリム設定315への他の飛行機離陸パラメータ105の効果を理解するだろう。
【0039】
飛行制御システム350は、エレベータ120の向きを変更するために、エレベータ向き設定315bを生成し、これらの設定をエレベータ向き機構122へ送信するように使用可能な飛行コントローラ360を備える。当業者は、飛行機100の他の構成要素によって使用される様々な他の制御指示命令を生成するためにも、飛行コントローラ360が使用可能であることを理解するだろう。それらの構成要素のうちの幾つかは、上述されている。
【0040】
方法の実施例
図5は、ある実施形態による、飛行機100のトリムシステム300を制御する方法500に対応するプロセスフローチャートである。方法500のある動作は、他の動作が離陸中及び離陸後に実行され得る一方で、飛行機100の離陸に先立って実行される。
【0041】
方法500は、任意選択的な動作510中、飛行機離陸パラメータ105を受信することで開始し得る。飛行機離陸パラメータ105のある実施例は、飛行機の重量、飛行機の重心、離陸フラップ設定、及び離陸推力設定を含む。飛行機離陸パラメータ105は、様々な形態で受信され、例えば、マニフェスト385からパイロットによる手動で入力され、且つ/又は、飛行機100の1以上の外部システム(例えば、空港システム)又はセンサ380から自動的に受信され得る。後者の場合、任意選択的な動作510は、任意選択的な動作515中にセンサ出力を受信することも含む。
【0042】
方法500は、動作520中に離陸トリム設定315を決定することを含む。離陸トリム設定315は、飛行機離陸パラメータ105に基づいて決定される。動作520は、トリムコントローラ310によって実行され、完全に自動化され得る。代替的に、任意選択的な動作510のうちの少なくとも幾つかの態様は、手動で、例えば、検索データベース(例えば、電子データベース又は紙ベースの表)を使用してパイロットによって実行され得る。
【0043】
上述したように、離陸トリム設定315は、安定板向き設定315aとエレベータ向き設定315bを含む。エレベータ向き設定315bは、エレベータ全作動範囲600のエレベータ離陸小範囲602内にあり得る。(例えば、エレベータ離陸小範囲602の外側の)更なるエレベータ向き設定が、飛行コントローラ360によって提供され得る。飛行コントローラ360とトリムコントローラ310との間のエレベータ全作動範囲600のこの分割は、
図6を参照して次に説明されることとなるように、エレベータ120の双機能(dual-functionality)を実現することを可能にする。
【0044】
図6は、飛行制御マージン604a及び604bのみならず、エレベータ離陸小範囲602を含む、エレベータ全作動範囲600の概略図である。飛行制御マージン604a及び604bは、集合的に飛行制御マージン604と称され得る。飛行制御マージン604aと604bの範囲は、同じであり得る。エレベータ離陸小範囲602は、離陸制限602a及び602bによって規定され、飛行制御マージン604a及び604bから分離される。
図6は、エレベータ120の中立的な向き601も示している。ある実施形態では、中立的な向き601が、エレベータ全作動範囲600の中央に位置決めされ得る。それによって、エレベータ120は、中立的な向き601の各側へ等しい量だけ移動(例えば、ターン)し得る。更に、中立的な向き601は、エレベータ離陸小範囲602の中央に位置決めされ得る。
【0045】
エレベータ全作動範囲600に対するエレベータ離陸小範囲602の比は、設定された安定板小範囲、離陸回転を実行するために使用されるその離陸トリム位置からのエレベータの変位、及び他の飛行機の設計態様を満たすために使用されるその離陸トリム位置からのエレベータの変位に依存し、全作動範囲の約3分の1から2分の1の間であり得る。概して、エレベータ離陸小範囲602は、エレベータ120の飛行制御態様に基づいて設定され得る。言い換えると、飛行制御態様に基づいて、飛行制御マージン604aと604bの一方又は両方のために特定の最小範囲が割り当てられ得る。
【0046】
図5を参照すると、動作520中に離陸トリム設定315を決定する間に、安定板向き設定315aとエレベータ向き設定315bは、2つ従属した変数とみられ得る(両方が飛行機離陸パラメータ105に依存している)。安定板向き設定315aとエレベータ向き設定315bは、相互に依存している。飛行機離陸パラメータ105の各設定のためにそうであるように、安定板向き設定315aとエレベータ向き設定315bの種々の組み合わせが利用可能であり得る。ある実施態様では、所与の安定板の向きのために、単一のエレベータ向き設定が採用されることとなる。
【0047】
飛行機100の実際の離陸の時又はその後に、エレベータ120の向きが、安定板110の向きより速く変更され得る。同時に、エレベータ120の向きは、飛行制御のためにも使用される(
図6を参照して上述されたエレベータ全作動範囲600の分割を参照せよ)。これらの事に鑑みると、ある実施形態では、飛行機の離陸パラメータ105の所与の設定のために、安定板向き設定315aが従属した変数として扱われる一方で、エレベータ向き設定315bは独立した変数として扱われ得る。これらの実施形態では、動作520が、(任意選択的な動作522中に)ある初期エレベータ向き設定を選択すること、(任意選択的な動作523中に)初期エレベータ向き設定に基づいて初期安定板向き設定を決定すること、及び(任意選択的な動作524中に)初期安定板向き設定を運用条件と比較することを含み得る。(動作525及び/又は動作526中に確認された)初期エレベータ及び安定板向き設定のための条件設定に応じて、任意選択的な動作522、任意選択的な動作523、及び任意選択的な動作524が、(任意選択的な動作527中に)そのポイントでこれらの初期設定がエレベータ向き設定315bとして選択され初期安定板向き設定が安定板向き設定315aとして選択されるところの設定範囲を有する初期設定が見つかるまで、繰り返され得る。
【0048】
異なる実施例では、初期エレベータ向き設定を選択すること、並びに、初期エレベータ及び安定板向き設定を評価することが、本開示の範囲内にある。例えば、離陸制限602aのうちの1つが、任意選択的な動作522中に初期エレベータ向き設定として選択され得る。代替的に、エレベータ120の中立的な向き601が、任意選択的な動作522中に初期エレベータ向き設定として選択され得る。その後、安定板向き設定315aが、(飛行機離陸パラメータ105に基づくのみならず)任意選択的な動作523中にこの初期エレベータ向き設定の選択に基づいて決定され得る。データベース(例えば、参照表)及び/又はコンピュータアルゴリズムが、この動作のために使用され得る。
【0049】
ある実施形態では、初期エレベータ及び安定板向き設定の評価が、動作525及び526中に実行される。例えば、動作525は、初期エレベータ向き設定が中立的な向き601から閾値の範囲内にあるか否かを確認することを含む。閾値は、エレベータ120の全作動範囲の10%未満又は5%未満でさえあり得る。動作525は、初期安定板向き設定が運用条件220の範囲内にある間に、初期エレベータ向き設定をエレベータ120の中立的な向き601と比較することを含み得る。ある実施形態では、初期安定板向き設定が運用条件220の範囲内にとどめられている間に、初期エレベータ向き設定をエレベータ120の中立的な向き601により近づけることが可能であるならば、任意選択的な動作522、任意選択的な動作523、及び任意選択的な動作524が繰り返され得る。このアルゴリズムは、エレベータ制御における最小のバイアスを実現することを可能にする。
【0050】
別の一実施例では、動作526が、初期安定板向き設定が動作可能な条件220の平均から設定閾値の範囲内にあるか否かを確認するために、初期安定板向き設定を運用条件と比較することを含む。その目的は、作動不可能な条件210から最も離れた安定板向き設定315aを有することである。例えば、閾値は、安定板110の全作動範囲の10%未満又は5%未満でさえあり得る。
【0051】
トリムシステム300によって提供されるエレベータ向き設定315b(離陸トリム設定315の一部分)がエレベータ120の中立的な向き601に一致しないときに、エレベータ制御バイアスが存在し得る。ある実施形態では、エレベータ制御バイアスが、任意選択的な動作540中に低減され又は消去されさえする。次に、この動作の様々な態様が、
図7A及び
図7Bを参照しながら説明されることとなる。特に、
図7Aは、トリムシステム300によって提供され、
図7Aにおいてエレベータ全作動範囲600上で提示される、エレベータ向き設定315bの一実施例を示している。この実施例では、(動作520中に決定される)エレベータ向き設定315bが、中立的な向き601に一致しない。エレベータ向き設定315bは、エレベータ全作動範囲600を、2つの同じでない作動小範囲、すなわち、第1の作動小範囲614aと第2の作動小範囲614bへ分割する。エレベータ120が、これらのそれぞれの作動小範囲における飛行制御に対して完全に機能している間に、これらの同じでない作動小範囲とエレベータ向き設定315bにあるエレベータ120を有することは、少なくともパイロットにとって紛らわしい場合がある。このエレベータ制御バイアスを消去するために、エレベータ向き設定315bには、中立的な制御ポイント621が割り当てられる。中立的な制御ポイント621は、エレベータ全制御範囲620の中央に位置決めされ得る(
図7Aと
図7Bとの間の対応を参照せよ)。そのようにして、中立的な制御ポイント621は、エレベータ全制御範囲620を、等しい制御小範囲、すなわち、第1の制御小範囲624aと第2の制御小範囲624bへ分割する。この実施例では、第1の制御小範囲624aが第1の作動小範囲614aに対応し、一方で、第2の制御小範囲624bが第2の作動小範囲614bに対応する。ある実施形態では、第1の制御小範囲624aと第2の制御小範囲624bの各々が、エレベータ全作動範囲600をカバーするために比例的に調整される。代替的に、エレベータ全作動範囲600の一部分が、第1の作動小範囲614aと第2の作動小範囲614bのうちの最も小さいもののみに基づく。
【0052】
方法500は、動作532中の安定板110の実際の向き(例えば、安定板110の角度)を調整することに進む。この向きは、安定板向き機構112を使用して、且つ、動作520中に決定された安定板向き設定315aに従って、調整され得る。動作532は、飛行機100の離陸に先立って実行される。更に、安定板110の向きは、(
図5で示されている任意選択的な動作550中に実行される)離陸の後に、更に調整され得る。この種類の安定板の調整は、動作560を参照しながら以下で更に説明される。
【0053】
方法500は、動作530中にエレベータ120の向き(例えば、エレベータ120の角度)を調整することも含む。例えば、この向きは、エレベータ向き機構122を使用して、且つ、動作520中に決定されたエレベータ向き設定315bに従って、調整され得る。動作530も、飛行機100の離陸に先立って実行される。離陸中及び離陸後のエレベータの更なる調整が、飛行制御の一部分として実行される。
【0054】
ある実施形態では、方法500が、任意選択的な動作550中に飛行機100の離陸を開始することを更に含む。任意選択的な動作550は、離陸トリム設定315の部分である安定板向き設定315aに従った安定板110の向きによって実行される。更に、少なくとも最初は、エレベータ120の向きが、エレベータ向き設定315b(離陸トリム設定315の一部分)に従う。任意選択的な動作550の間又はその後に、エレベータ120の向きが、
図5のブロック555によって示されているように、飛行制御の一部分として変更され得る。
【0055】
ある実施形態では、方法500が、動作560中に(任意選択的な動作550中)離陸を完了した後で、安定板110の向きを変更することを更に含み得る。例えば、安定板110の向きは、例えば、中立的な制御ポイント621をエレベータ120の中立的な向き601に一致させるように、それによって、エレベータ制御バイアスを消去し又は少なくともエレベータ制御バイアスを低減させるように、変更され得る。言い換えると、離陸トリム設定315は、離陸後に変更され得る。
【0056】
コントローラの実施例
図8は、ある実施形態に従って構成された、且つ、トリムコントローラ310として使用され得る、データ処理システム800を示している。データ処理システム800は、本明細書でコンピュータシステムとも称され、上述のデバイス及びシステムの様々な構成要素を制御するために使用される1以上のコンピュータ又は処理デバイスを実施するように使用され得る。ある実施形態では、データ処理システム800が、プロセッサユニット804と、メモリ806と、固定記憶域808と、通信ユニット810と、入/出力ユニット812と、ディスプレイ814との間の通信を提供する、通信フレームワーク802を含む。この実施例では、通信フレームワーク802が、バスシステムの形態を採り得る。
【0057】
プロセッサユニット804は、メモリ806に読み込まれ得るソフトウェアのための指示命令を実行する役割を果たす。プロセッサユニット804は、マルチプロセッサコア内に含まれ得るような幾つかのプロセッサであり得る。様々な実施形態では、プロセッサユニット804が、特に、飛行機離陸パラメータ105などのデータを処理するように構成され最適化されている。したがって、プロセッサユニット804は、処理システム内の1以上の特定用途向け集積回路(ASIC)として実装され得る、特定用途向けプロセッサであり得る。プロセッサユニット804のそのような特定の構成は、以前に説明されたシステム、デバイス、及び方法と関連する特定の種類のデータを処理するときに、高められた効率を提供し得る。更に、ある実施形態では、処理ユニット804が、大きく複雑なデータセットの文脈において以前に説明された処理動作を最適に実行するようにプログラムされ特に構成され得る、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1以上の再プログラム可能な論理デバイスを含み得る。
【0058】
メモリ806及び固定記憶域808は、記憶デバイス816の実施例である。記憶デバイスは、例えば、データ、機能的な形態のプログラムコードなどの情報、及び/又は他の適切な情報を一時的に及び/又は永続的に、並びにより具体的な例としてはデータベース311を保存することができる、任意のハードウェアである。記憶デバイス816は、これらの例示的な実施例では、コンピュータ可読記憶デバイスとも称され得る。これらの実施例で、メモリ806は、例えば、ランダムアクセスメモリ又は他の任意の好適な揮発性若しくは不揮発性の記憶デバイスであってもよい。固定記憶域808は、特定の実装に応じて様々な形態を採り得る。例えば、固定記憶域808は、1以上の構成要素又はデバイスを包含し得る。例えば、固定記憶域808は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え可能光ディスク、書換え可能磁気テープ、又はこれらの何らかの組み合わせであり得る。固定記憶域808によって使用される媒体は、着脱可能でもあり得る。例えば、着脱可能ハードドライブが、固定記憶域808のために使用され得る。
【0059】
これらの例示的な実施例では、通信ユニット810が、他のデータ処理システム又はセンサ380などのデバイス及び外部システム(例えば、空港システム)との通信を提供する。これらの例示的な実施例では、通信ユニット810がネットワークインタフェースカードである。
【0060】
入/出力ユニット812は、データ処理システム800に接続され得る他の装置との間のデータの入出力を可能にする。例えば、入/出力ユニット812は、キーボード、マウス、及び/又は他の何らかの適切な入力装置を通じて、ユーザ入力のための接続を提供し得る。更に、入/出力ユニット812は、プリンタに出力を送信し得る。ディスプレイ814は、情報をユーザに、例えば、飛行機離陸パラメータ105をパイロットに表示するための機構を提供する。
【0061】
オペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又はプログラムに対する指示命令は、通信フレームワーク802を通じてプロセッサユニット804と通信可能である記憶デバイス816内に配置され得る。種々の実施形態のプロセスは、メモリ806などのメモリ内に配置され得るコンピュータ実装指示命令を使用して、プロセッサユニット804によって実行することができる。
【0062】
これらの指示命令は、プロセッサユニット804内のプロセッサによって読み取られ実行され得る、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと称される。種々の実施形態におけるプログラムコードは、メモリ806又は固定記憶域808などの、種々の物理的又はコンピュータ可読記憶媒体で具現化され得る。
【0063】
プログラムコード818は、選択的に着脱可能なコンピュータ可読媒体820に機能的な形態で配置され、且つ、プロセッサユニット804による実行のためにデータ処理システム800に読み込まれ得るか又は送信され得る。プログラムコード818とコンピュータ可読媒体820は、これらの例示的な実施例では、コンピュータプログラム製品822を形成する。一実施例では、コンピュータ可読媒体820は、コンピュータ可読記憶媒体824又はコンピュータ可読信号媒体826とすることができる。これらの例示的な実施例では、コンピュータ可読記憶媒体824が、プログラムコード818を記憶するために使用される物理的な又は有形の記憶デバイスである。
【0064】
代替的に、プログラムコード818は、コンピュータ可読信号媒体826を使用して、データ処理システム800に伝送され得る。コンピュータ可読信号媒体826は、例えば、プログラムコード818を内包し得る被伝播データ信号であり得る。例えば、コンピュータ可読信号媒体826は、電磁信号、光信号、及び/又は他の任意の適切な種類の信号であってもよい。これらの信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、有線などの通信リンク、及び/又は他の任意の適切な種類の通信リンクによって伝送され得る。
【0065】
データ処理システム800に関して例示されている種々の構成要素は、種々の実施形態が実装され得るやり方に構造的な限定をもたらすことを意図するものではない。種々の例示的な実施形態は、データ処理システム800に関して例示されている構成要素の、追加的な、及び/又は代替的な構成要素を含むデータ処理システムにおいて実装され得る。
図8に示す他の構成要素は、図示の実施例と異なることがある。種々の実施形態は、プログラムコード818を実行するために動作可能な任意のハードウェアデバイス又はシステムを使用して実行され得る。
【0066】
飛行機の実施例
上記で開示されているシステム、装置、及び方法は、飛行機及び航空宇宙産業に関して説明されているが、本明細書で開示されている実施形態は、自動車、鉄道などの他の任意の文脈、並びに、それ以外の機械的な及び輸送体に関する文脈にも適用され得ることを認識されたい。
【0067】
したがって、本開示の実施形態は、
図9で示されている飛行機の製造及び保守方法900、及び、
図10で示されている飛行機100の文脈で説明され得る。製造前の段階では、方法900は、飛行機100の仕様及び設計904と、材料の調達906とを含み得る。製造段階では、飛行機100の、構成要素及びサブアセンブリの製造908と、システムインテグレーション910とが行われる。その後、飛行機100は、認可及び納品912を経て、運航914に供され得る。顧客により運航されている期間に、飛行機100には、(改変、再構成、改修なども含み得る)定期的な整備及び保守916が予定される。
【0068】
方法900のプロセスの各々は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実施又は実行され得る。この説明の目的のために、システムインテグレータは、任意の数の飛行機製造業者及び主要システム下請業者を含み得るがそれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得るがそれらに限定されず、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0069】
図10で示されているように、方法900によって製造された飛行機100は、複数のシステム920及び内装922を有する、機体918を含み得る。システム920の実施例は、推進システム924、電気システム926、油圧システム928、及び環境システム930のうちの1以上を含む。任意の数の他のシステムが含まれていてもよい。航空宇宙産業の例を示しているが、本明細書で開示されている発明の原理は、自動車産業のような他の産業にも適用され得る。
【0070】
前述の概念は、理解の明確化を目的としてやや詳細に説明されているが、付随する特許請求の範囲内で、ある一定の変更及び修正が実践されうることは明白であろう。プロセス、システム、及び装置の実装には多数の代替的な様態があることに留意されたい。したがって、本書の実施例は例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0071】
結論
本開示による発明特徴の例示的で非排他的な実施例が、以下に列挙される段落に記載される。
A1.
飛行機100のトリムシステム300を制御する方法500であって、
飛行機離陸パラメータ105に基づいて離陸トリム設定315を決定することを含み、
前記離陸トリム設定315が、安定板向き設定315aとエレベータ向き設定315bを含み、
前記飛行機離陸パラメータ105が、飛行機の重量、飛行機の重心、離陸フラップ設定、又は離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含み、
前記方法500が、更に、
前記離陸トリム設定315の前記安定板向き設定315aに従って、前記飛行機100の安定板向き機構112を使用して、前記飛行機100の安定板110の向きを調整すること、及び
前記離陸トリム設定315の前記エレベータ向き設定315bに従って、前記飛行機100のエレベータ向き機構122を使用して、前記飛行機100のエレベータ120の向きを調整することを含む、方法500。
A2.
前記離陸トリム設定315の前記エレベータ向き設定315bが、前記エレベータ120の中立的な向き601と異なっている、段落A1に記載の方法500。
A3.
前記離陸トリム設定315の前記安定板向き設定315aと前記エレベータ向き設定315bが、相互に依存している、段落A1又はA2に記載の方法500。
A4.
前記離陸トリム設定315を決定することが、前記エレベータ向き設定315bに基づいて前記安定板向き設定315aを決定することを含む、段落A3に記載の方法500。
A5.
前記エレベータ向き設定315bに基づいて前記安定板向き設定315aを決定することが、
初期エレベータ向き設定を選択すること、
前記初期エレベータ向き設定に基づいて、初期安定板向き設定を決定すること、
前記初期安定板向き設定を運用条件220と比較すること、及び
前記初期エレベータ向き設定を前記エレベータ向き設定315bとして、且つ、前記初期安定板向き設定を前記安定板向き設定315aとして選択することを含む、段落A4に記載の方法500。
A6.
前記初期エレベータ向き設定が、エレベータ離陸小範囲602の離陸制限602aであり、前記エレベータ離陸小範囲602が、エレベータ全作動範囲600の一部分であり、前記エレベータ全作動範囲600が、1以上の飛行制御マージン604を更に含み、前記エレベータ離陸小範囲602が、前記エレベータ120の飛行制御態様に基づいて設定されている、段落A5に記載の方法500。
A7.
前記初期エレベータ向き設定が、前記エレベータ120の中立的な向き601である、段落A5に記載の方法500。
A8.
前記初期エレベータ向き設定を選択すること、前記初期安定板向き設定を決定すること、及び前記初期安定板向き設定を前記運用条件220と比較することが、前記初期安定板向き設定が前記運用条件220の平均から設定閾値の範囲内にあるまで繰り返される、段落A5からA7のいずれか一段落に記載の方法500。
A9.
前記初期エレベータ向き設定を選択すること、前記初期安定板向き設定を決定すること、及び前記初期安定板向き設定を前記運用条件220と比較することが、前記初期安定板向き設定が、前記運用条件220の範囲内にある間に、前記初期エレベータ向き設定が、中立的な向き601から設定閾値の範囲内にあるまで繰り返される、段落A5からA7のいずれか一段落に記載の方法500。
A10.
前記エレベータ向き設定315bが中立的な向き601と異なるならば、飛行制御システム350内のエレベータ制御バイアスを低減させることを更に含む、段落A1からA9のいずれか一段落に記載の方法500。
A11.
飛行制御システム350が、フライ・バイ・ワイヤシステムである、段落A1からA10のいずれか一段落に記載の方法500。
A12.
前記離陸トリム設定315を決定することが、データベース311を使用して実行される、段落A1からA11のいずれか一段落に記載の方法500。
A13.
前記安定板110の向きが前記安定板向き設定315aに従い、且つ、前記エレベータ120の向きが前記エレベータ向き設定315bに従った状態で、前記飛行機100の離陸を開始することを更に含む、段落A1からA11のいずれか一段落に記載の方法500。
A14.
離陸後に、飛行制御システム350の中立的な制御ポイント621が、前記エレベータ120の中立的な向き601に一致するまで、前記安定板110の向きを変更することを更に含む、段落A13に記載の方法500。
A15.
前記飛行機離陸パラメータ105を受信することを更に含む、段落A1からA14のいずれか一段落に記載の方法500。
A16.
前記飛行機離陸パラメータ105のうちの少なくとも1つが、前記飛行機100のセンサ380から受信される、段落A15に記載の方法500。
A17.
前記飛行機100の前記センサが、前記飛行機100の着陸装置内に設置された重量センサを備える、段落A16に記載の方法500。
B1.
飛行機100のトリムシステム300であって、
飛行機離陸パラメータ105に基づいて、前記飛行機100の離陸トリム設定315を決定するように使用可能なトリムコントローラ310であって、前記離陸トリム設定315が、安定板向き設定315aとエレベータ向き設定315bを含み、前記飛行機離陸パラメータ105が、飛行機の重量、飛行機の重心、飛行機のフラップ設定、又は飛行機の離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含む、トリムコントローラ310、
前記安定板向き設定315aに基づいて制御可能な安定板向き機構112、
前記安定板向き機構112と機械的に連結された安定板110であって、前記安定板向き機構112が、前記安定板向き設定315aに基づいて前記安定板110の向きを変更するように使用可能である、安定板110、
前記エレベータ向き設定315bに基づいて制御可能なエレベータ向き機構122、及び
前記エレベータ向き機構122と機械的に連結されたエレベータ120であって、前記エレベータ向き機構122が、前記エレベータ向き設定315bに基づいて前記エレベータ120の向きを変更するように使用可能である、エレベータ120を備える、トリムシステム300。
B2.
前記トリムコントローラ310が、前記安定板向き機構112又は前記エレベータ向き機構122のうちの少なくとも一方と通信可能に接続されている、段落B1に記載のトリムシステム300。
B3.
前記トリムコントローラ310が、飛行コントローラ360から前記エレベータ向き設定315bを受信し、前記飛行コントローラ360から受信した前記エレベータ向き設定315bに基づいて、前記安定板向き設定315aを決定するように使用可能である、段落B1又はB2に記載のトリムシステム300。
B4.
前記離陸トリム設定315の前記エレベータ向き設定315bが、前記エレベータ120の中立的な向き601と異なっている、段落B1からB3のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
B5.
前記離陸トリム設定315の前記安定板向き設定315aと前記エレベータ向き設定315bが、相互に依存している、段落B1からB4のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
B6.
前記トリムコントローラ310が、前記エレベータ向き設定315bに基づいて前記安定板向き設定315aを決定するように使用可能である、段落B1からB5のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
B7.
前記トリムコントローラ310が、
初期エレベータ向き設定を選択し、
前記初期エレベータ向き設定に基づいて、初期安定板向き設定を決定し、
前記初期安定板向き設定を運用条件220と比較し、
前記初期エレベータ向き設定を前記エレベータ向き設定315bとして、且つ、前記初期安定板向き設定を前記安定板向き設定315aとして選択するように使用可能である、段落B6に記載のトリムシステム300。
B8.
前記初期エレベータ向き設定が、エレベータ離陸小範囲602の離陸制限602aであり、前記エレベータ離陸小範囲602が、エレベータ全作動範囲600の一部分であり、前記エレベータ全作動範囲600が、1以上の飛行制御マージン604を更に含み、前記エレベータ離陸小範囲602が、前記エレベータ120の飛行制御態様に基づいて設定されている、段落B7に記載のトリムシステム300。
B9.
前記初期エレベータ向き設定が、前記エレベータ120の中立的な向き601である、段落B7に記載のトリムシステム300。
B10.
前記初期安定板向き設定が、前記運用条件220の平均から設定閾値の範囲内にあるまで、前記初期エレベータ向き設定を選択すること、前記初期安定板向き設定を決定すること、及び前記初期安定板向き設定を前記運用条件220と比較することを繰り返すように、前記トリムコントローラ310が使用可能である、段落B7からB9のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
B11.
前記初期安定板向き設定が、前記運用条件220の範囲内にある間に、前記初期エレベータ向き設定が、中立的な向き601から設定閾値の範囲内にあるまで、前記初期エレベータ向き設定を選択すること、前記初期安定板向き設定を決定すること、及び前記初期安定板向き設定を前記運用条件220と比較することを繰り返すように、前記トリムコントローラ310が使用可能である、段落B7からB9のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
B12.
前記エレベータ向き設定315bが中立的な向き601と異なるならば、前記トリムコントローラ210が、飛行制御システム350内のエレベータ制御バイアスを低減させるように使用可能である、段落B1からB11のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
B13.
飛行制御システム350が、フライ・バイ・ワイヤシステムである、段落B1からB12のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
B14.
データベース311を更に備え、前記トリムコントローラ310が、前記データベース311を使用して前記離陸トリム設定315が実行されることを決定するように使用可能である、段落B1からB13のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
B15.
前記飛行機離陸パラメータ105のうちの少なくとも1つを前記トリムコントローラ310に送信するための1以上のセンサ380を更に備える、段落B1からB14のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
B16.
前記飛行機100の1以上のセンサが、前記飛行機100の着陸装置内に設置された重量センサを備える、段落B1からB15のいずれか一段落に記載のトリムシステム300。
C1.
飛行機100であって、
飛行機離陸パラメータ105に基づいて、前記飛行機100の離陸トリム設定315を決定するように使用可能なトリムコントローラ310であって、前記離陸トリム設定315が、安定板向き設定315aとエレベータ向き設定315bを含み、前記飛行機離陸パラメータ105が、飛行機の重量、飛行機の重心、飛行機のフラップ設定、又は飛行機の離陸推力設定のうちの1つから選択された少なくとも1つのパラメータを含む、トリムコントローラ310、
前記安定板向き設定315aに基づいて制御可能な安定板向き機構112、
前記安定板向き機構112と機械的に連結された安定板110であって、前記安定板向き機構112が、前記安定板向き設定315aに基づいて前記安定板110の向きを変更するように使用可能である、安定板110、
前記エレベータ向き設定315bに基づいて制御可能なエレベータ向き機構122、及び
前記エレベータ向き機構122と機械的に連結されたエレベータ120であって、前記エレベータ向き機構122が、前記エレベータ向き設定315bに基づいて前記エレベータ120の向きを変更するように使用可能である、エレベータ120を備える、飛行機100。
C2.
前記トリムコントローラ310が、前記安定板向き機構112又は前記エレベータ向き機構122のうちの少なくとも一方と通信可能に接続されている、段落C1に記載の飛行機100。
C3.
前記トリムコントローラ310が、飛行コントローラ360から前記エレベータ向き設定315bを受信し、前記飛行コントローラから受信した前記エレベータ向き設定315bに基づいて、前記安定板向き設定315aを決定するように使用可能である、段落C1又はC2に記載の飛行機100。
C4.
前記離陸トリム設定315の前記エレベータ向き設定315bが、前記エレベータ120の中立的な向き601と異なっている、段落C1からC3のいずれか一段落に記載の飛行機100。
C5.
前記離陸トリム設定315の前記安定板向き設定315aと前記エレベータ向き設定315bが、相互に依存している、段落C1からC4のいずれか一段落に記載の飛行機100。
C6.
前記トリムコントローラ310が、前記エレベータ向き設定315bに基づいて前記安定板向き設定315aを決定するように使用可能である、段落C1からC5のいずれか一段落に記載の飛行機100。
C7.
前記トリムコントローラ310が、
初期エレベータ向き設定を選択し、
前記初期エレベータ向き設定に基づいて、初期安定板向き設定を決定し、
前記初期安定板向き設定を運用条件220と比較し、
前記初期エレベータ向き設定を前記エレベータ向き設定315bとして、且つ、前記初期安定板向き設定を前記安定板向き設定315aとして選択するように使用可能である、段落C6に記載のトリムシステム300。
C8.
前記初期エレベータ向き設定が、エレベータ離陸小範囲602の離陸制限602aであり、前記エレベータ離陸小範囲602が、エレベータ全作動範囲600の一部分であり、前記エレベータ全作動範囲600が、1以上の飛行制御マージン604を更に含み、前記エレベータ離陸小範囲602が、前記エレベータ120の飛行制御態様に基づいて設定されている、段落C7に記載の飛行機100。
C9.
前記初期エレベータ向き設定が、前記エレベータ120の中立的な向き601である、段落C7に記載の飛行機100。
C10.
前記初期安定板向き設定が、前記運用条件220の平均から設定閾値の範囲内にあるまで、前記初期エレベータ向き設定を選択すること、前記初期安定板向き設定を決定すること、及び前記初期安定板向き設定を前記運用条件と比較することを繰り返すように、前記トリムコントローラ310が使用可能である、段落C7からC9のいずれか一段落に記載の飛行機100。
C11.
前記初期安定板向き設定が、前記運用条件220の範囲内にある間に、前記初期エレベータ向き設定が、中立的な向き601から設定閾値の範囲内にあるまで、前記初期エレベータ向き設定を選択すること、前記初期安定板向き設定を決定すること、及び前記初期安定板向きを前記運用条件220と比較することを繰り返すように、前記トリムコントローラ310が使用可能である、段落C7からC9のいずれか一段落に記載の飛行機100。
C12.
前記エレベータ向き設定315bが中立的な向き601と異なるならば、前記トリムコントローラ210が、飛行制御システム350内のエレベータ制御バイアスを低減させるように使用可能である、段落C1からC11のいずれか一段落に記載の飛行機100。
C13.
飛行制御システム350が、フライ・バイ・ワイヤシステムである、段落C1からC12のいずれか一段落に記載の飛行機100。
C14.
データベース311を更に備え、前記トリムコントローラ310が、前記データベース311を使用して前記離陸トリム設定315が実行されることを決定するように使用可能である、段落C1からC13のいずれか一段落に記載の飛行機100。
C15.
前記飛行機離陸パラメータ105のうちの少なくとも1つを前記トリムコントローラ310に送信するための1以上のセンサ380を更に備える、段落C1からC14のいずれか一段落に記載の飛行機100。
C16.
前記飛行機100の1以上のセンサが、前記飛行機100の着陸装置内に設置された重量センサを備える、段落C1からC15のいずれか一段落に記載の飛行機100。