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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】汚物処理装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/35 20220101AFI20221116BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20221116BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20221116BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20221116BHJP
   B09B 101/67 20220101ALN20221116BHJP
【FI】
B09B3/35 ZAB
A61L9/01 B
A61L9/01 Q
A61L9/01 Z
A61L9/14
B01D53/38 110
B09B101:67
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018183078
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020049444
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧 道太郎
(72)【発明者】
【氏名】福本 克久
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-088112(JP,A)
【文献】特開2013-150976(JP,A)
【文献】特開2001-353482(JP,A)
【文献】特表2004-514557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00-5/00
A61L 9/00
B01D 53/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を吸収保持可能なポリマーを有する汚物を投入する投入部と、
前記汚物を破砕して破砕物にする破砕部と、
前記投入部の接続口に接続され、前記汚物又は前記破砕物から生じる臭気を脱臭する脱臭装置と、
前記破砕部の下流側に連通し、前記破砕物を水で希釈して希釈物にする希釈槽と、
一端が前記接続口よりも下流側に接続され、他端が前記希釈槽に接続された第1通気路と、
前記希釈槽の下流側に接続され、前記希釈物から固形分を分離する分離部と、
一端が前記投入部、又は前記第1通気路に接続され、他端が前記分離部に接続された第2通気路と、
前記投入部を閉鎖する蓋と、
前記希釈槽内又は前記分離部内の少なくとも一方の負圧を解消する負圧解消部と、
を備えることを特徴とする汚物処理装置。
【請求項2】
前記分離部は、前記希釈物から分離した前記固形分を排出する固形分排出部を有し、
一端が前記投入部に接続され、他端が前記固形分排出部に接続された第3通気路
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の汚物処理装置。
【請求項3】
前記脱臭装置は、前記投入部から吸気する吸気部、及び前記投入部に送風する送風部を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の汚物処理装置。
【請求項4】
前記脱臭装置は、臭気を消す消臭剤、又は芳香を生じる芳香剤の少なくともいずれか一方を有していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の汚物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水とポリマー分離剤と滅菌・殺菌剤が供給される分離槽と、分離槽内の処理物を攪拌する攪拌機とを備えて使用済み紙おむつからパルプ類とプラスティック類とを分離して回収する使用済み紙おむつ用分離回収装置において、分離槽に収集体に入れられた使用済み紙おむつが投入されると共に、収集体と使用済み紙おむつを破砕し得る破砕手段が設けられていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3139358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置は、排せつ物を含んだ使用済み紙おむつを分離槽で処理する際、投入口から室内に臭気が立ち昇ってくるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、室内に臭気が立ち昇ることを抑えることができる汚物処理装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の汚物処理装置は、
水分を吸収保持可能なポリマーを有する汚物を投入する投入部と、
前記汚物を破砕して破砕物にする破砕部と、
前記投入部の接続口に接続され、前記汚物又は前記破砕物から生じる臭気を脱臭する脱臭装置と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
この汚物処理装置は、破砕部で汚物を破砕して破砕物にすることができる。このとき、汚物又は破砕物から立ち昇る臭気を脱臭装置で脱臭することができる。
【0008】
したがって、本発明の汚物処理装置は室内に臭気が立ち昇ることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の汚物処理装置の概略図である。
図2】実施例2の汚物処理装置の概略図である。
図3】実施例3の汚物処理装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0011】
本発明の汚物処理装置は破砕部の下流側に連通し、破砕物を水で希釈して希釈物にする希釈槽と、一端が接続口よりも下流側に接続され、他端が希釈槽に接続された第1通気路とを備え得る。この場合、希釈槽は、希釈物を下流側に排出する際に負圧になることを抑えると共に、希釈槽に破砕物等が流入する際に正圧になることを抑えることができ、破砕物等の流入、及び希釈物の排出を良好にすることができる。
【0012】
本発明の汚物処理装置は希釈槽の下流側に接続され、希釈物から固形分を分離する分離部と、一端が投入部、又は第1通気路に接続され、他端が分離部に接続された第2通気路とを備え得る。この場合、分離部は、希釈物から固形分を取り除いた水分を下流側に排出する際に、負圧になることを抑えることができ、希釈物から固形分を取り除いた水分を良好に排出することができる。
【0013】
本発明の汚物処理装置は投入部を閉鎖する蓋と、希釈槽内又は分離部内の少なくとも一方の負圧を解消する負圧解消部とを備え得る。この場合、投入部を蓋で閉鎖することによって、希釈槽や分離部において、希釈物や希釈物から固形分を取り除いた水分を排出する際に負圧になり易くなるが、負圧解消部によって、投入部を蓋で閉鎖しても希釈槽や分離部が負圧になり難くすることができる。
【0014】
本発明の汚物処理装置の分離部は、希釈物から分離した固形分を排出する固形分排出部を有し、一端が投入部に接続され、他端が固形分排出部に接続された第3通気路を備え得る。この場合、固形分排出部で生じる臭気を投入部に導き、投入部の脱臭装置で脱臭することができる。
【0015】
本発明の汚物処理装置の脱臭装置は、投入部から吸気する吸気部、及び投入部に送風する送風部を有し得る。この場合、投入部において、吸気部と送風部とで、投入部内の空気を循環させることによって、良好に脱臭することができる。
【0016】
本発明の汚物処理装置の脱臭装置は、臭気を消す消臭剤、又は芳香を生じる芳香剤の少なくともいずれか一方を有し得る。この場合、投入部において、良好に臭気を抑えることができる。
【0017】
次に、本発明の汚物処理装置を具体化した実施例1~3について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<実施例1>
実施例1の汚物処理装置は、汚物である使用済の紙おむつや生理用品やペット用の砂等を破砕して、下水管に排出する装置である。これら汚物は、パルプ、プラスティック、及び高吸水性ポリマー(SAP,super absorbent polymer、以下単にポリマーと表記する)等で形成されている。これら紙おむつや生理用品やペット用の砂は使用されるとパルプやポリマーが水分を吸収保持する。水分が吸収保持されたポリマーに分解剤であるCaCl2(塩化カルシウム)等を反応させると、ポリマーから水分を取り出すことができる。分解剤としてCaCl2を反応させたポリマーは再び水分を吸収保持することができない不可逆状態になる。
【0019】
汚物処理装置1は、図1に示すように、使用済みの紙おむつや生理用品やペット用の砂(以降、汚物Dともいう)を投入する投入口が形成された投入部10、破砕部20、シュート21、ミキサ70、排出路11、第1開閉弁12、希釈槽30、分解剤投入装置13、脱臭装置80、吐出部14、排水路15、第2開閉弁16、分離部40、第1通気路17、負圧解消部17A、第2通気路18、及び第3通気路19を備えている。
【0020】
投入部10は、上下方向に延び、筒状をなし上端に開口して投入口が形成されている。投入口には投入口を開閉する第1蓋60が設けられている。投入部10には、水分を吸収保持可能なポリマーを有する汚物Dを投入する。
【0021】
破砕部20は、破砕機(例えば、公知のディスポーザーやシュレッダー)が用いられる。破砕部20の上端は投入部10の下端に連結されている。破砕部20の側面には、破砕部20を駆動するモータ20Gが取り付けられている。モータ20Gは制御部(図示せず)によって動作が制御される。破砕部20は投入部10に投入された汚物Dを破砕して破砕物Cにする。制御部は、例えば、マイクロコンピュータを含んだ制御回路として構成され、CPUや記憶部等を有している。
制御部には操作部(図示せず)が電気的に接続されており、汚物処理装置1を使用する使用者が操作部を操作することによって、汚物処理装置1の動作を開始したり終了したりし得る構成となっている。
【0022】
破砕部20のモータ20Gには、制御部が電気的に接続されている。制御部は破砕部20のモータ20Gが消費する消費電力量の大きさを検出して、検出した消費電力量の大きさに基づいて破砕部20に係る第1負荷を検出し得る構成とされている。具体的には、破砕部20のモータ20Gが消費する消費電力量の大きさと第1負荷の大きさとは正比例しているものとして捉え、消費電力量の大きさが紙おむつの大きさに比例しているものとする。
【0023】
シュート21は上端から下端に向けて縮径して形成された筒状をなしており、上端が破砕部20の下端に連結されている。シュート21は破砕部20から破砕物Cを後述するミキサ70に案内する。シュート21の下端には第2蓋22が設けられている。第2蓋22は、例えば、フラッパー弁等が用いられる。第2蓋22は、破砕物C等が載置されない状態ではシュート21の下端を閉鎖する。第2蓋22は、破砕物C等が載置されると、破砕物C等の重さによって垂下してシュート21の下端を解放する。第2蓋22は、載置された破砕物C等がミキサ70に流入すると、再びシュート21の下端を閉鎖する。第2蓋22はミキサ70から破砕部20や投入部10に向けて後述する攪拌物Sが飛散したり、臭気が立ち昇ったりすることを抑えることができる。
【0024】
ミキサ70は上端がシュート21の下端に連結されている。ミキサ70の下面には、ミキサ70を駆動するモータ70Aが取り付けられている。ミキサ70は破砕物Cと分解剤とを攪拌して攪拌物Sにする。
ミキサ70のモータ70Aには、制御部が電気的に接続されている。制御部はミキサ70のモータ70Aが消費する消費電流の大きさを検出して、検出した消費電流の大きさに基づいてミキサ70に係る第2負荷を検出し得る構成とされている。具体的には、ミキサ70のモータ70Aが消費する消費電流の大きさが稼働中に所定値を上回るときに、後述するポリマーの反応が完了していないものとする。
【0025】
排出路11は一端がミキサ70に連通している。排出路11の他端は後述する希釈槽30に連通している。
第1開閉弁12は、例えば、公知の電動ボールバルブである。第1開閉弁12は排出路11の一端部側に設けられ、排出路11を開閉する。第1開閉弁12は制御部によって開閉する動作が制御される。
【0026】
希釈槽30は攪拌物Sを後述する吐出部14から供給された水又は湯で希釈して希釈物Tにする。希釈槽30の上面には排出路11の他端が連結されており、排出路11が希釈槽30内に連通している。希釈槽30は破砕部20の下流側に連通している。希釈槽30の上面にはモータ30Aが取り付けられている。希釈槽30内にはモータ30Aの回転軸に連結されたプロペラ(図示せず)が配置されている。希釈槽30のモータ30Aは制御部によって動作が制御される。希釈槽30の側面には点検口30Bが形成されている。点検口30Bは蓋30Cによって水密状に閉鎖されている。希釈槽30内を点検する際には、蓋30Cを外し、点検口30Bから希釈槽30内を点検する。
【0027】
希釈槽30のモータ30Aには、制御部が電気的に接続されている。制御部は希釈槽30のモータ30Aが消費する消費電流の大きさを検出して、検出した消費電流の大きさに基づいて希釈槽30に係る第3負荷を検出し得る構成とされている。具体的には、希釈槽30のモータ30Aが消費する消費電流の大きさが所定値を超える時に後述するポリマーの反応が完了していないものとする。
【0028】
分解剤投入装置13は分解剤をシュート21内に投入する。分解剤投入装置13は、シュート21の側面に取り付けられている。分解剤投入装置13は、例えば、公知のフィーダー等が用いられ、制御部によってシュート21に所定の量の分解剤を投入するように制御される。所定の量の分解剤の量は、汚物Dに含まれるポリマーから水分を満遍なく取り出すことができる量である。
【0029】
分解剤投入装置13は、制御部が電気的に接続されている。制御部は、第1負荷の大きさに対応する信号、第2負荷の大きさに対応する信号、及び第3負荷の大きさに対応する信号に基づいて分解剤を分解剤投入装置13から投入するように分解剤投入装置13を制御する。
【0030】
脱臭装置80は、吸気部80A、脱臭部80B、及び送風部80Cを有している。吸気部80Aには、例えば、公知の軸流ファン等が用いられる。吸気部80Aは、一端面から吸気し、他端面から送風する。吸気部80Aは制御部に電気的に接続されている。吸気部80Aは投入部10の側面に形成された接続口である第1接続口10Dを一端面で覆うように取り付けられている。吸気部80Aは投入部10から吸気する。
脱臭部80Bには、例えば、活性炭が付着した不織布等で形成された、所謂、脱臭フィルターが用いられる。脱臭部80Bは、吸気部80Aの他端面(すなわち、送風する面)を覆うように配置される。
送風部80Cは吸気部80Aと同様の構成であり、例えば、公知の軸流ファン等が用いられる。送風部80Cは制御部に電気的に接続されている。送風部80Cは投入部10の側面に形成された接続口である第2接続口10Eを他端面で覆うように取り付けられている。投入部10は脱臭装置80を介して大気解放されている。送風部80Cは投入部10に送風する。脱臭装置80は汚物D又は破砕物Cから生じる臭気を脱臭する。脱臭装置80は第1接続口10D及び第2接続口10Eに接続されている。
【0031】
吐出部14は破砕部20に水又は湯を供給する。吐出部14は水を供給する第1吐出部14A、及び湯を供給する第2吐出部14Bを有している。吐出部14は投入部10に設けられている。第1吐出部14A、第2吐出部14Bのそれぞれには第1電磁弁14C、第2電磁弁14Dが設けられている。
【0032】
これら第1電磁弁14C、及び第2電磁弁14Dは制御部によって所定の条件に基づいて破砕部20に水や湯を供給するように制御される。具体的には、制御部は、破砕部20のモータ20Gの駆動が停止してからの経過時間をカウントしたり、破砕部20のモータ20Gが駆動された回数をカウントしたり、分解剤が投入された量や分解剤が投入された回数をカウントしたり、所定の時間をカウントしたりし得る構成とされている。これにより、制御部は破砕部20が動作を停止した後の所定の経過時間、破砕部20が動作した所定の回数毎、分解剤の所定の投入量毎又は所定の投入回数毎、又は所定の時間毎に、吐出部14が水又は湯を供給するように制御する。これにより、破砕部20、ミキサ70、希釈槽30、分離部40を洗浄することができる。
【0033】
排水路15は一端が希釈槽30の下端に連通して連結されている。排水路15の他端は下水管(図示せず)に連通している。排水路15にはトラップ15Aが形成されている。トラップ15Aにはゼット排水部が接続されている(図示せず。)。
第2開閉弁16は、例えば、公知の電動ボールバルブである。第2開閉弁16は排水路15のトラップ15Aより上流側に設けられ、排水路15を開閉する。第2開閉弁16は制御部によって開閉する動作が制御される。
【0034】
分離部40はトラップ15Aと第2開閉弁16との間の排水路15に設けられている。分離部40は希釈槽30の下流側に接続されている。分離部40は、例えば、公知のスクリュープレス装置等が用いられる。分離部40の側面には、分離部40を駆動するモータ40Cが取り付けられている。分離部40の上端部には希釈物Tから分離した固形分を排出する固形分排出部40Dが連結している。分離部40は排水路15を流れる希釈物Tから固形分を分離して取り出すことができる。分離部40のモータ40Cは制御部によって動作が制御される。分離部40の側面には点検口40Aが形成されている。点検口40Aは蓋40Bによって水密状に閉鎖されている。分離部40内を点検する際には、蓋40Bを外し、点検口40Aから分離部40内を点検する。
【0035】
第1通気路17は、一端が第1接続口10D及び第2接続口10Eよりも下流側の投入部10に連通し、他端が希釈槽30の上端に接続され、希釈槽30内に連通している。
負圧解消部17Aは第1通気路17に取り付けられている。負圧解消部17Aには、例えば、公知のドルゴ通気弁やコバート通気弁等が用いられる。
【0036】
第2通気路18は、一端が第1通気路17の負圧解消部17Aの下流側に連通して接続され、他端が分離部40の上端に連通して接続され、分離部40内に連通している。負圧解消部17Aは、第1通気路17及び第2通気路18を介して、希釈槽30内及び分離部40内の負圧を解消する。
【0037】
第3通気路19は、一端が投入部10の側面に連通して接続され、他端が分離部40の固形分排出部40Dに連通して接続されている。第3通気路19には、吸気部19Aが取り付けられている。吸気部19Aは、脱臭装置80の送風部80C、及び吸気部80Aと同様の構成であり、例えば、公知の軸流ファン等が用いられる。吸気部19Aは制御部に電気的に接続されている。吸気部19Aは、吸気部19Aを駆動した際に、第3通気路19内の空気が固形分排出部40Dから投入部10に向けて流れるように第3通気路19に取り付けられている。
【0038】
次に、汚物処理装置1の動作について説明する。
先ず、第1蓋60を起立状態にして投入口を解放し、汚物Dを投入部10に投入する。第1蓋60を起立状態にしたことに基づいて、制御部によって脱臭装置80の吸気部80A、及び送風部80Cの動作が開始される。次に、第1蓋60を倒伏状態にして投入部10の投入口を閉鎖し、操作部(図示せず)を操作して汚物処理装置1を動作させる。
【0039】
汚物処理装置1は、先ず、制御部によって第1電磁弁14C又は第2電磁弁14Dを動作させて、吐出部14から第1所定量の水又は湯を破砕部20に供給する。こうして、破砕部20に汚物Dと水又は湯とが投入される。このとき、第1開閉弁12は閉じた状態である。破砕部20のモータ20Gは、第1蓋60が投入口を解放した状態、又は分解剤が投入されていないと制御部が判別した場合、駆動しないように制御部によって制御されている。
【0040】
第1蓋60が投入口を閉鎖した状態、及び分解剤が投入された状態であると制御部が判別すると、破砕部20のモータ20Gが駆動され、汚物Dが破砕される。
このとき、制御部はモータ20Gの第1負荷の大きさに基づいて投入された汚物Dの量を推定する。具体的には、制御部によって、破砕部20に係る第1負荷(すなわち、モータ20Gの消費電力量)を検出し、第1負荷が所定値を超えたときに汚物Dを破砕しているものとし、第1負荷が所定値を超えている時間に基づいて汚物Dの量を推定する。汚物Dは破砕部20で破砕され破砕物Cになる。制御部は、第1負荷の大きさに対応する信号に基づいて分解剤投入装置13を動作させて、所定の量の分解剤をシュート21に投入する。シュート21に投入された所定の量の分解剤はミキサ70に流入する。
【0041】
次に、ミキサ70で、破砕物C、第1所定量の水又は湯、及び所定の量の分解剤を攪拌して、水分を吸収保持したポリマーと分解剤とを反応させて、ポリマーが吸収保持した水分を取り出す。こうして、ミキサ70では、破砕物C、水又は湯、及び所定の量の分解剤を攪拌して攪拌物Sにする。
【0042】
このとき、制御部によって、ミキサ70のモータ70Aに係る第2負荷を検出する。具体的には、このとき検出される第2負荷の大きさは、モータ70Aの消費電流の大きさである。
【0043】
制御部はモータ70Aの第2負荷の大きさが所定の時間が経過しても所定値以下でない(すなわち、攪拌物Sのポリマーと分解剤との反応が十分進んでいない)と判別すると、分解剤を分解剤投入装置13から追加して投入するように分解剤投入装置13を制御する。このとき、モータ70Aは継続して駆動しており、ミキサ70において攪拌物Sのポリマーと分解剤との反応をさらに進めることができる。
こうして、ミキサ70では、破砕物C、第1所定量の水又は湯、及び分解剤を攪拌し、破砕物Cを攪拌物Sにし、攪拌物Sのポリマーと分解剤との反応をさらに進めることができる。
【0044】
次に、モータ70Aの消費電流の大きさ(すなわち、第2負荷の大きさ)が所定値以下であると制御部が判別すると、閉じた状態の第1開閉弁12が制御部によって開いた状態にされる。すると、排出路11を介して攪拌物Sが希釈槽30内に流入する。
【0045】
このとき、制御部によって吐出部14の第1電磁弁14C及び第2電磁弁14Dを動作させて吐出部14から第2所定量の水又は湯を破砕部20に供給する。第2所定量の水又は湯は、攪拌物Sの量に対して所定の量である。このとき、破砕部20のモータ20G、及びミキサ70のモータ70Aは駆動している。これにより、ミキサ70内の攪拌物Sを希釈槽30内に確実に搬送しつつ破砕部20内及びミキサ70内を洗浄することができる。
第1通気路17は、希釈槽30に破砕物C及び第2所定量の水又は湯が流入する際、希釈槽30内が正圧になることを抑える。
吐出部14から第2所定量の水又は湯が供給された際に破砕部20から水又は湯が溢れる場合には、第1通気路17を介して第2所定量の水又は湯の一部が希釈槽30に流れる。なお、第2開閉弁16は、第2所定量の水又は湯と攪拌物Sとが希釈槽30に流入するときから閉じた状態である。
【0046】
次に、第2所定量の水又は湯と攪拌物Sとを希釈槽30で希釈して攪拌物Sを希釈物Tにする。このとき、第2開閉弁16は閉じた状態である。先ず、制御部によって希釈槽30のモータ30Aの駆動が開始される。これにより、希釈槽30のプロペラ(図示せず)が回転し、第2所定量の水又は湯と攪拌物Sとが攪拌され、攪拌物Sが希釈されて希釈物Tになる。これにより、攪拌物Sに含まれる分解剤のCa(カルシウム)やCl(塩素)の攪拌物Sにおける濃度を希釈物Tにすることによって小さくすることができ、下水管にCaの成分が付着して固まったり、Clによって下水管が腐食したりすることを抑えることができる。
【0047】
このとき、制御部によって、希釈槽30のモータ30Aに係る第3負荷を監視する。具体的には、このとき検出される第3負荷の大きさは、希釈槽30のモータ30Aの消費電流の大きさである。
【0048】
制御部はモータ30Aの第3負荷の大きさが、所定の時間が経過しても所定値以下でない(すなわち、希釈物Tのポリマーと分解剤との反応が十分進んでいない)と判別すると、分解剤を分解剤投入装置13から追加して投入するように分解剤投入装置13を制御する。このとき、希釈槽30のモータ30Aも継続して駆動しており、希釈槽30において希釈物Tのポリマーと分解剤との反応をさらに進めることができる。
こうして、希釈槽30では、攪拌物Sと第2所定量の水又は湯とが攪拌され、攪拌物Sが希釈されてポリマーと分解剤との反応が進んだ希釈物Tになる。
なお、希釈槽30に分解剤投入口を形成し、この分解剤投入口にも分解剤投入装置13から分解剤を投入することができる構成としてもよい。これにより、分解剤を追加して投入する際に、希釈槽30に分解剤を直接投入することができる。
【0049】
次に、希釈物Tから固形分を分離する。
先ず、制御部によって、モータ30Aの消費電流の大きさ(すなわち、第3負荷の大きさ)が所定値以下であると制御部が判別すると、閉じた状態の第2開閉弁16が制御部によって開いた状態にされる。すると、希釈物Tが希釈槽30から分離部40に向けて流れる。
汚物処理装置1は第1蓋60で投入口が閉鎖されている。このため、第1通気路17の負圧解消部17Aから第1通気路17内に空気を取り込むことによって希釈槽30内が負圧になることを抑え、これにより、希釈物Tを希釈槽30から分離部40に向けて良好に流すことができる。制御部によって分離部40のモータ40Cの駆動が開始される。このとき、制御部によって吸気部19Aの動作も開始される。
【0050】
排水路15に流入した希釈物Tは、分離部40に流入し、モータ40Cが駆動することによって、希釈物Tの固形分が固形分排出部40Dから排出される。固形分排出部40Dから排出された希釈物Tの固形分は、固形分排出部40Dの先端部に取り付けられた回収袋40Eに取り込まれる。このとき、第3通気路19及び吸気部19Aによって、固形分排出部40Dで生じる臭気が投入部10に導かれる。希釈物Tの水分はトラップ15Aを通過して下水管(図示せず)に流れる。
【0051】
分離部40は第2通気路18を介して第1通気路17に連通している。これにより、分離部40内が負圧になることが抑えられ、希釈物Tの水分を分離部40から下水管に向けて良好に流すことができる。トラップ15A内に残留する希釈物Tの水分は、トラップ15Aに接続されたゼット排水部(図示せず)からトラップ15Aに向けて水を勢いよく供給することによって下水管に確実に搬送される。
【0052】
希釈物Tからの固形分の分離が終了した後、操作部(図示せず)を操作することによって、破砕部20、ミキサ70、希釈槽30、及び分離部40の各モータ20G,70A,30A,40Cの駆動が停止される。
各モータ20G,70A,30A,40Cの駆動が停止した後、所定の時間が経過したとき、制御部は吐出部14の第2吐出部14Bから湯が供給されるように制御する。このとき、制御部によって、破砕部20、ミキサ70、希釈槽30、及び分離部40の各モータ20G,70A,30A,40Cを駆動させ、第1開閉弁12、及び第2開閉弁16開いた状態にする。これにより、汚物処理装置1は、汚物処理装置1内に汚物D、破砕物C、攪拌物S、及び希釈物T等が残らないように洗浄して、汚物処理装置1内にCaの成分が付着して固まったり、Clによって汚物処理装置1内が腐食したりすることを抑えることができる。
【0053】
このように、汚物処理装置1は、破砕部20で汚物Dを破砕して破砕物Cにすることができる。このとき、汚物D又は破砕物Cから立ち昇る臭気を脱臭装置80で脱臭することができる。
【0054】
したがって、本発明の汚物処理装置1は室内に臭気が立ち昇ることを抑えることができる。
【0055】
汚物処理装置1は破砕部20の下流側に連通し、破砕物Cを水で希釈して希釈物Tにする希釈槽30と、一端が第1接続口10D及び第2接続口10Eよりも下流側に接続され、他端が希釈槽30に接続された第1通気路17とを備える。このため、希釈槽30は、希釈物Tを下流側に排出する際に負圧になることを抑えると共に、希釈槽30に破砕物C等が流入する際に正圧になることを抑えることができ、破砕物C等の流入、及び希釈物Tの排出を良好にすることができる。
【0056】
汚物処理装置1は希釈槽30の下流側に接続され、希釈物Tから固形分を分離する分離部40と、一端が第1通気路17に接続され、他端が分離部40に接続された第2通気路18とを備える。このため、分離部40は、希釈物Tから固形分を取り除いた水分を下流側に排出する際に、負圧になることを抑えることができ、希釈物Tから固形分を取り除いた水分を良好に排出することができる。
【0057】
汚物処理装置1は投入部10を閉鎖する第1蓋60と、希釈槽30内及び分離部40内の負圧を解消する負圧解消部17Aとを備えている。このため、投入部10を第1蓋60で閉鎖することによって、希釈槽30や分離部40において、希釈物Tや希釈物Tから固形分を取り除いた水分を排出する際に負圧になり易くなるが、負圧解消部17Aによって、投入部10を第1蓋60で閉鎖しても希釈槽30や分離部40が負圧になり難くすることができる。
【0058】
汚物処理装置1の分離部40は、希釈物Tから分離した固形分を排出する固形分排出部40Dを有し、一端が投入部10に接続され、他端が固形分排出部40Dに接続された第3通気路19を備えている。このため、固形分排出部40Dで生じる臭気を投入部10に導き、投入部10を脱臭装置80で脱臭することができる。
【0059】
汚物処理装置1の脱臭装置80は、投入部10から吸気する吸気部80A、及び投入部10に送風する送風部80Cを有している。このため、投入部10において、吸気部80Aと送風部80Cとで投入部10内の空気を循環させることによって、良好に脱臭することができる。
【0060】
<実施例2>
実施例2の汚物処理装置2は、図2に示すように、脱臭装置180の形態が実施例1と相違する。実施例1と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
脱臭装置180には、例えば、公知の噴霧器等が用いられる。脱臭装置180は、臭気を消す消臭剤180Dを貯蔵する消臭剤噴霧部180F、及び芳香を生じる芳香剤180Eを貯蔵する芳香剤噴霧部180Gを有している。脱臭装置180は制御部に電気的に接続されている。消臭剤噴霧部180Fは貯蔵された消臭剤180Dを噴霧する噴霧口を第2接続口10Eに連通させるように配置される。芳香剤噴霧部180Gは貯蔵された芳香剤180Eを噴霧する噴霧口を第1接続口10Dに連通させるように配置されている。
脱臭装置180は、例えば、第1蓋60を起立状態にしたことに基づいて、制御部によって貯蔵された消臭剤180D及び芳香剤180Eを投入部10に向けて噴霧する。
【0062】
このように、汚物処理装置2は、破砕部20で汚物Dを破砕して破砕物Cにすることができる。このとき、汚物D又は破砕物Cから立ち昇る臭気を脱臭装置180で脱臭することができる。
【0063】
したがって、本発明の汚物処理装置2も室内に臭気が立ち昇ることを抑えることができる。
【0064】
汚物処理装置2の脱臭装置180は、臭気を消す消臭剤180D及び芳香を生じる芳香剤180Eを有している。このため、投入部10において、良好に臭気を抑えることができる。
【0065】
<実施例3>
実施例3の汚物処理装置3は、図3に示すように、投入部110の形態、及び第1蓋160の形態が実施例1、2と相違する。実施例1、2と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0066】
投入部110の上端部には、水封部110Aが設けられている。水封部110Aは、投入部110の内周面から内側に向けて環状をなして延びる底部110B、及び底部110Bの内側の端から上方に筒状に立ち上がる立壁部110Cを有している。水封部110Aは、投入部110の内周面、底部110B、及び立壁部110Cで囲まれた領域に水が貯留された貯留部Pが形成されている。
【0067】
第1蓋160は、平板状をなしており、中央部に把持部160Aが設けられている。第1蓋160は外周端から垂下して垂下壁160Bが設けられている。第1蓋160は垂下壁160Bの下側が貯留部Pに浸かるように水封部110Aに載置される。こうして第1蓋160によって投入部110を閉鎖することによって、汚物処理装置3は臭気が室内に立ち昇ることを確実に抑えることができる。
【0068】
このように、汚物処理装置3は、破砕部20で汚物Dを破砕して破砕物Cにすることができる。このとき、汚物D又は破砕物Cから立ち昇る臭気を脱臭装置180で脱臭することができる。
【0069】
したがって、本発明の汚物処理装置3も室内に臭気が立ち昇ることを抑えることができる。
【0070】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1~3に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、脱臭装置が送風部を有しているが、吸気部の他端面から、脱臭部を介在させて、第2接続口に連通する送風路を設けてもよい。さらに、この送風路に、第2接続口から吸気部に向けて空気が流れることを制限し、吸気部から第2接続口に向けて空気が流れることを制限しない制限部を設け、制限部と脱臭部との間に排気口を設けてもよい。
(2)実施例1では、脱臭装置が送風部を有しているが、実施例1の構成から送風部を除いた構成としてもよい。
(3)実施例1では、脱臭装置が送風部を有しているが、投入部に第3接続口を形成し、この第3接続口と送風部の一端面とを送風路で接続して連通させてもよい。
(4)実施例1では、第2通気路の一端が第1通気路に連通しているが、第2通気路の一端が投入部に接続され、他端が分離部に接続されていてもよい。
(5)実施例1では、第3通気路に吸気部を設けているが、吸気部に代えて、脱臭部を設けてもよく、吸気部と脱臭部とを併用してもよい。
(6)実施例1では、第1蓋を起立状態にしたことに基づいて、制御部によって脱臭装置の吸気部、及び送風部の動作が開始されるが、第1蓋の近傍に人感センサ等を設け、第1蓋を起立状態にする前から脱臭装置の吸気部、及び送風部の動作を開始してもよい。なお、この際、第1蓋を起立状態にした直後と、第1蓋を起立状態にした後、所定の時間が経過した後とで、吸気部、及び送風部の動作する勢いを変化させてもよい。
(7)実施例1では、脱臭部が吸気部の他端面を覆うように配置されているが、脱臭部を吸気部の一端面を覆うように配置してもよい。
(8)実施例3では、投入部に水封部を設けているが、第1蓋において、投入部の投入口が当接する部分にパッキンを設けてもよい。
(9)実施例1では、分解剤として、CaCl2を用いているが、CaやMg等の2価の金属塩を含んだ他の成分、例えば、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウムの水溶性のアルカリ土金属塩等を含んでいてもよい。
(10)実施例1では、破砕部としてディスポーザーを例示しているが、グラインダーポンプ等の他の装置を破砕部として用いてもよい。
(11)分解剤は、固体であってもよく、液体であってもよい。分解剤が液体である場合、分解剤を貯蔵する分解剤貯蔵タンクと、分解剤貯蔵タンクから分解剤を取り出して投入路に向けて送り出すポンプとを有する分解剤投入装置を用いる。
(12)実施例1では、吐出部が投入部に設けられているが、吐出部を希釈槽に設けてもよい。
(13)実施例1では、分離部を設けているが、下水管に希釈物をそのまま流してもよい場合、希釈物から固形分を分離する必要がないため、分離部を設けなくてもよい。
(14)実施例2では、脱臭装置が消臭剤と芳香剤とを有しているが、脱臭装置が消臭剤又は芳香剤のいずれか一方のみを有している構成でもよい。
(15)実施例1では、制御部は破砕部のモータの第1負荷の大きさに基づいて投入された汚物の量を推定しているが、投入部に投入された汚物の数を計数する計数部を設け、制御部は計数部からの信号に基づいて投入された汚物の量を推定してもよい。
(16)実施例1では、希釈槽の側面、及び分離部の側面に点検口が形成されているが、希釈槽の上面、及び分離部の上面に点検口を設けてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10,110…投入部
17…第1通気路
17A…負圧解消部
18…第2通気路
19…第3通気路
20…破砕部
30…希釈槽
40…分離部
40D…固形分排出部
60,160…第1蓋(蓋)
80,180…脱臭装置
80A…吸気部
80C…送風部
180D…消臭剤
180E…芳香剤
図1
図2
図3