IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カワサキモータース株式会社の特許一覧

特許7177658電子サービスマニュアルを表示する方法、システム及びプログラム
<>
  • 特許-電子サービスマニュアルを表示する方法、システム及びプログラム 図1
  • 特許-電子サービスマニュアルを表示する方法、システム及びプログラム 図2
  • 特許-電子サービスマニュアルを表示する方法、システム及びプログラム 図3
  • 特許-電子サービスマニュアルを表示する方法、システム及びプログラム 図4
  • 特許-電子サービスマニュアルを表示する方法、システム及びプログラム 図5
  • 特許-電子サービスマニュアルを表示する方法、システム及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】電子サービスマニュアルを表示する方法、システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20221116BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20221116BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221116BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20221116BHJP
【FI】
G06Q50/04
G09G5/36 510B
G09G5/00 510H
G09G5/00 510A
G06Q10/00 300
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018200643
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020067860
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】糸田 輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎也
(72)【発明者】
【氏名】名定 恵
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-104358(JP,A)
【文献】特開平10-040275(JP,A)
【文献】特開2000-339360(JP,A)
【文献】特開2003-281290(JP,A)
【文献】特開2017-010394(JP,A)
【文献】特開2009-217779(JP,A)
【文献】特開2011-028307(JP,A)
【文献】芳賀 百合,基礎からしっかり身につくAutoCAD LT入門,初版,2017年07月10日,p.20-21,28,69-70,72-74,350-357,ISBN : 978-4-8026-1105-3
【文献】斎藤 美佳,AutoCAD LT 2007/2008/2009ではじめる機械製図,第1版,2009年02月01日,p.168,176,ISBN : 978-4-7980-2169-0
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G09G 5/36 510B
G09G 5/00 510H
G09G 5/00 510A
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電装品及び前記複数の電装品同士を接続する複数の電線が搭載された乗物の電子サービスマニュアルの表示方法であって、
コンピュータによって、前記複数の電装品及び前記複数の電線を含む配線図を、前記複数の電装品のうち1つの電装品に対して前記複数の電線のうち2つ以上の電線が接続された状態でユーザの表示装置に表示させる第1工程と、
コンピュータによって、前記表示装置に表示された前記配線図において、前記ユーザが前記複数の電線の中から少なくとも1つの電線を選択するのに応答して前記選択された電線を強調表示させる第2工程と、
コンピュータによって、前記ユーザがロック指令部を選択するのに応答して、前記ユーザによる電線の追加選択を無効にし、前記ユーザの前記配線図における前記電線の強調表示を固定する第3工程と、を備える、乗物の電子サービスマニュアル表示方法。
【請求項2】
前記複数の電線は、プラス電線及びマイナス電線からなる複数の電線組を含み、
前記第1工程では、前記1つの電装品に対して前記複数の電線組が接続された状態で前記配線図を前記表示装置に表示させる、請求項1に記載の乗物の電子サービスマニュアル表示方法。
【請求項3】
前記第2工程では、前記ユーザが前記複数の電線の中から2つ以上の電線を選択したときに、前記ユーザの指定に従って又は自動的に、前記選択された2つ以上の電線を互いに異なる色で表示させる、請求項1又は2に記載の乗物の電子サービスマニュアル表示方法。
【請求項4】
前記第1工程では、前記配線図とともに全選択指令部を前記表示装置に表示させ、
前記表示方法は、前記ユーザが前記全選択指令部を選択するのに応答して、前記配線図における強調表示可能な全てのものを強調表示させる第4工程を更に備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の乗物の電子サービスマニュアル表示方法。
【請求項5】
前記第1工程では、前記配線図とともにロック指令部を前記表示装置に表示させ、
前記表示方法は、前記ユーザが前記ロック指令部を選択するのに応答して、前記ユーザによる追加選択を無効にし、前記ユーザの前記配線図における前記電線の強調表示を固定する第5工程を更に備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の乗物の電子サービスマニュアル表示方法。
【請求項6】
前記選択された電線の電圧情報を前記配線図とともに前記表示装置に表示させる第6工程を備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の乗物の電子サービスマニュアル表示方法。
【請求項7】
コンピュータによって、前記ユーザによる電線の追加選択が無効にされる状態において、ユーザ操作に応じて、前記配線図の拡大表示、縮小表示、全体表示又はスクロール表示を行う第7工程を更に備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の乗物の電子サービスマニュアル表示方法。
【請求項8】
複数の電装品及び前記複数の電装品を互いに接続する複数の電線が搭載された乗物の電子サービスマニュアルの表示システムであって、
前記複数の電装品及び前記複数の電線を含む配線図を、前記複数の電装品のうち1つの電装品に対して前記複数の電線のうち2つ以上の電線が接続された状態でユーザの表示装置に表示させるコンピュータシステムを備え、
前記コンピュータシステムは、前記表示装置に表示された前記配線図において、前記ユーザが前記複数の電線の中から少なくとも1つの電線を選択するのに応答して前記選択された電線を強調表示させ、かつ、前記ユーザがロック指令部を選択するのに応答して、前記ユーザによる電線の追加選択を無効にし、前記ユーザの前記配線図における前記電線の強調表示を固定する、乗物の電子サービスマニュアル表示システム。
【請求項9】
複数の電装品及び前記複数の電装品を互いに接続する複数の電線が搭載された乗物の電子サービスマニュアルの表示システムであって、
前記複数の電装品及び前記複数の電線を含む配線図を、前記複数の電装品のうち1つの電装品に対して前記複数の電線のうち2つ以上の電線が接続された状態でユーザの表示装置に表示させるコンピュータシステムを備え、
前記コンピュータシステムは、前記表示装置に表示された前記配線図において、前記ユーザが前記複数の電線の中から少なくとも1つの電線を選択するのに応答して前記選択された電線を強調表示させ、
前記コンピュータシステムは、前記表示装置を有するクライアント装置と、前記クライアント装置に通信ネットワークを介して接続されたサーバ装置と、を含み、
前記サーバ装置は、前記ユーザが前記複数の電線の中から前記電線を選択した情報を蓄積する記憶部と、前記記憶部に蓄積された情報を集計する演算部と、を有する、乗物の電子サービスマニュアル表示システム。
【請求項10】
乗物の電子サービスマニュアルの表示システムであって、
複数の電装品及び複数の電線を含む配線図をユーザの表示装置に表示させるコンピュータシステムを備え、
前記コンピュータシステムは、前記表示装置に表示された前記配線図において、前記ユーザが前記複数の電線の中から少なくとも1つの電線を選択する操作を検出し、
前記コンピュータシステムは、前記表示装置を有するクライアント装置と、前記クライアント装置に通信ネットワークを介して接続されたサーバ装置と、を含み、
前記サーバ装置は、前記ユーザが前記複数の電線の中から前記電線を選択する操作情報を蓄積する記憶部と、前記記憶部に蓄積された情報を集計する演算部と、を有する、乗物の電子サービスマニュアル表示システム。
【請求項11】
複数の電装品及び前記複数の電装品同士を接続する複数の電線が搭載された乗物の電子サービスマニュアルの表示プログラムであって、
前記複数の電装品及び前記複数の電線を含む配線図を、前記複数の電装品のうち1つの電装品に対して前記複数の電線のうち2つ以上の電線が接続された状態でユーザの表示装置に表示させる第1工程と、
前記表示装置に表示された前記配線図において、前記ユーザが前記複数の電線の中から少なくとも1つの電線を選択するのに応答して前記選択された電線を強調表示させる第2工程と、
前記ユーザがロック指令部を選択するのに応答して、前記ユーザによる電線の追加選択を無効にし、前記ユーザの前記配線図における前記電線の強調表示を固定する第3工程と、をコンピュータに実行させる、乗物の電子サービスマニュアル表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子サービスマニュアルを表示する方法、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物のサービスマニュアルを電子データ化して、ユーザ(例えば、ディーラ等のメンテナンス作業者)が表示装置上で閲覧できるようにすることが知られている。例えば、特許文献1には、ユーザの利便性を高めるために、ユーザが表示装置に表示された配線図上の電装品を選択した後に所定ボタンを操作すると、前記選択された電装品から延びる電線が強調表示される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4597203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された技術によれば、1つの電装品に2つ以上の電線が接続された状態では、ユーザが選択した電装品から延びる全ての電線が強調表示されることになる。そうすると、複雑な配線図において1本の配線経路を辿ってメンテナンス作業を行いたい場合にも、狙いとする配線経路以外の電線が強調表示されてしまい、メンテナンス作業性を十分に向上させることができない。
【0005】
そこで本発明は、1本の配線経路を辿って故障原因を探るメンテナンス作業における作業性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る乗物の電子サービスマニュアル表示方法は、複数の電装品及び前記複数の電装品同士を接続する複数の電線が搭載された乗物の電子サービスマニュアルの表示方法であって、前記複数の電装品及び前記複数の電線を含む配線図を、前記複数の電装品のうち1つの電装品に対して前記複数の電線のうち2つ以上の電線が接続された状態でユーザの表示装置に表示させる第1工程と、前記表示装置に表示された前記配線図において、前記ユーザが前記複数の電線の中から少なくとも1つの電線を選択するのに応答して前記選択された電線を強調表示させる第2工程と、を備える。
【0007】
前記方法によれば、表示装置に表示された配線図において、ユーザが電装品を選択せずとも電線を直接選択すればよいので、ユーザが知りたい電線のみを強調表示できる。即ち、ユーザは、1つの電装品に接続された2つ以上の電線のうち、強調表示させる電線と強調表示させない電線とを決めることができる。よって、ユーザが望まない電線を強調表示させずに済み、1本の配線経路を辿って故障原因を探るメンテナンス作業における作業性を高めることができる。
【0008】
前記複数の電線は、プラス電線及びマイナス電線からなる複数の電線組を含み、前記第1工程では、前記1つの電装品に対して前記複数の電線組が接続された状態で前記配線図を前記表示装置に表示させてもよい。
【0009】
前記方法によれば、1つの電装品に対して複数のプラス電線が接続されていても、それらプラス電線のうち1つのみを強調表示させることができる。よって、主にプラス電線を辿って故障原因を探るメンテナンス作業における作業性を高めることができる。
【0010】
前記第2工程では、前記ユーザが前記複数の電線の中から2つ以上の電線を選択したときに、前記ユーザの指定に従って又は自動的に、前記選択された2つ以上の電線を互いに異なる色で表示させてもよい。
【0011】
前記方法によれば、複数の電線を強調表示した場合に、それら電線同士を簡単に区別して視認することができ、メンテナンス作業性が向上する。
【0012】
前記第2工程では、前記ユーザが前記配線図の前記電線を直接的にクリック又はタッチして選択するのに応答して前記選択された電線を強調表示させてもよい。
【0013】
前記方法によれば、ユーザが強調表示させる電線を簡単かつ迅速に選択でき、メンテナンス作業性が向上する。
【0014】
前記表示装置に表示された前記配線図において、前記ユーザが前記強調表示された電線を再選択するのに応答して前記再選択された電線を通常表示に戻す第3工程を更に備えてもよい。
【0015】
前記方法によれば、ユーザが電線を誤選択した場合にも容易に誤選択を解消することができ、メンテナンス作業性が向上する。
【0016】
前記第1工程では、前記配線図とともに全選択指令部を前記表示装置に表示させ、前記表示方法は、前記ユーザが前記全選択指令部を選択するのに応答して、前記配線図における強調表示可能な全てのものを強調表示させる第4工程を更に備えてもよい。
【0017】
前記方法によれば、配線図における強調表示可能な全てのものを強調表示させることで、配線図において強調表示のために選択可能なものを全体的に把握することができる。よって、その後の選択作業を円滑に行うことができ、メンテナンス作業性が向上する。
【0018】
前記第1工程では、前記配線図とともにロック指令部を前記表示装置に表示させ、前記表示方法は、前記ユーザが前記ロック指令部を選択するのに応答して、前記ユーザによる追加選択を無効にし、前記ユーザの前記配線図における前記電線の強調表示を固定する第5工程を更に備えてもよい。
【0019】
前記方法によれば、ユーザが表示装置の表示画面を拡大やスクロール等のために操作しても、当該操作が強調表示のための操作と誤認されて強調表示状態が不意に変化してしまうのを防止でき、メンテナンス作業性が向上する。
【0020】
前記選択された電線の電圧情報を前記配線図とともに前記表示装置に表示させる第6工程を備えてもよい。
【0021】
前記方法によれば、ユーザは強調表示された電線の電圧を即座に把握できるので、メンテナンス作業性が向上する。
【0022】
本発明の一態様に係る乗物の電子サービスマニュアル表示システムは、複数の電装品及び前記複数の電装品を互いに接続する複数の電線が搭載された乗物の電子サービスマニュアルの表示システムであって、前記複数の電装品及び前記複数の電線を含む配線図を、前記複数の電装品のうち1つの電装品に対して前記複数の電線のうち2つ以上の電線が接続された状態でユーザの表示装置に表示させるコンピュータシステムを備え、前記コンピュータシステムは、前記表示装置に表示された前記配線図において、前記ユーザが前記複数の電線の中から少なくとも1つの電線を選択するのに応答して前記選択された電線を強調表示させる。
【0023】
前記構成によれば、前述したのと同様に、ユーザが望まない電線を強調表示させずに済み、1本の配線経路を辿って故障原因を探るメンテナンス作業における作業性を高めることができる。
【0024】
前記コンピュータシステムは、前記表示装置に接続されたクライアント装置と、前記クライアント装置に通信ネットワークを介して接続されたサーバ装置と、を含み、前記サーバ装置は、前記ユーザが前記複数の電線の中から前記電線を選択した情報を蓄積する記憶部と、前記記憶部に蓄積された情報を集計する演算部と、を有する構成としてもよい。
【0025】
前記構成によれば、複数のユーザのメンテナンス情報をサーバ側で集約的に把握することができ、将来のメンテナンス作業や製品設計に役立つ情報を提供することが可能になる。
【0026】
本発明の一態様に係る乗物の電子サービスマニュアル表示プログラムは、複数の電装品及び前記複数の電装品同士を接続する複数の電線が搭載された乗物の電子サービスマニュアルの表示プログラムであって、前記複数の電装品及び前記複数の電線を含む配線図を、前記複数の電装品のうち1つの電装品に対して前記複数の電線のうち2つ以上の電線が接続された状態でユーザの表示装置に表示させる第1工程と、前記表示装置に表示された前記配線図において、前記ユーザが前記複数の電線の中から少なくとも1つの電線を選択するのに応答して前記選択された電線を強調表示させる第2工程と、をコンピュータに実行させる。
【0027】
前記構成によれば、前述したのと同様に、ユーザが望まない電線を強調表示させずに済み、1本の配線経路を辿って故障原因を探るメンテナンス作業における作業性を高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、1本の配線経路を辿って故障原因を探るメンテナンス作業における作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係る電子サービスマニュアル表示システムの概要図である。
図2図1に示す電子サービスマニュアル表示システムのブロック図である。
図3図2に示す電子サービスマニュアル表示システムにおけるクライアント装置の表示装置の表示画面の図面である。
図4図3に示す表示画面に対して全選択指令を行ったときの図面である。
図5図3に示す表示画面に対して1つの電線を選択したときの図面である。
図6図5に示す表示画面に対して別の電線を追加的に選択したときの図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0031】
図1は、実施形態に係る電子サービスマニュアル表示システム1の概要図である。図2は、図1に示す電子サービスマニュアル表示システム1のブロック図である。電子サービスマニュアル表示システム1は、複数の電装品と、当該電装品同士を接続する複数の電線とが搭載された乗物(例えば、自動二輪車、自動三輪車、自動四輪車、PWC等)のサービスマニュアルを電子的に提供するためのものである。
【0032】
図1に示すように、電子サービスマニュアル表示システム1は、通信ネットワークN(例えば、インターネット)を介在させたコンピュータシステム2を備える。コンピュータシステム2は、ユーザ(例えば、乗物ディーラのメンテナンス作業者等)が使用するクライアント装置3と、クライアント装置に通信ネットワークNを介して接続されたサーバ装置4とを備える。クライアント装置3は、例えば、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン等である。
【0033】
図2に示すように、クライアント装置3は、CPU11、メモリ12、通信インターフェース13、入力装置14、表示装置15、及び、ブラウザプログラム16を備える。CPU11は、メモリ12を使用して所定のプログラムに従って演算処理を行う。通信インターフェース13は、通信ネットワークNに接続するためのインターフェースであり、例えば、無線通信機や通信コネクタ等である。入力装置14は、ユーザが操作して入力を行うためのデバイスであり、例えば、マウス、タッチパネル等である。表示装置15は、画面を出力表示するデバイスであり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。
【0034】
ブラウザプログラム16は、SVG(Scalable Vector Graphics)で作成された配線図を含む電子サービスマニュアルをユーザ閲覧のために表示装置15に表示させるプログラムである。ブラウザプログラム16は、クライアント装置3の記憶装置に保存され、CPU11がブラウザプログラム16に従って演算することで、表示装置15に表示画面(ブラウザ)が表示される。ブラウザプログラム16には、例えば、Microsoft社のInternet Explorer(登録商標)が用いられ、SVG用にAdobe社のプラグインプログラムであるSVG Viewer(登録商標)が追加されてなる。
【0035】
サーバ装置4は、CPU21、メモリ22、通信インターフェース23、マニュアル表示プログラム24、操作履歴記憶部25、及び、集計プログラム26を備える。CPU21は、メモリ22を使用して所定のプログラムに従って演算処理を行う。通信インターフェース23は、通信ネットワークNに接続するためのインターフェースであり、例えば、無線通信機や通信コネクタ等である。
【0036】
マニュアル表示プログラム24は、クライアント装置3からの要求に応答して通信ネットワークNを介してクライアント装置3にダウンロードされる。マニュアル表示プログラム24は、ベクトル画像記述言語(例えば、SVG)で作成される。SVGは、XMLベースの二次元ベクトル画像の記述言語である。SVGで作成した画像ファイルは、他のXML文書に埋め込んで使用できる。後述する配線図31の画像はSVGで作成され、XHTMLで記述された電子サービスマニュアルに埋め込まれる。
【0037】
操作履歴記憶部25は、クライアント装置3にダウンロードされたマニュアル表示プログラム24をユーザがブラウザプログラム16を介して操作した内容を操作履歴として通信ネットワークNを介して受信して記憶する。サーバ装置4は複数のユーザのクライアント装置3に接続されているため、操作履歴記憶部25には複数のユーザの操作履歴が蓄積される。集計プログラム26は、操作履歴記憶部25に蓄積された複数のユーザの操作履歴を集計するためのものである。CPU21(演算部)は、集計プログラム26に従って操作履歴記憶部25に蓄積された情報を集計し、指定された規則に従って集計結果を出力する。
【0038】
図3は、図2に示す電子サービスマニュアル表示システム1におけるクライアント装置3の表示装置15の表示画面30の図面である。図3に示すように、表示画面30は、例えばブラウザウインドウの表示領域である。表示画面30は、配線図31及びメニューバー32を有する。配線図31は、乗物に搭載された多数の電装品41(例えば、ECU、リレーボックス、ヒューズボックス、センサ、ランプ、アクチュエータ等)と、それら電装品41同士を接続する多数の電線42とを表示した配線図である。
【0039】
配線図31は、1つの電装品41に対して2つ以上の電線42が接続された状態で表示される。当該2つ以上の電線42は、1つの電線組を構成するプラス電線及びマイナス電線からなる2つの電線を含むものであってもよい。当該2つ以上の電線42は、複数のプラス電線及び少なくとも1つのマイナス電線を含むものであってもよい。当該2つ以上の電線42は、複数の電線組を構成する複数のプラス電線及び複数のマイナス電線からなる電線群を含むものであってもよい。
【0040】
メニューバー32には、ユーザが配線図31を操作するためにコマンドを入力する複数のアイコンが表示されている。具体的には、メニューバー32は、拡大指令部51、縮小指令部52、全体表示指令部53、リセット指令部54、単一選択状態部55、複数選択状態部56、ロック指令部57、色選択指令部58、及び、全選択指令部59を有する。
【0041】
拡大指令部51は、配線図31を拡大表示させるためのアイコンである。マニュアル表示プログラム24は、ユーザが入力装置14を用いて拡大指令部51をクリック又はタッチするのに応答して、配線図31を拡大表示させる。縮小指令部52は、配線図31を縮小表示させるためのアイコンである。マニュアル表示プログラム24は、ユーザが入力装置14を用いて縮小指令部52をクリック又はタッチするのに応答して、配線図31を縮小表示させる。
【0042】
全体表示指令部53は、配線図31における電装品41及び電線42の全てが表示領域内に収まるように配線図31の全体を表示させるためのアイコンである。マニュアル表示プログラム24は、ユーザが入力装置14を用いて全体表示指令部53をクリック又はタッチするのに応答して、配線図31の全体が表示されるように配線図31の表示サイズを調整する。リセット指令部54は、後述する強調表示を解除するためのアイコンである。マニュアル表示プログラム24は、ユーザが入力装置14を用いてリセット指令部54をクリック又はタッチするのに応答して、全ての強調表示を通常表示に戻す。
【0043】
単一選択状態部55は、後述する強調表示を1つのみに限定するためのアイコンである。マニュアル表示プログラム24は、ユーザが入力装置14を用いて単一選択状態部55をクリック又はタッチするのに応答して、ユーザが直近に選択した電線42のみを強調表示させる。即ち、1つの電線42を選択して強調表示させた後に別の電線42を選択すると、前に選択された電線42の強調表示が通常表示に戻るとともに後に選択された電線42が強調表示される。
【0044】
複数選択状態部56は、複数の強調表示を許可するためのアイコンである。マニュアル表示プログラム24は、ユーザが入力装置14を用いて複数選択状態部56をクリック又はタッチするのに応答して、ユーザが選択した複数の電線42の全てを強調表示させる。即ち、1つの電線42を選択して強調表示させた後に別の電線42を選択すると、前に選択された電線42を強調表示させたまま後に選択された電線42も強調表示される。
【0045】
ロック指令部57は、ユーザによる電線42の選択操作を無効にし、配線図31における電線42の強調表示を固定するためのアイコンである。マニュアル表示プログラム24は、ユーザが入力装置14を用いてロック指令部57をクリック又はタッチするのに応答して、ユーザが入力装置14を用いて電線42を追加選択しても強調表示が変化しないように強調表示状態を固定する。
【0046】
色選択指令部58は、ユーザにより電線42の強調表示に用いる表示色を選択するためのアイコンである。マニュアル表示プログラム24は、ユーザが入力装置14を用いて色選択指令部58をクリック又はタッチするのに応答して、次に選択される電線42の強調表示を当該選択された色により表示させる。
【0047】
全選択指令部59は、配線図31において強調表示可能な全てのものを強調表示させるためのアイコンである。マニュアル表示プログラム24は、ユーザが入力装置14を用いて全選択指令部59をクリック又はタッチするのに応答して、配線図31において強調表示可能な全てのものを強調表示させ、強調表示のために選択可能な部分と選択不可能な部分とが識別可能に表示させる。
【0048】
次に、図4乃至6を参照しながらユーザのメンテナンス作業に沿って表示画面30の変化を説明する。図4に示すように、先ずユーザがマウスポインタPを全選択指令部59に合わせてクリックすると、マニュアル表示プログラム24は、それに応答して全ての電線42が強調表示させる。本実施形態では、電装品41は強調表示不可能に設定されており、電線42のみが強調表示可能である。
【0049】
強調表示は、電線42の太さを通常表示よりも太く表示すること、電線42の表示色を通常表示の表示色とは異ならせること、又は、それら両方である。本実施形態では、電線42は、通常表示において黒色に表示され、強調表示において色選択指令部58で選択された色(黒とは異なる色)に表示される。
【0050】
このように配線図31における強調表示可能な全てのものを強調表示させることで、ユーザは配線図31において強調表示のために選択可能なものを全体的に把握することができる。よって、その後のユーザによる強調表示の選択作業を円滑に行うことができる。
【0051】
次いで、ユーザがリセット指令部54をクリックするのに応答して、マニュアル表示プログラム24は、全ての強調表示を解除して図3の通常表示に戻す。そして、図5に示すように、不具合の生じた電装品41に接続された複数の電線42のうちユーザが調べたい1つの電線42aに対し、ユーザはマウスポインタPを合わせてクリックすることで、電線42aを直接的に選択する。マニュアル表示プログラム24は、電線42aが選択されるのに応答して、その選択された電線42aのみを強調表示させる。強調表示の態様は、前述した通りである。強調表示の対象となる電線42aから枝線が分岐している場合には、その枝線も含めて強調表示させる。
【0052】
また、マニュアル表示プログラム24は、ユーザ選択されて強調表示された電線42aの電圧情報43を、配線図31において当該電線42aに隣接して表示させてもよい。こうすれば、ユーザは強調表示された電線42aの電圧を即座に把握できる。
【0053】
そして、当該強調表示を解除したい場合には、ユーザは強調表示された電線42aにマウスポインタPを合わせてクリックすることで電線42aを再選択する。そうすれば、マニュアル表示プログラム24は、電線42aの再選択に応答して、その再選択された電線42aを強調表示から通常表示に戻す。これにより、ユーザが電線42aを誤選択した場合にも容易に誤選択を解消することができる。
【0054】
また、ユーザが強調表示された電線42aを辿って実際の乗物の故障原因を探った結果、また別の電線42bを強調表示させたい場合が生じ得る。その場合、ユーザは複数選択状態部56にマウスポインタPを合わせてクリックし、マニュアル表示プログラム24をユーザが複数の電線42を同時に選択して強調表示できるモードにする。そして、ユーザは電線42aとは別の電線42bにマウスポインタPを合わせてクリックすることで電線42bを追加選択する。そうすれば、マニュアル表示プログラム24は、電線42bの追加選択に応答して電線42bを強調表示する。なお、マニュアル表示プログラム24は、追加選択された電線42bの電圧情報44も、配線図31において当該電線42bに隣接して表示させてもよい。
【0055】
後の電線42bの強調表示と先の電線42aの強調表示とは、互いの表示態様を同一にしてもよいが、本実施形態では互いの表示態様を異ならしている。例えば、ユーザが色選択指令部58を操作して第1色を選択した状態で先の電線42aを選択することで、電線42aが第1色で強調表示され、その後にユーザが色選択指令部58を操作して第2色(即ち、第1色とは異なる色)を選択した状態で後の電線42bを選択することで、電線42bが第2色で強調表示される。
【0056】
即ち、ユーザの指定に従って複数の電線42a,42bを互いに異なる色で強調表示させることで、それら電線42a,42b同士を簡単に区別して視認できる。なお、本実施形態では、色選択指令部58を用いたユーザの指定に従って電線42a,42bの表示色を決定したが、マニュアル表示プログラム24が所定の規則に従って電線42a,42bの互いに異なる表示色を自動的に決定してもよい。
【0057】
また、配線図31の表示状態を現状のまま維持したい場合には、ユーザはロック指令部57にマウスポインタPを合わせてクリックすることでロック指令部57を選択する。そうすると、ロック指令部57の選択に応答して、マニュアル表示プログラム24は、ユーザによる電線42の追加選択を無効にし、ユーザの配線図31における電線42の強調表示を固定する。これにより、ユーザが表示装置15の表示画面30を拡大やスクロール等のために操作しても、当該操作が強調表示のための操作と誤認されて強調表示状態が不意に変化してしまうことが防止される。
【0058】
以上に説明した構成によれば、表示装置15に表示された表示画面30の配線図31において、ユーザが電装品41を選択せずとも電線42を直接選択すればよいので、ユーザが知りたい電線42a,42bのみを強調表示できる。即ち、1つの電装品41に2つ以上の電線42が接続された配線図31において、ユーザは、強調表示させる電線42a,42bと強調表示させない電線とを決めることができる。よって、ユーザが望まない電線を強調表示させずに済み、1本の配線経路を辿って故障原因を探るメンテナンス作業における作業性を高めることができる。また、1つの電装品41に対して複数のプラス電線が接続されていても、それらプラス電線のうち1つのみを強調表示させることができる。よって、主にプラス電線を辿って故障原因を探るメンテナンス作業における作業性を高めることができる。
【0059】
また、クライアント装置3において動作するブラウザプログラム16は、ユーザが複数の電線42の中から電線42a,42bを選択した操作履歴情報をサーバ装置4に送信する。サーバ装置4は、その受信した操作履歴情報を操作履歴記憶部25に保存する。サーバ装置4のCPU21は、集計プログラム26に従って操作履歴記憶部25に蓄積された情報を集計し、指定された規則に従って集計結果を出力する。
【0060】
これにより、複数のユーザのメンテナンス情報をサーバ側で集約的に把握することができ、将来のメンテナンス作業や製品設計に役立つ情報を提供することが可能になる。例えば、集計プログラム26は、メンテナンス作業において各ユーザが配線図31上の各電線42を選択する選択数が多い順(又は少ない順に)に出力させてもよい。
【0061】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。例えば、電子サービスマニュアル表示システム1のコンピュータシステム2は、クライアント装置3及びサーバ装置4を備えたものに限られず、通信ネットワークを介在させない単一のコンピュータにより構成されてもよい。また、表示装置15にタッチパネルが用いられた場合には、ユーザが所望の電線42a,42bにマウスポインタPを合わせてクリックすることで電線42a,42bを直接的に選択する操作に代えて、ユーザが所望の電線42を指でタッチする操作により強調表示する電線42a,42bを直接的に選択してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 電子サービスマニュアル表示システム
2 コンピュータシステム
3 クライアント装置
4 サーバ装置
15 表示装置
21 CPU(演算部)
24 マニュアル表示プログラム
25 操作履歴記憶部(記憶部)
31 配線図
41 電装品
42,42a,42b 電線
43,44 電圧情報
57 ロック指令部
59 全選択指令部
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6