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  • 特許-インクジェット記録装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221116BHJP
   B41J 19/18 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 451
B41J19/18 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018225730
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020082695
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】達川 淳平
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-219437(JP,A)
【文献】特開2004-188701(JP,A)
【文献】特開2001-191604(JP,A)
【文献】特開2013-123826(JP,A)
【文献】特開2009-196253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送機と、
前記搬送機によって搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、
前記キャリッジを前記記録媒体が搬送される搬送方向に沿った副走査方向に直交する主走査方向に往復移動させる移動機と、
前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出器と、を備え、
前記検出器は、
前記キャリッジの移動範囲に前記主走査方向に沿って設けられるリニアスケールと、
前記リニアスケールと前記副走査方向に対向し、前記リニアスケールから前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出ヘッドと、
前記検出ヘッドを収容する収容室を備える収容ケースと、を備え、
前記検出ヘッド及び前記収容ケースは、前記キャリッジと共に前記主走査方向に往復移動し、
前記収容ケースは、
エア供給装置に接続され前記エア供給装置からのエアが流れるエア流路が接続される接続口と、
前記接続口から流入するエアを前記リニアスケールに向けて吹き出す吹出口と、を備え
前記収容ケースは、前記吹出口として、
前記検出ヘッドの前記主走査方向の第一側に設けられる第一吹出口と、
前記検出ヘッドの前記主走査方向の第二側に設けられる第二吹出口と、を備え、
前記収容室は、前記リニアスケールと対向する前記副走査方向の第三側が開口した空間であり、
前記検出ヘッドは、前記検出ヘッドの前記主走査方向の第一側に第一隙間があり且つ前記検出ヘッドの前記主走査方向の第二側に第二隙間がある状態で、前記収容室の開口から露出し、
前記第一吹出口は、前記第一隙間に設けられ、
前記第二吹出口は、前記第二隙間に設けられる、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記収容ケースは
前記収容室の前記主走査方向の第一側に第一凹部と、
前記収容室の前記主走査方向の第二側に第二凹部と、を備える、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記収容ケースでは、
前記主走査方向の第一側の第一外面は、前記副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、前記主走査方向の第一側から第二側に向かう状態で設けられ、
前記主走査方向の第二側の第二外面は、前記副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、前記主走査方向の第二側から第一側に向かう状態で設けられる、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
記録媒体を搬送する搬送機と、
前記搬送機によって搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、
前記キャリッジを前記記録媒体が搬送される搬送方向に沿った副走査方向に直交する主走査方向に往復移動させる移動機と、
前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出器と、を備え、
前記検出器は、
前記キャリッジの移動範囲に前記主走査方向に沿って設けられるリニアスケールと、
前記リニアスケールと前記副走査方向に対向し、前記リニアスケールから前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出ヘッドと、
前記検出ヘッドを収容する収容室を備える収容ケースと、を備え、
前記検出ヘッド及び前記収容ケースは、前記キャリッジと共に前記主走査方向に往復移動し、
前記収容ケースは、
エア供給装置に接続され前記エア供給装置からのエアが流れるエア流路が接続される接続口と、
前記接続口から流入するエアを前記リニアスケールに向けて吹き出す吹出口と、を備え、
前記収容ケースは、
前記収容室の前記主走査方向の第一側に第一凹部と、
前記収容室の前記主走査方向の第二側に第二凹部と、を備える、インクジェット記録装置。
【請求項5】
記録媒体を搬送する搬送機と、
前記搬送機によって搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、
前記キャリッジを前記記録媒体が搬送される搬送方向に沿った副走査方向に直交する主走査方向に往復移動させる移動機と、
前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出器と、を備え、
前記検出器は、
前記キャリッジの移動範囲に前記主走査方向に沿って設けられるリニアスケールと、
前記リニアスケールと前記副走査方向に対向し、前記リニアスケールから前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出ヘッドと、
前記検出ヘッドを収容する収容室を備える収容ケースと、を備え、
前記検出ヘッド及び前記収容ケースは、前記キャリッジと共に前記主走査方向に往復移動し、
前記収容ケースは、
エア供給装置に接続され前記エア供給装置からのエアが流れるエア流路が接続される接続口と、
前記接続口から流入するエアを前記リニアスケールに向けて吹き出す吹出口と、を備え、
前記収容ケースでは、
前記主走査方向の第一側の第一外面は、前記副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、前記主走査方向の第一側から第二側に向かう状態で設けられ、
前記主走査方向の第二側の第二外面は、前記副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、前記主走査方向の第二側から第一側に向かう状態で設けられる、インクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、記録装置が開示されている。記録装置は、キャリッジと、エンコーダスケールと、エンコーダセンサを備える。キャリッジには、記録ヘッドが装着される。記録ヘッドは、記録媒体に記録を行う。エンコーダスケールは、キャリッジの走査方向に沿って設けられる。エンコーダセンサは、エンコーダスケールに対向して設けられる。エンコーダセンサは、エンコーダスケールに形成された所定のパターンを検出する。記録装置は、エンコーダセンサによるパターンの検出結果に基づいて記録を行う。記録装置は、清掃手段を有する。清掃手段は、エンコーダスケール又はエンコーダセンサに対向及び当接する。清掃手段は、エンコーダスケール又はエンコーダセンサの表面に付着した付着物を清掃する。
【0003】
特許文献2には、インクジェット式記録装置が開示されている。インクジェット式記録装置では、スケールがキャリッジの主走査方向に沿って配置され、光センサがキャリッジに配置される。光センサは、スケールとの相対移動量を検出する。インクジェット式記録装置では、清掃手段がキャリッジ側に配置される。清掃手段は、スケールと光センサの相対移動に伴って、スケールのインク汚れを清掃する。清掃手段は、多孔質素材により構成される。清掃手段では、多孔質素材は、帯状のスケールの両面からスケールを挟持するようにして摺接する。インクジェット式記録装置は、2個の清掃手段を備える。光センサは、2個の清掃手段の間に、スケールを挟むように配置される。光センサは、光投射素子及び受光素子からなる。
【0004】
特許文献3には、プリンタが開示されている。プリンタは、インクジェットプリンタである。プリンタは、印刷ヘッドと、搬送ローラ部と、モータと、ロータリースケールを備える。プリンタは、更に、羽根部材を備える。羽根部材は、モータの回転に伴って回転する。羽根部材は、次の方向に対流を発生させる。前述の方向は、インクミストがロータリースケールに付着することを防止する方向である。インクミストは、印刷ヘッドからのインク滴の吐出によって発生する。
【0005】
特許文献4には、液体吐出装置が開示されている。液体吐出装置は、インクジェットプリンタである。液体吐出装置は、リニアエンコーダを備える。リニアエンコーダは、リニアスケール及びフォトセンサを有する。リニアスケールは、主走査方向と平行に支持フレームに取り付けられる。フォトセンサは、発光部及び受光部を備え、キャリッジに固定される。リニアスケールの両面には、清掃部材がそれぞれ固定される。フォトセンサがリニアスケールの長手方向に移動すると、清掃部材は、発光部の発光面及び受光部の受光面に接し、これらを清掃する。フォトセンサは、直方体形状のハウジングを備える。フォトセンサには、凹部が形成される。凹部で対向する2つの面には、発光部及び受光部がそれぞれ設けられる。フォトセンサは、発光部の発光面及び受光部の受光面によってリニアスケールを挟み込むように、キャリッジに固定される。
【0006】
特許文献5には、インクジェット装置が開示されている。インクジェット装置は、エンコーダスケールと、エンコーダセンサを有する。エンコーダスケールは、キャリッジの走査範囲に延びる。エンコーダセンサは、キャリッジに接続される。エンコーダセンサは、エンコーダスケールを読み取り、キャリッジの位置を検出する。インクジェット装置では、エンコーダスケール及びエンコーダセンサは、覆い部材によって覆われる。
【0007】
特許文献6には、インクジェット記録装置が開示されている。インクジェット記録装置は、記録ヘッドと、キャリッジと、リニアエンコーダスケールと、エンコーダセンサを備える。記録ヘッドは、記録媒体に対して記録を行う。キャリッジには、記録ヘッドが搭載される。キャリッジは、走査方向に往復移動する。リニアエンコーダスケールは、キャリッジの移動方向に張られる。エンコーダセンサは、スケールを基準としてキャリッジの移動量を検出する。キャリッジには、キャリッジの走査方向の何れかの面にフィルタ付きの開口部が設けられる。キャリッジ内には、エンコーダセンサが配置される。フィルタ付きの開口部は、スケール通過口とキャリッジ内で連通する。スケール通過口は、リニアエンコーダスケールをエンコーダセンサ内を通過させるため、キャリッジに設けられる。フィルタ付きの開口部では、流抵抗がスケール通過口に対して十分に小さくされる。この他、特許文献6には、次の構成が開示されている。即ち、この構成では、フィルタ付きの開口部は、キャリッジの外面に設けられる。キャリッジは、ファンを有する。ファンは、キャリッジ内部の空気を循環させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2000-141802号公報
【文献】特開2002-361901号公報
【文献】特開2006-255995号公報
【文献】特開2007-160715号公報
【文献】特開2012-250499号公報
【文献】特開2005-219437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
インクジェット記録装置として、シリアル型の装置が知られている。シリアル型のインクジェット記録装置では、画像の記録時、キャリッジが主走査方向に往復移動する。キャリッジには、インクジェットヘッドが搭載される。シリアル型のインクジェット記録装置には、検出器が設けられ、この検出器によってキャリッジの主走査方向の位置が検出される。検出器は、リニアスケールと、検出ヘッドを備える。インクジェットヘッドは、検出器での検出値に従い、主走査方向への移動途中の所定のタイミングでインクを吐出する。これに伴い、インクミストが発生する。インクミストは、検出器に付着し、これを汚染する。検出器がインクミストによって汚染された場合、正確な位置検出が困難になることがある。
【0010】
発明者は、インクミストによる検出器の汚染を抑制可能なインクジェット記録装置について検討した。その際、発明者は、次のような状況について考慮した。前述の状況は、所定の製品の生産現場で、工場建屋内の閉じられた同一空間に複数のインクジェット記録装置を設置し、これらを稼働させるといった状況である。このような状況では、前述の空間には、多くのインクミストが浮遊する。発明者は、インクミストをフィルタで取り除くといった手法を検討した。但し、この場合、発明者は、例えば、フィルタの交換時期を管理する必要が生じると考えた。
【0011】
本発明は、キャリッジの位置を検出する検出器がインクミストによって汚染されることを抑制できる、インクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面は、記録媒体を搬送する搬送機と、前記搬送機によって搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを前記記録媒体が搬送される搬送方向に沿った副走査方向に直交する主走査方向に往復移動させる移動機と、前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出器と、を備え、前記検出器は、前記キャリッジの移動範囲に前記主走査方向に沿って設けられるリニアスケールと、前記リニアスケールと前記副走査方向に対向し、前記リニアスケールから前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出ヘッドと、前記検出ヘッドを収容する収容室を備える収容ケースと、を備え、前記検出ヘッド及び前記収容ケースは、前記キャリッジと共に前記主走査方向に往復移動し、前記収容ケースは、エア供給装置に接続され前記エア供給装置からのエアが流れるエア流路が接続される接続口と、前記接続口から流入するエアを前記リニアスケールに向けて吹き出す吹出口と、を備え、前記収容ケースは、前記吹出口として、前記検出ヘッドの前記主走査方向の第一側に設けられる第一吹出口と、前記検出ヘッドの前記主走査方向の第二側に設けられる第二吹出口と、を備え、前記収容室は、前記リニアスケールと対向する前記副走査方向の第三側が開口した空間であり、前記検出ヘッドは、前記検出ヘッドの前記主走査方向の第一側に第一隙間があり且つ前記検出ヘッドの前記主走査方向の第二側に第二隙間がある状態で、前記収容室の開口から露出し、前記第一吹出口は、前記第一隙間に設けられ、前記第二吹出口は、前記第二隙間に設けられる、インクジェット記録装置である。
【0013】
このインクジェット記録装置によれば、エア供給装置からエアの供給を受けることができる。エア供給装置は、インクジェット記録装置から離れた位置に設置することができる。例えば、エア供給装置は、インクジェット記録装置が設置された空間とは異なる空間に設置することができる。エア供給装置から供給されたインクミストを含まないエアをリニアスケールに向けて吹き出すことができる。リニアスケール及び検出ヘッドへのインクミストの付着を抑制することができる。リニアスケールに対してエアを吹き付ける範囲を広くすることができる。検出ヘッドへのインクミストの到達を主走査方向の第一側及び第二側で防止することができる。
【0014】
前記収容ケースは、前記収容室の前記主走査方向の第一側に第一凹部と、前記収容室の前記主走査方向の第二側に第二凹部と、を備える、ようにしてもよい。この構成によれば、キャリッジの往復移動時、キャリッジの移動範囲に浮遊するインクミストを第一凹部及び第二凹部に捕集することができる。
【0015】
前記収容ケースでは、前記主走査方向の第一側の第一外面は、前記副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、前記主走査方向の第一側から第二側に向かう状態で設けられ、前記主走査方向の第二側の第二外面は、前記副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、前記主走査方向の第二側から第一側に向かう状態で設けられる、ようにしてもよい。この構成によれば、キャリッジの往復移動時、収容ケースに対してインクミストを副走査方向の第四側に導くことができる。
【0016】
本発明の他の側面は、記録媒体を搬送する搬送機と、前記搬送機によって搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを前記記録媒体が搬送される搬送方向に沿った副走査方向に直交する主走査方向に往復移動させる移動機と、前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出器と、を備え、前記検出器は、前記キャリッジの移動範囲に前記主走査方向に沿って設けられるリニアスケールと、前記リニアスケールと前記副走査方向に対向し、前記リニアスケールから前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出ヘッドと、前記検出ヘッドを収容する収容室を備える収容ケースと、を備え、前記検出ヘッド及び前記収容ケースは、前記キャリッジと共に前記主走査方向に往復移動し、前記収容ケースは、エア供給装置に接続され前記エア供給装置からのエアが流れるエア流路が接続される接続口と、前記接続口から流入するエアを前記リニアスケールに向けて吹き出す吹出口と、を備え、前記収容ケースは、前記収容室の前記主走査方向の第一側に第一凹部と、前記収容室の前記主走査方向の第二側に第二凹部と、を備える、インクジェット記録装置である。
【0017】
このインクジェット記録装置によれば、エア供給装置からエアの供給を受けることができる。エア供給装置は、インクジェット記録装置から離れた位置に設置することができる。例えば、エア供給装置は、インクジェット記録装置が設置された空間とは異なる空間に設置することができる。エア供給装置から供給されたインクミストを含まないエアをリニアスケールに向けて吹き出すことができる。リニアスケール及び検出ヘッドへのインクミストの付着を抑制することができる。キャリッジの往復移動時、キャリッジの移動範囲に浮遊するインクミストを第一凹部及び第二凹部に捕集することができる。
【0018】
本発明の更に他の側面は、記録媒体を搬送する搬送機と、前記搬送機によって搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを前記記録媒体が搬送される搬送方向に沿った副走査方向に直交する主走査方向に往復移動させる移動機と、前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出器と、を備え、前記検出器は、前記キャリッジの移動範囲に前記主走査方向に沿って設けられるリニアスケールと、前記リニアスケールと前記副走査方向に対向し、前記リニアスケールから前記キャリッジの前記主走査方向の位置を検出する検出ヘッドと、前記検出ヘッドを収容する収容室を備える収容ケースと、を備え、前記検出ヘッド及び前記収容ケースは、前記キャリッジと共に前記主走査方向に往復移動し、前記収容ケースは、エア供給装置に接続され前記エア供給装置からのエアが流れるエア流路が接続される接続口と、前記接続口から流入するエアを前記リニアスケールに向けて吹き出す吹出口と、を備え、前記収容ケースでは、前記主走査方向の第一側の第一外面は、前記副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、前記主走査方向の第一側から第二側に向かう状態で設けられ、前記主走査方向の第二側の第二外面は、前記副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、前記主走査方向の第二側から第一側に向かう状態で設けられる、インクジェット記録装置である。
【0019】
このインクジェット記録装置によれば、エア供給装置からエアの供給を受けることができる。エア供給装置は、インクジェット記録装置から離れた位置に設置することができる。例えば、エア供給装置は、インクジェット記録装置が設置された空間とは異なる空間に設置することができる。エア供給装置から供給されたインクミストを含まないエアをリニアスケールに向けて吹き出すことができる。リニアスケール及び検出ヘッドへのインクミストの付着を抑制することができる。キャリッジの往復移動時、収容ケースに対してインクミストを副走査方向の第四側に導くことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、キャリッジの位置を検出する検出器がインクミストによって汚染されることを抑制できる、インクジェット記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
図2図1に示すA-A線断面図である。検出器及びエア流路の一部を水平方向に切断した切断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。図中、細線で示す破線は、かくれ線であり、ハッチングは、切断面を示す。また、実施形態の各図は、説明用の模式的な図である。従って、前述の各図は、図中の各部の形状及び寸法を正確に示した図ではない。
【0023】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1,2を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、各種の記録媒体15が搬送され、記録媒体15に画像が記録される(図1参照)。記録媒体15としては、布帛又は建築用資材が例示される。実施形態では、記録媒体15は、長尺とされている。但し、記録媒体は、短尺であってもよい。画像の記録に用いるインクは、ブラック、マゼンタ、イエロー及びシアンの4色である。但し、これら各色のインクとは異なる色のインクを用いてもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。
【0024】
インクジェット記録装置10は、搬送機20と、インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cと、キャリッジ32と、移動機40と、検出器50と、メインタンク70K,70M,70Y,70Cと、インク流路71K,71M,71Y,71Cと、制御装置80を備える(図1参照)。インクジェット記録装置10は、エア流路92を介してエア供給装置90に接続される。エア供給装置90は、エアを供給する装置である。エア供給装置90からのエアは、管状のエア流路92を流れてインクジェット記録装置10に供給される。エア供給装置90としては、エアコンプレッサが例示される。図1では、エア流路92の図示は、簡略化されている。エア流路92は、後述する移動機40によるキャリッジ32の主走査方向への移動に対応可能な状態で設けられる。
【0025】
搬送機20は、記録媒体15を搬送する。インクジェット記録装置10では、搬送機20による記録媒体15の搬送は、間欠的に行われる。搬送機20は、ベルトコンベアである。搬送機20は、公知のインクジェット記録装置の搬送機と同様である。従って、搬送機20に関するこの他の説明は、省略する。実施形態では、搬送機20が記録媒体15を搬送する方向を「搬送方向」という。搬送方向に直交する方向を「主走査方向」といい、搬送方向に沿った方向を「副走査方向」という。この場合、主走査方向は、副走査方向にも直交する。主走査方向の一方側を「第一側」といい、主走査方向の他方側を「第二側」という。副走査方向の一方側を「第三側」といい、副走査方向の他方側を「第四側」という。副走査方向の第三側を搬送方向の下流側とし、副走査方向の第四側を搬送方向の上流側とする。
【0026】
インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cは、同様の構成を有する。インクジェットヘッド30Kは、ブラックインクを吐出する。インクジェットヘッド30Mは、マゼンタインクを吐出する。インクジェットヘッド30Yは、イエローインクを吐出する。インクジェットヘッド30Cは、シアンインクを吐出する。インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cによれば、記録媒体15に、フルカラーの画像を記録することができる。図1で、インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cより搬送方向の下流側に図示された記録媒体15の部分に付した模様は、記録媒体15に記録された画像に対応する。
【0027】
インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cには、複数のノズルが形成される。インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cでは、複数のノズルは、副走査方向に配列される。インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cでは、各色のインクは、複数のノズルから吐出される。図1では、インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cの図示は、簡略化されている。また、ノズルの図示は、省略されている。
【0028】
キャリッジ32には、インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cが搭載される。キャリッジ32上で、インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cは、主走査方向に隣り合う。主走査方向におけるインクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cの配列順序は、図1とは異なる順序としてもよい。これらの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。インクジェット記録装置10では、インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cは、キャリッジ32に搭載された状態で、移動機40より副走査方向の第四側に設けられる。
【0029】
移動機40は、キャリッジ32を主走査方向に往復移動させる。移動機40は、2個のプーリ41,42と、タイミングベルト43と、モータ44を備える。プーリ41は、搬送機20を基準として、主走査方向の第一側に設けられる。プーリ42は、搬送機20を基準として、主走査方向の第二側に設けられる。プーリ42は、回転自在に支持される。タイミングベルト43は、張力が作用した状態で、プーリ41,42に架け渡される。モータ44は、プーリ41に連結される。移動機40は、モータ44として、例えば、サーボモータを採用する。モータ44は、プーリ41を回転させる。図1で、プーリ41の内部に示す矢印は、プーリ41の回転方向を示す。キャリッジ32は、ステー33を備える。キャリッジ32は、ステー33を介してタイミングベルト43に取り付けられる。
【0030】
メインタンク70Kは、ブラックインクを貯留する。インク流路71Kは、メインタンク70Kとインクジェットヘッド30Kを接続する。ブラックインクは、メインタンク70Kから流出し、管状のインク流路71Kを流れてインクジェットヘッド30Kに供給される。メインタンク70Mは、マゼンタインクを貯留する。インク流路71Mは、メインタンク70Mとインクジェットヘッド30Mを接続する。マゼンタインクは、メインタンク70Mから流出し、管状のインク流路71Mを流れてインクジェットヘッド30Mに供給される。メインタンク70Yは、イエローインクを貯留する。インク流路71Yは、メインタンク70Yとインクジェットヘッド30Yを接続する。イエローインクは、メインタンク70Yから流出し、管状のインク流路71Yを流れてインクジェットヘッド30Yに供給される。メインタンク70Cは、シアンインクを貯留する。インク流路71Cは、メインタンク70Cとインクジェットヘッド30Cを接続する。シアンインクは、メインタンク70Cから流出し、管状のインク流路71Cを流れてインクジェットヘッド30Cに供給される。図1では、インク流路71K,71M,71Y,71Cは、簡略化されている。インク流路71K,71M,71Y,71Cは、移動機40によるキャリッジ32の主走査方向への移動に対応可能な状態で設けられる。
【0031】
検出器50は、キャリッジ32の主走査方向の位置を検出する。検出器50は、リニアスケール51と、検出ヘッド52と、収容ケース53を備える。1組のリニアスケール51及び検出ヘッド52は、例えば、リニアエンコーダと称される。インクジェット記録装置10では、検出器50は、リニアスケール51及び検出ヘッド52として、光学式のリニアエンコーダを採用する。但し、リニアスケール51及び検出ヘッド52は、光学式のリニアエンコーダとは異なる形式の位置センサであってもよい。例えば、リニアスケール51及び検出ヘッド52は、磁気式のリニアエンコーダであってもよい。
【0032】
リニアスケール51は、キャリッジ32の移動範囲Rに主走査方向に沿って設けられる(図1参照)。リニアスケール51は、例えば、インクジェット記録装置10に設けられた不図示のフレームに取り付けられる。検出ヘッド52は、次の状態でキャリッジ32に設けられる。前述の状態は、検出ヘッド52がリニアスケール51と副走査方向に対向した状態である。換言すれば、前述の状態は、検出ヘッド52の検出面S2がリニアスケール51のスケール面S1と副走査方向に対向した状態である(図2参照)。インクジェット記録装置10では、リニアスケール51は、移動機40より副走査方向の第三側に設けられる。この場合、リニアスケール51は、スケール面S1が副走査方向の第四側を向いた状態となり、検出ヘッド52は、検出面S2が副走査方向の第三側を向いた状態となる。検出ヘッド52は、副走査方向にリニアスケール51と離間寸法Gだけ離間して設けられる。離間寸法Gは、スケール面S1と検出面S2の間の副走査方向の寸法である。離間寸法Gは、1mm以下の所定値又は数mm~数十mmの範囲の所定値に設定される。離間寸法Gは、リニアスケール51及び検出ヘッド52として採用するリニアエンコーダの仕様に応じて適宜設定される。
【0033】
検出ヘッド52は、リニアスケール51からキャリッジ32の主走査方向の位置を検出する。検出ヘッド52は、検出信号を出力する。検出信号は、キャリッジ32の主走査方向の位置を示す。インクジェット記録装置10では、リニアスケール51及び検出ヘッド52として、上述したような公知のリニアエンコーダを採用できる。従って、リニアスケール51及び検出ヘッド52に関するこの他の説明は、省略する。図1,2では、リニアスケール51及び検出ヘッド52の図示は、簡略化されている。
【0034】
収容ケース53は、収容室54を備える(図2参照)。収容室54は、検出ヘッド52を収容する。インクジェット記録装置10では、収容ケース53は、キャリッジ32上の次の位置に設けられる。前述の位置は、検出ヘッド52がリニアスケール51と副走査方向に対向することとなる位置である。収容ケース53は、インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cより副走査方向の第三側に設けられる。インクジェット記録装置10では、検出ヘッド52が収容室54に収容された状態で、検出ヘッド52及び収容ケース53は、キャリッジ32と共に主走査方向に往復移動する。
【0035】
インクジェット記録装置10では、検出ヘッド52は、収容ケース53で収容室54に収容される一方、リニアスケール51は、収容ケース53外で設置空間に露出する(図1参照)。設置空間は、インクジェット記録装置10が設置された空間である。インクジェット記録装置10が化粧材の生産現場で用いられる場合、設置空間は、例えば、工場建屋内の一室である。化粧材は、記録媒体15の表面を柄によって装飾した部材である。収容室54は、リニアスケール51と対向する副走査方向の第三側が開口した空間である(図2参照)。即ち、収容室54は、収容ケース53の第三外面57で開口する。第三外面57は、収容ケース53の外周面のうち、副走査方向の第三側の側面である。インクジェット記録装置10では、第三外面57は、主走査方向に沿った平面である。収容ケース53は、副走査方向の第三側でリニアスケール51と副走査方向に対向する。換言すれば、収容ケース53は、第三外面57でスケール面S1と副走査方向に対向する。
【0036】
検出ヘッド52は、次の状態で収容室54の開口から露出する(図2参照)。前述の状態は、検出ヘッド52の主走査方向の第一側に第一隙間S3がある状態である。更に、前述の状態は、検出ヘッド52の主走査方向の第二側に第二隙間S4がある状態である。第一隙間S3は、検出ヘッド52を収容室54に収容させた場合、収容室54の主走査方向の第一側の内壁と検出ヘッド52の間に形成される隙間である。第二隙間S4は、検出ヘッド52を収容室54に収容させた場合、収容室54の主走査方向の第二側の内壁と検出ヘッド52の間に形成される隙間である。
【0037】
収容ケース53は、接続口60と、吹出口65を備える(図2参照)。接続口60には、エア流路92が接続される。吹出口65は、リニアスケール51に向けて開口する。インクジェット記録装置10では、収容ケース53は、接続口60として、第一接続口61及び第二接続口62を備え、吹出口65として、第一吹出口66及び第二吹出口67を備える。エア流路92は、所定の位置で2本に分岐する。実施形態では、第一接続口61及び第二接続口62を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「接続口60」という。また、第一吹出口66及び第二吹出口67を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「吹出口65」という。更に、2本に分岐したエア流路92の部分を「第一支流路93」及び「第二支流路94」といい、分岐前のエア流路92の部分を「本流路95」という。エア流路92では、本流路95は、分岐部96で第一支流路93及び第二支流路94に分岐する。第一支流路93は、第一接続口61に接続される。第二支流路94は、第二接続口62に接続される。
【0038】
第一支流路93及び第一接続口61の接続及び第二支流路94及び第二接続口62の接続には、公知の継手を用いることができる。インクジェット記録装置10では、第一接続口61には、第一継手63が設けられ、第二接続口62には、第二継手64が設けられる。第一支流路93は、第一継手63に取り付けられる。第二支流路94は、第二継手64に取り付けられる。但し、第一継手63を用いた第一支流路93及び第一接続口61の接続態様は、例示である。第二継手64を用いた第二支流路94及び第二接続口62の接続態様は、例示である。前述の各接続態様は、これとは異なる態様としてもよい。例えば、第一支流路93は、第一接続口61に直接接続されてもよく、第二支流路94は、第二接続口62に直接接続されてもよい。
【0039】
第一吹出口66は、第一隙間S3に設けられる。第一吹出口66は、第一接続口61と通じる。第二吹出口67は、第二隙間S4に設けられる。第二吹出口67は、第二接続口62と通じる。エア供給装置90からのエアは、本流路95を流れ、分岐部96に到達し、分岐部96で第一支流路93及び第二支流路94の各側に流れる。その後、エアは、第一支流路93及び第二支流路94の2系統から収容ケース53に供給される。第一接続口61から収容ケース53に供給されたエアは、第一吹出口66からリニアスケール51に向けて第一隙間S3に吹き出す。第二接続口62から収容ケース53に供給されたエアは、第二吹出口67からリニアスケール51に向けて第二隙間S4に吹き出す。
【0040】
収容ケース53では、第一外面55は、第一状態で設けられ、第二外面56は、第二状態で設けられる(図2参照)。第一外面55は、収容ケース53の外周面のうち、主走査方向の第一側の側面である。インクジェット記録装置10では、第一外面55は、平面である。第一状態は、副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、主走査方向の第一側から第二側に向かう状態である。第二外面56は、収容ケース53の外周面のうち、主走査方向の第二側の側面である。インクジェット記録装置10では、第二外面56は、平面である。第二状態は、副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、主走査方向の第二側から第一側に向かう状態である。即ち、インクジェット記録装置10では、収容ケース53は、平面視で次のような台形の形状を有する(図2参照)。前述の台形は、副走査方向の第三側となる下底が幅広で、且つ副走査方向の第四側となる上底が幅狭となる形状である。インクジェット記録装置10では、更に、前述の台形は、図2に一点鎖線で示す主走査方向の中心線Lを対称軸とする線対称の形状である。
【0041】
実施形態では、収容ケース53の外周面の一部を「第四外面58」という。第四外面58は、収容ケース53の外周面のうち、副走査方向の第四側の側面である。インクジェット記録装置10では、第四外面58は、主走査方向に沿った平面である。収容ケース53では、第三外面57は、副走査方向の第三側で第一外面55及び第二外面56を繋ぎ、第四外面58は、副走査方向の第四側で第一外面55及び第二外面56を繋ぐ。即ち、第三外面57は、主走査方向の第一側端で第一外面55と繋がり、主走査方向の第二側端で第二外面56と繋がる。第四外面58は、主走査方向の第一側端で第一外面55と繋がり、主走査方向の第二側端で第二外面56と繋がる。収容ケース53では、接続口60は、第四外面58に設けられる。即ち、第一接続口61は、第四外面58の主走査方向の第一側に設けられる。第二接続口62は、第四外面58の主走査方向の第二側に設けられる。
【0042】
収容ケース53は、第一凹部68と、第二凹部69を備える(図2参照)。第一凹部68は、収容室54の主走査方向の第一側に設けられる。第二凹部69は、収容室54の主走査方向の第二側に設けられる。即ち、収容ケース53では、第一凹部68、収容室54及び第二凹部69は、主走査方向の第一側から第二側に並んで設けられる。第一凹部68及び第二凹部69は、収容室54と同様、副走査方向の第三側が開口した空間である。即ち、第一凹部68及び第二凹部69は、第三外面57で収容室54と共に開口する。インクジェット記録装置10では、第一凹部68及び第二凹部69は、段付きの形状を有する。
【0043】
制御装置80は、接続インターフェース81と、制御器82を備える。実施形態では、接続インターフェース81を「接続I/F81」と記載する。接続I/F81には、例えば、検出ヘッド52が接続される。検出ヘッド52から出力された検出信号は、接続I/F81を介して制御装置80に入力される。制御装置80では、接続I/F81は、検出ヘッド52からの検出信号を制御器82に出力する。図1,2では、検出ヘッド52及び接続I/F81を接続する電気配線の図示は、省略されている。
【0044】
制御器82は、例えば、プロセッサと、ストレージと、メモリを備える。プロセッサは、演算処理を実行する。ストレージは、例えば、不揮発性のメモリ及びハードディスクの何れか一方又は両方である。ストレージには、インクジェット記録装置10で実行される各種の動作用のプログラムが記憶される。メモリは、プロセッサがストレージに記憶されたプログラムを実行する際の作業領域となる。制御器82は、インクジェット記録装置10で実行される各種の動作を制御する。制御器82は、例えば、記録媒体15への画像の記録を制御する。即ち、制御器82は、検出ヘッド52からの検出信号に従い、インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cの各ノズルからのインクの吐出を制御する。
【0045】
インクジェット記録装置10で記録媒体15に画像が記録される場合、移動機40と搬送機20は、次のように動作する。移動機40では、モータ44が時計回りと反時計回りに往復して回転する。モータ44の回転に伴い、プーリ41が左右両側に往復して回転する。モータ44が所定の方向に回転することでプーリ41が左回転すると、タイミングベルト43も左回転する。プーリ42は、左回転するタイミングベルト43に従動して回転する。これに伴い、キャリッジ32は、主走査方向の第二側から第一側に移動する。移動範囲Rでキャリッジ32が主走査方向の第一側の移動端に到達すると、モータ44の回転方向は反転し、プーリ41は、右回転する。プーリ41が右回転すると、タイミングベルト43も右回転する。プーリ42は、右回転するタイミングベルト43に従動して回転する。これに伴い、キャリッジ32は、主走査方向の第一側から第二側に移動する。移動範囲Rでキャリッジ32が主走査方向の第二側の移動端に到達すると、モータ44の回転方向は再度反転し、プーリ41は、再度左回転する。
【0046】
搬送機20は、キャリッジ32の主走査方向の第二側から第一側への移動と、キャリッジ32の主走査方向の第一側から第二側への移動に対応させて、記録媒体15を搬送方向に搬送する。即ち、搬送機20による記録媒体15の搬送は、前述したキャリッジ32の主走査方向の各移動端への到達に応じて間欠的に行われる。各色のインクは、キャリッジ32が主走査方向に移動している所定のタイミングでインクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cの各ノズルから記録媒体15に向けて吐出される。インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cの各ノズルから吐出された各色のインクは、記録媒体15の表面に着弾する。これに伴い、記録媒体15の表面には、画像が記録される。
【0047】
移動機40は、画像の記録が終了するまで動作する。従って、キャリッジ32の主走査方向への往復移動は、画像の記録が終了するまで繰り返される。検出ヘッド52は、画像の記録が終了するまで検出信号を出力し続ける。搬送機20は、画像の記録が終了した後、所定のタイミングで停止する。搬送機20の停止に伴い、記録媒体15の搬送も、終了する。
【0048】
インクジェット記録装置10では、吹出口65からリニアスケール51に向けたエアの吹き出しは、例えば、次のように実施される。即ち、エアの吹き出しは、インクジェット記録装置10の起動中、常時実施するようにしてもよい。また、エアの吹き出しは、キャリッジ32が主走査方向に往復移動している間実施し、キャリッジ32の主走査方向への往復移動の終了に伴い停止するようにしてもよく、又は前述の往復移動の終了後、所定のタイミングで停止するようにしてもよい。エアの吹き出しの実施時期は、諸条件を考慮して適宜決定される。エア流路92では、本流路95に電磁弁を設けるようにしてもよい。この場合、この電磁弁の開閉により、エアの吹き出しの実施又は停止を切り替えることができる。この他、エアの吹き出しは、エア供給装置90の停止に伴い停止させることができる。この場合、エア供給装置90の起動に伴いエアの吹き出しを再開させることができる。
【0049】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0050】
(1)インクジェット記録装置10は、搬送機20と、インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cと、キャリッジ32と、移動機40と、検出器50を備える(図1参照)。インクジェットヘッド30K,30M,30Y,30Cは、キャリッジ32に搭載される。移動機40は、キャリッジ32を主走査方向に往復移動させる。検出器50は、キャリッジ32の主走査方向の位置を検出する。検出器50は、リニアスケール51と、検出ヘッド52と、収容ケース53を備える(図1,2参照)。リニアスケール51は、移動範囲Rに主走査方向に沿って設けられる(図1参照)。検出ヘッド52は、リニアスケール51と副走査方向に対向し、リニアスケール51からキャリッジ32の主走査方向の位置を検出する。収容ケース53は、検出ヘッド52を収容する収容室54を備える。検出ヘッド52及び収容ケース53は、キャリッジ32と共に主走査方向に往復移動する。収容ケース53は、接続口60と、吹出口65を備える(図2参照)。接続口60には、エア流路92が接続される。エア流路92は、エア供給装置90に接続される。エア流路92には、エア供給装置90からのエアが流れる。吹出口65は、接続口60から流入するエアをリニアスケール51に向けて吹き出す。
【0051】
そのため、エア供給装置90からエアの供給を受けることができる。エア供給装置90は、インクジェット記録装置10から離れた位置に設置することができる。例えば、エア供給装置90は、設置空間とは異なる空間に設置することができる。エア供給装置90から供給されたインクミストを含まないエアをリニアスケール51に向けて吹き出すことができる。リニアスケール51及び検出ヘッド52へのインクミストの付着を抑制することができる。検出器50がインクミストによって汚染されることを抑制することができる。
【0052】
(2)収容ケース53は、吹出口65として、第一吹出口66及び第二吹出口67を備える(図2参照)。第一吹出口66は、検出ヘッド52の主走査方向の第一側に設けられる。第二吹出口67は、検出ヘッド52の主走査方向の第二側に設けられる。収容室54は、副走査方向の第三側が開口した空間である。検出ヘッド52は、検出ヘッド52の主走査方向の第一側及び第二側に第一隙間S3及び第二隙間S4がある状態で、収容室54の開口から露出する。第一吹出口66は、第一隙間S3に設けられ、第二吹出口67は、第二隙間S4に設けられる。そのため、リニアスケール51に対してエアを吹き付ける範囲を広くすることができる。検出ヘッド52へのインクミストの到達を主走査方向の第一側及び第二側で防止することができる。
【0053】
(3)収容ケース53は、第一凹部68と、第二凹部69を備える(図2参照)。第一凹部68は、収容室54の主走査方向の第一側に設けられる。第二凹部69は、収容室54の主走査方向の第二側に設けられる。そのため、キャリッジ32の往復移動時、移動範囲Rに浮遊するインクミストを第一凹部68及び第二凹部69に捕集することができる。
【0054】
(4)収容ケース53では、第一外面55は、副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、主走査方向の第一側から第二側に向かう状態で設けられ、第二外面56は、副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、主走査方向の第二側から第一側に向かう状態で設けられる(図2参照)。そのため、キャリッジ32の往復移動時、収容ケース53に対してインクミストを副走査方向の第四側に導くことができる。
【0055】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0056】
(1)インクジェット記録装置10では、収容ケース53は、接続口60として、第一接続口61と、第二接続口62を備える(図2参照)。この場合、エア流路92では、本流路95は、分岐部96で第一支流路93及び第二支流路94に分岐する。第一接続口61には、第一支流路93が接続され、第二接続口62には、第二支流路94が接続される。収容ケースでは、接続口は、1個としてもよい。この場合、収容ケースは、次の内部流路を含む。前述の内部流路は、収容ケースの内部で第一吹出口66及び第二吹出口67の各側に分岐した流路である。内部流路は、1個の接続口と2個の第一吹出口66及び第二吹出口67を接続する。エア流路は、分岐部96を含まない1本の流路となる。
【0057】
(2)インクジェット記録装置10では、収容ケース53は、吹出口65として、第一吹出口66と、第二吹出口67を備える(図2参照)。収容ケースでは、吹出口は、1個としてもよい。この場合、エア流路は、分岐部96を含まない1本の流路とされる。収容ケースでは、吹出口を設ける位置は、諸条件を考慮して適宜決定される。また、収容ケースでは、吹出口は、3個以上としてもよい。吹出口を3個以上とした場合、収容ケースには、吹出口と同数の接続口を設けるようにしてもよく、又は吹出口より少ない数の接続口を設けるようにしてもよい。接続口を吹出口より少ない数とする場合、内部流路は、収容ケースの内部で複数の吹出口の側に分岐する。
【0058】
収容ケース53では、吹出口65は、収容室54に設けられる(図2参照)。即ち、収容ケース53では、第一吹出口66が第一隙間S3に設けられ、第二吹出口67が第二隙間S4に設けられる。吹出口は、収容室とは異なる収容ケースの所定の位置に設けるようにしてもよい。例えば、吹出口は、収容室、第一凹部68及び第二凹部69と共に、収容ケースの第三外面に設けるようにしてもよい。吹出口として、第一吹出口及び第二吹出口が設けられるとする。この場合、第一吹出口は、第三外面で、主走査方向で収容室と第一凹部68の間、又は第一凹部68の主走査方向の第一側に設けるようにしてもよい。第二吹出口は、第三外面で、主走査方向で収容室と第二凹部69の間、又は第二凹部69の主走査方向の第二側に設けるようにしてもよい。
【0059】
(3)インクジェット記録装置10では、第一外面55及び第二外面56が平面である収容ケース53を例示した(図2参照)。第一外面は、副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、主走査方向の第一側から第二側に向かう第一状態で設けられていればよい。第二外面は、副走査方向の第三側から第四側に向かうに従い、主走査方向の第二側から第一側に向かう第二状態で設けられていればよい。例えば、第一外面は、第一状態となる曲面であってもよく、第二外面は、第二状態となる曲面であってもよい。第一外面及び第二外面を形成する曲面は、凹曲面及び凸曲面の何れであってもよい。
【0060】
(4)上記では、主走査方向の第一側及び第二側を次のようにした。即ち、図1の紙面を正面視した場合の左上側を主走査方向の第一側とした。前述の紙面を正面視した場合の右下側を主走査方向の第二側とした。主走査方向の第一側及び第二側は、上記とは反対であってもよい。即ち、上記で主走査方向の第一側とした主走査方向の側は、主走査方向の第二側であってもよい。上記で主走査方向の第二側とした主走査方向の側は、主走査方向の第一側であってもよい。また、上記では、副走査方向の第三側を搬送方向の下流側とし、副走査方向の第四側を搬送方向の上流側とした。副走査方向の第三側及び第四側は、上記とは反対であってもよい。即ち、副走査方向の第三側は、搬送方向の上流側であってもよい。副走査方向の第四側は、搬送方向の下流側であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 インクジェット記録装置、 15 記録媒体、 20 搬送機
30K,30M,30Y,30C インクジェットヘッド、 32 キャリッジ
33 ステー、 40 移動機、 41,42 プーリ、 43 タイミングベルト
44 モータ、 50 検出器、 51 リニアスケール、 52 検出ヘッド
53 収容ケース、 54 収容室、 55 第一外面、 56 第二外面
57 第三外面、 58 第四外面、 60 接続口、 61 第一接続口
62 第二接続口、 63 第一継手、 64 第二継手、 65 吹出口
66 第一吹出口、 67 第二吹出口、 68 第一凹部、 69 第二凹部
70K,70M,70Y,70C メインタンク
71K,71M,71Y,71C インク流路
80 制御装置、 81 接続インターフェース(接続I/F)、 82 制御器
90 エア供給装置、 92 エア流路、 93 第一支流路、 94 第二支流路
95 本流路、 96 分岐部、 G 離間寸法、 L 中心線、 R 移動範囲
S1 スケール面、 S2 検出面、 S3 第一隙間、 S4 第二隙間
図1
図2