(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】直列弾性アクチュエータ装置、直列弾性アクチュエータの制御方法及びそれを用いたシステム
(51)【国際特許分類】
H02K 7/10 20060101AFI20221116BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20221116BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H02K7/10 C
B25J19/00 A
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2018532271
(86)(22)【出願日】2018-03-05
(86)【国際出願番号】 KR2018002564
(87)【国際公開番号】W WO2018174428
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】10-2017-0037706
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0056191
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518211152
【氏名又は名称】レインボー ロボティックス
【氏名又は名称原語表記】RAINBOW ROBOTICS
【住所又は居所原語表記】(Munji-dong)10-19,Expo-ro 339beon-gil Yuseong-gu Daejeon 34122 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンホ
(72)【発明者】
【氏名】ホ ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】イム ジョンス
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/015460(WO,A2)
【文献】特開2005-319922(JP,A)
【文献】特開平07-197941(JP,A)
【文献】実開昭58-177253(JP,U)
【文献】特開2013-022671(JP,A)
【文献】特開2016-129488(JP,A)
【文献】特開2012-225372(JP,A)
【文献】特開2002-242950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00- 7/20
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと連結されて、前記駆動モータの回転力により回転するモータ側の回転部と、
前記モータ側の回転部と係合して、前記駆動モータの回転力を負荷に伝達するための負荷側の回転部と、
前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の空間に配備される
複数対の弾性部材と、
を備え、
前記モータ側の回転部及び前記負荷側の回転部のうちのいずれか一方に前記
複数対の弾性部材が
それぞれ固定されるための収容空間を有する
複数の外側フレームが形成されており、
前記
外側フレームには前記弾性部材の圧縮方向と垂直な方向に離隔された空間が存在し、前記離隔された空間を介して前記弾性部材の一部が外部に露出し、前記離隔された空間は、前記弾性部材の圧縮方向と垂直な方向の膨張のための予備空間として用いられ
、
前記モータ側の回転部及び前記負荷側の回転部のうちの残りの一方には、前記複数対の弾性部材をそれぞれ内側において支持するための複数の内側フレームが形成され、
前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の相対的な変位を測定するためのセンサー部を更に備え、
前記センサー部は、
前記モータ側の回転部及び前記負荷側の回転部の互いに対応する位置にそれぞれ形成された磁性体及びホールセンサーを備え、
前記磁性体は互いに隣接する2つの前記内側フレームの間に位置し、
前記ホールセンサーは前記外側フレームに位置することを特徴とする直列弾性アクチュエータ装置。
【請求項2】
前記モータ側の回転部の回転方向に応じて、
一対の
前記弾性部材のうちのいずれか一方が圧縮される請求項1に記載の直列弾性アクチュエータ装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、
シリコーン及びウレタンを含めて複数の弾性物質のうちのいずれか一方又は2以上の混合物により構成される請求項1に記載の直列弾性アクチュエータ装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、
円柱状を呈する請求項1に記載の直列弾性アクチュエータ装置。
【請求項5】
前記モータ側の回転部及び前記負荷側の回転部間の係合が解放されるとき、前記弾性部材が自動的に取り外されるようになっている請求項1に記載の直列弾性アクチュエータ装置。
【請求項6】
請求項1-
5のいずれか一項に記載の直列弾性アクチュエータ(SEA)装置を制御する方法において、
前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の相対的な変位を測定するステップと、
前記測定された変位及び前記弾性部材の剛性(K)に基づいて、前記負荷側に加えられる外力による外部トルクを求めるステップと、
前記求められた外部トルクと臨界値トルクとを比較するステップと、
前記比較結果に基づいて、前記直列弾性アクチュエータ装置の制御モードをトルク制御及び位置制御のうちのいずれか一方に切り換えるステップと、を含む直列弾性アクチュエータ装置の制御方法。
【請求項7】
前記変位は、
前記モータ側の回転部及び前記負荷側の回転部の互いに対応する位置にそれぞれ形成された磁性体及びホールセンサーを用いて測定される請求項
6に記載の直列弾性アクチュエータ装置の制御方法。
【請求項8】
前記求められた外部トルクが前記臨界値トルクよりも大きい場合、前記負荷側に伝達されるトルクを制御するためのトルク制御に前記制御モードが切り換えられる請求項
6に記載の直列弾性アクチュエータ装置の制御方法。
【請求項9】
前記求められた外部トルクが前記臨界値トルク以下である場合、前記負荷側の回転角度を制御するための位置制御に前記制御モードが切り換えられる請求項
6に記載の直列弾性アクチュエータ装置の制御方法。
【請求項10】
フィードバックされる前記モータ側の回転角度を用いて、前記負荷側の回転角度が制御される請求項
9に記載の直列弾性アクチュエータ装置の制御方法。
【請求項11】
前記外部トルクが前記臨界値トルクよりも大きい値に増加される場合、前記制御モードが位置制御からトルク制御に切り換えられ、前記外部トルクが前記臨界値トルクから所定のトルクを差し引いた値以下に減少する場合、前記制御モードがトルク制御から位置制御に切り換えられる請求項
6に記載の直列弾性アクチュエータ装置の制御方法。
【請求項12】
前記弾性部材は、
前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の空間に
複数対で配備される請求項
6に記載の直列弾性アクチュエータ装置の制御方法。
【請求項13】
前記モータ側の回転部の回転方向に応じて、
一対の
前記弾性部材のうちのいずれか一方が圧縮される請求項
12に記載の直列弾性アクチュエータ装置の制御方法。
【請求項14】
駆動モータと連結されて、前記駆動モータの回転力により回転するモータ側の回転部と、
前記モータ側の回転部と係合して、前記駆動モータの回転力を負荷に伝達するための負荷側の回転部と、
前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の空間に配備される
複数対の弾性部材と、
前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の相対的な変位を測定するためのセンサー部と、
前記測定された変位を用いて前記負荷側に加えられる外力による外部トルクを求め、前記求められた外部トルクと臨界値トルクとを比較した結果に基づいて、トルク制御及び位置制御のうちのいずれか一方に制御モードを切り換える制御器と、
を備え、
前記モータ側の回転部及び前記負荷側の回転部のうちのいずれか一方に前記
複数対の弾性部材が
それぞれ固定されるための収容空間を有する
複数の外側フレームが形成されており、
前記
外側フレームには前記弾性部材の圧縮方向と垂直な方向に離隔された空間が存在し、前記離隔された空間を介して前記弾性部材の一部が外部に露出し、前記離隔された空間は、前記弾性部材の圧縮方向と垂直な方向の膨張のための予備空間として用いられ
、
前記モータ側の回転部及び前記負荷側の回転部のうちの残りの一方には、前記複数対の弾性部材をそれぞれ内側において支持するための複数の内側フレームが形成され、
前記センサー部は、
前記モータ側の回転部及び前記負荷側の回転部の互いに対応する位置にそれぞれ形成された磁性体及びホールセンサーを備え、
前記磁性体は互いに隣接する2つの前記内側フレームの間に位置し、
前記ホールセンサーは前記外側フレームに位置する直列弾性アクチュエータシステム。
【請求項15】
前記制御器は、
前記外部トルクが前記臨界値トルクよりも大きい値に増加される場合、前記制御モードを位置制御からトルク制御に切り換え、前記外部トルクが前記臨界値トルクから所定のトルクを差し引いた値以下に減少する場合、前記制御モードをトルク制御から位置制御に切り換える請求項
14に記載の直列弾性アクチュエータシステム。
【請求項16】
前記制御器は、
前記制御モードが位置制御である場合、フィードバックされる前記モータ側の回転角度を用いて前記負荷側の回転角度を制御する請求項
14に記載の制御直列弾性アクチュエータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列弾性アクチュエータ(SEA:SeriesElasticActuator)の構造及びそれを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のロボット技術の発達には目を見張るものがあり、これに伴い、産業ロボットに加えて、人間の代わりに多種多様な作業が行える知能型ロボットへのニーズが存在し、これについての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
知能型ロボットを開発するためには、機械、電子などの従来技術とともに、新素材、半導体、人工知能、センサーソフトウェアなどの先端技術が求められ、知能型ロボットは、既存の産業用のロボットとは異なり、将来の市場に求められる機能及び性能を有するロボットであると言える。
【0004】
また、知能型ロボットは、より人間に近い場所において様々な作業を行うことができ、人間との協業過程において生じ得る問題を解消するために、直列弾性アクチュエータ(SEA:SeriesElasticActuator)技術がロボットに適用されることが必要である。
【0005】
直列弾性アクチュエータ(SEA)は、弾性を用いて力及び位置を一緒に制御するための技術であり、ロボット関節などの位置のみを制御するわけではなく、人間の筋肉にように位置及び力を一緒に制御できるようにして、ロボットが凸凹な床面のように険しい場所において作動するようにするか、或いは、外圧により適応的に動作するようにする。
直列弾性アクチュエータの種類は非常に多岐に亘るが、一般的に、
図1に示すような構造を有するボルト駆動型直列弾性アクチュエータが用いられる。
【0006】
図1を参照すると、従来のボルト駆動型直列弾性アクチュエータは、駆動モータ10と連結されて回転するボルトスクリュー20と、ボルトスクリュー20の回転方向に応じて左又は右に直線運動をするナット部30と、ナット部30を支持するバネ40を介して左又は右に直線運動をする直線運動部50及びここに連結されたアーム60を備える。
【0007】
ボルト駆動型直列弾性アクチュエータは、駆動モータ10にボルトスクリュー20が直結されて回転し、ボルトスクリュー20に連結されたナット部30がボルトスクリュー20の回転方向に応じて左又は右に直線運動をする。
【0008】
ボルトスクリュー20の直線運動がある場合、ナット部30及びナット部を支持するバネ40を介して直線運動部50及びアーム60がナット部30と同じ方向に直線運動をする。
【0009】
上述した従来の直列弾性アクチュエータの場合、バネを含めて直線運動部の全体が移動するように設計されなければならないため、その構造は複雑であり、しかも、肥大化を余儀なくされるという欠点があった。
また、回転運動の場合、上述した構造の直列弾性アクチュエータは適用し難く、回転運動に適した直列弾性アクチュエータの制御方法が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述した問題を解消するために案出されたものであり、その目的は、効率よく動作可能な構造を有する直列弾性アクチュエータ装置を提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、回転運動に適した構造を有する直列弾性アクチュエータを制御する方法及びそれを用いた直列弾性アクチュエータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置は、駆動モータと連結されて、前記駆動モータの回転力により回転するモータ側の回転部と、前記モータ側の回転部と係合して、前記駆動モータの回転力を負荷に伝達するための負荷側の回転部と、前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の空間に設けられる少なくとも一対の弾性部材と、を備え、前記モータ側の回転部及び前記負荷側の回転部のうちのいずれか一方に前記一対の弾性部材が固定されるための収容空間を有するフレームが形成される。
【0013】
本発明の他の実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置は、駆動モータと連結されて、前記駆動モータの回転力により回転するモータ側の回転部と、前記モータ側の回転部と係合して、前記駆動モータの回転力を負荷に伝達するための負荷側の回転部と、前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の空間に固定される少なくとも一対の弾性部材と、を備え、前記一対の弾性部材を内側において支持するための第1のフレームが前記モータ側の回転部に形成され、前記一対の弾性部材を外側において支持するための第2のフレームが前記負荷側の回転部に形成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータの制御方法は、駆動モータの回転力を負荷に伝達するために互いに係合したモータ側の回転部及び負荷側の回転部と、弾性部材と、を備える直列弾性アクチュエータ(SEA)を制御し、前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の相対的な変位を測定するステップと、前記測定された変位及び前記弾性部材の剛性Kを用いて、前記負荷側に加えられる外力による外部トルク(torque)を求めるステップと、前記求められた外部トルクと臨界値トルクとを比較するステップと、前記比較結果に基づいて、前記直列弾性アクチュエータの制御モードをトルク制御及び位置(position)制御のうちのいずれか一方に切り換えるステップと、を含む。
【0015】
前記弾性部材は、前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の空間に少なくとも一対で配備され、前記モータ側の回転部の回転方向に応じて、一対の弾性部材のうちのいずれか一方が圧縮される。
【0016】
一方、前記制御方法に係るステップは、本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータシステムにおいて行われるように、コンピュータプログラムにより構成されてもよく、当該コンピュータプログラムは、コンピュータにより読み取り可能な媒体に保存されてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータシステムは、駆動モータと連結されて、前記駆動モータの回転力により回転するモータ側の回転部と、前記モータ側の回転部と係合して、前記駆動モータの回転力を負荷に伝達するための負荷側の回転部と、前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の空間に配備される少なくとも一対の弾性部材と、前記モータ側の回転部と前記負荷側の回転部との間の相対的な変位を測定するためのセンサー部と、前記測定された変位を用いて前記負荷側に加えられる外力による外部トルクを求め、前記求められた外部トルクと臨界値トルクとを比較した結果に基づいて、トルク制御及び位置制御のうちのいずれか一方に制御モードを切り換える制御器と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、駆動モータの回転力により一緒に回転するモータ側の回転部及び負荷側の回転部のうちのいずれか一方に一対の弾性部材が固定されるための収容空間を有するフレームを形成して、モータ側の回転部の相対的な回転方向に応じていずれか一方の弾性部材が圧縮されるようにすることで、回転運動に適するとともに、単純な構造を有する直列弾性アクチュエータ装置を提供することができ、これにより、直列弾性アクチュエータをコンパクトなサイズで実現することができる。
【0019】
本発明の他の実施形態によれば、モータ側の回転部と負荷側の回転部との間の相対的な変位に基づいて負荷側に加えられる外力を検出し、外力を基準値と比較した結果に基づいて、直列弾性アクチュエータの制御モードをトルク制御及び位置制御のうちのいずれか一方に切り換えることにより、直列弾性アクチュエータが状況に応じて力及び位置を一緒に安定的に制御できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来の直列弾性アクチュエータの構成に対する一例を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置の構成を説明するための分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置の構成を説明するための分解斜視図である。
【
図4】モータ側の回転部と負荷側の回転部との間の空間に弾性部材が固定される構造に対する一実施形態を説明するための図である。
【
図5】本発明に係る直列弾性アクチュエータ装置の動作に対する実施形態を説明するための図である。
【
図6】直列弾性アクチュエータ装置に配備されるセンサー部の構成及び動作に対する一実施形態を説明するための図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置の構成を示す斜視図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置の構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係る直列弾性アクチュエータの制御方法に対する一実施形態を示すフローチャートである。
【
図10】負荷に外力が加えられる場合、直列弾性アクチュエータの動作に対する一実施形態を説明するための図である。
【
図11】トルク制御方法に対する一実施形態を説明するための図である。
【
図12】位置制御方法に対する一実施形態を説明するための図である。
【
図13】トルク制御と位置制御との間の切り換え方法に対する第1の実施形態を説明するためのグラフである。
【
図14】トルク制御と位置制御との間の切り換え方法に対する第2の実施形態を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の内容は、単に本発明の原理を例示するためのものである。このため、当業者は、たとえ本明細書に明確に説明又は図示されていなくても、本発明の原理を実現し、本発明の概念及び範囲に含まれる様々な装置を発明することができる筈である。また、本明細書に列挙された全ての条件付用語及び実施形態は、原則的に、本発明の概念が理解されるようにするための目的にのみ明確に意図され、このように特別に列挙された実施形態及び状態に制限的ではないものと理解されるべきである。
【0022】
また、本発明の原理、観点及び実施形態だけではなく、特定の実施形態を列挙する全ての詳細な説明は、このような事項の構造的及び機能的な均等物を含むように意図されるものと理解されるべきである。更に、これらの均等物は、現在公知となっている均等物だけではなく、将来開発されるべき均等物、すなわち、構造とは無関係に同じ機能を行うように発明された全ての素子を含むものと理解されるべきである。
【0023】
したがって、例えば、本明細書のブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的な回路の概念的な観点を示すものと理解されるべきである。これと同様に、全てのフローチャート、状態変化図、疑似コードなどは、コンピュータにより読み取り可能な媒体に実質的に示すことができ、コンピュータ又はプロセッサが明確に図示されているか否かを問わず、コンピュータ又はプロセッサにより行われる様々なプロセスを示すものと理解されるべきである。
【0024】
プロセッサ又はこれと同じ概念により表示された機能ブロックを含む図示の様々な素子の機能は、専用ハードウェアだけではなく、適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを起動する能力を有するハードウェアの使用により提供可能である。プロセッサにより提供されるとき、前記機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ又は複数の個別的なプロセッサにより提供可能であり、これらのうちの一部は共有可能である。
【0025】
上述した目的、特徴及び長所は、添付図面と結び付けて行う次の詳細な説明によりなお一層明らかになり、これにより、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想を容易に実施することができる筈である。なお、本発明を説明するに当たって、本発明と関連する公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にするおそれがあると認められる場合には、その詳細な説明を省略する。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図2及び
図3は、本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置の構成を説明するための分解斜視図であり、直列弾性アクチュエータ装置は、モータ側の回転部100と、負荷側の回転部200及び弾性部材310、320を備えてなることが好ましい。
【0027】
図2及び
図3を参照すると、モータ側の回転部100は、駆動モータ(図示せず)と連結されて駆動モータの回転力により回転し、負荷側の回転部200は、前記駆動モータの回転力を負荷に伝達する役割を果たす。
【0028】
このため、モータ側の回転部100及び負荷側の回転部200は互いに係合して、負荷側の回転部200は、モータ側の回転部100の回転につれて一緒に回転するように構成されてもよい。
モータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の空間には、少なくとも一対の弾性部材300が配備される。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、駆動モータの回転力により一緒に回転するモータ側の回転部100及び負荷側の回転部200のうちのいずれか一方に、少なくとも一対の弾性部材300が固定されるための収容空間を有するフレームが形成される。
【0030】
また、モータ側の回転部100及び負荷側の回転部200のうちの残りの一方には、前記一対の弾性部材を内側において支持するためのフレームが形成されてもよい。
【0031】
この場合、負荷側の回転部200を基準としたモータ側の回転部100の相対的な回転方向に応じて、いずれか一方の弾性部材が圧縮されて、回転運動に際して力又はトルク(torque)が制御可能な直列弾性アクチュエータ装置が実現可能である。
【0032】
本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置は、回転運動に適するとともに、単純な構造を有し、これにより、コンパクトなサイズで実現可能であるというメリットがある。
【0033】
前記弾性部材310、320は、シリコーン又はウレタンなどの弾性素材から構成されてもよいが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、シリコーン及びウレタンに加えて、様々な弾性物質又は2以上の弾性物質の混合物により構成されてもよい。
【0034】
一方、前記弾性部材310、320は、
図2に示すように、円柱状を呈してもよいが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、円柱状に加えて、様々な形状を呈してもよい。
ここで、前記弾性部材310、320の素材、形状又は大きさは変更可能であり、この変更に伴い、弾性部材の剛性Kが可変となる。
【0035】
図2及び
図3に戻ると、モータ側の回転部100には一対の弾性部材300を内側において支持するための内側フレーム150が形成され、負荷側の回転部200には一対の弾性部材300を外側において支持するための外側フレーム250が形成されてもよい。
【0036】
図3に示すように、負荷側の回転部200に形成された外側フレーム250により、一対の弾性部材300が収容されて固定可能な収容空間Sが負荷側の回転部200に設けられてもよい。
【0037】
上述したように、モータ側の回転部100の内側フレーム150及び負荷側の回転部200の外側フレーム250により一対の弾性部材300が内側及び外側において支持されることにより、互いに係合したモータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の空間に弾性部材310、320が固定されてもよい。
【0038】
例えば、
図2に示すように、弾性部材310、320がモータ側の回転部100の内側フレーム150に据え置きされた状態でモータ側の回転部100及び負荷側の回転部200を係合させる場合、弾性部材310、320は、負荷側の回転部200の外側フレーム250により形成された収容空間Sに圧縮されて固定されてもよい。
【0039】
上述したように、弾性部材310、320がモータ側の回転部100の内側フレーム150及び負荷側の回転部200の外側フレーム250により支持されて収容空間Sに圧縮されて固定されることにより、弾性部材310、320は、別途の固定部材を用いてモータ側の回転部100又は負荷側の回転部200に固定されることが不要になる。
【0040】
これにより、モータ側の回転部100及び負荷側の回転部200間の係合を解放する場合、弾性部材310、320が自動的に取り外されるようにして、弾性部材310、320の取り替えを行い易くしてもよい。
【0041】
一方、本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置は、モータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の相対的な変位を測定するためのセンサー部を更に備えていてもよい。
【0042】
例えば、前記センサー部は、モータ側の回転部100及び負荷側の回転部200の互いに対応する位置にそれぞれ形成される磁性体400及びホールセンサー(hallsensor)410を備えてなることが好ましい。
【0043】
図4は、モータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の空間に弾性部材310、320が固定される構造に対する一実施形態を説明するために示すものであり、以下、図示の構成のうち、
図2及び
図3を参照して説明したものと同じものについての説明は省略する。
【0044】
図4を参照すると、一対の弾性部材300は、モータ側の回転部100の内側フレーム150と負荷側の回転部200の外側フレーム250との間の空間に圧縮された状態で固定されてもよい。
【0045】
一方、直列弾性アクチュエータ装置の外郭領域において、モータ側の回転部100の内側フレーム150と負荷側の回転部200の外側フレーム250との間に離隔された空間Dが存在し、前記離隔された空間を介して弾性部材310、320の一部が外部に露出されてもよい。
【0046】
弾性部材310、320が圧縮される場合、圧縮方向と垂直な方向に弾性部材310、320が膨張可能であるが、前記離隔された空間Dは、弾性部材310、320の垂直方向の膨張のための予備空間として用いられてもよい。
【0047】
また、
図4には、直列弾性アクチュエータ装置に4対の弾性部材(合計8個)が配備される場合が想定されて示されているが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、必要に応じて、3対以下又は5対以上の弾性部材が配備されてもよい。
【0048】
上述したような構造を有する直列弾性アクチュエータ装置に外力が加えられると、弾性部材が圧縮されてモータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の相対的な変位が発生する。
【0049】
ここで、前記直列弾性アクチュエータ装置に加えられる外力は、駆動モータの回転力により発生するトルク、負荷側に加えられる力により発生するトルク又はこれらの両者間の加減に伴うトルクなどを意味してもよい。
【0050】
より具体的には、負荷側の回転部200を基準としたモータ側の回転部100の相対的な回転方向(又は、モータ側の回転部100を基準とした負荷側の回転部200の相対的な回転方向)に応じて、一対の弾性部材300のうちのいずれか一方が圧縮され、弾性部材が圧縮された分に見合う分だけ相対的な変位が発生し得る。
【0051】
以下、
図5を参照して、本発明に係る直列弾性アクチュエータ装置の動作に対する実施形態についてより詳細に説明する。モータ側の回転部100及び負荷側の回転部200に形成されたフレームは回転するが、
図5には、説明を容易にするため、直線と略同じ変位を有する場合を想定して示す。
【0052】
直列弾性アクチュエータ装置にトルクが加えられていない状態では、
図5(a)に示すように、基準位置Rを中心として弾性部材310、320が内側フレーム150と外側フレーム250との間の空間に固定されていてもよい。
【0053】
負荷側の回転部200が回転しないように負荷側が固定された状態で、駆動モータの回転力により時計回り方向のトルクが直列弾性アクチュエータに加えられる場合、
図5(b)に示すように、一対の弾性部材310、320のうち左側の弾性部材310が圧縮されて、基準位置Rに対する左側方向(反時計回り方向)への相対的な変位Δθがモータ側の回転部100に発生することになる。
この場合、前記駆動モータの回転力によるトルクは、次の数式1を用いて計算されてもよい。
【0054】
【数1】
数式1において、τは、駆動モータの回転力によるトルクであり、Kは、弾性部材の剛性を示し、Δθは、基準位置Rに対する相対的な変位である。
【0055】
直列弾性アクチュエータ装置に配備されるセンサー部(例えば、磁性体400及びホールセンサー410)を用いて相対的な変位Δθが検出されれば、前記の数式1により駆動モータの回転力によるトルクτが求められる。
【0056】
一方、負荷側が固定された状態で駆動モータの回転力により時計回り方向のトルクが直列弾性アクチュエータに加えられる場合、
図5(c)に示すように、一対の弾性部材310、320のうち右側の弾性部材320が圧縮されて基準位置Rに対する右側方向(時計回り方向)への相対的な変位Δθがモータ側の回転部100に発生することになる。
この場合にも、前記駆動モータの回転力によるトルクは、センサー部により検出される相対的な変位Δθに基づいて前記数式1を用いて計算されてもよい。
前記
図5の(b)及び(c)に示す場合において、前記数式1を用いて計算されるトルクτは、駆動モータの回転力により負荷に伝達されるトルクを示し得る。
【0057】
以上においては、
図5を参照して、負荷側が固定された状態で駆動モータの回転力によりトルクが加えられる場合を例にとって本発明に係る直列弾性アクチュエータ装置の動作について説明したが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、負荷側に加えられる力により直列弾性アクチュエータ装置にトルクが加えられる場合であっても、本発明に係る直列弾性アクチュエータ装置は、
図5を参照して説明したように動作可能である。
【0058】
例えば、負荷側において、時計回り方向のトルクが直列弾性アクチュエータに加えられる場合、
図5(b)に示すように、一対の弾性部材310、320のうち左側の弾性部材310が圧縮されて、基準位置Rに対する右側方向(時計回り方向)への相対的な変位Δθが負荷側の回転部200に発生することになる。
【0059】
一方、負荷側において、反時計回り方向のトルクが直列弾性アクチュエータに加えられる場合、
図5(c)に示すように、一対の弾性部材310、320のうち右側の弾性部材320が圧縮されて、基準位置Rに対する左側方向(反時計回り方向)への相対的な変位Δθが負荷側の回転部200に発生することになる。
この場合、前記負荷側に加えられるトルクτは、センサー部により検出される相対的な変位Δθに基づいて、前記数式1を用いて計算されてもよい。
【0060】
但し、負荷側に加えられるトルク及び駆動モータの回転力に伴うトルクが互いに反対方向である場合、前記数式1を用いて計算されるトルクτは、前記負荷側に加えられるトルク値及び前記駆動モータの回転力に伴うトルク値を合計した値を示し得る。
【0061】
図6を参照すると、上述したようなモータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の相対的な変位Δθを測定するために、モータ側の回転部100には磁場を発生させる磁性体400が位置し、磁性体400と向かい合う負荷側の回転部200の位置にはホールセンサー410が配置されてもよい。
【0062】
ホールセンサー410は、電流が流れる導体に磁場をかけると、電流及び磁場に垂直方向に電圧が発生するホール効果を用いて磁場の方向及び大きさを知ることができる。
【0063】
これにより、ホールセンサー410の出力信号を用いて磁性体400から発生する磁場の方向及び大きさが測定され、検出結果に基づいて、モータ側の回転部100の相対的な回転方向及び変位(又は、負荷側の回転部200の相対的な回転方向及び変位)が検出可能である。
【0064】
図7及び
図8は、本発明の他の実施形態に係る直列弾性アクチュエータ装置の構成を示す斜視図であり、以下、同図に示す直列弾性アクチュエータ装置の構成及び動作のうち
図2から
図6を参照して説明したものと同じものについての説明は省略する。
【0065】
図7を参照すると、直列弾性アクチュエータのモータ側の回転部100には駆動モータ700が連結され、更に減速器720及び減速器固定端730が係合してもよい。
【0066】
また、
図7には示していないが、駆動モータ700の回転力をモータ側の回転部100に伝達するためのベルト(又は、チェーン)及びプーリーなどが直列弾性アクチュエータ装置に配備されてもよい。
更に、直列弾性アクチュエータの負荷側の回転部200には軸受け(bearing)710が係合してもよい。
図8を参照すると、
図7に示すように、係合した直列弾性アクチュエータ装置に軸受け固定端800及び軸受けカバー810が係合してもよい。
【0067】
図7及び
図8は、駆動モータと係合する直列弾性アクチュエータ装置の構成に対する一実施形態を説明するためのものであり、本発明に係る直列弾性アクチュエータ装置は、これに何ら限定されるものではなく、図示の構成要素のうちの一部が省略されてもよく、必要に応じて、更なる構成要素が付加されてもよい。
【0068】
本発明の他の実施形態によれば、
図2から
図8を参照して説明したような構造を有する直列弾性アクチュエータ装置を用いてロボットの関節やその他の産業用の機械などの力(又は、トルク)及び位置を一緒に制御することが可能である。
【0069】
例えば、モータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の相対的な変位Δθを用いて求められるトルクτに基づいて、ロボット関節の動きを制御するようにしてもよい。
【0070】
より具体的には、モータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の相対的な変位に基づいて、負荷側に加えられる外力を検出し、外力を基準値と比較した結果に基づいて、直列弾性アクチュエータの制御モードをトルク制御及び位置制御のうちのいずれか一方に切り換えてもよい。
【0071】
一方、本発明の一実施形態に係る直列弾性アクチュエータシステムは、
図2から
図8を参照して説明したような構造を有する直列弾性アクチュエータと、直列弾性アクチュエータを制御するための制御器と、を備えてなることが好ましい。
以下、
図9から
図14を参照して、直列弾性アクチュエータを制御する方法に対する実施形態についてより詳細に説明する。
【0072】
図9は、本発明に係る直列弾性アクチュエータの制御方法に対する一実施形態を示すフローチャートであり、本発明に係る直列弾性アクチュエータシステムに設けられる制御器が直列弾性アクチュエータの動作を制御する方法を示すものである。
【0073】
図9を参照すると、制御器は、直列弾性アクチュエータのモータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の相対的な変位を測定する(ステップS900)。
【0074】
上述したように、モータ側の回転部100及び負荷側の回転部200の互いに対応する位置にそれぞれ形成された磁性体400及びホールセンサー410を用いて、前記ステップS900においてモータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の相対的な変位が測定されてもよい。
【0075】
制御器は、前記ステップS900において測定された変位及び直列弾性アクチュエータに設けられる弾性部材の剛性Kに基づいて、負荷側に加えられる外力による外部トルク(torque)を求める(ステップS910)。
【0076】
図10を参照すると、負荷側の回転部200に連結された負荷1000に外部から力F
lが加えられる場合、外力F
lにより負荷1000を回転させるトルクτ
lが発生することになる。
【0077】
例えば、回転せずに現在の位置を維持している負荷1000に外力Flが加えられてトルクτlが発生するか、或いは、特定の位置に達するまで回転している負荷1000に回転方向とは反対の方向の外力Flが加えられてトルクτlが発生する。
或いは、回転している負荷1000に回転方向と同じ方向の外力Flが加えられてトルクτlが発生してもよい。
【0078】
上述したように、負荷1000側に加えられる外力Flによる外部トルクτlは、一対の弾性部材310、320のうちのいずれか一方を圧縮させ、これにより、モータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の相対的な変位が発生し得る。
【0079】
したがって、モータ側の回転部100と負荷側の回転部200との間の相対的な変位Δθ及び弾性部材の剛性Kに基づいて、前記数式1を用いて、外力Flにより発生する外部トルクτlが計算されてもよい。
【0080】
次いで、制御器は、前記ステップS910において計算された外部トルクと予め設定された臨界値トルクとを比較して(ステップS920)、比較結果に基づいて、直列弾性アクチュエータの制御モードをトルク制御及び位置制御のうちのいずれか一方に切り換える(ステップS930)。
【0081】
ここで、前記トルク制御は、直列弾性アクチュエータの負荷側の回転部200に連結された負荷1000が所定のトルク(又は、力)を出すように駆動モータを制御することであり、
図11に示すように、コントローラ(制御器)が負荷側に伝達されるトルクτ
eをフィードバックして基準トルクτ
rと比較して駆動モータを制御してもよい。
【0082】
例えば、コントローラ(制御器)は、次の数式2を用いてパルス幅変調(PWM:PulseWidthModulation)制御を行って、負荷1000側に基準トルクτrが伝達され続けるように駆動モータを制御するトルク制御を行ってもよい。
【0083】
【数2】
数式2において、F(s)は、PIDコントローラのトルク制御関数を示し、K
P、K
D及びK
Fは、PID制御のためのパラメータを意味する。
【0084】
以上においては、
図11及び数式2を参照して制御器がトルク制御を行う方法について説明したが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、各種公知のトルク制御方法を用いて駆動モータを制御してもよい。
【0085】
一方、前記位置制御は、直列弾性アクチュエータの負荷側の回転部200に連結された負荷1000が所定の回転角度(又は、位置)に見合う分だけ移動するように駆動モータを制御することであり、
図12に示すように、コントローラ(制御器)がモータ側の出力端の回転角度θ
mをフィードバックして基準角度θ
rと比較して駆動モータを制御してもよい。
【0086】
例えば、コントローラ(制御器)は、次の数式3を用いてパルス幅変調(PWM:PulseWidthModulation)制御を行って、負荷1000側が基準角度θrに見合う分だけ回転するように駆動モータを制御する位置制御を行ってもよい。
【0087】
【数3】
数式3において、P(s)は、PIDコントローラの位置制御関数を示し、K
P及びK
Dは、PID制御のためのパラメータを意味する。
【0088】
以上においては、
図12及び数式3を参照して、制御器が位置制御を行う方法について説明したが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、各種公知の位置制御方法を用いて駆動モータを制御してもよい。
【0089】
次の数式4は、前記ステップS930において制御器が外部トルクτlと臨界値トルクτthとを比較した結果に基づいて、トルク制御と位置制御との間を切り換える方法に対する一実施形態を示す。
【0090】
【数4】
数式4を参照すると、外部トルクτ
lが臨界値トルクτ
th以下である場合、制御器は、直列弾性アクチュエータの制御モードを位置制御に切り換えてもよい。
一方、外部トルクτ
lが臨界値トルクτ
thよりも大きい場合、制御器は、直列弾性アクチュエータの制御モードをトルク制御に切り換えてもよい。
【0091】
例えば、負荷1000が回転しない位置制御中に外力Flによるトルクτlが発生する場合、外部トルクτlが臨界値トルクτthに達するまでは、駆動モータが反対方向のトルクを発生させて位置制御が維持され、外部トルクτlが臨界値トルクτthを超える場合には位置制御を諦め、トルク制御に切り換えられてもよい。
【0092】
次いで、外力Flが除去されて外部トルクτlが臨界値トルクτth以下に減少すると、再び位置制御に切り換えられて、駆動モータの回転により負荷1000が元の位置に戻ることになる。
【0093】
一方、負荷1000が所定の角度だけ回転する位置制御中に外力Flにより反対方向のトルクτlが発生する場合、外部トルクτlが臨界値トルクτthに達するまでは、駆動モータが負荷1000を回転させ続けて位置制御が維持され、外部トルクτlが臨界値トルクτthを超える場合には位置制御を諦め、トルク制御に切り換えられてもよい。
【0094】
次いで、外力Flが除去されて外部トルクτlが臨界値トルクτth以下に減少すると、再び位置制御に切り換えられて、駆動モータにより負荷1000が所望の角度だけ回転することになる。
【0095】
また、負荷1000が所定の角度だけ回転する位置制御中に外力Flにより同じ方向のトルクτlが発生する場合、外部トルクτlが臨界値トルクτthに達するまでは、駆動モータが負荷1000を回転させ続けて位置制御が維持され、外部トルクτlが臨界値トルクτthを超える場合には位置制御を諦め、トルク制御に切り換えられてもよい。
【0096】
次いで、外力Flが除去されて外部トルクτlが臨界値トルクτth以下に減少すると、再び位置制御に切り換えられて、駆動モータにより負荷1000が所望の角度だけ回転することになる。
【0097】
但し、上述したように、臨界値トルクτthを基準として位置制御とトルク制御との間を切り換える場合、臨界値トルクτth近くの切り換え領域(transitionregion)において振動(oscillation)が発生するおそれがある。
【0098】
図13を参照すると、外部トルクτ
lが増加して臨界値トルクτ
thを超える時点t1で位置制御からトルク制御に切り換えられ、トルク制御に切り換えられた後にはトルクτ
lが減少してもよい。
【0099】
一方、トルクτlが減少して臨界値トルクτthに達する時点t2では、トルク制御から再び位置制御に切り換えられ、位置制御に切り換えられた後にはトルクτlが増加してもよい。
【0100】
上述したように、臨界値トルクτth近くの切り換え領域(transitionregion)において位置制御とトルク制御との間の切り換えが繰り返し行われて、負荷側に振動が発生するおそれがある。
【0101】
本発明の他の実施形態によれば、上述したような切り換え領域(transitionregion)における振動(oscillation)を低減させるために、外部トルクτlが臨界値トルクτthから所定のトルクτhysを差し引いた値以下に減少する場合にトルク制御から位置制御に切り換えられるように制御器が動作してもよい。
【0102】
【0103】
数式5を参照すると、外部トルクτlが臨界値トルクτthに達する場合、位置制御からトルク制御に切り換えられ、外部トルクτlが臨界値トルクから所定のトルクを差し引いた値(τth-τhys)まで減少する場合、トルク制御から位置制御に切り換えられてもよい。
【0104】
図14を参照すると、外部トルクτ
lが増加して臨界値トルクτ
thを超える時点T1で位置制御からトルク制御に切り換えられ、トルク制御に切り換えられた後にはトルクτ
lが減少してもよい。
【0105】
一方、トルクτlが減少して臨界値トルクτthに達する時点で制御モードが切り換えられずにトルク制御を維持して、負荷1000側に伝達されるトルクτlが所望の基準トルク値を維持することができる。
【0106】
次いで、外力Flが除去されて外部トルクτlが臨界値トルクから所定のトルクを差し引いた値(τth-τhys)に達する時点T2で、トルク制御から位置制御に切り換えられてもよい。
【0107】
上述した本発明の一実施形態に係る方法はコンピュータにおいて起動されるためのプログラムとして作成されてもよく、前記プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記憶されてもよい。コンピュータにより読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ保存装置などが挙げられ、なお、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)の形態で実現されるものも含む。
【0108】
コンピュータにより読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで結ばれたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータにより読み取り可能なコードが記憶され且つ起動可能である。なお、前記方法を実現するための機能的な(function)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーにより容易に推論可能である。
【0109】
なお、以上においては、本発明の好適な実施形態について図示し且つ説明したが、本発明は上述した特定の実施形態に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲において請求する本発明の趣旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により様々な変形実施が可能であるということはいうまでもなく、これらの変形実施は、本発明の技術的な思想や展望から個別的に理解されてはならない。