(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】換気および濾過の効率調節を組み合わせた喫煙物品
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A24D3/04
(21)【出願番号】P 2018566308
(86)(22)【出願日】2017-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2017065840
(87)【国際公開番号】W WO2018002042
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-18
(32)【優先日】2016-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】フィゲロア ロア マーク シー
(72)【発明者】
【氏名】ユテュリー ジェローム
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516523(JP,A)
【文献】国際公開第2015/101605(WO,A1)
【文献】特開2015-107135(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0029053(KR,A)
【文献】特表2016-514472(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0185011(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこロッドおよびフィルターを備える喫煙物品であって、前記フィルターが、以下を含むフィルターユニット、すなわち
濾過材料の第一のセグメントと、
前記第一のセグメントの上流にある濾過材料の管状要素を備える第二のセグメントであって、前記管状要素が外径(D2)および内径(D1)を有し、前記管状要素の内表面が実質的に不通気性であり、前記第二のセグメントが、前記管状要素内に配置された不可逆的に潰れやすい流量制限器をさらに備え、前記流量制限器が、前記フィルターに荷重がかかると潰れやすいものとを備え、
前記内径(D1)が前記外径(D2)の少なくとも70パーセントであり、
前記流量制限器が実質的に潰れていない状態にある時、前記フィルターユニットが第一のRTDを有し、また前記流量制限器が潰れた時、前記フィルターユニットが第二のRTDを有し、前記第二のRTDが前記第一のRTDよりも小さく、
潰れやすい流量制限器がオープンセルまたはクローズセルの形状記憶性を有さない非弾性の発泡材料または不可逆的に変形可能なろうまたはパテ様の高分子材料で作製される
喫煙物品。
【請求項2】
前記管状要素が前記管状要素の前記内表面を画定する中空管を含み、前記濾過材料が前記中空管付近に配置されている、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記流量制限器が20ニュートン未満の固有の圧縮降伏強度を有する、請求項1または請求項2に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記流量制限器が少なくとも10ニュートンの固有の圧縮降伏強度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記第二のセグメントの圧縮降伏強度が45ニュートン未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記第一のRTDが少なくとも120水柱ミリメートルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記第二のRTDが100水柱ミリメートル未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記流量制限器の横断面積が、前記管状要素の理論上の自由断面積の少なくとも70パーセントである、請求項1~7のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記流量制限器が前記管状要素に係合して、前記流量制限器を前記管状要素内に保持するように、前記流量制限器の少なくとも一つの断面寸法が前記管状要素の前記内径(D1)と少なくとも同じである、請求項1~8のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記フィルターの横断方向に測定した前記流量制限器の前記少なくとも一つの断面寸法が、前記管状要素の前記内径(D1)と実質的に等しい、請求項9に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記流量制限器が実質的に球体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項12】
濾過材料の前記第一のセグメントに沿った位置にある換気ゾーンを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記流量制限器が実質的に潰れていない状態にある時、前記喫煙物品の換気レベルが少なくとも40パーセントである、請求項12に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記管状要素の前記内表面が実質的に不通気性の被覆材料の層によって画定されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこロッドおよびフィルターを含む喫煙物品に関連する。
【背景技術】
【0002】
紙巻たばこなどの燃焼式喫煙物品は通常、紙ラッパーで囲まれて、円筒形のたばこロッドと、包まれたたばこロッドと端と端を接して軸方向に整列された円筒形のフィルターとを形成する、細かく切られたたばこ(一般的にカットフィラーの形状のたばこ)を含む。円筒形のフィルターは通常、紙プラグラップによって取り囲まれている濾過材料を含む。通常、包まれたたばこロッドとフィルターは、チッピングペーパーの帯によって結合される。紙巻たばこは、その一方の端に点火し、細かく切られたたばこロッドを燃焼することによって、消費者によって使用される。次に、消費者は紙巻たばこの反対側の端(口側の端またはフィルター端)で吸うことによって主流煙を受ける。
【0003】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当業界において提唱されてきた。加熱式喫煙物品において、エアロゾルはエアロゾル発生基体(たばこなど)を加熱することによって生成される。周知の加熱式喫煙物品には、例えばエアロゾルが電気的加熱によるか、または可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル形成基体への熱の伝達によって生成される喫煙物品が含まれる。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。また、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン源から、燃焼することなく、また一部の場合には加熱することなく、例えば化学反応によって生成される、喫煙物品も周知である。
【0004】
空気をフィルターに入れるように適合された一つ以上の気流経路を開く度合いを変化させることで、換気のレベルを調節する手段を備える喫煙物品を提供することは周知である。一例として、濾過材料のプラグが、外側ラッパーが内側ラッパーに対して移動可能な重複する2つのラッパーによって囲まれている、フィルターを備える喫煙物品を提供することは周知である。内側ラッパーの少なくとも一部分は通気性であるか、または空気が内側ラッパーを通して流れるための経路が画定されるように、内側ラッパー内に窓が形成される。外側ラッパーが通気性の部分または内側ラッパー内の窓を塞ぐ(すなわち、ここで気流経路が制限される)第一の位置と、通気性の部分または内側ラッパー内の窓が少なくとも部分的に露出している(すなわち、ここで周囲空気は、気流経路を通して濾過材料のプラグに入ることができる)第二の位置との間で、外側ラッパーは移動可能である。
【0005】
フィルターにより多くの周囲空気を入れることによって、消費者によって引き出される主流煙がより高い程度で希釈されうるため、全粒子状物質(TPM)、タールおよび一酸化炭素など、ある一定の燃焼生成物の送達の変化は換気の調節に依存する。ところが、換気のレベルが高くなることは典型的に、引き出し抵抗(RTD)のレベルが著しく下がることに関連付けられ、これは消費者にとっては望ましくないことでありうる。
【0006】
低いRTDを補正するために、流量制限器が喫煙物品内に提供されてきた。流量制限要素は、例えば濾過材料のプラグまたはチューブ内に包埋されうる。さらに、流量制限要素を含むフィルターセグメントは、その他のフィルターセグメントと組み合わせてもよく、これは随意的に、その他の添加物(吸収材または風味剤など)を含んでもよい。これは、燃焼式喫煙物品と、たばこが加熱される喫煙物品との両方に適用されうる。
【0007】
有用性を向上させ、パーソナライズされたユーザー体験を促進する目的で、フィルター付き喫煙物品の特徴および機能を改良するニーズがなおも存在する。特に、ある一定の燃焼生成物(タールなど)の送達によって部分的に決定付けられる味覚を、消費者が選択的に調節できるような、斬新で改良されたフィルター付き喫煙物品を提供することが望ましいであろう。周囲空気をフィルターに入れるように適合された任意の気流経路を開く度合いを変化させることなく、そうした調節を達成できるフィルター付き喫煙物品を提供することが特に望ましいであろう。加えて、既存の装置に大規模な何らかの改造を要することなく簡単に製造できる、フィルター付き喫煙物品を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明によると、たばこロッドと、フィルターユニットを含むフィルターとを備える喫煙物品が提供されている。フィルターユニットは、濾過材料の第一のセグメントと、第一のセグメントの上流にある濾過材料の管状要素を備える第二のセグメントとを備え、管状要素は外径(D2)および内径(D1)を有する。管状要素の内表面は、実質的に不通気性である。さらに、第二のセグメントは、管状要素内に配置された、壊れやすいまたは不可逆的に潰れやすい流量制限器を備え、流量制限器は、フィルターに荷重がかかると破損しやすいまたは不可逆的に変形可能である。流量制限器が実質的に壊れていない状態にある時、フィルターユニットは第一のRTDを有する。流量制限器が壊れた時、フィルターユニットは第二のRTDを有し、第二のRTDは第一のRTDよりも小さい。周知のフィルター付き喫煙物品とは対照的に、本発明によるとフィルターは、濾過材料の第一のセグメントと、第一のセグメントの上流にある濾過材料の管状要素を備える第二のセグメントとを備えるフィルターユニットを備え、ここで管状要素の内表面は実質的に不通気性である。さらに、フィルターに荷重、例えば圧縮荷重をかけることによって、消費者が流量制限器を壊すことができるように、第二のセグメントは、管状要素によって内部的に画定されたくぼみ内に壊れやすい流量制限器を備える。
【0009】
無傷の時、流量制限器は、管状要素によって内部的に画定されたチャネルを少なくとも部分的に塞ぐ。下記にさらに詳細に説明する通り、最も幅の広い地点での流量制限器の横断面積は、例えば管状要素の理論上の自由断面積の少なくとも70パーセントとしうる。流量制限器は実質的にガス不透過性であるため、たばこロッドからフィルターに引き出される主流煙の流れは、大部分が管状要素の周辺を通って流れるようにそらされる。従って、こうした条件下で、フィルターユニットは第一のRTDを有し、これは第二のセグメントのRTDおよび第一のセグメントのRTDの組み合わせに対応する。第二のセグメントは、管状要素内にある周辺の濾過材料のRTDと、少なくとも部分的に塞がれたチャネルのRTDとの組み合わせであるRTDを有し、これらは効果的に並列に並べられている。
【0010】
加えて、喫煙物品が第一のセグメントに沿った位置にある換気ゾーンを含み、従って流量制限器の下流にある場合、管状要素全体にわたる圧力降下が高くなると、その結果、より多量の換気空気が管状要素の下流に、そして消費者の口に向かって引き出される。よって、高いRTD値と高い換気を組み合わせた第一の喫煙物品の構成が消費者に提供される。
【0011】
消費者が十分に大きい荷重をフィルターにかける時、壊れていないかまたは潰れていない流量制限器によってそれまで塞がれていた管状要素の断面積の少なくとも一部で、煙が自由に通過できるようになるように、流量制限器は壊れてより小さい断片になるかまたは不可逆的に潰れる。よって、入ってくる主流煙は、大部分が管状要素の中央チャネルを通って流れ、第一のセグメントに達する。対照的に、フィルターユニットの第二のセグメントを画定する管状要素の周辺の濾過材料を通して効果的に流れて流入する主流煙の割合は、実質的に減少する。従って、フィルターユニットは、実質的に濾過材料の第一のセグメントのRTDのみに対応する第二の低減されたRTDを有し、第二のセグメントのRTDは無視できる値まで低減されている。
【0012】
さらに、喫煙物品が第一のセグメントに沿った位置にある換気ゾーンを含む状況下では、管状要素全体にわたる圧力降下が低下すると、その結果、より少量の換気空気がフィルターへと、そして消費者の口に向かって引き出される。従って、低いRTD値および低い換気に関連付けられた第二の喫煙物品構成が、消費者に提供される。
【0013】
本発明による喫煙物品は、消費者がタールの送達(これは換気による影響を受けるため)と、喫煙物品のRTDを効果的に調節しうるように、消費者がある喫煙方法または他の喫煙方法を選択しやすくする。これは、当技術で周知の実施形態にある通り、喫煙物品の移動可能な要素の相対位置を正確に移動し調節することを消費者に要求することなく、有利にも達成される。
【0014】
一般に、最大5ミリグラムのタール送達レベルは、当技術において「低い」と見なされ、一方、5ミリグラムよりも高いタール送達レベルは、一般に「高い」と見なされる。本発明による喫煙物品において、流量制限器が壊れていないまたは潰れていない状態にある時、タール送達のレベルは典型的に、流量制限器が壊れたまたは不可逆的に潰れたときよりも低くなる。よって、本明細書の文脈においては、流量制限器が壊れていないかまたは潰れていない構成は時には「低タール構成」と描写されてもよく、一方、流量制限器が壊れているまたは不可逆的に潰れている構成は、「高タール構成」と呼ばれてもよい。ところが、この文脈において、「高タール」および「低タール」という用語は、上述の5ミリグラムの閾値に関連して解釈されるのではなく、むしろ2つの構成間でのタール送達の差異を示すものとして解釈される。よって、一部の実施形態において、本発明による喫煙物品は、両方の構成において5ミリグラム未満のタール送達レベル(すなわち、当技術で「低い」と一般に分類されるタール送達のレベル)を有しうる。他の実施形態において、本発明による喫煙物品は、両方の構成において5ミリグラムを超えるタール送達レベル(すなわち、当技術で「高い」と一般に分類されるタール送達のレベル)を有しうる。
【0015】
小さい圧縮荷重をフィルターにかけることは、消費者が望ましい構成を獲得するのに十分である。さらに、消費者は喫煙物品に点火する前に、または喫煙中に時を選ばずに、制限器を壊すことを選択でき、これによって喫煙物品のさらなるパーソナライゼーションが提供され、その特徴が消費者の好みに合わせて簡単に変更されうる。
【0016】
加えて、本発明による喫煙物品は、製造が簡単であり、既存の装置に対する何らかの大規模な改造を必要としない。
【0017】
本明細書で使用する「上流」および「下流」という用語は、主流煙がフィルターを通して喫煙物品の点火する末端から引き出される時の主流煙の方向に対する、フィルターまたは喫煙物品のエレメント間の相対的位置を記述するために使用される。
【0018】
本明細書で使用する「長軸方向」という用語は、下流または近位端とそれに向かい合った上流または遠位端との間の方向を描写するために使用され、また「横断」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を描写するために使用される。
【0019】
本明細書全体を通して使用される「壊れやすい」という用語は、弾性的に変形し単一の物体としてそれらの結束を保持するように適合されたその他の材料および構成要素とは対照的に、荷重、例えば圧縮荷重がかかると壊れて複数のより小さい断片になる傾向にある材料または構成要素を描写するために使用される。一例として、壊れやすい流量制限器は、管状要素の自由断面の少なくとも一部にわたって延びる壊れやすい膜として提供されうる。別の方法として、壊れやすい流量制限器は、風味のない破損しやすいカプセルでもよい。こうしたカプセルは、主流煙の味覚を変化させる能力のあるペイロードまたは添加物は何も含まず、空気のみを含みうる。さらなる別の方法として、壊れやすい流量制限器は、結合剤によって結合された小さめの粒子のもろい凝集体として提供されてもよい。小さめの粒子のサイズや、結合剤の性質および量またはその組み合わせなどのパラメータを調節することによって、こうした流量制限器の圧縮に対する抵抗を調整したり、流量制限器が、フィルターユニットの第二のセグメントのRTDに対する影響が無視できるような十分に小さい粒子に壊れることを確実にしたりすることが可能である。
【0020】
本明細書全体を通して使用される「潰れやすい」という用語は、弾性的に変形し、元の形状およびサイズを回復するように適合された他の材料および構成要素とは対照的に、荷重(圧縮荷重など)がかかると不可逆的に潰れる傾向のある材料または構成要素を描写するために使用される。一例として、潰れやすい流量制限器は、形状記憶性を有さず、それ故に圧縮された時に不可逆的に潰れるオープンセルまたはクローズセルの、もろい非弾性の発泡体材料で作製されうる。さらなる別の方法として、潰れやすい流量制限器は、ろうまたはパテ様の高分子材料といった不可逆的に変形可能な材料で作製されてもよい。本明細書で使用される「引き出し抵抗」(RTD)という用語は、22℃および101 kPa(760トル)で毎秒17.5ミリリットルの量で試験対象の物体の全長にわたり空気を強制的に通過させるために必要な圧力を意味する。これは、一般に水柱ミリメートル(mmWG)という単位で表現され、ISO 6565:2011に従い測定される。
【0021】
「換気レベル」という用語は、換気を完全に開いた状態で、フィルターの口側の端から消費者に送達される煙に含まれる空気の体積比での割合を意味する。換気要素によって達成される換気のレベルは、ISO試験方法9512:2002を使用して決定することができる。
【0022】
「最も幅の広い地点での物体(流量制限器など)の横断面積」という表現は、フィルターまたは喫煙物品の長軸方向に対して横断する平面内で測定した物体の最大断面積を意味する。一例として、長軸(A)がフィルターの長軸方向軸に対して実質的に平行に延びるように配置された卵形または楕円体の物体では、横断する断面は一般に楕円形形状を有し、物体の最も幅の広い地点で、表面積はS=π・B・Cであり、式中BおよびCは楕円体の短軸の長さである。流量制限器が半径Rを持つ球である場合、流量制限器の最も幅の広い地点での横断断面積Sは、実質的にS=π・R2となる。
【0023】
「管状要素の理論上の自由断面」という表現は、管状要素の内部断面であって、無傷であるかまたは断片に壊れているかの別なく、制限器が管状要素内に存在していなかった場合に、そのすべてがガス流に利用可能である管状要素の内部断面を意味する。よって、管状要素が内径D1を有する場合、管状要素の理論上の自由断面は、実質的にπ/4(D12)に等しい。本明細書で使用される「ガス浸透性」という用語は、浸透、すなわち材料を通したガスまたはガス状混合物(浸透物)の分子の拡散を可能にする所定の材料の傾向を描写するために使用される。浸透は拡散を通じて機能し、従って浸透物は濃度勾配に基づき移動する。浸透性は、面積の単位で、一般には平方メートルで測定される。「不通気性」および「ガス不浸透性」という用語は、材料の隙間または空孔を通して、流体(特に、空気および煙)の通過を可能にしない材料を描写するために使用される。流量制限器が空気および煙に対して不浸透性の材料を含む場合、フィルターを通して引き出される空気および煙は、濾過材料の減少した断面を通して強制的に流れる。こうして、流量制限器はフィルター浸透可能な断面積を減少させる。
【0024】
本明細書全体を通して使用される「圧縮降伏強度」という用語は、喫煙物品で使用される材料または構成要素のサイズを減少させる傾向にある荷重に抵抗するための能力を描写する。言い換えれば「圧縮降伏強度」は、圧縮に抵抗する。定義上は、材料または構成要素の最大の圧縮強度は、材料または構成要素が完全に破損する時に達する一軸性の圧縮応力値である。材料または構成要素の圧縮強度は通常、圧縮試験によって実験的に評価される。一軸性の圧縮荷重がかかると、試料(通常は円筒形)は、破壊するまで短縮され、かつ横方向に拡張する。より詳細には、本明細書において、「圧縮強度」という用語は、流量制限器の不可逆的な変形または潰れがあった時に達する一軸性の圧縮応力値を意味する。
【0025】
圧縮降伏強度は、標準検査ISO 604を用いて実験的に得ることができる。この試験において、試料(例えば、流量制限器)は、喫煙者が喫煙物品を掴んでいる時に喫煙者の指がそれに沿って流量制限器にかける圧力方向に相当する軸に沿った圧縮板によって圧縮される。試験中、板は負荷または変形が所定値に到達するまで一定の変位レートでずらされる。この手順中に、試料(流量制限器)が持ち応えた負荷が測定される。
【0026】
試験が流量制限器のみについて実施され、管状要素内に配置された流量制限器については実施されない場合、圧縮降伏強度の測定値は、流量制限器が作製される材料の形状および属性に依存し、管状要素の属性の影響を受けない。本明細書において、「固有圧縮強度」という用語は、流量制限器のみについて測定された圧縮強度の値を意味するために使用される。
【0027】
ところが、流量制限器が管状要素内に配置されている濾過材料の管状要素についても同様な測定が実施されうる。理論に拘束されることを望むものではないが、そうした条件下では、圧縮強度の測定値は、流量制限器が作製される材料の形状および属性の組み合わせだけでなく、濾過材料の組成、管状要素の壁の厚さ、その他など、管状要素の属性にも依存することが理解される。本明細書において、「第二のセグメントの圧縮強度」という用語は、そうした条件下で測定した圧縮強度の値を意味する。
【0028】
試験は流量制限器を破損する能力のある実質的に一軸性の圧縮荷重の値を決定することを目的とする一方、使用時に消費者が、管状要素内に配置された流量制限器に、例えば消費者が管状要素を捻じった場合に流量制限器にかかりうる荷重など、必ずしも純粋に圧縮性または一軸性とは言えない荷重をかけうることが理解されるべきである。本発明による喫煙物品は、たばこロッドとたばこロッドに接続されたフィルターとを備える。別の方法として、たばこロッドは、エアロゾルを発生する能力のある別のたばこ含有基体で置き換えられてもよい。
【0029】
フィルターは、濾過材料の第一のセグメントと、第一のセグメントの上流にある濾過材料を含む管状要素を備える第二のセグメントとを備える、フィルターユニットを備える。濾過材料は、任意の適切な材料(単一または複数)を含みうる。適切な材料の例は、酢酸セルロース、PLA繊維、ビスコース繊維、捲縮した紙またはその組み合わせを含む。制限器の周りでフィルター材料は局部的に圧縮されることから、低密度の濾過媒体が好ましい場合がある。
【0030】
フィルターは、少なくとも約15ミリメートルの全長を有することが好ましい。フィルターは、少なくとも約18ミリメートルの全長を有することがより好ましい。加えて、または別の方法として、フィルターの全長は、約40ミリメートル未満であることが好ましく、約35ミリメートル未満であることがより好ましい。一つの実施形態において、フィルターは約27ミリメートルの全長を有する。
【0031】
濾過材料の第一のフィルターセグメントの長さは、少なくとも約9ミリメートルであることが好ましく、少なくとも約11ミリメートルであることがより好ましい。加えて、または別の方法として、濾過材料の第一のフィルターセグメントの長さは、約15ミリメートル未満であることが好ましく、約12ミリメートル未満であることがより好ましい。
【0032】
第二のセグメントを画定する管状要素の長さは、少なくとも約5ミリメートルであることが好ましく、少なくとも約10ミリメートルであることがより好ましい。少なくとも管状要素は、流量制限器を受けるのに十分な長さを有する。加えて、または別の方法として、管状要素の長さは、約30ミリメートル未満であることが好ましく、20ミリメートル未満であることがより好ましい。好ましい一つの実施形態において、管状要素は約15ミリメートルの長さを有する。
【0033】
第二のセグメントにおいて、管状要素は、管状要素の内表面を画定する中空管を備え、かつ濾過材料は中空管の周りに配置されることが好ましい。
【0034】
中空管は、紙、厚紙、フィルター材料(例えば、酢酸セルロース)、任意の熱可塑性物質、澱粉、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ(ブチレンコハク酸塩)およびその共重合体、ポリ(ブチレンアジピン酸塩-co-テレフタル酸塩)およびその組み合わせを含むが、それに限定されない、任意の材料(単一または複数)を含みうる。
【0035】
フィルターユニットの第二のセグメントを画定する管状要素の外径(D2)は一般に、フィルターユニットと喫煙物品の全体的な直径を画定するのに大いに貢献する。これは、フィルターが、フィルターユニットを囲むフィルターラッパーと、何らかのさらなるオプションのフィルターセグメントを典型的に備え、かつチッピングペーパーがフィルターをたばこロッドに付着させるために使用されるためである。ところが、フィルターラッパーおよびチッピングペーパーの厚さは、一般にフィルターと喫煙物品の全体的な直径を著しく増加させない。従って、第二のセグメントの外径は典型的に、約5ミリメートル~約8.5ミリメートルであり、約5.4ミリメートル~約8.1ミリメートルであることが好ましい。
【0036】
一方で、フィルターユニットの第二のセグメントを画定する管状要素の内径(D1)は、本発明による喫煙物品のその他の特性を変更するために調節されうる。内径(D1)は、外径(D2)の少なくとも約70パーセントであることが好ましく、外径(D2)の少なくとも約80パーセントであることがより好ましい。
【0037】
理論に拘束されることを望むものではないが、管状要素の周辺の濾過材料の厚さおよび密度を変化することによって、フィルターユニットの第一のRTD、すなわち流量制限器が壊れていないまたは潰れていない状態にある時に得られるRTDを調節することが可能であることが理解される。同時に、濾過材料の周辺層がより厚いと、第二のセグメントの圧縮強度に影響する。よって、本発明による喫煙物品は有利なことに、喫煙物品のいくつかのパラメータが都合よく変更されうるように、特に広範囲に及ぶ設計の代案を提供しうる。
【0038】
中空管、および中空管の周りに配置された濾過材料は、その上からフィルターラッパーで包まれてもよい。フィルターラッパーは、管状要素のための強度および構造剛性を提供する。フィルターラッパーは任意の適切な材料を含みうる。一部の実施形態において、フィルターラッパーは堅いプラグラップであり、例えば堅い紙または厚紙を含む。堅い紙または厚紙の坪量は、約60グラム/平方メートルを超えることが好ましい。堅いフィルターラッパーは、高い構造剛性を提供する。フィルターラッパーは、流量制限器が管状要素内に包埋された場所での管状要素の外側での変形を阻止しうる。
【0039】
一部の実施形態において、フィルターは、管状要素の上流またはさらに下流に配置されうる、一つ以上の追加セグメントを備えうる。
【0040】
好ましい実施形態において、第一のフィルターセグメントおよび管状要素は整列し、実質的に隣接して配置される。ところが、一部の実施形態において、第一のフィルターセグメントおよび管状要素は別の方法として、相互に間隙を介してもよい。これは、第一のフィルターセグメントと管状要素の間にギャップを提供して、そのギャップがフィルター内にくぼみを画定することによって、または第一のフィルターセグメントと管状要素の間に配置された濾過材料のセグメントなど、さらなるフィルターセグメントを提供することによって、達成されうる。壊れやすいまたは不可逆的に潰れやすい流量制限器は、管状要素内に配置される。流量制限器が実質的に壊れていない状態にある時に、フィルターユニットが第一のRTDを有し、また流量制限器が壊れた時に、フィルターユニットが第一のRTDよりも小さい第二のRTDを有するように、流量制限器はフィルターに荷重がかかると、壊れるまたは不可逆的に潰れることができる。
【0041】
第一のRTDは、少なくとも約120水柱ミリメートルであることが好ましい。第一のRTDは、少なくとも約130水柱ミリメートルであることがより好ましい。第一のRTDは、少なくとも約140水柱ミリメートルであることがなおさらに好ましい。加えて、または別の方法として、第一のRTDは約190水柱ミリメートル未満であることが好ましい。第一のRTDは、約180水柱ミリメートル未満であることがより好ましい。第一のRTDは、約170水柱ミリメートル未満であることがなおさらに好ましい。一部の好ましい実施形態において、第一のRTDは約120水柱ミリメートル~約190水柱ミリメートルである。
【0042】
第二のRTDは、少なくとも約50水柱ミリメートルであることが好ましい。第二のRTDは、少なくとも約60水柱ミリメートルであることがより好ましい。第二のRTDは、少なくとも約70水柱ミリメートルであることがなおさらに好ましい。加えて、または別の方法として、第二のRTDは約100水柱ミリメートル未満であることが好ましい。第二のRTDは、約90水柱ミリメートル未満であることがより好ましい。第二のRTDは、約80水柱ミリメートル未満であることがなおさらに好ましい。一部の好ましい実施形態において、第二のRTDは約50水柱ミリメートル~約100水柱ミリメートルである。
【0043】
第一のRTDと第二のRTDの間の差は少なくとも約20水柱ミリメートルであることが好ましい。第一のRTDと第二のRTDの間の差は少なくとも約40水柱ミリメートルであることがより好ましい。第一のRTDと第二のRTDの間の差は少なくとも約60水柱ミリメートルであることがなおさらに好ましい。
【0044】
流量制限器の横断面積は、中空管の理論上の自由断面積(すなわち、π/4×内径D1の二乗)の少なくとも約70パーセントである。流量制限器の横断面積は、中空管の理論上の自由断面積の少なくとも約80パーセントであることが好ましい。流量制限器の横断面積は、中空管の理論上の自由断面積の少なくとも約95パーセントであることがなおさらに好ましい。一部の好ましい実施形態において、流量制限器が中空管によって画定されたチャネルを実質的に完全に塞ぎ、よってすべての主流煙が、第二のセグメントの周辺で第二のセグメントを横切って濾過材料を通して強制的に流れるように、流量制限器の横断面積は、中空管の理論上の自由断面積の実質的に100パーセントである。
【0045】
好ましい実施形態において、流量制限器の少なくとも一つの断面寸法は、流量制限器が中空管と係合し、流量制限器を管状要素内に保持するように、少なくとも管状要素の内径とほぼ同じである。実際には、流量制限器は、管状要素内にくさび留めされるような形状およびサイズである。これは、制限器が管状要素内の所定の位置を占めるために有利であり、これは、消費者が望んだ場合に、制限器を壊すのを容易にする。またこれは、こうした流量制限器が実質的に中空管内にくさび留めされ、そのために移動できず、これによって消費者が流量制限器を壊したり、フィルターに荷重をかけた時に潰しやすくしたりするという点で有利である。
【0046】
流量制限器は、壊れやすいまたは不可逆的に潰れやすい材料から作製される。よって、制限器が壊れるかまたは潰れた時、管状要素の理論上の自由断面積は、少なくとも部分的に、かつ不可逆的に回復される。
【0047】
流量制限器は、約20ニュートン未満の固有の圧縮降伏強度を有することが好ましい。流量制限器は、約18ニュートン未満の固有の圧縮降伏強度を有することがより好ましい。加えて、または別の方法として、流量制限器は、少なくとも約10ニュートンの固有の圧縮降伏強度を有する。流量制限器は、少なくとも約14ニュートンの固有の圧縮降伏強度を有することがより好ましい。好ましい実施形態において、流量制限器は約10ニュートン~約20ニュートンの固有の圧縮降伏強度を有する。
【0048】
これらの値は、中空の破損しやすいシェルを備える壊れやすい流量制限器では特に好ましい。当然のことながら、ろう様またはパテ様の高分子材料などの代替的な材料から形成された流量制限器は、潰すのに低めの荷重を必要としうる。一般に、流量制限器は喫煙物品の正常な取り扱い中には壊れない程度に大きく、かつ使用中に消費者が簡単に壊せるほどに小さい圧縮降伏強度を有することが有利である。少なくとも約10ニュートンの固有の圧縮降伏強度値は、喫煙物品の製造中に流量制限器が損傷を受けたり壊れたりする可能性が低いという点で有利である。
【0049】
第二のセグメントの圧縮強度は、約45ニュートン未満であることが好ましい。加えて、または別の方法として、第二のセグメントの圧縮強度は少なくとも約40ニュートンである。特に、流量制限器が喫煙物品の口側の端から所定の距離にあることを確実にしやすい。流量制限器は、喫煙物品の口側の端から少なくとも10mmであることが好ましく、喫煙物品の口側の端から少なくとも15mmであることがより好ましい。
【0050】
好ましい実施形態において、制限器は実質的に球体である。ところが、別の形状もまた可能である。制限器は、例えば実質的に円筒形でもよく、または膜として提供されてもよい。特に、制限器は、管状要素の長軸方向軸に対して直角を成す平面内に延びる膜として提供されうる。
【0051】
一部の実施形態において、制限器は中空である。実際には、制限器は空のシェルとして提供されてもよく、これは管状要素の外側から圧縮荷重をかけることで一般的に壊れやすいという点で有利である。これらの実施形態において、制限器は主流煙の属性(味覚など)に影響を及ぼす能力のある添加物またはペイロードを何も含まない。よって、とりわけ制限器は風味がなく、風味剤を含まない。ところが、中空の制限器は空気を含みうる。さらに、制限器が壊れて液体が放出される時に、制限器が壊れて生じる断片が管状要素の内表面に付着できるように、中空の制限器は液体(好ましくは粘性の液体)を含むことが望ましいことがある。
【0052】
代替的なデザインにおいて、制限器は、より小さい粒子(例えば、結合剤によってまとめて保持された顆粒)の凝集体でもよい。こうした凝集体は、消費者が制限器を細かい粒子に壊しやすいように、もろいことが望ましい。こうした凝集体は、管状要素内に分散できるほど小さく、一方で実質的に邪魔にならないような粒子へと壊れることが好ましい。
【0053】
本発明による喫煙物品は、第一のフィルターセグメントに沿った位置に換気ゾーンを備えることが好ましい。こうして、換気ゾーンは流量制限器の下流に位置する。換気ゾーンは、チッピングペーパー/フィルターラッパーを貫通する穿孔の列(単一または複数)として提供され、周囲空気が第一のセグメント内に引き出されることを可能にする。換気ゾーンは、喫煙物品の口側の端から少なくとも約9ミリメートルに位置することが好ましい。換気ゾーンは、喫煙物品の口側の端から少なくとも約10ミリメートルに位置することがより好ましい。
【0054】
換気孔の数およびサイズを調節することによって、ユーザーが喫煙物品を吸った時にフィルターに入る換気空気の量を変化させることが可能である。例えば、1列または2列の換気孔を、チッピングペーパー/フィルターラッパーを貫通して形成して、換気ゾーンを画定してもよい。これは、上述した通り、RTDと換気値の異なる組み合わせが、異なるレベルのタール送達をもたらし、そのため、本発明による喫煙物品は、より広範囲にわたる設計オプションを提供するという点で有利である。
【0055】
流量制限器が実質的に壊れていないまたは潰れていない状態にある時、本発明による喫煙物品の換気レベルは、少なくとも約40パーセントであることが好ましく、少なくとも約45パーセントであることがより好ましく、少なくとも約50パーセントであることがなおさらに好ましい。加えて、または別の方法として、流量制限器が実質的に壊れていないまたは潰れていない状態にある時、本発明による喫煙物品の換気レベルは、約85パーセント未満であることが好ましく、約80パーセント未満であることがより好ましく、約75パーセント未満であることがなおさらに好ましい。好ましい実施形態において、流量制限器が実質的に壊れていないまたは潰れていない状態にある時、喫煙物品の換気レベルは約40パーセント~約85パーセントである。
【0056】
消費者が荷重をかけることで、流量制限器が壊れたかまたは不可逆的に潰れた時、管状要素全体での圧力降下が小さくなる結果、フィルター内に引き出されて消費者の口に向かう換気空気の量が減少する。流量制限器が壊れたまたは潰れた時、本発明による喫煙物品の換気レベルは、少なくとも約20パーセントであることが好ましく、少なくとも約25パーセントであることがより好ましい。加えて、または別の方法として、流量制限器が壊れたまたは潰れた時、本発明による喫煙物品の換気レベルは、約40パーセント未満であり、約35パーセント未満であることがより好ましい。好ましい実施形態において、流量制限器が壊れたまたは潰れた時、喫煙物品の換気レベルは、約20パーセント~約40パーセントである。一部の実施形態において、管状要素は管状要素の内表面に貼り付けられた実質的に不通気性の材料の層を含む。
【0057】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながらさらに本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】
図1は、第一の構成での本発明による喫煙物品の概略断面図を示す。
【
図2】
図2は、第二の構成の、
図1の喫煙物品の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、本発明による喫煙物品10を示す。喫煙物品10は、たばこロッド12およびフィルターユニット14を備える。フィルターユニット14は、たばこロッド12と整列し、隣接して配置されている。
【0060】
フィルターユニット14は、約15ミリメートルの長さを有する濾過材料の第一のセグメント16と、約12ミリメートルの長さを有し、第一のセグメント16の上流に配置された濾過材料の管状要素18を備える第二のセグメントとを備える。第一のセグメント16および管状要素18は、実質的に整列しかつ隣接した関係にある。喫煙物品10は、第一のフィルターセグメント14に沿った場所で換気ゾーン20をさらに含む。
【0061】
管状要素18は、約7.8mmの外径D2および約5mmの内径D1を有する。より詳細には、管状要素18は、濾過材料の層によって囲まれた中空の紙チューブ22を備える。管状要素18の内表面は、実質的に不通気性である。
【0062】
さらに、フィルターユニット14は、管状要素18に沿った位置で紙チューブ22内の配置された流量制限器24を備える。流量制限器は球体であり、約4.2ミリメートルの直径を有する。よって、流量制限器24の横断面積は、中空管22の自由断面積の約70パーセントである。
【0063】
図1の実施形態において、流量制限器24は実質的に球体であり、管状要素の内径D1よりもわずかに小さい直径を有する。従って、フィルターに達する主流煙のより多くが、中空管22付近(
図1において矢印で示す)に配置された濾過材料を通した流れによって、第一のフィルターセグメント12を通して進む。従って、
図1に図示した構成では、管状要素全体にわたる、より大きい圧力降下のため、喫煙物品10は、高いRTD値および高い換気(
図1においてブロック矢印で示す)を提供する。
【0064】
流量制限器24は壊れやすい。こうして、その固有の圧縮降伏強度よりも大きい荷重がかかると、
図2に図示する通り流量制限器24は壊れて断片26になる。従って、壊れていない流量制限器24によってそれまで塞がれていた中空管22の断面の少なくとも一部は、ガス流を通すことができるようになる。こうして、入ってくる主流煙はその大部分が、第二のセグメントを、その中空のコアを通して流れ、第一のセグメントに達しがちになる(
図2において矢印で示す)。従って、喫煙物品の全体的なRTDは、実質的に第一のセグメント14のRTDのみに対応する。そうした状況下で、中空管22全体で圧力降下が小さくなる結果、フィルター内に引き出され消費者の口に向かう換気空気の量が減少する。従って、低いRTD値および低い換気に関連付けられた第二の喫煙物品構成が、消費者に提供される(
図2においてブロック矢印で示す)。
【0065】
下記の表1および表2はそれぞれ、上記で
図1および
図2に関連して説明した喫煙物品について、第一の構成(すなわち、流量制限器が無傷の状態)と第二の構成(すなわち、流量制限器が壊れた後)でそれぞれ測定したパラメータを含む。第二の構成において、タール送達の増大も観察される。
【表1】
【表2】