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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】安全梯子
(51)【国際特許分類】
   E06C 7/18 20060101AFI20221116BHJP
   E06C 1/12 20060101ALI20221116BHJP
   A62B 35/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
E06C7/18
E06C1/12
A62B35/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019003051
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020111949
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】317004081
【氏名又は名称】佐竹 繁美
(74)【代理人】
【識別番号】100188075
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 修
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 繁美
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201523179(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0252619(US,A1)
【文献】登録実用新案第3181831(JP,U)
【文献】登録実用新案第3072566(JP,U)
【文献】米国特許第08875839(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0326768(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 7/18
E06C 1/06
E06C 1/12
A62B 35/00
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を隔てて立設する左右下支柱、およびこれら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた下踏桟を有する下梯子と、
所定間隔を隔てて立設する左右上支柱、およびこれら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた上踏桟を有する上梯子と、
前記下梯子の背後で上下動自在な前記上梯子を任意の高さで係止する伸縮固定手段と、 索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる落下防止器を取り付けた二連の安全梯子であって、
前記落下防止器は、下梯子下部に取付金具で固定され、
最上段の上踏桟に定滑車が懸垂金具で釣り下げられ、
前記落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、各下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で前記上踏桟の前面に出て上昇し、前記定滑車に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されることを特徴とする二連の安全梯子。
【請求項2】
所定間隔を隔てて立設する左右下支柱、およびこれら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた下踏桟を有する下梯子と、
所定間隔を隔てて立設する左右上支柱、およびこれら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた上踏桟を有する上梯子と、
前記下梯子の背後で上下動自在な前記上梯子を任意の高さで係止する伸縮固定手段と、 索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる落下防止器を取り付けた二連の安全梯子であって、
前記落下防止器は、上梯子下部に取付金具で固定され、
最上段の上踏桟に定滑車が懸垂金具で釣り下げられ、
前記落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、各上踏桟の背後を上昇し、前記定滑車に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されることを特徴とする二連の安全梯子。
【請求項3】
所定間隔を隔てて立設する左右下支柱、およびこれら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた下踏桟を有する下梯子と、
所定間隔を隔てて立設する左右上支柱、およびこれら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた上踏桟を有する上梯子と、
前記下梯子の背後で上下動自在な前記上梯子を任意の高さで係止する伸縮固定手段と、 索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる落下防止器を取り付けた二連の安全梯子であって、
前記落下防止器は、下梯子下部に取付金具で固定され、
最上段の上踏桟に吊りローラーが懸垂金具で釣り下げられ、
前記落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、各下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で前記上踏桟の前面に出て上昇し、前記吊りローラーに掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されることを特徴とする二連の安全梯子。
【請求項4】
所定間隔を隔てて立設する左右下支柱、およびこれら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた下踏桟を有する下梯子と、
所定間隔を隔てて立設する左右上支柱、およびこれら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた上踏桟を有する上梯子と、
前記下梯子の背後で上下動自在な前記上梯子を任意の高さで係止する伸縮固定手段と、 索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる落下防止器を取り付けた二連の安全梯子であって、
前記落下防止器は、下梯子下部に取付金具で固定され、
最上段の上踏桟に吊り金車が釣り下げられ、
前記落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、各下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で前記上踏桟の前面に出て上昇し、前記吊り金車に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されることを特徴とする二連の安全梯子。
【請求項5】
所定間隔を隔てて立設する左右支柱、およびこれら左右支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた踏桟を有する梯子と、
索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる落下防止器を取り付けた一連の安全梯子であって、
前記落下防止器は、梯子下部に取付金具で固定され、
最上段の踏桟に滑車状体が取り付けられ、
前記落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、前記梯子の各踏桟の背後を上昇し、前記滑車状体に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されることを特徴とする一連の安全梯子。
【請求項6】
所定間隔を隔てて立設する左右下支柱、およびこれら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた下踏桟を有する下梯子と、
所定間隔を隔てて立設する左右上支柱、およびこれら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた上踏桟を有する上梯子と、
所定間隔を隔てて立設する左右中支柱、およびこれら左右中支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられた中踏桟を有する1つ以上の中梯子と、
前記下梯子を除く上下動自在な各梯子を任意の高さ位置で係止させるための複数の伸縮固定手段と、
索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる落下防止器を取り付けた多連の安全梯子であって、
前記落下防止器は、何れかの梯子の梯子下部に取付金具で固定され、
前記上梯子の最上段の上踏桟に滑車状体が取り付けられ、
前記落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、前記滑車状体に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されることを特徴とする多連の安全梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業を行う作業現場の近傍へ作業車で運搬し、作業現場の作業物まで手で運び、約75度の角度で作業物に立て掛けて使用する安全ブロック付きの安全梯子(一連、二連、三連以上の多連を含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
梯子の内、二連の梯子(別名:可動梯子)は、高所作業を行う際に良く使用される。
【0003】
また、安全ブロック(別名:落下防止器)は、高所作業を行う作業者の落下防止を図る際に使用される。
【0004】
特許文献1には、立坑に沿って設置した可動梯子の上部に安全ブロックを取り付けた技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-256532
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
比較的重い落下防止器を梯子上部に取り付けると、梯子の重心が上がって梯子が不安定になる。
【0007】
なお、立坑等に固定した梯子の場合は、立坑等へ手で運ぶ必要が無く、立坑等に立て掛ける必要もないので、梯子の重心が上がっても問題が無い。
【0008】
しかし、作業現場の作業物に立て掛けて使用する梯子の場合は、梯子を作業物へ手で運ぶ時や、作業物に立て掛ける時や、作業者が踏桟を昇降する時に、下記の様な不具合が発生する。
【0009】
落下防止器を取り付けた梯子上部が重くなるので、運ぶ際に梯子上部側が下がり、運び難い。
【0010】
梯子の重心が上がるため、作業物へ立て掛ける際に、梯子がグラついたり、倒れたりし易い。
【0011】
梯子の重心が上がるため、立て掛け後、踏桟を昇降する際に、梯子がグラつき易く、作業者が足を踏み外し易い。
【0012】
本発明の目的は、梯子(一連、二連、多連を含む)の重心上がりを防止した、落下防止器を取り付けた安全梯子の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[請求項1について]
二連の安全梯子は、下踏桟を有する下梯子と、上踏桟を有する上梯子と、上梯子を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段と、フック付き索状体が繰り出される落下防止器と、上踏桟に釣り下げられる定滑車とを備える。
【0014】
下梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右下支柱と、これら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる下踏桟とを有する。
【0015】
上梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右上支柱と、これら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる上踏桟とを有する。
【0016】
伸縮固定手段により、上梯子は、下梯子の背後で上下動自在であり、任意の高さで係止可能である。
【0017】
落下防止器は、索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる構造である。この落下防止器は、下梯子下部(好適には、最下段の下踏桟と、その下踏桟より下方に位置する左右下支柱とで囲まれた場所)に取付金具で固定される。
【0018】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、各下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟の前面に出て上昇し、定滑車に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されている。
【0019】
定滑車は、最上段の上踏桟に懸垂金具で釣り下げられる。
【0020】
請求項1の二連の安全梯子は、下記の利点を有する。
【0021】
比較的重い落下防止器を、下梯子下部に取付金具で固定している。また、最上段の上踏桟に懸垂金具で定滑車を釣り下げている。
【0022】
通常、(落下防止器の重量+取付金具の重量)>(定滑車の重量+懸垂金具の重量)であるため、梯子を延ばして使用する状態において、二連の安全梯子の重心が下がる。
【0023】
二連の安全梯子を延ばして使用する状態において、重心が下がるため、作業物へ立て掛けた際に、グラついたり、倒れたりし難い。
【0024】
延ばして使用する状態において、重心が下がるため、作業物へ二連の安全梯子を立て掛け後、踏桟を昇降する際に、グラつき難く、作業者が足を踏み外し難い。
【0025】
縮ませた状態の二連の安全梯子は、(落下防止器の重量+取付金具の重量)が、(定滑車の重量+懸垂金具の重量)で、ある程度相殺されるので、運搬時に下梯子下部が下がり難く、運び易い。
【0026】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、各下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟の前面に出て上昇し、定滑車に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されているので、作業者が踏桟を登る際に、索状体が干渉し難い。
【0027】
なお、落下防止器を梯子上部に取り付ける構造に比べて索状体の長さが略二倍必要となるので、落下防止器内に巻かれる索状体の長さを略二倍にするか、索状体を繋いで長くする。
[請求項2について]
二連の安全梯子は、下踏桟を有する下梯子と、上踏桟を有する上梯子と、上梯子を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段と、フック付き索状体が繰り出される落下防止器と、上踏桟に釣り下げられる定滑車とを備える。
【0028】
下梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右下支柱と、これら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる下踏桟とを有する。
【0029】
上梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右上支柱と、これら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる上踏桟とを有する。
【0030】
伸縮固定手段により、上梯子は、下梯子の背後で上下動自在であり、任意の高さで係止可能である。
【0031】
落下防止器は、索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる構造である。この落下防止器は、上梯子下部(好ましくは、最下から二段上の上踏桟と、その一つ上の上踏桟と、これらの上踏桟間に位置する左右上支柱とで囲まれる場所)に取付金具で固定される。
【0032】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、各上踏桟の背後を上昇し、定滑車に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されている。
【0033】
定滑車は、最上段の上踏桟に懸垂金具で釣り下げられる。
【0034】
請求項2の二連の安全梯子は、下記の利点を有する。
【0035】
請求項2の二連の安全梯子は、比較的重い落下防止器を上梯子下部に取付金具で固定し、最上段の上踏桟に懸垂金具で定滑車を釣り下げている。
【0036】
このため、梯子を延ばして使用する状態において、落下防止器を梯子上部に取り付ける従来の梯子の場合は重心が上がってしまうが、請求項2の二連の安全梯子では重心の上がりは少ない。
【0037】
二連の安全梯子を延ばして使用する状態において、重心の上がりが少ないため、作業物へ二連の安全梯子を立て掛ける際に、グラついたり、倒れたりしい。
【0038】
二連の安全梯子を延ばして使用する状態において、重心の上がりが少ないため、作業物へ二連の安全梯子を立て掛け後に踏桟を昇降する際にもグラつき難く、作業者が足を踏み外しい。
【0039】
二連の安全梯子は、畳んだ状態において、(落下防止器の重量+取付金具の重量)が、(定滑車の重量+懸垂金具の重量)で、ある程度相殺されるので、持ち運ぶ際に、上梯子下部が下がり難く、運び易い。
【0040】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、各上梯子の背後を上昇し、定滑車に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されているため、二連の安全梯子を延ばす際に、索状体が下梯子に干渉し難い。
【0041】
請求項2の二連の安全梯子は、落下防止器を梯子上部に取り付ける構造に比べて索状体を長くする必要があるので、落下防止器内に巻かれる索状体の長さを長くするか、索状体を繋いで長くする。
【0042】
しかし、請求項2の二連の安全梯子は、請求項1の二連の安全梯子に比べて、索状体の繰り出し長が略3/4で良いで、落下防止器内に巻かれる索状体の長さを略3/4にすることができる。
[請求項3について]
二連の安全梯子は、下踏桟を有する下梯子と、上踏桟を有する上梯子と、上梯子を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段と、フック付き索状体が繰り出される落下防止器と、上踏桟に釣り下げられる吊りローラーとを備える。
【0043】
下梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右下支柱と、これら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる下踏桟とを有する。
【0044】
上梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右上支柱と、これら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる上踏桟とを有する。
【0045】
伸縮固定手段により、上梯子は、下梯子の背後で上下動自在であり、任意の高さで係止可能である。
【0046】
落下防止器は、索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる構造である。この落下防止器は、下梯子下部(好ましくは、最下段の下踏桟と、その下踏桟より下方に位置する左右下支柱とで囲まれる場所)に取付金具で固定される。
【0047】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、各下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟の前面に出て上昇し、吊りローラーに掛け渡されてから各踏桟を垂下する様に引き回されている。
【0048】
吊りローラーは、最上段の上踏桟に懸垂金具で釣り下げられる。
【0049】
請求項3の二連の安全梯子は、下記の利点を有する。
【0050】
請求項3の二連の安全梯子は、比較的重い落下防止器を下梯子下部に取付金具で固定し、最上段の上踏桟に吊りローラーを懸垂金具で釣り下げている。
【0051】
通常、(落下防止器の重量+取付金具の重量)>(吊りローラーの重量+懸垂金具の重量)であるため、請求項3の二連の安全梯子は、延ばして使用する状態において重心が下がる。
【0052】
延ばして使用する状態において重心が下がるため、作業物へ二連の安全梯子を立て掛ける際に、グラついたり、倒れたりしい。
【0053】
延ばして使用する状態において重心が下がるため、作業物へ二連の安全梯子を立て掛け後、踏桟を昇降する際にもグラつき難く、作業者が足を踏み外しい。
【0054】
畳んだ状態において、二連の安全梯子は、(落下防止器の重量+取付金具の重量)が、(吊りローラーの重量+懸垂金具の重量)により若干相殺されるので、運搬時に下梯子下部が下がり難く、運び易い。
【0055】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟の前面に出て上昇し、吊りローラーに掛け渡されてから垂下する様に引き回されているので、作業者が踏桟を登る際に索状体が干渉し難い。
【0056】
なお、落下防止器を梯子上部に取り付ける構造に比べて索状体の長さが略二倍必要となるので、落下防止器内に巻かれる索状体の長さを略二倍にするか、索状体を繋いで長くする。
【0057】
吊りローラーは、通常、シープの溝がV字状であるので、定滑車に比べ、索状体が外れ難い。
[請求項4について]
二連の安全梯子は、下踏桟を有する下梯子と、上踏桟を有する上梯子と、上梯子を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段と、フック付き索状体が繰り出される落下防止器と、上踏桟に釣り下げられる吊り金車とを備える。
【0058】
下梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右下支柱と、これら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる下踏桟とを有する。
【0059】
上踏桟は、所定間隔を隔てて立設する左右上支柱と、これら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる上踏桟とを有する。
【0060】
伸縮固定手段により、上梯子は、下梯子の背後で上下動自在であり、任意の高さで係止可能である。
【0061】
落下防止器は、索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる構造である。この落下防止器は、下梯子下部(好ましくは、最下段の下踏桟と、その下踏桟より下方に位置する左右下支柱とで囲まれる場所)に取付金具で固定される。
【0062】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、各下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟の前面に出て上昇し、吊り金車に掛け渡されてから垂下する様に引き回されている。
【0063】
吊り金車は、最上段の上踏桟に釣り下げられる。
【0064】
請求項4の二連の安全梯子は、下記の利点を有する。
【0065】
比較的重い落下防止器を下梯子下部(好ましくは、最下段の下踏桟と、その下踏桟より下方に位置する左右下支柱とで囲まれる場所)に取付金具で固定している。また、最上段の上踏桟に吊り金車を釣り下げている。
【0066】
通常、(落下防止器の重量+取付金具の重量)>吊り金車の重量であるため、二連の安全梯子を延ばして使用する状態において重心が下がる。
【0067】
請求項4の二連の安全梯子は、延ばして使用する状態において重心が下がるため、作業物へ二連の安全梯子を立て掛ける際に、グラついたり、倒れたりし難い。
【0068】
請求項4の二連の安全梯子は、延ばして使用する状態において重心が下がるため、作業物へ二連の安全梯子を立て掛け後、踏桟を昇降する際にもグラつき難く、作業者が足を踏み外し難い。
【0069】
畳んだ状態において、二連の安全梯子は、(落下防止器の重量+取付金具の重量)が、吊り金車の重量により、ある程度相殺されるので、持ち運ぶ際に、下梯子下部が下がり難く、運び易い。
【0070】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、各下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟の前面に出て上昇し、吊り金車に掛け渡されてから各梯子を垂下する様に引き回されているので、作業者が踏桟を登る際に、索状体が干渉し難い。
【0071】
なお、請求項4の二連の安全梯子は、落下防止器を梯子上部に取り付ける従来の二連の梯子に比べて索状体の長さが略二倍必要となるので、落下防止器内に巻かれる索状体の長さを略二倍にするか、索状体を繋いで長くする。
[請求項5について]
一連の安全梯子は、梯子と、フック付き索状体が繰り出される落下防止器と、踏桟に取り付けられる滑車とを備える。
【0072】
梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右支柱と、これら左右支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる踏桟とを有する。
【0073】
落下防止器は、索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる構造である。この落下防止器は、梯子下部(好ましくは、最下段の踏桟と、その踏桟より下方に位置する左右支柱とで囲まれる場所)に取付金具で固定される。
【0074】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、梯子の各踏桟の背後を上昇し、滑車に掛け渡されてから、各踏桟の前面を垂下する様に引き回されている。
【0075】
滑車状体は、最上段の踏桟に取り付けられる。
【0076】
請求項5の一連の安全梯子は、下記の利点を有する。
【0077】
請求項5の一連の安全梯子は、比較的重い落下防止器を梯子下部に取付金具で固定している。また、最上段の踏桟に滑車を取り付けている。
【0078】
通常、(落下防止器の重量+取付金具)>(滑車の重量)であるため、一連の安全梯子の使用状態において重心が下がる。
【0079】
請求項5の一連の安全梯子は、梯子の使用状態において、重心が下がるため、作業物へ立て掛けた際に、グラついたり、倒れたりし難い。
【0080】
また、重心が下がるため、作業物へ一連の安全梯子を立て掛け後、踏桟を昇降する際にもグラつき難く、作業者が足を踏み外し難い。
【0081】
一連の安全梯子は、(落下防止器の重量+取付金具)が、(滑車の重量)で、ある程度相殺されるので、運搬時に梯子下部が下がり難く、運び易い。
【0082】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、梯子の各踏桟の背後を上昇し、滑車状体に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されているので、作業者が踏桟を登る際に、索状体が干渉し難い。
【0083】
なお、一連の安全梯子は、落下防止器を梯子上部に取り付ける従来の一連の梯子に比べて索状体の長さが略二倍必要となるので、落下防止器内に巻かれる索状体の長さを略二倍にするか、索状体を繋いで長くする。
[請求項6について]
多連の安全梯子は、下踏桟を有する下梯子と、上踏桟を有する上梯子と、中踏桟を有する1つ以上の中梯子と、フック付き索状体が繰り出される落下防止器と、上踏桟に取り付けられる滑車状体とを備える。
【0084】
下梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右下支柱と、これら左右下支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる下踏桟とを有する。
【0085】
上梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右上支柱と、これら左右上支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる上踏桟とを有する。
【0086】
1つ以上の中梯子は、所定間隔を隔てて立設する左右中支柱と、これら左右中支柱の異なる高さ位置に複数取り付けられる中踏桟とを有する。
【0087】
伸縮固定手段により、下梯子を除く各梯子は、上下動自在であり、任意の高さ位置で係止可能である。
【0088】
落下防止器は、索状体の引出速度が限界値を越えるとロックがかかる構造である。この落下防止器は、何れかの梯子の梯子下部(好ましくは、最下段の下踏桟と、その下踏桟より下方に位置する左右下支柱とで囲まれた下梯子下部)に取付金具で固定される。
【0089】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、滑車に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されている。
【0090】
滑車状体は、上梯子の最上段の上踏桟に取り付けられる。
【0091】
請求項6の多連の安全梯子は、下記の利点を有する。
【0092】
請求項6の多連の安全梯子は、比較的重い落下防止器を、何れかの梯子の梯子下部に取付金具で固定し、上梯子の最上段の上踏桟に滑車状体を取り付けている。
【0093】
梯子を延ばして使用する状態において、落下防止器を梯子上部に取り付ける従来の梯子の場合は重心が大幅に上がってしまう。
【0094】
しかし、通常、(落下防止器の重量+取付金具)>(滑車状体の重量)であるため、請求項6の多連梯子では、その使用状態では、重心が下がる(下方段の梯子の梯子下部に落下防止器を取り付けた場合)か、または重心の上がりが少ない(上方段の梯子の梯子下部に落下防止器を取り付けた場合)。
【0095】
請求項6の多連の安全梯子を延ばして使用する状態において、重心が下がるか、または、重心の上がりが少ないため、作業物へ多連の安全梯子を立て掛ける際に、グラついたり、倒れたりしい。
【0096】
多連の安全梯子を延ばして使用する状態において、重心が下がるか、または、重心の上がりが少ないため、作業物へ多連の安全梯子を立て掛け後、踏桟を昇降する際にもグラつき易く、作業者が足を踏み外しい。

【0097】
多連の安全梯子は、畳んだ状態において、(落下防止器の重量+取付金具の重量)が、(滑車状体の重量)で、ある程度相殺されるので、持ち運ぶ際に、上梯子下部が下がり難く、運び易い。
【0098】
落下防止器から繰り出されるフック付き索状体は、梯子使用時において、滑車に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されているため、多連梯子を延ばす際に、索状体が梯子に干渉し難い。
【0099】
なお、請求項6の多連の安全梯子は、落下防止器を梯子上部に取り付ける構造に比べて索状体を長くする必要があるので、落下防止器内に巻かれる索状体の長さを長くするか、索状体を繋いで長くする。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1】本発明の実施例1に係る二連の安全梯子の説明図である。
図2】二連の安全梯子に用いる落下防止器の説明図である。
図3】本発明の実施例2に係る二連の安全梯子の説明図である。
図4】本発明の実施例3に係る二連の安全梯子の説明図である。
図5】本発明の実施例4に係る二連の安全梯子の説明図である。
図6】本発明の実施例5に係る一連の安全梯子の説明図である。
図7】本発明の実施例6に係る三連の安全梯子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0101】
二連の安全梯子は、複数の下踏桟を有する下梯子と、複数の上踏桟を有する上梯子と、上梯子を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段と、下梯子下部に固定されフック付きの索状体を繰り出す落下防止器と、上踏桟に釣り下げられる定滑車とを備え、落下防止器から繰り出される索状体は、各下梯子の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟の前面に出て上昇し、定滑車に掛け渡されてから各梯子の背後を垂下する様に引き回されている。
【0102】
二連の安全梯子は、下梯子下部に落下防止器を固定しているので、重心が下がり、作業物へ二連の安全梯子を立て掛ける際に、グラついたり、倒れたりし難い。また、作業物へ二連の安全梯子を立て掛け後、踏桟を昇降する際にもグラつき難く、作業者が足を踏み外し難い。
【実施例1】
【0103】
本発明の実施例1に係る二連の安全梯子A(請求項1に対応)を、図1および図2に基づいて説明する。
【0104】
図1に示す如く、二連の安全梯子Aは、左下支柱11~右下支柱12間に複数の下踏桟13を取り付けた下梯子1と、左上支柱21~右上支柱22間に複数の上踏桟23を取り付けた上梯子2と、上梯子2を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段3と、下梯子下部に取付金具10により固定される落下防止器4と、上踏桟23に懸垂金具50により吊り下げられる定滑車5とを備える。
【0105】
左下支柱11、右下支柱12は、断面が長方形で、長さが数mの中空アルミパイプである。左下支柱11および右下支柱12の下端には、滑り止め用の端具111、112が取り付けられている。
【0106】
左下支柱11、右下支柱12は、数十cmの間隔を隔てて並設され、左下支柱11~右下支柱12間に、七個の下踏桟13が等間隔に取り付けられている。
【0107】
左上支柱21、右上支柱22は、断面が長方形で、長さが数mの中空アルミパイプである。
【0108】
左上支柱21および右上支柱22の上端には、怪我防止用のエンドキャップ211、221が取り付けられている。
【0109】
左上支柱21、右上支柱22は、数十cmの間隔を隔てて並設され、左上支柱21~右上支柱22間に、六個の上踏桟23が取り付けられている。
【0110】
伸縮固定手段3は、ブラケット31、32、止め金具33、ロック、およびラック等により構成され、下梯子3の背後で上梯子2を上下動自在に支持するとともに、上梯子2を任意の高さで係止可能とする公知の機構である。
【0111】
なお、上梯子2の下端を下梯子1の下端まで下げると、上梯子2が取付金具10に当たるため、二連の安全梯子Aを運搬する時や保管する際には、上梯子2の下端を下梯子1の2段目に下げる。
【0112】
落下防止器4は、ワイヤーwの引出速度が限界値を越えると、ロックがかかる構造である(図2参照)。この落下防止器4は、最下段の下踏桟13と、その下踏桟13より下方に位置する左右下支柱11、12とで囲まれる下梯子下部に取付金具10により固定される。
【0113】
落下防止器4のハウジング40は、取付金具10にボルト止めされる背面側ハウジング41と、前面側ハウジング42とを連結してなる。
【0114】
取付金具10は、断面略コ字状を呈し、下梯子1の下端の左右下支柱11、12にボルト止めされる。
【0115】
落下防止器4の軸411は、背面側ハウジング41の中央に固定されている。
【0116】
背面側ハウジング41には、ドラム43が収納され、軸411に回動可能に遊嵌されている。このドラム43には、フックf付きのワイヤーwが巻き付けられている。
【0117】
フックfは、作業者の安全ベルトの金具に引っ掛けるためのものである。
【0118】
ドラム43は、スプリング(図示せず)を内蔵し、このスプリングの付勢力により回動してワイヤーwが巻き取られる。
【0119】
ドラム43の内周側には軸44が固着され、外周側には軸45が固着されている。
【0120】
前面側ハウジング42の中央には、ラチェットホイール46が固着されている。
【0121】
軸44には、ラチェット47が回動可能に取り付けられている。ラチェット47の基端側は、スプリング48を介して軸45に接続されている。
【0122】
ラチェット47は、ラチェットホイール46に係止されない様に、スプリング48により半時計方向に付勢されている。この状態であると、軸411に遊嵌されたドラム43は、回動が可能である。この状態とは、作業者が通常の速度で梯子を昇降する場合である。
【0123】
作業者が、誤って二連の安全梯子Aの何れかの踏桟から足を踏み外すと、後述する定滑車5を介してワイヤーwが急激に引き出されるため、ドラム43が高速回転し、ラチェット47がスプリング48の力に抗して軸44の周りを回動し、ラチェットホイール46と噛み合う。
【0124】
これにより、ドラム43の回動が阻止されるため、ワイヤーwの繰り出しが止まり、作業者の地面への激突が未然に防げる。
【0125】
落下防止器4から繰り出されるフックf付きのワイヤーwは、下梯子1の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟2の前面に出て上昇し、後述する定滑車5のシープ51に掛け渡されてから垂下する様に引き回されている。
【0126】
なお、二連の安全梯子Aを運搬する時や保管する際には、落下防止器4から繰り出されるワイヤーwを定滑車5に掛け渡たしてから若干垂下させて、フックfを定滑車5より下方の上踏桟23に係止させておく。
【0127】
定滑車5は、ワイヤーwが掛けられる凹溝を周設した円盤状のシープ51と、シープ51を回動自在に軸52で軸支する懸垂穴付きの軸枠ホルダー53とを備える。
【0128】
懸垂金具50は、天板501と、天板501の下面から垂下する穴付きの吊下片502、502と、天板501を最上段の上踏桟23に固定するためのボルト・ナット503と、吊下片502の穴および軸枠ホルダー53の懸垂穴に嵌め込まれる取付ピン504とからなり、定滑車5を最上段の上踏桟23の中央下面に釣り下げている。
【0129】
つぎに、実施例1の二連の安全梯子Aの使用方法を述べる。
(1)縮んだ状態の二連の安全梯子Aを作業現場に運び、家屋(作業物)の屋根の近くの地面に倒した状態で置く。そして、フックfを踏桟(例えば上踏桟23)から外し、限界値を越えない速度で、踏桟の寸法程度、ワイヤーwを引き出しておく。
【0130】
なお、二連の安全梯子Aが縮んだ状態(運搬時や保管時)では、落下防止器4から繰り出されるワイヤーwを、各下梯子13の背後を臨ませて、梯子の重なり部分で上踏桟23の前面に出し、定滑車5のシープ51に掛け渡たしてからフックfを踏桟(例えば上踏桟23)に係止させておく。
(2)二連の安全梯子Aを倒した状態で、留め金33の係止を解除し、上梯子2を最大長まで延ばし、留め金33を下梯子1の最上段の下踏桟13に係止して、上梯子2を固定する。
(3)延ばした二連の安全梯子Aを、75度の設置角度で家屋に立て掛ける。そして、ワイヤーwのフックfを作業員の安全ベルトのカラビラに嵌め込む。
(4)作業員は、下梯子1の下踏桟13から二連の安全梯子Aを昇り始め、つなぎ目で上梯子2の上踏桟23に乗り換えて二連の安全梯子Aを昇り、家屋の屋根に到達する。
【0131】
万が一、作業者が二連の安全梯子Aの踏桟から足を踏み外した場合には、定滑車5のシープ51を介してワイヤーwが落下防止器4から急激に引き出されるため、ドラム43が高速回転し、ラチエット47がスプリング48の力に抗して軸44の周りを回動し、ラチエットホイール46と噛み合う。
【0132】
これにより、ドラム43の回動が阻止され、ワイヤーwの繰り出しが止まり、作業者の転落が中断し、地面への激突が防止される。
【0133】
実施例1の二連の安全梯子Aは、以下の利点を有する。
【0134】
二連の安全梯子Aは、比較的重い落下防止器4を取付金具10により下梯子下部に固定している。そして、最上段の上踏桟23に定滑車5を懸垂金具50により釣り下げている。
【0135】
これにより、(取付金具10+落下防止器4の重量)>(定滑車5+懸垂金具50の重量)であるため、梯子を延ばして使用する状態において、落下防止器4および定滑車5を付けない二連の安全梯子に比べ、二連の安全梯子Aは、重心が下がる。
【0136】
二連の安全梯子Aは、延ばして使用する状態において重心が下がるため、作業物である家屋へ立て掛ける際に、二連の安全梯子Aが、グラついたり倒れたりし難い。
【0137】
二連の安全梯子Aを延ばして使用する状態において、重心が下がるため、家屋へ二連の安全梯子Aを立て掛け後、下踏桟13や上踏桟23を作業者が昇降する際にもグラつき難く、作業者が踏桟から足を踏み外し難い。
【0138】
二連の安全梯子Aは、畳んだ状態において、(取付金具10+落下防止器4の重量)が、ある程度、(定滑車5+懸垂金具50の重量)で相殺されるので、下梯子下部が極端に下がらず、運び易い。
【0139】
二連の安全梯子Aを延ばして使用する状態において、落下防止器4から繰り出されるフックf付きワイヤーwは、各下梯子1の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上梯子2の前面に出て上昇し、定滑車5に掛け渡されてから各踏桟を垂下する様に引き回されているので、作業者が、下踏桟13や上踏桟23を登る際や転落時に、ワイヤーwが、作業者や下梯子1や上梯子2と干渉し難い。
【0140】
なお、二連の安全梯子Aは、落下防止器4を梯子上部に取り付ける梯子に比べてワイヤーwの長さが略二倍必要となるので、落下防止器4内に巻かれるワイヤーwの長さを略二倍にするか、ワイヤーwを繋いで長くする。
【実施例2】
【0141】
つぎに、本発明の実施例2に係る二連の安全梯子B(請求項3に対応)を、図2および図3に基づいて説明する。
【0142】
図3に示す如く、二連の安全梯子Bは、左下支柱11~右下支柱12間に複数の下踏桟13を取り付けた下梯子1と、左上支柱21~右上支柱22間に複数の上踏桟23を取り付けた上梯子2と、上梯子2を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段3と、下梯子下部に取付金具10を固定した落下防止器4と、最上段の上踏桟23に懸垂金具50により釣り下げられる吊りローラー6とを備える。
【0143】
実施例2の二連の安全梯子Bは、下記の点で実施例1の二連の安全梯子Aと異なる。
【0144】
実施例2の二連の安全梯子Bは、定滑車5の代わりに吊りローラー6を採用している。
【0145】
吊りローラー6は、ワイヤーwが掛けられるV溝を周設した糸巻状のシープ61と、シープ61を回動自在に軸支する断面略U字状のホルダー62と、ホルダー62の上面に配設される吊下金具63とを備え、吊下金具63を取付ピン504に嵌め込んで上踏桟23へ釣り下げられている。
【0146】
作業者が二連の安全梯子Bの踏桟から足を踏み外すと、吊りローラー6のシープ61を介してワイヤーwが急激に引き出されるため、ドラム43が高速回転し、ラチェット47がスプリング48の力に抗して軸44の周りを回動し、ラチェットホイール46と噛み合う。
【0147】
これにより、ドラム43の回動が阻止されるため、ワイヤーwの繰り出しが止まり、作業者の地面への激突が未然に防げる。
【0148】
二連の安全梯子Bを延ばして使用する状態において、落下防止器4から繰り出されるフックf付きのワイヤーwは、各下梯子1の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟2の前面に出て上昇し、吊りローラー6のシープ61に掛け渡されてから各踏桟を垂下する様に引き回されている。
【0149】
なお、二連の安全梯子Bを縮んだ状態で、運搬や保管する際には、落下防止器4から繰り出されるワイヤーwを吊りローラー6のシープ61に掛け渡たしてから若干垂下させて、フックfを吊りローラー6より下方の上踏桟23に係止させておく。
【0150】
二連の安全梯子Bを延ばして使用する状態において、作業者が二連の安全梯子Bの踏桟から足を踏み外した場合には、吊りローラー6のシープ61を介してワイヤーwが落下防止器4から急激に引き出されるため、ドラム43が高速回転し、ラチエット47がスプリング48の力に抗して軸44の周りを回動し、ラチエットホイール46と噛み合う。
【0151】
これにより、ドラム43の回動が阻止され、ワイヤーwの繰り出しが止まり、作業者の転落が中断し、作業者の地面への激突が防止できる。
【0152】
実施例2の二連の安全梯子Bは、以下の利点を有する。
【0153】
二連の安全梯子Bは、比較的重い落下防止器4を取付金具10により下梯子下部に固定している。そして、最上段の上踏桟23に吊りローラー6を懸垂金具50で釣り下げている。
【0154】
通常、(取付金具10+落下防止器4の重量)>(吊りローラー6+懸垂金具50)であるため、二連の安全梯子Bを延ばして使用する状態において、落下防止器4および吊りローラー6を付けない二連の梯子に比べて重心が下がる。
【0155】
二連の安全梯子Bを延ばして使用する状態において、重心が下がるため、作業物である家屋へ二連の安全梯子Bを立て掛ける際に、二連の安全梯子Bが、グラついたり倒れたりし難い。
【0156】
二連の安全梯子Bを延ばして使用する状態において、重心が下がるため、家屋へ二連の安全梯子Bを立て掛け後、下踏桟13や上踏桟23を作業者が昇降する際にもグラつき難く、作業者が踏桟から足を踏み外し難い。
【0157】
二連の安全梯子Bを畳んだ状態において、(取付金具10の重量+落下防止器4の重量)が、ある程度、(吊りローラー6の重量+懸垂金具50の重量)で相殺されるので、下梯子下部が極端に下がらず、運び易い。
【0158】
二連の安全梯子Bを延ばして使用する状態において、落下防止器4から繰り出されるフックf付きワイヤーwは、各下梯子1の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上梯子2の前面に出て各上梯子2の前面を上昇し、吊りローラー6に掛け渡されてから各梯子を垂下する様に引き回されているので、作業者が、下踏桟13や上踏桟23を登る際や転落時に、ワイヤーwが、作業者や下梯子1や上梯子2と干渉し難い。
【0159】
なお、二連の安全梯子Bは、落下防止器4を梯子上部に取り付ける梯子に比べてワイヤーwの長さが略二倍必要となるので、落下防止器4内に巻かれるワイヤーwの長さを略二倍にするか、ワイヤーwを繋いで長くする。
【0160】
吊りローラー6は、糸巻状のシープ61のV溝が深いため、定滑車5に比べワイヤーwが外れ難い。
【実施例3】
【0161】
つぎに、本発明の実施例3に係る二連の安全梯子C(請求項4に対応)を、図2および図4に基づいて説明する。
【0162】
図4に示す如く、二連の安全梯子Cは、左下支柱11~右下支柱12間に複数の下踏桟13を取り付けた下梯子1と、左上支柱21~右上支柱22間に複数の上踏桟23を取り付けた上梯子2と、上梯子2を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段3と、下梯子下部に取付金具10で固定される落下防止器4と、最上段の上踏桟23に釣り下げられる吊り金車7とを備える。
【0163】
実施例3の二連の安全梯子Cは、下記の点で実施例1の二連の安全梯子Aと異なる。
【0164】
実施例3の二連の安全梯子Cは、定滑車5の代わりに吊り金車7を採用している。
【0165】
吊り金車7は、ワイヤーwが掛けられる糸巻状のシープ71と、シープ71を回動自在に軸支する断面略U字状のホルダー72と、ホルダー72の上端から延設する係合金具73とを備え、レバー74を操作すると、ホルダー72の片側が開く構造である。
【0166】
この吊り金車7は、係合金具73を吊下金具70の軸に嵌め込むことにより、最上段の上踏桟23へ釣り下げられている。
【0167】
作業者が二連の安全梯子Cの踏桟から足を踏み外すと、吊り金車7のシープ71を介してワイヤーwが急激に引き出されるため、ドラム43が高速回転し、ラチェット47がスプリング48の力に抗して軸44の周りを回動し、ラチェットホイール46と噛み合う。
【0168】
これにより、ドラム43の回動が阻止されるため、ワイヤーwの繰り出しが止まり、作業者の地面への激突を未然に防げる。
【0169】
落下防止器4から繰り出されるフックf付きのワイヤーwは、下梯子1の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上踏桟2の前面に出て上昇し、吊り金車7のシープ71に掛け渡されてから垂下する様に引き回されている。
【0170】
なお、二連の安全梯子Cを縮んだ状態で、運搬や保管する際には、レバー74を操作して、ホルダー72の片側を開いて、フックf付きのワイヤーwを吊り金車7のシープ71から外してから、二連の安全梯子Cを畳んだ状態にする。
【0171】
万が一、作業者が二連の安全梯子Cの踏桟から足を踏み外した場合には、吊り金車7のシープ71を介してワイヤーwが落下防止器4から急激に引き出されるため、ドラム43が高速回転し、ラチエット47がスプリング48の力に抗して軸44の周りを回動し、ラチエットホイール46と噛み合う。
【0172】
これにより、ドラム43の回動が阻止され、ワイヤーwの繰り出しが止まり、作業者の転落が中断し、地面への激突を防止できる。
【0173】
実施例3の二連の安全梯子Cは、以下の利点を有する。
【0174】
二連の安全梯子Cは、比較的重い落下防止器4を取付金具10により下梯子下部に固定し、最上段の上踏桟23に吊り金車7を釣り下げている。
【0175】
なお、二連の安全梯子Cは、(取付金具10+落下防止器4の重量)>(吊り金車7の重量+吊下金具70の重量)であるため、延ばして使用する状態において、落下防止器4および吊り金車7を付けない二連の安全梯子に比べ、二連の安全梯子Cは、重心が下がる。
【0176】
二連の安全梯子Cは、延ばして使用する状態において、重心が下がるため、作業物である家屋へ立て掛ける際に、グラついたり倒れたりし難い。
【0177】
二連の安全梯子Cは、延ばして使用する状態において、重心が下がるため、家屋へ二連の安全梯子Cを立て掛け後、下踏桟13や上踏桟23を作業者が昇降する際にもグラつき難く、作業者が踏桟から足を踏み外し難い。
【0178】
二連の安全梯子Cは、延ばさない状態において、(取付金具10+落下防止器4の重量)が、ある程度、(吊り金車7の重量+吊下金具70の重量)で相殺されるので、運ぶ際に下梯子下部が極端に下がらず、運び易い。
【0179】
二連の安全梯子Cは、延ばして使用する状態において、落下防止器4から繰り出されるフックf付きワイヤーwは、各下梯子1の背後を上昇し、梯子の重なり部分で上梯子2の前面に出て各上梯子2の前面を上昇し、吊り金車7に掛け渡されてから垂下する様に引き回しているので、作業者が、下踏桟13や上踏桟23を登る際や転落時に、ワイヤーwが、作業者や下梯子1や上梯子2と干渉し難い。
【0180】
なお、二連の安全梯子Cは、落下防止器4を梯子上部に取り付ける従来の二連の安全梯子に比べてワイヤーwの長さが略二倍必要となるので、落下防止器4内に巻かれるワイヤーwの長さを略二倍にするか、ワイヤーwを繋いで長くする。
【0181】
吊り金車7は、シープ71が糸巻状であるので、定滑車5に比べ、ワイヤーwが外れ難い。
【0182】
レバー74を操作すれば、ホルダー72の片側が開くので、ワイヤーwを吊り金車7のシープ71から外すことができる。このため、二連の安全梯子Cを運搬する時や保管する際に、便利である。
【実施例4】
【0183】
つぎに、本発明の実施例4に係る二連の安全梯子D(請求項2に対応)を図5に基づいて説明する。
【0184】
二連の安全梯子Dは、左下支柱11~右下支柱12間に複数の下踏桟13を取り付けた下梯子1と、左上支柱21~右上支柱22間に複数の上踏桟23を取り付けた上梯子2と、上梯子2を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段3と、上梯子下部に取付金具9で固定される落下防止器4と、上踏桟23に懸垂金具8で吊り下げられる定滑車5とを備える。
【0185】
実施例4の二連の安全梯子Dは、下記の点で実施例1の二連の安全梯子Aと異なる。
【0186】
落下防止器4は、最下から二段上の上踏桟23と、その一つ上の上踏桟23と、これら上踏桟13-13間に臨む左右上支柱11、12とで囲まれる上梯子下部に取付金具9により固定される。
【0187】
取付金具9は、断面略コ字状を呈し、上梯子2の最下から二段上の上踏桟23と、その一つ上の上踏桟23にボルト止めされる。
【0188】
そして、二連の安全梯子Dを延ばして使用する状態において、落下防止器4から繰り出されるフックf付きワイヤーwは、各上踏桟23の背後を上昇し、定滑車5のシープ51に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されている。
【0189】
二連の安全梯子Dを延ばして使用する状態において、万が一、作業者が二連の安全梯子Dの踏桟から足を踏み外した場合には、定滑車5のシープ51を介してワイヤーwが落下防止器4から急激に引き出されるため、ドラム43が高速回転し、ラチエット47がスプリング48の力に抗して軸44の周りを回動し、ラチエットホイール46と噛み合う。
【0190】
これにより、ドラム43の回動が阻止され、ワイヤーwの繰り出しが止まり、作業者の転落が中断し、地面への激突を防止できる。
【0191】
なお、二連の安全梯子Dを縮んだ状態で、運搬や保管する際には、落下防止器4から繰り出されるワイヤーwを定滑車5のシープ51に掛け渡たしてから若干垂下させて、フックfを定滑車5より下方の上踏桟23に係止させておく。
【実施例5】
【0192】
つぎに、本発明の実施例5に係る一連の安全梯子E(請求項5に対応)を、図2および図6に基づいて説明する。
【0193】
図6に示す如く、一連の安全梯子Eは、左支柱113~右下支柱114間に複数の踏桟115を取り付けた梯子100と、梯子下部に取付金具10により固定される落下防止器4と、踏桟115に懸垂金具50により吊り下げられる定滑車5とを備える。
【0194】
実施例5の一連の安全梯子Eは、下記の点で実施例1の二連の安全梯子Aと異なる。
【0195】
一連の安全梯子Eは、単一の梯子であるので、伸縮固定手段3は、付いていない。
【0196】
落下防止器4は、最下段の踏桟115と、その踏桟115より下方に位置する左右支柱113、114とで囲まれる梯子下部に取付金具10により固定される。
【0197】
定滑車5は、ワイヤーwが掛けられる凹溝を周設した円盤状のシープ51と、シープ51を回動自在に軸52で軸支する懸垂穴付きの軸枠ホルダー53とを備える。
【0198】
懸垂金具50は、天板501と、天板501の下面から垂下する穴付きの吊下片502、502と、天板501を最上段の踏桟115に固定するためのボルト・ナット503と、吊下片502の穴および軸枠ホルダー53の懸垂穴に嵌め込まれる取付ピン504とからなり、定滑車5を最上段の踏桟115の中央下面に釣り下げている。
【0199】
左支柱111、右支柱112は、断面が長方形で、長さが数mの中空アルミパイプである。左支柱11および右支柱12の下端には、滑り止め用の端具111、112が取り付けられている。
【0200】
左支柱111、右支柱112は、数十cmの間隔を隔てて並設され、左支柱111~右支柱112間に、七個の踏桟115が等間隔に取り付けられている。
【0201】
左支柱111および右支柱112の上端には、怪我防止用のエンドキャップ116、117が取り付けられている。
【0202】
つぎに、実施例5の一連の安全梯子Eの使用方法を述べる。
(1)一連の安全梯子Eを作業現場に運び、家屋(作業物)の屋根の近くの地面に倒した状態で置く。そして、フックfを踏桟115(例えば、上から二番目の踏桟)から外し、限界値を越えない速度で、踏桟の寸法程度、ワイヤーwを引き出しておく。
【0203】
なお、一連の安全梯子Eの不使用時(運搬時や保管時)は、落下防止器4から繰り出されるワイヤーwを、各梯子115の背後を臨ませて、定滑車5のシープ51に掛け渡たしてからフックfを、何れかの踏桟115(例えば、上から二番目の踏桟)に係止させておく。
(2)一連の安全梯子Eを、75度の設置角度で家屋に立て掛ける。そして、ワイヤーwのフックfを作業員の安全ベルトのカラビラに嵌め込む。
(3)作業員は、梯子100の最下段の踏桟115から一連の安全梯子Eを昇り、家屋の屋根に到達する。
【0204】
万が一、作業者が一連の安全梯子Eの踏桟から足を踏み外した場合には、定滑車5のシープ51を介してワイヤーwが落下防止器4から急激に引き出されるため、ドラム43が高速回転し、ラチエット47がスプリング48の力に抗して軸44の周りを回動し、ラチエットホイール46と噛み合う。
【0205】
これにより、ドラム43の回動が阻止され、ワイヤーwの繰り出しが止まり、作業者の転落が中断し、地面への激突が防止される。
【0206】
実施例5の一連の安全梯子Eは、以下の利点を有する。
【0207】
一連の安全梯子Eは、比較的重い落下防止器4を取付金具10により梯子下部に固定し、最上段の踏桟115に定滑車5を懸垂金具50により釣り下げている。
【0208】
これにより、(取付金具10+落下防止器4の重量)>(定滑車5+懸垂金具50の重量)であるため、使用時において、落下防止器4および定滑車5を付けない梯子に比べ、一連の安全梯子Eは、重心が下がる。
【0209】
一連の安全梯子Eの使用時において、重心が下がるため、作業物である家屋へ一連の安全梯子Eを立て掛ける際に、一連の安全梯子Eが、グラついたり倒れたりし難い。
【0210】
一連の安全梯子Eの使用時において、重心が下がるため、家屋へ一連の安全梯子Eを立て掛け後、踏桟115を作業者が昇降する際にも一連の安全梯子Eがグラつき難く、作業者が踏桟から足を踏み外し難い。
【0211】
一連の安全梯子Eは、(取付金具10+落下防止器4の重量)が、ある程度、(定滑車5+懸垂金具50の重量)で相殺されるので、梯子下部が極端に下がらず、運び易い。
【0212】
一連の安全梯子Eの使用時において、落下防止器4から繰り出されるフックf付きワイヤーwは、梯子100の背後を上昇し、定滑車5に掛け渡されてから各踏桟115の前面を垂下する構成であるので、作業者が、踏桟115を登る際や転落時に、ワイヤーwが、作業者や梯子115と干渉し難い。
【0213】
なお、一連の安全梯子Eは、落下防止器4を梯子上部に取り付ける梯子に比べてワイヤーwの長さが略二倍必要となるので、落下防止器4内に巻かれるワイヤーwの長さを略二倍にするか、ワイヤーwを繋いで長くする。
【実施例6】
【0214】
つぎに、本発明の実施例6に係る三連の安全梯子F(請求項6に対応)を、図2および図7に基づいて説明する。
【0215】
図7に示す如く、三連の安全梯子Fは、左下支柱11~右下支柱12間に複数の下踏桟13を取り付けた下梯子1と、左上支柱21~右上支柱22間に複数の上踏桟23を取り付けた上梯子2と、左中支柱91~右中支柱92間に複数の中踏桟93を取り付けた中梯子90と、上梯子2を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段30と、中梯子90を任意の高さで係止可能な伸縮固定手段31と、下梯子下部に取付金具10により固定される落下防止器4と、上踏桟23に懸垂金具8で吊り下げられる定滑車5とを備える。
【0216】
実施例6の三連の安全梯子Fは、下記の点で実施例1の二連の安全梯子Aと異なる。
【0217】
中梯子90の左中支柱91および右中支柱92は、断面が長方形で、長さが数mの中空アルミパイプである。これらの中支柱91、右中支柱92は、数十cmの間隔を隔てて並設され、左中支柱91~右中支柱92間に、七個の中踏桟93が取り付けられている。
【0218】
伸縮固定手段30は、ブラケット301、302、止め金具303、ロック、およびラック等により構成され、中梯子90の背後で上梯子2を上下動自在に支持するとともに、上梯子2を任意の高さで係止可能とする公知の機構である。
【0219】
伸縮固定手段31は、ブラケット311、312、止め金具313、ロック、およびラック等により構成され、下梯子1の背後で中梯子90を上下動自在に支持するとともに、中梯子90を任意の高さで係止可能とする公知の機構である。
【0220】
落下防止器4は、ワイヤーwの引出速度が限界値を越えると、ロックがかかる構造である(図2参照)。この落下防止器4は、実施例1と同様に、最下段の下踏桟13と、その下踏桟13より下方に位置する左右下支柱11、12とで囲まれる下梯子下部に取付金具10により固定される。
【0221】
定滑車5は、上踏桟23に懸垂金具8で吊り下げられる。
【0222】
なお、三連の安全梯子Fを延ばして使用する状態において、落下防止器4から繰り出されるフックf付きワイヤーwは、各踏桟の背後を上昇し、定滑車5のシープ51に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回されている。
【0223】
つぎに、実施例6の三連の安全梯子Fの使用方法を述べる。
(1)三連の安全梯子Fを作業現場に運び、家屋(作業物)の屋根の近くの地面に倒した状態で置く。そして、フックfを踏桟(例えば下踏桟13)から外し、限界値を越えない速度で、踏桟の寸法程度、ワイヤーwを引き出しておく。
【0224】
なお、三連の安全梯子Fが縮んだ状態(運搬時や保管時)では、落下防止器4から繰り出されるワイヤーwを、各梯子の踏桟の 背後を上昇し、定滑車5のシープ51に掛け渡たしてからフックfを踏桟(例えば下踏桟13)に係止させておく。
(2)三連の安全梯子Fを倒した状態で、留め金303、313の係止を解除し、上梯子2および中梯子90を最大長まで延ばし、留め金303を中梯子90の最上段の中踏桟93に係止し、留め金313を下梯子1の最上段の下踏桟13に係止して、上梯子2および中梯子90を固定する。
(3)延ばした三連の安全梯子Fを、75度の設置角度で家屋に立て掛ける。そして、ワイヤーwのフックfを作業員の安全ベルトのカラビラに嵌め込む。
(4)作業員は、下梯子1の下踏桟13から三連の安全梯子Fを昇り始め、つなぎ目で中梯子2の中踏桟93に乗り換えて昇り、更に、つなぎ目で上梯子2の上踏桟293に乗り換えて家屋の屋根に到達する
万が一、作業者が、昇る途中で三連の安全梯子Fの何れかの踏桟から足を踏み外した場合には、定滑車5のシープ51を介してワイヤーwが落下防止器4から急激に引き出されるため、ドラム43が高速回転し、ラチエット47がスプリング48の力に抗して軸44の周りを回動し、ラチエットホイール46と噛み合う。
【0225】
これにより、ドラム43の回動が阻止され、ワイヤーwの繰り出しが止まり、作業者の転落が中断し、地面への激突が防止される。
【0226】
実施例6の三連の安全梯子Fは、以下の利点を有する。
【0227】
三連の安全梯子Fは、比較的重い落下防止器を、取付金具10により、下梯子1の下梯子下部に固定している。そして、上梯子2の最上段の上踏桟23に定滑車5が懸垂金具8により吊り下げられている。
【0228】
これにより、(取付金具10+落下防止器4の重量)>(定滑車5+懸垂金具8の重量)であるため、三連の安全梯子Fは、延ばして使用する状態において、落下防止器4および定滑車5を付けない従来の三連の梯子に比べ重心が下がる。
【0229】
三連の安全梯子Fは、延ばして使用する状態において、重心が下がるため、作業物である家屋へ三連の安全梯子Fを立て掛ける際にグラついたり倒れたりし難い。
【0230】
三連の安全梯子Fを延ばして使用する状態において、重心が下がるため、家屋へ立て掛け後、下踏桟13や上踏桟23を作業者が昇降する際にもグラつき難く、作業者が踏桟から足を踏み外し難い。
【0231】
三連の安全梯子Fは、畳んだ状態において、(取付金具10+落下防止器4の重量)が、ある程度、(定滑車5+懸垂金具8の重量)で相殺されるので、下梯子下部が極端に下がらず、運び易い。
【0232】
三連の安全梯子Fを延ばして使用する状態において、落下防止器4から繰り出されるフックf付きワイヤーwは、各梯子の背後を上昇し、定滑車5に掛け渡されてから各踏桟の前面を垂下する様に引き回しているので、作業者が、下踏桟13、中踏桟91、および上踏桟23を登る際や転落時に、ワイヤーwが、作業者、下梯子1、中踏桟91、または上梯子2と干渉し難い。
【0233】
なお、三連の安全梯子Fは、落下防止器を三連の安全梯子の梯子上部に取り付ける梯子に比べてワイヤーwの長さが略三倍必要となるので、落下防止器4内に巻かれるワイヤーwの長さを略三倍にするか、ワイヤーwを途中で繋いで長くする。
【0234】
本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
a.定滑車、吊りローラー、または吊り金車を吊り下げる上梯子の最上段の上踏桟は、作業者の落下時に下向きの力が掛かるので、上踏桟の端を下から支える補強材を上支柱に取り付けても良い。
b.第1~第4実施例の二連の安全梯子において、落下防止器4を梯子上部に取り付ける梯子に比べて、長いワイヤーwが必要となるので、落下防止器4内に巻かれるワイヤーwの長さを略二倍にするか、ワイヤーwを途中で繋いで長くする。
【0235】
また、第6実施例の三連の安全梯子において、落下防止器4を梯子上部に取り付ける三連梯子に比べて、長いワイヤーwが必要となるので、落下防止器4内に巻かれるワイヤーwの長さを略三倍にするか、ワイヤーwを途中で繋いで長くする。
c.請求項5、6(実施例5、6)の滑車状体は、定滑車5以外に、吊りローラー6や吊り金車7であっても良い。
d.索状体は、断面が円形のワイヤーw以外に、断面が長方形の帯状体であっても良い。e.落下防止器を固定する梯子下部の位置は、重心を下げる観点から、最下段の踏桟と、その踏桟より下方に位置する左右支柱とで囲まれた場所が好ましいが、最下段から一段、または二段上の踏桟と、その踏桟より下方に位置する左右支柱とで囲まれた場所であっても良い。
【符号の説明】
【0236】
A、B、C、D 二連の安全梯子
E 一連の安全梯子
F 三連の安全梯子
w ワイヤー(索状体)
1 下梯子
2 上梯子
3 伸縮固定手段
4 落下防止器
5 定滑車(定滑車、滑車状体)
6 吊りローラー
7 吊り金車
9、10 取付金具
11 左下支柱
12 右下支柱
13 下踏桟
21 左上支柱
22 右上支柱
23 上踏桟
8、50 懸垂金具
70 吊下金具
90 中梯子
91 左中支柱
92 右中支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7