(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】引張コイルばねの取付構造
(51)【国際特許分類】
F16F 1/12 20060101AFI20221116BHJP
A61H 3/04 20060101ALN20221116BHJP
【FI】
F16F1/12 L
A61H3/04
(21)【出願番号】P 2019031064
(22)【出願日】2019-02-22
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】村田 和正
(72)【発明者】
【氏名】岡田 将徳
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-065477(JP,A)
【文献】実開昭54-177448(JP,U)
【文献】特開昭62-050283(JP,A)
【文献】特開平11-325143(JP,A)
【文献】特開2001-352650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/12
A61H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材をコイル状に巻き回すことにより伸縮可能に形成されたばね本体部と、前記線材の両端側を円弧状とすることにより前記ばね本体部の両端側に形成された第1フック部及び第2フック部とを有する引張コイルばねと、
前記第1フック部が接続される第1接続部を有する第1部材と、
前記第2フック部が接続される第2接続部を有する第2部材とを備え、
前記引張コイルばねは、前記第1フック部が前記第1接続部に接続され、前記第2フック部が前記第2接続部に接続されることにより、前記ばね本体部が伸長する側へ引っ張られた引張状態で取り付けられており、
前記第1部材は、前記第2部材に対して前記ばね本体部が引っ張られた引張方向と交差する方向に相対変位可能とされ、その相対変位に伴い前記引張コイルばねが前記引張状態を維持したまま変位されるようになっている引張コイルばねの取付構造であって、
前記第1接続部は、前記第1部材が前記相対変位する変位方向と前記ばね本体部の前記引張方向とのそれぞれに交差する方向へ延びる軸部からなり、
前記軸部に前記第1フック部を接続するための構成として、
前記軸部に引っ掛けられ、その引っ掛け状態で前記軸部の外周面に沿って回動可能とされた第1引掛部と、
前記第1引掛部と一体で設けられているとともに、前記軸部を挟んで前記第1引掛部とは反対側に配置され、かつ前記第1フック部が引っ掛けられた第2引掛部と、を備え、
前記第1部材の前記相対変位に伴う前記引張コイルばねの変位時においては、前記引張コイルばねの引張力により前記第2引掛部が引っ張られることで、前記第2引掛部が前記引張方向において前記第1引掛部と前記軸部を挟んで並ぶよう、前記第1引掛部が前記軸部に沿って回動され
、
前記軸部が挿通される孔部を有し、その孔部を囲む環状をなす環状部材を備え、
前記環状部材の内周側には、前記孔部を挟んで互いに反対側となる位置にそれぞれ前記第1引掛部と前記第2引掛部とが形成されていることを特徴とする引張コイルばねの取付構造。
【請求項2】
前記軸部は、前記第1引掛部が引っ掛けられる軸本体と、その軸本体の先端側に設けられ前記軸本体よりも拡径された頭部とを有し、
前記環状部材は、前記第1引掛部と前記第2引掛部とを繋ぐ繋ぎ部分を前記孔部を挟んだ両側にそれぞれ有しており、
それら各繋ぎ部分にはそれぞれ、内周部の曲率半径が前記頭部の半径よりも大きくされ、かつ前記孔部を挟んで互いに対向する対向領域が含まれており、
前記第1引掛部では、その内周部の曲率半径が、前記軸本体の半径よりも大きくかつ前記頭部の半径よりも小さくされていることを特徴とする請求項
1に記載の引張コイルばねの取付構造。
【請求項3】
前記第2引掛部では、その内周部の曲率半径が前記第1引掛部よりも小さくされていることを特徴とする請求項
2に記載の引張コイルばねの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張コイルばねの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、引張コイルばねは各種機器に用いられている(例えば特許文献1参照)。
図7及び
図8には、引張コイルばねが高齢者等の歩行を補助する歩行車に取り付けられた例が示されている。以下、これら
図7及び
図8を用いて、引張コイルばねの取付構造について説明する。なお、歩行車は折り畳み可能な脚体部を備えており、
図7及び
図8は歩行車における脚体部の上側部分を示す側面図となっている。また、
図7では脚体部の開脚状態(展開状態)を示し、
図8では脚体部の閉脚状態(折り畳み状態)を示している。
【0003】
図7及び
図8に示すように、歩行車80は、左右一対の脚体部81を備え、それら各脚体部81は、前脚フレーム82と後脚フレーム83とを有している。各脚体部81は、前脚フレーム82と後脚フレーム83とが互いに離間する開脚状態(
図7に示す状態)と、前脚フレーム82と後脚フレーム83とが互いに接近する閉脚状態(
図8に示す状態)とに移行可能とされている。
【0004】
脚体部81には、前脚フレーム82と後脚フレーム83とにそれぞれ連結されたリンク部85が設けられている。リンク部85は、一対のリンク86,87が軸部88を介して回動可能に連結されてなり、各リンク86,87のうち、リンク86が前脚フレーム82に回動可能に連結され、リンク87が後脚フレーム83に回動可能に連結されている。リンク部85は、脚体部81の開閉に連動して変形するようになっており、脚体部81の開脚状態では各リンク86,87が展開する展開状態(
図7参照)とされ、脚体部81の閉脚状態では各リンク86,87が上方に折り曲げられる折り曲げ状態(
図8参照)とされる。
【0005】
リンク部85には、引張コイルばね91が取り付けられている。引張コイルばね91は、線材をコイル状に巻き回すことにより伸縮可能に形成されたばね本体部92と、線材の両端側を円弧状とすることによりばね本体部92の両端側に形成された第1フック部93及び第2フック部94とを有する。引張コイルばね91は、第1フック部93がリンク部85のリンク86に設けられた軸部86aに引っ掛けられ、第2フック部94が後脚フレーム83に固定されたブラケット95の接続部95aに引っ掛けられることにより取り付けられている。この取付状態において、引張コイルばね91は、ばね本体部92が引っ張られた引張状態とされている。
【0006】
上記の構成では、脚体部81の開閉動作に伴い、換言するとリンク部85の変形に伴い、リンク86がブラケット95に対して相対変位される。この場合、リンク86は、軸部86aの延びる方向と引張コイルばね91の引張方向とのそれぞれに交差する方向に、ブラケット95に対して相対変位される。このため、リンク86とブラケット95とに接続された引張コイルばね91は、上記相対変位に伴い、引張状態で変位されるようになっている。これにより、脚体部81の閉脚状態においては、引張コイルばね91の引張力によりリンク86がブラケット95側に引っ張れた状態とされ、その結果、リンク部86の折り曲げ状態が保持され、ひいては脚体部81の閉脚状態が保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した引張コイルばね91の取付構造では、ブラケット95に対するリンク86の相対変位に伴い引張コイルばね91が変位する際、引張コイルばね91はリンク86の軸部86aに引っ掛けられた第1フック部93が軸部86aの外周面に沿って回転しながら変位することになる。ここで、第1フック部93が軸部86a周りを回転するに際しては、第1フック部93と軸部86aとの間に摺動抵抗が生じることが想定される。この場合、第1フック部93は引張コイルばね91の引張力により軸部86aの外周面に押し付けられた状態とされているため、第1フック部93と軸部86aとの間には比較的大きな摺動抵抗が生じることが想定される。このため、引張コイルばね91の変位に際しては第1フック部93が上記摺動抵抗に抗しながら軸部86a周りを回転することとなり、そのため、第1フック部93の特定箇所(例えば第1フック部93における円弧部分の基端部)に応力集中が生じて第1フック部93が破断してしまうことが懸念される。
【0009】
なお、このようなフック部の破断の問題は、必ずしも歩行車に引張コイルばねが取り付けられる場合に限って生じる問題ではなく、歩行車以外の機器に引張コイルばねが取り付けられる場合にも同様に生じうる問題である。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、引張コイルばねのフック部が破断するのを抑制することができる引張コイルばねの取付構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、第1の発明の引張コイルばねの取付構造は、線材をコイル状に巻き回すことにより伸縮可能に形成されたばね本体部と、前記線材の両端側を円弧状とすることにより前記ばね本体部の両端側に形成された第1フック部及び第2フック部とを有する引張コイルばねと、前記第1フック部が接続される第1接続部を有する第1部材と、前記第2フック部が接続される第2接続部を有する第2部材とを備え、前記引張コイルばねは、前記第1フック部が前記第1接続部に接続され、前記第2フック部が前記第2接続部に接続されることにより、前記ばね本体部が伸長する側へ引っ張られた引張状態で取り付けられており、前記第1部材は、前記第2部材に対して前記ばね本体部が引っ張られた引張方向と交差する方向に相対変位可能とされ、その相対変位に伴い前記引張コイルばねが前記引張状態を維持したまま変位されるようになっている引張コイルばねの取付構造であって、前記第1接続部は、前記第1部材が前記相対変位する変位方向と前記ばね本体部の前記引張方向とのそれぞれに交差する方向へ延びる軸部からなり、前記軸部に前記第1フック部を接続するための構成として、前記軸部に引っ掛けられ、その引っ掛け状態で前記軸部の外周面に沿って回動可能とされた第1引掛部と、前記第1引掛部と一体で設けられているとともに、前記軸部を挟んで前記第1引掛部とは反対側に配置され、かつ前記第1フック部が引っ掛けられた第2引掛部と、を備え、前記第1部材の前記相対変位に伴う前記引張コイルばねの変位時においては、前記引張コイルばねの引張力により前記第2引掛部が引っ張られることで、前記第2引掛部が前記引張方向において前記第1引掛部と前記軸部を挟んで並ぶよう、前記第1引掛部が前記軸部に沿って回動されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、引張コイルばねは、そのばね本体部が引っ張られた状態で、第1フック部が第1部材の第1接続部に接続され、第2フック部が第2部材の第2接続部に接続されている。第1部材は第2部材に対して相対変位可能とされ、その相対変位に伴い引張コイルばねは引張状態を維持したまま変位されるようになっている。
【0013】
第1接続部は、第1部材の相対変位する変位方向と引張コイルばねの引張方向とにそれぞれ交差する方向へ延びる軸部とされている。その軸部に第1フック部を接続するための構成として、互いに一体とされた第1引掛部と第2引掛部とを備え、第1引掛部は軸部に引っ掛けられ、第2引掛部には第1フック部が引っ掛けられている。
【0014】
第1部材の相対変位に伴う引張コイルばねの変位時には、引張コイルばねにより第2引掛部が引っ張られることで、その引張方向において第2引掛部が第1引掛部と軸部を挟んで並ぶように位置する。この際、第1引掛部が軸部に沿って回動しながら、第2引掛部が上記のように位置することになる。このような構成では、第1引掛部が軸部に沿って回動することで、第2引掛部とその第2引掛部に第1フック部が引っ掛けられた引張コイルばねとが半ば一体となって、軸部を中心に回動することになる。この場合、第2引掛部と第1フック部との間に摺動抵抗が生じるのを抑制することができるため、第1フック部に摺動抵抗に起因した応力集中が生じるのを抑制することができる。これにより、応力集中に伴うフック部の破断を抑制することができる。
【0015】
第2の発明の引張コイルばねの取付構造は、第1の発明において、前記軸部が挿通される孔部を有し、その孔部を囲む環状をなす環状部材を備え、前記環状部材の内周側には、前記孔部を挟んで互いに反対側となる位置にそれぞれ前記第1引掛部と前記第2引掛部とが形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、環状部材を用いて第1引掛部と第2引掛部とを簡単に形成することができる。
【0017】
第3の発明の引張コイルばねの取付構造は、第2の発明において、前記軸部は、前記第1引掛部が引っ掛けられる軸本体と、その軸本体の先端側に設けられ前記軸本体よりも拡径された頭部とを有し、前記環状部材は、前記第1引掛部と前記第2引掛部とを繋ぐ繋ぎ部分を前記孔部を挟んだ両側にそれぞれ有しており、それら各繋ぎ部分にはそれぞれ、内周部の曲率半径が前記頭部の半径よりも大きくされ、かつ前記孔部を挟んで互いに対向する対向領域が含まれており、前記第1引掛部では、その内周部の曲率半径が、前記軸本体の半径よりも大きくかつ前記頭部の半径よりも小さくされていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、軸部の先端側に抜け止め用の頭部が設けられている。このような構成にあって、環状部材には、孔部を挟んだ両側で第1引掛部と第2引掛部とを繋ぐ各繋ぎ部分にそれぞれ内周部の曲率半径が頭部の半径よりも大きくされた対向領域が含まれている。この場合、孔部において各対向領域の間は頭部を挿通可能な挿通領域とされる。そのため、この挿通領域に軸部を通しながら、環状部材を軸部に取り付けることが可能となる。よって、この場合、頭部付きの軸部に対して環状部材を容易に取り付けることが可能となる。
【0019】
その一方で、第1引掛部では、その内周部の曲率半径が軸本体の半径よりも大きくかつ頭部の半径よりも小さくされている。この場合、第1引掛部が軸部(軸本体)の外周面に沿って回動する際、第1引掛部が軸本体に対して上記回動方向と異なる方向に位置ずれするのを抑制することができる。そのため、第1引掛部と第2引掛部とが引張コイルばねの引張方向に並んだ状態をキープし易く、その結果、第2引掛部と第1フック部との間で摺動抵抗が生じるのを好適に抑制することができる。よって、この場合、環状部材の軸部への取り付けを容易としながら、摺動抵抗に起因したフック部の破断を好適に抑制することができる。
【0020】
第4の発明の引張コイルばねの取付構造は、第3の発明において、前記第2引掛部では、その内周部の曲率半径が前記第1引掛部よりも小さくされていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、第2引掛部においてその内周部の曲率半径が第1引掛部よりも小さくされているため、第2引掛部に引っ掛けられる第1フック部が位置ずれするのを抑制することができる。これにより、引張コイルばねの変位時に、第1引掛部と第2引掛部とが引張コイルばねの引張方向に並んだ状態をキープし易く、その結果、第2引掛部と第1フック部との間で摺動抵抗が生じるのを好適に抑制することができる。よって、この場合、摺動抵抗に起因したフック部の破断を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】脚体部の開脚状態における歩行車を斜め前方から見た斜視図。
【
図2】脚体部の閉脚状態における歩行車を斜め前方から見た斜視図。
【
図3】脚体部の開脚状態における連動機構周辺の構成を拡大して示す側面図。
【
図4】脚体部の閉脚状態における連動機構周辺の構成を拡大して示す側面図。
【
図7】歩行車に引張コイルばねが取り付けられた取付構造の一例を示す側面図であり、脚体部の開脚状態を示している。
【
図8】歩行車に引張コイルばねが取り付けられた取付構造の一例を示す側面図であり、脚体部の閉脚状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2はいずれも歩行車10を斜め前方から見た斜視図である。
図1では、歩行車10の脚体部11が開脚されている状態を示し、
図2では閉脚されている状態を示している。また、以下の説明では、歩行車10を移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向とする。
【0024】
図1に示すように、歩行車10は、左右方向に離間して設けられた一対の脚体部11と、それら脚体部11の間に設けられた座部12と、各脚体部11にそれぞれ連結され背もたれ14を形成するための背もたれ構成部13とを備える。
【0025】
各脚体部11はそれぞれ、上下に延びる前脚フレーム15及び後脚フレーム16を有している。これら各脚フレーム15,16はアルミニウム等の軽金属により形成されている。前脚フレーム15の下端部には前輪17が取り付けられ、後脚フレーム16の下端部には後輪18が取り付けられている。
【0026】
前脚フレーム15と後脚フレーム16とは、互いの上端部において左右方向に延びる回動軸22を介して回動可能に連結されている。これにより、前脚フレーム15と後脚フレーム16とは回動軸22を中心として互いに回動可能とされている。そして、その回動によって、脚体部11は、各脚フレーム15,16の下部が互いに離間する開脚状態(
図1に示す状態)と、各脚フレーム15,16の下部が互いに接近する閉脚状態(
図2に示す状態)とに移行可能となっている。また、閉脚状態では、各脚フレーム15,16の下部が接近することで、脚体部11が折り畳まれた状態となる。この折り畳み状態において歩行車10は自立可能となっている。
【0027】
後脚フレーム16は筒状をなしており、その後脚フレーム16には支柱フレーム23が上方から挿入されている。支柱フレーム23は、後脚フレーム16への挿入状態において、上下方向に位置調整が可能となっている。そして、支柱フレーム23は、その位置調整された位置で後脚フレーム16にねじ部材24を用いて固定されるようになっている。また、支柱フレーム23の上端部には、取付部25を介してハンドル26とブレーキレバー27とが取り付けられている。ハンドル26は、支柱フレーム23の上下位置調整により、その高さ位置(ハンドル高さ)を調整することが可能となっている。
【0028】
座部12は、樹脂製のシート材からなり、前後に離間して設けられた2つの座部フレーム28,29に取り付けられている。各座部フレーム28,29は、左右方向に延びるパイプ材からなる。前側の座部フレーム28は、その両端部が各脚体部11の前脚フレーム15に固定され、後側の座部フレーム29は、その両端部が各脚体部11の後脚フレーム16に固定されている。
【0029】
背もたれ構成部13は、各脚体部11の上端部にそれぞれ連結され、前方に向けて凸となるアーチ状(略コ字状)に形成されている。背もたれ構成部13は、その前端部が背もたれ14として用いられるようになっている。
【0030】
背もたれ構成部13は各脚体部11に回動軸22を介して回動可能に連結されている。背もたれ構成部13は、各回動軸22を中心とした回動により、背もたれ14を形成する背もたれ位置(
図1参照)と、背もたれ位置から上方に退避される退避位置(
図2参照)との間で移動可能とされている。また、背もたれ構成部13には、その背もたれ構成部13を回動操作する際に把持する取手部材13aが設けられている。
【0031】
歩行車10には、背もたれ構成部13の回動に連動させて、脚体部11を開脚状態と閉脚状態とに切り替える連動機構30が設けられている。連動機構30は、各脚体部11ごとに設けられ、それぞれ脚体部11と背もたれ構成部13とを連結している。この連動機構30により、背もたれ構成部13が背もたれ位置にある場合には脚体部11が開脚状態とされ、背もたれ構成部13が退避位置にある場合には脚体部11が閉脚状態とされるよう、それら両者11,13が互いに連動されるようになっている。
【0032】
続いて、連動機構30の構成について
図3及び
図4を用いながら詳しく説明する。
図3及び
図4はいずれも連動機構30周辺の構成を拡大して示す側面図である。
図3では脚体部11の開脚状態を示しており、
図4では閉脚状態を示している。
【0033】
図3及び
図4に示すように、連動機構30は、脚体部11の前脚フレーム15及び後脚フレーム16を連結するリンク部31と、そのリンク部31と背もたれ構成部13とを連結するリンク連結部32とを有する。リンク部31は、背もたれ構成部13よりも下方に配置され、直線状に延びる金属製の一対のリンク33,34と、それらリンク33,34の端部同士を連結する軸部35とを有している。軸部35は左右方向に延びており、その軸部35を中心として各リンク33,34が互いに回動可能とされている。
【0034】
一対のリンク33,34のうち、一方のリンク33は前脚フレーム15に軸部37を介して回動可能に連結され、他方のリンク34は後脚フレーム16に軸部38を介して回動可能に連結されている。これらの軸部37,38はいずれも軸部35と同じく左右方向に延びている。具体的には、前脚フレーム15にはリンク受け部41が固定され、そのリンク受け部41にリンク33の反軸部35側の端部が軸部37を介して連結されている。また、後脚フレーム16にはリンク受け部42が固定され、そのリンク受け部42にリンク34の反軸部35側の端部が軸部38を介して連結されている。
【0035】
リンク部31は、各リンク33,34が軸部35を中心として互いに回動となっている。リンク部31は、それら各リンク33,34の回動により、各リンク33,34が前後に延びるように展開される展開状態(
図3参照)と、各リンク33,34が上方に突出するように折り曲げられる折り曲げ状態(
図4参照)とに変形可能とされている。この場合、リンク部31が展開状態とされると、それに伴い脚体部11が開脚状態とされ、リンク部31が折り曲げ状態とされると、それに伴い脚体部11が閉脚状態とされるようになっている。
【0036】
リンク33には、リンク部31が展開状態にある場合に、リンク34と当接する軸部45が設けられている(
図3参照)。軸部45は、左右方向に延びる円柱状のピンからなり、リンク33においてリンク34との境界部に設けられている。この場合、この軸部45にリンク34に設けられた被当接部34aが当接することで、各リンク33,34が下方に突出するよう折れ曲がることが規制されている。そして、この規制により、脚体部11が開脚状態からさらに開脚側へと動作することが規制されている。
【0037】
また、リンク部31が折り曲げ状態にある場合には、リンク34に設けられた被当接部34bが軸部45と当接する。この場合、この当接により、各リンク33,34がさらに折れ曲がることが規制されている。そして、この規制により、脚体部11が閉脚状態からさらに閉脚側へと動作することが規制されている。これにより、脚体部11は、開脚状態から閉脚状態までの範囲においてのみ動作することが可能となっている。
【0038】
リンク連結部32は、直線状に延びる長尺材からなり、リンク部31と背もたれ構成部13とを上下に連結している。リンク連結部32は、リンク部31と背もたれ構成部13とにそれぞれ回動可能に連結されている。このリンク連結部32により、背もたれ構成部13が背もたれ位置にある場合には、リンク部31が展開状態とされ、背もたれ構成部13が退避位置にある場合には、リンク部31が折り曲げ状態とされるよう、背もたれ構成部13とリンク部31とが互いに連動されるようになっている。
【0039】
リンク連結部32は、棒状をなす本体部32aと、その本体部32aの両端部に固定された一対の連結部32b,32cとを有する。本体部32aは金属製の棒材からなり、連結部32b,32cは金属製の板材からなる。リンク連結部32は、一方の連結部32bが背もたれ構成部13に軸部46を介して回動可能に連結され、他方の連結部32cがリンク部31に軸部35を介して回動可能に連結されている。軸部46は、左右方向に延びる軸であり、背もたれ構成部13の回動軸22よりも前方に配置されている。
【0040】
続いて、上述した連動機構30により、背もたれ構成部13の回動操作に連動して、各脚体部11が開脚状態と閉脚状態とに切り替えられる際の作用について説明する。
【0041】
図3に示すように、背もたれ構成部13が背もたれ位置にある場合には脚体部11が開脚状態とされている。背もたれ構成部13が背もたれ位置から退避位置へ向けて上方に向けて回動されると、リンク部31はリンク連結部32を介して背もたれ構成部13により上方に引き上げられる。すると、それに伴い、リンク部31は、各リンク33,34が上方に折れ曲がるようにして変形し、そのリンク部31の変形に伴い、前脚フレーム15及び後脚フレーム16が互いに接近する。そして、背もたれ構成部13が退避位置まで回動されると、
図4に示すように、前脚フレーム15と後脚フレーム16とが互いに折り畳まれ、脚体部11が閉脚状態とされる。
【0042】
上記の場合とは逆に、背もたれ構成部13が退避位置から背もたれ位置へと下方に向けて回動されると、それに伴い、リンク部31がリンク連結部32を介して背もたれ構成部13により押し下げられる。すると、それに伴い、リンク部31が展開され、その展開に伴い前脚フレーム15と後脚フレーム16とが互いに離間する。そして、背もたれ構成部13が背もたれ位置まで回動されると、脚体部11が開脚状態とされる。
【0043】
ここで、歩行車10には、脚体部11の閉脚状態を保持するための部材としてコイルばね51が設けられている。以下、このコイルばね51の取付構造について
図3及び
図4に加えて
図5に基づいて説明する。なお、
図5は、コイルばね51の取付構造を示す側面図である。
【0044】
図3~
図5に示すように、コイルばね51は、引張コイルばねからなる。コイルばね51は、金属製の線材51aをコイル状に巻き回すことにより伸縮可能に形成されたばね本体部52と、線材51aの両端側を円弧状とすることによりばね本体部52の両端部に形成された一対のフック部53,54とを有する。各フック部53,54はいずれも丸フックとされ、コイルばね51の軸線周り方向に90°ずれて配置されている。なお、フック部53が第1フック部に相当し、フック部54が第2フック部に相当する。
【0045】
コイルばね51は、各脚体部11ごとに設けられている。コイルばね51は、フック部53がリンク部31のリンク33に設けられた軸部45に接続され、フック部54がリンク受け部42に設けられた接続部42aに接続されることにより取り付けられている。この場合、コイルばね51は、ばね本体部52が自然長よりも引っ張られた(伸長した)引張状態で取り付けられている。かかるコイルばね51の取付状態において、コイルばね51が引っ張られる引張方向は軸部45の延びる方向(つまり左右方向)と交差する方向とされ、詳しくは軸部45の延びる方向と直交する方向とされている。
【0046】
ここで、上述したように、脚体部11を開脚状態と閉脚状態とに切り替える際には、その切替に連動してリンク部31が展開状態と折り曲げ状態とに変形される。このリンク部31の変形に際しては、リンク部31のリンク33がリンク受け部42(ひいては後脚フレーム16)に対して相対変位される。この場合、リンク33がリンク受け部42に対して相対変位する変位方向(以下、略してリンク33の変位方向という)はコイルばね51の引張方向に対して交差する方向となっている。また、このリンク33の変位方向は軸部45の延びる方向と交差する方向となっており、詳しくは軸部45の延びる方向と直交する方向となっている。なお、この場合、リンク33が第1部材に相当し、リンク受け部42が第2部材に相当する。また、軸部45が第1接続部に相当し、接続部42aが第2接続部に相当する。
【0047】
リンク33がリンク受け部42に対して相対変位されることで、リンク33の軸部45とリンク受け部42の接続部42aとにそれぞれ接続されたコイルばね51は、上記相対変位に伴い変位されるようになっている。このコイルばね51の変位に際し、コイルばね51は引張状態を維持したまま変位され、詳しくは、その変位する変位範囲の全域において引張状態のまま変位されるようになっている。
【0048】
コイルばね51がその変位範囲の全域に亘り引張状態とされることで、リンク部31の折り曲げ状態では、すなわち脚体部11の閉脚状態では、コイルばね51の引張力によりリンク33がリンク受け部42の側に引っ張られた状態とされる。これにより、脚体部11の閉脚状態では、リンク部31が展開状態の側に変形することが抑制されており、ひいては脚体部11が開脚状態に切り替わることが抑制されている。その結果、リンク部31が折り曲げ状態に保持され、ひいては脚体部11が閉脚状態に保持されるようになっている。
【0049】
続いて、コイルばね51の各フック部53,54がそれぞれ軸部45及び接続部42aに接続される接続構成について説明する。まず、各フック部53,54のうち、フック部54がリンク受け部42の接続部42aに接続される接続構成について説明する。
【0050】
リンク受け部42は、鋼板により形成され、後脚フレーム16に沿って上下に延びている。リンク受け部42は、その上下方向の中間部から前方に突出する突出片42bを有している。突出片42bは、その先端側が左右方向の外側に折り曲げられ、その折り曲げられた部分により接続部42aが形成されている。接続部42aには、前後に貫通する孔部56が形成されている。この孔部56にはコイルばね51のフック部54が挿通されており、その挿通状態でフック部54が接続部42aに引っ掛けられている。
【0051】
続いて、フック部53が軸部45に接続される接続部分の構成について説明する。
【0052】
軸部45は、上述したように、左右方向に延びる円柱状をなしている。軸部45は、基端部がリンク33に固定された軸本体45aと、その軸本体45aの先端部に設けられた頭部45bとを有している。頭部45bは、その外径が軸本体45aの外径よりも大きくされている。
【0053】
軸部45には、環状に形成された環状部材61が取り付けられている。環状部材61は、金属製の平板により形成され、略円環状に形成されている。環状部材61は、その内側に孔部62を有しており、その孔部62に軸部45を挿通した状態で当該軸部45に取り付けられている。
【0054】
図6には、環状部材61の正面図を示す。以下、
図3~
図5に加え、
図6を用いながら環状部材61の構成について説明する。
【0055】
図3~
図6に示すように、環状部材61は、その内周側に、軸部45に引っ掛けられる第1引掛部63と、コイルばね51のフック部53が引っ掛けられる第2引掛部64とを有している。第1引掛部63と第2引掛部64とは孔部62を挟んで反対側に形成されている。
【0056】
第1引掛部63と第2引掛部64とは各々の内周部が互いに反対側に凸となる円弧状をなしている。第1引掛部63は、その内周部の曲率半径r1が軸部45の軸本体45aの半径よりも大きくされ、かつ、軸部45の頭部45bの半径よりも小さくされている。詳しくは、第1引掛部63の内周部の曲率半径r1は軸本体45aの半径よりも若干大きくされている。また、第2引掛部64は、その内周部の曲率半径r2が第1引掛部63の内周部の曲率半径r1よりも小さくされている。詳しくは、第2引掛部64の内周部の曲率半径r2は第1引掛部63の曲率半径r1の半分以下とされている。
【0057】
環状部材61は、第1引掛部63と第2引掛部64とを繋ぐ繋ぎ部分66を孔部62を挟んだ両側にそれぞれ有している。各繋ぎ部分66はそれぞれ、第1引掛部63と連続する第1部分67と、第2引掛部64と連続する第2部分68とを有する。各繋ぎ部分66の第1部分67は孔部62を挟んで互いに対向しており、各繋ぎ部分66の第2部分68は孔部62を挟んで互いに対向している。なお、各第1部分67がそれぞれ対向領域に相当する。
【0058】
各第1部分67では、その内周部が円弧状とされており、詳しくは各々の内周部が互いに反対側に凸となる円弧状とされている。各第1部分67では、その内周部の曲率半径r3が軸部45の頭部45bの半径よりも大きくされている。これにより、孔部62において各第1部分67の間の領域は頭部45bを挿通可能な挿通領域62aとされている。なお、
図6では参考として、頭部45bを二点鎖線で示している。
【0059】
各第2部分68では、その内周部が直線状とされている。各第2部分68では、その内周部が第1部分67の内周部と第2引掛部64の内周部とを繋いでおり、第2引掛部64側に向かうにつれて互いに近づくよう傾斜している。
【0060】
環状部材61は、
図5に示すように、その第1引掛部63が軸部45の軸本体45aに引っ掛けられ、その第2引掛部64にコイルばね51のフック部53が引っ掛けられている。これにより、フック部53は、環状部材61を介して軸部45に接続されている。この場合、環状部材61において第1引掛部63と第2引掛部64とは軸部45を挟んで互いに反対側に配置されている。詳しくは、第2引掛部64がコイルばね51の引張力により引っ張られることで、第2引掛部64と第1引掛部63とは軸部45を挟んでコイルばね51の引張方向に並んで配置されている。
【0061】
上述したように、脚体部11が開脚状態と閉脚状態とに移行するのに伴い、リンク部31のリンク33がリンク受け部42に対して相対変位される際には、それに伴いコイルばね51が変位される。このコイルばね51が変位する変位時においては、コイルばね51の引張力により環状部材61の第2引掛部64が引っ張られることで、その引張方向において第2引掛部64が軸部45を挟んで第1引掛部63と並ぶように位置する(
図3~
図5参照)。この場合、第1引掛部63が軸部45の外周面に沿って回動しながら、第2引掛部64が上記のように位置することになる。
【0062】
このような構成では、第1引掛部63が軸部45に沿って回動することで、第2引掛部64とその第2引掛部64にフック部53が引っ掛けられたコイルばね51とが半ば一体となって、軸部45を中心に回動することになる。この場合、第2引掛部64とフック部53との間に摺動抵抗が生じるのを抑制することができるため、フック部53に摺動抵抗に起因した応力集中が生じるのを抑制することができる。これにより、応力集中に伴うフック部53の破断を抑制することができる。
【0063】
なお、環状部材61は、コイルばね51の線材51aと比べて十分に高い強度を有して形成されているため、第1引掛部63が軸部45に沿って回動する上記の構成にあっても破損が生じることが防止されている。
【0064】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0065】
環状部材61の内周側において孔部62を挟んで互いに反対側となる位置に第1引掛部63と第2引掛部64とを設けた。この場合、環状部材61を用いて第1引掛部63と第2引掛部64とを簡単に形成することができる。
【0066】
環状部材61において、孔部62を挟んだ両側で第1引掛部63と第2引掛部64とを繋ぐ各繋ぎ部分66にそれぞれ内周部の曲率半径r3が軸部45の頭部45bの半径よりも大きくされた第1部分67を含めるようにした。この場合、孔部62において各第1部分67の間は頭部45bを挿通可能な挿通領域62aとされる。そのため、この挿通領域62aに軸部45を通しながら、環状部材61を軸部45に取り付けることが可能となる。よって、この場合、頭部45b付きの軸部45に対して環状部材61を容易に取り付けることが可能となる。
【0067】
その一方で、第1引掛部63では、その内周部の曲率半径r1を軸部45の軸本体45aの半径よりも大きくかつ頭部45bの半径よりも小さくした。この場合、第1引掛部63が軸部45(軸本体45a)の外周面に沿って回動する際、第1引掛部63が軸本体45aに対して上記回動方向と異なる方向に位置ずれするのを抑制することができる。そのため、第1引掛部63と第2引掛部64とがコイルばね51の引張方向に並んだ状態をキープし易く、その結果、第2引掛部64とフック部53との間で摺動抵抗が生じるのを好適に抑制することができる。よって、この場合、環状部材61の軸部45への取り付けを容易としながら、摺動抵抗に起因したフック部53の破断を好適に抑制することができる。
【0068】
第2引掛部64では、その内周部の曲率半径r2を第1引掛部63の内周部の曲率半径r1よりも小さくした。この場合、第2引掛部64に引っ掛けられるフック部53が位置ずれするのを抑制することができる。これにより、コイルばね51の変位時に、第1引掛部63と第2引掛部64とがコイルばね51の引張方向に並んだ状態をキープし易く、その結果、第2引掛部64とフック部53との間で摺動抵抗が生じるのを好適に抑制することができる。よって、この場合、摺動抵抗に起因したフック部53の破断を好適に抑制することができる。
【0069】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0070】
(1)環状部材61の形態は必ずしも上記実施形態のものに限定されない。特に、上記実施形態では、第1引掛部63、第2引掛部64及び第1部分67の各内周部の曲率半径r1~r3について、その大小関係をr2<r1<r3としたが、これを変更してもよい。例えば、第2引掛部64の曲率半径r2を第1引掛部63の曲率半径r1と同じにすることが考えられる。また、環状部材61(孔部62)を真円状とし、各部63,64,66の曲率半径r1~r3を同じ大きさにしてもよい。また、第1引掛部63及び第2引掛部64の内周部は必ずしも円弧状とする必要はなく、V字状やU字状等、他の形状としてもよい。
【0071】
(2)上記実施形態では、環状部材61を用いて第1引掛部63と第2引掛部64とを形成したが、これら各引掛部63,64を形成する引掛部材は必ずしも環状とする必要はない。例えば、環状部材61の各繋ぎ部分66のうち一方を取り除く等することでC字状の部材を形成し、そのC字状の部材を引掛部材とすることが考えられる。また、S字状に曲げられた板状部材又は線状部材を用いて引掛部材を形成してもよい。この場合、S字状の部材が有する一対のフック部(曲がり部)がそれぞれ引掛部63,64とされる。
【0072】
(3)例えば、上記実施形態の構成において、コイルばね51のフック部53が接続される接続部(第1接続部)に加え、フック部54が接続される接続部(第2接続部)についても軸部により形成することが考えられる。そこで、このような場合に、その軸部にフック部54を接続するにあたり、環状部材61を用いた本発明の接続構成を採用してもよい。この場合、軸部に環状部材61の第1引掛部63を引っ掛けるとともに、第2引掛部64にフック部54を引っ掛けることになる。
【0073】
また、上記実施形態の構成において、各フック部53,54が接続される両接続部(第1接続部、第2接続部)のうち、フック部54が接続される接続部だけ軸部により形成されることも考えられる。そこで、このような場合に、環状部材61を用いた本発明の接続構成を採用してもよい。
【0074】
(4)上記実施形態では、丸フックからなるフック部53を軸部45に接続するにあたり、環状部材61を用いた本発明の接続構成を採用したが、U字フックや半丸フック、絞り丸フック等、円弧状に形成された他のフック部を軸部45に接続するにあたっても本発明の接続構成を適用することができる。
【0075】
(5)上記実施形態では、本発明のコイルばね取付構造を歩行車10の脚体部11を閉脚状態に保持するコイルばね51に適用したが、かかるコイルばねは歩行車10に限らず、ベビーカー等、開脚状態と閉脚状態とに切替可能な開閉式の脚体部を有する移動用車一般に用いられることが考えられる。そこで、そのような場合に、本発明のコイルばね取付構造を適用してもよい。
【0076】
また、本発明のコイルばね取付構造は、必ずしも脚体部の閉脚状態を保持するコイルばねに適用する必要はなく、それ以外の用途で用いられるコイルばねにも同様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
10…歩行車、33…第1部材としてのリンク、42…第2部材としてのリンク受け部、42a…第2接続部としての接続部、45…第1接続部としての軸部、45a…軸本体、45b…頭部、51…引張コイルばねとしてのコイルばね、51a…線材、52…ばね本体部、53…第1フック部としてのフック部、54…第2フック部としてのフック部、61…環状部材、62…孔部、63…第1引掛部、64…第2引掛部、66…繋ぎ部分、67…対向領域としての第1部分。