(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】有機溶剤と水とを含む混合液の精製システム及び精製方法
(51)【国際特許分類】
B01D 61/36 20060101AFI20221116BHJP
B01D 61/00 20060101ALI20221116BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20221116BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20221116BHJP
B01D 61/22 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B01D61/36
B01D61/00
B01D61/14 500
B01D61/58
B01D61/22
(21)【出願番号】P 2019046693
(22)【出願日】2019-03-14
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】鈴垣 裕志
(72)【発明者】
【氏名】増子 尚武
(72)【発明者】
【氏名】宮川 健一
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/207431(WO,A1)
【文献】特開2013-119060(JP,A)
【文献】特開2016-179434(JP,A)
【文献】特開2016-030232(JP,A)
【文献】特開平01-130780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C01F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤と水とを含む混合液の精製システムであって、
前記精製システムの外部から供給された原液を含む前記混合液を加熱するヒータと、
前記ヒータの下流に位置し、前記ヒータで加熱された前記混合液から微粒子を除去する
精密ろ過膜装置と、
前記
ヒータの下流に位置し、前記
ヒータで加熱された前記混合液から溶存酸素を除去する膜脱気装置と、
前記精密ろ過膜装置及び前記膜脱気装置の下流に位置し、イオン交換樹脂が充填されたイオン交換装置と、
前記
イオン交換装置の下流に位置し、前記
イオン交換装置で
イオンが除去された前記混合液から水分を除去する浸透気化膜装置と、を有する混合液の精製システム。
【請求項2】
前記ヒータは前記混合液を15℃以上、40℃以下に加熱する、請求項
1に記載の精製システム。
【請求項3】
前記有機溶剤はNMPである、請求項1
または2に記載の精製システム。
【請求項4】
有機溶剤と水とを含む混合液の精製方法であって、
前記精製システムの外部から供給された原液を含む前記混合液を加熱することと、
加熱された前記混合液から
精密ろ過膜装置で微粒子を除去することと、
加熱された前記混合液から膜脱気装置で溶存酸素を除去することと、
前記精密ろ過膜装置で微粒子が除去され前記膜脱気装置で溶存酸素が除去された前記混合液から、イオン交換樹脂が充填されたイオン交換装置でイオンを除去することと、
前記
イオン交換装置で
イオンが除去された前記混合液から浸透気化膜装置で水分を除去することと、
を有する混合液の精製方法。
【請求項5】
前記有機溶剤はNMPである、請求項
4に記載の精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機溶剤と水とを含む混合液の精製システムと精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、N-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPという)と水との混合液(以下、NMP水溶液という)から、浸透気化法(PV法)を用いてNMPを分離する方法が知られている。PV法はNMP水溶液を減圧して蒸留する方法(減圧蒸留法)と比べ、省エネルギー性能に優れている。PV法では水と親和性のある分離膜(浸透気化膜)を備えた浸透気化膜装置が用いられる。浸透気化膜の入口側にNMP水溶液を供給し透過側を減圧することで、NMP水溶液を入口側から透過側へ移動させる駆動力が得られる。この際、NMPと水の透過速度差により、主に水が透過側に移動し、NMPと水の分離が行われる。
【0003】
特許文献1には、NMP水溶液の精製システムが開示されている。この精製システムはNMP水溶液から微粒子や溶存酸素を除去する第1のサブシステムと、第1のサブシステムの下流に位置し、浸透気化膜装置を備える第2のサブシステムと、を有している。第1のサブシステムでは、NMP水溶液はろ過膜装置で微粒子を除去され、次に膜脱気装置で溶存酸素を除去される。その後、NMP水溶液は加熱され、イオン交換装置でイオン成分を除去されて第2のサブシステムに供給される。NMP水溶液は浸透気化膜装置の手前で高温に加熱されるため、NMP水溶液に溶存酸素が含まれていると、高温下で過酸化水素が生成され、NMP水溶液が酸化される可能性がある。予め溶存酸素を除去することで、NMPの酸化による劣化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたNMP水溶液の精製システムにおいては、NMP水溶液は膜脱気装置とイオン交換装置との間で加熱されている。一方、外部から供給されるNMP水溶液の原液の温度は特に管理されていないため、NMP水溶液の原液の温度は環境条件に依存する。例えば、屋外または空調のされていない室内に設置されたタンクから供給される場合、NMP水溶液の温度は冬季には氷点下まで下がることもあり得る。しかし、NMP水溶液の粘度は温度の低下とともに増加するため、NMP水溶液の温度が低下するとろ過膜装置や膜脱気装置における圧力損失が増加し、処理量の低下を招く可能性がある。以上の点についてはNMP以外の有機溶剤と水とを含む混合液についても同様である。
【0006】
本発明は、有機溶剤と水とを含む混合液の温度によらず処理量の低下を抑制可能な混合液の精製システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の、有機溶剤と水とを含む混合液の精製システムは、精製システムの外部から供給された原液を含む混合液を加熱するヒータと、ヒータの下流に位置し、ヒータで加熱された混合液から微粒子を除去する精密ろ過膜装置と、ヒータの下流に位置し、ヒータで加熱された混合液から溶存酸素を除去する膜脱気装置と、精密ろ過膜装置及び膜脱気装置の下流に位置し、イオン交換樹脂が充填されたイオン交換装置と、イオン交換装置の下流に位置し、イオン交換装置でイオンが除去された混合液から水分を除去する浸透気化膜装置と、を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、混合液の原液の温度によらず処理量の低下を抑制可能な混合液の精製システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るNMP水溶液の精製システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る有機溶剤と水とを含む混合液の精製システムと精製方法について説明する。以下の実施形態ではNMP水溶液の精製システム及び精製方法について説明するが、本発明はこれに限らず、有機溶剤と水とを含む混合液の精製システム及び精製方法に広く適用することができる。
【0011】
本発明に適用可能な有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2-プロパノールなどのアルコール類の他、大気圧(0.1013Mpa)での沸点が水の沸点(100℃)よりも高く、好ましくは大気圧下での沸点が浸透気化膜装置の一般的な運転温度である120℃であるかそれ以上である有機溶剤が挙げられる。このような有機溶剤の例を表1に示す。
【0012】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るNMP水溶液の精製システム1の概略構成図を示している。図中、CWは冷却水を、BR1,BR2はブラインを、STは高温蒸気を意味する。
【0014】
NMPは水に対して高い溶解度を有する有機溶剤の一つである。NMPは、例えば、リチウムイオン二次電池の製造工程において、電極活物質などの粒子を分散させたスラリーを電極集電体上に塗布し乾燥させて電極を形成する際に、スラリーの分散媒として広く用いられている。スラリーを乾燥させる際にNMPが回収され、回収されたNMPは精製した後に再利用することができる。NMPは、例えば水スクラバーを用いて、NMPと水とが混合した混合液(NMP水溶液)として回収される。回収されたNMP水溶液におけるNMP濃度は、70~99重量%程度である。
【0015】
NMP水溶液の精製システム1は、NMP水溶液から微粒子、溶存酸素、イオン成分等を除去する第1のサブシステム100と、微粒子、溶存酸素、イオン成分等が除去されたNMP水溶液から浸透気化膜装置によって水分のほとんどを除去してNMP濃縮液を生成する第2のサブシステム200と、NMP濃縮液を蒸留してNMP精製液を生成する第3のサブシステム300と、を有している。以下、個々のサブシステムの構成を説明する。
【0016】
(第1のサブシステム100)
第1のサブシステム100は、上述のようにして回収された処理対象のNMP水溶液を受け入れる受入部101を有している。NMP水溶液は、水スクラバーなどのNMP回収手段(図示せず)と接続された第1のNMP水溶液供給ラインL101によって、受入部101に供給される。受入部101は複数の容器(第1~第3の容器101a,101b,101c)を有し、これらの容器101a,101b,101cは精製システム1に供給されるNMP水溶液の原液の受け入れ、分析、移送などの目的に応じて切替え可能とされている。分析の結果問題がなければ、NMP水溶液は後段に移送されて精製処理を受け、精製処理に適さない場合は廃液槽(図示せず)に移送される。受入部101は第2のNMP水溶液供給ラインL102を介して、NMP水溶液に含まれる微粒子を除去する第1の精密ろ過膜装置102と接続されている。第2のNMP水溶液供給ラインL102上にはNMP水溶液を圧送するポンプ107が設けられている。第1の精密ろ過膜装置102は膜脱気装置103(後述)の上流に設けられているが、膜脱気装置103の下流、すなわち膜脱気装置103とイオン交換装置104(後述)との間に設けられてもよく、あるいは、膜脱気装置103の上流と、膜脱気装置103とイオン交換装置104との間の両方に設けられてもよい。
【0017】
第1の精密ろ過膜装置102は第3のNMP水溶液供給ラインL103を介して、NMP水溶液の溶存酸素を除去する膜脱気装置103と接続されている。後述するように、NMP水溶液は浸透気化膜装置201に導入される前に120℃程度まで加熱される。120℃程度まで加熱されたNMP水溶液では、NMP水溶液中に含まれる溶存酸素が過酸化水素になり、この過酸化水素がNMPを酸化させ、劣化させる可能性がある。予めNMP水溶液中の溶存酸素を除去することによって、NMPの酸化を抑制することができる。溶存酸素の濃度を監視するため、膜脱気装置103の入口ラインL103と出口ラインL104には溶存酸素計(図示せず)が設けられている。また、膜脱気装置103の入口ラインL103には水分濃度計と比抵抗計(ともに図示せず)が設けられている。受入部101の下流のポンプ107と第1の精密ろ過膜装置102との間にはヒータ108が設けられている。ヒータ108には高温蒸気が供給され、高温蒸気によってNMP水溶液を加熱する。蒸気配管には高温蒸気の流量を調整する流量調整弁V103が設けられている。
【0018】
膜脱気装置103の脱気膜は、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリウレタン、エポキシ樹脂などから形成することができる。NMPは一部の有機材料を溶解させる性質があるため、脱気膜はポリオレフィン、PTFEまたはPFAで形成することが好ましい。脱気膜は非多孔性であることが好ましい。中空糸状の脱気膜の内部を流れるNMP水溶液の溶存酸素が、真空ポンプ109によって負圧にされた脱気膜の外部に移動することによって、脱気、すなわち溶存酸素の除去が行われる。なお、脱気膜の外側(ガス透過側)に窒素ガス等の不活性ガスをスウィープして酸素分圧を下げてもよく、真空法とスウィープ法を併用してもよい。
【0019】
膜脱気装置103は第4のNMP水溶液供給ラインL104を介して、NMP水溶液のイオン成分を除去するイオン交換装置104と接続されている。イオン交換装置104にはアニオン交換樹脂もしくはカチオン交換樹脂が単床で、または、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂が混床もしくは複層床で充填されている。なお、イオン交換樹脂の種類は、ゲル型、MR型のいずれでもよい。イオン交換装置104は第5のNMP水溶液供給ラインL105を介して第2の精密ろ過膜装置105と接続されている。第2の精密ろ過膜装置105はイオン交換装置104から流出する可能性のある樹脂を捕捉し、樹脂の下流への流出を防止する。第2の精密ろ過膜装置105は第6のNMP水溶液供給ラインL106を介して、1次処理液槽106と接続されている。1次処理液槽106は、第1の精密ろ過膜装置102、膜脱気装置103、イオン交換装置104及び第2の精密ろ過膜装置105で処理されたNMP水溶液を受け入れ、受け入れたNMP水溶液を浸透気化膜装置201に供給する。以下、1次処理液槽106に貯留され、浸透気化膜装置201に供給されるNMP水溶液を1次処理液という場合がある。
【0020】
イオン交換装置104の入口ラインL104と出口ラインL105には比抵抗計(図示せず)が設けられている。イオン交換装置104で処理されたNMP水溶液の比抵抗が所定の値より小さい場合、すなわちイオン成分が十分に除去されないときは、イオン交換装置104を通るループに沿ってNMP水溶液を循環させることができる。具体的には、第5のNMP水溶液供給ラインL105から分岐して受入部101に接続された戻りラインL107が設けられている。通常は第5のNMP水溶液供給ラインL105の弁V101が開けられ、戻りラインL107の弁V102が閉じられているが、NMP水溶液の比抵抗が所定の値より小さい場合は第5のNMP水溶液供給ラインL105の弁V101を閉じ、戻りラインL107の弁V102を開く。これによって、受入部101、第1の精密ろ過膜装置102、膜脱気装置103、イオン交換装置104を通る循環ループが形成される。NMP水溶液がこの循環ループに沿って流れることで、NMP水溶液に含まれるイオン成分が十分に除去される。
【0021】
なお、前述の膜脱気装置103で処理されたNMP水溶液の溶存酸素が所定の値より大きい場合、すなわち溶存酸素が十分に除去されないときも、前述のイオン交換装置104を通るループに沿ってNMP水溶液を循環させることができる。これにより、NMP水溶液に含まれる溶存酸素も十分に除去される。
【0022】
(第2のサブシステム200)
微粒子と溶存酸素とイオン成分が除去され1次処理液槽106に貯蔵された1次処理液は次に第2のサブシステム200に供給され、ほとんどの水分が除去されたNMP濃縮液が生成される。1次処理液槽106は第7のNMP水溶液供給ラインL201を介して、浸透気化膜装置201に接続されている。第7のNMP水溶液供給ラインL201にはポンプ224と弁V201が設けられている。第7のNMP水溶液供給ラインL201には外部蒸気を用いた第1のヒータ205と、第1のヒータ205の上流(一次側)に位置する廃熱回収熱交換器206と、が設置されており、これらの第1のヒータ205及び廃熱回収熱交換器206によってNMP水溶液は120℃程度まで加熱される。浸透気化膜装置201に供給されるNMP水溶液を120℃程度まで加熱することで、浸透気化膜装置201の脱水性能を高めることができる。廃熱回収熱交換器206は、第7のNMP水溶液供給ラインL201を流れるNMP水溶液と、NMP濃縮液排出ラインL204を流れるNMP濃縮液との間で熱交換を行う。第1のヒータ205は外部の蒸気源(図示せず)から供給される高温蒸気によってNMP水溶液を加熱する。第1のヒータ205の蒸気供給ラインには蒸気供給量を調整するための弁V202が設けられている。第1のヒータ205の下流には温度警報表示器223が設けられている。温度警報表示器223で検出された温度に基づき弁V202の開度が調整され、NMP水溶液の温度が120℃程度に制御される。第7のNMP水溶液供給ラインL201の廃熱回収熱交換器206の上流には流量警報表示器225が設けられている。流量警報表示器225で検出された流量に基づき弁V201の開度が調整され、NMP水溶液の流量が所定の範囲内に制御される。
【0023】
浸透気化膜装置201は直列に接続された複数の浸透気化膜モジュール202~204を有している。本実施形態では3台の浸透気化膜モジュール、すなわち上流から下流に向けて第1の浸透気化膜モジュール202、第2の浸透気化膜モジュール203、第3の浸透気化膜モジュール204が直列に接続されているが、台数は3台に限定されない。第1の浸透気化膜モジュール202は第1の接続ラインL202を介して第2の浸透気化膜モジュール203に接続されている。第2の浸透気化膜モジュール203は第2の接続ラインL203を介して第3の浸透気化膜モジュール204に接続されている。第1~第3の浸透気化膜装置202,203,204は分離膜(浸透気化膜)202c、203c、204cによって、上流側の濃縮室202a,203a,204aと下流側の透過室202b,203b,204bとに区画されている。分離膜202c,203c,204cは水に対する親和性を有しているため、水をNMPよりも大きな透過速度で分離膜202c,203c,204cを透過させる。透過室202b,203b,204b側を負圧とすることで、透過速度の大きい水が透過速度の小さい少量のNMPともに蒸気(気相)の形態で透過室202b,203b,204bに移動し、ほとんどのNMPは濃縮室202a,203a,204aに残存する。この原理を用いてNMP水溶液から水分の一部が除去され、NMP水溶液の濃縮液が生成される。第3の浸透気化膜モジュール204の出口では、NMP濃度が99.99%程度まで高められたNMP濃縮液(水分は0.01%未満)が得られる。
【0024】
NMP水溶液は第1~第3の浸透気化膜モジュール202,203,204を順次流通し、徐々にNMP水溶液中の水分が除去される。水分の除去効率を維持するため、第1の接続ラインL202と第2の接続ラインL203にはそれぞれ、第2のヒータ207と第3のヒータ208が設けられている。第2及び第3のヒータ207,208は第1のヒータ205と同様、熱交換器であり、外部の蒸気源から供給される高温蒸気によってNMP水溶液を120℃程度まで加熱する。第2及び第3のヒータ207,208の蒸気供給ラインにはそれぞれ、蒸気供給量を調整するための弁V203,V204が設けられている。第3の浸透気化膜モジュール204から排出されたNMP濃縮水はNMP濃縮液排出ラインL204を通って第3のサブシステム300の中継槽301に供給される。上述のように、NMP濃縮液排出ラインL204を流れるNMP濃縮液は、廃熱回収式熱交換器206によって、第7のNMP水溶液供給ラインL201を流れるNMP水溶液との間で熱交換を行い、NMP水溶液を予熱する。
【0025】
NMP濃縮液排出ラインL204から分岐して1次処理液槽106に接続されるNMP濃縮液の戻りラインL215が設けられている。通常はNMP濃縮液排出ラインL204の弁V205が開かれ、戻りラインL215の弁V206が閉じられ、NMP濃縮液は中継槽301に供給される。一方、中継槽301にNMP濃縮液を供給できない場合などは弁V205が閉じられ、弁V206が開かれて、NMP濃縮液が1次処理液槽106に戻される。なお、NMP濃縮液を1次処理液槽106に返送する場合は、戻りラインL215に設けられた冷却器226によって、NMP濃縮液の温度がNMP水溶液(1次処理液)の温度と同程度になるように冷却水により冷却する。
【0026】
第1~第3の浸透気化膜モジュール202,203,204の透過室202b,203b,204bはそれぞれ第1~第3の透過液排出ラインL206,L209,L212によって第1~第3の透過液タンク214,215,216に接続されている。第1~第3の透過液タンク214,215,216の上部には、透過室201b,202b,203bに負圧を印加し、透過室201b,202b,203bの内部を負圧に維持可能な第1~第3の真空ポンプ217,218,219が設けられている。気相の水と少量のNMPは冷却水またはブラインによって凝縮され、透過液となって第1~第3の透過液タンク214,215,216の底部に収集される。第1~第3の透過液タンク214,215,216は透過液を一時的に貯蔵することができる。具体的には、冷却水CW及びブラインBR1,BR2はそれぞれ、第1~第3の透過液タンク214,215,216の周囲を覆う冷却ジャケット(図示せず)を流れて気相の水及びNMPを保冷し、さらに冷却ラインL207,L210、L213を通って、第1~第3の透過液排出ラインL206,L209,L212に設けられた第1~第3の熱交換器211,212,213に供給され、気相の水及びNMPを凝縮する。ブラインBR1,BR2の温度は0~-20℃程度が好ましい。
【0027】
第1~第3の熱交換器211,212,213はそれぞれ、第1~第3の透過液排出ラインL206,L209,L212を介して第1~第3の浸透気化膜モジュール202,203,204の透過室202b,203b,204bと連通している。第1~第3の熱交換器211,212,213は、透過室202b,203b,204bに透過した透過蒸気を冷却し、凝縮して、透過液を生成する冷却器である。透過室202b,203b,204bは第1~第3の熱交換器211,212,213の下流で第1~第3の透過液タンク214,215,216と連通している。
【0028】
第1~第3の透過液タンク214,215,216の底部にはそれぞれ第1~第3の透過水排出ラインL208,L211,L214が接続されている。第1~第3の透過液タンク214,215,216の上部にはそれぞれ、後述する不活性ガス供給母管L401から分岐した不活性ガス供給ラインL406A,406B,406Cが接続されている。凝縮された水と少量のNMPは第1~第3の透過液タンク214,215,216に一時的に貯蔵され、不活性ガス供給ラインL406A,406B,406Cから供給される不活性ガスで第1~第3の透過液タンク214,215,216の内部を加圧することによって、第1~第3の透過液タンク214,215,216から排出される。第1の透過液タンク214から排出された透過水は廃液槽に排出され、第2~第3の透過液タンク215,216から排出された透過水は後述するように再利用される。
【0029】
第1の透過液タンク214に収集された気相の水と少量のNMPを冷却した冷却水CWは第1の冷却水排出ラインL220に排出される。第1の冷却水排出ラインL220を流れる冷却水の一部は、第1の冷却水排出ラインL220から分岐した冷却水排出ラインL221を通って、第2の透過水排出ラインL211に設けられた熱交換器220に供給され、第2の透過水排出ラインL211を流れるNMPを含む透過水を加熱する。冷却水の残りは、第3の透過水排出ラインL214に設けられた熱交換器221に供給され、第3の透過水排出ラインL214を流れるNMPを含む透過水を加熱する。第2及び第3の透過水排出ラインL211,L214の熱交換器220,221の下流には水分濃度、流量などを計測する計測器222,223が設けられている。
【0030】
最上流の浸透気化膜モジュール、すなわち第1の浸透気化膜モジュール202はCHA型、T型、Y型またはMOR型のゼオライトからなる浸透気化膜202cを有している。最上流の浸透気化膜モジュール以外の浸透気化膜モジュール、すなわち第2及び第3の浸透気化膜モジュール203,204はA型ゼオライトからなる浸透気化膜203c,204cを有している。A型ゼオライトは、比較的安価で脱水性能が高いものの、水分濃度が高いNMP水溶液を処理する場合に、リークや性能低下が生じやすい。これに対し、A型以外のゼオライトは上述の環境でより長期間性能を保持することができる。このため、10~20重量%の水を含有するNMP水溶液を処理する第1の浸透気化膜モジュール202の浸透気化膜202cはCHA型、T型、Y型またはMOR型のゼオライトを用い、水分含有量の少ないNMP水溶液を処理する第2及び第3の浸透気化膜モジュール203,204の浸透気化膜203c,204cはA型ゼオライトを用いている。なお、第1の浸透気化膜モジュール202を構成する複数の浸透気化膜のすべてがCHA型、T型、Y型またはMOR型のゼオライトからなっている必要はなく、一部の膜がA型ゼオライトからなっていてもよい。
【0031】
第3の透過液排出ラインL212には冷却器209とメカニカルブースターポンプ210が設けられている。冷却器209は第3の浸透気化膜モジュール204から排出された透過液を予冷する。メカニカルブースターポンプ210および冷却器209は第3の浸透気化膜モジュール204の透過室204bに大きな負圧を印加するために設けられている。第3の浸透気化膜モジュール204に供給されるNMP水溶液の水分含有量は非常に少ないため、第3の真空ポンプ219に加えてメカニカルブースターポンプ210で十分な負圧を印加することで、水をNMP水溶液から効率的に分離することができる。冷却器209及びメカニカルブースターポンプ210は省略することができる。また、冷却器209とメカニカルブースターポンプ210との間に、冷却器209で凝縮された透過水を貯留するためのポッド(図示せず)を設けることもできる。
【0032】
第2及び第3の浸透気化膜モジュール203,204の透過液は浸透気化膜装置201の上流側に回収される。具体的には第2及び第3の透過液排出ラインL211,L214は透過液回収ラインL205に接続され、透過液回収ラインL205は1次処理液槽106に接続されている。第2及び第3の透過液排出ラインL211,L214から排出される透過液は第1の透過液排出ラインL208から排出される透過液と比べNMPの含有量が高いため、これを回収することで、NMPの回収率を高めることができる。透過液が回収される浸透気化膜モジュールは第2及び第3の浸透気化膜モジュール203,204に限定されず、少なくとも最下流の浸透気化膜モジュール(第3の浸透気化膜モジュール204)の透過液が浸透気化膜装置201の上流側に回収されればよい。透過液は受入部101に回収してもよく、透過液回収ラインL205に分岐ライン(図示せず)を設けることによって、1次処理液槽106と受入部101とに選択的に回収してもよい。
【0033】
(第3のサブシステム300)
第2のサブシステム200で生成されたNMP濃縮液は、ほとんどの水分が除去されている。しかし、NMP濃縮液は色度成分や浸透気化膜モジュールから溶出した浸透気化膜202c,203c,204cの微粒子およびイオン成分をわずかに含むため、さらに浸透気化膜装置201の下流に位置する第3のサブシステム300で蒸留されてNMP精製液が生成される。第3のサブシステム300はNMP濃縮液を蒸留し凝縮することによってNMPの精製液を生成することから、NMP濃縮液の蒸留精製装置として機能する。なお、以下に述べる第3のサブシステム300は単蒸留方式を用いているが、NMP濃縮液を蒸留することが可能な限り蒸留方法は限定されない。例えば、精密蒸留方式を用いることもできる。ただし、エネルギー消費が少ないこと、装置サイズが小さいこと、操作が簡単であることなどの理由から単蒸留方式が好ましい。また、単蒸留方式の中でも、本実施形態で用いている減圧単蒸留方式は熱劣化を防止できる観点から特に望ましい。
【0034】
前述のように、NMP濃縮液は一旦中継槽301に貯留される。第3のサブシステム300は第2のサブシステム200から独立したサブシステムであり、例えば、第2のサブシステム200の運転中に第3のサブシステム300の運転を一時的に停止するといった運用がなされることがある。このため、中継槽301を設けることで、第2のサブシステム200と第3のサブシステム300を、互いの独立性を維持しながらより弾力的に運用することが可能となる。中継槽301は第1のNMP濃縮液供給ラインL301を介して再生器302に接続されている。第1のNMP濃縮液供給ラインL301にはポンプ306と弁V301が設けられている。再生器302は熱交換器であり、後述する蒸発缶303で蒸発したNMP濃縮液(以下、NMP精製ガスという)との間で熱交換を行う。これによって、蒸発缶303の熱負荷を低減することができる。再生器302は第2のNMP濃縮液供給ラインL302を介して蒸発缶303に接続されている。蒸発缶303は外部の蒸気源(図示せず)から供給される高温蒸気によってNMP濃縮液を加熱し蒸発させる。蒸発缶303の蒸気供給ラインには蒸気供給量を調整するための弁V302が設けられている。蒸発缶303の底部には高温の液相のNMP濃縮液が滞留し、その上部に微粒子が除去された気相のNMP精製ガスが形成される。液相のNMP濃縮液に含まれる色度成分も蒸発しにくいため、蒸発缶303の底部に蓄積される。なお、本実施形態における蒸発缶303としては、液膜流下式の蒸発缶を例に挙げて以下に説明するが、液膜流下式以外の蒸発缶、例えばフラッシュ式、カランドリア式などの蒸発缶を用いてもよい。蒸発缶303の底部と頂部には循環ラインL303が接続されており、蒸発缶303を含む循環経路が循環ラインL303によって形成されている。循環経路上では、液相のNMP濃縮液を取り出して蒸発缶303に戻し、液膜流下にて再度加熱するサイクルが繰り返される。蒸気取り出し缶304(後述)の底部には、循環ラインL303と合流するNMP濃縮液取り出しラインL306が設けられている。蒸気取り出し缶304の底部に滞留するNMP濃縮液も、NMP濃縮液取り出しラインL306と循環ラインL303を通って蒸発缶303に戻され、再度加熱される。循環ラインL303には循環ポンプ307と弁V303が設けられている。循環ラインL303からは、弁V304が設けられたNMP濃縮液の不純物排出ラインL309が分岐している。
【0035】
蒸発缶303のNMP精製ガスは蒸発缶303の気相部から取り出され、第1のNMP精製ガス取り出しラインL304によって蒸気取り出し缶304に取り出される。蒸気取り出し缶304は第2のNMP精製ガス取り出しラインL305を介して再生器302と接続されている。NMP精製ガスの熱は再生器302で液相のNMP濃縮液と熱交換される。再生器302を出たNMP精製ガスはさらに第3のNMP精製ガス取り出しラインL307によってコンデンサ305に導入され、冷却水CWによって凝縮されてNMP精製液となる。コンデンサ305の内部では底部にNMP精製液が貯留され、その上はNMP精製ガスからなる気相部となっている。コンデンサ305の気相部は、負圧ラインL310によって真空ポンプ309と連通しており、コンデンサ305の気相部は真空ポンプ309によって負圧にされる。蒸発缶303を含む第3のサブシステム300の気相部も真空ポンプ309によって負圧にされ、蒸発缶303において減圧蒸発が行われる。これによって、NMP濃縮液の蒸発が促進される。負圧ラインL310のコンデンサ305と真空ポンプ309との間にはガスクーラ310が設けられ、コンデンサ305から真空ポンプ309に排出される、NMP精製ガスを含む気体が冷却される。コンデンサ305の冷却水はコンデンサ305と接続された冷却水排水ラインL311に排出される。冷却水排水ラインL311には熱交換器311が設けられており、不純物排出ラインL309を流れるNMP濃縮液が、排出される前に熱交換器311で冷却される。
【0036】
コンデンサ305の出口にはNMP精製液取り出し配管L308が接続されている。NMP精製液は、NMP精製液取り出し配管L308に設けられたポンプ308によって、払出し部311に送られる。払出し部311は受入部101と同様、複数の容器(第1~第3の容器311a,311b,311c)を有し、これらの容器311a,311b,311cは精製システム1から払い出されるNMP精製液の受け入れ、分析、移送などの目的に応じて切替え可能とされている。分析の結果問題がなければ、NMP精製液は排出ラインL312を通ってリチウムイオン二次電池の製造システムに移送され、当該製造システムで再利用される。問題がある場合は、NMP精製液は廃液槽(図示せず)に移送される。
【0037】
(不活性ガス供給手段)
本実施形態のNMP水溶液の精製システム1はさらに、容器の気相部を不活性ガスで充填する不活性ガス供給手段を備えている。上述のように、浸透気化膜装置201の上流及び下流にはNMP水溶液、NMP濃縮液またはNMP精製液が貯留される様々な容器が設けられている。これらの容器のいくつかは、内部にNMP水溶液、NMP濃縮液またはNMP精製液と、気相部との界面が形成される。この条件を満たす容器として以下が挙げられる。
【0038】
(1)NMP水溶液の受入部101の第1~第3の容器101a,101b,101c
(2)1次処理液槽106
(3)中継槽301
(4)再生器302
(5)蒸発缶303
(6)蒸気取り出し缶304
(7)コンデンサ305
(8)NMP精製液の払出し部311の第1~第3の容器311a,311b,311c
従来の容器(不活性ガス供給手段に関する以下の記載では、容器は容器101a,101b,101c,106,301~305,311a,311b,311cを意味する)の気相部は空気で形成されていた。しかし、発明者はこれらの容器に空気が充填されている場合、NMPが気相部の空気と結合して、NMPの過酸化物(NMP-O-O-H;5-ハイドロパーオキソ-1-メチル-2-ピロリドン)が生成されることを見出した。NMPの過酸化物は蓄積されると爆発の可能性がある。そこで、本実施形態ではこれらの容器に不活性ガス供給手段を設けている。不活性ガスとしては窒素ガスが好ましく、アルゴンガスを用いることもできる。不活性ガス供給手段は以下に述べる不活性ガス供給母管L401と、母管L401から分岐し各容器に不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインと、各不活性ガス供給ライン上に設置されたガスシールユニット、とから構成される。
【0039】
具体的には不活性ガスの供給源(図示せず)に不活性ガス供給母管L401が接続され、不活性ガス供給母管L401と受入部101、1次処理液槽106、中継槽301、払出し部311がそれぞれ不活性ガス供給ラインL402,L403,L404,L407で接続されている。不活性ガス供給ラインL402,L403,L404,L407は容器の頂部に接続されている。不活性ガス供給ラインL402,L403,L404,L407にはそれぞれガスシールユニットU402,U403,U404,U405が設けられている。さらに、コンデンサ305(より正確にはガスクーラ310)と真空ポンプ309との間の負圧ラインL310にスウィープ用の不活性ガス供給ラインL405が接続されている。不活性ガスは不活性ガス供給ラインL405からコンデンサ305に供給され、さらにラインL307,L302,L304,L305を通って再生器302、蒸発缶303及び蒸気取り出し缶304にも不活性ガスが供給される。図示は省略するが、再生器302、蒸発缶303、蒸気取り出し缶304にも、同様の真空ポンプとスウィープ用の不活性ガス供給ラインを設けることができる。
【0040】
不活性ガスはNMP水溶液の精製システム1が最初に稼動する際に容器に充填される。このとき、容器の内部は空気で満たされているため、ガスシールユニットU402,U403,U404,U405を通して不活性ガスを容器に送り込み、容器の内部の空気を強制的に不活性ガスに置換する。ガスシールユニットU402,U403,U404,U405は、下流側の容器の圧力が低下すると自動的に開き、不活性ガスを容器に充填するようにされている。従って、容器内のNMP水溶液、NMP濃縮液及びNMP精製液の量が低下すると容器の圧力が下がり、ガスシールユニットU402,U403,U404,U405を介して不活性ガスが容器に補充される。他のガスシールユニットについても同様である。
【0041】
容器に不活性ガスを充填することで、NMP過酸化物の爆発の可能性を低減できるだけでなく、容器内のNMP水溶液、NMP濃縮液及びNMP精製液に溶け込む水分量および溶存酸素量を抑えることができる。この結果、浸透気化膜モジュールの負荷を軽減することができる。また、容器内に酸素がほとんど存在しないため、NMP水溶液、NMP濃縮液及びNMP精製液の酸化を防止する効果も得られる。
【0042】
(第1のサブシステム100におけるヒータ108の設置位置について)
前述のように、本実施形態では受入部101の下流のポンプ107と第1の精密ろ過膜装置102との間にヒータ108が設けられている。受入部101はリチウムイオン二次電池の製造設備から供給されるNMP水溶液の原液と、戻りラインL107から戻されるNMP水溶液を受け入れる。従って、ヒータ108は精製システム1の外部から供給された原液を含むNMP水溶液を加熱する。NMP水溶液の原液は様々な方法で精製システム1に供給される可能性がある。例えば、リチウムイオン二次電池の製造設備がNMP水溶液の原液の貯留槽を備えている場合、原液は貯留槽から送られる。しかし、貯留槽は温度管理のされた環境に設置されている可能性もあるし、屋外など温度管理のされていない環境に設置されている可能性もある。特に後者の場合、季節によっても原液の温度が大きく変動する可能性がある。
【0043】
一方、NMP水溶液の原液は低温で粘性が増加するため、低温の原液が供給されると、第1の精密ろ過膜装置102や膜脱気装置103などの膜を備えた装置、及びイオン交換樹脂が充填されたイオン交換装置104において、圧力損失が増加する可能性がある。この結果、所定の流量を確保できず処理量の低下を招く可能性がある。
【0044】
本実施形態では上述のように第1の精密ろ過膜装置102の上流側にヒータ108が設けられているため、受入部101に貯蔵されているNMP水溶液の温度に拘らず、NMP水溶液を所定範囲の温度に調整することができる。ヒータ108は好ましくは、NMP水溶液を15℃以上40℃以下の範囲に加熱する。15℃以上でNMP水溶液の粘度を好ましい範囲とすることができ、第1の精密ろ過膜装置102、膜脱気装置103、イオン交換装置104などの圧力損失を抑えることができる。また、40℃以下の範囲では、イオン交換装置104に充填されている樹脂からのイオン類のリークを抑制することができるとともに、イオン交換装置104の容器の耐熱性に関する制約も緩和される。なお、NMP水溶液の温度はヒータ108の蒸気配管に設けられた流量調整弁V103の開度を調整することで制御することができる。NMP水溶液の温度が15℃以上であるときは弁V103を閉じ、高温蒸気の供給を停止することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 NMP水溶液の精製システム
100 第1のサブシステム
101 受入部
101a,101b,101c 受入部の第1~第3の容器
102 第1の精密ろ過膜装置
103 膜脱気装置
104 イオン交換装置
105 第2の精密ろ過膜装置
106 1次処理液槽
107 ポンプ
108 ヒータ
L101~L106 第1~第6のNMP水溶液供給ライン
L107 戻りライン
V101,V102 弁
200 第2のサブシステム
201 浸透気化膜装置
202~204 第1~第3の浸透気化膜モジュール
202a,203a,204a 濃縮室
202b,203b,204b 透過室
202c,203c,204c 分離膜(浸透気化膜)
205 第1のヒータ
206 再生式熱交換器
207 第2のヒータ
208 第3のヒータ
209 冷却器
210 メカニカルブースターポンプ
211,212,213 第1~第3の熱交換器
214,215,216 第1~第3の透過液タンク
217,218,219 第1~第3の真空ポンプ
220,221 第4,第5の熱交換器
223 温度警報表示器
224 ポンプ
225 流量警報表示器
226 冷却器
L201 第7のNMP水溶液供給ライン
L202,L203 第1,第2の接続ライン
L204 NMP濃縮液排出ライン
L205 透過液回収ライン
L206,L209,L212 第1~第3の透過液排出ライン
L207,L210,L213 冷却ライン
L208,L211,L214 第1~第3の透過水排出ライン
L215 NMP濃縮液の戻りライン
L220 第1の冷却水排出ライン
V201~V206 弁
300 第3のサブシステム
301 中継槽
302 再生器
303 蒸発缶
304 蒸気取り出し缶
305 コンデンサ
306 ポンプ
307 循環ポンプ
308 ポンプ
309 真空ポンプ
310 ガスクーラ
311 払出し部
311a,311b,311c 払出し部の第1~第3の容器
L301 第1のNMP濃縮液供給ライン
L302 第2のNMP濃縮液供給ライン
L303 循環ライン
L304 第1のNMP精製ガス取り出しライン
L305 第2のNMP精製ガス取り出しライン
L306 NMP濃縮液取り出しライン
L307 第3のNMP精製ガス取り出しライン
L308 NMP精製液取り出し配管
L309 NMP濃縮液の不純物排出ライン
L310 負圧ライン
L311 冷却水排水ライン
V301~V304 弁
L401 不活性ガス供給母管
L402~L407 不活性ガス供給ライン
U402,U403,U404,U405 ガスシールユニット