(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】パラレルリンク機構およびリンク作動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 21/46 20060101AFI20221116BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20221116BHJP
H02K 21/14 20060101ALI20221116BHJP
H02K 21/22 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
F16H21/46
B25J11/00 D
H02K21/14 M
H02K21/22 M
(21)【出願番号】P 2019054806
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 賢蔵
(72)【発明者】
【氏名】松澤 英樹
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219122(JP,A)
【文献】特開2015-224786(JP,A)
【文献】特開2011-240440(JP,A)
【文献】特開2014-46434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 21/46
B25J 11/00
H02K 21/14
H02K 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうちの少なくとも1つのリンク機構と接続された1つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記1つ以上の回転体は、前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記少なくとも1つのリンク機構の前記第1リンク部材は、前記1つ以上の回転体に固定されており、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記1つ以上の回転体の回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わる、パラレルリンク機構。
【請求項2】
前記1つ以上の回転体は、3つ以上の回転体を含み、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記3つ以上の回転体の前記回転中心軸は前記球面リンク中心点と交わる、請求項1に記載のパラレルリンク機構。
【請求項3】
前記3つ以上の回転体は、それぞれの前記回転中心軸が一致するように積層されている、請求項2に記載のパラレルリンク機構。
【請求項4】
前記3つ以上の回転体には、前記回転中心軸の周りを囲むように環状の貫通孔が形成され、
前記3つ以上の回転体は、第1回転体と、前記第1回転体から見て前記基端側リンクハブが位置する側に配置された第2回転体とを含み、
前記第2回転体に接続された前記第1リンク部材は、前記第1回転体の前記貫通孔の内部を通り前記先端側リンクハブ側に延びている、請求項3に記載のパラレルリンク機構。
【請求項5】
前記第1回転対偶部および前記第2回転対偶部の少なくともいずれか1つは軸受を含む、請求項3または請求項4に記載のパラレルリンク機構。
【請求項6】
前記3つ以上の回転体は、環状に設けられており、
前記3つ以上の回転体の内径は、互いに異なるように設けられており、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの前記回転中心軸が一致するように、前記回転中心軸に対する径方向において並んで配置されている、請求項2に記載のパラレルリンク機構。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のパラレルリンク機構と、
前記1つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する姿勢制御用駆動源とを備える、リンク作動装置。
【請求項8】
前記1つ以上の回転体と前記姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されている、請求項7に記載のリンク作動装置。
【請求項9】
前記1つ以上の回転体に接続された回転伝達部材を備え、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転伝達部材を介して前記1つ以上の回転体を回転させる、請求項8に記載のリンク作動装置。
【請求項10】
前記1つ以上の回転体は、回転伝達部を含み、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転伝達部を介して前記1つ以上の回転体を回転させる、請求項8に記載のリンク作動装置。
【請求項11】
前記1つ以上の回転体と前記姿勢制御用駆動源とが磁気的に接続されている、請求項7に記載のリンク作動装置。
【請求項12】
前記1つ以上の回転体は、磁石を含み、
前記姿勢制御用駆動源は、前記回転中心軸に対する径方向において前記磁石と対向して配置されたコイルを含む、請求項7に記載のリンク作動装置。
【請求項13】
前記1つ以上の回転体は、3つの回転体であり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記3つの回転体を回転させる、請求項7~請求項12のいずれか1項に記載のリンク作動装置。
【請求項14】
前記1つ以上の回転体は、4つの回転体であり、
前記姿勢制御用駆動源は、前記4つの回転体を回転させる、請求項7~請求項12のいずれか1項に記載のリンク作動装置。
【請求項15】
前記1つ以上の回転体の回転量を検出する回転量検出機構をさらに備える、請求項7~請求項14のいずれか1項に記載のリンク作動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パラレルリンク機構およびリンク作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機器や産業機器などの各種装置に用いられるパラレルリンク機構が知られている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-94245号公報
【文献】得開2015-194207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパラレルリンク機構は、構成が比較的簡単であるが、各リンクの作動角が小さい。このため、トラベリングプレートの作動範囲を大きく設定すると、リンク長が長くなることにより、機構全体の寸法が大きくなって装置の大型化を招くという問題がある。したがって、コンパクトな構成が必要とされるとともに、精密かつ広範な作動範囲が要求される用途に用いることは難しかった。
【0005】
特許文献2のリンク作動装置は、基端側のリンクハブと先端側のリンクハブとを、4節連鎖の3組以上のリンク機構を介して連結した構成としている。特許文献2のリンク作動装置は、コンパクトでありながら、精密かつ広範な作動範囲の動作が可能である。
【0006】
しかし、特許文献2のリンク作動装置では、3組以上のリンク機構に設けた姿勢制御用の駆動源に対して、先端側のリンクハブが回転2自由度で動作する。そのため、さらなる回転自由度を加えるには、リンク作動装置の外側に装置全体を回転させる機構を必要とする。この結果、装置全体が大型化するという問題があった。また、構造上、リンク機構の折れ角に応じて先端側のリンクハブの回転半径が変化するとともに、当該先端側のリンクハブの回転移動における回転中心の位置を固定できない。すなわち、基端側のリンクハブから見て先端側のリンクハブは固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を移動できないため、先端側のリンクハブの動作をイメージしにくいといった課題があった。
【0007】
この発明の目的は、固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を先端部材が移動可能なパラレルリンク機構およびリンク作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に従ったパラレルリンク機構は、基端側リンクハブと、3つ以上のリンク機構と、1つ以上の回転体と、先端側リンクハブとを備える。1つ以上の回転体は、上記3つ以上のリンク機構の少なくとも1つのリンク機構と接続される。1つ以上の回転体は、基端側リンクハブと回転自在に連結される。3つ以上のリンク機構のそれぞれは、第1リンク部材と第2リンク部材とを含む。第1リンク部材は、1つ以上の回転体に固定される。第2リンク部材は、第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続される。第2リンク部材は、先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続される。3つ以上のリンク機構において、第1回転対偶部の第1中心軸と、第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わる。1つ以上の回転体の回転中心軸は球面リンク中心点と交わる。
【0009】
本開示に従ったリンク作動装置は、上記パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備える。姿勢制御用駆動源は、3つ以上の回転体のうち少なくとも3つの回転体を回転させ、基端側リンクハブに対する先端側リンクハブの姿勢を任意に変更する。
【発明の効果】
【0010】
上記によれば、固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を先端部材が移動可能なパラレルリンク機構およびリンク作動装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
【
図2】
図1に示したパラレルリンク機構の正面模式図である。
【
図3】
図2の矢印60に沿った方向から見た先端側リンクハブおよびリンク機構の部分模式図である。
【
図4】
図2の線分IV-IVにおける断面模式図である。
【
図5】
図1に示したパラレルリンク機構の動作を説明するための斜視模式図である。
【
図6】
図1に示したパラレルリンク機構の動作を説明するための斜視模式図である。
【
図7】
図6に示したパラレルリンク機構の上面模式図である。
【
図8】実施の形態1に係るパラレルリンク機構の変形例を示す正面模式図である。
【
図9】実施の形態2に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
【
図10】
図9に示したパラレルリンク機構の先端側リンクハブおよびリンク機構の部分模式図である。
【
図11】実施の形態3に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
【
図12】実施の形態4に係るパラレルリンク機構の構成を示す部分断面模式図である。
【
図13】実施の形態5に係るパラレルリンク機構の構成を示す模式図である。
【
図15】実施の形態6に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
【
図16】
図15に示したパラレルリンク機構の正面模式図である。
【
図17】
図16の線分XVII-XVIIにおける断面模式図である。
【
図18】
図15に示したパラレルリンク機構の回転体の上面模式図である。
【
図19】実施の形態7に係るリンク作動装置の構成を示す斜視模式図である。
【
図20】
図19に示したリンク作動装置の構成を示す模式図である。
【
図21】実施の形態7に係るリンク作動装置の第1変形例を示す模式図である。
【
図22】実施の形態7に係るリンク作動装置の第2変形例を示す斜視模式図である。
【
図23】
図22に示したリンク作動装置の構成を示す部分模式図である。
【
図24】実施の形態7に係るリンク作動装置の第3変形例を示す模式図である。
【
図25】実施の形態7に係るリンク作動装置の第4変形例を示す斜視模式図である。
【
図26】実施の形態8に係るリンク作動装置の構成を示す斜視模式図である。
【
図27】
図26に示したリンク作動装置の構成を示す模式図である。
【
図28】
図27の線分XXVIII-XXVIIIにおける断面模式図である。
【
図29】実施の形態8に係るリンク作動装置の第1変形例を示す模式図である。
【
図30】
図29に示したリンク作動装置の構成を示す模式図である。
【
図32】
図30の線分XXXII-XXXIIにおける断面模式図である。
【
図33】実施の形態8に係るリンク作動装置の第2変形例を示す斜視模式図である。
【
図34】は、実施の形態8に係るリンク作動装置の第3変形例を示す模式図である。
【
図35】は、実施の形態9に係るパラレルリンク機構の構成を示す模式図である。
【
図36】は、実施の形態10に係るリンク作動装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施の形態1)
<パラレルリンク機構の構成>
図1は、実施の形態1に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
図2は、
図1に示したパラレルリンク機構の正面模式図である。
図3は、
図2の矢印60に沿った方向から見た先端側リンクハブおよびリンク機構の部分模式図である。
図4は、
図2の線分IV-IVにおける断面模式図である。
【0014】
図1~
図4に示したパラレルリンク機構は、基端側リンクハブ1と、3つのリンク機構11と、3つの回転体2a~2cと、先端側リンクハブ3とを備える。基端側リンクハブ1は、円盤状の部材である。なお、
図1に示した基端側リンクハブ1の平面形状は円形状であるが、当該平面形状は三角形状、四角形状などの多角形状、あるいは楕円形状、半円形状など他の任意の形状であってもよい。また、基端側リンクハブ1は
図1に示すような板状体であってもよいが、他の任意の形状であってもよく、他の機械装置の一部であってもよい。また、リンク機構11の数は3以上であればよく、たとえば4または5としてもよい。
【0015】
3つの回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように積層された状態で基端側リンクハブ1と回転可能に連結される。3つの回転体2a~2cは、固定部材としてのボルト7とナット8とにより基端側リンクハブ1に接続されている。3つの回転体2a~2cには上記ボルト7を通すため中央部に穴が形成されている。ボルト7の端に位置する頭部と回転体2aとの間にはワッシャ9が配置されている。積層された3つの回転体2a~2cの間には回転抵抗低減部材19がそれぞれ配置されている。また、積層された3つの回転体2a~2cのうち最も基端側リンクハブ1側に位置する回転体2cと基端側リンクハブ1との間にも回転抵抗低減部材19が配置されている。
【0016】
3つの回転体2a~2cは、平面形状がほぼ円形状である。3つの回転体2a~2cは、それぞれの外周部にリンク機構11を接続するための突出部が形成されている。突出部は回転体2a~2cの外周端面から外側に突出した凸形状部である。3つ回転体2a~2cは、上記3つのリンク機構11のそれぞれと上記突出部において接続される。
【0017】
3つのリンク機構11のそれぞれは、第1リンク部材4a~4cと第2リンク部材6a~6cとを含む。1つめの第1リンク部材4aは、回転体2aの突出部に固定される。2つめの第1リンク部材4bは回転体2bの突出部に固定される。3つめの第1リンク部材4cは回転体2cの突出部に固定される。第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの突出部に固定する方法は、任意の方法を用いることができる。たとえば、固定部材としてのネジ56によって第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cに固定してもよい。あるいは、第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの突出部に溶接して固定してもよく、接着剤層を介して固定してもよい。
【0018】
第1リンク部材4a~4cは、屈曲部を有する柱状の形状を有している。第1リンク部材4a~4cの長さは互いに異なっている。最も基端側リンクハブ1に近い位置に配置された回転体2cに接続された第1リンク部材4cが最も長くなっている。また、最も基端側リンクハブ1から遠くに配置された回転体2aに接続された第1リンク部材4aが最も短くなっている。第1リンク部材4a~4cは、回転体2a~2cの表面に垂直な方向に伸びる第1部分と、第1部分の伸びる方向に対して斜めに伸びる第2部分と、第1部分と第2部分との接続部である上記屈曲部とを含む。
図2に示すように、第1リンク部材4a~4cの第1部分の一方端部が回転体2a~2cに固定されている。第1部分の上記一方端部と反対側の他方端部が、第2部分の一方端部と接続されている。第2部分において一方端部と反対側の他方端部が第2リンク部材6a~6cとそれぞれ回転可能に接続されている。第2部分は、一方端部から他方端部に向けて、回転体2a~2cの回転中心軸12から徐々に離れるように構成されている。つまり、第1リンク部材4a~4cの第2部分の伸びる方向は、回転中心軸12に対して傾斜している。
【0019】
1つめの第2リンク部材6aは、第1リンク部材4aに第1回転対偶部25aにおいて回転可能に接続される。2つめの第2リンク部材6bは、第1リンク部材4bに第1回転対偶部25bにおいて回転可能に接続される。3つめの第2リンク部材6cは、第1リンク部材4cに第1回転対偶部25cにおいて回転可能に接続される。第1回転対偶部25a~25cは、それぞれ第1中心軸15a~15cを有する。第1中心軸15a~15cは、回転体2a~2cの回転中心軸12に向かう方向に伸びている。また、第1中心軸15a~15cは、回転中心軸12に近づくにつれて回転体2a~2cから離れるように、回転中心軸12に対して傾斜している。
【0020】
第1回転対偶部25a~25cの構造は、任意の構成とすることができる。たとえば、第1回転対偶部25a~25cは、第1中心軸15a~15cに沿って伸びる軸部と、当該軸部が挿入される貫通穴が形成された第1リンク部材4a~4cの部分と、当該軸部が挿入される貫通穴が形成された第2リンク部材6a~6bの部分とにより構成されていてもよい。この場合、軸部を中心軸として第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cは回転可能となっている。第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cの貫通穴から軸部が抜けることを防止するため、軸部の両端にはたとえば位置決め部材としてのナットが固定されていてもよい。
【0021】
あるいは、軸部が第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cのいずれか一方に接続されており、当該軸部が第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cのいずれか他方に形成された貫通穴に挿入された状態となっていてもよい。軸部に対して第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cのいずれか他方が回転可能になっていてもよい。軸部の先端部には貫通穴から軸部が抜けることを防止するための位置決め部材としてのナットなどが固定されていてもよい。
【0022】
第2リンク部材6a~6cは、第1中心軸15a~15cの伸びる方向と交差する方向に伸びる第1部分と、当該第1部分の先端部から第1中心軸15a~15cに沿って伸びる第2部分とを含む。第1部分の上記先端部と反対側の根元部は、第1リンク部材4a~4cと回転可能に接続された第1回転対偶部25a~25cの一部となっている。
【0023】
第2リンク部材6a~6cは、先端側リンクハブ3に第2回転対偶部26a~26cにおいて回転可能に接続される。第2回転対偶部26a~26cは、それぞれ第2中心軸16a~16cを有する。具体的には、第2回転対偶部26a~26cは、第2中心軸16a~16cに沿って伸びる軸部と、当該軸部を挿入する貫通穴が形成された先端側リンクハブ3の突出部と、当該突出部を挟むように配置され、軸部を挿入する貫通穴が形成された一対の壁部とを含む。一対の壁部は第2リンク部材6a~6cの第2部分の先端部に形成されている。軸部はボルト17とナット18とにより構成される。軸部を中心として、先端側のリンクハブ3の突出部と第2リンク部材6a~6cとは回転可能になっている。一対の壁部と先端側リンクハブ3の突出部との間には、
図3に示すように回転抵抗低減部材29が配置されている。回転抵抗低減部材29としては、上述した一対の壁部および突出部との間の摩擦係数を低減できる任意の部材を用いることができる。たとえば、回転抵抗低減部材29として摩擦係数がより低い樹脂製のシム・ワッシャなどを用いることができる。
【0024】
第2中心軸16a~16cは、第1中心軸15a~15cと異なる方向に伸びるとともに、回転体2a~2cの回転中心軸12に向かう方向に伸びている。第2中心軸16a~16cは、回転体2a~2cの回転中心軸12にたとえば直交する方向に伸びている。
【0025】
3つのリンク機構11において、第1回転対偶部25a~25cの第1中心軸15a~15cと、第2回転対偶部26a~26cの第2中心軸16a~16cとは球面リンク中心点30で交わる。3つ以上の回転体2a~2cの回転中心軸12は球面リンク中心点30と交わる。上記のような関係を満たせば第1回転対偶部25a~25cおよび第2回転対偶部26a~26cの配置は任意に変更できる。
図3からわかるように、3つの第2リンク部材6a~6cのそれぞれにおいて、先端側リンクハブ3側から視て(以下、平面視)第1中心軸15a~15cと第2中心軸16a~16cとのなす角度が実質的に90°である。また、球面リンク中心点30を中心とした周方向において、第1中心軸15a~15cは等間隔に配置されている。
【0026】
先端側リンクハブ3の平面形状は六角形状であるが、他の任意の多角形状であってもよい。当該平面形状は円形状、楕円形状など任意の形状であってもよい。
【0027】
3つのリンク機構11は、平面視において円周上に等間隔に配置されている。すなわち、の第1中心軸15a~15cについて、平面視において球面リンク中心点30から見て隣接する2つの第1中心軸のなす角度が120°である。また、第2中心軸16a~16cについて、平面視において球面リンク中心点30から見て隣接する2つの第2中心軸のなす角度が120°である。なお、3つのリンク機構11を平面視において円周上に異なる間隔で配置してもよい。
【0028】
<パラレルリンク機構の動作>
図5は、
図1に示したパラレルリンク機構の動作を説明するための斜視模式図である。
図6は、
図1に示したパラレルリンク機構の動作を説明するための斜視模式図である。
図7は、
図6に示したパラレルリンク機構の上面模式図である。
【0029】
図5に示すように、全ての回転体2a~2cを
図5の矢印に示すように同方向に同角度だけ回転させることで、先端側リンクハブ3の姿勢を維持したまま先端側リンクハブ3を回転中心軸12(
図2参照)を中心に回転させることができる。このとき、回転体2a~2cの突出部間の相対的な位置関係は維持される。
【0030】
また、
図6に示すように、3つの回転体2a~2cの回転方向や回転角度を異ならせることにより、基端側リンクハブ1に対する先端側リンクハブ3の姿勢を任意に変更できる。つまり、3つの回転体2a~2cの回転角度を制御することにより、球面リンク中心点30から見た先端側リンクハブ3の姿勢における折れ角θ1、旋回角θ2および回転角を制御できる。つまり、先端側リンクハブ3の姿勢は折れ角θ1、旋回角θ2および回転角という3自由度を有する。
【0031】
ここで、折れ角θ1とは、
図6に示すように、第2中心軸16a~16cのすべてに垂直であって球面リンク中心点30を通る直線である先端側リンクハブ中心軸31と、回転体2a~2cの回転中心軸12とのなす角度である。
図7に示すように、旋回角θ2とは、球面リンク中心点30を通り、回転中心軸12が垂直に交わる平面(XY平面)に上記先端側リンクハブ中心軸31を投影した直線と、XY平面において球面リンク中心点30を原点として設定したX軸とのなす角度である。また、回転角とは、基端側リンクハブ1に対して回転中心軸12を中心に先端側リンクハブ3が
図5の矢印に示すように回転する場合の回転角度である。
【0032】
<作用効果>
本開示に従ったパラレルリンク機構は、基端側リンクハブ1と、3つ以上のリンク機構11と、3つ以上の回転体2a~2cと、先端側リンクハブ3とを備える。3つ以上の回転体2a~2cは、上記3つ以上のリンク機構11のそれぞれと接続される。3つ以上の回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように積層された状態で基端側リンクハブ1と回転自在に連結される。3つ以上のリンク機構11のそれぞれは、第1リンク部材4a~4cと第2リンク部材6a~6cとを含む。第1リンク部材4a~4cは、3つ以上の回転体2a~2cのうちの1つに固定される。第2リンク部材6a~6cは、第1リンク部材4a~4cに第1回転対偶部25a~25cにおいて回転可能に接続される。第2リンク部材6a~6cは、先端側リンクハブ3に第2回転対偶部26a~26cにおいて回転可能に接続される。3つ以上のリンク機構11において、第1回転対偶部25a~25cの第1中心軸15a~15cと、第2回転対偶部26a~26cの第2中心軸16a~16cとは球面リンク中心点30で交わる。3つ以上の回転体2a~2cの回転中心軸12は球面リンク中心点30と交わる。
【0033】
このようにすれば、基端側リンクハブ1に対して先端側リンクハブ3を、回転3自由度で動作させることができる。つまり、3つの回転体2a~2cを回転させることにより、基端側リンクハブ1に対して先端側リンクハブ3を、球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動させることができるとともに、回転中心軸12を中心として先端側リンクハブ3を回転させることができる。また、回転体2a~2cの回転運動により先端側リンクハブ3の姿勢を制御するので、上記パラレルリンク機構を用いたコンパクトなリンク作動装置を実現できる。さらに、先端側リンクハブ3が、球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動するので、先端側リンクハブ3の動作をイメージしやすい。
【0034】
<変形例>
図8は、実施の形態1に係るパラレルリンク機構の変形例を示す正面模式図である。
図8に示すパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、先端側リンクハブ3の形状および第2回転対偶部26a~26cの構成が
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。すなわち、先端側リンクハブ3の形状が板状であり、当該先端側リンクハブ3の端面に直接第2リンク部材6a~6cが回転可能に接続されている。なお、先端側リンクハブ3の平面形状は
図1~
図4に示したパラレルリンク機構における先端側リンクハブ3の平面形状と同じでもよいが、他の任意の形状であってもよい。また、先端側リンクハブ3の端面と第2リンク部材6a~6cとの接続部の構成は、第2リンク部材6aが先端側リンクハブ3に対して回転可能に接続できれば任意の構成を採用できる。
【0035】
このような構成とすることで、
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と比較して、パラレルリンク機構の高さ方向における寸法を小さくできる。この結果、パラレルリンク機構をより小型化できる。
【0036】
(実施の形態2)
<パラレルリンク機構の構成>
図9は、実施の形態2に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
図10は、
図9に示したパラレルリンク機構の先端側リンクハブおよびリンク機構の部分模式図である。
図9および
図10に示すパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2dおよびリンク機構11の数と、先端側リンクハブ3の形状とが
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。すなわち、
図9および
図10に示したパラレルリンク機構は、4つの回転体2a~2dを備える。4つの回転体2a~2dは積層された状態で基端側リンクハブ1にそれぞれが独立して回転可能に接続されている。回転体2a~2dは外周部に突出部が形成されている。
【0037】
それぞれの回転体2a~2dにはリンク機構11が接続されている。4つのリンク機構11は、それぞれ第1リンク部材4a~4dと第2リンク部材6a~6dとを含む。3つの第1リンク部材4a~4cは、
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様に、それぞれ回転体2a~2cの突出部に固定される。4つめのリンク機構11における第1リンク部材4dは、4つめの回転体2dの突出部に固定される。
【0038】
第1リンク部材4a~4dは、
図1~
図4に示したパラレルリンク機構における第1リンク部材4a~4cと同様に、屈曲部を有する柱状の形状を有している。第1リンク部材4a~4dの長さは互いに異なっている。
【0039】
3つの第2リンク部材6a~6cは、
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様に、3つの第1リンク部材4a~4cに第1回転対偶部25a~25cにおいて回転可能に接続される。4つめの第2リンク部材6dは、4つめの第1リンク部材4dに第1回転対偶部25dにおいて回転可能に接続される。第1回転対偶部25a~25dは、それぞれ第1中心軸15a~15dを有する。第1中心軸15a~15dは、回転体2a~2dの回転中心軸12に向かう方向に伸びている。また、第1中心軸15a~15dは、回転中心軸12に近づくにつれて回転体2a~2dから離れるように、回転中心軸12に対して傾斜している。
【0040】
第2リンク部材6a~6dは、第1中心軸15a~15dの伸びる方向と交差する方向に伸びる第1部分と、当該第1部分の先端部から第1部分の延在方向と異なる方向に伸びる第2部分とを含む。第2部分は、第1部分から離れるにしたがって第1中心軸15a~15dから離れるように、第1中心軸15a~15dに対して傾斜している。第1部分において上記先端部と反対側の根元部は、第1リンク部材4a~4dと回転可能に接続された第1回転対偶部25a~25dの一部となっている。
【0041】
第2リンク部材6a~6dは、先端側リンクハブ3に第2回転対偶部26a~26dにおいて回転可能に接続される。第2回転対偶部26a~26dは、それぞれ第2中心軸16a~16dを有する。先端側リンクハブ3の平面形状は、八角形状である。先端側リンクハブ3の外周部には、当該先端側リンクハブ3の外周に沿った方向において実質的に等間隔で第2回転対偶部26a~26dが配置されている。1つの第2リンク部材6aにおける、第1回転対偶部25aの第1中心軸15aと第2回転対偶部26aの第2中心軸16aとのなす角度は90°未満である。他の第2リンク部材6b~6dは上述した第2リンク部材6aと同様の構成を備える。
【0042】
4つのリンク機構11において、第1回転対偶部25a~25dの第1中心軸15a~15dと、第2回転対偶部26a~26dの第2中心軸16a~16dとは球面リンク中心点30で交わる。4つの回転体2a~2dの回転中心軸12は球面リンク中心点30と交わる。上記のような関係を満たせば第1回転対偶部25a~25dおよび第2回転対偶部26a~26dの配置は任意に変更できる。
【0043】
<作用効果>
図9および
図10のような構成のパラレルリンク機構では、
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様に、基端側リンクハブ1に対して先端側リンクハブ3を、球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動させることができるとともに、回転中心軸12を中心として先端側リンクハブ3を回転させることができる。また、先端側リンクハブ3を4つのリンク機構11により支持するので、リンク機構11が3つの場合と比べて、先端側リンクハブ3に搭載する機器の重さの上限を大きくしたり、パラレルリンク機構自体の剛性を高めたりすることができる。
【0044】
(実施の形態3)
<パラレルリンク機構の構成>
図11は、実施の形態3に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
図11に示すパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cの形状およびリンク機構11の第2リンク部材6a~6cの形状が
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。すなわち、第1リンク部材4a~4cが接続された回転体2a~2cの突出部の長さが回転体2a~2cごとに異なっている。
図11に示したパラレルリンク機構では、基端側リンクハブ1から最も離れた位置に配置された回転体2aの突出部22aの長さL1より、回転体2aから見て基端側リンクハブ1側に位置する回転体2bの突出部22bの長さL2が長くなっている。また、
図11に明示されていないが、回転体2bから見て基端側リンクハブ1側に位置する回転体2cの突出部の長さは突出部22bの長さL2より長くなっていてもよい。
【0045】
上記のように3つの回転体2a~2cの突出部の長さが異なることに対応し、3つの回転体2a~2cに接続されたリンク機構11の第2リンク部材6a~6cの形状は互いに異なっている。具体的には、上述した突出部の長さの違いに基づき、3つのリンク機構11における第1回転対偶部25a~25cと第2回転対偶部26a~26cとの間の距離が異なっている。このため、3つのリンク機構11における第2リンク部材6a~6cの長さは互いに異なる。なお、このように3つのリンク機構11のサイズが異なル場合においても、
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様に第1回転対偶部25a~25c、第2回転対偶部26a~26c、回転中心軸12および球面リンク中心点30の関係は維持される。つまり、
図11に示したパラレルリンク機構においても、3つのリンク機構11において、第1回転対偶部25a~25cの第1中心軸15a~15cと、第2回転対偶部26a~26cの第2中心軸16a~16cとは球面リンク中心点30で交わっている。また、3つの回転体2a~2cの回転中心軸12は球面リンク中心点30と交わる。
【0046】
<作用効果>
図11のような構成のパラレルリンク機構においても、
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様に、基端側リンクハブ1に対して先端側リンクハブ3を、球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動させることができるとともに、回転中心軸12を中心として先端側リンクハブ3を回転させることができる。
【0047】
(実施の形態4)
<パラレルリンク機構の構成>
図12は、実施の形態4に係るパラレルリンク機構の構成を示す部分断面模式図である。
図12では、パラレルリンク機構のリンク機構11における第1回転対偶部25a~25cから第2回転対偶部26a~26cまでの部分断面模式図を示している。
図12に示したパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、第1回転対偶部25a~25cおよび第2回転対偶部26a~26cのそれぞれに回転抵抗低減手段としての軸受39、49が設置されている点が
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。なお、
図12では、すべての第1回転対偶部25a~25cおよび第2回転対偶部26a~26cに軸受39、49を設置しているが、第1回転対偶部25a~25cおよび第2回転対偶部26a~26cの少なくともいずれか1つにおいて軸受を設置するようにしてもよい。
【0048】
具体的には、第1回転対偶部25a~25cでは、第1リンク部材4a~4cにおいて第1回転対偶部25a~25cの一部となる先端部に貫通穴が形成されている。第2リンク部材6a~6cにおいて第1回転対偶部25a~25cの一部となる根元部にも貫通穴が形成されている。
【0049】
第2リンク部材6a~6cの貫通穴の内部に軸受39が配置されている。当該貫通穴の内部には2つの軸受39が複列に配置されている。軸受39としてはたとえば玉軸受などの転がり軸受を用いることができる。軸受39は外輪と、内輪と、当該外輪および内輪の間に配置された複数の転動体とを含む。軸受39の外輪は第2リンク部材6a~6cの上記貫通穴に固定されている。外輪の固定方法は任意の方法を用いることができる。たとえば、外輪を第2リンク部材6a~6cの上記貫通穴に圧入してもよい。また、外輪を第2リンク部材6a~6cの貫通穴に挿入した状態で加締め加工により固定してもよいし、止め輪を用いて固定してもよい。
【0050】
第1リンク部材4a~4cの貫通穴と第2リンク部材6a~6cの貫通穴が同軸上に並ぶように、第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cは配置されている。第1リンク部材4a~4cの貫通穴および第2リンク部材6a~6cの貫通穴にボルト17が挿入されている。ボルト17の先端部にはナット18が固定されている。ナット18と軸受39の内輪との間にはたとえば図示しないワッシャが配置されている。ナット18が軸受39の内輪を締め付けることにより、当該軸受39の内輪はボルト17およびナット18を介して第1リンク部材4a~4cに固定される。上記のような構成により、軸受39の内輪には予圧が付与される。
【0051】
このとき、複列配置された軸受39の間にワッシャまたは間座を配置することにより、2つの軸受39の間の距離を大きくしてもよい。また、2つの軸受39としてアンギュラ玉軸受を用いてもよい。このようにすれば軸受39を含む第1回転対偶部25a~25cの剛性を向上させることができる。
【0052】
第2回転対偶部26a~26cでは、第2リンク部材6a~6cにおいて第2回転対偶部26a~26cの一部となる先端部に、先端側リンクハブ3の突出部を挟むように配置された一対の壁部が形成されている。壁部には貫通穴が形成されている。一対の壁部の間に配置され、第2回転対偶部26a~26cの一部となる先端側リンクハブ3の突出部にも貫通穴が形成されている。
【0053】
先端側リンクハブ3の突出部に形成された貫通穴の内部に軸受49が配置されている。当該貫通穴の内部には2つの軸受49が複列に配置されている。軸受49としては、軸受39と同様に玉軸受などの転がり軸受を用いることができる。軸受49は外輪と、内輪と、当該外輪および内輪の間に配置された複数の転動体とを含む。軸受49の外輪は先端側リンクハブ3の上記貫通穴に固定されている。外輪の固定方法は任意の方法を用いることができる。たとえば、外輪を先端側リンクハブ3の上記貫通穴に圧入してもよい。
【0054】
第2リンク部材6a~6cの貫通穴と先端側リンクハブ3の貫通穴が同軸上に並ぶように、第2リンク部材6a~6cおよび先端側リンクハブ3の突出部は配置されている。第2リンク部材6a~6cの貫通穴および先端側リンクハブ3の突出部の貫通穴にボルト17が挿入されている。ボルト17の先端部にはナット18が固定されている。第2リンク部材6a~6cの壁部と軸受49の内輪との間にワッシャ69が配置されている。ナット18が第2リンク部材6a~6cの壁部およびワッシャ69を介して軸受49の内輪を締め付けることにより、当該軸受49の内輪は第2リンク部材6a~6cに固定される。
【0055】
<作用効果>
上記パラレルリンク機構において、第1回転対偶部25a~25cおよび第2回転対偶部26a~26cの少なくともいずれか1つは軸受39、49を含んでもよい。この場合、軸受39、49が設置された第1回転対偶部25a~25cまたは第2回転対偶部26a~26cの動作を滑らかにすることができ、先端側リンクハブ3の位置決め精度を向上させることができる。また、当該軸受39、49を設置することにより、軸受39、49が設置された第1回転対偶部25a~25cまたは第2回転対偶部26a~26cの摩擦トルクを低減することで当該回転対偶部での発熱を抑制できる。この結果、当該回転対偶部の寿命を延ばすことができる。さらに、軸受39、49を設置することにより、当該軸受39、49を用いない場合より回転対偶部の動作時のガタツキを抑制できる。
【0056】
(実施の形態5)
<パラレルリンク機構の構成>
図13は、実施の形態5に係るパラレルリンク機構の構成を示す模式図である。
図14は、
図13の領域XIVの拡大断面模式図である。
【0057】
図13および
図14に示したパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cのそれぞれに回転抵抗低減手段としての軸受59が設置されている点、および回転体2a~2cを固定するためのボルト7が中空となっている点が
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。回転体2a~2cのそれぞれには2つの軸受59が設置されている。なお、
図13および
図14では、すべての回転体2a~2cに軸受59を設置しているが、複数の回転体2a~2cの少なくともいずれか1つにおいて軸受59を設置するようにしてもよい。また、回転体2a~2cのそれぞれに1つの軸受59を設置してもよい。
【0058】
軸受59は外輪と、内輪と、当該外輪および内輪の間に配置された複数の転動体とを含む。軸受59の外輪は回転体2a~2cの内周面に接触するように配置されている。回転体2a~2cの内周面における基端側リンクハブ1側の端部には軸受59の外輪を支持するための突起部70が形成されている。2つの軸受59の外輪は、回転体2a~2cの内周面に接した状態で、シム33を介して回転中心軸12の方向に沿って積層されている。回転体2a~2cの基端側リンクハブ1に面する側と反対側の上面上には押さえ部材71が配置されている。押さえ部材71は軸受59の外輪に接触している。押さえ部材71は軸受59の外輪を突起部70側に向けて押圧するように、回転体2a~2cに固定されている。
【0059】
軸受59の内輪の内周面はボルト7の側面に面するように配置されている。すなわち、内輪の内周面により規定される開口部にボルト7が挿入されている。2つの軸受59の内輪を回転中心軸12に沿った方向から挟むようにワッシャ9が配置されている。
図13に示すように、ナット8が基端側リンクハブ1の下側からボルト7の先端部に固定される。ナット8を締め付けることにより、基端側リンクハブ1を先端側リンクハブ3側へ押圧する。この結果、ワッシャ9を介して軸受59の内輪がボルト7の頭部と基端側リンクハブ1との間で固定される。つまり、軸受59の内輪はボルト7に固定される。このようにして軸受59に予圧を与えることができる。
【0060】
<作用効果>
上記パラレルリンク機構においては、回転体2a~2cの少なくともいずれか1つは軸受59を含む。この場合、軸受59が設置された回転体2a~2cの動作をなめらかにすることができ、先端側リンクハブ3の位置決め精度を向上させることができる。また、当該軸受59を設置することにより、軸受59が設置された回転体2a~2cの摩擦トルクを低減することで当該回転体2a~2cでの発熱を抑制できる。
【0061】
また、
図13および
図14に示したパラレルリンク機構では、ボルト7が中空になっているため、たとえば先端側リンクハブ3に設置される機器などへの接続ケーブルなどの部材を当該ボルト7の中空分に配置することができる。
【0062】
(実施の形態6)
<パラレルリンク機構の構成>
図15は、実施の形態6に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
図16は、
図15に示したパラレルリンク機構の正面模式図である。
図17は、
図16の線分XVII-XVIIにおける断面模式図である。
図18は、
図15に示したパラレルリンク機構の回転体の上面模式図である。
【0063】
図15~
図18に示すパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cの形状および第1リンク部材4a~4cと回転体2a~2cとの接続部の構成が
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。すなわち、
図15~
図18に示したパラレルリンク機構では、回転体2a~2cに平面形状がC字状の貫通孔27a~27cが形成されている。回転体2a~2cは、貫通孔27a~27cの内周側と外周側とを接続する接続部28a~28cを含む。回転体2a~2cは基本的に同様の平面形状を有している。
【0064】
3つのリンク機構11の第1リンク部材4a~4cは、それぞれ回転体2a~2cの接続部28a~28cに固定されている。つまり、第1リンク部材4a~4cは回転体2a~2cの外周部より内側において回転体2a~2cと接続されている。第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの接続部28a~28cに固定する方法は任意の方法を用いることができる。たとえば、ネジなどの固定部材を用いて第1リンク部材4a~4cを接続部28a~28cに固定してもよい。
【0065】
回転体2bの接続部28bに固定された第1リンク部材4bは、回転体2aの貫通孔27aの内部を通り、先端側リンクハブ3側に延びている。回転体2cの接続部28cに固定された第1リンク部材4cは、回転体2aの貫通孔27aおよび回転体2bの貫通孔27bの内部を通り、先端側リンクハブ3側に延びている。
【0066】
<作用効果>
上記パラレルリンク機構において、3つ以上の回転体2a~2cには、回転中心軸12の周りを囲むように環状の貫通孔27a~27cが形成されている。3つ以上の回転体2a~2cは、第1回転体2aと、第1回転体2aから見て基端側リンクハブ1が位置する側に配置された第2回転体2bとを含む。第2回転体2bに接続された第1リンク部材4bは、第1回転体2aの貫通孔27aの内部を通り、先端側リンクハブ3側に延びている。
【0067】
この場合、回転体2a~2cの外側に第1リンク部材4bが配置される構成よりも、パラレルリンク機構を小型化することができる。また、環状に形成された貫通孔27aを通るように第1リンク部材4bが配置されているので、回転体2aに対して回転体2bが相対的に回転しても、第1リンク部材4bが回転体2aと干渉しない。また、第1リンク部材4cが回転体2a、2bのそれぞれの貫通孔27a、27bを通るように配置されているので、回転体2a、2bに対して回転体2cが相対的に回転しても第1リンク部材4cは2つの回転体2a、2bと干渉しない。
【0068】
(実施の形態7)
<リンク作動装置の構成>
図19は、実施の形態7に係るリンク作動装置の構成を示す斜視模式図である。
図20は、
図19に示したリンク作動装置の構成を示す模式図である。
図19および
図20に示したリンク作動装置は、基本的には
図15~
図18に示したパラレルリンク機構を利用したリンク作動装置である。
図19および
図20に示したリンク作動装置は、パラレルリンク機構と、当該パラレルリンク機構を駆動するための姿勢制御用駆動源35a~35cとを主に備える。
【0069】
図19および
図20に示したリンク作動装置においては、基端側リンクハブ1が回転体2a~2cの外周より外側にまで延びるように形成されている。つまり基端側リンクハブ1の平面視における大きさは回転体2a~2cの平面視における大きさより大きくなっている。基端側リンクハブ1の平面形状は、
図7に示すような円形状であってもよいが、他の任意の形状、たとえば四角形や三角形などの多角形状であってもよく、楕円形状などでもよい。基端側リンクハブ1には3つの姿勢制御用駆動源35a~35cが固定部36a~36cを介して固定されている。姿勢制御用駆動源35a~35cとしては、たとえば電動モータなどを用いることができる。
【0070】
姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ回転体2a~2cと歯車38および回転伝達部材37a~37cを介して駆動力を伝達可能に接続されている。姿勢制御用駆動源35a~35cは、平面視において回転中心軸12を中心として周方向に実質的に等間隔に配置されている。なお、姿勢制御用駆動源35a~35cの配置は上記周方向において異なる間隔で配置されていてもよい。
【0071】
具体的には、姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ回転軸を含み、当該回転軸の端部に歯車38が接続されている。また回転体2a~2cの外周部には回転伝達部材37a~37cがネジなどの固定部材47により固定されている。回転伝達部材37a~37cは、外周部に歯車部を有する円環状の部材である。なお、回転伝達部材37a~37cを回転体2a~2cに固定する方法としては、必要な強度および精度が得られれば、上述した固定部材47を用いる方法以外の任意の方法を採用できる。たとえば、回転伝達部材37a~37cを接着、圧入、カシメなどの方法により回転体2a~2cに固定してもよい。
【0072】
回転伝達部材37a~37cの歯車部は姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸に接続された歯車38と噛み合っている。姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸が回転することにより、歯車38および回転伝達部材37a~37cが回転し、結果的に回転体2a~2cを回転駆動することができる。
【0073】
回転体2a~2cにはリンク機構11の第1リンク部材4a~4cが固定部材46としてのネジにより固定されている。回転体2a~2cが姿勢制御用駆動源35a~35cにより回転することにより、リンク機構11の回転中心軸12周りの位置が変更される。この結果、先端側リンクハブ3の姿勢を変更できる。
【0074】
<作用効果>
本開示に従ったリンク作動装置は、上記パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源35a~35cとを備える。姿勢制御用駆動源35a~35cは、3つ以上の回転体2a~2cのうち少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させ、基端側リンクハブ1に対する先端側リンクハブ3の姿勢を任意に変更する。
【0075】
この場合、姿勢制御用駆動源35a~35cが複数のリンク機構11を個別に制御することで、先端側リンクハブ3を広範囲かつ精密に動作させることができる。また、上記のようなパラレルリンク機構を用いることで、軽量かつコンパクトなリンク作動装置を実現できる。
【0076】
上記リンク作動装置は、少なくとも3つの回転体2a~2cに接続された回転伝達部材37a~37cを備える。姿勢制御用駆動源35a~35cは、回転伝達部材37a~37cを介して少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させる。この場合、回転体2a~2cに別部材としての回転伝達部材37a~37cを設置するので、回転伝達部材37a~37cの材質を回転体2a~2cの材質とは独立して選択できる。
【0077】
<変形例の構成および作用効果>
図21は、実施の形態7に係るリンク作動装置の第1変形例を示す模式図である。
図22は、実施の形態7に係るリンク作動装置の第2変形例を示す斜視模式図である。
図23は、
図22に示したリンク作動装置の構成を示す部分模式図である。
図24は、実施の形態7に係るリンク作動装置の第3変形例を示す模式図である。
図25は、実施の形態7に係るリンク作動装置の第4変形例を示す斜視模式図である。
【0078】
図21に示すリンク作動装置は、基本的には
図19および
図20に示すリンク作動装置と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cと回転伝達部材とが一体に形成されている点が
図19および
図20に示したリンク作動装置と異なる。
図21に示すリンク作動装置では、回転体2a~2cの外周部が一部突出して回転伝達部48a~48cとなっている。回転伝達部48a~48cの外周部は歯車38と噛み合う歯車部となっている。
【0079】
すなわち、
図21に示したリンク作動装置において、少なくとも3つの回転体2a~2cは、回転伝達部48a~48cを含む。姿勢制御用駆動源35a~35cは、回転伝達部48a~48cを介して少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させる。
【0080】
上記リンク作動装置の特徴的な構成を要約すれば、回転体2a~2cの一部が回転伝達部48a~48cとなっていることから、回転体2a~2cとは別部材である回転伝達部材37a~37cを回転体2a~2cに接続する場合よりリンク作動装置の部品点数を削減できるとともに、製造工程を簡略化できる。
【0081】
図22および
図23に示すリンク作動装置は、基本的には
図19および
図20に示すリンク作動装置と同様の構成を備えるが、4つの回転体2a~2dおよび4つの姿勢制御用駆動源35a~35dを備える点が
図19および
図20に示したリンク作動装置と異なる。4つの回転体2a~2dは、基端側リンクハブ1側から回転体2d、回転体2c、回転体2b、回転体2aという順番で積層されている。各回転体2a~2dにはそれぞれ姿勢制御用駆動源35a~35dが歯車38および回転伝達部材を介して接続されている。4つの姿勢制御用駆動源35a~35dは、
図23に示すように回転体2a~2dの周りにおいて、周方向に実質的に等間隔で配置されている。なお、姿勢制御用駆動源35a~35dは上記周方向に異なる間隔で配置されていてもよい。
【0082】
上記リンク作動装置の特徴的な構成を要約すれば、上記リンク作動装置において少なくとも3つの回転体は、
図22に示すように4つの回転体2a~2cである。姿勢制御用駆動源35a~35dは、4つの回転体2a~2dを回転させる。この場合、3つの回転体2a~2cのみを用いて先端側リンクハブ3の姿勢を制御する場合と比べて、4つの姿勢制御用駆動源35a~35dの協調動作によってリンク機構11に予圧を付与できるので、リンク機構11のがたつきを抑制することができる。このため、リンク作動装置の剛性や先端側リンクハブ3の位置決め精度を向上させることができる。
【0083】
図24に示すリンク作動装置は、基本的には
図19および
図20に示すリンク作動装置と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cの形状、回転伝達部材37a~37cの形状、姿勢制御用駆動源35a~35cの配置、基端側リンクハブ1の形状および回転体2a~2cに対する第1リンク部材4a~4cの接続部の構成が
図19および
図20に示したリンク作動装置と異なる。
【0084】
図24に示したリンク作動装置の回転体2a~2cには平面形状がC字状の貫通孔27a~27cが形成されており、当該貫通孔27a~27cの内周面には内歯車を有する回転伝達部材37a~37cが固定されている。回転伝達部材37a~37cの回転体2a~2cに対する固定方法は任意の方法を用いることができるが、たとえば圧入などの方法を用いる。
【0085】
回転伝達部材37a~37cは円環状の形状を有する。回転伝達部材37a~37cの内周面には内歯車である歯車部が形成されている。回転伝達部材37a~37cの内周側には、姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸に接続された歯車38が配置されている。歯車38は回転伝達部材37a~37cの歯車部と噛み合っている。姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸が回転することにより、歯車38および回転伝達部材37a~37cを介して回転体2a~2cを回転させることができる。
【0086】
回転伝達部材37a~37cは、回転体2a~2cの貫通孔27a~27cにおける外周側の側壁に固定されている。具体的には、回転体2a~2cの貫通孔27a~27cにおける外周側の側壁であって、基端側リンクハブ1側の端部に凹部が形成されている。当該凹部に回転伝達部材37a~37cの外周部がはめ込まれた状態で、回転伝達部材37a~37cが回転体2a~2cに固定されている。なお、回転体2a~2cにおける貫通孔27a~27cの内周側部分と外周側部分とを接続する接続部28a~28cの基端側リンクハブ1側には、回転伝達部材37a~37cの一部が配置される。また、回転体2a~2cにおける接続部28a~28cの基端側リンクハブ1側には、回転伝達部材37a~37cの内周側に歯車38が配置されることが可能な凹部が形成されている。
【0087】
図24に示したリンク作動装置では、姿勢制御用駆動源35a~35cが、基端側リンクハブ1の裏面(回転体2a~2cと対向する表面と反対側の面)に設置されている。姿勢制御用駆動源35a~35cは、平面視において回転体2a~2cと重なる位置に配置されている。姿勢制御用駆動源35aの回転軸41は、基端側リンクハブ1に形成された第1貫通穴および回転体2a~2cの貫通孔27a~27cに挿入された状態となっている。図示していないが、姿勢制御用駆動源35bの回転軸は、基端側リンクハブ1に形成された第2貫通穴および回転体2b、2cの貫通孔27b、27cに挿入された状態となっている。また、姿勢制御用駆動源35cの回転軸は、基端側リンクハブ1に形成された第3貫通穴および回転体2cの貫通孔27cに挿入された状態となっている。上記歯車38は、姿勢制御用駆動源35a~35cの各回転軸の端部に接続されている。
【0088】
上記のように姿勢制御用駆動源35a~35cが平面視において回転体2a~2cと重なる位置に配置されるため、基端側リンクハブ1は
図19に示すような回転体2a~2cの外周より外側に突出した部分を含んでいない。また、第1リンク部材4a~4cは
図1に示したパラレルリンク機構と同様に、回転体2a~2cの外周に接続されている。
【0089】
図24に示したリンク作動装置では、
図19および
図20に示したリンク作動装置と同様の効果を得ることができるとともに、基端側リンクハブ1のサイズが
図19および
図20に示したリンク作動装置の基端側リンクハブ1のサイズより小さくなっているため、リンク作動装置全体の占有体積を相対的に小さくできる。なお、
図24に示したリンク作動装置は、
図22および
図23に示したリンク作動装置のように4つの回転体2a~2d、4つの姿勢制御用駆動源35a~35dおよび4つのリンク機構11を備えるようにしてもよい。
【0090】
図25に示すリンク作動装置は、基本的には
図19および
図20に示すリンク作動装置と同様の構成を備えるが、姿勢制御用駆動源35a~35cから回転体2a~2cへの回転駆動力を伝達するための構成が
図19および
図20に示したリンク作動装置と異なる。具体的には、
図25に示したリンク作動装置では、姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸にプーリ58が固定されている。3つのプーリ58のそれぞれと回転体2a~2cとの間にはベルト57a~57cがかけ回されている。つまり、ベルト57a~57cの内周面は、姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸に固定されたプーリ58のそれぞれの外周に接するとともに、回転体2a~2cの外周にも接している。姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸を回転させることでプーリ58が回転し、ベルト57a~57cを介して回転体2a~2cを回転させることができる。
【0091】
図25に示したリンク作動装置によっても、
図19および
図20に示したリンク作動装置と同様の効果を得ることができる。また、上述したリンク作動装置において、姿勢制御用駆動源35a~35cから回転体2a~2cへ駆動力を伝達するための構成は、他の任意の構成を採用し得る。たとえば、傘歯車またはウォームギアを用い、姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸の方向と回転体2a~2cの回転中心軸12の方向とが交差するようにしてもよい。
【0092】
(実施の形態8)
<リンク作動装置の構成>
図26は、実施の形態8に係るリンク作動装置の構成を示す斜視模式図である。
図27は、
図26に示したリンク作動装置の構成を示す模式図である。
図28は、
図27の線分XXVIII-XXVIIIにおける断面模式図である。
【0093】
図26~
図28に示すリンク作動装置は、基本的には
図19および
図20に示したリンク作動装置と同様の構成を備えるが、姿勢制御用駆動源からパラレルリンク機構へ駆動力を伝達する機構の構成が
図19および
図20に示したリンク装置のそれと異なっている。
【0094】
図26~
図28に示したリンク作動装置においては、パラレルリンク機構と姿勢制御用駆動源とが非接触で駆動力を伝達するように設けられている。具体的には、パラレルリンク機構と姿勢制御用駆動源とが磁気的に結合している。
【0095】
回転体2aの外周面29aには、磁石67aが固定されている。回転体2bの外周面29bには、磁石67bが固定されている。回転体2cの外周面29cには、磁石67cが固定されている。磁石67a~67cを回転体2a~2cに固定する方法としては、必要な強度および精度が得られれば、上述した固定部材47を用いる方法以外の任意の方法を採用できる。たとえば、磁石67a~67cを接着、圧入、カシメなどの方法により回転体2a~2cに固定してもよい。
【0096】
姿勢制御用駆動源は、ヨーク部65と、複数のティース部66a~66cと、ステータコイル68a~68cと、各ステータコイル68a~68cに流れる電流値を制御する図示しない制御部とを有している。
【0097】
図27に示すように、ヨーク部65は、基端側リンクハブ1の外周端部に固定されており、かつ該外周端部に対して先端側に向かって突出している。ヨーク部65は、回転中心軸12を中心とする径方向において磁石67a~67cと対向するように設けられている。ヨーク部65は、上記径方向において磁石67a~67cよりも外周側に配置されている。
【0098】
図27および
図28に示すように、複数のティース部66a~66cは、ヨーク部65の内周面に固定されており、かつ上記径方向において内側に突出している。
【0099】
複数のティース部66aは、上記周方向において互いに間隔を隔てて配置されている。ステータコイル68aは、各ティース部66aに巻回されている。複数のティース部66aおよびステータコイル68aは、上記径方向において磁石67aと対向するように設けられている。複数のティース部66aおよびステータコイル68aは、上記径方向において磁石67aよりも外周側に配置されている。
【0100】
複数のティース部66bは、上記周方向において互いに間隔を隔てて配置されている。ステータコイル68bは、各ティース部66bに巻回されている。複数のティース部66bおよびステータコイル68bは、上記径方向において磁石67bと対向するように設けられている。複数のティース部66bおよびステータコイル68bは、上記径方向において磁石67bよりも外周側に配置されている。
【0101】
複数のティース部66cは、上記周方向において互いに間隔を隔てて配置されている。ステータコイル68cは、各ティース部66cに巻回されている。複数のティース部66cおよびステータコイル68cは、上記径方向において磁石67cと対向するように設けられている。複数のティース部66cおよびステータコイル68cは、上記径方向において磁石67cよりも外周側に配置されている。
【0102】
上記周方向において隣り合う2つのティース部66a~66c間の間隔は、例えば等しい。平面視において、複数のティース部66aおよびステータコイル68aと、複数のティース部66bおよびステータコイル68bと、複数のティース部66cおよびステータコイル68cとは、例えば互いに重なるように配置されている。
【0103】
上記制御部は、ステータコイル68a~68cに流れる電流値を個別に制御するように設けられている。
【0104】
図26~
図28に示すリンク作動装置では、回転体2a~2cに固定された磁石67a~67cと、上記姿勢制御用駆動源とは、いわゆるインナーロータ型モータを構成している。姿勢制御用駆動源の上記制御部からステータコイル68a~68cに電流が供給されることにより、磁石67a~67cが回転し、結果的に回転体2a~2cを回転駆動することができる。回転体2a~2cが回転することにより、リンク機構11の回転中心軸12周りの位置が変更される。この結果、先端側リンクハブ3の姿勢を変更できる。
【0105】
図26~
図28に示したリンク作動装置のパラレルリンク機構は、基本的には
図15~
図18に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cのそれぞれが回転抵抗低減手段としての軸受59を介してボルト7に接続されている点、およびボルト7が中空となっている点が異なっている。なお、本実施の形態に係るリンク作動装置のパラレルリンク機構は、
図15~
図18に示したパラレルリンク機構と同一の構成を備えていてもよい。
【0106】
<作用効果>
本実施の形態に係るリンク作動装置は、実施の形態7に係るリンク作動装置と基本的に同様の構成を備えるため、実施の形態7に係るリンク作動装置と同様の効果を奏することができる。
【0107】
さらに、本実施の形態に係るリンク作動装置では、パラレルリンク機構と姿勢制御用駆動源とが磁気的に接続されている。そのため、本実施の形態に係るリンク作動装置では、パラレルリンク機構と姿勢制御用駆動源とが機械的に接続されている実施の形態7に係るリンク作動装置と比べて、パラレルリンク機構と姿勢制御用駆動源との間での駆動力の損失が抑制されている。その結果、本実施の形態に係るリンク作動装置は、実施の形態7に係るリンク作動装置と比べて、動作効率が高く、エネルギー化が図られる。
【0108】
また、本実施の形態に係るリンク作動装置では、駆動力を伝達するための機構にいわゆるバックラッシュを設ける必要がないため、実施の形態7に係るリンク作動装置と比べて、より高速化かつより高精密化に動作することができる。
【0109】
<変形例の構成および作用効果>
図29~
図32は、実施の形態8に係るリンク作動装置の第1変形例を示す模式図である。
図30は、
図29に示したリンク作動装置の構成を示す模式図である。
図31は、
図30の領域XXXIの拡大断面模式図である。
図32は、
図30の線分XXXII-XXXIIにおける断面模式図である。
図33は、実施の形態8に係るリンク作動装置の第2変形例を示す斜視模式図である。
図34は、実施の形態8に係るリンク作動装置の第3変形例を示す模式図である。
【0110】
図29~
図32に示すリンク作動装置は、基本的には
図26~
図28に示すリンク作動装置と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cに固定された磁石77a~77cと上記姿勢制御用駆動源とがいわゆるアウターロータ型モータを構成している点が
図26~
図28に示したリンク作動装置と異なる。
【0111】
回転体2a~2cは、軸受59を介してボルト7に接続されている面に対して基端側に位置し、かつ上記径方向において内側を向いた内周面を有している。磁石77a~77cは、回転体2a~2cの各内周面に固定されている。言い換えると、回転体2a~2cには、基端側リンクハブ1側に位置する面に対して凹んでいる凹部が上記径方向の内周側に形成されている。上記内周面は、各凹部の壁面により構成されている。磁石77a~77cは、各凹部内に配置されている。
【0112】
姿勢制御用駆動源は、ヨーク部75a~75cと、複数のティース部76a~76cと、ステータコイル78a~78cと、各ステータコイル78a~78cに流れる電流値を制御する図示しない制御部とを有している。
【0113】
ヨーク部75a~75cは、ボルト7の外周面に接続された内周面を有している。ヨーク部75aは、回転体2aとボルト7とを接続する軸受59と、回転体2bとボルト7とを接続する軸受59との間に配置されている。ヨーク部75aは、上記径方向において磁石67aと対向するように設けられている。ヨーク部75aは、上記径方向において磁石67aよりも外周側に配置されている。
【0114】
ヨーク部75bは、回転体2bとボルト7とを接続する軸受59と、回転体2cとボルト7とを接続する軸受59との間に配置されている。ヨーク部75bは、上記径方向において磁石67bと対向するように設けられている。ヨーク部75bは、上記径方向において磁石67bよりも外周側に配置されている。
【0115】
ヨーク部75cは、回転体2cとボルト7とを接続する軸受59と基端側リンクハブ1との間に配置されている。ヨーク部75cは、上記径方向において磁石67cと対向するように設けられている。ヨーク部75cは、上記径方向において磁石67cよりも外周側に配置されている。
【0116】
図30に示すように、複数のティース部76a~76cは、ヨーク部75a~75cの外周面に固定されており、かつ上記径方向において外側に突出している。複数のティース部76a~76cは、回転体2a~2cの各凹部内に配置されている。
【0117】
複数のティース部76aは、上記周方向において互いに間隔を隔てて配置されている。ステータコイル78aは、各ティース部76aに巻回されている。複数のティース部76aおよびステータコイル78aは、上記径方向において磁石77aと対向するように設けられている。複数のティース部76aおよびステータコイル78aは、上記径方向において磁石77aよりも内周側に配置されている。
【0118】
複数のティース部76bは、上記周方向において互いに間隔を隔てて配置されている。ステータコイル78bは、各ティース部76bに巻回されている。複数のティース部766bおよびステータコイル78bは、上記径方向において磁石77bと対向するように設けられている。複数のティース部76bおよびステータコイル78bは、上記径方向において磁石77bよりも内周側に配置されている。
【0119】
複数のティース部76cは、上記周方向において互いに間隔を隔てて配置されている。ステータコイル78cは、各ティース部76cに巻回されている。複数のティース部76cおよびステータコイル78cは、上記径方向において磁石77cと対向するように設けられている。複数のティース部76cおよびステータコイル78cは、上記径方向において磁石77cよりも外周側に配置されている。
【0120】
上記周方向において隣り合う2つのティース部76a~76c間の間隔は、例えば等しい。平面視において、複数のティース部76aおよびステータコイル78aと、複数のティース部76bおよびステータコイル78bと、複数のティース部76cおよびステータコイル78cとは、例えば互いに重なるように配置されている。
【0121】
上記制御部は、ステータコイル78a~78cに流れる電流値を個別に制御するように設けられている。
【0122】
図29~
図32に示すリンク作動装置では、回転体2a~2cに固定された磁石77a~77cと、上記姿勢制御用駆動源とは、いわゆるアウターロータ型モータを構成している。姿勢制御用駆動源の上記制御部からステータコイル78a~78cに電流が供給されることにより、磁石77a~77cが回転し、結果的に回転体2a~2cを回転駆動することができる。回転体2a~2cが回転することにより、リンク機構11の回転中心軸12周りの位置が変更される。この結果、先端側リンクハブ3の姿勢を変更できる。
【0123】
図33に示すリンク作動装置は、基本的には
図26~
図28に示したリンク作動装置と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cの回転量を検出するための回転量検出機構をさらに備えている点が
図26~
図28に示したリンク作動装置と異なる。
【0124】
回転量検出機構は、回転体2a~2cの回転量を検出できる限りにおいて任意の構成を有していればよいが、例えば光学式エンコーダとして構成されている。
【0125】
回転体2aの回転量を検出するための回転量検出機構は、回転体2aに固定されている被検出部81aと、被検出部81aの移動量を検出する図示しない検出部とを有している。回転体2bの回転量を検出するための回転量検出機構は、回転体2bに固定されている被検出部81bと、被検出部81bの移動量を検出する図示しない検出部とを有している。回転体2cの回転量を検出するための回転量検出機構は、回転体2cに固定されている被検出部81cと、被検出部81cの移動量を検出する検出部82cとを有している。
【0126】
被検出部81aは、貫通孔27aよりも外周側に位置する回転体2aの外周部分に固定されており、かつ磁石67aよりも外周側に向けて突出している。被検出部81aは、例えば回転体2aの基端側に向いた面に固定されている。被検出部81aは、例えばステータコイル68a,68b間に配置されている。被検出部81aの外周端部は、例えばステータコイル68a,68bよりも外周側であってヨーク部65よりも内周側に配置されている。被検出部81aの移動量を検出する検出部は、例えばヨーク部65に固定されている。
【0127】
被検出部81bは、貫通孔27bよりも外周側に位置する回転体2bの外周部分に固定されており、かつ磁石67bよりも外周側に向けて突出している。被検出部81bは、例えば回転体2bの基端側に向いた面に固定されている。被検出部81bは、例えばステータコイル68b,68c間に配置されている。被検出部81bの外周端部は、例えばステータコイル68b,68cよりも外周側であってヨーク部65よりも内周側に配置されている。被検出部81bの移動量を検出する検出部は、例えばヨーク部65に固定されている。
【0128】
被検出部81cは、貫通孔27cよりも外周側に位置する回転体2cの外周部分に固定されており、かつ磁石67cよりも外周側に向けて突出している。被検出部81cは、例えば回転体2cの基端側に向いた面に固定されている。被検出部81cは、例えばステータコイル68cと基端側リンクハブ1との間に配置されている。被検出部81cの外周端部は、例えばステータコイル68cよりも外周側であってヨーク部65よりも内周側に配置されている。被検出部81cの移動量を検出する検出部は、例えば基端側リンクハブ1およびヨーク部65に固定されている。
【0129】
各検出部は、例えば回転中心軸12に沿った方向において被検出部81a~81cの外周端部を挟んで対向して配置されている対向部を有している。対向部のうち被検出部81a~81cに対して基端側に位置する部分および被検出部81a~81cに対して先端側に位置する部分の一方が発光部として、他方が受光部として構成されている。発光部から受光部に達する光軸は例えば回転中心軸12に沿った方向と平行とされている。各検出部は、例えば平面視において上記周方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0130】
図33に示すリンク作動装置では、回転量検出機構によって、各検出部で検出された被検出部81a~81cの各移動量から回転体2a~2cの各回転量が検出されるため、
図26~
図28に示したリンク作動装置と比べて、先端側リンクハブ3の動作が回転量に基づいてより精密に制御され得る。
【0131】
図34に示すリンク作動装置は、基本的には
図29~
図32に示したリンク作動装置と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cの回転量を検出するための回転量検出機構をさらに備えている点が
図29~
図32に示したリンク作動装置と異なる。
【0132】
図34に示すリンク作動装置の回転量検出機構は、基本的には
図33に示したリンク作動装置の回転量検出機構と同様の構成を備えるが、磁石77a~77cよりも内周側に向けて突出している被検出部83a~83cと、ボルト7に固定された検出部とを有している点が
図29~
図32に示したリンク作動装置と異なる。
【0133】
被検出部83aは、磁石77aよりも外周側に位置する回転体2aの外周部分に固定されており、かつ磁石77aよりも内周側に向けて突出している。被検出部83aは、例えば回転体2aの基端側に向いた面に固定されている。被検出部83aの外周端部は、例えば平面視においてステータコイル68aと重なるように配置されている。被検出部83aの外周端部は、ヨーク部75aよりも外周側に配置されている。被検出部83aの移動量を検出する検出部84aは、例えばヨーク部75aに固定されている。
【0134】
被検出部83bは、磁石77bよりも外周側に位置する回転体2bの外周部分に固定されており、かつ磁石77bよりも内周側に向けて突出している。被検出部83bは、例えば回転体2bの基端側に向いた面に固定されている。被検出部83bの外周端部は、例えば平面視においてステータコイル68bと重なるように配置されている。被検出部83bの外周端部は、ヨーク部75bよりも外周側に配置されている。被検出部83bの移動量を検出する図示しない検出部は、例えばヨーク部75bに固定されている。
【0135】
被検出部83cは、磁石77cよりも外周側に位置する回転体2cの外周部分に固定されており、かつ磁石77cよりも外周側に向けて突出している。被検出部83cは、例えば回転体2cの基端側に向いた面に固定されている。被検出部83cの外周端部は、例えば平面視においてステータコイル68cと重なるように配置されている。被検出部83cの外周端部は、ヨーク部75cよりも外周側に配置されている。被検出部83cの移動量を検出する図示しない検出部は、例えばヨーク部75cに固定されている。
【0136】
各検出部は、例えば回転中心軸12に沿った方向において被検出部83a~83cの内周端部を挟んで対向して配置されている対向部を有している。対向部のうち被検出部83a~83cに対して基端側に位置する部分および被検出部83a~83cに対して先端側に位置する部分の一方が発光部として、他方が受光部として構成されている。各検出部は、例えば平面視において上記周方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0137】
図34に示すリンク作動装置では、回転量検出部によって回転体2a~2cの各回転量が検出されるため、
図29~
図32に示したリンク作動装置と比べて、先端側リンクハブ3の動作が回転量に基づいてより精密に制御され得る。
【0138】
なお、実施の形態8に係るリンク作動装置のパラレルリンク機構は、
図22および
図23に示したリンク作動装置のパラレルリンク機構と同様に、4つの回転体2a~2dを備えていてもよい。この場合、回転体2dおよび回転体2dを駆動するための姿勢制御用駆動源が、
図26~
図28に示した回転体2a~2cおよびこれらを駆動するための姿勢制御用駆動源と同様に、磁気的に接続されている。
【0139】
また、上述した各リンク作動装置、例えば
図19~
図21に示したリンク作動装置、
図22および
図23に示したリンク作動装置、ならびに
図25に示したリンク作動装置も、
図33または
図34に示した回転量検出機構を備えていてもよい。各検出部は、例えば基端側リンクハブ1に固定されておりかつ回転体2a~2cよりも外周側において先端側に向かって突出している支持部材に固定されている。各検出部は、例えば平面視において姿勢制御用駆動源と上記周方向において間隔を隔てて配置されている。
【0140】
(実施の形態9)
<パラレルリンク機構の構成>
図35は、実施の形態9に係るパラレルリンク機構の構成を示す模式図である。
図35に示すパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cの形状および配置が
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と異なっている。
【0141】
図35に示したパラレルリンク機構では、回転体2a~2cは環状に設けられている。回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように上記径方向において並んで配置されている。
【0142】
回転体2a~2cの寸法は、互いに異なっている。回転体2aの内径は、ボルト7の外径よりも長い。回転体2aの外径は、回転体2bの内径よりも短い。回転体2bの外径は、回転体2cの内径よりも短い。回転体2aは、平面視において回転中心軸12を中心とする第1の円周上に配置されている。回転体2bは、平面視において回転中心軸12を中心とし、かつ半径が上記第1の円周よりも長い第2の円周上に配置されている。回転体2cは、平面視において回転中心軸12を中心とし、かつ半径が上記第2の円周よりも長い第3の円周上に配置されている。
【0143】
回転体2aは、回転体2bの内周面に囲まれた空間内に配置されている。回転体2aは、軸受99aを介してボルト7に接続されている。軸受99aの内輪はボルト7に固定されている。軸受99aの外輪は回転体2aに固定されている。
【0144】
回転体2bは、回転体2cの内周面に囲まれた空間内に配置されている。回転体2bは、軸受99bを介して回転体2aに接続されている。軸受99bの内輪は回転体2aに固定されている。軸受99bの外輪は回転体2bに固定されている。
【0145】
回転体2cは、軸受99cを介して回転体2bに接続されている。軸受99cの内輪は回転体2bに固定されている。軸受99cの外輪は回転体2cに固定されている。
【0146】
軸受99a~99cとしてはたとえば玉軸受などの転がり軸受を用いることができる。
図35に示したパラレルリンク機構では、回転体2a~2cと基端側リンクハブ1との間の距離は互いに等しく設けられている。
図35に示したパラレルリンク機構では、第1リンク部材4a~4cの長さは互いに等しく設けられている。
【0147】
図35に示したパラレルリンク機構では、回転体2a~2cが回転中心軸12に沿った方向に積層しておらず、それぞれの回転中心軸12が一致するように上記径方向において並んで配置されているため、
図1~
図4に示したパラレルリンク機構と比べて、回転中心軸12に沿った方向における小型化が実現される。
【0148】
なお、実施の形態9に係るパラレルリンク機構は、4つの回転体2a~2dを備えていてもよい。図示しない回転体2dは環状に設けられている。回転体2dは、平面視において回転中心軸12を中心とし、かつ半径が上記第3の円周よりも長い第4の円周上に配置されている。回転体2dは、図示しない軸受99dを介して回転体2cに接続されている。軸受99dの内輪は回転体2cに固定されている。軸受99dの外輪は回転体2dに固定されている。
【0149】
(実施の形態10)
<リンク作動装置の構成>
図36は、実施の形態10に係るリンク作動装置の構成を示す模式図である。
図36に示したリンク作動装置は、基本的には
図35に示したパラレルリンク機構を利用したリンク作動装置である。
図36に示したリンク作動装置は、パラレルリンク機構と、当該パラレルリンク機構を駆動するための姿勢制御用駆動源とを主に備える。
【0150】
図36に示すリンク作動装置において、パラレルリンク機構と姿勢制御用駆動源とは、回転中心軸12に沿った方向において機械的に接続されている。
【0151】
基端側リンクハブ1には3つの姿勢制御用駆動源95a~95cが固定されている。姿勢制御用駆動源95a~95cはそれぞれ回転体2a~2cと回転伝達部材97a~97cおよびかさ歯車98a~98cを介して駆動力を伝達可能に接続されている。なお、
図36において、姿勢制御用駆動源95b,95cは、図示していない。
【0152】
姿勢制御用駆動源95aは、平面視において回転中心軸12を中心とする第1の円周上に配置されている。姿勢制御用駆動源95bは、平面視において回転中心軸12を中心とし、かつ半径が第1の円周よりも長い第2の円周上に配置されている。姿勢制御用駆動源95cは、平面視において回転中心軸12を中心とし、かつ半径が第2の円周よりも長い第3の円周上に配置されている。
【0153】
姿勢制御用駆動源95a~95cはそれぞれ回転軸を含み、当該回転軸の端部にかさ歯車98a~98cが接続されている。また回転体2a~2cの基端側に向いた面には、回転伝達部材97a~97cが固定されている。回転伝達部材97a~97cは、円環状の部材であって、その軸方向の一方の面にかさ歯車部を有する。なお、回転伝達部材97a~97cを回転体2a~2cに固定する方法としては、必要な強度および精度が得られれば任意の方法を採用できる。たとえば、回転伝達部材97a~97cを接着、圧入、カシメなどの方法により回転体2a~2cに固定してもよい。
【0154】
回転伝達部材97a~97cのかさ歯車部は姿勢制御用駆動源95a~95cの回転軸に接続されたかさ歯車98a~98cと噛み合っている。姿勢制御用駆動源95a~95cの回転軸が回転することにより、かさ歯車98a~98cおよび回転伝達部材97a~97cが回転し、結果的に回転体2a~2cを回転駆動することができる。
【0155】
回転体2a~2cが姿勢制御用駆動源95a~95cにより回転することにより、リンク機構11の回転中心軸12周りの位置が変更される。この結果、先端側リンクハブ3の姿勢を変更できる。
【0156】
実施の形態10に係るリンク作動装置では、パラレルリンク機構と姿勢制御用駆動源とが、回転中心軸12に沿った方向において磁気的に接続されていてもよい。すなわち、実施の形態10に係るリンク作動装置において姿勢制御用駆動源からパラレルリンク機構に駆動力を伝達する伝達機構は、実施の形態8に係るリンク作動装置におけるそれと基本的に同様の構成を備えていてもよい。実施の形態10に係るリンク作動装置では、回転体2a~2cに固定された図示しない磁石と基端側リンクハブ1に固定された図示しないステータコイルとが回転中心軸12に沿った方向において対向するように配置されている点が、実施の形態8に係るリンク作動装置と異なっていてもよい。
【0157】
また、実施の形態10に係るリンク作動装置は、回転体2a~2cの回転量を検出する図示しない回転量検出機構をさらに備えていてもよい。このような回転量検出機構は
図33に示したリンク作動装置の回転量検出機構と基本的に同様の構成を備えていてもよい。各検出部は、例えば回転体2a~2cの基端側に向いた面に固定されている。また、各検出部は、例えば軸受99aの外輪、軸受99b,99cの内輪または外輪の基端側に向いた面に固定されていてもよい。各検出部は、例えば基端側リンクハブ1に固定されており、上記径方向において各被検出部の基端側に位置する端部を挟んで対向して配置されている対向部を有している。
【0158】
実施の形態1~10に係るパラレルリンク機構では、3つ以上のリンク機構11の各々が3つ以上の回転体2a~2dのうちの1つの回転体に接続されているが、これに限られるものではない。異なる観点から言えば、実施の形態1~10に係るパラレルリンク機構では、回転体2a~2dとリンク機構11とが同数設けられているが、3つ以上のリンク機構11の各々が基端側リンクハブ1に対して独立して回転するように設けられているが、これに限られるものではない。また、実施の形態7~10に係るリンク作動装置では、姿勢制御用駆動源35a~35cが各回転体2a~2cを回転させ、基端側リンクハブ1に対する先端側リンクハブ3の姿勢を任意に変更するように設けられているが、これに限られるものではない。
【0159】
実施の形態1~10に係るパラレルリンク機構では、少なくとも1つのリンク機構11の第1リンク部材が基端側リンクハブ1に固定されていてもよい。例えば1つのリンク機構11の第1リンク部材1aが基端側リンクハブ1に固定されており、他のリンク機構11の第1リンク部材1b,1cが回転体2b,2cに接続されて基端側リンクハブ1に対して回転するように設けられていてもよい。また、2つのリンク機構11の第1リンク部材1a,1bが基端側リンクハブ1に固定されており、1つのリンク機構11の第1リンク部1cのみが回転体2cに接続されて基端側リンクハブ1に対して回転するように設けられていてもよい。例えば、後者のパラレルリンク機構を備えるリンク作動装置は、姿勢制御用駆動源として1つの姿勢制御用駆動源35cのみを備えていればよい。
【0160】
また、実施の形態1~10に係るパラレルリンク機構では、2つ以上のリンク機構11の第1リンク部材1a,1bが1つの回転体2aに接続されて基端側リンクハブ1に対して一体として回転するように設けられていてもよい。この場合、他のリンク機構11の第1リンク部材1cは、他の回転体2cまたは基端側リンクハブ1に固定されていればよい。例えば、前者のパラレルリンク機構を備えるリンク作動装置は、姿勢制御用駆動源として2つの姿勢制御用駆動源35a,35cのみを備えていればよい。
【0161】
実施の形態1~10に係るパラレルリンク機構が上記のような構成を備えている場合にも、第1回転対偶部25a~25cの第1中心軸15a~15cと第2回転対偶部26a~26cの第2中心軸16a~16cとが球面リンク中心点30で交わり、かつ3つ以上の回転体2a~2cの回転中心軸12が球面リンク中心点30と交わるため、先端側リンクハブ3は球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動できる。
【0162】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0163】
1 基端側リンクハブ、2a~2d 回転体、3 先端側リンクハブ、4a~4d 第1リンク部材、6a~6d 第2リンク部材、7,17 ボルト、8,18 ナット、9,69 ワッシャ、11 リンク機構、12 回転中心軸、15a~15d 第1中心軸、16a~16d 第2中心軸、19,29 回転抵抗低減部材、22a,22b 突出部、25a~25d 第1回転対偶部、26a~26d 第2回転対偶部、27a~27c 貫通孔、28a~28c 接続部、30 球面リンク中心点、31 先端側リンクハブ中心軸、33 シム、35a,35b,35c,35d,95a,95b,95c 姿勢制御用駆動源、36a~36c 固定部、37a~37c 回転伝達部材、38 歯車、39,49,59 軸受、46,47 固定部材、48a~48c 回転伝達部、58 プーリ、60 矢印、65,75a,75b,75c ヨーク部、66a,66b,66c,76a,76b,76c,766b ティース部、67a,67b,67c,77a,77b,77c 磁石、68a,68b,68c,78a,78b,78c ステータコイル、70 突起部、71 押さえ部材、81a,81b,81c,83a,83b,83c 被検出部、82c,84a 検出部、98a かさ歯車、98a,98c かさ歯車。