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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】電子機器のための回転入力機構
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20221116BHJP
   G04B 37/10 20060101ALI20221116BHJP
   G04G 21/00 20100101ALI20221116BHJP
【FI】
G06F3/01 514
G06F3/01 590
G04B37/10 A
G04G21/00 304G
G04G21/00 304L
G04G21/00 304P
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019088064
(22)【出願日】2019-05-08
(62)【分割の表示】P 2017234976の分割
【原出願日】2014-06-03
(65)【公開番号】P2019135674
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2019-05-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】PCT/US2013/045264
(32)【優先日】2013-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】ロスコフ フレッチャー アール
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー クリストファー エム
(72)【発明者】
【氏名】イーリー コリン エム
(72)【発明者】
【氏名】モレル ジョン ビー
(72)【発明者】
【氏名】ムゼット カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】カー ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】シェドレツキー アンナ-カトリーナ
【合議体】
【審判長】▲吉▼田 耕一
【審判官】富澤 哲生
【審判官】小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0211042(US,A1)
【文献】特表2010-515153(JP,A)
【文献】特開平9-14941(JP,A)
【文献】特開2002-71480(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0249378(US,A1)
【文献】特開2005-17011(JP,A)
【文献】特開2011-221659(JP,A)
【文献】特表2009-540399(JP,A)
【文献】特開2009-9382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G04G 21/00
G04B 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を画定するエンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
前記処理要素に動作可能に接続され、回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭であって、
ユーザ回転可能な竜頭ヘッドと、
前記ユーザ回転可能な竜頭ヘッドに接続され、前記開口部内に延長しているシャフトと、を含む竜頭と、
前記エンクロージャの内面に沿って、前記エンクロージャに結合された支持構造体と、
前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続され、前記シャフトから反射された光を用いて前記回転入力を検出するように構成された回転センサと、
前記支持構造体に結合され、前記支持構造体の表面と前記シャフトの端部との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチであって、前記処理要素に動作可能に接続され、前記平行移動入力によって作動するように構成されたドームスイッチと、
前記処理要素に動作可能に接続され、前記回転入力によって前記竜頭が回転するときに、触覚フィードバックを提供するように構成されたフィードバックデバイスと、を備え、
前記触覚フィードバックは、前記処理要素によって動的に構成可能である、電子時計。
【請求項2】
前記処理要素は、
少なくとも部分的に、検出された前記回転入力に基づいて、前記触覚フィードバックが生成されることを決定し、
前記フィードバックデバイスに前記触覚フィードバックを生成させる信号を、前記フィードバックデバイスに出力する、ように構成されている、請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記触覚フィードバックを提供することは、
機械的戻り止めを模擬すること、
前記竜頭を回転するのに必要な力を増加させること、
前記竜頭を回転するのに必要な力を減少させること、
前記竜頭の回転を制限するハードストップを提供すること、
跳ね返り効果を提供すること、
のうちの1つ以上を提供するように動的に構成可能である、請求項1に記載の電子時計。
【請求項4】
前記処理要素に動作可能に接続され、前記エンクロージャ内に少なくとも部分的に位置するタッチ感知ディスプレイをさらに備え、
前記タッチ感知ディスプレイは、タッチ入力を受け取り、前記タッチ入力及び前記回転入力の各々に応答するグラフィック出力を提供するように構成されている、請求項1に記載の電子時計。
【請求項5】
前記グラフィック出力は、選択可能なアイテムのリストの選択可能なアイテムを含み、前記選択可能なアイテムのリストは、前記回転入力に応じてスクロールするように構成されており、
前記触覚フィードバックを提供することは、一連の触覚出力を提供することを含み、前記一連の触覚出力の少なくとも1つの触覚出力は、前記選択可能なアイテムのリストの前記選択可能なアイテムに対応する、請求項4に記載の電子時計。
【請求項6】
前記フィードバックデバイスは、前記シャフトに回転力を働かせるように構成されているモータである、請求項1に記載の電子時計。
【請求項7】
前記フィードバックデバイスは、前記シャフトに線形力を働かせるように構成されているモータである、請求項1に記載の電子時計。
【請求項8】
エンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
前記処理要素に動作可能に接続され、前記エンクロージャ内に少なくとも部分的に位置するタッチ感知ディスプレイであって、タッチ入力を受け取り、グラフィック出力を提供するように構成されている、タッチ感知ディスプレイと、
前記エンクロージャの開口部を通って延長し、回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭と、
前記エンクロージャ内に位置し、区画を画定する支持構造体と、
前記区画内に少なくとも部分的に位置するスイッチであって、前記竜頭の前記平行移動入力を検出するように構成されたスイッチと、
前記支持構造体に結合された光回転センサであって、前記竜頭のシャフトから反射された光を用いて前記回転入力を検出するように構成された光回転センサと、
前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続されたフィードバックデバイスであって、前記処理要素から受け取った信号に応答して、動的な触覚フィードバックを前記竜頭に提供するように構成されたフィードバックデバイスと、を備え、
前記動的な触覚フィードバックは、前記グラフィック出力又は前記回転入力の少なくとも1つに対応する、電子時計。
【請求項9】
前記フィードバックデバイスは、
前記処理要素から第1の信号を受け取ったことに応答して、シャフトを回転させるのに必要な力を増加させ、
前記処理要素から第2の信号を受け取ったことに応答して、前記シャフトを回転させるのに必要な力を減少させる、ように構成されている、請求項8に記載の電子時計。
【請求項10】
前記グラフィック出力は、第1の選択可能要素及び第2の選択可能要素を含み、
第1の状態において、前記第1の選択可能要素が選択され、
第2の状態において、前記第2の選択可能要素が選択され、
前記回転入力は、前記第1の状態から前記第2の状態への遷移を生じさせ、
前記動的な触覚フィードバックは、前記第1の状態から前記第2の状態への遷移の間に生成される、請求項8に記載の電子時計。
【請求項11】
前記フィードバックデバイス及び前記竜頭を選択的に係合させ、切り離すクラッチをさらに備える、請求項8に記載の電子時計。
【請求項12】
電子時計の竜頭が回転したときに動的な触覚フィードバックを生成する方法であって、
前記竜頭のシャフトから反射された光を検出することにより、前記竜頭における回転入力を検出することであって、前記竜頭は、前記回転入力の結果として回転し、平行移動入力の結果として平行移動するように構成されている、ことと、
前記電子時計の処理要素が、前記竜頭が回転したときに生成する動的な触覚フィードバックを決定することと、
前記処理要素が、前記動的な触覚フィードバックを提供する信号を出力することと、
フィードバックデバイスが、前記動的な触覚フィードバックを提供するために前記竜頭の回転に関連する力を変えることと、
前記シャフトの端部と前記電子時計内の支持構造体の表面との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチで前記平行移動入力を検出することと、
前記平行移動入力を検出することに応答して、前記電子時計のディスプレイのグラフィック出力を修正することと、を含む方法。
【請求項13】
前記回転入力は、第1の方向への前記竜頭の回転を含み、
前記竜頭の回転に関連する力を変えることは、前記第1の方向と反対の第2の方向に力を加えることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の方向に加えられた力は、前記竜頭が前記第2の方向に回転しようとさせるものである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ディスプレイの前記グラフィック出力を修正することは、第1の手段により前記ディスプレイの前記グラフィック出力を修正することを含み、
前記方法は、
前記第1の方向への前記竜頭の回転に応答して、第の手段により、前記電子時計のディスプレイのグラフィック出力を修正することと、
前記第2の方向への前記竜頭の回転に応答して、第の手段により、前記電子時計の前記ディスプレイのグラフィック出力を修正することと、をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
検出された前記回転入力に対応する前記動的な触覚フィードバックは、前記電子時計のディスプレイによって提供されるグラフィック出力に基づいて決定される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して電子機器に関し、より詳細には、コンピューティング機器のための入力機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、ゲーム機器、コンピュータ、携帯時計、及び同様のものなどの多くの種類の電子機器は、ユーザ入力を受けるためにボタン又はスイッチなどの入力機器を用いる。しかし、機器のためのエンクロージャは、ボタン若しくはスイッチ(又はその他の選択可能要素)が運動することを可能にするための孔又はその他の開口部を含む。これらの孔は、水、空気、及びその他の環境要素がエンクロージャ内に侵入し、内部の電子部品を潜在的に破損することを許してしまう。加えて、ボタン又はスイッチなどの多くの入力機器は、ただ1つの種類の入力を可能にする場合がある。例えば、ボタンを動作させると、回路を完成するドームスイッチを圧縮することによって生成される1種類の信号が送信されてもよい。電子機器のサイズが小さくなるにつれて、機器に情報を提供するためにユーザによって使用されることができる機能性、又は入力種類の数を減じることなく、より少数の入力ボタン又は入力機器を有することが望ましくなる場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一例は着用可能電子機器を含む。着用可能電子機器は、側壁を有するエンクロージャであって、その側壁を貫通してボタン孔が画定される、エンクロージャと、エンクロージャ内に収容される処理要素と、処理要素と通信する感知要素と、ボタン孔内に少なくとも部分的に受容され、感知要素と通信する入力機器であって、この入力機器は、少なくとも第1の種類のユーザ入力及び第2の種類のユーザ入力を受けるように構成される、入力機器と、を含む。一般的に、感知要素は、入力ボタンの運動を追跡し、信号を出力するように動作し、処理要素は、信号に基づいて、第1の種類のユーザ入力と第2の種類のユーザ入力とを区別するように動作する。
【0004】
本開示の別の例は携帯時計を含む。携帯時計はハブ又は携帯時計文字盤を含む。ハブは、プロセッサ、感知要素、及び竜頭を含む。竜頭は追跡可能要素を含み、感知要素は、追跡可能要素の運動を追跡することによって竜頭の運動を感知するように構成される。携帯時計はまた、ハブに接続され、ユーザの一部分の周りに巻き付くように構成されるストラップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】多入力機器を含む着用可能電子機器の平面図である。
図2】着用可能電子機器の簡略化されたブロック図である。
図3図1における線3-3に沿って見た着用可能電子機器の断面図である。
図4】着用可能電子機器の竜頭又は入力ボタンの底面図である。
図5図1における線5-5に沿って見た着用可能電子機器の断面図である。
図6】保持構成要素の第1の例を含む入力ボタンの断面図である。
図7】保持構成要素の第2の例を含む入力ボタンの断面図である。
図8】エンクロージャの空洞内に位置付けられる2つの感知要素を含む着用可能機器の断面図である。
図9】シャフトの運動を検出するように構成される追跡可能要素を有する入力ボタンの一例の断面図である。
図10】感知要素及び追跡可能要素の別の例を含む断面図着用可能機器である。
図11】着用可能機器のエンクロージャ及び内部構成要素と入力ボタンとの間の電気接続部を含む入力ボタンの断面図である。
図12】入力センサを含む入力ボタンの断面図である。
図13A】心棒と平行に位置付けられるスイッチセンサを含む入力ボタンの一実施形態の断面図である。
図13B】頭部に力が加えられた状態の、図13Aに示される入力ボタンの断面図である。
図14図13Aに示される入力ボタンの別の例の断面図である。
図15】モータを含む入力ボタンの断面図である。
図16】頭部に接続される入力センサを含む入力ボタンの断面図である。
図17】頭部を貫いて画定される孔を含む図16の入力ボタンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書におけるいくつかの実施形態では、多入力ボタンを含む着用可能電子機器が開示される。着用可能電子機器は、携帯時計、ポータブルミュージックプレーヤ、健康管理機器、計算若しくはゲーム機器、スマートフォン、又は同様のものであってもよい。いくつかの実施形態では、着用可能電子機器は、ユーザの手首の周りに着用することができる携帯時計である。諸実施形態では、多入力ボタンは携帯時計のための竜頭を形成し、機器のためのエンクロージャの側壁に接続される。多入力ボタンは、第1の種類の入力を入力するために押圧することができ、第2の種類の入力を入力するために回転させることができる。加えて、場合によっては、ボタンは、第3の入力を作動させるために軸上又は軸外で押圧することができる。
【0007】
特定の実装形態では、着用可能機器は、多入力ボタンの回転を検出するための回転エンコーダ、並びに非回転型入力を受けるセンサを含む。一実施形態では、着用可能機器は、エンクロージャ、並びにエンクロージャから延在するフランジ若しくは頭部を含む。頭部又は竜頭は、エンクロージャ内に受容されるスピンドル又は心棒に接続され、スピンドルの下端部に追跡可能要素又はエンコーダが取り付けられる。頭部はエンクロージャから延在し、ユーザが頭部を回すなどすることにより、頭部が回転されるのに伴い、心棒の下部上の追跡可能要素は回転し、エンクロージャ内に包含された回転センサの上を通過する。回転センサは心棒及び頭部の運動を感知する。加えて、心棒は、ユーザが頭部を押圧することができ、心棒が所定の距離運動することができるように、エンクロージャに運動可能に(例えば、摺動可能に)接続されてもよい。本例では、スイッチ(タクタイルスイッチなど)又はセンサは、心棒の垂直運動又は水平運動を検出することができる。このように、多入力ボタンは回転入力並びに圧縮型入力を検出することができる。
【0008】
多入力ボタンの心棒及びその他の部分は、着用可能機器の特定の構成要素を水などの環境要素から密封する、Oリング、シールカップ、又は膜シールなどの、密封部材を含んでもよい。心棒及びエンクロージャ孔は、心棒が、シールを破るか、又は他の方法でエンクロージャ内に保持された内部構成要素内への流れ経路を作り出すことなく、エンクロージャ内で運動し得るように選択されてもよい。一例として、心棒は、エンクロージャ孔よりも少し小さい直径を有してもよく、エンクロージャ孔内の心棒の周りにOリングが受容されてもよい。本例では、Oリングは、ユーザが力を及ぼすと圧縮されることができる、発泡体などの、圧縮性材料である。ユーザの力のためにOリングの一方の側が縮むにつれて、他方の側は膨らんで増大し、心棒の周りのエンクロージャ孔のシールを維持することができる。これは、心棒が、エンクロージャ内への経路を開くことなく、エンクロージャ径内で運動することを可能にする。
【0009】
加えて、いくつかの実施形態では、多入力ボタンは、ユーザに触覚フィードバックを提供するように動作させることができる。例えば、心棒がエンクロージャ内で運動可能である実施形態では、アクチュエータなどの機器が心棒を運動させてもよい。動作させると、心棒は、ユーザにフィードバックを提供するために頭部を選択的に運動させてもよい。
【0010】
次に図を参照し、これより例示的な着用可能電子機器をより詳細に説明する。図1は着用可能電子機器の平面図である。図2は、図1の着用可能電子機器の簡略化されたブロック図である。図1及び図2を参照すると、着用可能電子機器100はハブ102又は計算センター若しくは計算要素を含んでもよい。電子機器100がユーザによって着用されるように構成される実施形態では、機器100は、ハブ102の反対側に接続してもよい1本以上のストラップ104、106を含んでもよい。ストラップ104、106の各々は、ハブ102をユーザに固定するために、手首、腕、脚、胸の部分、又はユーザの体のその他の部分の周りに巻き付いてもよい。例えば、ストラップ104、106の各々の端部は締結機構108によって互いに接続されてもよい。締結機構108は、限定するものではないが、ラグ、フック及びループ構造、磁気締結具、スナップ、ボタン、留め金又は同様のものなどの、実質的に任意の種類の締結機器であることができる。しかし、図1に示されるものなどの、一実施形態では、締結機構108は、プロング134、又は第1及び第2のストラップ104、106を互いに固定するために第2のストラップ106内の1つ以上の孔112内に差し込むことができる要素を含む、バックルである。
【0011】
概して、着用可能電子機器のハブ102は着用可能電子機器100の計算要素及び処理要素を包含する。図3は、図1における線3-3に沿って見たハブ102の部分断面図である。図1図3を参照すると、ハブ102は、エンクロージャ114によって少なくとも部分的に包囲されるディスプレイ116を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイ116はハブ102の文字盤を形成してもよく、エンクロージャ114はディスプレイ116の縁部、及び/又は裏面の一部分に接してもよい。加えて、着用可能機器100の内部構成要素はディスプレイ116とエンクロージャ114との間でエンクロージャ114内に包含されてもよい。エンクロージャ114はハブ102の内部構成要素を保護するとともに、ディスプレイ116をハブ102に接続する。
【0012】
エンクロージャ114は、限定するものではないが、プラスチック、金属、合金など等の、様々な材料から構築されてもよい。エンクロージャ114は、入力ボタン110又はその一部分を受容するためのボタン孔172(図3参照)を含む。ボタン孔172はエンクロージャ114の側壁188内に管路を形成し、エンクロージャ114の外面188から内面190へ延在する。概して、ボタン孔172は、入力ボタン110の心棒若しくはスピンドルのサイズ/形状に対応するか、又はそれを受け入れるように構成される。とは言うものの、ボタン孔172は他の形状及びサイズに作られてもよい。
【0013】
エンクロージャ114はまた、ディスプレイ116を受容するために上面上に画定される溝186を含んでもよい。図1及び図3を参照すると、ディスプレイ116は接着剤又はその他の締結機構を通じてエンクロージャ114に接続されてもよい。本例では、ディスプレイはエンクロージャの凹部又は溝内に据えられ、エンクロージャはディスプレイの縁部の周りに少なくとも部分的に延在し、それに締結されるか、又は付着されてもよいが、ディスプレイの後部の少なくとも一部分を自由な状態又はハウジングによって支持されない状態のまま残してもよい。しかし、他の実施形態では、ディスプレイ及びエンクロージャは他の仕方で互いに接続されてもよい。
【0014】
ディスプレイ116は、着用可能機器100のための視覚出力を提供することができる実質的に任意の種類の表示画面又は機器であってよい。一例として、ディスプレイ116は、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、又は同様のものであってもよい。加えて、ディスプレイ116はまた、静電容量感知要素を通じてユーザ入力を受けるマルチタッチ表示画面など、ユーザ入力を受けるように構成されてもよい。多くの実施形態では、ディスプレイ116は動的に可変であってもよい。しかし、他の実施形態では、ディスプレイ116は、動的に変化しなくてもよい、彩色したフェースプレートなどの、非電子構成要素であってもよい。
【0015】
ディスプレイ116は、選択的に変更可能である複数のアイコン118、120又はその他のグラフィックを示してもよい。一例として、第1のグラフィック118は、時刻変化を表すために、その文字、例えば、時、分、及び秒を表すための数字、を変化させる時刻グラフィックを含んでもよい。第2のグラフィック120は、電池寿命、受信されたメッセージ、又は同様のものなどの、通知グラフィックを含んでもよい。2つのグラフィック118、120はディスプレイ116上の実質的にどこに位置付けられてもよく、所望に応じて変更されてもよい。加えて、グラフィック118、120の数、サイズ、形状、及びその他の特性も同様に変更されてもよい。
【0016】
入力ボタン110はエンクロージャ114から延在し、それに付着するか、又はそれを貫通する。入力ボタン110は以下においてより詳細に説明されるが、概して、ユーザが着用可能電子機器100に入力を提供することを可能にするとともに、任意選択的に、ユーザに触覚フィードバックを提供する。
【0017】
図2を参照すると、着用可能電子機器は複数の内部処理要素又は計算要素を含む。例えば、着用可能電子機器100は、電源122、1つ以上の処理要素124、メモリ構成要素128、1つ以上のセンサ126、及び入力/出力構成要素130を含んでもよい。内部構成要素の各々はエンクロージャ114内に受容されてもよく、1つ以上のシステムバス132、トレース、プリント回路板、又はその他の通信機構を通じて通信してもよい。
【0018】
電源122はハブ102及び着用可能機器100のその他の構成要素に電力を提供する。電源122は電池又はその他の携帯型電力要素であってもよい。加えて、電源122は再充電可能又は交換可能であってもよい。
【0019】
処理要素124又はプロセッサは、命令を受信し、実行することができる実質的に任意の種類の機器である。例えば、処理要素124は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、処理ユニット若しくは一群の処理ユニット又は同様のものであってもよい。加えて、処理要素124は1つ以上のプロセッサを含んでもよく、いくつかの実施形態では、複数の処理要素を含んでもよい。
【0020】
1つ以上のセンサ126は、着用可能電子機器100の1つ以上の動作に影響を与えるために用い得る多数の異なるパラメータ又は特性を感知するように構成されもよい。例えば、センサ126は、加速度計、ジャイロスコープ、静電容量センサ、光センサ、画像センサ、圧力若しくは力センサ、又は同様のものを含んでもよい。以下においてより詳細に説明されるように、センサ126のうちの1つ以上は、ハブ102にユーザ入力を提供するために、入力ボタン110と併せて用いられるか、又はそれと別個であってもよい。
【0021】
図2を引き続き参照すると、メモリ構成要素128は、着用可能機器100によって利用されてもよい電子データを記憶する。例えば、メモリ構成要素128は、様々なアプリケーションに対応する電気的データ又はコンテンツ、例えば、オーディオファイル、ビデオファイル、ドキュメントファイルなどを記憶してもよい。メモリ128は、例えば、不揮発性記憶装置、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、磁気光学記憶媒体、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、消去可能なプログラマブルメモリ、又はフラッシュメモリであってもよい。
【0022】
入出力インタフェース130は、データをユーザ又は1つ以上の他の電子機器から受信してもよい。更に、入出力インタフェース130は、ユーザ又は他の電子機器へのデータの送信を促進してもよい。例えば、入力/出力インタフェース130は、ネットワークからデータを受信するために用いられてもよいか、又は無線若しくは有線接続(インターネット、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びイーサネット(登録商標)がいくつかの例である)を介して電気信号を送信及び転送するために用いられてもよい。いくつかの実施形態では、入力/出力インタフェース130は複数のネットワーク又は通信機構をサポートしてもよい。例えば、ネットワーク/通信インタフェース130は、Bluetoothネットワークを介して別の機器とペアリングして他の機器に信号を転送する、同時にWiFi又は他のネットワークからデータを受信してもよい。
【0023】
次に、入力ボタン110がより詳細に説明される。図3を参照すると、入力ボタン110は、頭部148並びに心棒150若しくはスピンドルを含む。心棒150は、エンクロージャ114内に画定されたボタン孔172内に受容され、頭部148はエンクロージャ114の外部で心棒150から外方へ延在する。着用可能電子機器100が携帯時計である実施形態では、入力ボタン110は携帯時計のための竜頭を形成し、頭部148は、ユーザが竜頭110若しくは入力ボタンを回転させること、引くこと、及び/又は押すことを可能にするためのユーザ係合面の役割を果たす。
【0024】
図1を参照すると、概して、頭部148は、円筒本体、並びに丸い、又は平らな最上部を有してもよいフランジ状部材である。加えて、頭部148は複数の隆起202又はその他の触知的特徴を任意選択的に含んでもよい。隆起202はユーザの指又は指群と頭部148との間の摩擦を高めることができ、ユーザが頭部148を回転させるか、又は引くことをより容易にし、ユーザが回転数を判定することを可能にする(道路上のマイルマーカと同様の)インジケータをユーザに提供することができる。例えば、頭部148は、頭部148の外面の周りの4分の1周ごとに、頭部が90度回転された場合をユーザに指示することができる隆起202を含んでもよい。しかし、他の実施形態では、隆起202は省かれてもよいか、又はその他の特徴が用いられてもよい。
【0025】
図3を再び参照すると、概して、心棒150は、頭部148から延在してもよい円筒状部材であってもよい。頭部148及び心棒150は一体的に形成されてもよいか、又は互いに固定して取り付けられる別個の構成要素であってもよい。心棒150はまた、その外周の一部分の周りに画定される密封溝152を含んでもよい。密封溝152は、Oリング154又はシールカップなどの密封部材を受容するように構成される。いくつかの実施形態では、心棒150は、ボタン孔172の長さよりも長い長さを有する。このように、心棒150の反対端はボタン孔172の両側から延在する。これらの実施形態では、頭部148はエンクロージャの外面から、ボタン孔の外端から外方へ延在する心棒150の長さだけ空間的に分離していてもよい。しかし、他の実施形態では、心棒150は、ボタン孔172の長さと実質的に同じである長さを有してもよいか、又はボタン孔172の長さよりも短くてもよい。後の例では、(以下においてより詳細に説明される)感知回路機構の1つ以上の部分はボタン孔172の直下に位置付けられるか、又は部分的にボタン孔172内に位置付けられてもよい。
【0026】
入力ボタン110は、心棒150の下部上に位置付けられる追跡可能要素146又はエンコーダを含む。図4はボタン110の底面図である。図3及び図4を参照すると、追跡可能要素146は心棒150の下端部に接続されてもよいか、又は心棒150の外面に接続されるか、若しくはその上に画定されてもよい。追跡可能要素146は感知要素142と相互作用し、感知要素162が、追跡可能要素146の運動を追跡することによって心棒150の運動を追跡することを可能にする。それゆえ、追跡可能要素146は、頭部148へのユーザ入力などにより、心棒150が運動するか又は回転するにつれて、それに応じて追跡可能要素146が運動することになるように、スチーム150に接続される。
【0027】
追跡可能要素146のための位置、サイズ、及び材料の種類は感知要素142に基づいて変更されてもよい。感知要素142は、以下において説明されるように、限定するものではないが、光学特性、磁気特性、機械的特性、電気的特性、又は容量特性などの、異なる種類のパラメータを追跡してもよい。それゆえ、追跡可能要素146は、心棒150の追跡を向上させるように変更することができる。
【0028】
図3及び図4を引き続き参照すると、一実施形態では、追跡可能要素146は、永久磁石又は電磁石のいずれかの、磁石である。本実施形態では、追跡可能要素146は、第1の磁極182及び第2の磁極184を含む円筒状円盤であってもよい。第1の磁極182は追跡可能要素146の北磁極であってもよく、第2の磁極184は追跡可能要素146の南磁極であってもよい。2つの磁極182、184は直径方向に対向していてもよく、それにより、追跡可能要素146の半分は第1の磁極182を形成し、追跡可能要素146の他方の半分は第2の磁極184を形成し、2つの磁極182、184は半円形状を形成する。換言すれば、追跡可能要素146の下面はその直径に沿って極性が分割される。
【0029】
いくつかの実施形態では、追跡可能要素は、心棒150の周囲の周りに位置付けられる2つ以上の磁石を含んでもよい。これらの実施形態では、回転センサは、心棒150の回転を追跡するために、ボタン孔内に位置付けられてもよい。
【0030】
次に、感知要素142及び対応する構造がより詳細に説明される。図5は、図1における線5-5に沿って見た着用可能電子機器の拡大断面図である。図3及び図5を参照すると、感知要素142はエンクロージャ114内に支持され、ボタン110の回転運動、垂直運動、及び/又は横方向運動を検出するように構成される。感知要素142は基板166上に支持されてもよく、1つ以上のセンサを含む。例えば、感知要素142は、回転センサ210a、210b、210c、210d及びスイッチセンサ160を含んでもよい。回転センサ210a、210b、210c、210d及びスイッチセンサ160は区画212又はその他のエンクロージャ内に位置付けられてもよい。区画212は、感知要素142の下部を形成する接触床170によって基板166上に支持される。区画212及び接触床170は、センサが受容される空洞164を画定する。
【0031】
回転センサ210a、210b、210c、210dは、竜頭又はボタン110の心棒150又はその他の部分の回転を検出するように構成される。図3図5に示される実施形態では、回転センサ210a、210b、210c、210dは、磁気極性の変化を検出する磁気センサであってもよい。例えば、回転センサ210a、210b、210c、210dはホール効果センサであってもよい。換言すれば、回転センサ210a、210b、210c、210dは、磁場に応じて出力信号を変化させるトランスデューサであってもよい。別の例では、回転センサ及び/又はスイッチセンサは光センサであってもよく、追跡可能要素は、心棒150の運動を追跡するために光センサによって用いられることができる1つ以上の標示又は可視インジケータを含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、追跡可能要素はボタン110の頭部148又は外部部分上に位置付けられてもよい。これらの実施形態では、回転センサはハウジング又はエンクロージャ114を通して入力ボタン110と(光学的又は磁気的に)連絡してもよい。例えば、エンクロージャは透明部分又は窓を含んでもよく、光センサが窓を通して竜頭の運動を追跡してもよい。
【0033】
いくつかの例では、回転センサ210a、210b、210c、210dは互いから離間され、感知要素142の反対の象限に配置されてもよい。これは、追跡可能要素146が感知要素の各象限又は区分に入り、そこを出る際に、回転センサ210a、210b、210c、210dが追跡可能要素146の回転を追跡することを可能にする。しかし、他の実施形態では、追跡可能要素146のより大きな回転距離を追跡するために用い得る2つのセンサのみが存在してもよいことに留意されたい。
【0034】
回転センサ210a、210b、210c、210dは互いに同一面内にあってもよいか、又は互いに同一面内になくてもよい。図5を参照すると、図3及び図5に示される実施形態では、回転センサ210a、210b、210c、210dは互いに同一面内にそろえられている。
【0035】
加えて、図5に示される実施形態は4つの回転センサ210a、210b、210c、210dを示しているが、より少数又はより多数のセンサが存在してもよい。例えば、2つのセンサのみが用いられてもよいか、又は2つを超える力センサが用いられてもよい。追加のセンサは向き及び/又は速さなどの追加の情報を提供するとともに、誤差を低減するための冗長性を提供することができる。しかし、追加の構成要素を用いなくとも、2つのセンサのみを用いることで、感知要素142が心棒150の回転を検出することを可能にすることができ、これにより、着用可能機器100のコスト及び製造の複雑さを低減し得る。
【0036】
しかし、他の実施形態では、回転センサ210a、210b、210c、210dは磁場以外のパラメータを感知してもよい。例えば、回転センサ210a、210b、210c、210dは、光センサ(例えば、画像センサ若しくは光センサ)、静電容量センサ、電気接点、又は同様のものであってもよい。これらの実施形態では、回転センサの数、配向、位置、及びサイズは所望に応じて変更されてもよい。
【0037】
スイッチセンサ160は、電気接触要素168、押しつぶし可能なドーム214、及び先端部158を含む。電気接触要素168は床170上の接触要素と相互作用し、スイッチセンサ160が作動された場合を指示する。例えば、接触要素168が床170と接触すると、回路が完成されてもよいか、信号が発生されるの刺激されてもよいか、又は同様のことが生じてもよい。ドーム214は、所定の力レベルでつぶれるか又は屈曲する、弾力性がある屈曲性の材料である。ドーム214は、薄い金属ドーム、プラスチックドームであってもよいか、又は他のものはその他の材料から構築されてもよい。ドーム214は、ユーザによって及ぼされる押しつぶす力に応じて、可聴音並びに反力を生み出してもよい。ユーザがドーム214を圧縮する時に、可聴音及び反力はユーザにフィードバックを提供する。先端部158はドーム214に接続され、先端部158に力が加えられると、先端部158は、ドーム214を押しつぶすように構成される。
【0038】
図3及び図5では、スイッチセンサ160はタクタイルスイッチとして示されているが、多くの他のセンサが想定される。例えば、スイッチセンサ160は、磁気センサ、静電容量センサ、光センサ、又は超音波センサであってもよい。特定の例では、スイッチセンサ160は静電容量センサであってもよく、ボタン110がユーザによって押され、心棒150がセンサ160により近づくのに伴い、静電容量の変化を検出することができる。それゆえ、いずれの特定の実施形態の説明も単に例示を意図されているにすぎない。
【0039】
回転センサ210a、210b、210c、210d及びスイッチセンサ160を含む感知要素142は、1つの構成要素としてハブ102内に設置することができる一体化された感知構成要素又はパッケージであってもよいことに留意されたい。代替的に、回転センサ210a、210b、210c、210d及びスイッチセンサ160は、分離した構成要素として設置することができる別個の構成要素であってもよく、それら独自のシール、基板、及び同様のものを含んでもよい。更に、着用可能電子機器100は、回転センサ又はスイッチセンサのいずれかなどの、単一のセンサのみを含んでもよい。
【0040】
図3及び図5を引き続き参照すると、感知要素142はシール144によって包囲される。シール144は、感圧性接着剤、熱活性化フィルム、シリコーン、又はその他の密封材料であってもよく、区画212の周囲の周りに位置付けられる。例えば、シール144は、区画212及び密封部材の周囲の周りに延在する長方形状要素であってもよい。シール144は、回転センサ及びスイッチセンサが追跡可能要素146及び心棒150と連絡することを可能にする開口部を画定する。膜156又は屈曲性シールは開口部を覆うように延在し、感知要素142を覆うように位置付けられる。膜156はシール144とともに、水、屑、及びその他の要素が感知要素142に到達するのを防止する役割を果たす。例えば、水及びその他の要素はエンクロージャ114内のボタン孔172を通過し得るが、膜及びシール144のために、感知要素142、及び着用可能電子機器100のその他の内部構成要素には到達することができない。別の例として、いくつかの実施形態では、ボタン110は取り外し可能であってもよく、シール144及び膜156は、竜頭又はボタンが取り外されている間に、水及びその他の要素が感知要素142、及び/又は着用可能機器100のその他の内部構成要素を損傷することを防止する。
【0041】
図5を参照すると、スイッチセンサ160の先端部158は膜156の上方に位置付けられてもよく、密封リング216が膜156を先端部158の側壁に対して密封する。これらの実施形態では、膜156は屈曲性を有してもよく、先端部158が、膜のシールを引き裂くか、又は別の仕方で損なうことなく、垂直に運動することを可能にする。
【0042】
次に、入力ボタン110の動作が更に詳細に説明される。図1図3、及び図5を参照すると、着用可能入力機器100に第1の入力を提供するために、ユーザは竜頭又はボタン110の頭部148に押圧力Fを加える。頭部148に対して力Fが及ぼされるのに伴い、頭部及びスチーム150は力Fの方向にボタン孔172の長さに沿って横方向に、エンクロージャ114によって画定された内部空洞139に向かって運動する。心棒150が空洞139内へ運動するのに伴い、心棒150の下端部、場合によっては、追跡可能要素146は、力Fの少なくとも一部分を先端部158へ伝達する。
【0043】
先端部158上の力Fに応じて、ドーム214はつぶれ、接点168を動かして床170上の接点(図示されていない)と連絡させる。ドームがつぶれる際に214、ユーザにはフィードバックが(例えば、ドームがつぶれる可聴音又はドームがつぶれる機械的感触を通じて)提供される。接点168が入力を記録すると、信号が生成され、処理要素124へ伝送される。次に、処理要素124は信号を用いてユーザ入力を記録する。スイッチセンサ160が心棒150から軸外に位置付けられる実施形態(以下においてより詳細に説明される)では、力Fは、角度を有する力AFによって示されるように、斜めに加えられてもよいことに留意されたい。この角度を有する力AFは、軸上の力Fに加えて、第2のユーザ入力として記録されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、ボタン孔は、たとえ、スイッチセンサが、図4に示されるように、心棒150の真下に位置付けられる場合であっても、スイッチセンサ120が角度を有する力AFによって作動されることができるほど十分に大きくてもよい。換言すれば、ボタン孔172の側壁との心棒150の摩擦係合が、角度を有する力AFに抵抗するために不十分であると、角度を有する力AF又はその他の軸外力は入力ボタン110を作動させることができる。角度が増大するにつれて、心棒に作用する摩擦力は増大し、心棒及び/又はボタン孔のサイズを変更することによって、角度を有する力AFがスイッチを作動させることができる所定の角度範囲が選択され得る。例えば、入力の力の最大角度を選択することができ、力がその角度を下回る場合には、角度を有する力はスイッチ120を作動させることができ、角度を有する力が最大角度以上である場合には、入力ボタンは作動させることができない。一例として、最大30度又は45度までの角度で入力ボタンに加えられる力が、スイッチセンサ120を作動させることが可能であってもよい。
【0045】
加えて、入力ボタン110は回転入力を記録することができる。例えば、ユーザが頭部148に回転力Rを加えると、頭部148及び心棒150は回転する。心棒150が回転するのに伴い、追跡可能要素146はそれに応じて回転する。回転センサ210a、210b、210c、210dは追跡可能要素146の運動を追跡し、処理要素124へ伝送される信号を生成する。処理要素124は、回転の速さ及び方向を判定するために信号を用いることができる。
【0046】
図3図5を参照すると、回転センサ210a、210b、210c、210dがホール効果センサであり、追跡可能要素146が磁石である実施形態では、センサ210a、210b、210c、210dは、回転を判定するために磁場の変化を用いることができる。図5を参照すると、心棒150が回転力R(図1参照)のために回転するのに伴い、追跡可能要素146はそれと一緒に回転軸に沿って回転する。追跡可能要素146が回転するのに伴い、2つの磁極182、184は回転センサ210a、210b、210c、210dの各々の上(又はその近く)を回転し、回転センサ210a、210b、210c、210dに磁場の変化を検出させる。
【0047】
磁場の変化は処理要素124によって、回転の速さ及び方向追跡可能要素146(及びひいては心棒150)を判定するために用いられることができる。このように、ユーザはボタン110に回転入力を加えてもよく、回転入力は感知要素142によって検出されてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザ入力の速さ及び/又は方向は、異なるアプリケーションを作動させるために用いられてもよく、及び/又は処理要素124の別個の入力種類として提供されてもよいことに留意されたい。例えば、第1の速さにおける第1の方向の回転は第1の種類の入力に相関してもよく、第2の速さにおける第2の方向の回転は第2の入力に相関してもよく、第2の速さにおける第1の方向の回転は第3の入力であってもよい。このように、複数のユーザ入力が着用可能入力機器100の竜頭を通じて検出可能となることができる。
【0048】
上述されたように、いくつかの実施形態では、回転センサ210a、210b、210c、210dは、例えば、追跡可能要素146がセンサ210a、210b、210c、210dの各々に対する向きを変化させる際の、磁場の変化に応じて出力信号を変化させるホール効果センサであってもよい。これらの実施形態では、通例、回転センサ210a、210b、210c、210dは、作動されると、電源122から電流を引き込む。それゆえ、センサ210a、210b、210c、210dは、入力ボタン110へのユーザ入力を探す際に、電力を絶えず引き込んでもよい。
【0049】
しかし、いくつかの実施形態では、着用可能電子機器100の電力消費を低減することが望ましい場合がある。例えば、電源122が複数の日にわたって再充電を行うことなく機器100に電力を提供することが望ましい場合がある。これらの実施形態では、感知要素142は、追跡可能要素146、又は竜頭に取り付けられたその他の磁気要素の近くにインダクタを含むことができる。追跡可能要素146が(入力ボタン110へのユーザ入力などのために)運動すると、インダクタは電流を発生させることになる。誘導電流は感知要素142への起動信号又は割り込み信号として用いられてもよい。次に、感知要素142は、心棒150の位置についてのより良好な回転感知を可能にするために、回転センサ210a、210b、210c、210dを作動させてもよい。
【0050】
上述の実施形態では、着用可能入力機器100は0電力又は低電力のスリープモードの最中にユーザ入力を検出することができる。それゆえ、機器100の機能性を低下させないようにしつつ、電源122の寿命を高めることができる。更に、誘導電流は、追跡可能要素146が動かされる際の方向及び/又は回転速度測定値を得るために用いることができるであろう。例えば、インダクタによって誘導される電流方向及び電圧が、回転方向及び速さを判定するために用いられてもよい。
【0051】
更に別の実施形態では、追跡可能要素146及び回転センサがインダクタを含んでもよいため、感知要素142が磁石又は磁気要素を含んでもよい。本例では、磁石がインダクタに対して動かされると、インダクタ内に電流が誘導され、電流は、上述されたように、回転の速さ及び/又は速度を判定するために用いることができるであろう。このように、感知要素142は、入力ボタン110又は竜頭へのユーザ入力をなお追跡しつつも、たとえ必要であったとしても、あまり多くの電力を必要としなくてすむ。
【0052】
図3を参照すると、スイッチセンサ160は入力ボタン110の心棒150と同一軸上に位置付けられるように示された。しかし、他の実施形態では、スイッチセンサ160は、心棒150と直角に、及び/又は心棒150に対して別の角度で位置付けられてもよい。これらの実施形態では、スイッチセンサ160は、ユーザが頭部148を45度の角度で下方に押すなどの、軸外運動を感知することができる。例えば、スイッチセンサ160は、ボタン孔172内において、及び/又はエンクロージャ114内へのボタン孔172の開口部に隣接して位置付けられてもよく、心棒150の運動をボタン孔172内で(図3に対して)垂直に追跡してもよい。
【0053】
他の実施形態では、着用可能機器100は、様々な種類のユーザ入力を検出するために、軸上スイッチセンサ及び軸外スイッチセンサの両方を含んでもよい。例えば、ユーザは、心棒150をエンクロージャ114に向かって内方に押し込むために頭部148の上端を押圧してもよく、それが軸上のスイッチによって記録されてもよい。別の例として、ユーザは頭部148をボタン孔172に対して斜めに下方に押圧してもよい。心棒150は、(スイッチセンサが位置付けられてもよい)ボタン孔172の内壁に向かって押され、スイッチセンサがその運動を検出することも可能にしてもよい。本例では、ボタンクリックは、竜頭を垂直下方に、及び/又は斜めに押圧することによって作動されてもよい。代替的に、スイッチセンサ160は枢動点を通じて作動されてもよい。換言すれば、竜頭又は入力ボタン110への入力は、軸上、軸外、回転方向と直角、及び/又は異なる入力種類の組み合わせであってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、着用可能電子機器100は、入力ボタンをボタン孔172内に保持するために用いることができる構成要素を含んでもよい。図6及び図7は、入力ボタンのための保持構成要素の例の断面図を示す。最初に図6を参照すると、第1の例では、着用可能電子機器100は、心棒150の下端部に接続するクリップ143を含んでもよい。例えば、クリップ143は、心棒150の一部分の周りに受容されるCクリップであってもよい。本例では、クリップ143は、心棒150がボタン孔172内で回転することを可能にするが、心棒150がボタン孔712から抜けることを防止する。クリップ143は、ボタン孔172からの入力ボタン110の抜けを防止するためにボタン孔172よりも大きな直径を有してもよいか、又は入力ボタンが抜けることを防止する仕方でエンクロージャ114に固定されてもよい。
【0055】
心棒150はまた、保持要素143を受容する溝又はその他の戻り止めを含んでもよい。本例では、保持要素143は所定位置に留まり、心棒150に固定される。別の例として、保持要素143は、それら心棒の外面の周りに受容される玉軸受などの、軸受であってもよい。本実施形態では、軸受は、心棒150が回転することを可能にするために、心棒150への低摩擦接続部を有してもよいが、心棒150と比べて増大した直径を有してもよく、これは、心棒をエンクロージャに対する所定位置に固定するのを助ける。
【0056】
いくつかの実施形態では、追跡可能要素146が入力ボタン110のための保持要素の役割も果たすことができる。例えば、図6におけるクリップ143は、感知要素142によって検出可能となり得るダイアメトリック磁石(diametric magnet)であってもよい。他の例では、図7を参照すると、別の例では、保持要素は保持磁石145であってもよい。本例では、保持磁石145は、心棒150と一体的に形成されるか、又はその下端部に接続されてもよい。保持磁石145は、心棒150の直径と実質的に同じである直径を有してもよく、これにより、入力ボタン110は、保持磁石145がそれに接続された状態で、ボタン孔172内に挿入されることが可能になる。本実施形態では、追跡可能要素146は、エンクロージャ114によって画定される空洞139内に位置付けられる第2の磁石である。追跡可能要素146は、少なくとも保持磁石145との境界面側で保持磁石と反対の極性化を含む。例えば、保持磁石145は、限定するものではないが、鋼板若しくは金属板、強磁性体材料、又は同様のものなどの、磁性を有する板であってもよい。このように、追跡可能要素146及び保持磁石145は、互いへ向かう引力を経験してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、追跡可能要素146は保持磁石145から間隙によって分離されてもよい。これらの実施形態では、間隙は、保持磁石145が追跡可能要素146と相互作用し、追跡可能要素146にそれと一緒に運動させることが可能になるように十分な寸法とされてもよい。代替的に、追跡可能要素146は保持磁石145の表面に接して位置付けられてもよい。
【0058】
異なる極性化のために、追跡可能要素146は保持磁石145を引き付け、入力ボタン110を空洞139内へ引っ張る。追跡可能要素146は、ボタン110をボタン孔172内に保持するように構成される直径を有してもよい。例えば、追跡可能要素146は、ボタン孔172の直径よりも大きく、保持磁石145の直径よりも大きな直径を有してもよい。これらの実施形態では、保持磁石と追跡可能要素との間の引力が2つの要素を互いに固定し、少なくとも、追跡可能要素の直径がボタン孔よりも大きくてもよいおかげで、心棒150がボタン孔から引き抜かれることを防止することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、追跡可能要素146はまた、感知要素142によって検出可能であってもよい。例えば、追跡可能要素146は、スチーム150をボタン孔172内に保持するように構成されてもよいため、図3に示される追跡可能要素(心棒のほぼ同じ直径を有してもよい)と比べて、追跡可能要素146の直径がより大きいおかげで、感知要素142が追跡可能要素142の運動をより容易に追跡することが可能になり得る。すなわち、本例における追跡可能要素は、感知要素142によって追跡され得るより大きな表面積を有してもよく、感知要素142がその運動をより容易に検出することを可能にする。
【0060】
図7を引き続き参照すると、本実施形態では、追跡可能要素146は保持磁石145とともに回転する。例えば、心棒が回転するのに伴い、心棒150に接続された保持磁石145は回転する。本例を続けると、追跡可能要素146と保持磁石145との間の磁力のために、追跡可能要素146は心棒150とともに回転する。これらの実施形態では、保持磁石145は、心棒150を追跡可能要素146に保持する役割を果たしてもよく、保持磁石145と比べて追跡可能要素146のサイズが増大しているおかげで、追跡可能要素146はボタン110をボタン孔172内に保持する。次に、追跡可能要素146は感知要素142と相互作用し、入力ボタン110へのユーザ入力が検出されることを可能にする。
【0061】
図6及び図7に示される保持要素は単に例示を意図されているにすぎない。入力ボタンをエンクロージャ114に接続するために用いることができる多くの他の種類の保持要素、例えば、フランジ、締結具(ねじなど)、又は同様のもの、が想定される。入力ボタンが保持要素を含む実施形態では、入力ボタンは、ユーザエクスペリエンスを損ない得る「ぐにゃぐにゃした」感触が軽減し得るので、ユーザにとってより良好な「感触」を有することができる。加えて、保持要素143、145は、水、流体、及びその他の屑がボタン孔172を通って空洞139内に侵入するのを減少させるのに役立つ。換言すれば、入力ボタン110はエンクロージャ114にしっかりと接続されていてもよいため、特定の要素はボタン又は保持部材によって阻止され、ボタン孔172を経由して空洞139内に侵入することを防止されることができる。更に、保持要素は、入力ボタンが電子機器から切断されることを防止するのに役立ち得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、感知要素は追跡可能要素から空間的に分離し、及び/又は心棒の運動と非直列的に位置付けられてもよい。図8は、エンクロージャの空洞内に位置付けられる2つの感知要素を含む着用可能機器の断面図である。図6を参照すると、本実施形態では、感知要素342は第1の磁気計348及び第2の磁気計350を含んでもよい。各磁気計348、350は、磁場を感知し、任意選択的に、もしあれば、感知された磁場の方向を感知するように構成される。一例として、各磁気計348、350は、特定の磁場ベクトルを感知するために各々用いられてもよい3つのホール効果センサを含んでもよい。換言すれば、磁気計348、350内の各ホール効果センサは、少なくとも1つの方向の成分、例えば、X、Y、及びZ、を測定するように構成されてもよい。本例では、各ホール効果センサは他のホール効果センサに対して直角に配向されてもよい。各ホール効果センサによって検出された磁場ベクトルは、1つ以上の磁場についての全体のベクトルの長さ及び/又は方向を判定するために組み合わせることができる。
【0063】
磁気計348、350は基板366、エンクロージャ114の内壁、又は別の支持構造体に接続されてもよい。任意選択的に、遮蔽要素368が磁気計348、350の少なくとも一部分の周りに位置付けられてもよい。例えば、一実施形態では、両方の磁気計348、350はディスプレイ116の真下に位置付けられてもよく、遮蔽要素368は感知要素342とディスプレイ116との間の干渉及び雑音を低減してもよい。しかし、他の実施形態では、遮蔽要素368は省かれるか、又は異なって構成されてもよい。
【0064】
図8を引き続き参照すると、いくつかの実施形態では、2つの磁気計348、350は互いから距離Dだけ離間されてもよい。距離Dは、入力ボタン310へのユーザ入力、及び具体的には、追跡可能要素142の運動を判定するために用いられてもよい。いくつかの実施形態では、距離Dは、磁気計348、350が追跡可能要素146の運動を感知するとともに、地球の磁場をも感知することが可能となり得るように選択されてもよく、これにより、磁気計がコンパスとして用いられることが可能になる。換言すれば、距離Dは、地球の磁場は両方の磁気計によって実質的に同じ仕方で経験され得るように、十分に小さくてもよいが、追跡可能要素の運動は各磁気計によって、異なって経験され得るように、十分に大きくてもよい。
【0065】
動作時、磁気計348、350を含む感知要素342は、追跡可能要素146の変化する位置による局所磁場の変化を検出する。すなわち、ユーザが入力ボタン310を回転させるか、又は他の方法で入力ボタン310に入力を提供するのに伴い、追跡可能要素146は感知要素342に対するその位置を変化させ、磁場の少なくとも1つの成分の変化を生じさせる。追跡可能要素146が磁性構成要素を含む実施形態では、磁気計348、350に対する追跡可能要素146の位置を変化させると、磁場の変化を磁気計に検出させる。図8に示される実施形態では、2つの磁気計348、350の間の距離Dは既知であり、それゆえ、2つの磁気計348、350の信号の差分又は差を判定することができる。次に、この差分を用いて、追跡可能要素146の位置を判定することができる。具体的には、各磁気計からの信号を、既知の距離Dを用いて処理してもよく、その後、信号をユーザ入力に相関させてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、2つの磁気計348、350は、追跡可能要素146の磁場の大きさ、並びに方向を検出するように構成されてもよい。こうして、感知要素342と通信する処理要素124は、ユーザ入力入力ボタン310、例えば、入力ボタンの回転の方向、速さ、及び距離、を判定することができ、それらは全て、ボタンへのユーザ入力の異なるパラメータに相関させてもよい。
【0067】
電子機器内の磁気計が入力ボタンの回転及び地球の磁場などの外部からの磁場の両方を感知することができる場合には、入力ボタンのためのエンコーダは電子機器100のためのコンパス機能と同時に用いられてもよい。これは、ユーザが入力ボタン310を介して入力を提供し、その一方で同時にディスプレイ116上のコンパス出力(例えば、北の方を指す矢印)を見ることを可能にし得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、感知要素342は、着用可能電子機器100又はそれが相互作用し得る構成要素の一部であり得る磁場の検出を回避するように校正されてもよい。例えば、場合によっては、磁気付着機構を含む充電ケーブルが電子機器とともに用いられることがある。本例では、充電ケーブルの磁場を校正して感知要素342から除外することができ、それにより、感知要素342の、追跡可能要素146を検出する能力に実質的に影響を与えなくてすむようにする。
【0069】
図8を引き続き参照すると、入力ボタン310の感知要素342は、2つの磁気計348、350を含むものとして説明されたが、いくつかの実施形態では、感知要素342は単一の磁気計を含んでもよい。単一の磁気計を含むことによって、含まれる構成要素がより少なくなり得るため、感知要素342はより安価に実装し得る。しかし、これらの実施形態では、感知要素342がユーザ入力を検出するために、入力ボタンのより大きな運動が必要となり得る。すなわち、感度が低下し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、追跡可能要素は、向き、加速度、又はユーザ入力を判定するために用いることができるその他のパラメータを検出してもよい。図9は、シャフトの運動を検出するように構成される追跡可能要素を有する入力ボタンの一例の断面図である。図9を参照すると、本実施形態では、入力ボタン410は入力ボタン110と実質的に同様であってもよいが、追跡可能要素446は、ジャイロスコープ、又は向き若しくは加速度の変化を検出するように構成されるその他の要素であってもよい。これらの実施形態では、追跡可能要素はエンクロージャ114に対する心棒150の運動を単独で追跡してもよい。例えば、追跡可能要素446はシャフト150に接続され、ユーザがボタン410に入力を提供するのに伴い、シャフトは回転し、追跡可能要素446は回転の方向及び速さを検出する。
【0071】
図9に示される実施形態における感知要素442はシャフト接点458を含んでもよい。シャフト接点458は追跡可能要素446に電気接続され、それから信号を受信する。例えば、シャフト接点458はブラシ接点であり、回転するようになっていてもよく、シャフト接点458及び追跡可能要素446が、(追跡可能要素を介した)シャフト150の回転又はその他の運動を実質的に制限することなく、電気的に通信することを可能にする。
【0072】
動作時、ユーザが、例えば、頭部148を回転させることによって、シャフト150を回転させるのに伴い、追跡可能要素446は回転を検出する。具体的には、追跡可能要素446はシャフト150の回転を経験し、回転の方向及び速さを検出する。次に、追跡可能要素446は、シャフト接点458へ伝送されてもよい電気信号を生成する。例えば、追跡可能要素446がシャフト150とともに回転するのに伴い、シャフト接点458は追跡可能要素446に軽く擦れ、追跡可能要素446によって生成された信号を検出する。
【0073】
シャフト接点458及び感知要素442は追跡可能要素446からの信号を処理要素142に提供する。次に、処理要素142は、追跡可能要素446によって検出された信号を、電子機器100内のセンサ126のうちの1つ以上によって検出された回転信号と比較してもよい。例えば、処理要素142は、エンクロージャ、ロジックボード基板166、又は入力ボタン410から分離したその他の要素に接続されたジャイロスコープセンサからの信号から、追跡可能要素446の信号を差し引いてもよい。このように、処理要素124は、電子機器100の回転運動から分離した心棒150の回転及びその他の運動を判定することができる。例えば、着用可能電子機器100は、ユーザの手首上に着用されている間に動かされる場合があり、全体としての機器100からの測定値が追跡可能要素の測定値から差し引かれなければ、ユーザ入力は誤計算される場合がある。しかし、場合によっては、追跡可能要素446によって経験される回転は、着用可能機器100によって経験される回転よりも十分に高い大きさとなる場合があり、処理要素124は、ボタン410へのユーザ入力を判定するために、追跡可能要素446によって検出されたデータからセンサ126のデータを差し引く必要がない場合がある。
【0074】
別の例では、感知要素は、ボタンのシャフト上に画定されるか、又は他の仕方でそれに接続される特徴を検出してもよい。図10は、感知要素及び追跡可能要素の別の例を含む断面図着用可能機器である。図10を参照すると、本例では、入力ボタン510は、頭部548、及びそれから延在するシャフト550を含んでもよい。入力ボタン510は入力ボタン110と実質的に同様であってもよいが、追跡可能要素546はシャフト550の一部分の周りに画定されてもよい。例えば、追跡可能要素546は、一連の切り込み、隆起、若しくはその他の検出可能な標示(例えば、塗装、色など)、又はその他の特徴であってもよい。追跡可能要素546は、製造/成形中に形成される溝若しくは隆起など、シャフト550と一体的に形成されてもよいか、又はシャフトに接続される別個の要素であってもよい。いくつかの実施形態では、追跡可能要素546はシャフト550の外面の下端部の一部分の周りに延在してもよいか、又は追跡可能要素546はシャフト550の外面全体の周りに延在してもよい。
【0075】
図10を引き続き参照すると、本例では、感知要素542はエンクロージャ114に接続されてもよく、シャフト550及び追跡可能要素546の少なくとも一部分に隣接して位置付けられてもよい。例えば、感知要素542は、空洞139内へ延在するシャフト550の部分と平行に位置付けられてもよく、ボタン孔172を包囲してエンクロージャ114に固着されてもよい。いくつかの実施形態では、感知要素542は入力ボタンのシャフト550全体を包囲してもよく、他の実施形態では、感知要素542はシャフトの(例えば、反対側に位置する)部分のみを包囲してもよい。
【0076】
感知要素542は、追跡可能要素546を検出することによってシャフト550の運動を検出するように構成される。一例として、追跡可能要素546は磁気要素であってもよく、感知要素542はホール効果センサであってもよい。第2の例として、追跡可能要素は、着色した標示であってもよく、感知要素542は光センサであってもよい。第3の例として、追跡可能要素546は金属要素又はその他の静電容量感応要素であってもよく、感知要素542は静電容量センサであってもよい。第4の例として、追跡可能要素546は、シャフトに接続される隆起又は延長部であってもよく、感知要素542は、隆起が真上を通過する際に圧迫されるか、又は他の仕方で選択される機械的接点であってもよい。本例では、機械的接点はまた、追跡可能要素546と係合する歯車又はその他のキー型要素であってもよい。具体的には、追跡可能要素546は、エンクロージャ114上の機械要素と係合する、対応する歯車又は歯であってもよい。心棒550が回転するのに伴い、追跡可能要素546は、歯車又は歯をエンクロージャ114の歯車/歯とかみ合わせながら回転することになり、これにより、感知要素が心棒550の運動を判定することが可能になり得る。
【0077】
図10を参照すると、動作時、ユーザは頭部548を回転させるか、又はそれに押し込み入力を提供し、心棒550はそれに応じて運動する。心棒550が運動するのに伴い、追跡可能要素546は感知要素542に対して回転するか、平行移動するか、又は他の仕方で運動する。感知要素542は処理要素に信号を提供し(又はそれに接続された別の要素に信号を提供させ)、入力ボタン510へのユーザ入力を記録する。
【0078】
いくつかの実施形態では、入力ボタンは心棒とエンクロージャとの間の電気接続部を含んでもよい。図11は、着用可能機器のエンクロージャ及び内部構成要素と入力ボタンとの間の電気接続部を含む入力ボタンの断面図である。入力ボタン610は入力ボタン110と実質的に同様であってもよいが、入力ボタンの心棒と感知要素との間の直接電気接続部を含んでもよい。図11を参照すると、入力ボタン610は、エンクロージャ114に接続され、心棒650を受容する孔の上方に位置付けられる感知要素642を含んでもよい。感知要素642は、ボタン孔172の内部側壁171に接続される電気接点又はパッドであってもよい。感知要素642は、1つ以上の接続部(図示されていない)を介して、又は無線で感知要素124と通信してもよい。別の例として、感知要素は、シャフトの側壁からの光(可視スペクトル内にある必要はない)を感知する光センサであってもよい。シャフトは、シャフトの回転が、感知要素によって受光される光を変化させ、それにより、感知要素がシャフトの回転及び/又は平行移動を検出することを可能とするように、パターニングされるか、着色されるか又は他の仕方で標示されてもよい。
【0079】
本実施形態における追跡可能要素646は、心棒650上に位置付けられる機械的ブラシであってもよい。例えば、追跡可能要素646は、所定の位置付けられることにおいて心棒650の外面上に位置付けられるブラシ要素643を含んでもよい。代替的に、ブラシ要素643は心棒650の外面の周囲全体の周りに位置付けられてもよい。追跡可能要素646は、感知要素642と相互作用する1つ以上の導電要素であってもよい。例えば、ブラシ要素643は、感知要素642と電気的に相互作用する銅製の毛であってもよい。
【0080】
図11を引き続き参照すると、いくつかの実施形態では、追跡可能要素646は、ボタンに接続される竜頭センサ630又は入力センサと電気的に通信してもよい。竜頭センサ630は入力ボタン610の頭部648及び/又は心棒650内に位置付けられてもよい。竜頭センサ630は、限定するものではないが、マイクロホン、スピーカ、静電容量センサ、光センサ、生体センサ、又は同様のものなどの、実質的に任意の種類のセンサであってよい。竜頭センサ630は、頭部648及び/又は心棒650上の実質的にどこに位置付けられてもよく、入力ボタン610内の場所に各々接続される2つ以上の竜頭センサ630が存在してもよい。
【0081】
動作時、ユーザが頭部648への回転力などの入力を提供するのに伴い、心棒650は回転する。心棒650が回転するのに伴い、追跡可能要素646は感知要素642と接触する。具体的には、ブラシ要素643は感知要素642と断続的又は連続的に直接接触し、追跡可能要素646と感知要素642との間の電気接続部を作り出す。次に、感知要素642は、感知された運動に対応する入力信号を発生し、その入力信号を処理要素に提供する。いくつかの実施形態では、感知要素642は、ブラシ要素643と感知要素642との間で作り出された接触の数に基づいて心棒650の回転の速さ及び/又は回転数を感知してもよい。
【0082】
入力ボタン610が竜頭センサ630を含む実施形態では、追跡可能要素646は竜頭センサ630からの1つ以上の信号を、感知要素642、又は感知要素642と通信するその他の構成要素(例えば、処理要素)に伝達してもよい。一例として、竜頭センサ630は、ユーザの心拍数及び/又は規則性を検出する生体センサであり、そのデータを感知要素及び追跡可能要素を介してエンクロージャ114内の処理要素に提供してもよい。別の例として、竜頭センサ630はマイクロホンであってもよく、追跡可能要素646及び感知要素642は、頭部648(又はその他の場所)上のマイクロホンからのデータを引き込み、そのデータを処理要素124に提供するために用いられてもよい。
【0083】
代替的に、又はそれに加えて、感知要素642は追跡可能要素及び竜頭センサ630へ電力を伝達してもよい。例えば、ブラシ要素643が感知要素646と接触する時に、感知要素646は接続部を通じて電流を伝達してもよい。感知要素642と追跡可能要素646との間で伝達される電流は、竜頭センサ630、並びに入力ボタン610に接続され、エンクロージャの空洞から分離した任意の他の構成要素(例えば、ディスプレイ)に電力を提供するために用いられてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、入力ボタンは、ボタンの頭部上に位置付けられる1つ以上のセンサを介してユーザ入力を感知してもよい。図12は、入力センサを含む入力ボタンの断面図である。図12を参照すると、本実施形態では、入力ボタン710は入力ボタン110と実質的に同様であってもよいが、ボタン710の頭部748に接続されるか、又はその上に画定される入力センサ730を含んでもよい。入力センサ730は竜頭センサ630と同様であってもよく、ユーザ入力を検出するために用いることができる1つ以上の特性を検出するように構成されてもよい。いくつかの例として、入力センサ730は、1つ以上の静電容量センサ、光センサ、抵抗センサ、又は同様のものを含んでもよい。入力センサ730は、ユーザが自分の指を頭部648上に位置付けているかどうか、及びユーザが自分の指を頭部648の一部分に沿って(例えば、頭部の外部周囲の周りに)動かしているかどうかを判定してもよい。一実施形態では、入力センサ730は、頭部748を画定する側壁の周りに位置付けられる複数の感知要素を含んでもよい。感知要素は、ユーザが自分の指を頭部748の周りに滑らせる様子を検出するように構成されてもよい。
【0085】
入力センサは竜頭センサと同様の仕方で電力を受け取ってもよいか、又はエンクロージャに位置付けられる電源に接続されてもよい。例えば、入力センサは1本以上の電線を介してエンクロージャ内の電源に接続されてもよいか、又は電力を無線で受け取るために電源に誘導結合されてもよい。
【0086】
図7に示される実施形態では、入力ボタン710、並びに具体的には、心棒750及び頭部748は、回転を防止されてもよい。換言すれば、入力ボタン710はボタン孔172に対して横方向に平行移動し得るが、ボタン孔172内で回転し得ない。これらの実施形態では、ユーザは、頭部648(又は入力ボタンの他の区域)の周りに自分の指を回転させることによって着用可能機器に回転入力を提供してもよく、入力センサ710は頭部の周りの指の運動を検出し、処理要素に入力を提供する。入力ボタン710がボタン孔172内で横方向に平行移動する実施形態では、心棒750は、ユーザ入力を検出するためにユーザによってスイッチセンサ160に押し当てられてもよい。例えば、ユーザは頭部748の表面を押圧して入力ボタンに横方向の力を提供し、心棒750の下面745にスイッチセンサ160の先端部158を押圧させ、スイッチセンサ160にユーザ入力を記録させてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、入力ボタン710はエンクロージャ114に対して固定されてもよいか、又はそれと一体的に形成されてもよい。これらの実施形態では、入力センサ730は「ボタン押圧」入力を検出してもよい。換言すれば、入力センサ730は、心棒750と平行に加えられるユーザ入力の力F、又はユーザが入力ボタンに横方向の力を提供する場合のその他の入力を検出してもよい。本例では、ユーザが自分の指を頭部748の表面747に当てて押圧するのに伴い、ユーザの指は、表面747と係合するにつれて膨らんでもよいか、又は盤面748の形状に適合してもよい。力が増大するにつれて、ユーザの指は入力センサ730のより多くの感知要素731と相互作用してもよく、それが処理要素124によってユーザ入力の力Fに相関させてもよい。例えば、感知要素731は光センサであってもよく、力Fが増大するにつれてユーザの指はより多くの感知要素731を覆ってもよいか、又は感知要素731は静電容量センサであってもよく、力が増大するにつれてユーザの指はより多くの静電容量センサと相互作用してもよい。これらの実施形態では、感知要素731は表面747、並びに頭部748の側壁に沿って位置付けられてもよく、列若しくは円などのパターンで位置付けられてもよいか、又はランダムに位置付けられてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、エンクロージャ内に位置付けられるタクタイルスイッチは、入力ボタンを包囲するエンクロージャの側壁内に位置付けられてもよい。これらの実施形態は、心棒と直角に加えられる力などの、非横方向の力が、ユーザ入力を記録すること、並びにユーザに触感を提供することを可能にすることができる。図13Aは、心棒と平行に位置付けられるスイッチセンサを含む入力ボタンの一実施形態の断面図である。図13Bは、頭部に力が加えられた状態の、図13Aに示される入力ボタンの断面図である。最初に図13Aを参照すると、本実施形態では、ボタンアセンブリは、エンクロージャ814内に位置付けられる入力ボタン810を含んでもよい。エンクロージャ814はエンクロージャ114と実質的に同様であってもよいが、その内部に画定されるスイッチ空洞816を含んでもよい。スイッチ空洞860はボタン孔872の拡張部又はポケットとして形成されてもよい。一例として、ボタン孔872の第1の側においてボタン孔872を画定する側壁858が外側へ拡大し、スイッチ空洞860を画定するスイッチ側壁860を形成しもよい。これらの実施形態では、スイッチ空洞860は、ディスプレイ116及びエンクロージャ814によって画定される機器空洞812内へ開いていてもよい。このように、スイッチ空洞860はエンクロージャ814の内壁868内の陥凹部として形成されてもよい。しかし、他の実施形態では、スイッチ空洞は少なくとも部分的に密閉されてもよい(例えば、図14参照)。
【0089】
図13Aを引き続き参照すると、入力ボタン810は、頭部848であって、前面847、及び頭部848の下面から延在する心棒850を有する、頭部848を含む。頭部848はスチーム850の端部のためのフランジを形成してもよく、また、側壁845を含んでもよい。心棒850は、その外面の周りに画定される環状陥凹部852を含んでもよい。環状陥凹部852は心棒の中央部分内に画定されるか、心棒850の端部の方に画定されるか、又は所望に応じて他の仕方で画定されてもよい。密封要素154は環状陥凹部852内に受容されてもよい。密封要素154は、上述されたように、Oリング又はシールカップなどの、圧縮可能要素であってもよい。
【0090】
追跡可能要素146は心棒850の下部に接続されてもよく、感知要素142と通信してもよい。感知要素142は、入力ボタン810へのユーザ入力を判定するために追跡可能要素146の運動又は回転を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、感知要素142は心棒850及びボタン孔872とそろえられてもよく、心棒の下端部に隣接して位置付けられてもよい。感知要素142は基板866によって支持されてもよい。
【0091】
図13Aに示されるボタンアセンブリはまた、スイッチセンサ160を含んでもよい。スイッチセンサ160は、図3において説明されたように、ドーム214及び基板166を含む。しかし、本実施形態では、スイッチセンサ160又はその少なくとも一部分はスイッチエンクロージャ860内に受容される。具体的には、スイッチセンサ160はスイッチ側壁860に接続されてもよいが、空洞812内へ部分的に延在してもよい。このように、スイッチセンサ160は、空洞812内の基板866及び感知要素142を支持するために、基板866に接続されてもよい。スイッチセンサ160及びスイッチ空洞816は、ドーム214の先端部158が心棒850の外部側壁851に隣接して位置付けられ得るように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、先端部158は心棒850の外部側壁851に接触して位置付けられさえしてもよい。先端部158と側壁851との間の距離は、スイッチセンサ160を作動させるために頭部848に加えられる力の量を決定してもよい。一例として、距離が遠いほど、スイッチセンサを作動させるために必要とされ得る力は大きくなる。
【0092】
動作時、ユーザは頭部848を回転させてもよく、これが、心棒850をそれに応じて回転させる。図3に関してより詳細に説明されたように、感知要素142は、心棒850の回転を判定するために追跡可能要素146の回転を追跡する。例えば、追跡可能要素146は磁気要素であってもよく、感知要素142は、ホール効果センサ、又は追跡可能要素の運動を検出することができる別の磁気センサであってもよい。他の実施形態では、追跡可能要素及び感知要素は、心棒へのユーザ入力を検出するように他の仕方で構成されてもよい。
【0093】
図13Bを参照すると、ユーザが頭部848の側壁845に、ボタン孔872に対して角度を有する力Fを加えた場合には、頭部848はボタン孔872に対して下方にたわんでもよい。図13Bでは、心棒850は、エンクロージャ814に圧接するか、又はそれをたわませるように示されているが、心棒のたわみは、明瞭にする目的のために誇張されている場合があることを理解されたい。代替的に、いくつかの実施形態では、エンクロージャの一部分は変形可能であってもよいか、又は心棒が図示のように斜めにたわむことを許すための面取り部若しくはその他の空間がエンクロージャ内に画定されていてもよい。すなわち、頭部848は、加えられた力Fの方向にたわんでもよく、第1の方向D1にボタン孔872に対して垂直に運動してもよい。頭部848が下方に運動するのに伴い、心棒850は密封要素154の下部を圧迫してもよく、枢動点854において枢動する。次に、心棒850の下端部853、及び追跡可能要素146は、第2の方向D2にセンサ空洞816のセンサ側壁860に向かって上方に運動する。第2の方向D2における心棒850の下端部853の運動は心棒850の側壁858に先端部158を圧迫させ、ドーム214を押しつぶさせる。ドームがつぶれると、スイッチセンサ160は入力を記録し、ドームはスイッチセンサ160の作動に関するフィードバックをユーザに提供する。
【0094】
いくつかの実施形態では、心棒の中央部分がスイッチセンサを作動させてもよい。図14は、図13Aに示されるボタン810の別の例の断面図である。図14を参照すると、本実施形態では、スイッチ空洞816はエンクロージャ814の外側の方に画定されてもよく、心棒の、下端部ではなく、中央部分にそろえられてもよい。加えて、心棒850がボタン孔872内に受容されると、シール空洞816は空洞812からいくらか密閉されてもよい。換言すれば、心棒850はスイッチ空洞816のための蓋又はカバーを形成してもよい。
【0095】
加えて、環状陥凹部852は心棒850の下端部の方に画定されてもよい。具体的には、心棒850がボタン孔872内に位置付けられると、密封部材154は空洞812とシール空洞816との間に位置付けられてもよい。
【0096】
図14を引き続き参照すると、追跡可能要素146及びボタン孔872の周りに感知シール835が位置付けられてもよい。このように、感知シール835は、流体、屑、及び同様のものがボタン孔872から空洞812内に侵入するのを防止するために、空洞812をボタン孔872から実質的に密封してもよい。感知要素142及び追跡可能要素146の種類に依存して、感知シール835は追跡可能要素146と感知要素142との間に位置付けられてもよい。しかし、他の実施形態では、感知シール835は感知要素及び追跡可能要素の両方の周りに位置付けられてもよい。
【0097】
動作時、図14を参照すると、ユーザが頭部848の側壁845に力Fを加えるのに伴い、頭部848は、入力の力Fの方向に対応する第1の方向D1に運動してもよい。心棒850の後端部853は上方に運動してもよいが、枢動点854が後端部853心棒850の方に位置付けられているために、心棒850の中央部分又は腹部は頭部848とともに方向D1に運動してもよい。換言すれば、枢動点854が心棒850の端部853の方に配置されているので、心棒850の中央部分は力Fと同じ方向D1に運動する。密封部材154の圧縮性が心棒850のための枢動点を提供し、心棒850が、スイッチセンサ160を作動させるためにボタン孔872の制約内で運動することを可能にする。
【0098】
図13B及び図14を参照すると、密封部材154の場所によって決定され得る枢動点854の場所に依存して、スイッチセンサ160は、心棒850に対する多数の異なる場所に配置されてもよく、様々な方向に加えられる力によって作動されてもよい。それゆえ、スイッチセンサの場所は所望に応じて変更されてもよい。
【0099】
概して、センサは心棒850及び/又は頭部の動きに応じて信号を出力してもよい。信号は動きの種類によって異なってもよい。例えば、回転運動は第1の信号出力を生じさせてもよく、その一方で、横方向運動は第2の信号出力を生じさせ、角運動は第3の信号出力を生じさせる。プロセッサは、信号、又は信号に基づくデータを受信してもよく、信号(又は関連データ)を用いて入力種類を判定し、入力種類に基づくアクションを適宜実行又は開始してもよい。更に、いくつかの実施形態では、異なるセンサが異なる種類の運動を感知してもよく、そのため、複数のセンサが、複数の動きを感知するために用いられてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、ボタンアセンブリは、ユーザにフィードバックを提供するとともに、ボタンへのユーザ入力を感知することができる、入力ボタンに結合されるモータを更に含んでもよい。図15は、モータを含む入力ボタンの断面図である。図15を参照すると、入力ボタン810は、図13Aに示される入力ボタン810と実質的に同様であってもよいが、心棒850に取り付けられるモータ880を含んでもよい。モータ880は駆動シャフト882を含み、駆動シャフト882の運動を介して、追跡可能要素846の動きを検出するとともに、追跡可能要素の動きを生じさせるように構成される。モータ880は、例えば、心棒850に結合される回転モータ又は直線振動モータであってもよい。駆動シャフト882は追跡可能要素846を介して心棒850に結合する。例えば、追跡可能要素は心棒850の下面固定されてもよく、次に、駆動シャフト882に接続する。
【0101】
第1のモードでは、モータ880は感知要素の役割を果たし、入力ボタン810への回転ユーザ入力を検出してもよい。モータ880が回転モータである実施形態では、ユーザが頭部848に回転入力Rを提供するのに伴い、頭部848及び心棒850はそれに応じて回転してもよい。心棒850が回転するのに伴い、追跡可能要素846は回転し、駆動シャフト882を回転させる。駆動シャフト882が回転するのに伴い、モータ880はその運動を感知し、処理要素124に信号を提供する。モータ880がリニアモータである実施形態では、ユーザが、例えば、頭部848をエンクロージャ814に向かって横方向に押すことによって、頭部848に直線入力Lを提供するのに伴い、心棒850はボタン孔872内で横方向に運動し、追跡可能要素846は駆動シャフト882を横方向に運動させる。横方向の駆動シャフト882の運動はモータ880によって検出されてもよく、モータ880は、処理要素124に提供するための信号を発生する。
【0102】
第2のモードでは、モータ880は、ユーザにフィードバックを提供するために用いられてもよい。例えば、モータ880が回転モータである場合には、駆動シャフト882は追跡可能要素846を回転させてもよく、追跡可能要素846が今度は心棒850及び頭部848を回転させる。頭部848の回転運動は、特定の入力の選択、機器の状態、又はフィードバックが所望されてもよいその他のパラメータに関する、可視指示、並びに(ユーザが頭部848に触れている時には)触知指示をユーザに提供するために用いられてもよい。モータ880がリニアモータである実施形態では、駆動シャフト882は、ユーザにフィードバックを提供するために、心棒850をボタン孔872内で直線的に動かしてもよい。
【0103】
加えて、モータ880は、ユーザに動的フィードバックを提供するために用いられてもよい。例えば、モータ880は、機械的な戻り止めを必要とすることなく、「カチッという」感覚又は戻り止めの感覚を提供するために用いられる心棒850を回転させるか、又は他の仕方で運動させるように構成されてもよい。一例として、ユーザは、ディスプレイ116上に提示された選択可能アイテムのリスト内をスクロールするために入力ボタン810を回転させてもよい。ユーザが選択可能アイテムを通過する際に、モータ880は、クリック感覚又はカチッという感覚を提供するために心棒850を動かしてもよい。加えて、モータ880は、入力ボタンを回転させるか、又は運動させるために必要とされる力を選択的に増大させるか、又は減少させてもよい。例えば、モータ880はユーザ入力の力の反対方向に力を及ぼしてもよく、ユーザは、入力ボタン810を回転させるために、モータ880によって及ぼされる力に打ち勝つことを要求されてもよい。別の例として、モータ880は用いられ、頭部848の回転を制限するためのハードストップを提供してもよい。ハードストップは特定の回転距離において設定されてもよいか、又は選択可能アイテム、提示された項目、若しくは同様のもののリストに基づいてもよい。フィードバックの例と同様に、ハードストップを提供するために、モータ880は心棒850に対して、ユーザによって加えられた力の反対方向に力を及ぼし、その力は、ユーザがその力に打ち勝つことを防止するために十分に高くてもよいか、又はハードストップの場所をユーザに指示するように設定されてもよい。更に別の例として、モータ880は特定の入力のために「跳ね返り」又は「ゴムバンド」フィードバックを提供してもよい。本例では、ユーザが選択可能リストの端部に到達すると、モータは心棒850を、ユーザによって加えられた力の反対方向に回転させてもよく、これにより、頭部848は、ディスプレイ116上に提示されたリストの端部から後方へ跳ね返るように見えてもよい。
【0104】
加えて、又は代替的に、着用可能機器は、ユーザが入力ボタン810に入力を提供するのに伴い、ユーザにフィードバックを提供するために用いることができる機械的戻り止めを含んでもよい。本例では、機械的戻り止めはボタン孔872の内部側壁上に画定されてもよく、ユーザにフィードバックを提供してもよく、及び/又は心棒850の回転を制限するためのストッパとして用いられてもよい。戻り止めはモータ880と併せて用いられるか、又はそれと別個に用いられてもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、モータ880は、心棒850及びモータを選択的に係合させ、切り離すクラッチを含んでもよい。これらの実施形態では、モータ880は、フィードバックを用いずにユーザが手動入力を提供することを可能にするために切り離されてもよく、その後、フィードバックを提供するため、ユーザによる心棒850の回転を防止するため、又は同様のことのために係合されてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、入力ボタンは、それへのユーザ入力を検出するために用いることができる、頭部、又は入力ボタンのその他の部分内に位置付けられる1つ以上のセンサを含んでもよい。図16は、頭部に接続される入力センサを含む入力ボタンの断面図である。図16を参照すると、本実施形態では、入力ボタン910は、頭部948であって、表面947、及び頭部948の後方部分から延在する心棒950を有する、頭部948を含んでもよい。頭部948は、入力センサ930を受容するセンサ空洞932を画定してもよい。センサ空洞932は、入力センサ930とほぼ同じ寸法を有するように構成されてもよいか、又は入力センサ930よりも大きいか、若しくは小さくてもよい。いくつかの実施形態では、センサ空洞932は、通信構成要素又は処理要素などの、他の構成要素を包含してもよい。
【0107】
入力センサ930は、1つ以上のパラメータを検出することができる実質的に任意の種類のセンサであってよい。いくつかの非限定例として、センサ930は、マイクロホン、加速度計、又はジャイロスコープであってもよく、頭部948及び/又は心棒950へのユーザ入力を検出するために用いられてもよい。一例として、入力センサ930は加速度計であってもよく、ユーザが、入力ボタン910の横方向の力又は回転力などの、入力を提供するのに伴い、加速度計は加速度の変化を検出してもよく、加速度の変化は処理要素124によって、ボタンへのユーザ入力の力を判定するために用いられてもよい。本例を続けると、ユーザが、表面947、又は頭部948のその他の区域に「タップ」又はその他の入力を提供すると、加速度計は、ユーザ入力の力を検出するために、その力に起因する運動を検出するように構成されてもよい。
【0108】
別の例では、入力センサ930はマイクロホンであってもよい。図17は入力ボタン910の断面図である。本例では、1つ以上の孔945が頭部948の表面947を貫いて画定されてもよい。孔945は、音波が表面947を通り抜け、センサ空洞930内に位置付けられたセンサ930に到達し得るように、センサ空洞932と流体連結していてもよい。本例では、入力センサ930は、頭部948上のタップ、クリック、又は押圧などの、ユーザ入力を検出してもよく、頭部948とのユーザの指の係合によって発生された音を検出してもよい。具体的には、ユーザが自分の指を頭部948に当てて押圧すると、力は、表面947内の孔945を通り抜けてセンサ930に到達し得る1つ以上の音波を発生してもよい。これらの実施形態では、頭部948は、ユーズ入力を受けるための入力ポートを形成してもよく、回転してもよいか、又は回転しなくてもよい。換言すれば、頭部は所定位置に固定されてもよいか、又はユーザが入力ボタンに入力を提供すると、ユーザに触覚フィードバック及び触感を提供するために回転することを可能にされてもよい。
【0109】
頭部948は図17に示され、それを貫いて画定される複数の孔を有するが、いくつかの実施形態では、孔は省かれてもよいことに留意されたい。例えば、頭部948は、音波を減衰させなくてもよい材料、例えば、音波を透過させることができる材料から作られてもよい。加えて、又は代替的に、入力センサ930は表面947に接触して位置付けられてもよく、表面947は、音波がそれを通り抜けることを可能とするために十分に薄い厚さを有してもよい。
【0110】
入力センサ930及びセンサ空洞932は頭部948内にあるように説明されたが、いくつかの実施形態では、入力センサ及びセンサ空洞は頭部948の側壁内に位置付けられてもよい。これらの実施形態では、側壁は、音波が通過することを可能にするための1つ以上の孔を含んでもよい。
【0111】
上述の説明は幅広い適用性を有する。例えば、本明細書に開示されている例は着用可能電子機器に焦点を当てている場合があるが、本明細書に開示されている概念は実質的に任意の他の種類の電子機器に等しく適用することができることを理解されたい。同様に、入力ボタンは携帯時計のための竜頭に関して説明されている場合があるが、本明細書に開示されている機器及び技術はその他の種類の入力ボタン構造に等しく適用可能である。したがって、全ての実施形態に関する説明は単に例示を意図されているにすぎず、特許請求の範囲を含む本開示の範囲をこれらの例に限定するよう示唆することを意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
図13A
図13B
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図15
図16
図17