(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】ビタミンDをアッセイするための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20221116BHJP
G01N 33/553 20060101ALI20221116BHJP
G01N 33/545 20060101ALI20221116BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20221116BHJP
C07K 16/44 20060101ALN20221116BHJP
C07K 16/42 20060101ALN20221116BHJP
C07K 17/02 20060101ALN20221116BHJP
【FI】
G01N33/53 H
G01N33/553
G01N33/545 A
G01N33/543 545S
C07K16/44
C07K16/42
C07K17/02
(21)【出願番号】P 2019504959
(86)(22)【出願日】2017-07-28
(86)【国際出願番号】 US2017044504
(87)【国際公開番号】W WO2018023066
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2019-05-09
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519027464
【氏名又は名称】ダイアザイム ラボラトリーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ユアン, チョン-シェン
(72)【発明者】
【氏名】サイダ, ファクリ ベン
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0273021(US,A1)
【文献】国際公開第2012/129650(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/006398(WO,A1)
【文献】特表2009-510415(JP,A)
【文献】特表2016-517004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0132104(US,A1)
【文献】国際公開第2014/122972(WO,A1)
【文献】特開平09-318629(JP,A)
【文献】国際公開第2002/079782(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/010673(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、
a)ビタミンD部分を含有しまたは含有することが疑われる試料と、2.5から6.9の範囲の酸性pHのバッファ、ならびに粒子に結合させたかまたは個別にコンジュゲートさせた、少なくとも2種の抗体とを接触させるステップであって、該抗体の少なくとも1種(または第1の抗体)が該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、少なくとも別の該抗体(または第2の抗体)が該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、ステップ、ならびに
b)該抗体と該ビタミンD部分との間の結合を評価して、該試料中の該ビタミンD部分のレベルおよび/または量を決定するステップ
を含み、
該方法が、粒子増強免疫比濁法を使用する均質アッセイとして実行され、10%またはそれより低い該決定されたビタミンD部分のレベルおよび/または量の精度またはCVを30ng/ml~100ng/mlで実現するように実行され、ここで、該精度またはCVは、臨床・検査標準協会(CLSI)EP5-A2指針に従い評価される、方法。
【請求項2】
前記抗体と前記ビタミンD部分との間の結合を評価する前に、天然ビタミンD結合タンパク質を前記試料から除去するステップを含まず、かつ/または洗浄ステップを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
洗浄ステップを含まない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記試料と、前記ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能な酸性pHのバッファを含む単一反応混合物、および粒子上に個別にコンジュゲートさせた少なくとも2種の抗体とを接触させ、一方の抗体または第1の抗体が該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、他方の抗体または第2の抗体が該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記試料、前記酸性pHのバッファ、および粒子上にコンジュゲートさせた抗体を含む、最終反応混合物のpHが、3.0から13の範囲である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
被験体の前記ビタミンD部分の状態を評価するのに使用され、前記試料が、該被験体から得られたかつ/または該被験体に由来する生物学的試料である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ビタミンD部分が、25(OH)D2、25(OH)D3、または25(OH)D2と25(OH)D3とを合わせたものである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記酸性pHのバッファが、酢酸ナトリウムバッファ、もしくはクエン酸ナトリウムバッファ、もしくはリン酸バッファ、これらの組合せ、または前記酸性pHの範囲で緩衝機能を有する任意のバッファである、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記酸性バッファの前記pHが、4.0から5.5の範囲にある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体が少なくとも2種のモノクローナル抗体であり、一方の抗体または第1の抗体が前記ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、他方の抗体または第2の抗体が該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記抗体が、ポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体とポリクローナル抗体との組合せである、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第1の抗体が25(OH)Dに特異的に結合し、前記第2の抗体が該第1の抗体と25(OH)Dとの間で形成された複合体に特異的に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の抗体および前記第2の抗体を、粒子に個別にコンジュゲートさせ、アッセイ手順で単一の組合せ試薬として使用するまたは2種の個別の試薬として使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記酸性pHバッファが、塩、ポリマー、および/または界面活性剤であって、ビタミンD部分をその結合タンパク質(複数可)から30分未満の短期間内で部分的にもしくは全体的に解離させるものを含有する、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記塩、ポリマー、および/または界面活性剤が、前記酸性pHバッファに、また
はアッセイ手順で前記酸性pHバッファと混合するのに使用される個別の試薬溶液に含まれる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記粒子またはナノ粒子が、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメチルナフタレン、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルナフタレン、スチレンのコポリマー、アクリル酸ジビニルベンゼン、ナフタレン、炭素60、磁性ビーズ、金、銀、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化クロム、および/または二酸化チタンを含む、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ナノ粒子を使用して実行される、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
ラテックス粒子が使用され、粒度(直径)が30nmから500nmの範囲である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
磁性粒子が使用され、粒度(直径)が500nmから2,000nmの範囲である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の抗体および前記第2の抗体がラテックス粒子上にコーティングされている、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記アッセイが、30分またはそれよりも短い時間内で完了する、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記アッセイが、一般的な化学分析器または臨床化学分析器で実行される、請求項1から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記アッセイが
、アッセイプロセスでまたはその前またはその最中で前記試料からビタミンD結合タンパク質もいかなる基質も物理的に除去する必要なしに、均質フォーマットで実行される、請求項1から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記アッセイが、60分またはそれよりも短い時間内で完了する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
試料中のビタミンD部分をアッセイするためのキットであって、
a)2.5から6.9の範囲の酸性pHのバッファ、
b)粒子に個別にコンジュゲートさせた、少なくとも2種の抗体であって、該抗体の少なくとも1種(または第1の抗体)が該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、少なくとも別の該抗体(または第2の抗体)が、該試料中に存在する場合、該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成される複合体に対して特異的結合親和性を有する、抗体
を含み、
該キットは、該試料中の該ビタミンD部分のレベルおよび/または量を決定するためのものであり、10%またはそれより低い該決定されたビタミンD部分のレベルおよび/または量の精度またはCVを30ng/ml~100ng/mlで実現するように構成されており、ここで、該精度またはCVは、臨床・検査標準協会(CLSI)EP5-A2指針に従い評価される、
キット。
【請求項26】
前記少なくとも2種の抗体と前記ビタミンD部分との間の結合を評価して、前記試料中の前記ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するための手段をさらに含む、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
1)塩、ポリマー、および/または界面活性剤を含有する2.5から6.9の範囲の酸性pHのバッファを含む、第1のアッセイ試薬、ならびに
2)粒子またはナノ粒子上に個別にコンジュゲートさせた少なくとも2種の抗体を含む第2のアッセイ試薬であって、1種の抗体または第1の抗体が25(OH)Dに対して特異的結合親和性を有し、別の抗体または第2の抗体が該第1の抗体と該25(OH)Dとの間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、第2のアッセイ試薬
を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項28】
請求項
27に記載のキットを使用して、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、
a)試料と前記第1のアッセイ試薬との混合物を形成し、ある期間にわたって該混合物をインキュベートし、その後、前記第2のアッセイ試薬を該混合物に添加するステップ、および
b)該反応混合物の光学変化を測定し、一組の25(OH)D較正物質を使用することによって、該試料中の25(OH)Dの量を定量するステップ
を含む、方法。
【請求項29】
試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、
a)該試料と、2.5から6.9の範囲の酸性pHのバッファを含む第1の試薬とを接触させて、該試料中の該ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させるステップ、
b)ステップa)からの該試料中の該ビタミンD部分と、該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有する第1の抗体でコーティングされた粒子を含む第2の試薬とを接触させて、ビタミンD部分/第1の抗体複合体を形成するステップ、ならびに
c)該ビタミンD部分/第1の抗体複合体と、シグナル発生部分または分子で標識された第2の抗体を含む第3の試薬とを接触させて、該ビタミンD部分と、該第1の抗体と、シグナル発生部分または分子で標識された該第2の抗体との間で複合体を形成するステップ、ならびに
d)該ビタミンD部分と、該第1の抗
体と、該第2の抗体との間の該複合体から
のシグナルを評価して、該試料中の該ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップ
を含み、
該方法は、該試料と、該ビタミンD部分を該試料中のその結合タンパク質から分離する非競合置換剤とを接触させるステップを含まない、
方法。
【請求項30】
前記シグナル発生部分または分子が、アクリジニウムエステル、イソルミノール、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、およびフルオレシンからなる群から選択され、前記粒子が磁性粒子である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、
a)ビタミンD部分を含有しまたは含有することが疑われる試料と、2.5から6.9の範囲の酸性pHのバッファ、ならびに少なくとも2種の抗体とを接触させるステップであって、該抗体の少なくとも1種(または第1の抗体)が該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、かつマイクロタイタープレートの固体表面に結合されており、少なくとも別の該抗体(または第2の抗体)が該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有し、かつシグナル発生部分で標識される、ステップ、ならびに
b)該抗体と、該ビタミンD部分との間の結合を評価して、該試料中の該ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップ
を含み、
該方法は、該試料と、該ビタミンD部分を該試料中のその結合タンパク質から分離する非競合置換剤とを接触させるステップを含まない、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年7月29日に出願された米国仮出願第62/368,940号の優先権の利益を主張し、その内容全体が参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、ビタミンD検出の分野に関する。詳細には、本発明は、生体液などの試料中のビタミンD部分をアッセイするための、新規な方法およびキットを提供する。
【背景技術】
【0003】
ビタミンDは、ステロイド様の脂溶性プロホルモンである。ビタミンDには、D2(エルゴカルシフェロール)およびD3(コレカルシフェロール)の2つの主な形がある。ビタミンD3は、紫外線に曝された際に、身体によって製造することができる。ビタミンD3およびビタミンD2は共に、肝臓および腎臓におけるそれらの代謝を通して、活性ホルモン1,25-ジヒドロキシビタミンDに変換される。
【0004】
ビタミンD3は、日光(紫外線)に曝すことによって皮膚内で合成されると共に、主に魚肝油および卵黄に由来する食事から得られる。ビタミンD2は、主に栄養補助食品から得られ、ビタミンD欠乏に関する米国で唯一の処方薬はビタミンD2で作製される。ビタミンD3またはD2は、肝臓によって25(OH)Dに代謝され、次いで腎臓によって1,25(OH)2Dに変換される。25(OH)ビタミンDは、体内のビタミンDのレベルを反映する主要な循環型であるが、1,25(OH)2ビタミンDは、最も生物学的に活性な形である。
【0005】
日光への不十分な曝露または食事もしくは補助食品からの低い摂取量は、ビタミンD欠乏を引き起こし得る。ビタミンD欠乏は骨石灰化を損ない、くる病を子供に引き起こし、骨軟化症を成人に引き起こし、骨粗しょう症に寄与し得る。最近の研究は、ビタミンD欠乏が、がん、心血管疾患、糖尿病、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、薬効、および原因を問わない死亡率にも結び付けられることを示している。
【0006】
ビタミンDに関する典型的な正常または十分な範囲は、約30~100ng/mLである。約10~30ng/mLのビタミンDのレベルは、欠乏していると見なされる。10ng/mL未満のビタミンDのレベルは、ひどく欠乏していると見なされる。150ng/mLよりも多いビタミンDのレベルは、有毒と見なされる。
【0007】
様々なビタミンDのアッセイは、当技術分野で公知である。例えば、様々なビタミンDのアッセイは、米国特許第5,821,020号、第7,087,395 B1号、第7,482,162 B2号、第7,964,363 B2号、第8,133,694 B2号、米国特許公開第2004/0132104 A1号、およびWO 2012/091569 A1に開示される。
生体液などの試料中のビタミンD部分をアッセイするための信頼できる、感度が高く特異的な方法、特に、均質アッセイとして実行することができかつ/または典型的な臨床検査室の環境にある自動化臨床化学分析器に適する方法が、依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第5,821,020号明細書
【文献】米国特許第7,087,395号明細書
【文献】米国特許第7,482,162号明細書
【文献】米国特許第7,964,363号明細書
【文献】米国特許第8,133,694号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0132104号明細書
【文献】国際公開第2012/091569号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)ビタミンD部分を含有しまたは含有することが疑われる試料と、ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファおよび/または酸性pHのバッファ、ならびに表面(複数可)または粒子に結合させた、例えば個別に結合させた少なくとも2種の抗体、例えば少なくとも2種のモノクローナル抗体とを接触させるステップであって、1種の抗体、例えば1種のモノクローナル抗体または第1の抗体がビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、別の抗体、例えば別のモノクローナル抗体または第2の抗体が第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、ステップ、ならびにb)前記特異的抗体と前記ビタミンD部分との間の結合を評価して、前記試料中の前記ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップを含む、方法を提供する。必要に応じて、抗体は、ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる。
【0010】
別の態様では、本発明は、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)ビタミンD部分を含有しまたは含有することが疑われる試料と、ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファおよび/または酸性pHのバッファ、ならびに少なくとも2種の抗体、例えば少なくとも2種のモノクローナル抗体とを接触させるステップであって、前記抗体の少なくとも1種(または第1の抗体)がビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、かつ固体表面、例えばマイクロタイタープレートまたは粒子の固体表面に結合されており、少なくとも別の前記抗体(または第2の抗体)が前記第1の抗体と前記ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有し、かつシグナル発生部分で標識される、ステップ、ならびにb)前記抗体、例えば前記特異的抗体と、前記ビタミンD部分との間の結合を評価して、前記試料中の前記ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップを含む、方法を提供する。必要に応じて、抗体は、ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、試料中のビタミンD部分をアッセイするためのキットであって、a)ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファ、および/または酸性pHのバッファ;b)表面またはラテックス粒子などの粒子に結合させた、例えば個別に結合させた少なくとも2種の抗体、例えば少なくとも2種のモノクローナル抗体であって、1種の抗体、例えば1種のモノクローナル抗体または第1の抗体がビタミンD部分に結合する親和性を有し、別の抗体、例えば別のモノクローナル抗体または第2の抗体が第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に結合する親和性を有する、抗体を含む、キットを提供する。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)前記試料と、酸性pHのバッファを含む第1の試薬とを接触させて、前記試料中の前記ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させるステップ;b)ステップa)からの前記試料中の前記ビタミンD部分と、前記ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有する第1の抗体でコーティングされた粒子、例えば磁性粒子を含む第2の試薬とを接触させて、ビタミンD部分/第1の抗体複合体を形成するステップ;ならびにc)前記ビタミンD部分/第1の抗体複合体と、シグナル発生分子で標識された第2の抗体を含む第3の試薬とを接触させて、前記ビタミンD部分と、前記第1の抗体複合体と、シグナル発生部分または分子で標識された前記第2の抗体との間で複合体を形成するステップ;ならびにd)前記ビタミンD部分と、前記第1の抗体と、前記第2の抗体との間の前記複合体からの前記シグナルを評価して、前記試料中のビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、シグナル発生部分または分子は、アクリジニウムエステル、イソルミノール、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、およびフルオレシン(fluoresin)からなる群から選択される。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、試料中のビタミンD部分をアッセイするための反応混合物であって、ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファ、および/または酸性pHのバッファと;表面(複数可)またはラテックス粒子などの粒子に結合させた、例えば個別に結合させた少なくとも2種の抗体、例えば少なくとも2種のモノクローナル抗体とを含み、1種の抗体、例えば1種のモノクローナル抗体または第1の抗体がビタミンD部分に結合する親和性を有し、別の抗体、例えば別のモノクローナル抗体または第2の抗体が第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に結合する親和性を有する、反応混合物を提供する。
【0014】
一部の実施形態では、第1の抗体は、表面(複数可)または磁性粒子などの粒子上にコーティングすることができ、別の抗体または第2の抗体は、酵素(例えば、アルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼ)などのシグナル発生分子、またはアクリジニウムエステル、イソルミノールなどの化学発光シグナル発生分子、またはフルオレセインおよび緑色蛍光タンパク質などの蛍光分子で標識することができる。反応混合物におけるビタミンD部分の存在下、第2の抗体は、試料からのビタミンD部分と、表面(複数可)または粒子上にコーティングされた第1の抗体との間で形成された複合体に結合して、複合体、例えば「サンドイッチ」複合体(第1の抗体-ビタミンD-第2の抗体)を形成し、表面(複数可)または粒子上に形成された「サンドイッチ」の量は、試料中のビタミンD部分の量に比例し、第2の抗体分子上に標識されるシグナル発生分子からのシグナルを検出することによって定量的に評価することができる。
【0015】
一部の実施形態では、少なくとも2種の抗体を同じ粒子もしくは表面または同じタイプの粒子(複数可)または表面に結合させることができる。他の実施形態では、少なくとも2種の抗体は、異なる粒子もしくは表面または異なるタイプの粒子もしくは表面に結合させることができる。
【0016】
一部の実施形態では、本発明の方法およびキットは、参照によりそれら出願の全体が組み込まれる米国特許出願第13/707,514号および第14/169,118号、ならびにPCT出願第PCT/US2015/013831号に記述されかつ/または権利が主張された方法およびキットの、選択された要素または特色を使用しまたは組み込むことができる。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、
a)ビタミンD部分を含有しまたは含有することが疑われる試料と、ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファおよび/または酸性pHのバッファ、ならびに表面(複数可)または粒子、例えばナノ粒子に結合させた、例えば個別にコンジュゲートさせた少なくとも2種の抗体、例えば少なくとも2種のモノクローナル抗体とを接触させるステップであって、該抗体の少なくとも1種(または第1の抗体)が該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、少なくとも別の該抗体(または第2の抗体)が該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有し、必要に応じて該抗体が該ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる、ステップ、ならびに
b)該抗体、例えば該特異的抗体と該ビタミンD部分との間の結合を評価して、該試料中の該ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップ
を含む、方法。
(項目2)
前記抗体と前記ビタミンD部分との間の結合を評価する前に、天然ビタミンD結合タンパク質を前記試料から除去するステップを含まず、かつ/または洗浄ステップを含まない、項目1に記載の方法。
(項目3)
均質アッセイとして実行される、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記試料と、前記ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能な酸性pHのバッファを含む単一反応混合物、および粒子、例えばナノ粒子上に個別にコンジュゲートさせたペア抗体とを接触させ、一方の抗体または第1の抗体が該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、他方の抗体または第2の抗体が該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、項目1から3のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記試料、前記酸性pHバッファ、および粒子、例えばナノ粒子上にコンジュゲートさせた抗体を含む、最終反応混合物のpHが、約3.0から約13、好ましくは約5.5から約8.5の範囲である、項目1から4のいずれかに記載の方法。
(項目6)
被験体の前記ビタミンD部分の状態を評価するのに使用され、前記試料が、該被験体から得られたかつ/または該被験体に由来する生物学的試料である、項目1から5のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記ビタミンD部分が、25(OH)D2、25(OH)D3、または25(OH)D2と25(OH)D3とを合わせたものである、項目1から6のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記酸性pHバッファが、酢酸ナトリウムバッファ、もしくはクエン酸ナトリウムバッファ、もしくはリン酸バッファ、これらの組合せ、または該酸性pH範囲で緩衝機能を有する任意のバッファである、項目1から7のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記酸性バッファの前記pHが、約2.5から約6.9の範囲にある、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記抗体がペアモノクローナル抗体であり、一方の抗体または第1の抗体が前記ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、他方の抗体または第2の抗体が該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、項目1から9のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記抗体が、ポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体とポリクローナル抗体との組合せである、項目1から10のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記第1の抗体が25(OH)Dに特異的に結合し、前記第2の抗体が該第1の抗体と25(OH)Dとの間で形成された複合体に特異的に結合する、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記第1の抗体および前記第2の抗体を、粒子、例えばナノ粒子に個別にコンジュゲートさせ、アッセイ手順で単一の組合せ試薬として使用するまたは2種の個別の試薬として使用する、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記酸性pHバッファが、塩、ポリマー、および/または界面活性剤であって、ビタミンD部分をその結合タンパク質(複数可)から短期間内(例えば、30分未満)で部分的にもしくは全体的に解離させるものを含有する、項目1から13のいずれかに記載の方法。
(項目15)
前記塩、ポリマー、および/または界面活性剤が、前記酸性pHバッファに、または前記アッセイ手順で前記酸性pHバッファと混合するのに使用される個別の試薬溶液に含まれる、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記粒子、例えばナノ粒子が、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメチルナフタレン、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルナフタレン、スチレンのコポリマー、アクリル酸ジビニルベンゼン、ナフタレン、炭素60、磁性ビーズ、金、銀、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化クロム、および/または二酸化チタンを含む、項目1から15のいずれかに記載の方法。
(項目17)
粒子増強免疫混濁度測定法、粒子増強免疫比濁法、または磁性粒子(ビーズ)をベースにしたイムノアッセイ法を使用して実行される、項目1から16のいずれかに記載の方法。
(項目18)
ラテックス粒子が使用され、粒度(直径)が約30nmから約500nmの範囲である、項目17に記載の方法。
(項目19)
磁性粒子が使用される場合、前記粒度(直径)は約500nmから約2,000nmの範囲であってよく、必要に応じて前記第1の抗体は該磁性粒子上にコーティングされ、前記第2の抗体は、アクリジニウムエステル、イソルミノール、アルカリホスファターゼ、およびホースラディッシュペルオキシダーゼ、またはフルオレシン、または緑色タンパク質などの化学発光または蛍光シグナル発生分子で標識され、さらに必要に応じて、前記アッセイが、1つまたは2つの洗浄ステップを伴う不均質フォーマットで実行される、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記アッセイが、1つまたは複数の相分離ステップを伴う不均質アッセイである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記アッセイが、30分またはそれよりも短い時間内で完了する、項目1から20のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記アッセイが、一般的な化学分析器または臨床化学分析器で実行される、項目1から21のいずれかに記載の方法。
(項目23)
前記アッセイが、該アッセイプロセスでまたはその前またはその最中で前記試料からビタミンD結合タンパク質などのいかなる基質も物理的に除去する必要なしに、均質フォーマットで実行される、項目1から22のいずれかに記載の方法。
(項目24)
前記アッセイが、60分またはそれよりも短い時間内で完了する、項目19に記載の方法。
(項目25)
試料中のビタミンD部分をアッセイするためのキットであって、
a)ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファ、および/または酸性pHのバッファ、
b)表面(複数可)または粒子、例えばラテックス粒子に結合させた、例えば個別にコンジュゲートさせた少なくとも2種の抗体、例えば少なくとも2種のモノクローナル抗体であって、該抗体の少なくとも1種(または第1の抗体)が該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、少なくとも別の該抗体(または第2の抗体)が、該試料中に存在する場合、該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成される複合体に対して特異的結合親和性を有し、必要に応じて該抗体が該ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる、抗体
を含む、キット。
(項目26)
前記少なくとも2種の抗体と前記ビタミンD部分との間の結合を評価して、前記試料中の前記ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するための手段をさらに含む、項目25に記載のキット。
(項目27)
1)塩、ポリマー、および/または界面活性剤を含有する酸性pHのバッファを含む、第1のアッセイ試薬、ならびに
2)粒子、例えばナノ粒子上に個別にコンジュゲートさせたペア抗体を含む第2のアッセイ試薬であって、1種の抗体または第1の抗体が25(OH)Dに対して特異的結合親和性を有し、別の抗体または第2の抗体が該第1の抗体と該25(OH)Dとの間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、第2のアッセイ試薬
を含む、項目25に記載のキット。
(項目28)
項目25から27のいずれかに記載のキットを使用して、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、
a)試料と前記第1のアッセイ試薬との混合物を形成し、ある期間にわたって該混合物をインキュベートし、その後、前記第2のアッセイ試薬を該混合物に添加するステップ、および
b)該反応混合物の光学変化を測定し、一組の25(OH)D較正物質を使用することによって、該試料中の25(OH)Dの量を定量するステップ
を含む、方法。
(項目29)
項目25から27のいずれかに記載のキットを使用して、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、
a)該試料と、マイクロタイタープレート上にコーティングされた前記第1の抗体とを、前記第1のアッセイ試薬の存在下で接触させ、ある期間にわたって混合物をインキュベートするステップ、ならびに
b)シグナル伝達分子(例えば、HRP)で標識された前記第2の抗体を添加するステップ、ならびに
c)インキュベーションおよび洗浄ステップ(複数可)後、シグナル強度および較正曲線に基づいて、該試料中の該ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップ
を含む、方法。
(項目30)
試料中のビタミンD部分をアッセイするためのキットであって、
a)酸性pHのバッファ、
b)該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有する第1の抗体でコーティングされた粒子、例えば磁性粒子、
c)アクリジニウムエステル、イソルミノール、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、またはフルオレシンから選択されるシグナル発生分子で標識された第2の抗体、
d)化学発光または蛍光シグナル発生に必要とされる基質(複数可)溶液および/またはスターター
を含む、キット。
(項目31)
前記基質(複数可)溶液および/またはスターターをさらに含む、項目30に記載のキット。
(項目32)
シグナル検出前に相分離ステップ(複数可)および/または洗浄ステップ(複数可)を伴う、不均質アッセイ用に構成された、項目30または31に記載のキット。
(項目33)
項目30から32のいずれかに記載のキット、ならびに化学発光または蛍光シグナル発生に必要とされる基質(複数可)溶液および/またはスターターを含む、試料中のビタミンD部分をアッセイするための製品。
(項目34)
前記別の抗体(第2の抗体)が、前記抗体の1種(または前記第1の抗体)によって結合されていない前記ビタミンD部分上のエピトープに特異的に結合する、項目1から24のいずれかに記載の方法、または項目25から27および項目30から32のいずれかに記載のキット。
(項目35)
前記別の抗体(第2の抗体)が、前記抗体の前記1種(または前記第1の抗体)に結合しまたは特異的に結合する、項目1から24のいずれかに記載の方法、または項目25から27および項目30から32のいずれかに記載のキット。
(項目36)
試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、
a)該試料と、酸性pHのバッファを含む第1の試薬とを接触させて、該試料中の該ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させるステップ、
b)ステップa)からの該試料中の該ビタミンD部分と、該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有する第1の抗体でコーティングされた粒子、例えば磁性粒子を含む第2の試薬とを接触させて、ビタミンD部分/第1の抗体複合体を形成するステップ、ならびに
c)該ビタミンD部分/第1の抗体複合体と、シグナル発生部分または分子で標識された第2の抗体を含む第3の試薬とを接触させて、該ビタミンD部分と、該第1の抗体と、シグナル発生部分または分子で標識された該第2の抗体との間で複合体を形成するステップ、ならびに
d)該ビタミンD部分と、該第1の抗体複合体と、該第2の抗体との間の該複合体からの該シグナルを評価して、該試料中の該ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップ
を含む、方法。
(項目37)
前記シグナル発生部分または分子が、アクリジニウムエステル、イソルミノール、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、およびフルオレシンからなる群から選択される、項目36に記載の方法。
(項目38)
試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、
a)ビタミンD部分を含有しまたは含有することが疑われる試料と、ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファおよび/または酸性pHのバッファ、ならびに少なくとも2種の抗体、例えば少なくとも2種のモノクローナル抗体とを接触させるステップであって、該抗体の少なくとも1種(または第1の抗体)が該ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、かつ固体表面、例えばマイクロタイタープレートまたは粒子の固体表面に結合されており、少なくとも別の該抗体(または第2の抗体)が該第1の抗体と該ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有し、かつシグナル発生部分で標識される、ステップ、ならびに
b)該抗体、例えば該特異的抗体と、該ビタミンD部分との間の結合を評価して、該試料中の該ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップ
を含む、方法。
(項目39)
前記抗体が、前記ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる、項目38に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、AU680分析器でラテックス増強イムノアッセイ法を使用する総25(OH)Dアッセイの、例示的なまたは典型的な較正曲線を示す。
【0018】
【
図2】
図2は、AU680分析器でラテックス粒子増強イムノアッセイ法を使用する総25(OH)Dアッセイの、例示的なまたは典型的な線形曲線を示す。
【0019】
【
図3】
図3は、市販の化学発光イムノアッセイ法(DiaSorinアッセイ)と比較した、ラテックス増強イムノアッセイ法を使用する総25(OH)Dアッセイの例示的なまたは典型的な方法の比較データを示す。
【0020】
【
図4】
図4は、ゴールドスタンダード法、LC-MS/MS法と比較した、ラテックス粒子増強イムノアッセイ法を使用する総25(OH)Dアッセイの、例示的なまたは典型的な方法の比較データを示す。
【0021】
【
図5】
図5は、磁性粒子をベースにしたイムノアッセイ検出法を使用する総25(OH)Dアッセイの、例示的なまたは典型的な較正曲線を示す。
【0022】
【
図6】
図6は、市販の化学発光イムノアッセイ法と比較した、磁性粒子をベースにしたイムノアッセイ検出法を使用する総25(OH)Dアッセイの、例示的なまたは典型的な方法の比較データを示す。
【0023】
【0024】
【0025】
【
図9】
図9は、例示的なマトリックス比較の結果(K2-EDTA対血清)を示す。
【0026】
【
図10】
図10は、例示的なマトリックス比較の結果(K3-EDTA対血清)を示す。
【0027】
【
図11】
図11は、例示的なマトリックス比較の結果(K2-Li-ヘパリン対血清)を示す。
【0028】
【
図12】
図12は、例示的な方法の比較結果(対Roche VDアッセイ)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
限定のためではなく、開示を明瞭にするために、本発明の詳細な記述を以下のサブセクションに分ける。
A.定義
【0030】
他に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許、出願、公開出願、および他の刊行物は、それらの全体が参照により組み込まれる。このセクションで述べる定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願、および他の刊行物に記載される定義と相反しておりまたはその他の点で矛盾している場合、このセクションで述べる定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義よりも優先する。
【0031】
本明細書で使用される「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。
【0032】
本明細書で使用される「ビタミンD部分」は、カルシウムおよびホスフェートの腸吸収に関与する脂溶性セコステロイドの群である、ビタミンDファミリーの全てのメンバーまたは形を指す。例示的なビタミンDの形には、ビタミンD1、D2(エルゴカルシフェロール)、D3(コレカルシフェロール)、D4、およびD5が含まれる。例示的なビタミンD部分には、カルシフェジオール(INN)、25-ヒドロキシコレカルシフェロール、または25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)Dと省略される)としても公知のものであり;かつ人のビタミンD状態を決定するのに血清中で測定される特異的ビタミンD代謝物である、カルシジオール、ならびに、ビタミンDの生物学的に活性な形であるカルシトリオールも含まれる。一部の実施形態では、「ビタミンD部分」は、25-ヒドロキシビタミンD(D2およびD3形を含む25(OH)Dと省略される)を指す。
【0033】
本明細書で使用される「抗体」は、無傷のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけではなく、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、一本鎖(ScFv)、ダイアボディ、抗体断片から形成された多重特異的抗体、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および必要とされる特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変構造(modified configuration)も含まれる。抗体には、IgG、IgA、またはIgM(またはこれらのサブクラス)などの任意のクラスの抗体が含まれ、抗体は、任意の特定のクラスのものである必要はない。本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、結合試薬、例えば抗体の特異性であって、定義された分析物または標的、例えばビタミンD部分に優先的に結合するような特異性を指す。他の潜在的な標的の存在下、特定の分析物または標的の結合試薬または抗体による認識は、そのような結合の1つの特徴である。一部の実施形態では、分析物に特異的に結合する結合試薬は、試験がなされる試料中の他の1つまたは複数の干渉部分との結合を回避する。
【0034】
「ビタミンD結合タンパク質」は、gc-グロブリン(群特異的成分)としても公知である。一部の実施形態では、「ビタミンD結合タンパク質」は、アルブミンファミリーのビタミンD結合タンパク質を指す。「ビタミンD結合タンパク質」は、しばしば、血漿、腹水、脳脊髄液中、および/または多くの細胞型の表面に見出される。「ビタミンD結合タンパク質」は、しばしばビタミンDおよびその代謝物に結合し、それらをin vivoで標的組織に輸送する。ヒトにおける例示的な「ビタミンD結合タンパク質」は、GC遺伝子によってコードされる。一部の実施形態では、「ビタミンD結合タンパク質」は、当技術分野で公知のビタミンD結合タンパク質、例えば、ウェブサイト:https://en.wikipedia.org/wiki/Albuminに記述されるビタミンD結合タンパク質を指す。
【0035】
一部の実施形態では、「腹水」は、ウェブサイト:https://en.wikipedia.org/wiki/Ascitesで記述されるように使用される。一部の実施形態では、「脳脊髄液」は、ウェブサイト:https://en.wikipedia.org/wiki/Cerebrospinal_fluidで記述されるように使用される。
【0036】
本明細書で使用される「評価する」という用語は、試料に存在する分析物の量または濃度に関する絶対値を得るという意味で、また指標、比、パーセンテージ、視覚的なまたは他の値であって試料中の分析物のレベルを示すものを得るという意味で、定量的および定性的な決定を含むものとする。評価は、直接的または間接的であってもよく、実際に検出される化学種は、当然ながら分析物そのものである必要はなく、例えばその誘導体またはさらにいくつかの物質であってもよい。
【0037】
本明細書で使用される「試料」という用語は、分析物アッセイが望まれる分析物を含有し得るどんなのものでも指す。試料は、生体液または生体組織などの生物学的試料であってもよい。生体液の例には、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、便、喀痰、脳脊髄液、涙、粘膜、羊水などが含まれる。生体組織は、通常は特定の種類の細胞と、ヒト、動物、植物、細菌、真菌、またはウイルス構造の構造材料の1種を形成するそれらの細胞間物質とが一緒になった凝集体であり、結合組織、上皮組織、筋肉組織、および神経組織が含まれる。生体組織の例には、臓器、腫瘍、リンパ節、動脈、および個別細胞(複数可)も含まれる。
【0038】
本明細書で使用される「血液試料」は、全血試料またはそれに由来する血漿もしくは血清画分を指す。好ましくは、血液試料は、全血またはそれに由来する血漿もしくは血清画分などのヒト血液試料を指す。血液試料は、ヘモグロビン分子からの酸化的干渉をなくしまたは有意に低減させるために、実質的に全てのヘモグロビン(即ち、赤血球)を除去することによって、アッセイ前に前処理されることも好ましい。
【0039】
本明細書で使用される「全血」という用語は、分画されておらず細胞および流体の両方の成分を含有する血液試料を指す。本明細書で使用される「全血」は、凝血する前に試験がなされる新たに採血された血液、あるいは従来通り採血された血液試料であって、バキュテナー内に採血され得るもの、および、例えばリチウム-ヘパリン、EDTAなどの抗凝固薬を含有し得るもの、または通常の臨床検査の過程でそこに1種もしくは複数種の他の標準臨床剤を添加し得るものを指す。
【0040】
本明細書で使用される「実質的に全てのヘモグロビンが除去された」という文言は、ヘモグロビンからの酸化的干渉をなくしまたは有意に低減させるように、試料中の全てのヘモグロビン含有赤血球の好ましくは少なくとも約50%、60%、または70%、より好ましくは少なくとも約80%、90%、または95%、最も好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、99、または100%が除去された、血液試料を指す。
【0041】
本明細書で使用される「血漿」という用語は、全血の非細胞成分の流体を指す。使用される分離方法に応じて、血漿は、細胞成分を完全に含まなくてもよく、または様々な量の血小板および/もしくは少量の他の細胞成分を含有してもよい。血漿は、フィブリノゲンなどの様々な凝血因子を含むので、「血漿」という用語は、以下に述べる「血清」とは区別される。
【0042】
本明細書で使用される「血清」という用語は、全ヒト血清などの全哺乳動物血清を指す。さらに、本明細書で使用される「血清」は、そこから凝血因子(例えば、フィブリノゲン)が除去された血漿を指す。
【0043】
本明細書で使用される「流体」という用語は、流れることができる任意の組成物を指す。したがって流体は、半固体、ペースト、溶液、水性混合物、ゲル、ローション、クリーム、および他のそのような組成物の形をとる、組成物を包含する。
【0044】
本明細書で使用される「疾患」または「障害」という用語は、例えば感染または遺伝的欠陥から生じ、同定可能な症状により特徴付けられる、生物の病理学的状態を指す。
【0045】
本明細書で使用される「接触する」は、2種またはそれよりも多くの成分を接触させることを意味する。「接触する」は、全ての成分を流体または半流体の混合物中で混合することによって、実現することができる。「接触する」は、1種または複数種の成分が、固体組織区分または基質などの固体表面の1種または複数種の他の成分と接触するときに実現することもできる。
【0046】
本明細書で使用される「比較する」という用語は、一般に、2つまたはそれよりも多くの値の間の類似性または相違を記述するために検査することを意味する。好ましくは、「比較する」は、例えば1つの値を別の値から差し引き、2つの値の比を計算し、1つの値の別の値に対するパーセンテージを計算し、またはこれらのタイプの計算を組み合わせて単一の数値を生成するなどの、定量的比較を指す。本明細書で使用される「比較する」は、さらに、ヒトによって行われる比較、コンピュータまたは他のプロセッサによって行われる比較、およびヒトとコンピュータまたは他のプロセッサとを組み合わせて行われる比較を指す。
【0047】
本明細書に記載される本発明の態様および実施形態は、態様および実施形態「からなること」および/または「から本質的になること」を含むと理解される。
【0048】
本発明の他の目的、利点、および特色は、添付図面と併せて解釈される以下の明細書から明らかにされよう。
B.ビタミンD部分をアッセイするための方法
【0049】
一態様では、本発明は、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)ビタミンD部分を含有しまたは含有することが疑われる試料と、酸性pHのバッファ、粒子または表面(複数可)、例えばラテックス粒子に結合させた、例えば個別に結合させた少なくとも2種の抗体、例えば少なくとも2種のモノクローナル抗体とを接触させるステップであって、抗体の1種または第1の抗体が前記ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、別の抗体または第2の抗体が第1の抗体と前記ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、ステップ;ならびにb)前記少なくとも2種の抗体と前記ビタミンD部分との間でまたは間で形成された複合体、例えば前記2種のモノクローナル抗体と前記ビタミンD部分との間のサンドイッチ複合体の形成に起因して、結合、例えば粒子の凝集の程度を評価して、前記試料中の前記ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップを含む、方法を提供する。必要に応じて、抗体は、ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる。一部の実施形態では、少なくとも2種の抗体は、同じ粒子もしくは表面、または同じタイプの粒子(複数可)もしくは表面に結合させることができる。他の実施形態では、少なくとも2種の抗体は、異なる粒子もしくは表面に、または異なるタイプの粒子もしくは表面に結合させることができる。
【0050】
別の態様では、本発明は、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)ビタミンD部分を含有しまたは含有することが疑われる試料と、ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファおよび/または酸性pHのバッファ、ならびに少なくとも2種の抗体、例えば少なくとも2種のモノクローナル抗体とを接触させるステップであって、前記抗体の少なくとも1種(または第1の抗体)がビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、かつ固体表面、例えばマイクロタイタープレートまたは粒子の固体表面に結合されており、少なくとも別の前記抗体(または第2の抗体)が前記第1の抗体と前記ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有し、かつシグナル発生部分で標識される、ステップ、ならびにb)前記抗体、例えば前記特異的抗体と、前記ビタミンD部分との間の結合を評価して、前記試料中の前記ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップを含む、方法を提供する。必要に応じて、抗体は、ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる。
【0051】
一部の実施形態では、本発明の方法は、特異的抗体とビタミンD部分との間の結合を評価するステップの前に、ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質などのタンパク質を試料から除去するステップ(例えば、米国特許第5,821,020号を参照されたい)を含まない。他の実施形態では、本発明の方法は、いかなる洗浄ステップも含まない。
【0052】
本発明の方法は、任意の適切なアッセイフォーマットで実行することができる。一部の実施形態では、本発明の方法は、均質アッセイとして実行される。他の実施形態では、本発明の方法は、不均質アッセイとして実行される。
【0053】
試料は、単一ステップにおいてまたは複数のステップ、例えば2もしくは3つのステップにおいて、酸性pHのバッファおよび2種の抗体、例えば2種のモノクローナル抗体であって、粒子、例えばラテックス粒子上に個別にコーティングされたものと接触することができる。例示的な複数のステップの接触順序は以下の通りであり得る:1)酸性pHのバッファ、2種の前記モノクローナル抗体で個別にコーティングされたラテックス粒子の添加前にある期間にわたってインキュベートするステップ;2)酸性pHのバッファ、第1の抗体でコーティングされたラテックス粒子、前記第2の抗体でコーティングされたラテックス粒子の添加前にある期間にわたりインキュベートするステップ。
【0054】
試料、酸性pHバッファ、2種の特異的抗体で個別にコーティングされた粒子、例えばラテックス粒子を含む、最終反応混合物におけるpHは、任意の適切な値または範囲にすることができる。一部の実施形態では、試料、酸性pHバッファ、およびラテックス粒子を含む最終反応混合物におけるpHは、2.5またはそれよりも高い。他の実施形態では、試料、酸性pHバッファ、およびラテックス粒子を含む最終反応混合物におけるpHは、13またはそれよりも低い。さらに他の実施形態では、試料、酸性pHバッファ、およびラテックス粒子を含む最終反応混合物におけるpHは、約2.5から約13の範囲にあり、例えば約2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、または13である。
【0055】
一部の実施形態では、本発明の方法は、試料と、シクロデキストリン、サリチル酸ナトリウム、およびNaOHを含むビタミンD放出組成物、例えば米国特許第7,087,395 B1号に開示されたビタミンD放出組成物とを接触させるステップを含まない。
【0056】
一部の実施形態では、本発明の方法は、WO 2012/091569 A1に開示されたステップなど、ビタミンD結合タンパク質から25(OH)ビタミンDを放出するために、試料と、パーフルオロアルキル酸またはその塩とを接触させるステップを含まない。
【0057】
一部の実施形態では、本発明の方法は、米国特許第7,964,363 B2号に開示されたステップなど、試料中のビタミンD結合タンパク質を消化するために、試料と、エンドタンパク質分解活性およびエキソタンパク質分解活性(exoproteolytic activity)を持つセリンプロテアーゼとを接触させるステップを含まない。
【0058】
本発明の方法は、任意の適切な目的のために使用することができる。一部の実施形態では、本発明の方法は、被験体におけるビタミンD部分の状態を評価するのに使用することができ、試料は、被験体から得られるかつ/または被験体に由来する生物学的試料である。本発明の方法は、任意の適切な被験体、例えば哺乳動物、ヒト以外の哺乳動物、ヒト、または実験用動物で、ビタミンD部分の状態を評価するのに使用することができる。
【0059】
本発明の方法は、任意の適切な試料中でビタミンD部分をアッセイするために使用することができる。一部の実施形態では、試料は、生体液、例えば全血、血漿、血清、または尿である。
【0060】
本発明の方法は、試料中の任意の適切なビタミンD部分をアッセイするために使用することができる。一部の実施形態では、ビタミンD部分は、ビタミンD3、ビタミンD2、ビタミンD代謝物、または1,25-ジヒドロキシビタミンD3[1,25(OH)2D3]である。他の実施形態では、ビタミンD部分は、25-ヒドロキシ-ビタミンD(25(OH)D)、例えば25(OH)D3、25(OH)D2、または25(OH)D2および25(OH)D3を合わせたものである。
【0061】
任意の酸性pHバッファを、本発明の方法で使用することができる。一部の実施形態では、酸性pHバッファは、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、もしくはリン酸、または酸性pH範囲で緩衝機能を有する他のバッファとすることができる。
【0062】
他の実施形態では、抗体は25(OH)Dに特異的に結合し、抗体は25(OH)Dの複合体に特異的に結合し、第1の抗体は任意の適切な形をとることができる。例えば、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体、またはFab断片もしくは一本鎖抗体などの抗体の断片を、使用することができる。さらに他の実施形態では、米国特許公開第2011/0097733 A1号に開示された例示的な抗体を使用することができる。
【0063】
任意の適切な粒子を、本発明の粒子をベースにしたアッセイフォーマットに使用することができる。一部の実施形態では、粒子は、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメチルナフタレン、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルナフタレン、スチレンのコポリマー、アクリル酸ジビニルベンゼン、ナフタレン、炭素60、磁性ビーズ、金、銀、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化クロム、および/または二酸化チタンを含む。他の実施形態では、粒子はナノ粒子である。ナノ粒子は、任意の適切なサイズまたは直径を有することができる。例えばナノ粒子は、約30nmから約500nmの範囲の任意の直径、例えば約30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、または500nmを有することができる。
【0064】
本発明の方法は、任意の適切なアッセイフォーマットで使用することができる。一部の実施形態では、本発明の方法は、粒子増強免疫混濁度測定法(immunoturbidimetric method)を使用して実行される。例えば、米国特許第4,703,018号を参照されたい。他の実施形態では、本発明の方法は、粒子増強免疫比濁法(immunonephelometric method)を使用して実行される。例えば、米国特許第4,690,906号を参照されたい。さらに他の実施形態では、本発明の方法は、磁性粒子(ビーズ)をベースにしたイムノアッセイ法を使用して実行される。例えば、Yuら、Journal of Immunological Methods、218巻(1~2号):1~8頁(1998年)を参照されたい。さらに他の実施形態では、本発明の方法は、粒子をベースにした免疫凝集アッセイ法を使用して実行される。例えば、Wangら、Clinical Chemistry、52巻(11号):2065~2071頁(2006年)を参照されたい。
【0065】
一部の実施形態では、磁性粒子のサイズは、500から2000ナノメートルの範囲であってよく、好ましくは800~1500ナノメートルの範囲であってよい。
【0066】
一部の実施形態では、磁性粒子は第1の抗体とコンジュゲートさせ、第2の抗体は、アクリジニウムエステル、イソルミノール、アルカリホスファターゼ、またはホースラディッシュペルオキシダーゼなどのシグナル伝達分子とコンジュゲートさせる。
【0067】
一部の実施形態では、ビタミンDアッセイは、2ステップ化学発光イムノアッセイフォーマットを使用して行われる。試料を酸性pHバッファと接触させ、その後、インキュベーション期間を経た後に、粒子、例えば磁性粒子上にコンジュゲートさせた抗体を添加する。インキュベーション後、粒子、例えば磁性粒子を洗浄バッファで1~3回洗浄し、バッファに再懸濁した後に、シグナル伝達分子で標識された第2の抗体を添加する。インキュベーション後、磁性粒子を再び洗浄し、バッファに再懸濁した後に、化学発光反応に必要とされる基質を添加する。
【0068】
一部の実施形態では、ビタミンDアッセイは、1ステップ化学発光イムノアッセイフォーマットを使用して行われる。試料を、酸性pHバッファ、第1の抗体でコーティングされた粒子、例えば磁性粒子、およびシグナル伝達分子で標識された第2の抗体と、同時に接触させる。インキュベーション期間の後、粒子、例えば磁性粒子をバッファで1~3回洗浄し、バッファに再懸濁した後に、化学発光反応に必要とされる基質を添加する。
【0069】
一部の実施形態では、本発明の方法は、均質アッセイフォーマットを使用して実行される。他の実施形態では、本発明の方法は、不均質アッセイフォーマットを使用して実行される。さらに他の実施形態では、本発明の方法は、サンドイッチアッセイフォーマットまたは競合アッセイフォーマットを使用して実行される。さらに他の実施形態では、本発明の方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のフォーマットを使用して実行される。
【0070】
任意の適切な均質アッセイフォーマットを使用することができる。一部の実施形態では、均質アッセイは、米国特許公開第2004/0132104 A1号または米国特許第8,133,694 B2号に開示された粒子分離ステップおよび洗浄ステップなどの相分離ステップまたは洗浄ステップなしに、単一反応混合物において実行される。
【0071】
本発明の方法は、任意の適切な反応時間で実行することができる。一部の実施形態では、本発明の方法は、約60分またはそれよりも短い、例えば約59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、3、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2分、または1分である、合計アッセイ時間を有する。例えば本発明の方法は、開始から、例えば試料および/または試薬(複数可)の添加から、シグナル読出し時間までが、約60分またはそれよりも短い、例えば約59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、3、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2分、または1分である、アッセイ時間を有することができる。
【0072】
本発明の方法は、任意の適切な分析機器上で実行することができる。一部の実施形態では、本発明の方法は、一般的な化学分析器または臨床化学分析器、例えば、Roche、日立、Modular P、Cobasシリーズ、Beckman/Olympus AUシリーズ、Beckman Synchron、およびDXCシリーズ、またはAbbot Architectシリーズからの一般的な化学分析器または臨床化学分析器上で実行される。
【0073】
本発明の方法は、任意の適切な精度を実現するように実行することができる。一部の実施形態では、本発明の方法は、約30%またはそれよりも低い、例えば約30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれよりも低い精度またはCVを実現するように実行することができる。例えば本発明の方法は、約30ng/mlまたはそれよりも低い、例えば約30ng/ml、25ng/ml、20ng/ml、15ng/ml、10ng/ml、5ng/ml、4ng/ml、3ng/ml、2ng/ml、1ng/ml、またはそれよりも低いビタミンD部分のレベルに関して、約5%またはそれよりも低い、例えば約5%、4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%またはそれよりも低い精度またはCVを実現するように実行することができる。別の例では、本発明の方法は、約100ng/mlまたはそれよりも低い、例えば約100ng/ml、90ng/ml、80ng/ml、70ng/ml、60ng/ml、50ng/ml、40ng/ml、30ng/ml、20ng/ml、10ng/ml、またはそれよりも低いビタミンD部分のレベルに関し、約10%またはそれよりも低い、例えば約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4.5%、4.0%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、またはそれよりも低い精度またはCVを実現するように実行することができる。
C.ビタミンD部分をアッセイするためのキットおよびその使用
【0074】
別の態様では、本発明は、試料中のビタミンD部分をアッセイするためのキットであって、a)ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファ、および/または酸性pHのバッファ(R1);b)少なくとも2種の抗体でコーティングされた、例えば個別にコーティングされた、表面(複数可)または粒子、例えばラテックス粒子(R2)を含み、抗体の1種または第1の抗体は、ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、別の抗体または第2抗体は、第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、キットを提供する。必要に応じて、抗体は、ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる。一部の実施形態では、少なくとも2種の抗体は、同じ粒子または同じタイプの粒子(複数可)もしくは表面(複数可)に結合させることができる。他の実施形態では、少なくとも2種の抗体は、異なる粒子もしくは表面、または異なるタイプの粒子もしくは表面に結合させることができる。
【0075】
酸性pHの任意の適切なバッファは、本発明のキットで使用することができる。一部の実施形態では、酸性pHバッファは、酢酸ナトリウムバッファまたはクエン酸ナトリウムバッファまたはリン酸バッファである。
【0076】
ビタミンD部分に特異的に結合する一方の抗体または第1の抗体、および第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に特異的に結合する他方の抗体または第2の抗体を含む任意の適切な抗体の組合せを使用することができる。任意の適切な形にある抗体を使用することができる。例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、Fab断片もしくは一本鎖抗体などの抗体の断片を使用することができる。さらに他の実施形態では、米国特許公開第2011/0097733 A1号に開示された例示的な抗体を使用することができる。
【0077】
本発明のキットは、任意の追加の適切な試薬または成分を含むことができる。一部の実施形態では、本発明のキットはさらに、特異的抗体とビタミンD部分との間の結合を評価して、試料中のビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するための手段を含む。
【0078】
本発明のキット内の試薬または成分は、任意の適切な様式または形で製剤化しまたは配置構成する(arranged)ことができる。一部の実施形態では、本発明のキットは、下記の試薬:(1)酸性pHのバッファを含む第1のアッセイ試薬(R1);(2)表面(複数可)または粒子、例えばラテックス粒子上にコーティングされた、例えば個別にコーティングされた2種の特異的抗体を含む、第2のアッセイ試薬(R2)を含み、一方の抗体または第1の抗体は、ビタミンD部分に対して親和性を有し、他方の抗体または第2の抗体は、第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して親和性を有する。
【0079】
上記キットは、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法で使用することができ、この方法は、a)試料と第1のアッセイ試薬との混合物を形成し、混合物を、ある期間にわたりインキュベートし、その後、第2のアッセイ試薬(例えば、特異的抗体でコーティングされたラテックス粒子)を混合物に添加するステップ;およびb)反応混合物の光学変化を測定し、一組のビタミンD部分、例えば一組の25(OH)D較正物質を使用することによって、試料中のビタミンD部分、例えば25(OH)Dの量を定量するステップを含む。
【0080】
さらに他の実施形態では、本発明のキットは、(1)酸性pHのバッファを含む第1のアッセイ試薬、(2)ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有する固定化抗体を含む固体表面、および(3)固定化抗体と試料ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して結合親和性を有する抗体を含む検出試薬を含む。本発明のキットは、適切な洗浄試薬をさらに含むことができる。アッセイ手順は、異なる試薬添加の間に洗浄ステップを含んでいてもよい。
【0081】
さらに別の実施形態では、本発明のキットは、(1)酸性pHのバッファを含む第1のアッセイ試薬;および(2)ビタミンD部分に対して親和性を有する抗体でコーティングされた表面(複数可)または粒子、例えば磁性粒子;および(3)化学発光に必要とされるシグナル伝達分子で標識された抗体;および(4)化学発光反応を開始するのに必要とされる1種または複数種の基質(スターター)を含む。このキットは、較正物質、対照、希釈バッファおよび/または洗浄バッファをさらに含有してもよい。
【0082】
さらに別の実施形態では、本発明は、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)前記試料と、酸性pHのバッファを含む第1の試薬とを接触させて、その結合タンパク質から前記試料中の前記ビタミンD部分を解離させるステップ;b)ステップa)からの前記試料中の前記ビタミンD部分と、前記ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有する第1の抗体でコーティングされた粒子、例えば磁性粒子を含む第2の試薬とを接触させて、ビタミンD部分/第1の抗体複合体を形成するステップ;ならびにc)前記ビタミンD部分/第1の抗体複合体と、シグナル発生部分または分子で標識された第2の抗体を含む第3の試薬とを接触させて、前記ビタミンD部分と、前記第1の抗体と、シグナル発生部分または分子で標識された前記第2の抗体との間で複合体を形成するステップ;ならびにd)前記ビタミンD部分と、前記第1の抗体複合体と、前記第2の抗体との間の前記複合体からの前記シグナルを評価して、前記試料中のビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップを含む、方法を提供する。必要に応じて、抗体は、ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる。一部の実施形態では、シグナル発生分子は、アクリジニウムエステル、イソルミノール、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、およびフルオレシンからなる群から選択される。
【0083】
上記キットは、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)試料および第1のアッセイ試薬の混合物を形成し、ある期間にわたり混合物をインキュベートするステップ;ならびにb)混合物と、ビタミンD部分との結合に特異的な第1の抗体でコーティングされた表面(複数可)または粒子、例えば磁性粒子とを接触させるステップ;ならびにc)ある期間にわたりインキュベートした後に続く、洗浄ステップ;ならびにd)表面(複数可)または粒子、例えば磁性粒子を再懸濁し、表面(複数可)または粒子、例えば磁性粒子上の第1の抗体と、試料ビタミンD部分との間で形成された複合体に特異的であり、化学発光のためにシグナル伝達分子で標識された第2の抗体に接触させるステップ;ならびにe)インキュベーション期間後に続く、別の洗浄ステップを含み、表面(複数可)または磁性粒子を、化学発光反応を誘発させるスターターまたは基質と混合する、方法で使用することができる。化学発光強度(RLU)を検出して、試料中のビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定する。
【0084】
本発明の反応混合物またはキットは、任意の適切な様式または手法で製剤化または配置構成することができる。一部の実施形態では、本発明の反応混合物またはキットは、単相または均質相に含有される。他の実施形態では、本発明の反応混合物またはキットは、複相(不均質アッセイ)、例えば2または3相に含有される。
【0085】
必要に応じて、上記キットおよび方法における抗体は、ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質とは異なる。
【0086】
本発明のキットは、任意の適切な反応時間内で実行されるように構成することができる。一部の実施形態では、本発明のキットは、約60分またはそれよりも短い、例えば約59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、3、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2分、または1分である、合計アッセイ時間を有するように構成することができる。例えば本発明のキットは、開始から、例えば試料および/または試薬(複数可)の添加から、シグナル読出し時間までが、約60分またはそれよりも短い、例えば約59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、3、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2分、または1分である、アッセイ時間を有するように構成することができる。
【0087】
本発明のキットは、任意の適切な精度が実現するように構成することができる。一部の実施形態では、本発明のキットは、約30%またはそれよりも低い、例えば約30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれよりも低い精度またはCVを実現するように構成することができる。例えば本発明のキットは、約30ng/mlまたはそれよりも低い、例えば約30ng/ml、25ng/ml、20ng/ml、15ng/ml、10ng/ml、5ng/ml、4ng/ml、3ng/ml、2ng/ml、1ng/ml、またはそれよりも低いビタミンD部分のレベルに関して、約5%またはそれよりも低い、例えば約5%、4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%またはそれよりも低い精度またはCVを実現するように構成することができる。別の例では、本発明のキットは、約100ng/mlまたはそれよりも低い、例えば約100ng/ml、90ng/ml、80ng/ml、70ng/ml、60ng/ml、50ng/ml、40ng/ml、30ng/ml、20ng/ml、10ng/ml、またはそれよりも低いビタミンD部分のレベルに関し、約10%またはそれよりも低い、例えば約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4.5%、4.0%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、またはそれよりも低い精度またはCVを実現するように構成することができる。
D.例示的な実施形態
【0088】
一部の実施形態では、本発明は、試料、例えば血液試料中の総25-ヒドロキシ-ビタミンD 25(OH)D濃度を決定するための方法、例えば均質法または不均質法であって、ビタミンD結合タンパク質(VBP)からの25(OH)Dの解離、解離した[25(OH)D]または遊離25(OH)Dと、2種のモノクローナル抗体との、抗体-ビタミンD-抗体複合体を形成する結合、および試料中の25(OH)Dの検出が、相分離ステップまたは洗浄ステップが関与することなく単一反応混合物において実施される、方法を提供する。
【0089】
実施形態で特に有利なのは、著しく短い合計アッセイ時間(しばしば、均質アッセイフォーマットで<13分)と、その使用者に優しい均質アッセイフォーマットであって、試料の前処理または相分離/洗浄ステップの必要性をなくし、アッセイを、臨床検査室で日常的に使用される一般的な化学分析器での使用に容易に適応されるものである。
【0090】
一部の実施形態では、本発明は、25-ヒドロキシ-ビタミンDの量を決定するために、血液または血液成分の試料をアッセイする方法であって、a)試料と、25(OH)Dをその結合タンパク質から解離させることが可能な酸性pHのバッファとを混合するステップ;b)ラテックス粒子上に個別にコーティングされた2種のモノクローナル抗体を添加するステップであって、一方の抗体または第1の抗体がビタミンD部分に対して特異的に親和性を有し、他方の抗体または第2の抗体が第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的に親和性を有する、ステップ;およびc)単一反応混合物で、試料中の25(OH)Dの濃度を決定するステップを含み、ビタミンD結合タンパク質が試料から除去されず相分離ステップまたは洗浄ステップが関与していない、方法を提供する。
【0091】
一部の実施形態では、酸性pHバッファが、適切な量の塩、ポリマー、例えばPEG 100k、および界面活性剤を含有する酢酸ナトリウムバッファである。酸性バッファのpHは、2.5から6.5に範囲にわたり得る。酸性pHバッファは、クエン酸ナトリウムバッファもしくはリン酸バッファまたは酸性pH範囲で緩衝機能を有する他のバッファとすることもできる。
【0092】
一部の実施形態では、ラテックス粒子は、30nmから500nm、好ましくは120nmから360nmの直径サイズを有する。
【0093】
一部の実施形態では、試料は、全血、血漿、血清、および尿を含むがこれらに限定されない生体液である。
【0094】
一部の実施形態では、25(OH)Dの濃度は、25(OH)D3および25(OH)D2を含む25(OH)Dの全濃度を含む。
【0095】
一部の実施形態では、25(OH)D決定の均質法のアッセイフォーマットは、粒子増強免疫混濁度測定法である。他の実施形態では、25(OH)D決定の均質法のアッセイフォーマットは、粒子増強免疫比濁法である。さらに他の実施形態では、25(OH)D決定のアッセイフォーマットは、不均質磁性粒子(ビーズ)をベースにしたイムノアッセイ法である。
【0096】
一部の実施形態では、25(OH)D決定の不均質法のアッセイフォーマットは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法である。
【0097】
任意の適切な抗体を使用することができる。一部の実施形態では、抗体はポリクローナルである。他の実施形態では、抗体はモノクローナルである。
【0098】
任意の適切な粒子を使用することができる。一部の実施形態では、粒子は、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメチルナフタレン、炭素60、スチレンのコポリマー、アクリル酸、ナフタレン、磁性粒子、金、銀、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化クロム、および二酸化チタンで作製された粒子を含むがこれらに限定されないナノ粒子である。
【0099】
一部の実施形態では、本発明は、試料中の25(OH)Dを決定するためのキットであって、(1)25(OH)Dをその結合タンパク質から解離させることが可能な酸性pHのバッファ;および(2)2種のモノクローナル抗体で個別にコーティングされたラテックス粒子であって、一方の抗体または第1の抗体がビタミンD部分に対して結合親和性を有し、他方の抗体または第2の抗体が第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して結合親和性を有する、ラテックス粒子を含む、2種の試薬を含む、キットを提供する。例示的なアッセイでは、血漿または血清などの試料が酸性pHバッファと混合され、短期間にわたりインキュベートされ、その後、ラテックス粒子にコンジュゲートさせた抗体を含有する第2の試薬が添加される。試料中の25(OH)D濃度は、反応混合物の光学変化を測定し、一組の25(OH)D較正物質を使用することによって定量される。
【0100】
一部の実施形態では、本発明は、試料中の25(OH)Dを決定するためのキットであって、(1)25(OH)Dをその結合タンパク質から解離させる(部分的にまたは全体的に)ことが可能な酸性pHのバッファ;および(2)粒子上に個別にコンジュゲートさせた2種の抗体を含有する試薬であって、一方の抗体がビタミンD部分に対して結合親和性を有し、他方の抗体が第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して結合親和性を有する、試薬を含む、2種の試薬を含む、キットを提供する。例示的なアッセイでは、血漿または血清などの試料は、酸性pHバッファと混合され、短期間にわたりインキュベートされ、その後、粒子上にコーティングされた抗体を含有する第2の試薬が添加される。試料中の25(OH)D濃度は、反応混合物の光学変化を測定し、一組の25(OH)D較正物質を使用することによって定量される。
【0101】
一部の実施形態では、本発明は、試料中の25(OH)Dを決定するためのキットであって、酸性pHバッファを含む解離溶液を含有するキットを提供する。このキットは、25(OH)D決定用のマイクロタイタープレートを備えたELISAフォーマットで使用することができる。
【0102】
一部の実施形態では、例示的なビタミンDアッセイは、化学発光または蛍光シグナル伝達分子に連結された磁性粒子を使用する。ビタミンDアッセイ法は、ビタミンD部分に対して結合親和性を有する1種のモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体でコーティングされた磁性粒子を使用し、化学発光検出分子で標識されかつ磁性粒子上にコーティングされた抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して結合親和性を有する別の抗体を使用する。インキュベーションおよび洗浄ステップ後、試料中のビタミンD濃度は、化学発光のシグナル強度(RLU)および較正曲線に基づいて決定される。
【0103】
一部の実施形態では、例示的なビタミンDアッセイには、当技術分野におけるビタミンDアッセイに勝る、ある特定の利点がある。例示的な利点には、下記の1つまたは複数が含まれる:高速または最速のビタミンDアッセイ(約10分またはそれよりも短時間で得られる);一般的な化学分析器用の汎用ビタミンDアッセイ;液体安定性の、すぐ使用できる2種の試薬の系;液体安定性の較正物質および対照;自動化または完全自動化;前処理または前希釈ステップを必要としない;25-OHビタミンD2および25-OHビタミンD3の等しい認識;臨床化学分析器で高スループットが容易にできる;ならびに/またはNIST SRM972に対して追跡可能である。さらなる例示的な利点には、下記の1つまたは複数が含まれる:高速試験時間(10分未満);ビタミンDに関する使用者に優しいアッセイである、2つの試薬フォーマット;および/または全ての規模の臨床検査室において最も一般的に使用される機器である、多くのもしくは全ての自動化臨床化学分析器に適合可能なアッセイフォーマット。一部の実施形態では、これらの利点は、真の日常の臨床検査として例示的なビタミンDアッセイを使用することを可能にする。
【0104】
本発明は、下記の例示的な実施形態によってさらに例示される。
【0105】
1.試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)ビタミンD部分を含有しまたは含有することが疑われる試料と、ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファおよび/または酸性pHのバッファ、ならびに2種またはそれよりも多くの抗体とを接触させるステップであって、少なくとも1種の抗体または第1の抗体がビタミンD部分に対して特異的に結合親和性を有し、別の抗体(第2の抗体)が第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して結合親和性を有する、ステップ;ならびにb)前記特異的抗体と前記ビタミンD部分との間の結合を評価して、前記試料中の前記ビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するステップを含む、方法。酸性pHのバッファは、任意の適切な塩、ポリマー、および/または界面活性剤を含むことができる。
【0106】
2.特異的抗体とビタミンD部分との間の結合を評価する前に、ビタミンD部分に関して天然ビタミンD結合タンパク質を除去するステップを含まない、実施形態1の方法。
【0107】
3.洗浄ステップを含まない、実施形態1または2の方法。
【0108】
4.均質アッセイとして実行される、実施形態1~3のいずれかの方法。
【0109】
5.試料を、酸性pHのバッファと、2種の抗体で個別にコーティングされたラテックス粒子とを含む単一反応混合物に接触させ、一方の抗体または第1の抗体がビタミンD部分に対して結合親和性を有し、他方の抗体または第2の抗体が第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して結合親和性を有する、実施形態1~4のいずれかの方法。
【0110】
6.試料と、8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩および/または3-(アセトニルベンジル)-4-ヒドロキシクマリンとを接触させるステップを含まない、実施形態1~5のいずれかの方法。
【0111】
7.試料と、ビタミンD部分を試料中のその結合タンパク質から分離する非競合置換剤とを接触させるステップを含まない、実施形態1~5のいずれかの方法。
【0112】
8.最終反応混合物(酸性pHバッファに試料を加えラテックス粒子を加えたもの)のpHが3.0またはそれよりも高い、実施形態1~7のいずれかの方法。
【0113】
9.試料、酸性pHバッファ、およびラテックス粒子を含む最終反応混合物のpHが、13またはそれよりも低い、実施形態1~8のいずれかの方法。
【0114】
10.試料と、シクロデキストリン、サリチル酸ナトリウム、およびNaOHを含むビタミンD放出組成物とを接触させるステップを含まない、実施形態1~9のいずれかの方法。
【0115】
11. 25(OH)DをビタミンD結合タンパク質から放出するのに、試料と、パーフルオロアルキル酸、またはその塩とを接触させるステップを含まない、実施形態1~10のいずれかの方法。
【0116】
12.試料中のビタミンD結合タンパク質を消化するのに、試料と、エンドタンパク質分解活性およびエキソタンパク質分解活性を持つセリンプロテアーゼとを接触させるステップを含まない、実施形態1~11のいずれかの方法。
【0117】
13.被験体におけるビタミンD部分の状態を評価するのに使用され、試料が被験体から得られかつ/または被験体に由来する生物学的試料である、実施形態1~12のいずれかの方法。
【0118】
14.被験体が哺乳動物である、実施形態13の方法。
【0119】
15.哺乳動物がヒトである、実施形態14の方法。
【0120】
16.試料が生体液である、実施形態13~15のいずれかの方法。
【0121】
17.生体液が、全血、血漿、血清、および尿からなる群から選択される、実施形態16の方法。
【0122】
18.ビタミンD部分が、25-ヒドロキシ-ビタミンD3、25-ヒドロキシ-ビタミンD2、ビタミンD代謝物、または1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD3(1,25-(OH)2D3)である、実施形態1~17のいずれかの方法。
【0123】
19.ビタミンD代謝物が、25-ヒドロキシ-ビタミンD(25(OH)D)である、実施形態18の方法。
【0124】
20. 25(OH)Dが25(OH)D3である、実施形態19の方法。
【0125】
21. 25(OH)Dが25(OH)D2である、実施形態19の方法。
【0126】
22. 25(OH)Dが、25(OH)D2および25(OH)D3を合わせたものである、実施形態19の方法。
【0127】
23.酸性pHバッファが、適切な量の、NaClなどの塩、PEG 100kなどのポリマー、およびTween20などの界面活性剤を含有する酢酸ナトリウムバッファである、実施形態1~22のいずれかの方法。酸性pHバッファは、クエン酸ナトリウムバッファ、もしくはリン酸バッファ、またはこれらの組合せとすることもできる。
【0128】
24.酸性バッファのpHが、2.5から6.5、好ましくは4.0から5.5の範囲である、実施形態23の方法。
【0129】
25.モノクローナル抗体が、ビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有する少なくとも1種の抗体または第1の抗体を持ち、第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する別の抗体または第2の抗体を持つものである、実施形態1~24のいずれかの方法。
【0130】
26. 1種の抗体または第1の抗体が、25(OH)D3または25(OH)D2に特異的に結合する、実施形態25の方法。
【0131】
27. 1種の抗体または第2の抗体が、第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に特異的に結合する、実施形態25の方法。
【0132】
28.抗体がモノクローナル抗体である、実施形態25~27の方法。
【0133】
29.抗体が、ポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体とポリクローナル抗体との組合せである、実施形態25~27の方法。
【0134】
30.粒子増強免疫混濁度測定法を使用して実行される、実施形態1~29のいずれかの方法。
【0135】
31.粒子増強免疫比濁法を使用して実行される、実施形態1~29のいずれかの方法。
【0136】
32.磁性粒子(ビーズ)をベースにしたイムノアッセイ法を使用して実行される、実施形態1~29のいずれかの方法。
【0137】
33.粒子が、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメチルナフタレン、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリビニルナフタレン、スチレンのコポリマー、アクリル酸ジビニルベンゼン、ナフタレン(naphathalene)、炭素60、磁性ビーズ、金、銀、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化クロム、および/または二酸化チタンを含む、実施形態30~33のいずれかの方法。
【0138】
34.粒子がナノ粒子である、実施形態30~33のいずれかの方法。
【0139】
35.ナノ粒子が、約30nmから約500nmの範囲の直径を有する、実施形態34の方法。
【0140】
36.均質アッセイフォーマットまたは不均質アッセイフォーマットを使用して実行される、実施形態1~35のいずれかの方法。
【0141】
37.サンドイッチアッセイフォーマットまたは競合アッセイフォーマットを使用して実行される、実施形態1~36のいずれかの方法。
【0142】
38.相分離ステップまたは洗浄ステップなしで単一反応混合物において実行される均質アッセイである、実施形態1~37のいずれかの方法。
【0143】
39.均質フォーマットに関する合計アッセイ時間が30分未満、典型的には15分未満であり、不均質アッセイフォーマットに関する合計アッセイ時間が60未満、典型的には45分未満である、実施形態1~38のいずれかの方法。
【0144】
40.一般的な化学分析器または臨床化学分析器で実行される、実施形態1~39のいずれかの方法。
【0145】
41.一般的な化学分析器または臨床化学分析器には、限定するものではないがRoche、日立、Modular P、Cobasシリーズ、Beckman/Olympus AUシリーズ、Beckman SynchronおよびDXCシリーズ、またはAbbot Architectシリーズが含まれる、実施形態40の方法。
【0146】
42.試料中のビタミンD部分をアッセイするためのキットであって、a)ビタミンD部分をその結合タンパク質から解離させることが可能なバッファおよび/または酸性pHのバッファ;ならびにb)少なくとも2種の抗体でコーティングされた、例えば個別にコーティングされた粒子、例えばラテックス粒子であって、その1種または第1の抗体がビタミンD部分に対して特異的結合親和性を有し、別の抗体または第2の抗体が第1の抗体とビタミンd部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、粒子を含む、キット。
【0147】
43.ビタミンD部分と、ラテックス粒子上にコーティングされた抗体との間の結合を評価して、試料中のビタミンD部分の存在、不在、および/または量を決定するための手段をさらに含む、実施形態42のキット。
【0148】
44.試薬:(1)塩、ポリマー、および界面活性剤を含有する酸性pHのバッファを含む第1のアッセイ試薬;(2)少なくとも2種の抗体でコーティングされたラテックス粒子の懸濁液含む、第2のアッセイ試薬であって、一方の抗体または第1の抗体がビタミンD部分に対して結合親和性を有し、他方の抗体または1種もしくは複数種の第2の抗体が第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する、試薬を含む、実施形態43のキット。
【0149】
45.(1)酸性pHのバッファを含む第1のアッセイ試薬;および(2)ビタミンD部分またはその類似体に特異的に結合する、固定化された抗体を含有するマイクロタイタープレートウェルを含む、実施形態44のキット。
【0150】
46.実施形態44のキットを使用して、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)混合物に第2のアッセイ試薬を添加する前に、ある期間にわたり、試料、第1のアッセイ試薬の混合物を形成するステップ;およびb)反応混合物の光学変化を測定し、一組の25(OH)D較正物質を使用することによって、試料中の25(OH)Dの量を定量するステップを含む、方法。
【0151】
47.実施形態45のキットを使用して、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)試料および第1のアッセイ試薬の混合物をマイクロタイタープレートのウェル内に形成し、ある期間にわたって混合物をインキュベートするステップ;ならびにb)混合物と、ペルオキシダーゼ(HRP)で標識された第2の抗体とを接触させ、ある期間にわたりインキュベートするステップを含み、c)洗浄ステップ後、HRP基質をマイクロタイタープレートのウェルに添加し、色を発現させて、試料中のビタミンD部分の存在、不在、および/または量を定量する、方法。
【0152】
48.キットを使用する、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法は、酸性pHのバッファ;ビタミンD部分に特異的に結合する抗体または第1の抗体でコーティングされた磁性粒子、およびシグナル伝達分子で標識されかつ磁性粒子上にコーティングされた第1の抗体とビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する第2の抗体とを含み、シグナル伝達分子がアクリジニウムエステル、イソルミノール、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、フルオレシン、またはシグナル検出に一般に使用される任意の他の化学発光もしくは蛍光をベースにしたシグナル分子である、試薬からなる。
【0153】
49.実施形態48のキットを使用する、試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)試料、酸性pHバッファ、および第1の抗体でコーティングされた磁性粒子の混合物を形成し、ある期間にわたってインキュベートするステップ;b)磁性粒子を洗浄し、シグナル伝達分子で標識されかつ磁性粒子上にコーティングされた第1の抗体と試料ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する第2の抗体を添加し、その後、あるインキュベーション期間を経るステップ;c)磁性粒子を洗浄し、化学発光または蛍光検出の方法によるシグナル検出に必要である場合には基質(スターター)を添加するステップを含む、方法。
【0154】
50.実施形態49のキットを使用して試料中のビタミンD部分をアッセイするための方法であって、a)試料、酸性pHバッファ、磁性粒子上にコーティングされた第1の抗体、およびシグナル伝達分子で標識されかつ磁性粒子上にコーティングされた第1の抗体と試料ビタミンD部分との間で形成された複合体に対して特異的結合親和性を有する第2の抗体の混合物を形成し、ある期間にわたってインキュベートするステップ;b)磁性粒子を洗浄し、化学発光の方法または蛍光法によるシグナル検出に必要である場合には基質を添加するステップを含む、方法。
【0155】
51.別の抗体(第2の抗体)が、抗体の1種(または第1の抗体)により結合されていないビタミンD部分上のエピトープに特異的に結合する、実施形態1~41のいずれかの方法。
【0156】
52.別の抗体(第2の抗体)が、抗体の1種(または第1の抗体)に結合しまたは特異的に結合する、実施形態1~41のいずれかの方法。
【実施例】
【0157】
(実施例1)
25(OH)Dアッセイキット
本実施例で使用されるラテックス粒子増強イムノアッセイ試薬を、以下に列挙する:
試薬1
0.05M酢酸ナトリウム、pH4.0
10%NaCl
5%塩化コリン0.5M MES
0.5%糖
0.04%Tween20
0.9%PEG 100k
0.09%NaN3
試薬2
0.6M Tris、pH8.0
0.1%BSA
10%スクロース
0.2%Tween20
0.05%第1の抗体-ラテックス粒子コンジュゲート
0.08%第2の抗体-ラテックス粒子コンジュゲート
0.09%NaN3
1.Beckman AU680分析器によるアッセイ手順
【化1】
【0158】
試料3μLを、キュベット内で試薬1 160μLと混合し、37℃で約3.5分間インキュベートした。試薬2 40μLを混合物に添加し、約4分間インキュベートした。700nmでの吸光度の変化を、以下のパラメーターシート(表1)に示されるアッセイパラメーターを使用して測定した。
【表1】
1.アッセイ較正曲線(単なる例)
【0159】
25(OH)Dアッセイキットを、公知の25(OH)D濃度の、血清ベースの較正物質で較正した。較正曲線を
図1に示す。
【0160】
25(OH)Dアッセイキットで首尾よくなされた較正後、対照および直線性標準の試験をした。さらに、患者の血清試料を試験し、結果を、FDAに認可された市販のビタミンDアッセイ法(DiaSorinイムノアッセイ法)ならびに総ビタミンDの液体クロマトグラフィー-質量分光光度(LC-MS)法(ビタミンD試験のゴールドスタンダードと見なされる)と比較した。結果を、以下の表1~3および
図2~6に示す。
2.結果:
【0161】
【0162】
AU680分析器でのアッセイの直線性を、
図2に示す。DiaSorin Liason法と比較したアッセイの正確度を、
図3に示す。LC-MS/MS法と比較したアッセイの正確度を、
図4に示す。
(実施例2)
25(OH)Dアッセイキット
【0163】
使用される、磁性粒子をベースにした化学発光イムノアッセイ試薬を、本実施例で列挙する:
試薬1:
0.05M酢酸ナトリウムバッファ、pH4.0
8%NaCl
1.2%スクロース
0.05%Tween20
0.09%NaN3
試薬2:
1×PBSバッファ、pH7.4
0.3%BSA
0.04%Tween20
0.09%NaN3
第1の抗体でコーティングされた0.1mg/mlの磁性粒子
試薬3:
1×PBSバッファ、pH8.0
0.2%BSA
0.04%Tween20
1ug/mlのABEIで標識された第2の抗体
NaN3 0.09%
スターター(基質):
a)5%NaOH;b)0.1%過酸化物
洗浄溶液:
0.1M Tris-HClバッファおよび界面活性剤。
市販の機器を使用するアッセイ手順:
【0164】
血清試料5ulを、試薬1 180ulと混合し、5分間インキュベートして、試料中のビタミンDをその結合タンパク質から解離させた。上記試料/試薬1混合物100ulを吸引し、試薬2 20ulと混合し、20分間インキュベートした後、試薬3 50ulを添加する。さらに10分間インキュベートした後、磁性粒子を、洗浄バッファにより3回洗浄した。基質200ulを添加し、化学発光強度またはRLUを3秒間読み取った。試料中のビタミンD含量を、RLUに基づいて決定し、較正曲線を、同じアッセイ条件下で確立した。
結果:
【0165】
化学発光検出法の例示的な較正曲線を、
図5に示す。アッセイ精度(対照のレベルごとに10回繰り返す)を、以下の表3に示す。アッセイの正確度に関する、本開示の例示的な方法と市販の既認可方法(predicate method)(イムノアッセイ)との間の比較データを、
図6に示す。
【表3】
(実施例3)
分析性能
a.精度/再現性
【0166】
例示的なDiazymeビタミンDアッセイ(実施例1におけるラテックス粒子増強イムノアッセイ)の精度を、臨床・検査標準協会(CLSI)EP5-A2指針に従い評価した。精度評価を、Beckman AU680化学分析器で行った。研究において、3ロットの試薬を使用した。試薬ロットごとに、12個の標本を試験した:2個はビタミンD対照であり、10個はビタミンDヒト血清試料である。IRB認可を受けている試験済みの血清試料は、商業的供給元(PromedDx)から得られ、アッセイのダイナミックレンジを包含した。CLSI EP5-A2プロトコールにより推奨されるように、精度試料を、1回の実験当たり二連で、かつ1日当たり2回の実験で、20日間にわたる作業日で試験した。1個の標本当たりおよび1つの試薬ロット当たり80個のデータポイントが得られた。
【0167】
試薬の1つの代表的なロットに関して得られた精度結果を、以下の表4にまとめる。
【表4】
b.直線性/アッセイの報告可能な範囲
【0168】
例示的なDiazymeビタミンDアッセイの直線性を、CLSI EP6-A指針(定量分析法の直線性の評価;認可済み:2003年)を使用して評価した。
合格基準
【0169】
測定値対予測値の線形回帰は、1.0±0.05の勾配および相関係数R2>0.95を有する。
【0170】
直線性の研究は、Beckman AU680化学分析器で行った。ヒト血清試料に、ビタミンD原液をスパイクして、156.3ng/mLの濃度にした(例示的なDiazymeビタミンDアッセイを使用して三連で測定された)。ビタミンDストック材料は、Sigma-Aldrichから購入し、モル濃度は、分析証明書により提供された情報を使用して計算した。このように、調製された高試料を低試料で希釈して4.3ng/mL(例示的なDiazymeビタミンDアッセイを使用して三連で測定された)にして、合計で11の直線性レベルを下記の通り作製した:
レベル01:1.00mlの低試料+高試料0.00ml
レベル02:0.90mlの低試料+高試料0.10ml
レベル03:0.80mlの低試料+高試料0.20ml
レベル04:0.70mlの低試料+高試料0.30ml
レベル05:0.60mlの低試料+高試料0.40ml
レベル06:0.50mlの低試料+高試料0.50ml
レベル07:0.40mlの低試料+高試料0.60ml
レベル08:0.30mlの低試料+高試料0.70ml
レベル09:0.20mlの低試料+高試料0.80ml
レベル10:0.10mlの低試料+高試料0.90ml
レベル11:0.00mlの低試料+高試料1.00ml
【0171】
上記調製された直線性のセットを、例示的なDiazymeビタミンDアッセイにおいて三連で、1ロットの試薬を使用して試験した。直線性試験結果を、以下の表5および
図7に示す。
【表5】
(実施例4)
比較研究
a.既認可デバイスによる方法の比較
【0172】
この方法比較研究のため、個々の血清試料を、例示的なDiazymeビタミンDアッセイ(実施例1のラテックス粒子増強イムノアッセイ)で試験し、既認可デバイス(DiaSorin Liaison LX)と比較した。血清試料は、商業的供給元、Biochemedから得られ、IRB認可を受けたものであった。値をアッセイのダイナミックレンジ外に戻す試料は、除外した。アッセイAMRに及ぶ合計で40個の不変試料を、正確度の評価に使用した。結果を
図8に示す。
b.マトリックス比較
【0173】
抗凝固剤の影響を評価するために、例示的なDiazymeビタミンDアッセイを使用して、血清、K
2-EDTA、K
3-EDTA血漿、およびLi-ヘパリン血漿の対応する組(matched set)の25-OHビタミンD濃度を測定した。この研究で使用される試料は、認定された商業的供給元(ProMedDx,LLC)から得た。全ての試験した試料を、商業的供給業者によるIRB認可プロトコールに従い収集した。試料ごとおよびマトリックスごとに報告された値は、単一の測定から得られた。試験した対応する組の総数は、54であった。マトリックスごとの、特許請求の範囲に記載される測定範囲を包含するために、7つのスパイク済み患者試料を研究に含めた。結果を
図9~11に示す。
(実施例5)
例示的なDiazymeビタミンD化学発光アッセイ
【0174】
例示的なDiazymeビタミンD化学発光アッセイは、実施例2に記述されたような、3種の試薬:第1の抗体にコンジュゲートさせた磁性ビーズ;抽出バッファ;およびABEI分子(ISO-ルミナ)にコンジュゲートさせた第2の抗体から構成される。アッセイ手順を、以下の表6に示す:
【表6】
【0175】
例示的なDiazymeビタミンD化学発光アッセイを、Roche VDアッセイと比較した。比較結果を
図12に示す。例示的なDiazymeビタミンD化学発光アッセイの精度を、以下の表7および8に示す。
【表7】
【表8】
【0176】
上記実施例は、単なる例示を目的として含まれ、本発明の範囲を限定するものではない。上に記載のものに対する多くの変形例が可能である。上に記載の実施例に対する修正例および変形例は当業者に明らかであるので、本発明は、添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。