IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 台湾中油股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7177809リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物
<>
  • 特許-リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物 図1
  • 特許-リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物 図2
  • 特許-リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物 図3
  • 特許-リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物 図4
  • 特許-リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物 図5
  • 特許-リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/40 20060101AFI20221116BHJP
   C08L 71/10 20060101ALI20221116BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20221116BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C08G65/40
C08L71/10
C08L63/00 A
C08G59/50
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020170588
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2021176947
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】109114820
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519051920
【氏名又は名称】台湾中油股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CPC Corporation,Taiwan
【住所又は居所原語表記】No.2,Zuonan Rd.,Nanzi Dist.,Kaohsiung City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 聖▲とく▼
(72)【発明者】
【氏名】林 慶▲げん▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 振良
(72)【発明者】
【氏名】葉 俊成
(72)【発明者】
【氏名】施 佑林
(72)【発明者】
【氏名】林 育安
(72)【発明者】
【氏名】陳 維彦
(72)【発明者】
【氏名】徐 偉智
(72)【発明者】
【氏名】高 瑞富
(72)【発明者】
【氏名】黄 銘郁
(72)【発明者】
【氏名】林 建▲ちん▼
(72)【発明者】
【氏名】王 逸萍
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0004484(US,A1)
【文献】特開2017-071775(JP,A)
【文献】特開2004-143166(JP,A)
【文献】特開2018-059090(JP,A)
【文献】特開2016-089178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00-65/48
C08L 71/00-71/14
C08G 59/00-59/72
C08L 63/00-63/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)に示す構造を有することを特徴とするリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー。

R'、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素、C1-6アルキル又はフェニルであり、
n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数であり、
p及びqは、それぞれ独立に1~4の整数であり、

Uは、メチレン基又は単結合である。
【請求項2】
請求項1に記載の一般式(1)に示す構造を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造方法であって、
式(2)に示す末端フェノール基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び式(3)に示すベンゾフェノン化合物又はベンズアルデヒド化合物をアルカリ触媒の存在下で反応させて、式(4)に示す二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る工程と、
前記二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、及び式(5)に示すRを含むフェノールを酸性触媒の存在下で反応させて、式(6)に示すリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る工程と、
前記リン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び無水酢酸又は無水メタクリル酸を窒素含有触媒又は前記アルカリ触媒の存在下で反応させて、又は前記リン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーと3-クロロスチレン又は4-クロロスチレン又はそれらの混合物、或いは3-クロロエチルスチレン又は4-クロロエチルスチレン又はそれらの混合物を前記アルカリ触媒の存在下で反応させて、前記リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る工程と、を有することを特徴とする、
リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造方法。

R'、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素、C1-6アルキル又はフェニルであり、
Zは、フッ素又は塩素であり、
n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数であり、
p及びqは、それぞれ独立に1~4の整数である。
【請求項3】
前記ベンゾフェノン化合物は、4-フルオロアセトフェノン又は4-クロロアセトフェノンであり、
前記ベンズアルデヒド化合物は、4-フルオロベンズアルデヒド又は4-クロロベンズアルデヒドであり、
前記二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、ジケトン構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー又はジアルデヒド構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーであり、
前記ジケトン構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、前記式(4)におけるRがメチルである化合物であり、
前記ジアルデヒド構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、前記式(4)におけるRが水素である化合物であることを特徴とする、
請求項2に記載のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造方法。
【請求項4】
前記式(4)に示す二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る工程、前記リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る工程のそれぞれで用いられる前記アルカリ触媒は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、
請求項2記載のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造方法。
【請求項5】
前記酸性触媒は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、
請求項2に記載のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造方法。
【請求項6】
前記窒素含有触媒は、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、イミダゾール、ジメチルイミダゾール、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、
請求項2記載のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び触媒を混合して加熱硬化して、硬化物を得る工程を含むことを特徴とする、硬化物の製造方法。
【請求項8】
前記触媒は、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルクメンペルオキシド、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項7に記載の硬化物の製造方法。
【請求項9】
前記リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの総重量を基準として、前記触媒の含有量は0.1~1.0wt%であることを特徴とする、請求項7に記載の硬化物の製造方法。
【請求項10】

前記触媒は、エポキシ樹脂開環剤及び二重結合開始剤であることを特徴とする、
硬化物の製造方法。
【請求項11】
前記エポキシ樹脂開環剤は、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、イミダゾール、ジメチルイミダゾール、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項10に記載の硬化物の製造方法。
【請求項12】
前記エポキシ樹脂の総重量を基準として、前記エポキシ樹脂開環剤の含有量は0.5~2.0wt%であることを特徴とする、請求項10に記載の硬化物の製造方法。
【請求項13】
前記二重結合開始剤は、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルクメンペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項10に記載の硬化物の製造方法。
【請求項14】
前記リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの総重量を基準として、前記二重結合開始剤の含有量は0.1~1.0wt%であることを特徴とする、請求項10に記載の硬化物の製造方法。
【請求項15】
基板、銅張積層板又はプリント基板の製作材料として用いられることを特徴とする請求項1に記載のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴマー、その製造方法及び硬化物に関する。特に、リン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
5つの主要なエンジニアリングプラスチックの1つであるポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)(poly(2,6-dimethyl-1、4-phenylene oxide)、PPO)は、非結晶性熱可塑性高分子であり、高分子量、高剛性構造、高ガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)、耐衝撃性、及び低膨脹係数を有し、さらに加水分解性結合及び極性官能基を有しないため、優れた電気的特性を示す。しかしながら、高分子量のため、粘度が高く、溶解度が良くない。そのため、ポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)の適用範囲が制限されている。
【0003】
特許文献1においては、高分子量ポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)を(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーに改良し、即ちオリゴフェニレンエーテル(oligo phenylene ether、OPE)が開示されている。低分子量ポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)(poly(2,6-dimethyl-1,4-phenylene oxide)、PPO)は、高周波通信基板としてよく利用されている材料であり、優れた有機溶解性、加工性、熱安定性等の利点を有するため、数々の特許において、低分子量ポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)の変性が試されている。しかしながら、(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは耐熱性が良くないため、末端修飾して架橋可能な末端基を有する構造を形成しなければならない。このような構造として、例えば末端アクリロイル基を有する市販品SA9000(株式会社SABIC)が挙げられる。
【0004】
特許文献2において、ポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)を改良してその末端を修飾することが開示されている。例えば、末端ビニルベンジルエーテル基を有する市販品OPE-2St(MGC会社)が挙げられる。
【0005】
市販品SA9000、OPE-2Stの構造は以下のとおりである。
【0006】
ジシクロペンタジエン(DCPD)は原油分解C5の副産物であり、沸点が高いため容易に単離できる。また、剛直な二環式の脂肪族構造を有するため、その誘導体は優れた熱特性及び誘電特性を示す。非特許文献1において、ジシクロペンタジエン(DCPD)及びジペンテン(Dipentene)を含むビスマレイミド(bismaleimide)を合成して硬化させる技術が開示される。芳香族ビスマレイミドを硬化する場合と比べて、ジシクロペンタジエン構造を含む硬化物は低い誘電率を有することが開示されている。そのことは、構造中に非極性脂肪族を導入すると、材料の誘電率を有効に低減できることを示す。非特許文献2において、ジシクロペンタジエン(DCPD)構造を含むベンゾキサジン(Benzoxazine)樹脂が開示されている。ビスフェノールA構造を基本とするベンゾキサジン樹脂と比べて、その硬化物がより低い誘電率を有する。そのため、ジシクロペンタジエン(DCPD)構造を含むポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)を利用すると、低誘電率を有する回路基板が得られる。
【0007】
一方、ポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)は難燃性を有するが、難燃性測定(UL-94難燃性試験)規格の結果がV-1レベルしかない。V-0レベルを達成したい場合に、難燃剤、例えばハロゲン難燃剤又はリン系難燃剤を添加しなければならない。ハロゲン難燃剤を燃焼する時に有毒物質が出るため、近年ではほとんどリン系難燃剤に替えられている。リン系難燃剤を燃焼するときにポリリン酸が形成され、材料の炭化を促進して緻密なチャー層が形成され、酸素が遮断される。また、気相の状態ではフリーラジカルを捕獲し易く、フリーラジカルの成長、反応を減少させ、難燃の効果が得られる。
【0008】
王和林学者が2001年に発表した非特許文献3において、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(9,10-Dihydro-9-oxa-10-phosphaphenanthrene-10-Oxide、DOPO)及び市販のエポキシ樹脂に開環付加反応を行うことで、異なるリン含有量を有するエポキシ樹脂を得て、そして市販の硬化剤であるDDS、PN及びDICYと共重合硬化を行うことが開示されている。熱特性の実験結果によると、リン元素を導入することでチャー残余重量を大幅に増加できる。また、難燃性測定(UL-94難燃性試験)において、リン含有量が1.45wt%以上である硬化物はV-0レベルを達成できる。そのことから、リン系成分が材料の難燃性に重要な役割を果たすことが証明できる。そのため、リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの開発が求められている。
【0009】
特許文献3において、リン系ポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーが開示されている。その構造は以下のとおりである。
m、nは、それぞれ独立して0~30の整数を示し、好ましくは0~20の整数を示す。しかしながら、上記構造において、1つのリン元素のみを有するため、その難燃特性が制限されている。
特許文献4において、リン系構造を(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー末端に導入する方法が開示されている。先ず、末端フェノール基の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(市販品SA90)及びジクロロ-p-キシレンを反応させ、末端CHClを有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを形成する。そして、リン含有ジフェノール化合物と反応させ、末端リン化フェノール基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを形成する。その後、末端変性を行って、末端ビニルベンジルエーテル構造の樹脂を形成する。その構造は以下のとおりである。
しかしながら、前記先行技術に記載のリン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは合成反応工程が複雑である。上記特許文献3で合成した樹脂を例として、3つ以上の工程を経て、さらにリン系ビスフェノール合成の2つの工程を経て、全部で少なくとも5つの工程を行わなければならない。なお、前記リン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの合成反応は、大体、両側反応性モノマーを利用するため、合成工程では単側反応中間体を使用し、且つ分離精製工程によって両側反応した副産物を分離しなければならない。そのため、性能が優れて、用途が広く、製造方法がより簡単であるリン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】US 6,627,704 B2
【文献】US 6,995,195 B2
【文献】TW I537281B
【文献】US 2017/0088669 A1
【非特許文献】
【0011】
【文献】Polym. Int. 2006, 55(11), 1341-1349.
【文献】Journal of Applied Polymer Science. 2008, 110(4), 2413-2423.
【文献】Polymer 2001, 42(5), 1869
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、その製造方法及び硬化物を提供する。本発明のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、高ガラス転移温度、低誘電特性、優れた熱安定性、及び良好な難燃特性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のリン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、下記一般式(1)に示す構造を有する。
【0014】
本発明のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造方法は、下記工程を有する。まず、式(2)に示す末端フェノール基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び式(3)に示すベンゾフェノン化合物又はベンズアルデヒド化合物をアルカリ触媒の存在下で反応させて、式(4)に示す二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る。そして、二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、及び式(5)に示すRを含むフェノールを酸性触媒の存在下で反応させて、式(6)に示すリン含有ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る。最後に、リン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び無水酢酸又は無水メタクリル酸を窒素含有触媒又はアルカリ触媒の存在下で反応させて、又はリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び3-クロロスチレン又は4-クロロスチレンをアルカリ触媒の存在下で反応させる。
【0015】
本発明の1つの実施例において、上記アルカリ触媒は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせである。
【0016】
本発明の1つの実施例において、上記酸性触媒は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、又はそれらの組み合わせである。
【0017】
本発明の1つの実施例において、上記窒素含有触媒は、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、イミダゾール、ジメチルイミダゾール、又はそれらの組み合わせである。
【0018】
本発明の硬化物は、上記リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び触媒を混合して加熱硬化してなる。
【0019】
本発明の1つの実施例において、上記触媒は、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルクメンペルオキシド、又はそれらの組み合わせである。
【0020】
本発明の1つの実施例において、リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの総重量を基準として、触媒の含有量は0.1~1.0wt%である。
【0021】
本発明の硬化物は、上記リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及びエポキシ樹脂を等当量で混合し、触媒と加熱共重合してなる。触媒は、エポキシ樹脂開環剤又は二重結合開始剤である。
【0022】
本発明の1つの実施例において、上記エポキシ樹脂開環剤は、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、イミダゾール、ジメチルイミダゾール、又はそれらの組み合わせである。
【0023】
本発明の1つの実施例において、前記エポキシ樹脂の総重量を基準として、エポキシ樹脂開環剤の含有量は0.5~2.0wt%である。
【0024】
本発明の1つの実施例において、上記二重結合開始剤は、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルクメンペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、又はそれらの組み合わせである。
【0025】
本発明の1つの実施例において、リン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの総重量を基準として、二重結合開始剤の含有量は0.1~1.0wt%である。
【0026】
本発明のリン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの使用は、基板、銅張積層板又はプリント基板の製作材料として用いられる。
【発明の効果】
【0027】
本実施例のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの分子量が低いため、優れた有機溶解性を有する。また、本実施例のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの硬化物は、高ガラス転移温度、低誘電特性、優れた熱安定性及び良好な難燃特性を有する。
【0028】
以下、実施例及び図面を開示しながら本発明の特徴及び効果を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1-6】本発明の実施例1~実施例7で合成した化合物のNMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施形態を開示しながら本発明を説明するが、本発明は、それらに限定されない。
【0031】
[リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー]
【0032】
本実施例のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、下記一般式(1)に示す構造を有する。
【0033】
[リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造方法]
【0034】
本実施例のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造方法は、下記工程を有する。
【0035】
まず、工程1を行う。工程1において、式(2)に示す末端フェノール基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び式(3)に示すベンゾフェノン化合物又はベンズアルデヒド化合物をアルカリ触媒の存在下で反応させて、式(4)に示す二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る。
【0036】
1つの実施例において、アルカリ触媒は、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
1つの実施例において、式(2)に示す末端フェノール基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、実施例のビスフェノールと2,6-ジメチルフェノールを酸化重合成してなるものである。
【0038】
1つの実施例において、式(3)に示すベンゾフェノン化合物又はベンズアルデヒド化合物は、例えば4-フルオロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、4-フルオロベンズアルデヒド、4-クロロベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0039】
1つの実施例において、式(4)に示す二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、例えばジケトン構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー又はジアルデヒド構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーが挙げられる。式中、ジケトン構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、例えば式(4)におけるRがメチルである化合物が挙げられる。ジアルデヒド構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、例えば式(4)におけるRが水素である化合物が挙げられる。
【0040】
そして、工程2を行う。工程2において、二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、及び式(5)に示すRを含むフェノールを酸性触媒の存在下で反応させて、式(6)に示すリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る。
【0041】
1つの実施例において、酸性触媒は、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
1つの実施例において、含式(5)に示すRを含むフェノールは、例えばフェノールが挙げられる。
【0043】
最後、工程3を行う。式3において、リン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び無水酢酸又は無水メタクリル酸を窒素含有触媒又はアルカリ触媒の存在下で反応させて、又はリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び3-クロロスチレン又は4-クロロスチレンをアルカリ触媒の存在下で反応させて、式(1)に示すリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る。
【0044】
1つの実施例において、窒素含有触媒は、例えば4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、イミダゾール、ジメチルイミダゾール、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
[硬化物]
【0046】
本実施例の硬化物は、式(1)に示すリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び触媒を混合して加熱硬化してなる。
【0047】
1つの実施例において、触媒は、例えば過酸化ベンゾイル、tert-ブチルクメンペルオキシド、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
1つの実施例において、リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの総重量を基準として、触媒の含有量は、例えば0.1~1.0wt%である。
【0049】
他の実施例の硬化物は、式(1)に示すリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及びエポキシ樹脂を等当量で混合し、触媒と加熱共重合してなる。触媒は、例えばエポキシ樹脂開環剤又は二重結合開始剤が挙げられる。
【0050】
1つの実施例において、エポキシ樹脂開環剤は、例えば4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、イミダゾール、ジメチルイミダゾール、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0051】
1つの実施例において、エポキシ樹脂の総重量を基準として、エポキシ樹脂開環剤の含有量は、例えば0.5~2.0wt%である。
【0052】
1つの実施例において、二重結合開始剤は、例えば過酸化ベンゾイル、tert-ブチルクメンペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
1つの実施例において、リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの総重量を基準として、二重結合開始剤の含有量は、例えば0.1~1.0wt%である。
【0054】
[リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの使用]
【0055】
本実施例は、リン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの使用を提供する。例えば、基板、銅張積層板又はプリント基板の製作材料として用いられる。
【0056】
以下、実施例を開示しながら本発明をより詳しく説明する。しかしながら、本発明の範囲内に材料、使用量、比率、処理の詳細、及び処理の流れ等を変更してもよい。そのため、本発明は、下記内容に限定されない。
【0057】
[二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造]
【0058】
本発明の二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、例えば以下に示す反応工程により形成できる。しかしながら、本発明は、それらに限定されない。前記式(2)に示す末端フェノール基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、及び4-フルオロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、4-フルオロベンズアルデヒド又は4-クロロベンズアルデヒド等化合物を、アルカリ触媒の存在下で反応させて、ジケトン構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー又はジアルデヒド構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る。
【0059】
[実施例1]
「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造の末端フェノール基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーA)の合成
【0060】
0.18g(1.818mmol)の塩化第一銅(CuCl)、1.2g(1.818×5.5mmol)のDMAP(4-Dimethylaminopyridine)、18.6mlのメタノール、1.5mlの水を250ml三ツ口フラスコに入れて撹拌し、水中に酸素をバブリングしながら15分間攪拌する。また、2.31g(6.141mmol)のDCPD-2,6-DP、3.00g(6.141×4mmol)の2,6-ジメチルフェノールを30mlのメタノールに溶解し、上記塩化第一銅(CuCl)溶液に添加し、酸素をバブリングしながら4時間反応させる。反応終了後、濾過してろ過ケーキを500mlのメタノール及び1mlの塩酸水溶液で1回洗浄し、さらに500mlのメタノールで数回洗浄した後、乾燥して薄い褐色の粉末を得る。収率は80%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。サンプルのHNMRスペクトルを図1(a)に示す。
【0061】
[実施例2-1]
ジケトン構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーB-1)の合成
【0062】
以下、Rがメチルである場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に10.00g(3.35mmol)の「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造の末端フェノール基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、1.018g(7.37mmol)の4-フルオロアセトフェノン、1.018g(7.37mmol)の炭酸カリウム(KCO)、及び50mlのジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)を添加する。そして、窒素環境下で120℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、褐色の粉末を得る。収率は82%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0063】
そして、サンプルのHNMRスペクトルを測定する。高分解能磁気共鳴分光計(400MHz Nuclear Magnetic Resonance、NMR)、型番:Varian Mercury 40によってサンプルの構造を特定する。重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)又は重水素化クロロホルム(Chloroform-d)を溶剤としてサンプルのHNMRを測定する。化学シフト(ChemicalShift)の単位がppmであり、結合定数(J)の単位がHzである。
【0064】
図1(b)に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.5ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、2.52ppmに末端ケトンのメチル基の特徴的なピーク、7.32ppm及び7.98ppmに末端ケトンのベンゼン環の特徴的なピークが検出され、4.55ppmに属するポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のヒドロキシ基の特徴的なピークが検出されなかった。末端ヒドロキシ基が反応され、化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は3785g/molであり、重量平均分子量は4378g/molであった。
【0065】
[実施例2-2]
ジケトン構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーB-2)の合成
【0066】
以下、Rがメチルである場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に1g(0.625mmol)のSA90、0.2158g(1.5625mmol)の4-フルオロアセトフェノン、0.2158g(1.5625mmol)の炭酸カリウム(KCO)、及び10mLのジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)を添加する。そして、窒素環境下で、140℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、ベージュ色の粉末を得る。収率は82%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0067】
そして、サンプルのH NMRスペクトルを測定する。高分解能磁気共鳴分光計(400MHz Nuclear Magnetic Resonance、NMR)、型番:Varian Mercury 40によってサンプルの構造を特定する。重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)又は重水素化クロロホルム(Chloroform-d)を溶剤としてサンプルのHNMRを測定する。化学シフト(ChemicalShift)の単位がppmであり、結合定数(J)の単位がHzである。
【0068】
H-NMRスペクトルの解析結果より、6.48ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、2.65ppmに末端ケトンのメチル基の特徴的なピーク、6.97ppm及び7.89ppmに末端ケトンのベンゼン環の特徴的なピークが検出され、4.55ppmに属するオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のヒドロキシ基の特徴的なピークが検出されなかった。末端ヒドロキシ基が反応され、化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は3613g/molであり、重量平均分子量は5619g/molである。
【0069】
[実施例3-1]
ジアルデヒド構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーC-1)の合成
【0070】
以下、Rが水素である場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器中に10.00g(3.35mmol)の「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造の末端フェノール基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、1.036g(7.37mmol)の4-クロロベンズアルデヒド、1.018g(7.37mmol)の炭酸カリウム(KCO)、及び50mlのジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)を添加する。そして、窒素環境下で140℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、褐色の粉末を得る。収率は75%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0071】
図1(c)に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.5ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、9.88ppmに末端アルデヒド基の特徴的なピーク、7.81ppmに末端アルデヒドのベンゼン環の特徴的なピークが検出され、4.55ppmに属するポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のヒドロキシ基の特徴的なピークが検出されなかった。末端ヒドロキシ基が反応され、化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は3552g/molであり、重量平均分子量は4561g/molである。
【0072】
[実施例3-2]
ジアルデヒド構造を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーC-2)の合成
【0073】
以下、Rが水素である場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に1g(0.625mmol)のSA90、0.2196g(1.5625mmol)の4-クロロベンズアルデヒド、0.2191g(1.5625mmol)の炭酸カリウム(KCO)、及び10mLのジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)を添加する。そして、窒素環境下で130℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、薄い褐色の粉末を得る。収率は69%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0074】
H-NMRスペクトルの解析結果より、6.48ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、9.89ppmに末端アルデヒドの水素の特徴的なピーク、6.88ppm及び7.80ppmに末端アルデヒドのベンゼン環の特徴的なピークが検出され、4.55ppmに属するオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のヒドロキシ基の特徴的なピークが検出されなかった。末端ヒドロキシ基が反応され、化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は3139g/molであり、重量平均分子量は4214g/molである。
【0075】
[リン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造]
【0076】
本発明のリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーは、例えば以下に示す反応工程により形成できる。しかしながら、本発明は、それらに限定されない。前記式(4)の二官能性の(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、及びフェノールを酸性触媒の存在下で反応させて、リン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを得る。生成物の構造を下図に示す。
【0077】
[実施例4-1]
「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造のリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーD-1)の合成
【0078】
以下、Rがメチルである場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に10.00g(3.1mmol)のジケトン(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーB-1、1.67g(7.75mmol)の9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)、0.67g(DOPO含有量の4wt%)の硫酸、及び40.00gのフェノールを添加する。そして、窒素環境下で140℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をエタノールに沈殿させ、エタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、褐色の粉末を得る。収率は42%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0079】
図1(d)に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.5ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmにDOPOのベンゼン環の特徴的なピークが検出され、2.6ppmに属する末端ケトンのメチル基の特徴的なピークが検出されなかった。化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は4088g/molであり、重量平均分子量は5190g/molである。
【0080】
[実施例4-2]
リン含有ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーD-2)の合成
【0081】
以下、Rがメチルである場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に1g(0.5435mmol)のジケトン(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーB-2、0.4670g(2.174mmol)の9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)、0.0186g(DOPO含有量の4wt%)の硫酸、及び10gのフェノールを添加する。そして、窒素環境下で150℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をエタノールに沈殿させ、エタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、ベージュ色の粉末を得る。収率は84%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0082】
H-NMRスペクトルの解析結果より、6.48ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmに9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)ベンゼン環の特徴的なピークが検出され、2.65ppmに属する末端ケトンのメチル基の特徴的なピークが検出されなかった。化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は3991g/molであり、重量平均分子量は5845g/molである。
【0083】
[実施例5-1]
「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造のリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーE-1)の合成
【0084】
以下、Rが水素である場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に10.00g(3.1mmol)のジアルデヒド(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーC-1、1.67g(7.75mmol)の9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)、0.67g(DOPO含有量の4wt%)の硫酸、及び40.00gのフェノール。そして、窒素環境下で、140℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、薄い褐色の粉末を得る。収率は78%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0085】
図1(e)に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.5ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmにDOPOのベンゼン環の特徴的なピークが検出され、9.88ppmに属する末端アルデヒドのメチル基の特徴的なピークが検出されなかった。また、4.22ppmに4.5~4.8ppmに属するO=P-C-H構造の水素の特徴的なピークが検出される。化学構造が正しいことを証明できる。
【0086】
[実施例5-2]
リン含有ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーE-2)の合成
【0087】
以下、Rが水素である場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に1g(0.5525mmol)のジアルデヒド(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーC-2、0.358g(1.657mmol)の9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)、0.0143g(DOPO含有量の4wt%)の硫酸、及び10gのフェノールを添加する。そして、窒素環境下で、140℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、灰色の粉末を得る。収率は68%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0088】
H-NMRスペクトルの解析結果より、6.48ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmに9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)ベンゼン環の特徴的なピークが検出され、9.89ppmに属する末端アルデヒドの水素の特徴的なピークが検出されなかった。4.22ppmにO=P-C-H構造の水素の特徴的なピークが検出される。化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は3399g/molであり、重量平均分子量は4524g/molである。
【0089】
[不飽和基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの製造]
【0090】
本発明の不飽和基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーF-1は、例えば以下に示す反応工程により形成できる。しかしながら、本発明は、それらに限定されない。「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造のリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーD-1に対して末端官能基化を行って、窒素含有触媒又はアルカリ触媒の存在下で無水メタクリル酸(meth acrylic anhydride)を添加して反応させて、「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーF-1を得る。生成物の構造式は以下のとおりである。
【0091】
「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造のリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーD-1に対して末端官能基化を行って、アルカリ触媒の存在下で3-クロロメチルスチレン又は4-クロロメチルスチレン(又は3、4置換混合物)(3or4-Vinylbenzyl chlorideormixture)を添加して反応させて、「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーG-1を得る。反応式は以下のとおりである。
【0092】
[実施例6-1]
ジシクロペンタジエン構造及びメタクリル基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーF-1)の合成
【0093】
以下、Rがメチルである場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に10.00g(2.63mmol)の「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造のリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーD-1、0.93g(6.05mmol)のメタクリル酸無水物(Methacrylic anhydride)、0.020g(メタクリル酸無水物含有量の1wt%)の酢酸ナトリウム(Sodiumacetate)、及び50mlのジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)を添加する。そして、窒素環境下で85℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、薄黄色の粉末を得る。収率は81%であった。式中、Rがメチルであり、その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0094】
図2(f)に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.5ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmにDOPOのベンゼン環の特徴的なピーク、5.77及び6.34ppmに末端アクリル二重結合の特徴的なピークが検出される。化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は4640g/molであり、重量平均分子量は5382g/molである。
【0095】
[実施例6-2]
リン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーF-2)の合成
【0096】
以下、Rがメチルである場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に1g(0.4132mmol)のリン含有ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーD-2、0.3376g(2.19mmol)のメタクリル酸無水物(Methacrylic anhydride)、0.0034g(メタクリル酸無水物含有量の1wt%)の酢酸ナトリウム(Sodiumacetate)、及び10mLのジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)を添加する。そして、窒素環境下で80℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、薄黄色の粉末を得る。収率は81%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0097】
図3に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.48ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmにDOPOのベンゼン環の特徴的なピーク、5.75及び6.33ppmに末端アクリル二重結合の特徴的なピークが検出される。化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は4601g/molであり、重量平均分子量は6004g/molである。
【0098】
[実施例6-3]
リン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーF-3)の合成
【0099】
以下、Rが水素である場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に1g(0.4180mmol)のリン含有ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーE-2、0.1933g(1.254mmol)のメタクリル酸無水物(Methacrylic anhydride)、0.0019g(メタクリル酸無水物含有量の1wt%)の酢酸ナトリウム(Sodiumacetate)、及び10mlのジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)を添加する。そして、窒素環境下で50℃に昇温し、12時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、薄い褐色の粉末を得る。収率は70%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0100】
図5に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.48ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmにDOPOのベンゼン環の特徴的なピーク、5.74ppmに末端アクリル二重結合の特徴的なピークが観察され、O=P-C-H構造の水素の特徴的なピークが4.31ppmにシフトする。化学構造が正しいことを証明できる。
【0101】
[実施例7-1]
ジシクロペンタジエン構造及びスチレン基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーG-1)の合成
【0102】
以下、Rがメチルである場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に10.00g(2.63mmol)の「ジシクロペンタジエン及び2,6-ジメチルフェノール含有」付加物構造のリン系ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーD-1、0.92g(6.05mmol)の4-クロロメチルスチレン(4-vinylbenzyl chloride)、0.442g(5.52mmol)の20%水酸化ナトリウム水溶液(NaOH(aq))及び50mlのジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)を添加する。そして、窒素環境下で70℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、薄黄色の粉末を得る。収率は約86%であった。式中、Rがメチルであり、その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0103】
図2(g)に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.5ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにポリ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmにDOPOのベンゼン環の特徴的なピーク、5.28ppm及び5.79ppmに末端スチレン二重結合の特徴的なピークが検出される。化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は5281g/molであり、重量平均分子量は6482g/molである。
【0104】
[実施例7-2]
リン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーG-2)の合成
【0105】
以下、Rがメチルである場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に1g(0.4132mmol)のリン含有ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーD-2、0.3468g(2.2726mmol)の4-クロロメチルスチレン(4-vinylbenzyl chloride)、0.2855g(2.066mmol)の炭酸カリウム(KCO)、及び10mlのジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)を添加する。そして、窒素環境下で100℃に昇温し、24時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、薄黄色の粉末を得る。収率は86%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0106】
図4に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.48ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmに9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)ベンゼン環の特徴的なピーク、5.27ppm及び5.78ppmに末端スチレン二重結合の特徴的なピークが検出される。化学構造が正しいことを証明できる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量は4768g/molであり、重量平均分子量は6696g/molである。
【0107】
[実施例7-3]
リン含有(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー(オリゴマーG-3)の合成
【0108】
以下、Rが水素である場合を例として説明するが、本発明は、それらに限定されない。100ml三ツ口反応器に1g(0.4180mmol)のリン含有ビスフェノール(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーE-2、0.1914g(1.254mmol)の4-クロロメチルスチレン(4-vinylbenzyl chloride)、0.1155g(0.4180mmol)の炭酸カリウム(KCO)、及び10mlのジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)を添加する。そして、窒素環境下で80℃に昇温し、12時間反応させる。反応終了後、室温に冷却する。混合物をメタノールに沈殿させ、メタノールで数回洗浄する。最後に、吸引濾過し、ろ過ケーキを60℃で真空乾燥し、薄い褐色の粉末を得る。収率は73%であった。その構造を下図に示す。式中、n及びmは、それぞれ独立に0~300の整数である。
【0109】
図6に示すように、H-NMRスペクトルの解析結果より、6.48ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のベンゼン環の特徴的なピーク、2.10ppmにオリゴ(2,6-ジメチルフェニルエーテル)のメチル基の特徴的なピーク、6~8ppmにDOPOのベンゼン環の特徴的なピーク、5.26ppm及び5.76ppmに末端スチレン二重結合の特徴的なピークが検出され、O=P-C-H構造の水素の特徴的なピークが4.22ppmにシフトする。化学構造が正しいことを証明できる。
【0110】
[硬化物の製造]
【0111】
本発明の硬化物は、例えば以下に示す反応工程により形成できる。しかしながら、本発明は、それらに限定されない。不飽和基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及び開始剤である過酸化物を不飽合基反応を行って、又はリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及びエポキシ樹脂を共重合させて、高ガラス転移温度、低誘電率、低損失正接、難燃特性を有する硬化物を得る。
【0112】
[実施例8-1]
ジシクロペンタジエン構造及びメタクリロイル基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーF-1の自己架橋硬化物の製造
【0113】
実施例6-1のオリゴマーF-1の自己架橋硬化反応を行う。オリゴマーF-1を添加し、1wt%のtert-ブチルクメンペルオキシド(TBCP)をフリーラジカル開始剤とし、キシレンで固形分20%の溶液に調製する。均一に混合した後、型に入れ、窒素環境下で昇温、硬化させる。昇温条件は、80℃(12時間)、120℃(2時間)、180℃(2時間)、200℃(2時間)、220℃(2時間)、及び240℃(2時間)である。離型して、深いコーヒー色の硬化物、即ち実施例8-1の硬化物を得る。
【0114】
[実施例8-2]
メタクリロイル基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーF-2の自己架橋硬化物の製造
【0115】
実施例6-2のオリゴマーF-2の自己架橋硬化反応を行う。オリゴマーF-2を添加し、1wt%のtert-ブチルクメンペルオキシド(TBCP)をフリーラジカル開始剤とし、キシレンで固形分20%の溶液に調製する。均一に混合した後、型に入れ、窒素環境下で昇温、硬化させる。昇温条件は、80℃(12時間)、120℃(2時間)、180℃(2時間)、200℃(2時間)、220℃(2時間)、及び240℃(2時間)である。離型して、深いコーヒー色の硬化物、即ち実施例8-2の硬化物を得る。
【0116】
[実施例9-1]
ジシクロペンタジエン構造及びメタクリロイル基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーF-1とエポキシ樹脂との共重合硬化物の製造
【0117】
実施例6-1のオリゴマーF-1と市販のエポキシ樹脂HP-7200(DIC会社)を硬化させる。エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン構造及びメタクリロイル基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを当量比1:1で、さらにフリーラジカル開始剤とするtert-ブチルクメンペルオキシド(TBCP)、及び架橋促進剤とする4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を添加し、キシレンで固形分20%の溶液に調製する。式中、tert-ブチルクメンペルオキシドの含有量はオリゴマーF-1の1wt%であり、4-ジメチルアミノピリジンの含有量はエポキシ樹脂の0.5wt%である。均一に混合した後、型に入れ、窒素環境下で昇温、硬化させる。昇温条件は、80℃(12時間)、120℃(2時間)、180℃(2時間)、200℃(2時間)、220℃(2時間)、及び240℃(2時間)。離型して、深いコーヒー色の硬化物、即ち実施例9-1の硬化物(実施例6-1のオリゴマーF-1とエポキシ樹脂を共重合してなる)を得る。
【0118】
[実施例9-2]
メタクリロイル基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーF-2とエポキシ樹脂との共重合硬化物の製造
【0119】
実施例6-2のオリゴマーF-2と市販エポキシ樹脂HP-7200(DIC会社)を硬化させる。エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン構造及びメタクリロイル基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを当量比1:1で、さらにフリーラジカル開始剤とするtert-ブチルクメンペルオキシド(TBCP)、及び架橋促進剤とする4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を添加し、キシレンで固形分20%の溶液に調製する。式中、tert-ブチルクメンペルオキシドの含有量はオリゴマーF-2の1wt%であり、4-ジメチルアミノピリジンの含有量はエポキシ樹脂の0.5wt%である。均一に混合した後、型に入れ、窒素環境下で昇温、硬化させる。昇温条件は、80℃(12時間)、120℃(2時間)、180℃(2時間)、200℃(2時間)、220℃(2時間)、及び240℃(2時間)。離型して、深いコーヒー色の硬化物、即ち実施例9-2の硬化物(実施例6-2のオリゴマーF-2とエポキシ樹脂を共重合してなる)を得る。
【0120】
[実施例10-1]
ジシクロペンタジエン構造及びスチレン基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーG-1の自己架橋硬化物の製造
【0121】
実施例7-1のオリゴマーG-1を自己架橋させる。オリゴマーG-1を添加し、1wt%のtert-ブチルクメンペルオキシド(TBCP)をフリーラジカル開始剤とし、キシレンで固形分20%の溶液に調製する。式中、tert-ブチルクメンペルオキシドの含有量はジシクロペンタジエン構造及びスチレンを有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの1wt%である。均一に混合した後、型に入れ、窒素環境下で昇温、硬化させる。昇温条件は、80℃(12時間)、120℃(2時間)、180℃(2時間)、200℃(2時間)、220℃(2時間)、及び240℃(2時間)。離型して、深いコーヒー色の硬化物、即ち実施例10-1の硬化物(実施例7-1のオリゴマーG-1を自己架橋してなる)を得る。
【0122】
[実施例10-2]
スチレン基を有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーG-2の自己架橋硬化物の製造
【0123】
実施例7-2のオリゴマーG-2を自己架橋させる。オリゴマーG-2を添加し、1wt%のtert-ブチルクメンペルオキシド(TBCP)をフリーラジカル開始剤とし、キシレンで固形分20%の溶液に調製する。式中、tert-ブチルクメンペルオキシドの含有量はジシクロペンタジエン構造及びスチレンを有するリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの1wt%である。均一に混合した後、型に入れ、窒素環境下で昇温、硬化させる。昇温条件は、80℃(12時間)、120℃(2時間)、180℃(2時間)、200℃(2時間)、220℃(2時間)、及び240℃(2時間)。離型して、深いコーヒー色の硬化物、即ち実施例10-2の硬化物(実施例7-2のオリゴマーG-2を自己架橋してなり)を得る。
【0124】
[比較例1]
【0125】
実施例8の工程において、末端メタクリロイル基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの市販品SA9000を自己架橋させる。離型して、深いコーヒー色の硬化物(比較例1)を得る。
【0126】
[比較例2]
【0127】
実施例9の工程において、末端メタクリロイル基を有する(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの市販品SA9000と市販エポキシ樹脂HP-7200を共重合硬化させる。離型して、深いコーヒー色の硬化物(比較例2)を得る。
【0128】
[比較例3]
【0129】
実施例8の工程において、末端スチレンの(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの市販品OPE-2Stを自己架橋させる。離型して、深いコーヒー色の硬化物(比較例3)を得る。
【0130】
[リン含有オリゴマー官能化後の生成物の溶解度分析]
【0131】
表1において、市販品SA90、市販品OPE-2St、市販品SA9000、実施例6-1、実施例6-2、実施例7-1、及び実施例7-2の分子量測定及び溶解度測定の結果を示す。
【0132】
本実施例において、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)(メーカー及び型番:HitachiL2400)によって分子量を測定する。カラム温度は40℃であり、流速は1.0mL/minに設定する。そして、サンプルを1:99の比率でN-メチルピロリドン(1-Methyl-2-pyrrolidone)溶解し、その溶液を0.22μmのフィルターで濾過した後、分析機械に25μLを注入する。それによって、サンプルの数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)及び分子量分散度(polydispersity index、PDI)を測定する。
【0133】
表1の結果から分かるように、実施例6-1、実施例6-2、実施例7-1及び実施例7-2は、いずれも数平均分子量(M)が7000以下であり、分子量分散度(PDI)が2以下である。また、溶解度測定において、実施例6-1、実施例6-2、実施例7-1及び実施例7-2は、いずれも室温でジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム及びトルエンに溶解され、優れた有機溶解性を有する。
【0134】
++溶液が澄んでいる
【0135】
[硬化物の熱特性分析]
【0136】
表2において、比較例1、比較例2,比較例3、実施例8-1、実施例8-2、実施例9-1、実施例9-2、実施例10-1及び実施例10-2の熱特性評価結果を示す。
【0137】
本実施例において、熱特性の評価方法は下記工程を有する。
(1)動的機械分析装置(Dynamic Mechanical Analyzer、DMA)(メーカー及び型番:Perkin-Elmer Pyris Diamond)によってガラス転移温度(T)を測定する。フィルムサンプルから2.0cm×1.0cmを切り出して、tension法によって、昇温速度が5℃/min、周波数が1Hz、振幅が25μm、温度範囲が40℃~350℃の条件で貯蔵弾性率(Storage Modulus)及びTanδ曲線を測定し、ガラス転移温度(T)得る。
【0138】
(2)熱機械分析装置(Thermo-mechanical Analyzer、TMA)(メーカー及び型番:SII TMA/SS6100)によってガラス転移温度(T)及び熱膨張率(Coefficient of thermal expansion、CTE)を測定する。サンプルを機械に設置し、その長さ(フィルム)を測定する。フィルムをtensionに設置し、昇温速度が5℃/minであり、熱膨張率測定範囲が50~150℃である。
【0139】
(3)熱重量分析装置(Thermo-gravimetric Analyzer、TGA)(メーカー及び型番:PerkinElmer Pyris 1 TGA)によってサンプルの5%熱重量減少温度(Td5%)及び800℃のチャー残余重量(Char yield、CY(%))を測定する。3~5mgのサンプルを白金容器に置き、窒素気体(又は空気)を導入しながら、20℃/minの昇温速度で40℃から800℃に昇温する。熱分解曲線によってその熱分解温度、及び800℃の残余wt%、即ちチャー残余重量を求める。式中、5%熱重量減少温度とは、サンプルの減少重量が5%に達する温度である。5%熱重量減少温度が高いほどサンプルの熱安定性が優れることを示す。800℃のチャー残余重量とは、温度800℃に加熱する時にサンプルの残余重量比である。800℃の残余重量比が高いほどサンプルの熱安定性が優れることを示す。
【0140】
(4)難燃性測定(UL-94難燃性試験)
先ず、サンプルを用意する。即ち、直径が0.5インチである円筒状支持物に8インチ×2インチのフィルムを巻いて、支持物を移動しながら5インチのフィルムを支持物に巻きつける。支持物に巻きつけていないフィルムを円錐状に広げて、サンプルを用意する。そして、上記サンプルを3秒間接炎し、炎を離した後の燃焼時間をtとして測定する。そして、サンプルを冷却してから再び第2回燃焼を行う。燃焼時間が同じく3秒であり、炎を離した後の燃焼時間をtとして測定する。上記燃焼において、サンプルの下方の12インチのところにコットンを置く、滴下物があるかどうかを観察する。5つのサンプルに対して上記測定方法を繰り返してt及びtを記録する。測定結果の平均t+tが10~30秒間内であり、5つ組のt+t時間が50秒間以下であり、滴下の状況が見られなかった場合、前記サンプルをUL-94 VTM-0レベルであると判定できる。測定結果の平均t+t時間が10~30秒間内であり、滴下の状況が見られなかった場合、前記サンプルをUL-94 VTM-1レベルであると判定できる。
【0141】
DMAによって5℃/minの加熱速度で測定する。
TMAによって5℃/minの加熱速度で測定する。
50℃~150℃の間の熱膨張率を記録する。
TGAによって20℃/minの加熱速度で測定した5%熱重量減少温度
800℃のチャー残余重量
【0142】
[硬化物の熱特性分析]
【0143】
表2において、自己架橋硬化物である比較例1の硬化物、比較例3の硬化物、実施例8-1、実施例8-2、実施例10-1及び実施例10-2の硬化物を示す。表2の結果から分かるように、DMAによるガラス転移温度の測定結果によると、比較例2の硬化物のガラス転移温度(221℃)及び比較例3の硬化物のガラス転移温度(229℃)に比べて、実施例8-1の硬化物及び実施例9-1の硬化物は、より高ガラス転移温度(260、248℃)を有する。そして、TGAによる材料熱安定性の分析結果によると、比較例2の硬化物の5%熱重量減少温度(433℃)、チャー残余重量(16%)及び比較例3の硬化物の5%熱重量減少温度(394℃)、チャー残余重量(27%)に比べて、実施例8-1の硬化物の5%熱重量減少温度(425℃)、チャー残余重量(35%)及び実施例10-1の硬化物の5%熱重量減少温度(431℃)、チャー残余重量(35%)の方が高い。そのため、本実施例において、リン系構造を(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーに導入することで、硬化物の熱特性を向上し、優れた熱安定性を有する。また、UL-94難燃性試験の結果から分かるように、全てのリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの自己架橋硬化物、及びエポキシ樹脂との共重合硬化物(実施例8-1、実施例8-2、実施例10-1及び実施例10-2の硬化物)は、いずれもVTM V-0レベルを達成できる。逆に、市販品の硬化物(比較例2の硬化物及び比較例3の硬化物)は、いずれもV-1レベルである。それは、リン含有構造の導入が熱安定性及び難燃性を有効に向上できることを証明できる。
【0144】
[硬化物の電気的特性分析]
【0145】
表3において、比較例1、比較例2、比較例3、実施例8-1、実施例8-2、実施例9-1、実施例9-2、実施例10-1及び実施例10-2の電気的特性の評価結果を示す。
【0146】
本実施例において、電気的特性の評価方法は下記工程を有する。
(1)誘電率分析装置(Dielectric constant Analysis)(メーカー及び型番:Rohde & Schwarz Taiwan)を使用して、10GHzで硬化フィルムの誘電率及び損失正接を測定する。フィルムサンプルを9cm×13cmに切り出して、恒温環境で測定する。
(2)インピーダンス分析装置(メーカー及び型番:Keysight E4991A)によってサンプル材料の誘電率及び損失正接を測定する。厚さが200~400umであるフィルムを金属共振キャビティに置く、隙間がないように確実に押してから測定する。測定周波数は10GHzである。
【0147】
【0148】
表3の結果から分かるように、共重合硬化物(比較例2の硬化物)の場合、比較例2の硬化物の誘電率が2.85であることに対して、実施例8-1の硬化物の誘電率が2.68であり、同じレベルの誘電率を有する。比較例2の硬化物の損失正接が0.003に対して、実施例8-1の硬化物の損失正接が0.004であり、同じレベルの損失正接を有する。そのため、リン系構造を(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーに導入しても良好な誘電特性を維持できる。また、UL-94難燃性試験の結果から分かるように、本実施例のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー、及びエポキシ樹脂との共重合硬化物(実施例8-1の硬化物)は、VTM V-0レベルを達成できる。
【0149】
表3の結果から分かるように、自己架橋硬化物(比較例3の硬化物、実施例10-1の硬化物)の場合、比較例3の硬化物の誘電率が2.69であることに対して、実施例10-1の硬化物の誘電率が2.71であり、同じレベルの誘電率を有する。比較例3の硬化物の損失正接が0.007であることに対して、実施例10-1の硬化物の損失正接が0.004(10GHz)であり、同じレベルの損失正接を有する。そのため、リン系構造を(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーに導入しても良好な誘電特性を維持できる。
【0150】
上記をまとめると、本実施例のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマー及びその製造方法によれば、わずか3つの工程によってリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーを製造できる。そのため、本実施例の製造方法は、工程の簡単化、製造コストの削減等の効果を奏する。また、本実施例のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの分子量が低いため、優れた有機溶解性を有する。また、本実施例のリン系(2,6-ジメチルフェニルエーテル)オリゴマーの硬化物は、高ガラス転移温度、低誘電特性、優れた熱安定性、及び良好な難燃特性を有する。
【0151】
本発明は、上記実施例に限定されない。本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲で修正および改良が可能であることは当業者にとって明らかである。本発明の範囲は、請求の範囲のみによって限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6