(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】液体冷却型パワーエレクトロニクス
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20221116BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221116BHJP
H02K 11/33 20160101ALN20221116BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/20 B
H02K11/33
(21)【出願番号】P 2020533006
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2018082886
(87)【国際公開番号】W WO2019120915
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-08-12
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】バチストン、 アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ケフシ、 ライド
(72)【発明者】
【氏名】ル ヴェール、 ファブリス
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-333867(JP,A)
【文献】特開2015-018943(JP,A)
【文献】特開2003-017883(JP,A)
【文献】特開2015-021725(JP,A)
【文献】特開平05-280362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H05K 7/20
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの回路基板(3)上に取り付けられた少なくとも1つのパワー電子部品(2)を備えるパワーエレクトロニクスシステム(EP)を冷却するための装置(1)であって、前記冷却装置(1)は、周囲温度の流れ(5)を循環させるためのホース(4)を備え、前記冷却装置(1)は、パワー電子部品(2)に熱的に接続された第1の熱交換面(6)と、前記循環させる流れ(5)と熱交換する少なくとも1つの第2の熱交換面(7)であって、前記循環させる流れ(5)によって対流で熱を除去するように前記循環ホース(4)の内側に取り付けられた少なくとも1つの第2の熱交換面(7)と、を備
え、前記第2の熱交換面(7)は前記第1の熱交換面(6)に熱的に接続さ
れ、
前記第1の熱交換面(6)と前記第2の熱交換面(7)とを接続するヒートシンク(8)を備え、前記ヒートシンク(8)は、少なくとも前記流れを循環させるホース(4)を部分的に取り囲み、
前記第2の熱交換面(7)は、前記ヒートシンク(8)に接続された複数のフィン(9)によって支持され、前記複数のフィン(9)は前記ホース(4)の内側に環状に配置され、前記ホース(4)の壁からその中心に向かって収束することを特徴とする、冷却装置(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの回路基板(3)上に取り付けられた少なくとも1つのパワー電子部品(2)を備えるパワーエレクトロニクスシステム(EP)を冷却するための装置(1)であって、前記冷却装置(1)は、周囲温度の流れ(5)を循環させるためのホース(4)を備え、前記冷却装置(1)は、パワー電子部品(2)に熱的に接続された第1の熱交換面(6)と、前記循環させる流れ(5)と熱交換する少なくとも1つの第2の熱交換面(7)であって、前記循環させる流れ(5)によって対流で熱を除去するように前記循環ホース(4)の内側に取り付けられた少なくとも1つの第2の熱交換面(7)と、を備え、前記第2の熱交換面(7)は前記第1の熱交換面(6)に熱的に接続され、
前記第2の熱交換面(7)は、前記第1の熱交換面(6)に直接接続された複数のフィン(9)によって支持され、前記複数のフィン(9)は前記ホース(4)の内側でその中心に向かって収束することを特徴とする
、冷却装置(1)。
【請求項3】
前記パワーエレクトロニクスシステム(EP)はインバータであり、前記パワー電子部品(2)のいくつかは、前記第1の熱交換面(6)に接続されていることを特徴とする、請求項1
または2に記載の冷却装置(1)。
【請求項4】
前記流れ(5)を循環させるための前記ホース(4)は、内燃機関(M)用の吸気ホース(4)であることを特徴とする、請求項1から
3の何れか1項に記載の冷却装置(1)。
【請求項5】
少なくとも1つのパワー電子部品(2)を備える少なくとも1つの回路基板(3)を組み込んだ機械的ハウジング(10)を備えるパワーエレクトロニクスシステム(EP)において、請求項1から
4の何れか1項に記載の冷却装置(1)を備えることを特徴とする、パワーエレクトロニクスシステム(EP)。
【請求項6】
前記機械的ハウジング(10)は、前記機械的ハウジング(10)内部の熱を捕捉し、前記熱を前記流れ(5)に移動させるための複数のフィンを組み込むことを特徴とする、請求項
5に記載のパワーエレクトロニクスシステム(EP)。
【請求項7】
前記機械的ハウジング(10)は、ファンを組み込むことを特徴とする、請求項
5または
6に記載のパワーエレクトロニクスシステム(EP)。
【請求項8】
前記機械的ハウジング(10)は、前記機械的ハウジング(10)の内部で前記流れ(5)の一部を循環させるためのシステムを備えることを特徴とする、請求項
5から
7の何れか1項に記載のパワーエレクトロニクスシステム(EP)。
【請求項9】
前記パワーエレクトロニクスシステムは、電気機械(ME)に電力を供給することを特徴とする、請求項
5から
8の何れか1項に記載のパワーエレクトロニクスシステム(EP)。
【請求項10】
前記電気機械(ME)は、コンプレッサ(C)を駆動することを特徴とする、請求項
9に記載のパワーエレクトロニクスシステム(EP)。
【請求項11】
前記電気機械(ME)は、ターボチャージャ(Tc)のタービン(T)を駆動することを特徴とする、請求項
9に記載のパワーエレクトロニクスシステム(EP)。
【請求項12】
前記空気流は、前記コンプレッサ(C)の上流の前記電気機械(ME)、または前記ターボチャージャ(Tc)の前記タービン(T)の上流の前記電気機械(ME)を通って流れることを特徴とする、請求項
10または
11に記載のパワーエレクトロニクスシステム(EP)。
【請求項13】
前記電気機械(ME)は、前記ターボチャージャ(Tc)の前記コンプレッサ(C)と前記ターボチャージャ(Tc)の前記タービン(T)とを接続するシャフト(21)上に配置されることを特徴とする、請求項
10に記載のパワーエレクトロニクスシステム(EP)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパワーエレクトロニクスシステムの分野に関し、特に、内燃機関に特に使用されるスーパーチャージャシステムに給電する電気機械を制御するためのものである。より具体的には、本発明は、これらのパワーエレクトロニクスシステムを冷却する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特定のパワーエレクトロニクスシステムは、直流-交流パワーエレクトロニクスコンバータ、特にインバータであってもよく、その機能は、交流で動作する電気機械と直流電圧源とをインタフェースすることである。これらのインバータにより、変換に欠かせない様々な機能を果たすことができ、直流電圧源から電気量(電流、電圧、そして周波数)を整えることができる。したがって、これらのインバータによって実行される機能は、特に、電圧源を負荷または別の性質のソースとインタフェースで接続し、動作中の電圧および電流を制御し、ソース側であろうと負荷側であろうと、良好な電力品質を提供し、変換システム全体の電気的安定性を確保することである。
【0003】
一般的にいえば、パワーエレクトロニクスシステムは、特に、高周波でスイッチングする際に損失により熱を発生するパワー電子部品を含んでいる。発生した熱は、電力部品を、電力部品の性能が悪影響を受ける可能性がある温度にもたらし、それらの構造が損傷することさえある。これは、車両のボンネットの下の内燃機関の近くまたは上で動作している場合のような、熱制限のある環境では特にそうである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気部品の熱管理のこれらの問題を克服するために、種々の解決策が開発されている。例えば、文献US6930417B2は、インバータの電力部品が電気モータに直接取り付けられる電気モータと組み合わされたインバータを記載している。この概要では、インバータの電力部品は、水または液体の冷却回路によって冷却される。
【0005】
文献US005491370Aは、パワーエレクトロニクスをできるだけ電気機械の近くに組み込むことを記載している。電力部品は、電気機械のフレームの縁に配置される。この構造は、同様に水冷回路を使用する。最後に、他の解決策は、パワー電子部品を冷却するためにファンを使用することを提案する。
【0006】
従来技術のこれらの構造は、特に、設計または組み込みが困難な冷却システムの必要性、水冷回路またはファン、または内燃機関の近くに配置されたときに高温に耐える電力部品を使用する必要性のようないくつかの欠点を有する。これは、パワーエレクトロニクスシステムのための追加費用を伴う。
【0007】
したがって、本発明は上述した欠点を克服することを目的とし、駆動される電気機械にできるだけ近くに組み込まれつつ、設計が簡単で効果的なパワーエレクトロニクスシステムを冷却する解決策を提供することを目的とする。本発明は、設計コスト、電子部品のコスト、および部品と機械との配線材料の使用を制限することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、少なくとも上記の目的を達成するために、とりわけ、第1の側面によれば、本発明は、少なくとも1つの回路基板上に取り付けられた少なくとも1つのパワー電子部品を備えるパワーエレクトロニクスシステムを冷却するための装置であって、前記冷却装置は、周囲温度の流れを循環させるためのホースを備え、前記冷却装置は、パワー電子部品に熱的に接続された第1の熱交換面と、前記循環させる流れと熱交換する少なくとも1つの第2の熱交換面であって、前記循環させる流れによって対流で熱を除去するように前記循環ホースの内側に取り付けられた少なくとも1つの第2の熱交換面(7)と、を備えることを特徴とし、前記第2の熱交換面は前記第1の熱交換面に熱的に接続される。
【0009】
このようにして提供される冷却装置は、パワーエレクトロニクスシステムを冷却することを可能にする。これは、エレクトロニクスシステムの耐用年数が長くなることと、回路基板に組み込み易い安価でコンパクトな電子部品を使用することが可能になることとをもたらす。周囲温度、すなわち約20℃で流れを搬送する循環ホースを有することは、流れを所与の方向に制限された空間に導くことを可能にし、この流れをホースの構成に従って所望の位置にもたらすことを可能にする。さらに、ホースの適切なサイズを選択することによって、循環させる流れの速度および/または圧力および/または流量を制御することができ、これは、以下で説明するように、多かれ少なかれ熱を除去するのに特に有利であり得る。第1の熱交換面を有することの1つの利点は、この面が集熱器として作用することである。この熱は、発熱部品への近接によって、および/または、発熱部品との熱的接続によって電子部品から収集される。この第1の熱面は、一般に、熱交換ができるだけ迅速かつ効率的に熱伝導によって行われるように、電子部品の近くに配置される。
【0010】
第1の熱交換面に熱的に接続される第2の熱交換面を有することの利点は、第1の面から第2の面に、特に伝導によって、熱が移されることを可能にすることである。これらの2つの面は以下に記載されるように、直接的または間接的に接続され得る。循環ホースを通って循環させる流れの中に第2の熱交換面を配置することは、流れによって、特に対流効果によって、第2の面内と面上に蓄積された熱が除去されることを可能にする結果となる。流れは一般に、第2の熱交換面よりも冷たいので、熱の移動は第2の熱交換面から流れに発生する。
【0011】
本発明によれば、前記冷却装置は前記第1の熱交換面と前記第2の熱交換面とを接続するヒートシンクを備え、前記ヒートシンクは、少なくとも前記流れを循環させるホースを部分的に取り囲む。
【0012】
このようなヒートシンクの利点は、ホースを部分的に取り囲むその構造が、第1の熱交換面と第2の熱交換面との間、および第2の熱交換面と流れとの間の両方の熱交換を改善することを可能にすることである。具体的には、ホースを部分的に取り囲む構造を有することは、ヒートシンクの面積を増加させることを可能にする。この面積は、特に、第2の熱交換面を支えるのに役立ち、したがって、第2の熱交換面の熱交換面積を増加させることを可能にする。
【0013】
本発明によれば、前記第2の熱交換面は、前記ヒートシンクに接続された複数のフィンによって支持され、前記複数のフィンは前記ホースの内側に環状に配置され、前記ホースの壁からその中心に向かって収束する。フィンの形に第2の熱交換面を設計することは、ホースの壁面に沿った位置決めによって、大きな熱交換面積を有する冷却器のような装置を有することを可能にする。述べられているように、フィンの配置は、ホースを通って循環させる流れ全体を熱交換に使用することを可能にする。
【0014】
本発明によれば、前記第2の熱交換面は複数のフィンによって支持され、前記複数のフィンは前記第1の熱交換面に直接接続され、前記第1の熱交換面に垂直な前記循環ホース内に向けられる。このような構造は、特に、冷却器として作用するフィンによって、流れへの熱の良好な除去を確保しつつ、実装と構築とが簡単である。
【0015】
本発明によれば、前記第2の熱交換面は、前記第1の熱交換面に直接接続された複数のフィンによって支持され、前記複数のフィンは前記ホースの内側でその中心に向かって収束する。このようなフィンの配置は、実装が簡単かつ手っ取り早い構造を有することを可能にし、熱をホースの中心に運ぶことを可能にし、熱を熱除去が最適な循環させる流れの中に運ぶことを可能にする。
【0016】
本発明によれば、前記パワーエレクトロニクスシステムはインバータであり、前記パワー電子部品のいくつかは、前記第1の熱交換面に接続されている。
【0017】
このようにして、多くの熱を生成するインバータ装置では、最も熱を放出するパワー電子部品は、生成した熱を第1の熱交換面に迅速に伝えることになり、これにより、より迅速な除去が可能になる。
【0018】
本発明によれば、前記流れを循環させるための前記ホースは、内燃機関用の吸気ホースである。
【0019】
これにより、このようなシステムを燃焼エンジンの領域で使用することが可能になる。
【0020】
第2の側面によれば、本発明はパワーエレクトロニクスシステムに関し、前記システムは少なくとも1つのパワー電子部品を備える少なくとも1つの回路基板を組み込んだ機械的ハウジングを備え、前記パワーエレクトロニクスシステムは、上記のような冷却装置を備えることを特徴とする。
【0021】
このような冷却装置をパワーエレクトロニクスシステムという観点から使用する利点は、このシステムを簡単かつ効果的に冷却することを可能にし、このシステムを燃焼エンジンに非常に近い環境内に組み込むことを可能にし、電気機械との接続の長さを減らすことを可能にすることである。
【0022】
本発明によれば、前記機械的ハウジングは前記機械的ハウジング内部の熱を捕捉し、前記熱を流れに移動させるための複数のフィンを組み込む。これらのフィンは、冷却装置のフィンに加えて、さらなる熱除去の有効性を増すことができる。
【0023】
本発明によれば、前記機械的ハウジングはファンを組み込む。
【0024】
このようなファンの利点は、ハウジング内部の空気を循環させ、フィンとの熱交換を加速することである。このファンは、フィンに付加することができ、コンパクトなサイズであり、空気を循環させることができるサイズであってもよい。
【0025】
本発明によれば、前記機械的ハウジングは、前記機械的ハウジングの内部で前記流れの一部を循環させるためのシステムを備える。
【0026】
このような循環システムの利点は、ハウジング内、特に、電力部品と第1の熱交換面との間の熱交換を加速することである。
【0027】
本発明によれば、前記パワーエレクトロニクスシステムは、電気機械に電力を供給する。このようにして、駆動される電気機械にできるだけ近い位置に配置し、特に、配線や空間を節約することを可能にするエレクトロニクス装置で、燃焼エンジンの電気機械を駆動することができる。
【0028】
本発明によれば、前記電気機械はコンプレッサを駆動する。このようにして、コンパクトで実装が容易な燃焼エンジン用スーパーチャージャシステムを有することができる。
【0029】
本発明によれば、前記電気機械は、ターボチャージャのタービンを駆動する。
【0030】
本発明によれば、前記空気流は、前記コンプレッサの上流の前記電気機械、または前記ターボチャージャの前記タービンの上流の前記電気機械を通って流れる。
【0031】
このようにして、流れは周囲温度になる。
【0032】
本発明によれば、前記電気機械は、前記ターボチャージャの前記コンプレッサと前記ターボチャージャの前記タービンとを接続するシャフト上に配置される。
【0033】
本発明による方法の他の特徴および利点は、以下に記載される添付の図面を参照して、1つの非限定的な例示的な実施形態の以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】第1実施形態における本発明による装置を示す図である。
【
図2】第2実施形態における本発明による装置を示す図である。
【
図3】第3実施形態における本発明による装置を示す図である。
【
図4】電気機械によって駆動されるターボチャージャの場合の第1の構成による装置を示す図である。
【
図5】電気機械によって駆動されるターボチャージャの場合の第2の構成による装置を示す図である。
【
図6】電気機械によって駆動されるターボチャージャの場合の第3の構成による装置を示す図である。
【
図7】コンプレッサの場合に組み込まれた装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
一般に、提案した解決策は、内燃機関(M)を含むパワートレインに位置する電気機械(ME)に電力供給するためのパワーエレクトロニクス(EP)で構成される。これらの電気機械(ME)は、例えば内燃機関の過給に使用されてもよいし、コンプレッサ(C)またはターボチャージャ(Tc)であってもよいが、限定されない。これらのパワーエレクトロニクス(EP)は、
図1に見られるように、電子部品が実装される複数の回路基板(3)を備えることができる。パワーエレクトロニクスシステム(EP)がインバータであり、各種電気機械(ME)と電流源とをインタフェースする役目を果たす場合、パワーエレクトロニクスシステム(EP)は、パワー電子部品(2)を備えている。これらのパワー電子部品(2)は、回路基板(3)上に組み込まれている。回路基板(3)は、機械的ハウジング(10)内に組み込まれている。本発明の観点から、パワー電子部品(2)は、流れ(5)を循環させるホース(4)を通って循環させる流れ(5)によって冷却される。内燃機関(M)の場合、このホース(4)は、エンジン(M)用の吸気ホース(4)である。このホース(4)に取り入れられる空気の温度は、一般的に周囲の空気の温度に近くなる(標準状態の下で20℃前後)。加えて、ホース(4)に取り入れられる空気の流量は、一般にエンジン(M)によって必要とされる動力に比例する。本発明は、この流れ(5)を循環させるホース(4)に結合された冷却装置(1)を使用する。冷却装置(1)の第1の実施形態を示す
図1からわかるように、パワーエレクトロニクスシステム(EP)を冷却する装置(1)は、第1の熱交換面(6)を備える。この第1の熱交換面(6)は、種々の要素間で熱移動が行われる面である。この第1の熱交換面(6)は、パワー電子部品(2)に熱的に接続されている。パワー電子部品(2)に熱的に接続されていると、パワー電子部品(2)から熱が集められ、温度勾配を介して第1の熱交換面(6)によって移される。この第1の熱交換面(6)は、熱伝導性の回路基板の内面に位置していてもよい。さらに、冷却装置(1)は、また、第1の熱交換面(6)に熱的に接続された少なくとも1つの第2の熱交換面(7)を備え、それを通って熱が除去される。このために、第2の熱交換面(7)はホース(4)を通って循環させる流れ(5)に熱的に接続されており、この場合、第2の熱交換面(7)は、循環させる流れ(5)との対流によって熱を除去するように流れ(5)を循環させるホース(4)の内側に取り付けられている。熱が流れ(5)の中に取り除かれるのは、第2の熱交換面(7)からである。この第1の実施形態の観点から、ヒートシンク(8)などの追加部品が第1の熱交換面と第2の熱交換面とを接続する。
図1から分かるように、このヒートシンク(8)は少なくとも部分的にホース(4)を取り囲む。第2の熱交換面(7)はフィン(9)によって支持される。これによって理解されるべきことは、第2の熱交換面(7)はフィン(9)の外面によって形成されることである。これらのフィン(9)は、機械的および熱的にヒートシンク(8)に接続され、また、熱的にも、第1の熱交換面(6)とパワー電子部品(2)とに接続されている。これらのフィン(9)は、種々の形状および配置を想定することができる。第1の実施形態では、フィン(9)はホース(4)の周囲に環状に配置され、それらはホース(4)の壁からその中心に向かって収束する。熱をうまく伝導するために、フィン(9)およびヒートシンク(8)は、熱伝導性材料で作られる。フィン(9)の大きさは、厚さおよび長さが異なってもよいが、それらはホース(4)を通る流れ(5)の通路に干渉しないような大きさである。フィン(9)とヒートシンク(8)とは、一体で作られてもよい。
【0036】
別の実施形態を
図2に見ることができ、ここでは、1つ以上の第2の熱交換面(7)が第1の熱交換面(6)に直接、すなわち機械的および熱的に接続され、材料を介した伝導を制限するフィン(9)によって支持される。第2の熱交換面(7)は、フィン(9)の外面により形成される。この場合、フィン(9)は、第1の熱交換面(6)に垂直で、循環させるホース(4)内に向けられる。同様に、フィン(9)の大きさは、厚さおよび長さが異なってもよく、また、それらはホース(4)を通る流れ(5)の通路に干渉しないような大きさである。フィン(9)も、熱伝導性材料で作られる。
【0037】
冷却装置(1)の第3の実施形態を示す
図3に見られるように、1つ以上の第2の熱交換面(7)は、第1の熱交換面(6)に直接接続されたフィン(9)によって支持され、この場合、フィン(9)はホースの内側でホースの中心に向かって収束する。
【0038】
これらの異なる実施形態では、これらの冷却装置(1)は、インバータハウジングの最適な熱管理を確保する高い気流によって冷却されるにつれて、それらが最適な熱条件下で作動するので、より安価な電力部品(2)を使用することを可能にする。これにより、満足な性能のレベルを確保しつつ、パワーエレクトロニクスシステム(EP)のコストを低減することができる。さらに、1つの利点は、前述のような、特に、専用ファン(これはさらに、システムによって消費される電力を制限する)または水回路のような冷却液を循環させる装置の何れかである冷却装置の取り付けを省略することができることにある。このような冷却システムは、さらに、内燃機関(M)に非常に近い環境内にパワーエレクトロニクスシステム(EP)を組み込むことが可能になり、有利には、電気機械(ME)との接続部の長さが小さくなるという結果になる(したがって、EMCにおける制約が軽減される)。
【0039】
この種の解決策は、コンパクトで一体化された電気機械(ME)およびインバータ解決法を提供することを可能にするので、スーパーチャージャ部材に電力を供給する部品であるパワーエレクトロニクス(EP)にとって特に満足すべきものである。具体的には、この特定の場合、パワーエレクトロニクス(EP)は、電気機械(ME)にできるだけ近接して配置されてもよい。
【0040】
前述の3つの実施形態では、機械的ハウジング(10)は、追加のフィン(図示せず)を組み込むこともできる。それらは、機械的ハウジング(10)内部の熱を集め、それを、ホース(4)を通って循環させる流れ(5)に移すことを可能にする。
【0041】
機械的ハウジング(10)は、ファン(図示せず)を組み込んでもよい。このファンの目的は上述の専用ファンとは異なり、機械的ハウジング(10)内部の空気を「混合」することであり、したがって、追加のフィン間の熱交換を推進することである。機械的ハウジング(10)は、また、上記の異なる実施形態では、機械的ハウジング(10)の内部で、流れ(5)の一部を循環させるシステムを含むことができる。これにより、内部空気の冷却を高めることができる。
【0042】
図4は、1つまたは複数のピストン(20)を備える内燃機関(M)用のターボチャージャ(Tc)を示す。ターボチャージャ(Tc)は、軸(21)によってタービン(T)に接続されたコンプレッサ(C)、電気機械(ME)、吸気ホース(4)およびスーパーチャージャ冷却器(R)から構成される。パワーエレクトロニクスシステム(EP)は、空気温度が比較的適度(<50℃)である例えば空気コンプレッサ(C)の上流に配置することができ、2つの部材間のケーブルの長さを減少させることができる(効率を増加させ、EMC損失を制限することなど)。図示した実施形態の場合、電気機械(ME)は、ターボチャージャ(Tc)のコンプレッサ(C)とタービン(T)とを接続するシャフト(21)上に配置される。
【0043】
図4と同じターボチャージャ(Tc)を示す
図5から分かるように、パワーエレクトロニクス(EP)は、空気温度が全ての運転条件で適度な温度になるように制御されるスーパーチャージャ冷却器(R)の下流に配置することもできる。図示した実施形態において、電気機械(ME)は、コンプレッサ(C)とターボチャージャ(Tc)のタービン(T)とを接続するシャフト(21)上に配置される。電気機械(ME)がコンプレッサ(C)側に配置されている場合、
図6から分かるように、ちょうど1つの同じ部品を形成するように、これらのパワーエレクトロニクス(EP)を電気機械(ME)内に組み込んでもよい。この構成は、2つの部材間のケーブルの長さを可能な限り短い長さにすることができる。
【0044】
図7は、ただ1つの同じ部品を形成するように、電気機械(ME)内に組み込まれたパワーエレクトロニクス(EP)にコンプレッサ(C)を備えた内燃機関(M)の場合を示す。この構成は、2つの部材間のケーブルの長さを可能な限り短い長さにすることができる。
【0045】
言及された全ての場合において、このパワーエレクトロニクス解決策は、燃焼エンジン(M)からの振動の濾過および減衰を可能にするシステムを介して、燃焼エンジンに機械的に接続される。
【0046】
気流が通過する電気機械(ME)(「エアギャップ」または「固定子格子」機械)の特定の場合は、機械とパワーエレクトロニクス機能とを組み合わせることさえ可能である。空間、冷却回路、システムの総原価の見地から節約がなされる。
【0047】
言うまでもなく、本発明は、例として上述した冷却装置のこれらの実施形態だけに限定されるものではなく、むしろ全ての変形例を包含する。