(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】低温通過加湿制御を行う換気システム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/16 20060101AFI20221116BHJP
F24F 6/02 20060101ALI20221116BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
A61M16/16 Z
F24F6/02 Z
F24F6/00 E
(21)【出願番号】P 2020533851
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2018085598
(87)【国際公開番号】W WO2019121749
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-15
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヘーテ,ベルナルト
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104645469(CN,A)
【文献】特開2001-276223(JP,A)
【文献】特開2013-71004(JP,A)
【文献】国際公開第2010/146870(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
F24F 6/02
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気システムであって:
ベンチレータの内部温度を下げるように構成された冷却ファンを有するベンチレータ;
前記ベンチレータの動作を制御するように構成されたコントローラ;及び
前記ベンチレータが低温通過加湿(CPH)装置に接続されている場合に検出信号を発生するように構成された検出器;
を有し、前記検出信号に応答して、前記コントローラは、前記冷却ファンの動作を、前記ベンチレータのデフォルト動作モードと比較して、変更、低減、又は排除するように構成されている、換気システム。
【請求項2】
前記検出器は、通信リンクを介する前記CPHデバイスとの通信を前記ベンチレータが確立することを可能にする通信装置を含む、請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
前記通信装置は前記ベンチレータの1つ以上の通信ポートを含み、前記通信リンクは前記ベンチレータと前記CPH装置との間に接続されたケーブルを含む、請求項2に記載の換気システム。
【請求項4】
前記通信装置は送信機、受信機、又は無線機を含み、前記通信リンクは無線通信を含む、請求項2に記載の換気システム。
【請求項5】
前記検出器は、前記CPH装置に特有の導管の特徴を検出するように構成されたセンサを含む、請求項1に記載の換気システム。
【請求項6】
前記冷却ファンは、前記デフォルト動作モードにある場合は常に動作している、請求項1に記載の換気システム。
【請求項7】
前記冷却ファンは、前記コントローラが前記冷却ファンの動作を変更、低減、又は排除した後に、前記デフォルト動作モードにおけるものより相対的に速い速度で動作する、請求項1に記載の換気システム。
【請求項8】
前記冷却ファンは前記検出信号に応じてターン・オフにされる、請求項1に記載の換気システム。
【請求項9】
前記冷却ファンが前記デフォルト動作モードでは動作したであろうが、前記ベンチレータが前記冷却ファンの動作を変更した後では前記冷却ファンは動作しない内部温度の範囲が存在するように、前記ベンチレータは構成されている、請求項1に記載の換気システム。
【請求項10】
前記ベンチレータは、前記ベンチレータの前記内部温度を監視する温度センサを更に有する、請求項1に記載の換気システム。
【請求項11】
前記内部温度は、前記ベンチレータ内の1つ以上の電気的又は機械的な構成要素、前記1つ以上の電気的又は機械的な構成要素周辺の一定量の空気、又はそれらのうちの少なくとも1つを含む組み合わせに対応している、請求項1に記載の換気システム。
【請求項12】
低温通過加湿(CPH)装置を有する換気システムの作動方法であって:
ベンチレータが前記CPH装置に接続されているか否かを検出するステップ;
前記検出に応答して検出信号を発生するステップ;
前記検出信号に応答して前記ベンチレータをデフォルト動作モードから変更するステップ;及び
変更する前記ステップの結果として、前記デフォルト動作モードと比較して、前記ベンチレータの冷却ファンの動作を低減又は排除するステップ;
を有する方法。
【請求項13】
前記ベンチレータの空気流生成器で空気流を生成するステップ;及び
前記空気流を前記CPH装置へ方向付けるステップ;
を更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ベンチレータのコントローラで前記検出信号を受信するステップを更に有し、前記変更するステップは前記コントローラにより実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記検出するステップは検出器によって実行され、前記検出器は、前記ベンチレータ又は前記CPH装置の通信装置、ケーブル、通信ポート、トランシーバ、受信機、無線機、センサ、前記CPH装置に特有の導管の特徴、又はそれらの少なくとも1つを含む組み合わせを有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に医療用換気システム、特に、患者への空気の流れを加湿するための低温通過加湿装置(cold passover humidification devices)を含む換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
低温通過加湿(CPH)は、換気ガスを加湿するための既知の方法であり、ベンチレータ出力流が水蒸気を捕捉するために水面上を通過する。この方法は、水に熱エネルギーを加えずに空気を加湿するので、「低温通過加湿」と言及される。換気システムにおいてCPHを使用する利点は、他の加湿技術と比較して製造及び操作が比較的簡単で安価であることに加えて、CPHがパワー又は指定されたヒーターなしに動作することである。
【0003】
しかしながら、指定されたヒーターが欠如していることは、CPHが空気の流れを加湿するために比較的限られた能力を有するというトレードオフの結果を生じる。即ち、熱は加えられないので、いかなる蒸発も、流れる気流からCPH装置内の水に伝達される熱の結果として生じる。従って、CPHプロセスによって達成される加湿量は、様々な経路で制限される。例えば、室温の空気は、体温の空気よりもはるかに少ない水分を保持する可能性がある。また、水が蒸発するにつれて、それが出て行く表面を冷却し、その蒸発は、接触する気流の冷却を引き起こし、それにより、水の保水力を更に低下させる一方で、比較的冷たい気流を患者に提供し、これは望ましくない可能性がある。更に、水の蒸発はエネルギー集約的であり、空気は一般に熱容量が乏しいので、このプロセスのためにエネルギーを伝達するのに一般に良好な媒体ではない。
【0004】
従って、CPHの相対的なコスト、簡単さ、及び動作上の利点を享受しながら、改善されたレベルの加湿を提供する換気システムに対するニーズが当該技術分野に存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、例えば患者に対する換気中に空気を加湿するための発明システム及び方法に関する。本開示の方法は、ベンチレータがCPH装置に接続されているか否かを検出器により検出することを含む。CPH装置の検出を示す信号に応答して、ベンチレータのコントローラは、デフォルト動作モードと比較して、ベンチレータの冷却ファンの動作を低減又は排除する。冷却ファンの動作の減少又は排除は、ベンチレータの内部温度の相対的な上昇をもたらし、ベンチレータによって発生させられる、患者に対して発生させられる空気流の温度を上昇させる。空気流の温度の上昇は、空気流がCPH装置のチャンバを通過する場合に、上昇した加湿レベルが生じることを可能にする。
【0006】
一般に、一態様では換気システムが提供される。システムは、ベンチレータの内部温度を下げるように構成された冷却ファンを有するベンチレータ;ベンチレータの動作を制御するように構成されたコントローラ(30);及びベンチレータが低温通過加湿(CPH)装置(14)に接続されている場合に検出信号を発生するように構成された検出器(36)を有し、検出信号に応答して、コントローラは、冷却ファンの動作を、ベンチレータのデフォルト動作モードと比較して、変更、低減、又は排除するように構成されている。
【0007】
一実施形態において、検出器は、通信リンクを介するCPHデバイスとの通信をベンチレータが確立することを可能にする通信装置を含む。一実施形態において、通信装置はベンチレータの1つ以上の通信ポートを含み、通信リンクはベンチレータとCPH装置との間に接続されたケーブルを含む。一実施形態において、通信装置は送信機、受信機、又は無線機を含み、通信リンクは無線通信を含む。
【0008】
一実施形態において、検出器は、CPH装置に特有の導管の特徴を検出するように構成されたセンサを含む。一実施形態において、冷却ファンは、デフォルト動作モードにある場合は常に動作している。一実施形態において、冷却ファンは、コントローラが冷却ファンの動作を変更、低減、又は排除した後に、デフォルト動作モードにおけるものより相対的に速い速度で動作する。一実施形態において、冷却ファンは検出信号に応じてターン・オフにされる。
【0009】
一実施形態において、冷却ファンがデフォルト動作モードでは動作したであろうが、ベンチレータが冷却ファンの動作を変更した後では冷却ファンは動作しない内部温度の範囲が存在するように、ベンチレータは構成されている。一実施形態において、ベンチレータは、ベンチレータの内部温度を監視する温度センサ(52)を更に有する。一実施形態において、内部温度は、ベンチレータ内の1つ以上の電気的又は機械的な構成要素、1つ以上の電気的又は機械的な構成要素周辺の一定量の空気、又はそれらのうちの少なくとも1つを含む組み合わせに対応している。
【0010】
一態様によれば、低温通過加湿(CPH)装置を有する換気システムの作動方法が提供される。方法は、ベンチレータがCPH装置に接続されているか否かを検出するステップ;検出に応答して検出信号を発生するステップ;検出信号に応答してベンチレータをデフォルト動作モードから変更するステップ;及び変更するステップの結果として、デフォルト動作モードと比較して、ベンチレータの冷却ファンの動作を低減又は排除するステップを有する。
【0011】
一実施形態において、方法は、ベンチレータの空気流生成器で空気流を生成するステップ;及び空気流をCPH装置へ方向付けるステップを更に含む。方法は、ベンチレータのコントローラで検出信号を受信するステップを更に有することが可能であり、変更するステップはコントローラにより実行される。一実施形態において、検出するステップは検出器によって実行され、検出器は、ベンチレータ又はCPH装置の通信装置、ケーブル、通信ポート、トランシーバ、受信機、無線機、センサ、CPH装置に特有の導管の特徴、又はそれらのうちの少なくとも1つを含む組み合わせを有する。
【0012】
前述の概念及び以下で詳細に議論される追加の概念の全ての組み合わせは(そのような概念が相互に矛盾しない限り)、本明細書に開示される発明対象事項の一部であると考えられることが理解されるべきである。特に、本開示の末尾にある請求される対象事項の全ての組み合わせが、本明細書に開示される発明対象事項の一部であるように意図されている。本明細書に明示的に用いられ、援用により組み込まれる任意の開示にも現れる可能性のある用語は、本明細書に開示された特定の概念と最も整合する意味に合致しているべきであることも認められるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面において、同様の参照符号は様々な図面を通じて概して同一の部分を指す。また、図面は必ずしも寸法通りではなく、むしろ本発明の原理を例示することに概ね重点を置いている。
【0014】
【
図1】本願で開示される一実施形態による換気システムを概略的に示す。
【0015】
【
図2】
図1のシステムのようなベンチレータ・システムの冷却ファンの動作モードの比較を概略的に示す。
【0016】
【
図3】
図1のシステムのようなベンチレータ・システムの作動方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、換気システム及び換気システムを動作させる方法の様々な実施形態を述べている。より一般的には、ベンチレータ(例えば、人工呼吸器)が低温通過加湿(CPH)装置に接続されたことを検出する検出器を有する換気システムを提供すること、及びそのように接続された場合にベンチレータの動作を調整することは有益であることを、出願人は認識及び評価している。本開示の所定の実施形態の特定のゴールは、追加のヒーターを必要とせずに、ベンチレータによってCPH装置に供給される空気流の温度を上昇させることである。
【0018】
上記を踏まえて、種々の実施形態及び実装は、例えば患者に対する換気中に空気を加湿するためのシステム及び方法に方向づけられている。本開示の方法は、ベンチレータがCPH装置に接続されているか否かを検出器により検出することを含む。CPH装置の検出を示す信号に応答して、ベンチレータのコントローラは、デフォルトの動作モードと比較して、ベンチレータの冷却ファンの動作を低減又は除去する。冷却ファンの動作の低減又は除去は、ベンチレータの内部温度の相対的な上昇をもたらし、その上昇はベンチレータによって発生させられる、患者に対して発生させられる空気流の温度を上昇させる。空気流の温度の上昇は、空気流がCPH装置のチャンバを通過する場合に、加湿レベルの増加が生じることを可能にする。
【0019】
図1を参照すると、一実施形態では、換気システム10は、ベンチレータ12及び低温通過加湿(CPH)装置14を備えている。ベンチレータ12は、加圧された空気流を、ベンチレータ12内のチャネル18を介して、ベンチレータ12の出口20へ供給する空気流発生器16を含む。出口20は、ベンチレータ12とCPH装置14との間に結合された導管(又はチューブ)22に接続される。空気流発生器16は、空気流を提供するための任意の装置又は機構である可能性がある。例えば、一実施形態では、空気流発生器16は、モータによって駆動されるポンプ又はファンを含む。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「空気」という用語は、システム10により患者に提供される任意の呼吸可能なガスの混合物を指すことが理解されるべきである。この呼吸可能なガスの混合物、従って、本願で言及される「空気」は、周囲環境において自然には見出されない気体成分若しくは物質、又は自然に見出されるものとは異なるパーセンテージの成分若しくはは物質(例えば、より高いパーセンテージの酸素、ヘリウムなど)を含み、これらは、ベンチレータ12による種々の処置又は手順を補助するのに有用である。
【0021】
一般に、CPH装置14は、水の空気中へ蒸発(空気流の加湿)を可能にするために、一定量の水25に対して開放された空気チャンバ24を含む。本開示の文脈において、「水」とは、空気流に湿気を加えるように望まれる任意の水性混合物を意味する。CPH装置の入口26は、導管22に接続され、空気流を空気チャンバ24内に導く。CPH装置14の出口27は導管(又はチューブ)28に接続され、導管は最終的には患者に至る。このようにして、空気流発生器16から、チャンネル18、出口20、導管22、入口26、空気チャンバ24、出口27、及び導管28を経て患者に至り、即ち空気流を利用して呼吸する患者を補助するための空気流の経路が形成される。CPH装置14は、当技術分野において既知の又は発見された任意のCPH装置の他の特徴、形態、又は機能の任意の組み合わせを含むことができる。
【0022】
ベンチレータ12は、ベンチレータ12の動作を制御するように配置されたコントローラ30を含む。例えば、コントローラ30は、プログラミング・コード又は他の命令のようなソフトウェアを実行するように構成されたプロセッサ32のようなコンピュータ・ハードウェアと、前述のソフトウェアのようなデータ又は情報を記憶するためのメモリ34とを含むことができる。コントローラ30は、当該技術分野において既知の又は発見された任意のベンチレータの特徴を提供するように構成されることが可能である。更に、コントローラ30は、以下において更に詳細に説明するように、ベンチレータ12がCPH装置14に接続されていることを示す信号を受信し、この信号に応答してベンチレータ12の動作を制御するように構成される。
【0023】
ベンチレータ12のようなベンチレータは、典型的には、種々の異なる処置のために使用可能であり、従って、低温通過加湿器のような選択された補助装置を含むか又は含まずに、患者に接続可能であるように設計される。従って、システム10は、ベンチレータ12が、患者又は他の装置に直接的に接続されるのではなく、CPH装置14に接続されているか否かを検出するように構成された検出器(又はCPH検出器)を含む。CPH検出器の種々の実施形態が本明細書で開示され、図面に示されており、議論のために個々の実施形態が容易に識別されることを可能にするために、アルファベット識別子(即ち、「a」、「b」など)を付した参照番号36とともに提供されることが可能である。「検出器(36)」又は「CPH検出器(36)」(アルファベット識別子なし)を参照して行われる何れの説明も、本明細書に開示された検出器の何れか/全てに一般的に適用可能であることが理解されるべきである。
【0024】
図1は、CPH検出器のための様々な実施形態を開示している。一実施形態では、CPH検出器36aは、ベンチレータ12のコントローラ30の一部である通信装置38、又は他の方法でコントローラ30と通信可能に接続された通信装置38を含む。通信装置38は、通信リンク42によって示されるように、例えばCPH装置14の通信装置40を介して、ベンチレータ12とCPH装置14との間の通信を可能にするように構成された任意の構成要素、デバイス、アセンブリ、又は装置であってもよい。通信装置40は、プロセッサ、メモリ等を含む可能性があり、所望であれば、CPH装置14の動作を可能にし、及び/又は促進するために、コントローラとして追加的に配置されるか、又はコントローラに接続される可能性がある。
【0025】
一実施形態では、通信装置38は、ベンチレータ12のコントローラ30とCPH装置14の通信装置40との間の信号通信を可能にするために、CPH装置14に結合されるか又は同様に結合されることが可能なケーブルに結合されるか又は結合されることが可能な、ベンチレータに設けられる1つ又は複数の通信ポートであってもよいし、又はそれを含んでもよい。この実施形態では、従って通信リンク42はケーブル又はその他の「有線」接続によって物理的に形成されてもよい。一実施形態では、通信装置38は、ベンチレータ12がCPH装置14と無線で通信することを可能にするように配置された送信機、受信機、無線機、又はその他の無線通信装置を含むことができる。従って、この実施形態における通信リンク42は、無線接続であるか、又は無線接続を含むことになるであろう。無線接続の作成に使用されることが可能な技術/プロトコルの具体例は、RFID、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、近距離通信などを含む。検出器36aに関してこれらの実施形態では、コントローラ30は、通信装置40の識別子を検出し、それをCPH装置14に対応するものとして認識するように構成されてもよく、コントローラ30は、通信装置40及び/又はCPH装置14の識別子を提供するように要求する信号を通信装置40に送信するように構成されてもよく、及び/又はコントローラ30は、通信装置40及び/又はCPH装置14の存在及び識別子を「通知」する信号を通信装置40から受信するように構成されてもよい。
【0026】
図1はまた、一実施形態によるCPH検出器36bを示す。検出器36bは、出口20に近接して含まれるセンサ44を含む(例えば、出口20に埋め込まれているか、隣接しているか、又は出口20の近傍にある)。センサ44は、様々なタイプの導管どうしを区別するために、出口20に接続された導管の存在及び識別子を検出するように構成される。従って、この実施形態では、様々な導管が様々な目的に使用されることが意図されており、例えば、導管22はCPH装置14に接続するようにしか意図されていない。換言すれば、この実施形態における導管22は、CPHデバイス14に特有である。このために、導管22は、センサ44によって検出可能であり且つ導管22に固有の特徴46を含む(例えば、導管28は、特徴46を含まず、従ってセンサ44によっては検出されないであろう)。このようにして、センサ44は、導管22に固有であってCPH装置14に固有の特徴46を検出し、従って、固有の特徴46が識別された場合には、コントローラ30に信号を送信するように構成され、その信号はCPH装置14がベンチレータ12に接続されていることを示す。
【0027】
一実施形態では、センサ44は、磁場の変化に応答するホール効果センサ、リード・スイッチなどであり、特徴46は、センサ44によって識別可能な磁性要素(例えば、磁石又はフェライト)であるか、又はそれを含む。この実施形態では、他の導管、例えば導管28は、磁性応答要素を含まず、従ってセンサ44によって検出されないであろう。別の実施形態では、センサ44は、物理的スイッチ、ボタン、レバーなどを含み、特徴46は、導管22が出口20に取り付けられた場合にセンサ44を物理的にトリガするように、センサ44に対応してセンサ44に整合する突起又は物理的な幾何学形状を含む。一実施形態では、センサ44及び特徴46は、RFIDのような無線技術を可能にする対応する電気構成要素を含む。一実施形態では、センサ44及び特徴46は、導管22が出口20に接続された場合に信号を生成するように整合して係合される電気接点を含む。
【0028】
本明細書における開示を考慮すると、当業者は、これらが可能な実施形態の一部に過ぎずないこと、及びベンチレータ12がCPH装置14に接続されているか否かを検出するように構成され得る代替的及び追加的な方法が存在することを認識するであろう。更に、
図1のシステム10は、検出器36a及び36bの両方で示されているが、コントローラ30によって受信されるCPH検出信号に関し、これらの検出器のうちの唯1つ(又は不図示の実施形態による代替的な検出器)が含まれることを必要とすることが理解されるべきである。当然に、冗長性のため及び/又はCPH装置の様々なモデル/製造業者の固有の特徴を検出することに応じるために、検出器36のうちの複数のものがベンチレータ12に包含されてもよい。
【0029】
上述のように、コントローラ30は、ベンチレータ12がCPH装置14に接続されていることを示す信号をコントローラ30が検出器36から受信したことに応答して、ベンチレータ12の動作を制御するように構成される。より具体的には、ベンチレータ12は、コントローラ30がCPH検出信号を受け取ったことに応答して制御される冷却ファン50を含む。冷却ファン50は、例えばベンチレータ12の電気的及び/又は機械的な構成要素によって発生した熱を強制的に排出することによって、ベンチレータ12の内部温度を低下させるように構成される。例えば、プロセッサ32のような電気的構成要素、又は空気流発生器16のモータのような機械的構成要素は、動作中にかなりの廃熱を発生させる可能性がある。冷却ファン50は、この廃熱をベンチレータ12から排気し、それによってベンチレータ12の構成要素を冷却し、ベンチレータ12の内部温度を低下させるように構成されることが可能である。
【0030】
温度センサ52は、ベンチレータ12の内部温度を測定するために含まれていてもよい。温度センサ52は、例えばコントローラ30を取り囲む一定量の空気、又はベンチレータ12の他の電気的又は機械的な構成要素の空気温度を測定することができる。追加的又は代替的に、温度センサ52は、ベンチレータ12のうちの特に重要な又は敏感な構成要素、例えばプロセッサ32の温度を測定してもよい。一実施形態では、複数の温度センサ52が、複数の異なる位置/構成要素におけるベンチレータ12の内部温度を測定するために含まれる。
【0031】
コントローラ30によって検出信号が検出器36から受信されたことに応答して、コントローラ30は、デフォルト動作モードから別の動作モード(以後、「CPHモード」という)へ、動作モードを変更することによって、ベンチレータ12及び/又は冷却ファン50の動作を変更するように構成される。一実施形態では、これは、冷却ファン50の動作が、デフォルト動作モードと比較して、低減又は排除される結果となる。
図2は、冷却ファン50の動作モード間の相違を説明するのを支援するために提供されている。
図2には、矢印54aで表される第1デフォルト・モード、矢印54bで表される第2デフォルト・モード、及び矢印56で表されるCPHモードが示されている。説明の便宜上、各動作モードは、そのモードを表す矢印の参照番号によって言及される可能性がある。
【0032】
一実施形態では、
図2の矢印54a、54b、及び56は、対応する動作モードにあるときに冷却ファン50が動作する(即ち、オンにされる)ベンチレータ12の温度範囲(例えば、温度センサ52によって測定される)にわたって延びている。一実施形態では、矢印54a、54b、及び56は、冷却ファンが第1パフォーマンス・レベル、速度、又は設定(例えば、「オフ」又は「低」)から、相対的により有効な第2パフォーマンス・レベル、速度、又は設定(例えば、「オン」又は「高」)に遷移する温度範囲にわたって延びる。
【0033】
図2に示すように、第1デフォルト・モード54aは、ベンチレータ12の内部温度にかかわらず(ベンチレータ12がオンになっていることを前提とする)、冷却ファン50が常に作動している「常時オン」動作モードに対応する。第2デフォルト・モード54bは、冷却ファン50が、デフォルト閾値温度T
Dを超える温度においてのみ、パフォーマンス・レベル(例えば、オン及びオフ、又は高及び低)の間で遷移するという点で異なる。換言すれば、ベンチレータ12の内部温度が過剰に高くなると、冷却ファン50はオンになるだけであるか、又はより高速の設定に変わる。
【0034】
CPHモード56は、CPH閾値温度T
CPHにおいて異なるパフォーマンス・レベルの間で冷却ファン50が遷移するという点で、デフォルト・モード54bと同様である。しかしながら、
図2では、CPH閾値温度T
CPHがデフォルト閾値温度T
Dよりも大きいことが分かる。これは、冷却ファン50が、デフォルト動作モードの1つにある場合には動作したであろうが、CPHモード56に従って動作する場合にはそうではないという温度範囲をもたらす。即ち、その温度範囲は、第1デフォルト・モード54aについてはT
CPHより低い任意の温度(T<T
CPH)、又は第2デフォルト・モード54bについてはT
D及びT
CPHの間の任意の温度T(T
D<T<T
CPH)である。換言すれば、CPH検出信号に応答して、コントローラ30は、そのデフォルト動作モード(デフォルト・モード54a又は54bのいずれか)における冷却ファン50の動作と比較して、冷却ファン50の動作を意図的に低減又は排除する。
【0035】
冷却ファン50の動作の低減又は排除は、ベンチレータ12の内部温度(例えば、温度センサ52によって測定されるようなもの)を上昇させる。この内部温度の上昇は、それに対応して、チャネル18内の空気の温度を上昇させる。例えば、冷却ファン50及びその他の構成要素が空気発生器16及びチャンネル18から分離又は隔離されている場合、チャンネル18の壁は、ベンチレータ12が熱交換器として効果的に活動することを可能にし、(冷却ファン50の動作の低減又は排除による)余分な熱を、チャンネル18の壁を通じてチャンネル18内の空気に供給する。更に、ベンチレータ12は、ベンチレータ12直近の周囲空気を上昇させ、これは、空気流発生器16によりベンチレータ12内に引き込まれる。その結果、CPH装置14のチャンバ24に到達する空気は、CPHモード56で冷却ファン50を動作させる場合には、デフォルト・モード54a又は54bの何れかを使用する場合よりも比較的温かくなる。このより温かい空気は、水分を保持するための増加した容量と、水25から蒸発を促す増加したエネルギー量との両方を有する。有利なことに、この温かい空気は、追加のヒーター又は電源を必要とせずに達成される。
【0036】
検出器36を含めることによって、ベンチレータ12がCPH装置14に接続されている場合に限って冷却ファン50の動作が低減又は排除されることが保証される。このようにして、ベンチレータ12は、他の装置がベンチレータ12に接続されている場合には、そのデフォルト動作モードに従って動作することが可能であり、その結果、ベンチレータ12は、CPH装置14以外の任意の台数の装置を使用する様々な処置のために期待されるように使用され続けることが可能である。一実施形態では、既存のベンチレータのコントローラのソフトウェアは、本明細書に開示された実施形態に従って動作するようにベンチレータを改造するようにアップデートされる。このような改造の実施形態では、(例えば、ベンチレータが通信装置38と同様な通信装置又はセンサ44と同様なセンサを含まない場合に)検出器36に対応するハードウェア構成要素が追加的に付加される必要があるかもしれない。改造の実施形態では、CPH装置は医療用ベンチレータよりもはるかに複雑でも高価でもないので、検出器36のハードウェア構成要素(例えば、センサ44のようなセンサ)を、ベンチレータではなくCPH装置に含めることが有利である可能性があることに留意されたい。
【0037】
上述の開示に加えて、換気システム、例えばシステム10を動作させるための方法100は、
図3を参照して理解することができる。ステップ102では、ベンチレータ、例えばベンチレータ12が、CPH装置、例えばCPH装置14に接続されているかどうかが検出される。検出器36に関して上述したように、これは、様々な方法で達成することができる。ステップ104では、例えば検出器36によってCPH検出信号が生成される。検出信号は、ベンチレータのコントローラ、例えばベンチレータ12のコントローラ30によって受信されてもよい。
【0038】
次に、ステップ106において、CPH検出信号の発生に応答して、ベンチレータはデフォルト動作モードから変更される。デフォルト・モード54a及び54bは上述されている。ベンチレータの動作モードの変更の結果として、ベンチレータの冷却ファン、例えば冷却ファン50の動作は、ステップ108で低減又は排除される。モード56は上述されており、冷却ファン50の動作がどのようにして低減又は排除され、ベンチレータ12がそのデフォルト・モード54a、54bに従って動作した場合に生じると思われる温度と比較して、ベンチレータ12の内部温度を上昇させることができるかが詳細に説明されている。
【0039】
ベンチレータは、ステップ110において、空気流発生器、例えば空気流発生器16により空気流を生成することができる。最後に、空気の流れは、ステップ112において、ベンチレータからCPH装置へ方向づけられ、空気流はCPH装置内で湿気を受けることが可能である。次いで、加湿された空気流は患者に方向付けられることが可能である。
【0040】
幾つかもの発明の実施形態が本願で説明され図示されてきたが、当業者は、機能を実施し、及び/又は本明細書中で説明された利点の1つ以上及び/又は結果を得るために、種々の他の手段及び/又は構造を容易に予想するであろうし、そのような変形及び/又は修正の各々は、本明細書中に記載された発明の実施形態の範囲内にあると考えられる。より一般的には、当業者は、本明細書中で説明された全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は、例示的であるように意図されていること、及び現実のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、発明の教示が用いられる特定のアプリケーション又は複数のアプリケーションに依存するであろうということを容易に認識するであろう。当業者は、日常の実験を超えないものを用いて、本明細書中で説明された具体的な発明の実施形態に対する多くの均等物を認識し、又はそれを確認することが可能であろう。従って、これまでの実施形態は具体例のみによって提示され、添付の特許請求の範囲及びその均等な範囲内で、発明の実施形態は、具体的に説明され、及び請求項に係るものとは異なるように実施されてもよいことが理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は、本明細書中で記載された各個々の特徴、システム、製品、材料、キット及び/又は方法に関連する。更に、そのような特徴、システム、製品、材料、キット、及び/又は方法のうちの2つ以上の何れの組み合せも、もしそのような特徴、システム、製品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しないならば、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0041】
本明細書中で定義されかつ用いられる全ての定義は、辞書での定義、援用された文書中の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を支配するように理解されるべきである。
【0042】
「ある(“a”and“an”)」という不定冠詞的な語は、明細書及び特許請求の範囲において、ここに用いられるように、明らかに別意に示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味するように理解されるべきである。
【0043】
本明細書及び特許請求の範囲においてここで使用される「及び/又は」という語句は、そのように連結された要素、即ちあるケースでは連結して存在し、他のケースでは分離して存在する要素のうちの「何れか又は両方」を意味するように理解されるべきである。「及び/又は」で列挙される複数の要素は、同一の態様で、即ちそのように連結された要素の「1つ又は複数」を意味すると解釈されるべきである。具体的に特定された要素に関連するか否かによらず、「及び/又は」の語句により具体的に指定される要素以外に、他の要素が選択的に存在してもよい。従って、非限定的な例として、「~を有する」のようなオープン・エンド言語に関連して使用される場合、「A及び/又は」は、一実施形態においては、Aのみ(選択的にB以外の要素を含む)を示し、別の実施形態においてはBのみ(選択的にA以外の要素を含む)を示し、更に別の実施形態においてはA及びBの両方(選択的に他の要素を含む)等を示す。
【0044】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、「又は」は、上記の「及び/又は」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合に、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であるとして、即ち、要素のリスト又はメンバーのうちの少なくとも1つ、それだけでなく1つより多いもの、及び選択的に追加的な列挙されていない項目を包含するように解釈されるものとする。「~のうちの1つのみ」又は「~のうちの厳密に1つ」のような用語、又は、請求項の中で使用される場合に、「からなる」のような用語のように、別意に明示的に示されている言葉のみが、要素のリスト又はメンバーのうちの厳密に1つの要素を示すことになるであろう。一般的に、本明細書において使用される用語「又は」は、「~のうちの何れか」、「~のうちの一方」、「~のうちの一方のみ」又は「のうちの厳密に1つ」のような排他的な用語に先行する場合、排他的な代替物(即ち、一方又は他方であり、双方ではない)を示すように解釈されるのみとする。特許請求の範囲で使用される場合、「本質的に~からなる」は、特許の分野で使用されているような通常の意味を有するものとする。
【0045】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合に、「少なくとも1つ」という語句は、1つ又は複数の要素のリストに関連し、要素のリスト中の要素のうちの任意の1つ又は複数を選択した少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素のリスト中に具体的に列挙された各々の少なくとも1つ及び全ての要素を含む必要はなく、要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを排除しない。この定義は、「少なくとも1つ」という語句が言及している要素のリスト中で具体的に特定された要素以外に要素が選択的に存在し得ることを、具体的に特定されたこれらの要素に関連するか否かによらず許容する。従って、非限定的な実施例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は等価的に「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は等価的に「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bの存在を伴わない少なくとも1つのA(選択的に1つより多い)(選択的にB以外の要素を含む)を意味し、別の実施形態では、Aの存在を伴わない少なくとも1つのB(選択的に1つより多い)(選択的にA以外の要素を含む)を意味し、更に別の実施形態では、少なくとも1つのA(選択的に1つより多い)及び少なくとも1つのB(選択的に1つより多い)(選択的に他の要素を含む)を意味する。
【0046】
明示的に別意が示されていない限り、1つより多いステップ又は動作を含む本願で請求される任意の方法において、方法のステップ又は動作の順序は、方法のステップ又は動作が記載された順序に必ずしも限定されないことも理解されるべきである。
【0047】
特許請求の範囲及び上記明細書において、「備える」、「含む」、「担う」、「有する」、「包含する」、「関わる」、「保持する」、「構成される」などの全ての移行句は、オープン・エンドであるとして、即ちそれらに限定されない包含を意味するように理解されるべきである。「からなる」及び「本質的に構成される」という移行句のみは、特許審査手順の米国特許庁マニュアル、セクション2111.03で述べられているように、クローズド又はセミ・クローズドの移行句であるものとする。