(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】スパイラルコンベヤを通る気流を測定する装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01P 5/24 20060101AFI20221116BHJP
B65G 15/02 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
G01P5/24 B
B65G15/02
(21)【出願番号】P 2020534846
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 US2018065629
(87)【国際公開番号】W WO2019143426
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-11-15
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マレー,ウィリアム エス.
(72)【発明者】
【氏名】ボグル,ディヴィッド ダブリュー.
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-257818(JP,A)
【文献】実公平7-3332(JP,Y2)
【文献】特公昭63-16712(JP,B2)
【文献】特公昭59-50945(JP,B2)
【文献】特開2014-55328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流を測定するための超音波風速計であって、
中央開口領域を画定する基部と、
前記基部によって支持された
変換器マウントに配置された少なくとも1対の対向する超音波変換器であって、
前記少なくとも1対の前記対向する超音波変換器が、前記中央開口領域が開口している共通空間の内部のある点で交差する複数の伝達経路に沿って前記共通空間を通って、互いに超音波パルスを送受信し、
前記共通空間が、気流から遮蔽されていない非遮蔽領域を含み、前記共通領域の残りの領域が、前記変換器マウントが前記共通空間内に延びる分だけもたらされる遮蔽領域を含み、
前記少なくとも1対の各々の第1の超音波変換器が、前記基部から第1の距離に配置され、かつ前記少なくとも1対の各々の第2の超音波変換器が、前記基部からの前記第1の距離未満である第2の距離に配置されている、少なくとも1対の対向する超音波変換器と、を備える、超音波風速計。
【請求項2】
前記少なくとも1対の対向する超音波変換器が、3つの相互に直交する伝達経路を画定する静止的な3対の風速計からなる、請求項1に記載の
超音波風速計。
【請求項3】
前記少なくとも1対の対向する超音波変換器が、単一の対の対向する超音波変換器と、前記単一の対を移動して前記複数の伝達経路の異なる経路を画定するための移動手段と、からなる、請求項1に記載の
超音波風速計。
【請求項4】
前記移動手段が、前記基部および前記単一の対の超音波変換器を回転させるために、前記基部に結合されたモータおよびギヤを備える、請求項3に記載の
超音波風速計。
【請求項5】
離間された位置で前記基部によって支持されている3対の対向する超音波変換器を備える、請求項1に記載の超音波風速計。
【請求項6】
前記基部が環状である、請求項5に記載の超音波風速計。
【請求項7】
前記基部から前記第1の超音波変換器までの前記第1の距離が、5cm未満である、請求項5に記載の
超音波風速計。
【請求項8】
前記第1の超音波変換器の間に接続された安定化部材をさらに備える、請求項5に記載の超音波風速計。
【請求項9】
前記基部上の離間された位置から、前記第1の超音波変換器が取り付けられている遠位端まで延在する3つのアームを備える、請求項5に記載の超音波風速計。
【請求項10】
前記基部から延在し、前記第1および第2の超音波変換器を対毎に選択的に接続してパルスを送受信する送信/受信スイッチを含む電子回路を収容する筐体を備える、請求項5に記載の超音波風速計。
【請求項11】
各伝達経路に沿って反対方向に送信された前記超音波パルスの飛行時間を測定し、各伝達経路沿った反対方向の前記飛行時間の間の差から、各伝達経路に沿った気流速度の成分を計算するプロセッサを含む、請求項5に記載の超音波風速計。
【請求項12】
前記プロセッサが、座標系の回転によって、前記伝達経路に沿った気流速度の前記成分を、静止基準フレームに沿った気流速度の成分に変換する、請求項11に記載の超音波風速計。
【請求項13】
前記基部が平面を画定しており、
前記対向する超音波変換機の各対の前記伝達経路の仰角が、遭遇する前記気流の最大速度の臨界角の余角よりも
大きく、
前記伝達経路の仰角が、前記基部の平面よりも上方の伝達経路の角度であり、前記臨界角が前記遮蔽領域内の前記伝達経路の入射角であり、前記遮蔽領域から前記非遮蔽領域への前記伝達経路にわたる気流の速度の変化によって、90°の屈折角がもたらされる、請求項5に記載の超音波風速計。
【請求項14】
チャンバー内のスパイラルコンベヤを通る
気流を測定する方法であって、
気流測定装置を、チャンバー内のらせん状経路に沿って、スパイラルコンベヤで上下に前記気流測定装置を運ぶ、スパイラルコンベヤベルトの搬送面上に位置づけることと、
前記らせん状経路に沿って、前記スパイラルコンベヤベルトと共に前進する時に、前記気流測定装置
により3つの軸に沿って定期的な気流測定を行うことと、
前記スパイラルコンベヤにより画定される基準フレーム内の前記3つの軸に沿って、前記気流の測定の座標系回転を実行することと、
前記定期的な気流測定をログ記録すること、もしくは表示すること、またはその両方を行うことと、を含む、方法。
【請求項15】
時間または
前記気流測定装置の方位角に対する、前記定期的な気流測定を表示することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記らせん状経路に沿った、
前記気流測定装置の方位角および仰角に対する、前記定期的な気流測定を表示することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記らせん状経路に沿った前記気流のマップを作成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記気流測定装置が、超音波風速計である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記気流測定装置が、前記らせん状経路の出口端にある時に、前記気流測定装置を前記スパイラルコンベヤベルトから取り外すことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記気流測定値に応じて、ファンの速度を調整することによって前記気流を制御することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、気流の測定に関し、特に、スパイラルコンベヤを通る気流を測定するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スパイラルコンベヤでは、コンベヤベルトが、中央ドラムの周りで、らせん状経路で駆動される。らせん状経路は、ドラムの周りに多くの段またはラップを含むために、ベルトは長くなるが、同じ長さの直線経路上のベルトよりも小さな空間内にとどめられる。スパイラルコンベヤの小さな空間と小さな設置面積により、冷凍庫、調理器、プルーファ、および他の処理チャンバーでの使用が一般的になっている。しかし、スパイラルコンベヤの小ささは、ベルトを通る冷却または加熱された空気の流れ、およびらせん状経路に沿った移動中に、特定の熱処理を受ける製品に影響を与える。そして、気流は製品の熱処理の品質に影響を与える。ファンの適切な配置、配向、および速度調整によって最適な気流を実現すると、製品の均一な、または所望の熱処理が得られる。
【0003】
風速計は、気流を測定するために使用される。R.M.Young社(Traverse City,Michigan,U.S.A.)が製造販売するモデル81000V超音波風速計などの超音波風速計は、3対の超音波変換器を使用して、それぞれの対の変換器の間での超音波パルスの飛行時間から3次元の気流を測定する。変換器は、ある方向の気流を他の方向よりもはるかに遮る構造に取り付けられる。そのため、風速計は均一に全方向性ではない。
【発明の概要】
【0004】
気流を測定する本発明の特徴を具体化する超音波風速計の1つのバージョンは、中央開口領域を画定する基部によって支持された少なくとも1対の対向する超音波変換器を備える。対向する超音波変換器は、中央開口領域が開口している共通空間の内部のある点で交差する複数の伝達経路に沿って、共通空間を介して互いに超音波パルスを送受信する。各対の第1の超音波変換器は、基部から第1の距離に配置され、また各対の第2の超音波変換器は、基部からの第1の距離未満である第2の距離に配置される。
【0005】
気流を測定する超音波風速計の別のバージョンは、中央開口領域を画定する基部と、離間した位置で基部によって支持された3対の対向する超音波変換器と、を備える。各対の超音波変換器は、中央開口領域が開口している共通空間の内部のある点で他の2対の伝達経路と交差する伝達経路に沿って共通空間を介して相互に超音波パルスを送受信する。各対の第1の超音波変換器は、基部から第1の距離に、基部に取り付けられ、対の第2の超音波変換器は、基部からの第1の距離未満である第2の距離に、基部に取り付けられる。
【0006】
チャンバー内のスパイラルコンベヤを通る気流を測定する本発明の特徴を具体化する方法は、(a)チャンバー内のらせん状経路に沿って、スパイラルコンベヤの上下に気流測定装置を運ぶスパイラルコンベヤベルトの搬送面上に気流測定装置を配置することと、(b)らせん状経路に沿ってスパイラルコンベヤベルトと共に前進する時に、気流測定装置で定期的な気流測定を行うことと、(c)定期的な気流測定をログ記録すること、もしくは表示すること、またはその両方を行うことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の特徴を具体化する薄型超音波風速計の等角図である。
【
図2】
図2は、
図1と同様の、スパイラルコンベアベルト上の風速計の斜視図である。
【
図4】
図4は、3対の変換器のうちの1つによる超音波パルスの双方向送信を示すタイミング図である。
【
図5】
図5は、デカルト座標と球座標における気流速度ベクトルを表す図である。
【
図6】
図6は、
図3のような風速計システムで使用可能な表示システムのブロック図である。
【
図7】
図7A及び7Bは、超音波パルスの屈折が、送信機の対の最小仰角にどのように影響するかを示している。
【
図8】
図8は、筐体が部分的に開いている状態が示されている、複数の伝達経路に沿った飛行時間を決定できる超音波風速計の別のバージョンの等角図である。
【
図9】
図9Aは、
図6の表示システムによって表示可能な気流対方位角表示の例である。
図9Bは、
図6の表示システムによって表示可能な、気流対仰角および方位角の3Dマップの例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴を具体化する超音波風速計が
図1に示されている。風速計10は、中央開口領域14を画定する薄い環状基部12を有する。基部12は、頂部13および反対側の底部15を有し、狭いバンドを形成する。図示される円形の環状体である代わりに、基部12は、楕円形または他の方法で湾曲されていてもよく、あるいは多角形であってもよい。そして、図示されるようなエンドレスバンドである代わりに、基部12はセグメント化されていてもよい。3つの基部変換器マウント16A、16B、16Cは、基部12の頂部15で角度をなして上向きに延在する。変換器マウント16A~Cは、基部の周りに120°毎に等間隔に配置されて示されている。しかし、それらは等間隔に配置される必要はない。超音波変換器A1、B1、C1は、それぞれのマウント16A、16B、16Cに取り付けられている。変換器A1、B1、C1はそれぞれ、基部12から第1の距離に配置されている。この例では、3つすべての変換器A1、B1、C1が基部から同じ距離にある。ただし、それらを基部12から様々な距離に位置づけることもできる。そして、変換器A1、B1、C1の送信軸はすべて、この例では、同じ量だけ基部12から上方に傾斜している。
【0009】
基部変換器A1、B1、C1の各々は、対応する上部変換器A2、B2、C2と対になっている。上部変換器A2、B2、C2は、正反対にあり、下部基部変換器よりも基部12から遠い距離に、基部変換器A1、B1、C1の上方に持ち上げられている。上部変換器A2、B2、C2は、上部変換器マウント17A、17B、17Cに取り付けられている。変換器マウントは、基部12の近位端から上向きに延在する細い湾曲アーム18A、18B、18Cの遠位終端に位置付けられている。この例では、C字形アーム18A、18B、18Cは、それらの遠位端で内側に曲がる前に、基部12から外側に曲がるが、他のアーム形状も可能である。基部変換器A1、B1、C1と同様に、上部変換器A2、B2、C2は120°毎に等間隔に配置されている。下部および上部変換器マウント16A~C、17A~Cは、各対の変換器を角度をなして上向きまたは下向きに向け、それらの送信軸が一致し、各変換器対の伝達経路20A、20B、20Cを画定するようにする。各変換器は、その伝達経路20A、20B、20Cに沿って、その対の変換器から超音波パルスを送信し、またその対の変換器から超音波パルスを受信する。3つの伝達経路20A~Cは、変換器A1~C1、A2~C2の間の共通空間24の中央の点Pで交差する。3つの伝達経路は、最良の全方向性の結果を得るために
図1では相互に直交しているが、非直交であってもよい。基部12の開口領域14は、共通空間24に開口している。細いアーム18A~C、および広い開口領域14を有する細くて狭い基部12は、気流を妨げる構造要素を最小限にすることによって、風速計に、より均一な全方向性を与える。上部変換器マウント17A~Cを安定させるために、図示されるように、周方向に連続する変換器間に任意選択的な安定化部材22を提供することができる。
【0010】
アーム18A~Cは、上部変換器A2~C2に接続された配線を収容するために中空である。アーム18A~C内の中空は、基部12の底部15のチャネル(図示せず)に開口している。チャネルは、上部と下部の両方の変換器A1~C1、A2~C2からの配線用のケーブルランを形成する。配線は、基部12の外側に延在する電子機器筐体26内の電子回路に接続されている。筐体26は、とりわけ、変換器用のドライバおよび送信/受信スイッチを収容している。ケーブルチャネルは、基部の底部15上に開口していてもよく、底部に封入されていてもよい。電子機器筐体26は、例えば、ベルトの搬送方向に平行な軸28でコンベヤベルト上の風速計10を方向付けるための基準として使用され得る、基部12と交差するその半径方向対称軸に沿った風速計軸28を任意に画定する。風速計軸28はまた、風速計軸28に平行なx軸、基部12の平面に平行な平面でx軸に直交するy軸、およびx-y平面に垂直な垂直z軸を有する3―Dデカルト座標系を画定するために使用され得る。
【0011】
図2は、冷凍庫、プルーファ、調理器、または他のチャンバー32内のスパイラルコンベヤ30を示す。スパイラルコンベヤ30は、底部38から上部39まで延在する円筒状外周36を有する、駆動タワー34またはドラムを含む。平行な駆動部材40は、駆動ドラム34の周囲36に沿って、底部38から上部39まで長さ方向に延在する。駆動部材40は、周囲36から半径方向外向きに延在する。段支持44に取り付けられた1対の平行な羽根ライナ42(外側の羽根ライナのみが示されている)は、駆動ドラム34の周りにらせん状搬送路を形成する。らせん状搬送路は、羽根ライナ42上に支持された横方向に曲がるコンベヤベルト46のために、駆動ドラム34の周囲36の周りに多段らせん状経路を画定する。駆動ドラム34は、
図2のように、駆動部材40の長さに平行な垂直軸48上で回転するように駆動される。しかし、駆動部材は、代替として、垂直軸48に対して斜めの角度で平行に配置され得る。駆動部材40は、コンベヤベルト46の内縁に確実に係合して、それをらせん状経路に沿って駆動する。この例では、スパイラルコンベヤ30は、ベルト46が底部38で搬送経路の入口端50でらせん状経路に入り、上部39において出口端52で出る、上昇するスパイラルである。下降するスパイラルでは、入口端は上部39にあり、出口端は底部38にある。スパイラルコンベヤ30を出るベルト46は、それが入口端50に戻る時、巻き取りスプロケット(図示せず)および戻りローラ54の周りを通過する。駆動ドラム34および巻き取りスプロケットは、従来、モータ(図示せず)によって駆動される。その他のスパイラルコンベヤ、例えば、コンベヤベルトが、ベルト速度よりも速く回転するオーバードライブされた駆動ドラムによって摩擦駆動される低張力スパイラル、または駆動ドラムではなく駆動スプロケットによって駆動されるスパイラルコンベヤも、チャンバー32で使用可能であり、小さなコンベヤ設置面積を実現する。風速計10は、らせん状経路に沿って、スパイラルコンベヤ30を通る気流を測定するために、コンベヤベルト46上に置かれているのが示されている。段は互いに接近できるため、風速計は薄い形状である必要がある。このことは、段ピッチが短いスタッカースパイラルベルトに特に当てはまる。風速計の基部12の底部15から上部変換器A2~C2までの距離、つまり風速計の高さは、短ピッチのスパイラルで使用する場合は5cm未満にすることができる。
【0012】
超音波風速計10の設計に影響を与える別の要因は、超音波パルスの屈折である。
図7Aに示されるように、各変換器マウント16は、下部変換器A1に近い遮蔽領域108内の気流を遮断する。音響パルスは、遮蔽領域108内の空気中を音速cで移動する。パルスは遮蔽領域を出て、入射角θ
1で伝達経路20に沿って非遮蔽気流に入ると、伝達経路の全体の風速の変化は、屈折角θ
2での超音波パルスの屈折および、入射角に等しい反射角でのパルスの部分反射を引き起こす。屈折角θ
2は風速とともに増加する。
図7Bに示されるように、90°の屈折角θ
2になる入射角θ
1は、臨界角θ
Cである。入射角θ
1が臨界角θ
C未満である場合、すべての超音波パルスのエネルギーが反射される。入射角θ
1は、屈折角θ
2ならびに
による2つの領域でのパルスの速度v
1およびv
2に関連付けられている。臨界角θ
cにおいて、屈折角θ
2=90°かつsinθ
2=1である。遮蔽領域108におけるパルスの速度は、v
1=cで与えられ、非遮蔽領域内の気流における速度はv
2=c+vで与えられ、式中、vは風速であり、sinθ
c=c/(c+v)、またはθ
c=sin
―1[c/(c+v)]である。遭遇する最大風速または気流がv
maxである場合、臨界角は、θ
c=sin
-1[c/(c+v
max)]で計算され得る。例えば、v
max=30m/sかつc=315m/sである場合、
である。その場合、風速計の基部の平面110から測定された伝達経路20の仰角θ
Eは、超音波パルスが全ては反射されず、受信側変換器A2に送信されないことを確実にするために、24°以上でなければならない。それにより、風速計は、伝達経路の仰角θ
Eが、遭遇する最大風速v
maxの臨界角θ
cの余角より大きくなるように構築されなければならない。
【0013】
超音波風速計の電気系統のブロック図を
図3に示す。3対の超音波変換器A1/A2、B1/B2、およびC1/C2は、例えば、マイクロチップモデルHV2605高電圧アナログスイッチなどの送信/受信(T/R)スイッチ56に接続され、送信/受信(T/R)スイッチ56は、一度に送信チャネル58に変換器を1つだけ接続する。T/Rスイッチ56はまた、変換器のうちの1つを、受信チャネル60に選択的に接続する。送信チャネル58内の送信ドライバ62は、送信パルスを、変換器のための適切なレベルまでブーストする。受信チャネル60は、低ノイズ前置増幅器66、その後に、プログラム可能利得増幅器68を含み、受信されたパルスのレベルをブーストする。T/Rスイッチ56および増幅器は、電力回路および制御回路72によって制御ラインおよび電力ライン70を介して、制御および電力供給される。変換器を除いて、他の構成要素は個別にすることも、または小型にするために単一の装置に統合することもできる。変換器を除くすべての構成要素は、
図1の筐体26に収容されている。筐体上のコネクタ74は、ケーブル76の一端と嵌合し、その他端は、プロセッサモジュール80のコネクタ78に接続される。
【0014】
プロセッサモジュール80は、プログラムおよびデータメモリ83を含むプログラム可能なプロセッサ82と、アナログ-デジタル変換器(ADC)84と、を含み、すべてバッテリ86によって電力が供給される。筐体26内の回路に接続されたプロセッサモジュール80は、風速計と共にコンベヤベルトに乗る。プロセッサ82は、プログラムメモリ83に格納されたプログラムステップを実行し、ケーブル76を介して筐体26内の送信ドライバ62の入力に接続される送信ライン88上に送信パルスを生成する。変換器によって受信され、筐体26内の増幅器66、68によって増幅されたパルスは、ケーブル76を介してADC84に送られる。ADC84は、受信したアナログパルスをデジタル値に変換し、デジタル値は、受信データライン90を介してプロセッサに送信される。プロセッサ82は、ケーブル76によって筐体内の制御回路72に接続された1つ以上の制御ライン92を介してT/Rスイッチ56の動作を制御する。バッテリ86からの電力はまた、ケーブル76を介して電力回路72に供給される。
【0015】
超音波風速計の双方向送信の動作は、変換器対の1つについて
図3を参照して
図4に示されている。プロセッサ82は、コマンド制御信号92’T/Rスイッチに送信することによってサイクルを開始し、この例では、第1の下部変換器A1を送信チャネル58に、またその対の上部変換器A2を受信チャネル60に接続する。同時に、プロセッサ82はタイマーを開始し、そして送信パルス94を送信ドライバ62および変換器A1に送信する。次に、送信された超音波パルスは、減衰されたパルス94’として、対になった変換器A2によって受信される。プロセッサ82は、相関技術によって、受信チャネル60内のADC84によって変換されたデジタル値上で動作し、増幅された受信パルス94’‘を検出し、その飛行時間t
12をタイマーから決定する。各変換器の受信パルスの以前に格納された波形テンプレートは、データメモリ83にログ記録される、飛行時間を決定するために受信パルスと相互相関される。他の受信機方式を代わりに使用することができる。例えば、クロススペクトル電力スペクトル変換の共振周波数で位相遅延を測定すると、飛行時間を得ることができる。別の例として、受信されたパルスの振幅閾値は、飛行時間の直接測定に使用できる。変換器A2によってパルスが受信された後、プロセッサ82は、最初にT/Rスイッチ56に、変換器A1を受信チャネル60に、また変換器A2を送信チャネル58に、接続するように命令することによって、変換器A2から変換器A1までの逆方向パルス送信を開始する。サイクルは、A1からA2への送信と同じ方法で継続し、変換器A2から変換器A1までの飛行時間t
21を検出する。逆方向送信の開始は、第1のパルスの受信後の固定時間であってもよいが、第1のパルスの送信後の固定時間であってもよい。次に、他の変換器の対B1/B2およびC1/C2のために同じ双方向送信サイクルが繰り返される。
【0016】
飛行時間測定は、受信したパルスの開始ではなく、相関ピークの時間を返す。しかし、対の変換器の間の距離がわかっているため、理論的な飛行時間は、所定の温度で計算できる。飛行時間測定は、所定の温度で、かつ気流なしで実行された以前の校正で校正され、校正飛行時間を決定する。理論的な飛行時間と校正飛行時間の差は、運用時の飛行時間測定に適用される校正オフセットである。変換器の各々の校正オフセットはメモリに保存される。
【0017】
伝達経路に沿った気流は飛行時間に影響する。
図4は、伝達経路に沿った気流が下部変換器A1から上部変換器A2に向けられる状況を示している。言い換えれば、変換器A1は変換器A2の上流にある。その状況では、A1からA2までの飛行時間t
12は、A2からA1までの飛行時間t
21未満である。飛行時間の差、ΔTOF=t
21―t
12は、
によって伝達経路に沿った風速vに関連し、式中、cは、空気中の音速であり、dは、対の変換器A1、A2の間の距離である。伝達経路に沿った風速vの方向は、ΔTOFのサインによって与えられる。
【0018】
各伝達経路(
図1の20A、20B、20C)の飛行時間TOF
A12、TOF
A21、TOF
B12、TOF
B21、TOF
C12、TOF
C21がプロセッサ82によって計算されると、プロセッサは次に、風速計の3つの伝達経路によって画定されるA-B-C軸の成分を、
図1のx-y-z基準フレーム96に変換し、x-y-z基準フレーム96の気流速度v
x、v
y、v
zを計算する。計算は、V=A
-1・Mによって記述される行列計算であり、式中、
であり、
図5に示されるように、d
Aは、変換器A1とA2との間の距離であり、d
Bは、変換機B1とB2との間の距離であり、d
Cは、変換器C1とC2との間の距離であり、θ
Aは、x軸と伝達経路20Aとの間の方位角であり、θ
Bは、x軸と伝達経路20Bとの間の方位角であり、θ
Cは、x軸と伝達経路20Cとの間の方位角であり、φ
Aは、z軸と伝達経路20Aとの間の仰角であり、φ
Bは、z軸と伝達経路20Bとの間の仰角であり、そして、φ
Cは、z軸と伝達経路20Cとの間の仰角である。コンベヤのらせん状経路が水平に対して傾いているため、
図1で画定された風速計のx軸が、ベルト上で、y軸が駆動ドラムの回転軸に対して半径方向に整列された状態で、搬送方向に整列している場合、x-y-z座標系はy軸を中心に効果的に回転する。次に、気流速度成分v
xおよびv
zは、その傾斜角によって調整され、z軸が真の垂直軸である垂直X-Y-Z基準フレームに対するx-y-z速度成分を参照する。気流速度成分v
x、v
y、v
zが計算され、X-Y-Z基準フレーム内のv
X、v
Y、v
Z成分に変換されると、プロセッサ82は、ベルト速度の事前知識により、コンベヤベルトがらせん状経路上を静止基準フレームまで進む時に常に回転しているX軸とY軸からのv
X値およびv
Y値を変換する。3つの座標系変換は、1つずつ順番に行うことも、またはA-B-Cフレームから静止基準フレームまでの1回の座標系回転で行うこともできる。最終的な気流速度成分、中間計算、および飛行時間はすべて、コンピュータのメモリ83に、またはUSBドライブ85にログ記録できる。格納されたデータから、スパイラルコンベヤのらせん状経路に沿った気流のマップを作成できる。
【0019】
典型的な動作では、風速計10は、ベルトがスパイラルに進入した直後に、スパイラルコンベヤベルト上に位置付けられる。風速計は出口に向かって曲がりくねって進みながら、選択されたレート、例えば、毎秒8回で継続的に気流を測定する。風速計がスパイラルの出口に到達する前に、それはベルトから取り外される。風速計がベルトから取り外されると、プロセッサモジュール80をオフラインディスプレイ98に接続して、3つの成分と、
図6のように時間に対するもしくは任意の水平面上の方位角に対するらせん状経路に沿ったチャンバー32(
図2)内の、または
図9Aのようにらせん状経路の任意の段上の気流の全体的な大きさと、を表示することができる。任意の時間の風速計の方位角位置は、ベルト速度、らせん状経路長さ、既知の方位角基準位置からの経過時間に関する知識から決定できる。方位角基準位置は、コンベヤフレーム上の基準位置にある
マーカーを感知する風速計上の、または風速計とともに乗った位置センサーによって設定され得る。光学センサー付きの可視マーカーと、磁気センサー付きの磁気マーカーは、基準位置を検出できる2つの方法である。おおよその基準位置を取得するもう1つの方法は、らせん状経路のレイアウトと、最大気流が知られているらせん状経路に沿った位置に関する知識によるものである。次に、時間または方位角に対する気流信号でのピークは、最大気流位置に対応し、また、連続するピーク間の気流信号は、らせん状経路の段上のらせん状経路に沿った気流を表す。
図9Bのように、気流は、方位角および仰角の関数として表示され、気流の3Dマップを生成することもできる。ディスプレイ98は、
図6のように、リモートまたはローカルコンピュータ99において、例えばキーボード100などのユーザ入力デバイスと結合することができる。入力デバイス100は、ベルト速度、らせん状経路の傾斜角度、および測定サイクルレートなどの様々な動作パラメータを設定するために使用することができる。コンピュータ99とプロセッサ82との間の接続102は、有線であり得るか、または無線通信リンクであり得る。オペレータはディスプレイから、らせん状経路に沿った気流パターンを決定し、そしてファン106とバッフルを、搬送される製品を通してより均一または所望の気流を実現するように適切に配置し、調整する。あるいは、コンピュータ99は、気流測定値に応じて、ファンの速度を自動的に制御することができる。オフライン分析のために、測定データと、中間および最終計算データをUSBドライブ85から、取り外し可能なフラッシュメモリカード104にダウンロードすることもできる。
【0020】
超音波風速計の別のバージョンが
図8に示されている。
図1のように3対の静止した超音波変換器を有する代わりに、この風速計112は、中央の共通空間116を通る伝達経路114を画定する一対の対向する変換器T1およびT2を有する。2つの変換器T1、T2は、基部から異なる距離に、基部118に取り付けられる。下部変換器T1は、上部変換器T2よりも基部118の近くに取り付けられ、上部変換器T2は、基部から上に延在するアーム119の端部に取り付けられる。基部118は、風速計の中央空間116に開口している中央開口領域120を有する。基部118の中央開口領域120は、内側ギヤ歯122によって境界付けられている。筐体126に収容されたピニオンギヤ124は、基部のギヤ歯122に噛合い、基部116を回転させる。ピニオンギヤ124は、筐体126内の双方向ステップモータ128によって駆動される。ギヤ歯122、ピニオンギヤ124、およびモータ128は、単一の対の変換器を移動させて、選択された伝達経路に沿った飛行時間を測定するための移動手段を構成する。そのようにして、単一の対の変換器T1、T2が、複数の伝達経路に沿った飛行時間の測定を行うことができる。また、変換器は1対しか使用されないため、気流に対する構造的な干渉はほとんどない。
【0021】
本発明は、気流測定装置の特定のバージョン、すなわち、超音波風速計に関して説明されてきたが、その他の気流測定装置がベルト上に乗せるために使用され得る。例としては、レーザードップラー風速計、恒温風速計、機械式風速計、およびピトー管が挙げられる。