(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】スタンプおよび型押し加工するための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 59/02 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
B29C59/02 B
(21)【出願番号】P 2020558433
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(86)【国際出願番号】 EP2018061584
(87)【国際公開番号】W WO2019210976
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100197871
【氏名又は名称】矢島 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス ヴィンプリンガー
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルト ミッテンドルファー
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-035573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0321415(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0127493(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0234470(US,A1)
【文献】国際公開第2004/062886(WO,A1)
【文献】特表2017-501568(JP,A)
【文献】特表2004-504718(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102275445(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0176853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/00-59/18
B29C 33/00-33/76
H01L 21/30
G11B 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な材料からなる変形可能なスタンプ(2)と、前記変形可能なスタンプ(2)に固定された曲げ可能な支持体(1)とを有するスタンプ(3)において、
前記支持体(1)は、半導体、化合物半導体、ガラスまたはサファイアからなり、かつ、少なくとも1つの加熱要素(4,4’,4’’)を有し、
前記支持体(1)は、熱により、および/または物理的に、および/または化学物理的に、および/または溶媒または溶媒混合物による化学洗浄により取り外し可能なように前記変形可能なスタンプ(2)に固定されていることを特徴とする、スタンプ(3)。
【請求項2】
前記スタンプ(3)が、温度制御可能な支持体ホルダ(10)を有する、請求項1記載のスタンプ(3)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの加熱要素(4)がメアンダ状の導体路、金属領域および/またはnドープ領域として形成されている、請求項1または2記載のスタンプ(3)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの加熱要素(4’)が、コイルとして形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のスタンプ(3)。
【請求項5】
前記変形可能なスタンプ(2)が導電性ナノ粒子(6)を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のスタンプ(3)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの加熱要素(4’’)が、前記支持体(1)内および/または前記支持体(1)上の導電層として形成されており、前記支持体(1)が、少なくとも部分的に、導電性材料からなる、請求項1から5までのいずれか1項記載のスタンプ(3)。
【請求項7】
前記支持体(1)内で、0.01A/m
2~1MA/m
2の電流密度が生成可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載のスタンプ(3)。
【請求項8】
前記支持体(1)がプレートとして形成されており、前記プレートの厚さが、0.01mm~20mmである、請求項1から7までのいずれか1項記載のスタンプ(3)。
【請求項9】
前記支持体(1)が、フィルムとして形成されており、前記フィルムの厚さが、0.01mm~5mmである、請求項1から8までのいずれか1項記載のスタンプ(3)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のスタンプ(3)と、前記少なくとも1つの加熱要素(4,4’、4’’)を制御するための制御ユニット(15
)とを有する、装置。
【請求項11】
型押し材料を型押し加工するための、請求項1から9までのいずれか1項記載のスタンプ(3)の使用。
【請求項12】
請求項1から9までのいずれか1項記載のスタンプ(3)で型押し材料(8)を型押し加工するための方法であって、以下のステップ:
基板(7)を前記型押し材料(8)でコーティングするステップ、
前記スタンプ(3)を前記基板(7)に対して位置調整するステップ、
前記型押し材料(8)を前記スタンプ(3)により型押し加工するステップ、
前記型押し材料(8)を前記支持体(1)の前記少なくとも1つの加熱要素(4,4’,4’’)により加熱するステップ、
前記型押し材料(8)から前記スタンプ(3)を離型するステップ
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンプ、スタンプの使用、スタンプを有する装置、および等位の(nebengeordneten)請求項に記載の型押し加工するための方法に関する。
【0002】
従来技術において、無数の型押し加工法のうちの1つにより成形可能な型押し材料の硬化メカニズムには、2つの基本的なタイプがある。一方では、型押し材料を熱により硬化させることができ、他方では、電磁放射線により硬化させることができる。さらに、従来技術には、熱可塑性材料に型押し加工する熱型押し加工法(「熱間型押し加工」:英語「ホットエンボス加工(Hot Embossing)」)がある。特に、熱硬化または熱型押し加工法は、必要な熱をもたらすことが可能な非常に複雑で大型の加熱システムを有する装置を用いて行われる。これらの加熱システムは、型押し加工すべき型押し材料が配置されているスタンプまたは基板の上方および/または下方に配置されている。
【0003】
従来技術における主要な問題は、加熱システムの構造設計である。ほとんどの加熱システムは、大型であり、かさ高であり、扱いにくく、高価であり、また硬化させるべき型押し材料または型押し加工すべき型押し材料の近くでは熱を発生させない。発生した熱は、スタンプ全体を介して、かつ/または試料ホルダおよび基板を通じて、型押し材料に輸送される必要がある。特に、支持体および軟質スタンプが曲げられ、かつ加熱がスタンプ側から行われる場合、加熱システムと、軟質スタンプが固定される支持体との間の効率的な熱接触が失われる。加熱システム自体が湾曲可能なように構築されていない場合、加熱システムから硬化させるべき型押し材料の方向への熱流は、支持体の背面とその加熱面との間の熱抵抗を上回る必要がある。
【0004】
したがって、本発明の課題は、従来技術の欠点を排除することである。
【0005】
この課題は、等位の請求項の対象により解決される。本発明の有利な更なる構成は、従属請求項に記載されている。明細書、特許請求の範囲、および/または図面に記載されている少なくとも2つの特徴の組み合わせすべてが、本発明の範囲にある。値範囲が記載されている場合、存在し得る中間値も、限界値としてともに開示されて有効になるものとする。
【0006】
本発明によると、軟質スタンプと、軟質スタンプに固定された支持体とを有するスタンプであって、支持体が少なくとも1つの加熱要素を有するスタンプが提供される。
【0007】
好ましくは、支持体および軟質スタンプは、接着力によってのみ、特に軟質スタンプを支持体上に押し込むことにより、互いに固定される。軟質スタンプを形成し、支持体上に配置されている固定要素を介して支持体と固定することも、可能ではあると考えられる。
【0008】
本発明によると、本発明によるスタンプと、少なくとも1つの加熱要素を制御するための制御ユニット、特に電流源および/または電圧源とを有する装置がさらに提供される。
【0009】
本発明によると、型押し材料を型押し加工するための本発明によるスタンプの使用がさらに提供される。
【0010】
本発明によると、本発明によるスタンプで型押し材料を型押し加工するための方法であって、以下のステップ、特に以下の手順:
- 基板を型押し材料でコーティングするステップ、
- スタンプを基板に対して位置調整するステップ、
- 型押し材料をスタンプにより型押し加工するステップ、
- 型押し材料を支持体の少なくとも1つの加熱要素により加熱するステップ、
- 型押し材料からスタンプを離型するステップ
を有する方法がさらに提供される。
【0011】
本発明は、特に、技術的に大きく異なる特性を有する2つの構成要素から熱間型押し加工用のスタンプを構築するという構想に基づく。スタンプは、直接加熱可能な支持体と、軟質の変形可能な材料製の構造部品(軟質スタンプ)とからなる。支持体は、直接加熱可能なように構築されており、すなわち、加熱要素が支持体の中実構造内に直接構築されている。したがって、支持体は、機械的な構造要素としてのみならず、ヒータ、特に薄膜ヒータとしても使用される。
【0012】
本発明によるスタンプと、相応する軟質スタンプが同様に接触可能な従来技術の構成要素との間の特徴的な識別特徴は、本発明によるスタンプ、ひいては支持体も、変形可能かつ相応して曲げ抵抗が低いことである。さらに、支持体は、その低い曲げ抵抗のみならず、少なくとも1つの加熱要素を有する。
【0013】
本発明の本質は、加熱が固体物理プロセスを介して、特にジュール熱の生成を介してスタンプの支持体内で直接行われるスタンプを提供することにある。特に、これは薄膜ヒータである。特に、ヒータは、数ミリメートルの薄い支持体内にスペースを有するように構築される。
【0014】
型押し材料を硬化させるのに必要な熱は、型押し材料のできるだけ近くで生成されることが有利である。それにより、長距離にわたる熱輸送がなくなるか、または熱損失がほぼ最小限に抑えられる。スタンプ全体が、いくらかコンパクトかつ安価になる。
【0015】
本発明によるスタンプは、軟質スタンプと、軟質スタンプに固定された支持体とを有し、支持体は少なくとも1つの加熱要素を有する。
【0016】
支持体、特にバックプレート(英語「背面板(back-plane)」)とは、軟質スタンプのための安定化要素、特に構造要素であると理解される。支持体は、特にプレートまたはフィルムであり得る。支持体は、少なくとも1つの能動ヒータおよび/または受動ヒータを有する。
【0017】
軟質スタンプとは、型押し材料を型押し加工する構造を有する型押し加工要素であると理解される。軟質スタンプは、特に可逆的に、すなわち取り外し可能なように支持体に固定される。
【0018】
軟質スタンプを製造するための軟質スタンプ材料は、特に、UV硬化性材料または熱硬化性材料であり得る。より一般的には、硬化は、電磁放射線、熱、電気、磁場、および/または他の方法により実施され得る。軟質スタンプは、例えば、マスタースタンプのネガとして成形される。
【0019】
その際、軟質スタンプ材料の弾性係数は、1000GPa未満、好ましくは500GPa未満、さらにより好ましくは200GPa未満、極めて好ましくは100GPa未満、最も好ましくは20GPa未満である。
【0020】
スタンプとは、支持体と軟質スタンプとの組み合わせであると理解される。
【0021】
特に、軟質スタンプの軟質構造と、その曲げ抵抗が低い支持体の曲げ性と、少なくとも1つの加熱要素とにより、従来の技術と比較して、より信頼性の高い離型が可能になる。
【0022】
型押し材料(以下、型押し材とも称される)は、スタンプ、特に軟質スタンプにより型押し加工、ひいては構造化されるポリマーであると理解される。
【0023】
型押し材は、特に、熱硬化性材料、熱成形可能な材料、特に熱可塑性材料、および/または熱プロセスと電磁放射線の照射とを組み合わせすることにより成形可能なハイブリッド材料であり得る。
【0024】
そのようなハイブリッド材料の好ましい実施形態は、UV光の照射前に熱可塑性を有し、かつ続いてUV光の照射により硬化する材料である。好ましくは、硬化プロセスは同時に加熱することにより加速させることが可能である。
【0025】
基板とは、本発明によるスタンプにより型押し加工されるべき型押し材料が堆積される物体であると理解される。
【0026】
他の好ましい実施形態:
好ましくは、以下のことが意図されている:
- 支持体が取り外し可能なように軟質スタンプに固定されていること、ならびに/または
- スタンプが温度制御可能な支持体ホルダを有すること、ならびに/または
- 少なくとも1つの加熱要素が、特にメアンダ状の導体路として、特に金属領域および/もしくはnドープ領域として形成されていること、ならびに/または
- 少なくとも1つの加熱要素が、コイル、特にフラットコイルとして形成されていること、ならびに/または
- 軟質スタンプが導電性ナノ粒子を有すること、ならびに/または
- 少なくとも1つの加熱要素が、支持体内および/または支持体上の導電層として形成されており、好ましくは支持体が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、導電性材料、特に金属からなること、ならびに/または
- 支持体内で、0.01A/m2~1MA/m2、好ましくは0.1A/m2~1MA/m2、より好ましくは1A/m2~1MA/m2、さらにより好ましくは10A/m2~1MA/m2、極めて好ましくは100A/m2~1MA/m2、最も好ましくは1000A/m2~1MA/m2の電流密度が生成可能であること、ならびに/または
- 支持体がプレートとして形成されており、プレートの厚さが、0.01mm~20mm、好ましくは0.05mm~15mm、より好ましくは0.1mm~10mm、さらにより好ましくは0.5mm~5mm、極めて好ましくは0.75mm~2.5mm、最も好ましくは1mm~2mmであること、ならびに/または
- 支持体が、フィルムとして、特に有機半導体からなるフィルムとして形成されており、フィルムの厚さが、0.01mm~5mm、好ましくは0.05mm~2.5mm、より好ましくは0.1mm~2mm、さらにより好ましくは0.5mm~1.5mm、極めて好ましくは0.75mm~1.25mm、最も好ましくは1mm~1.25mmであること。
【0027】
本発明によるスタンプは、少なくとも1つの支持体および軟質スタンプを有する。
【0028】
好ましくは、本装置は、型押し材料が堆積される基板を固定する基板ホルダをも有する。
【0029】
好ましくは、本装置は、温度制御可能な、特に冷却可能な支持体ホルダをも有する。支持体ホルダは本装置の重要な部品であり、その役割は、特に、本発明によるスタンプを、保持すること、および/または変形すること、および/または支持体の少なくとも1つの加熱要素による加熱プロセス後に再び迅速かつ効率的に冷却することでもある。ここで支持体ホルダは、特に、熱伝導率が最大になるように、または熱抵抗が最小になるように構築されている。本開示の更なる過程において、支持体ホルダによるスタンプの効率的な温度制御、特に冷却を達成することが可能な構造技術面での特徴が記載されている。
【0030】
有利なことに、特に支持体ホルダと組み合わされた本発明によるスタンプは、構造がコンパクトであり、それ関連して熱質量が低減されており、かつ熱伝導の経路がより短いことを理由に、従来技術の解決策よりも著しく速い加熱勾配および冷却勾配を可能にする。したがって、著しく高いスループットが達成され、それにより生産コストの大幅な削減が達成される。
【0031】
好ましくは、可能な加熱速度は、40℃超/分、さらに好ましくは100℃超/分、より好ましくは20℃超/秒、さらにより好ましくは50℃超/秒、極めて好ましくは100℃超/秒である。
【0032】
冷却速度は、特に20℃超/分、好ましくは40℃超/分、より好ましくは100℃超/分、さらにより好ましくは40℃超/秒に達する。
【0033】
支持体内に組み込み可能な、ヒータの本発明による実施形態はすべて、基板ホルダおよび/または支持体ホルダ内にも取り付けることが可能である。これは特に、型押し材料が、対称的に、すなわち上側および下側から加熱されるべき場合に、有益かつ有利である。以下の過程では、より分かりやすくするために、ヒータの実施形態はすべて、支持体との関連でのみ記載される。ただし、すべての特徴が、基板ホルダおよび/または支持体ホルダとの関連でのヒータにも当てはまる。
【0034】
支持体は、特に、以下の材料のうちの少なくとも1つから作製することが可能である。
【0035】
・ 金属、特に
・ Cu、Ag、Au、Al、Fe、Ni、Co、Pt、W、Cr、Pb、Ti、Ta、Zn、Sn
・ 半導体、特に
・ Ge、Si、α-Sn、フラーレン、B、Se、Te
・ 化合物半導体、特に
・ GaAs、GaN、InP、InxGa1-xN、InSb、InAs、GaSb、AlN、InN、GaP、BeTe、ZnO、CuInGaSe2、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、Hg(1-x)Cd(x)Te、BeSe、HgS、AlxGa1-xAs、GaS、GaSe、GaTe、InS、InSe、InTe、CuInSe2、CuInS2、CuInGaS2、SiC、SiGe
・ ポリマー、特に
・ アクリルエステル-スチレン-アクリロニトリル、アクリロニトリル/メチルメタクリレート、アクリロニトリル/ブタジエン/アクリレート、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、アクリルポリマー、アルキド樹脂、ブタジエンゴム、ブチルゴム、カゼインプラスチック、合成角質、酢酸セルロース、セルロースエーテルおよび誘導体、セルロース水和物、硝酸セルロース、キチン、キトサン、クロロプレンゴム、シクロオレフィン共重合体、均質なポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ポリ酢酸ビニル、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン酢酸ビニル、発泡性ポリスチレン、フッ素ゴム、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、イソプレンゴム、リグニン、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、メチルアクリレート/ブタジエン/スチレン、天然ゴム、パーフルオロアルコキシルアルカン、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリカーボネート類、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエーテルアルコール、ポリエーテルブロックアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリメタクリルメチルイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、ポリオキシメチレンまたはポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体、ポリピロール、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル(硬質PVC)、ポリ塩化ビニル(軟質PVC)、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレン、合成ゴム、熱可塑性ポリウレタン、不飽和ポリエステル、酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/エチレン/メタクリレート、塩化ビニル/エチレン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル
・ 金属ガラス
・ 非金属ガラス、特に
・ 有機非金属ガラス
・ 無機非金属ガラス、特に
・ 非酸化物ガラス、特に
・ ハロゲン化物ガラス
・ カルコゲナイドガラス
・ 酸化物ガラス、特に
・ リン酸塩ガラス
・ ケイ酸塩ガラス、特に
・ アルミノケイ酸塩ガラス
・ ケイ酸鉛ガラス
・ アルカリ金属-ケイ酸塩ガラス、特に
・ アルカリ金属-アルカリ土類金属-ケイ酸塩ガラス
・ ホウケイ酸塩ガラス
・ 石英ガラス
・ ホウ酸塩ガラス、特に
・ アルカリ金属ホウ酸塩ガラス
・ ガラスと称されるがそうではない材料
・ サファイアガラス。
【0036】
本発明による好ましい実施形態では、支持体が、半導体材料および/または化合物半導体材料を有し、好ましくは少なくとも1つの導電性領域を有する。
【0037】
特に、支持体内には、少なくとも1つの加熱要素のみならず、他の機能ユニット、特にセンサ、好ましくは、温度センサ、メモリ、および/またはマイクロチップもさらに配置されていてもよい。加熱要素、センサ、および/またはマイクロチップを使用することにより、支持体内に、特に、制御ループ用の完全な制御装置を作製することができる。
【0038】
本発明によるこの好ましい実施形態では、複数のプロセスステップにより、電流が流れることが可能な少なくとも1つの導電性領域を支持体内に直接作製することができる。この目的のために、第1のプロセスステップでは、特に感光性のラッカーが支持体上に塗布される。第2のプロセスステップでは、ラッカーが、特にインプリントおよび/またはフォトリソグラフィープロセスにより構造化される。第3のプロセスステップでは、ラッカーが現像される。更なるプロセスステップでは、そのようにして作製されたラッカーは、ドーピング元素の到達可能な領域において半導体材料がドープされるドーピングプロセス中に、ドーピングマスクとして機能する。更なるプロセスステップでは、ラッカーが除去される。この例示的なプロセスにより、少なくとも1つの導電性領域を有する半導体支持体ができあがる。
【0039】
本発明による特定の好ましい実施形態では、支持体が、誘電体を有し、かつ少なくとも1つの導電性、特に金属の領域を有する。
【0040】
特に、支持体は、複数の異なるプロセスにより少なくとも1つの導電性、特に金属の領域が導入される誘電体からなる。第1のプロセスステップでは、特に感光性のラッカーが誘電性支持体に塗布される。第2のプロセスステップでは、ラッカーが、特にインプリントおよび/またはフォトリソグラフィープロセスにより構造化される。第3のプロセスステップでは、ラッカーが現像される。更なるプロセスステップでは、そのようにして作製されたラッカーは、エッチング物質の到達可能な領域において誘電体材料がエッチングされるエッチングプロセス中に、エッチングマスクとして機能する。更なるプロセスステップでは、ラッカーが除去される。更なるプロセスステップでは、電気材料が支持体に塗布され、特にエッチングされた領域を充填する。更なるプロセスステップでは、すべての金属が、上側から取り除かれ、誘電性支持体のエッチングされた領域だけを埋めるまで、支持体のコーティング側を薄くする。この例示的なプロセスにより、導電性領域を有する誘電性基板ができあがる。
【0041】
少なくとも1つの導電性領域は、特に、熱を生じさせる構造を作製するために使用される。特に、ジュール熱、すなわち消費電力熱が生成される。
【0042】
別の好ましい実施形態では、支持体が、少なくとも1つのコイル、特にフラットコイルを有する。この目的のために、フラットコイルが支持体内に作製されてもよい。フラットコイルは、これに高周波交流電流が流れると、隣接した導電性領域において、特に誘導により熱を生成することができる。
【0043】
別の好ましい実施形態では、軟質スタンプが導電性ナノ粒子を有する。特に、導電性ナノ粒子は軟質スタンプ内にあり、そのため、支持体内で生成される高周波交互磁場により軟質スタンプ内のナノ粒子が加熱される。
【0044】
好ましくは、支持体は、コイル、特にフラットコイルとして構成された導電性領域からなる。コイルには、好ましくは交流電流が流れるため、経時的に変化する磁場が生成される。コイルは、好ましくは互いに直接接続されており、かつ好ましくは支持体全体にわたり均一に分布しており、そのため、可能な限り多数の磁場源が存在する。有利には、可能な限り均一な磁場が、多数のコイルにより生成されるべきである。
【0045】
別の好ましい実施形態では、支持体が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、導電性材料、特に金属からなる。加熱は、金属支持体内で生成される高い電流密度により生じる。支持体の断面積が小さいほど、電流密度が大きくなる。支持体の長さおよび幅は、軟質スタンプのサイズにより決定および指定される。支持体の厚さは、支持体の必要な機械的安定性が維持されている限り、ほとんどの場合で自由に選択可能である。したがって、支持体の厚さは最小であることが好ましい。
【0046】
電流密度は、特に3シグマ信頼水準(Drei-Sigma Konfidenzniveau)が98%の場合、0.01A/m2~1MA/m2、好ましくは0.1A/m2~1MA/m2、より好ましくは1A/m2~1MA/m2、さらにより好ましくは10A/m2~1MA/m2、極めて好ましくは100A/m2~1MA/m2、最も好ましくは1000A/m2~1MA/m2である。
【0047】
別の好ましい実施形態では、支持体がプレートである。
【0048】
プレートの厚さは、特に3シグマ信頼水準が98%の場合、0.01mm~20mm、好ましくは0.05mm~15mm、より好ましくは0.1mm~10mm、さらにより好ましくは0.5mm~5mm、極めて好ましくは0.5mm~2.5mm、最も好ましくは0.5mm~2mmである。
【0049】
他の好ましい実施形態では、支持体が、フィルム、特に有機半導体からなるフィルムである。
【0050】
フィルムの厚さは、特に3シグマ信頼水準が98%の場合、0.01mm~5mm、好ましくは0.05mm~2.5mm、より好ましくは0.1mm~2mm、さらにより好ましくは0.5mm~1.5mm、極めて好ましくは0.5mm~1.25mm、最も好ましくは0.5mm~1.25mmである。
【0051】
別の好ましい実施形態では、スタンプが、支持体により生じた熱流の方向を狙い通りに制御することが可能なように設計された装置の一部である。この装置は、型押し材料の硬化の間、支持体の熱を、好ましくは硬化させるべき型押し材料の方向にのみ伝導する。型押し材料が硬化した後に、スタンプ、特に支持体、および/または型押し材料の冷却は、熱流を型押し材料の反対側に方向変換することにより補助される。この方向変換は、熱抵抗Rを変化させることにより達成される。熱抵抗Rは、温度差ΔT(デルタT)と熱流dQ/dtとからの商である:
【数1】
【0052】
したがって、熱抵抗Rは純粋な材料パラメータではなく、環境パラメータ、特に外部温度TAに依存する。したがって、適切な冷却システムにより、熱抵抗Rに対して非常に容易に影響を与えることができる。
【0053】
熱抵抗は、純粋な材料および幾何学的パラメータにより定義され得る。
【0054】
【0055】
式中、lおよびAは、熱が流れる(均一な)本体、特に支持体ホルダの厚さまたは断面積であり、λはその熱伝導率である。比較的薄い支持体ホルダの厚さにより、構造技術的に熱抵抗を非常に容易に下げることができる。
【0056】
本装置は、特にスタンプの裏側に、スタンプを温度制御、特に冷却するための装置を有する。特に好ましい実施形態では、支持体が、冷却可能な支持体ホルダに接触している。支持体ホルダは特に、冷却要素、特に冷却リブを有する。ペルティエ素子または凹所、特に冷却液が圧送されて通るホースまたはパイプラインも考えられる。支持体ホルダにより吸収される熱量が、構造技術的な手段により可能な限り効率的に排出されることが重要である。好ましくは、排出は冷却液を用いて行われる。
【0057】
本装置において、スタンプ、特に軟質スタンプおよび支持体、ならびに/または基板ホルダおよび/もしくは基板は、熱硬化の使用と電磁硬化の使用とを組み合わせるために、電磁放射線に対して透過性であってもよい。
【0058】
この場合、電磁放射線は、好ましくは波長が、10nm~2000nm、好ましくは50nm~1500nm、より好ましくは100nm~1000nm、最も好ましくは150nm~500nm、最も好ましくは200nm~370nmの範囲にある。
【0059】
本発明によると好ましい本発明の更なる態様は、軟質スタンプを支持体から取り外して、支持体に、新しい、新品の、それほど消費されておらず損傷の少ない、新たな軟質スタンプを装着できることである。複数の型押し加工プロセスの後に、軟質スタンプは、交換が必須になるほど摩耗していることがある。特に、支持体は、軟質スタンプを新たに装着する前に洗浄される。それにより、比較的製造コストの高い支持体を複数回使用することが可能になる。
【0060】
軟質スタンプの取り外しは、例えば、以下の方法のうちの1つにより、および/またはそのような方法の組み合わせにより行うことが可能である:熱によるもの、例えば、ガラス転移温度を上回る温度上昇によるもの、機械的、物理的および/または化学物理的なもの、例えば、プラズマ、特にO2プラズマでのアッシングによるもの、化学的なもの、例えば、ピラニアのような溶媒または溶媒混合物での化学洗浄によるもの。完全な剥離は、特に、化学的溶解または熱処理と機械的作用との組み合わせにより行うことが可能である。
【0061】
別の好ましい実施形態では、可能かつ考えられる半導体構成要素がすべて、支持体内で直接作製され得る。例えば、支持体に複数の異なる能動構成要素および受動構成要素を備えるために、本発明による加熱要素のみならず、測定用のマイクロチップ、温度センサ、曲げセンサなどが支持体内に直接組み込まれることが考えられる。それにより、支持体は、純粋な構造要素から機能要素になる。
【0062】
方法
本発明はさらに、本発明によるスタンプで型押し材料を型押し加工するための方法、および型押し材料を型押し加工するための本発明によるスタンプの使用に関する。
【0063】
本発明による第1の方法ステップでは、基板が型押し材料でコーティングされる。その際、基板は基板ホルダ上に配置されており、好ましくは、基板がスライドできないように基板ホルダにより固定される。
【0064】
本発明による第2の方法ステップでは、スタンプが、特に光学補助具を用いて、基板に対して位置調整される。位置調整は、好ましくは位置調整マーカを用いて行われ、この位置調整マーカは、一方では支持体上に、さらにより好ましくは軟質スタンプ上に、他方では基板上に配置されている。これにより、軟質スタンプの非常に正確な位置決めが可能になる。支持体および軟質スタンプ、ならびに/または基板および基板ホルダが、位置調整に使用される電磁放射線を透過させる場合、2つの対象の位置調整は、好ましくはいわゆる対面式位置調整により行われる。
【0065】
本発明による第3の方法ステップでは、型押し材料の型押し加工が、スタンプ、特に軟質スタンプにより行われる。その際、型押し加工は、軟質スタンプが基板および支持体の相対的な接近により互いに型押し材料と接触し、可能な限り均一に型押し加工するように行われ得る。スタンプを、特に中央で凸状に湾曲させ、それによりその中央部分を最初に型押し材料に押し込むために、変形要素を使用することも考えられる。
【0066】
支持体は、変形中に、支持体ホルダと、特に周辺部で接続されていても、または支持体ホルダから完全に取り外されてもよい。特に、ここでは公報である国際公開第2015161868号が参照される。スタンプを変形させることなくスタンプおよび型押し材料を相対的に互いに接近させることも考えられる。
【0067】
本発明による第4の方法プロセスでは、本発明による実施形態により型押し材料が加熱される。その際、本発明によると、熱は、支持体の加熱要素内で、すなわち型押し材料のできるだけ近くで生成される。
【0068】
本発明による第5の方法ステップでは、型押し材料からのスタンプ、特に軟質スタンプの離型が行われる。
【0069】
本発明の更なる利点、特徴、および詳細は、好ましい実施例の以下の説明から、かつ図面を参照して明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1a】本発明による第1の実施形態の側面図である。
【
図1b】本発明による第1の実施形態の平面図である。
【
図2a】本発明による第2の実施形態の側面図である。
【
図2b】本発明による第2の実施形態の平面図である。
【
図3a】本発明による第3の実施形態の側面図である。
【
図3b】本発明による第3の実施形態の平面図である。
【0071】
図において、同じ構成要素または同じ機能を有する構成要素には、同じ参照記号が記されている。
【0072】
図1aは、支持体1と軟質スタンプ2(上面図にはみられない)とからなるスタンプ3の本発明による第1の実施形態の上面図を示す。本発明によると、支持体1は加熱要素4を有する。
図1aにおいて、加熱要素4は、単純なメアンダ状の導体路として図示されている。これらの導体路に電流を流す。電流密度が高いことで、十分なジュール熱が生成され、それにより、本発明による加熱プロセスが実施される。支持体1が誘電体である場合、加熱要素4は金属製であることが好ましい。支持体1が半導体材料である場合、加熱要素4は、例えば、ドープされた、特にnドープされた領域であってもよい。
【0073】
図1bは、支持体1と軟質スタンプ2とからなるスタンプ3の本発明による第1の実施形態の側面図を示す。スタンプ3の部品は、より見やすくするために、縮尺通りには図示されていない。特に、軟質スタンプ構造体2sは、軟質スタンプ2の全体のサイズに比べて何倍も小さい。
【0074】
図2aは、支持体1と軟質スタンプ2とからなるスタンプ3の本発明による第2の実施形態の上面図を示す。本発明によると、支持体1は、コイル型の加熱要素4’を有する。これらの導体路に電流を流す。電流密度が高いことで、十分なジュール熱が生成され、それにより、本発明による加熱プロセスが実施される。しかしながら、本発明によると、磁束の強い経時的な変化を生じさせるために、コイル型の加熱要素4’に高周波交流電流を流すことが好ましい。
【0075】
図2bは、支持体1と軟質スタンプ2とからなるスタンプ3の本発明による第2の実施形態の側面図を示す。コイル型の加熱要素4’のうちの1つについて、磁力線5が例示的に図示されている。他の2つの加熱要素4’の磁力線5の図については、見やすくするために省略する。
【0076】
経時的に変化する磁場は、磁力線5が通る誘電体に電圧を誘導し、それにより誘電体中に電流を生成する。そして、この電流がジュール熱を生成する。特に、いわゆるスキン効果により、そのように誘導された電流が、誘電体の表面にのみ存在し、誘電体を相応して強く加熱するようになる。
【0077】
特に軟質スタンプ2内に存在する金属粒子6の加熱が考えられる。それにより、有利なことに、軟質スタンプ2、ひいては型押し材料のさらにより近くに加熱がもたらされる。加熱要素4’は、支持体1内に直接組み込まれており、支持体とともに変形し、適合する。
【0078】
図3aは、支持体1と軟質スタンプ2とからなるスタンプ3の本発明による第3の実施形態の上面図を示す。この特定の実施形態では、支持体1全体が導電性であり、電流が表面全体に流れる。また(特に唯一の)加熱要素4’’は、金属またはドープされた半導体であり得る。
【0079】
図3bは、支持体1と軟質スタンプ2とからなるスタンプ3の本発明による第3の実施形態の側面図を示す。加熱要素4’’は、特に薄い厚さtにわたってのみ延在する。厚さtが薄いことで、電流密度、ひいてはジュール熱が可能な限り高くなることが確実になる。
【0080】
図4は、支持体1および軟質スタンプ2を有するスタンプ3と、支持体1を支持体ホルダ10に固定する固定部11を有する支持体ホルダ10と、スタンプ3を変形させるための変形要素13と、支持体ホルダ10、ひいては同様にスタンプ3を冷却するための冷却要素12と、型押し材料8が堆積される基板7を収容する基板ホルダ9とを有する装置の側面図を示す。電流源15は、その都度使用される本発明による実施形態に応じて、直流電流源または交流電流源のいずれかであり得る。電流回路14を介して、支持体1内の加熱要素4に電流が供給される。
【0081】
加熱要素4を支持体1に組み込むという本発明による構想は、支持体ホルダ10によりスタンプ3を能動冷却および/または受動冷却する任意の可能性がある点で拡張されている。特に、冷却要素12による、好ましくは流体が周りを流れる冷却リブによる能動冷却を使用することで、支持体1を再び非常に迅速に冷却することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 支持体
2 軟質スタンプ
2s 軟質スタンプ構造体
3 スタンプ
4,4’,4’’ 加熱要素
5 磁力線
6 粒子、特にナノ粒子
7 基板
8 型押し材料
9 基板ホルダ
10 支持体ホルダ
11 固定部
12 冷却要素
13 湾曲要素
14 電流回路
15 電流源
t 加熱要素の厚さ