(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】直鎖および環式脂肪族ポリイソシアネートで調製されたコア-シェルカプセル
(51)【国際特許分類】
B01J 13/14 20060101AFI20221116BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20221116BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20221116BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20221116BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20221116BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20221116BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20221116BHJP
C08G 18/72 20060101ALI20221116BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B01J13/14
A61K8/11
A61K8/87
A61Q13/00 102
A61K9/50
A61K47/34
C08G18/08 038
C08G18/72 020
C11D3/37
(21)【出願番号】P 2020560281
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2018060492
(87)【国際公開番号】W WO2019206404
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】オット パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ベーレンス コルジャ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス-ロラ ティモシー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】テフェンハート ジョン エム
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-537472(JP,A)
【文献】特表2013-530979(JP,A)
【文献】特表2017-533240(JP,A)
【文献】特表2017-515661(JP,A)
【文献】特表2013-534952(JP,A)
【文献】特表2015-502969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J13/02- 13/22
C09K23/00- 23/56
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
A61K 9/00- 47/69
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C11B 1/00- 15/00
C11C 1/00- 5/02
A01N 1/00- 65/48
A01P 1/00- 23/00
C11D 1/00- 19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェルカプセルであって、前記シェルは、ポリマー材料を含むかまたはからなり、前記ポリマー材料は、構成要素(A)を構成要素(B)と反応させることによって製造されるかまたは製造可能である、コア-シェルカプセルであって、
構成要素(A)は、それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとを含むかまたはからな
り、
且つ
構成要素(B)は、1種類以上の架橋剤を含むかまたはからな
り、
ここで、前記環状脂肪族ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる、
コア-シェルカプセル。
【請求項2】
前記誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、且つ、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1つ以上の基をさらに含んでいてもよい、請求項1に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項3】
構成要素(A)の前記少なくとも1種類の直鎖および/または前記少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと前記少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとのどれも芳香族構造をまったく含まない、請求項1
又は2に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項4】
前記直鎖または分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、エチルエステルリジントリイソシアネート、リジンジイソシアネートエチルエステルおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれ
る、請求項1
~3のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項5】
前記架橋剤は、2個以上のアミノ基を有するポリアミンまたはその塩
であ
る、請求項1~
4のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項6】
前記カプセルは、マイクロカプセルであ
る、請求項1~
5のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項7】
前記反応は、構成要素(A)を含むかまたはからなる第1の相を、構成要素(B)を含むかまたはからなる第2の相と接触させることを含む界面反応であ
る、請求項1~
6のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項8】
前記第1の相は、前記界面反応の前に前記第2の相中に分散され、前記第1の相は、前記コアの1種類以上のさらなる成分をさらに含
む、請求項
7に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項9】
前記第2の相は、前記第1の相の凝集を妨げる1種類以上のコロイド安定剤をさらに含
む、請求項
7または
8に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項10】
構成要素(B)は、構成要素(A)中に存在するイソシアネート基の1モルあたり0
.5~4モル
のアミノ基を含む、請求項
5~
9のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項11】
前記コアは、匂い物質、アロマ分子、冷却剤、TRPV1/TRPV3モジュレータ、染料、染料前駆体、相変化材料、化学反応用触媒、接着剤、接着剤用途のための反応性物質、医薬品活性物質、紫外線フィルター、化粧品活性物質、植物保護活性物質、駆虫剤、撥水剤、難燃剤、農薬、潤滑剤および溶媒からなる群から選ばれた1種類以上のさらなる成分を含む、請求項1または
10のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセルを含む製品
。
【請求項13】
コア-シェルカプセル
を製造するためのプロセスであって、
(i)それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと、2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートと、1種類以上のさらなるカプセル化される成分と、任意選択として1種類以上の溶媒と
、を準備するステップであって、
ここで、前記環状脂肪族ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる、前記ステップと、
(ii)1種類以上の架橋剤を準備するステップと、
(iii)ステップ(i)の構成要素を含む溶液(1)を製造するステップであって、適用可能な場合、溶液(1)は、水溶性でないステップと、
(iv)ステップ(ii)の構成要素の水溶液(2)中の溶液(1)の分散物を製造するステップ
と、
(v)溶液(1)のポリイソシアネートを溶液(2)の架橋剤と反応させるステップと、
(vi)任意選択として、続いて前記反応混合物の温度を40~80℃の範囲に0.5~5時間維持するステップと、
を含
む、プロセス。
【請求項14】
前記誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、且つ、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1つ以上の基をさらに含んでいてもよい、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
ステップ(i)の前記直鎖または分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、エチルエステルリジントリイソシアネート、リジンジイソシアネートエチルエステルおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれ
る、
請求項
13または14に記載のプロセス。
【請求項16】
繊維製品、髪、皮膚、表面および/または環境空気に着香するための、請求項1~
11のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル、または
請求項
12に記載の製品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直鎖および/または分岐脂肪族ポリイソシアネートと環状脂肪族ポリイソシアネートとで調製されたコア-シェルカプセルに関する。詳しくは、本発明は、コア-シェルカプセルであって、シェルは、2種類の構成要素を反応させることによって製造されるかまたは製造可能であるポリマー材料を含むかまたはからなり、第1の構成要素は、それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとを含むかまたはからなり、第2の構成要素は、1種類以上の架橋剤を含むかまたはからなるコア-シェルカプセルを開示する。さらに、本コア-シェルカプセルを含む製品、本コア-シェルカプセルを製造するためのプロセスおよび本コア-シェルカプセルの使用が提供される。
【背景技術】
【0002】
一般に、産業界においては芳香物質または芳香物質混合物を含む新しい調合物を提供することが常に求められている。例えば洗浄剤、衣類用柔軟剤、粉末洗剤、衣料用液体洗剤、シャワー用ジェル、シャンプー、デオドラント、ボディーローション等を含む多種多様な種々の使用分野に向けた香料、香気混合物(香料組成物)および賦香において、複数の異なる香調を有する芳香物質混合物が数多くかつ無数に形を変えて用いられている。
【0003】
新しい香調を求める消費者の高まって行く需要に起因して、香料業界においては新規な芳香物質混合物だけでなく、例えば種々の環境における香調の放出の改善および芳香物質混合物の安定性を提供する新しい調合物も常に求められている。より詳しくは、新規な芳香物質混合物の場合における焦点は、主に、それらがそれらの一次的な性質すなわちそれらの嗅覚上の性質に加えて、追加の有益な二次的性質、例えば、特定の使用条件において高くなる安定性、高い存在量、高い輝き、良好な拡散性(すなわち良好な空間効果)、ふくよかさ、強力さおよび/または自然さ、匂いを強める性質および/またはさらに好ましくは皮膚適合性、良好な溶解性、および毒物学的な適合性を有することに向けられている。
【0004】
詳しくは、芳香物質と調合物の他の構成物との相互作用またはより軽い揮発性の香料構成要素の時機尚早な蒸発が非常に頻繁に起きる。一般に、このことは、香料の嗅覚印象が変化するかまたは完全に消失することにつながる。
【0005】
そのような芳香物質混合物のカプセル化は、着香製品中の相互作用またはわずかに揮発性の構成物の蒸発を減少させるかまたは完全に妨げる可能性を提供する。マイクロカプセルの使用は、精密に定義された条件における成分の放出を提供する。従って、例えば、芳香物質を封じ込むマイクロカプセルの場合、一般にマイクロカプセルが環境条件(例えば酸化性の化合物)に敏感である芳香物質を貯蔵中に安定であるように囲い込むことと、所望の芳香発揮の時だけにマイクロカプセルが機械的応力によって壊れて開くこととが必要である。
【0006】
コア/シェルカプセルは、通常、水相中のコア材料の微細な分散によって製造される。次に、コアセルベーションプロセスまたはインサイチュ重合において水相から壁材料が析出し、油滴を囲い込む。従って、油滴のサイズがそのまま次段のカプセルコアのサイズを決定する。そのようなインサイチュ重合において、壁材料としてアミノプラストが非常に頻繁に使用される。これらのアミノプラストは、非常に頻繁にメラミンとホルムアルデヒドまたは他のアミン構成要素もしくはアルデヒドの縮合に基づく。そのようなマイクロカプセルを製造するための方法は、当分野において公知である。
【0007】
特許文献1は、匂い物質を囲い込んでいるコア-シェルマイクロカプセルであって、シェルが、1個以上のアミノ基と1個以上のポリイソシアネートとを有する1種類以上のポリシロキサンでできているコア-シェルマイクロカプセルを開示している。特許文献2は、ポリイソシアネートをグアニジン化合物と反応させることによって得られる壁を有するマイクロカプセルであって、ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートオリゴマーからなるマイクロカプセルを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2011/118161(A1)号
【文献】米国特許第6,586,107(B2)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
当分野においては、それぞれの用途のために、例えば洗浄剤、衣類用柔軟剤、粉末洗剤、衣料用液体洗剤、シャワー用ジェル、シャンプー、デオドラント、ボディーローションおよびその他の化粧製品において、改良された安定性および改良された放出特性の点で改良されたシェル構造を有するマイクロカプセルの提供が依然として求められている。マイクロカプセルの提供における別の目的は、一方ではシェルが利用基材中の貯蔵時に消費者製品の最終使用前の匂い/アロマ化合物の滲み出しを防ぐのに十分なほど安定であり、他方ではカプセルの中身の放出が高すぎるシェル材料の安定性に起因して完全に抑制されないようなシェル材料の十分な安定性である。さらに別の目的は、匂いを含む改良された感覚特性を有するマイクロカプセルの提供にある。
【0010】
第1の側面によれば、本発明は、従って、コア-シェルカプセルであって、シェルは、ポリマー材料を含むかまたはからなり、ポリマー材料は、構成要素(A)を構成要素(B)と反応させることによって製造されるかまたは製造可能であり、
構成要素(A)は、それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとを含むかまたはからなり、好ましくは、前記環状脂肪族ポリイソシアネートの総量に対する前記直鎖および/または分岐脂肪族ポリイソシアネートの総量の重量比は、90:10~10:90、好ましくは70:30~15:85、より好ましくは60:40~20:80、最も好ましくは50:50~20:80の範囲にあり、
構成要素(B)は、1種類以上の架橋剤を含むかまたはからなる、
コア-シェルカプセルの提供に関する。
【0011】
本発明は、本コア-シェルカプセルを含む製品、好ましくは着香製品、本コア-シェルカプセルを製造するためのプロセスおよび繊維製品、髪、皮膚、表面および/または環境空気を着香する本コア-シェルカプセル、または好ましくは本製品の使用も提供する。
【0012】
本発明は、特定のイソシアネートを反応させると改善された分析特性および感覚特性を有するコア-シェルマイクロカプセルを提供するという発見に基づく。詳しくは、本発明者らは、それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとの組合せをあらゆる適当な架橋剤と反応させると、シェル材料の優れた材料特性を示すシェル構造体が得られる結果となり、その結果、シェルは、カプセル化された活性成分、特に芳香物質/匂い化合物の滲み出しにつながるような早すぎる破損/漏出もせず、高すぎるシェル材料の安定性に起因して遅すぎる破損/漏出をするかまたは完全に妨げられることもないことを見いだした。驚くべきことに、本ポリイソシアネートの組合せは、多種多様な活性成分、特に芳香物質に本コア-シェルカプセルに加えられる機械的な負荷の量および/または時間に応じて(化学的)安定性と、放出時間を含む放出プロファイルを調節するための可能性とを提供することがさらに見いだされた。
【0013】
本コア-シェルカプセルは、活性成分、好ましくは匂い物質/芳香物質の徐放を提供するので、シェルの破損後の匂いの発揮という点で改善された感覚特性が得られる。本発明による本コア-シェルカプセルは、活性成分と反応しない化合物の使用を可能にするだけでなくカプセルシェルに十分な安定性も長期間提供する。
【0014】
いかなる理論にも束縛されることは望まないが、今のところ、特に、2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとの組合せが、種々の濃度において、反応したイソシアネートの少なくとも部分的な遮蔽を生じる結果となると考えられる。言い換えると、少なくとも部分的にポリマー材料を破損/分解/穿孔する化合物の接近が立体的に禁止される。
【0015】
本明細書において用いられる用語「イソシアネート」は、式R-N=C=Oを有する官能基を指す。少なくとも2個のイソシアネート基、すなわち少なく2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、250個のイソシアネート基を有する化合物がポリイソシアネートとして参照される。
【0016】
本明細書において用語「脂肪族ポリイソシアネート」によって記載される分子は、非芳香族である(下記に定義される)あらゆるポリイソシアネートを指す。さらに、前記分子は、同じ脂肪族分子の対応する数の異なるC-原子に直接結合されている少なくとも2個のイソシアネート基、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、250個のイソシアネート基を含む。少なくとも2個のイソシアネート基が直接結合している同じ脂肪族分子の前記少なくとも2個のC-原子、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、250個のC-原子は、非芳香族である、すなわち4n+2個のπ-電子を有する共役二重結合を有する平面環状分子の一部を形成しない。より好ましくは、同じ脂肪族分子の前記少なくとも2個のC-原子、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、250個のC-原子は、sp2-混成していない。従って、例えば、タイプR1R2C=CR3NCO、式中、R1、R2および/またはR3は、少なくとも1個の(追加の)イソシアネート基を示す、の構造は、包含されない。さらにより好ましくは、同じ脂肪族分子の少なくとも2個のC-原子、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、250個のC-原子は、sp3-混成している、すなわちイソシアネート基に加えて3個の他の置換基を示す。2個以上のイソシアネート基(上記で定義される)を有する同じ脂肪族分子の前記少なくとも2個のC-原子、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、250個のC-原子を除けば、前記脂肪族ポリイソシアネート分子は、1個以上のヘテロ原子、例えば窒素、酸素、リンおよび/または硫黄、芳香族構造およびsp、sp2および/またはsp3-混成している追加のC-原子を含めて、あらゆる構造を含み得る。
【0017】
少なくとも2個のイソシアネート基、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、250個のイソシアネート基を有する前記脂肪族ポリイソシアネート分子は、さらに、直鎖、分岐、または環状であってよく(本発明の第1の側面に関して上記で定義されるように)、例えば、脂肪族置換基、芳香族置換基、ヘテロ原子、例えばハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素、および/または他の官能基、例えばアルコキシ基を含むあらゆる置換形を示し得る。
【0018】
好ましい実施形態によれば、構成要素(A)の少なくとも1種類の直鎖および/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートならびに少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートのどれも芳香族構造をまったく含まない(すなわち、それぞれの分子は、いかなる芳香族構造もまったく含まない)。
【0019】
別の好ましい実施形態によれば、構成要素(A)の少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、いかなる芳香族構造も含まないが、構成要素(A)の少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネート(存在する場合)および少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートは、芳香族構造を含む。
【0020】
別の好ましい実施形態によれば、構成要素(A)の少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートは、いかなる芳香族構造も含まないが、構成要素(A)の少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネート(存在する場合)および少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートは、芳香族構造を含む。
【0021】
別の好ましい実施形態によれば、構成要素(A)の少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートは、いかなる芳香族構造も含まないが、構成要素(A)の該少なくとも1種類の直鎖および/または分岐脂肪族ポリイソシアネートは、芳香族構造を含む。
【0022】
さらに別の好ましい実施形態によれば、構成要素(A)の少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートは、いかなる芳香族構造も含まないが、構成要素(A)の少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートは、芳香族構造を含む。
【0023】
直鎖脂肪族ポリイソシアネート分子は、好ましくは、C2~C20、好ましくはC3~C15、C4~C12、C5~C10、C6~C9、またはC7~C8の直鎖アルキルから選択される。好ましくは、直鎖脂肪族分子は、いかなる芳香族構造および/またはいかなる環状構造も包含しない。
【0024】
分岐脂肪族ポリイソシアネート分子は、好ましくは、C2~C20、好ましくはC3~C15、C4~C12、C5~C10、C6~C9、またはC7~C8の分岐アルキルから選択される。好ましくは、分岐脂肪族分子は、いかなる芳香族構造および/またはいかなる環状構造も包含しない。
【0025】
環状脂肪族ポリイソシアネート分子は、少なくとも1個、すなわち1、2、3、4または5個以上の非芳香族環構造を含み、好ましくは、環構造自体は、C-原子からなるだけであり、環構造のC-原子のすべては、sp3-混成している。当然のこととして、環構造のC-原子は、適切な置換基を含み得る。少なくとも1個の環構造は、好ましくは、互いに独立に3、4、5、6、7または8員環から構成される。好ましくは、環状脂肪族分子は、2~20個のC-原子、例えば3~15、4~12、5~10、6~9、または7~8個のC-原子を含む。
【0026】
直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または分岐脂肪族ポリイソシアネートで形成されたイソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはウレトジオンが本発明による環状脂肪族ポリイソシアネートでないことは、直ちに理解されるだろう。好ましくは、いかなるイソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはウレトジオン構造も本発明による環状脂肪族ポリイソシアネートではない。
【0027】
直鎖、分岐および環状脂肪族ポリイソシアネートは、それぞれモノマーまたはポリマーとして存在し得る。モノマー形ポリイソシアネートは、特に該1種類以上の架橋剤を介して別の分子と相互結合していない分子である。ポリマー形ポリイソシアネートは、該1種類以上の架橋剤によって相互結合している少なくとも2個のモノマーを包含する。該少なくとも2個のモノマーが必ずしも同じモノマーではなく異なり得ることも直ちに理解されるだろう。ポリマー形ポリイソシアネートは、好ましくは、該少なくとも1種類の架橋剤によって相互結合している少なくとも2個以上のモノマー、すなわち少なくとも2、3、4、5、10、20、30、40、50または100個のモノマーを含む。
【0028】
直鎖、分岐および/または環状脂肪族ポリイソシアネートは、好ましくは、それぞれ、限られたサイズ/分子量を示し、該1種類以上の架橋剤との反応性を可能にする。適当な分子量の例は、好ましくは、約100g/モル~5×104g/モル、好ましくは120g/モル~2×104g/モル、140g/モル~104g/モル、160g/モル~5×103g/モル、180g/モル~2×103g/モル、200g/モル~103g/モル、220g/モル~900g/モル、240g/モル~800g/モル、260g/モル~700g/モル、280g/モル~600g/モル、300g/モル~500g/モル、320g/モル~450g/モル、または340g/モル~400g/モルを含む。
【0029】
あらゆる数の異なる直鎖、分岐および/または環状脂肪族ポリイソシアネートが使用され得る。例えば、少なくとも1種類、すなわち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類の異なる直鎖脂肪族ポリイソシアネートが使用される。例えば、少なくとも1種類、すなわち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類の異なる分岐脂肪族ポリイソシアネートが使用される。例えば、少なくとも1種類、すなわち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類の異なる分岐環状ポリイソシアネートが用いられる。
【0030】
化合物(B)の「架橋剤」とは、安定な結合を形成しながらイソシアネートと反応することができる少なくとも2個の官能基を有するあらゆる化合物を指す。架橋剤は、好ましくは、安定な結合を形成しながらイソシアネートと反応することができる少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10個の官能基を含む。
【0031】
そのような架橋剤が構成要素(A)に加えられることが必ずしも必要でないことはいうまでもない。むしろ、架橋剤の形成を起こさせるあらゆる他の分子が構成要素(A)に加えられ得る。そのような分子の好ましい例は、水である。水分子は、ポリアミンを形成しながら構成要素(A)の一部と反応することがあり、このポリアミンが、今度はポリマー材料を形成しながら構成要素(A)の残りの部分と反応する。
【0032】
本発明の好ましい実施形態によれば、構成要素(A)は、いかなる芳香族ポリイソシアネートも含まない。
本記載の枠内で、芳香族ポリイソシアネートとは、2個以上のイソシアネート残基が芳香族C-原子と直接結合している化合物、およびそれらの誘導体であって、誘導体の各々が2個以上のイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1種類以上の基をさらに含む誘導体である。芳香族ポリイソシアネートの前記誘導体は、前記芳香族ポリイソシアネートと多価アルコール(例えばグリセリン)、ポリアミン、ポリチオール(例えばジメルカプロール)、および/またはそれらの混合物との反応によっても得られ得る。
【0033】
言い換えると、好ましくは、構成要素(A)は、上記で定義される直鎖および/または分岐ならびに環状脂肪族ポリイソシアネートを包含するだけである。
【0034】
より好ましくは、本発明による構成要素(A)の直鎖および/または分岐ならびに環状脂肪族ポリイソシアネートは、いかなる芳香族構造もまったく含まない。
【0035】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、直鎖または分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI、例えば三井化学(Mitui Chemicals Inc.)、日本によるスタビオ(Stabio)D-370NまたはD-376N)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、エチルエステルリジントリイソシアネート、リジンジイソシアネートエチルエステルおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれ、好ましくは、誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1種類以上の基を任意選択としてさらに含み、および/または、環状脂肪族ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI、例えば三井化学株式会社、日本によるタケネート(Takenate)600)、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)およびそれらの誘導体からなる群から選ばれ、好ましくは、誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体(例えばH6XDIのTMP付加体、特に三井化学株式会社、日本によるタケネートD-120N)からなる群から選ばれた1つ以上の基を任意選択としてさらに含む。
【0036】
リニューアブルな資源から得られる脂肪族ポリイソシアネート、例えばPDI(三井化学株式会社、日本によるスタビオD-370NまたはD-376N)が特に好ましい。リニューアブルな資源から得られるそのような脂肪族ポリイソシアネートはコア-シェルカプセルの品質/特性を低下させないことが見いだされた。
好ましくは、直鎖、分岐および/または環状脂肪族ポリイソシアネートの誘導体が使用される。本明細書において用いられる誘導体とは、その最も広い意味において、化合物から化学反応によって導かれる化合物と理解される。誘導体の例は、上述の直鎖または分岐脂肪族ポリイソシアネートのオリゴマーおよび/または付加体を含む。好ましいオリゴマーは、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンであり、好ましい付加体は、トリメチロールプロパン付加体である。これらのオリゴマー/付加体は、当分野において周知であり、例えば米国特許第4855490(A)号または米国特許第4144268(A)中に開示されている。好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートは、モノマー形および/または二量化形(イソシアネートとして)であるいはオリゴマー形で存在する。
【0037】
直鎖、分岐または環状ポリイソシアネートの前記誘導体は、前記ポリイソシアネートと多価アルコール(例えばグリセリン)、ポリアミン、ポリチオール(例えばジメルカプロール)、および/またはそれらの混合物との反応によっても得られ得る。
【0038】
上述の化合物は、存在する場合、異なる異性体を単独でまたは組合せて明示的に包含する。例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)は、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)および/または2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を包含する。
【0039】
本発明の実施形態によれば、架橋剤は、2個以上のアミノ基を有するポリアミンまたはそれらの塩、好ましくは、ジアミンまたはグアニジンであり、好ましくは、架橋剤は、炭酸グアニジン、塩酸グアニジン、トリス(2-アミノエチル)アミン、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、プロパンジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、フェニレンジアミン、および直鎖または分岐ポリエチレンイミン、好ましくはジエチレントリアミンからなる群から選ばれる。
【0040】
好ましいアミンは、200g/mol未満の分子量を有する。例示的なアミンは、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、アミノエチルピペラジン、プロピレンジアミン、N-メチルジプロピレントリアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、ならびに2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサンである。
【0041】
グアニジン化合物は、好ましくは、水溶液の形で用いられる。有用なグアニジン化合物の水溶液は、例えば、1~20重量%のグアニジン化合物(水溶液の総重量に対して)を含む。
【0042】
架橋剤の総量中のグアニジン化合物、特に炭酸グアニジンの割合は、好ましくは、50モル%以上である。
【0043】
代替実施形態によれば、官能基架橋剤は、例えばアルカノールアミン、アミノチオールまたはチオアルコール、例えばジメルカプロールにおいて異なり得る。種々の架橋剤のあらゆる組合せが使用され得る。
【0044】
架橋剤は、構成要素(A)に加えられる(単離された)化合物の形で存在し得る。あるいは、前記架橋剤は、2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネート、2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネート、および/または2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとあらゆる他の化合物との反応によって得られ、すなわち、架橋剤は、インサイチュ形成される場合。そのような他の化合物の例が水である。ポリイソシアネートへの水の付加は、対応するカルバミド酸の形成と、それに続くカルバミド酸からアミンおよび二酸化炭素への分解とを起こさせ得る。
【0045】
本発明の別の実施形態によれば、カプセルは、マイクロカプセルであり、好ましくは、2~500μm、より好ましくは10~50μmの直径(ここで本明細書において引用されるマイクロカプセルの直径は、下記で定義されるD50値である)を有するマイクロカプセルである。
【0046】
マイクロカプセルは、2~500μm、例えば3~450μm、4~400μm、5~350μm、6~300μm、7~250μm、8~200μm、9~150μm、10~100μm、10~90μm、10~80μm、10~70μm、および10~60μmの直径を有し得る。より好ましくは、マイクロカプセルの直径は、10~50μm、例えば20~40μmまたは25~35μmである。
【0047】
マイクロカプセルの直径は、好ましくは、マルバーン(Malvern)マスターサイザー(Mastersizer)2000を用いるレーザー回折によって決定される(製造指示による)。得られた散乱光の強度値は、数学モデル、例えばかつ好ましくは、フラウンホーファー回折/近似を用いて計算してD50値とする。D50値は、マイクロカプセルのうち50体積%がD50値より細かく、50体積%がD50値より粗い粒径である。
【0048】
マイクロカプセルは、基本的に形状が球形である。基本的に球形とは、各空間方向の偏差が10%以下、例えば5%、4%、3%または1%以下であるという意味を有する。より好ましくは、マイクロカプセルは、形状が球形である。
【0049】
本発明のさらに別の実施形態によれば、反応は、構成要素(A)を含むかまたはからなる第1の相を構成要素(B)を含むかまたはからなる第2の相と接触させることを含み、好ましくは、(i)構成要素(A)のポリイソシアネートは、水不溶性であり、および/または(ii)構成要素(B)の架橋剤は、水溶性である、界面反応である。
【0050】
第1の相および/または第2の相は、それぞれ、少なくとも1種類の溶媒を含み得る。構成要素(A)が基本的に第1の相に溶解し、構成要素(B)が基本的に第2の相に溶解していると好ましい。基本的に溶解しているとは、構成要素(A)および構成要素(B)の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも98重量%または99.9重量%がそれぞれ溶解しているという意味を有する。より好ましくは、構成要素(A)および構成要素(B)は、それぞれの溶媒中に完全に溶解している。
【0051】
構成要素(A)のための適当な溶媒は、n-プロパノールより低い極性を有する有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドである。構成要素(B)のための適当な溶媒は、n-プロパノール以上の極性を有する溶媒、例えば水またはエタノール/水の混合物である。構成要素(A)のための好ましい溶媒は、水と相溶性でなく、イソシアネート構成要素と反応せず、ジイソプロピルナフタレンなどのアルキル芳香族炭化水素または置換ビフェニル、パラフィン、天然油(例えばヒマワリ油)および低融点油脂(ヤシ油など)である。マイクロカプセルの製造時にカプセル化されるべき材料およびポリイソシアネートとともに油相の一部を形成する有機水非相溶性かつ不活性な溶媒の例は、芳香族、脂肪族、およびナフテン系炭化水素、カルボン酸エステル、塩素化パラフィン、動植物起源の油、10℃~35℃の範囲の融点を有する天然油脂、液体油脂誘導体、ワックスならびに100℃以上の沸点を有する芳香族および脂肪族のエーテルを含む。複数の溶媒の混合物も用いることができる。
【0052】
単一の溶媒、好ましくは構成要素(A)のための溶媒も使用され得ることが直ちに理解されるだろう。溶媒への別の化合物、例えば水の添加は、上記に示される1種類以上の架橋剤への構成要素(A)の化合物の少なくとも部分的な変換を起こさせ得る。この反応の過程において、他の化合物は、好ましくは、構成要素(A)の化合物と完全に反応する。この反応の潜在的な副生物、例えば二酸化炭素は、溶媒から完全に除去され得る。
【0053】
よって、構成要素(A)を構成要素(B)と反応させることによってポリマー材料が製造されるかまたは製造可能であり、構成要素(A)のポリイソシアネートと、存在する場合、水との反応によって構成要素(B)のポリアミンが得られ、すなわち、第1の相が構成要素(A)と(B)との両方を含み、第2の相がなんらかの(追加の、同じまたは異なる)構成要素(B)を含むこともまったく含まないこともある、本コア-シェルカプセルが提供され得る。
【0054】
匂い物質の化粧品用途またはカプセル化を目的としては、香料業界において広く用いられている溶媒(イソシアネートと反応するアルコールは除く)が特に優先される。この目的にとって好ましい溶媒の例は、フタレート(ジエチルフタレートなど)、イソプロピルミリスチテート、ベンジルベンゾエート、エチルシトレート、リモネンまたは他のテルペンおよびイソパラフィンを含む。
【0055】
本発明の実施形態によれば、第1の相は、界面反応の前に第2の相の中に分散され、第1の相は、1種類以上のさらに別のコア成分をさらに含み、好ましくは、さらに別の成分は、構成要素(A)に対して不活性である。
【0056】
第2の相の中の第1の相の分散物は、2つの相を混合することによって、好ましくは例えば従来のKPG撹拌機によって混合することによって得られ得る。構成要素(B)と異なるが化合物(A)と反応する化合物および/または構成要素(A)に対して不活性である化合物を含む1種類以上のさらに別のコア成分が存在し得る。
【0057】
構成要素(B)と異なるが化合物(A)と反応する化合物の例は、モノアルコール、例えばn-プロパノール、モノアミンおよび/またはモノチオールを包含する。前記化合物は、所望の重合度を調節するという点での構成要素(A)および(B)の反応を加減するために使用され得る。
【0058】
本発明によるマイクロカプセルは、乳化剤、安定剤、および/または凝集防止剤を含有する水相を用いて製造され得る。乳化剤は、油相中にも存在し得る。そのような添加剤の量は、例えば、それぞれの相を基準として0.5~10重量%の範囲内であってよい。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、第2の相は、第1の相の凝集を防ぐ1種類以上のコロイド安定剤をさらに含み、好ましくは、安定剤は、セルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースまたはその塩、低分子界面活性剤、ポリエチレンオキシド、およびポリビニルアルコール、ポリカチオン、好ましくはカチオン性ポリビニルアルコール、およびポリアニオン、好ましくはポリスチレンスルホネート、ポリアクリルアミドスルホネートおよびそれらの誘導体からなる群から選択される。
【0060】
ポリビニルアルコールは、本コア-シェルカプセルの調製、貯蔵および使用時に保護コロイドとして助力するので有利である。
【0061】
特に好ましい安定剤は、その側鎖上に第4アンモニウム塩を有するポリビニルアルコール、例えばGOHSENX K-434、日本合成化学工業株式会社、日本である。その側鎖上に第4アンモニウム塩を有するそのようなポリビニルアルコール、特にGOHSENX K-434(日本合成化学株式会社、日本)は、好ましくは、衣類用柔軟剤中に用いられる本発明によるコア-シェルカプセル用に使用され、さらに改善された感覚特性、例えば匂いを生じさせる本発明によるコア-シェルカプセルの感覚特性の改善に助力する。
【0062】
本発明のさらに別の実施形態によれば、構成要素(B)は、構成要素(A)中に存在するイソシアネート基の1モルあたり0,5~4モル、好ましくは0,8~2モルのアミノ基を含む。
【0063】
本発明の実施形態によれば、コアは、匂い物質、アロマ分子、冷却剤、TRPV1/TRPV3モジュレータ、染料、染料前駆体、相変化材料、化学反応用触媒、接着剤、接着剤用途のための反応性物質、医薬品活性物質、紫外線フィルター、化粧品活性物質、植物保護活性物質、駆虫剤(例えばN,N-ジエチル-m-トルアミド(DEET)、1,2-ペンタンジオールまたはエチルブチルアセチルアミノプロピオネート)、撥水剤、難燃剤、農薬、潤滑剤および溶媒からなる群から選ばれた1種類以上のさらなる成分を含む。
【0064】
想定可能なさらなる成分は、一般に、マイクロカプセル化の分野からの用途が存在するすべての化合物を含む。そのような成分は、当分野において周知である。例は、例えば、カーボンレス複写紙の製造のための染料カラーまたは染料前駆体と医薬品用途のための薬とを含む。化粧品用途のための活性物質が好ましい。特に、消費者商品における用途および/または消費者商品の着香のための匂い物質または匂い物質組成物である活性物質も好ましい。個々の匂い物質または匂い物質の混合物(香料組成物、匂い物質組成物)のどちらも選択することができる。匂い物質は、合成起源および天然起源の両方の化合物であってよい。
【0065】
本発明によるコア-シェルカプセルであって、コアが、例えば、竜涎香チンキ;アミリス油;アンジェリカ種子油;アンジェリカ根油;アニス油;吉草油;バジル油;ツリーモスアブソルート;ベイ油;アルモアズ油;ベンゾイン樹脂;ベルガモット油;蜜蝋アブソルート;バーチタール油;苦扁桃油;セイバリー油;ブッコ葉油;カブリューバ油;カデ油;菖蒲油;樟脳油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カッシア油;アカシアアブソルート;ビーバー香アブソルート;セダー葉油;セダーウッド油;システ油;シトロネラ油;レモン油;コパイババルサム;コパイババルサム油;コリアンダー油;コスタス根油;クメン油;サイプレス油;ダバナ油;イノンド葉油;イノンド種子油;オーデブルーアブソルート;オークモスアブソルート;エレミ油;タラゴン油;ユーカリレモン油;ユーカリ油;ウイキョウ油;ファーニードル油;ガルバヌム油;ガルバヌム樹脂;ゼラニウム油;グレープフルーツ油;グアヤクウッド油;グルユンバルサム;グルユンバルサム油;ムギワラギクアブソルート;ムギワラギク油;ジンジャー油;アイリス根アブソルート;アイリス根油;ジャスミンアブソルート;菖蒲油;ブルーカモミール油;ローマカモミール油;ニンジン種子油;カスカリラ油;松葉油;スペアミント油;カラウェー油;ラダナム油;ラダナムアブソルート;ラダナム樹脂;ラバンディンアブソルート;ラバンディン油;ラベンダーアブソルート;ラベンダー油;レモングラス油;ラビッジ油;蒸留ライム油;圧搾ライム油;リナロエ油;リツエクベバ油;月桂樹葉油;メース油;マヨラナ油;マンダリン油;マソイ樹皮油;ミモザアブソルート;アンブレット種子油;ムスクチンキ;サッサフラス油;ニクズク油;ミルラアブソルート;ミルラ油;ミルテ油;丁子葉油;丁子芽油;ネロリ油;オリバナムアブソルート;オリバナム油;オポパナックス油;オレンジ花アブソルート;オレンジ油;オリガヌム油;パルマローザ油;パッチュリ油;エノ油;Pewバルサム油;パセリ葉油;パセリ種子油;プチグレン油;ハッカ油;胡椒油;ピメント油;松根油;ペニローヤル油;バラアブソルート;ローズウッド油;バラ油;ローズマリー油;ダルマシアセージ油;スペインセージ油;ビャクダン油;セロリ種子油:スパイクラベンダー油;ダイウイキョウ油;エゴノキ油;マンジュギク油;ファーニードル油;チャノキ油;テレビン油;タイム油;トルーバルサム;トンコ豆アブソルート;ゲッカコウアブソルート;バニラ抽出物;スミレ葉アブソルート;バーベナ油;ベチバー油;ジュニパーベリー油;ワインリース油;ニガヨモギ油;ウィンターグリーン油;イランイラン油;ヒソップ油;シベットアブソルート;シナモン葉油;シナモン樹皮油
などのエッセンシャルオイル、凝固物、アブソルート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキのような天然原料の抽出物、ならびにそれらの画分、またはそれらから単離された成分;例えば、3-カレン;α-ピネン;β-ピネン;α-テルピネン;γ-テルピネン;p-シメン;ビサボレン;カンフェン;カリオフィレン;セドレン;ファルネセン;リモネン;ロンギホレン;ミルセン;オシメン;バレンセン;(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;スチレン;ジフェニルメタンのような炭化水素;例えば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(E)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(E)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエン;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;1-(1-メトキシプロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセンのような脂肪族アルデヒドおよびそれらのアセタール;例えば、2-ヘプタノン;2-オクタノン;3-オクタノン;2-ノナノン;5-メチル-3-ヘプタノン;5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;6-メチル-5-ヘプテン-2-オンのような脂肪族ケトンおよびそれらのオキシム;
例えば3-メチルチオヘキサノール;3-メチルチオヘキシルアセテート;3-メルカプトヘキサノール;3-メルカプトヘキシルアセテート;3-メルカプトヘキシルブチレート;3-アセチルチオヘキシルアセテート;1-メンテン-8-チオールのような脂肪族硫黄含有化合物;例えば、2-ノネン酸ニトリル;2-ウンデセン酸ニトリル;2-トリデセン酸ニトリル;3,12-トリデカジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリルのような脂肪族ニトリル;例えば、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルホルメート;エチルアセトアセテート;イソアミルアセテート;ヘキシルアセテート;3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート;3-メチル-2-ブテニルアセテート;(E)-2-ヘキセニルアセテート;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルアセテート;オクチルアセテート;3-オクチルアセテート;1-オクテン-3-イルアセテート;エチルブチレート;ブチルブチレート;イソアミルブチレート;ヘキシルブチレート;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート;ヘキシルクロトネート;エチルイソバレレート;エチル-2-メチルペンタノエート;エチルヘキサノエート;アリルヘキサノエート;エチルヘプタノエート;アリルヘプタノエート;エチルオクタノエート;エチル-(E,Z)-2,4-デカジエノエート、特にエチル-2-trans-4-cis-デカジエノエート;メチル-2-オクチネート;メチル-2-ノニネート;アリル-2-イソアミルオキシアセテート;メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート;4-メチル-2-ペンチルクロトネートのような脂肪族カルボン酸のエステル;例えば、シトロネロール;ゲラニオール;ネロール;リナロール;ラバンジュロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロオール;テトラヒドロゲラニオール;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチルオクタン-2-オール;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール;2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール;3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール;3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール;2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オールのような非環式テルペンアルコールのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネートまたは3-メチル-2-ブテノエート;例えば、ゲラニアール;ネラール;シトロネラール;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール;7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;ゲラニルアセトンのような非環式テルペンアルデヒドおよびケトンならびにそれらのジメチルおよびジエチルアセタール;特にゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチルおよびジエチルアセタール;例えば、メントール;イソプレゴール;α-テルピネオール;テルピネノール-4;メンタン-8-01;メンタン-1-オール;メンタン-7-オール;ボルネオール;イソボルネオール;リナロールオキシド;ノポール;セドロール;アンブリノール;ベチベロール;グアイオールのような環状テルペンアルコールのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネートおよび3-メチル-2-ブテノエート;例えば、メントン;イソメントン;8-メルカプトメンタン-3-オン;カルボン;カンファ―;フェンコン;α-イオノン;β-イオノン;α-n-メチルイオノン;β-n-メチルイオノン;α-イソメチルイオノン;β-イソメチルイオノン;α-イロン;α-ダマスコン;β-ダマスコン;β-ダマセノン;δ-ダマスコン;γ-ダマスコン;1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン;2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;ノートカトン;ジヒドロノートカトン;4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン、α-シネンサール;β-シネンサール;アセチル化セダー油(メチルセドリルケトン)のような環状テルペンアルデヒドおよびケトン;
例えば、シネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;1,1-ジメトキシシクロドデカン;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;α-セドレンエポキシド;3a,6,6,9a-テトラメチル-ドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン;ローズオキシド;2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサンのような環状および脂環式エーテル;例えば、4-tert.-ブチルシクロヘキサノン;2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン;2-ヘプチルシクロペンタノン;2-ペンチルシクロペンタノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-4-シクロペンタデセノン;3-メチル-5-シクロペンタデセノン;3-メチルシクロペンタデカノン;4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン;4-tert.-ペンチルシクロヘキサノン;5-シクロヘキサデセン-1-オン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン;8-シクロヘキサデセン-1-オン;7-シクロヘキサデセン-1-オン;(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン;9-シクロヘプタデセン-1-オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノンのような環状および大環状ケトン;例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドのような脂環式アルデヒド;例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン;2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン;1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン;メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン;tert.-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトンのような脂環式ケトン;例えば、2-tert.-ブチルシクロヘキシルアセテート;4-tert.-ブチルシクロヘキシルアセテート;2-tert.-ペンチルシクロヘキシルアセテート;4-tert.-ペンチルシクロヘキシルアセテート;3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート;デカヒドロ-2-ナフチルアセテート;2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート;3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート;デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルプロピオネート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニルイソブチレート;4,7-メタノオクタヒドロ-5-または6-インデニルアセテートのような環状アルコールのエステル;例えば、1-シクロヘキシルエチルクロトネートのような脂環式アルコールのエステル;例えば、アリル-3-シクロヘキシルプロピオネート;アリルシクロヘキシルオキシアセテート;cis-およびtrans-メチルジヒドロジャスモネート;cis-およびtrans-メチルジャスモネート;メチル-2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート;エチル-2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル-2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテートのような脂環式カルボン酸のエステル;
例えば、ベンジルアセテート;ベンジルプロピオネート;ベンジルイソブチレート;ベンジルイソバレレート;2-フェニルエチルアセテート;2-フェニルエチルプロピオネート;2-フェニルエチルイソブチレート;2-フェニルエチルイソバレレート;1-フェニルエチルアセテート;α-トリクロロメチルベンジルアセテート;α,α-ジメチルフェニルエチルアセテート;α,α-ジメチルフェニルエチルブチレート;シンナミルアセテート;2-フェノキシエチルイソブチレート;4-メトキシベンジルアセテートのような芳香脂肪族(araliphatic)アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステル;例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル;2-フェニルエチルイソアミルエーテル:2-フェニルエチル-1-エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドラトロプアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン;4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ダイオキシン;4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ダイオキシンのような芳香脂肪族エーテル;例えば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドラトロプアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-tert.-ブチルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-イソブツリフェニル)プロパナール;3-(4-tert.-ブチルフェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;α-ブチルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド:α-ヘキシルシンナムアルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールのような芳香族および芳香脂肪族アルデヒド;例えば、アセトフェノン;4-メチルアセトフェノン;4-メトキシアセトフェノン;4-tert.-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン;4-フェニル-2-ブタノン;4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1-(2-ナフタレニル)エタノン;2-ベンゾフラニルエタノン;(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン;6-tert.-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン;1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン;5′,6′,7′,8′-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-アセトナフトンのような芳香族および芳香脂肪族ケトン;例えば、安息香酸;フェニル酢酸;メチルベンゾエート;エチルベンゾエート;ヘキシルベンゾエート;ベンジルベンゾエート;メチルフェニルアセテート;エチルフェニルアセテート;ゲラニルフェニルアセテート;フェニルエチルフェニルアセテート;メチルシンナメート;エチルシンナメート;ベンジルシンナメート;フェニルエチルシンナメート;シンナミルシンナメート;アリルフェノキシアセテート;メチルサリチレート;イソアミルサリチレート;ヘキシルサリチレート;シクロヘキシルサリチレート;シス-3-ヘキセニルサリチレート;ベンジルサリチレート;フェニルエチルサリチレート;メチル-2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート;エチル-3-フェニルグリシデート;エチル-3-メチル-3-フェニルグリシデートのような芳香族および芳香脂肪族カルボン酸ならびにそれらのエステル;
例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert.-ブチルベンゼン;3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert.-ブチルアセトフェノン;シンナモニトリル;3-メチル-5-フェニル-2-ペンテン酸ニトリル;3-メチル-5-フェニルペンタン酸ニトリル;メチルアントラニレート;メチル-N-メチルアントラニレート;メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールとのシッフ塩基、2-メチル-3-(4-tert.-リン;6-イソブチルキノリン;6-sec.-ブチルキノリン;2-(3-フェニルプロピル)ピリジン;インドール;スカトール;2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン;2-イソブチル-3-メトキシピラジンのような窒素含有芳香族化合物;例えば、エストラゴール;アネトール;オイゲニルメチルエーテル;イソオイゲニルメチルエーテル;ジフェニルエーテル;β-ナフチルメチルエーテル;β-ナフチルエチルエーテル;β-ナフチルイソブチルエーテル;1,4-ジメトキシベンゼン;オイゲニルアセテート;p-クレシルフェニルアセテートのようなフェニルエーテルおよびフェニルエステル;例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン;2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン;3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンのような複素環化合物;および例えば、1,4-オクタノリド;3-メチル-1,4-オクタノリド;1,4-ノナノリド;1,4-デカノリド;8-デセン-1,4-オリド;1,4-ウンデカノリド;1,4-ドデカノリド;1,8-デカノリド;1,5-ドデカノリド;4-メチル-1,4-デカノリド;1,15-ペンタデカノリド;cis-およびtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド;cis-およびtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド;1,16-ヘキサデカノリド;9-ヘキサデセン-1,16-オリド;10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン-1,12-ドデカンジオエート;エチレン-1,13-トリデカンジオエート;クマリン;2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリンのようなラクトンの群由来の個々の匂い物質からなる群から選ばれた1種類以上の匂い物質/芳香物質を活性剤として含有するコア-シェルカプセルが好ましい。文献から、例えば本「香料およびフレーバー化学品(Perfume and Flavor Chemicals)」、S.アークタンダー(Arctander)編、1969年、モンクレア(Montclair)、N.J.から匂い物質のさらなる例が知られている。
【0066】
コアが、天然原料の抽出物ならびにそれらの画分、またはそれらから単離された成分;炭化水素;脂肪族アルデヒドおよびそれらのアセタール;脂肪族ケトンおよびそれらのオキシム;脂肪族硫黄含有化合物;脂肪族ニトリル;脂肪族カルボン酸のエステル;非環式テルペンアルコールのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネートおよび3-メチル-2-ブテノエート;非環式テルペンアルデヒドおよびケトンならびにそれらのジメチルおよびジエチルアセタール;環状テルペンアルコールのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネートおよび3-メチル-2-ブテノエート;環状テルペンアルデヒドおよびケトン;環状および脂環式エーテル;環状および大環状ケトン;脂環式アルデヒド;脂環式ケトン;環状アルコールのエステル;脂環式アルコールのエステル;脂環式カルボン酸のエステル;芳香脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステル;芳香脂肪族エーテル;芳香族および芳香脂肪族アルデヒド;芳香族および芳香脂肪族ケトン;芳香族および芳香脂肪族カルボン酸およびそれらのエステル;窒素含有芳香族化合物;フェニルエーテルおよびフェニルエステル;複素環化合物;およびラクトンの群由来の個々の匂い物質からなる群から選ばれた1種類以上の匂い物質を含み、シェルが、匂い物質に対して完全にまたは実質的に不浸透性であると特に好ましい。
【0067】
本発明のカプセルを製造するための適当な芳香物質およびアロマは、好ましくは、例えば、ステッフェン・アークタンダー(Steffen Arctander)の「香料およびフレーバー化学品」、自費出版、モンクレア、ニュージャージー(N.J.)1969年、の「Riechstoffe[芳香物質];H.サーバーグ(Surburg)、J.パンテン(Panten)の「一般芳香物質およびフレーバー材料(Common Fragrance and Flavor Materials」、第5版、ワイリー(Wiley)-VCH、2006年の中に見いだされる。
【0068】
カプセル化されるフレーバーおよび/またはアロマは、少なくとも2種類のフレーバーおよび/またはアロマのアロマ混合物であり得る。好ましくは、それは、少なくとも3、4または6種類以上のフレーバーおよび/またはアロマの混合物である。ほとんどの場合、アロマ混合物は、多数のフレーバーおよび/またはアロマの混合物である。このことは、カプセルの香気および香味プロファイルに影響を及ぼすことができるという利点を有する。適当なアロマ分子は、当分野において周知であり、例えば米国特許出願公開第2017/190727(A1)号から導かれ得る。アロマ物質またはこれらのアロマ物質は、好ましくは、フレーバー印象、フレーバー調整効果、三叉神経効果および/または唾液分泌刺激を引き起こす。
【0069】
例示的な冷却剤は、メントールおよびメントール誘導体(例えばL-メントール、D-メントール、ラセミメントール、イソメントール、ネオイソメントール、ネオメントール)、メンチルエーテル(例えば、(l-メントキシ)-1,2-プロパンジオール、(1-メントキシ)-2-メチル-1,2-プロパンジオール、l-メンチルメチルエーテル)、メンチルエステル(例えばメンチルホルメート、メンチルアセテート、メンチルイソブチレート、メンチルラクテート、L-メンチルL-ラクテート、L-メンチルD-ラクテート、メンチル(2-メトキシ)アセテート、メンチル(2-メトキシエトキシ)アセテート、メンチルピログルタメート)、メンチルカーボネート(例えばメンチルプロピレングリコールカーボネート、メンチルエチレングリコールカーボネート、メンチルグリセロールカーボネートまたはそれらの混合物)、メントールとジカルボン酸との半エステルまたはそれらの誘導体(例えばモノメンチルスクシネート、モノメンチルグルタレート、モノメンチルマロネート、O-メンチルスクシネートN,N-(ジメチル)アミド、O-メンチルスクシンアミド)、メンタンカルボキサミド(例えばメンタンカルボン酸N-エチルアミド[WS3]、N-α-(メンタンカルボニル)グリシンエチルエステル[WS5]、メンタンカルボン酸N-(4-シアノフェニル)アミド、メンタンカルボン酸N-(アルコキシアルキル)アミド)、メントンおよびメントン誘導体(例えばL-メントングリセロールケタール)、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-ブタン酸誘導体(例えば2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-ブタン酸N-メチルアミド[WS23])、イソプレゴールまたはそのエステル(1-(-)-イソプレゴール、l-(-)-イソプレゴールアセテート)、メンタン誘導体(例えばp-メンタン-3,8-ジオール)、クベボールまたはクベボールを含有する合成もしくは天然ブレンド、シクロアルキルジオン誘導体のピロリドン誘導体(例えば3-メチル-2(1-ピロリジニル)-2-シクロペンテン-1-オン)またはテトラヒドロピリミジン-2-オン(例えば国際公開第2004/026840号に記載されているイシリンまたは関連化合物)のうちの1種類以上を含む。
【0070】
メントール(L-メントール、D-メントール、ラセミメントール、イソメントール、ネオイソメントール、ネオメントール)、L-メンチルメチルエーテル、メンチルホルメート、メンチルアセテート)、メントン、イソプレゴール、I-(-)-イソプレゴールアセテート)およびクベボールは、フレーバー効果を有する。適当な冷却剤は、当分野において周知であり、例えば米国特許出願公開第2017/216802(A1)号、米国特許出願公開第2010/273887(A1)号、欧州特許出願公開第2033688(A2)号および欧州特許出願公開第1958627(A2)号から導かれ得る。
【0071】
TRPV1/TRPV3モジュレータは、当分野において公知であり、バニロイドの一過性受容体電位チャンネル(TRPV、transient receptor potential channels of the Vanilloid)サブファミリーを指す。TRPV1は、カプサイシンおよびピペリンと関連する刺激性の匂いおよび疼痛/熱感覚を媒介する。TRPV3タンパク質は、温度感覚および血圧調節を含む様々なプロセスにおいて機能する非選択的カチオンチャンネルのファミリーに属する。TRPV3チャンネルは、カルバクロール、チモールおよびオイゲノールのようなさまざまな天然化合物によって直接活性化される。暖かさの感覚を生じさせるかまたは皮膚感作剤であるいくつかの他のモノテルペノイドもこのチャンネルを開くことができる。モノテルペノイドは、カルシウムに依存しない方法でTRPV3チャンネルの作動薬特異的脱感作も誘起する。
【0072】
染料または発色剤の例は、カーボンレス複写紙を製造するために当分野において市販され、イソシアネートと反応しないことが知られているものを含む。例は、トリフェニルメタン化合物、ジフェニルメタン化合物、ビスインドフタリド化合物、ビスアリールカルバゾリルメタン化合物、キサンテン化合物、ベンゾオキサジン化合物、チアジン化合物、およびスピロピラン化合物のタイプの化合物、特にカーボンレス複写紙を製造するための発色剤として用いるために知られているものである。複数の発色剤の混合物も用いることができる。例えば、欧州特許出願公開第591,106(A)号、欧州特許出願公開第315,901(A)号、欧州特許出願公開第234,394(A)号、独国特許出願公開第3,622,262(A)号、および欧州特許出願公開第187,329(A)号にいくつかの有用な発色剤が記載されている。
【0073】
相変化材料は、特定の温度で融解および固化し、大量のエネルギーを貯蔵および放出することができる高い融解熱を有する物質である。これらの材料は、潜熱貯蔵ユニットとして分類することもできる。この種の材料の例は、ステアリン酸、パラフィンおよびワックスである。本発明の別の側面は、本発明によるコア-シェルカプセルを含む製品、好ましくは着香製品に関し、好ましくは、製品は、パーソナルケア製品、ホームケア製品および衣料洗濯ケア製品からなる群から選ばれた消費者商品である。
【0074】
パーソナルケア製品の例は、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、石鹸、クリーム、シャワーまたはバスソルトなどのボディーウォッシュ、ボディーソープ、ボディーリキッド、ムース、油またはジェル、衛生製品、化粧品調製物、ボディーローション、デオドラント、制汗剤、ヘアーリフレッシャーおよびローションを含むリーブオンパーソナルケア用途;パーソナルクリーナーまたはサニタイザー;および衣類リフレッシャーなどの衣類ケア製品を含む。リンスオフ製品は、あらゆる物理的形態の液体、固体、ペースト、またはジェルであり得る。
【0075】
ホームケア製品の例は、固体または液体洗剤、汎用クリーナー、衣類用柔軟剤およびリフレッシャー、アイロン用水および洗剤、柔軟剤およびドライヤーシートを含み、それらの中で、液体、粉体および錠剤洗剤、香気増加剤および衣類用柔軟剤が好ましい。
【0076】
着香製品は、香料、アフターシェーブローションおよびコロンを含む精密芳香物質製品の形で存在することもある。
【0077】
好ましい衣料洗濯ケア製品は、洗剤含有調製物、例えば粉体洗剤および液体洗剤ならびに衣類用柔軟剤を含む。洗剤として、食器を洗うためのまたはさまざまな表面を清浄にするための、例えば衣類または硬い表面、例えば床、タイル、石の床等の処理を目的とする洗剤組成物またはクリーニング製品などの製品が含まれる。
【0078】
本発明の別の側面は、
(i)それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと、2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートと、カプセル化される1種類以上のさらなる成分と、任意選択として、1種類以上の溶媒と、を準備するステップであって、
好ましくは、前記環状脂肪族ポリイソシアネートの総量に対する前記直鎖および/または分岐脂肪族ポリイソシアネートの総量の重量比は、90:10~10:90、好ましくは70:30~15:85、より好ましくは60:40~20:80、最も好ましくは50:50~20:80の範囲にあるステップと、
(ii)1種類以上の架橋剤を準備するステップと、
(iii)ステップ(i)の構成要素を含む溶液(1)を製造するステップであって、適用可能な場合、溶液(1)は水溶性でないステップと、
(iv)ステップ(ii)の構成要素の水溶液(2)中の溶液(1)の分散物を製造するステップであって、任意選択として、水溶液(2)は、上記に定義される1種類以上のコロイド安定剤をさらに含むステップと、
(v)溶液(1)のポリイソシアネートを溶液(2)の架橋剤と反応させるステップと、
(vi)任意選択として、続いて反応混合物の温度を40~80℃の範囲に0.5~5時間維持するステップと、
を含む、コア-シェルカプセル、好ましくは本発明によるコア-シェルカプセルを製造するためのプロセスであって、好ましくは、前記プロセスのステップのいずれにおいても芳香族ポリイソシアネートは、準備されることも反応することも使用されることもないプロセスに関する。
【0079】
上記で定義されるように、芳香族ポリイソシアネートは、2個以上のイソシアネート残基が芳香族C-原子に直接結合している化合物およびそれらの誘導体であり、誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1種類以上の基をさらに含む。前記芳香族ポリイソシアネート誘導体は、前記芳香族ポリイソシアネートと多価アルコール(例えばグリセリン)、ポリアミン、ポリチオール(例えばジメルカプロール)および/またはそれらの混合物との反応によっても得られ得る。
【0080】
好ましくは、本発明によるプロセスにおいて用いられる直鎖および/または分岐ならびに環状脂肪族ポリイソシアネートのどれもいずれかの芳香族構造をまったく含まない。
【0081】
ステップ(i)の脂肪族ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネートの2成分または3成分混合物のどちらかを含むことが直ちに理解されるだろう。2成分混合物は、それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとの混合物を含む。代りの2成分混合物は、それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとの混合物である。好ましくは、各々がそれぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネート、および少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートの3成分混合物が包含される。使用される可能性がある溶媒は、上記に示されている。
【0082】
従って、好ましいコア-シェルカプセルであって、シェルは、ポリマー材料を含むかまたはからなり、ポリマー材料は、構成要素(A)を構成要素(B)と反応させることによって製造されるかまたは製造可能であり、構成要素(A)は、2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートと2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとを含むかまたはからなり、好ましくは、前記環状脂肪族ポリイソシアネートの総量に対する前記直鎖脂肪族ポリイソシアネートの総量の重量比は、90:10~10:90、好ましくは70:30~15:85、より好ましくは60:40~20:80、最も好ましくは50:50~20:80の範囲にあり、構成要素(B)は、1種類以上の架橋剤を含むかまたはからなるコア-シェルカプセルが提供され得る。
【0083】
従って、別の好ましいコア-シェルカプセルであって、シェルは、ポリマー材料を含むかまたはからなり、ポリマー材料は、構成要素(A)を構成要素(B)と反応させることによって製造されるかまたは製造可能であり、構成要素(A)は、2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとを含むかまたはからなり、好ましくは、前記環状脂肪族ポリイソシアネートの総量に対する前記分岐脂肪族ポリイソシアネートの総量の重量比は、90:10~10:90、好ましくは70:30~15:85、より好ましくは60:40~20:80、最も好ましくは50:50~20:80の範囲にあり、構成要素(B)は、1種類以上の架橋剤を含むかまたはからなる別のコア-シェルカプセルが提供され得る。
【0084】
従って、さらに別の好ましいコア-シェルカプセルであって、シェルは、ポリマー材料を含むかまたはからなり、ポリマー材料は、構成要素(A)を構成要素(B)と反応させることによって製造されるかまたは製造可能であり、構成要素(A)は、それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとを含むかまたはからなり、好ましくは、前記環状脂肪族ポリイソシアネートの総量に対する前記直鎖および/または分岐脂肪族ポリイソシアネートの総量の重量比は、90:10~10:90、好ましくは70:30~15:85、より好ましくは60:40~20:80、最も好ましくは50:50~20:80の範囲にあり、構成要素(B)は、1種類以上の架橋剤を含むかまたはからなるさらに別のコア-シェルカプセルが提供され得る。
【0085】
既に上記で示したように、ステップ(ii)において準備される架橋剤は、安定な結合を形成しながらイソシアネートと反応することができる少なくとも2個の官能基を有するあらゆる化合物であり得る。架橋剤は、好ましくは、安定な結合を形成しながらイソシアネートと反応することができる少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10個(以上)の官能基を含む。官能基は、ポリオール、ポリアミンまたはポリチオール、例えばグリセリンにおけるように同じであることもあるいはアルカノールアミン、アミノチオールまたはチオアルコール、例えばジメルカプロールにおけるように異なることもある。異なる架橋剤のあらゆる組合せが使用され得る。ポリアミンが好ましい架橋剤である。
【0086】
あるいは、ステップ(ii)において、架橋剤の形成を起こさせるあらゆる他のタイプの分子が準備される。そのような分子の好ましい例は、水である。水分子は、ポリアミンを形成しながら脂肪族ポリイソシアネートの一部分と反応することがあり、ポリアミンが今度はポリマー材料を形成しながら脂肪族ポリイソシアネートの残りの部分と反応し、シェルを形成する。従って、ステップ(ii)は、「架橋剤の形成を起こさせる1種類以上の分子を準備し、好ましくは、架橋剤の形成を起こさせる1種類以上の分子は、水を含む」ように導かれ得る。当業者は、この場合、本発明によるプロセスを適切に適応させるだろう。
【0087】
溶液(1)のポリイソシアネートを溶液(2)の架橋剤と反応させるステップ(v)は、あらゆる温度で、好ましくは40~80℃、より好ましくは50~75℃または60~70℃の温度で行われ得る。
【0088】
続いて反応混合物の温度を40~80℃の範囲に0.5~5時間維持する任意選択のステップ(vi)は、好ましくは、ステップ(v)と同じ温度で行われる。反応混合物の温度を所望の範囲に維持するための好ましい時間は、0.75~4時間、例えば1~3時間または2時間である。
【0089】
別の好ましい実施形態によれば、ステップ(i)の直鎖または分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI、例えば三井化学株式会社、日本によるスタビオD-370NまたはD-376N)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、エチルエステルリジントリイソシアネート、リジンジイソシアネートエチルエステルおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれ、好ましくは、誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1種類以上の基を任意選択としてさらに含み、および/または、環状脂肪族ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI、例えば三井化学株式会社、日本によるタケネート600)、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナト-メチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)およびそれらの誘導体からなる群から選ばれ、好ましくは、誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体(例えばH6XDIのTMP付加体、特に日本の三井化学株式会社によるタケネートD-120N)からなる群から選ばれた1種類以上の基を任意選択としてさらに含む。
【0090】
上述の化合物の異性体および誘導体は、上記に示されるように包含され得る。
【0091】
本発明の別の側面は、上記で定義されるプロセスによって製造されるかまたは製造可能である本発明によるコア-シェルカプセルが提供されることに関する。
【0092】
本発明のさらに別の側面は、繊維製品、髪、皮膚、表面および/環境空気に着香する本発明によるコア-シェルカプセル、または好ましくは、本発明による製品の使用に関する。
【0093】
本発明によるコア-シェルカプセルのこの使用は、好ましくは、本コア-シェルカプセルを含む上述の製品、好ましくは着香製品を使用することによって行われる。製品は、好ましくは、パーソナルケア製品、ホームケア製品および衣料洗濯ケア製品からなる群から選ばれた消費者商品製品である。
【0094】
本発明の文脈において、表現「有する/含有する」または「有している/含有している」は、完結していない列挙を指定し、明示的に名を挙げた構成要素とは別の他の構成要素を除外しない。
【0095】
本発明の文脈において、表現「からなる」または「からなっている」は、完結した列挙を指定し、明示的に名を挙げた構成要素とは別のあらゆる他の構成様を除外する。
【0096】
本発明の文脈において、表現「基本的に、からなる」または「基本的に、からなっている」は、部分的に閉じた列挙を指定し、名を挙げた構成要素とは別に本発明による調製物の性格を実質的に変化させないようなさらなる構成要素だけを有する調製物を指定する。
【0097】
本発明の文脈において表現「有する」または「有している」を用いて調製物が記載されるとき、このことは、前記構成要素からなるかまたは基本的に前記構成要素からなる調製物を明示的に含む。
【0098】
本発明のこれらの側面および他の側面は、以下に記載される実施形態から明らかになり、かつこれらの実施形態を参照して解明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】コア-シェルカプセルを製造するためのプロセスの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図2】0.2%のカプセルスラリー水希釈物がスプレーされたペーパータオルからの芳香物質放出を示す。
【
図3】処理を行った試験衣類の擦り後および揉み後における、新鮮なうちに調製された衣類用柔軟剤試料からの、カプセルの芳香物質放出を示す。
【
図4】処理を行った試験衣類の擦り後および揉み後における、衣類柔軟剤中の、40℃で4週間貯蔵されたカプセルからの芳香物質放出を示す。
【
図5】本発明によるコア-シェルカプセルの時間の経過に伴う破裂を示す。
【
図6】処理を行った試験衣類の擦り後および揉み後における、新鮮なうちに調製された衣類用柔軟剤試料からの、カプセルの芳香物質放出を示す。
【発明を実施するための形態】
【0100】
図1において、コア-シェルカプセルを製造するための本発明による例示的なプロセスの概略図が示される。内部相は、イソシアネート前駆体、すなわち、それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとを含むかまたはからなる構成要素(A)を、芳香物質および/または(別の)他の活性成分と十分に混合することによって調製される。別のビーカー中で、構成分を水中で十分に混合することによって保護コロイドを含む外部相が調製される。次のステップにおいて、水中の芳香物質の乳化物を得るために内部相と外部相とが十分に混合される。続いて、架橋剤が加えられ、芳香物質および/または他の活性成分を封じ込めているコア-シェルカプセルが硬化するまで混合が続けられる。すべてのステップは、好ましくは、例えば、従来のタービン撹拌機またはディソルバーディスクを使用して十分に混合しながら行われる。一般に、乳化物を調製するために高剪断混合/スタティック混合が使用され得る。
【0101】
表1は、衣類用柔軟剤中のカプセルの分析貯蔵安定性を示す。
【0102】
【表1】
表1:芳香物質トムキャップ(Tomcap)/VOT(植物油トリグリセリド(vegetable oil triglyceride))を封じ込めている本発明により調製されたコア-シェルカプセルの実施例。
【0103】
本発明によるカプセルを含有する衣類用柔軟剤で処理したタオルが擦りおよび揉みに付された。擦り前、擦り後および揉み後に試料の嗅覚強度が1から9のスケールで評価された。着香されていない柔軟剤基材で処理されたタオルについて同じことが行われた。予測された通りに、着香されていない柔軟剤基材は、有意な匂いの発生をまったく示さない。すべての実施例において、本発明によって調製されたカプセルは、技術水準によって調製された基準試料以上の強度を示す。衣類用柔軟剤調合物に加えられた直後の本発明によるカプセル(
図3参照)は、衣類用柔軟剤中4週間の貯蔵後の本発明によるカプセル(
図4参照、40℃においてプラスチックバッグ中に詰めた)と同じ傾向を示す。
図3に示す試験が繰り返され、結果が確かめられた(
図6)。
【0104】
図5は、衣類用柔軟剤中のカプセルの貯蔵時間の経過に伴う破裂を示す。本発明によって調製されたすべてのカプセルが保存後に基準試料(技術水準によるカプセル)および着香されていない試料より顕著に高い嗅覚強度を示すことが示されている。
【0105】
図面および上記の記載において本発明が詳細に図示および記載されたが、そのような図示および記載は、図示的または例示的であり限定的ではないとみなされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態の他の変化形は、請求された発明を実施する際に図面、開示および添付の請求項の吟味から当業者によって理解され、実行されることができる。
【0106】
本発明によるコア-シェルカプセルの(好ましい)実施形態に関して本明細書中に述べられたことは、本明細書中に記載された発明による製品、プロセスおよび使用に適用される。従って、本明細書中に記載されている実施形態は、―技術的に意味がある限り―互いに組合せ可能である。
【0107】
請求項において、語「を含む」は、他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。単独の要素または他の単位は、請求項中に挙げられているいくつかの項目の機能を満たし得る。互いに異なる独立クレーム中に特定の指標が記載されているという単なる事実は、これらの指標の組合せが有利に用いられることができないことを示さない。請求項中のいかなる参照符号も範囲を限定すると解釈するべきではない。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕コア-シェルカプセルであって、前記シェルは、ポリマー材料を含むかまたはからなり、前記ポリマー材料は、構成要素(A)を構成要素(B)と反応させることによって製造されるかまたは製造可能である、コア-シェルカプセルであって、
構成要素(A)は、それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとを含むかまたはからなり、好ましくは、前記環状脂肪族ポリイソシアネートの総量に対する前記直鎖および/または分岐脂肪族ポリイソシアネートの総量の重量比は、90:10~10:90、好ましくは70:30~15:85、より好ましくは60:40~20:80、最も好ましくは50:50~20:80の範囲にあり、
構成要素(B)は、1種類以上の架橋剤を含むかまたはからなる、
コア-シェルカプセル。
〔2〕構成要素(A)の前記少なくとも1種類の直鎖および/または前記少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと前記少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートとのどれも芳香族構造をまったく含まない、前記〔1〕に記載のコア-シェルカプセル。
〔3〕前記直鎖または分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、エチルエステルリジントリイソシアネート、リジンジイソシアネートエチルエステルおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれ、好ましくは、前記誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、任意選択として、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1種類以上の基をさらに含み、および/または
前記環状脂肪族ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびそれらの誘導体からなる群から選ばれ、好ましくは、前記誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1つ以上の基を任意選択としてさらに含む、
前記〔1〕または〔2〕に記載のコア-シェルカプセル。
〔4〕前記架橋剤は、2個以上のアミノ基を有するポリアミンまたはその塩、好ましくはジアミンまたはグアニジンであり、好ましくは、前記架橋剤は、炭酸グアニジン、塩酸グアニジン、トリス(2-アミノエチル)アミン、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、プロパンジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、フェニレンジアミン、および直鎖または分岐ポリエチレンイミン、好ましくはジエチレントリアミンからなる群から選ばれる、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
〔5〕前記カプセルは、マイクロカプセルであり、好ましくは、2~500μm、より好ましくは10~50μmの直径を有するマイクロカプセルである、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
〔6〕前記反応は、構成要素(A)を含むかまたはからなる第1の相を、構成要素(B)を含むかまたはからなる第2の相と接触させることを含む界面反応であり、好ましくは、(i)構成要素(A)の前記ポリイソシアネートは、水不溶性であり、および/または(ii)構成要素(B)の前記架橋剤は、水溶性である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
〔7〕前記第1の相は、前記界面反応の前に前記第2の相中に分散され、前記第1の相は、前記コアの1種類以上のさらなる成分をさらに含み、好ましくは、前記さらなる成分は、構成要素(A)に対して不活性である、前記〔6〕に記載のコア-シェルカプセル。
〔8〕前記第2の相は、前記第1の相の凝集を妨げる1種類以上のコロイド安定剤をさらに含み、好ましくは、前記安定剤は、セルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースまたはその塩、低分子界面活性剤、ポリエチレンオキシド、およびポリビニルアルコール、ポリカチオン、好ましくはカチオン性ポリビニルアルコール、およびポリアニオン、好ましくはポリスチレンスルホネート、ポリアクリルアミドスルホネートおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれる、前記〔6〕または〔7〕に記載のコア-シェルカプセル。
〔9〕構成要素(B)は、構成要素(A)中に存在するイソシアネート基の1モルあたり0,5~4モル、好ましくは0,8~2モルのアミノ基を含む、前記〔4〕~〔8〕のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
〔10〕前記コアは、匂い物質、アロマ分子、冷却剤、TRPV1/TRPV3モジュレータ、染料、染料前駆体、相変化材料、化学反応用触媒、接着剤、接着剤用途のための反応性物質、医薬品活性物質、紫外線フィルター、化粧品活性物質、植物保護活性物質、駆虫剤、撥水剤、難燃剤、農薬、潤滑剤および溶媒からなる群から選ばれた1種類以上のさらなる成分を含む、前記〔1〕または〔9〕のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
〔11〕前記〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセルを含む製品、好ましくは着香製品であって、好ましくは、前記製品は、パーソナルケア製品、ホームケア製品および衣料品洗濯ケア製品からなる群から選ばれた消費者商品である製品。
〔12〕コア-シェルカプセル、好ましくは前記〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセルを製造するためのプロセスであって、
(i)それぞれ2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種類の分岐脂肪族ポリイソシアネートと、2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の環状脂肪族ポリイソシアネートと、1種類以上のさらなるカプセル化される成分と、任意選択として1種類以上の溶媒とを準備するステップであって、
好ましくは、前記環状脂肪族ポリイソシアネートの総量に対する前記直鎖および/または分岐脂肪族ポリイソシアネートの総量の重量比は、90:10~10:90、好ましくは70:30~15:85、より好ましくは60:40~20:80、最も好ましくは50:50~20:80の範囲にあるステップと、
(ii)1種類以上の架橋剤を準備するステップと、
(iii)ステップ(i)の構成要素を含む溶液(1)を製造するステップであって、適用可能な場合、溶液(1)は、水溶性でないステップと、
(iv)ステップ(ii)の構成要素の水溶液(2)中の溶液(1)の分散物を製造するステップであって、任意選択として、前記水溶液(2)は、クレーム8において定義される1種類以上のコロイド安定剤をさらに含むステップと、
(v)溶液(1)のポリイソシアネートを溶液(2)の架橋剤と反応させるステップと、
(vi)任意選択として、続いて前記反応混合物の温度を40~80℃の範囲に0.5~5時間維持するステップと、
を含み、好ましくは、前記プロセスのステップのいずれにおいても芳香族ポリイソシアネートが、提供も反応も使用もされないプロセス。
〔13〕ステップ(i)の前記直鎖または分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、エチルエステルリジントリイソシアネート、リジンジイソシアネートエチルエステルおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれ、好ましくは、前記誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1種類以上の基を任意選択としてさらに含み、および/または、
ステップ(i)の環状脂肪族ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびそれらの誘導体からなる群から選ばれ、好ましくは、前記誘導体の各々は、2個以上のイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選ばれた1個以上の基を任意選択としてさらに含む、
前記〔12〕に記載のプロセス。
〔14〕前記〔12〕または〔13〕において定義されるプロセスによって製造されるかまたは製造可能な、前記〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル。
〔15〕繊維製品、髪、皮膚、表面および/または環境空気に着香するための、前記〔1〕~〔10〕または〔14〕のいずれか一項に記載のコア-シェルカプセル、または好ましくは前記〔11〕に記載の製品の使用。
【0108】
以下において、実施例によって本発明が記載されるが、本発明は、下記の実施例に限定されない。
【実施例】
【0109】
実施例1:本発明によるカプセルスラリー
0.7gのポリビニルアルコール(例えばセルボ(Celvo)523、セキスイスペシャリティケミカルズヨーロッパ社(Sekisui Speciality Chemicals Europe,S.L.)、スペイン)を250gの脱イオン水に溶解させることによって外部相を作り出す。5gのH6XDI(例えばタケネート600、三井化学株式会社、日本)および5gのPDI(例えばスタビオ(Stabio)D-376X、三井化学株式会社、日本)を95gの266485 トムキャップ(TOMCAP)および95gの192060植物油トリグリセリド(共にシムライズ(Symrise)AGホルツミンデン(Holzminden))に溶解させる。この溶液を外部相中で約20μmの粒径分布に達するまで乳化させる。30gの水の中の5gの炭酸グアニジニウムの溶液(アルドリッチ(Aldrich)、ドイツ)を加え、この系を70℃まで加熱する。撹拌しながらこの温度を2~5時間維持する。溶液を室温に冷却し、0,6gのケルコビス(KelcoVis)DG(CPケルコ(Kelco)、フランス)を加える。
【0110】
実施例2:技術水準によるカプセルスラリー
2,5gのポリビニルアルコール(例えばセキスイスペシャリティケミカルズヨーロッパ社のセルボ523、スペイン)を250gの脱イオン水に溶解させることによって外部相を作り出す。2gのMDI(フェンノカップ(Fennocap)2301、ケミラケミカルズ(Kemira Chemicals)、米国)および8gのHDI(デスモデュール(Desmodur)N3400、コベストロ(Covestro)、ドイツ)を95gの266485トムキャップおよび95gの192060植物油トリグリセリド(共にシムライズAGホルツミンデン)に溶解させる。この溶液を外部相中で約20μmの粒径分布に達するまで乳化させる。次に、30gの脱イオン水中の5gの炭酸グアニジニウムの溶液(アルドリッチ、ドイツ)を加え、この系を70℃まで加熱する。撹拌しながらこの温度を2~5時間維持する。溶液を室温に冷却し、0,6gのケルコビス(CPケルコ、フランス)を加える。
【0111】
実施例3:本発明によるカプセルスラリー
0.7gのポリビニルアルコール(例えばセルボ523、セキスイスペシャリティケミカルズヨーロッパ社、スペイン)を250gの脱イオン水に溶解させることによって外部相を作り出す。6gのH6XDI(例えばタケネート600、三井化学株式会社、日本)および4gのHDI(デスモデュールN3400、コベストロ、ドイツ)を95gの266485トムキャップおよび95gの192060植物油トリグリセリド(共にシムライズAGホルツミンデン)に溶解させる。この溶液を外部相中で約20μmの粒径分布に達するまで乳化させる。次に、30gの脱イオン水中の5gの炭酸グアニジニウムの溶液(アルドリッチ、ドイツ)を加え、この系を70℃まで加熱する。撹拌しながらこの温度を2~5時間維持する。溶液を室温に冷却し、0,6gのケルコビスDG(CPケルコ、フランス)を加える。
【0112】
実施例4:本発明によらないカプセル
0.7gのポリビニルアルコール(例えばセルボ523、セキスイスペシャリティケミカルズヨーロッパ社、スペイン)を250gの脱イオン水に溶解させることによって外部相を作り出す。2gのMDI(デスモデュールM44、コベストロ、ドイツ)および8gのHDI(デスモデュールN3400、コベストロ、ドイツ)を95gの266485トムキャップおよび95gの192060植物油トリグリセリド(共にシムライズAG、ホルツミンデン)に溶解させる。この溶液を外部相中で約20μmの粒径分布に達するまで乳化させる。次に、30gの脱イオン水中の5gの炭酸グアニジニウムの溶液(アルドリッチ、ドイツ)を加え、この系を70℃まで加熱する。撹拌しながらこの温度を2~5時間維持する。溶液を室温に冷却し、0,6gのケルコビスDG(CPケルコ、フランス)を加える。
【0113】
衣類用柔軟剤中の分析的安定性の試験
約17重量%のエステルコート(ester quat)含量を有する着香していない衣類用柔軟剤試験調合物を1重量%のカプセルスラリーと混合し、40℃で貯蔵した。それぞれ、1;4;8および12週間の貯蔵期間後に、上部空気相中のヘッドスペース測定の助けを借りてカプセルから基材中に拡散した芳香物質原料の量を決定した。報告した値は、貯蔵後に依然カプセル中に残っている芳香物質油の百分率である。
【0114】
感覚性能試験
【0115】
方法A
得られたカプセル分散物の0,2%水希釈物をペーパータオル(カトリン(Katrin)(登録商標))クラシック(Classic)工業用タオルXXL2500ブルー、メッツェティッシュ(Metsae Tissue)GmbH、クロイツァウ(Kreuzau)、ドイツ)にスプレーする。環境温度で2日間乾燥した後、試料の感覚性能を試験した。経験を積んだ5名の試験者のパネルによって擦り前、擦り後および揉み後のタオルからの嗅覚強度を決定した。1(検出可能な匂いなし)から9(非常に強い匂い)のスケールによって嗅覚強度を判定した。
【0116】
方法B
着香していない衣類用柔軟剤試験調合物を0,3重量%のカプセルスラリーと混合した。これらの試料をそれぞれ0;1;4および8週間貯蔵した。それぞれの場合に、標準的なヨーロッパの家庭用洗濯機中で20gの柔軟剤カプセルスラリー混合物をパイル織りタオルに洗い込んだ。脱水サイクル後にタオルを洗濯機から取り出し、ひもにかけて乾燥した。続いて、経験を積んだ11名の試験者のパネルによって擦り前(「処理なし」)、擦り後および揉み後のタオルから嗅覚強度を決定した。1(検出可能な匂いなし)から9(非常に強い匂い)のスケールによって嗅覚強度を判定した。
【0117】
衣類用柔軟剤試験調合物
【0118】