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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】評価システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20221116BHJP
   G06Q 40/08 20120101ALI20221116BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
G06Q40/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021040951
(22)【出願日】2021-03-15
(62)【分割の表示】P 2017144888の分割
【原出願日】2017-07-26
(65)【公開番号】P2021094419
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】石川 隆史
(72)【発明者】
【氏名】堀口 浩
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107411(JP,A)
【文献】特開2002-109063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0354027(US,A1)
【文献】特開2016-134131(JP,A)
【文献】特開平08-234805(JP,A)
【文献】国際公開第2014/002418(WO,A1)
【文献】特表2016-505283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
A61B 9/00-10/06
G16H 10/00-80/00
G06Q 20/00
G06Q 40/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1検出器と、
前記第1検出器と異なる第2検出器と、
使用者が第1状態または前記第1状態に対応する状態である第1期間に前記第1検出器で取得した第1生体情報に基づいて、前記使用者が前記第1状態または前記第1状態に対応する状態であって前記第1期間と異なる第2期間に前記第2検出器で取得した第2生体情報を評価する制御部と、
を備え
前記第1生体情報及び前記第2生体情報は、同種の生体情報である、評価システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2生体情報の評価結果に基づいて、前記使用者の保険料を算出する、請求項1記載の評価システム。
【請求項3】
前記第1及び第2検出器と異なる第3検出器をさらに備え、
前記制御部は、前記第1期間に前記第3検出器で取得した第3生体情報と、前記第1生体情報と、前記第1及び第3検出器の信頼性と、に基づいて、前記第2生体情報を評価する、請求項1または請求項記載の評価システム。
【請求項4】
使用者が第1状態または前記第1状態に対応する状態である第1期間に第1検出器で取得した第1生体情報に基づいて、前記使用者が前記第1状態または前記第1状態に対応する状態であって前記第1期間と異なる第2期間に前記第1検出器と異なる第2検出器で取得した第2生体情報を評価する制御部を備え、前記第1生体情報及び前記第2生体情報は、同種の生体情報である評価システム。
【請求項5】
前記第2生体情報の評価結果に基づいて、前記使用者の保険料が算出される、請求項記載の評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
身体に装着するウェアラブルデバイスが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-103275号公報
【文献】特許第4759633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、使用者の情報をより有効に利用できる評価システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の評価システムは、第1~第3システムを含む。前記第1システムは、第1検出器と、第2検出器と、前記第1検出器及び前記第2検出器のそれぞれと通信可能な通信端末と、を含む。前記第2システムは、前記第1検出器及び前記第2検出器のいずれとも異なる検出器を含む。前記第3システムは、前記第1システム及び前記第2システムと通信可能である。前記第3システムは、前記第1検出器から取得した第1生体情報、及び、前記第2検出器から取得され前記第1生体情報と同種の第2生体情報に基づいて基準情報に変換し、前記第2システムに含まれる前記検出器から取得した第2生体情報を前記基準情報と比較する。
【発明の効果】
【0006】
実施形態は、使用者の情報をより有効に利用できる評価システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1(a)~図1(c)は、第1実施形態に係る評価システムを例示する模式図である。
図2】第1実施形態に係る評価システムの評価方法を示すフローチャートである。
図3】第1実施形態に係る評価システムにおける評価結果を例示する模式図である。
図4】第2実施形態に係る評価システムを例示する模式図である。
図5】第2実施形態に係る評価システムを例示する模式図である。
図6】第2実施形態に係る評価システムの評価方法を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る評価システムにおける動作を示すフローチャートである。
図8】実施形態に係る評価システムを例示する模式図である。
図9図9(a)~図9(c)は、第3実施形態に係る評価システムにおける情報を例示する模式図である。
図10図10(a)~図10(c)は、第3実施形態に係る評価結果情報を例示する模式図である。
図11】実施形態に係る保険を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る評価システムについて、図1(a)~図1(c)に示す例を用いて説明する。
【0010】
(1 評価システム110の全体構成)
図1(a)~図1(c)は、第1実施形態に係る評価システムを例示する模式図である。
評価システム110は、第1ユーザシステム10(第1システム)と、第2ユーザシステム20(第2システム)と、演算システム30(第3システム)と、を含む。
【0011】
評価システム110は、複数のユーザシステムから得られた生体情報等に基づいて、使用者の状態を評価する。例えば、評価システム110は、運転しているときの使用者の生体情報を取得する。評価システム110は、その生体情報を、従前に複数のユーザシステムから得られた生体情報等と比較して、運転しているときの使用者の状態を評価する。具体的には、評価システム110は、あるタイミングで運転している使用者の状態が、他のタイミングで運転している使用者の状態、または運転している状態に近い状態の場合の使用者の状態に対してどれほど相違するかを評価する。
【0012】
本実施形態は、使用者が運転している場合に限定して適用されない。実施形態は、使用者が1つまたは複数の処理を含む一連の作業を行う場合に適用できる。
【0013】
第1ユーザシステム10は、検出器SN(例えばセンサ)と、通信端末11と、を含む。検出器SNは、例えば、第1~第n検出器(nは2以上の自然数であり、本実施形態では第1~第6検出器SN1~SN6)を含む。検出器SNの数は任意である。検出器SN(第i検出器SNi)は、使用者の生体情報、及び、使用者の行動に関する情報の少なくともいずれかを検出する。検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6など)の例については、後述する。
【0014】
例えば、検出器SNのそれぞれ(例えば第i検出器SNi)は、通信端末11と有線または無線で通信できる。第1~第6検出器SN1~SN6は、取得した使用者の生体情報及び行動に関する情報を、第1ユーザシステム10内の図示せぬメモリに一時的に保存できる。
【0015】
第1ユーザシステム10は、通信端末11を介して、有線または無線で演算システム30と通信できる。例えば、演算システム30の要求に応じて、第1ユーザシステム10は、取得した、使用者の生体情報及び使用者の行動に関する情報を、演算システム30に、通信端末11を介して送信する。
【0016】
通信端末11は、例えば、コンピュータを含む。通信端末11は、例えばスマートフォンを含む。通信端末11は、例えば、電気回路を含む。
【0017】
第2ユーザシステム20は、例えば乗り物28(移動体)に設けられる。乗り物28は、例えば、自動車などである。第2ユーザシステム20は、検出器SN(第i検出器SNi、この例では、第7検出器SN7)を含む。第7検出器SN7は、例えば、乗り物28の座席27に設けられる。例えば、第7検出器SN7は、座席27に座った使用者81の生体情報を検出する。第7検出器SN7は、使用者81の体(例えば顔などの頭部)を撮像しても良い。撮像結果に基づく情報が、使用者81に関する情報の少なくとも一部となっても良い。この場合、第7検出器SN7は、乗り物28のウインドシールド部に設けられても良い。
【0018】
図1(a)の例では、第2ユーザシステム20に1つの検出器SN(第i検出器SNi、この例では、第7検出器SN7)が設けられている。実施形態において、第2ユーザシステム20に設けられる検出器SNの数は、任意である。1つの例において、第2ユーザシステム20に設けられる検出器SNは、第1ユーザシステム10に設けられる複数の検出器SNのいずれとも異なる。
【0019】
第2ユーザシステム20は、例えば、乗り物28を運転している者の呼気に含まれるアルコール濃度を検出する検出器SNを含んでも良い。
【0020】
第2ユーザシステム20は、例えば、乗り物28に関する情報(乗り物28の移動状況/運転状況を示す情報)を検出する検出器を含んでも良い。第2ユーザシステム20は、例えば、乗り物28の角速度を検出する検出器を含んでも良い。
【0021】
第2ユーザシステム20は、通信部21及びサーバ22を含んでも良い。第2ユーザシステム20は、例えば、図示せぬ制御部を含んでも良い。第2ユーザシステム20は、通信部21を介して、有線または無線で演算システム30と通信できる。制御部は、第7検出器SN7で取得された使用者81の生体情報を、通信部21を介して、演算システム30に送信する。サーバ22は、コンピュータを含んでも良い。サーバ22は、メモリを含んでも良い。サーバ22は、例えば、電気回路を含む。
【0022】
第1ユーザシステム10及び第2ユーザシステム20により、使用者81の生体情報等が取得される。演算システム30は、使用者81の生体情報等を、第1ユーザシステム10及び第2ユーザシステムから取得して、乗り物28を運転しているときの使用者81を評価する。
【0023】
演算システム30は、例えば、通信部31、サーバ32及び制御部33を含む。通信部31は、第1ユーザシステム10及び第2ユーザシステム20の少なくともいずれかからデータを受け取る。データは、使用者81の生体情報または使用者81の行動情報を含む。通信部31は、第1ユーザシステム10及び第2ユーザシステム20と通信できる。例えば、通信部31は、必要に応じて制御信号を送信し、データを授受してもよい。制御部33は、例えば、通信部31及びサーバ32の動作を制御する。例えば、制御部33は、サーバ32などに演算プログラムを実行させる。制御部33は、例えば、演算システム30に設けられるRAM34に演算プログラムを設定させても良い。
【0024】
この演算プログラムは、第1ユーザシステム10から取得した使用者81の生体情報または使用者81行動に関する情報から、使用者81の生体情報を、使用者81の状態ごとに分類する。演算プログラムは、例えば、乗り物28を運転しているときの使用者81の状態に対応する使用者81の生体情報を抽出する。演算プログラムは、抽出された使用者81の生体情報を基に、基準分布(または基準データ)を生成する。演算プログラムは、第2ユーザシステム20から取得した使用者81の生体情報が基準分布に対してどのような相対的な関係にあるかを評価して、使用者81を評価する。
【0025】
図1(b)及び図1(c)は、検出器SNを例示している。
図1(b)に示すように、第1検出器SN1は、例えば、ベッド70に設けられる。ベッド70は、例えば、ボトム71及びマットレス60を含む。第1検出器SN1は、例えば、ボトム71とマットレス60との間に設けられる。第1検出器SN1に、マットレス60を介して、使用者81による力(圧力及び音波の少なくともいずれか)が加わる。例えば、第1検出器SN1で検出された力に基づく信号は、生体情報及び行動情報の少なくとも一部を含む。信号(力)の大きさ及び信号(力)の大きさの時間的な変化の少なくともいずれかに基づいて、第1検出器SN1は、使用者81の生体情報や行動に関する情報を検出する。例えば、使用者81の状態に応じた振動が、第1検出器SN1に加わる。振動は、例えば、使用者81の体動に応じている。振動が、第1検出器SN1において検出される。振動は、音を含んでも良い。
【0026】
第1検出器SN1は、例えば、心拍、脈拍、呼吸、体温、体重、睡眠、覚醒、入眠、離床、起上り及び端座位(例えば離床準備状態)の少なくとも1つを検出できる。例えば、第1検出器SN1で検出された力及び力の時間的な変化の少なくともいずれかに基づいて、使用者81の状態が推定されても良い。
【0027】
図1(b)に示すように、第2検出器SN2は、使用者81の体(この例では、腕)に取り付けられる。第2検出器SN2は、例えば、腕時計型のウェアラブルデバイスである。第2検出器SN2は、例えば、使用者81の、脈拍、筋電図(心電図を含む)、及び、血中酸素濃度の少なくとも1つを含む生体情報を取得できる。第2検出器SN2は、例えば、使用者81の心拍を検出可能でも良い。第2検出器SN2は、例えば、使用者81の、睡眠、覚醒、入眠、立位、座位、臥位、歩行及び運動の少なくともいずれかを含む行動情報を取得できても良い。
【0028】
図1(b)に示すように、第3検出器SN3は、枕72などに設けられる。使用者81の状態に応じた振動が、第3検出器SN3に加わる。振動は、例えば、使用者81の体動に応じている。第3検出器SN3は、例えば、使用者81の、心拍、脈拍、呼吸、体温、筋電図(心電図を含む)、脳波、血圧、及び、血中酸素濃度(例えば、経皮的動脈血酸素飽和度を含む)の少なくとも1つを含む生体情報を取得できても良い。
【0029】
図1(c)に示すように、第4検出器SN4は、例えば、使用者81の頭部に取り付けることが可能である。第4検出器SN4は、例えば、使用者81の脈拍、体温、及び、脳波の少なくとも1つを含む生体情報を取得できる。第4検出器SN4は、使用者81の、睡眠、覚醒、立位、座位、臥位、歩行及び運動の少なくともいずれかを含む行動情報を取得できても良い。
【0030】
図1(c)に示すように、第5検出器SN5は、例えば、眼鏡形状のウェアラブルデバイスである。使用者81は、例えば、第5検出器SN5を眼鏡と同様に装着して使用する。第5検出器SN5は、例えば、使用者81の、脈拍、体温及び血中酸素濃度の少なくとも1つを含む生体情報を取得できる。第5検出器SN5は、睡眠、覚醒、立位、座位、臥位、歩行及び運動の少なくともいずれかを含む行動情報を取得できても良い。
【0031】
図1(c)に示すように、第6検出器SN6は、使用者81の足部に取り付けられる。第6検出器SN6は、例えば、使用者81の靴に設けられても良い。第6検出器SN6は、例えば、使用者81の、体重を含む生体情報を取得できる。第6検出器SN6は、使用者81の、歩行及び運動の少なくともいずれかを含む行動情報を取得できても良い。
【0032】
例えば、使用者81の生体情報は、心拍、脈拍、呼吸、体温、体重、脈拍、筋電図(心電図を含む)、脳波、及び、血中酸素濃度(例えば、経皮的動脈血酸素飽和度を含む)に分類できる。
例えば、使用者81の行動情報は、睡眠、覚醒、入眠、離床、起上り、端座位(例えば離床準備状態)、立位、座位、臥位、歩行及び運動に分類できる。
例えば、使用者81の状態は、寝ている状態、座っている状態、立っている状態、歩いている状態、走っている状態、食事中の状態、食後の状態、排泄中の状態、排泄後の状態、入浴中の状態、入浴後の状態、喫煙中の状態、及び、喫煙後の状態に分類できる。
【0033】
(2 評価システムにおける評価方法)
以下、図2を用いて、評価システム110における評価方法を説明する。以下の例では、評価システム110は、乗り物28を運転しているときの使用者81を評価する。
【0034】
図2は、第1実施形態に係る評価システムの評価方法を示すフローチャートである。
乗り物28を運転しているときの使用者81を評価するときには、例えば、事故等のリスクの可能性が高いかどうかが評価される。運転しているときの使用者81において、例えば、体調が優れない、または、興奮状態にある、または、注意が散漫である、などの状況がある。このような状況において、事故等のリスクの可能性が高いかどうかが評価される。
【0035】
評価システム110は、複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6)から、使用者81の生体情報または使用者81の行動に関する情報を取得する。評価システム110は、これらの情報に基づいて、使用者81を評価する。例えば、自動車保険事業者等の金融機関は、使用者81の評価結果に基づいて、例えば保険料を算定する。
【0036】
複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6など)のそれぞれは、例えば、使用者81(及び衣服なども含む)と接触する部分を有する。複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6)のそれぞれにおいて、使用者81の異なる位置から生体情報が取得される場合がある。
【0037】
使用者81が、複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6など)を使用しているときに、取得できる生体情報の種類が、互いに異なる場合がある。例えば、1つの検出器SN(例えば第1検出器SN1)は、脈拍を取得できる。他の検出器SN(例えば第6検出器SN6)は、脈拍を取得できない場合がある。
【0038】
例えば、使用者81が複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6など)を同時に使用していない場合がある。例えば、1つの検出器SNは、朝に装着され、夜に外される。別の検出器SNが、夜に装着される場合がある。複数の検出器(第1~第6検出器SN1~SN6など)が取得する生体情報の精度が、互いに異なる場合もある。
【0039】
例えば、乗り物28を運転しているときの使用者81の生体情報を検出器SN7で取得して使用者81を評価する場合に、複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6など)で取得した生体情報を利用する。例えば、複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6など)で取得した生体情報を用いて、保険料の算定の基礎となる基準データ(または基準分布)が作成される。これにより、例えば、正確な保険料を算定できる。
【0040】
例えば、使用者81が運転している1つの期間(評価期間、タイミング)において、使用者81の生体情報が検出器SN7で取得される。一方、例えば、複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6など)は、この評価期間とは別の、運転している期間(非評価期間)に、使用者81の生体情報を取得する。例えば、複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6など)は、非評価期間に使用者81が運転しているときに生体情報を取得する。例えば、評価システム110は、複数の検出器SN(第1~第6検出器SN1~SN6など)が取得した生体情報から、非評価期間の生体情報を抽出する。評価システム110は、抽出された生体情報に基づいて、基準データ(または基準分布)を導出する。
【0041】
評価システム110における評価方法の具体的なフローの例を、以下説明する。評価システム110における評価方法は、例えば人工知能AI(Artificial Intelligence)で実現してもよい。
【0042】
説明の便宜上、使用者81の脈拍(生体情報)は、第1検出器SN1、第2検出器SN2、第3検出器SN3及び第7検出器SN7で取得できるものとする。以下の例では、使用者81の脈拍に基づいて評価が行われる。実施形態において、他の生体情報(例えば血圧など)に基づいて評価が行われても良い。評価システム110が評価する前に、複数の検出器SN(例えば第1~第3検出器SN1~SN3)により、使用者81の脈拍(生体情報)、及び、使用者81の行動に関する情報が取得される。取得された情報は、評価システム110のサーバ32に既に保持されている。使用者81は、例えば、第2検出器SN2を実質的に常時使用している。使用者81は、例えば、第1検出器SN1及び第3検出器SN3を、就寝中に使用する。
【0043】
(ステップS1)
演算システム30は、使用者81の評価を開始するときに、評価を開始する指示を第2ユーザシステム20に送信する。具体的には、制御部33は、通信部31を介してコマンドCMDを送信する。第2ユーザシステム20の制御部は、通信部21を介して、このコマンドCMDを受信する。第2ユーザシステム20の制御部は、第7検出器SN7をアクティブにする。
【0044】
(ステップS2)
第2ユーザシステム20は、第7検出器SN7で、使用者81の生体情報、使用者81の行動に関する情報、及び、その他の情報を取得する。第2ユーザシステム20は、これらの情報を、例えばサーバ22に保持する。
【0045】
(ステップS3)
第2ユーザシステム20は、通信部21を介して、ステップS2で取得した情報を演算システム30に送信する。例えば、第2ユーザシステム20は、一定期間の生体情報等を検出した後に、検出結果を演算システム30に送信してもよい。例えば、第2ユーザシステム20は、生体情報等を検出しながら、検出結果を、任意の時に、演算システム30に送信してもよい。例えば、これらの情報を含むデータDATA1が、第2ユーザシステム20から演算システム30に送信される。
【0046】
(ステップS4)
演算システム30は、第7検出器SN7で取得された使用者81の生体情報(例えば脈拍を含む)、使用者81の行動に関する情報、及び、その他の情報を取得する。
【0047】
(ステップS5)
演算システム30は、ステップS4で取得した情報から、使用者81の状態を特定する。具体的には、制御部33は、ステップS4で取得した情報から、例えば、第7検出器SN7が、乗り物28(車)の座席27(運転席)に設けられた検出器であることのフラグを読み取る。制御部33は、例えば、使用者81が運転している状態であることを特定する。
【0048】
(ステップS6)
制御部33は、使用者81が、評価中の運転している状態と、同じ状態であるときのデータ(生体情報及び行動に関する情報)を、サーバ32から抽出する。
【0049】
サーバ32は、複数の検出器SN(第1~第3検出器SN1~SN3)から取得した生体情報等を保持している。サーバ32に、これらの生体情報が、使用者81の状態とともに保持されている。使用者81の状態は、例えば、寝ている状態か否か、座位(座っているか)か否か、起立している(立っている)状態か否か、歩いているか否か、走っているか否か、食事中か否か、食後か否か、排泄中か否か、排泄後か否か、入浴中か否か、入浴後か否か、喫煙中か否か、または、喫煙後か否か等によって、分類される。
【0050】
例えば、使用者81の状態St0は、使用者が寝ている状態に対応する。使用者81の状態St1は、使用者81が座っている状態であることに対応する。使用者81の状態St2は、使用者81が立っている状態であることに対応する。
【0051】
制御部33が使用者81の「同じ状態」のデータを抽出することの例について説明する。制御部33は、使用者81がある行動をした場合に、使用者81の状態がサーバ32に保存された上記のいずれの分類に該当するか判定する。サーバ32に保存された分類は、有限である。制御部33は、使用者81の状態がサーバ32に保存された分類に該当しない場合には、サーバ32に保存された分類の中で、使用者81の状態に近い状態を「同じ状態」として選ぶ。例えば、サーバ32に保存されている使用者81の状態の分類には、「運転をしている状態」は含まれない。例えば、制御部33は、使用者81が運転しているときに使用者81が乗り物28の座席27に座っていると判断して、使用者81が座っている状態St1が、使用者81が運転している状態と「同じ状態」とする。その結果、制御部33は、使用者81の状態St1のデータをステップS6で抽出する。
【0052】
図1(b)に示すベッド70に、重量センサまたは角度センサが設けられる場合がある。この場合、これらのセンサを用いて取得された情報に基づいて、使用者81が、状態St0または状態St1のいずれかであるか、が特定される。第1~第6検出器SN1~SN6、及び、その他の検出器SNから取得される情報に基づいて、使用者81の状態が認識できないとき、または、不明なときは、例えば、使用者81が自分の状態を通信端末などから入力してもよい。
【0053】
制御部33は、例えば「運転している状態」は、使用者81の状態St1に該当すると判定する。そして、制御部33は、サーバ32に保持されている脈拍に関する情報から、使用者81の状態St1に該当する、脈拍に関する情報を抽出する。制御部33は、抽出された脈拍に関する情報を、RAM34に導入する。
【0054】
(ステップS7)
制御部33は、使用者81の状態に該当する「脈拍の情報」を複数の検出器SNごとに分類する。例えば、制御部33は、使用者81の状態に該当する「脈拍の情報」が、第1~第3検出器SN1~SN3のいずれで取得されたものかを分類する。そして、制御部33は、第1~第3検出器SN1~SN3ごとに、脈拍の分布を生成する。例えば、制御部33は、第1~第3検出器SN1~SN3で取得した脈拍の離散データから、脈拍の分布X[ei,t,σi,t](iは、検出器SNの番号、tは、時刻、または所定の時間)を作成する。脈拍の分布の平均は、「ei,t」である。脈拍の分布の分散は、「σi,t」である。
【0055】
(ステップS8)
制御部33は、第1~第3検出器SN1~SN3の信頼性を考慮して、脈拍の基準分布(または基準データ)を生成する。制御部33は、第1~第3検出器SN1~SN3に対応した重み付け関数Fk,t(kは検出器の番号)を用いて、基準分布CS1tを生成する。重み付け関数Fk,tは、例えば、自然数である。または、重み付け関数Fk,tは、ある関数でもよい。基準分布CS1tは、以下の第1式で表される。
【0056】
【数1】
【0057】
この例では、第1~検出器SN1~SN3が使用されているため、i及びkに、1~3が入力され、以下の第2式、第3式が得られる。
【0058】
【数2】
【0059】
【数3】
【0060】
第1~第3検出器SN1~SN3で取得される生体情報等が更新されるたびに、制御部33は、再計算してもよい。
【0061】
以下、制御部33がある期間t1の基準分布CS1,t1を生成した後に、制御部33が別の期間t2における生体情報を取得して基準分布を更新する例について説明する。
【0062】
このとき、制御部33は、期間t2の生体情報に基づいて、上記と同様のステップで基準分布CS1,t2を算出する。そして、制御部33は、期間「t1+t2」の基準分布を重み付け関数Gti(iは、期間の番号)を用いて更新する。基準分布CS1,t1+t2は、以下の第4式で表される。
【0063】
【数4】
【0064】
重み付け関数Gtiは、例えば、複数の期間の間での重み付けのための関数である。この重み付け関数Gtiは、例えば、自然数でも良い。重み付け関数Gtiは、ある関数でもよい。
【0065】
(ステップS9)
制御部33は、使用者81の評価を行う。具体的には、制御部33は、ステップS4で取得した脈拍の情報が、例えば、基準分布CSl,t1+t2の分布の±1σの範囲に属するものなのか、±2σの範囲に属するものなのか、±3σの範囲に属するものなのか、±3σの範囲に属しないものであるのか、などを判定する。その結果に基づいて、制御部33は、乗り物28を運転している使用者81のリスクを評価する。
【0066】
(3 自動車保険の保険料の算定)
図3は、第1実施形態に係る評価システムにおける評価結果を例示する模式図である。 図3に示すように、例えば、評価値Ev1の値(この例では1~9)に対応して、自動車保険の保険料の値Iv1が定められる。評価値Ev1は、使用者81のリスクに対応した分類である。
【0067】
制御部33は、図3に示すように、使用者81を使用者81のリスクに応じて分類分けして評価する。制御部33は、分類分けに応じて、使用者81の自動車保険の保険料を算定する。
【0068】
図3に示すように、例えば、複数の評価値Ev1のそれぞれに対応して、自動車保険の保険料の値Iv1が定められる。例えば、評価値Ev1が「1」のときの保険料の値Iv1は、11,000円である。例えば、評価値Ev1が「9」のときの保険料の値Iv1は、55,000円である。
【0069】
本実施形態に係る評価システム110では、運転している使用者81の生体情報と、その使用者81の状態と同じ状態にあったときの使用者81の生体情報と、を演算システム30が比較する。そして、評価システム110は、運転している使用者81のリスクを評価することで、使用者81を評価する。そして、その評価の結果に基づいて、保険料の値Iv1が出力される。実施形態においては、使用者81が作業を実施する際のリスクが、使用者81の情報(例えば生体情報)に基づいている。このため、使用者81を正確に評価できる。この使用者81の評価を使用することにより、使用者81の情報をより有効に利用して適切な自動車保険の保険料の算定ができる。
【0070】
使用者81の評価の結果は、使用者81の自動車保険料のランクを含んでも良い。
【0071】
(その他の例)
上記の例では、乗り物28を運転している使用者81が評価される。実施形態において、他の作業をしているときの使用者81が評価されてもよい。
【0072】
作業は、例えば、使用者81の仕事でも良い。仕事は、使用者81が生計を立てるために行うことを含む。
【0073】
制御部33が、例えば、立って行われる仕事であると判定した場合、制御部33は上記のステップS6で、使用者81の状態St2に対応する生体情報等を抽出する。その結果に基づいて、制御部33は、使用者81を評価する。これにより、仕事を実施しているときの使用者81のリスク(例えば、健康の阻害の可能など)が評価できる。作業が仕事である場合に、例えば、使用者81の将来の健康のリスクが予測できる。これらの評価の結果は、例えば、生命保険及び医療保険料の少なくともいずれかの条件(例えばランク)を含んでも良い。
【0074】
このように、実施形態によれば、使用者81の将来のリスクをより正確に評価できる。この結果を用いて、例えば、保険の条件を提示することで、より正確な保険の条件を定めることができる。
【0075】
さらに、実施形態は、使用者81が将来に「ある作業」を実施したときの状態を予測できる。例えば、「ある作業」を実際に実施したときにおける使用者81の状態だけではなく、その使用者81が「ある作業」を将来実施したときに生じやすい状態(症状)を予測できる。この予測は、評価結果情報に含まれても良い。
【0076】
この予測に基づいて、使用者81が適切な変更を行うことで、将来のリスクを減らすことができる。演算システム30(及び評価システム110など)は、使用者81の訓練システムとして用いることができる。
【0077】
実施形態において、作業は、例えば、乗り物28の運転、仕事、または、スポーツなどを含んでも良い。
【0078】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る評価システムを例示する模式図である。
図4に示すように、第2実施形態に係る評価システム111は、第1実施形態の評価システム110に対して出力システム40をさらに追加した点で相違し、その他の構成は第1実施形態と同様である。第1実施形態では、制御部33が、図3に示すような保険料の算定を行う。第2実施形態では、制御部33は使用者81がいずれの評価値Ev1に該当するかを判定する。第2実施形態においては、制御部33は、例えば、保険料の算定はしない。
【0079】
出力システム40は、図3に示すような保険料の算定を行うプログラムを有する。そのプログラムによって、出力システム40は、使用者81の保険料を算定する。
【0080】
出力システム40は、例えば、情報端末41及びサーバ42を含む。この例では、制御部43がさらに設けられている。情報端末41は、サーバ42と接続される。制御部43は、情報端末41及びサーバ42と接続される。これらの接続は、有線または無線の任意の方法により行われる。情報端末41、サーバ22及び制御部43は、コンピュータを含んでも良い。情報端末41、サーバ22及び制御部43は、メモリを含んでも良い。情報端末41、サーバ22及び制御部43は、例えば、電気回路を含む。情報端末41は、例えば、スマートフォンなどを含んでも良い。
【0081】
情報端末41は、例えば、演算システム30の通信部31と通信を行う。通信は、データの授受を含む。例えば、演算システム30の通信部31から、使用者81の評価の結果が、出力システム40の情報端末41に送られる。情報端末41は、評価の結果に基づいて使用者81の保険料の算定を行う。サーバ42に使用者81ごとに評価の結果や保険料が記憶される。制御部43は、例えば、情報端末41及びサーバ42の動作を制御する。制御部43は、省略されても良い。
【0082】
必要に応じて、情報端末41は、サーバ42から情報(評価の結果)を読み出す。情報端末41は、評価結果情報を出力可能である。
【0083】
出力システム40の1つの例において、出力システム40は、例えば保険提供者(例えば保険会社)により使用される。保険提供者は、使用者81の評価の結果に基づいて、その使用者81の保険の条件を定めても良い。
【0084】
(第3実施形態)
第3実施形態の評価システムの構成は、第1実施形態または第2実施形態の評価システムの構成に対して、サーバ32が、以下に説明するテーブルを保持している点で相違する。
【0085】
(1 評価システムの構成)
例えば、ある1種類の生体情報(例えば、脈拍)が複数の検出器SNで取得される場合、複数の検出器SNの取得精度が考慮される。演算システム30のサーバ32は、複数の生体情報ごとに、複数の検出器SNのそれぞれの信頼度に関するテーブルを保持する。制御部33は、これらのテーブルに基づいて基準分布(または基準データ)を生成する。
【0086】
図5は、第3実施形態に係る評価システムを例示する模式図である。
図5に示すように、サーバ32は、テーブルを保持する。このテーブルにおいて、例えば、複数の生体情報(例えば、脈拍)ごとに、複数の検出器SNに対する信頼度CEが定めされる。例えば、信頼度CEの値が大きいと、その検出器SNによる評価結果(情報)の信頼度は高い。図5は、脈拍に関するテーブルを示す。
【0087】
この例では、第1検出器SN1において信頼度CEは、10である。第2検出器SN2において信頼度CEは、3である。第3検出器SN3において信頼度CEは、7である。第5検出器SN5において信頼度CEは、5である。他の検出器SNにおいては、信頼度CEは、0である。任意の検出器SNiは、信頼度CEiを有する。
【0088】
(2 評価システムにおける評価方法)
第3実施形態に係る評価システムにおける評価方法は、第1実施形態の評価方法と、ステップS7とステップS8との間にステップSS1及びステップSS2が設けられる点で相違する。第3実施形態における他のステップは、第1実施形態と同様である。
【0089】
具体的な評価方法について、図5及び図6を用いて説明する。
【0090】
図6は、第3実施形態に係る評価システムの評価方法を示すフローチャートである。
第3実施形態においては、第1実施形態に関して説明したステップS7を実行した後に、ステップSS1を実行する。
【0091】
(ステップSS1)
制御部33は、図5に示す信頼度CEに関するテーブルを、サーバ32から、RAMに導入する。前述したように、ステップS7では、制御部33は、使用者81の状態St1に該当する脈拍の情報を、複数の検出器SNごとに分類する。制御部33は、この検出器に対応する信頼度CEを抽出する。
【0092】
制御部33は、信頼度の合計が所定の値(例えば「11」)を超えているかどうか、を判定する。
【0093】
制御部33が、合計の信頼度CEが所定の値を超えていると判定したときには(ステップSS1、「Yes」)、ステップS8へ進む。第3実施形態では、第1~第3検出器SN1~SN3を使用しており、それぞれの検出器SNの信頼度CEの合計は、20(=10+3+7)である。したがって、制御部33は、ステップS8へ進む処理を行う。
【0094】
(ステップSS2)
制御部33が、合計の信頼度CEが所望の値を超えていないと判定したときには(ステップSS1、「No」)、ステップSS2へ進む。
【0095】
例えば、第1検出器SN1から脈拍の情報が取得できず、第2検出器SN2及び第3検出器SN3で脈拍の情報を取得した場合には、信頼度CEの合計は10(=3+7)である。このときは、制御部33は、ステップSS2へ進む処理を行う。
【0096】
ステップSS2では、制御部33は、基準分布(または基準データ)を推定する。
【0097】
具体的には、制御部33は、例えば、第1検出器SN1で取得した脈拍の分布と、第2検出器SN2または第3検出器SN3で取得した脈拍の分布と、の相関関係に基づいて、基準分布(または基準データ)を算出する。
【0098】
以下、第1実施形態の評価方法で説明した前提をベースにして、例を説明する。ただし、以下の例では、演算システム30は、第1検出器SN1から使用者81の状態St1に対応する脈拍の情報を取得できない。以下の例では、演算システム30は、使用者81の状態St0に対応する脈拍に関する情報を第2検出器SN2及び第3検出器SN3から取得できたものとする。
【0099】
このとき、制御部33は、使用者81の状態St0における第1~第3検出器SN1~SN3で取得した生体情報の相関関係を算定する。その相関関係を用いて、制御部33は、使用者81の状態St1に対応する、第2検出器SN2及び第3検出器SN3から取得した脈拍の情報から、第1検出器SN1で取得されたであろう脈拍の情報を推定する。
【0100】
制御部33は、推定された、第1検出器SN1からの脈拍の情報と、第2検出器SN2及び第3検出器SN3からの脈拍の情報と、に基づいて、基準分布(または基準データ)を生成する。
【0101】
第1~第3検出器SN1~SN3を用いる場合には、信頼度CEの合計が所望の値を超えるためである。
【0102】
第3実施形態においては、演算システム30(例えば制御部33)は、複数の検出器SNから取得された情報(生体情報及び行動情報の少なくともいずれか)に基づいて、使用者81の評価を行う。例えば、評価の結果を得る際に複数の検出器SNから得られた複数の情報(データ)を整合させることができる。より正確な使用者81の評価結果を出力できる。
【0103】
このような評価結果情報を、例えば、保険条件の決定(例えば保険料の算定)の基礎となる基準として用いることができる。より正確に保険条件を決定することができる。生体情報をより有効に利用できる評価装置及び評価システムが提供できる。
【0104】
図7は、実施形態に係る評価システムにおける動作を示すフローチャートである。
図7に示すように、例えば、ステップS9において、演算システム30(第3システム)の制御部33において、使用者81の評価が行われる。使用者81の評価結果が、所定のランクよりも上の場合は、終了する。一方、使用者81の評価が、所定のランク以下の場合には、制御部33は、自動運転切替指示を行う。自動運転切替指示のコマンドCMD等が、例えば、第2ユーザシステム20(第2システム)に送信される。第2ユーザシステム20は、自動運転切替指示のコマンドCMD等に基づいて、自動運転を開始する。例えば、第2ユーザシステム20のサーバ22等により、乗り物28の自動運転が開始される。
【0105】
使用者81の評価結果が所定のランク以下のときには、運転している使用者81が異常な状態と判断できる。このような場合に、例えば、マニュアル運転から自動運転への切り替えが行われる。例えば、自動運転のためプログラムは、乗り物28が有している。この自動運転のプログラムの実行の指令が、例えば、第2ユーザシステム20のサーバ22等を介して、演算システム30から第2ユーザシステム20に提供される。
【0106】
図8は、実施形態に係る評価システムを例示する模式図である。
図8は、演算システム30のハードウェアの構成の例を示す。演算システム30は、例えば、通信部31(通信インタフェース)、サーバ32(例えば外部メモリなどとのインタフェース)、制御部33(例えばCPU)、RAM34a及びROM34bなどを含む。演算システム30は、例えば、入力部35a及び出力部35bなどをさらに含んでも良い。
【0107】
上記の種々の情報(データ)の処理(指示)は、例えば、プログラム(ソフトウェア)に基づいて実行される。例えば、コンピュータが、このプログラムを記憶し、このプログラムを読み出すことにより、上記の種々の情報の処理が行われる。
【0108】
上記の種々の情報の処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、または、他の記録媒体に記録されても良い。
【0109】
例えば、記録媒体に記録された情報は、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0110】
記録媒体からコンピュータ(または組み込みシステム)にインストールされたプログラムに基づいてコンピュータ上で稼働している種々のソフトウェアにおいて、上記の情報の処理の少なくとも一部が実施されても良い。このソフトウェアは、例えば、OS(オペレーティングシステム)などを含む。このソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で動作するミドルウェアなどを含んでも良い。
【0111】
実施形態における記録媒体は、LANまたはインターネットなどにより得られたプログラムをダウンロードして記憶された記録媒体も含まれる。複数の記録媒体に基づいて、上記の処理が行われても良い。
【0112】
実施形態に係るコンピュータは、1つまたは複数の装置(例えばパーソナルコンピュータなど)を含む。実施形態に係るコンピュータは、ネットワークにより接続された複数の装置を含んでも良い。
【0113】
(第4実施形態)
第4実施形態において、評価システム110(図1(a)参照)は、演算システム30(例えば演算装置、図1(a)参照)を含む。
【0114】
評価システム110(例えば演算システム30)は、例えば、使用者81に関する第1情報と、その使用者81に関する第2情報と、を入手する。この第1情報は、1つの作業(第1作業)をしている第1状態における、使用者81の生体情報及び行動情報の少なくともいずれかを含む。一方、第2情報は、その作業(第1作業)をしていない第2状態における、使用者81の生体情報及び行動情報の少なくともいずれかを含む。そして、評価システム110は、上記の第1情報及び第2情報に基づいて、使用者81の第1作業に関する評価結果情報を出力することが可能である。本実施形態において、使用者81は、評価の対象者である。
【0115】
以下、評価システム110における使用者81の評価の例について説明する。
【0116】
以下の例では、使用者81の作業(第1作業)は、乗り物28の運転である。乗り物28の運転に関する可能性(例えばリスクなど)について、使用者81が評価される。
【0117】
例えば、使用者81の状態が、第1検出器SN1及び第2検出器SN2により評価される。既に説明したように、第1検出器SN1は、ベッド70に設けられる。第1検出器SN1により、使用者81の就寝中及びその前後の状態が検出される。第1検出器SN1により、例えば、使用者81の、心拍、脈拍、呼吸、睡眠及び覚醒などが検出される。
【0118】
既に説明したように、第2検出器SN2は、例えば、使用者81の体(例えば腕)に取り付けられる。第2検出器SN2は、例えば、一日以上連続して使用者81の状態を検出できても良い。第2検出器SN2は、例えば、使用者81の、心拍、脈拍、睡眠、覚醒、入眠、立位、座位、臥位、歩行及び運動などの状態を検出できる。
【0119】
使用者81の作業(第1作業)が乗り物28の運転である場合、上記の第7検出器SN7により、使用者81の状態が検出される。第7検出器SN7は、乗り物28の運転中(乗り物28に乗っている期間)の使用者81の状態を検出できる。第7検出器SN7は、例えば、心拍、脈拍、呼吸、睡眠及び覚醒などを検出できる。
【0120】
以下では、説明を簡単にするために、これらの検出器SNで得られた種々のデータのうちで、脈拍に関する情報が用いられる場合について説明する。そして、以下では、検出器SNで得られた情報(例えばデータ)をモデル化して説明する。
【0121】
図9(a)~図9(c)は、第4実施形態に係る評価システムにおける情報を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。図9(a)~図9(c)のそれぞれの縦軸は、第1検出器SN1、第2検出器SN2及び第7検出器SN7のそれぞれにより得られた第1信号SG1、第2信号SG2及び第7信号SG7である。脈拍が検出される場合、例えば、1分間における脈拍数が、これらの信号の強度に対応する。
【0122】
これらの信号は、使用者81に関する情報の少なくとも一部となる。または、これらの信号が処理されて得られた情報が、使用者81に関する情報の一部となる。これらの図には、第1日D1~第8日D8までの検出結果(信号)が例示されている。
【0123】
図9(a)に示すように、第1検出器SN1により得られる第1信号SG1の強度は、使用者81の就寝中及びその前後(すなわち、例えば、夜)において、強くなる。例えば、昼間は、第1検出器SN1による検出が行われないため、第1信号SG1が得られない。使用者81の就寝中において、使用者81の睡眠状態に応じて、脈拍が変化する。これに応じて、第1信号SG1の強度が変化する。
【0124】
図9(b)に示すように、第2検出器SN2により、第1日D1~第8日D8まで、実質的に連続して、使用者81の状態が検出される。第2信号SG2は、第1日D1~第8日D8まで、実質的に連続している。この例では、それぞれの日の昼間において、第2信号SG2の強度が高く、夜間においては、第2信号SG2の強度が低い。夜間における第2信号SG2の強度は、第1信号SG1の強度に対応している場合が多い。
【0125】
図9(c)に示すように、第7信号SG7は、使用者81が乗り物28に乗っているときの、使用者81の脈拍に対応する。この例では、第5日D5及び第7日D7において、使用者81は、乗り物28を運転している。
【0126】
この例では、評価の対象の作業(第1作業OP1)が、乗り物28の運転である。第5日D5及び第7日D7に、使用者81が第1作業OP1(乗り物28の運転)を行う第1状態ST1がある。第1状態ST1を除く期間が、第2状態ST2となる。
【0127】
例えば、第5日D5の第1期間(第1時刻を含む期間)において、使用者81が第1作業OP1(乗り物28の運転)を行っている。他の日(この例では第1日D1~第4日D4、第6日D6及び第8日D8)にも、その第1期間(第1時刻を含む期間)がある。
【0128】
1つの例において、第5日D5の第1期間(第1時刻を含む期間)における第2信号SG2と、他の日(この例では第1日D1~第4日D4、第6日D6及び第8日D8)の第1期間(第1時刻を含む期間)における第2信号SG2と、が比較される。この場合、第1作業OP1の有無の違いに対応して、第2信号SG2に違いが生じる。例えば、第1作業OP1(運転)を行っているときの第2信号SG2の強度(脈拍数)と、第1作業OP1(運転)を行っていないときの第2信号SG2の強度(脈拍数)と、の間において、違いが生じる。例えば、前者は、後者よりも強い。
【0129】
このように、第1作業OP1の実施の有無により、使用者81の生体情報が変化する。この生体情報の変化は、使用者81が第1作業OP1(運転)を行うときの第1作業OP1において生じる可能性(例えばリスクの程度)に関係する。第1作業OP1の実施の有無に基づく使用者81の生体情報の変化を評価することで、第1作業OP1に関して使用者81を評価することができる。
【0130】
第4実施形態においては、第1作業OP1をしている第1状態ST1における使用者81の生体情報及び行動情報の少なくともいずれかを含む第1情報と、第1作業OP1をしていない第2状態ST2における使用者81の生体情報及び行動情報の少なくともいずれかを含む第2情報と、の間の相対的な関係(例えば差)に基づいて、使用者81の第1作業OP1に関する評価が行われる。
【0131】
この例では、第1作業OP1を行わない別の日における使用者81の情報(この例では、第2信号SG2)が、第2状態ST2の第2情報として用いられる。例えば、第2情報は、第5日D5において第1作業OP1が行われる時刻(第1期間)と同じ時刻(第1期間)に対応する、他の日の情報である。
【0132】
第4実施形態において、第2情報として、第1作業OP1が行われる第5日D5における他の時刻(期間)における情報(例えば第2信号SG2)が用いられても良い。
【0133】
この例では、第7日D7の第2期間(第2時刻を含む期間)において、使用者81が第1作業OP1(乗り物28の運転)を行っている。第5日D5に第1作業OP1を実施しているときの第2信号SG2と、第7日D7における第1作業OP1を実施しているときの第2信号SG2と、が、第1情報として用いられても良い。これらの2日のそれぞれの信号から、例えば、平均値が導出される。平均値を含む情報が、第1情報として用いられても良い。
【0134】
上記の例では、1つの検出器(第2検出器SN2)により、上記の第1情報(第1作業OP1を行っているときの状態)と、上記の第2情報(第1作業OP1を行っていないときの状態)と、における状態が検出される。
【0135】
第4実施形態において、第1情報と第2情報とが、互いに異なる検出器で得られても良い。例えば、第1情報(第1作業OP1を行っているときの状態)が、第7検出器SN7で得られても良い。一方、第2情報(第1作業OP1を行っていないときの状態)が、第1検出器SN1で得られても良い。これらの検出器から得られた情報を基に、使用者81の第1作業OP1に関する評価が行われても良い。
【0136】
第1情報及び第2情報が、互いに異なる検出器SNで得られる場合がある。このとき、これらの検出器SNの間で、導出されるデータ(情報)の関係が求められ、使用者81の状態が同じときに得られる結果が、互いに異なる場合がある。この場合に、互いに異なる検出器SNで得られる結果が、適切に補正されても良い。
【0137】
1つの例において、第2情報が得られる第2状態ST2の少なくとも一部において、使用者81は睡眠状態でも良い。睡眠状態である場合に得られる第2情報は、比較的変動が小さい。例えば、異なる日においても、比較的均一な第2情報が得られる。このため、第1情報との差が安定して得られる。
【0138】
例えば、第1情報及び第2情報が、使用者81の、心拍、脈拍、呼吸及び血圧の少なくとも1つを含む場合に、比較的安定したデータが得られる。
【0139】
例えば、第1情報が使用者81の心拍であり、第2情報も使用者81の心拍である。第1情報が使用者81の脈拍であり、第2情報も使用者81の脈拍である。第1情報が使用者81の呼吸であり、第2情報も使用者81の呼吸である。第1情報が使用者81の体温であり、第2情報も使用者81の体温である。第1情報が使用者81の体重であり、第2情報も使用者81の体重である。第1情報が使用者81の筋電図(心電図を含む)であり、第2情報も使用者81の筋電図(心電図を含む)である。第1情報が使用者81の脳波であり、第2情報も使用者81の脳波である。第1情報が使用者81の血圧であり、第2情報も使用者81の血圧である。第1情報が使用者81の血中酸素濃度であり、第2情報も使用者81の血中酸素濃度である。第1情報が使用者81の呼気中ガスであり、第2情報も使用者81の呼気中ガスである。
【0140】
第4実施形態において、第1情報及び第2情報が、互いに異なる種類の情報(例えば生体情報)でも良い。例えば、第1情報が使用者81の心拍であるとき、第2情報が使用者81の、脈拍、呼吸、体温、体重、筋電図(心電図を含む)、脳波、血圧、血中酸素濃度(例えば、経皮的動脈血酸素飽和度を含む)、及び、呼気中ガスの少なくともいずれかを含んでも良い。例えば、異なる種類の生体情報が互いに関係する場合がある。例えば、脈拍の変化が、心拍の変化と連動する場合がある。このようなとき、例えば、第1検出器SN1で脈拍が検出され、第7検出器SN7で心拍が検出されても良い。
【0141】
第1作業の種類によって、取得できる情報の種類が適切に変更されても良い。1つの例では、1つの検出器SNで、第1種類の第1情報と、第1種類の第2情報が取得されても良い。別の例では、1つの検出器SNで第1種類の第1情報が取得され、別の検出器SNで第1種類の第2情報が取得されても良い。別の例では、1つの検出器SNで第1種類の第1情報が取得され、別の検出器SNで第2種類の第2情報が取得されても良い。さらに、別の例では、1つの検出器SNで第1種類の第1情報が取得され、第2種類の第2情報が取得されても良い。
【0142】
上記のように、1つの実施形態においては、使用者81の評価結果は、第1作業OP1を実施している使用者81の第1情報と、第1作業OP1を実施していない使用者81の第2情報との間の相対的な関係に基づいて、導出される。相対的な関係は、例えば、第1情報と第2情報との差を含む。そして、使用者81の評価結果が、評価結果情報として出力される。
【0143】
例えば、第1作業OP1が乗り物28の運転を含む場合、評価結果情報は、例えば、使用者81における、運転のリスクに関する情報である。例えば、運転中の脈拍が、安静時の脈拍よりも過度に高くなる場合がある。このような場合、その使用者81は、冷静に運転することが困難である、と推定できる。このような場合、その使用者81は、運転中に事故などを起こす可能性が高いと推定できる。推定された結果が、評価結果情報となる。
【0144】
第4実施形態によれば、例えば、使用者81の情報(生体情報及び行動情報の少なくともいずれか)をより有効に利用できる評価システムが提供できる。
【0145】
以下、使用者81の評価の例について説明する。
図10(a)~図10(c)は、第4実施形態に係る評価結果情報を例示する模式図である。
図10(a)は、使用者81の評価結果の1つの指標xv1を例示している。指標xv1は、例えば、第1情報(使用者81が第1作業OP1を実施しているときの情報)と、第2情報(使用者81が第1作業OP1を実施していないときの情報)と、の間の相対的な関係(例えば差)に対応した値である。例えば、指標xv1が大きいと、第1情報と第2情報との差が大きい。例えば、指標xv1が大きいときには、第1作業OP1(例えば運転)におけるリスクが高い。
【0146】
例えば、指標xv1は、脈拍に関する。例えば、指標xv1は、脈拍の時間的な変化などに関しても良い。
【0147】
指標xv1の値に応じて、複数の範囲が定められる。この例では、5ずつの間隔で、範囲が定められる。1つの範囲において、指標xv1の差は5である。複数の範囲のそれぞれに対して、評価値Ev1が定められる。この例では、指標xv1の値が大きいと、評価値Ev1が大きい。
【0148】
例えば、評価値Ev1が大きい場合に、第1作業OP1(例えば運転)におけるリスクが高い、ということが分かる。第4実施形態においては、このような評価値Ev1が、評価結果情報の少なくとも一部となる。
【0149】
この例では、指標xv1に関する複数の範囲は、等間隔で区分される。実施形態において、非等間隔で、区分されても良い。
【0150】
図10(b)に示すように、1つの例においては、指標xv1が30~40までの間において、細かい幅で、範囲が区分されている。目的とする第1作業OP1、及び、用いられる情報の種類に応じて、指標xv1の範囲を適切に区分することができる。
【0151】
図10(c)に示すように、別の指標xv2の値に応じて、複数の範囲が定められる。指標xv2は、例えば、血圧に関する。例えば、指標xv2は、血圧の時間的な変化などに対応しても良い。この例でも、複数の範囲のそれぞれに対して、評価値Ev2が定められる。この例では、指標xv2の値が大きいと、評価値Ev2が大きい。
【0152】
例えば、このような評価値Ev1及び評価値Ev2少なくとも一方を用いて、評価が行われても良い。例えば、評価値Ev1及び評価値Ev2の和により、評価が行われても良い。例えば、評価値Ev1及び評価値Ev2の和の値が、評価結果情報として出力される。
【0153】
この例では、評価値Ev2の範囲の方が、評価値Ev1の範囲よりも大きい。例えば、指標xv2の評価結果の方が、指標xv1の評価結果よりも、目的とする第1作業OP1(例えば運転)における生体情報の変化をより適正に表現している場合がある。このような場合に、評価値Ev2の範囲を、評価値Ev1の範囲よりも大きくする。例えば、重み付けを行う。これにより、複数の評価値を用いたときに、より適正な評価が行われる。
【0154】
実施形態において、上記の評価結果情報は、任意の方法で出力される。例えば、ディスプレイなどでの表示、印刷、または、音声信号の提供などの任意の方法を用いることができる。
【0155】
このように、第4実施形態において、評価結果情報は、分類された複数のランクの1つを含む。分類された複数のランクは、例えば、上記の評価値Ev1または評価値Ev2などである。分類された複数のランクは、例えば、複数の評価値(例えば、評価値Ev1及び評価値Ev2など)の処理結果(例えば、和、積、重み付けされた和など)でも良い。例えば、複数のランクのうちの1つが、任意の手法により、出力される。
【0156】
上記の第4実施形態は、評価システム111(図4参照)により実施されても良い。
出力システム40(例えば、評価結果出力システム)の1つの例において、出力システム40は、例えば保険提供者(例えば保険会社)により使用される。保険提供者は、使用者81の評価結果情報に基づいて、その使用者81の保険の条件を定めても良い。
【0157】
例えば、1つの例において、使用者81が乗り物28を運転すること(第1作業OP1)について、保険が設定される。この場合、第1作業OP1に関してのその使用者81の評価結果情報に基づいて、自動車保険の保険条件の少なくとも一部が定められても良い。
【0158】
例えば、図10(a)~図10(c)に例示したような、指標xv1に関する評価値Ev1などが用いられる。例えば、評価値Ev1に応じて、保険の条件などが設定されても良い。保険の条件は、例えば、保険料及び保険金の少なくともいずれかを含む。
【0159】
図3に示すように、例えば、複数の評価値Ev1のそれぞれに対応して、保険料の値Iv1が定められる。例えば、評価値Ev1が「1」のときの保険料の値Iv1は、11,000円である。例えば、評価値Ev1が「9」のときの保険料の値Iv1は、55,000円である。
【0160】
このように、使用者81が第1作業OP1(例えば運転)を実施することに関して、使用者81が評価される。そして、その評価結果に基づいて、保険料の値Iv1が出力される。これにより、使用者81が第1作業OP1(例えば運転)を実施する際のリスクに基づいて保険料の値Iv1を定めることができる。第4実施形態においては、使用者81が第1作業OP1(例えば運転)を実施する際のリスクが、使用者81の情報(例えば生体情報)に基づいている。このため、使用者81の評価結果は、より正確である。保険料の値Iv1を、使用者81の実態に基づいてより正確に定めることができる。
【0161】
このように、評価結果情報は、使用者81の自動車保険料のランクを含んでも良い。
【0162】
上記の例では、第1作業OP1が、乗り物28の運転を含む。実施形態において、第1作業OP1は、任意である。
【0163】
第1作業OP1は、例えば、使用者81の仕事でも良い。仕事は、使用者81が生計を立てるために行うことを含む。例えば、使用者81が仕事をしている期間の長さは比較的長い。このため、例えば、仕事の実施状態は、使用者81の健康状態と、関係する場合が多い。
【0164】
例えば、仕事を実施している期間において、使用者81の生体情報(例えば血圧など)は、仕事を実施していない期間に比べて著しく異なる場合がある。この場合、例えば、使用者81は、仕事の実施により、心身に大きな負担が加わっていると推定される。例えば、過度の負荷が使用者81に加わると、使用者81の健康が損なわれる場合がある。
【0165】
例えば、第1作業OP1として仕事が設定される。そして、上記の評価を行う。これにより、仕事を実施しているときの使用者81のリスク(例えば、健康の阻害の可能など)が評価できる。例えば、第1作業OP1を仕事として上記の評価を行うことにより、使用者81の将来の健康のリスクが予測できる。このような場合、評価結果情報は、例えば、生命保険及び医療保険料の少なくともいずれかの条件(例えばランク)を含んでも良い。
【0166】
このように、第4実施形態によれば、使用者81の将来のリスクをより正確に評価できる。この結果を用いて、例えば、保険の条件を提示することで、より正確な保険の条件を定めることができる。
【0167】
さらに、第4実施形態において、使用者81が将来に第1作業OP1を実施したときの状態を出力できる。例えば、第1作業OP1を実際に実施したときにおける使用者81の状態だけではなく、その使用者81が第1作業OP1を将来実施したときに生じやすい状態(症状)を予測して出力できる。この予測された出力が、評価結果情報に含まれても良い。
【0168】
この予測された出力に基づいて、使用者81が適切な変更を行うことで、将来のリスクを減らすことができる。例えば、評価結果情報は、使用者81への助言となり得る。使用者81は、よりリスクが低い状態で第1作業OP1を実施できるようになる。例えば、演算システム30(及び評価システム110など)は、使用者81の訓練システムとして用いることができる。
【0169】
実施形態において、第1作業OP1は、例えば、乗り物28の運転、仕事、または、スポーツなどを含んでも良い。
【0170】
第4実施形態においては、例えば、1日以上の長さの期間における使用者81の情報(生体情報及び行動情報)に基づいて、使用者81に関する、複数の分類されたランクの1つを含む評価結果情報が出力される。
【0171】
例えば、定期的な健康診断などが行われる。この場合、健康診断が行われるそのとき(一日未満)における、使用者81の状態が検出される。健康診断により得られる情報は、そのときの使用者81の健康状態が検出される。しかし、健康診断において検出された健康状態によってその使用者81が第1作業OP1を行うときの状態の可能性(例えばリスク)についての評価を行うことは困難である。
【0172】
例えば、健康診断においては、評価項目(例えば血圧など)について、標準範囲が定められる。例えば、血圧の正常範囲が定められ、その範囲を超えると、例えば、疾患状態であると判断される。すなわち、使用者81から得られた情報(例えば生体情報)は、別に定められた標準値(例えば正常範囲)と比較される。比較結果に基づいて、使用者81の健康状態などが判断される。
【0173】
一方、病院または介護施設などにおいて、使用者81(例えば、患者または被介護者)の生体情報が取得される。例えば、生体情報として脈拍などが検出される。そして、検出された脈拍が、別に定められた標準値(例えば正常範囲)と比較される。その結果に基づいて、例えば、アラームが発生され、適切な処置が行われる。しかし、病院または介護施設などにおける生体情報の取得結果から、その使用者81の将来の可能性(例えば、第1作業OP1行うときのリスクなど)が評価されることはない。
【0174】
これに対して、第4実施形態においては、使用者81についての第1情報及び第2情報に基づいて、使用者81の将来の可能性が評価される。例えば、評価結果が、分類された複数のランクの1つとして出力される。これにより、使用者81の将来の可能性(リスク)を客観的に知ることができる。
【0175】
第4実施形態において、使用者81の情報を取得する期間は、例えば、2日以上でも良い。例えば、期間が1日である場合には、昼夜の条件の変化が1回生じる。このため、得られた情報のばらつきが大きい場合がある。使用者81の情報を取得する期間が2日以上である場合には、昼夜の条件が複数回生じる。複数回の条件により得られた情報が、例えば、平均化される。これにより、より高い精度で、使用者81を評価することができる。
【0176】
使用者81の情報を取得する期間は、例えば、3日以上、または、5日以上でも良い。これにより、より高い精度の評価結果が得られる。
【0177】
第4実施形態において、例えば、第1作業OP1を行わない第2状態ST2における第2情報は、その使用者81の過去の対応する情報でも良い。例えば、第1作業OP1を実施しているとき使用者81の評価の1か月前における状態が、第2状態ST2とされても良い。例えば、第1作業OP1を実施しているときの脈拍が第1情報である場合、その1か月前の就寝中の脈拍のデータが、第2情報として用いられても良い。
【0178】
第4実施形態において、使用者81の評価結果情報は、保険の条件(例えば保険料及び保険金の少なくともいずれかなど)、預貯金の条件(例えば、利率など)、及び、各種のサービスの提供を受ける際の条件(例えば、サービスの内容など)の少なくともいずれかを含んでも良い。
【0179】
(第5実施形態)
第5実施形態においても、例えば、演算システム30(例えば、演算装置、図1(a)または図4参照)が設けられる。演算システム30は、使用者81の生体情報を含む第1情報と、使用者81の行動情報を含む第2情報と、を入手する。これらの情報は、例えば、第1検出システム10または第2検出システム20などにより検出される。例えば、第2情報は、使用者81などにより入力されても良い。
【0180】
演算システム30は、第1情報(生体情報)と第2情報(行動情報)とに基づいて、使用者81に関する評価結果情報を出力することが可能である。
【0181】
例えば、寝ているときと、運動しているときと、の間で、生体情報(例えば、脈拍など)が異なる。この異なりの程度などに基づいて、使用者81の将来の状態の可能性(例えば、傷病の可能性)を評価(推定)することができる。評価結果が評価結果情報として出力される。
【0182】
例えば、使用者81の睡眠の開始時間及び終了時間は、行動情報(第2情報)の1つに含まれる。一方、睡眠中の生体情報(脈拍の変化など)、または、昼間の生体情報(脈拍の変化など)などが、使用者81の生体情報(第1情報)として、取得される。このような第1情報及び第2情報に基づいて、使用者81の将来の状態の可能(例えば、傷病の可能性)を評価(推定)することができる。評価結果が評価結果情報として出力される。
【0183】
第5実施形態においても、使用者の情報をより有効に利用できる評価システムを提供することができる。
【0184】
第5実施形態においても評価結果情報は、例えば、分類された複数のランクの1つを含む。評価結果情報が、複数の分類の1つとして出力される。これにより、使用者81の評価結果が明確になる。評価結果情報は、例えば、生命保険及び医療保険料の少なくともいずれかの条件(例えばランク)を含んでも良い。
【0185】
(第6実施形態)
第6実施形態においても、例えば、演算システム30(図1(a)または図4参照)が設けられる。演算システム30は、使用者81の、生体情報を含む情報を入手する。この情報は、例えば、第1検出システム10または第2検出システム20などにより検出される。
【0186】
演算システム30は、この情報に基づいて、使用者81の将来の可能性(例えばリスクなど)に関する分類された複数のランクの1つを出力することができる。さらに、この評価結果情報に基づいて、例えば、生命保険及び医療保険料の少なくともいずれかの条件(例えばランク)が出力されても良い。
【0187】
例えば、健康診断または病院など(介護施設を含む)において、使用者81(例えば、患者または被介護者)の生体情報(例えば、血圧など)が検出される。そして、検出された生体情報が、別に定められた標準値(例えば正常範囲)と比較される。その結果に基づいて、例えば、使用者81の健康が診断される。または、アラームが発生され、適切な処置が行われる。しかし、健康診断または病院などにおける生体情報の取得結果から、その使用者81の将来の可能性(例えばリスクなど)に関して、分類された複数のランクとして、評価されることはない。そして、将来の可能性(例えばリスクなど)が、分類された複数のランクの1つとして出力されることもない。
【0188】
これに対して、第6実施形態においては、使用者81の生体情報を含む情報に基づいて、使用者81の将来の可能性(例えばリスクなど)が、評価され、評価結果が、分類された複数のランクの1つとして出力される。使用者81の将来の可能性(リスク)を客観的に知ることができる。
【0189】
第6実施形態において、使用者81の生体情報を取得する期間は、例えば、1日以上である。この期間は、2日以上でも良い。例えば、期間が1日である場合には、昼夜の条件の変化が1回生じる。このため、得られた情報のばらつきが大きい場合がある。使用者81の情報を取得する期間が2日以上である場合には、昼夜の条件が複数回生じる。複数回の条件により得られた情報が、例えば、平均化される。これにより、より高い精度で、使用者81を評価することができる。使用者81の情報を取得する期間は、例えば、3日以上、または、5日以上でも良い。これにより、より高い精度の評価結果が得られる。
【0190】
第6実施形態においても、使用者の情報をより有効に利用できる評価システムが提供できる。
【0191】
上記の第4~第6実施形態に係る処理は、図8に関して説明した演算システム30(演算装置)により実施されても良い。
【0192】
図11は、実施形態に係る保険を例示する模式図である。
実施形態において、保険は、将来起こるかもしれない危険に対し、予測される事故発生の確率に見合った一定の保険料を加入者が公平に分担し、万一の事故に対して備える相互扶助の精神から生まれた助け合いの制度である。保険は、リスクの対象を基準として分類すると、ヒトに関する保険(例えば人の死亡やけが、病気に対する保険)、モノに関する保険(例えば物の損傷に対する保険)、カネに関する保険(例えば収入の減少に対する保険)、コトに関する保険(例えば賠償責任の負担に対する保険)に分類できる。
【0193】
図11に示すように、ヒト-カネに関する保険として、例えば、生命保険及び傷害保険がある。保険の例示として、火災保険、地震保険、自動車保険、自賠責保険、交通事故傷害保険、普通傷害保険、海外旅行傷害保険、医療保障保険、介護保険、及び、年金保険等も挙げられる。これらの保険に対しても、本発明を適宜設計変更の上、適用してもよい。
【0194】
実施形態によれば、生体情報をより有効に利用できる評価システムが提供できる。
【0195】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、評価システムに含まれる演算装置、通信部、サーバ、制御部、検出器及びシステムなどの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0196】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0197】
その他、本発明の実施形態として上述した評価システムを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての評価システムも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0198】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0199】
10…第1ユーザシステム、 11…通信端末、 20…第2ユーザシステム、 21…通信部、 22…サーバ、 27…座席、 28…乗り物、 30…演算システム、 31…通信部、 32…サーバ、 33…制御部、 34…RAM、 34a…RAM、 34b…ROM、 35a…入力部、 35b…出力部、 40…出力システム、 41…情報端末、 42…サーバ、 43…制御部、 60…マットレス、 70…ベッド、 71…ボトム、 72…枕、 81…使用者、 110、111…評価システム、 CE、CEi…信頼度、 CMD…コマンド、 D1~D8…第1~第8日、 DATA1…データ、 Ev1…評価値、 Iv1…値、 OP1…第1作業、 S1~S8…ステップ、 SG1…第1信号、 SG2…第2信号、 SG7…第7信号、 SN、SNi…検出器、 SN1~SN7…第1~第7検出器、 ST1、ST2…状態、 t1~t5、tk…期間、 tm…時間、 xv1、xv2…指標
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11