(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】自動式携行型時計用ワインド用デバイス
(51)【国際特許分類】
G04C 10/00 20060101AFI20221116BHJP
G04B 9/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
G04C10/00 Z
G04B9/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021085052
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2021-05-20
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・ウィルマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ファーヴル
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・リヴァ
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-105858(JP,A)
【文献】特開2008-032612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 10/00
G04B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動な振動錘を備える自動式携行型時計
のためのワインド用デバイス(100)であって、
少なくとも1つの自動式携行型時計を担持するように構成している少なくとも1つの携行型時計ホルダー(1)を備え、
前記少なくとも1つの携行型時計ホルダー(1)を駆動するための動力化手段(2)を備え、
前記ワインド用デバイス(100)は、可動装置によって
与えられる変動であって、前記動力化手段(2)に対抗する抵抗トルクの
前記携行型時計のワインドの程度に応じた変動を測定するように構成
されている測定手段(3)を備え、
前記可動装置は
、前記動力化手段(2)によって駆動され
る前記
少なくとも1つの携行型時計ホルダー(1)
と、前記動力化手段(2)によって駆動され
る前記
少なくとも1つの携行型時計ホルダー(1)が担持する
前記少なくとも1つの自動式携行型時計
とによって構成
されており、
前記測定手段(3)は、前記動力化手段(2)の速度及び/又は速度の変動を判断するための速度測定手段(4)、及び/又は少なくとも1つの前記携行型時計ホルダー(1)におけるトルク及び/又はトルクの変動の値を判断するためのトルク測定手段(5)、及び/又は前記動力化手段(2)が備える少なくとも1つの電気モーター(21)における電流及び/又は電流の変動の値を判断するための電流測定手段(6)を備える
ことを特徴とするワインド用デバイス(100)。
【請求項2】
前記測定手段(3)は、前記速度測定手段(4)を備え、前記速度測定手段(4)は、前記携行型時計ホルダー(1)が備える可動ロケーター(32)を認識するように、又は前記振動錘(10)の観察を可能にする光透過性の裏部を備える前記携行型時計の振動錘(10)を認識するように、構成している固定された光学的手段(31)を備え、タイムベース(9)につながっており、
前記タイムベース(9)は前記ワインド用デバイス(100)に備えられ、又は前記タイムベース(9)は前記ワインド用デバイス(100)と接続している
ことを特徴とする請求項1に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記携行型時計ホルダー(1)は、光透過性の裏部を担持する各携行型時計の振動錘(10)を見えるようにするように構成しており、
前記携行型時計のアンワインド状態に対応するブラインド角と、前記携行型時計の完全ワインド状態に対応する限界ワインド角度の間の所与の携行型時計の振動錘(10)の角位置を認識かつ/又は判断するように構成している観察手段(33)があり、
前記測定手段(3)は、前記限界ワインド角度に達したときに前記動力化手段(2)に停止信号を送るように構成している
ことを特徴とする請求項2に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項4】
前記動力化手段(2)は、速度制御されていない直流電気モーター(21)を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項5】
前記測定手段(3)は、前記速度測定手段(4)を備え、前記速度測定手段(4)は、サイクルの開始時において少なくとも1つの前記携行型時計ホルダー(1)によって担持される少なくとも1つの携行型時計が非ワインド状態にあるときの前記動力化手段(2)の速度よりも、前記動力化手段(2)の前記速度が、所定の値の分小さい場合に、前記動力化手段(2)に停止信号を送るように構成している
ことを特徴とする請求項4に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項6】
前記所定の値は、0.2%~1.4%の範囲内である
ことを特徴とする請求項5に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項7】
前記所定の値は、0.6%~1.0%の範囲内である
ことを特徴とする請求項6に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項8】
前記測定手段(3)は、前記トルク測定手段(5)を備え、前記トルク測定手段(5)は、測定されたトルクの値が1.0%未満の変動であるように安定したときに、前記動力化手段(2)に停止信号を送るように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項9】
前記測定手段(3)は、前記トルク測定手段(5)を備え、前記トルク測定手段(5)は、前記可動装置の重心の実際の角位置を判断して、その実際の角位置を各携行型時計の完全ワインド状態に対応する理論的な角位置と比較するように構成しており、前記実際の角位置と前記理論的な角位置が等しいときに前記動力化手段(2)に停止信号を送るように構成している
ことを特徴とする請求項1又は8に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項10】
前記測定手段(3)は、前記電気モータ(21)における電流及び/又は電流の変動の値を判断するための前記電流測定手段(6)を備え、
前記測定手段(3)は、前記トルク測定手段(5)を備える
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項11】
前記測定手段(3)は、前記電気モーター(21)における電流及び/又は電流の変動の値を判断するための前記電流測定手段(6)を備え、
サイクルの開始時において少なくとも1つの前記携行型時計ホルダー(1)によって担持される少なくとも1つの携行型時計が非ワインド状態にあるときの消費よりも、電流消費が、80秒よりも長い持続時間、4.0%を超えて大きいときに、前記動力化手段(2)に停止信号を送るように構成している
ことを特徴とする請求項1または請求項4に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項12】
前記測定手段(3)は、サイクルの開始時において少なくとも1つの前記携行型時計ホルダー(1)によって担持される少なくとも1つの携行型時計が非ワインド状態にあるときの消費よりも、電流消費が、40秒よりも長い持続時間、2.0%を超えて大きいときに、前記停止信号を前記動力化手段(2)に送るように構成している
ことを特徴とする請求項11に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項13】
前記測定手段(3)は、前記携行型時計ホルダー(1)の回転方向に応じて抵抗の差を判断して、前記携行型時計ホルダー(1)の抵抗が最大となる方向に前記携行型時計ホルダー(1)を回転させるように構成している
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項14】
少なくとも1つの前記携行型時計ホルダー(1)は、単一の携行型時計を担持する
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項15】
各携行型時計ホルダー(1)は、単一の携行型時計を担持する
ことを特徴とする請求項14に記載のワインド用デバイス(100)。
【請求項16】
単一の前記携行型時計ホルダー(1)を備える
ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載のワインド用デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動式携行型時計をワインドするための自動デバイスに関する。
【0002】
本発明は、さらに、このような自動式の携行型時計のワインド用デバイスを備える携行型時計をワインドし時間設定するための汎用的なデバイスに関する。
【0003】
本発明は、頻繁なワインドが必要であることによる携行型時計の早期摩耗を避けつつ、携行型時計をすぐ使える状態に維持し、数時間の稼働に十分なパワーリザーブを確保して正しい時刻を表示するような、スマートワインダーのようなスマートデバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0004】
The Swatch Group Research and Development Ltdによる欧州特許文献EP3339984は、携行型時計をワインドするためのスマートデバイスについて説明している。このデバイスは、絶えず改善されている。
【0005】
このような改善による開発として、特に、スマートワインダーに関連するものがあり、このようなスマートワインダーは、自動式携行型時計の不要なワインドを制限することに基づき、主な目的は、携行型時計の自動バレルのチャージを厳密に必要な程度までに制限し、過度のワインドに起因する携行型時計の早期摩耗を避けることである。
【0006】
携行型時計が完全にチャージされているかどうかを確認するために、バランスばねの振幅を音響的な方法で測定する。しかし、バックグラウンドノイズが原因で、妥当なコストと低消費電力で、正確かつ信頼性の高い振幅の測定を行うことは依然として難しい。また、この方法においては、最適な精度を得るには、測定しようとする携行型時計と接触する必要があり、又は少なくとも、低ノイズ環境で携行型時計の共振器のすぐ近くにエアマイクロフォンを設置する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、自動ワインド機構が自動式携行型時計の自動ワインド用デバイス(以下、ワインダーと呼ぶ)に与える影響を測定することによって、自動ワインドを備える機械式携行型時計のワインドレート又は巻取り速度を測定することを提案する。
【0008】
有利な用途は、トルク測定を備えるスマートワインダーの製造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、請求項1に記載の、可動振動錘を備える自動式携行型時計用のワインド用デバイスに関する。
【0010】
添付の図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ブラインド角がほぼゼロであるような非ワインド状態の自動式携行型時計の裏部を正面から見た概略図であり、この携行型時計は、振動錘の平面が重力場に平行に位置している。
【
図2】
図1と同様な形態の図であり、ブラインド角が最大になっている完全ワインド状態の同じ携行型時計を示している。
【
図3】x軸上のワインド回転数に応じて変化するワインダー速度をy軸上に示している曲線である。
【
図4】動力化手段に対抗する抵抗トルクの変動、したがって、携行型時計のワインドの程度、を測定するために用いることができる様々な測定手段を含むブロック図である。
【
図5】光透過性の裏部を備える自動式携行型時計に適合する携行型時計ホルダーの断面図であり、その下で、カメラがブラインド角の値を認識する。
【
図6】光学的測定を行う一実施形態についての本発明に係るワインド用デバイスを概略的に示している分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、携行型時計のワインド状態がワインダーに与える影響の測定を行って振幅の音響的測定を補足することを提案するものである。これは、振動錘のトルクにバレルばねが対抗するために、振動錘のワインド角度(ブラインド角とも呼ばれる)がワインドの程度が大きくなるにしたがって大きくなるためである。
【0013】
振動錘10の重心CGは偏心しており、その回転軸から離れた、ここでは重心半径RCMと呼ばれる半径上に位置している。単純化されたアプローチにおいて、摩擦を無視すれば、振動錘10に与えられる力の系は、バレルのギヤ列によって与えられる戻しトルクと、重力によって振動錘10に与えられるトルクの間の対抗する力にまとめられる。振動錘の平面が重力場に平行なように自動式携行型時計を配置しているときに、前記重心半径RCMがその場所の鉛直方向Vとなす角度AMは「ブラインド角」と呼ばれる。
【0014】
携行型時計がアンワインド状態であり、時トルクRがこの同じ平面内にて与えられてリチャージされるときには、このブラインド角AMは非常に小さい。すなわち、
図1に示しているように、概して振動錘10にある右側のエッジ11は、ほぼ水平のままである。
【0015】
一方、
図2に示しているように、携行型時計の完全ワインド状態においては、同じ条件下で、ブラインド角AMはかなり大きくなる(例えば、当業者によく知られており広く用いられている標準的なムーブメントETA 2824の場合には24°大きくなる)。なぜなら、バレルばねのトルクが最大であり、振動錘10のトルクに対抗するからである。これにおいて、重力トルクがバレルからのトルクと平衡化するように、大きな角度でのみ平衡化が可能である。
【0016】
短く書くと、このような角度の変化には、携行型時計全体の重心を動かす効果があり、このことは、携行型時計ホルダー1を通して携行型時計が配置されているワインダー100に対して測定可能な非平衡を発生させる効果をもたらす。
【0017】
この効果を測定するために、以下の3つの方法を提案する。これらは組み合わせることができる。
【0018】
速度測定は、効率的で低コストな方法であるため有利である。ワインダー100は、速度制御されず供給電圧のみが一定であるような(アルゴリズムによってそのようにされる)直流モーター21を備える。携行型時計が非チャージ状態であれば、携行型時計が対抗するトルクが最小となっており、ワインダー速度が最大となっている。携行型時計が完全ワインド状態であれば、携行型時計が対抗するトルクが最大となっており、ワインダー速度が最小となっている。
図3は、携行型時計を完全にワインドするときの、ワインド回転数の関数としてのワインダー100の速度の進展(1秒あたりの回転数で)を示している。携行型時計が完全にチャージされているときに(約2000回のワインドの後)、前記回転速度は約0.8%低下することがわかる。この実施形態において、ワインダー100の速度は、単純に、固定された光学的センサー31と、回転する携行型時計ホルダー1と一体化された可動ロケーター32を用いて行われる。
【0019】
トルク測定は効率的な方法であるが、前記のような速度測定よりも高コストである。振動錘10に対抗するトルクは、携行型時計が完全にワインドされたときの平原状態に達するまで、ワインドが進むにしたがって増加する。携行型時計ホルダーに取り付けられたトルクテスター又はトルクメーターを用いて、トルクを測定することができる。トルクメーターの利点は、感度が高いことである。
【0020】
ワインダーのモーターに流入する電流の測定は、低コストであるが、平均化が非常に長く行われないかぎり繊細な方法である。ワインダー100において用いられるような直流モーターの電流は、携行型時計のチャージに応じて大きくなり、したがって、携行型時計ホルダーにあるローターと、振動錘10を備える携行型時計が対抗するトルクに応じて大きくなる。測定によると、非チャージ状態の携行型時計を装着しているワインダーは、約2mAを消費し(1Vで)、携行型時計ホルダーの1回転中に、周期的な変動が±0.5mA(又は±25%)に達することがある。携行型時計が完全にチャージされているときには、平均電流は、理論的にわずか40μAしか増加しないはずであることを示すことができる。つまり、基準2mAと比べた平均増加はわずか2%である。電流測定が十分に長い時間にて平均化される場合(典型的には、周期的な変動をキャンセルする、数回転であり、すなわち、ローパスフィルターに対応する数十秒である)、この平均電流の2%の増加のおかげで、ノイズと比べて検出することが可能になる。
【0021】
このように、特に、本発明は、可動振動錘を備える自動式携行型時計用のワインド用デバイス100に関する。
【0022】
このデバイス100は、少なくとも1つの自動式携行型時計を担持するように構成している少なくとも1つの携行型時計ホルダー1を備える。デバイス100は、駆動するための動力化手段2を備え、この動力化手段2は、特に、少なくとも回転駆動し、少なくとも1つの携行型時計ホルダー1、具体的には、このデバイス100が備える各携行型時計ホルダー1、を駆動する。
【0023】
本発明によると、デバイス100は、可動装置によって動力化手段2に対抗する抵抗トルクの変動を測定するように構成している測定手段3を備え、この可動装置は、携行型時計のワインドの程度に応じて、動力化手段2によって駆動される携行型時計ホルダー1のすべてと、これらすべての同じ携行型時計ホルダー1が担持する携行型時計のすべてによって構成している。そして、この測定手段3は、動力化手段2の速度及び/又は速度の変動を判断するための速度測定手段4を備え、かつ/又は少なくとも1つの携行型時計ホルダー1におけるトルク及び/又はトルクの変動の値を判断するためのトルク測定手段5を備え、かつ/又は動力化手段2が備える少なくとも1つの電気モーター21における電流及び/又は電流の変動の値を判断するための電流測定手段6を備える。
【0024】
特に、測定手段3は、速度測定手段4を備え、この速度測定手段4は、携行型時計ホルダー1が備える可動ロケーター32を認識するように構成している固定された光学的手段31を備え、タイムベース9とつながっており、このタイムベース9は、ワインド用デバイス100に備えられ、又はワインド用デバイス100と接続される。代替形態においては、この光学的手段31は、振動錘10の観察を可能にする光透過性の裏部を備える少なくとも1つの携行型時計の振動錘10を認識するように構成しており、又はこのような光透過性の裏部を備える各携行型時計の振動錘10を認識するように構成している。
【0025】
したがって、特に、少なくとも1つの携行型時計ホルダー1は、光透過性の裏部がある各携行型時計の振動錘10を可視化するように構成しており、観察手段33は、携行型時計のアンワインド状態に対応するブラインド角と、携行型時計の完全ワインド状態に対応する限界ワインド角度との間の所与の携行型時計の振動錘10の角位置を認識かつ/又は判断するように構成している。そして、好ましいことに、不必要なワインドを避け、したがって、携行型時計のいずれの摩耗をも避けるために、測定手段3は、限界ワインド角度に達したときに動力化手段2に停止信号を送る。
【0026】
特に、動力化手段2は、速度制御されない直流電気モーター21を備える。
【0027】
特に、測定手段3は、速度測定手段4を備え、この速度測定手段4は、サイクル開始時において少なくとも1つの携行型時計ホルダー1によって担持される少なくとも1つの携行型時計が非ワインド状態にあるときの動力化手段2の速度よりも、動力化手段2の速度が、所定の値の分小さい場合に、動力化手段2に停止信号を送るように構成している。具体的には、前記所定の値は、0.2%~1.4%の範囲内である。さらに具体的には、前記所定の値は、0.6%~1.0%の範囲内である。
【0028】
特に、測定手段3は、トルク測定手段5を備え、このトルク測定手段5は、測定トルクの値が所定のしきい値、例えば、特定の実施形態においては1.0%、よりも小さい変動までに安定化されるときに、停止信号を動力化手段2に送るように構成している。
【0029】
特に、測定手段3は、トルク測定手段5を備え、このトルク測定手段5は、上記の可動装置の重心の実際の角位置を判断して、その実際の角位置を各携行型時計の完全ワインド状態に対応する理論的な角位置と比較するように構成しており、これらの実際の角位置と理論的な角位置が等しいときには、動力化手段2に停止信号を送るように構成している。
【0030】
具体的には、測定手段3は、動力化手段2、特に、電気モーター21、が備えるモーターにおける電流及び/又は電流の変動の値を判断するための電流測定手段6を備え、トルク測定手段5を備える。
【0031】
特に、測定手段3は、電気モーター21における電流及び/又は電流の変動の値を判断するための前記電流測定手段6を備え、サイクルの開始時において少なくとも1つの携行型時計ホルダー1によって担持される少なくとも1つの携行型時計が非ワインド状態にあるときの消費よりも、電流消費が、80秒よりも長い持続時間、4.0%を超えて大きいときに、前記動力化手段2に停止信号を送るように構成している。特に、この測定手段3は、サイクルの開始時において少なくとも1つの携行型時計ホルダー1が担持する少なくとも1つの携行型時計が非ワインド状態にあるときの消費よりも、消費電流が、40秒を超える持続時間、2.0%を超えて大きいときに、前記信号を送るように構成している。
【0032】
特に、測定手段3は、携行型時計ホルダー1の回転方向に応じて抵抗の差を判断し、最大の抵抗が発生する方向に携行型時計ホルダー1を回転させるように構成している。このことによって、一方向においてのみワインドされ他の方向には自由に動くように設計されている自動ワインド時計の存在を判断することができる。したがって、携行型時計ホルダー1が行う各運動は効果的になる。なぜなら、リワインドに用いられるからである。
【0033】
特に、少なくとも1つの携行型時計ホルダー1は、単一の携行型時計を担持する。さらに、各携行型時計ホルダー1は、単一の携行型時計を担持する。
【0034】
特に、ワインド用デバイス100は、単一の携行型時計ホルダー1を備える。
【0035】
本発明には、その実施形態にかかわらず、いくつかの主要な利点がある。
- エアマイクロフォンや接触マイクロフォンを設置する必要はない。
- 周辺ノイズから独立している。周辺ノイズは、一般的に、正確で信頼性の高い測定に対する主要な障害となる。
- 携行型時計ホルダーに2つ目のワイヤレスパワー供給されるオンボード電子回路を設置する必要はない。
- 音響振幅測定に必要なアルゴリズムと比べて非常に単純なアルゴリズムでの速度測定が容易である。
- 高精度な速度又はトルク測定を行うことができる。ただし、ノイズが高くなる可能性がある。
- ワインダーに対する影響の相対的な測定をどの自動式携行型時計においても行うことができる。
- これらの測定によって、正しいリワインド方向をすばやく決定できる。
【符号の説明】
【0036】
1 携行型時計ホルダー
2 動力化手段
3 測定手段
4 速度測定手段
5 トルク測定手段
6 電流測定手段
9 タイムベース
10 振動錘
21 電気モーター
31 光学的手段
32 可動ロケーター
33 観察手段
100 ワインド用デバイス