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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】行動情報収集システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221116BHJP
   G06Q 20/10 20120101ALI20221116BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q20/10 320
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021146339
(22)【出願日】2021-09-08
(62)【分割の表示】P 2016217311の分割
【原出願日】2016-11-07
(65)【公開番号】P2021185535
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩川 祐介
(72)【発明者】
【氏名】宮前 英子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直晴
(72)【発明者】
【氏名】古白川 亮太
(72)【発明者】
【氏名】田中 優斗
(72)【発明者】
【氏名】大石 理奈
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-288480(JP,A)
【文献】国際公開第2014/129159(WO,A1)
【文献】特表2016-522496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動に係る情報を収集する行動情報収集システムであって、
前記ユーザ毎に前記行動に関連付けられた目標として目標金額の貯金を設定可能であり、
前記ユーザ毎に前記行動に関連付けられた前記目標に係る情報を保持する目標データベースと、
前記ユーザ毎に前記行動を行う前または行った後に前記行動の内容を問い合わせるための会話の内容に係るシナリオ、および前記シナリオに係る会話を開始するトリガとなる時間および前記ユーザの位置の条件からなるシナリオトリガの情報を保持するシナリオデータベースと、を有し、
前記ユーザが保持する携帯端末において検出された時間および/または前記携帯端末の所在位置の情報について、前記ユーザに係る前記シナリオトリガの条件に合致するものがある場合に、合致した前記シナリオトリガに対応する前記シナリオを前記シナリオデータベースから取得して、取得した前記シナリオに基づく会話を、前記携帯端末上でのメッセージの表示および前記ユーザからの応答の入力により行い、前記応答の内容に基づいて把握された前記行動の内容を前記ユーザと関連付けて記録し、前記応答の内容に基づいて、前記ユーザにおける前記目標の達成に必要となる処理として、貯金用口座への貯金を行い、
前記ユーザの前記携帯端末の画面において、前記目標である貯金について、達成状況として、目標金額と、現在までの貯金金額と、予定貯金金額と、前記現在までの貯金金額と前記予定貯金金額との差分とを表示する、
行動情報収集システム。
【請求項2】
請求項1に記載の行動情報収集システムにおいて、
前記行動は、金銭の獲得に係わる行動である、
行動情報収集システム。
【請求項3】
請求項1に記載の行動情報収集システムにおいて、
前記行動は、金銭の消費に係わる行動である、
行動情報収集システム。
【請求項4】
請求項1に記載の行動情報収集システムにおいて、
前記シナリオに基づく会話を前記携帯端末上でのメッセージとして表示する際に、前記ユーザの前記目標である貯金についての達成状況に応じて、ポジティブな表現かネガティブな表現か、あるいは厳しい口調か優しい口調かを切り替える、行動情報収集システム。
【請求項5】
請求項1に記載の行動情報収集システムにおいて、
前記シナリオに基づく会話を前記携帯端末上でのメッセージとして表示する際に、前記ユーザの前記目標である貯金についての達成状況に応じて、前記行動に対して前記ユーザに提案する貯金金額を多めにするか少なめにするかを切り替える、行動情報収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの行動履歴の情報を収集する技術に関し、特に、情報処理システムにより自動的に把握することができない行動を対象とした行動情報収集システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、マーケティングに活用する情報として、ユーザがどこで何を買ったか等の消費行動の内容について把握したいというニーズがある。消費行動が、例えば、EC(Electronic Commerce)サイトを介して行われる電子商取引の場合には、当該ECサイトを運営している事業者は、その取引履歴やアクセス履歴等から消費行動の内容を容易に把握することが可能である。また、小売店舗での購買の場合には、当該小売店舗は、例えば、POS(Point Of Sale)システムのデータ等から消費行動の内容を把握することが可能である。また、スマートフォン等の携帯端末上のアプリケーションやWebサイトを介して利用される家計簿サービス(例えば、非特許文献1等)では、ユーザが入力した購買情報や収支情報に基づいて消費行動の内容を把握することが可能である。
【0003】
これに関連して、ユーザに対して質問を行って情報を入力させる技術として、例えば、特開2006-260263号公報(特許文献1)には、アンケート対象者の回答意欲を損なわずに正確なアンケート結果を得ることができるアンケート実施システムが記載されている。ここでは、サーバが、携帯電話の端末識別情報および位置情報と関連付けて記憶されている質問情報を、対応する携帯電話に送信し、当該携帯電話から端末位置情報が添付された回答情報を受信する。そして、受信した回答情報に添付された端末位置情報と、送信した質問情報に関連付けられた位置情報とが一致する場合に、受信した回答情報を正当な回答として記憶する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-260263号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】“全自動家計簿マネーフォワード”、[online]、株式会社マネーフォワード、[平成28年10月14日検索]、インターネット<URL:http://moneyforward.com/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなECサイトやPOSシステム、家計簿サービス等の仕組みにより、ユーザの消費行動の内容をある程度自動的に把握することが可能である。しかし、例えば、ECサイトでは、当該ECサイトでの購買についてしか把握することができず、小売店舗についても、当該小売店舗やそのチェーン、グループ等の内部でしか把握することができない。したがって、例えば、他のECサイトや小売店舗での消費行動についても自動的に取得して一元的に把握することは困難である。
【0007】
これに対して、例えば、ユーザが家計簿サービス等に消費行動の内容を入力すれば、消費行動を行った店舗等に関わらず、一元的に消費行動の内容を把握することが可能である。しかし、この場合は、ユーザが能動的に消費行動の入力を行わなければならず、ユーザにとって入力に対するモチベーションがあり、かつ入力が効率的かつ自然な形でできる状況になければ、入力が適切になされることを期待し難いという課題がある。
【0008】
この点、例えば、特許文献1に記載されたような技術によれば、アンケートに回答しようとする者の回答意欲を損なわないように回答を得ることが可能である。しかし、ユーザの消費行動の内容を入力させる仕組みに適用することを考えた場合、そもそも消費行動の内容を入力して記録すること自体に対するモチベーションがない場合には入力を期待し難い。また、ユーザに対して質問が提示されるのはサーバから質問情報が送信されたタイミングであり、ユーザが消費行動を行ったタイミングで適時に適切な質問が提示されるわけではない。したがって、消費行動の内容をユーザが自然な形で入力できるとは限らない。
【0009】
そこで本発明の目的は、ユーザの消費行動等の内容を効率的に自然な形で収集することを可能とする行動情報収集システムを提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0012】
本発明の代表的な実施の形態による行動情報収集システムは、ユーザの行動に係る情報を収集する行動情報収集システムであって、前記ユーザ毎に前記行動に関連付けられた目標に係る情報を保持する目標データベースと、前記ユーザ毎に前記行動を行った際にその内容を問い合わせるための会話の内容に係るシナリオ、および前記シナリオに係る会話を開始するトリガとなる時間および前記ユーザの位置の条件からなるシナリオトリガの情報を保持するシナリオデータベースと、を有する。
【0013】
そして、前記ユーザが保持する携帯端末において検出された時間および/または前記携帯端末の所在位置の情報について、前記ユーザに係る前記各シナリオトリガの条件に合致するものがある場合に、合致した前記シナリオトリガに対応する前記シナリオを前記シナリオデータベースから取得して、取得した前記シナリオに基づく会話を、前記携帯端末上でのメッセージの表示および前記ユーザからの応答の入力により行い、前記応答の内容に基づいて把握された前記行動の内容を前記ユーザと関連付けて記録するとともに、前記応答の内容に基づいて、前記ユーザにおける前記目標の達成に必要となる処理を行うものである。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、ユーザの消費行動等の内容を効率的に自然な形で収集することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態である行動情報収集システムの構成例について概要を示した図である。
図2】本発明の一実施の形態における携帯端末のアプリケーションにより提供されるユーザのアカウント登録の画面例について概要を示した図である。
図3】本発明の一実施の形態における携帯端末のアプリケーションにより提供される目標設定の画面例について概要を示した図である。
図4】本発明の一実施の形態における携帯端末のアプリケーションにより提供される目標の達成状況を管理する画面例について概要を示した図である。
図5】本発明の一実施の形態における携帯端末のアプリケーションにより提供される消費行動の内容を問い合わせる画面例について概要を示した図である。
図6】本発明の一実施の形態におけるシナリオに基づく会話を介して行動内容を把握する処理の流れの例について概要を示した図である。
図7】本発明の一実施の形態におけるユーザDBに含まれるユーザマスタテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図8】本発明の一実施の形態におけるユーザDBに含まれるユーザ行動テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図9】本発明の一実施の形態における目標DBに含まれる貯金目標テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図10】本発明の一実施の形態における目標DBに含まれる日次目標テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図11】本発明の一実施の形態における行動履歴DBに含まれる行動結果テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図12】本発明の一実施の形態における行動履歴DBに含まれる貯金結果テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図13】本発明の一実施の形態におけるシナリオDBに含まれるシナリオテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図14】本発明の一実施の形態におけるシナリオDBに含まれるシナリオトリガテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図15】本発明の一実施の形態におけるシナリオDBに含まれるメッセージハンドラテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図16】本発明の一実施の形態におけるシナリオDBに含まれるシナリオメッセージテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図17】本発明の一実施の形態におけるシナリオDBに含まれるユーザ応答テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
図18】本発明の一実施の形態におけるシナリオDBに含まれるメッセージタイプテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0018】
本発明の一実施の形態である行動情報収集システムは、ユーザの消費行動を、ユーザが立てた目標に向けての日々の「貯金」と関連付け、「貯金」による目標達成をモチベーションとしつつ、何らかの消費行動が行われたことを適時に捉えて、「貯金」を行うためにその内容を聞き出すことで把握するものである。
【0019】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である行動情報収集システムの構成例について概要を示した図である。行動情報収集システム1は、例えば、行動情報収集サーバ10と、インターネット等のネットワーク20を介して行動情報収集サーバ10に接続可能な、各ユーザ3が保持するスマートフォン等の携帯端末30を有する。
【0020】
行動情報収集サーバ10は、例えば、サーバ機器やクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバ等からなるサーバシステムであり、各ユーザ3の行動を収集して記録・蓄積するとともに、ユーザ3にとっての行動の内容を入力するためのモチベーションに関連する処理(本実施の形態では「貯金」)を実行する。また、ユーザ3から行動の内容を聞き出すための一連の会話(シナリオ)に係る処理を行う。
【0021】
なお、本実施の形態において、「行動」とは、ユーザ3毎に時間と場所によって概ね特定することができる行動であり、例えば、小売店等の実際の店舗2におけるユーザ3の日常の購買(例えば、帰宅時の近所のコンビニエンスストアでの購買)等の消費行動を想定しているが、これに限られない。時間と場所によって概ね特定することができるのであれば、例えば、自宅のコンピュータ上で行うECサイトでの電子商取引による購買を対象としてもよい。また、後述するように、購買による金銭の支出に限らず、残業の実施等、金銭の獲得に係る行動を含んでもよい。
【0022】
本実施の形態では、把握対象の行動を行う各ユーザ3は、携帯端末30を保持している。スマートフォン等の携帯端末30は、通常、GPS(Global Positioning System)センサ32を備えており、リアルタイムで位置情報を把握することができるため、例えば、店舗2への入退店等についても把握することができる。本実施の形態では、GPSセンサ32により位置情報を把握するものとしているが、Bluetooth(登録商標)ビーコンの送受信装置との間の近距離無線通信等を使用して位置情報を把握するものであってもよい。
【0023】
携帯端末30にインストールされた専用のアプリケーション31は、携帯端末30によって把握される時間と位置の情報に基づいて、特定のシナリオに基づく会話を開始するトリガとなる条件に合致するか否かを判定する。この条件は、例えば、シナリオトリガ33として図示しないメモリ等に記録されている。時間および位置情報がシナリオトリガ33に登録された条件に合致した場合、アプリケーション31は、後述するようなチャットやメッセージングのユーザインタフェースを介して、ユーザ3との間でシナリオに基づく会話を開始する。そして、会話の内容に基づいてユーザ3の行動内容を把握し、行動情報収集サーバ10に送信する。
【0024】
行動情報収集サーバ10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)により、メモリ上に展開されたOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラム等のミドルウェアや、この上で稼働するソフトウェアを実行することにより、後述する各部の機能を実現する。本実施の形態では、図示するように、例えば、ソフトウェアとして実装されたユーザ管理部11、行動管理部12、関連処理部13、およびシナリオ処理部14等の各部を有する。また、図示しないHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置に記録されたユーザデータベース(DB)15、目標DB16、行動履歴DB17、およびシナリオDB18等の各データストアを有する。
【0025】
ユーザ管理部11は、行動情報収集システム1によるサービスを利用する各ユーザ3に係るアカウント情報や属性情報等を管理する機能を有する。例えば、携帯端末30のアプリケーション31上でのユーザ登録の操作に基づいて、ユーザDB15に対象のユーザ3のアカウントを登録し、さらに属性情報等を登録する。また、アプリケーション31上での目標の設定や登録の操作に基づいて、ユーザ3が設定した目標の内容を目標DB16に登録する。
【0026】
行動管理部12は、携帯端末30のアプリケーション31によって把握されたユーザ3の「行動」に係る情報を取得し、これを履歴情報として行動履歴DB17に記録する機能を有する。行動に係る情報を分析してその内容を把握し、これに基づいて関連処理部13により「貯金」等の関連処理を行うようにしてもよい。関連処理部13は、関連処理を実行する機能を有する。関連処理の内容は特に限定されないため、その内容に応じて実装内容は異なる。例えば、本実施の形態のように関連処理が「貯金」である場合は、図示しない銀行のオンラインシステムやWebサイトに接続して自動的に貯金用口座への振替や送金等の処理を行えるようにする。
【0027】
シナリオ処理部14は、携帯端末30のアプリケーション31を介してユーザ3から行動の内容を聞き出すためのシナリオの管理および実行に係る処理を行う機能を有する。例えば、図示しないクライアント端末を利用してアクセスした行動情報収集システム1の運用者や管理者等の操作に基づいて、シナリオDB18にシナリオの登録や修正等を行う。
【0028】
また、シナリオに関連付けて、当該シナリオに基づく会話を開始するためのシナリオトリガ33の情報も併せて登録する。このシナリオトリガ33は、例えば、上述したように、対応するユーザ3の携帯端末30に送信されて保持される。これにより、各携帯端末30の側で、シナリオトリガ33に係る条件の発生を検知することができる。シナリオトリガ33に係る条件等の発生を検知した旨は、ネットワーク20を介して行動情報収集サーバ10に送信される。そして、シナリオ処理部14は、シナリオDB18に登録された、シナリオトリガ33に対応するシナリオの内容に基づいて、携帯端末30のアプリケーション31のユーザインタフェースを介してユーザ3との間でシナリオに基づく会話を行う。
【0029】
<ユーザインタフェース>
本実施の形態では、ユーザ3が、携帯端末30のアプリケーション31を介して、目標として、何のためにいつまでにいくら貯金する、という目標を予め設定し、これを達成するために必要となる処理として、日々の購買(消費行動)において節約した分を貯金するものとする。これにより、貯金の目標金額達成をモチベーションとして、貯金の処理を行うために必要な情報として、消費行動の内容を、アプリケーション31におけるシナリオに基づく会話形式での問い合わせに答えるという自然な形で聞き出すものである。
【0030】
図2は、本実施の形態の行動情報収集システム1における携帯端末30のアプリケーション31により提供されるユーザのアカウント登録の画面例について概要を示した図である。本実施の形態では、ユーザ3による事前のアカウント登録についても、シナリオ(アカウント登録シナリオ)に基づく会話を介して行う。図中では、携帯端末30が備えるタッチパネル機能を有するディスプレイに表示された、アカウント登録シナリオに基づく会話の画面の例を示している。一般的なチャットやメッセージングのアプリケーションと同様のユーザインタフェースであり、会話の流れが上から下に向かって時系列に表示されている。左側の吹き出しはアプリケーション31により出力された会話(主に問い合わせ)であり、右側の吹き出しは携帯端末30を保持するユーザ3により入力された会話(応答)である。
【0031】
図中の左上の画面例では、アプリケーション31は、まず、ユーザ3に対してアカウントを既に有しているか否かを問い合わせ、有していないという返答であったことから、新規にアカウントを作成した旨の会話が表示されている。なお、アカウントの登録方法については、二段階認証による本人確認等、公知の技術を適宜用いて行うことができる。
【0032】
また、ユーザ3が応答(図2の例では「いいえ」)を入力する際に、自由な入力に任せると、入力の自由度は増す一方で、入力内容の均質性が保てず、入力の負荷も高くなるとともに、シナリオも発散してしまう。そこで、本実施の形態では、ユーザ3側の会話は、可能な限り、「はい」「いいえ」等の二者択一の返答や、予め決められた1つ以上の回答候補の中からの選択による入力とし、また、必要な場合は金額や個数等の数値のみを単純に指定することで入力できるようにする。このような簡易的な入力インタフェースとすることで、回答の入力を効率化し、入力に係る負荷がユーザ3の目標達成へのモチベーションを阻害しないようにする。
【0033】
その後、アプリケーション31からの銀行口座の登録を進める旨の問い合わせに対して、ユーザ3が「銀行口座を登録」という応答を指定すると、右上の画面に示すような銀行口座の登録画面を表示する。ここでは、例えば、OAuth2.0等の公知の技術を適宜用いて、図示しない銀行口座アカウントへのログイン画面を介して、ユーザ3の各銀行口座の情報を取得して表示する。その中から、左下の画面例に示すように、ユーザ3が送り元の口座と送り先(貯金用)の口座を選択することで、普段使用する口座と貯金用の口座の情報が登録される。図中の右下の画面例では、上記の操作により銀行口座が登録された旨が会話として表示されている。
【0034】
図3は、本実施の形態の行動情報収集システム1における携帯端末30のアプリケーション31により提供される目標設定の画面例について概要を示した図である。図中の左上の画面例では、上記の銀行口座の登録後、目標(「貯金のゴール」)を選択もしくは入力する画面を示している。そして、右上の画面例では、ユーザ3が選択肢の中から「旅行」を選択し、これがゴールとして設定されたことが示されている。さらに、左下の画面例では、目標の期限(「ゴールの年月」)を指定する画面を示している。そして、右下の画面例では、ユーザ3が「2017年9月」を指定し、これがゴールの年月として設定されたことが会話として示されている。
【0035】
図4は、本実施の形態の行動情報収集システム1における携帯端末30のアプリケーション31により提供される目標の達成状況を管理する画面例について概要を示した図である。図中では、左右いずれの例も、「¥500,000」の目標金額を中央の円図形の円周で表し、現在までの貯金額である「¥210,450」を太線の円弧により表している。円周に対する円弧の長さの割合を、目標金額に対する現在までの貯金額の割合と同じとすることで、視覚的に貯金の達成度を把握し易くする。
【0036】
同様に、図中の例では、円周上に二重円の図形で現時点での予定の貯金額を示している。左側の図では、貯金額が予定を上回っていることを示し、右側の図では、貯金額が予定を下回っていることを示している。このように、目標金額の達成状況についての予実管理を視覚的に把握し易い形で行うことで、ユーザ3のモチベーション(もしくは危機感)を高めるようにしてもよい。
【0037】
図5は、本実施の形態の行動情報収集システム1における携帯端末30のアプリケーション31により提供される消費行動の内容を問い合わせる画面例について概要を示した図である。ここでは、例えば、ユーザ3がお昼にコンビニエンスストアで弁当を購買した際に弁当代を通常よりも節約した場合、節約した分を貯金させるシナリオ(「コンビニシナリオ」)が行動情報収集サーバ10のシナリオDB18に予め設定されているものとする。この場合、携帯端末30上に保持するシナリオトリガ33としては、お昼の時間帯に近くのコンビニエンスストア等の特定の店舗2から出てきたことを把握するための内容が設定される。
【0038】
そして、携帯端末30のGPSセンサ32により、ユーザ3が当該店舗2に入った後に出てきたことをアプリケーション31が検知した場合、対応するシナリオ(「コンビニシナリオ」)に基づいて、ユーザ3を相手方とする会話が自動的に開始される。このシナリオでは、まず、図5の左上および右上の画面例に示すように、当該店舗2で何か買ったか、買った場合いくら使ったか、を問い合わせている。そして、左下の画面例に示すように、過去の行動履歴(購買履歴)に基づいて把握される平均の使用金額(450円)との差額(50円)を計算し、この差額を貯金するか否かを問い合わせ、さらに、右下の画面例に示すように、何を買ったかを問い合わせている。
【0039】
ここでは、ユーザ3の回答内容(「はい」「いいえ」や金額等)に応じて、以降の会話の内容が設定されている。すなわち、シナリオには、後述するように、会話の分岐パターンを全て網羅した形で会話内容が予め定義されている。このように、貯金を行うために必要な情報として消費行動の内容に係る情報をユーザ3に問い合わせて入力させることで、自然な形で消費行動の内容を取得することができる。
【0040】
なお、図示しないが、シナリオに基づく上記のような会話において、例えば、ユーザ3が節約分を貯金することを選択した場合は、行動情報収集サーバ10の関連処理部13により、所定のタイミングでユーザの通常の口座から貯金用の口座に対する振替や送金等の処理を行う。
【0041】
また、図5の例では、コンビニエンスストア等の店舗2での購買の際に支出を節約した分を貯金するシナリオとしているが、貯金を行う契機は、支出を節約した場合のみに限られない。例えば、残業を実施した場合に、将来獲得する金銭(残業代)を先立って貯金するシナリオとしてもよい。また、図5の例では、ユーザ3が消費行動を行った後に、その内容を聞き出して貯金するものとしているが、これに限られない。例えば、図4の例に示した目標金額の達成状況の予実管理において、予定よりも達成状況が悪い場合に、コンビニエンスストア等の店舗2に入るタイミングで所定のシナリオを起動し、事前に節約と貯金を促す会話を行うようにしてもよい。
【0042】
<処理の流れ>
図6は、本実施の形態におけるシナリオに基づく会話を介して行動内容を把握する処理の流れの例について概要を示した図である。ここでは、対象のユーザ3は、既に行動情報収集サーバ10のユーザDB15にアカウント情報が登録され、目標DB16にはモチベーションの基礎となる貯金の目標金額が登録されているものとする。
【0043】
まず、ユーザ3は、保持する携帯端末30においてアプリケーション31を起動し、行動情報収集システム1が提供するサービスにログインする(S01)。行動情報収集サーバ10では、ユーザ管理部11によりユーザDB15を参照してユーザ認証処理を行う(S02)。ユーザ認証が成功した場合は、シナリオ処理部14により、対象のユーザ3に対応するシナリオトリガ33の情報をシナリオDB18から取得して携帯端末30に対して送信する(S03)。携帯端末30では、送信されたシナリオトリガ33をメモリ等に記録して登録する(S04)。なお、シナリオトリガ33は、ログイン毎に全て送信するのではなく、更新等があった差分のみ送信するようにしてもよい。
【0044】
その後、携帯端末30では、時刻およびGPSセンサ32により検出した位置情報を取得し(S05)、ステップS04で登録したシナリオトリガ33の条件に合致するものがあるか否かを判定する(S06)。合致するものがない場合は(S06:No)、ステップS05に戻って時刻および位置情報の取得を継続する。時刻および位置情報の取得は、一定時間毎の適当な間隔で行われるようにしてもよい。シナリオトリガ33の条件に合致するものがある場合は(S06:Yes)、アプリケーション31は、行動情報収集サーバ10に対して、合致したシナリオトリガ33に対応するシナリオの内容を取得する要求を行う(S07)。
【0045】
要求を受けた行動情報収集サーバ10では、シナリオ処理部14により、対象のシナリオトリガ33に対応したシナリオの情報をシナリオDB18から抽出し(S08)、これを携帯端末30に応答する(S09)。ここでは、シナリオDB18から対象のユーザ3に関連付けられたシナリオが抽出される。このときさらに、後述するように、対象のユーザ3の属性情報や目標達成状況等に応じて、シナリオ内の具体的な会話(メッセージ)のタイプを設定するようにしてもよい。
【0046】
例えば、貯金の目標金額に対する予実管理において、現在の実績が目標に対して未達である場合に、同じ内容のメッセージを出力する場合であっても、ポジティブな表現とするかネガティブな表現とするか、厳しい口調とするか優しい口調とするか等を切り替えてもよい。この切り替えは、ユーザ3が好みにより設定してもよいし、シナリオ処理部14が自動的に設定してもよい。表現内容や口調に加えて、各行動に対してユーザ3に提案する貯金額を多め(厳しめ)に設定するか少なめ(緩め)に設定するかを切り替えられるようにしてもよい。
【0047】
シナリオの内容に係る情報を取得した携帯端末30では、アプリケーション31が、シナリオに係る会話(メッセージ)を、会話の単位毎に、図2に示したような画面により表示し(S10)、必要に応じてユーザ3からの回答の入力を受け付ける(S11)。そして、シナリオが終了したか否かを判定する(S12)。シナリオが終了していない場合は(S12:No)、ステップS10に戻って、シナリオの内容に従ってさらに後続のシナリオメッセージを表示する。
【0048】
ステップS12でシナリオが終了した場合は(S12:Yes)、ユーザ3により入力された回答内容、すなわちユーザ3の消費行動の内容に係る情報を行動情報収集サーバ10に送信する(S13)。当該情報の送信を受けた行動情報収集サーバ10では、行動管理部12により、必要に応じて行動内容の分析を行った上で、行動履歴として行動履歴DB17に記録する(S14)。さらに、「貯金」等の関連処理を行う必要がある場合は、関連処理部13によりこれを実行し(S15)、一連の処理を終了する。
【0049】
なお、図6の例では、携帯端末30のアプリケーション31が、行動情報収集サーバ10から一連のシナリオの内容に係る情報を一括して取得(ダウンロード)し、シナリオの内容とユーザ3からの回答内容に基づいて後続のメッセージを決定するものとしているが、このような構成に限られない。シナリオの内容とユーザ3からの回答内容に基づく後続のメッセージの決定を、行動情報収集サーバ10のシナリオ処理部14がサーバサイドで都度行うものとし、携帯端末30のアプリケーション31は、決定されたメッセージの表示とユーザ3による回答の送信のみを行うようにしてもよい。
【0050】
<データ構成>
図7は、本実施の形態のユーザDB15に含まれるユーザマスタテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。ユーザマスタテーブル15aは、行動情報収集システム1が提供するサービスの利用することができるユーザ3のマスタ情報を保持するテーブルである。例えば、ユーザID、ユーザ名、生年月日、性別、身長、体重、職場、基本給、残業代単価、年収、給与支給日等の各項目を有する。
【0051】
ユーザIDの項目は、各ユーザ3を一意に識別するためのID情報を保持する。ユーザ名の項目は、対象のユーザ3の氏名やニックネーム等の表示名称の情報を保持する。生年月日、性別、身長、体重の各項目は、対象のユーザ3の属性情報として身体状況を把握するための情報をそれぞれ保持する。これらの項目は、例えば、消費行動を入力させるためのモチベーションとして、本実施の形態のような目標金額の貯金に代えて、もしくはこれに加えて、ダイエット等のフィットネス系の目標を設定するような場合に用いることができる。
【0052】
職場、基本給、残業代単価、年収、給与支給日の各項目は、対象のユーザ3の就労に伴う収入状況(金銭の獲得状況)を把握するための情報をそれぞれ保持する。例えば、年収に応じて日々の貯金額として設定・推奨する額を増減させることができる。また、職場の位置を把握することで、携帯端末30のGPSセンサ32により検知された位置情報と時間帯から、残業実施の有無を判定し、上述したように、将来獲得する残業代から先立って貯金を行うように促すことも可能となる。また、日々の消費行動に伴う貯金額を貯金用口座へ都度振替するのではなく、累積した貯金額の情報を記録しておき、給与支給日の月次処理によって累積した貯金額を貯金用口座に一括して振替するようにしてもよい。
【0053】
図8は、本実施の形態のユーザDB15に含まれるユーザ行動テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。ユーザ行動テーブル15bは、各ユーザ3が日常的にとる行動(消費行動)のうち、目標達成に向けた関連処理(本実施の形態では「貯金」)と関連付けて収集・把握する行動(言い換えると、関連処理を行うための契機となる消費行動)について、その内容を登録・保持するテーブルである。例えば、ユーザ行動ID、ユーザID、行動タイプ、行動頻度、金額、行動場所、行動緯度、行動経度等の各項目を有する。
【0054】
ユーザ行動IDの項目は、ユーザ3毎の各行動を一意に識別するためのID情報を保持する。ユーザIDの項目は、対象のユーザ行動に関連付けられたユーザ3を特定するID情報を保持する。この値は、上述のユーザマスタテーブル15aに登録されている。行動タイプの項目は、対象のユーザ行動の種別・タイプを区分するためのコード値等の情報を保持する。区分には、例えば、商品の購買等の金銭の支出に係る行動や、残業実施等の金銭の獲得に係る行動、フィットネスに係る行動等が含まれ得る。
【0055】
行動頻度および行動時刻の各項目は、それぞれ、対象のユーザ行動が行われる平均の頻度(例えば、「○回/日」や「○日に1回」等)、および平均的な時刻や時間帯の情報を保持する。また、金額の項目は、対象のユーザ行動において平均的に収入/支出される金額の情報を保持する。これらの項目の値は、ユーザ3が手動で設定してもよいし、行動履歴DB17に蓄積された情報に基づいて統計的に算出した値を自動的に設定もしくは更新するようにしてもよい。
【0056】
行動場所の項目は、対象のユーザ行動が行われる場所を特定する名称等の情報を保持する。例えば、店舗2の名称や、職場の名称等を設定する。行動緯度および行動経度の各項目は、上記の行動場所の項目に設定された場所の緯度・経度の情報をそれぞれ保持する。この情報は、ユーザ3が手動で設定してもよいし、上記の行動場所の項目に設定された内容に基づいて、ネットワーク20を介して利用可能な一般的な地図サービスにより取得した値を自動的に設定してもよい。
【0057】
なお、ユーザ行動テーブル15bに登録される各行動は、各ユーザ3が手動で登録してもよいし、携帯端末30や他のサービスによって蓄積されたユーザ3のライフログデータを所定の手法により分析して自動的に抽出してもよい。
【0058】
図9は、本実施の形態の目標DB16に含まれる貯金目標テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。貯金目標テーブル16aは、各ユーザ3が設定した目標(本実施の形態では貯金)の内容とその達成状況に係る情報を保持するテーブルである。例えば、目標ID、ユーザID、目標金額、目的、開始日、終了日、貯金達成状況等の各項目を有する。
【0059】
目標IDの項目は、ユーザ3毎の各目標を一意に識別するためのID情報を保持する。ユーザIDの項目は、対象の目標に関連付けられたユーザ3を特定するID情報を保持する。この値は、上述のユーザマスタテーブル15aに登録されている。目標金額および目的の各項目は、対象の目標の内容として、目標の貯金金額および貯金の目的の情報をそれぞれ保持する。目的の項目には、例えば、旅行や買い物等を表すコード値等の情報を指定することができる。
【0060】
開始日および終了日の各項目は、一定の期間を設定して目標達成を目指す場合の当該期間の開始および終了の日付の情報をそれぞれ保持する。貯金達成状況の項目は、現時点での目標の達成状況(本実施の形態では目標金額に対してどれだけ貯金が進んでいるか)の情報を保持する。例えば、貯金額(もしくは目標金額との差額)の絶対値として評価してもよいし、目標金額に対する貯金の達成率として評価してもよい。
【0061】
図10は、本実施の形態の目標DB16に含まれる日次目標テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。日次目標テーブル16bは、各ユーザ3が設定した最終目標を達成するための日々の行動レベルでの目標に係る情報を保持するテーブルである。例えば、日次目標ID、目標ID、日付、行動タイプ、目標金額、達成状況等の各項目を有する。
【0062】
日次目標IDの項目は、ユーザ3毎の日次での各目標を一意に識別するためのID情報を保持する。目標IDの項目は、対象の日次目標に対応する最終的な目標を特定するID情報を保持する。この値は、上述の貯金目標テーブル16aに登録されている。日付の項目は、対象の日次目標に係る行動をとる予定の日付もしくはとった実績の日付の情報を保持する。行動タイプの項目は、対象の日次目標に係る行動のタイプを特定するコード値等の情報を保持する。この値は、上述のユーザ行動テーブル15bに登録されている。
【0063】
目標金額および達成状況の各項目は、それぞれ、対象の日次目標における目標金額(本実施の形態では対象日の貯金額)および目標の達成状況(本実施の形態では対象日の目標金額に対してどれだけ貯金したか)の情報を保持する。例えば、貯金額(もしくは目標金額との差額)の絶対値として評価してもよいし、目標金額に対する貯金の達成率として評価してもよい。
【0064】
図11は、本実施の形態の行動履歴DB17に含まれる行動結果テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。行動結果テーブル17aは、ユーザ3が行った行動(消費行動)の結果・内容を履歴として蓄積するログテーブルである。例えば、行動結果ID、ユーザID、金額、行動タイプ、行動日、行動時刻、行動詳細等の各項目を有する。
【0065】
行動結果IDの項目は、対象の行動結果を一意に識別するためのID情報を保持する。ユーザIDの項目は、対象の行動結果に係る行動を行ったユーザ3を特定するID情報を保持する。この値は、上述のユーザマスタテーブル15aに登録されている。金額の項目は、対象の行動結果に係る行動により支出/獲得した金額の情報を保持する。行動タイプの項目は、対象の行動結果に係る行動のタイプを特定するコード値等の情報を保持する。この値は、上述のユーザ行動テーブル15bに登録されている。行動日および行動時刻の項目は、対象の行動結果に係る行動が行われた日付および時刻の情報をそれぞれ保持する。行動詳細の項目は、対象の行動結果に係る行動の詳細な内容に係る情報を保持する。例えば、ユーザ3により入力された文章が登録されてもよいし、行動の詳細内容を区分するコード値等により指定されてもよい。
【0066】
図12は、本実施の形態の行動履歴DB17に含まれる貯金結果テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。貯金結果テーブル17bは、ユーザ3が消費行動を行った際に、関連処理として目標達成のために貯金を行った場合に、その結果・内容を履歴として蓄積するログテーブルである。例えば、貯金結果ID、ユーザID、貯金日、送金日、金額、送金状況、行動結果ID、貯金理由等の各項目を有する。
【0067】
貯金結果IDの項目は、対象の貯金結果を一意に識別するためのID情報を保持する。ユーザIDの項目は、対象の貯金結果に係る貯金を行ったユーザ3を特定するID情報を保持する。この値は、上述のユーザマスタテーブル15aに登録されている。貯金日および送金日の各項目は、対象の貯金結果に係る貯金を行った日付、および実際に貯金用口座に送金や振替を行った日付の情報をそれぞれ保持する。金額の項目は、対象の貯金結果に係る貯金額の情報を保持する。
【0068】
送金状況の項目は、対象の貯金結果に係る送金や振替の処理状況を特定するコード値等の情報を保持する。行動結果IDの項目は、対象の貯金結果に係る貯金を行った契機となった消費行動の結果情報を特定するID情報を保持する。この値は、上述の行動結果テーブル17aに登録されている。貯金理由の項目は、対象の貯金結果に係る貯金を行った理由の情報を保持する。例えば、ユーザ3により入力された文章が登録されてもよいし、貯金の理由を区分するコード値等により指定されてもよい。
【0069】
図13は、本実施の形態のシナリオDB18に含まれるシナリオテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。シナリオテーブル18aは、ユーザ3から消費行動の内容を聞き出すための各種のシナリオの情報を保持するテーブルである。例えば、シナリオID、シナリオ名、ルートメッセージハンドラID等の各項目を有する。
【0070】
シナリオIDの項目は、対象のシナリオを一意に識別するためのID情報を保持する。シナリオ名の項目は、対象のシナリオに付与された表示名称の情報を保持する。ルートメッセージハンドラIDの項目は、対象のシナリオ中における最初のメッセージ(ルートメッセージ)に係るメッセージハンドラを特定するID情報を保持する。
【0071】
ここで、メッセージハンドラは、シナリオ中で行動情報収集システム1側が発するメッセージ毎に設けられ、当該メッセージを出力するための処理を行うプログラムモジュールやデータオブジェクトである。本実施の形態では、各メッセージ(具体的には、対応するメッセージハンドラ)を、ルートメッセージを先頭に会話の展開に沿って順次連結させ、ユーザ3からの応答内容に応じて連結を適宜分岐させるツリー形式のデータ構造としてシナリオを構成する。これにより、ユーザ3からの応答内容に応じて、行動情報収集システム1側が発するメッセージの内容を適宜変化させて一連の会話を柔軟に構成することができる。
【0072】
図14は、本実施の形態のシナリオDB18に含まれるシナリオトリガテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。シナリオトリガテーブル18bは、ユーザ3毎にシナリオに基づく会話を開始するためのトリガの情報であるシナリオトリガ33の設定内容を保持するテーブルである。例えば、シナリオトリガID、シナリオID、ユーザID、パラメータ、トリガタイプ、起動曜日、起動時刻、起動位置緯度、起動位置経度、起動位置半径等の各項目を有する。
【0073】
シナリオトリガIDの項目は、対象のシナリオトリガを一意に識別するためのID情報を保持する。シナリオIDの項目は、対象のシナリオトリガの条件に合致した場合に起動させるシナリオを特定するID情報を保持する。この値は、上述のシナリオテーブル18aに登録されている。また、ユーザIDの項目は、対象のシナリオトリガの条件に合致するか否かを判定する対象のユーザ3を特定するID情報を保持する。この値は、上述のユーザマスタテーブル15aに登録されている。
【0074】
パラメータの項目は、対象のシナリオトリガに対応するシナリオに係るメッセージにおいて可変項目として設定されている項目の値の情報を保持する。例えば、上述の図5の左下の画面例に示した「普段は450円くらい使われています。」というメッセージにおける「450」等が該当する。トリガタイプの項目は、対象のシナリオトリガのタイプを特定するコード値等の情報を保持する。例えば、曜日や時間帯等をトリガとしてシナリオを起動させるのか、ユーザ3(携帯端末30)が所定の位置に所在することをトリガとしてシナリオを起動させるのか、両者の複合条件で起動させるのか等を設定することができる。
【0075】
起動曜日および起動時刻の項目は、対象のシナリオトリガの条件となる曜日および時刻の情報をそれぞれ保持する。また、起動位置緯度、起動位置経度および起動位置半径の項目は、対象のシナリオトリガの条件となるユーザ3(携帯端末30)の所在位置の範囲の情報を保持する。ここでは、起動位置緯度および起動位置経度の項目の値で特定される位置を中心とした、起動位置半径の項目の値を半径とする円の範囲内にユーザ3が所在することが条件となる。円状の範囲に限られず、例えば、二点の位置を対角とする矩形の範囲として設定できるようにしてもよい。
【0076】
図15は、本実施の形態のシナリオDB18に含まれるメッセージハンドラテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。メッセージハンドラテーブル18cは、各シナリオに含まれる行動情報収集システム1側が発するメッセージに対応するメッセージハンドラの情報を保持するテーブルである。例えば、メッセージハンドラID、シナリオメッセージID、ユーザ応答ID、次メッセージハンドラID、次メッセージ決定ロジック等の各項目を有する。
【0077】
メッセージハンドラIDの項目は、各メッセージハンドラを一意に識別するためのID情報を保持する。シナリオメッセージIDの項目は、対象のメッセージハンドラにより実際に表示するメッセージ(行動情報収集システム1側が発するシナリオメッセージ)の内容を特定するID情報を保持する。この値および対応するシナリオメッセージの内容は、後述するシナリオメッセージテーブルに登録されている。ユーザ応答IDの項目は、対象のメッセージハンドラに対応するシナリオメッセージによってユーザ3に対して行った問い合わせに対するユーザ3からの回答・応答に係る情報を特定するID情報を保持する。この値およびユーザ応答の内容に係る情報は、後述するユーザ応答テーブルに登録されている。
【0078】
次メッセージハンドラIDの項目は、シナリオのツリー構造において対象のメッセージハンドラに対応するメッセージの次のメッセージに対応するメッセージハンドラを特定するID情報を保持する。ユーザ応答の内容に応じてメッセージが分岐する場合には、分岐先の各メッセージにそれぞれ対応するメッセージハンドラのID情報をリストとして保持する。次メッセージ決定ロジックの項目は、対象のメッセージハンドラに対応するメッセージに対するユーザ3からの応答の内容に応じて次のメッセージが分岐する場合に、分岐先のメッセージを決定するロジックや条件の情報を保持する。ロジックや条件式等の内容自体を保持してもよいし、ロジックが実装されたモジュール等を特定する情報を保持してもよい。
【0079】
図16は、本実施の形態のシナリオDB18に含まれるシナリオメッセージテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。シナリオメッセージテーブル18dは、各シナリオに含まれるそれぞれのメッセージハンドラにより、行動情報収集システム1側が実際に表示するシナリオメッセージの内容を保持するテーブルである。例えば、シナリオメッセージID、メッセージ、シナリオメッセージタイプ等の各項目を有する。
【0080】
シナリオメッセージIDの項目は、対象のシナリオメッセージを一意に識別するID情報を保持する。メッセージの項目は、対象のシナリオメッセージの内容のテキスト情報を保持する。シナリオメッセージタイプの項目は、対象のシナリオメッセージのタイプ・種別を特定するコード値等の情報を保持する。この値は、後述するメッセージタイプテーブルに登録されている。本実施の形態では、同じ内容を伝えるシナリオメッセージに対して、表現内容等のタイプが異なる複数のパターンを設定し、ユーザ3毎に切り替えることができる。
【0081】
図17は、本実施の形態のシナリオDB18に含まれるユーザ応答テーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。ユーザ応答テーブル18eは、各シナリオに含まれる行動情報収集システム1側が発するメッセージによってユーザ3に対して行った問い合わせに対するユーザ3からの回答・応答に係る情報を保持するテーブルである。例えば、ユーザ応答ID、応答タイプ、ラベル、出力フォーマット等の各項目を有する。
【0082】
ユーザ応答IDの項目は、対象のユーザ応答を一意に識別するID情報を保持する。応答タイプの項目は、対象のユーザ応答のタイプ・種別を区分するコード値等の情報を保持する。区分には、例えば、「はい」「いいえ」等の二者択一の回答であるか、それ以上の数の選択肢の中からの選択であるか、もしくは具体的な内容や文言を直接入力したものであるか等が含まれる。ラベルの項目は、対象のユーザ応答を受け付けるために二者以上の選択肢を表示する場合の各選択肢のラベル(テキスト情報)のリストを保持する。出力フォーマットの項目は、対象のユーザ応答を受け付けるために選択肢や入力フォーム等を表示する際のフォーマットを特定する情報を保持する。
【0083】
図18は、本実施の形態のシナリオDB18に含まれるメッセージタイプテーブルのデータ構成の例について概要を示した図である。メッセージタイプテーブル18fは、ユーザ3毎におけるシナリオメッセージを表示する際の全体としての表現内容等のタイプに係る情報を保持する。例えば、ユーザID、シナリオメッセージタイプ等の各項目を有する。
【0084】
ユーザIDの項目は、対象のユーザ3を特定するID情報を保持する。この値は、上述のユーザマスタテーブル15aに登録されている。シナリオメッセージタイプの項目は、対象のユーザ3について設定されたシナリオメッセージタイプを特定するコード値等の情報を保持する。ユーザ3毎にこの値を設定することにより、上述したように、同じ内容を伝えるシナリオメッセージであっても、ポジティブな表現とするかネガティブな表現とするか、厳しい口調とするか優しい口調とするか等を切り替えることができる。また、表現内容や口調に加えて、各行動に対してユーザ3に提案する貯金額を多め(厳しめ)に設定するか少なめ(緩め)に設定するかを切り替えられるようにしてもよい。
【0085】
なお、上述の図7図18で示した各テーブルのデータ構成(項目)はあくまで一例であり、同様のデータを保持・管理することが可能な構成であれば、他のテーブル構成やデータ構成であってもよい。
【0086】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である行動情報収集システム1によれば、ユーザ3の消費行動を、ユーザ3が立てた目標に向けての日々の「貯金」と関連付け、「貯金」による目標達成をモチベーションとして、ユーザ3が消費行動を行った際に、「貯金」を行うためにその内容を聞き出すことで把握することが可能である。
【0087】
すなわち、ユーザ3が保持する携帯端末30により、ユーザ3の所在位置と時間の情報を常時検知し、予め設定されたシナリオトリガ33の条件に合致する場合に、何らかの消費行動が行われたものと判断する。そして、合致したシナリオトリガ33に対応するシナリオに基づく会話を携帯端末30を介して開始し、ユーザ3が行った消費行動に係る情報を問い合わせる。これに対する応答をユーザ3から取得することで、消費行動の内容を自然な形で把握することが可能である。
【0088】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0089】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、またはICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0090】
また、上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、情報処理システムにより自動的に把握することができない行動を対象とした行動情報収集システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…行動情報収集システム、2…店舗、3…ユーザ、
10…行動情報収集サーバ、11…ユーザ管理部、12…行動管理部、13…関連処理部、14…シナリオ処理部、15…ユーザDB、15a…ユーザマスタテーブル、15b…ユーザ行動テーブル、16…目標DB、16a…貯金目標テーブル、16b…日次目標テーブル、17…行動履歴DB、17a…行動結果テーブル、17b…貯金結果テーブル、18…シナリオDB、18a…シナリオテーブル、18b…シナリオトリガテーブル、18c…メッセージハンドラテーブル、18d…シナリオメッセージテーブル、18e…ユーザ応答テーブル、18f…メッセージタイプテーブル、
20…ネットワーク、
30…携帯端末、31…アプリケーション、32…GPSセンサ、33…シナリオトリガ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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