(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】薬剤投与レジメンの遠隔処方のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/17 20180101AFI20221116BHJP
【FI】
G16H20/17
(21)【出願番号】P 2021504212
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(86)【国際出願番号】 US2019042507
(87)【国際公開番号】W WO2020023289
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-25
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アルデン,レット ガイ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュース,ジェフリー スターリング
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ジェナル リン
(72)【発明者】
【氏名】パーシャル,ジェームス ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】トゥネル,ハリー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウェイガンド,スコット アレン
(72)【発明者】
【氏名】ウェスターフィールド,クリスティン マリー
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0053101(US,A1)
【文献】特開2015-213775(JP,A)
【文献】特表2009-521249(JP,A)
【文献】特表2018-514826(JP,A)
【文献】特表2018-523546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療従事者(HCP)ポータルアプリケーションを介して、患者に関係する複数の薬剤投与レジメンを提示するステップであって、各提示された薬剤投与レジメンが、それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに関連付けられている、ステップと、
前記HCPポータルアプリケーションを介して、前記提示された薬剤投与レジメンのうちの少なくとも1つのHCP選択を受信するステップと、
前記患者に関連付けられたモバイルデバイス上の医療モバイルアプリケーション(MMA)に、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを示すHCP選択レジメンデータを送信するステップと
を含
み、
前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能であり、
(i)前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAは、前記モバイルデバイス上に事前格納されている前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データにアクセスするように操作可能である、または、(ii)前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAは、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データを前記モバイルデバイス上にダウンロードするように操作可能である、方法。
【請求項2】
前記提示された薬剤投与レジメンが、1つ以上のインスリン投与レジメンを含み、
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の提示されたインスリン投与レジメンが、少なくとも1つ以上の基礎インスリン投与レジメンおよび1つ以上のボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、毎日の滴定ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた毎日の滴定ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、固定用量ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた固定用量ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記MMAが前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者受け入れ表示を受信したことを示すレジメン受け入れ表示を、前記MMAから受信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者拒否表示を前記MMAが
受信したことを示すレジメン拒否表示を、前記MMAから受信するステップと、前記患者拒否表示に応答して、前記患者に関連付けられた前記モバイルデバイス上で前記MMAを無効にするステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示が前記MMAによって受信されたことを条件に、前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能である、請求項
1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記MMAが、前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに基づく投与推奨を提供するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
コネクテッドケアサーバシステムであって、
1つ以上のサーバであって、各サーバが、1つ以上の通信インターフェース、1つ以上のプロセッサ、およびデータストレージを含む、前記1つ以上のサーバ
を含み、
前記1つ以上のサーバの1つ以上の前記プロセッサによって実行されると、前記コネクテッドケアサーバシステムにサーバシステム機能の組を実行させるように操作可能である指示を、前記1つ以上のサーバの前記データストレージが集合的に含み、
前記サーバシステム機能の組が、
前記1つ以上のサーバの前記通信インターフェースのうちの少なくとも1つと通信する医療従事者(HCP)ポータルアプリケーションを介して、患者に関係する複数の薬剤投与レジメンを提示することと、ここで、各提示された薬剤投与レジメンが、それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに関連付けられていおり、
前記HCPポータルアプリケーションを介して、前記提示された薬剤投与レジメンのうちの少なくとも1つのHCP選択を受信することと、
前記1つ以上のサーバの前記通信インターフェースのうちの少なくとも1つを介して、前記患者に関連付けられたモバイルデバイス上の医療モバイルアプリケーション(MMA)に、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを示すHCP選択レジメンデータを送信することと
を含
み、
前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能であり、
(i)前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAは、前記モバイルデバイス上に事前格納されている前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データにアクセスするように操作可能である、または、(ii)前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAは、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データを前記モバイルデバイス上にダウンロードするように操作可能である、前記コネクテッドケアサーバシステム。
【請求項13】
前記提示された薬剤投与レジメンが、1つ以上のインスリン投与レジメンを含み、
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンを含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上の提示されたインスリン投与レジメンが、少なくとも1つ以上の基礎インスリン投与レジメンおよび1つ以上のボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、毎日の滴定ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた毎日の滴定ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
13に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、固定用量ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた固定用量ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
13に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
13に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
13に記載のシステム。
【請求項19】
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者受け入れ表示を前記MMAが受信したことを示すレジメン受け入れ表示を、前記サーバシステム機能の組が前記MMAから受信することをさらに含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項20】
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者拒否表示を前記MMAが受信したことを示すレジメン拒否表示を、前記サーバシステム機能の組が前記MMAから受信することと、前記レジメン拒否表示に応答して、前記患者に関連付けられた前記モバイルデバイス上で前記MMAを無効にすることとをさらに含む請求項
12に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示が前記MMAによって受信されたことを条件に、前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能である、請求項
12~20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記MMAが、前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに基づく投与推奨を提供するように構成されている、請求項
12に記載のシステム。
【請求項23】
1つ以上のプロセッサによって実行されると、機能の組を前記1つ以上のプロセッサに実行させるように操作可能な指示を格納している、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)であって、
前記機能の組が、
HCPポータルアプリケーションを介して、患者に関係する複数の薬剤投与レジメンを提示することと、ここで、各提示された薬剤投与レジメンが、それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに関連付けられており、
前記HCPポータルアプリケーションを介して、前記提示された薬剤投与レジメンのうちの少なくとも1つのHCP選択を受信することと、
前記患者に関連付けられたモバイルデバイス上の医療モバイルアプリケーション(MMA)に、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを示すHCP選択レジメンデータを送信することと
を含
み、
前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能であり、
(i)前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAは、前記モバイルデバイス上に事前格納されている前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データにアクセスするように操作可能である、または、(ii)前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAは、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データを前記モバイルデバイス上にダウンロードするように操作可能である、前記CRM。
【請求項24】
前記提示された薬剤投与レジメンが、1つ以上のインスリン投与レジメンを含み、
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンを含む、請求項
23に記載のCRM。
【請求項25】
前記1つ以上の提示されたインスリン投与レジメンが、少なくとも1つ以上の基礎インスリン投与レジメンおよび1つ以上のボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
24に記載のCRM。
【請求項26】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、毎日の滴定ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた毎日の滴定ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
24に記載のCRM。
【請求項27】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、固定用量ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた固定用量ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
24に記載のCRM。
【請求項28】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
24に記載のCRM。
【請求項29】
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、請求項
24に記載のCRM。
【請求項30】
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者受け入れ表示を前記MMAが受信したことを示すレジメン受け入れ表示を、前記機能の組が前記MMAから受信することをさらに含む、請求項
23に記載のCRM。
【請求項31】
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者拒否表示を前記MMAが受信したことを示すレジメン拒否表示を、前記機能の組が前記MMAから受信することと
、前記患者拒否表示に応答して、前記患者に関連付けられた前記モバイルデバイス上で前記MMAを無効にすることとをさらに含む、請求項
23に記載のCRM。
【請求項32】
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示が前記MMAによって受信されたことを条件に、前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能である、請求項
23~31のいずれか1項に記載のCRM。
【請求項33】
前記MMAが、前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに基づく投与推奨を提供するように構成されている、請求項
23に記載のCRM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスおよび医療情報システム、具体的には薬剤投与レジメンの遠隔処方のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者が治療を受ける病気および他の病状は無数にある。かなり多くの場合、この治療は、1つ以上の薬剤の1つ以上の投与レジメンを含む。
【0003】
概要
本明細書に開示されるのは、薬剤投与レジメンの遠隔処方のためのシステムおよび方法である。本システムおよび方法は、多数の種類の疾患および他の病状のための多数の種類の薬剤に適用可能である。患者は、本開示では医療従事者(HCP)と称されるものによって、これらの病状を治療される。本明細書で使用される場合、HCPとしては、患者に直接医療ケアを提供する人および/またはエンティティ(例えば、医師、看護師、上級看護師、医師助手(PA)など)、ならびに患者に直接医療ケアを提供しないが患者へのヘルスケアの提供を間接的にサポートする人および/またはエンティティ(例えば、事務要員、データベース管理要員、他の情報技術要員、保険および/または他の支払いに関係する要員など)の両方が挙げられる。処方箋が必要とされる薬剤投与レジメンおよび/または他の治療をHCPが処方する、本明細書に記載の状況では、そのような処方箋を発行することが必要であろうそのHCPは、適切な教育、訓練、検定、免許などを有することが想定される。当該薬剤投与レジメンによって管理される薬剤の例としては、限定されないが、インスリン、インスリンリスプロまたはインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、および任意の治療薬を含む1つ以上の治療剤が挙げられ、これらは、薬剤送達デバイスによる送達が可能であるか、または薬剤送達デバイスの補助なしに(例えば、経口的にまたは患者の皮膚への適用を通じて)患者によって摂取され得る。薬剤は、1つ以上の賦形剤を配合され得る。
【0004】
本システムおよび方法の適用可能な一例の領域は、糖尿病(ときに真性糖尿病とも称される)であり、これは、ヒト身体中で長時間高レベルのグルコース(例えば、血中グルコース、または血糖値)を一般に特徴とする、代謝障害の群に対する一般的な用語である。当該技術分野および医学界で知られているように、高グルコースレベルの別の用語は、高血糖症であり、典型的には、閾値が1デシリットル(dL)あたり180ミリグラム(mg)(mg/dL)超のグルコースレベルとして定義され、1リットル(L)あたり10ミリモル(mmol)の量(mmol/L)としても表すことが可能である。逆の状態(すなわち、不十分なレベルのグルコース)は、低血糖症として知られており、典型的には、70mg/dL(3.9mmol/L)以下のグルコースレベルとして定義される。
【0005】
1型糖尿病および2型糖尿病として知られている2つの主要な種類の糖尿病があり、それらの各々は、異なる方式でインスリンと関係しており、インスリンは、すぐに使用されるか、または後で使用するために貯蔵されるかのいずれかであるエネルギーへとグルコースを代謝する身体の処理の中心となるホルモンである。1型糖尿病は一般に、患者の免疫系が膵臓のインスリン産生「ベータ細胞」を誤って攻撃する自己免疫疾患と見なされている。2型糖尿病は一般に、身体が必要なインスリンを膵臓が十分に産生することができないこと、または患者の身体がインスリンに応答する能力を失うことを特徴とする。
【0006】
1型および/または2型糖尿病の治療の中には、合成インスリンの皮下注射がある。一般事項として、合成インスリンは、開始(すなわち、それらが典型的に効果を発揮する速さ)、ピーク(すなわち、最大効力が達成されるまでの典型的な経過時間)、持続時間(すなわち、効果が典型的に持続する時間の量)、および濃度を含む、多くの次元に従って分類される。濃度を表す典型的な様式は、ミリリットル(mL)あたりの単位であり、一例として、1mLあたり100単位の濃度は、典型的にはU100として表されるであろう。
【0007】
1型および/または2型糖尿病の場合、典型的には皮下注射用の、典型的にはHCPによって処方される合成インスリンには、基礎インスリンおよびボーラスインスリンの2つの主要なカテゴリーがある。基礎インスリンはまた、バックグラウンドインスリンおよび長時間作用型インスリンなどの他の多くの用語で知られており、空腹時、睡眠中、食間などの時間の間、患者においてある特定のベースラインレベルのインスリンを維持する目的で、定期的な間隔かつ一定の投与量で、1日1回または2回、一般には糖尿病患者によって摂取される。ボーラスインスリンはまた、多くの名前を有することが知られており、食前(prandial)インスリン、食事時インスリン、および速効型インスリンが挙げられ、一般に、食事時に典型的であるが、他の時間にも同様に発生し得るグルコースレベルのスパイクを制御する目的で、最も典型的には食事時に、よりいっそう必要に応じて、糖尿病患者によって摂取される。
【0008】
本方法およびシステムは、多数の種類の疾患、状態などのための多数の種類の薬剤に確かに適用可能であるが、HCP、および1型または2型糖尿病を有する患者による(時には集中的な)基礎インスリンおよび/またはボーラスインスリンレジメンの管理を少なくとも部分的に支援することを意図している。実際、本開示の例のうちのいくつかは、一般に、糖尿病の場合に対するボーラスインスリン投与レジメンの処方および実装に関するが、これは例であり限定ではなく、決して他の種類のインスリン(例えば、基礎インスリン)および/または他の種類の疾患のための投与レジメンに関係する本システムおよび方法を除外するものではないことが理解されるべきである。一般に、および上記のように、本システムおよび方法は、多種多様な疾患、状態などのための多種多様な投与レジメンに適用可能であることが理解されるべきである。
【0009】
本システムおよび方法の発明者らは、インスリン療法の複雑さを管理することが、特に患者側だけでなく、HCP側でも困難であり得ることを認識している。本システムおよび方法は、従来の医療デバイスおよび医療技術の実装が、一般に、特定の患者のための複数の事前に決定され事前にプログラムされた投与レジメンのうちの、少なくとも1つの薬剤投与レジエン(例えば、ボーラス-インスリン投与レジメン)をHCPが選択し、さらにはカスタマイズし、次いで患者に関連付けられたモバイルデバイス上で動作するアプリケーションを用いて遠隔で対話することによって、データネットワークを通じてその患者に対するその少なくとも1つのレジメンをさらには処方することができるメカニズムを提供しないという技術的問題を含む、従来技術に関する多くの技術的問題に対処する。本システムおよび方法のいくつかの実施形態によれば、複数の事前に決定され事前にプログラムされた投与レジメンの論理は、患者のモバイルデバイス上で動作するが、患者にはアクセス不可能であるように最初からロックすることができる、アプリケーションを用いて提供することができる。さらに、いくつかの実施形態によれば、HCPは、その患者のための複数の事前にプログラムされた投与レジメンのうちの少なくとも1つの特定のHCP選択レジメンを、そのモバイルデバイス上で、遠隔でロック解除することができ、次いでデバイスは、少なくとも1つのレジメンを実装するように患者に指示を提供し、場合によっては、1つ以上の追加の医療デバイス(そのままの、またはまた患者に関連付けられた医療デバイス)に、少なくとも1つのHCP選択投与レジメンの一部またはすべてを実行するように指示することができる。本システムおよび方法は、少なくともその技術的問題に対する技術的解決策に相当する。また、この段落は、他の技術的問題に対する他の技術的解決策がこの開示に相当しないことを意味するものではないことに十分留意されたい。
【0010】
一実施形態は、HCPシステム上で実行されるHCPポータルアプリケーションを介して、患者に関係する複数の薬剤投与レジメンを提示することを含む方法の形態をとる。提示された薬剤投与レジメンの各々は、それぞれの異なる薬剤投与アルゴリズムに関連付けられている。方法はまた、HCPポータルユーザアプリケーションを介して、提示された薬剤投与レジメンのうちの少なくとも1つのHCP選択を受信することを含む。方法はまた、患者に関連付けられたモバイルデバイス上の医療モバイルアプリケーション(MMA)に、少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを示すHCP選択レジメンデータを送信することを含む。
【0011】
別の実施形態は、1つ以上の通信インターフェース、1つ以上のプロセッサ、およびデータストレージを各々含む1つ以上のサーバを含む、コネクテッドケアサーバシステムの形態をとる。少なくともいくつかの実施形態では、コネクテッドケアサーバシステムは、コネクテッドケアクラウド(C3)サーバシステムであり、1つ以上のサーバの各々は、クラウドサーバである。1つ以上のサーバのデータストレージは、前段落に列挙された機能を含む一組のサーバシステム機能をコネクテッドケアサーバシステムに実行させるために、1つ以上のサーバの1つ以上のプロセッサによって実行可能な指示を集合的に含む。さらに別の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前段落に列挙された機能を含む一組の機能を1つ以上のプロセッサに実行させるように操作可能な指示を格納している、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)の形態をとる。任意の実施形態と関連して、CRMは、本明細書で言及される任意の非一時的データストレージ媒体、および/または当業者によって所与の実装に好適と見なされる任意の他の非一時的データストレージ媒体の形態をとってもよい。例としては、任意の好適な形態のメモリ(揮発性および不揮発性メモリの両方を含む)、ディスクストレージ、光ストレージなどが挙げられる。
【0012】
別の実施形態は、患者に関連付けられたモバイルデバイス上で実行されるMMAで、各々がそれぞれの異なる薬剤投与アルゴリズムに関連付けられた、複数の薬剤投与レジメンの中からHCP選択薬剤投与レジメンのHCP選択を示す、HCP選択レジメンデータを受信することを含む方法の形態をとる。HCP選択は、HCPシステムで実行されるHCPポータルアプリケーションを介して、HCPによって患者に対して行われてきた。方法はまた、HCP選択レジメンデータを受信したことに少なくとも部分的に応答して、示されたHCP選択薬剤投与レジメンをMMA上でロック解除することを含む。
【0013】
別の実施形態は、患者に関連付けられたモバイルデバイスの形態をとる。モバイルデバイスは、モバイルデバイス通信インターフェース、モバイルデバイスプロセッサ、およびモバイルデバイスデータストレージを含む。モバイルデバイスデータストレージは、前段落に列挙された機能を含む一組のMMA機能を実行するために、モバイルデバイスにMMAを実行させるためのモバイルデバイスプロセッサによって実行可能な指示を含む。さらに別の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前段落に列挙された機能を含む一組の機能を1つ以上のプロセッサに実行させるように操作可能な指示を格納している、1つ以上の非一時的CRMの形態をとる。
【0014】
別の実施形態は、上記のコネクテッドケアサーバシステムおよび上記のモバイルデバイスを含む、システムの形態をとる。少なくとも1つの実施形態は、上記のHCPシステムをさらに含む。
【0015】
別の実施形態は、患者に関連付けられたモバイルデバイス上のプロセッサによって、モバイルデバイスの視覚的ディスプレイ上に同時に複数のパネルを提示することであって、複数のパネルが、患者に投与されるインスリンの単位数を表示する第1のパネル、および第1のパネルによって表示されるインスリンの単位数によって補われると予想される炭水化物の量を表示する第2のパネルを含む、提示することと、第1のパネルによって表示されたインスリンの単位数に対して要求される調整を表すユーザ入力をモバイルデバイスで受信することと、第1のパネルによって表示されたインスリンの単位数に対して要求される調整に従って、複数のパネルの各パネルをプロセッサによって更新することであって、更新することが、調整されたインスリンの単位数を第1のパネルによって表示すること、および調整されたインスリンの単位数によって補われると予想される炭水化物の調整された量を第2のパネルを用いて表示することを含む、更新することと、を含む、方法の形態をとる。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数のパネルは、第2のパネルによって表示された炭水化物の量に対応する食事サイズの指標を表示するパネルをさらに含み得、更新することが、調整された炭水化物の量に対応する調整された食事サイズの指標を表示することを含む。あるいは、または加えて、複数のパネルは、小さい食事サイズと大きい食事サイズとの間の食事サイズの範囲を表示する領域を表示するパネル、および第2のパネルによって表示された炭水化物の量がこの領域のどこに入るかを示すインジケータをさらに含み得る。あるいは、または加えて、複数のパネルは、第2のパネルによって表示された炭水化物の量が、小さい食事サイズ、中程度の食事サイズ、または大きい食事サイズに対応するかを示すパネルをさらに含み得る。あるいは、または加えて、複数のパネルは、第1のパネルによって表示されるインスリンの単位数の投与から生じると予想される患者のグルコースレベルの低下を表示するパネルをさらに含み得、更新することが、調整されたインスリンの単位数の投与から生じると予想される、患者のグルコースレベルの調整された低下を表示することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、中程度の食事サイズの最大炭水化物閾値、および中程度の食事サイズの最小炭水化物閾値をモバイルデバイスで受信することをさらに含み得、第2のパネルによって表示される炭水化物の数値が、受信した最大炭水化物閾値および最小炭水化物閾値に基づいて、小さい食事サイズ、中程度の食事サイズ、または大きい食事サイズに対応するかを、複数のパネルのうちの1つが示す。方法はまた、患者に関連付けられたインスリン対炭水化物比(ICR)をモバイルデバイスで受信することをさらに含み得、第2のパネルによって表示された炭水化物の量が、第1のパネルによって表示された単位数および受信したICRに基づいて、プロセッサによって計算される。方法はまた、患者に関連付けられたインスリン効果値(ISF)をモバイルデバイスで受信することをさらに含み得、複数のパネルのうちの1つによって表示された患者のグルコースレベルの低下が、第1のパネルによって表示されたインスリンの単位数および受信したISFに基づいて計算される。
【0018】
上に列挙された実施形態の多くの変形および置き換えが、本明細書に記載されている。さらに、本開示に記載されている任意の変形または置き換えは、任意の種類の実施形態に関して実装することができることに、特に留意されたい。例えば、方法の実施形態と関連して主に説明される変形または置き換えは、システムの実施形態および/またはCRMの実施形態と関連してまさに同様に実装することができる。さらに、そのような実施形態を説明および/または特徴付けるために使用される任意のわずかな言葉の違い(例えば、プロセス、方法、ステップ、機能、機能の組など)に関わらず、実施形態のこの柔軟性および相互適用性は存在する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
次の図面と併せて例として提示される次の説明から、より詳細な理解を有することができ、図面全体を通じて、図面における同様の参照番号は同様の要素と関連して使用される。
【
図1】少なくとも1つの実施形態による、例示的なHCPシステム、例示的な健康情報技術(IT)システム、例示的な患者に関連付けられ、また例示的な患者に関連付けられた複数の例示的なパーソナル医療デバイスと通信する例示的なモバイルデバイス、例示的なネットワークを介して互いに通信可能に相互接続する1つ以上の例示的なサーバ(例えばコネクテッドケアクラウドサーバ)を含む例示的なサーバシステム、および例示的な管理者ポータルシステムを含む、例示的な通信コンテキストを図示している。
【
図2】少なくとも1つの実施形態による、
図1の例示的なHCPシステムの例示的な物理アーキテクチャを図示している。
【
図3】少なくとも1つの実施形態による、
図1の例示的なモバイルデバイスの例示的な物理アーキテクチャを図示している。
【
図4A】少なくとも1つの実施形態による、
図1の例示的なサーバシステムにおけるサーバのうちの例示的な1つの例示的な物理アーキテクチャを図示している。
【
図4B】少なくとも1つの実施形態による、
図1の例示的な管理者ポータルシステムの例示的な物理アーキテクチャを図示している。
【
図5】少なくとも1つの実施形態による、
図1の例示的なサーバシステムの例示的な機能アーキテクチャを図示している。
【
図6】少なくとも1つの実施形態による、例示的な通信および処理エコシステムにおける、様々なエンティティを図示している。
【
図7】少なくとも1つの実施形態による、
図1のサーバシステムによって実行され得る、第1の例示的な方法を図示している。
【
図8】少なくとも1つの実施形態による、例示的なMMAを実行する
図1のモバイルデバイスによって実行され得る、第2の例示的な方法を図示している。
【
図9-18】少なくとも1つの実施形態による、
図1の例示的なHCPシステムを介して表示するための、様々な例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図19】少なくとも1つの実施形態による、MMAによって実装されるインスリンの推奨用量を計算、提示、および編集するための例示的なプロセスを示すフローチャートを図示している。
【
図20】少なくとも1つの実施形態による、MMAが患者のグルコースセンサと自動的に同期する、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図21A】少なくとも1つの実施形態による、MMAが患者のグルコースレベルを受信する、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図21B】少なくとも1つの実施形態による、MMAが患者のグルコースレベルを受信する、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図21C】少なくとも1つの実施形態による、MMAが患者のグルコースレベルを受信する、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図22A】少なくとも1つの実施形態による、毎日の滴定投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図22B】少なくとも1つの実施形態による、毎日の滴定投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図22C】少なくとも1つの実施形態による、毎日の滴定投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図22D】少なくとも1つの実施形態による、毎日の滴定投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図23A】少なくとも1つの実施形態による、固定用量投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図23B】少なくとも1つの実施形態による、固定用量投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図23C】少なくとも1つの実施形態による、固定用量投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図23D】少なくとも1つの実施形態による、固定用量投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図24A】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物ボーラス計算機投与レジメンのための炭水化物の数値を受信するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図24B】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物ボーラス計算機投与レジメンのための炭水化物の数値を受信するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図24C】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物ボーラス計算機投与レジメンのための炭水化物の数値を受信するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図24D】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物ボーラス計算機投与レジメンのための炭水化物の数値を受信するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図25A】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物ボーラス計算機投与レジメンのための食事時インスリンの単位数を受信するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図25B】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物ボーラス計算機投与レジメンのための食事時インスリンの単位数を受信するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図25C】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物ボーラス計算機投与レジメンのための食事時インスリンの単位数を受信するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図25D】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物ボーラス計算機投与レジメンのための食事時インスリンの単位数を受信するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図26A】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物食事サイズに基づく計算機投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図26B】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物食事サイズに基づく計算機投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図26C】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物食事サイズに基づく計算機投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図26D】少なくとも1つの実施形態による、炭水化物食事サイズに基づく計算機投与レジメンのためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図27A】少なくとも1つの実施形態による、インスリンの推奨用量を提示および/または編集するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図27B】少なくとも1つの実施形態による、インスリンの推奨用量を提示および/または編集するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図27C】少なくとも1つの実施形態による、インスリンの推奨用量を提示および/または編集するためにMMAによって使用される、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
【
図28】少なくとも1つの実施形態による、提示されたインスリン用量に関係する4つの情報のパネルを有する、例示的なユーザインターフェースディスプレイを図示している。
【
図29】少なくとも1つの実施形態による、提示されたインスリン用量が調整されると、4つの情報のパネルがどのように更新されるかを示す、例示的な一連のユーザインターフェースディスプレイを図示している。
【
図30】少なくとも1つの実施形態による、接続された薬物送達デバイス上に
図28および29のユーザインターフェースが表示されている、例示的な実施形態を図示している。
【
図31】少なくとも1つの実施形態による、
図28、29、および30のユーザインターフェースを表示および更新するためにモバイルデバイスによって実行される、例示的なプロセスを示すフローチャートを図示している。
【0020】
本開示の原理の理解を容易にする目的で、以下で説明される図面に示されている実施形態を以下で参照する。本明細書に開示の実施形態は、網羅的であること、または本開示を次の詳細な説明で開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、当該技術分野の他の当業者がそれらの教示を利用することができるように選択および説明されている。したがって、それらによって本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0021】
本開示および特許請求の範囲全体にわたって、場合によっては、第1、第2、第3、および第4などの数値による修飾語は、様々なコンポーネント、様々な識別子などのデータ、および/または他の要素を参照して使用される。そのような使用は、要素の特定の順序または必要な順序を示すかまたは指すことを意図するものではない。むしろ、この数値による用語は、参照されている要素を識別し、その要素を他の要素から区別するために読者を支援するために使用され、任意の特定の順序を主張するものとして狭義に解釈されるべきではない。
【0022】
さらに、この詳細な説明に進む前に、様々な図面に図示され、それらに関連して説明されているエンティティ、配置などは、限定ではなく例として提示されていることに留意されたい。そのため、特定の図面が「図示する」もの、特定の図面内の特定の要素またはエンティティが「ある」または「有する」もの、ならびに任意のおよびすべての同様の記述に関する任意のおよびすべての記述または他の表示(これらは単独でかつ文脈を無視して絶対的であり、したがって限定的であると理解され得る)は、「少なくとも1つの実施形態では」などの語句が先行するものとして解釈される(実際ではない限り)場合にのみ、適切に理解することができる。また、これは、先行する語句がこの詳細な説明で複数回繰り返されないことを意味し、提示の簡潔性および明快性に類似する理由によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
I.例示的なアーキテクチャ
A.例示的な通信コンテキスト
図1は、少なくとも1つの実施形態による、例示的なHCPシステム102、例示的な健康ITシステム118、例示的な患者124に関連付けられ、また例示的な患者124に関連付けられた複数の例示的なパーソナル医療デバイス(この図では、例示的なグルコースメータ126および例示的な接続された注射デバイス134)と通信する例示的なモバイルデバイス104、例示的なプライベートネットワーク138を介して互いに通信可能に相互接続する1つ以上の例示的なサーバ140~146を含む例示的なサーバシステム106、および例示的な管理者ポータルシステム148を含む、例示的な通信コンテキスト100を図示している。また、
図1に図示されているのは、データネットワーク108、通信リンク110、112、114、116、128、136、150、152、および154、HCPシステム102のディスプレイ120、ならびにモバイルデバイス104のディスプレイ122である。さらに表示されているのは、関連付け矢印125、概念的な情報フロー矢印130、および概念的な情報フロー矢印132であり、これらは両方とも以下で説明される。
図1に図示されているエンティティおよび配置、ならびにそれらの相互接続は、限定ではなく例示のために提供されており、他のエンティティ、配置、および相互接続は、当業者によって所与のコンテキストに好適と見なされるだけでなく、実装することができると理解されるべきである。
【0024】
HCPシステム102(ディスプレイ120を含む)は、物理アーキテクチャの観点から、
図2と関連してより完全に以下で説明されるが、一般に、本明細書に記載のHCPポータル機能を実行するように装備、構成、およびプログラムされた任意のコンピューティングデバイスの形態をとってもよい。HCPシステム102のいくつかの選択肢としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどのモバイルデバイス、または音声、拡張現実(AR)または仮想現実(VR)を使用してHCPと対話するデバイスが挙げられる。いくつかの実施形態では、HCPシステム102は、インターネットブラウザ(すなわち、ほんの数例を挙げればおそらくスタンドアローンアプリケーションとして、おそらく別のアプリケーション機能としてのウェブブラウザ)をサポートおよび動作させることが可能な任意の電子デバイスである。
図1に図示されるように、HCPシステム102は、通信リンク116を介して健康ITシステム118に、および通信リンク110を介してデータネットワーク108に通信可能に接続される。通信リンク116は、データネットワーク108から分離して図示されているが、場合によっては、リンク116のすべてまたは一部が、データネットワーク108の少なくとも一部分を経由し得ることが理解されるべきである。場合によっては、HCPシステム102は、
図1に図示されるように直接リンク116を通る代わりに、データネットワーク108を介して間接的にHITシステム118と通信することができる。HCPシステム102の典型的なユーザの中には、処方の役割を有するHCP(例えば、医師、医師助手(PA)、上級看護師など)、ならびに他の例の中でも、統合送達ネットワーク(Integrated Delivery Network、IDN)に関連付けられたケアチームの一部である非処方HCP、およびユーザが含まれる。
【0025】
様々な異なる実施形態では、本明細書で列挙され得る他の例の中でも、HCPシステム102は、薬剤投与レジメン(例えば、基礎インスリン投与レジメン、ボーラスインスリン投与レジメンなどのインスリン投与レジメン)の処方、既存の投与レジメン処方箋の変更、投与レジメンパラメータの設定および/または変更、ならびに個々の患者データの閲覧などの機能を提供およびサポートする。HCPシステム102を介したHCPによる投与レジメンに関する処方およびパラメータ設定は、患者が薬剤用量を決定するのを支援する。他の機能の中でも、HCPシステム102は、通信リンク116を介して健康ITシステム118から患者EHRデータをダウンロードし、HCPポータルでEHRデータを閲覧し、利用可能な薬剤投与レジメンの選択を閲覧し、患者に処方する投与レジメンを選択し、選択された投与レジメンに必要なパラメータ(インスリン投与レジメンの場合の例では、開始用量、インスリン対炭水化物比など)に値を割り当てる機能をHCPに提供する。HCPシステム102は、HCPユーザが患者の履歴データを再度閲覧することを可能にするデータ視覚化機能をさらに提供する。様々な実施形態では、この患者の履歴データは、チャート形式、グラフ形式、表形式、および/または当業者によって所与の実装に好適と見なされる1つ以上の他の形式で閲覧可能である。
【0026】
モバイルデバイス104(ディスプレイ122を含む)は、物理アーキテクチャの観点から、
図3と関連してより完全に以下で説明されるが、一般に、本明細書に記載のモバイルデバイス機能を実行するように装備、構成、およびプログラムされた任意のコンピューティングデバイスの形態をとってもよい。モバイルデバイス104のいくつかの選択肢としては、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス、音声または仮想現実を介してユーザと対話するモバイルデバイスなどが挙げられる。
図1に図示されるように、モバイルデバイス104は、通信リンク128を介してグルコースメータ126に、通信リンク136を介して接続された注射デバイス134に、および通信リンク112を介してデータネットワーク108に通信可能に接続される。両端を有する点線による関連付け矢印125によって図示されるように、モバイルデバイス104は、例えば、サブスクリプションアカウント、所有権、所持、および/または1つ以上の他の方式によって、患者124に関連付けられる。
【0027】
C3サーバシステム106に関して、C3サーバ140~146のうちの例示的な1つは、
図4Aと関連してより完全に以下の物理アーキテクチャの観点から説明される。さらに、C3サーバシステム106は、全体として、機能アーキテクチャ(例えば、ソフトウェアアーキテクチャ)の観点から、
図5と関連してより完全に以下で説明される。しかしながら、一般に、C3サーバシステム106は、本明細書に記載のC3サーバシステム機能を集合的に実行するように集合的に装備、構成、およびプログラムされた1つ以上のサーバの任意の組の形態をとってもよい。
図1に図示されるように、C3サーバシステム106は、通信リンク114を介してデータネットワーク108に通信可能に接続される。
【0028】
図1に図示されるように、C3サーバシステム106内のそれぞれのC3サーバ140~146の各々は、データネットワーク108とのそれ自身のそれぞれの通信リンク114を有してもよく、また、またはその代わりに、単一の通信リンク114は、おそらくファイアウォール、ネットワークアクセスサーバ(NAS)などを介して、C3サーバシステム106をデータネットワーク108と通信可能に接続してもよいことに留意されたい。提示を明確にするために、1つ以上の通信リンク114は、本開示の残りの部分では「通信リンク114」と称される。さらに、
図1にも図示されるように、それぞれのC3サーバ140~146は、プライベートネットワーク138を介して互いに通信可能に相互接続され、プライベートネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、および/または当業者によって所与の実装に好適と見なされる1つ以上の他の選択肢の形態をとるか、またはこれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、図示されているネットワーク138は、現在図示されているように別個のネットワークとして存在せず、そのような実施形態では、それぞれのC3サーバ140~146は、データネットワーク108へのそれらのリンクを介して互いに通信する。C3サーバシステム106と管理者ポータルシステム148との間の通信接続について、以下で論じる。
【0029】
一般事項として、C3サーバシステム106は、HCPシステム102、健康ITシステム118、およびモバイルデバイス104などのエンティティ(および、具体的にはモバイルデバイス104上で実行される1つ以上のMMAなどの1つ以上のアプリケーション)に関して、当該技術分野で使用される用語としての「クラウド」として機能する。いくつかの実施形態では、C3サーバ140~146のサブセットは、HCPシステム102(例えば、以下で詳細に説明されるHCPポータルアプリケーション572を提供するために)、健康ITシステム118、およびモバイルデバイス104のうちの少なくとも1つを提供するのに専用であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、C3サーバ140~146の各々は、これらの3つのエンティティのうちのいずれかの役割を果たすことが可能であり得る。特定のアーキテクチャの実装に関わらず、C3サーバシステム106は、それらのエンティティの特定の目的を有する少なくとも1つのクラウドとして機能する。そのため、少なくとも1つの実施形態では、C3サーバシステム106と任意の1つ以上の他のエンティティとのすべての通信は、安全な通信であり、例として、そのような通信は、当該技術分野で既知のように暗号化および/または署名することができる。そのような通信は、当業者によって様々なコンテキストに好適と見なされるように実装することができる他の通信セキュリティおよびデータセキュリティ選択肢の中でも、VPNなどのトンネル内部にあり得る。
【0030】
様々な異なる実施形態では、および以下でさらに説明されるように、C3サーバシステム106は、HCPシステム102と患者に関連付けられたモバイルデバイス上で動作するMMAとの間の情報およびデータ(例えば、処方箋に関係する)、データストレージ、患者とHCPとの間の関係性の管理、IDNなどの安全かつ信頼性の高い転送などの、言及されたエンティティおよびおそらく他のエンティティの機能を提供およびサポートし、いくつかの実施形態では、代わりにまたは加えて、当業者によって所与の実装に好適と見なされる1つ以上の他の機能を提供およびサポートする。さらに、いくつかの実施形態では、C3サーバシステム106は、支払人(例えば、保険会社)が関与するデータ共有を容易にし、いくつかのそのような実施形態では、支払者エンティティとのそのようなデータ共有は、関連付けられた患者がそのような通信を許可することを選択することを条件とする。また、提供およびサポートされる機能の他の例も同様に、本明細書に列挙することができる。
【0031】
管理者ポータルシステム148は、物理アーキテクチャの観点から、
図4Bと関連してより完全に以下で説明されるが、一般に、本明細書に記載の管理者ポータルシステム機能を実行するように装備、構成、およびプログラムされた任意のコンピューティングデバイスの形態をとってもよい。管理者ポータルシステム148のためのいくつかの選択肢としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ワークステーションなどが挙げられる。
図1に図示されるように、少なくとも1つの実施形態では、管理者ポータルシステム148は、通信リンク150を介して(具体的には、図示されている例では、プライベートネットワーク138を介して)C3サーバシステム106と通信するように操作可能である。他の実施形態では、
図1にも図示されるように、管理者ポータルシステム148は、データネットワーク108を介してHCPシステム102、モバイルデバイス104、および/またはC3サーバシステム106と通信するように操作可能である。また、いくつかの実施形態では、管理者ポータルシステム148は、両方を行うように操作可能である。
【0032】
一般事項として、様々な異なる実施形態では、管理者ポータルシステム148は、HCPポータル102、モバイルデバイス104上で実行されるMMA、および/またはC3サーバシステム106に関して様々なサービスを提供する。そのようなサービスの一例のカテゴリーは、ユーザ管理、ログイン、アクセスレベルなどに関係するものである。少なくとも1つの実施形態では、十分な許可を有するユーザは、管理者ポータルシステム148を使用して、HCPポータル102、モバイルデバイス104上で実行されるMMA、および/またはC3サーバシステム106の様々な設定を変更および/または管理することができる。場合によっては、管理者ポータルシステム148を介して行われる変更は、単一のMMA、単一のユーザ、単一のHCPなどにのみ影響を与え、他の場合には、そのような変更は、複数のMMA、複数のユーザアカウント、複数のHCPなどに影響を与える。例えば、統合送達ネットワーク(IDN)(例えば、ヘルスケア組織のネットワーク)は、IDNに登録された患者のアカウントを管理する管理者ポータルシステム148を設けられてもよい。いくつかの実施形態では、管理者ポータルシステム148は、更新、アップグレードなどを展開するように操作可能である。いくつかの実施形態では、管理者ポータルシステム148は、個々のHCPアカウント、個々の患者アカウントなどを管理するように操作可能である。また、管理者ポータルシステム148を使用することができる、確かに多数の他の例示的な管理機能を本明細書で列挙することができる。
【0033】
図1に図示される例示的な状況では、データネットワーク108は、通信リンク110を介してHCPシステム102と、通信リンク112を介してモバイルデバイス104と、通信リンク114を介してC3サーバシステム106と、および通信リンク152を介して管理者ポータルシステム148と、通信可能に接続される。少なくとも1つの例示的なシナリオでは、データネットワーク108としては、典型的には、インターネットと広義に称されるネットワークの世界的なネットワーク、1つ以上のパブリックIPネットワーク、1つ以上のプライベート(例えば、企業)IPネットワーク、および/または当業者によって所与の実装に好適と見なされる任意の他の種類のうちの1つ以上のIPネットワークなどの1つ以上のInternet Protocol(IP)ネットワークが挙げられる。データネットワーク108を介して通信するエンティティは、IPアドレス(例えば、IPv4アドレスまたはIPv6アドレス)などのアドレスによって識別され得る。しかしながら、これは単なる例であるので、データネットワーク108がIPネットワークであるか、またはIPネットワークを含む必要はない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「通信リンク」としては、1つ以上の有線通信(例えば、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(USB)などの)リンク、および/または1つ以上の無線通信(例えば、セルラー、Wi-Fi、Bluetoothなど)が挙げられ、また、ルータ、スイッチ、ブリッジなどの任意の好適な多くのリレーデバイスを含み得る。具体的には通信リンク112は、モバイルデバイス104との双方向データ通信を容易にするために、少なくとも1つの無線通信リンクを含み得る。さらに、通信リンク128および136のいずれかまたは両方は、近距離無線通信(NFC)リンク、Bluetoothリンク、無線周波数識別(RFID)リンク、直接無線周波数(RF)リンク、および/または1つ以上の他の種類の無線通信リンクのうちの少なくとも1つの形態をとるか、またはこれらを少なくとも含み得る。さらに、通信リンク128および136は、それぞれ(i)モバイルデバイス104と(ii)グルコースメータ126および接続された注射デバイス134との間のポイントツーポイントリンクであり得るが、その必要はなく、いくつかの実施形態では、通信リンク128および136のうちの一方または両方は、例えば、Wi-FiまたはZigBeeルータ、またはセルラーネットワークもしくはタワー(図示せず)を介した間接リンクである。また、他の実装例も同様に、確かに本明細書に列挙することができる。
【0035】
図1に図示される例示的なシナリオでは、健康ITシステム118は、通信リンク116を介してHCPシステム102に通信可能に接続され、一般に、1つ以上のサーバの形態をとってもよい。健康ITシステム118は、それ自体のモニタディスプレイ、キーボード、マウス、タッチスクリーン、または他のユーザインターフェースなどのそれ自体のローカルユーザインターフェースを有しても有さなくてもよい。様々な異なる実施形態では、健康ITシステム118は、任意選択的に、おそらく、当業者によって健康ITシステムに好適と見なされる他の機能の中でも、患者の電子健康記録(EHR-業界では電子医療記録またはEMRとも称される)の安全な維持、安全な格納、および安全なアクセスを提供およびサポートする。さらに、健康ITシステム118は、通信リンク154を介してデータネットワーク108に通信可能に連結される。健康ITシステム118はまた、データネットワーク108を介してC3サーバシステム106と通信することができる。いくつかの実施形態では、健康ITシステム118は、例として、Fast Healthcare Interoperability Resources(FHIR)プロトコル、またはSubstitutable Medical Applications and Reusable Technologies(SMART)プロトコルなどの標準化されたプロトコルを介して、C3サーバシステム106および/またはHCPシステム102とインターフェースで接続する。
【0036】
本明細書に記載の例示的なシナリオでは、患者124は、HCPシステム102に関連付けられたHCPによって糖尿病と診断されており、治療されているが、これは純粋に例であり、限定ではない。記載の実施形態では、モバイルデバイス104(およびモバイルデバイス上で動作する少なくとも1つのMMA)、グルコースメータ126、および接続された注射デバイス134の両方は、各々患者124に少なくともその方式で互いに関連付けられる。上記の関連付け矢印125は、患者124とモバイルデバイス104との一般的な関連付けおよびユーザインターフェースレベルの対話を表すことを意図している。
【0037】
図1では、モバイルデバイス104がグルコースメータ126および接続された注射デバイス134の両方に接続して示されているが、場合によっては、グルコースメータ126および接続された注射デバイス134のうちの一方のみが、様々な異なるシナリオで存在し得、その両方が必要ではないことにさらに留意されたい。実際、患者が別個に手動でグルコースレベルを測定する、および/もしくは投与量情報を記録する必要があるシステムの場合、または薬剤が、経口摂取され、患者124の1つ以上のレベル、状態、もしくは他のパラメータを監視もしくは試験するためのデバイスが必要ではない場合などのいくつかのシナリオでは、モバイルデバイス104に接続された追加の医療デバイスをまったく含まない。場合によっては、患者は、2つ以上のグルコースメータおよび/または2つ以上の接続された注射デバイスをMMAに接続してもよく、例えば、患者は、自宅に1つのグルコースメータおよび/または注射デバイス、ならびに職場に1つのグルコースメータおよび/または注射デバイスを有してもよい。MMAは、各々の複数の接続をサポートするように構成することができる。さらに、場合によっては、グルコースメータおよび/または接続された注射デバイス以外の1つ以上の接続された医療デバイスが存在する。いくつかの例としては、血圧モニタ、脈拍/酸素モニタなどが挙げられる。また、確かに多くの他の例を、本明細書で列挙することができる。
【0038】
グルコースメータ126は、医療、糖尿病治療の目的で患者124に関連付けられ、上記の通信リンク128を介してモバイルデバイス104と通信可能に接続される。グルコースメータ126としては、血中グルコースメータ(BGM)、連続グルコースメータ(CGM)、フラッシュグルコースメータ(FGM)、または患者124の血中グルコースまたはグルコースレベルの他の源を測定する他のデバイス(例えば、コンタクトレンズデバイス、または近IR放射を使用してグルコースレベルを測定するデバイス)を挙げることができる。BGMは、(例えば、患者の指を刺して患者の毛細血管の全血グルコースレベルのスポット測定を行うことによって)患者の血中グルコースレベルの個別のスポット測定を行う。CGMおよびFGMの両方は、センサを使用して間質液中グルコースを測定する。CGMシステムは、センサ、送信機、および受信機/アプリを含み得る。CGMは、患者の間質液中グルコースレベルのより頻繁な(すなわち、より連続的な)測定を行うことができ、任意選択的に、比較的長期間(例えば、一度に数時間または数日)の間、患者によって連続的に装着され得る。そのようなCGMの一例は、Dexcom、Inc.によって製造されたG6センサである。FGMシステムは、患者の身体の一部分に装着または挿入されたセンサ、および作動すると、またはセンサの近位に配置されると、センサからグルコースレベルの読み取り値を受信する読み取り機(例えば、手持ち式読み取り機)を含み得る。そのようなFGMの一例は、Abbott Diabetes Care Inc.によって製造されたFreeStyle Libreデバイスである。いくつかの実施形態では、FGMは、指を刺すことによる検定を必要としない。また、確かに1つ以上の他の種類のグルコースメータも同様に、含まれ得る。
【0039】
CGMおよびFGMシステムは、間質液中グルコースレベルを測定することができ、BGMシステムは、血中グルコースレベルを測定することができる。簡潔性および読みやすさのために、本開示の残りの部分では、単に「グルコース」レベル、または「GL」を指す。そのような参照は、必要に応じて、血中グルコースまたは間質液中グルコースのいずれかを指し得ることが理解される。
【0040】
接続された注射デバイス134はまた、医療、糖尿病治療の目的で患者124に関連付けられ、上記の通信リンク136を介してモバイルデバイス104と通信可能に接続される。デバイス134は、薬物または薬剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、システムは、デバイス134を含む1つ以上のデバイスおよび薬物または薬剤を含み得る。「薬物」または「薬剤」という用語は、限定されないが、インスリン、インスリンリスプロまたはインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、および上のデバイスによる送達が可能である任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。デバイス134で使用されるような薬物または薬剤は、1つ以上の賦形剤を配合され得る。デバイスは、本明細書に概して記載されているように、患者、介護者、または医療従事者によって、人に薬物を送達する様式で操作される。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、接続された注射デバイス134は、接続されたインスリン送達デバイスと当該技術分野でときに称されるもの(例えば、注射されたインスリンの量を自動検出し別の電子デバイスに報告するための、統合されたおよび/または取り付け可能な電子機器を有するペンなどの接続されたインスリンペン)であるか、または少なくともそれを含む。様々な異なる実施形態では、接続された注射デバイス134は、各々が参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる以下の特許出願のうちのいずれかに記載のインスリン送達デバイスのうちの1つ以上の形態をとるか、またはそれらを含む。
・2017年12月8日出願の、Medication Delivery Device with Sensing Systemと題されたPCT出願第PCT/US17/65251号(弁護士整理番号X21353)、
・2018年2月22日出願の、Dose Detection and Drug Identification for a Medication Delivery Deviceと題されたPCT出願第PCT/US18/19156号(弁護士整理番号X21457)、および
・2017年8月31日出願の、Dose Detection with Piezoelectric Sensing for a Medication Delivery Deviceと題された米国仮特許出願第62/552,659号(弁護士整理番号P21462)。
【0042】
さらに、場合によっては、本開示のこれらの2つのデバイスのうちの1つの機能のうちの1つ以上は、それらの2つのデバイスの他方、および/または1つ以上の追加のデバイスであるか、または代わりにそれらによって補われる。一例では、単一のデバイスが、グルコースを監視(および結果を報告)すること、およびインスリンを注射(および注射された量を報告)することの両方ができる。また、確かに他の機能の組み合わせを、本明細書で列挙することができる。
【0043】
さらに、また以下で説明されるように、いくつかの実施形態では、モバイルデバイス104上で実行されるMMAは、様々な理由(例えば、投与コマンドの送信、投与量確認報告の受信、(例えば、グルコース)読み取り値の要求、1つ以上の測定値の受信など)のために、例示的なグルコースメータ126および接続された注射デバイス134などの1つ以上の接続された医療デバイスと通信する。そのような通信は、所与のデバイスとの一方向または双方向の様式であり得る。接続された医療デバイスからMMAに伝達することができる情報の追加の例としては、エラーコード、デバイスの測定基準、投与記録、および/または投与確認が挙げられる。また、確かに他の例を、本明細書で列挙することができる。さらに、場合によっては、グルコースメータ126と、接続された注射デバイス134との間など、様々な接続された医療デバイス間に直接通信リンクが存在する。
【0044】
概念的な情報フロー矢印130は、他の情報の中でも、以下でより完全に説明されるように、HCPシステム102が、直接、データネットワーク108を介して、C3サーバシステム106を介して、またはいくつかの他の中間コンポーネントもしくはネットワークを介してのいずれかで、HCP選択薬剤投与レジメン(例えば、ボーラス投与レジメン)処方箋をモバイルデバイス104上で実行されるMMAに送信することを、図によって概念的に図示することを意味している。同様に、概念的な情報フロー矢印132は、他の情報の中でも、以下でより完全に説明されるように、モバイルデバイス104上で実行されるMMAが、直接、またはC3サーバシステム106を介してのいずれかで、患者の糖尿病および/または1つ以上の他の健康に関係する状態、話題などに関する、患者によって追跡され、患者によって共有される健康データを送信することを、図によって概念的に図示することを意味している。
【0045】
一般事項として、少なくとも1つの実施形態では、HCPシステム102、健康ITシステム118、モバイルデバイス104(モバイルデバイス上で実行されるMMAを含む)、C3サーバシステム106、および管理者ポータルシステム148を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載のエンティティのうちのいずれかは、1つ以上の他のエンティティを通じてその通信をルーティングすることを必要とせずに、それらのエンティティのうちの他の任意のものと通信することができることが理解されるべきである。例えば、少なくとも1つの実施形態では、HCPシステム102およびモバイルデバイス104は、情報をC3サーバシステム106に通過させることを必要とせずに、情報を交換することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、1つ以上のエンティティは、少なくとも1つの追加のエンティティを介して互いに通信し、一例として、少なくとも1つの実施形態では、データ(例えば、HCP選択レジメンデータ)は、HCPシステム102から、C3サーバシステム106を介してモバイルデバイス104上で実行されるMMAに通信される。
【0046】
B.例示的なHCPシステム(例示的な物理アーキテクチャ)
図2は、少なくとも1つの実施形態による、HCPシステム102の例示的な物理アーキテクチャを図示している。当業者によって好適と見なされる他のアーキテクチャを実装することができるので、このアーキテクチャは、限定ではなく例として提供される。
図2に図示されるように、HCPシステム102は、通信インターフェース202、プロセッサ204、データストレージ206、および前述のディスプレイ120を含むユーザインターフェース208を含む。
【0047】
通信インターフェース202は、有線通信用のイーサネットカードなどの1つ以上のコンポーネント、および/または無線通信用のWi-Fiチップなどの1つ以上のコンポーネントを含み得る。プロセッサ204は、中央処理ユニット(CPU)などの汎用マイクロプロセッサであり得る。データストレージ206は、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM))、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ、光メモリなど)などの任意の好適な非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)であり得るか、またはそれらを含み得、少なくとも本明細書に記載のHCPポータルシステム機能を実行するためにプロセッサ204によって実行可能な指示を含み得る。ユーザインターフェース208は、ディスプレイ120に加えて、スピーカ、インジケータLEDなどの1つ以上の出力デバイスを含み得、当該技術分野で既知であるようにキーボード、マウス、トラックパッド、マイクロフォンなどの1つ以上の入力デバイスをさらに含み得る。HCPシステム102の様々なコンポーネントは、システムバス210を介して通信可能に相互接続されたものとして図示されている。
【0048】
さらに、本システムおよび方法の少なくとも1つの実施形態では、HCPシステム102は、(
図5に図示され、また本明細書では「HCPポータルアプリケーション572」とも称される)HCPポータル572を動作または実装することが理解されるべきである。HCPポータル572は、HCPシステム102のハードウェア上で実行されるソフトウェアまたはファームウェアアプリケーションであり得る。例えば、HCPポータル572は、HCPの電子健康記録(EHR)システム内で実行されるウィジェットの形態をとってもよい。そのようなウィジェットは、FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)上のSMART(Substitutable Medical Apps、Reusable Technology)などのプロトコルを使用して、HCPのEHRシステムと統合することができる。いくつかの実施形態では、HCPポータル572は、ウェブブラウザ内で動作するウェブアプリケーションの形態をとってもよい。例示的な例では、HCPは、HCPシステム102上のウェブブラウザをハイパーリンクにポイントすることによってHCPポータル572にログインし、その後、HCPポータル572がブラウザで開く。少なくとも1つのそのような実施形態では、HCPポータル572内のHCPポータルコンテンツは、C3サーバシステム106によってホストされる。したがって、いくつかの例では、HCPシステム102は、患者データ(例えば、患者の医療記録、投与レジメンデータなど)をほとんどまたは全く格納せず、代わりに、そのHCPユーザとC3サーバシステム106との間のそのような患者データの単なる伝達手段として機能する。いくつかのそのような実施形態では、ウェブブラウザ自体(例えば、Microsoft Edge、Google Chrome、Apple Safariなど)のコード、同様におそらくウェブアプリケーションのコード(例えばJava)アドオンの形態でローカルに格納されたデータがある。また、当業者によって所与の実装に好適と見なされ得る操作可能なコードおよび/または他の実質的なデータの集中的かつ/または分散される性質に関する他のバリエーションを、確かに本明細書に列挙することができる。
【0049】
C.例示的なモバイルデバイス(例示的な物理アーキテクチャ)
図3は、少なくとも1つの実施形態による、モバイルデバイス104の例示的な物理アーキテクチャを図示している。検証することによって理解され得るように、
図3は、多くの方式で
図2と同様であり、したがって、本明細書では詳細に説明していない。しかしながら、モバイルデバイス104はモバイルデバイスであるので、当業者は、対応する違いが、無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)通信(例えばLTEによる)および無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信(例えばWi-Fiによる)、ならびにNFC、Bluetooth、RFID、RFなどの追加の無線通信機能を有するものの両方用におそらく装備、プログラム、および構成されている通信インターフェース302などのコンポーネントの各々に存在し得ることを理解するであろう。さらに、プロセッサ304は、少なくとも1つの実施形態では、モバイルデバイスの実装に好適であるように選択され、データストレージ306は、限定されないが本明細書に記載のMMAを実行することを含む、本明細書に記載の少なくともモバイルデバイス機能を実行するプロセッサ304によって実行可能な指示を含む。最後に、ディスプレイ122に加えて、ユーザインターフェース308は、モバイルデバイスの設置に好適な1つ以上のユーザ入力および/またはユーザ出力コンポーネント(例えば、タッチスクリーン、スタイラス、ポインティングおよびクリックデバイス、ソフトキー、キーボード、マイク、スピーカ、カメラ、データポートなど)を含む。モバイルデバイス104の様々なコンポーネントは、システムバス310を介して通信可能に相互接続されたものとして図示されている。
【0050】
D.例示的なC3サーバ(例示的な物理アーキテクチャ)
図4Aは、少なくとも1つの実施形態による、C3サーバシステム106のC3サーバ140~146のうちの例示的な1つとして選択された、C3サーバ140の例示的な物理アーキテクチャを図示している。上記のように、C3サーバシステム106は、1つのみを含み、また2つ以上を含む、任意の数のサーバの形態をとってもよい。
図1では、第3と第4の間に省略記号を有する4つのC3サーバ140~146は、この数値的な柔軟性を示すことを意図している。また理解され得るように、
図4Aは、多くの点で
図2および
図3の両方と同様であり、したがって、本明細書では詳細に説明していない。
【0051】
ほとんどのシナリオでは、C3サーバ140のアーキテクチャは、そのような様々なアーキテクチャが可能であるパフォーマンスのレベルおよびのデータ処理以外の理由がない場合、典型的には、モバイルデバイス104のアーキテクチャよりもHCPシステム102のアーキテクチャに類似しているであろう。しかしながら、HCPシステム102と比較しても、少なくとも1つの実施形態では、C3サーバ140のアーキテクチャに違いがある。データセキュリティ上の理由から、通信インターフェース402は、有線通信ハードウェア(例えば、イーサネットカード)のみを含み得、HCPシステム102と比較して、より多くのデータ通信インターフェースを含み得る。
【0052】
同様に、プロセッサ404およびデータストレージ406は、典型的には、HCPシステム102に典型的に求められるであろうよりも多くの通信、ストレージ、データ処理などを処理するように選択されるであろう。データストレージ406は、少なくとも本明細書に記載のC3サーバ機能を実行するための、プロセッサ404によって実行可能な指示を含む。最後に、ユーザインターフェース408は、それがすべての実施形態に存在するわけではないことを示すために破線で図示されている。例えば、場合によっては、C3サーバ140は、リモートデスクトップ接続、シェル接続などのデータ接続を介して、ユーザインターフェースのような様式でのみアクセス可能である。C3サーバ140の様々なコンポーネントは、システムバス410を介して通信可能に相互接続されたものとして図示されている。
【0053】
本明細書に記載されるように、少なくとも1つの実施形態では、C3サーバシステム106は、C3サーバシステムに、本明細書に記載されているC3サーバシステム機能の様々な組み合わせを実行させるために、1つ以上のC3サーバ140~146の1つ以上のプロセッサのうちの1つ以上によって実行可能な指示を集合的に含む。
図7の以下で説明される方法700は、そのような1つの例示的な組み合わせである。実際、少なくとも1つの実施形態では、C3サーバシステム106を実装するための論理は、複数の物理サーバ全体に分散されている。少なくとも1つの実施形態では、特定のアクセス要求などを容易にするために使用されるハードウェア(例えば、データストレージ、プロセッサ機能、ウェブサーバ、スイッチ、ルータ、通信リンクなど)は、異なるアクセス要求がハードウェアの異なる組を容易にすることができるように、動的にプロビジョンされる。そのようなハードウェアは、要求の地理的位置、負荷分散、必要なサービス品質(QoS)、サービス合意パラメータなどの様々な要因に基づいて、特定のアクセス要求に対して動的にプロビジョンすることができる。次いで、C3サーバシステムは、その用語が当該技術分野で使用されている「クラウド」と考えることができ、そのクラウドは、仮想サービスを集合的かつ動的に動作させるサーバの分散ネットワークを含む。少なくとも1つの実施形態では、そのような各仮想サービスは、それ自体の自己完結型ソフトウェアプロセスである。さらに、所与の仮想サービスの所与の場合を実際に実行する特定のハードウェアサーバ(または複数のサーバ)は、この段落で述べたものなどの1つ以上の要因に応じて、オンザフライで動的に割り当てられる。
【0054】
E.例示的な管理者ポータルシステム(例示的な物理アーキテクチャ)
図4Bは、少なくとも1つの実施形態による、管理者ポータルシステム148の例示的な物理アーキテクチャを図示している。検証することによって理解され得るように、
図4Bは、多くの方式で
図2、
図3、および
図4Aの各々と同様であり、したがって、本明細書では詳細に説明していない。上記のように、管理者ポータルシステム148のためのいくつかの選択肢としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ワークステーションなどが挙げられる。管理者ポータルシステム148は、少なくとも本明細書に記載の管理者ポータルシステム機能を実行するのに好適に装備、プログラム、および構成された任意の1つ以上のコンピューティングデバイスの形態をとってもよい。
図4Bに図示されるように、管理者ポータルシステム148は、通信インターフェース452、プロセッサ454、少なくとも本明細書に記載の管理者ポータルシステム機能を実行するためのプロセッサ454によって実行可能な指示を含むデータストレージ456、およびユーザインターフェース458を含み、これらのすべては、システムバス460を介して互いに通信可能に接続される。
【0055】
さらに、少なくともいくつかの実施形態では、HCPシステム102と同様に、管理者ポータルシステム148は、管理者ポータルアプリケーション(図示せず)を動作または実装することが理解されるべきである。管理者ポータルアプリケーションは、管理者ポータルシステム148のハードウェア上で実行されるソフトウェアまたはファームウェアアプリケーションであり得る。例えば、管理者ポータルアプリケーションは、ウェブブラウザ内で動作するウェブアプリケーションの形態をとってもよい。管理者またはユーザは、管理者ポータルシステム上のウェブブラウザをハイパーリンクにポイントすることにより、管理者ポータルアプリケーションにログインすることができ、その後管理者ポータルアプリケーションがブラウザで開く。そのような実施形態では、管理者ポータルアプリケーション内のコンテンツは、C3サーバシステム106によってホストされ得、患者データ(例えば、患者の医療記録、投与レジメンデータなど)を、管理者ポータルシステム148上でローカルにほとんどまたは全く格納しなくてもよい。代わりに、管理者ポータルシステム148は、その管理者/ユーザとC3サーバシステム106との間の患者データの単なる伝達手段として代わりに機能する。
【0056】
F.例示的なC3サーバシステム(例示的な機能アーキテクチャ)
図5は、少なくとも1つの実施形態による、C3サーバシステム106の例示的な機能アーキテクチャを図示している。この機能アーキテクチャは、限定ではなく例として提供され、他の機能アーキテクチャは、当業者によって様々な異なるコンテキストに好適と見なされるように実装され得ることが理解されるべきである。様々なデータストア、サービス、ゲートウェイ、リンク、およびインターフェースの各々を含む、C3サーバシステム106の機能アーキテクチャは、当業者によって好適と見なされるハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェア(ファームウェアおよび/またはソフトウェアはハードウェア上で動作する)の任意の組み合わせを使用して実装することができる。また、C3サーバシステム106に加えて、エンティティが、
図5に示されるアーキテクチャ500に図示されていることにも留意されたい。これは、C3サーバシステム106の「106」と標識された左波括弧によって明確にされており、当該左波括弧の外のコンポーネントは、C3サーバシステム106に加えてエンティティに関連付けられている。
【0057】
図5で理解され得るように、アーキテクチャ500は、コンピューティングおよびプログラミング技術において、「インターフェース」によって分離された「層」として知られているもののうちの4つを含み、これらは、他の利点の中でも、複雑なシステムのカプセル化および管理性を容易にする論理構造である。アーキテクチャ500は、データ層502、内部ウェブサービス(IWS)層504、外部向けサービス(EFS)層506、およびアプリケーション層508を含む。データ層502は、データIWSインターフェース503によってIWS層504から分離され、IWS層は、IWS-EFSインターフェース505によってEFS層506から分離され、EFS層は、EFSアプリケーションインターフェース507によってアプリケーション層508から分離される。さらに、インターフェース509は、ユーザがシステム全体と対話し、具体的にはアプリケーション層508と直接対話するであろうアーキテクチャ500の論理部分を表す、言い換えれば、インターフェース509は、多くの場合当該技術分野において「マンマシンインターフェース」と称されるものであることに留意されたい。
【0058】
図示されている実施形態では、データ層502は、複数のデータストア510a~eを含む。各データストア510a~eは、本明細書に記載のマイクロサービス514、516、518、520、および/または522のうちの1つに対応する。データストア510a~eは、氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、社会保障番号などの個人識別情報(PII)を含む、患者および/または医療データを集合的に含む。データストア510a~eはまた、治療、定義、投与レジメン(すなわち、テンプレート)などのPII以外の情報を集合的にしてもよい。少なくとも1つの実施形態では、データ層502は、Amazon.com,Inc.(Seattle,Washington)の子会社であるAmazon Web Servicesによって運営および提供されるオンデマンドクラウドコンピューティングプラットフォームおよびサービスを使用して実装される。少なくとも1つの他の実施形態では、データ層502は、Heroku(San Francisco,California)によって開発されたPostgreSQL製品を使用して実装される。また、確かに他の選択肢も同様に、本明細書で列挙することができる。少なくとも1つの実施形態では、データ層502は、Health Level Seven International(HL7)(Ann Arbor,Michigan)によって提示されているFHIR基準に従って編成される。
【0059】
IWS層504は、複数のマイクロサービス514、516、518、520、および522を含む。サービス520とサービス522との間の省略記号は、当業者によって所与の実装に好適と見なされるような任意の数のサービスが、IWS層504に存在し得ることを示すことを意味している。各マイクロサービスは、ある特定の種類のデータまたは機能の処理を担うソフトウェアサービスとして実装される、データゲートウェイである。例示的なマイクロサービスとしては、登録された患者または将来の患者に関係するPIIを処理するための「個人」マイクロサービス、処方箋の注文に関係するデータを処理するための「注文」マイクロサービス、HCPによって入力されるかまたはモバイルデバイス上で実行されるMMAによって観察された患者の観察に関係するデータを処理するための「観察」マイクロサービス、ユーザのアクセス権および許可に関係するデータを処理するための「ユーザアクセス」マイクロサービス、ユーザのモバイルデバイスがC3システム106によって提供される機能と互換性があることを確認するための「クライアント互換性」マイクロサービス、ならびに患者によって処理/または患者に投与される薬物の種類に関係するデータを処理するための「物質」マイクロサービスが挙げられる。各マイクロサービス514~522は、対応する通信リンク511a~eを介して1つのデータストア510a~eにアクセスすることができる。
【0060】
各内部サービス514~522は、少なくとも1つの実施形態では、データストア510a~eに格納されたデータへの、読み取りアクセスおよび書き込みアクセスを含むアクセスが、それぞれの内部サービス514~522によって定義および許可された様式で、EFS層506の様々なゲートウェイ524~530に対してのみ利用可能であるように設計される。少なくとも1つの実施形態では、IWS層504は、Amazon Web Servicesを使用して実装される。別の実施形態では、IWS層504は、またHerokuによって開発されたHeroku Platformを使用して実装される。また、確かに他の選択肢も同様に、本明細書で列挙することができる。
【0061】
図5に関連して説明される「リンク」は、論理アクセスリンクを表し、物理通信リンクである必要はなく、
図5に存在する論理アクセスリンクは、少なくとも記載されている実施形態では、適切な構成、認可、認証、許可などが、対応するエンティティ間の通信を容易にするために配置されていることを示すことにさらに留意されたい。
【0062】
EFS層506は、HCPポータルゲートウェイ524、MMAゲートウェイ526、MMAゲートウェイ528、および管理ゲートウェイ530を含む。さらに、MMAゲートウェイ526と528との間の省略記号は、任意の好適な数のMMAゲートウェイを実装することができることを示し、アプリケーション層508内のモバイルデバイス104と532の間の省略記号は、同じことを示すことを意味している。各MMAゲートウェイは、MMAの特定の種類またはバージョンに対応する。MMAの種類またはバージョンごとに専用のMMAゲートウェイインスタンスを実装することは、設計上の選択であり、他も可能である。この図示された実施形態では、IWS-EFSインターフェース505全体で、IWS-EFSインターフェース505のシステムバスのような図示によって、EFS層506のゲートウェイのうちのいずれかが、必要に応じて内部サービス514~522のうちのいずれかを呼び出すことが可能であることが理解され得る。少なくとも1つの実施形態では、IWS層502の内部サービス514~522へのアクセスが、それぞれのゲートウェイ524~530によって定義および許可された様式で、アプリケーション層508のエンティティにのみ利用可能であるように、EFS層506内の各ゲートウェイ524~530は設計される。例えば、一実施形態では、HCPシステム102上で実行されるHCPポータル572は、HCPポータルゲートウェイ524を通じて内部サービス514~522にアクセスすることができ、同様に、モバイルデバイス104上で実行されるMMA568は、MMAゲートウェイ526を通じて内部サービス514~522にアクセスすることができる。少なくとも1つの実施形態では、EFS層506は、Amazon Web Servicesを使用して実装される。少なくとも1つの他の実施形態では、EFS層は、Heroku Platformを使用して実装される。また、確かに他の選択肢も同様に、本明細書で列挙することができる。
【0063】
アプリケーション層508は、Health Information Technology User Interface(HIT UI)574を実行するHCPシステム102を含み、これは、ひいてはHCPポータル572を実行している。アプリケーション層508は、(本開示に従ってMMA568を実行する)上記のモバイルデバイス104、(本開示に従ってMMA570として図示されている別の種類またはバージョンのMMAを実行する)第2のモバイルデバイス532、管理ポータル534、および管理ポータル536をさらに含む。前述の楕円と同様に、モバイルデバイス104とモバイルデバイス532との間の省略記号は、任意の好適な数のモバイルデバイスがアプリケーション層508に存在し得ることを示すことを意味している。さらに、単一のMMAゲートウェイ(例えば、MMAゲートウェイ526)は、各々同じ種類またはバージョンのMMA(例えば、MMA568)を実行する複数のモバイルデバイスに接続され得る。同様に、管理ポータル534と管理ポータル536との間の省略記号は、任意の好適な数のシステム管理者レベルのポータルが、当業者によって所与のコンテキストに好適と見なされるように実装され得ることを示すことを意味している。一実施形態では、管理ポータル534は、臨床的側面に関連してC3サーバシステム106の管理のために構成された臨床C3管理サーバである。一実施形態では、管理ポータル536は、製造-サポートの側面に関連してC3サーバシステム106の管理のために構成された製造-サポートC3管理サーバである。また、確かに他の例を、本明細書で列挙することができる。少なくとも1つの実施形態では、管理ポータル534および管理ポータル536の一方または両方は、管理者ポータルシステム148上で実行されるプロセスである。さらに、HCPポータルに関係する省略記号または追加のHCPポータルは、
図5に図示されていないが、任意の好適な数のHCPポータルが所与のコンテキストで実装され得ることもまた事実である。
【0064】
HCPシステム102は、HCPにHealth Information Technology User Interface(HIT UI)574を提供することができる。いくつかの実施形態では、HIT UI574は、HCPがHIT118に格納された患者または非患者のデータおよび記録を閲覧、編集、作成、または対話することを可能にするウェブアプリケーション、シェル、または他の好適なユーザインターフェースであり得る。ひいてはHIT UI574は、HCPのコマンドで、HIT UI574内の別個のユーザインターフェースとしてHCPポータル572を起動することができる、HCPポータル572の例示的なスクリーンショットは、
図9~18の一部として提供されている。本明細書で前述したように、HCPポータル572は、HCPがC3サーバシステム106との間で患者データにアクセスまたは患者データを提供することを可能にする、ウェブブラウザ内で実行されるウェブアプリケーションの形態をとってもよい。少なくともいくつかの実施形態では、HCPポータル572はまた、HIT118とインターフェースし、HIT118との間で患者データにアクセスまたは患者データを提供することができる。この方式で、HCPは、HIT UI574内の特定の患者の記録を閲覧しながらボタンまたはキーをクリックすることによりHCPポータル572を起動して、薬剤投与レジメンを処方し、患者の観察または記録された投与履歴を閲覧し、本明細書に記載のHCPポータルの他の機能にアクセスすることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、HIT UI574およびHCPポータル572は、両方とも同じベンダーによって提供され得る。他の実施形態では、HIT UI574は、第1のベンダーによって提供され得、HCPポータル572は、第2のベンダーによって提供され得る。HCPポータル572は、上述のFHIR上のSMARTなどの業界基準を使用してHIT UI574に統合することができる。この方式でHCPポータル572を統合することにより、ポータル572を通じて、HCPがデータを手動で入力する必要なくHIT118から患者データにアクセスすることを可能にし、HIT UI574に戻る必要なく、HCPが適切な投与レジメンを選択して、薬剤、病歴、検査結果、過去の血糖値記録、インスリン投与量情報などの重要な患者データを再度閲覧することを可能にする。場合によっては、HCPポータル572はまた、特定の患者に関係する人口統計データの最小セット(例えば、患者氏名、生年月日、患者固有の識別子、または患者のEHR固有の識別子)をHIT118から引き出し、この人口統計データをバナーまたは他の目立つように表示された領域に表示するように構成することもできる。これは、HCPが正しい患者記録で作業することを確認するのに役立ち得る。
【0066】
HCPポータル572は、HITUI 574内にカプセル化されて図示されているが、HCPポータル572はまた、任意の健康ITシステムの外のスタンドアローンアプリケーションとして実装してもよい。そのような場合、HCPシステム102は、HIT UI574なしでHCP-ポータル572を実行または実装するであろう。そのような実施形態では、HCPポータル572は、任意選択的に、依然として健康ITシステムから患者データを引き出すことができるが、健康ITシステムのユーザインターフェース内から別個のウィンドウまたはグラフィカルユーザインターフェースとして起動することはできない。当然、HCPポータル572はまた、健康ITシステムと全く通信しないように構成することもでき、そのような実施形態では、患者の医療および個人データを手動で入力し、HCPポータル572に格納する必要があり得る。
【0067】
EFSアプリケーションインターフェース507全体で、HCPシステム102のみが、リンク558を介してHCPポータルゲートウェイ524にアクセスすることができ、MMA568(モバイルデバイス104上または複数のモバイルデバイス上)のみが、リンク560を介してMMAゲートウェイ526にアクセスすることができ、MMA570(モバイルデバイス532上、または複数のモバイルデバイス上)のみが、リンク562を介してMMAゲートウェイ528にアクセスすることができ、C3管理ゲートウェイ530は、C3管理ポータル534(リンク564を介して)およびC3管理ポータル536(リンク566を介して)の両方によってアクセス可能である。そのような制限されたアクセスは、図示されている実施形態では、双方向であり、その場合、C3サーバシステム106は、HCPポータルゲートウェイ524およびリンク558を介してHCPシステム102にのみアクセスすることができ、C3サーバシステム106は、MMAゲートウェイ526およびリンク560を介してMMA568にのみアクセスすることができ、同様に、MMAゲートウェイ528およびリンク562を介してMMA570に、ならびにC3管理ゲートウェイ530およびリンク564および566を介してそれぞれのC3管理ポータル534および536にアクセスすることができる。
【0068】
G.例示的なエコシステム
図6は、少なくとも1つの実施形態による、例示的な通信および処理エコシステム600における、様々なエンティティを図示している。当然、エコシステムという用語は、本明細書では生物学に関する言葉の意味ではなく、通信および処理のコンピューティングのコンテキストで使用される。必要に応じて、
図1~5に関連して上で論じられた要素もまた、エコシステム600のコンテキストにそのような要素を配置することによって、読者の理解を支援するために
図6でラベル付けされており、エコシステムは、HCP関与エリア602、患者関与エリア604、集団管理エリア606、およびケア管理エリア608を含み、これらのすべては、C3サーバシステム106を介して互いに通信可能に対話および相関しており、
図6では、C3サーバシステム106は、データ分析エンジンを含んでこの図示に示されている。上記のように、いくつかの実施形態では、C3サーバシステム106は、保険会社、メディケアなどの支払人エンティティと通信可能に接続する(例えば、(おそらく患者がオプトインした条件でのみ)データを共有し、支払人からデータを受信する)。
【0069】
データ分析エンジンは、患者のモバイルデバイスによって収集された、またはそれらを介してアクセス可能なデータおよび/または健康記録データを分析して、疾患または状態に関係する患者の行動または症状に関する洞察を推進するように構成され得る。分析されたデータは、単一の患者に固有であり、その患者に特有の洞察を引き出すために使用することができる。例えば、データ分析エンジンは、糖尿病患者のグルコース読み取り値のログの分析を通じて、患者がある特定の条件下で、例えば、ある特定の時刻、ある特定の種類の食事を食べた後、ある特定の曜日、ある特定の地理的場所への出入り、ある特定の種類の身体活動の前/最中/後、および他の種類の状態で、高血糖または低血糖を呈する傾向があることを決定することができる。これらの洞察に基づいて、データ分析エンジンは、患者のHCPに通知する、観察された高血糖もしくは低血糖エピソードに関係する教育的コンテンツを患者に勧める、または最も効果がありそうな特定の時間もしくは場所で患者に患者の行動を変更するように促す(例えば、就寝直前、運動直後、または特定の地理的場所に出入りするときに患者に薬剤を摂取するように促す)など、多様なアクションをとることができる。
【0070】
エコシステム600のHCP関与エリア602は、HCPシステム102および健康ITシステム118を含み、
図6に述べられているように、HCPが、C3サーバシステム106を運用する会社または他の組織に製品を注文し、そのような製品への洞察にアクセスし、現在のシステムおよび方法を既存の臨床ワークフローに統合することを可能にする。
【0071】
エコシステム600の患者関与エリア604は、MMA568を実行するモバイルデバイス104、患者124、グルコースメータ126、接続された注射デバイス134、および血圧または他の測定値などの多くの他の患者に関係する医療デバイスを含む。エコシステム600の患者関与エリア604では、本システムおよび方法の目標は、
図6に述べられているように、患者の負担を低減し、結果を改善するための関連性のある価値の高い意思決定のサポートを提供することを含む。
【0072】
エコシステム600の集団管理エリア606は、(おそらく、HCPシステム102のものと物理アーキテクチャにおいて同様の)コンピューティング装置、ならびに複数の患者の個人的な医療情報の適切な格納および維持のためのEMR/HIE(健康情報交換)システムを含む。エコシステム600の集団管理エリア606では、本システムおよび方法の目標は、
図6に述べられているように、臨床的および財政的利害関係者(支払者、健康保健制度など)が集団を評価し、リスクの高い患者により良いサービスを提供することを可能にすることを含む。
【0073】
エコシステム600のケア管理エリア608はまた、HCPシステム102のものと同様のコンピューティング装置、ならびにそれ自体のEMR/HIEシステムを含み、一般に、多くの場合所与の患者の「ケアチーム」と称される者を含む遠隔監視および臨床意思決定サポート(CDS)専用である。このケアチームは、患者の健康および福祉にすべて関係する様々な異なる役割を有する複数の異なるHCP(異なる種類の医師、異なる種類の看護師、セラピスト、介護人など)を含み得る。エコシステム600のケア管理エリア608では、本システムおよび方法の目標は、
図6に述べられているように、ケアチームが、支援を必要とする患者を識別および優先することを可能にし、また患者とケアチームとの間の直接の対話を可能にすることを含む。
【0074】
少なくとも1つの実施形態では、介護者、近親者などが、MMA568を介して患者124によって受信、記録、追跡、または入力されたデータの一部またはすべてにアクセスすることを可能にするコンパニオンMMAが設けられる。少なくとも1つのそのような実施形態では、コンパニオンMMAを使用する人は、患者のログブック(例えば、グルコース測定値、投与量情報、食事に関係する情報などを含む)、ならびに処方された投与レジメン(複数可)、および/または当業者によって所与の実装に好適と見なされる他の種類のデータを閲覧することが可能である。コンパニオンMMAを介して閲覧可能なデータの量および/または種類は、デフォルト値に設定することができ、またHCP、患者124、および/または1人以上の他の個人によって、所与の実装の設計パラメータに応じて調整可能であってもよい。
【0075】
本システムおよび方法によれば、C3サーバシステム106は、エコシステム600における上記の目標および他の目標を容易にする多くの機能を提供およびサポートする。1つのそのような機能は、データストレージであり、少なくとも1つの実施形態におけるC3サーバシステム106は、データを安全に格納し、これにより、HCPシステム102およびMMA568が互いに安全に通信することを可能にする。(例えば、MMAアプリ568が、モバイルデバイス104、ならびに非常に一般的であるように、スマートフォンおよびタブレットの両方を有し得る患者124に関連付けられたおそらく別のモバイルデバイス上でインスタンス化される実施形態では、ならびに/または、患者124が、当該技術分野でも一般的に実装されているように、例えば、ウェブポータルを介して同様の機能および情報にアクセスすることができる実施形態では)C3サーバシステム106はさらに、MMAユーザが、彼らの医療データを安全にバックアップし、複数のデバイスにわたりデータの一貫性を達成することを可能にする。
【0076】
様々な実施形態では、本明細書に記載されるように、HCPは、HCPシステム102およびC3サーバシステム106を介して投与レジメンを設定し、C3サーバシステム106の安全なデータ転送機能を介して投与レジメンをMMA568に送信する。さらに、様々な実施形態では、C3サーバは、患者の履歴データ、投与レジメン状況などを、HCPシステム102および/またはMMA568を介して利用可能にする。さらに、少なくとも1つの実施形態では、HCPシステム102を介したHCPと、MMA568およびモバイルデバイス104を介した患者124との間のC3サーバシステム106によって、安全な通信(すなわち、メッセージ送受信または受信箱機能)が容易になる。さらに、様々な異なる実施形態では、C3サーバシステム106は、ソフトウェア更新、リコール通知、および/または当業者によって所与の実装または所与のコンテキストに好適と見なされる他の機能を容易にする。
【0077】
I.例示的な操作
A.HCPポータル
図7は、少なくとも1つの実施形態による、C3サーバシステム106によって実行され得る、例示的な方法700を図示している。方法700を実行するC3サーバシステム106の本明細書の説明は、限定としてではなく例示のために提供されており、方法700は、任意のデバイス、または方法を実行するように好適に装備、プログラム、および構成されているデバイスの組によって実行され得ることが理解されるべきである。
【0078】
ステップ702では、C3サーバシステム106は、HCPポータル572を介して、HCPシステム102のユーザインターフェース208を利用して、患者124に関係する複数の薬剤投与レジメンを提示する。少なくとも1つの実施形態では、提示された薬剤投与レジメンの各々は、それぞれの異なる薬剤投与アルゴリズムに関連付けられている。例示的な薬剤投与レジメンおよびアルゴリズムは、以下でより詳細に論じられる。
【0079】
提示された薬剤投与レジメンのうちのいずれか1つ以上は、オープンループレジメンまたはクローズドループレジメンとして当該技術分野で既知のものであり得る。一般に述べられているように、クローズドループレジメンは、患者に関して取られた(例えばグルコースレベルの)測定値などの自動感知フィードバックに少なくとも部分的に基づく自動化された様式で、1つ以上の薬剤の用量(例えば、量、タイミングなど)を繰り返し調整する一方で、オープンループレジメンは、自動化された様式で薬剤の用量を繰り返し調製しない。しかしながら、多くの場合、オープンループ薬剤投与レジメンは、患者がフィードバックパラメータを手動で入力する、より手動の様式の同様の履歴データで構成される。オープンループ薬剤投与レジメンはまた、患者が手動で薬剤分配を制御することを必要とし得る。より一般には、本システムおよび方法は、任意の特定の種類の投与レジメン、任意の特定の薬剤もしくは薬剤の種類、または患者への薬剤の特定の送達様式(例えば、注射、静脈内、経口など)に限定されない。
【0080】
ステップ704では、C3サーバシステム106は、HCPポータル572を介して、HCPシステム102のユーザインターフェース208を利用して、提示された薬剤投与レジメンのうちの少なくとも1つの(患者124のための)HCP選択を受信する。本開示の用語において、選択された少なくとも1つのレジメンは、「少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメン」、「少なくとも1つのHCP選択レジメン」などと称される。
【0081】
少なくとも1つの実施形態では、ステップ702で提示される薬剤投与レジメンは、1つ以上のインスリン投与レジメンを含み、少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンは、少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンを含む。任意の数の提示されたレジメンは、基礎インスリン投与レジメンであり得、任意の数は、ボーラスインスリン投与レジメンであり得る。場合によっては、基礎インスリン投与レジメンまたはボーラスインスリン投与レジメンのいずれかは、患者124のためにHCPによって選択される。場合によっては、HCPは、1つ以上の基礎インスリン投与レジメンおよび1つ以上のボーラスインスリン投与レジメンの両方を、患者124に同時に処方する。
【0082】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つのHCP選択ボーラスインスリン投与レジメンは、本明細書で毎日の滴定ボーラスインスリン投与アルゴリズムと称される種類の投与レジメンに関連付けられている、本明細書で毎日の滴定ボーラスインスリン投与レジメンと称される種類を含む。他の種類のHCP選択ボーラスインスリン投与レジメンとしては、本明細書で固定用量ボーラスインスリン投与アルゴリズムと称される投与アルゴリズムの種類に関連付けられた、本明細書で固定用量ボーラスインスリン投与レジメンと称される種類;本明細書で炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムと称される投与アルゴリズムの種類に関連付けられた、本明細書で炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与レジメンと称される種類;および本明細書で炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムと称される種類の投与アルゴリズムに関連付けられた、本明細書で炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与レジメンと称される種類が挙げられる。これらの上記の4種類のオープンループボーラスインスリン投与レジメン/アルゴリズムの各々の例は、以下の対応するタイトルのサブセクションで説明されている。
【0083】
ステップ706では、C3サーバシステム106は、患者124に関連付けられたモバイルデバイス104上のMMA568に、ステップ704の少なくとも1つのHCP選択レジメンを示すHCP選択レジメンデータを送信する。
【0084】
例示的な方法700は、C3サーバシステム106によって実装されるものとして上述されているが、方法700は、HCPシステム102によっても直接実装され得る。そのような実施形態では、HCPポータル572は、ネットワーク接続を介してC3サーバシステム106によってホストされるウェブアプリケーションでなくてもよく、代わりに、HCPポータル572は、HCPシステム102によってローカルにホストおよび実行されるユーザインターフェースを含んでもよい。これらの場合、C3サーバシステム106からの支援またはC3サーバシステム106と全く通信することなく、HCPシステム102は、HCPに複数の薬剤投与レジメンを提示し(ステップ702)、提示された薬剤投与レジメンの中からHCP選択を受信し(ステップ704)、HCP選択レジメンデータをMMA568に送信する。そのような実施形態では、HCPシステム102は、データがC3サーバシステム106を通過またはC3サーバシステム106によって処理されることを必要とせずに、データネットワーク108を介してモバイルデバイス104と直接通信することができる。
【0085】
方法700がC3サーバシステムまたはHCPポータル102によって実装されているかに関わらず、少なくともいくつかの実施形態では、MMA568は、ユーザインターフェース308を介して、少なくとも1つのHCP選択レジメンに基づく投与推奨を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、MMA568は、ユーザインターフェース308を介してプロンプトを提示して、推奨される(すなわち、処方された)投与レジメンを受け入れるかまたは拒否するための選択肢を患者124に提供する。少なくとも1つの実施形態では、C3サーバシステム106は、ユーザインターフェース308を介して、少なくとも1つのHCP選択レジメンに関連付けられた患者拒否表示をMMA568が受信したことを示す、レジメン拒否表示の受信に応答して、MMA568を無効にするように構成される。MMA568を無効にすることは、ユーザがMMA568の機能の一部もしくはすべてにアクセスすることを防止すること、またはユーザがMMA568に格納されたデータの一部もしくはすべてにアクセスすることを防止することを含み得る。例えば、MMA568を無効にすることは、HCPによって処方または推奨された投与レジメンにユーザがアクセスすることまたはこれを使用することを防止することを含み得る。他の場合では、C3サーバシステム106は、代わりに、ユーザインターフェース308を介して、少なくとも1つのHCP選択レジメンに関連付けられた患者受け入れ表示をMMA568が受信したことを示す、レジメン受け入れ表示を受信する。
【0086】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つのHCP選択レジメンをMMA568上でロック解除する、ステップ706のHCP選択レジメンデータのMMA568による受信である。場合によっては、このロック解除は、HCP選択レジメンデータの受信後にのみ、少なくとも1つのHCP選択レジメンの、(MMA568の一部としての可能性がある)モバイルデバイス104にすでに格納されている実装データにMMA568がアクセスすることを可能にすることを含む。他の実装では、このロック解除は、HCP選択レジメンデータの受信後にのみ、少なくとも1つのHCP選択レジメンの実装データをダウンロードすることについて、MMA568を操作不能から操作可能に移行させることを含む。これらの実装では、少なくとも1つのHCP選択レジメンの実装データは、C3サーバシステム106および/またはHCPシステム102からダウンロードすることができる。
【0087】
場合によっては、このロック解除は、少なくとも1つのHCP選択レジメンに関して、ユーザインターフェース308を介して、MMA568が患者受け入れ表示を受信することに応答してのみ行われる。HCP選択レジメンデータの受信後にのみ、MMA568が特定のHCP選択レジメンのロック解除またはダウンロードすることを可能にすることにより、米国食品医薬品局(FDA)によって施行された規則に確実に準拠するのに役立ち得る。そのようなFDA規則は、資格および免許を有する医師からの処方箋を有する患者によってのみ、ある特定の投与レジメンにアクセス可能であることを必要とし得る。これらの実施形態におけるMMA568は、HCP選択レジメンデータを受信するまで投与レジメンへのアクセスを制限することにより、必要とされる処方箋なしに患者が投与レジメンにアクセスすることが確実にできない。
【0088】
(例えば、MMA568の一部としての)モバイルデバイス104上でのステップ702および704で、HCPに提示され、HCPによって選択可能なすべてのレジメンの実装データを格納し、ステップ706で送信されたHCP選択レジメンデータの受信後にのみモバイルデバイス上の1つ以上のレジメンをロック解除する実施形態は、本システムおよび方法の効率および/または機能を改善するいくつかの技術的利点を与える。例えば、モバイルデバイス104上にすべてのレジメンの実装データを格納することにより、モバイルデバイス104が処方されたレジメンの追加の潜在的に大きい実装データをダウンロードすることを必要とせずに、HCPが、患者のモバイルデバイス104上の特定の処方されたレジメンを有効にすることが可能になる。これにより、患者のモバイルデバイス104が、データネットワーク108との間欠的または低帯域幅の通信リンク112のみ有する場合(例えば、ネットワーク障害事象、またはモバイルデバイスが飛行機モードである場合)、患者が処方されたレジメンにより容易にアクセスし実装することを可能にする。
【0089】
MMA568の一部としてすべてのレジメンの実装データをバンドルすることを含む実施形態はまた、モバイルアプリケーション用のある特定の人気のオンラインリポジトリ上での患者によるアクセスを容易にするために、MMA568を書き込むことを可能にする。そのようなオンラインモバイルアプリケーションリポジトリとしては、HCPシステム102、管理者ポータル148、または患者124が所有、維持、および/または提携しているエンティティ(または複数のエンティティ)以外の第三者エンティティによって管理されるリポジトリを挙げることができ、そのようなオンラインモバイルアプリケーションリポジトリとしては、Apple、Inc.によって維持されているApp Store、またはGoogle LLCによって維持されているGoogle Playを挙げることができる。そのようなオンラインリポジトリは、典型的には、書き込まれたアプリケーションが、書き込み時にすべての実装論理を含む必要がある。言い換えれば、モバイルデバイスで実行されるアプリケーションの安全性および安定性を確保するために、そのようなオンラインリポジトリの管理者は、オンラインリポジトリを維持する第三者エンティティ(例えばAppleまたはGoogleなど)によって各更新が送信、再度閲覧、および/または承認されない限り、アプリケーション開発者が書き込まれたアプリケーションのコードを更新または変更することを禁止することができる。そのため、新しい投与レジメンまたはアルゴリズムが処方されるたびにモバイルデバイス104に実装データをダウンロードすることを含む実施形態は、第三者エンティティによる時間のかかる提出、再度閲覧、および/または承認プロセスを必要とし得る。これは、FDAの規則に従って、処方箋を有する患者のみがアクセス可能であるべきである投与レジメンへのアクセスを可能にする医療モバイルアプリケーションの領域に固有であり、特にその分野に発生する問題である。書き込み時にMMA568の一部としてすべてのレジメンの実装データをバンドルし、HCP選択レジメンデータを受信する際にのみ、処方されたレジメンを選択的にロック解除することにより、MMA568は、患者が新しい投与レジメンを処方されるたびのそのような時間のかかる提出、再度閲覧、および/または承認プロセスの必要性を回避する。また、このバンドルにより、MMAの安全性および安定性が増加する。
【0090】
上述のように、少なくとも1つの実施形態では、MMA568は、そのホストモバイルデバイス104を介して、患者124に関連付けられた1つ以上のインスリン送達および/またはインスリン監視デバイスと通信可能に接続される。グルコースメータ126は、そのようなインスリン監視デバイスの一例である。MMA568が患者124に関連付けられたインスリン送達デバイスと通信可能に接続される少なくともいくつかの実施形態では、MMA568は、そのインスリン送達デバイスと通信して、少なくとも1つのHCP選択レジメンを実行する。接続された注射デバイス134は、そのようなインスリン送達デバイスの一例である。いくつかの実施形態では、C3サーバシステム106および/またはHCPシステム102は、MMA568によって中継される、例えば、本明細書に記載のインスリン注射記録データおよびグルコース測定データなどの患者データをインスリン送達および/または監視デバイスから受信する。
【0091】
B.モバイルデバイス上のMMA
図8は、少なくとも1つの実施形態による、MMA568を実行するモバイルデバイス104によって実行され得る例示的な方法800を図示している。モバイルデバイス104上で実行されるMMA568によって実行される方法800の本明細書における説明は、限定としてではなく例示のために提供されており、方法800は、任意のデバイス、または方法を実行するように好適に装備、プログラム、および構成されているデバイスの組によって実行され得ることが理解されるべきである。
【0092】
ステップ802では、MMA568は、それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに各々関連付けられている複数の薬剤投与レジメンの中からの、少なくとも1つの薬剤投与レジメンのHCP選択を示すHCP選択レジメンデータを受信する。少なくとも1つの実施形態では、HCP選択は、HCPシステム102を介して(例えば、C3サーバシステム106によって提供され、HCPシステム102を介してHCPによってアクセスされるウェブインターフェース(HCPポータル572)を介して)患者124用に行われた。上述のように、MMA568は、HCPシステム102から直接、またはこの例で説明されるように、C3サーバシステム106から、HCP選択レジメンデータを受信することができる。少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンは、本明細書に記載の可能なレジメンまたはレジメンの組み合わせのうちのいずれかを含み得る。
【0093】
ステップ804では、MMA568は、ステップ802でHCP選択レジメンデータを受信したことに少なくとも部分的に応答して、示されるHCP選択薬剤投与レジメンをMMA568上でロック解除する。前述のように、少なくとも1つの実施形態では、ステップ804は、モバイルデバイス104に事前に格納されたHCP選択レジメンの、以前はアクセス可能ではなかった実装データにアクセスすることを含む。これらの実施形態は、少なくとも上で論じられた技術的理由のために望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、ステップ804は、HCP選択レジメンの、以前はアクセス可能ではなかった実装データをダウンロードすることを含む。
【0094】
少なくとも1つの実施形態では、ステップ802を実行した後、ステップ804を実行する前に、MMA568は、モバイルデバイス104のユーザインターフェース308を介して、少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの患者受け入れまたは患者拒否のプロンプトを提示し、次いで提示されたプロンプトに対応するユーザインターフェース308を介してユーザ入力を受信し、少なくとも1つのそのような実施形態では、ステップ804を実行するMMA568は、受信されたユーザ入力が、少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示であることを条件とする。さらに、少なくとも1つの実施形態では、MMA568は、受信したユーザ入力をC3サーバシステム106および/またはHCPシステム102に送信する。
【0095】
処方されたレジメンがボーラスインスリン投与レジメンであるかまたはそれを含む少なくとも1つの実施形態では、ユーザが投与レジメン処方を受け入れたことを示す患者受け入れ表示を受信すると、MMA568は、推奨ボーラス用量ワークフローを入力する選択肢をユーザに提示し、この間、少なくとも1つの実施形態では、MMA568は、ユーザに食事時間を選択するように促し、ユーザにグルコース測定値を入力および/または確認するように促し、それに応じてユーザに推奨ボーラス用量を提示する。ユーザは、推奨用量を摂取したことをMMA568に示すことができ、その場合、MMA568は、その推奨用量をメモリに記録するであろう。あるいは、ユーザは、推奨用量とは異なるインスリンの用量をMMA568に摂取したことを示すことができ、MMA568は、実際に摂取したインスリンの量を記録するであろう。記録は、用量が摂取された時刻を含み得、これは、ユーザの確認を受信した時刻、またはユーザによって示された時刻に自動的に設定され得る。
【0096】
少なくとも1つの実施形態では、モバイルデバイス104を介するMMA568は、患者に関連付けられたインスリン送達(および/またはグルコース監視)デバイスと通信可能に接続し、少なくとも1つのそのような実施形態では、MMA568は、インスリン送達デバイスと通信して、HCP選択レジメンを実行するか、またはインスリン送達デバイスを使用して患者によって手動で送達される用量に関する情報を受信する。少なくとも1つの実施形態では、MMA568は、インスリン送達デバイスから患者データを受信し、受信した患者データをC3サーバシステム106および/またはHCPシステム102に中継する。患者データは、本明細書に列挙することができる他の多数の例の中で、インスリン注射記録データ(例えば、以前の用量で送達されたインスリンの時間および量を含む)および/またはグルコース測定データを含み得る。少なくとも1つの実施形態では、MMA568は、モバイルデバイス104のユーザインターフェース308を介して、HCP選択レジメンに基づく投与推奨を提供する。
【0097】
少なくとも1つの実施形態では、MMA568は、患者が安全でないまたは不正確な用量を摂取している可能性があることを検出した場合に患者に促す、安全機能を含み得る。例えば、MMA568は、各用量について予想される薬剤の予想される「ベースライン」量を計算することができる。この「ベースライン」投与量は、複数の方式で決定することができる。例えば、「ベースライン」投与量は、HCPおよび/または患者によってプログラムされた事前設定された薬剤の量であり得るか、または患者の医学的または個人情報(例えば、性別、年齢、体重、疾患の種類および重症度など)からアルゴリズム的かつ自動的に導出することができる。「ベースライン」投与量はまた、(例えば、過去3、5、10、またはそれ以上の用量)のある特定の数の以前の用量、または以前の時間の移動窓(例えば、過去3、5、10、またはそれ以上の日)に摂取された用量の移動平均、最頻値、もしくは中央平均値から導出することができる。いくつかの実施形態では、「ベースライン」投与量は、時刻、または以前の用量で検出された上昇または下降傾向に基づいて変動し得る。HCP選択レジメンに基づいて用量を推奨する前に、MMA568は、推奨用量をこの「ベースライン」投与量と比較することができる。MMA568が、このベースライン投与量と著しく異なる用量を推奨していることを検出した場合、推奨用量がある特定の絶対量の薬剤またはある特定の割合でベースラインとは異なる場合など、MMA568は、患者に警告し、患者に用量を確認するように促すことができる。例えば、推奨用量は、誤って入力されたインスリンオンボードパラメータ、食事サイズ値、または現在のグルコースレベルなどの、誤って入力された患者入力に基づいている場合がある。あるいは、または加えて、ユーザが推奨量とは異なる量の薬剤を摂取するように計画していることをMMAに示す場合、MMA568は、同様に、ユーザが示した量がベースライン投与量と著しく異なるかを決定することができる。ユーザが示した量が著しく異なる場合、MMA568は、示された投与量がベースライン投与量よりも著しく多いかまたは少ないことを患者に警告することができる。この追加のプロンプトおよび警告は、ユーザが安全でないかまたは誤った量の薬剤を摂取しようとしている可能性があることをユーザに警告するのに役立ち得る。必要に応じて、ユーザは、警告を上書きすることができる。
【0098】
少なくとも1つの実施形態では、MMA568は、少なくとも次の2つのレベルのアクセス:誰でもダウンロード、自己登録、および使用が利用可能な一般アクセス、ならびに電子投与レジメンの処方箋を通じてロック解除される追加機能を提供する処方箋アクセス、を提供する。一実施形態では、一般アクセスは、(i)例としてグルコースレベル(GL)、基礎インスリン、ボーラスインスリン、炭水化物入力、および運動/ストレス/病気の要因を含み得る、糖尿病に関係するデータの記録、ならびに(ii)ユーザデータの視覚化(例えば、グラフ)へのアクセス、を含む機能を提供するが、一実施形態では、処方箋アクセスは、投与レジメンの実装を通じて、ボーラスインスリン推奨用量をロック解除する。いくつかの実施形態では、MMA568のユーザインターフェースの外観は、MMA568が一般アクセスモードであるかまたは処方箋アクセスモード(および/またはおそらく他のモード)であるかに応じて変化する。そのような変化としては、限定されないが、追加のおよび/またはより少ないメニュー項目、配色の変化、アイコンの変化、レイアウトの変化などを挙げることができる。
【0099】
少なくともいくつかの実施形態では、MMA568の一般アクセス(非処方箋)モードは、次の機能のうちの1つ以上を提供する:
・データ入力
・ユーザは、糖尿病に関係するデータを入力して、HCPによるデータの追跡および閲覧を容易にすることができる。
・ユーザは、ボーラスインスリン用量、基礎インスリン用量、グルコース読み取り値(手動またはグルコースメータへの無線接続を通じて)、および炭水化物摂取量を入力することが可能である。
・ユーザはまた、該当する場合、次の変更因子:活動、ストレス、病気、ステロイド、および月経、ならびにはい/いいえのデータポイントを記録することができる。
・患者は、グルコース値(センサから自動または手動のいずれか)、現在の活動レベル、現在食べている食物、食物の炭水化物含有量、体重などの生理学的特徴などの値をMMAに入力することができる。
・デジタルログブック
・ユーザは、糖尿病に関係するデータを追跡することができるので、ユーザのすべてのデータに簡単にアクセスし、1か所で閲覧可能である。
・ユーザは、入力したデータのうちのいずれかをデジタルログブック形式で閲覧することができる。
・グルコースメータのペアリング
・ユーザのすべてのデータを1か所に格納したい、またはグルコースデータを使用して推奨用量を受信したいユーザの、グルコース入力プロセスを簡素化する。
・ユーザは、血中グルコースメータ、連続グルコースメータ、フラッシュグルコースモニタ、または他のグルコース監視デバイスなどのデバイスをペアリングする選択肢を選択することができる。グルコース監視デバイスをペアリングすると、ユーザが推奨ボーラス用量ワークフロー(処方箋モードでのみ利用可能)またはデータ入力ワークフロー(一般アクセスモードで利用可能)に移動すると、MMAは最新のグルコース測定値を表示するであろう。
・ユーザは、Personal Connected Health Alliance(PCHAlliance)(Arlington,Virginia)によって発行されたContinua基準(別名Continua Design Guidelines)への準拠を要求する接続されたグルコースメータとペアリングすることができる。
・いくつかの実施形態では、ユーザは、活動を行い、グルコースレベルへの影響を測定することにより、実験を行うことができる。ユーザは、行った実験を再度閲覧することができる。そのような実験は、活動、食物、および/または他の要因に基づくことができる。いくつかの実施形態では、第三者データソース(例えば、HealthKit、FitBitなど)は、ユーザのための実験を作成する。実際、いくつかの実施形態では、MMAは、FitBit、Apple Watchなどのウェアラブルと接続および通信して、1つ以上の生理学的パラメータに関する洞察の監視および/または統合を容易にすることができる。
・データ可視化
・ユーザは、収集したデータを一定期間閲覧して、データをより理解しやすくすることができる。
・ユーザは、データ視覚化をホストするMMAのセクションに移動することができる。次いで、閲覧を希望するデータの種類および期間を選択することができる。
・MMAはまた、記録されたグルコース値の円グラフを示して、範囲を超える、範囲内、範囲を下回る数値、および低血糖レベル(≦70mg/dL)に入る数値を示すであろう。
・リマインダ
・スケジュールが忙しいときに、グルコースの試験または推奨ボーラス用量ワークフローの入力を、ユーザにリマインドするの役立つ。
・ユーザは、グルコースレベルの試験および/またはインスリン投与を希望する時間にリマインダを設定することができる。
・ユーザは、リマインダ付きのメッセージをモバイルデバイスで受信するであろう。
・オンボーディング
・ユーザは、MMAを登録し、有用な機能について学習することができる。
・ユーザは、ログイン資格情報を作成し、自分に関する基本情報を入力し、利用規約に同意することにより、MMAの使用登録を行うことができる。
・MMAは、グルコースメータのペアリングまたは個人的なリマインダの設定を含む、有用な機能についてユーザが学習するのに役立つように、選択肢のアクティビティ(例えばチュートリアル)を提供するであろう。
・糖尿病に対する教育
・信頼できる情報源から、ユーザが糖尿病について学習するのに役立つ。
・ユーザは、MMA内から糖尿病教育へのリンクにアクセスすることができる。そのようなリンクは、他の可能性の中でも、MMA内で起動するか、またはブラウザアプリケーションを起動することができる。
【0100】
C.例示的なHCPポータルスクリーンショット
以下で説明されるように、
図9~21は、HCPシステム102の様々な異なる実施形態の様々なスクリーンショットを図示している。
【0101】
図9は、HCPユーザが、「[投与]方法の選択」タブで操作しており、HCPが選択するための選択肢として4つのボーラスインスリン投与レジメンが列挙されているスクリーンショット900であり、これらの4つのボーラスインスリン投与レジメンは、以下でさらに詳細に説明する。一実施形態では、提示されたレジメンのうちのいずれか1つをクリックすると、さらなる詳細を提供するポップアップウィンドウが提示される。少なくとも1つの実施形態では、HCPがこれらの4つの投与レジメンのうちの1つを選択すると、HCPシステム102は、HCP選択レジメンデータをモバイルデバイス104に送信し、これにより、患者は、モバイルデバイス上の選択された投与レジメンにアクセスすることが可能になる。
【0102】
図10は、1つの例示的な患者に関係する電子健康記録(EHR)データを示すスクリーンショット1000であり、様々な患者データをグラフ形式で図示している。このスクリーンショット1000では、例示的な患者は、まだ投与レジメンを処方されていない。
【0103】
図11は、投与推奨または処方箋に対する保留中の変更がまだ患者の受け入れを待っていることを示す警告メッセージ1102が表示されている、スクリーンショット1100である。このスクリーンショット1100では、患者は処方された有効な投与方法を有さず、グルコース値または投与量情報に関する過去の記録されたデータを有さない。患者は、固定食事ボーラス投与方法を処方されているが、患者はまだ、処方された投与方法を受け入れていない。
【0104】
図12は、投与推奨への保留中の変更に関して警告メッセージ1202が表示されているか、または処方箋がまだ患者の受け入れを待っている、スクリーンショット1200である。このスクリーンショット1200では、患者は、以前に炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与レジメンを処方されていたが、現在は固定用量ボーラスインスリン投与レジメンを処方されている。患者は、新たに処方された投与方法をまだ受け入れていない。
【0105】
図13は、選択された投与レジメンが、単に「毎日の滴定」レジメンとも称される、毎日の滴定ボーラスインスリン投与レジメンである、「構成設定」タブを図示するスクリーンショット1300である。
図13に示されるように、毎日の滴定レジメン設定タブは、HCPに、朝食、昼食、および夕食の3つの食事のボーラス用量選択肢を処方する選択肢を与える。HCPは、各食事に「滴定」、「安定」、「なし」のいずれかを選択することができる。滴定選択肢は、以下本明細書で説明されるアルゴリズムに従った、その食事に対する推奨用量による滴定を生じる。「安定」選択肢により、HCPがその食事時間の固定ボーラス用量を指定することが可能になる。「なし」選択肢は、その時間にボーラス用量が処方されていないことを意味する。
【0106】
図14は、選択された投与レジメンが、再び「毎日の滴定」である、「再度閲覧および確認」タブを図示するスクリーンショット1400である。ここで、HCPは、患者に処方する前に、将来の毎日の滴定投与レジメンを再度閲覧および確認することができる。
【0107】
図15Aおよび15Bは、選択された投与レジメンが、単に「固定食事投与」レジメンとも称される固定用量ボーラスインスリン投与レジメンである、「構成設定」タブを図示するスクリーンショット1500である。HCPユーザは、該当する特定の患者のレジメンのカスタマイズ可能な詳細を確認する機会を提示される。例えば、HCPユーザは、(i)朝、(ii)午後、ならびに(iii)夕方および夜間の3つの時間ブロックのボーラス投与量設定をカスタマイズすることができる。各時間ブロックの開始時間は、HCPによって調整することができる。HCPユーザは、各時間ブロックに、目標グルコースレベル、インスリン効果値(以下でさらに詳細に説明される)、ボーラス用量、様々な健康要因(以下でさらに詳細に説明される、例えば、活動、病気、ストレス、ステロイド、および月経など)、設定許可(有効にすると、患者が自分の処方箋設定を変更することが可能になる)、および有効インスリン(以下でさらに詳細に説明される)を有効にする選択肢を選択することができる。
【0108】
図16は、選択された投与レジメンが、再び固定食事投与レジメンである、「再度閲覧および確認」タブを図示するスクリーンショット1600である。ここで、HCPは、患者に処方する前に、将来の固定食事投与レジメンを再度閲覧および確認することができる。
【0109】
図17は、選択された投与レジメンが、単に「炭水化物食事サイズ」レジメンとも称される、炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与レジメンである、「構成設定」タブを図示するスクリーンショット1700である。
図17に示されるように、炭水化物食事サイズレジメン設定タブは、HCPに、(i)朝、(ii)午後、ならびに(iii)夕方および夜間の3つの時間ブロックのボーラス用量選択肢を処方する選択肢を与える。各時間ブロックの開始時間は、HCPによって調整することができる。HCPユーザは、各時間ブロックに、目標グルコースレベル、インスリン効果値(以下でさらに詳細に説明される)、およびインスリン対炭水化物比(以下でさらに詳細に説明される)を選択することができる。期間に関係なく、HCPユーザはまた、「小さい」、「中程度」、および「大きい」の食事の各々からの炭水化物の予想されるグラム数を選択することができる。最後に、HCPユーザは、インスリン持続時間を選択することができる。
【0110】
図18は、選択された投与レジメンが、単に「炭水化物カウント」レジメンとも称される、炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムである、「構成設定」タブを図示するスクリーンショット1800である。
図18に示されるように、炭水化物カウントレジメン設定タブは、HCPユーザに「小さい」、「中程度」、および「大きい」の食事の炭水化物の予想されるグラム数を選択する選択肢を与えないことを除いて、炭水化物食事サイズレジメン設定タブと同様である。
【0111】
II.例示的なオープンループボーラスインスリン投与アルゴリズムおよび関連するレジメン
本明細書に記載の例示的なオープンループボーラスインスリン投与アルゴリズムおよび関連するレジメンのうちのいくつかまたはすべては、インスリンオンボード(IOB)に基づいて推奨ボーラスを計算することができる。IOBは、以前に注射されたボーラスインスリン用量から患者の体内でまだ有効であると予想される、インスリンの量を説明する計算値である。この値は、アルゴリズムが患者に注射することを推奨するインスリンの量を低減する場合がある。IOBは、少なくとも2つの異なるアプローチを使用して計算することができる。
【0112】
第1のアプローチは、望ましいよりも高いグルコース読み取り値を補正するのに必要であった以前の用量の一部分のみを考慮することによって、IOBを計算することができる。個別の時点で摂取されるインスリンの単回用量は、(i)望ましいよりも高いグルコース読み取り値を補正するのに必要なインスリンの量、(ii)投与直後、直前、または投与中に患者が食事で摂取する炭水化物の量を「補う」または構成するのに必要な追加のインスリンの量、ならびに(iii)必要なインスリンの量に影響を与え得るライフスタイルまたは健康要因(例えば、患者が病気であるのか、患者が運動しているのかもしくは運動することが予想されるのか、患者が月経中なのか、患者がステロイドを摂取しているのか、および/または患者がストレスを経験しているのか)を考慮するのに必要な任意の調整(正または負)のうちのいずれかまたはすべてを含む、いくつかのパラメータに基づいて、決定することができる。この第1のアプローチは、パラメータ(i)、すなわち、望ましいよりも高いグルコース読み取り値を補正するのに必要なインスリンの量のみを考慮することによって、IOBを計算することができる。第1のアプローチは、IOBを計算する際にパラメータ(ii)または(iii)のいずれも排除し得る。
【0113】
第2のアプローチは、以前の用量の一部として摂取されたすべてのインスリンを考慮することによって、IOBを計算する場合がある。言い換えると、第2のアプローチでは、パラメータ(i)だけではなく、パラメータ(ii)(すなわち、食事中の炭水化物の量を「補う」のに必要なインスリンの量)、およびパラメータ(iii)(健康要因を考慮した任意の調整)も考慮することによって、IOBを計算する。この第2のアプローチは、一般に、パラメータ(iii)からの負の調整がパラメータ(ii)からの正の寄与による相殺を超えない限り、計算されたより高いIOBを生じるであろう。
【0114】
IOBを計算するための他のアプローチもまた、確かに可能である。例えば、他のアプローチは、パラメータ(i)および(iii)を考慮するが、パラメータ(ii)は考慮せずにIOBを計算することができる。次の考察におけるインスリンオンボードまたはIOBへの言及は、前述のアプローチのうちのいずれかを使用して計算され得ることが理解される。いくつかの実施形態では、HCP、患者、またはその両方は、IOBを計算するために特定のアプローチを使用するように、インスリン投与アルゴリズムに指示することができる。例えば、
図15Bのスクリーンショット1500は、HCPが、有効インスリン(例えば、IOB)を計算するための「保守的」選択肢、または「標準」選択肢のいずれかを選択することができることを示している。「標準」選択肢は、上で論じられた第1のアプローチに対応し、「保守的」選択肢は、第2のアプローチに対応する。MMAは、第1および第2のアプローチの両方を使用してIOBを計算することが可能な論理を含み得、患者、HCP、および/または両方は、推奨ボーラスを計算するときに2つのアプローチの間から選択する選択肢を与えられ得る。
【0115】
A.毎日の滴定
例示的な毎日の滴定アルゴリズムおよび関連する投与レジメンを以下で説明する。
【0116】
推奨用量は、投与レジメンの処方時にHCPによって設定された初期値から始まる。デフォルトの開始用量は、朝食または昼食の滴定では1日の総基礎インスリンの10%、夕食の滴定では5%である。各翌日の推奨用量は、前日に記録されたグルコース読み取り値に基づいて計算される。すなわち、2日目の推奨用量は、1日目のグルコース読み取り値に基づいて計算され、3日目の推奨用量は、2日目のグルコース読み取り値に基づいて計算され、以降同様である。翌日の各推奨用量を計算するためのいくつかの例示的な規則を、以下の表に提供する。
【表1】
【0117】
例示的な毎日の滴定投与レジメンは、次の基準を満たす18~85歳のT2DM(2型真性糖尿病)の使用者に適切である。
・メトホルミンの投与に関係なく、基礎インスリンの最適化にも関わらず血糖目標を達成できない
・食事時インスリンによる治療強化が必要
・85~114mg/dLの設定グルコース目標範囲が適切な者
【0118】
例示的な毎日の滴定投与レジメンを可能にするために、HCPは、次のパラメータを設定する。
・インスリン単位での毎日の総基礎インスリン(TBI)
・インスリン単位での滴定の初期開始用量および食事
【0119】
加えて、HCPは、次のパラメータを設定することができる。
・インスリン単位での食事(複数可)あたりの安定用量(複数可)
【0120】
MMAは、次の追加入力を使用して、推奨用量を計算するであろう。
・mg/dLでの現在のGL:現在のGLは、患者が低血糖症(グルコース≦70mg/dL)を有するときにインスリン用量を推奨することを防止するために、MMAによって使用される
・mg/dLでの食前GL(GL):食前GLは、前日の滴定用量に続いて採取されたGLである
【0121】
少なくとも1つの実施形態では、例示的な毎日の滴定投与レジメンは、推奨用量を計算するための入力値として、補正用量、IOB(インスリンオンボード)、または調整要因を考慮しない。
【0122】
少なくとも1つの実施形態では、MMA568は、患者によって入力されたグルコース値を使用して1回の食事で投与する基礎インスリンを開始および滴定するための推奨を提供し、グルコースレベルを入力し投与推奨を受信するためのHCPからの指示の下で、1日あたり複数回この様式で使用されることを意図している。
【0123】
B.固定用量
例示的な固定用量アルゴリズムおよび関連するレジメンを以下で説明する。この固定用量アルゴリズムにより、HCPは、患者のグルコースレベルが望ましい範囲外にあることを補正するのに必要な任意の調整によって変更されるように、食事ごとの「固定」ボーラス量を設定することが可能になり得る。
【0124】
食事の選択としては、食事なし(例えば、補正用量のみ)、朝食、昼食、または夕食を挙げることができる。HCPは、単一の食事時間に固定用量値、複数の食事時間に同じ固定用量値、または複数の食事時間に異なる固定用量値を割り当てることができる。投与レジメンは、インスリンオンボード(IOB)の用量調整、GL目標を上回るまたは下回るグルコースレベル(GL)の補正、およびライフスタイルまたは健康要因(例えば、運動、ストレス、病気、ステロイド、または月経)を含み得る。
【0125】
例示的な固定用量レジメンは、ボーラス療法に不慣れであるか、またはボーラス用量の最適化を必要とする1型真性糖尿病(T1DM)または2型真性糖尿病(T2DM)を有するユーザに適切であり得る。場合によっては、ユーザは、速効型インスリン類似体を用いる食事時インスリンの毎日複数回の注射を必要とし得る。
【0126】
例示的な固定用量レジメンを可能にするために、HCPは、次のパラメータを設定することができる。
・患者が選択した食事の種類あたりのインスリン単位での固定用量(FD)
・mg/dLでの目標GL(GLT)
・mg/dL/インスリン単位でのインスリン効果値(ISF)
・時間単位でのインスリン持続時間(ID)、
【0127】
いくつかの実施形態では、HCPは、ユーザがレジメンに特有の設定を変更することが可能であるかを制御することができる。例えば、HCPによってそのような変更が有効にされない限り、ユーザは、インスリン対炭水化物比を変更することが可能ではない場合がある。また、確かに他の例も同様に、本明細書で列挙することができる。加えて、いくつかの実施形態では、HCPは、次のライフスタイル変更因子のうちのいずれか、すべて、またはなしを有効にし、対応する調整量を設定することができる。有効な場合、ライフスタイル変更因子により、MMA患者ユーザは、例えばモバイルデバイスのユーザインターフェースを介して、身体に必要なインスリンの量に影響を与え得るある特定の状態を経験しているかを示すことが可能になり、そのような状態としては、例えば、患者が運動しているのかもしくは身体活動をしているのか、患者がストレスを経験しているのか、患者が病気であるのか、患者がステロイドを摂取しているのか、または患者が月経中なのか、が挙げられる。これらのライフスタイル変更因子の各々について、HCPは、調整量をパーセントで設定する。パーセント値は、等式で使用するために10進値に変換される。HCPが、変更因子を有効にしていない場合、投与レジメンは、0の値を使用するであろう。
・パーセントでの活動要因(AF)
・パーセントでのストレス要因(SF)
・パーセントでの病気要因(IF)
・パーセントでのステロイド要因(StF)
・パーセントでの月経要因(MF)
【0128】
MMAは、次の追加入力を使用して、推奨用量を計算するであろう。
・インスリン単位でのFD値を決定するための食事選択(食事なし、朝食、昼食、夕食)
・mg/dLでの現在のGL(GL)
・時間単位での現在時刻(t)
・注:現在の時刻は、時、分、および秒が含まれ得るが、時間の端数として計算に使用され得る。
【0129】
インスリンオンボード(IOB)、すなわち、現在の期間にまだ有効であるすべてのインスリン用量が計算に組み込まれるであろう。以前の用量は、ID(インスリン持続時間)時間未満前に摂取された場合、「有効」と見なされる。いくつかの実施形態では、以前の用量は、次のパラメータを使用して計算することができる。
・インスリン単位での送達ボーラス(DB)
・時間単位でのボーラス送達時間(tDB)
・倍率(X)
・個々の送達ボーラスが、0.5時間以内に投与されたとき、X=0
・個々の送達ボーラスが、0.5時間以上ID時間未満前に投与されたとき、X=1
【0130】
前述のように、以前に投与された特定のインスリン用量のIOB計算におけるDBパラメータは、2つの方式のうちのいずれかで定義することができる。これらの2つの方法によれば、DBパラメータは、(i)以前の用量のうちのグルコース補正部分のみ、または(ii)以前の用量で注射されたインスリンの全量、のいずれかとして設定することができる。選択肢(i)は、上で論じられた第1のアプローチに対応し、本明細書の
図15Bでは「標準」選択肢とも称される。この選択肢下では、以前の用量のグルコース補正部分は、以下の式:
【数1】
、
(GL
DBが、以前の用量が計算されたときに入力されたGLであり、GL
Tが、目標GLであり、ISFが、インスリン効果値である(以下で論じられる))により計算することができる。選択肢(ii)は、上で論じられた第2のアプローチに対応し、本明細書の
図15Bでは「保守的」選択肢とも称される。
図15Bに示されるように、HCPは、これらの2つの方法のどちらを使用してDBパラメータを計算するかを選択することができる。あるいは、患者、またはHCPおよび患者の両方が、DBパラメータの計算に使用する方法を指定する選択肢を有してもよい。
【0131】
例示的な固定用量レジメンに従って、ボーラスインスリン推奨用量(RD)は、次の式を使用して計算することができる。
【数2】
【0132】
FDという用語は、式の固定用量部分を表す。
【数3】
という用語は、式の補正用量部分、例えば、患者のグルコースレベル(GL)が目標グルコースレベル(GL
T)を超える量に基づいて推奨用量を調整する式の部分を表す。ISFは、インスリン効果値であり、1単位のインスリン(例えば、速効型インスリン)が個人のグルコースレベルを低下させると予想される量を表す。高グルコースレベルを補正するためには、一般に、グルコースレベルを50mg/dl低下させるのに1単位のインスリンが必要である。しかしながら、グルコースレベルのこの低下はまた、個人のインスリン感受性および他の状況に応じて、15~100mg/dl以上の範囲であり得る。(1+AF+SF+IF+StF+MF)という用語は、前述のライフスタイル要因を説明している。
【数4】
という用語は、以前のすべての用量からのIOBを説明している。
【0133】
次の考慮事項が式に適用される。
・患者が食事なしを選択する場合、固定用量値は0であるが、しかしながら、該当する場合、患者は依然として補正用量を受信するであろう。
・補正用量
【数5】
は、正、負、または0の値であり得る。
・各IOB計算
【数6】
は、正または0であり得る。計算中に、IOB計算が負の値を返す場合、MMAは、0の有効インスリン単位の値を使用するであろう。
【0134】
計算された推奨用量が負の値を返す場合、MMAは、0単位のインスリンを推奨するであろう。あるいは、MMAが、患者が低血糖状態にある、もしくは入るであろうことを検出した場合、および/またはMMAが、患者が高すぎるIOB(オンボードインスリン、すなわち患者体内のインスリン量)を有すると決定した場合、MMAは、食事またはある特定量の炭水化物を食べるように患者に推奨することができる。いくつかの実施形態では、MMAが、患者が低血糖状態にあるか、または入るであろうと決定した場合、MMAは、患者がグルカゴンまたは患者のグルコースレベルを高めるいくつかの他の薬剤を注射することを推奨することができる。
【0135】
この例示的な固定投与レジメンは、HCPによって構成された固定投与レジメンに基づいた推奨用量をユーザが受信することを可能にすることにより、ボーラスインスリン投与の複雑さを低減することができる。ユーザが、投与レジメン処方箋を受け入れた場合、ユーザは、アプリに入り、推奨ボーラス用量ワークフローに入ることを選択することができる。ユーザは食事を選択し、グルコース測定値を入力および/または確認し、活動またはストレスの変化などの任意の追加の変更因子を選択し、推奨ボーラス用量を受信する。固定投与レジメンは、食事を補うためにHCPが割り当てたインスリンの量、現在の血糖値および目標血糖値に基づく補正用量、ならびに内部インスリンPKPDデータに基づくインスリンオンボードを考慮する。
C.炭水化物ボーラス計算機
【0136】
例示的な炭水化物ボーラス計算機アルゴリズムおよび関連するレジメンを以下で説明する。
【0137】
例示的な炭水化物ボーラス計算機レジメンは、食事の炭水化物含有量を「補う」ための規則に基づいており、この方法は、食前インスリンを食事摂取量に一致させる個別の方式として臨床ガイドラインで推奨されている。したがって、一日中いつでも使用することができ、特定の食事に固定される必要がない。このレジメンは、インスリン感受性、炭水化物摂取量、GL目標、および現在のGLに基づいて、推奨ボーラスインスリン用量を計算する。また、補正用量、IOB、および選択肢の調整要因も考慮するであろう。
【0138】
ボーラスは、2つの要因:(i)食物または炭水化物を補うために必要なインスリン、および(ii)高血糖を補正するのに必要なインスリン、に基づいて計算することができる。
【0139】
食物または炭水化物を補うためのボーラス用量は、インスリン対炭水化物比(ICR)に基づいて処方される。インスリン対炭水化物比は、1単位のインスリンで補われるかまたは処理される、炭水化物のグラム数を表す。一般に、1単位の速効型インスリンは、12~15グラムの炭水化物を処理するが、しかしながら、このパラメータは、インスリンに対する個人の感受性に応じて、4~30グラム以上の炭水化物に変動し得る。インスリン感受性は、時刻、個人によって変動し得、身体活動およびストレスによって影響を受ける。
【0140】
例示的な炭水化物ボーラス計算機レジメンは、正確に炭水化物カウントを行うか、HCPの判断において、正確に炭水化物カウントを行うことを学習することができるT1DMまたはT2DMのユーザに適切である。場合によっては、ユーザは、速効型インスリン類似体を用いる食事時インスリンの毎日複数回の注射を必要とし得る。
【0141】
例示的な炭水化物ボーラス計算機レジメンを可能にするために、HCPは、次のパラメータを設定することができる。
・mg/dLでの目標GL(GLT)
・mg/dL/インスリン単位でのインスリン効果値(ISF)
・インスリン対炭水化物比(ICR)、グラムでの炭水化物/インスリン単位
・時間単位でのインスリン持続時間(ID)、
【0142】
加えて、HCPは、次のライフスタイル変更因子のうちのいずれか、すべて、またはなしを有効にし、対応する調整量を設定することができる。HCPは、患者に適切なパーセンテージを使用して、ライフスタイル要因の調整を設定する。パーセント値は、等式で使用するために10進値に変換される。HCPが、変更因子を有効にしていない場合、投与レジメンは、0の値を使用するであろう。
・パーセントでの活動要因(AF)
・パーセントでのストレス要因(SF)
・パーセントでの病気要因(IF)
・パーセントでのステロイド要因(StF)
・パーセントでの月経要因(MF)
【0143】
MMAは、次の追加入力を使用して、推奨用量を計算するであろう。
・mg/dLでの現在のGL(GL)
・時間単位での現在時刻(t)
・炭水化物摂取量(CHO)、グラムでの炭水化物、またはインスリン単位での食事インスリン(MI)
【0144】
インスリンオンボード(IOB)、すなわち、現在の期間にまだ有効であるすべてのインスリン用量が計算に組み込まれるであろう。以前の用量は、ID(インスリン持続時間)時間未満前に摂取された場合、「有効」と見なされる。いくつかの実施形態では、以前の用量は、次のパラメータを使用して計算することができる。
・インスリン単位での送達ボーラス(DB)
・時間単位でのボーラス送達時間(tDB)
・倍率(X)
o個々の送達ボーラスが、0.5時間以内に投与されたとき、X=0
o個々の送達ボーラスが、0.5時間以上ID時間未満前に投与されたとき、X=1
【0145】
前述のように、IOB計算におけるDBパラメータは、複数の方式で定義することができる。例えば、DBパラメータは、(i)以前の用量からのインスリンの全量、または(ii)以前の用量のグルコース補正部分のみ、のいずれかとして設定することができる。
【0146】
MMAユーザは、炭水化物摂取量(CHO)(例えば、食事中の炭水化物の予想数値)または食事時インスリン(MI)(例えば、インスリンの単位で表される)のいずれかを入力することを選択することができる。MMAユーザが食事時インスリンの入力を選択した場合、MMAユーザは、ユーザが特定の食事を補うであろうと予想するインスリンの単位数を入力することができる。例えば、MMAユーザが、特定の食事における炭水化物のグラム数を正確に知らないが、その種類の食事を補うにはある特定のインスリンの単位数が十分なはずであることを経験から知っている場合、MMAユーザは、予想される炭水化物摂取量の代わりに、食事時のインスリンの単位数を入力することを選択することができる。MMAユーザが炭水化物摂取量を入力するかまたは食事インスリンを入力するかに応じて、以下の適切な式を使用して推奨用量が計算されるであろう。
【0147】
ユーザが炭水化物摂取量の値を入力すると、ボーラスインスリン推奨用量(RD)は、次の式を使用して計算され、
【数7】
式中、
【数8】
が、式の炭水化物摂取部分を表す。
【0148】
ユーザが食事インスリン値を入力すると、ボーラスインスリン推奨用量は、次の式を使用して計算され、
【数9】
式中、MIが、食事摂取量を補うインスリンを表す。
【0149】
次の考慮事項が式に適用される。
・補正用量
【数10】
は、正、負、または0の値であり得る。
・各IOB計算
【数11】
は、正または0であり得る。計算中に、IOB計算が負の値を返す場合、MMAは、0の有効インスリン単位の値を使用するであろう。
【0150】
計算された推奨用量が負の値を返す場合、MMAは、0単位のインスリンを推奨するであろう。あるいは、MMAが、患者が低血糖状態にある、もしくは入るであろうことを検出した場合、および/またはMMAが、患者が高すぎるIOB(オンボードインスリン、すなわち患者体内のインスリン量)を有すると決定した場合、MMAは、食事またはある特定量の炭水化物を食べるように患者に推奨することができる。いくつかの実施形態では、MMAが、患者が低血糖状態にあるか、または入るであろうと決定した場合、MMAは、患者がグルカゴンまたは患者のグルコースレベルを高めるいくつかの他の薬剤を注射することを推奨することができる。
【0151】
例示的な炭水化物ボーラス計算機レジメンは、HCPによって構成されたボーラス計算機レジメンに基づいた推奨用量をユーザが受信することを可能にすることにより、ボーラスインスリン投与の複雑さを低減することに役立つ。ユーザが、投与レジメン処方箋を受け入れた場合、ユーザは、アプリに入り、推奨ボーラス用量ワークフローに入ることを選択することができる。ユーザは、グルコースレベルの測定値を入力および/または確認し、摂取する予定の炭水化物の数値を入力し、活動またはストレスの変化などの任意の追加の変更因子を選択し、推奨ボーラス用量を受信するであろう。ユーザは、炭水化物の量の代わりに食事を補うのに必要なインスリンの単位数を入力することを選択することができ、これは、レジメンを使用して用量補正に役立て、インスリンオンボードを考慮する。炭水化物ボーラス計算機投与レジメンは、予定される炭水化物摂取量を補うためのインスリンの量、現在の血糖値および目標血糖値に基づく補正用量、ならびに内部インスリンPKPDデータに基づくインスリンオンボードを考慮する。
【0152】
D.炭水化物食事サイズに基づく計算機
例示的な炭水化物食事サイズに基づく計算機アルゴリズムおよび関連するレジメンを以下で説明する。例示的な炭水化物食事サイズに基づく計算機レジメンは、上述の例示的な炭水化物ボーラス計算機レジメンの機能を利用し、炭水化物の食事含有量の小さい、中程度、および大きい食事の定性的評価のためにHCPによって追加の設定が行われる。例えば、MMAユーザが食事中の予想される炭水化物の数値、または食事時のインスリンの量を入力する代わりに、MMAユーザは、自分が「小さい」、「中程度」、または「大きい」食事を取る予定を単純に示してもよい。次いで、MMAユーザの選択は、「小さい」、「中程度」、または「大きい」食事の事前設定値(HCPおよび/またはMMAユーザによって構成可能)に基づいて、炭水化物の推定数値に変換される。
【0153】
例示的な炭水化物食事サイズに基づく計算機レジメンは、食事サイズ、具体的には食事中の炭水化物含有量のサイズを推定することができるT1DMおよびT2DMを有するユーザに適切である。場合によっては、ユーザは、速効型インスリン類似体を用いる食事時インスリンの毎日複数回の注射を必要とし得る。
【0154】
例示的な炭水化物食事サイズに基づく計算機レジメンを可能にするために、HCPは、次のパラメータを設定することができる。
・mg/dLでの目標GL(GLT)
・mg/dL/インスリン単位でのインスリン効果値(ISF)
・インスリン対炭水化物比(ICR)、グラムでの炭水化物/インスリン単位
・時間単位でのインスリン持続時間(ID)、
・炭水化物のグラム数での「小さい」食事サイズの炭水化物の推定量
・炭水化物のグラム数での「中程度の」食事サイズの炭水化物の推定量
・炭水化物のグラム数での「大きい」食事サイズの炭水化物の推定量
【0155】
加えて、HCPは、次のライフスタイル変更因子のうちのいずれか、すべて、またはなしを有効にし、対応する調整量を設定することができる。HCPは、患者に適切なパーセンテージを使用して、ライフスタイル要因の調整を設定する。パーセント値は、等式で使用するために10進値に変換される。HCPが、変更因子を有効にしていない場合、投与レジメンは、0の値を使用するであろう。
・パーセントでの活動要因(AF)
・パーセントでのストレス要因(SF)
・パーセントでの病気要因(IF)
・パーセントでのステロイド要因(StF)
・パーセントでの月経要因(MF)
【0156】
MMAは、次の追加入力を使用して、推奨用量を計算するであろう。
・mg/dLでの現在のGL(GL)
・時間単位での現在時刻(t)
・小さい、中程度、大きい、またはなしの選択としての炭水化物摂取食事サイズ(MS)
・MMAは、選択された食事に対するHCPの事前設定に基づく炭水化物の対応するグラム数に食事サイズを置き換えるであろう
・患者が食事なしの選択肢を選択した場合、MMAは、食事サイズを0の値に置き換える
【0157】
インスリンオンボード(IOB)、すなわち、現在の期間にまだ有効であるすべてのインスリン用量が計算に組み込まれるであろう。以前の用量は、ID(インスリン持続時間)時間未満前に摂取された場合、「有効」と見なされる。いくつかの実施形態では、以前の用量は、次のパラメータを使用して計算することができる。
・インスリン単位での送達ボーラス(DB)
・時間単位でのボーラス送達時間(tDB)
・倍率(X)
・個々の送達ボーラスが、0.5時間以内に投与されたとき、X=0
・個々の送達ボーラスが、0.5時間以上ID時間未満前に投与されたとき、X=1
【0158】
前述のように、IOB計算におけるDBパラメータは、複数の方式で定義することができる。例えば、DBパラメータは、(i)以前の用量からのインスリンの全量、または(ii)以前の用量のグルコース補正部分のみ、のいずれかとして設定することができる。
【0159】
ボーラスインスリン推奨用量(RD)は、次の式を使用して計算され、
【数12】
式中、
【数13】
が、炭水化物の摂取量を表す。
【0160】
次の考慮事項が式に適用される。
・補正用量
【数14】
は、正、負、または0の値であり得る。
・各IOB計算
【数15】
は、正または0であり得る。計算中に、IOB計算が負の値を返す場合、MMAは、0の有効インスリン単位の値を使用するであろう。
【0161】
計算された推奨用量が負の値を返す場合、MMAは、0単位のインスリンを推奨するであろう。あるいは、MMAが、患者が低血糖状態にある、もしくは入るであろうことを検出した場合、および/またはMMAが、患者が高すぎるIOB(オンボードインスリン、すなわち患者体内のインスリン量)を有すると決定した場合、MMAは、食事またはある特定量の炭水化物を食べるように患者に推奨することができる。いくつかの実施形態では、MMAが、患者が低血糖状態にあるか、または入るであろうと決定した場合、MMAは、患者がグルカゴンまたは患者のグルコースレベルを高めるいくつかの他の薬剤を注射することを推奨することができる。
【0162】
例示的な炭水化物食事サイズに基づく計算機レジメンは、HCPによって構成された食事サイズに基づく計算機レジメンに基づいた推奨用量をユーザが受信することを可能にすることにより、ボーラスインスリン投与の複雑さを低減することに役立ち得る。ユーザが、投与レジメン処方箋を受け入れた場合、ユーザは、アプリに入り、推奨ボーラス用量ワークフローに入ることを選択することができる。ユーザは、グルコースの測定値を入力および/または確認し、食事サイズを選択し、活動またはストレスの変化などの任意の追加の変更因子を選択し、推奨ボーラス用量を受信するであろう。炭水化物食事サイズに基づく計算機投与レジメンは、予定される炭水化物摂取量を補うためのインスリンの量、現在の血糖値および目標血糖値に基づく補正用量、ならびに内部インスリンPKPDデータに基づくインスリンオンボードを考慮する。
【0163】
図19は、モバイルデバイス上で実行されるMMA(例えば、モバイルデバイス104上で実行されるMMA568、またはモバイルデバイス532上で実行されるMMA570)によって実装される例示的なプロセス1900を示すフローチャートである。MMAは、プロセス1900を使用して、患者の状態に関する情報を収集し、処方され有効なインスリン投与レジメンに従って、MMA上でインスリン用量を推奨する。
【0164】
ステップ1902では、MMAは、患者からグルコース読み取り値を受信する。これは、多様な方式で行うことができる。例えば、
図20は、MMAが、連続グルコースメータ(CGM)などの患者の接続されたグルコースセンサと自動的に同期する、MMAからの例示的なスクリーンショットを図示している。
図20に示されるように、MMAは、接続されたグルコースメータからグルコースメータの読み取りが行われた時間(この例では、午前9時31分)、血中グルコースレベル(この場合、355mg/dL)を図示し得、また、「または血糖値を編集する」と標識されたボタンに触れることにより、患者が血糖読み取り値を編集することを可能にする。患者が、接続されたグルコースメータから受信したグルコースレベルに同意する場合、または患者が、グルコースレベルの編集を終了した場合、患者は、「血糖値の確認」と標識されたボタンに触れることができ、その時点で、MMAは提示されたグルコースレベルを患者のログに記録するであろう。
【0165】
あるいは、MMAは、患者が、自分のグルコースレベルを手動で入力すること、または接続されたグルコースメータと同期するようにMMAに促すことを可能にすることできる。患者のグルコースレベルを受信するこれらの方法は、
図21A、21B、および21Cに示されている。
図21Aでは、MMAは、患者に自分のグルコースレベルを入力するように促している。患者が、「血糖値を入力」標識されたボタンに触れた場合、MMAは、
図21Bに示されているスクリーンに移行し、ここで患者は、自分のグルコースレベルを手動で入力することができる。患者が、グルコースレベルを入力すると、患者は、「次へ」ボタンに触れて、入力されたグルコースレベルを患者のログに記録するようにMMAに指示することができる。患者が「またはメータと同期する」と標識されたボタンに触れた場合、MMAは、
図21Cに示されるスクリーンに移行し、ここでMMAは、患者の接続されたグルコースメータ(例えば、BGM、CGM、またはFGM)と同期する。この場合、
図21Cに示されるように、MMAは、患者の接続されたグルコースメータから355mg/dLのグルコースレベルを受信する。あるいは、患者が
図21Bの「またはメータと同期する」ボタンに触れた場合、MMAはまた、
図21Cに示されるスクリーンに移行する。MMAが、接続されたメータからグルコースレベルを受信すると、患者は、「次へ」ボタンに触れることにより、患者のログにグルコースレベルを記録するようにMMAに指示することができる。
【0166】
図19に戻ると、MMAが、グルコース読み取り値を受信すると、MMAは、ステップ1904に移動する。この時点で、MMAは、どの投与レジメンが処方され、MMA上で有効なのかを決定する。毎日の滴定レジメンが処方されている/有効である場合、プロセス1900は、ステップ1906に分岐する。固定用量レジメンが処方されている/有効である場合、プロセス1900は、ステップ1908に分岐する。炭水化物ボーラス計算機レジメンが処方されている/有効である場合、プロセス1900は、ステップ1910に分岐する。炭水化物食事サイズに基づく計算機レジメンが処方されている/有効である場合、プロセス1900は、ステップ1912に分岐する。
【0167】
ステップ1906(毎日の滴定レジメンに使用される)では、MMAは、食事の種類または時刻の選択を患者から受信する。例えば、
図22A~22Cに示される例示的なスクリーンショットは、患者が、朝食時(
図22A)、昼食時(
図22B)、夕食時(
図22C)、または就寝時(
図22D)にある用量を摂取する予定があるかを示すことを可能にする。MMAは、この情報を使用して、「毎日の滴定」投与レジメンについて上述した例示的なアルゴリズムに従って、推奨インスリン用量を計算する。
【0168】
ステップ1908(固定用量レジメンに使用される)では、MMAは、食事の種類の選択、ならびに適用される任意の健康要因を患者から受信する。例えば、
図23A~23Dに示される例示的なスクリーンショットは、患者が、任意の食事(
図23A)、朝食時(
図23B)、昼食時(
図23C)、または夕食時(
図23D)に関連しない、ある用量を摂取する予定があるかを示すことを可能にする。患者が選択する食事選択に関わらず、患者はまた、ストレス、活動、病気、ステロイド、および/または月経などの、患者が現在経験している任意の健康要因を選択することができる。MMAは、この情報を使用して、「固定用量」投与レジメンについて上述した例示的なアルゴリズムに従って、推奨インスリン用量を計算する。
【0169】
ステップ1910(炭水化物ボーラス計算機レジメンに使用される)では、MMAは、患者が摂取する予定の炭水化物の予想されるグラム数、および/または患者が摂取する予定の炭水化物を補うのに十分であろうと患者が予測する、食事時インスリンの予想される単位数を受信する。MMAはまた、適用される任意の健康要因を患者から受信する。例えば、
図24Aは、摂取される炭水化物の予想されるグラム数を入力するように患者に促す。患者は、テンキーパッドを使用して炭水化物の推定数値を入力することができる。
図24Bに図示されるように、患者は、自分が96グラムの炭水化物を摂取する予定であることを示した。患者が「次へ」ボタンを押すと、MMAは、
図24Cに示されるスクリーンに移行し、ここで患者は、ストレス、活動、病気、ステロイド、および/または月経などの、現在経験している任意の健康要因を選択することができる。患者が健康要因の選択を終了すると、患者は、少なくとも1つの健康要因が選択されると表示される「次へ」ボタン(図示せず)に触れることができる。あるいは、患者がこれらの健康要因のうちのいずれも経験していない場合、患者は「スキップ」ボタンを押すことができる。少なくとも1つの健康要因が選択された場合、または患者が「スキップ」ボタンを押した場合、MMAは、
図24Dに示されるスクリーンに移行する。
図24Dでは、患者による確認のために、MMAは、炭水化物の選択されたグラム数、ならびに選択された任意の健康要因を表示する。患者は、「次へ」ボタンに触れることにより確認することができる。
【0170】
あるいは、(例えば、経験に基づいて)自分が摂取する予定である食事を補うであろうと患者が予想する食事時インスリンの単位数の入力を、患者が決定することができる。患者は、
図24Aの「食事インスリン」ラジオボタンを選択することによって、自分が食事時インスリンを入力するであろうことをMMAに示すことができる。「食事インスリン」ラジオボタンが選択された場合、MMAは、
図25A~Dに示される一連のスクリーンに移行する。
図25Aでは、MMAは、テンキーパッドを使用して、食事タインインスリンの単位数を入力するように患者に促す。例えば、
図25Bに図示されるように、患者は、12単位の食事時インスリンを入力した。患者が「次へ」ボタンを押すと、MMAは、
図25Cに示されるスクリーンに移行し、ここで患者は、ストレス、活動、病気、ステロイド、および/または月経などの、現在経験している任意の健康要因を選択することができる。あるいは、患者がこれらの健康要因のうちのいずれも経験していない場合、患者は「スキップ」ボタンを押すことができる。
図25Dでは、患者による確認のために、MMAは、選択された食事時インスリンの単位数、ならびに選択された任意の健康要因を表示する。患者は、「次へ」ボタンを押すことにより確認することができる。
【0171】
図19に戻ると、ステップ1912(炭水化物食事サイズに基づく計算機レジメンに使用される)では、MMAは、食事サイズの選択、ならびに適用される任意の健康要因を患者から受信する。例えば、
図26A~Dに示される例示的なスクリーンショットは、患者が、任意の食事(
図26A)、「小さい」食事(
図26B)、「中程度」サイズの食事(
図26C)、または「大きい」サイズの食事(
図26D)に関連しない、ある用量を摂取する予定があるかを示すことを可能にする。これらの食事サイズの選択は、前述の事前設定された食事サイズの定義に従って、予想される炭水化物の数値に変換される。患者が選択する食事サイズ選択に関わらず、患者はまた、ストレス、活動、病気、ステロイド、および/または月経などの、患者が現在経験している任意の健康要因を選択することができる。MMAは、この情報を使用して、「炭水化物食事サイズに基づく計算機」レジメンについて上述した例示的なアルゴリズムに従って、推奨インスリン用量を計算する。
【0172】
図19に戻ると、ステップ1906、1908、1910、または1912で患者から情報を収集した後、MMAはステップ1914に分岐し、ここでインスリンの推奨用量を計算および提示する。インスリンの推奨用量を計算するためのアルゴリズムは、現在どの投与レジメンが処方され有効なのかによって変動し、これは前述されている。次いで、MMAは、
図27Aの例示的なスクリーンショットに示されるように、この用量をユーザに提示する(この例では、10単位の食事時インスリンの用量を推奨する)。患者はまた、例えば、
図27Aの「用量の編集」ボタンに触れることによって、推奨用量を編集する機会を与えられるであろう。
【0173】
ステップ1916では、MMAは、ユーザが推奨用量を編集したかを決定する。編集した場合、MMAは、ステップ1918に分岐し、ここで提示された用量を更新する。このプロセスは、
図27Bに示されており、ここで患者は、提示された用量の右側にある「+」ボタンを押すことによって推奨用量を増加させるか、または提示された用量の左側にある「-」ボタンを押すことによって推奨用量を減少させることができる。患者が推奨用量の編集を終了すると、患者は、「保存」ボタンに触れることができ、これにより患者は
図27Aに示されるスクリーンに戻る。毎日の滴定投与レジメンが処方されている/有効である場合、MMAは、任意選択的に
図27Cに示される追加のメッセージを表示することができ、滴定投与レジメンは、この値を使用して翌日のインスリン用量を調整するので、患者の次の食事の前に自分の血糖値をチェックすることが重要であることを患者に思い出させる。
【0174】
患者が、提示された用量を編集していない場合、MMAは、ステップ1920に分岐し、ここでユーザが用量の摂取を確認したかを決定する。編集していない場合、MMAは、ステップ1916に戻る。編集した場合、MMAは、ステップ1922に進み、ここで用量を記録する。このプロセスは、
図27Aおよび27Cに示されており、患者が、「この用量を摂取した」と標識されたボタンに触れることによって、患者が用量を摂取したことを確認することができる。このボタンに触れることにより、MMAに、提示された用量を患者のログブックに記録させる。
【0175】
図28は、患者に投与される、現在患者に投与されている、および/または最近患者に投与されたインスリンの用量を提示する、代替的なユーザインターフェースディスプレイ2800を図示している。インスリンの用量は、前述のインスリン投与レジメンのうちの1つによって推奨されていてもよいか、または患者によって手動で入力もしくは調整されていてもよい。ユーザインターフェースディスプレイ2800は、
図27A~27Cに図示されているスクリーンショットの代わりに、またはそれに加えて、MMA上に表示され得る。あるいは、または加えて、ユーザインターフェースディスプレイ2800は、インスリンペンに取り付けられた視覚的スクリーン上などの薬物送達デバイス上に表示され得る。
【0176】
ユーザインターフェースディスプレイ2800は、複数のパネルを含む。パネルは、視覚的ディスプレイスクリーン上の一部分に、プロセッサによって表示されるデータを含み得る。第1のパネル2802は、患者に投与される、現在患者に投与されている、または最近患者に投与されたインスリンの単位数を表示し、図示されている例では、第1のパネル2802は、3.5単位のインスリンを示している。
【0177】
第2のパネル2804は、第1のパネルによって表示されるインスリンの単位数によって補われると予想される炭水化物の量を表示する。明細書および本明細書の特許請求の範囲で使用されるように、インスリンのある特定の単位数Yによって「補われると予想される」炭水化物の量Xは、糖尿病を有する患者によって摂取された場合、当該量Xの炭水化物の摂取後に、当該量Xの炭水化物を摂取する前の患者のグルコースレベルと同じに患者のグルコースレベルを保持するために、患者に必要であろうY単位のインスリンの投与が、炭水化物の推定量に対応しなければならない。図示されている例では、第2のパネル2804は、28gの炭水化物が提示された3.5単位のインスリンによって補われると予想されることを示している。第2のパネル2804によって表示される炭水化物の数値は、第1のパネル2802によって表示されるインスリンの単位数をインスリン対炭水化物比(ICR)で除算することによって計算することができる。ユーザインターフェースディスプレイ2800は、すべての患者の、または患者、介護者、もしくはHCPによって提供される患者特有のICRに適用されるデフォルトのICR値を使用することができる。いくつかの実施形態では、特定の患者のICRが時刻による予測可能なパターンに従って変動することがわかっている場合、ICRは、患者ならびに時刻の両方に特有であり得る。この例では、ユーザインターフェースディスプレイ2800によって使用されているICRが0.125である場合、第2のパネル2804によって表示される炭水化物のグラム数(28g)は、第1のパネル2802によって表示されるインスリンの単位数(3.5単位)をICRの0.125で除算することによって導出することができる。
【0178】
第3のパネル2806は、第2のパネルによって表示される炭水化物の数値が、小さい食事サイズまたは大きい食事サイズに対応するかを示す。
図28に図示されている例では、この第3のパネル2806は、「小さい」食事サイズ、「中程度」の食事サイズ、または「大きい」食事サイズの間の食事サイズの範囲を表示する領域の形態をとり、また第2のパネル2804によって表示される炭水化物の数値がこの領域のどこに入るかを示すインジケータ2810を含む。他の実施形態(図示せず)では、第3のパネル2806は、食事サイズの分類を示す文字、単語、または記号を単に表示してもよい。最も単純な場合では、食事は、「小さい」または「大きい」の2つのカテゴリーのうちの1つに簡単に分類され得る。いくつかの実施形態では、食事は、「小さい」、「中程度」、または「大きい」の3つのカテゴリーのうちの1つに分類され得る。さらに他の実施形態では、食事は、4つ以上の食事サイズの分類に分類され得る。
【0179】
第3のパネル2806は、異なる食事サイズ分類を定義する調整可能なパラメータに基づいて計算され得る。例えば、食事を3つのカテゴリー(例えば、「小さい」、「中程度」、または「大きい」)に分類する実施形態では、そのような調整可能なパラメータは、「中程度」サイズの食事(例えば、30g)の最小炭水化物閾値、および「中程度」サイズの食事の最大炭水化物閾値(例えば、60g)を含み得る。この最小炭水化物閾値と最大炭水化物閾値の間に入る任意の炭水化物値は、「中程度」サイズの食事として分類することができる。最小炭水化物閾値未満に入る任意の炭水化物値は、「小さい」サイズの食事として分類することができ、最大炭水化物閾値超に入る任意の炭水化物値は、「大きい」サイズの食事として分類することができる。(
図28に図示されているように)範囲を表示する領域を含むパネルはまた、例えば、食事サイズの定義に応じて、領域に沿ってインジケータの位置を計ることによって、これらの食事サイズの定義に基づいてインジケータが位置する場所を決定することができる。前述したように、これらの食事サイズの定義は、患者、介護者、またはHCPによってカスタマイズ可能であり得る。
【0180】
第4のパネル2808は、第1のパネル2802によって表示されるインスリンの単位数の投与から生じる、患者のグルコースレベルの予想される低下を表示する。図示されている例では、第4のパネル2808は、75mg/dLの血中グルコースの低下が、第1のパネル2802に表示される3.5単位のインスリンの投与から生じると予想されることを示している。第4のパネル2808によって表示されるグルコース低下は、第1のパネル2802によって表示されるインスリンの単位数にインスリン効果値(ISF)を乗算することによって計算することができる。ユーザインターフェースディスプレイ2800は、すべての患者の、または患者、介護者、もしくはHCPによって提供される患者特有のISFに適用されるデフォルトのISFを使用することができる。いくつかの実施形態では、特定の患者のISFが時刻による予測可能なパターンに従って変動することがわかっている場合、ISFは、患者ならびに時刻の両方に特有であり得る。この例では、ISFが21.4の場合、第4のパネル2808によって表示される予想BG低下(75mg/dL)は、第1のパネル2802によって表示される単位数(3.5単位)にISFの21.4を乗算することによって導出することができる。
【0181】
図28は、4つのパネル2802、2804、2806、および2808すべてを含むユーザインターフェースディスプレイ2800を表示しているが、いくつかの実施形態は、これらの4つのパネルのサブセットのみを表示してもよいか、または追加のパネルを表示してもよい。例えば、いくつかの実施形態は、第1のパネル2802、第2のパネル2804、および第3のパネル2806のみを含み得、第4のパネル2808を表示しなくてもよい。他の実施形態では、ユーザインターフェースディスプレイ2800は、第1のパネル2802および第4のパネル2808のみを含み得、第2のパネル2804または第3のパネル2806を表示しなくてもよい。さらに他の実施形態では、ユーザインターフェースディスプレイ2800は、第1のパネル2802および第2のパネル2804のみを含み得る。パネルは、
図28に表示されている順序、構成、または相対的なサイズで配置される必要はない。
【0182】
どの特定のパネルが表示されるかに関わらず、投与される、現在投与されている、または最近投与されたインスリンの単位数をユーザが調整すると、表示されているすべてのパネルが更新され得る。
図29は、インスリンの単位数が、ディスプレイ2900aの3.5単位からディスプレイ2900bの4.0単位、およびディスプレイ2900cの4.5単位に調整される際の一連のユーザインターフェースディスプレイを示している。示されているように、第1のパネルに表示されている単位数は、パネル2902aの3.5からパネル2902bの4.0、次いで2902cの4.5に変化する。同様に、第2のパネルに表示されている炭水化物の数値(パネル2904a、2904b、および2904cを参照)、第3のパネルの食事サイズインジケータ(パネル2906a、2906b、および2906cを参照)、および第4のパネルの予想されるグルコース低下(パネル2908a、2908b、および2908cを参照)は、インスリンの単位数が変化すると、自動的に更新される。
【0183】
図29に示されている例は、インスリンの単位数が0.5単位刻みで調整される例を示しているが、同じである必要はない。一般に、開示のユーザインターフェース上で単位数を調整することができる細かさは、ユーザインターフェースが関連付けられている送達デバイスの用量分析能に依存し得る。例えば、送達デバイス(インスリンペンなど)が1.0単位刻みで異なる用量を送達することが可能である場合、ユーザインターフェースはまた、1.0単位刻みでの用量調整を可能にするように構成され得る。送達デバイスが2.0単位刻みで異なる用量を送達することが可能である場合、ユーザインターフェースはまた、2.0単位刻みでの調整を可能にするように構成され得る。0.1単位、5.0単位、または任意の他の用量分析能などの、他の送達デバイスの用量分析能の場合も同じである。ユーザインターフェースの用量分析能を患者の送達デバイスの用量分析能に一致させることにより、患者が、自分の送達デバイス上で用量を設定する方法を簡単に決定することが可能になる。場合によっては、ユーザインターフェースは、異なる用量分析能を有する複数の種類の送達デバイスで動作するように設計され得る。そのような実施形態では、ユーザインターフェース上の用量分析能は、特定の患者の送達デバイス上の用量分析能に一致するように、患者、介護者、またはHCPによって構成可能であり得る。
【0184】
投与される/現在投与されている/最近投与されたインスリンの単位数と同時に、補われる炭水化物の数値、食事サイズの表示、および/または予想されるグルコース低下を表示することにより、患者に複数の利点が提供される。患者は、多くの場合、ある特定の炭水化物の数値を補うために、ある特定の食事サイズを補うために、またはグルコースレベルの特定の低下を達成するために、インスリンを投与する。この情報の一部またはすべてを患者に表示することにより、患者は、表示された用量が自分の目標を達成するかを簡単に判断することができ、それに応じて表示された用量を調整することができる。
【0185】
また、この情報を同時に表示することで、丸め誤差に起因する過剰投与または過少投与を低減することにより、従来の既知の送達デバイスのユーザインターフェースに存在する技術的な問題が解決される。例えば、患者が特定の食事を補うために用量の計算を試みるとき、多くの場合、患者は目の前の食事中の炭水化物の数値を推定することから始める。患者が、炭水化物の推定数値に到達すると、次いで患者は炭水化物の推定数値に基づいて用量サイズを計算する。しかしながら、用量サイズを計算する際、薬物送達デバイスの用量分析能に応じて、患者は、多くの場合、インスリンの最も近い単位または半単位に四捨五入する。このプロセスでは、患者がインスリンの用量に到達するために2つの四捨五入または推定ステップ:患者が食事中の炭水化物の数値を推定する第1のステップ、および患者がその炭水化物の推定値をインスリンの単位数に変換する第2のステップ、を通る必要がある。この2ステッププロセスは、特定の食事を補うのに必要な用量を過剰に推定または過少に推定するリスクを増加させる。
【0186】
これは、例示的なシナリオを使用して最もよく説明される。患者が75gの炭水化物を含む食事を摂取しようとしていると推定した場合を考慮する。患者は、食事の外観および自分の以前の経験のみに基づいて、この推定値に到達する。次いで、ユーザは、インスリン対炭水化物比8に基づいて用量を計算し、これにより75g/8=9.375単位の用量が得られる。しかしながら、ユーザの薬物送達デバイスの用量分析能に起因して、ユーザは、1単位ごとのインスリンしか投与することができないので切り捨て、9単位のみを投与する。この場合、患者が食事中の炭水化物の数値を過少に推定し(例えば、患者の目の前の食事が、実際には80gの炭水化物を含有する場合)、次いで切り捨てた場合、患者は、食事を補うのに必要な用量を二重に過少に推定し得る。補填されない場合、このインスリンの過少投与は、患者が血糖目標を達成することをより困難にし得る。
【0187】
補われる炭水化物の数値、ならびにインスリンの単位数を表示することにより、ユーザインターフェースディスプレイは、四捨五入に起因して発生する誤差を減少させる。ユーザインターフェース上で9単位~10単位にダイヤルすることにより、患者は、9単位が72グラムの炭水化物を補い、10単位が80グラムの炭水化物を補うであろうことをすばやく決定することができる。次いで、ユーザは、自分の目の前の食事が72グラムの炭水化物に近いのかまたは80グラムの炭水化物に近いのかを推定することができる。2つの計算または推定ステップを必要とする前述のシナリオとは対照的に、この計算は、患者による単一の単純な推定ステップのみを含む。これは、患者が自分の目の前の食事を補うのに正しい用量に到着するであろう機会を増加させる。例えば、72グラム~80グラムの選択に直面した場合、患者は、自分の前の食事が実際には80グラムに近いと決定する可能性がより高くなり得、10単位のインスリンを投与することを選択することができる。
【0188】
開示のユーザインターフェースはまた同様に、患者が炭水化物ではなく食事サイズ、および/またはグルコースレベルの目標の低下に基づいて投与決定を行う状況を含む、他のシナリオでの丸め誤差を減少させることができる。提示されたインスリン用量とともに食事サイズおよび/またはグルコースレベルの推定される低下を表示することにより、開示のユーザインターフェースは同様に、患者によって必要とされる推定/四捨五入ステップの回数を低減し、したがって、患者が特定の食事を補うため、または特定のグルコースレベルを達成するための正しい用量に到達するであろう機会を増加させる。
【0189】
前述のように、開示のユーザインターフェース2800は、
図27A~27Cで以前に開示のスクリーンショットの代わりに、またはそれに加えて、モバイルデバイス上で実行されるMMA上に表示することができる。加えて、しかしながら、開示のユーザインターフェース2800はまた、接続されたインスリンペンなどのモバイル薬物送達デバイス上に表示することができる。1つのそのような例示的な実装が
図30に図示されており、これは、前述のユーザインターフェースを表示するスクリーン3000を有する接続されたインスリンペン3002を示している。そのような接続されたインスリンペン3002は、Bluetooth、WiFi、NFC、または他の無線リンクを介して、モバイルデバイス104などのモバイルデバイスと無線通信することができる。この無線リンクを通じて接続されたインスリンペン3002は、インスリン対炭水化物比(ICR)、インスリン効果値(ISF)、および/または「中程度」サイズの食事の最小および最大炭水化物閾値などの食事サイズの定義(前述のとおり)などの、ユーザインターフェースのパネルによって表示される情報を演算するための、様々なパラメータを受信することができる。
【0190】
図31は、モバイルデバイス(スマートフォンまたは薬物送達デバイスなど)によって実行される例示的なプロセスを示すフローチャートを図示している。ステップ3102では、モバイルデバイスは、モバイルデバイス上の視覚的ディスプレイを介して、複数のパネルを同時に提示する。これらのパネルとしては、患者に投与されるインスリンの単位数を表示する第1のパネル、第1のパネルによって表示されるインスリンの単位数によって補われると予想される炭水化物の数値を表示する第2のパネル、第2のパネルによって表示される炭水化物の数値が小さい食事サイズ、中程度の食事サイズ、もしくは大きい食事サイズに対応するかを示す第3のパネル、および/または第1のパネルによって表示されるインスリンの単位数の投与から生じる患者のグルコースレベルの予想される低下を表示する4番目のパネルを挙げることができる。前述のように、いくつかの実施形態は、4つのパネルすべてではなく、これらのパネルのサブセットのみを表示してもよい。いくつかの実施形態はまた、追加のパネルを表示し得る。
【0191】
ステップ3104では、モバイルデバイスは、患者に投与される、現在患者に投与されている、および/または最近患者に投与されたインスリンの単位数を調整するユーザ入力を受信する。例えば、このユーザ入力は、
図27Bで上で論じられたものと同様のMMAのスクリーン上の「プラス」または「マイナス」ボタンを介して、または数字キーパッドを使用して受信することができる。あるいは、インスリンペンなどの接続されたインスリン送達デバイスのノブをユーザがダイヤルすることによって、ユーザ入力を受信することができる。
【0192】
ステップ3106では、モバイルデバイスは、調整されたインスリンの単位数に従って、第1のパネル、第2のパネル、第3のパネル、および/または第4のパネルを更新する。前述のように、この調整は、インスリンの単位数を補われる炭水化物の数値に変換するパラメータ(インスリン対炭水化物比、すなわちICRなど)、インスリンの単位数を予想されるグルコースレベルの低下に変換するパラメータ(インスリン効果値、すなわちISFなど)、または補われる炭水化物の数値を食事サイズに変換するパラメータを使用して行うことができる。
【0193】
本発明は、例示的な設計を有するものとして説明されてきたが、本開示の実施形態は、本開示の概念および範囲内で、さらに変更され得る。それゆえに、本出願は、その一般原則を使用して、本開示の実施形態のあらゆる変形、使用、または適合を包含することが意図されている。
なお、本発明には以下の態様が含まれることを付記する。
〔態様1〕
方法であって、
医療従事者(HCP)ポータルアプリケーションを介して、患者に関係する複数の薬剤投与レジメンを提示することであって、各提示された薬剤投与レジメンが、それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに関連付けられている、提示することと、
前記HCPポータルアプリケーションを介して、前記提示された薬剤投与レジメンのうちの少なくとも1つのHCP選択を受信することと、
前記患者に関連付けられたモバイルデバイス上の医療モバイルアプリケーション(MMA)に、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを示すHCP選択レジメンデータを送信することと、を含む、方法。
〔態様2〕
前記提示された薬剤投与レジメンが、1つ以上のインスリン投与レジメンを含み、
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンを含む、態様1に記載の方法。
〔態様3〕
前記1つ以上の提示されたインスリン投与レジメンが、少なくとも1つ以上の基礎インスリン投与レジメンおよび1つ以上のボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様2に記載の方法。
〔態様4〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、少なくとも1つのHCP選択基礎インスリン投与レジメンおよび少なくとも1つのHCP選択ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様3に記載の方法。
〔態様5〕
健康情報技術(HIT)システムから、前記患者に関係する電子健康記録(EHR)データにアクセスすることと、
前記HCPポータルアプリケーションを介して、前記EHRデータを提示することと、をさらに含む、態様1に記載の方法。
〔態様6〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、毎日の滴定ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた毎日の滴定ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様2に記載の方法。
〔態様7〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、固定用量ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた固定用量ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様2に記載の方法。
〔態様8〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様2に記載の方法。
〔態様9〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様2に記載の方法。
〔態様10〕
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記MMAが前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者受け入れ表示を受信したことを示すレジメン受け入れ表示を、前記MMAから受信することをさらに含む、態様1に記載の方法。
〔態様11〕
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者拒否表示を前記MMAが受信したことを示すレジメン拒否表示を、前記MMAから受信することと、前記患者拒否表示に応答して、前記患者に関連付けられた前記モバイルデバイス上で前記MMAを無効にすることと、をさらに含む、態様1に記載の方法。
〔態様12〕
前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能である、態様1に記載の方法。
〔態様13〕
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAが、前記モバイルデバイス上に事前格納されている前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データにアクセスするように操作可能である、態様12に記載の方法。
〔態様14〕
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データを前記モバイルデバイス上にダウンロードするように操作可能である、態様12に記載の方法。
〔態様15〕
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示が前記MMAによって受信されたことを条件に、前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能である、態様12に記載の方法。
〔態様16〕
前記MMAが、前記患者に関連付けられたインスリン送達デバイスと通信可能に接続されている、態様1に記載の方法。
〔態様17〕
前記MMAが、前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに基づく投与推奨を提供するように構成されている、態様1に記載の方法。
〔態様18〕
コネクテッドケアサーバシステムであって、
1つ以上のサーバであって、各サーバが、1つ以上の通信インターフェース、1つ以上のプロセッサ、およびデータストレージを含む、1つ以上のサーバを含み、
前記1つ以上のサーバの1つ以上の前記プロセッサによって実行されると、前記コネクテッドケアサーバシステムにサーバシステム機能の組を実行させるように操作可能である指示を、前記1つ以上のサーバの前記データストレージが集合的に含み、前記サーバシステム機能の組が、
前記1つ以上のサーバの前記通信インターフェースのうちの少なくとも1つと通信する医療従事者(HCP)ポータルアプリケーションを介して、患者に関係する複数の薬剤投与レジメンを提示することであって、各提示された薬剤投与レジメンが、それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに関連付けられている、提示することと、
前記HCPポータルアプリケーションを介して、前記提示された薬剤投与レジメンのうちの少なくとも1つのHCP選択を受信することと、
前記1つ以上のサーバの前記通信インターフェースのうちの少なくとも1つを介して、前記患者に関連付けられたモバイルデバイス上の医療モバイルアプリケーション(MMA)に、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを示すHCP選択レジメンデータを送信することと、を含む、コネクテッドケアサーバシステム。
〔態様19〕
前記提示された薬剤投与レジメンが、1つ以上のインスリン投与レジメンを含み、
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンを含む、態様18に記載のシステム。
〔態様20〕
前記1つ以上の提示されたインスリン投与レジメンが、少なくとも1つ以上の基礎インスリン投与レジメンおよび1つ以上のボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様19に記載のシステム。
〔態様21〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、少なくとも1つのHCP選択基礎インスリン投与レジメンおよび少なくとも1つのHCP選択ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様20に記載のシステム。
〔態様22〕
前記サーバシステム機能の組が、
健康情報技術(HIT)システムから、前記患者に関係する電子健康記録データ(EHR)にアクセスすることと、
前記HCPポータルアプリケーションを介して、前記EHRデータを提示することと、を含む、態様18に記載のシステム。
〔態様23〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、毎日の滴定ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた毎日の滴定ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様19に記載のシステム。
〔態様24〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、固定用量ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた固定用量ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様19に記載のシステム。
〔態様25〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様19に記載のシステム。
〔態様26〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様19に記載のシステム。
〔態様27〕
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者受け入れ表示を前記MMAが受信したことを示すレジメン受け入れ表示を、前記サーバシステム機能の組が前記MMAから受信することをさらに含む、態様18に記載のシステム。
〔態様28〕
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者拒否表示を前記MMAが受信したことを示すレジメン拒否表示を、前記サーバシステム機能の組が前記MMAから受信することと、前記レジメン拒否表示に応答して、前記患者に関連付けられた前記モバイルデバイス上で前記MMAを無効にすることと、をさらに含む、態様18に記載のシステム。
〔態様29〕
前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能である、態様18に記載のシステム。
〔態様30〕
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAが、前記モバイルデバイス上に事前格納されている前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データにアクセスするように操作可能である、態様29に記載のシステム。
〔態様31〕
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データを前記モバイルデバイス上にダウンロードするように操作可能である、態様29に記載のシステム。
〔態様32〕
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示が前記MMAによって受信されたことを条件に、前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能である、態様29に記載のシステム。
〔態様33〕
前記MMAが、前記患者に関連付けられたインスリン送達デバイスと通信可能に接続されている、態様18に記載のシステム。
〔態様34〕
前記MMAが、前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに基づく投与推奨を提供するように構成されている、態様18に記載のシステム。
〔態様35〕
1つ以上のプロセッサによって実行されると、機能の組を前記1つ以上のプロセッサに実行させるように操作可能な指示を格納している、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)であって、前記機能の組が、
HCPポータルアプリケーションを介して、患者に関係する複数の薬剤投与レジメンを提示することであって、各提示された薬剤投与レジメンが、それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに関連付けられている、提示することと、
前記HCPポータルアプリケーションを介して、前記提示された薬剤投与レジメンのうちの少なくとも1つのHCP選択を受信することと、
前記患者に関連付けられたモバイルデバイス上の医療モバイルアプリケーション(MMA)に、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを示すHCP選択レジメンデータを送信することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
〔態様36〕
前記提示された薬剤投与レジメンが、1つ以上のインスリン投与レジメンを含み、
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンを含む、態様35に記載のCRM。
〔態様37〕
前記1つ以上の提示されたインスリン投与レジメンが、少なくとも1つ以上の基礎インスリン投与レジメンおよび1つ以上のボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様36に記載のCRM。
〔態様38〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、少なくとも1つのHCP選択基礎インスリン投与レジメンおよび少なくとも1つのHCP選択ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様37に記載のCRM。
〔態様39〕
前記機能の組が、
健康情報技術(HIT)システムから、前記患者に関係する電子健康記録(EHR)データにアクセスすることと、
前記HCPポータルアプリケーションを介して、前記EHRデータを提示することと、をさらに含む、態様35に記載のCRM。
〔態様40〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、毎日の滴定ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた毎日の滴定ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様36に記載のCRM。
〔態様41〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、固定用量ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた固定用量ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様36に記載のCRM。
〔態様42〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物ボーラス計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様36に記載のCRM。
〔態様43〕
前記少なくとも1つのHCP選択インスリン投与レジメンが、炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与アルゴリズムに関連付けられた炭水化物食事サイズに基づく計算機ボーラスインスリン投与レジメンを含む、態様36に記載のCRM。
〔態様44〕
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者受け入れ表示を前記MMAが受信したことを示すレジメン受け入れ表示を、前記機能の組が前記MMAから受信することをさらに含む、態様35に記載のCRM。
〔態様45〕
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関連付けられた患者拒否表示を前記MMAが受信したことを示すレジメン拒否表示を、前記機能の組が前記MMAから受信することと、前記患者拒否表示に応答して、前記患者に関連付けられた前記モバイルデバイス上で前記MMAを無効にすることと、をさらに含む、態様35に記載のCRM。
〔態様46〕
前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能である、態様35に記載のCRM。
〔態様47〕
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAが、前記モバイルデバイス上に事前格納されている前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データにアクセスするように操作可能である、態様46に記載のCRM。
〔態様48〕
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンが、前記HCP選択レジメンデータによってロック解除された後にのみ、前記MMAが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データを前記モバイルデバイス上にダウンロードするように操作可能である、態様46に記載のCRM。
〔態様49〕
前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示が前記MMAによって受信されたことを条件に、前記HCP選択レジメンデータが、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンをロック解除するように前記MMA上で操作可能である、態様46に記載のCRM。
〔態様50〕
前記MMAが、前記患者に関連付けられたインスリン送達デバイスと通信可能に接続されている、態様35に記載のCRM。
〔態様51〕
前記MMAが、前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに基づく投与推奨を提供するよ
うに構成されている、態様35に記載のCRM。
〔態様52〕
方法であって、
それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに各々関連付けられている複数の薬剤投与レジメンの中からの、少なくとも1つの薬剤投与レジメンのHCP選択を示す医療従事者(HCP)選択レジメンデータを、患者に関連付けられたモバイルデバイス上で実行される医療モバイルアプリケーション(MMA)で受信することであって、前記HCP選択が、HCPポータルアプリケーションを介して前記患者のために行われた、受信することと、
前記HCP選択レジメンデータを受信したことに少なくとも部分的に応答して、前記示された少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを前記MMA上でロック解除することと、を含む、方法。
〔態様53〕
前記HCP選択レジメンデータを受信することが、前記HCPポータルアプリケーションから前記HCP選択レジメンデータを受信することを含む、態様52に記載の方法。
〔態様54〕
前記HCP選択レジメンデータを受信することが、前記HCPポータルアプリケーションおよび前記MMAの両方と通信しているコネクテッドケアサーバシステムから前記HCP選択レジメンデータを受信することを含む、態様52に記載の方法。
〔態様55〕
前記受信ステップの後かつ前記ロック解除ステップの前に、前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの患者受け入れまたは患者拒否のプロンプトを提示することと、
前記モバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記提示されたプロンプトに対応するユーザ入力を受信することと、をさらに含み、
前記ロック解除ステップを実行することが、前記受信されたユーザ入力が、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示であることを条件とする、態様52に記載の方法。
〔態様56〕
前記受信したユーザ入力を、前記HCPポータルアプリケーションと、前記HCPポータルアプリケーションおよび前記MMAの両方と通信しているコネクテッドケアサーバシステムとの一方または両方に送信することをさらに含む、態様55に記載の方法。
〔態様57〕
前記ロック解除ステップが、前記モバイルデバイス上に事前格納された、以前はアクセス不可能であった、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データにアクセスすることを含む、態様52に記載の方法。
〔態様58〕
前記ロック解除ステップが、以前はアクセス不可能であった前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データを、前記モバイルデバイス上にダウンロードすることを含む、態様52に記載の方法。
〔態様59〕
前記MMAが、前記患者に関連付けられたインスリン送達デバイスと通信可能に接続されている、態様52に記載の方法。
〔態様60〕
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに基づく投与推奨を提供することをさらに含む、態様52に記載の方法。
〔態様61〕
患者に関連付けられたモバイルデバイスであって、前記モバイルデバイスが、
モバイルデバイス通信インターフェースと、
モバイルデバイスプロセッサと、
MMA機能の組を実行するための医療モバイルアプリケーション(MMA)を前記モバイルデバイスに実行させるために、前記モバイルデバイスプロセッサによって実行可能な指示を含む、モバイルデバイスデータストレージと、を含み、前記MMA機能の組が、
それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに各々関連付けられている複数の薬剤投与レジメンの中からの、少なくとも1つの薬剤投与レジメンのHCP選択を示す、医療従事者(HCP)選択レジメンデータを、前記MMAで受信することであって、前記HCP選択が、HCPポータルアプリケーションを介して前記患者のために行われた、受信することと、
前記HCP選択レジメンデータを受信したことに少なくとも部分的に応答して、前記示された少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを前記MMA上でロック解除することと、を含む、モバイルデバイス。
〔態様62〕
前記HCP選択レジメンデータを受信することが、前記HCPポータルアプリケーションから前記HCP選択レジメンデータを受信することを含む、態様61に記載のモバイルデバイス。
〔態様63〕
前記HCP選択レジメンデータを受信することが、前記HCPポータルアプリケーションおよび前記MMAの両方と通信しているコネクテッドケアサーバシステムから前記HCP選択レジメンデータを受信することを含む、態様61に記載のモバイルデバイス。
〔態様64〕
モバイルデバイスユーザインターフェースをさらに含み、前記MMA機能の組が、
前記受信ステップの後かつ前記ロック解除ステップの前に、前記モバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの患者受け入れまたは患者拒否のプロンプトを提示することと、
前記モバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記提示されたプロンプトに対応するユーザ入力を受信することと、をさらに含み、
前記ロック解除ステップを実行することが、前記受信されたユーザ入力が、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示であることを条件とする、態様61に記載のモバイルデバイス。
〔態様65〕
前記MMA機能の組が、前記受信したユーザ入力を、前記HCPポータルアプリケーションと、前記HCPポータルアプリケーションおよび前記MMAの両方と通信しているコネクテッドケアサーバシステムとの一方または両方に送信することをさらに含む、態様64に記載のモバイルデバイス。
〔態様66〕
前記ロック解除ステップが、前記モバイルデバイス上に事前格納された、以前はアクセス不可能であった、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データにアクセスすることを含む、態様61に記載のモバイルデバイス。
〔態様67〕
前記ロック解除ステップが、以前はアクセス不可能であった前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データを、前記モバイルデバイス上にダウンロードすることを含む、態様61に記載のモバイルデバイス。
〔態様68〕
前記MMAが、前記患者に関連付けられたインスリン送達デバイスと通信可能に接続されている、態様61に記載のモバイルデバイス。
〔態様69〕
モバイルデバイスユーザインターフェースをさらに含み、前記MMA機能の組が、前記モバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに基づく投与推奨を提供することをさらに含む、態様61に記載のモバイルデバイス。
〔態様70〕
1つ以上のプロセッサによって実行されると、機能の組を前記1つ以上のプロセッサに実行させるように操作可能な指示を格納している、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)であって、前記機能の組が、
それぞれ異なる薬剤投与アルゴリズムに各々関連付けられている複数の薬剤投与レジメンの中からの、少なくとも1つの薬剤投与レジメンのHCP選択を示す医療従事者(HCP)選択レジメンデータを、患者に関連付けられたモバイルデバイス上で実行されるモバイル医療アプリケーション(MMA)で受信することであって、前記HCP選択が、HCPポータルアプリケーションを介して前記患者のために行われた、受信することと、
前記HCP選択レジメンデータを受信したことに少なくとも部分的に応答して、前記示された少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンを前記MMA上でロック解除することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
〔態様71〕
前記HCP選択レジメンデータを受信することが、前記HCPポータルアプリケーションから前記HCP選択レジメンデータを受信することを含む、態様70に記載のCRM。
〔態様72〕
前記HCP選択レジメンデータを受信することが、前記HCPポータルアプリケーションおよび前記MMAの両方と通信しているコネクテッドケアサーバシステムから前記HCP選択レジメンデータを受信することを含む、態様70に記載のCRM。
〔態様73〕
前記機能の組が、
前記受信ステップの後かつ前記ロック解除ステップの前に、前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの患者受け入れまたは患者拒否のプロンプトを提示することと、
前記モバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記提示されたプロンプトに対応するユーザ入力を受信することと、をさらに含み、
前記ロック解除ステップを実行することが、前記受信されたユーザ入力が、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに関する患者受け入れ表示であることを条件とする、態様70に記載のCRM。
〔態様74〕
前記機能の組が、前記受信したユーザ入力を、前記HCPポータルアプリケーションと、前記HCPポータルアプリケーションおよび前記MMAの両方と関連付けられたコネクテッドケアサーバシステムとの一方または両方に送信することをさらに含む、態様73に記載のCRM。
〔態様75〕
前記ロック解除ステップが、前記モバイルデバイス上に事前格納された、以前はアクセス不可能であった、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データにアクセスすることを含む、態様70に記載のCRM。
〔態様76〕
前記ロック解除ステップが、以前はアクセス不可能であった前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンの実装データを、前記モバイルデバイス上にダウンロードすることを含む、態様70に記載のCRM。
〔態様77〕
前記MMAが、前記患者に関連付けられたインスリン送達デバイスと通信可能に接続されている、態様70に記載のCRM。
〔態様78〕
前記モバイルデバイスのモバイルデバイスユーザインターフェースを介して、前記機能の組が、前記少なくとも1つのHCP選択薬剤投与レジメンに基づく投与推奨を提供することをさらに含む、態様70に記載のCRM。
〔態様79〕
方法であって、
患者に関連付けられたモバイルデバイス上のプロセッサによって、前記モバイルデバイスの視覚的ディスプレイ上に同時に複数のパネルを提示することであって、前記複数のパネルが、
前記患者に投与されるインスリンの単位数を表示する、第1のパネル、および
前記第1のパネルによって表示される前記インスリンの単位数によって補われると予想される炭水化物の量を表示する、第2のパネル、を含む、提示することと、
前記第1のパネルによって表示された前記インスリンの単位数に対して要求される調整を表すユーザ入力を、前記モバイルデバイスで受信することと、
前記第1のパネルによって表示された前記インスリンの単位数に対して前記要求された調整に従って、前記複数のパネルの各パネルを前記プロセッサによって更新することであって、前記更新することが、調整されたインスリンの単位数を前記第1のパネルによって表示すること、および前記調整されたインスリンの単位数によって補われると予想される調整された炭水化物の量を前記第2のパネルで表示することを含む、更新することと、を含む、方法。
〔態様80〕
前記複数のパネルが、前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の量に対応する食事サイズの指標を表示する第3のパネルをさらに含み、前記更新することが、前記調整された炭水化物の量に対応する調整された食事サイズの指標を表示することを含む、態様79に記載の方法。
〔態様81〕
前記第3のパネルが、小さい食事サイズと大きい食事サイズとの間の食事サイズの範囲を表示する領域、および前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の量が前記領域のどこに入るかを示すインジケータを含む、態様80に記載の方法。
〔態様82〕
前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の量が、小さい食事サイズ、中程度の食事サイズ、または大きい食事サイズに対応するかを前記第3のパネルが示す、態様80に記載の方法。
〔態様83〕
中程度の食事サイズの最大炭水化物閾値、および中程度の食事サイズの最小炭水化物閾値を前記モバイルデバイスで受信することをさらに含み、前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の数値が、前記受信した最大炭水化物閾値および最小炭水化物閾値に基づいて、小さい食事サイズ、中程度の食事サイズ、または大きい食事サイズに対応するかを、前記第3のパネルが示す、態様82に記載の方法。
〔態様84〕
前記患者に関連付けられたインスリン対炭水化物比(ICR)を前記モバイルデバイスで受信することをさらに含み、前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の量が、前記第1のパネルによって表示される前記単位数および前記受信したICRに基づいて、前記プロセッサによって計算される、態様79に記載の方法。
〔態様85〕
前記複数のパネルが、前記第1のパネルによって表示される前記インスリンの単位数の投与から生じると予想される前記患者のグルコースレベルの低下を表示する第3のパネルを含み、前記更新することが、前記調整されたインスリンの単位数の投与から生じると予想される、前記患者のグルコースレベルの調整された低下を表示することを含む、態様79に記載の方法。
〔態様86〕
前記複数のパネルが、前記第1のパネルによって表示される前記インスリンの単位数の投与から生じると予想される前記患者のグルコースレベルの低下を表示する第4のパネルを含み、前記更新することが、前記調整されたインスリンの単位数の投与から生じると予
想される、前記患者のグルコースレベルの調整された低下を表示することを含む、態様80に記載の方法。
〔態様87〕
前記患者に関連付けられたインスリン効果値(ISF)を前記モバイルデバイスで受信することをさらに含み、前記第3のパネルによって表示される前記患者のグルコースレベルの前記低下が、前記第1のパネルによって表示された前記インスリンの単位数および前記受信したISFに基づいて計算される、態様85に記載の方法。
〔態様88〕
前記患者に関連付けられたインスリン効果値(ISF)を前記モバイルデバイスで受信することをさらに含み、前記第4のパネルによって表示される前記患者のグルコースレベルの前記低下が、前記第1のパネルによって表示された前記インスリンの単位数および前記受信したISFに基づいて計算される、態様86に記載の方法。
〔態様89〕
前記モバイルデバイスが、モバイルスマートフォンである、態様79に記載の方法。
〔態様90〕
前記モバイルデバイスが、薬物送達デバイスである、態様79に記載の方法。
〔態様91〕
前記薬物送達デバイスが、モバイルスマートフォンと無線通信し、前記薬物送達デバイスが、インスリン対炭水化物比(ICR)、インスリン効果値(ISF)、中程度の食事サイズの最大炭水化物閾値、および中程度の食事サイズの最小炭水化物閾値のうちの少なくとも1つを前記モバイルスマートフォンから受信する、態様90に記載の方法。
〔態様92〕
患者に関連付けられたモバイルデバイス上の1つ以上のプロセッサによって実行されると、
前記モバイルデバイスの視覚的ディスプレイ上に同時に複数のパネルを提示することであって、前記複数のパネルが、
前記患者に投与されるインスリンの単位数を表示する、第1のパネル、および
前記第1のパネルによって表示される前記インスリンの単位数によって補われると予想される炭水化物の量を表示する、第2のパネル、を含む、提示することと、
前記第1のパネルによって表示された前記インスリンの単位数に対して要求される調整を表すユーザ入力を、前記モバイルデバイスで受信することと、
前記第1のパネルによって表示されたインスリンの単位数に対して前記要求された調整に従って、前記複数のパネルの各パネルを更新することであって、前記更新することが、前記第1のパネルによって表示された調整されたインスリンの単位数を表示すること、および前記調整されたインスリンの単位数によって補われると予想される調整された炭水化物の量を前記第2のパネルで表示することを含む、更新することと、を前記1つ以上のプロセッサに行わせるように操作可能である指示を格納している、非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)。
〔態様93〕
前記複数のパネルが、前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の量に対応する食事サイズの指標を表示する第3のパネルをさらに含み、前記更新することが、前記調整された炭水化物の量に従って調整された食事サイズの指標を表示することを含む、態様92に記載のCRM。
〔態様94〕
前記第3のパネルが、小さい食事サイズと大きい食事サイズとの間の食事サイズの範囲を表示する領域、および前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の量が前記領域のどこに入るかを示すインジケータを含む、態様93に記載のCRM。
〔態様95〕
前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の量が、小さい食事サイズ、中程度の食事サイズ、または大きい食事サイズに対応するかを前記第3のパネルが示す、態様
93に記載のCRM。
〔態様96〕
前記指示が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、
中程度の食事サイズの最大炭水化物閾値、および中程度の食事サイズの最小炭水化物閾値を、前記1つ以上のプロセッサに受信させるように、前記モバイルデバイスでさらに操作可能であり、前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の数値が、前記受信した最大炭水化物閾値および最小炭水化物閾値に基づいて、小さい食事サイズ、中程度の食事サイズ、または大きい食事サイズに対応するかを、前記第3のパネルが示す、態様95に記載のCRM。
〔態様97〕
前記指示が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、
前記患者に関連付けられたインスリン対炭水化物比(ICR)を、前記1つ以上のプロセッサに受信させるように、前記モバイルデバイスでさらに操作可能であり、前記第2のパネルによって表示される前記炭水化物の量が、前記第1のパネルによって表示される前記単位数および前記受信したICRに基づいて計算される、態様92に記載のCRM。
〔態様98〕
前記複数のパネルが、前記第1のパネルによって表示される前記インスリンの単位数の投与から生じると予想される前記患者のグルコースレベルの低下を表示する第3のパネルを含み、前記更新することが、前記調整されたインスリンの単位数の投与から生じると予想される、前記患者のグルコースレベルの調整された低下を表示することを含む、態様92に記載のCRM。
〔態様99〕
前記複数のパネルが、前記第1のパネルによって表示される前記インスリンの単位数の投与から生じると予想される前記患者のグルコースレベルの低下を表示する第4のパネルを含み、前記更新することが、前記調整されたインスリンの単位数の投与から生じると予想される、前記患者のグルコースレベルの調整された低下を表示することを含む、態様93に記載のCRM。
〔態様100〕
前記指示が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、
前記患者に関連付けられたインスリン効果値(ISF)を前記1つ以上のプロセッサに受信させるように、前記モバイルデバイスでさらに操作可能であり、前記第3のパネルによって表示される前記患者のグルコースレベルの前記低下が、前記第1のパネルによって表示された前記インスリンの単位数および前記受信したISFに基づいて計算される、態様98に記載のCRM。
〔態様101〕
前記指示が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、
前記患者に関連付けられたインスリン効果値(ISF)を前記1つ以上のプロセッサに受信させるように、前記モバイルデバイスでさらに操作可能であり、前記第4のパネルによって表示される前記患者のグルコースレベルの前記低下が、前記第1のパネルによって表示された前記インスリンの単位数および前記受信したISFに基づいて計算される、態様99に記載のCRM。
〔態様102〕
前記モバイルデバイスが、モバイルスマートフォンである、態様92に記載のCRM。
〔態様103〕
前記モバイルデバイスが、薬物送達デバイスである、態様92に記載のCRM。
〔態様104〕
前記薬物送達デバイスが、モバイルスマートフォンと無線通信し、前記薬物送達デバイスが、インスリン対炭水化物比(ICR)、インスリン効果値(ISF)、中程度の食事サイズの最大炭水化物閾値、および中程度の食事サイズの最小炭水化物閾値のうちの少なくとも1つを前記モバイルスマートフォンから受信する、態様103に記載のCRM。