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特許7177933透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブン
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20221116BHJP
   H05B 3/84 20060101ALI20221116BHJP
   F24C 15/02 20060101ALI20221116BHJP
   F24C 7/06 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
A47J37/06 371
H05B3/84
F24C15/02 F
F24C7/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021528313
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2019008768
(87)【国際公開番号】W WO2020022689
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0086677
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521033273
【氏名又は名称】イ, イク-ノ
【氏名又は名称原語表記】LEE, Ik-No
【住所又は居所原語表記】404, 64, Dongsan-ro 10-gil, Seocho-gu Seoul 06790(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ, イク-ノ
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204970952(CN,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-1997-0024607(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00-37/12
H05B 3/00- 3/86
F24C 15/02-15/04
F24C 7/00- 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理室(11)を有する筐体(10)と、
前記筐体(10)の開口を開閉するドア(20)と、
前記筐体(10)の内部に調理物(C)を固定する調理物固定手段(30)と、
前記筐体(10)の内部の前記調理室(11)側の側壁に設けられ、対流熱を発生させるヒーター発熱体(40)と、
前記ドア(20)に設けられ、輻射熱を発生させる透明面状発熱体(50)と
を含み、
前記調理物(C)により冷えた熱気が前記ヒーター発熱体(40)を通過し、自然対流によって循環するように、前記調理物固定手段(30)の下部には熱循環孔(32c)が形成されており、
前記ヒーター発熱体(40)による前記対流熱と前記透明面状発熱体(50)による前記輻射熱の強度を制御する制御部(16)をさらに含むことを特徴とする透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブン。
【請求項2】
前記ドア(20)は、
内部空間に前記透明面状発熱体(50)が結合されており、
外部は、前記調理室(11)の上部を開放または閉鎖するように前記筐体(10)の上端の一方の側に回動自在に蝶着されるドア支持手段(22)により支持されることを特徴とする請求項1に記載の透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブン。
【請求項3】
前記調理物固定手段(30)は、
上部に開口を有する筒状の調理筒(32)であって、前記ヒーター発熱体(40)により暖められた熱気が上部の前記開口に通過するように前記調理室(11)の高さよりも低く形成された前記調理筒(32)と、
前記調理筒(32)に据え置かれる焼き網(34)と、から構成されたことを特徴とする請求項1に記載の透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブン。
【請求項4】
前記ヒーター発熱体(40)は、前記調理筒(32)の上端の高さよりも低い一定の高さに水平に設けられたことを特徴とする請求項3に記載の透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブンに係り、さらに詳しくは、対流熱を制御するヒーター発熱体と透明ドア面状発熱体により対流熱と輻射熱の強度を制御することにより、外乱(Disturbance)を能動的に制御することのできる透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、調理に用いられるオーブンは、ほとんどの場合に筐体の内部にヒーター(ほとんどの場合、対流熱を発生させるヒーター)を取り付けて用い、輻射熱は、筐体の固有特性(筐体の材質に応じた放射率と熱容量及び放射面積)により予熱を通じて発生させている。
【0003】
一方、透視窓の場合、内部の熱を受けて調理物に輻射をしなければならないが、外部に放出する輻射熱量に急激な変動が生じると、対応が不可能であった。
【0004】
すなわち、調理においては、対流熱と輻射熱の熱量の比率が非常に重要である。一般に、調理物は、その種類、大きさ、および量によって様々な火力(それぞれ異なる対流熱の熱量と放射熱の熱量)が提供される必要があり、また、それに応じて、表面のキャラメル化反応とマイヤール反応、深部の水分と脂肪量などが変化する。
【0005】
過去には、対流式ヒーターでオーブン筐体を予熱することで輻射熱の発生を解決してきたが、最近では、筐体内に輻射熱発生ヒーターと対流熱発生ヒーターを設けることで解決しようとする試みがあった。
【0006】
しかし、このような試みは、調理時に発生する各種の外乱を制御するには不十分であった。特に、外部で発生する外乱を制御することはほとんど不可能であった。
【0007】
また、オーブンの透視窓にはほとんどガラスが装着される。ガラスは、放射率が約0.9で、放射熱の吸収と放射に非常に良い物質からなる。
【0008】
このようなガラスが外部に露出すると、内部から受けた輻射熱が熱勾配によってオーブンの内外に放射される。特に、外部に放射される輻射熱量は、設置場所の条件によって異なる。
【0009】
すなわち、ステファン・ボルツマンの輻射エネルギー法則:E=εσT(σ:ステファン・ボルツマン定数、ε:放射率、A:伝熱面積、T:絶対温度)
上記のステファン・ボルツマンの輻射エネルギー法則によれば、設置場所での外乱についてより明確に説明することができる。
【0010】
ほとんどの設置場所はオーブンの透視窓よりもかなり広い面積を持ち、放射率(吸収率)は設置場所の材質によって異なるが、ほとんどの設置場所は比較的高い放射率(吸収率)の物質で作られている。
【0011】
例えば、外部吸熱面(壁面や天井等)の温度が20度で、透視窓の100倍の面積を持つ設置場所にオーブンを設置して最適の調理を行った場合、温度変化により吸熱面の温度が変化する。この温度が10度になると、料理が台無しになってしまう。
【0012】
また、絶対温度は293度から283度にわずかに低下したが、放射エネルギーの総流出量は、エネルギー勾配の増加に応じて10倍以上に増加する。
【0013】
したがって、透視窓のガラスが冷却され、ガラスと調理物との間の温度勾配が減少し、その結果、調理物に加えられる輻射熱も減少する。
【0014】
また、設置場所の変動でもオーブンの透視窓からの輻射熱の流出は変動してしまうため、最適な調理をするためには透視窓の温度の制御を欠かせない。
【0015】
そこで、正確なオーブンの制御を行うためには、透視窓の温度を能動的に制御することが重要な要因として働いていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、既存の諸問題に鑑みてこれらを解消するために案出されたもので、その目的は、透視窓の温度を能動的に制御して調理時間の短縮が図れることはもとより、調理物に応じて最適な火力を提供し、着脱可能な調理筒の採用により掃除の問題を簡単に解決することのできる透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記技術的課題を解決するための本発明の実施形態に係る透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブンは、調理室を有する筐体と、前記筐体の開口を開閉するドアと、前記筐体の内部に調理物を固定する調理物固定手段と、前記筐体の内部の側壁に設けられ、対流熱を発生させるヒーター発熱体と、前記ドアに設けられ、輻射熱を発生させる透明面状発熱体と、を含むことを特徴とする。
【0018】
別の実施形態として、本発明のドアは、内部空間に前記透明面状発熱体が結合されており、外部は、前記調理室の上部の開口を開放または閉鎖するように前記筐体の上端の一方の側に回動自在に蝶着されるドア支持手段により支持されることを特徴とする。
【0019】
別の実施形態として、本発明の調理物固定手段は、前記ヒーター発熱体により暖められた熱気が上部の開口に通過するように前記調理室の高さよりも低く形成された調理筒と、前記調理筒に据え置かれる焼き網と、から構成されたことを特徴とする。
【0020】
別の実施形態として、本発明の調理筒は、左右の側壁の一定の高さに焼き網が据え置かれるように左右一対の取っ手孔から切り開かれて内側に突き出た折曲片が形成され、前後の側壁の下部には一定の間隔をあけて多数の熱循環孔が形成されたことを特徴とする。
【0021】
別の実施形態として、本発明の一対のヒーター発熱体は、前記調理室側の前後の側壁に対して前記調理筒の上端の高さよりも低い一定の高さに水平にそれぞれ設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブンは、筐体の調理室の前後の側壁に調理筒の上端よりも低く一対のヒーター発熱体を設け、筐体の調理室の開口に透明面状発熱体を設けるような構造であることから、輻射熱は、設置場所と気温の変化に伴い調理の際に生じる各種の外乱を能動的に制御することができるので、調理時間の短縮が図れることはもとより、調理物に応じて最適な火力を提供することができるという効果がある。
【0023】
また、本発明の透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブンは、調理筒が開放された調理室の上部の開口を介して出入りできるような構造であることから、調理中に調理物から流下する肉汁や食べ物のカスなどを受け止めることができるので、筐体の内部が汚れることを極力抑えることができるだけではなく、 調理筒を筐体から取り外して掃除をすることができるので、清潔な状態を保つことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明に係る電気複合熱オーブンのドアが閉じられた状態を示す斜視図である。
図2図2は、本発明に係る電気複合熱オーブンのドアが開かれた状態を示す斜視図である。
図3図3は、本発明に係る電気複合熱オーブンに用いられる調理筒を示す斜視図である。
図4図4は、本発明に係る電気複合熱オーブンを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を十分に理解するために本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明の実施形態は種々の形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下において詳細に説明する実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。本実施形態は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図中の要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張されて表現されてもよい。各図中、同じ構成要素には、同じ参照符号を付したことがあるということを留意すべきである。なお、本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる公知の機能及び構成についての詳細な記述は、省略する。
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0027】
図1及び図2は、本発明に係る電気複合熱オーブンのドアが閉じられた状態と開かれた状態を示す斜視図であり、図3は、本発明に係る電気複合熱オーブンに用いられる調理筒を示す斜視図であり、図4は、本発明に係る電気複合熱オーブンを示す縦断面図である。
【0028】
図1乃至図4を参照すると、本発明の実施形態に係る透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブンは、上部が開口された調理室11を有する筐体10と、前記筐体10の開口を開閉するドア20と、前記筐体10の内部に調理物Cを固定する調理物固定手段30と、前記筐体10の内部の側壁に向かい合うように設けられて同時対流熱を発生させるヒーター発熱体40と、前記ドア20に設けられて輻射熱を発生させる透明面状発熱体50と、を含んで構成される。
【0029】
すなわち、前記筐体10は、上部が開口された調理室11を形成するように断熱材12を間に挟んで内筐体13と外筐体14とが向かい合うように組み合わせられた矩形状を呈するものであり、前記内筐体13と外筐体14とが接する外側の底面には開口を閉鎖するように下板15が結合され、前記外筐体14の正面には前記ヒーター発熱体40と透明面状発熱体50を制御するようにコントロールボックス16が結合されている。
【0030】
前記ドア20は、前記調理室11の上部の開口の面積よりも大きな矩形枠状を呈するものであり、その内部空間には前記透明面状発熱体50が結合されており、その外部は、前記調理室11の上部の開口を開放または閉鎖するように前記筐体10の上端の一方の側に回動自在に蝶着されるドア支持手段22により支持されている。
【0031】
このとき、前記ドア支持手段22は、一方の端が前記筐体10の左右の側面の上端の後方に回動自在にそれぞれ蝶着されるとともに、長手方向側の中央が前記ドア20の左右の側面の中央と回動自在にそれぞれ蝶着される左右一対の回動バー24と、前記左右一対の回動バー24の他方の端をつないでなる取っ手26と、から構成されている。
【0032】
前記調理物固定手段30は、前記ヒーター発熱体40により暖められた熱気が上部の開口に通過するように内筐体13の高さよりも低く形成された矩形筒状の調理筒32と、前記調理筒32に据え置かれる焼き網34と、から構成されている。
【0033】
このとき、前記調理筒32は、その左右の側壁の一定の高さには前記焼き網34が水平に据え置かれるように左右一対の取っ手孔32aから切り開かれて内側に突き出た折曲片32bが形成され、その前後の側壁の下部には調理筒32の内部側の焼き網34に載置された調理物Cにより冷えた熱気がヒーター発熱体40を通過して自然対流により循環されるように一定の間隔をあけて水平に配置された多数の熱循環孔32cが形成されている。
【0034】
前記一対のヒーター発熱体40は、U字状を呈するものであり、前記筐体10の調理室11側の前後の側壁に対して前記調理筒32の上端の高さよりも低い一定の高さに水平に横たわれるようにそれぞれ設けられている。
【0035】
前記透明面状発熱体50は、ガラスと面状発熱体とが前記ドア20の矩形枠により結合されたものであり、ドア20が閉じられた状態で前記調理室11に輻射熱を発生させるヒーティング機能と、調理室11の内部を覗けるように透視窓の機能と、を同時に与える。
【0036】
このような構成を有する本発明の透明面状発熱体透視窓付き電気複合熱オーブンは、筐体10の調理室11の前後の側壁に調理筒30の上端よりも低く一対のヒーター発熱体40を設け、筐体10の調理室11の開口に透明面状発熱体50を設けるような構造であることから、調理筒32の内側折曲片32bに焼き網34を据え置いた状態で調理物Cを載せて起動すると、ヒーター発熱体40と透明面状発熱体50は、プログラミングされた火力の制御により設定された温度で発熱しながら調理筒32に向かって高温の対流熱と輻射熱をそれぞれ発する。
【0037】
すなわち、一対のヒーター発熱体40から発せられる対流熱は、自然対流により、図4に示す矢印の方向のように、内筐体13と調理筒32との間の間隔を介して上昇するとともに、調理筒32の上部の開口を介して調理筒32の内部に流れながら輻射熱と合流して調理物Cに熱を加え、調理物Cにより冷えた熱気は調理筒32の側壁の下部に形成された多数の熱循環孔38を介して内筐体13と調理筒32との間に流れるとともに、ヒーター発熱体40を通過しながら再び加熱されるように循環される。
【0038】
このように、ヒーター発熱体40の対流熱と透明面状発熱体50の輻射熱を用いた複合熱オーブン方式は、調理に際して対流熱と輻射熱の強度を制御することができるので、オーブンの設置空間に係る気温の変化に制約を受けないように外乱(Disturbance)を能動的に制御することができるという利点がある。
【0039】
すなわち、透明面状発熱体50は、輻射熱を発生させるヒーティング機能と、調理室11の内部を覗けるように透視窓の機能と、を同時に与えるようにガラスと面状発熱体とが結合されてなるような構造であることから、ガラスが外部に晒されれば、内部において受けた輻射熱をオーブンの内部よりも温度が低い外部に多くの熱を放射することができるが、このように損失される熱を透明面状発熱体50から発熱される対流熱により補って調理の際に生じる各種の外乱を能動的に制御することができるので、調理時間の短縮が図れることはもとより、調理物に応じて最適な火力を提供することができる。
【0040】
調理筒32は、開放された調理室11の上部の開口を介して出入りできるような構造であることから、調理中に調理物Cから流下する肉汁や食べ物のカスなどを受け止めることができるので、筐体10の内部が汚れることを極力抑えることができるだけではなく、調理筒32を筐体10から取り外して掃除することができるので、清潔な状態を保つことができるという利点がある。
【0041】
一方、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で修正及び変形して実施することができ、そのような修正及び変形が加えられた技術思想も以下の特許請求の範囲に属するものとみなすべきである。
【符号の説明】
【0042】
10 筐体
11 調理室
12 断熱材
13 内筐体
14 外筐体
15 下板
16 コントロールボックス
20 ドア
22 ドア支持手段
24 回動バー
26 取っ手
30 調理物固定手段
32 調理筒
32a 取っ手孔
32b 折曲片
32c 熱循環孔
34 焼き網
40 ヒーター発熱体
50 透明面状発熱体
C 調理物
図1
図2
図3
図4