(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】センサ制御装置、センサ制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/351 20110101AFI20221116BHJP
H04N 5/345 20110101ALI20221116BHJP
【FI】
H04N5/351
H04N5/345
(21)【出願番号】P 2021528788
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 JP2019025620
(87)【国際公開番号】W WO2020261491
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長沼 宏昌
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-535098(JP,A)
【文献】特開2018-085725(JP,A)
【文献】特開2018-148553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光の強度変化を検出したときにイベント信号を生成するセンサによって構成されるセンサアレイを含むイベント駆動型のビジョンセンサを、前記センサアレイ上の第1の領域において前記イベント信号を第1の頻度で読み出し、前記センサアレイ上の第2の領域において前記イベント信号を前記第1の頻度よりも高い第2の頻度で読み出すように制御する読み出し制御部と、
所定の時間内に前記第1の領域での読み出しによって取得された第1のイベント信号の数に基づいて前記第1の領域の少なくとも一部を前記第2の領域に変更するか、または前記所定の時間内に前記第2の領域での読み出しによって取得された第2のイベント信号の数に基づいて前記第2の領域の少なくとも一部を前記第1の領域に変更する領域設定部と
を備えるセンサ制御装置。
【請求項2】
前記領域設定部は、前記第1の領域のサブ領域ごとの前記第1のイベント信号の数が所定の閾値と同じか、またはより多い場合に前記サブ領域を前記第2の領域に変更する、請求項1に記載のセンサ制御装置。
【請求項3】
前記領域設定部は、前記第2の領域のサブ領域ごとの前記第2のイベント信号の数が所定の閾値と同じか、またはより少ない場合に前記サブ領域を前記第1の領域に変更する、請求項1または請求項2に記載のセンサ制御装置。
【請求項4】
前記第1の頻度は0であり、
前記所定の時間は、前記センサがノイズによって前記イベント信号を生成する周期よりも長い時間であり、
前記領域設定部は、前記第2のイベント信号の数が0である場合に前記サブ領域を前記第1の領域に変更する、請求項3に記載のセンサ制御装置。
【請求項5】
前記読み出し制御部は、前記センサアレイ上の第3の領域において前記イベント信号を前記第2の頻度よりも高い第3の頻度で読み出すように制御する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセンサ制御装置。
【請求項6】
入射する光の強度変化を検出したときにイベント信号を生成するセンサによって構成されるセンサアレイを含むイベント駆動型のビジョンセンサを、前記センサアレイ上の第1の領域において前記イベント信号を第1の頻度で読み出し、前記センサアレイ上の第2の領域において前記イベント信号を前記第1の頻度よりも高い第2の頻度で読み出すように制御するステップと、
所定の時間内に前記第1の領域での読み出しによって取得された第1のイベント信号の数に基づいて前記第1の領域の少なくとも一部を前記第2の領域に変更するか、または前記所定の時間内に前記第2の領域での読み出しによって取得された第2のイベント信号の数に基づいて前記第2の領域の少なくとも一部を前記第1の領域に変更するステップと
を含むセンサ制御方法。
【請求項7】
入射する光の強度変化を検出したときにイベント信号を生成するセンサによって構成されるセンサアレイを含むイベント駆動型のビジョンセンサを、前記センサアレイ上の第1の領域において前記イベント信号を第1の頻度で読み出し、前記センサアレイ上の第2の領域において前記イベント信号を前記第1の頻度よりも高い第2の頻度で読み出すように制御する機能と、
所定の時間内に前記第1の領域での読み出しによって取得された第1のイベント信号の数に基づいて前記第1の領域の少なくとも一部を前記第2の領域に変更するか、または前記所定の時間内に前記第2の領域での読み出しによって取得された第2のイベント信号の数に基づいて前記第2の領域の少なくとも一部を前記第1の領域に変更する機能と
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ制御装置、センサ制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
入射する光の強度変化を検出したピクセルが時間非同期的に信号を生成する、イベント駆動型のビジョンセンサが知られている。イベント駆動型のビジョンセンサは、所定の周期ごとに全ピクセルをスキャンするフレーム型ビジョンセンサ、具体的にはCCDやCMOSなどのイメージセンサに比べて、低電力で高速に動作可能である点で有利である。このようなイベント駆動型のビジョンセンサに関する技術は、例えば特許文献1および特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2014-535098号公報
【文献】特開2018-85725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、イベント駆動型のビジョンセンサについて、上記のような時間非同期的な信号の生成を考慮してセンサの読み出し制御を最適化する技術については、まだ提案されていない。
【0005】
そこで、本発明は、イベント駆動型のビジョンセンサにおける時間非同期的な信号の生成を考慮して読み出し制御を最適化することが可能な、センサ制御装置、センサ制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある観点によれば、入射する光の強度変化を検出したときにイベント信号を生成するセンサによって構成されるセンサアレイを含むイベント駆動型のビジョンセンサを、センサアレイ上の第1の領域においてイベント信号を第1の頻度で読み出し、センサアレイ上の第2の領域においてイベント信号を第1の頻度よりも高い第2の頻度で読み出すように制御する読み出し制御部と、所定の時間内に第1の領域での読み出しによって取得された第1のイベント信号の数に基づいて第1の領域の少なくとも一部を第2の領域に変更するか、または所定の時間内に第2の領域での読み出しによって取得された第2のイベント信号の数に基づいて第2の領域の少なくとも一部を第1の領域に変更する領域設定部とを備えるセンサ制御装置が提供される。
【0007】
本発明の別の観点によれば、入射する光の強度変化を検出したときにイベント信号を生成するセンサによって構成されるセンサアレイを含むイベント駆動型のビジョンセンサを、センサアレイ上の第1の領域においてイベント信号を第1の頻度で読み出し、センサアレイ上の第2の領域においてイベント信号を第1の頻度よりも高い第2の頻度で読み出すように制御するステップと、所定の時間内に第1の領域での読み出しによって取得された第1のイベント信号の数に基づいて第1の領域の少なくとも一部を第2の領域に変更するか、または所定の時間内に第2の領域での読み出しによって取得された第2のイベント信号の数に基づいて第2の領域の少なくとも一部を第1の領域に変更するステップとを含むセンサ制御方法が提供される。
【0008】
本発明のさらに別の観点によれば、入射する光の強度変化を検出したときにイベント信号を生成するセンサによって構成されるセンサアレイを含むイベント駆動型のビジョンセンサを、センサアレイ上の第1の領域においてイベント信号を第1の頻度で読み出し、センサアレイ上の第2の領域においてイベント信号を第1の頻度よりも高い第2の頻度で読み出すように制御する機能と、所定の時間内に第1の領域での読み出しによって取得された第1のイベント信号の数に基づいて第1の領域の少なくとも一部を第2の領域に変更するか、または所定の時間内に第2の領域での読み出しによって取得された第2のイベント信号の数に基づいて第2の領域の少なくとも一部を第1の領域に変更する機能とをコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0009】
上記の構成によれば、イベント駆動型のビジョンセンサにおける時間非同期的な信号の生成を考慮して読み出し制御を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの概略的な構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態においてセンサアレイ上に4つの領域が設定される例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るセンサ制御方法の処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係るシステムの概略的な構成を示す図であり、
図2は
図1に示すEDSの構成を示す図である。図示された例において、システム10は、EDS(Event Driven Sensor)100と、センサ制御装置200とを含む。
【0013】
EDS100は、イベント駆動型のビジョンセンサであり、入射する光の強度変化(以下、イベントともいう)を検出したときにイベント信号を生成するセンサ110によって構成されるセンサアレイ120と、センサ110からのイベント信号の読み出しを制御するアドレス発生装置131,132とを含む。センサアレイ120において、センサ110は直交する2方向(x方向およびy方向として図示する)に配列されており、アドレス発生装置131,132がそれぞれx方向およびy方向について発生させるアドレスに従ってセンサ110からイベント信号が読み出される。ここで、あるアドレスのセンサ110がイベントを検出しなかった場合には読み出しが実行されてもイベント信号は読み出されず、次のアドレスの読み出しが実行される。従って、EDS100から出力されるイベント信号は時間非同期的である。EDS100から出力されるイベント信号は、センサの識別情報(例えばアドレス)と、輝度変化の極性(上昇または低下)と、タイムスタンプとを含む。
【0014】
センサ制御装置200は、例えば通信インターフェース、プロセッサ、およびメモリを有するコンピュータによって実装され、プロセッサがメモリに格納された、または通信インターフェースを介して受信されたプログラムに従って動作することによって実現される読み出し制御部210および領域設定部220の機能部分を含む。また、センサ制御装置200のメモリには、領域情報230およびイベント履歴240が格納される。以下、各部の構成についてさらに説明する。
【0015】
読み出し制御部210は、EDS100におけるイベント信号の読み出し頻度を制御する。具体的には、読み出し制御部210は、EDS100に制御信号を送信し、EDS100ではアドレス発生装置131,132が制御信号に従ってセンサ110からイベント信号を読み出すためのアドレスを生成する。ここで、読み出し制御部210は、センサアレイ120上の第1の領域においてイベント信号を第1の頻度r1で読み出し、センサアレイ120上の第2の領域においてイベント信号を第2の頻度r2で読み出すようにEDS100を制御し、第2の頻度r2は、第1の頻度r1よりも高い(r1<r2)。ここで、本明細書において、頻度は、単位時間のうちに読み出しが実行される回数を意味する。上記のような制御信号を受信したEDS100のアドレス発生装置131,132は、第1の領域のセンサ110のアドレスを単位時間あたりr1回、第2の領域のセンサ110のアドレスを単位時間あたりr2回生成する。
【0016】
上記のような読み出し制御部210の処理において設定される第1の領域および第2の領域は、センサアレイ120上で複数のセンサ110を含む領域であり、例えばx方向およびy方向のそれぞれのアドレス範囲によって特定される。例えば、領域情報230は、第1の領域を示すアドレス範囲および第2の領域を示すアドレス範囲の少なくともいずれかを含む。例えば、領域情報230が第2の領域を示すアドレス範囲のみを含み、センサアレイ120上の第2の領域以外の領域が第1の領域として特定されてもよい。あるいは、センサアレイ120が予め所定の数の単位領域に区分され、領域情報230は第1の領域および第2の領域のそれぞれに含まれる単位領域のIDを含んでもよい。この場合も、読み出し制御部210がそれぞれの単位領域のIDをアドレス範囲に変換し、制御信号には第1の領域および第2の領域のそれぞれのアドレスを示す情報が含まれてもよい。
【0017】
領域設定部220は、所定の時間内に第1の領域での読み出しによって取得された第1のイベント信号の数に基づいて第1の領域の少なくとも一部を第2の領域に変更するか、または所定の時間内に第2の領域での読み出しによって取得された第2のイベント信号の数に基づいて第2の領域の少なくとも一部を第1の領域に変更する。領域設定部220は、変更後の領域で領域情報230を更新する。上述のような読み出し制御部210によるEDS100の制御は、センサアレイ120上の第1の領域でイベントが検出される頻度が、第2の領域でイベントが検出される頻度よりも低いことを前提にしている。従って、第1の領域の一部でイベントが検出される頻度が第2の領域と同程度になるか、またはよりも高くなった場合は、当該部分を第2の領域に変更することが適切である。同様に、第2の領域の一部でイベントが検出される頻度が第1の領域と同程度になるか、またはより低くなった場合は、当該部分を第1の領域に変更することが適切である。
【0018】
具体的には、領域設定部220は、イベント履歴240を参照して上記の処理を実行する。例えば、イベント履歴240は、直近でEDS100から受信されたイベント信号のアドレスおよびタイムスタンプを含む。この場合、領域設定部220はこれらのアドレスおよびタイムスタンプに基づいて直近の所定の時間における第1の領域のサブ領域ごとのイベント信号(第1のイベント信号)の数をカウントし、イベント信号の数が第1の閾値以上のサブ領域を第2の領域に変更する。これによって、ある時点で設定されている第1の領域の中でイベント信号がより多く生成されているサブ領域を第2の領域に変更してイベント信号の読み出し頻度を上昇させることができる。同様に、領域設定部220は、直近の所定の時間における第2の領域のサブ領域ごとのイベント信号(第2のイベント信号)の数をカウントし、イベント信号の数が第2の閾値以下のサブ領域を第1の領域に変更する。これによって、ある時点で設定されている第2の領域の中でイベント信号がより多く生成されているサブ領域を第1の領域に変更してイベント信号の読み出し頻度を低下させることができる。上記の第1の閾値と第2の閾値とは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0019】
以上で説明したような本発明の一実施形態によれば、被写体が比較的速い速度で移動していることによってイベントの発生が多い領域ではイベント信号の読み出し頻度を高くし、逆に被写体が移動していないか、または比較的遅い速度で移動していることによってイベントの発生が少ない領域ではイベント信号の読み出し頻度を低くすることができる。これによって、例えばイベント信号の読み出し頻度が一様である場合に比べて、イベントの発生が多い領域でのイベント信号の読み出し周期を相対的に短縮することができ、被写体の動きへのイベント信号の追従性を向上させることができる。
【0020】
また、ノイズなどによる被写体の動きと関係しないイベントは、一般に被写体の動きによって発生するイベントよりも発生頻度が低い。それゆえ、上記のようにイベントの発生が少ない領域ではイベント信号の読み出し頻度を低くすることによって、結果的にノイズなどによる被写体の動きと関係しないイベントに由来するイベント信号の割合を低下させることができ、全体としてイベント信号のS/N比を向上させることができる。
【0021】
なお、上記の例では読み出し制御部210がEDS100のセンサアレイ120上に設定された第1の領域および第2の領域についてイベント信号の読み出し頻度を制御したが、センサアレイ120上により多くの領域が設定されてもよい。例えば、センサアレイ120上に第1および第2の領域に加えて第3の領域が設定され、センサ制御装置200の読み出し制御部210は、第3の領域においてイベント信号を第2の頻度r2よりも高い第3の頻度r3(r2<r3)で読み出すようにEDS100を制御してもよい。さらに、センサアレイ120上に第4の領域が設定され、読み出し制御部210は第4の領域においてイベント信号を第3の頻度r3よりも高い第4の頻度r4(r3<r4)で読み出すようにEDS100を制御してもよい。
【0022】
図3は、本発明の一実施形態においてセンサアレイ上に4つの領域が設定される例を示す図である。(a)の時点では、EDS100のセンサアレイ120上に、第1の領域S
1、第2の領域S
2、第3の領域S
3、および第4の領域S
4が設定されている。読み出し制御部210は、例えば、パターンP={S
1,S
4,S
3,S
2,S
4,S
3,S
4,S
2,S
4,S
3}で各領域のセンサ110からイベント信号を読み出すように、EDS100に制御信号を送信する。この場合、各領域の読み出し頻度の比は、r
1:r
2:r
3:r
4=1:2:3:4になる。第4の領域S4および第3の領域S3では、被写体objが比較的速い速度で移動していることによって、イベントの発生が多くなっている。
【0023】
一方、
図3に示す(b)の時点では、被写体objが移動したことによって、イベントの発生が多い領域が変化している。これに対応して、センサ制御装置200では、領域設定部220が各領域での読み出しによって取得された信号の数に基づいて領域の設定を変更する。具体的には、領域設定部220は、被写体objが移動してきたことによってイベントの発生が多くなった領域を(a)での第2の領域S
2から(b)では第4の領域S
4に変更する。一方、領域設定部220は、被写体objが通過したことによってイベントの発生が少なくなった領域を(a)での第4の領域S
4から(b)では第3の領域S
3、または第2の領域S
2に変更する。
【0024】
例えば、上記で
図3を参照して説明した例では、EDS100のセンサアレイ120上で相対的に高い読み出し頻度が設定される領域が、被写体objの移動に伴って変化する。これによって、被写体objの動きへのイベント信号の追従性を継続的に高めることができる。上記の各領域S
1,S
2,S
3,S
4の間での判定は、例えば、各領域のサブ領域ごとに直近の所定の時間におけるイベント信号の数を各領域に対応する閾値と比較することによって判定されてもよい。この場合、例えば、ある時点における領域S
1のサブ領域が、次の時点では領域S
3、または領域S
4に変更されることがありうる。領域の変更判定は、例えば被写体objの移動に追従できる程度に短い時間間隔で実行されてもよい。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態の変形例を示す図である。図示された例でもEDS100のセンサアレイ120上に第1の領域S
1および第2の領域S
2を設定するが、上記で
図1などを参照して説明した例で第1の領域および第2の領域が複数のセンサ110を含んでいたのに対して、
図4の例では第1の領域S
1が単一のセンサ110を含んでもよい。また、この例では、読み出し制御部210が送信する制御信号に従って第1の領域S
1からイベント信号が読み出される第1の頻度r
1が0である。つまり、図示された例では、アドレス発生装置131,132が第1の領域S
1のセンサ110からイベント信号を読み出すためのアドレスを生成しない。
【0026】
上記の例では、第1の領域S1に含まれるセンサ110が欠陥画素、すなわち光の強度変化を検出しないセンサであるために、センサ110からは有効なイベント信号が生成されない。このような場合、当該センサ110からのイベント信号を読み出す頻度を0にする、すなわちイベント信号の読み出しを実行しないことによって、他のセンサ110からのイベント信号の読み出し周期を短縮し、全体としてイベント信号のS/N比を向上させることができる。ただし、ひとたび第1の領域S1に設定されたセンサ110は、イベント信号が読み出されない結果、第2の領域S2に復帰することがないため、領域設定部220は、例えばセンサ110がノイズによってイベント信号を生成する周期よりも長い時間にわたって第2の領域S2のセンサ110からの読み出しによって取得されたイベント信号(第2のイベント信号)が0である場合に限って、当該センサ110に対応する第2の領域S2のサブ領域を第1の領域S1に変更してもよい。
【0027】
図5は、本発明の一実施形態に係るセンサ制御方法の処理の例を示すフローチャートである。図示された例では、センサ制御装置200で領域情報230を参照した読み出し制御部210が送信する制御信号に従ってアドレス発生装置131,132がアドレスを発生させ、センサ110からのイベント信号の読み出した実行される。具体的には、センサアレイ120上の第1の領域のセンサ110から第1の頻度でイベント信号を読み出し(ステップS101)、第2の領域のセンサ110から第2の頻度でイベント信号を読み出す(ステップS102)。なお、既に述べたように、各領域のセンサ110がイベントを検出しなかった場合にはイベント信号は生成されないため、ステップS101,S102で読み出されるイベント信号の数はその時々によって異なる。
【0028】
所定の時間が経過するまで上記の読み出しが繰り返された後(ステップS103)、領域設定部220による領域の更新処理が実行される。具体的には、領域設定部220は、イベント履歴240を参照して、第1の領域のうち所定の時間内に取得されたイベント信号の数が第1の閾値以上のサブ領域を第2の領域に変更する(ステップS104)。また、領域設定部220は、第2の領域のうち所定の時間内に取得されたイベント信号の数が第2の閾値以下のサブ領域を第1の領域に変更する(ステップS105)。領域設定部220は、変更後の領域で領域情報230を更新し(ステップS106)、上記のステップS101~S106の処理が所定の時間ごとに繰り返される(ステップS107)。
【0029】
本発明の実施形態は、例えばゲームコントローラ、スマートフォン、各種の移動体(自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボットなど)で周辺環境の情報を取得したり、周辺のオブジェクトの位置から自己位置を推定したり、飛来するオブジェクトを検出して回避行動をとったりするために利用することができる。
【0030】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変形例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0031】
10…システム、110…センサ、120…センサアレイ、131…アドレス発生装置、132…アドレス発生装置、200…センサ制御装置、210…読み出し制御部、220…領域設定部、230…領域情報、240…イベント履歴、S1…第1の領域、S2…第2の領域、S3…第3の領域、S4…第4の領域、obj…被写体。