(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】電気加熱モールド
(51)【国際特許分類】
B29C 49/48 20060101AFI20221116BHJP
B29C 33/02 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B29C49/48
B29C33/02
(21)【出願番号】P 2021541709
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2020081550
(87)【国際公開番号】W WO2020253303
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】201910536929.9
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521317081
【氏名又は名称】広州達意隆包装機械股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼文洲
(72)【発明者】
【氏名】黄孝林
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-124571(JP,A)
【文献】実開平03-042632(JP,U)
【文献】特開昭59-103832(JP,A)
【文献】特開2006-297676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠(1)、および型枠(1)内の電気加熱装置を含む電気加熱モールドであって、
前記電気加熱装置は、瓶頸を囲んで加熱するための上層環状加熱抵抗素子群(2)と、瓶胴体を囲んで加熱するための中間環状鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群(3)と、瓶底を囲んで加熱するための下層環状加熱抵抗素子群(4)と、を含む、ことを特徴とする電気加熱モールド。
【請求項2】
前記型枠は、左型枠(1
1)および右型枠(
12)を含み、
前記上層環状加熱抵抗素子群(2)には、左半環状上層加熱抵抗素子群(
21)および右半環状上層加熱抵抗素子群
(22)が含まれ、それぞれ左型枠および右型枠に設けられ、
前記中間環状鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群(3)には、左半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および右半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群が含まれ、それぞれ左型枠および右型枠に設けられ、
前記下層環状加熱抵抗素子群(4)には、左半環状下層加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群が含まれ、それぞれ左型枠および右型枠に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の電気加熱モールド。
【請求項3】
前記左型枠の上端面および右型枠の上端面にそれぞれ左上覆い板および右上覆い板が設けられており、
前記左半環状上層加熱抵抗素子群および右半環状上層加熱抵抗素子群は、それぞれ左上覆い板および右上覆い板に設けられ、
前記左半環状下層加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群は、それぞれ左型枠および右型枠の底端面に設けられ、
前記左半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および右半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群は、それぞれ左型枠および右型枠の上端面から左型枠および右型枠内に鉛直挿入されている、ことを特徴とする請求項2に記載の電気加熱モールド。
【請求項4】
前記左半環状上層加熱抵抗素子群、左半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および左半環状下層加熱抵抗素子群は、第1電線によって一体に直列接続され、前記右半環状上層加熱抵抗素子群、右半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群は、第2電線によって一体に直列接続され、
第1電線および第2電線がいずれもジョイントボックス(8)内に伸び、
前記ジョイントボックス(8)が左上覆い板または右上覆い板に設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の電気加熱モールド。
【請求項5】
前記左半環状上層加熱抵抗素子群、右半環状上層加熱抵抗素子群、左半環状下層加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群は、いずれも、複数段の水平に設けられた柱状加熱棒(5)により間隔をあけて半環状に並んで接続されて形成されるか、或いは、前記左半環状上層加熱抵抗素子群、右半環状上層加熱抵抗素子群、左半環状下層加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群は、いずれも、電気加熱片(6)により半環状に折り曲げられて形成され、
前記左半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および右半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群には、いずれも、複数本の鉛直に設けられた、間隔をあけて半環状に並んだ加熱棒(7)が含まれ、
全ての加熱棒(7)の上端が一体に直列接続されている、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の電気加熱モールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形加工の分野に関し、特に、電気加熱装置を有するブロー成形モールドに関する。
【背景技術】
【0002】
パリソンは電気加熱モールドに入れて容器瓶にブロー成形する必要があり、パリソンがより良く引き伸ばされて容器瓶を形成するように、ブロー成形過程で加熱する必要がある。現在、業界で用いられている電気加熱モールドには、以下の2種類がある。一つは、予熱された流体(例えば、水またはオイル)によりモールドのキャビティ壁を加熱するものである。キャビティ壁と容器との間に大きな熱交換が必要となるため、大量の予熱された流体が必要であり、予熱された流体の備蓄量が非常に大きくなる。そして、予熱された流体が熱を伝達するために流れる必要があるため、モールドに流路が開設される必要があるが、流路の構造が複雑であり、モールドの製造難度および製造コストが増加する。もう一つは、抵抗器によりモールドのキャビティ壁を加熱するものである。ヨーロッパ特許EP1753597に開示されているように、その抵抗器が型枠とその下型との境界面に設けられており、加熱時に熱が下から上へ揮散することから容器の底部における受熱効果が悪くなり、成形の品質に影響を及ぼす。そして、その抵抗器がパイプコイル形状であり、抵抗器を下型に設けるために下型に対して複雑な加工を行う必要があり、加工難度が大きく、加工コストが高い。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、加熱効果がよく、加工コストが低く、構造がシンプルである電気加熱モールドを提供することを目的とする。
【0004】
本発明に係る電気加熱モールドは、型枠および型枠内の電気加熱装置を含む。前記電気加熱装置は、瓶頸を囲んで加熱するための上層環状加熱抵抗素子群と、瓶胴体を囲んで加熱するための中間環状鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群と、瓶底を囲んで加熱するための下層環状加熱抵抗素子群と、を含む。
【0005】
本発明に係る電気加熱モールドは、電気加熱装置は、瓶頸を囲んで加熱するための上層環状加熱抵抗素子群と、瓶胴体を囲んで加熱するための中間環状鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群と、瓶底を囲んで加熱するための下層環状加熱抵抗素子群とを含む。中間環状鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群が瓶胴体を加熱する際、瓶頸については、その直径が小さいため、中間環状鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群で熱エネルギーを発生する際、瓶頸に輻射した熱が少なくなることで瓶頸における加熱温度が十分ではなくなる。そのため、特別に瓶頸において瓶頸を囲んで加熱する上層環状加熱抵抗素子群を設ける(異なる容器瓶の瓶頸における直径に応じて上層環状加熱抵抗素子群の囲む直径を調節してもよい)ことで、瓶頸における加熱温度を確保し、瓶頸における加熱温度を均一にし、瓶頸におけるブロー成形の品質を確保することができる。瓶底については、下型に設けられており、下型が金属材質であり、且つ中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群が加熱する際に、熱が下から上へ揮散するため、瓶底における熱エネルギーの揮散が速い。そのため、瓶底におけるブロー成形の品質を確保するために、特別に瓶底を囲んで加熱する下層環状加熱抵抗素子群を設けることによって瓶底における加熱温度を確保し、瓶底における加熱温度を均一にし、瓶底におけるブロー成形の品質を確保することができる。容器瓶の異なる位置に対して構造が異なる加熱抵抗素子群を設けることで、熱エネルギーの最適な利用を実現しながら、モールドの構造を簡素化し、加工コストを節約することができる。また、形状が異なる容器瓶に対して、上層および下層環状加熱抵抗素子群の包囲直径および設置する高さ位置、並びに中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群の長さを調節することで、当該電気加熱モールドをより多くの形状の容器瓶に適用させ、適用範囲が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】
図1におけるA方向から見た図である。(瓶口フランジを除く)
【
図4】
図1におけるB方向から見た図である。(下型、下型クランプ板、厚み板、下覆い板を除く)
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1~
図8に示すように、電気加熱モールドは、型枠1および型枠1内の電気加熱装置を含む。前記電気加熱装置は、瓶頸を囲んで加熱するための上層環状加熱抵抗素子群2と、瓶胴体を囲んで加熱するための中間環状鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群3と、瓶底を囲んで加熱するための下層環状加熱抵抗素子群4と、を含む。
【0008】
前記型枠は、左型枠11および右型枠12を含む。前記上層環状加熱抵抗素子群2には、左半環状上層加熱抵抗素子群21および右半環状上層加熱抵抗素子群22が含まれ、それぞれ左型枠および右型枠に設けられている。前記中間環状鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群3には、左半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および右半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群が含まれ、それぞれ左型枠および右型枠に設けられている。前記下層環状加熱抵抗素子群4には、左半環状下層加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群が含まれ、それぞれ左型枠および右型枠に設けられている。
【0009】
前記左型枠の上端面および右型枠の上端面に、それぞれ左上覆い板および右上覆い板が設けられている。前記左半環状上層加熱抵抗素子群および右半環状上層加熱抵抗素子群は、それぞれ左上覆い板および右上覆い板に設けられている。前記左半環状下層加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群は、それぞれ左型枠および右型枠の底端面に設けられている。前記左半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および右半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群は、それぞれ左型枠および右型枠の上端面から左型枠および右型枠内に鉛直挿入されている。
【0010】
前記左半環状上層加熱抵抗素子群、左半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および左半環状下層加熱抵抗素子群は、第1電線によって一体に直列接続されている。前記右半環状上層加熱抵抗素子群、右半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群は、第2電線によって一体に直列接続されている。第1電線および第2電線は、いずれもジョイントボックス8内に伸びている。前記ジョイントボックス8は、左上覆い板または右上覆い板に設けられている。
【0011】
前記左半環状上層加熱抵抗素子群、右半環状上層加熱抵抗素子群、左半環状下層加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群は、いずれも複数段の水平に設けられた柱状加熱棒5により間隔をあけて半環状に並んで接続されて形成されるか、或いは、前記左半環状上層加熱抵抗素子群、右半環状上層加熱抵抗素子群、左半環状下層加熱抵抗素子群および右半環状下層加熱抵抗素子群は、いずれも電気加熱片6により、半環状に折り曲げられて形成されている。前記左半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および右半環状中間鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群には、いずれも複数本の鉛直に設けられた、間隔をあけて半環状に並んだ加熱棒7が含まれる。全ての加熱棒7の上端が一体として直列接続される。前記上層環状加熱抵抗素子群、中間環状鉛直挿入柱状加熱抵抗素子群および下層環状加熱抵抗素子群は、材質または抵抗値が同一であってもよいし、異なってもよい。