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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ハンドオーバ処理
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/04 20090101AFI20221117BHJP
   H04W 36/00 20090101ALI20221117BHJP
   H04L 12/42 20060101ALI20221117BHJP
   H04L 41/00 20220101ALI20221117BHJP
   H04L 43/00 20220101ALI20221117BHJP
【FI】
H04W74/04
H04W36/00
H04L12/42
H04L41/00
H04L43/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019560678
(86)(22)【出願日】2018-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2018061392
(87)【国際公開番号】W WO2018206402
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】17170773.0
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522362006
【氏名又は名称】アール3 ソリューションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ボーゲ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ボナナティ,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ジェームズ
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-153152(JP,A)
【文献】特開平02-262737(JP,A)
【文献】Mustafa Ergen,WTRP-Wireless Token Ring Protocol,2002年09月30日,p.7-29,https://escholarship.org/uc/item/46j14048
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04L 12/42
H04L 41/00
H04L 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信システムと第2の通信システムの間でハンドオーバ処理を行う方法であって、
前記第2の通信システムが無線トークンリングシステムであり、各通信ノードが、割り当てられた下流通信ノードに信号を送信し、割り当てられた上流通信ノードから信号を受信するように構成されており、前記無線トークンリングシステムの少なくとも1つの通信ノードがハンドオーバ制御ノードとして動作し、
前記第1の通信システムの移動ノードの前記無線トークンリングシステムへの統合を開始することにより、オリジナル無線トークンリングシステムを拡張無線トークンリングシステムに変換するために、ハンドオーバメッセージが前記第1の通信システムから前記無線トークンリングシステムに送信され、
前記移動ノードに関する前記ハンドオーバ処理の開始を示す前記ハンドオーバメッセージを受信した後、前記無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードは、その次のトークンを、前記オリジナル無線トークンリングシステムにおいて以前に割り当てられた下流ノードに対してではなく、前記移動ノードに対してアドレスし、
当該方法は、
(a) 前記移動ノードが前記トークンを受信し、その後、前記拡張無線トークンリングシステムにおいて、前記ハンドオーバ制御ノードに確認応答を、割り当てられた下流ノードに自身のトークンを送信する場合、前記ハンドオーバ処理は完了し、前記移動ノードが前記拡張無線トークンリングシステムにおいて前記ハンドオーバ制御ノードへ新たに割り当てられた下流ノードを形成し、
(b) 前記ハンドオーバ制御ノードが所定の期間内に前記確認応答を受信しない場合、前記ハンドオーバ制御ノードは、前記移動ノードの割り当てられた下流ノードに置換トークンを送信し、前記置換トークンはトークンリング通信を進行させることができ、
ステップ(a)およびステップ(b)は、前記ハンドオーバ制御ノードが移動ノードから前記確認応答を受信するまで、あるいは前記ハンドオーバ処理が失敗したとみなされて中止されるまで繰り返され
前記2つの通信システムのそれぞれにおいて、少なくとも1つのノードがハンドオーバ制御ノードとして動作し、前記第1の通信システムのハンドオーバ制御ノードを以下、第1のハンドオーバ制御ノードと呼び、前記無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードを以下、第2のハンドオーバ制御ノードと呼び、
前記第1のハンドオーバ制御ノードは、前記移動ノードに対する前記ハンドオーバ処理の開始を示す前記ハンドオーバメッセージを前記第2のハンドオーバ制御ノードに送信し、
前記ハンドオーバメッセージを受信した後、前記第2のハンドオーバ制御ノードが、設定メッセージを前記移動ノードに転送する前記第1のハンドオーバ制御ノードに前記設定メッセージを送信し、
前記設定メッセージは、前記移動ノードに対して、前記無線トークンリングシステムのどのノードが前記拡張無線トークンリングシステムにおいて割り当てられた下流ノードとなるかを示す、方法。
【請求項2】
ステップ(a)において、前記確認応答と前記移動ノード自身のトークンは、前記移動ノードによって同時にあるいは連続して送信される別個の信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)において、前記移動ノード自身のトークン自体が前記確認応答を形成し、
前記ハンドオーバ制御ノードは、前記移動ノード自身のトークンの受信を、前記確認応答の受信として受け入れる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ハンドオーバ制御ノードの前記次のトークンは、前記移動ノードに対して、前記無線トークンリングシステムのどのノードが前記拡張無線トークンリングシステムにおいて割り当てられた下流ノードとなるかを示す、請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ハンドオーバメッセージを受信すると、前記無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードは、前記無線トークンリングシステムの拡張を示す拡張情報を前記無線トークンリングシステムの通信ノードに送信する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ハンドオーバメッセージを受信したら、前記無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードは、新しいタイミングスケジュールを設定し、前記無線トークンリングシステムの通信ノードに前記新しいタイミングスケジュールを送信し、
前記新しいタイミングスケジュールは、前記拡張無線トークンリングシステムにおける通信ノードにより満たされるべきタイミング要求を定義する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
各回転周期において、前記第1の通信システムの各通信ノードは、直接的または間接的に、すなわち、中継ノードとして機能する1つ以上の他の通信ノードを介して、前記第1の通信システムの割り当てられた下流通信ノードにトークンを送信し、前記第1の通信システムの割り当てられた上流通信ノードからトークンを受信し、
各回転周期において、前記無線トークンリングシステムの各通信ノードは、直接的または間接的に、すなわち、中継ノードとして機能する1つ以上の他の通信ノードを介して、前記無線トークンリングシステムの割り当てられた下流通信ノードにトークンを送信し、前記無線トークンリングシステムの割り当てられた上流通信ノードからトークンを受信する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
通信ノードであって、
当該通信ノードは、無線トークンリングシステムのための通信ノードであって、請求項1からのいずれか一項に記載の方法による前記無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードとして活動するように構成されている、通信ノード。
【請求項9】
前記通信ノードは、
トランシーバと、
プロセッサと、
ハンドオーバ制御ソフトウェアモジュール(HCS)を記憶するメモリと、を含み、前記ハンドオーバ制御ソフトウェアモジュールは、起動後、前記通信ノードが前記ハンドオーバ制御ノードとして活動するように前記プロセッサをプログラムする、請求項に記載の通信ノード。
【請求項10】
請求項またはに記載の通信ノードであるハンドオーバ制御ノードを含む、無線トークンリングシステム。
【請求項11】
少なくとも2つの通信システムを含むアレンジメントであって、前記通信システムのうちの少なくとも1つは、請求項10に記載の無線トークンリングシステムである、アレンジメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム間でハンドオーバ処理を実行する方法に関連する。本発明は、通信システム、無線トークンリングシステム、および無線トークンリングシステムのための通信ノードを含むアレンジメントに関連する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願DE102012206529は、トークンリングシステムを動作させる方法を開示し、通信ノードは信号を割り当てられた上流の通信ノードに送信し、割り当てられた下流の通信ノードから信号を受信する。
【0003】
論文「WTRP ‐Wireless Token Ring Protocol」(M. Ergen,Berkeley,California,2002)は、通信ノードが既存の通信システムに参加することを可能にする方法を開示している。
【0004】
本発明の目的は、ハンドオーバ処理に直接関与しないノード間の進行中の通信に対する影響を最小限にした、無線トークンリングシステムと別の通信システムの間のハンドオーバ処理を処理するための方法を提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、ハンドオーバ処理に直接関与しないノード間の進行中の通信に対する影響を最小限にしてハンドオーバ処理を扱うことができる、通信システム、無線トークンリングシステムおよび無線トークンリングシステムのための通信ノードを含むアレンジメントを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態は、第1の通信システムと第2の通信システムの間でハンドオーバ処理を行う方法に関連し、
第2の通信システムが無線トークンリングシステムであり、無線トークンリングシステムの少なくとも1つの通信ノードはハンドオーバ制御ノードとして動作し、
第1の通信システムの通信ノード(以下、移動ノードと呼ぶ)が、第1の通信システムを離れ、無線トークンリングシステムに統合されることによって、オリジナル無線トークンリングシステムを拡張無線トークンリングシステムに変換し、
移動ノードに関するハンドオーバ処理の開始を示すハンドオーバメッセージを受信した後、ハンドオーバ制御ノードは、その次のトークンを、オリジナル無線トークンリングシステムにおいて以前に割り当てられた下流通信ノードに対してではなく、移動ノードに対してアドレスし、
(a) 移動ノードがトークンを受信し、その後、拡張無線トークンリングシステムにおいて、ハンドオーバ制御ノードに確認応答を、その割り当てられた下流ノードに自身のトークンを送信する場合、ハンドオーバ処理は完了し、移動ノードが拡張無線トークンリングシステムにおいてハンドオーバ制御ノードへ新たに割り当てられた下流ノードを形成し、
(b) ハンドオーバ制御ノードが所定の期間内に確認応答を受信しない場合、ハンドオーバ制御ノードは、移動ノードの割り当てられた下流ノードに置換トークンを送信し、移動ノードの推定される欠落トークンを置き換え、トークンリング通信を進行させることができる。
ステップ(a)およびステップ(b)は、ハンドオーバ制御ノードが移動ノードから確認応答を受信するまで、あるいはハンドオーバ処理が失敗したとみなされて中止されるまで繰り返される、方法である。
【0007】
本発明のこの実施形態の利点は、たとえハンドオーバ処理が遅延され、あるいは最終的に完全に失敗しても、ハンドオーバフェーズの間、無線トークンリングシステムにおけるノード間のトークンベースの通信が中断されることなく進行することができることである。
【0008】
好ましくは、無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードがあらかじめ定義された数の置換メッセージを送信した後、ハンドオーバ処理は失敗したとみなされて中止される。
【0009】
ステップ(a)では、拡張無線トークンリングシステムにおいてその割り当てられた下流ノードに送信される確認応答および移動ノードのトークンは、移動ノードによって同時にあるいは連続して送信される別個の信号であってよい。
【0010】
代替的または追加的に、移動ノードのトークン自体が確認応答を形成することができ、ハンドオーバ制御ノードは、拡張無線トークンリングシステムにおいてその割り当てられた下流ノードにアドレスされた移動ノードのトークンの受信を、確認応答の受信として受け入れることができる。
【0011】
好ましい実施形態によれば、ハンドオーバ制御ノードの次のトークンは、移動ノードに対して、無線トークンリングシステムのどのノードが拡張無線トークンリングシステムにおいてその割り当てられた下流ノードとなるかを示すことができる。
【0012】
2つの通信システムのそれぞれにおいて、好ましくは、少なくとも1つのノードがハンドオーバ制御ノードとして動作する。第1の通信システムのハンドオーバ制御ノードを以下、第1のハンドオーバ制御ノードと呼び、無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードを以下、第2のハンドオーバ制御ノードと呼ぶ。
【0013】
移動ノードに対するハンドオーバ処理の開始を示すハンドオーバメッセージは、好ましくは、第1のハンドオーバ制御ノードによって第2のハンドオーバ制御ノードに送信される。
【0014】
さらなる実施形態によれば、第2のハンドオーバ制御ノードは、設定メッセージを移動ノードに転送する第1のハンドオーバ制御ノードに設定メッセージを送信してよい。設定メッセージは、好ましくは、移動ノードに対して、無線トークンリングシステムのどのノードが拡張無線トークンリングシステムにおいてその割り当てられた下流ノードとなるかを示す。
【0015】
ハンドオーバメッセージを受信すると、無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードは、好ましくは、無線トークンリングシステムの拡張を示す拡張情報を無線トークンリングシステムの通信ノードに送信する。
【0016】
拡張情報は、無線トークンリングシステム内の通信ノードから通信ノードにトークンによって転送されてよい。代替的または追加的に、拡張情報は、無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードから無線トークンリングシステムの他のすべての通信ノードへのブロードキャスト信号を介して同時に送信されてよい。
【0017】
さらに、ハンドオーバメッセージを受信したら、無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードは、好ましくは、新しいタイミングスケジュールを設定し、無線トークンリングシステムの通信ノードに新しいタイミングスケジュールを送信する。新しいタイミングスケジュールは、好ましくは、拡張無線トークンリングシステムにおける通信ノードにより満たされるべきタイミング要求を定義する。
【0018】
新しいタイミングスケジュールは、無線トークンリングシステム内の通信ノードから通信ノードへトークンによって転送されてよい。代替的または追加的に、新しいタイミングスケジュールは、無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードから無線トークンリングシステムの他のすべての通信ノードへのブロードキャスト信号を介して同時に送信されてよい。
【0019】
新しいタイミングスケジュールは、無線トークンリングシステム内の通信ノードのトークン保持時間によって定義されてよく、あるいは少なくとも定義してよい
【0020】
トークンリングの各回転周期または回転サイクルにおいて、無線トークンリングシステムの各通信ノードは、直接的または間接的に、すなわち、中継ノードとして機能する1つ以上の他の通信ノードを介して、無線トークンリングシステムの割り当てられた下流通信ノードにトークンを送信することができ、無線トークンリングシステムの割り当てられた上流通信ノードからトークンを受信することができる。
【0021】
第1の通信システムも無線トークンリングシステムであってよい。各回転周期において、第1の通信システムの各通信ノードは、直接的または間接的に、すなわち、中継ノードとして機能する1つ以上の他の通信ノードを介して、第1の通信システムの割り当てられた下流通信ノードにトークンを送信することができ、第1の通信システムの割り当てられた上流通信ノードからトークンを受信することができる。
【0022】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも2つの通信システムを含むアレンジメントに関連する。通信システムのうちの少なくとも1つは、無線トークンリングシステムであり、無線トークンリングシステムの通信ノードのうちの少なくとも1つは、上述の方法によるハンドオーバ制御ノードとして活動するように構成されている
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、無線トークンリングシステムに関連する。無線トークンリングシステムのハンドオーバ制御ノードは、好ましくは、その次のトークンを、移動ノードに関するハンドオーバ処理の開始を示すハンドオーバメッセージを受信した後、オリジナルの無線トークンリングシステムにおいて以前に割り当てられた下流通信ノードではなく、移動ノードにアドレスし、
ハンドオーバ制御ノードが所与の期間内に移動ノードから確認応答を受信しない場合、移動ノードの割り当てられた下流ノードに置換トークンを送信する、ように構成されている。置換トークンはトークンリング通信を進行させることができる。
【0024】
本発明のさらなる実施形態は、無線トークンリングシステムに対する通信ノードに関連する。通信ノードは、上述のハンドオーバ方法に従ってハンドオーバ制御ノードとして活動するように構成されている。
【0025】
前記ハンドオーバ制御ノードは、好ましくは、移動ノードに関するハンドオーバ処理の開始を示すハンドオーバメッセージを受信した後、その次のトークンを、オリジナルの無線トークンリングシステムにおいて以前に割り当てられた下流通信ノードではなく、移動ノードにアドレスし、
ハンドオーバ制御ノードが所与の期間内に移動ノードから確認応答を受信しない場合、移動ノードの割り当てられた下流ノードに置換トークンを送信する。置換トークンはトークンリング通信を進行することができる。
【0026】
通信ノードは、好ましくは、トランシーバ、プロセッサ、およびハンドオーバ制御ソフトウェアモジュールを記憶するメモリを含み、ハンドウェア制御ソフトウェアモジュールは、起動後、通信ノードがハンドオーバ制御ノードとして活動するようにプロセッサにプログラムする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の上述した及び他の利点が得られる方法を容易に理解するために、上記に簡潔に説明した本発明のより特定の説明を、添付の図面に示した本発明の具体的な実施形態を参照して行う。これらの図面は、本発明の代表的な実施形態のみを示すため、その範囲を限定するものとみなされるべきではないと理解し、添付の図面の使用によって、本発明の追加的な具体性及び詳細を記載及び説明する。
【0028】
図1】2つの通信システムを含むアレンジメントにおけるハンドオーバ処理の例示的な実施形態を示す。
図2】2つの通信システムを含むアレンジメントにおけるハンドオーバ処理の例示的な実施形態を示す。
図3】2つの通信システムを含むアレンジメントにおけるハンドオーバ処理の例示的な実施形態を示す。
図4】2つの通信システムを含むアレンジメントにおけるハンドオーバ処理の例示的な実施形態を示す。
図5】2つの通信システムを含むアレンジメントにおけるハンドオーバ処理の例示的な実施形態を示す。
図6図1から図5に示すハンドオーバ処理の修正を示す。
図7図1から図5に示すハンドオーバ処理のさらなる修正を示す。
図8図1から図5に示すハンドオーバ処理のさらなる修正を示す。
図9図1から図5に示すハンドオーバ処理のさらなる修正を示す。
図10図1から図9に示すアレンジメントおけるハンドオーバ制御ノードとして動作することができる通信ノードの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解されるであろう。本発明は、本明細書の図面に一般的に説明および図示されているように、広範囲に変化することができることが容易に理解されるであろう。したがって、以下の本発明の例示的な実施形態のより詳細な説明は、図面に示されているように、特許請求の範囲のように本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の現在の好ましい実施形態を単に代表するものである。
【0030】
図1は、第1の通信システム1と第2の通信システムとを含むアレンジメントを示す。
【0031】
第2の通信システムは、無線トークンリングシステム2である。無線トークンリングシステムの各回転周期において、無線トークンリングシステムの通信ノード20から23の各々は、直接的または間接的に、すなわち、中継ノードとして機能する1つ以上の他の通信ノードを介して、トークンTを無線トークンリングシステムの割り当てられた下流通信ノードに送信し、無線トークンリングシステムの割り当てられた上流通信ノードからトークンを受信する。図1では、矢印は互いに対する上流と下流のノードの割り当て可視化している。
【0032】
以下、別の通信システムの通信ノードが無線トークンリングシステム2に参加しようとする場合に、通信ノード20がハンドオーバ制御ノードとして活動するように構成されると仮定する。
【0033】
第1の通信システム1は、本技術分野における任意の通信標準に基づいてよい。例えば、第1の通信システム1も無線トークンリングシステムであってよい。この場合、各回転周期において、第1の通信システム1の通信ノード10から13の各々は、割り当てられた下流通信ノードにトークンを送信し、割り当てられた上流通信ノードからトークンを受信する。
【0034】
以下、通信システム1と2との間のハンドオーバ処理の好ましい実施形態について、更に詳細に説明する。第1の通信システム1の通信ノード13は、第1の通信システム1を離れ、無線トークンリングシステム2に参加すると仮定する。通信ノード13は、移動ノード13と呼ばれる。
【0035】
ハンドオーバ処理の開始は、ハンドオーバメッセージHOM(13)によって無線トークンリングシステム2のハンドオーバ制御ノード20に伝達される。ハンドオーバメッセージHOM(13)は、移動ノード13を示す(図2参照)。
【0036】
ハンドオーバメッセージHOM(13)は、第1の通信システム1の通信ノード10から13のいずれかによって、例えば、移動ノード13自体によって、送信されることができる。第1の通信システム1がハンドオーバ制御ノードを含む場合、ハンドオーバメッセージHOM(13)は、好ましくは、ハンドオーバ制御ノードによって送信される。図1において、通信ノード10は通信システム1のハンドオーバ制御ノードであるため、ハンドオーバメッセージHOM(13)を無線トークンリングシステム2のハンドオーバ制御ノード20に送信すると仮定する(図2参照)。
【0037】
ハンドオーバメッセージHOM(13)を受信した後、無線トークンリングシステム2のハンドオーバ制御ノード20は、移動ノード13に対してその次のトークンT(21)をアドレスし、オリジナルの無線トークンリングシステム2(図3参照)において以前に割り当てられた下流通信ノード21に対してはアドレスしない。この次のトークンT(21)は、通信ノード21が拡張された無線トークンリングシステム2内の移動ノード13に割り当てられた下流ノードであるという情報を含む。
【0038】
移動ノード13がトークンT(21)を受信し、その後、拡張された第2のトークンリングシステム2において、ハンドオーバ制御ノードに確認信号Aを、割り当てられた下流ノード21に自身のトークンTを送信する場合、ハンドオーバ処理は完了したものとみなされ、移動ノード13は、拡張された無線トークンリングシステム2において、ハンドオーバ制御ノード10の新たに割り当てられた下流ノードを形成する(図4参照)。
【0039】
ハンドオーバ制御ノード20が所定の時間内に確認信号Aを受信しない場合、ハンドオーバ制御ノード20は、移動ノード13がトークンT(21)を受信していないため、移動ノード13の割り当てられた下流ノード21に自身のトークンTを送信していないと仮定する(図5参照)。無線トークンリングシステム2におけるトークンリング通信が進行することができるように、ハンドオーバ制御ノード20は、移動ノード13の割り当てられた下流ノード21に置換トークンRTを送信する。置換トークンRTは、移動ノード13の推定される欠落トークンTを置き換え、無線トークンリングシステム2の他の通信ノード21~23がトークンベースの通信を維持する(uphold)ことができる。
【0040】
ハンドオーバ制御ノード20は、上記のステップ、トークンT(21)を移動ノード13に送信し、ハンドオーバ制御ノード20が移動ノード13から確認信号Aを受信するまで、あるいはハンドオーバ処理が失敗したとみなされて中止にされるまで、確認信号Aを待つことを繰り返す。好ましくは、無線トークンリングシステム2のハンドオーバ制御ノード20が成功なしで事前定義された数(例えば100)の置換トークンRTを送信した後、ハンドオーバ処理は失敗したとみなされて中止になる。
【0041】
再び図3を参照すると、無線トークンリングシステム20のハンドオーバ制御ノード20は、拡張情報EIを無線トークンリングシステム2の通信ノード21~23に送信し得ることが分かる。拡張情報EIは、無線トークンリングシステム2の拡張が差し迫っているか、すでに実装されていることを示す。拡張情報EIは、ハンドオーバメッセージHOM(13)を受信すると送信されてよい。
【0042】
拡張情報EIは、無線トークンリングシステム2(図1参照)内の通信ノードから通信ノードにトークンによって転送されてよい。代替的または追加的に、拡張情報EIは、無線トークンリングシステム2のハンドオーバ制御ノード20から無線トークンリングシステム2の他のすべての通信ノード21~23にブロードキャスト信号を介して同時に送信されてよい。拡張情報EIは、好ましくは、トークンT(21)が移動ノード13に送信される前に送信される。
【0043】
さらに、ハンドオーバメッセージHOM(13)を受信すると、無線トークンリングシステム2のハンドオーバ制御ノード20は、新しいタイミングスケジュールNTSを設定し、移動ノード13だけでなく、無線トークンリングシステム2の通信ノード21~23に新しいタイミングスケジュールNTSを送信することができる。新しいタイミングスケジュールは、拡張された無線トークンリングシステム2において通信ノード13、21~23によって満たされなければならないタイミング要求を定義することが好ましい。
【0044】
新しいタイミングスケジュールNTSは、拡張された無線トークンリングシステム2内の通信ノードから通信ノードへトークンによって転送され得る。代替的または追加的に、新しいタイミングスケジュールNTSは、ハンドオーバ制御ノード20から通信ノード13および21~23へブロードキャスト信号を介して同時に送信され得る。
【0045】
新しいタイミングスケジュールNTSは、無線トークンリングシステム2内の通信ノードのトークン保持時間によって定義されてよく、あるいは少なくとも定義してよい。
【0046】
図6は、上述したハンドオーバ処理の修正を示す。トークンT(21)を受信した後、移動ノード13は、拡張された第2のトークンリングシステム2において、割り当てられた下流ノード21に対して、自身のトークンTのみを送信し、追加の確認信号Aを送信しない。トークンTは無線で送信されるため、移動ノードのトークンTの受信を必要な確認応答として受け付けるハンドオーバ制御ノード20によっても受信され得る。言い換えると、図6の実施形態では、通信ノード21にアドレスされた移動ノードのトークンTもハンドオーバ制御ノード20に対する確認応答を形成する。
【0047】
ハンドオーバ制御ノード20が、一定時間内に移動ノード13からトークンTを受信しない場合、ハンドオーバ制御ノード20は、移動ノード13がトークンT(21)を受信しなかったと仮定する(図3参照)。無線トークンリングシステム2におけるトークンリング通信を進行させるために、ハンドオーバ制御ノード20は、図5に示すように、移動ノード13の割り当てられた下流ノード21に置換トークンRTを送信する。
【0048】
ハンドオーバ制御ノード20は、トークンT(21)を移動ノード13に送信し、移動ノード13のトークンTによって搬送される黙示の確認応答を待つ、という上記のステップを、ハンドオーバ制御ノード20が移動ノード13からこのトークンTを受信するまで、あるいはハンドオーバ処理が失敗したとみなされて中止されるまで繰り返す。
【0049】
図7~9は、図1~5を参照して上述したハンドオーバ処理のさらなる修正を示す。通信システム1のハンドオーバ制御ノード10からハンドオーバメッセージHOM(13)を受信した後、無線トークンリングシステム2のハンドオーバ制御ノード20は、構成メッセージCM(21)で応答する(図7参照)。
【0050】
通信システム1のハンドオーバ制御ノード10は、構成メッセージCM(21)を移動ノード13に転送する(図8参照)。構成メッセージC(21)は、移動ノード13に対して、無線トークンリングシステム2の通信ノード21が、拡張された無線トークンリングシステム2においてそれの割り当てられた下流ノードであることを示す。
【0051】
移動ノード13は、それの割り当てられた下流ノード21を認識するため、無線トークンリングシステム2のハンドオーバ制御ノード20から移動ノード13に送信されるトークンT´(図9参照)は、拡張された無線トークンリングシステム2におけるノードの割り当てに関するいかなる表示も含む必要はない。
【0052】
図10は、図1図9の通信システム1および2において、通信ノード10~13および20~21のうちの任意のものを形成することができる通信ノード100の例示的な実施形態を示す。
【0053】
通信ノード100は、電磁気放射を送受信することができるトランシーバ110、プロセッサユニット120およびメモリ130を含む。メモリ130は、プロセッサユニット120が上述のように動作することを可能にする制御プログラムCPを記憶する。
【0054】
制御プログラムCPは、ハンドオーバ制御ソフトウェアモジュールHCSを含み、これは、起動後に通信ノードが上述のようにハンドオーバ制御ノード20として活動するようにプロセッサをプログラムする。例えばハンドオーバ制御ノード100は、移動ノード13に関するハンドオーバ処理の開始を示すハンドオーバメッセージHOMを受信した後、移動ノード13にその次のトークンをアドレスし、以前に割り当てられた下流通信ノード21にはアドレスしない。さらに、ハンドオーバ制御ノード100は、移動ノード13からの確認応答(例えば、確認応答信号AまたはトークンT)を所与の時間内に受信しない場合に、移動ノード13の割り当てられた下流ノード21に置換トークンRTを送信することができる。
【0055】
図1図10を参照して上述した実施形態は、少なくともハンドオーバメッセージに関して、上述した論文「WTRP ‐Wireless Token Ring Protocol」に記載した方法とは異なる。図1図10の例示的な実施形態によるハンドオーバメッセージは、第1の通信システムから第2の通信システムに送信されて、第2の通信システムに意図されたハンドオーバ処理に関する通信システムを知らせ、移動ノードをアナウンスするようにする。ハンドオーバメッセージは、第2の通信システムのハンドオーバ制御ノードが、アナウンスされた移動ノードが、第1の通信システムから第2の通信システムへシームレスにかつ割込みなしで移動することを可能にする。
【0056】
言い換えると、第2の通信システムのハンドオーバ制御ノードは、移動ノードの到着を待ち、到着したら移動ノードの統合をシームレスに実行する。図1~10に関して「ハンドオーバ」と呼ばれる、より高い通信レイヤ上のセッション連続性の基礎であるこのシームレスな統合が、第1の通信システムから第2の通信システムへのハンドオーバ情報(ハンドオーバメッセージ)の事前送信により可能となる。
【0057】
一方、論文「Solicit Successor token」は、第2のシステム内でのみ送信される。「Solicit Successor token」は、それを聞くことができる任意のノードを意味するため、任意のノードがネットワークに参加することを許容する。言い換えると、「Solicit Successor token」は、任意のノードがネットワークに入ることを可能にし、第1の通信システムによって以前にアナウンスされたあらかじめ定義された移動ノードに限定されない。
【0058】
本明細書で開示する本発明の様々な実施形態および態様は、この明細書で具体的に説明した順序および文脈においてのみ理解されるべきではなく、それらの任意の順序および任意の組み合わせを含むべきである。文脈が必要とするときはいつでも、単数で使用されるすべての単語は複数を含むとみなされるものであり、その逆もまた同様である。文脈が必要とするときはいつでも、単語「および」と共にリストされているすべてのオプションは、単語「または」を含むとみなされるものであり、その逆もまた同様であり、そしてそれらの任意の組み合わせを含むとみなされるものである。
【0059】
図面および明細書において、本発明の複数の実施形態を開示した。出願人は、各実施形態を修正し、追加の実施形態を作成するために、各実施形態の各特徴を他の任意の実施形態と組み合わせたり、それらに追加したりしてもよいことを強調したい。これらの追加の実施形態は、本開示の一部を形成するため、出願人は、プロセキューションの後の段階でこれらの追加の実施形態に関するさらなる請求項を提出することができる。
【0060】
さらに、出願人は、以下の従属請求項のそれぞれの各特徴を任意の現在の独立請求項、および(現在の請求項構造によらず)任意の他の現在の従属請求項(の1つ以上)と組み合わせてよいことを強調したい。したがって、出願人は、プロセキューションの後の段階で、請求項を他の請求項との組み合わせに指向することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10