(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20221117BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20221117BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20221117BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20221117BHJP
【FI】
H04Q9/00 371B
H04Q9/00 301D
F24H1/00
F24F11/56
F24F11/52
(21)【出願番号】P 2018139100
(22)【出願日】2018-07-25
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大崎 大樹
(72)【発明者】
【氏名】保坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 悟
(72)【発明者】
【氏名】村井 宏行
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-032992(JP,A)
【文献】特開2017-076917(JP,A)
【文献】特開2007-104435(JP,A)
【文献】特開2003-061169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
F24H 15/40
F24F 11/56
F24F 11/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を遠隔操作する遠隔操作装置であって、
利用者による操作に基づいて操作信号を発する操作手段と、
制御信号に基づいて表示出力を行う表示手段と、
前記操作手段からの前記操作信号に基づいて、前記機器や前記表示手段へ
前記制御信号を発する制御手段と、
前記制御手段が実装される回路基板と、
前記回路基板を収納し、前記操作手段と前記表示手段とが外側から臨むように開口部を有するケースと、
前記ケースの表面の少なくとも一部を覆う板状の透明部材と、
前記透明部材と前記ケースとの間に介在するシート状の意匠部材と、
前記透明部材を前記ケースに対して保持する固定手段と、
を備え、
前記ケースは、下方の辺に前記意匠部材を載置する載置部を有する、
ことを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項2】
壁面に設置される遠隔操作装置であって、
前記ケースは、前記壁面に対し傾斜を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記載置部は、少なくとも1つの切り欠き部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1つに記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記意匠部材は、前記切り欠き部の少なくとも1つに嵌合する突起部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記切り欠き部は、上方が広く、下方が狭い、
ことを特徴とする請求項3乃至4のいずれか1つに記載の遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線または有線にて通信することで機器を操作するための遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遠隔操作装置は、例えば、特許文献1に開示されるものがある。この遠隔操作装置は、ケースと透明部材でシート状の意匠部材を挟持し、且つ意匠部材を交換可能とすることでデザインの自由度を高めるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の遠隔操作装置は、意匠部材の開口が操作手段のキートップの突起に掛かる構造になっていた。しかしながら、デザイン性を高めるためキートップの起伏を平坦にした遠隔操作装置では、透明パネルを取り外した際に、意匠部材が落下する問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的は、上述課題に着目し、意匠部材を容易に変更可能とする遠隔操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遠隔操作装置は、
機器を遠隔操作する遠隔操作装置であって、
利用者による操作に基づいて操作信号を発する操作手段と、
前記操作手段による前記機器の設定状態を表示する表示手段と、
前記操作手段からの前記操作信号に基づいて、前記機器や前記表示手段へ制御信号を発する制御手段と、
前記制御手段が実装される回路基板と、
前記回路基板を収納し、前記操作手段と前記表示手段とが外側から臨むように開口部を有するケースと、
前記ケースの表面の少なくとも一部を覆う板状の透明部材と、
前記透明部材と前記ケースとの間に介在するシート状の意匠部材と、
前記透明部材を前記ケースに対して保持する固定手段と、
を備え、
前記ケースは、下方の辺に前記意匠部材を載置する載置部を有する、
ことを特徴とする。
【0007】
さらに望ましくは、壁面に設置される遠隔操作装置であって、
前記ケースは、前記壁面に対し傾斜を有する、
ことを特徴とする。
【0008】
さらに望ましくは、前記載置部は、少なくとも1つの切り欠き部を有する、
ことを特徴とする。
【0009】
さらに望ましくは、前記意匠部材は、前記切り欠き部の少なくとも1つに嵌合する突起部を有する、
ことを特徴とする。
【0010】
さらに望ましくは、前記切り欠き部は、上方が広く、下方が狭い、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、意匠部材を容易に変更可能とする遠隔操作装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の態様における遠隔操作装置を示す図である。
【
図2】第1の態様における遠隔操作装置の組み付け前の斜視図である。
【
図3】第1乃至第3の態様における制御的な構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第2の態様における遠隔操作装置の左側面を示す図である。
【
図5】本発明の第3の態様における遠隔操作装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の遠隔操作装置の態様として、空気調和機用のリモートコントローラ(以下、リモコンと記す)に適用したものを例に挙げて、図面を用いて説明する。
【0014】
図1、
図2は、本発明の第1の態様におけるリモコンAを示す図である。リモコンAは、操作手段1と、表示手段2と、ケース3と、透明パネル(透明部材)4と、固定手段5と、意匠部材6と、を備える。
【0015】
図3は、第1乃至第3の態様におけるリモコンのブロック図を示す。リモコンA,C,Dは、操作手段1や表示手段2、遠隔操作対象となる空気調和機(機器)Bと通信可能に接続される制御手段7をケース3内の図示しない回路基板に実装している。
【0016】
操作手段1は、利用者が触れることができるキートップを備えた押しボタンスイッチを適用でき、この場合、複数設けられる。キートップには、機能を示す文字やシンボルマークなどの意匠を印刷することもできる。また、操作手段1は、ケース3内の回路基板に実装された図示しないタクトスイッチ素子を備え、利用者の押圧操作に基づくキートップの位置変化に連動してタクトスイッチ素子が作動し、操作信号として制御手段7へ出力できる。なお、操作手段1は、抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルスイッチであってもよい。
【0017】
表示手段2は、液晶表示素子を用いた表示パネルを適用でき、制御手段7からの制御信号に基づいて所望の表示出力を行うことができる。表示手段2の表示内容は、例えば、空気調和機Bの設定状態や操作ガイド、室内/室外温度や、時刻などを表示できる。また、表示手段2を透明なタッチパネルで覆うことで、操作手段の一部として兼用することもできる。
【0018】
ケース3は、合成樹脂材からなり、操作手段1の電子部品や表示手段2、制御手段7を実装する回路基板を収納する筐体である。また、ケース3は、この場合、箱状であり、壁面に取り付ける取り付け面(裏面)と反対側に、操作手段1や表示手段2を露出する開口部31を有する操作面32(表面)が設けられる。ケース3は、透明パネル4や意匠部材6を操作面32側に保持するための固定手段5である磁石51を複数保持している。ケース3は、この場合、白色の合成樹脂を適用しているが、透明や半透明の部材を用いたり、表面を鏡面や金属調に加工することもできる。ケース3は、下方の辺に突出した載置部33を有する。なお、載置部33は、ケース3と一体に成形されていてもよく、ケース3に取り付けられてもよい。
【0019】
透明パネル4は、アクリル等を用いた透明な合成樹脂を適用でき、ケース3の操作面32に固定手段5を用いて保持される。また透明パネル4は、操作面32側の面が平滑であり、操作面32と略同じ外郭形状をしており、操作手段1を露出するための開口孔41が設けられる。この場合、透明パネル4は、固定手段5を挿通するための孔42や、表示手段2に対応する孔43も設けられている。なお、透明パネル4は、有色の顔料を含む透光性部材であったり、一部に模様または操作機能名、ロゴ、機種名など印刷が施されたものであっても適用できる。
【0020】
固定手段5は、ケース3側に保持される磁石51と、この磁石51に接触し透明パネル4の孔42に挿通可能な外径の胴部52aと、孔42よりも大きな外径の頭部52bを有する金属部材52とからなる。固定手段5は、胴部52aが透明パネル4の孔42や意匠部材6の孔62に挿通することで、ケース3の操作面32に沿った面方向の透明パネル4及び意匠部材6の位置決めを行うことができる。また、頭部52bと操作面32とで、透明パネル4や意匠部材6を挟み込むように介在させることで、操作面32に対して水平方向に透明パネル4及び意匠部材6を保持できる。なお、金属部材52は、図示した形状だけでなく、特に頭部52bにあっては、形状や色、材質など適宜選択することもでき、この場合、意匠部材6との組み合わせにて、デザイン的な自由度を高める効果を期待できる。
【0021】
意匠部材6は、紙や合成樹脂などシート状の部材を適用でき、透明パネル4に対向する面に、模様や色などの意匠を有している。意匠部材6は、透明パネル4とケース3の操作面32との間に、挟まれて平らな状態で保持される。なお、意匠部材6は、透明パネル4と同様に、操作手段1を露出するための開口孔61、金属部材52(胴部52a)を挿通するための孔62、表示手段2に対応する孔63が設けられている。
意匠部材6は、載置部33に載置されるため、透明パネル4によって挟持されていない場合でも落下しづらくなる。これにより、利用者は、意匠部材6を容易に交換することができる。
【0022】
制御手段7は、操作手段1や空気調和機Bからの信号に基づいて、表示手段2を駆動したり、空気調和機Bへの設定を促す通信信号を出力することができ、例えば、演算回路や記憶回路、計時回路等を有するマイクロコンピュータを適用できる。この場合、制御手段7は、空気調和機Bと通信するための送受信回路を含み、有線または無線にて利用者の操作に基づく空気調和機Bの遠隔操作を行うことができる。
【0023】
次に、第2の態様であるリモコンCについて、
図4を用いて説明する。なお、第1の態様と同一あるいは相当個所には適宜同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、操作面32の傾きや載置部33の形状、意匠部材6及び透明パネル4の厚みなどについては、分かりやすくするため誇張して図示している。
【0024】
図4(a)に示すように、リモコンCは、略垂直な壁8の壁面81に設置される。ケース3の操作面32は、壁面81に対し傾斜を有するように構成される。これにより、意匠部材6は、
図4(b)に示すように操作面32に寄りかかる状態となり、透明パネル4によって挟持されていない場合でも落下しづらくなる。
【0025】
次に、第3の態様であるリモコンDについて、
図5を用いて説明する。なお、第1、第2の態様と同一あるいは相当個所には適宜同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0026】
図5に示すように、リモコンDは、載置部33に切り欠き部34を、意匠部材6に切り欠き部34に嵌合する突起部64を有している。これにより、意匠部材6は、ケース3に位置決めしやすくなり、また、利用者が突起部64に指をかけて意匠部材6を取り外すことができ、意匠部材6の交換が容易になる。なお、透明パネル4は、切り欠き部34及び突起部64と略一致する部位を有するように形成されていてもよい。
【0027】
また、切り欠き部34は、上方が広く、下方が狭くなっている。これにより、突起部64を誘い込むことができ、意匠部材6の位置決めを容易にする。
【0028】
以上に説明した本発明は、以下の効果を奏する。
【0029】
第1乃至第3の遠隔操作装置(リモコンA,C,D)は、ケース3の下部に意匠部材6を載置する載置部33を有する。これにより、意匠部材6を取り換えるために透明パネル4を取り外した際に、意匠部材6が落下することを防止し、意匠部材6の変更を容易にする。
【0030】
第2の態様における遠隔操作装置(リモコンC)は、ケース3の操作面32は、壁面81に対し傾斜を有する。これにより、意匠部材6を取り換えるために透明パネル4を取り外した際に、意匠部材6が落下することを防止し、意匠部材6の変更を容易にする。
【0031】
なお、第2の態様における遠隔操作装置(リモコンC)について、想定される設置位置に応じて操作面32の傾斜を調整してもよい。例えば、利用者の目線の正面に設置する場合は傾斜を小さくする、利用者の目線よりも下側に設置する場合は傾斜を大きくする、などである。
【0032】
第3の態様における遠隔操作装置(リモコンD)は、載置部33に切り欠き部34を有し、意匠部材6に切り欠き部34と嵌合する突起部64を有する。これにより、意匠部材6をケース3に位置決めしやすくなり、意匠部材6の変更を容易にする。
また、第3の態様における遠隔操作装置(リモコンD)は、切り欠き部34を上方が広く、下方が狭くすることで突起部64を誘い込み、より意匠部材6を位置決めしやすくする。
【0033】
なお、第3の態様における遠隔操作装置(リモコンD)について、ケース3の載置部33に複数の切り欠き部34を設けてもよい。意匠部材6の突起部64は、いずれか1つの切り欠き部34に嵌合するように設けられてもよく、2つ以上の切り欠き部34に嵌合するように設けられてもよい。
【0034】
なお、本発明の遠隔操作装置を上述した態様にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良が可能なことは勿論である。例えば、ケース3に金属片を、透明パネル4に磁石を設けてもよい。あるいは、磁力による結合を置き換えて、ビスによる螺合やフックによる係合、または、これらの組み合わせによって、透明パネル4及び意匠部材6が固定保持されるものであってもよい。
【0035】
また、遠隔操作の対象機器として、空気調和機だけでなく、例えば、給湯機や電灯、あるいはシャッターや窓、カーテンなどの開閉装置などの機器を操作するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、遠隔操作装置に関して、例えば、空気調和機や給湯機、電灯、あるいはシャッターや窓、カーテンなどの開閉装置などの機器を対象にした遠隔操作手段として好適である。
【符号の説明】
【0037】
A,C,D リモコン(遠隔操作装置)
B 空気調和機(機器)
1 操作手段
2 表示手段
3 ケース
31 開口部
32 操作面
33 載置部
34 切り欠き部
4 透明パネル(透明部材)
41 開口孔
42 孔
43 孔
5 固定手段
51 磁石
52 金属部材
6 意匠部材
61 開口孔
62 孔
63 孔
64 突起部
7 制御手段
8 壁
81 壁面