(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】表示具
(51)【国際特許分類】
E01F 9/608 20160101AFI20221117BHJP
G09F 19/22 20060101ALI20221117BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20221117BHJP
E01F 9/677 20160101ALI20221117BHJP
E01F 9/688 20160101ALI20221117BHJP
E01F 9/623 20160101ALI20221117BHJP
E01F 9/654 20160101ALI20221117BHJP
【FI】
E01F9/608
G09F19/22 P
G09F7/18 Y
E01F9/677
E01F9/688
E01F9/623
E01F9/654
(21)【出願番号】P 2019106017
(22)【出願日】2019-06-06
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】市橋 隆
(72)【発明者】
【氏名】福井 孝典
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-257018(JP,A)
【文献】特開昭54-056666(JP,A)
【文献】特開2008-044288(JP,A)
【文献】特開平11-115687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/608
G09F 19/22
G09F 7/18
E01F 9/677
E01F 9/688
E01F 9/623
E01F 9/654
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形によりそれぞれが一体的に形成された合成樹脂製の第1表示部材、及び、第2表示部材と、前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材の上辺部側同士を回動可能に連結する軸部材とを備える表示具であって、
前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材は、中空板状の本体部と、前記本体部の上辺部、又は、その近傍部位から前記本体部の外側に突出する中空状の軸受部とを備え、
前記軸部材は、前記第1表示部材の前記軸受部と、前記第2表示部材の前記軸受部とにかけて挿通され、
前記軸受部には、前記軸受部に挿通された前記軸部材側に突出する内側突形状部が設けられており、
前記軸受部の突出方向先端側の端部が面取り形状とされ、
前記軸受部は、前記軸部材を挿通可能な軸孔が設けられる相対する一対の支持壁部と、前記一対の支持壁部の外周部間を連結する連結壁部とを備え、前記連結壁部に前記内側突形状部が設けられ、
前記内側突形状部は、前記連結壁部のうち前記一対の支持壁部から離間した位置に設けられ、
前記内側突形状部と前記軸部材とが当接可能であり、
前記内側突形状部は、外面側が凹んで形成されており、かつ、前記連結壁部の周方向の全体に設けられていることを特徴とする表示具。
【請求項2】
前記内側突形状部は、前記軸部材の延在方向において、前記支持壁部の厚みよりも幅広に形成されており、
前記第1表示部材の前記連結壁部、及び、前記支持壁部の外周縁部は前記第2表示部材と当接しないように構成され、前記第2表示部材の前記連結壁部、及び、前記支持壁部の外周縁部は、前記第1表示部材と当接しないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示具。
【請求項3】
前記軸受部と、前記本体部との連結部位が面取り形状とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示具。
【請求項4】
前記表示部材には、共通の前記軸部材が挿通される複数の前記軸受部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面等に設置され、通行人に所定の情報を教示する表示具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の表示板を備え、該一対の表示板の上辺部同士が回動可能に連結され、一対の表示板の下側を所定角度広げることで路面等に立設可能な表示具が知られている。また、各表示板をプラスチック製として、ブロー成形により形成するといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
該表示板は、中空板状の本体部と、本体部のうち相手側の表示板と対向する面の上辺部近傍部位から本体部の外側に突出する軸受部とを備え、軸受部には、表示板の横幅方向に貫通する軸孔が設けられている。そして、一対の表示板の軸受部の軸孔同士を位置合わせして軸部材を挿通させることで、一対の表示板が回動可能に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の表示具の表示板は、軸受部についても本体部とともにブロー成形により形成される。このため、軸受部についても中空状とされる。これにより、軸部材は、基本的には軸受部のうち軸孔の周縁部のみで支持されることとなる。さらに、本体部から突出して設けられる軸受部は、ブロー成形に際して本体部の対象部位を延ばすような格好で形成されることから、軸受部やその周辺部において比較的薄肉になる部位が生じてしまうことが懸念される。従って、一般的には比較的高い耐久性が求められる軸受部において、逆に耐久性が比較的低くなってしまうおそれがあり、軸受部に破損等が生じることが懸念される。
【0006】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、耐久性の向上を図ることのできる表示具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.ブロー成形によりそれぞれが一体的に形成された合成樹脂製の第1表示部材、及び、第2表示部材と、前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材の上辺部側同士を回動可能に連結する軸部材とを備える表示具であって、
前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材は、中空板状の本体部と、前記本体部の上辺部、又は、その近傍部位から前記本体部の外側に突出する中空状の軸受部とを備え、
前記軸部材は、前記第1表示部材の前記軸受部と、前記第2表示部材の前記軸受部とにかけて挿通され、
前記軸受部には、前記軸受部に挿通された前記軸部材側に突出する内側突形状部が設けられており、
前記軸受部の突出方向先端側の端部が面取り形状とされ、
前記軸受部は、前記軸部材を挿通可能な軸孔が設けられる相対する一対の支持壁部と、前記一対の支持壁部の外周部間を連結する連結壁部とを備え、前記連結壁部に前記内側突形状部が設けられ、
前記内側突形状部は、前記連結壁部のうち前記一対の支持壁部から離間した位置に設けられ、
前記内側突形状部と前記軸部材とが当接可能であり、
前記内側突形状部は、外面側が凹んで形成されており、かつ、前記連結壁部の周方向の全体に設けられていることを特徴とする表示具。
【0009】
手段1によれば、軸受部において軸部材を支持可能な部位を増加させることができる。すなわち、中空状の軸受部に軸部材を貫通させる場合、軸受部に一対の軸孔が設けられ、各軸孔の周縁部において、軸部材を支持可能である。さらに、軸受部に内側突形状部を設けることによって、一対の軸孔の間の位置において、内側突形状部を軸部材に当接可能として、内側突形状部によっても軸部材を支持することができる。特に、軸部材の延在方向において、軸孔の周縁部よりも幅広に形成することのできる内側突形状部にも軸部材を支持させることによって、軸受部において軸部材をより確実に支持することができる。従って、一対の表示部材の開閉動作等に際し、軸受部において軸部材から受ける力が局所的に付加されることを抑制することができ、軸受部の損傷等を抑制することができる。結果として、軸受部の耐久性の向上を図ることができる。
【0010】
また、内側突形状部が、軸受部に軸孔を形成する際の孔開け用冶具のガイドや、軸受部に軸部材を挿通させる際の軸部材のガイドとして作用することも期待することができ、作業性の向上等を図ることができる。さらに、ブロー成形によって内側突形状部を形成する場合、軸受部の外面側において内側突形状部に対応する位置に凹部が形成されることとなる。このため、例えば、一対の表示部材の開閉に際し、軸受部の外面と、他方の表示部材とが接触し得る構成の場合に、前記軸受部の外面と、他方の表示部材との接触面積を減らすことができ、表示具の開閉操作性の向上等を図ることができる。
また、例えば、軸受部に角部を設けるような場合に比べ、ブロー成形に際し、軸受部において薄肉部が形成されてしまうといった事態を抑止することができる。従って、軸受部の損傷等を抑制し、耐久性の向上等を図ることができる。
また、軸受部において軸部材を支持可能な部位を増加させることができる。すなわち、中空状の軸受部において、一対の軸孔の周縁部だけでなく、一対の軸孔(支持壁部)の間の位置においても、内側突形状部を軸部材に当接可能とし、内側突形状部によっても軸部材を支持することができる。
さらに、軸受部の外面側には、内側突形状部に対応する位置に凹部が形成される。このため、例えば、一対の表示部材の開閉に際し、軸受部の外面と、他方の表示部材とが接触した場合に、軸受部の外面と、他方の表示部材との接触面積を減らすことができ、表示具の開閉操作性の向上等を図ることができる。
【0012】
手段2.前記内側突形状部は、前記軸部材の延在方向において、前記支持壁部の厚みよりも幅広に形成されており、
前記第1表示部材の前記連結壁部、及び、前記支持壁部の外周縁部は前記第2表示部材と当接しないように構成され、前記第2表示部材の前記連結壁部、及び、前記支持壁部の外周縁部は、前記第1表示部材と当接しないように構成されていることを特徴とする手段1に記載の表示具。
【0013】
手段2によれば、軸部材の延在方向において、支持壁部の厚みよりも幅広に形成された内側突形状部にも軸部材を支持させることによって、軸受部において軸部材をより確実に支持することができる。従って、一対の表示部材の開閉動作等に際し、軸受部において軸部材から受ける力が局所的に付加されることを抑制することができ、軸受部の損傷等を抑制することができる。結果として、軸受部の耐久性の向上を図ることができる。
また、例えば、第1表示部材の連結壁部が第2表示部材と圧接して変形してしまった場合に、第1表示部材の内側突形状部が軸部材に圧接し、第1表示部材の軸受部と、軸部材との回動変位に支障が出るとともに、第1表示部材の連結壁部が第2表示部材と圧接することで第1表示部材と、第2表示部材との相対変位にも支障が出て、表示具を開閉させ難くなるといった事態を回避することができる。さらに、例えば、第1表示部材の軸受部のうち支持壁部の外周縁部が第2表示部材と圧接することで、支持壁部が変形してしまうといった事態を回避することができる。
【0014】
手段3.前記軸受部と、前記本体部との連結部位が面取り形状とされていることを特徴とする手段1又は2に記載の表示具。
【0015】
手段3によれば、例えば、本体部のうち軸受部との境界部を軸受部側に屈曲又は湾曲させないような構成に比べ、ブロー成形に際し、軸受部と、本体部との連結部位において薄肉部が形成されてしまうといった事態を抑止することができる。従って、軸受部及びその近傍部位の損傷等を抑制し、耐久性の向上等を図ることができる。
【0016】
手段4.前記表示部材には、共通の前記軸部材が挿通される複数の前記軸受部が設けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の表示具。
【0017】
手段4によれば、軸受部が複数設けられることで、軸部材を介しての表示部材同士の連結状態をより安定化させることができる。さらに、共通の軸部材が挿通される複数の軸受部を設けることで軸受部間の位置ずれ等が抑制される上、複数の軸受部を1つの軸部材でまとめて連結可能なことから、軸部材で表示部材同士を連結する際の作業性の向上を図ることができる。特に、上記手段1のように、各軸受部に内側突形状部が設けられているため、軸部材を複数の軸受部(さらには、相手側の表示部材の軸受部)に挿通させる際の(軸部材が比較的長尺となるため軸部材の挿通方向先端側がぶれ易い)作業についても比較的容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】表示プレートを取外した表示具の斜視図である。
【
図5】表示部材の内方側面の部分拡大斜視図である。
【
図8】保持パーツの内方側面(取付面側)を示す斜視図である。
【
図9】表示部材の一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図12】閉状態にある表示具の部分拡大断面図である。
【
図13】開状態にある表示具の部分拡大断面図である。
【
図14】表示具を閉状態として段積みした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2、
図13等に示すように、表示具1は、正面視略矩形状の第1表示部材2、及び、第2表示部材3と、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の上辺部側同士を回動可能に連結する軸部材4とを備えている。第1表示部材2、及び、第2表示部材3は、高密度ポリエチレンにより構成され、それぞれブロー成形によって一体的に形成されている。本実施形態では、第1表示部材2と、第2表示部材3とが同じ大きさで同じ形状となっている。以下、主として第1表示部材2について説明するが、第2表示部材3についても同様の構成を具備している。
【0020】
図3、
図4、
図9~
図11等に示すように、第1表示部材2は、中空板状の本体部6と、本体部6の上辺部の近傍部位から本体部6の外側に突出する中空状の軸受部7とを備えている。本体部6は、相対する一対の外壁部8、及び、内壁部9を備え、外壁部8、及び、内壁部9の外周部間、及び、開口周縁部間が連結されている。詳しくは後述するが、表示具1は、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の内壁部9同士が対向している。以下、第1表示部材2(の内壁部9)と、第2表示部材3(の内壁部9)との間に向かう方向を「内方」と称し、第1表示部材2と、第2表示部材3との間から遠ざかる方向を「外方」と称する。
【0021】
図4、
図5等に示すように、内壁部9の上辺部の近傍部位には、内壁部9の左右の側辺部をそれぞれ含む範囲において、外方(本体部6の中空部側)に凹むとともに、内壁部9の上辺部に沿って延在する鉛直断面略円弧状の軸許容溝11が設けられている。各軸許容溝11には、前記軸受部7が2つずつ軸許容溝11から内方に突出して設けられている。特に、本実施形態の軸受部7は、内壁部9の内方側面よりも内方に突出するように構成されている(
図11参照)。
【0022】
また、各軸許容溝11に2つずつ設けられた軸受部7間の間隔は、軸受部7の第1表示部材2の横幅方向における幅(長手幅)よりも若干広くなっている。さらに、第1表示部材2を内方から見て左側の軸許容溝11に設けられた軸受部7と、右側の軸許容溝11に設けられた軸受部7とは、第1表示部材2の横幅方向中央部を中心とする線対称位置に設けられるのではなく、該線対称位置から第1表示部材2の横幅方向において軸受部7の長手幅よりも若干長い距離だけずれた位置に設けられている。このため、
図12等に示すように、第1表示部材2と、該第1表示部材2と同一形状の第2表示部材3とを、内壁部9同士を対面させて突き合わせると、第1表示部材2の各軸許容溝11の一対の軸受部7の間に、第2表示部材3の各軸許容溝11の軸受部7の1つが配置されるようになっている。
【0023】
図5、
図9、
図11等に示すように、軸受部7は、軸部材4を第1表示部材2の横幅方向に沿わせて挿通可能な軸孔13が設けられる左右一対の支持壁部12と、一対の支持壁部12の外周部間を連結する連結壁部14とを備え、これら壁部12,14の内側の中空部が、本体部6の中空部と連通している。支持壁部12の外周は湾曲形状をなしており、連結壁部14についても断面略円弧状をなしている。また、支持壁部12と、連結壁部14との連結部位が面取り形状とされている。つまり、軸受部7の突出方向先端側の部位が面取り形状とされている。さらに、軸受部7(支持壁部12、及び、連結壁部14)と、本体部6との連結部位が面取り形状(湾曲形状)とされている。
【0024】
また、
図6、
図9に示すように、軸部材4は、略円柱状の軸本体16と、軸本体16の一端部側に設けられ、前記軸本体16よりも径の大きい頭部17と、軸本体16の他端部側の端面から突出する弾性変形可能な一対の係止片部18とを備えている。本実施形態の軸部材4はポリプロピレンによって一体的に形成されている。そして、
図12に示すように、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の内壁部9同士を向かい合わせ(突合せ)、表示具1の横幅方向において第1表示部材2の軸受部7と、第2表示部材3の軸受部7とが交互に並ぶ配置とされた状態において、軸部材4を、第1表示部材2の各軸許容溝11に設けられた一対の軸受部7と、第2表示部材3の各軸許容溝11に設けられた一対の軸受部7とに挿通させる(表示具1の上辺部の左右のそれぞれにおいて、1つの軸部材4を4つの軸受部7に貫通させる)ことで、第1表示部材2、及び、第2表示部材3が回動可能に連結されている。また、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の連結状態では、軸部材4の頭部17が、第1表示部材2、及び、第2表示部材3のうち一方の軸受部7(支持壁部12)と略係止され、各係止片部18から軸本体16の外周側に突出する係止爪19が、第1表示部材2、及び、第2表示部材3のうち他方の軸受部7(支持壁部12)と略係止されるようになっている。
【0025】
加えて、
図12、
図13に示すように、一対の表示部材2、3の連結状態では、第1表示部材2の軸受部7の先端部側が、第2表示部材3の軸許容溝11に挿入され、第2表示部材3の軸受部7の先端部側が、第1表示部材2の軸許容溝11に挿入されるようになっている。但し、第1表示部材2の連結壁部14、及び、支持壁部12の外周縁部は第2表示部材3と当接しないように構成され、第2表示部材3の連結壁部14、及び、支持壁部12の外周縁部は、第1表示部材2と当接しないように構成されている。
【0026】
尚、
図9等に示すように、軸部材4の頭部17には、工具(本例ではマイナスドライバー)の先端部を挿入可能な工具係止部17aが設けられており、軸部材4を軸受部7に挿通させる際に、工具の先端部が軸部材4の頭部17から外れ難くなっている。また、軸受部7は、第1表示部材2(本体部6)の側辺部よりも第1表示部材2の横幅方向中央部側に離間して設けられている。このため、軸部材4は、頭部17を含む全体が、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の軸許容溝11に没入して配置され、外部からの接触が図り難くなっている。
【0027】
また、
図3、
図9に示すように、外壁部8の上辺部は、断面略円弧状をなしており、内壁部9との連結部位に関しても面取り形状(湾曲形状)とされている。表示具1は、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の内壁部9同士を面で当接させることで閉状態とされる(
図12、
図14参照)。その一方で、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の下部同士を離間させることで、表示具1が開状態とされる。本実施形態では、表示具1がある程度(例えば、35度~45度程度)開くと、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の上辺部同士が当接し、それ以上の回動変位が規制されるようになっている(
図1等参照)。
【0028】
図1、
図2に示すように、外壁部8の外方側面には、所定の情報が記載された表示プレート21の裏面と対向して支持する裏面支持部22と、表示プレート21の下辺部、上辺部、及び、左辺部を支持する支持枠部23と、支持枠部23の上辺部、下辺部、及び、左辺部から表示プレート21の表面側に突出して表示プレート21の脱落を防止する保持部24とが設けられている。尚、各構成の左右の位置の説明に関しては、便宜上、対象の構成を指定の向きから正面視した場合の左側を左側とし、右側を右側として説明する。
【0029】
また、
図3に示すように、外壁部8の外方側面の右側部には、保持パーツ31を取付可能とする被取付部26が設けられている。
図7、
図8に示すように、保持パーツ31は、被取付部26に面で当接して取付けられる略板状の取付部32と、取付部32の被取付部26への取付面とは反対側の面の一方の側辺部から取付部32に対して直交する方向に延出するパーツ側枠構成部33と、パーツ側枠構成部33の先端部から取付部32とは反対側に突出するパーツ側保持部34とを備えている。取付部32には、中央部において円形の取付孔35が設けられるとともに、取付部32の取付面側から突出する位置決め突部36が取付孔35を挟んで上下一対で設けられている。さらに、取付部32は、各位置決め突部36が設けられた上部、及び、下部が、取付孔35が設けられた中央部よりもパーツ側保持部34から離間するようにして段差状に構成されている。
【0030】
これに対し、
図3に示すように、被取付部26には、保持パーツ31の取付孔35に対応して被取付孔27が設けられている。また、被取付部26のうち被取付孔27が設けられた部位は、裏面支持部22よりも内方に位置するようにして段差状に構成されている。さらに、被取付部26のうち取付部32の上部、及び、下部に対応する部位は、被取付孔27が設けられた部位よりも内方に位置するようにして段差状に構成されているとともに、位置決め突部36が挿入される位置決め凹部28を備えている。被取付孔27は左右に長い長孔とされ、位置決め凹部28の横幅は被取付孔27とほぼ同じ幅を有している。位置決め凹部28の内側は、左右に並ぶ3つの領域に区画されている。
【0031】
そして、
図1に示すように、表示プレート21を裏面支持部22と保持部24との間に挿通させた後、パーツ側保持部34を表示プレート21の表面側に突出させる向きで、保持パーツ31を被取付部26に押さえ付けることで、取付部32の上部、及び、下部が、被取付部26の上部、及び、下部の段差に嵌まる格好となる。これにより、保持パーツ31の上下方向への変位が規制される。また、表示プレート21の右辺部の位置に応じて保持パーツ31の左右の位置を調節し、保持パーツ31の位置決め突部36を位置決め凹部28の3つの区画領域のうちいずれかの領域に挿入させることで、保持パーツ31の左右方向への変位が規制される。さらに、保持パーツ31の取付孔35と、被取付部26の被取付孔27とに対し、ボルト38を挿通してナット39で固定することで、保持パーツ31が第1表示部材2に固定され、表示プレート21の脱落が防止される。
【0032】
尚、第1表示部材2の厚み方向において、保持パーツ31のパーツ側保持部34の外方側面は、保持部24や支持枠部23の外方側面とほぼ同じ位置とされ、第1表示部材2の外方側面に頭部が係止されるボルト38は、保持パーツ31のパーツ側保持部34の外方側面よりも外方には突出しないようになっている。さらに、第1表示部材2の内壁部9のうちナット39が係止される部位は、内壁部9よりも外方に位置するようにして段差状に構成されるとともに、ナット39は、第1表示部材2の厚み方向において、内壁部9の内方側面よりも内方に突出しないようになっている。
【0033】
また、
図2、
図4に示すように、第1表示部材2の内壁部9の内方側面には、下部中央において閉時位置ずれ規制部41が設けられている。閉時位置ずれ規制部41は、第1表示部材2の横幅方向中央部を挟んで左右に並ぶ凹部と、凸部とにより構成されている。そして、表示具1を閉状態とすることで、第1表示部材2の閉時位置ずれ規制部41と、第2表示部材3の閉時位置ずれ規制部41とが係合し、内壁部9の面方向における第1表示部材2、及び、第2表示部材3の下部側の位置ずれが防止される。
【0034】
さらに、
図3に示すように、第1表示部材2の外壁部8の外方側面には、支持枠部23の左辺部、及び、下辺部に設けられた凸部と、支持枠部23の下辺部、及び、外壁部8の右辺部近傍部位に設けられた凹部とにより構成される段積み時位置ずれ規制部42が設けられている。そして、
図14に示すように、表示具1を閉状態として、表示具1同士を同じ向きで上下に積み重ねる(段積みする)ことで、下側の表示具1の段積み時位置ずれ規制部42と、上側の表示具1の段積み時位置ずれ規制部42とが係合し、表示具1同士の水平方向における位置ずれが防止される。
【0035】
加えて、
図3に示すように、第1表示部材2には、外壁部8の裏面支持部22に対応する位置において、第1表示部材2の厚み方向に貫通する開口部43が設けられている。開口部43は、上下に2つ並び、左右に2つ並ぶようにして4つ設けられており、下側の開口部43の下縁部に対応して、外壁部8には、内方側に凹む係止凹部44が設けられている。また、
図15に示すように、表示具1は、貯水可能な略直方体形状のタンク部46と、タンク部46の両側面の上下方向中間位置から側方に突出して設けられた係止部47とを備える錘部材45を装着可能に構成されている。そして、表示具1を開状態とし、錘部材45の各係止部47を第1表示部材2、及び、第2表示部材3の各係止凹部44に係止させることで、錘部材45が表示具1に装着される。尚、錘部材45の係止部47は、係止凹部44の内側に収容された状態となることから、表示プレート21の設置等の阻害要因とならないように構成されている。
【0036】
また、
図4等に示すように、第1表示部材2の一対の軸許容溝11の間の部位には、第1表示部材2の厚み方向に貫通する持ち手孔48が設けられている。さらに、
図10等に示すように、内壁部9には、各開口部43の左右側方、及び、上下に並ぶ開口部43の間の位置において外壁部8側に凸となる面変化部49が設けられ、そのうちの一部が外壁部8と連結(当接して固着)されている。加えて、
図1等に示すように、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の下辺部には、ゴム製の滑り止め部材50が装着されている。
【0037】
さて、
図9、
図11等に示すように、軸受部7には、連結壁部14のうち一対の支持壁部12から離間した位置において、軸受部7に挿通された軸部材4側に突出する内側突形状部51が設けられている。本実施形態の内側突形状部51は、連結壁部14の周方向の全体に(連結壁部14の上側の本体部6との連結部から、連結壁部14の下側の本体部6との連結部にかけて)設けられている。このため、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の軸孔13に挿通された軸部材4は、軸孔13の周縁部に支持されるとともに、内側突形状部51にも支持され得るように構成されている。また、軸部材4の延在方向(軸受部7の長手幅方向)において、軸孔13が設けられた支持壁部12よりも内側突形状部51の方が幅広に構成されている。さらに、ブロー成形に際して軸受部7と同時に形成される内側突形状部51は、軸受部7の連結壁部14の一般部に対して、軸受部7の中空部側に凸となる分だけ、内側突形状部51の外面側が凹んで形成されている。特に、本実施形態の内側突形状部51は、断面略台形状とされ、内側突形状部51の周縁部に鋭角となる角部が形成されないようになっている。尚、表示具1の製造段階で内側突形状部51が軸部材4に当接する設計としてもよいし、表示具1の繰返しの使用により軸孔13の周縁部が若干摩耗した場合に内側突形状部51が軸部材4に当接する(製造段階でも、軸部材4が変形した場合には内側突形状部51が軸部材4に当接する)設計としてもよい。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態によれば、軸受部7には、軸受部7に挿通された軸部材4側に突出する内側突形状部51が設けられている。このため、軸受部7において軸部材4を支持可能な部位を増加させることができる。すなわち、中空状の軸受部7において、一対の軸孔13の周縁部だけでなく、一対の軸孔13(支持壁部12)の間の位置においても、内側突形状部51を軸部材4に当接可能とし、内側突形状部51によっても軸部材4を支持することができる。特に、軸部材4の延在方向において、支持壁部12の厚みよりも幅広に形成することのできる内側突形状部51にも軸部材4を支持させることによって、軸受部7において軸部材4をより確実に支持することができる。従って、一対の表示部材2、3の開閉動作等に際し、軸受部7において軸部材4から受ける力が局所的に付加されることを抑制することができ、軸受部7の損傷等を抑制することができる。結果として、軸受部7の耐久性の向上を図ることができる。
【0039】
また、内側突形状部51が、軸受部7に軸孔13を形成する際の孔開け用冶具のガイドや、軸受部7に軸部材4を挿通させる際の軸部材4のガイドとして作用することも期待することができ、作業性の向上等を図ることができる。さらに、軸受部7の外面側には、内側突形状部51に対応する位置に凹部が形成される。このため、例えば、一対の表示部材2、3の開閉に際し、軸受部7の外面と、他方の表示部材2、3とが接触した場合に、軸受部7の外面と、他方の表示部材2、3との接触面積を減らすことができ、表示具1の開閉操作性の向上等を図ることができる。
【0040】
尚、本実施形態では、基本的には、第1表示部材2の軸受部7の連結壁部14、及び、支持壁部12の外周縁部は第2表示部材3(軸許容溝11)と当接しないように構成され、第2表示部材3の軸受部7の連結壁部14、及び、支持壁部12の外周縁部は、第1表示部材2(軸許容溝11)と当接しないように構成されている(軸部材4が変形させられるような場合には当接する可能性がある)。この場合、例えば、第1表示部材2の連結壁部14が第2表示部材3と圧接して変形してしまった場合に、第1表示部材2の内側突形状部51が軸部材4に圧接し、第1表示部材2の軸受部7と、軸部材4との回動変位に支障が出るとともに、第1表示部材2の連結壁部14が第2表示部材3と圧接することで第1表示部材2と、第2表示部材3との相対変位にも支障が出て、表示具1を開閉させ難くなるといった事態を回避することができる。さらに、例えば、第1表示部材2の軸受部7のうち支持壁部12の外周縁部が第2表示部材3と圧接することで、支持壁部12が変形、又は、損傷してしまうといった事態を回避することができる。
【0041】
また、本実施形態では、軸受部7の突出方向先端側の端部が面取り形状とされている。このため、例えば、軸受部7に角部を設けるような場合に比べ、ブロー成形に際し、軸受部7において薄肉部が形成されてしまうといった事態を抑止することができる。従って、軸受部7の損傷等を抑制し、耐久性の向上等を図ることができる。
【0042】
さらに、軸受部7と、本体部6との連結部位が面取り形状とされている。このため、例えば、本体部6のうち軸受部7との境界部を軸受部7側に屈曲又は湾曲させないような構成に比べ、ブロー成形に際し、軸受部7と、本体部6との連結部位において薄肉部が形成されてしまうといった事態を抑止することができる。従って、軸受部7及びその近傍部位の損傷等を抑制し、耐久性の向上等を図ることができる。
【0043】
加えて、本実施形態では、表示部材2、3において、左右一対の軸許容溝11のそれぞれに2つずつ軸受部7が設けられるとともに、表示部材2、3の内壁部9同士を対向させて突き合わせた場合に、表示部材2、3の左右の軸許容溝11のそれぞれにおいて、第1表示部材2の軸部材4と、第2表示部材3の軸受部7とが交互に4つ並べられる。そして、表示部材2、3の左右の軸許容溝11のそれぞれにおいて、1つの軸部材4を4つの軸受部7にまとめて挿通させることで、表示部材2、3が連結されている。このように、各表示部材2、3の各軸許容溝11において軸受部7が複数設けられることで、軸部材4を介しての表示部材2、3同士の連結状態をより安定化させる(軸ぶれ等を抑止する)ことができる。さらに、共通の軸部材4が挿通される複数の軸受部7を設けることで軸受部7間の位置ずれ等が抑制される上、複数の軸受部7を1つの軸部材4でまとめて連結可能なことから、軸部材4で表示部材2、3同士を連結する際の作業性の向上を図ることができる。特に、上記のように、各軸受部7に内側突形状部51が設けられているため、軸部材4を複数の軸受部7(さらには、相手側の表示部材2、3の軸受部7)に挿通させる際の(軸部材4が比較的長尺となるため軸部材4の挿通方向先端側がぶれ易い)作業についても比較的容易に行うことができる。
【0044】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0045】
(a)上記実施形態では、第1表示部材2において軸許容溝11が2箇所に設けられ、各軸許容溝11に軸受部7が2つずつ設けられているが、軸受部7の数や配置等は適宜変更可能である。例えば、第1表示部材2において軸許容溝11を第1表示部材2の横幅方向中央部を含む位置に1つだけ設けることとしてもよいし、各軸許容溝11において軸受部7を1つずつ設けること、或いは、3つ以上ずつ設けることとしてもよい。また、例えば、左側の軸許容溝11に1つの軸受部7を設け、右側の軸許容溝11に2つの軸受部7を設けることとしてもよい。さらに、軸受部7を内壁部9から内方に突出させるのではなく、表示部材2、3の上辺部から上方に突出させるように構成してもよい。但し、軸受部7は内壁部9から内方に突出させることで、表示具1を閉状態とする構成の簡素化等を図ることができる。
【0046】
(b)上記実施形態では、各軸受部7には、一対の軸孔13と、1つの内側突形状部51とが設けられているが、例えば、軸受部7に2つの内側突形状部51を設けることとしてもよいし、内側突形状部51が設けられない軸受部7が存在することとしてもよい。また、例えば、表示部材2、3の連結状態において、最も表示具1の横幅方向中央部側に位置する軸受部7の支持壁部12に関し、軸孔13を省略し、当該軸受部7においては、1つの軸孔13(の周縁部)と、内側突形状部51とで軸部材4を支持することとしてもよい。
【0047】
(c)上記実施形態では、第1表示部材2、及び、第2表示部材3が高密度ポリエチレンにより構成され、軸部材4がポリプロピレンにより構成されているが、別の樹脂材料に適宜変更可能である。また、上記実施形態では、第1表示部材2と第2表示部材3とが同一形状に構成されているが、異なる形状に構成することも可能である。例えば、第2表示部材3から表示プレート21を保持する構成を省略してもよい。さらに、例えば、第1表示部材2の軸許容溝11を若干深く形成して、第1表示部材2の軸受部7を本体部6の厚みの範囲に収めるとともに、第2表示部材3の軸受部7の突出長を若干長くして、第2表示部材3の軸受部7を、第1表示部材2の軸許容溝11に挿入して、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の軸受部7間を軸部材4で連結するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…表示具、2…第1表示部材、3…第2表示部材、4…軸部材、6…本体部、7…軸受部、8…外壁部、9…内壁部、11…軸許容溝、12…支持壁部、13…軸孔、14…連結壁部、21…表示プレート、51…内側突形状部。