(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】表示具
(51)【国際特許分類】
E01F 9/608 20160101AFI20221117BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20221117BHJP
G09F 19/22 20060101ALI20221117BHJP
E01F 9/688 20160101ALI20221117BHJP
【FI】
E01F9/608
G09F7/18 Y
G09F19/22 P
E01F9/688
(21)【出願番号】P 2019116033
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】市橋 隆
(72)【発明者】
【氏名】福井 孝典
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-257018(JP,A)
【文献】特開平06-253945(JP,A)
【文献】実開昭59-027955(JP,U)
【文献】実開平04-120015(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/608
G09F 7/18
G09F 19/22
E01F 9/688
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形によりそれぞれが一体的に形成された合成樹脂製の第1表示部材、及び、第2表示部材と、前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材の上辺部側同士を回動可能に連結する軸部材とを備える表示具であって、
前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材のそれぞれは、互いに離間して対向する一対の外壁部、及び、内壁部を備えるとともに、前記軸部材を軸支する軸受部を備え、
前記軸部材は、前記第1表示部材の前記軸受部と、前記第2表示部材の前記軸受部とにかけて挿通され、
前記軸受部は、前記内壁部側に膨出した前記外壁部の一部と、前記内壁部とが連結された連結部を備えるとともに、
前記連結部は、前記内壁部のうち、前記軸部材の軸線方向において前記連結部に隣接する部位よりも、前記第1表示部材と前記第2表示部材との間に向かう方向である内方側に位置して設けられて
おり、
前記第1表示部材の前記軸受部は、当該第1表示部材の前記内壁部の前記内方側の面よりも前記内方に突出し、
前記第2表示部材の前記軸受部は、当該第2表示部材の前記内壁部の前記内方側の面よりも前記内方に突出しており、
前記外壁部は、略板状の外壁ベース板部と、前記外壁ベース板部から前記内方に突出し、突出方向先端部側が閉塞されているとともに、前記内方とは反対側の外方側に開口する略筒状の外壁側軸受構成部とを備え、
前記内壁部は、略板状の内壁ベース板部と、前記内壁ベース板部から前記内方に突出する内壁側軸受構成部とを備え、
前記外壁側軸受構成部の少なくとも突出方向先端部が前記内壁側軸受構成部と連結され、当該外壁側軸受構成部と、内壁側軸受構成部との連結部位により前記連結部が構成され、
前記軸受部は、一対の支持壁部と、当該一対の支持壁部の外周部間を連結する連結壁部とを備え、
前記連結部は、前記一対の支持壁部と、前記連結壁部とを含んでおり、
前記一対の支持壁部における前記連結部が設けられた部位を含む位置に、前記軸部材を挿通可能な前記軸孔が設けられていることを特徴とする表示具。
【請求項2】
前記第1表示部材の前記内壁部と、前記第2表示部材の前記内壁部とが、対向して近接又は当接し、互いに略平行して延在する閉状態と、
前記第1表示部材の下部側が、前記第2表示部材の下部側から離間する開状態とに状態変化可能に構成され、
前記外壁部のうち、前記軸部材の軸線方向において前記外壁側軸受構成部に隣接又は近接する位置には、前記外壁ベース板部から前記外方に突出する突部が設けられ、
前記閉状態とされた前記表示具同士を寝かせて上下に積み重ねた場合に、下側の表示具のうち上向きに配置された前記第1表示部材、又は、前記第2表示部材の前記突部が、上側の表示具のうち下向きに配置された前記第1表示部材、又は、前記第2表示部材の前記外壁側軸受構成部の内側に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の表示具。
【請求項3】
前記外壁部の外方側面には、所定の情報が記載された表示プレートが設置されるプレート設置部が設けられており、前記表示プレートが前記プレート設置部に設置されることで、前記外壁側軸受構成部の開口が閉塞されるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示具。
【請求項4】
前記外壁部のうち、前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材の横幅方向中央部を中心として前記外壁側軸受構成部の線対称位置に対し、前記突部が設けられ、
前記閉状態とされた前記表示具同士を寝かせて同じ向きで上下に積み重ねた場合に、下側の表示具のうち上向きに配置された前記第1表示部材、又は、前記第2表示部材の前記突部が、上側の表示具のうち下向きに配置された前記第1表示部材、又は、前記第2表示部材の前記外壁側軸受構成部の内側に挿入されることを特徴とする請求項2に記載の表示具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面等に設置され、通行人に所定の情報を教示する表示具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の表示板を備え、該一対の表示板の上辺部同士が回動可能に連結され、一対の表示板の下側を所定角度広げることで路面等に立設可能な表示具が知られている。また、各表示板をプラスチック製として、ブロー成形により形成するといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
該表示板は、中空板状の本体部と、本体部のうち相手側の表示板と対向する面の上辺部近傍部位から本体部の外側に突出する軸受部とを備え、軸受部には、表示板の横幅方向に貫通する軸孔が設けられている。そして、一対の表示板の軸受部の軸孔同士を位置合わせして軸部材を挿通させることで、一対の表示板が回動可能に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の表示具の表示板は、軸受部についても本体部とともにブロー成形により形成される。つまり、本体部から突出して設けられる軸受部は、ブロー成形に際して本体部の対象部位を延ばすような格好で中空状に形成されることから、軸受部やその周辺部において比較的薄肉になる部位が生じてしまうことが懸念される。従って、一般的には比較的高い耐久性が求められる軸受部において、逆に耐久性が比較的低くなってしまうおそれがあり、軸受部に破損等が生じることが懸念される。
【0006】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、耐久性の向上を図ることのできる表示具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.ブロー成形によりそれぞれが一体的に形成された合成樹脂製の第1表示部材、及び、第2表示部材と、前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材の上辺部側同士を回動可能に連結する軸部材とを備える表示具であって、
前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材のそれぞれは、互いに離間して対向する一対の外壁部、及び、内壁部を備えるとともに、前記軸部材を軸支する軸受部を備え、
前記軸部材は、前記第1表示部材の前記軸受部と、前記第2表示部材の前記軸受部とにかけて挿通され、
前記軸受部は、前記内壁部側に膨出した前記外壁部の一部と、前記内壁部とが連結された連結部を備えるとともに、
前記連結部は、前記内壁部のうち、前記軸部材の軸線方向において前記連結部に隣接する部位よりも、前記第1表示部材と前記第2表示部材との間に向かう方向である内方側に位置して設けられており、
前記第1表示部材の前記軸受部は、当該第1表示部材の前記内壁部の前記内方側の面よりも前記内方に突出し、
前記第2表示部材の前記軸受部は、当該第2表示部材の前記内壁部の前記内方側の面よりも前記内方に突出しており、
前記外壁部は、略板状の外壁ベース板部と、前記外壁ベース板部から前記内方に突出し、突出方向先端部側が閉塞されているとともに、前記内方とは反対側の外方側に開口する略筒状の外壁側軸受構成部とを備え、
前記内壁部は、略板状の内壁ベース板部と、前記内壁ベース板部から前記内方に突出する内壁側軸受構成部とを備え、
前記外壁側軸受構成部の少なくとも突出方向先端部が前記内壁側軸受構成部と連結され、当該外壁側軸受構成部と、内壁側軸受構成部との連結部位により前記連結部が構成され、
前記軸受部は、一対の支持壁部と、当該一対の支持壁部の外周部間を連結する連結壁部とを備え、
前記連結部は、前記一対の支持壁部と、前記連結壁部とを含んでおり、
前記一対の支持壁部における前記連結部が設けられた部位を含む位置に、前記軸部材を挿通可能な前記軸孔が設けられていることを特徴とする表示具。
【0009】
手段1によれば、連結部における軸受部の厚みを外壁部、及び、内壁部の厚みを足した厚みとすることができる。従って、軸受部を比較的厚肉に構成することができ、軸受部の強度及び剛性を高めることができる。結果として、軸受部の破損等を抑制し、軸受部の耐久性の向上を図ることができる。また、連結部は、内壁部のうち軸部材の軸線方向において当該連結部に隣接する部位よりも内方に位置している。このため、軸受部のうち、軸部材の挿通を許容して該軸部材を支持する部位(以下、「支持壁部」と称する)を表示部材の外側(表面側)に露出させることができる。従って、該支持壁部のそれぞれを、外壁部を延ばした部位と内壁部を延ばした部位とが重なった厚みのある構造、又は、外壁部を延ばした部位と、内壁部を延ばした部位とが近接した2重壁構造とすることができる。結果として、軸受部の耐久性の向上等を図るといった作用効果がより確実に奏される。
【0011】
また、第1表示部材の軸受部と、第2表示部材の軸受部とを共に内壁部よりも内方に突出させることで、第1表示部材の軸受部の形状と、第2表示部材の軸受部の形状とを同じとすることができる。ひいては、第1表示部材と、第2表示部材とを同一のものとすることができ、例えば、第1表示部材と、第2表示部材とで、異なる形状のものを用意する場合に比べ、生産性の飛躍的な向上等を図ることができる。また、例えば、第1表示部材の軸受部の側方に対し、第2表示部材の軸受部を挿入させるための凹部が設けられ、第1表示部材の軸受部が、内壁部の内方側の面よりも内方に突出しないように構成される場合に比べ、第2表示部材の軸受部の内壁部の内方側の面からの突出長を比較的短くすることができ、第2表示部材の軸受部の損傷等を抑制することができる。
【0014】
手段2.前記第1表示部材の前記内壁部と、前記第2表示部材の前記内壁部とが、対向して近接又は当接し、互いに略平行して延在する閉状態と、
前記第1表示部材の下部側が、前記第2表示部材の下部側から離間する開状態とに状態変化可能に構成され、
前記外壁部のうち、前記軸部材の軸線方向において前記外壁側軸受構成部に隣接又は近接する位置には、前記外壁ベース板部から前記外方に突出する突部が設けられ、
前記閉状態とされた前記表示具同士を寝かせて上下に積み重ねた場合に、下側の表示具のうち上向きに配置された前記第1表示部材、又は、前記第2表示部材の前記突部が、上側の表示具のうち下向きに配置された前記第1表示部材、又は、前記第2表示部材の前記外壁側軸受構成部の内側に挿入されることを特徴とする手段1に記載の表示具。
【0015】
手段2によれば、外壁側軸受構成部の前記外方側への開口形状を利用して、表示具を閉状態として積み重ねる(段積みする)場合の、表示具同士の水平方向における位置ずれを防止することができる。
手段3.前記外壁部の外方側面には、所定の情報が記載された表示プレートが設置されるプレート設置部が設けられており、前記表示プレートが前記プレート設置部に設置されることで、前記外壁側軸受構成部の開口が閉塞されるようになっていることを特徴とする手段1又は2に記載の表示具。
手段4.前記外壁部のうち、前記第1表示部材、及び、前記第2表示部材の横幅方向中央部を中心として前記外壁側軸受構成部の線対称位置に対し、前記突部が設けられ、
前記閉状態とされた前記表示具同士を寝かせて同じ向きで上下に積み重ねた場合に、下側の表示具のうち上向きに配置された前記第1表示部材、又は、前記第2表示部材の前記突部が、上側の表示具のうち下向きに配置された前記第1表示部材、又は、前記第2表示部材の前記外壁側軸受構成部の内側に挿入されることを特徴とする手段2に記載の表示具。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】表示プレート及び錘部材を取外した表示具の斜視図である。
【
図6】表示部材の一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図7】表示部材の一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図9】閉状態にある表示具の部分拡大断面図である。
【
図10】開状態にある表示具の部分拡大断面図である。
【
図11】表示具を閉状態として段積みした状態を示す斜視図である。
【
図12】表示具を閉状態として段積みした状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2、
図10等に示すように、表示具1は、正面視略矩形状の第1表示部材2、及び、第2表示部材3と、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の上辺部側同士を回動可能に連結する軸部材4とを備えている。第1表示部材2、及び、第2表示部材3は、高密度ポリエチレンにより構成され、それぞれブロー成形によって一体的に形成されている。本実施形態では、第1表示部材2と、第2表示部材3とが同じ大きさで同じ形状となっている。以下、主として第1表示部材2について説明するが、第2表示部材3についても同様の構成を具備している。
【0018】
図3、
図4、
図6等に示すように、第1表示部材2は、互いに離間して対向する一対の外壁部6、及び、内壁部7を備え、外壁部6、及び、内壁部7の外周部間、及び、開口周縁部間が連結されている。また、
図4、
図6、
図7、
図9等に示すように、第1表示部材2には、軸部材4を軸支する軸受部8が設けられている。詳しくは後述するが、表示具1は、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の内壁部7同士が対向配置されている。以下、第1表示部材2(の内壁部7)と、第2表示部材3(の内壁部7)との間に向かう方向を「内方」と称し、第1表示部材2と、第2表示部材3との間から遠ざかる方向を「外方」と称する。
【0019】
図4等に示すように、内壁部7の上辺部側の部位には、内壁部7の左右一側部から他側辺部にかけて、外方(第1表示部材2の中空部側)に凹むとともに、内壁部7の上辺部に沿って延在する鉛直断面略円弧状の軸許容溝9が設けられている。前記軸受部8は、軸許容溝9から内方に突出するようにして、内壁部7の横幅方向中央部を挟んで左右に2つずつ(合計4つ)設けられている。本実施形態の軸受部8は、内壁部7の内方側面よりも内方に突出するように構成されている(
図9参照)。
【0020】
また、第1表示部材2に設けられた軸受部8間の間隔は、第1表示部材2の横幅方向における軸受部8の幅を3倍にした長さよりも長くなっている。さらに、軸受部8は、内壁部7の横幅方向中央部を中心とする線対称位置に設けられるのではなく、該線対称位置から内壁部7の横幅方向において軸受部8の幅よりも若干長い距離だけずれた位置に設けられている。このため、
図9等に示すように、第1表示部材2と、該第1表示部材2と同一形状の第2表示部材3とを、内壁部7同士を対面させて突き合わせると、表示具1の横幅方向において4箇所で第1表示部材2の各軸受部8と、第2表示部材3の対応する軸受部8とが略隣接するようになっている。
【0021】
図7等に示すように、軸受部8は、軸部材4を第1表示部材2の横幅方向に沿わせて挿通可能な軸孔12が設けられる左右一対の支持壁部11と、一対の支持壁部11の外周部間を連結する連結壁部13とを備えている。
図6、
図8に示すように、支持壁部11の外周は湾曲形状をなしており、連結壁部13についても断面略円弧状をなしている。さらに、
図7等に示すように、支持壁部11と、連結壁部13との連結部位が面取り形状とされている。
【0022】
また、
図5に示すように、軸部材4は、略円柱状の軸本体15と、軸本体15の一端部側に設けられ、前記軸本体15よりも径の大きい頭部16と、軸本体15の他端部側の端面から突出する弾性変形可能な一対の係止片部17とを備えている。本実施形態の軸部材4はポリプロピレンによって一体的に形成されている。そして、
図9に示すように、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の内壁部7同士を突き合わせ、表示具1の横幅方向において略隣接した第1表示部材2の軸受部8と、第2表示部材3の軸受部8とに対し軸部材4を挿通させることで、第1表示部材2、及び、第2表示部材3が回動可能に連結されている。本実施形態では、第1表示部材2に設けられた4つの軸受部8同士が比較的大きく離間して設けられており、第1表示部材2と、第2表示部材3との連結には、4つの軸部材4が使用される。また、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の連結状態では、軸部材4の頭部16が、第1表示部材2、及び、第2表示部材3のうち一方の軸受部8(支持壁部11)と略係止され、各係止片部17から軸本体15の外周側に突出する係止爪18が、第1表示部材2、及び、第2表示部材3のうち他方の軸受部8(支持壁部11)と略係止されるようになっている。加えて、
図9に示すように、一対の表示部材2、3の連結状態では、第1表示部材2の軸受部8の突出方向先端部側が、第2表示部材3の軸許容溝9に挿入され、第2表示部材3の軸受部8の突出方向先端部側が、第1表示部材2の軸許容溝9に挿入されるようになっている。
【0023】
尚、
図5に示すように、軸部材4の頭部16には、工具(本例ではマイナスドライバー)の先端部を挿入可能な工具係止部16aが設けられている。また、
図4等に示すように、軸受部8は、第1表示部材2の側辺部よりも第1表示部材2の横幅方向中央部側に離間して設けられている。このため、
図9に示すように、軸部材4は、頭部16を含む全体が、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の軸許容溝9に没入して配置され、外部からの接触が図り難くなっている。
【0024】
表示具1は、第1表示部材2の内壁部7と、第2表示部材3の内壁部7とを対向させて近接又は当接させ、互いに略平行するようにして延在させることで閉状態とされる(
図9、
図11参照)。その一方で、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の下部同士を離間させることで、表示具1が開状態とされる(
図2参照)。本実施形態では、表示具1がある程度(例えば、20度~45度程度)開くと、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の上辺部同士が当接し、それ以上の回動変位が規制されるようになっている。
【0025】
さて、
図7、
図8等に示すように、本実施形態の軸受部8は、内壁部7側に膨出した外壁部6の一部と、内壁部7とが連結された連結部21を備えている。より詳しく説明すると、外壁部6は、略板状の外壁ベース板部22と、外壁ベース板部22から内方に突出し、突出方向先端部側が閉塞されているとともに、外方側に開口する略筒状の外壁側軸受構成部23とを備えている。内壁部7は、略板状の内壁ベース板部24と、内壁ベース板部24から内方に突出する内壁側軸受構成部25とを備えている。さらに、外壁側軸受構成部23の先端部側は、内壁側軸受構成部25の内側に挿入されている。本実施形態では、外壁側軸受構成部23、及び、内壁側軸受構成部25のうち、内壁ベース板部24に設けられた軸許容溝9よりも若干内方側に位置した部位から内方側の部位に関し、外壁側軸受構成部23と、内壁側軸受構成部25とが全体的に連結されて一体化された連結部21となっている。つまり、軸受部8のうち、一対の支持壁部11、及び、連結壁部13の大部分(軸受部8と、内壁部7との境界部以外の部位であって、支持壁部11については軸孔12が設けられた部位を含む)が連結部21により構成されている。尚、軸受部8の内壁部7との境界部付近に関しては、内壁側軸受構成部25と、外壁側軸受構成部23とが互いに対向して近接する2重壁構造とされている。
【0026】
また、上記のように、支持壁部11の外周形状が略円弧状とされる軸受部8は、鉛直断面において、上下の壁部(一対の支持壁部11の外周部間を連結する連結壁部13)が内方側に向けて、互いに近接する側に傾斜して延びていることとなる。つまり、
図8に示すように、軸受部8の外側(突出側)形状を構成する内壁側軸受構成部25は、内方側に向けて次第に上下の幅が狭くなる略テーパ状となっている。さらに、
図7に示すように、本実施形態では、一対の支持壁部11が内方に向けて若干互いの距離を近付けるようにして傾斜して延びており、軸受部8(内壁側軸受構成部25)は第1表示部材2の横幅方向においても、内方に向けて次第に左右の幅が狭くなる略テーパ状となっている。
【0027】
加えて、
図7、
図8に示すように、内壁側軸受構成部25の裏面(外方側面)と連結される外壁側軸受構成部23の先端部側の部位に関しても、内壁側軸受構成部25に近いテーパ状となる。また、外壁側軸受構成部23のうち、連結部21と、外壁ベース板部22との間の部位に関しても、前記先端部側の部位と連続して同じ角度で延びており、外壁側軸受構成部23の全体としては、外側形状(或いは、外壁側軸受構成部23の内側の中空部の形状)が略四角錐台形状となっている。
【0028】
さらに、内壁側軸受構成部25(支持壁部11、及び、連結壁部13)と、内壁ベース板部24との連結部位が面取り形状(湾曲形状)とされている。加えて、外壁側軸受構成部23と、外壁ベース板部22との連結部位が面取り形状(湾曲形状)とされている。
【0029】
図1、
図3に示すように、外壁部6の外方側面の上部には、所定の情報が記載された表示プレート27が設置されるプレート設置部28が設けられている。プレート設置部28は、外壁部6の外方側面を内方に凹ませるようにして設けられており、内側に表示プレート27を収容可能となっている。さらに、プレート設置部28には、ボルトやビス等の固定部材を挿通可能とする固定孔29が複数箇所に設けられている。また、プレート設置部28は、外壁部6の横幅方向において互いに所定距離を隔てて4箇所に設けられた外壁側軸受構成部23のうち、外壁部6の横幅方向中央部側に位置する2つの外壁側軸受構成部23(の開口部)を含む範囲に設けられ、表示プレート27がプレート設置部28に設置されることで、2つの外壁側軸受構成部23の開口部が閉塞されるようになっている。
【0030】
図2等に示すように、外壁部6には、4つの外壁側軸受構成部23のうち外壁部6の横幅方向側辺部側に位置する2つの外壁側軸受構成部23に対して第1表示部材2の横幅方向(軸部材4の軸線方向)において近接する位置、より具体的には、第1表示部材2の横幅方向中央部を中心として前記側辺部側に位置する2つの外壁側軸受構成部23の線対称位置に対し、外壁ベース板部22から外方に突出する突部31が設けられている。そして、
図11、
図12に示すように、表示具1を閉状態として、表示具1同士を同じ向きで上下に積み重ねる(段積みする)ことで、下側の表示具1の突部31が、上側の表示具1の外壁側軸受構成部23の開口部に挿入(係合)され、上側の表示具1の突部31が、下側の表示具の外壁側軸受構成部23の開口部に挿入される。これにより、表示具1同士の水平方向における位置ずれが防止される。尚、
図2に示すように、外壁部6の下部においても、外壁ベース板部22から外方に突出する位置ずれ規制突部32と、位置ずれ規制突部32の線対称位置に設けられる位置ずれ規制凹部33とが設けられ、表示具1を閉状態として段積みした場合に、上下の表示具1の位置ずれ規制突部32と、位置ずれ規制凹部33とが係合し、水平方向の位置ずれが防止されるようになっている。
【0031】
加えて、
図2等に示すように、第1表示部材2には、プレート設置部28よりも下方の位置において、第1表示部材2の厚み方向に貫通する開口部34が設けられている。また、開口部34の下縁部に対応して、外壁部6には、内方側に凹む係止凹部35が設けられている。また、
図1に示すように、表示具1は、開状態とされることで、第1表示部材2の係止凹部35と、第2表示部材3の係止凹部35とにかけて延在し、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の係止凹部35に係止される金属製の錘部材36を装着可能に構成されている。
【0032】
さらに、
図4、
図6等に示すように、内壁部7には、各開口部34の側方、及び、下方において外壁部6側に凹む面変化部38が設けられ、そのうちの一部が外壁部6と連結(当接して固着)されている。加えて、
図1、
図4等に示すように、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の上辺部中央位置には、図示しない保安灯を設置する(略円筒状の土台部を第1表示部材2と第2表示部材3との間に挿通させる)ための保安灯設置部39が設けられている。
【0033】
以上詳述したように、本実施形態によれば、軸受部8において、外壁部6(外壁側軸受構成部23)と、内壁部7(内壁側軸受構成部25)とが連結された連結部21が設けられている。本実施形態では、軸部材4を軸支する軸孔12が設けられた一対の支持壁部11、及び、一対の支持壁部11間を連結する連結壁部13の大部分が連結部21により構成され、当該部位の厚みを外壁部6、及び、内壁部7の厚みを足した厚みとすることができる。従って、軸受部8を比較的厚肉に構成することができ、軸受部8の強度及び剛性を高めることができる。結果として、軸受部8の破損等を抑制し、軸受部8の耐久性の向上を図ることができる。
【0034】
また、連結部21は、内壁部7の内方側面に設けられた軸許容溝9から内方に突出している。このため、支持壁部11を表示部材2、3の外側(表面側)に露出させることができる。従って、該支持壁部11のそれぞれを、外壁部6を延ばした部位(外壁側軸受構成部23)と、内壁部7を延ばした部位(内壁側軸受構成部25)とが重なった厚みのある構造、又は、外壁側軸受構成部23と、内壁側軸受構成部25とが近接した2重壁構造とすることができる。結果として、軸受部8の耐久性の向上等を図るといった作用効果がより確実に奏される。
【0035】
特に、本実施形態では、第1表示部材2の軸受部8と、第2表示部材3の軸受部8とを共に内壁部7(内壁ベース板部24)よりも内方に突出させることで、第1表示部材2の軸受部8の形状と、第2表示部材3の軸受部8の形状とを同じとすることができる。ひいては、第1表示部材2と、第2表示部材3とを同一のものとすることができ、例えば、第1表示部材と、第2表示部材とで、異なる形状のものを用意する場合に比べ、生産性の飛躍的な向上等を図ることができる。また、例えば、第1表示部材の軸受部の側方に対し、第2表示部材の軸受部を挿入させるための凹部が設けられ、第1表示部材の軸受部が、内壁部の内方側の面よりも内方に突出しないように構成される場合に比べ、第2表示部材3の軸受部8の内壁部7の内方側の面からの突出長を比較的短くすることができ、軸受部8の損傷等を抑制することができる。
【0036】
さらに、外壁側軸受構成部23、及び、内壁側軸受構成部25のそれぞれは、鉛直断面において、上下の壁部が内方側に向けて、互いに近接する側に傾斜して延びている。このため、例えば、外壁側軸受構成部23、及び、内壁側軸受構成部25を、外壁ベース板部22、及び、内壁ベース板部24から、当該外壁ベース板部22、及び、内壁ベース板部24に対して直交方向に延出させる場合に比べ、ブロー成形に際しての、外壁側軸受構成部23、及び、内壁側軸受構成部25(軸受部8)、及び、その周辺部における薄肉化を極力抑止することができる。結果として、軸受部8の損傷等を抑制し、耐久性の向上等を図ることができる。
【0037】
加えて、外壁部6には、外壁部6の横幅方向において外壁側軸受構成部23(の開口部)に近接して外方に突出する突部31が設けられ、閉状態とされた表示具1を段積みした場合に、上側の表示具1の突部31が、下側の表示具1の外壁側軸受構成部23の開口部に挿入され、下側の表示具1の突部31が、上側の表示具1の外壁側軸受構成部23の開口部に挿入されるようになっている。このため、外壁側軸受構成部23の外方側への開口形状を利用して、表示具1を閉状態として段積みする場合の、表示具1同士の水平方向における位置ずれを防止することができる。
【0038】
また、本実施形態では、内壁側軸受構成部25の突出方向先端側の端部が面取り形状とされている。さらに、内壁側軸受構成部25と、内壁ベース板部24との連結部位が面取り形状とされている。このため、例えば、軸受部8(内壁側軸受構成部25)やその周縁部に角部を設けるような場合に比べ、ブロー成形に際し、軸受部8やその周縁部において薄肉部が形成されてしまうといった事態を抑止することができる。従って、軸受部8の損傷等を抑制し、耐久性の向上等を図るといった作用効果がより確実に奏される。
【0039】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0040】
(a)上記実施形態では、第1表示部材2において軸受部8が4つ設けられているが、軸受部8の数や配置等は適宜変更可能である。また、連結部21を備える軸受部8だけでなく、連結部21を備えていない(内壁側軸受構成部25のみで構成される)軸受部8を設けることとしてもよい。さらに、第1表示部材2において4つ設けられる軸受部8を2つずつ比較的近接させて設け、1つの軸部材4により第1表示部材2の2つの軸受部8と、第2表示部材3の2つの軸受部8とを貫通させるように構成してもよい。
【0041】
(b)上記実施形態において、軸受部8の連結壁部13のうち一対の支持壁部11から離間した位置において、軸受部8に挿通された軸部材4側に突出する内側突形状部を設けることとしてもよい。この場合、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の軸受部8の軸孔12に挿通された軸部材4は、軸孔12の周縁部に支持されるとともに、内側突形状部にも支持され得る。また、内側突形状部は、連結壁部13の周方向の全体に設けられ、軸部材4の延在方向において、軸孔12が設けられた支持壁部11よりも内側突形状部の方が幅広に構成されていることとしてもよい。ブロー成形に際して軸受部8と同時に形成される内側突形状部は、軸受部8の連結壁部13の一般部に対して、軸受部8の内側に凸となる分だけ、内側突形状部の外面側が凹んで形成される。
【0042】
以上のように、軸受部8に内側突形状部を設ける場合には、軸受部8において軸部材4を支持可能な部位を増加させることができる。すなわち、中空状の軸受部8において、一対の軸孔12の周縁部だけでなく、一対の軸孔12(支持壁部11)の間の位置においても、内側突形状部を軸部材4に当接可能とし、内側突形状部によっても軸部材4を支持することができる。特に、軸部材4の延在方向において、支持壁部11の厚みよりも幅広に形成することのできる内側突形状部にも軸部材4を支持させることによって、軸受部8において軸部材4をより確実に支持することができる。従って、一対の表示部材2、3の開閉動作等に際し、軸受部8において軸部材4から受ける力が局所的に付加されることを抑制することができ、軸受部8の損傷等を抑制することができる。結果として、軸受部8の耐久性の向上を図ることができる。
【0043】
また、内側突形状部が、軸受部8に軸孔12を形成する際の孔開け用冶具のガイドや、軸受部8に軸部材4を挿通させる際の軸部材4のガイドとして作用することも期待することができ、作業性の向上等を図ることができる。さらに、軸受部8の外面側には、内側突形状部に対応する位置に凹部が形成される。このため、例えば、一対の表示部材2、3の開閉に際し、軸受部8の外面と、他方の表示部材2、3とが接触した場合に、軸受部8の外面と、他方の表示部材2、3との接触面積を減らすことができ、表示具1の開閉操作性の向上等を図ることができる。
【0044】
尚、表示具1の製造段階で内側突形状部が軸部材4に当接する設計としてもよいし、表示具1の繰返しの使用により軸孔12の周縁部が若干摩耗した場合に内側突形状部が軸部材4に当接する(製造段階でも、軸部材4が変形した場合には内側突形状部が軸部材4に当接する)設計としてもよい。
【0045】
(c)上記実施形態では、第1表示部材2、及び、第2表示部材3が高密度ポリエチレンにより構成され、軸部材4がポリプロピレンにより構成されているが、別の樹脂材料に適宜変更可能である。また、上記実施形態では、第1表示部材2と第2表示部材3とが同一形状に構成されているが、異なる形状に構成することも可能である。例えば、第2表示部材3から表示プレート27を保持する構成を省略してもよい。さらに、例えば、第1表示部材2の軸許容溝9を若干深く形成して、第1表示部材2の軸受部8を軸許容溝9の内側の範囲に収めるとともに、第2表示部材3の軸受部8の突出長を若干長くして、第2表示部材3の軸受部8を、第1表示部材2の軸許容溝9に挿入して、第1表示部材2、及び、第2表示部材3の軸受部8間を軸部材4で連結するように構成してもよい。
【0046】
尚、上記手段1に記載されている「前記連結部は、前記内壁部のうち、前記軸部材の軸線方向において前記連結部に隣接する部位よりも、前記第1表示部材と前記第2表示部材との間に向かう方向である内方側に位置して設けられている」とは、内壁部7に設けられた軸許容溝9に軸部材4を備え、連結部21が、軸許容溝9よりも内方側に位置し、かつ、内壁部7(例えば、内壁ベース板部24の内方側面)よりも外方側に位置しているような構成についても含む趣旨である。
【0047】
つまり、軸許容溝9を内壁部7の一部(の構成)と捉えることとしてもよい。この場合、連結部21は、内壁部7(軸許容溝9)よりも内方側に位置しているといえる。尚、軸許容溝9を省略してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…表示具、2…第1表示部材、3…第2表示部材、4…軸部材、6…外壁部、7…内壁部、8…軸受部、9…軸許容溝、11……支持壁部、12…軸孔、13…連結壁部、21…連結部、22…外壁ベース板部、23…外壁側軸受構成部、24…内壁ベース板部、25…内壁側軸受構成部、27…表示プレート、31…突部、32…位置ずれ規制突部。