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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】遊技システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A63F7/02 352L
A63F7/02 352E
A63F7/02 328
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022039193
(22)【出願日】2022-03-14
【審査請求日】2022-03-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592104450
【氏名又は名称】J-NET株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】若林 準
【審査官】辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-154167(JP,A)
【文献】特開2010-213991(JP,A)
【文献】特開2018-187230(JP,A)
【文献】特開2019-013281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者用媒体の識別情報に対応する貯遊技媒体の数を記録する記録手段と、遊技台に対応して設置された当該遊技台に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出ユニットと、
前記遊技者用媒体を検知する検知手段と、を有し、
前記遊技媒体貸出ユニットは、
前記貯遊技媒体とは異なる有価価値の入力を受け付ける第1入力手段と、
前記記録手段に記録された前記貯遊技媒体の入力数を受付可能にする第2入力手段と、
前記遊技者用媒体が検知された状態で、前記遊技媒体の貸し出しのために入力されて前記遊技媒体の貸し出しに用いられた前記有価価値が所定価値を超えるまで、前記第2入力手段による受付を制限する制御手段と、を備えることを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記有価価値は、現金又は現金と等価値の電子マネーであることを特徴とする、
請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記遊技媒体の貸出数が所定条件を充たしたことを契機に前記制限を解除するためのフラグを当該遊技者用媒体と前記記録手段の少なくとも一方に記録することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の遊技システム。
【請求項4】
前記フラグは、前記第1入力手段で受け付けた前記有価価値が所定期間中に前記所定価値を超え、かつ、前記第2入力手段で受け付けた前記貯遊技媒体の累積数が所定数を超えるまで有効となる条件付フラグであることを特徴とする、
請求項3に記載の遊技システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記記録手段への前記貯遊技媒体の記録日を監視し、遊技日に記録された前記貯遊技媒体については、前記フラグの有無に関わらず、前記第2入力手段による受付を制限することを特徴とする、
請求項3又は4に記載の遊技システム。
【請求項6】
前記遊技媒体貸出ユニットは、前記第2入力手段の受付が制限されているときと該制限が解除されているときとで異なる態様の表示を行う表示手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の遊技システム。
【請求項7】
前記表示手段は、前記所定価値に対する前記有価価値の不足価値を表示することを特徴とする、請求項6に記載の遊技システム。
【請求項8】
第三者管理機関が有する管理端末との間で通信を行う通信手段をさらに有し、
前記所定価値、前記所定数、前記所定期間の少なくとも一つは、前記管理端末から前記通信手段を介して伝達され、書き換え不能な態様で前記制御手段に保持されることを特徴とする、請求項4に記載の遊技システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパチンコ遊技機やパチスロ遊技機などの遊技台を設置した遊技場において運用される遊技システムに関する。特に、遊技客(以下「ファン」という。)のみならず遊技場運営者の便益をも考慮した貯玉再プレイを可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、貯玉再プレイが普及している。貯玉再プレイとは、遊技場に会員登録したファンが遊技開始の際に貸し出された遊技玉や遊技により獲得した遊技玉などの遊技媒体(メダルを含む。以下これらを総称して「持玉」という。)を当該遊技場に設置される遊技システムに貯めておき(貯めた持ち玉を「貯玉」という。)、ファンが再びその遊技場に来場したときに自分の貯玉を遊技台の遊技に用いることを許容するサービス形態をいう。
【0003】
貯玉再プレイが普及する一方で、遊技場側では、各ファンの貯玉を遊技場のみならず第三者管理機関においても適正に管理する必要があるため、登録した会員数によっては貯玉の管理コストが無視できないほど高くなる。また、ファンが貯玉再プレイを利用している間、遊技場には現金が入らないことから、遊技場運営を圧迫するという問題があった。
そのため、従来より、遊技場における貯玉再プレイの負担を軽減するための様々な技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ファンが貯玉の預り金を支払い、貯玉再プレイの操作を行う度に預り金から利用料を減額(徴収)するとともに、預り金が利用料に満たなければ、遊技玉の払い出しを制限する遊技システムが開示されている。特許文献2には、ホールの日次処理、月次処理の定期処理及びファンの来店検出時の処理において、貯玉の数や貯玉の預け入れ期間等に応じて管理手数料を自動的に徴収する貯遊技媒体管理装置が開示されている。特許文献3には、ファンが貯玉再プレイで獲得した獲得球を景品に交換する際に再プレイ手数料相当数を獲得球から差し引く装置が開示されている。特許文献4には、手数料無料玉数を設定するとともに、手数料無料玉数を超えて再プレイする貯玉については、貯玉口座から手数料を引落して処理を実行する貯玉管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-187230号公報
【文献】特開2014-131534号公報
【文献】特開2012-148024号公報
【文献】特開2011-217846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~4に例示される技術は、貯玉再プレイを行うためにファンが何らかの形態で手数料を支払うものである。これにより遊技場運営者には貯玉管理コストが軽減されるという便益が生じる。しかし、手数料が差し引かれるファンによっては不利益と感じることも予想され、その場合、貯玉再プレイの利用を継続することのモチベーションが下がり、ひいては貯玉自体の利用促進も図れなくなるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、ファンと遊技場運営者側の双方に便益が生じる貯玉再プレイを可能にする遊技システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の遊技システムは、遊技者用媒体の識別情報に対応する貯遊技媒体の数を記録する記録手段と、遊技台に対応して設置された当該遊技台に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出ユニットと、前記遊技者用媒体を検知する検知手段と、を有し、前記遊技媒体貸出ユニットは、前記貯遊技媒体とは異なる有価価値の入力を受け付ける第1入力手段と、前記記録手段に記録された前記貯遊技媒体の入力数を受付可能にする第2入力手段と、前記遊技者用媒体が検知された状態で、前記遊技媒体の貸し出しのために入力されて前記遊技媒体の貸し出しに用いられた前記有価価値が所定価値を超えるまで、前記第2入力手段による受付を制限する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、貯玉再プレイを利用した遊技に先立って有価価値を用いた通常遊技を行うだけで手数料負担を免れるので、ファンに不利益感を与えることがないので、遊技場運営者側にも便益が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】遊技システム及び関連システムの全体構成図。
図2】台間処理機の説明図。
図3】遊技管理装置の説明図。
図4】遊技場会員DBの説明図。
図5】貯玉口座DBの説明図。
図6】ファン端末の構成図。
図7】精算処理の手順説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明を遊技場管理システムに適用した場合の実施の形態例を説明する。
<全体構成>
図1は、第1実施形態の遊技管理システム1の全体構成図である。この遊技管理システム1は、遊技場への会員登録をしないファンによる通常遊技、並びに、遊技場に会員登録したファンによる貯玉再プレイを含む特殊遊技を可能にする情報処理システムであり、遊技システム10、管理端末20、ファン端末30、会員カード40、一般カード50を含んで構成される。
【0012】
遊技システム10は、遊技場全体の電子機器の動作を監視するとともに、これらの電子機器の動作を統括的に制御する。遊技システム10が設けられる遊技場には、「島」と呼ばれるエリア毎に中継器15が設けられている。中継器15は、当該エリアの遊技台16及び台間処理機17と遊技システム10とのインタフェースとなる電子機器である。台間処理機17は、1台の遊技台16に1台並設される遊技媒体貸出ユニットと呼ばれる電子機器である。第1実施形態では、遊技台16がパチンコ遊技機である場合の例について説明する。つまり、遊技媒体が遊技玉であるものとする。便宜上、遊技玉を貸玉、獲得玉あるいは持玉と呼ぶ場合がある。また、貯遊技媒体を貯玉と呼び、貯玉を用いた遊技を貯玉再プレイと呼ぶ場合がある。
【0013】
管理端末20は、遊技場運営者から独立した第三者管理機関に設置され、通信ネットワークNを介して遊技システム10と接続される情報処理端末(装置又はシステムと同義)である。管理端末20は、遊技システム10から受信した、すべての会員の貯玉の情報を大容量ストレージに記録するとともに、この貯玉の情報を遊技システム10又はファン端末30の要求により閲覧可能にする。管理端末20において記録される貯玉の情報は、遊技システム10において管理(記録、更新、削除等)されている貯玉の情報と同じである。管理端末20は、必要に応じて、貯玉再プレイを可能にするための各種条件情報を遊技システム10へ送信する。
【0014】
ファン端末30は、ファンが操作可能なスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末であり、通信ネットワークNを介して遊技システム10および管理端末20との間で通信が可能な遊技者用媒体の一例である。通信ネットワークNには、図示しない金融機関システムやクレジットカードシステムも接続されている。
【0015】
会員カード40と一般カード50は、それぞれ、電子マネーを記録可能なプリペイド領域と、持玉数を記録可能な持玉領域とを有するICチップ搭載の遊技者用媒体の一例である。プリペイド領域には、現金と等価の電子マネー、例えばプリペイド価値を有する電子マネーが記録される。現金や電子マネーは、財的価値の一例である。第1実施形態では、財的価値のうち他の価値に交換可能な有意値を示すものを有価価値と呼ぶ。また、プリペイド領域におけるプリペイド価値を増やすことを「チャージ」と呼ぶ。プリペイド価値は、遊技玉の貸出を受ける度に減少する。プリペイド価値を減少させることを「消費」あるいは「費消」と呼び、プリペイド価値の残価値を「チャージ残額」と呼ぶ。
持玉領域は、遊技場が備える電子機器のシステム化前に用いられていた「ドル箱」に対応する記録領域である。持玉領域に記録されている持玉数は、チャージ残額を減らすことなく、貸玉に代えて使用することができる。持玉数は、景品交換に用いることもできる。
【0016】
会員カード40は、ファンが遊技システム10で会員(遊技場会員、貯玉会員と呼ばれることもある)の登録を行うことにより発行されるカードであり、上記のプリペイド領域、持玉領域に加え、会員領域が設けられている。会員領域には、カードID、会員ID、登録した遊技場を識別するための遊技場ID及び後述する貯玉再プレイ用の制限解除フラグなどが関連付けられて記録される。
一般カード50は、会員登録を行うことなく(あるいは会員登録しても)、原則としてその日だけの遊技を可能にする無記名カードである。会員カード40は、持玉数やチャージ残額が0になっても繰り返し使用できるが、一般カード50は、持玉数とチャージ残額が0になると台間処理機17に回収される。
【0017】
遊技システム10について、詳しく説明する。遊技システム10は、カード管理装置11、会員管理装置12、遊技管理装置13、通信管理装置14及びカードR/W(リーダ/ライタ)111を主要な電子機器として備える。これらの電子機器は、遊技場内に敷設されるLAN(Local Area Network)を通じて相互に接続される。
【0018】
カード管理装置11は、カードR/W111に装着された会員カード40への情報の書込及び読出しを行う。すなわち、カード管理装置11は、発行時に、会員カード40の会員領域に、カードID、会員ID及び遊技場IDを記録する。カード管理装置11は、また、カードR/W111を通じて会員カード40の会員領域、プリペイド領域、持玉領域の記録情報を読み取る。
【0019】
会員管理装置12は、カード管理装置11と協働で、会員の個人情報、会員が設定したパスワード等の権限情報、遊技場運営者及び第三者管理機関との間の契約情報、適宜会員に提供可能な会員の特典情報等を管理(アクセス可能なストレージへの記録、更新、削除、読出し等)する。
【0020】
遊技管理装置13は、遊技台16及び台間処理機17の動作状況の監視と、監視結果に基づく各種制御を行う。例えば、遊技管理装置13は、会員カード40を用いた遊技を行っている会員に対して貯玉の確認及び貯玉再プレイを可能にするための台間処理機17の動作制御などを行う。
【0021】
通信管理装置14は、管理端末20、ファン端末30のほか、通信ネットワークNに接続されている外部情報サイト、例えば金融機関システム、クレジットカード提供システムとの間の通信を可能にする。金融機関システム、クレジットカード提供システムは、ファンまたは会員の求めに応じて現金に代わる有価価値を取得する際に、所定の権限情報をもとにアクセスする。
【0022】
台間処理機17について説明する。図2は、台間処理機17の構造説明図である。台間処理機17は、状態表示部171、紙幣挿入口172、表示操作部173、カード挿入口174、コード読取センサ175、ノズルユニット176、計数ユニット177及び制御ユニット178を備える。制御ユニット178は、各種データを保持するためのストレージを備え、貸玉制御用プログラムがインストールされたコンピュータの一種であり、会員管理装置12や遊技管理装置13との通信を可能にする制御のほか、台間処理機17の動作を統括的に制御する。
【0023】
状態表示部171は、台間処理機17の稼働状態を表示する。正常稼働中は例えば緑色に点灯しており、何らかのトラブルが発生した場合は、自動又は手動で赤色の点灯に変化し、トラブルが一定時間継続すると赤色の点滅に変化する。紙幣挿入口172は、ファンが投入した紙幣を受け付けるための孔部である。制御ユニット178は、投入された紙幣の財的価値を認識し、認識した財的価値をストレージにチャージ残額として記録する。
【0024】
表示操作部173は、ファンとの間のユーザインタフェースであり、テンキー173a及び表示部173bを備える。テンキー173aは、持玉数の範囲での貸玉供給、会員認証、貯玉再プレイによる貸玉供給その他の機能選択、カード離脱その他の指示入力に用いられる。表示部173bは、ストレージに記録されているチャージ残額や持玉数などの表示を行う。カード挿入口174には、会員カード40又は一般カード50が挿入され、カード離脱の指示入力を契機に、会員カード40又は一般カード50を排出させる。その際、チャージ残額や持玉数が会員カード40又は一般カード50に記録される。コード読取センサ175は、ファン端末30のディスプレイに表示される画像コード301を読み取り、その結果を制御ユニット178に伝達する。画像コード301で読み取った結果は、例えば、現在、遊技台16とその隣の台間処理機17を操作しているファンが会員であること、貯玉総数の確認を要求していること、貯玉再プレイを要求していること、金融機関システム又はクレジットカード提供システムからの現金相当額の入力などを示す情報である。
【0025】
ノズルユニット176は、制御ユニット178の制御の下で、遊技台16の背後に設けられた遊技玉循環機構(図示省略)から遊技玉(貸玉、持玉)を遊技台16の上皿に供給する。計数ユニット177は、手動操作によって遊技機16の下皿から遊技玉循環機構へ排出される遊技玉(持玉)を計数し、計数結果を制御ユニット178のストレージに持玉数として記録する。持玉数は、表示操作部173の表示部173bに逐次表示される。
【0026】
図3を参照して、遊技管理装置13について説明する。遊技管理装置13は、ディスプレイ、プリンタ、キーボード、記憶装置などの周辺機器が接続されたコンピュータである。遊技管理装置13は、遊技管理用プログラムを実行することにより、データ入力部101、個人認証部102、遊技媒体管理部103、遊技場会員管理部106、データ送受信部107、データ出力部108、及び制御部100の機能を実現する。また、図示しないストレージに、遊技場会員データベース(以下、データベースを「DB」と略す)104、貯玉口座DB105を構築する。
【0027】
データ入力部101は、例えば中継器15を介して接続された複数の台間処理機17などから入力される各種データを受け付ける。受け付ける各種データは、例えば台間処理機17で読み取った会員カード40の記録情報、台間処理機17で作成した貯玉再プレイの条件充足情報、貯玉再プレイのための貯玉使用数の指示などである。
【0028】
個人認証部102は、遊技を開始しあるいは遊技中のファンが会員であることの認証が要求される場合に、当該会員の個人認証を行い、認証結果を要求元に返信する。個人認証は、データ入力部101を通じて入力された会員IDや権限情報と登録時に遊技場会員DB104に格納された個人情報とを照合することにより行う。
【0029】
遊技媒体管理部103は、上記の遊技玉循環機構の稼働状況の監視、台間処理機17の稼働状況の監視、会員の貯玉総数の増減処理、貯玉総数の閲覧要求に対する応答処理などを行う。
【0030】
遊技場会員DB104は、会員管理装置12が管理する会員の個人情報をファイルベースで格納する。貯玉口座DB105は、会員毎の貯玉口座を格納し、その貯玉口座の貯玉総数を増減させる。貯玉口座には、貯玉再プレイのための貯玉使用を制限するための制限フラグ及び制限を解除するための制限解除フラグが関連付けられていてもよい。制限フラグは例えば「1」の数値であり、制限解除フラグは例えば「0」の数値であるが、これらの数値は逆であってもよい。また、両者を区別できればよいので、数値以外の文字又は記号であってもよい。
【0031】
遊技場会員管理部106は、会員に関する情報を管理する。すなわち、ファンの会員登録の際に会員IDを割り当て、遊技場会員DB104に会員ID毎のレコード領域を作成する。また、ファンの会員登録の際に当該会員専用の貯玉口座を開設し、この貯玉口座を会員IDと関連付けて貯玉口座DB105に登録する。さらに、会員管理装置12、遊技場会員DB104及び貯玉口座DB105との間で会員に関する情報の受け渡しを行う。
【0032】
データ送受信部107は、管理端末20との間の通信を可能にする通信手段の一つとして機能する。データ出力部108は、中継器15を介して各台間処理機173などに各種データを表示する。
【0033】
制御部100は、遊技管理装置13の各種動作を統括的に制御する。また、中継器15を介して接続される台間処理機17の制御ユニット178との協働により、会員に対する貯玉再プレイの際の貯玉の使用に関する制御を行う。例えば制御部100は、各台間処理機17の制御ユニット178に対して、特徴的な貯玉再プレイに関する制御を自律的に実施するための情報と指示とを与え、その結果を受領するとともに、受領した結果に対応する制御を行う。貯玉の使用に関する制御の一態様は、台間処理機17のカード挿入口174に会員カード40を挿入して行われる貯玉再プレイの受付を、所定の条件に基づいて制限し、あるいは解除させることである。所定の条件については、後で詳しく説明する。貯玉再プレイは、会員カード40をカード挿入口174に挿入し、遊技に用いるために使用する貯玉の数をテンキー173aにより入力することで可能となる。
【0034】
遊技場会員DB104と貯玉口座DB105について説明する。図4は、遊技場会員DB104の説明図である。遊技場会員DB104には、会員となったファンの個人情報、個人認証に用いる権限情報(パスワード等)、遊技履歴などのレコードが会員IDと関連付けて記録される。遊技場会員DB104の記録内容は適宜更新される。
【0035】
貯玉口座DB105は、会員の貯玉口座が会員IDと関連付けて登録される。図5は、会員ID#A~会員ID#Hで区別される各会員の貯玉口座の例示図である。貯玉データAは、会員ID#Aの会員の貯玉総数である。他の会員についても同様である。各会員の貯玉口座には、当日の貯玉増減数も記録される。+1000は1000個の貯玉が増加したことを示す。-10000は貯玉再プレイのために10000個減少したことを示す。0は当日の貯玉データの変化がないことを示す。
【0036】
ファン端末30について説明する。図6は、ファン端末30の機能構成図である。ファン端末30は、内蔵ストレージにインストールされた貯玉会員用プログラムを実行することにより、当該会員に対して自己の貯玉の扱いに関する種々のサービスを会員に提供するものである。第1実施形態では、ファン端末30を、データ送受信部31、データ入力部32、データ出力部33、制御部34として動作させる。
【0037】
データ送受信部31は、遊技管理装置13にアクセスして双方向の通信を行う。データ入力部32は、キーボタン、タッチパネル等の入力インタフェースである。データ出力部33は、ディスプレイや音出力デバイス等の出力インタフェースである。ディスプレイは、各種データやメッセージ等を会員に視認可能な形態で提示するものであり、音出力デバイスはメッセージを合成音声によって会員に提示するものである。
【0038】
制御部34は、ファン端末30の動作を統括的に制御する。制御部34は、また、遊技システム10又は管理端末20へ送信する各種情報を作成するとともに、遊技システム10又は管理端末20から受信した情報に応じた処理を該当する機能ブロック(例えばデータ出力部33)に実行させる。遊技システム10に送信する情報は、例えば自己の貯玉口座の照会、当該貯玉口座の凍結要求などであり、受信した情報に応じた処理の一つは上記の画像コード301の表示などである。
【0039】
<運用形態例>
次に、会員が貯玉再プレイを行うときの運用形態例を説明する。貯玉再プレイは、台間処理機17に会員カード40が挿入され、かつ、貯玉口座に貯玉が存在する会員のみが行うことができる。図7は、遊技管理装置13の制御のもとで台間処理機17が行う処理の手順説明図である。
【0040】
図7を参照すると、台間処理機17は、会員カード40がカード挿入口174に挿入されたことを検出すると(S101)、テンキー173aの機能入力部を通じて貯玉再プレイ要求(S102)、あるいはカード取出し指示を待つ(S102:N,S109)。
【0041】
会員から貯玉再プレイ要求が入力された場合(S102:Y)、台間処理機17は、貯玉再プレイ条件判定を行う(S103)。貯玉再プレイ条件は、例えば、会員カード40が検知された状態で所定金額分の現金(チャージ残額)を用いた通常遊技が行われることである。貯玉再プレイ条件を充足したときは、制限解除フラグが当該会員カード40の会員領域に書き込まれる。
【0042】
この制限解除フラグは、会員が他の台間処理機17に移動しても有効であるが、後述するフラグ消去条件に該当すると消去される。所定金額は、例えば遊技管理装置13から台間処理機17に伝達され、制御ユニット178のストレージに記録される。第1実施形態では、所定金額が999円であるものとする。
【0043】
台間処理機107は、制限解除フラグが会員カード40の会員領域に記録されているか否かを判定する(S104)。制限解除フラグが記録されていない場合(S104:N)、台間処理機107は、貸玉を遊技台16に供給するための現金投入を待つ(S105:N)。会員は、台間処理機107の紙幣挿入口172に、1,000円札、5,000円札あるいは10,000円札を投入する。
【0044】
台間処理機17は、現金投入を検知すると(S105:Y)、投入された現金相当額の電子マネーを会員カード40のプリペイド領域にチャージする。台間処理機107は、チャージ残額からの消費額を当該会員カード40が排出されるまで制御ユニット178のストレージに一時的に記憶しており、その消費額が所定金額を超えたかどうかを判定する(S106)。超えない場合はS106の処理を繰り返す(S106:N)。
【0045】
消費額が所定金額を超えた場合(S106:Y)、台間処理機107は、制限解除フラグを会員カード40の会員領域に日時情報と共に書き込む(S107)。また、表示部173bに制限解除通知を表示させる(S108)。台間処理機107は、カード取出し指示がない場合(S109:N)、S102に戻り、貯玉再プレイ要求、すなわち再プレイ用の貯玉数の入力を有効にする。会員カード40の会員領域に制限解除フラグが書き込まれているので、台間処理機107は、次に、フラグ消去条件に該当するかどうかを判定する(S103、S104:Y、S110)。
【0046】
フラグ消去条件は、制限解除フラグを消去するための条件である。第1実施形態では、例えば、以下の内容とすることができる。この条件は、制御ユニット178のストレージに記録されている。貯玉の使用累積数の確認は、貯玉口座から適宜読み出すことで対応することができる。
・制限解除フラグの書込日が遊技日当日でないこと
・貯玉の使用累積数が遊技日当日の限度数以上であること
フラグ消去条件に該当する場合(S110:Y)、台間処理機17は、会員カード40の会員領域から制限解除フラグを消去する(S111)。
【0047】
フラグ消去条件に該当しない場合(S110:N)、台間処理機17は、所定数の貯玉をノズルユニット175から遊技台16の上皿に供給する(S112)。また、供給した貯玉数を中継器15を介して遊技管理装置13へ通知して、S102以降の処理を繰り返す。つまり、会員による新たな貯玉数の入力を待ち、制限解除フラグが書き込まれている間、貯玉再プレイを許容する。カード取出し指示が入力された場合(S109:Y)、会員カード40を排出して(S113)当該会員カード40に関する処理を終える。
【0048】
このように、第1実施形態では、どこかの台間処理機17において会員カード40が検知された状態で所定金額分の現金(チャージ残額)を用いた通常遊技が行われない限り、貯玉再プレイが制限されるが、所定金額分の現金(チャージ残額)は、貯玉管理の手数料として消えるわけではないので、不利益感を会員に生じさせることがなくなる。一方、遊技店運営者側には、貯玉再プレイの利用前に現金が確保されるという便益が生じる。遊技店運営上、現金が先に支払われることは資金繰り等において非常に有利である。
【0049】
[第2実施形態]
第1実施形態では、制限解除フラグを会員カード40の会員領域に書き込む場合の例を説明したが、第2実施形態では、制限解除フラグを、会員カード40ではなく、遊技管理装置13における当該会員の貯玉口座に書き込む。
このような実施形態では、台間処理機17は、貯玉再プレイの利用に先立ち、現金(チャージ残額)の消費額を累積し、累積額が所定金額を超えたときに、その旨を中継器15を介して遊技管理装置13に通知したり、貯玉再プレイ要求や制限解除フラグのフラグ消去条件を充足するかどうかを遊技管理装置13に頻繁に問い合わせることになるが、この処理は、既存の遊技媒体貸出ユニットと遊技管理装置13の僅かな仕様変更(コンピュータプログラムの僅かな変更)で対応できることから、台間処理機17を多数設置する遊技店の場合であっても、大幅なコスト増を伴うことなく本発明の実施が容易になる利点がある。
【0050】
[変形例]
第1,第2実施形態では、会員が貯玉再プレイの条件を充足したときに、制限解除通知を表示部173bに表示する例を説明したが、制限解除通知に代えて、貯玉再プレイが制限されている場合と、制限が解除された場合とで、異なる態様の表示を行うようにしてもよい。例えば、表示部173bにおける表示の背景色を、貯玉再プレイが制限されている場合には赤色、制限が解除された場合には青色となるようにしてもよい。
【0051】
また、貯玉再プレイ条件を充足するまでの所定金額に対する不足金額を表示するようにしてもよい。これにより、会員は、貯玉再プレイの制限を解除するために必要な金額を容易に視認することができる。
【0052】
第1,第2実施形態では、貯玉再プレイの条件を充足させるために現金(チャージ残額)を投入することを前提としたが、貯玉と異なる有価価値であればよく、クレジットカード、キャッシュカード、あるいはプリペイドカードを用いて取得可能な、現金と等価値の電子マネーを上記有価価値として用いることもできる。
【0053】
第1,第2実施形態では、遊技台16がパチンコ遊技台(機)であり、貯遊技媒体が貯玉であり、遊技媒体貸出ユニットが台間処理機17であることを前提としたが、遊技台はパススロ遊技機であってもよい。この場合、上記開示における貸玉は、貸メダル、貯玉は貯メダル、持玉は持メダルと読み替えればよい。
【要約】
【課題】遊技客と遊技店運営者の双方に不利益感を与えない貯玉再プレイを可能にする。
【解決手段】 遊技台16に遊技玉を貸し出す台間処理機17は、貯玉再プレイに先立ち、例えば、所定金額分の現金(チャージ残額)を用いた通常遊技だけを許容し、所定金額分の使用が確認されたときに貯玉再プレイを許容する。そのため、貯玉を管理する遊技店運営者側に現金が確保される。手数料を支払うわけでもないので、遊技客に不利益も生じない。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7