IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ジョージ・ワシントン・ユニバーシティの特許一覧 ▶ 460メディカル・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7178053組織のアブレーションを監視するシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】組織のアブレーションを監視するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20221117BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20221117BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20221117BHJP
   G01N 29/04 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B1/00 511
A61B1/00 621
A61B1/00 622
A61B1/00 623
G01N21/64 Z
G01N29/04
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020211677
(22)【出願日】2020-12-21
(62)【分割の表示】P 2017523965の分割
【原出願日】2015-11-03
(65)【公開番号】P2021104333
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-01-20
(31)【優先権主張番号】62/074,619
(32)【優先日】2014-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592005010
【氏名又は名称】ザ・ジョージ・ワシントン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】THE GEORGE WASHINGTONUNIVERSITY
(73)【特許権者】
【識別番号】519262397
【氏名又は名称】460メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】460Medical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】アミラーナ,オマール
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング,ケネス シー.
(72)【発明者】
【氏名】ボーエン,ジェームズ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,シナモン
(72)【発明者】
【氏名】メルカデル,マルコ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ランズベリー,テランス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】サルバヤン,ナリーン
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0079645(US,A1)
【文献】特表2013-544551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0292211(US,A1)
【文献】国際公開第1997/037622(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 - 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルと、アブレーションシステムと、視覚化システムと、プロセッサとを備える、組織のアブレーションを監視するシステムであって、
前記カテーテルが、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端に配置される遠位先端であって、組織に光エネルギーを印加するための1つ以上の開口部を有する遠位先端と、
を備え、
前記アブレーションシステムは、前記遠位先端と通信状態にあり、前記遠位先端にアブレーションエネルギーを供給し、
前記視覚化システムが、
光源と、
光測定器と、
前記光源及び前記光測定器と通信状態にあり、前記カテーテル本体を通って前記遠位先端まで延びる1つ以上の光ファイバと、
を備え、
前記1つ以上の光ファイバは、組織に光エネルギーを印加して前記組織を照明し、前記組織内にNADHを励起するように構成されており、
前記プロセッサは、前記光測定器と通信状態にあり、前記プロセッサは、
照明された組織のNADH蛍光の基準レベルを決定し、
前記照明された組織のNADH蛍光が前記基準レベルの少なくとも60%まで減少してNADH蛍光が定常状態となるのを監視し、
前記NADH蛍光の定常状態が5秒~10秒に達すると、前記照明された組織のアブレーションを停止して前記組織に供給されるアブレーションエネルギーの量を制限する、
ようにプログラムされている、システム。
【請求項2】
前記組織が300nm~400nmの波長の光で照明される請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、波長が450nm~470nmの反射光のレベルを監視する請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、エレクトロポレーションエネルギー及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記カテーテルは、前記カテーテルの長軸方向に対して径方向又は軸方向に前記組織を照射するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の開口部をイリゲートするためのイリゲーションシステムを更に備える請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記カテーテルは、1つ以上の超音波トランスデューサと1つ以上の電磁位置特定センサとを更に備え、
前記システムは、前記組織の超音波評価のための、前記1つ以上の超音波トランスデューサと通信状態にある超音波システムを更に備える請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記カテーテルは、1つ以上の電磁位置特定センサを更に備え、
前記システムは、前記カテーテルの位置を特定してナビゲートするための、前記1つ以上の電磁位置特定システムと通信状態にあるナビゲーションシステムを更に備える請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
組織のアブレーションを監視するシステムであって、
前記組織を照明するように構成された光源と、
光測定器と、
前記光測定器と通信するプロセッサと、
を備えて構成され、
前記プロセッサは、
照明された組織のNADH蛍光の基準レベルを決定し、
前記照明された組織のNADH蛍光が前記基準レベルの少なくとも60%まで減少してNADH蛍光が定常状態となるのを監視し、
前記NADH蛍光の定常状態が5秒~10秒に達すると、前記照明された組織のアブレーションを停止して前記組織に供給されるアブレーションエネルギーの量を制限する、
ようにプログラムされている、システム。
【請求項10】
高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、エレクトロポレーションエネルギー及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれるアブレーションエネルギーを供給するように構成されたアブレーションシステムをさらに含む請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記光源及び前記光測定器と通信状態にあり、カテーテル本体を通って前記カテーテル本体の遠位先端まで延びる1つ以上の光ファイバをさらに備え、
前記1つ以上の光ファイバは、組織に光エネルギーを印加して前記組織を照明し、照明された前記組織内にNADHを励起するように構成されている請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記組織が300nm~400nmの波長の光で照明される請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、波長が375nm~575nmの反射光のレベルを監視する請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2014年11月3日出願の米国仮出願第62/074,619号の利益と優先権を主張するものであり、参照によって当該米国仮出願の内容全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は全般として、焼灼(アブレーション)の視覚化及び監視(モニタリング)システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動(Atrial Fibrillation: AF)は、現在、数百万人が罹患している世界で最も一般的な持続性不整脈である。米国では、2050年までに1000万人がAFに冒されると予測されている。AFは、死亡率と疾病率の増加及び生活の質の悪化を伴い、脳卒中の独立危険因子である。進行するAFの実質的生涯リスクは、当該疾病の健康保険負担を際立たせ、米国だけでも70億ドル超の年間治療費になっている。
【0004】
AF患者の症状の殆どが肺静脈(Pulmonary Veins: PV)に延びる筋肉鞘(muscle sleeve)内から生じる局所的な電気的活動によって誘発されることが知られている。心房細動は、上大静脈又は他の心房構造内、即ち心臓の伝導系内の他の心組織内、の局所的活動によって誘発されることもある。これらの局所的誘因は、リエントリ性電気的活動(又は渦巻き型旋回興奮波)によって引き起こされる心房性頻脈を生じさせる可能性があり、その後、心房細動の特性である多数の電気的小波に細分化する場合もある。長期のAFは心細胞膜の機能を変化させることがあり、これらの変化は心房細動をさらに持続させる。
【0005】
高周波アブレーション(Radio Frequency Ablation: RFA)、レーザーアブレーション、及びクライオアブレーションは、心房細動を治療するために医師が用いるカテーテルベースのマッピング及びアブレーションシステムの最も一般的な技術である。医師は、カテーテルを用いてエネルギーを誘導し、局所的誘因を破壊するか又は心臓の他の伝導系から誘因を隔離する電気的隔離線を形成する。後者の技術は、一般に肺静脈隔離(Pulmonary Vein Isolation: PVI)と呼ばれるものに使用される(例えば、特許文献1参照)。しかし、AFアブレーション処置の成功率は、かなり低迷したままであり、術後1年の再発予測率は30%~50%という高さである。カテーテルアブレーション後の最も一般的な再発理由は、PVI線における1つ以上のギャップである。通常、このギャップは、処置中には一時的に電気信号を遮断しているが時間が経過すると遮断しなくなって心房細動の再発を促す効果のない又は不完全な損傷(lesion)に由来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第06926714号明細書
【0007】
PV隔離(PV Isolation: PVI)は、イリゲーション機能付きアブレーションカテーテルを用いてほとんどの患者に実施できるが、時間が経過するとAFが再発する場合がある。再発は、アブレーション線内の回復したギャップの部位又は最初の処置の際に貫壁性(transmurality)を達成していなかったアブレーション部位からのPV再結合によると考えられる。したがって、カテーテルアブレーション処置では、術者が肺静脈隔離処置中に最善の損傷を形成できるように、損傷評価が非常に重要である。損傷の質を向上させることにより、心房細動の再発を減少させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リアルタイムの光学的組織診断により、アブレーション中の電極-組織の接触及び損傷の進行について、これまで不可能であった優れた評価を行うことができる。この光学的組織診断は、カテーテル先端の部位にある心筋層、コラーゲン、エラスチン組織組成に関して非常に貴重な情報を提供することもでき、心臓アブレーションの生物物理学の複雑な性質を理解するのに新しい領域を示すものである。損傷の深さはfNADH信号強度の減少と直接相関する。この情報は、損傷形成を最大にし、アブレーション処置の成功を向上させるために、アブレーション出力及びアブレーションエネルギー印加時間の選択を最適化するように使用されるべきである。したがって、リアルタイムの光学的組織診断のシステム及び方法が必要とされている。
【0009】
アブレーションを視覚化及び監視(モニタリング)するシステムとその方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のいくつかの実施形態では、上記方法は、組織のアブレーションを監視する方法であって、組織に対するアブレーションエネルギーの印加中に組織内のNADH蛍光のレベルを監視し、組織内のNADH蛍光が組織内のNADH蛍光の基準レベルの少なくとも60%まで減少してNADH蛍光が実質的に定常状態となるのを検出し、NADH蛍光の定常状態が5秒~10秒に達すると、組織のアブレーションを停止して組織に供給されるアブレーションエネルギーの量を制限する、ことを含む。
【0011】
本開示のいくつかの態様によれば、カテーテルと、アブレーションシステムと、視覚化システムと、プロセッサとを備える、組織のアブレーションを監視するシステムであって、カテーテルが、カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に配置される遠位先端であって組織に光エネルギーを印加するための1つ以上の開口部を有する遠位先端とを備え、アブレーションシステムは、遠位先端と通信状態にあり、遠位先端にアブレーションエネルギーを供給し、視覚化システムが光源と、光測定器と、光源及び光測定器と通信状態にあり、カテーテル本体を通って遠位先端まで延びる1つ以上の光ファイバとを備え、1つ以上の光ファイバは、組織に光エネルギーを印加して組織を照明し、組織内にNADHを励起するように構成されており、プロセッサは光測定器と通信状態にあり、プロセッサは、照明された組織のNADH蛍光の基準レベルを決定し、照明された組織のNADH蛍光が基準レベルの少なくとも60%まで減少してNADH蛍光が定常状態となるのを監視し、NADH蛍光の定常状態が5秒~10秒に達すると、照明された組織のアブレーションを停止して組織に供給されるアブレーションエネルギーの量を制限するようにプログラムされている、システムが提供される。
【0012】
本開示の別の態様によれば、組織のアブレーションを監視するシステムであって、組織を照明するように構成された光源と、光測定器と、光測定器と通信するプロセッサと、を備えて構成され、プロセッサは、照明された組織のNADH蛍光の基準レベルを決定し、照明された組織のNADH蛍光が基準レベルの少なくとも60%まで減少してNADH蛍光が定常状態となるのを監視し、NADH蛍光の定常状態が5秒~10秒に達すると、照明された組織のアブレーションを停止して組織に供給されるアブレーションエネルギーの量を制限する、ようにプログラムされている、システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書で開示される実施形態は、同様の構造がいくつかの図を通して同様の番号で参照される添付図面を参照してさらに説明される。示されている図面は必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに、本明細書で開示される実施形態の原理を説明することに概して重点が置かれている。
図1A】本開示のアブレーションを視覚化及び監視するシステムの一実施形態を示す概略構成図である。
図1B】本開示のアブレーションを視覚化及び監視するシステムに関連して使用するための視覚化システムの実施形態を示す説明図である。
図1C】本開示のシステム及び方法と関連して使用するのに適したコンピュータシステムを例示する説明図である。
図2A】本開示のカテーテルの種々の実施形態を示す図である。
図2B】本開示のカテーテルの種々の実施形態を示す図である。
図2C】本開示のカテーテルの種々の実施形態を示す図である。
図2D】本開示のカテーテルの種々の実施形態を示す図である。
図2E】本開示のカテーテルの種々の実施形態を示す図である。
図3】本開示によるカテーテルと組織の間の接触を監視するための例示的な蛍光スペクトルスポットを示すグラフである。
図4】種々の組織組成の例示的なスペクトルプロットを示すグラフである。
図5】心内膜損傷形成中の経時的なfNADHのプロットを示すグラフである。
図6】心外膜損傷形成中の経時的なfNADHのプロットを示すグラフである。
図7A】本開示によるカテーテルの安定性を監視するための例示的な蛍光スペクトルのプロットを示すグラフである。
図7B】本開示によるカテーテルの安定性を監視するための例示的な蛍光スペクトルのプロットを示すグラフである。
図7C】本開示によるカテーテルの安定性を監視するための例示的な蛍光スペクトルのプロットを示すグラフである。
図8A】カテーテルが健康な組織から損傷の縁まで、次いで損傷の中心まで横切るときの例示的なfNADH信号を示す図である。
図8B】カテーテルが健康な組織から損傷の縁まで、次いで損傷の中心まで横切るときの例示的なfNADH信号を示す図である。
図9】アブレーションエネルギー印加中の時間のfNADHとインピーダンスを比較するグラフである。
【0014】
上記で明らかにされた図面は、本明細書に開示される実施形態示すものであるが、説明に記されているように、他の実施形態も考えられる。本開示は、限定ではなく代表として例示的な実施形態を示す。当業者には、ここに開示されている実施形態の原理の範囲及び趣旨を逸脱しない数多くの他の変更形態及び実施形態を考案することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、損傷評価方法及びそのシステムを提供する。いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、標的組織にアブレーション治療を行う治療機能及び損傷にアクセスするためにカテーテルと組織との接触点からシグネチャスペクトルを収集する診断機能という2つの機能を果たすように構成されたカテーテルを備える。いくつかの実施形態では、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(Nicotinamide Adenine Dinucleotide Hydrogen: NADH)蛍光(fluorescence NADH: fNADH)を使用して組織を撮像するために本開示のシステム及び方法を用いてもよい。一般に、本システムは、組織とカテーテルとの間で光を交換するための光学システムを備えたカテーテルを備えてもよい。いくつかの実施形態では、本システムは、紫外線(ultraviolet: UV)励起によって誘発される組織のNADH蛍光又はその欠如を直接視覚化するようにする。組織から戻ったNADH蛍光シグネチャは、組織とカテーテルシステムとの間の接触の質を判断するために使用することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、カテーテルはその遠位端にアブレーション治療システムを備え、レーザのような光源とスペクトロメータとを備える診断ユニットに接続される。カテーテルは、光源及びスペクトロメータからカテーテルの遠位端まで延び、カテーテルと組織との間の接触箇所へ照明光を供給し、接触箇所からシグネチャNADHスペクトルを受け取ってスペクトロメータに送る、1つ以上のファイバを備えてもよい。標的組織の損傷を評価するためにシグネチャNADHスペクトルを用いてもよい。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、損傷のある組織を照明し、組織のシグネチャスペクトルを受信し、組織からのシグネチャスペクトルに基づいた損傷の定性的評価を実施することを含む。この分析は、アブレーション損傷の形成前、形成中、及び形成後にリアルタイムで実施することができる。本開示のシステム及び方法は、心臓組織及びNADHスペクトルに関連付けて記載されているが、本開示のシステム及び方法は、他のタイプの組織及び他のタイプの蛍光に関連付けて用いてもよいことに留意されたい。
【0017】
システム:診断ユニット
図1Aに示すように、アブレーション治療を行うためのシステム100は、アブレーション治療システム110と、視覚化システム120と、カテーテル140とを備える。いくつかの実施形態では、システム100は、1つ以上のイリゲーションシステム(irrigation system)170、超音波システム190,及びナビゲーションシステム200を備えてもよい。このシステムは、以下に記載されるように、別個のディスプレイとすることもできるし、視覚化システム120の一部とすることもできるディスプレイ180を備えてよい。いくつかの実施形態では、このシステムは、RF発生器、イリゲーションシステム170、先端イリゲーション型アブレーションカテーテル140、及び視覚化システム120を備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、アブレーション治療システム110は、カテーテル140にアブレーションエネルギーを供給するように設計されている。アブレーション治療システム110は、高周波(Radio Frequency: RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー(cryoenergy)、レーザエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、又は組織を焼灼するのに使用可能ないずれかのタイプのエネルギーを発生できる1つ以上のエネルギー源を備えてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル140はアブレーションエネルギーに適したものとし、アブレーションエネルギーは、RFエネルギー、冷凍エネルギー、レーザ、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、高密度焦点式超音波又は超音波、及びマイクロ波のうちの1以上である。
【0019】
図1Bに示すように、視覚化システム120は、光源122、光測定器124、及びコンピュータシステム126を備えてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、光源122は、健康な心筋細胞に蛍光を誘導するために、標的蛍光体(fluorophore)(いくつかの実施形態では、NADH)の吸収範囲内の出力波長とすることもできる。いくつかの実施形態では、光源122は、NADH蛍光を励起するためのUV光を生成できる固体レーザである。いくつかの実施形態では、波長は約355nm又は355nm±30nmであってもよい。いくつかの実施形態では、光源122はUVレーザとすることができる。レーザ生成UV光は、照明のためにはるかに多くの出力を提供してもよく、カテーテル140のいくつかの実施形態で使用されるように、ファイバベースの照明システムに更に効率的に組み合わせてもよい。いくつかの実施形態では、本システムは、出力を150mWまで調整できるレーザを使用することができる。
【0021】
光源122の波長範囲は、対象の解剖学的構造によって限定されてもよいし、わずかに短い波長でのみ吸収ピークを示すコラーゲンの過剰蛍光を励起させることなく最大NADH蛍光を生じさせる波長をユーザが具体的に選択してもよい。いくつかの実施形態では、光源122の波長は、300nm~400nmである。いくつかの実施形態では、光源122の波長は、330nm~370nmである。いくつかの実施形態では、光源122の波長は、330nm~355nmである。いくつかの実施形態では、狭帯域355nmの光源が使用されてもよい。光源122の出力パワーは、回復可能な組織蛍光シグネチャを生成するのに十分な高さであるが、細胞損傷を誘発するほど高くないものであってもよい。以下に説明するように、カテーテル140に光を供給するために光源122が光ファイバに接続されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、本開示のシステムでは、光測定器124としてスペクトロメータが利用されてもよい。いくつかの実施形態では、光測定器124は、組織の蛍光を分析及び観察するためにコンピュータシステム126に接続されたカメラを備えてもよい。いくつかの実施形態では、カメラは、NADH蛍光に対応する波長に対して高量子効率を備えていてもよい。そのようなカメラの1つはAndor iXon DV860である。スペクトロメータ124は、組織を視覚化するためにカテーテル140内に延ばすことができる撮像バンドルに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、分光のための撮像バンドルと照明のための光ファイバとを組み合わせてもよい。NADH蛍光発光周波数帯の外側の光を遮断するために、撮像バンドルとカメラとの間に435nm~485nmの光バンドパスフィルタ、いくつかの実施形態では460nmの光バンドパスフィルタを挿入してもよい。即ち、中心波長460nm、帯域幅50nmのフィルタを利用してもよい。いくつかの実施形態では、撮像される組織のピーク蛍光に従って選択されるNADH蛍光発光周波数帯の外側の光を遮断するために、撮像バンドルとカメラとの間に他の光バンドパスフィルタを挿入してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、光測定装置124は、電荷結合素子(Charge-Coupled Device: CCD)カメラであってもよい。いくつかの実施形態では、スペクトロメータ124は、できるだけ多くの光子を収集することができ、且つ画像のノイズを最小限にするように選択されてもよい。通常、生細胞の蛍光撮像では、CCDカメラの量子効率は約460nmで少なくとも50~70%であり、光子の30~50%が無視されることを示している。いくつかの実施形態では、カメラの量子効率は460nmで約90%である。カメラは80KHzのサンプルレートを有するとよい。いくつかの実施形態では、スペクトロメータ124の読み出しノイズは8e(電子)以下とすることができる。いくつかの実施形態では、スペクトロメータ124の最小読み出しノイズは3eである。本開示のシステム及び方法に他の光測定器を使用することもできる。
【0024】
光ファイバは集められた光を、355nmの反射励起波長を遮断するが、フィルタのカットオフより上の波長で組織から放出された蛍光を通過させるロングパスフィルタに供給できる。組織からのフィルタ処理された光は、次に、光測定器124に取り込まれて分析することができる。コンピュータシステム126は、光測定器124から情報を取得し、それを医師に表示する。
【0025】
いくつかの実施形態では、光データを分析することによって生成されたデジタル画像は、損傷の2D及び3D再構成を行うために使用され、大きさ、形状及び分析に必要な他の特性を示す。いくつかの実施形態では、撮像バンドルは、ディスプレイ180に表示できるNADH蛍光(fNADH)から検査される損傷のデジタル画像を生成できる光測定器124に接続することができる。いくつかの実施形態では、これらの画像をリアルタイムでユーザに表示することができる。更なる介入が必要か又は望ましいかをユーザが判断するのを助けるリアルタイムの詳細(例えば、画像の特定部位における強度又は放射エネルギー)を得るためにソフトウェアを用いて画像を分析することができる。いくつかの実施形態では、NADH蛍光をコンピュータシステム126に直接伝達することもできる。
【0026】
いくつかの実施形態では、光測定器124によって得られた光学データを分析して、特に限定されるものではないが、損傷の深さ及び損傷の大きさなど、アブレーション中及びアブレーション後の損傷に関する情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、光測定器からのデータを分析して、カテーテル140が心筋表面と接触しているかどうか、及び、カテーテルの先端によって心筋表面にどれだけの圧力が加えられているかを判断することができる。いくつかの実施形態では、光測定器具124からのデータを分析して、組織中のコラーゲン又はエラスチンの存在を判断することができる。いくつかの実施形態では、光測定器からのデータが分析され、損傷の進行、損傷の質、心筋との接触、組織のコラーゲン含有量、組織のエラスチン含有量に関して、リアルタイムフィードバックでユーザに提供するようにグラフィカルユーザインタフェースを介してユーザに視覚的に示される。
【0027】
図1Aに示すように、いくつかの実施形態では、本開示のシステム100は、超音波システム190を更に備えてもよい。この場合、カテーテル140は、超音波システム190と通信する超音波トランスデューサを備えるとよい。いくつかの実施形態では、超音波は、代謝活性又は損傷の深さと組み合わせて、損傷が貫壁性であるか否かの判断に使用できる組織深さを示すこともできる。いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサは、カテーテル140の遠位端、場合によっては遠位の電極の先端に配置されてもよい。超音波トランスデューサは、カテーテル先端の下又は近傍の組織の厚さを評価するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル140は、カテーテルの先端が心筋に対して比較的垂直であるか又は心筋と比較的平行である状況をカバーする深さ情報を提供するように適合された複数のトランスデューサを備えてもよい。
【0028】
図1Aに示すように、システム100はイリゲーションシステム170も備えることができる。いくつかの実施形態では、イリゲーションシステム170は、アブレーション治療中にカテーテル140内に生理食塩水をポンプ輸送して先端電極を冷却する。これにより、スチームポップ及び炭化(即ち、先端に付着し、脱落して血栓溶解事象を引き起こす可能性のある凝塊)の形成を防止するのを助けることができる。いくつかの実施形態では、イリゲーション流体は、1つ以上の開口部154を連続的に洗浄するために、カテーテル140の外側の圧力に対して正の圧力に維持される。
【0029】
図1Aに示すように、システム100は、カテーテル140の位置を特定してナビゲートするためのナビゲーションシステム200を備えてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル140は、ナビゲーションシステム200と通信する1つ以上の電磁位置特定センサを備えてもよい。いくつかの実施形態では、電磁位置特定センサを用いてナビゲーションシステム200内でカテーテルの先端部の位置を特定してもよい。センサは、波源位置からの電磁エネルギーを受信し、三角測量又は他の手段によって位置を計算する。いくつかの実施形態では、カテーテル140は、ナビゲーションシステムのディスプレイ上にカテーテル本体142の位置及びカテーテル本体の湾曲を表現するようになっている2つ以上のトランスデューサを含む。いくつかの実施形態では、ナビゲーションシステム200は1つ以上の磁石を備えても良く、電磁センサ上の磁石によって生成された磁場の変化によってカテーテルの先端を所望の方向に偏向させることができる。手動ナビゲーションを含む他のナビゲーションシステムが採用されてもよい。
【0030】
コンピュータシステム126は、例えば、光源122の制御、光測定器124の制御、特定用途向けソフトウェアの実行、超音波システム、ナビゲーションシステム、及びイリゲーションシステムの制御、並びに同様の操作を含む、システム100の種々のモジュールを制御するようにプログラムすることができる。
【0031】
図1Cは、一例として、本開示の方法及びシステムに関連して使用できる典型的な処理アーキテクチャ308の図を示す。コンピュータ処理装置340は、グラフィック出力のためにディスプレイ340AAに接続することができる。プロセッサ342は、ソフトウェアを実行できるコンピュータプロセッサ342とすることができる。典型的な例は、コンピュータプロセッサ(インテル(登録商標)プロセッサ又はAMD(登録商標)プロセッサなど)、ASIC、マイクロプロセッサ等である。プロセッサ342は、プロセッサ342が動作しているときに命令及びデータを記憶するための、一般的には揮発性RAMメモリとすることが可能なメモリ346に接続することができる。プロセッサ342は、ハードドライブ、FLASHドライブ、テープドライブ、DVDROM、又は同様のデバイスなどの不揮発性記憶媒体とすることができる記憶装置348に接続することもできる。図示されていないが、コンピュータ処理装置340は、一般に種々の形態の入力及び出力を含む。I/Oは、ネットワークアダプタ、USBアダプタ、ブルートゥース(登録商標)無線、マウス、キーボード、タッチパッド、ディスプレイ、タッチスクリーン、LED、振動デバイス、スピーカ、マイクロフォン、センサ、又はコンピュータ処理装置340と一緒に使用する入力又は出力装置であればどのようなものでも含むことができる。プロセッサ342は、特に限定されるものではないが、プロセッサ342などのプロセッサにコンピュータ可読命令を提供できる、電子的、光学的、磁気的、又は他の記憶装置又は送信装置を含むが、これに限定されない他のタイプのコンピュータ可読媒体に接続することもできる。有線式及び無線式両方の、ルータ、プライベート又はパブリックネットワーク、又は他の送信装置又はチャネルを含む、様々な他の形態のコンピュータ可読媒体が、コンピュータに命令を送信又は搬送できる。命令は、例えば、C、C++、C#、Visual Basic、Java(登録商標)、Python、Perl、及びJavaScript(登録商標)を含む任意のコンピュータプログラミング言語のコードを含むことができる。
【0032】
プログラム349は、命令及びデータのうちの少なくとも一方を含むコンピュータプログラム又はコンピュータ可読コードとすることができ、記憶装置348に記憶可能である。命令は、例えば、C、C++、C#、Visual Basic、Java(登録商標)、Python、Perl、及びJavaScript(登録商標)を含む任意のコンピュータプログラミング言語のコードを含むことができる。一般的なシナリオでは、プロセッサ204は、実行するためにプログラム349の命令及びデータのうちの少なくとも一方の一部又は全部をメモリ346にロードすることができる。プログラム349は、特に限定されるものではないが、ウェブブラウザ、ブラウザアプリケーション、アドレス登録プロセス、アプリケーション、又は他の任意のコンピュータアプリケーション又はプロセスなどを含むが、これに限定されない任意のコンピュータプログラム又はプロセスとすることができる。プログラム349は、メモリ346にロードされてプロセッサ342によって実行されるときに、プロセッサ342に様々な動作を実行させる種々の命令及びサブルーチンを含むことができ、それらの命令及びサブルーチンの一部又は全部がここに開示された医療管理方法を実施してもよい。プログラム349は、ハードドライブ、リムーバブルドライブ、CD、DVD、又は任意の他タイプのコンピュータ可読媒体などに限定されず、任意のタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体に格納することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示の方法のステップを実行し、本システムの様々な部分を制御して、本開示の方法を達成するために必要な動作を実行するようにコンピュータシステムをプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、組織にアブレーションエネルギーを印加して組織に損傷を形成しながら、組織のNADHを励起するためにUV光で照明された組織から反射される光を収集し、NADH蛍光のレベルが、アブレーションの開始時の基準レベルから所定のより低いレベルに低下したか否か判断するために、照明された組織のNADH蛍光のレベルを監視し、NADH蛍光のレベルが所定のより低いレベルに達したときに、(自動的に又はユーザに促すことによって)組織のアブレーションを停止させるようにプログラムされてもよい。いくつかの実施形態では、照射された組織から反射される蛍光光線(特に限定されるものではないが、NADH蛍光を含む)のスペクトルが収集されて、組織タイプを識別することができる。いくつかの実施形態では、組織は、波長が約300nm~約400nmの光で照明される。いくつかの実施形態では、約450nm~470nm波長の反射光のレベルが監視される。いくつかの実施形態では、監視されるスペクトルを410nm~520nmとしてもよい。これに加え、又は別の選択肢として、非限定的な例として、375nm~575nmなど、より広いスペクトルを監視してもよい。いくつかの実施形態では、NADH蛍光スペクトル及びより広いスペクトルを同時にユーザに表示することができる。いくつかの実施形態では、損傷は、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれるアブレーションエネルギーによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサは、NADH蛍光ピークが検出されたときに(自動的に又はユーザに促すことによって)処置を開始して、処置の間ずっと監視できるようにしてもよい。上記のように、これらの方法は、超音波モニタリングなど他の診断方法と組み合わせて使用されてもよい。
【0034】
システム:カテーテル
上述したように、カテーテル140は、上述したように、照明及び分光のための光ファイバの収容部(accommodation)を備えた標準的なアブレーションカテーテルに基づくものであってもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル140は、標準的な経中隔処置と一般的なアクセスツールにより、シースを通して心内腔に送達できる誘導可能なイリゲーション式RFアブレーションカテーテルである。カテーテルのハンドル147上には、治療のための標準的なRF発生器及びイリゲーションシステム170の接続部があってもよい。また、カテーテルハンドル147には、光ファイバも通され、次いで、光ファイバは、組織測定値を得るための診断ユニットに接続される。
【0035】
図1Aに示すように、カテーテル140は、近位端144及び遠位端146を有するカテーテル本体142を含む。カテーテル本体142は、生体適合性材料から作製されてもよく、アブレーション部位へカテーテル140を誘導及び前進させることができるように十分な可撓性を備えるものであってもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル本体142は、様々な剛性のゾーンを有することもできる。例えば、近位端144から遠位端146に向かってカテーテル140の剛性が増加してもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル本体142の剛性は、所望の心臓位置へカテーテル140を送達できるように選択される。いくつかの実施形態では、カテーテル140はシースを通し、心臓の左側の場合には、一般的なアクセスツールを用いた標準的な経中隔処置により、心内腔に送達できる誘導可能なイリゲーション式高周波(RF)アブレーションカテーテルとすることができる。カテーテル140は、近位端144にハンドル147を備えることができる。装置又は材料をカテーテル140に通せるように、ハンドル147はカテーテルの1つ以上の管腔(lumen)と連通してもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル147は、治療用の標準的なRF発生器及びイリゲーションシステム170の接続部を備えることができる。いくつかの実施形態では、カテーテル140は、照明及び分光のための光ファイバを収容するように構成された1つ以上のアダプタも備えることができる。
【0036】
図1Aに示すカテーテル140は、図2Aに示すように、側壁156と前壁158とを有する遠位先端148を遠位端146に備えることができる。前壁158は、例えば、平坦状、円錐状又はドーム状とすることもできる。いくつかの実施形態では、遠位先端148は、電気記録感知のような診断用、アブレーションエネルギーを放出するためなどの治療用、又はその両方のために、電極として作用するように構成することができる。アブレーションエネルギーが必要とされるいくつかの実施形態では、カテーテル140の遠位先端148は、アブレーション電極又はアブレーション要素として機能することができる。
【0037】
RFエネルギーが提供される実施形態では、遠位先端148をRFエネルギー源(カテーテルの外部)に接続するための配線をカテーテルの管腔に通すことができる。遠位先端148は、カテーテルの1つ以上の管腔と連通するポートを備えることができる。遠位先端148は任意の生体適合性材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、遠位先端148が電極として機能するように構成される場合、遠位先端148は、特に限定されるものではないが、プラチナ、プラチナ-イリジウム、ステンレス鋼、チタン、又は類似の材料などの金属で作製することができる。
【0038】
図2Aに示すように、光ファイバ又は撮像バンドル150は、視覚化システム120から、カテーテル本体142を通って、遠位先端148によって画定される照明キャビティ152又は照明区画に通すこともできる。遠位先端148には、照明キャビティ152と組織との間で光エネルギーを交換するための1つ以上の開口部154が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、複数の開口部154があっても、アブレーション電極としての遠位先端148の機能は損なわれない。開口部は、前壁158、側壁156、又はその両方に配置できる。開口部154は、イリゲーションポートとして使用することもできる。光は、光ファイバ150によって遠位先端148に届けられ、遠位先端148の近傍の組織を照明する。この照明光は、反射されるか、又は組織を蛍光発光させる。組織によって反射された光及び組織から蛍光発光された光は、遠位先端148内の光ファイバ150によって集められ、視覚化システム120に戻される。いくつかの実施形態では、遠位先端の外側に光を誘導してカテーテル140の外側の組織を照明し、且つ組織から光を収集するために同じ光ファイバ150又はファイババンドルを使用することができる。
【0039】
図2Aに示すように、いくつかの実施形態では、カテーテル140は、光ファイバ150がカテーテル本体142を通って前進することができる視覚化管腔161を有することができる。光ファイバ150は、視覚化管腔161を通って照明キャビティ152内に進められ、組織を照明し、開口部154を通して反射光を受け取ることもできる。光ファイバ150は、必要に応じて、開口部154を通って照明キャビティ152を越えて前進させてもよい。
【0040】
図2A及び図2Bに示されているように、視覚化管腔161の他に、カテーテル140は、イリゲーション液をイリゲーションシステム170から遠位先端148の開口部154(イリゲーションポート)に通すためのイリゲーション管腔163と、例えばRFアブレーションエネルギー用のアブレーション管腔164にワイヤーを通すことなどによって、アブレーション治療システム110から遠位先端148へアブレーションエネルギーを渡すためのアブレーション管腔164とを更に備えることもできる。カテーテルの管腔は複数の目的のために使用されてもよいし、複数の管腔が同じ目的のために使用されてもよいことに留意されたい。また、図2A及び図2Bでは、管腔を同心に示しているが、管腔は他の構成を採用することもできる。
【0041】
図2A及び図2Bに示されているように、いくつかの実施形態では、カテーテルの中央管腔を視覚化管腔161として利用することもできる。いくつかの実施形態では、図2Cに示されているように、視覚化管腔161は、カテーテル140の中心アクセスからずらすこともできる。
【0042】
いくつかの実施形態では、光は、側壁156の開口部154から径方向に誘導されてもよいし、これとは別に、又はこれに追加して、前壁158の開口部を通って誘導されてもよい。このようにして、照明キャビティ152と組織との間の光エネルギーの交換は、図2Eに示されているように、複数の経路でカテーテルの長軸方向に対して、軸方向、径方向、又はその両方向で行われる。これは、解剖学的構造によってカテーテルの先端部が標的部位と直交できない場合に有用である。照明を増加させる必要がある場合にも有用である。いくつかの実施形態では、追加の光ファイバ150を使用することもでき、カテーテルの長さに沿って照明光及び戻り光が出入りできるように、これらをカテーテル140に対して径方向に偏向させてもよい。
【0043】
図2Dに示すように、複数の経路にわたって(カテーテルの長軸方向に対して軸方向及び半径方向に)照明キャビティ152と組織との間で光エネルギーの交換を可能にするために、照明キャビティ152に光誘導部材160を設けてもよい。光誘導部材160は、照明光を組織に誘導することができ、遠位先端148内の1つ以上の開口部154を通って戻された光を光ファイバ150に誘導してもよい。また、光誘導部材160は、例えば、ステンレス鋼、プラチナ、プラチナ合金、石英、サファイア、溶融シリカ、金属化プラスチック、又は他の同様な材料など、光を反射するか又は光を反射するように改質できる表面を有する任意の生体適合性材料から作製されてもよい。光誘導部材160は、円錐状(即ち、滑らか)であってもよいし、任意の数の側面を有する多面状であってもよい。光誘導部材160は、任意の所望の角度で光を曲げる形状にしてもよい。いくつかの実施形態では、光誘導部材160は、1つ以上の開口部を介してのみ光を反射する形状にしてもよい。いくつかの実施形態では、光誘導部材160の材料は、310nm~370nmの照明にさらされたときに蛍光発光しない材料から選ばれる。いくつかの実施形態では、図2Dに示されているように、光誘導部材160は、ミラーの中心線を通る1つ以上の孔162を含むことができ、照明及び反射光が、カテーテル140と一直線上に軸方向に両方向に通過する。このような軸方向経路は、遠位先端148の最も末端の表面が生体構造と接触しているときに有効であってもよい。代わりとなる径方向経路は、図2Eに示されているように、心房細動の治療で一般的な肺静脈隔離処置の間の患者の左心房に時々あるように、解剖学的構造によって遠位先端148の最末端表面が標的部位に接触できない場合に有用である。いくつかの実施形態では、多くの場合に生理食塩水である冷却流体を光が通過するので、すべての経路で、レンズ効果を必要とせず、光学システムがイリゲーションシステム170と互換性がある。イリゲーションシステム170は、孔162から血液を流す役割も果たし、それによって光学部品を清潔に維持してもよい。
【0044】
使用方法
いくつかの実施形態では、組織アブレーションを監視するための方法が提供される。そのような方法は、以下に記載されるように、NADH蛍光のレベルを表示することによって損傷形成に影響を及ぼす可能性のある種々の因子に関するリアルタイムの視覚フィードバックを提供してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、この方法は、組織に損傷を形成するために組織にアブレーションエネルギーを印加し、前記組織のNADHを励起するために前記組織をUV光で径方向、軸方向、又はその両方向に照明し、NADH蛍光のレベルが、アブレーションの開始時の基準レベルから所定のより低いレベルに低下したか否かを判断するために、照明された組織のNADH蛍光のレベルを監視し、NADH蛍光のレベルが所定のより低いレベルに達したときに、組織のアブレーションを停止することを含む。いくつかの実施形態では、照明された組織から反射される蛍光光線(特に限定されるものではないが、NADH蛍光を含む)のスペクトルを収集して、組織タイプを識別することができる。いくつかの実施形態では、組織は波長が約300nm~約400nmの光で照明される。いくつかの実施形態では、波長が約450nm~470nmの反射光のレベルが監視される。いくつかの実施形態では、監視されるスペクトルを410nm~520nmとしてもよい。これに加え、又は別の選択肢として、非限定的な例として、375nm~575nmなど、より広いスペクトルを監視してもよい。いくつかの実施形態では、損傷は、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれるアブレーションエネルギーによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、処置の間ずっと監視できるように、この方法はNADH蛍光ピークが検出されたときに開始されてもよい。上記のように、これらの方法は、超音波モニタリングなど他の診断方法と組み合わせて使用されてもよい。
【0046】
損傷前の解剖学的評価
波長約350~約360nmで心臓組織を照明することにより、心筋細胞のミトコンドリアに存在するNADHから自家蛍光応答を引き出すことができる。心筋fNADH応答の変動は、カテーテルが組織に接して配置されていることを示すことができる。いくつかの実施形態では、350nm~850nmの範囲、又は図3に示されるように、NADHのピーク蛍光が約460nmで起きる400~700nmでスペクトルシグネチャ全体を捕らえることができる。循環系の血液は光を吸収することができ、したがって、カテーテルが血液プールにある間は蛍光は検出されず、カテーテルと組織との接触がないことを示す。カテーテルが心筋に接すると、良好な接触応答を示す特徴的な組織蛍光スペクトルシグネチャが誘発される。一方、カテーテルが過度の力で押されてテント状(テンティング)となると、一時的な虚血によって蛍光が上昇し、スペクトルシグネチャが基準ラインを超えてシフトする可能性がある。このようなフィードバックの使用は、カテーテルアブレーション中及び操作中の穿孔の危険を低減するのに役立ち、最適でない組織接触部位でのアブレーションを回避し、ひいてはRFアブレーション時間を減少させるのに役立つ。
【0047】
損傷形成評価
返されたスペクトルの情報内容が、損傷形成中にリアルタイムで取得されてもよい。スペクトルの分析及び表示は、リアルタイムで形成される損傷の定性的評価を追加することができる。図4は、損傷形成中の355nmの照明光源からの戻りスペクトルを示す。fNADHピークは、約450nm~550nmである。アブレーション中、約450nm~550nmの戻りスペクトルの大きさは、損傷がうまく形成されると時間の経過に伴って著しく減少する。この効果は、細胞がアブレーションされるときの代謝活性の低下、ひいてはfNADHの減少によるものである。この低下は、アブレーションをいつ止めるかの目安として使われても良い。いくつかの実施形態では、fNADH信号が80%以上減少した時点でアブレーションを停止してもよい。いくつかの実施形態では、50%超のfNADH信号の減少及び5秒又は10秒といった特定期間より長い定常状態fNADH信号の結果的な達成を停止点として用いてもよい。いくつかの実施形態では、10秒までなどの特定期間にわたる60%以上のfNADH信号減少及び結果として得られた5秒超の定常状態fNADH信号を用いてもよい。
【0048】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、より広いスペクトルにわたってスペクトルシグネチャが収集されてもよい。例えば、コラーゲン組織のスペクトルパターンは、健康な心筋で見られるものとは異なっている。コラーゲン組織を撮像すると、スペクトルのピークが左にシフトする。これは、大部分が心筋であるか、又はアブレーションするのが難しいコラーゲンで覆われていると見なされる領域を特定するために、ユーザが使用することができる。
【0049】
また、図5及び図6は、心内膜及び心外膜表面における成功したRF損傷形成中の上記現象をそれぞれ示す。両方のプロットセットで、fNADH(450nm~470nm)に相関する波長のピーク振幅は、アブレーション時間に対して正規化されプロットされている。図5に示されているように、最初の10秒以内でピーク振幅が急激に低下し、心内膜へのエネルギー印加の持続時間を通じて継続的に低レベルとなっている。図6は同じプロットを示すが、心外膜にRFエネルギーが印加されている。この効果は両図において同様であり、本システム及び方法が、心臓のいずれかの表面からも不整脈を除去する技術に有益となり得ることを示すものである。これは、最初に考えられていたより短時間で良好に損傷を形成できるという点、及び、エネルギーの持続適用が過剰である可能性があるという点で、重要である(インピーダンスについては以下の説明を参照)。文献には、血液プール又は組織若しくはその両方への過度のアブレーションエネルギーが、心臓内蒸気ポップ、心内膜クレータ形成(endocardial crater formation)(心臓の内層の心内膜露出)、血栓(凝塊)形成、塞栓(凝血塊の移動)、脳卒中、死亡さえもある、劇的な悪い結果及び処置上の合併症につながる可能性があることが詳記されている。このように、最適又は更に適切な損傷を保証しながらエネルギー供給を制限する機能は心臓アブレーションにおいて有益である。
【0050】
図7A図7B及び図7Cに示すように、いくつかの実施形態では、損傷形成中のカテーテルの安定性を判断するためにスペクトルシグネチャが監視されてもよい。例えば、図7Aに示されているように、fNADH強度の緩やかな低下が経時的なアブレーション損傷の形成を示すので、滑らかな応答は安定したカテーテルに対応している。図7Bは、組織に対する間欠的又はシフトするカテーテル先端部に対応する、より急峻で、よりノイズの多い応答を示す。図7Cは、fNADHに基づくアブレーション中のカテーテルの動きをピックアップできることを示すものであり、カテーテルが異なる位置にジャンプしたときにfNADHの一時的なシフトが見られる。
【0051】
損傷後の解剖学的評価
最後に、組織を詮索(interrogate)して、不十分なアブレーション又は不適切な損傷形成の領域、即ち残留ギャップ及び導電ゾーンを特定する機能は、今日のアブレーション領域における課題である。これは、複数のカテーテルを用いて電気的にしか実行することができず、時間がかかり、面倒で、かなりの蛍光透視(X線照射)を利用する。本システムでは、電気的詮索なしで光学的及び視覚的にギャップを確認することができ、これまでのアブレーションで見逃されていた領域を、より迅速、安全、良好に特定することできる。これは、急性処置及び反復アブレーションの両方、又は以前に失敗したアブレーション処置のケースにおいて重要な意味を有する。
【0052】
図8A及び図8Bは、損傷が慢性のものであるか新たに作られたものであるかに関わらず、以前に形成された損傷を評価するために本開示のシステム及び方法をどのように使用することができるか、ということを示すものである。図8Aは、健康な心筋から既存の損傷の周辺まで移動し、次いで既存の損傷の中心上まで移動するカテーテル先端部の連続的な概略図を示す。図8Bは、355nmの照明の下で戻された光学スペクトルの正規化ピーク強度を合成したものを示す。fNADHの中心をなす波長は、カテーテル先端部と接触している心筋の状態と完全に相関する信号振幅の有意差を有する。
【0053】
インピーダンスとの比較
非限定的な例として、図9は、損傷形成期間にわたってfNADH応答と治療インピーダンスを対比させたものである。インピーダンスは、世界中でアブレーション処置中に使用される標準的な指標である。通常、インピーダンスは、カテーテルの先端部から患者胴部に付着させたアブレーション接地パッドまで測定される。医師は、アブレーションエネルギー開始後の最初の2~3秒で約10~15オームの低下が認められると予想する。インピーダンスが低下しない場合、これが心筋とカテーテルとの接触不良によるものらしいことが医師に分かり、損傷の試みが中止され、カテーテルが再配置される。上述の方法は、カテーテルと組織のより良好な接触を保証するために使用することもできる。インピーダンスが低下して新たなレベルを維持する場合、通常、医師は一定時間(30~60秒又はそれ以上)にわたって損傷形成エネルギーを印加し続ける。インピーダンスが経時的に上昇する場合、これはカテーテル先端部の過熱の可能性を示す指標となり、下降しない場合は、心臓壁断裂をもたらす蒸気発生や脱落して塞栓体となり得るカテーテル先端部における炭化形成といった危険な状態を招くことがある。
【0054】
図9に示されているように、治療インピーダンスと比較したfNADH光学応答の信号対ノイズ比SNRは、fNADHが損傷形成品質の良好な指標であることを示唆するものである。fNADHの大きさの振幅の変化は約80%であり、正規化されたインピーダンスの同じ低下は10%未満である。また、インピーダンスに対する光学シグネチャのこの比較は、インピーダンスに対する組織内の活性のより直接的な反映を示すものである。なぜなら、インピーダンスは、しばしば、電極から血液プールを通って接地パッドへ至る電気経路のはるかに大きな反射であるからである。光学的アプローチを用いる場合、あらゆる光シグネチャは組織からのものであり、良好な接触が維持されれば、血液プールに由来するものは皆無である。このように、光学的サインは、インピーダンスシグネチャよりも組織の活性をはるかに高度に反映している。
【0055】
上記の開示は、本開示の様々な非限定的な実施形態を単に例示するために記載されたものであり、限定を意図するものではない。当業者には、本開示の精神及び趣旨を組み込んだ開示実施形態の改変を想起できるので、ここに開示される実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内のすべてを含むと解釈されるべきである。本願に引用される全ての参照文献は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれているものとする。
本願の出願当初の各請求項に記載されていた発明は、以下の通りであった。
請求項1:
組織のアブレーションを監視する方法であって、
組織に損傷を形成するために前記組織にアブレーションエネルギーを印加すること、
前記組織のNADHを励起するために前記組織を径方向、軸方向、又はその両方向に照明すること、
前記照明された前記組織のNADH蛍光のレベルが、アブレーションの開始時の基準レベルから所定のより低いレベルに低下したか否かを判断するために、前記照明された前記組織の前記NADH蛍光のレベルを監視すること、
前記NADH蛍光のレベルが前記所定のより低いレベルに達したときに、前記組織の前記アブレーションを停止すること、
を含む方法。
請求項2:
前記照明された前記組織から反射される蛍光光線のスペクトルを収集して、組織タイプを識別することを更に含む請求項1に記載の方法。
請求項3:
前記組織が約300nm~約400nmの波長の光で照明される請求項1又は2に記載の方法。
請求項4:
波長が約450nm~約470nmの前記反射光のレベルを監視することを更に含む請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
請求項5:
前記アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
請求項6:
前記組織までカテーテルを前進させることを更に含み、
前記カテーテルが、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端に配置され、前記組織にアブレーションエネルギーを供給するための遠位先端であって、照明キャビティと前記組織との間で光を交換するための1つ以上の開口部を備える照明キャビティを画定する遠位先端と、
前記カテーテル本体を通って、前記遠位先端の前記照明キャビティに延びる1つ以上の光ファイバであって、光源及び光測定器と通信状態にあり、前記組織を照明して前記組織から反射された光エネルギーを前記光測定器に中継する1つ以上の光ファイバと、
を備える請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
請求項7:
カテーテルの長軸方向に対して径方向及び軸方向に前記組織を照明することを更に含む請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
請求項8:
前記NADH蛍光のレベルを表示することによって、前記損傷の形成に関するリアルタイムの視覚的なフィードバックを提供することを更に含む請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
請求項9:
NADH蛍光ピークが検出された場合に前記アブレーションエネルギーが印加される請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
請求項10:
前記NADH蛍光のレベルを監視することと組み合わせて、前記組織の超音波評価を実行することを更に含む請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
請求項11:
カテーテルと、アブレーションシステムと、視覚化システムと、プロセッサとを備える、組織のアブレーションを監視するシステムであって、
前記カテーテルが、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端に配置される遠位先端であって、照明キャビティと組織との間で光を交換するための1つ以上の開口部を備える照明キャビティを画定する遠位先端と、
を備え、
前記アブレーションシステムは、前記遠位先端と通信状態にあり、前記遠位先端にアブレーションエネルギーを供給し、
前記視覚化システムが、
光源と、
光測定器と、
前記光源及び前記光測定器と通信状態にあり、前記カテーテル本体を通って前記遠位先端の前記照明キャビティ内に延びる1つ以上の光ファイバと、
を備え、
前記1つ以上の光ファイバは、照明チャンバと光エネルギーをやりとりするように構成されており、
前記プロセッサは、アブレーションエネルギー源、前記光源、及び前記光測定器と通信状態にあり、前記プロセッサは、
組織にアブレーションエネルギーを印加して前記組織に損傷を形成しながら、前記組織のNADHを励起するために照明された前記組織から反射される光を収集し、
NADH蛍光のレベルが、アブレーションの開始時の基準レベルから所定のより低いレベルに低下したか否かを判断するために、照明された組織のNADH蛍光のレベルを監視し、
前記NADH蛍光のレベルが前記所定のより低いレベルに達したときに、前記組織の前記アブレーションを停止させる、
ようにプログラムされている、システム。
請求項12:
前記組織が約300nm~約400nmの波長の光で照射される請求項11に記載のシステム。
請求項13:
前記プロセッサは、波長が約450nm~約470nmの反射光のレベルを監視する請求項11又は12に記載のシステム。
請求項14:
前記アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム。
請求項15:
前記カテーテルは、前記カテーテルの長軸方向に対して径方向及び軸方向に前記組織を照射するように構成されている請求項11~14のいずれか1項に記載のシステム。
請求項16:
前記1つ以上の開口部をイリゲートするためのイリゲーションシステムを更に備える、請求項11~15のいずれか1項に記載のシステム。
請求項17:
前記カテーテルは、1つ以上の超音波トランスデューサと1つ以上の電磁位置特定センサとを更に備え、
前記システムは、前記組織の超音波評価のための、前記1つ以上の超音波トランスデューサと通信状態にある超音波システムを更に備える請求項11~16のいずれか1項に記載のシステム。
請求項18:
前記カテーテルは、1つ以上の電磁位置特定センサを更に備え、
前記システムは、前記カテーテルの位置を特定してナビゲートするための、前記1つ以上の電磁位置特定システムと通信状態にあるナビゲーションシステムを更に備える請求項11~17のいずれか1項に記載のシステム。
請求項19:
NADH蛍光ピークが検出されたときに、前記アブレーションエネルギーを印加する請求項11~18のいずれか1項に記載のシステム。
請求項20:
前記照射された組織から反射される蛍光光線のスペクトルを収集して、組織タイプを識別するように構成される請求項11~19のいずれか1項に記載のシステム。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9