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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221117BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20221117BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20221117BHJP
   F23N 5/26 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H02J7/00 X
F24C3/12 E
F23N5/24 110Z
F23N5/26 101H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018140804
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020018136
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】三浦 晃裕
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-159162(JP,A)
【文献】特開2016-151358(JP,A)
【文献】特開2016-169907(JP,A)
【文献】特開2006-064237(JP,A)
【文献】特開2017-062107(JP,A)
【文献】特開2017-106692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
F24C 3/00 - 3/14
G06F 1/26 - 1/3296
F23N 5/24
F23N 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源として駆動し、複数のバーナと、前記複数のバーナに対応して設けられるイグナイタとを備えるガスコンロにおいて、
前記電池の残量を検出する残量検出手段と、
前記残量検出手段が検出した前記残量に応じて使用可能なバーナを前記複数のバーナのうち特定のバーナに制限するバーナ制限手段とを備え、
前記バーナ制限手段は、
前記特定のバーナの点火操作がなされたときは前記イグナイタへの通電を許容し、前記複数のバーナのうち前記特定のバーナ以外の他のバーナの点火操作がなされたときは前記イグナイタへの通電を遮断すると共に、前記他のバーナにガスを供給するガス供給管に設けられた安全弁への通電を遮断することを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記残量検出手段が検出した前記残量が閾値未満か判断する判断手段と、
前記判断手段が前記残量は前記閾値未満と判断した場合、電池交換時期であることを報知する報知手段と
を備え、
前記バーナ制限手段は、前記判断手段が前記残量は前記閾値未満と判断した場合、前記報知手段による報知と連動して、前記他のバーナの点火を制限すること
を特徴とする請求項1に記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記複数のバーナは、
第一コンロバーナと、
前記第一コンロバーナよりも最大火力の小さい第二コンロバーナと
を含み、
前記バーナ制限手段は、前記第一コンロバーナを前記特定のバーナに設定すること
を特徴とする請求項1又は2に記載のガスコンロ。
【請求項4】
前記複数のバーナは、
第一コンロバーナと、
前記第一コンロバーナよりも最大火力の小さい第二コンロバーナと
を含み、
前記バーナ制限手段は、前記第二コンロバーナを前記特定のバーナに設定すること
を特徴とする請求項1又は2に記載のガスコンロ。
【請求項5】
前記バーナの操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた前記バーナの操作が、前記バーナ制限手段によって制限されている場合、前記バーナの使用が制限されていることを報知する使用制限報知手段と
を備えたこと
を特徴とする請求項1から4の何れかに記載のガスコンロ。
【請求項6】
電池を電源として駆動し、バーナの燃焼中に実行可能で且つ前記バーナの燃焼制御に係る二以上の機能を有するガスコンロにおいて、
前記電池の残量を検出する残量検出手段と、
前記二以上の機能の中で、前記残量検出手段が検出した前記残量に応じて実行可能な機能を特定機能に制限する機能制限手段と
を備えたことを特徴とするガスコンロ。
【請求項7】
前記残量検出手段が検出した前記残量が閾値未満か判断する判断手段と、
前記判断手段が前記残量は前記閾値未満と判断した場合、電池交換時期であることを報知する報知手段と
を備え、
前記機能制限手段は、前記判断手段が前記残量は前記閾値未満と判断した場合、前記報知手段による報知と連動して、前記機能を制限すること
を特徴とする請求項6に記載のガスコンロ。
【請求項8】
前記機能の操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた前記機能の操作が、前記機能制限手段によって制限された前記機能の操作であるか判断する操作判断手段と、
前記操作判断手段が、前記受付手段が受け付けた前記機能の操作は前記機能制限手段によって制限された前記機能の操作であると判断した場合、前記受付手段が前記操作を受け付けた前記機能は使用が制限されていることを報知する使用不可報知手段と
を備えたことを特徴とする請求項6又は7に記載のガスコンロ。
【請求項9】
前記機能は、被調理物の温度を設定温度に調節可能な温度調節機能を含み、
前記機能制限手段は、前記温度調節機能を制限しないこと
を特徴とする請求項6から8の何れかに記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池電圧が低下すると、電池交換ランプを点灯させると共に、電池交換を音声で報知する加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-50786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の加熱調理器では、電池交換ランプでは使用者が気づかなかったり、音声で報知してもまだ正常に使用できるので、すぐに電池を交換することが少なくなかった。そして、電池電圧が低下しているにも関わらず、使用し続けることによって、電池が突然完全に切れてしまい、全く調理ができなくなることがあった。
【0005】
本発明の目的は、使用者に対して電池交換の意識を強めることができると共に、最低限の調理を行うことができるガスコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のガスコンロは、電池を電源として駆動し、複数のバーナと、前記複数のバーナに対応して設けられるイグナイタとを備えるガスコンロにおいて、前記電池の残量を検出する残量検出手段と、前記残量検出手段が検出した前記残量に応じて使用可能なバーナを前記複数のバーナのうち特定のバーナに制限するバーナ制限手段とを備え、前記バーナ制限手段は、前記特定のバーナの点火操作がなされたときは前記イグナイタへの通電を許容し、前記複数のバーナのうち前記特定のバーナ以外の他のバーナの点火操作がなされたときは前記イグナイタへの通電を遮断すると共に、前記他のバーナにガスを供給するガス供給管に設けられた安全弁への通電を遮断することを特徴とする。
【0007】
請求項2のガスコンロは、前記残量検出手段が検出した前記残量が閾値未満か判断する判断手段と、前記判断手段が前記残量は前記閾値未満と判断した場合、電池交換時期であることを報知する報知手段とを備え、前記バーナ制限手段は、前記判断手段が前記残量は前記閾値未満と判断した場合、前記報知手段による報知と連動して、前記他のバーナの点火を制限するとよい。なお、判断手段は、前記残量検出手段が検出した前記残量が閾値以下かで判断してもよい。
【0008】
請求項3のガスコンロの前記複数のバーナは、第一コンロバーナと、前記第一コンロバーナよりも最大火力の小さい第二コンロバーナとを含み、前記バーナ制限手段は、前記第一コンロバーナを前記特定のバーナに設定
するとよい。
【0009】
請求項4のガスコンロの前記複数のバーナは、第一コンロバーナと、前記第一コンロバーナよりも最大火力の小さい第二コンロバーナとを含み、前記バーナ制限手段は、前記第二コンロバーナを前記特定のバーナに設定するとよい。
【0010】
請求項5のガスコンロは、前記バーナの操作を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた前記バーナの操作が、前記バーナ制限手段によって制限されている場合、前記バーナの使用が制限されていることを報知する使用制限報知手段とを備えるとよい。
【0011】
請求項6のガスコンロは、電池を電源として駆動し、バーナの燃焼中に実行可能で且つ前記バーナの燃焼制御に係る二以上の機能を有するガスコンロにおいて、前記電池の残量を検出する残量検出手段と、 前記二以上の機能の中で、前記残量検出手段が検出した前記残量に応じて実行可能な機能を特定機能に制限する機能制限手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7のガスコンロは、前記残量検出手段が検出した前記残量が閾値未満か判断する判断手段と、前記判断手段が前記残量は前記閾値未満と判断した場合、電池交換時期であることを報知する報知手段とを備え、前記機能制限手段は、前記判断手段が前記残量は前記閾値未満と判断した場合、前記報知手段による報知と連動して、前記機能を制限するとよい。なお、判断手段は、前記残量検出手段が検出した前記残量が閾値以下かで判断してもよい。
【0013】
請求項8のガスコンロは、前記機能の操作を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた前記機能の操作が、前記機能制限手段によって制限された前記機能の操作であるか判断する操作判断手段と、前記操作判断手段が、前記受付手段が受け付けた前記機能の操作は前記機能制限手段によって制限された前記機能の操作であると判断した場合、前記受付手段が前記操作を受け付けた前記機能は使用が制限されていることを報知する使用不可報知手段とを備えるとよい。
【0014】
請求項9のガスコンロの前記機能は、被調理物の温度を設定温度に調節可能な温度調節機能を含み、前記機能制限手段は、前記温度調節機能を制限しないのがよい。
【発明の効果】
【0015】
請求項1のガスコンロによれば、電池残量が少なくなった状態で、使用可能なバーナを特定のバーナに制限することで、正常時よりの不便さを使用者に感じさせることができる。これにより、電池を交換する意識を強めることができると共に、特定のバーナにおいて最低限の調理を行うことができるので、使い勝手のよいガスコンロを提供できる。なお、電池残量とは、以下に記載する第一,第二実施形態においては、電池電圧を意味する。
【0016】
請求項2のガスコンロによれば、電池残量が閾値未満になった場合、電池交換時期であることを使用者に向けて報知する。これに連動して、使用可能な部位を特定部位に制限するので、電池を交換する意識をより強めることができる。
【0017】
請求項3のガスコンロによれば、電池残量が少なくなった状態で、使用可能な部位を特定部位に制限する場合、特定部位を第一コンロバーナに設定する。第一コンロバーナは、第二コンロバーナよりも最大火力が大きいので、第二コンロバーナの使用が制限されても、第一コンロバーナの火力調整で対応できる。
【0018】
請求項4のガスコンロによれば、電池残量が少なくなった状態で、使用可能な部位を制限する場合、使用可能な部位を第二コンロバーナに設定する。仮に第一コンロバーナの使用が制限された場合、それよりも最大火力の小さい第二コンロバーナで対応しなければならないので、正常時よりの不便さを使用者に強く感じさせることができる。
【0019】
請求項5のガスコンロによれば、電池残量が少なくなり使用可能な部位が制限された状態で、使用者から受け付けた部位の操作が制限された部位の操作であった場合、部位の使用が制限されていることを報知する。これにより、電池残量が少ないことによって、使用が制限されていることを使用者に強く認識させることができる。
【0020】
請求項6のガスコンロによれば、電池残量が少なくなった状態で、実行可能な機能を特定機能に制限することで、正常時よりの不便さを使用者に感じさせることができる。これにより、電池を交換する意識を強めることができると共に、特定機能で最低限の調理を行うことができるので、使い勝手のよいガスコンロを提供できる。
【0021】
請求項7のガスコンロによれば、電池残量が閾値未満になった場合、電池交換時期であることを使用者に向けて報知する。これに連動して、使用可能な機能を特定機能に制限するので、電池を交換する意識をより強めることができる。
【0022】
請求項8のガスコンロによれば、電池残量が少なくなり使用可能な機能が制限された状態で、使用者から受け付けた機能の操作が制限された機能の操作であった場合、使用が制限されていることを報知する。これにより、電池残量が少ないことによって、使用が制限されていることを使用者に強く認識させることができる。
【0023】
請求項9のガスコンロによれば、温度調節機能は、例えば油調理等に用いられる機能であり、安全性を向上できる機能である。仮に電池残量が少なくなり、ガスコンロの機能を制限する場合、温度調節機能は制限しないので、安全性を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】操作パネル部21の正面図である。
図3】操作パネル部22の正面図である。
図4】コンロ1の電気的構成を示したブロック図である。
図5】点火制限テーブル741の概念図である。
図6】点火制御処理(第一実施形態)のフローチャートである。
図7】機能制限テーブル742の概念図である。
図8】燃焼制御処理(第二実施形態)のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第一,第二実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造、フローチャートなどは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0026】
図1図6を参照し、本発明の第一実施形態を説明する。図1を参照し、コンロ1の構造を説明する。コンロ1は、グリル付きテーブルコンロである。コンロ1は、筐体2と天板3を備える。筐体2は、上部が開口する略直方体状に形成される。天板3は、筐体2の開口する上部にネジ(図示略)で固定される。天板3の上面右側には、右コンロバーナ4が設けられ、上面左側には左コンロバーナ5が設けられる。右コンロバーナ4は強火力バーナ、左コンロバーナ5は標準バーナである。強火力バーナの最大火力は、標準バーナの最大火力よりも大きい。
【0027】
右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5の夫々の中心部には、センサ組立20が設けられる。センサ組立20は上方向に出退可能に設けられ、図示外のバネで上方に常時付勢される。センサ組立20は、五徳上に載置される調理鍋の鍋底に上端部が接触して押し下げられる。センサ組立20の内部には、サーミスタ65(図4参照)が格納される。サーミスタ65は、センサ組立20の上端部を介して鍋底温度を検出する。
【0028】
右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5の夫々の近傍には、イグナイタ69と熱電対66(図3参照)が設けられる。イグナイタ69は、対応するコンロバーナの点火装置である。熱電対66は、対応するコンロバーナの失火を検知する。天板3の上面後端側には、排気口7が設けられる。排気口7は、筐体2内に設置されたグリル庫(図示略)からの燃焼排気を外部に排出する。
【0029】
筐体2の前面の左右方向中央部には、グリル庫用の開口部(図示略)が設けられる。該開口部には、グリル庫の前側に設けられたグリル開口(図示略)が配置される。開口部には、グリル扉8が手前方向に引き出し可能に設けられる。グリル扉8を手前側に引き出すと、使用者は、グリル扉8の背面下部に連結した受皿と焼き網(図示略)を、グリル庫内から同時に取り出すことができる。
【0030】
筐体2の前面において、グリル扉8の右方には、操作ボタン11,12が設けられる。グリル扉8の左方には、操作ボタン13と電池ケース14が設けられる。操作ボタン11は、グリル庫内に設けられたグリルバーナ(図示略)の点火/消火の操作を行う。操作ボタン12は、右コンロバーナ4の点火/消火の操作を行う。操作ボタン13は、左コンロバーナ5の点火/消火の操作を行う。電池ケース14は、操作ボタン13の左側に並んで設けられ、コンロ1の電源として、例えば2つの電池26(図4参照)を格納する。
【0031】
操作ボタン11の上方には、火力調節レバー15が設けられ、操作ボタン12の上方には、火力調節レバー16が設けられ、操作ボタン13の上方には、火力調節レバー17が設けられる。火力調節レバー15は、左右方向の回動操作により、グリルバーナの火力調節を行う。火力調節レバー16は、左右方向の回動操作により、右コンロバーナ4の火力調節を行う。火力調節レバー17は、左右方向の回動操作により、左コンロバーナ5の火力調節を行う。火力調節レバー15,16と、操作ボタン11,12との間には、操作パネル部21が設けられる。火力調節レバー17と、操作ボタン13及び電池ケース14との間には、操作パネル部22が設けられる。
【0032】
図2に示すように、操作パネル部21の右側には、タイマ表示ランプ31、コンロタイマ選択スイッチ32、タイマ表示部33、「-」スイッチ34、「+」スイッチ35等が設けられ、タイマ機能に関するものである。タイマ表示ランプ31は、コンロ1を模式的に表したイラストであって、右コンロバーナ4、左コンロバーナ5、グリルバーナに夫々対応する3つの箇所にLED(図示略)を備える。コンロタイマ選択スイッチ32は、右コンロバーナ4と左コンロバーナ5のうち何れか一箇所のみを選択可能であって、コンロタイマをセットできる。コンロタイマは、右コンロバーナ4又は左コンロバーナ5で例えば1~99分までの自動消火タイマを設定でき、設定時間になるとブザーでお知らせし、自動的に消火する。グリルタイマは、グリルバーナで例えば1~15分までの自動消火タイマを設定でき、設定時間になるとブザーでお知らせし、自動的に消火する。
【0033】
タイマ表示部33は7セグの表示器であって、コンロタイマとグリルタイマの設定時間を交互に5秒間ずつ表示する。このとき、タイマ表示ランプ31では、残り時間を表示している箇所のLEDが点滅し、時間表示していない側のLEDは点灯する。設定時間を変更する場合、変更する箇所のLEDが点滅中に、「-」スイッチ34又は「+」スイッチ35を押して時間を変更する。変更後、最後の操作から5秒後にコンロタイマとグリルタイマの交互表示に戻る。
【0034】
操作パネル部21の左側には、高温炒めスイッチ41、湯沸しスイッチ42、温度表示ランプ43、温度選択スイッチ44等が設けられる。高温炒めスイッチ41は、右コンロバーナ4において、高温炒め機能を設定する為に3秒以上押下される。高温炒め機能は、強火と弱火を交互に繰り返しながら通常より高い温度で調理を行う機能である。湯沸しスイッチ42は、右コンロバーナ4において湯沸し機能を設定する為に押下される。湯沸し機能は、沸騰後に自動消火する機能である。
【0035】
温度表示ランプ43は、温度キープ機能において設定された設定温度を表示可能であって、上下方向に並ぶ4つのLEDを備える。4つのLEDは、上から順に、200℃、180℃、160℃、140℃に夫々対応する。温度キープ機能は、右コンロバーナ4(強火力バーナ)において自動的に火力を調節し、油や被調理物の温度を設定温度に保つ機能である。よって、例えば、天ぷらやフライ等の揚げ物調理、クレープやハンバーグ等の焼き物調理等に用いるとよい。設定温度は、温度選択スイッチ44を押下することによって、140℃~200℃まで10℃間隔で設定できる。温度選択スイッチ44を押下する度に、設定温度は10℃毎に切り替わり、それに応じて4つのLEDの点灯・消灯の態様が切り替わる。例えば、200℃、180℃、160℃、140℃の何れかに設定されたときは、対応するLEDが点灯する。対応するLEDが無い190℃、170、150℃の何れかに設定されたときは、設定温度を挟む上下両側の2つの温度に対応する2つのLEDが点灯する。温度選択スイッチ44を押下し、4つのLEDを消灯させると、温度キープ機能の設定は取り消される。
【0036】
なお、操作パネル部21の右側の下部であって、操作ボタン11の直上位置には、グリルバーナ用の点火確認ランプ47が設けられる。グリルバーナが点火すると点火確認ランプ47は点灯し、グリルバーナが消火すると点火確認ランプ47は消灯する。操作パネル部21の左側の下部であって、操作ボタン12の直上位置には、右コンロバーナ4用の点火確認ランプ48が設けられる。右コンロバーナ4が点火すると、点火確認ランプ48は点灯し、右コンロバーナ4が消火すると点火確認ランプ48は消灯する。
【0037】
また、図3に示すように、操作パネル部22の右側には、炊飯スイッチ51と、おかゆ・ごはん表示ランプ52が設けられる。炊飯スイッチ51は、左コンロバーナ5において炊飯機能を設定する際に押下される。おかゆ・ごはん表示ランプ52は、上下に並ぶ2つのLEDを備え、上のLEDがおかゆ、下のLEDがごはんに夫々対応する。炊飯スイッチ51を押す度に、おかゆ・ごはん表示ランプ52の点灯するLEDが切り替わり、二つのLEDを消灯させると、炊飯機能の設定は取り消される。
【0038】
操作パネル部22の左側下部には、電池交換サイン53が設けられる。後述するように、電池ケース14に格納する電池26の電池電圧が所定の閾値(例えば、2.2V)未満になると、電池交換サイン53が点灯する。操作パネル部22の右側下部であって、操作ボタン13の直上位置には、左コンロバーナ5用の点火確認ランプ55が設けられる。左コンロバーナ5が点火すると点火確認ランプ55は点灯し、左コンロバーナ5が消火すると点火確認ランプ55は消灯する。
【0039】
図4を参照し、コンロ1の電気的構成を説明する。コンロ1は、制御回路70を備える。制御回路70は、CPU71、ROM72、RAM73、フラッシュメモリ74、タイマ75に加え、図示しないI/Oインタフェイス等を備える。CPU71はコンロ1の各種動作を統括制御する。ROM72は、点火制御プログラムを含む各種プログラム等を記憶する。点火制御プログラムは、後述する点火制御処理(図6参照)を実行する為のものである。RAM73は、各種情報を一時的に記憶する。フラッシュメモリ74は不揮発性であって、後述する点火制限テーブル741(図5参照)等を含む各種データを記憶する。タイマ75はプログラムで作動する。
【0040】
制御回路70には、電源回路120、スイッチ入力回路121、パネル制御回路122、音声出力回路123、LEDドライバ回路124、サーミスタ入力回路125、失火検出回路126、安全弁回路127、電磁弁回路128、イグナイタ回路129等が接続される。
【0041】
スイッチ入力回路121には、基板スイッチ18とイグナイタスイッチ19が接続される。基板スイッチ18は、対応する操作ボタン11~13の操作に連動してオン・オフされる。スイッチ入力回路121は、基板スイッチ18の状態を検出し、電源回路120と制御回路70に入力する。イグナイタスイッチ19は、対応する操作ボタン11~13が押下される過程で、基板スイッチ18がオンになった後にオンになり、操作ボタン11~13が押し戻される過程で、基板スイッチ18がオフになるよりも先にオフになる。スイッチ入力回路121は、イグナイタスイッチ19の状態を検出し、制御回路70に入力する。
【0042】
電源回路120は、何れかの操作ボタン11~13の基板スイッチ18がオンの場合に、電池ケース14に収容される電池26から供給される電力を各種回路に供給する。制御回路70は、電源回路120から電力が供給されると作動し、電力の供給が途絶えると動作を停止する。また、電池26の+極側と-極側に対して、電圧測定部27が接続される。電圧測定部27は、制御回路70からの制御指令を受け、電池26の出力電圧を測定し、該測定結果を測定信号として制御回路70に入力する。
【0043】
パネル制御回路122には、操作パネル部21,22に設けられた上記各種スイッチ、表示部、LED等が接続される。パネル制御回路122は、操作パネル部21,22に設けられた各種スイッチの押下を検出し、制御回路70に入力する。また、パネル制御回路122は、制御回路70からの制御指令を受け、表示部における表示、及びLEDの点灯、点滅等を制御する。音声出力回路123は、制御回路70からの制御指令を受け、筐体2に設けられたスピーカ25からの音声出力を制御する。LEDドライバ回路124は、制御回路70からの制御指令を受け、電池交換サイン53の点灯及び消灯を制御する。
【0044】
サーミスタ入力回路125は、サーミスタ65の検出信号を、制御回路70に入力する。失火検出回路126は、熱電対66が発生する熱起電力に基づき、右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5の失火を検出し、制御回路70に入力する。安全弁回路127は、制御回路70からの制御指令を受け、安全弁67の通電を制御する。安全弁67は、右コンロバーナ4、左コンロバーナ5、グリルバーナの夫々にガスを供給する3本のガス供給管(図示略)に設けられる。安全弁67はマグネット式安全弁であり、操作ボタン11~13の押し込み動作で機械的に開放され、開弁状態になる。安全弁回路127は、制御回路70からの制御指令を受け、安全弁67に通電する。安全弁67は開弁状態を維持する。例えば、右コンロバーナ4が失火すると、熱電対66に発生する熱起電力が失われるので、失火検出回路126は右コンロバーナ4の失火信号を制御回路70に入力する。安全弁回路127は、制御回路70からの制御指令を受け、安全弁67への通電を遮断する。これにより、安全弁67は図示外のバネの付勢力で閉鎖される。
【0045】
電磁弁回路128は、CPU71の制御に基づき、ガス量調節用の電磁弁68を開閉する。電磁弁68は、ガス遮断用キープソレノイドバルブである。電磁弁68は、例えば、ガス供給管の途中から分岐して再度合流するバイパス管(図示略)に設けられる。電磁弁68を開閉することによって、バイパス管の流路が開閉され、バーナに供給されるガス量が増減する。これにより、バーナ火力を強火力と弱火力の2段階に調節可能である。イグナイタ回路129は、制御回路70からの制御指令を受け、イグナイタ69を駆動する。
【0046】
図5を参照し、点火制限テーブル741を説明する。第一実施形態では、電池電圧が所定の閾値未満にまで低下した場合、電池交換サイン53を点灯することに加え、点火可能なバーナを特定のバーナに制限する。これにより、使用者に電池交換を強く促すと共に、電池交換までの間でも最低限の調理を可能とする。点火制限テーブル741は、右コンロバーナ4、左コンロバーナ5、グリルバーナに対して、点火制限の有無を夫々設定する。本実施形態では、例えば、左コンロバーナ5とグリルバーナは点火制限有り、右コンロバーナ4は点火制限無しに設定される。即ち、右コンロバーナ4が特定バーナに設定される。
【0047】
図6を参照し、点火制御処理を説明する。使用者が操作ボタン11~13の何れかを押下し、対応する基板スイッチ18がオンすると、CPU71はROM72から点火制御プログラムを読出し、本処理を実行する。例えば、操作ボタン13が押下されると、対応する左コンロバーナ5のガス供給管に設けられたメイン弁(図示略)と安全弁67が強制的に開放され、左コンロバーナ5にガスが流れる。なお、メイン弁は、周知のプッシュ・プッシュ機構により操作ボタンの押下に連動して、開弁状態を維持する。
【0048】
CPU71は、押下された操作ボタン13に対応する基板スイッチ18がオンすることによって、押下された操作ボタン13を認識し、左コンロバーナ5のガス供給管に設けられた安全弁67に通電する(S1)。これにより、安全弁67は、開弁状態を維持する。左コンロバーナ5の炎孔部にガスが供給された状態で、CPU71は、イグナイタ69をオンし(S2)、左コンロバーナ5への点火動作を実行する。このとき、CPU71は電圧測定部27によって電池電圧を測定し、測定した電池電圧が2.2V以上か否か判断する(S3)。以下、場面(1)~(3)に分けて順に説明する。
【0049】
(1)左コンロバーナ5点火時の電池電圧が2.2V以上
電池電圧が2.2V以上であった場合(S3:YES)、電池残量は十分であるので、CPU71は安全弁67を閉じることなく、イグナイタ69の動作を継続し、左コンロバーナ5の点火を完了させる(S7)。CPU71は、左コンロバーナ5の通常制御を開始する(S8)。
【0050】
通常制御において、CPU71は、操作ボタン13が再度押下され、燃焼中のバーナが消火されたか否か判断する(S12)。消火されていない場合(S12:NO)、CPU71は、電池電圧が2.2V以上か否か判断する(S14)。電池電圧が2.2V以上であった場合(S14:YES)、CPU71はS8に戻り、引き続き通常制御を続行する。これに対し、電池電圧が2.2V未満であった場合(S14:NO)、CPU71は電池交換サイン53を点灯し(S15)、使用者に電池交換を促す。CPU71はS8に戻り、引き続き通常制御を続行する。
【0051】
左コンロバーナ5を消火する為、操作ボタン13が再度押下されると、プッシュ・プッシュ機構によりメイン弁は閉弁され、バーナへのガス供給が遮断されるので、燃焼状態であった左コンロバーナ5は消火される(S12:YES)。操作ボタン13が再度押下されることにより、基板スイッチ18はオフするので、CPU71は安全弁67への通電をオフする(S13)。これにより、安全弁67も閉弁するので、CPU71は本処理を終了する。なお、右コンロバーナ4点火時の電池電圧が2.2V以上の場合も、CPU71は左コンロバーナ5点火時と同様に処理を実行する。
【0052】
(2)左コンロバーナ5点火時の電池電圧が2.2V未満
電池電圧が2.2V未満であった場合(S3:NO)、電池残量は少ないので、電池交換を速やかに行うのが望ましい。そこで、CPU71は電池交換サイン53を点灯し(S4)、使用者に電池交換を促す。さらに、CPU71は点火制限テーブル741(図5参照)に基づき、点火する左コンロバーナ5に点火制限が無いか有るか判断する(S5)。左コンロバーナ5は、点火制限有りに設定されているので(S5:NO)、CPU71はイグナイタ69をオフし(S9)、安全弁67への通電をオフする(S10)。これにより、左コンロバーナ5の点火が完了する前に、左コンロバーナ5へのガス供給が遮断されるので、左コンロバーナ5の点火が制限される。
【0053】
さらに、CPU71は、電池電圧の低下で点火できない旨のメッセージを音声で、スピーカ25から出力する(S11)。例えば、「電池電圧の低下で点火できません。電池交換を速やかに行って下さい。」等の音声を出力するとよい。これにより、仮に使用者が電池交換サイン53の点灯に気付かなかった場合でも、使用する予定の左コンロバーナ5を点火できないことに、使用者は不便さを感じることから、電池交換の意識を強めることができる。また、音声によって、電池電圧の低下で点火が制限されたことを報知できるので、使用者は、左コンロバーナ5を点火できなかった理由を正確に知ることができる。こうして、CPU71は本処理を終了する。
【0054】
(3)右コンロバーナ4点火時の電池電圧が2.2V未満
操作ボタン12が押下されたとき、電池電圧が2.2V未満であった場合(S3:NO)、上記と同様に、CPU71は電池交換サイン53を点灯し(S4)、使用者に電池交換を促す。さらに、CPU71は点火制限テーブル741に基づき、点火する右コンロバーナ4に点火制限が無いか有るか判断する(S5)。右コンロバーナ4は、点火制限無しに設定されているので(S5:YES)、続いて、CPU71は電池電圧が2.1V以上か否か判断する(S6)。
【0055】
ここで、電池電圧が2.2V未満であっても、2.1V以上の場合(S6:YES)、電池26が直ぐに完全に切れてしまう状態ではなく、少なくとも現在行っている調理を問題無く終えることができる電圧であるので、CPU71はS7に進み、右コンロバーナ4の点火を完了させ、通常制御を実行する(S8)。これにより、使用者は、現在行っている調理を終えてから電池交換を行うことができるので、コンロ1は使い勝手を向上できる。また、本実施形態では、電池電圧の低下を検出した場合に、強火力バーナである右コンロバーナ4のみを使用可能な特定のバーナに設定するので、標準バーナで調理する予定であった被調理物であっても、強火力バーナで火力調節することで対応できる。これにより、電池電圧が低下した場合であっても、電池交換するまでの間は、一応の加熱調理ができるので、使い勝手を向上できる。
【0056】
なお、上記(2)のように、左コンロバーナ5点火時の電池電圧が2.2V未満であった場合、左コンロバーナ5は使用できないことから、電池交換までの間、右コンロバーナ4で代用することで、調理を行うことができる。右コンロバーナ4は強火力バーナであるので、火力調節を行うことで、弱い火力で行う調理にも対応できる。但し、電池交換するまでの間に使用できるバーナは、右コンロバーナ4のみであるので、コンロ1は使用者に対し、正常時よりの不便さを強いることができる。よって、コンロ1は使用者に対し、電池交換の意識を強めることができる。
【0057】
これに対し、電池電圧が2.1V未満であった場合(S6:NO)、仮に右コンロバーナ4を点火しても、調理途中に電池26が完全に切れてしまい、コンロ1が全く動かなくなってしまう可能性があるので、CPU71はイグナイタ69をオフし(S9)、安全弁67への通電をオフする(S10)。これにより、右コンロバーナ4の点火が完了する前に、右コンロバーナ4へのガス供給が遮断されるので、右コンロバーナ4の点火が制限される。
【0058】
さらに、CPU71は、電池電圧の低下で点火できない旨のメッセージを音声で、スピーカ25から出力する(S11)。例えば、「電池電圧の低下で点火できません。電池交換を速やかに行って下さい。」等の音声を出力するとよい。これにより、使用者は、電池電圧の低下で右コンロバーナ4の点火が制限されたことを認識できる。こうして、CPU71は本処理を終了する。
【0059】
以上説明したように、第一実施形態のコンロ1は、電池26を電源として駆動する。コンロ1の電圧測定部27は電池26の電池電圧を検出する。コンロ1のCPU71は、電圧測定部27が検出した電池電圧に応じて、右コンロバーナ4、左コンロバーナ5、グリルバーナのうち使用可能なバーナを特定のバーナに制限する。これにより、コンロ1は正常時よりの不便さを使用者に感じさせることができるので、電池26を交換する意識を強めることができる。さらに、使用可能なバーナを残すことで、最低限の調理を行うことができる。よって、本実施形態は、使い勝手のよいコンロ1を提供できる。
【0060】
上記実施形態では、電池電圧が閾値未満になった場合、電池交換サイン53を点灯し、電池交換時期であることを使用者に向けて報知する。CPU71は、これに連動して、使用可能なバーナを特定のバーナに制限するので、電池交換の意識をより強めることができる。
【0061】
上記実施形態では、電池電圧が閾値未満になった場合、使用可能なバーナを強火力バーナである右コンロバーナ4のみに制限する。右コンロバーナ4は、左コンロバーナ5よりも最大火力が大きいので、左コンロバーナ5の使用が制限されても、右コンロバーナ4の火力調節で対応できる。
【0062】
上記実施形態では、電池電圧が低下し、使用可能なバーナが制限された状態で、使用者による操作ボタンの押下によって、バーナの点火を受け付けても、その受け付けたバーナの点火が制限されている場合、CPU71は、そのバーナの使用が制限されていることを音声で報知する。これにより、電池電圧が低下していることによって、バーナの使用が制限されていることを使用者に強く認識させることができる。
【0063】
以上説明において、電圧測定部27は、本発明の「残量検出手段」の一例である。図6のS3~S5、S9、S10の処理を実行するCPU71は、本発明の「部位制限手段」の一例である。S3,S6の処理を実行するCPU71は、本発明の「判断手段」の一例である。S4の処理を実行するCPU71は、本発明の「報知手段」の一例である。右コンロバーナ4は、本発明の「第一コンロバーナ」の一例であって、左コンロバーナ5は、本発明の「第二コンロバーナ」の一例である。操作ボタン11~13は、本発明の「受付手段」の一例である。S11の処理を実行するCPU71は、本発明の「使用制限報知手段」の一例である。
【0064】
図7図8を参照し、本発明の第二実施形態を説明する。上記の通り、第一実施形態のコンロ1では、電池26の電池電圧の低下を検出した場合、使用可能なバーナを特定のバーナに制限することによって、使用者に対して正常時よりの不便さを感じさせ、電池交換の意識を強めることができる。これに対し、第二実施形態のコンロ1では、電池26の電池電圧の低下を検出した場合、バーナ燃焼中に実行可能な機能を特定の機能に制限することによって、使用者に正常時よりの不便さを感じさせ、電池交換を強く認識させることを行う。ここで、バーナ燃焼中に実行可能な「機能」とは、操作パネル部21,22に設けられた各種スイッチによって設定可能な上記各種機能を意味する。
【0065】
なお、第二実施形態のコンロ1の構成は、第一実施形態のコンロ1の構成とほぼ共通するので、以下説明において、共通する部分については、第一実施形態の符号をそのまま使用する。また、共通する部分については説明を省略又は簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0066】
第二実施形態のコンロ1は、図5に示す点火制限テーブル741の代わりに、図7に示す機能制限テーブル742をフラッシュメモリ74に記憶する。機能制限テーブル742は、コンロタイマ選択スイッチ32、「-」スイッチ34、「+」スイッチ35、高温炒めスイッチ41、湯沸しスイッチ42、温度選択スイッチ44、炊飯スイッチ51に対して、機能制限の有無を夫々設定する。なお、コンロタイマ選択スイッチ32、「-」スイッチ34、「+」スイッチ35は、タイマ機能(コンロタイマ、グリルタイマ)を設定する為の機能スイッチである。高温炒めスイッチ41は、高温炒め機能を設定する為の機能スイッチである。湯沸しスイッチ42は、湯沸し機能を設定する為の機能スイッチである。温度選択スイッチ44は、温度キープ機能を設定する為の機能スイッチである。炊飯スイッチ51は、炊飯機能を設定する為の機能スイッチである。なお、温度キープ機能は、本発明の「温度調節機能」の一例である。
【0067】
本実施形態では、例えば、コンロタイマ選択スイッチ32、「-」スイッチ34、「+」スイッチ35、温度選択スイッチ44に対して機能制限無し、高温炒めスイッチ41、湯沸しスイッチ42、炊飯スイッチ51に対して機能制限有りに設定される。即ち、電池電圧が低下した場合、機能が制限されるのは、高温炒め機能、湯沸し機能、炊飯機能であって、機能が制限されない特定機能は、タイマ機能、温度キープ機能である。
【0068】
なお、機能制限の有無については、図7に示す機能制限テーブル742の設定に限定しないが、例えば油調理をするときによく使用されるタイマ調理や、温度キープ機能のように特に安全に関連する機能については、制限しないのが好ましい。
【0069】
図8を参照し、燃焼制御処理を説明する。使用者が操作ボタン11~13の何れかを押下し、対応する基板スイッチ18がオンすると、CPU71はROM72から燃焼制御プログラムを読出し、本処理を実行する。S21,S22は、図6のS1,S2の処理と同一である。例えば、操作ボタン12が押下されると、CPU71は、対応するイグナイタ69をオンし(S22)、右コンロバーナ4を点火させる(S23)。CPU71は、右コンロバーナ4の通常制御を開始する(S24)。
【0070】
CPU71は、電圧測定部27によって電池電圧を測定し、測定した電池電圧が2.2V以上か否か判断する(S25)。電池電圧が2.2V以上であった場合(S25:YES)、電池電圧は十分であるので、CPU71はそのまま処理をS27に進める。一方、電池電圧が2.2V未満であった場合(S25:NO)、CPU71は電池交換サイン53を点灯し(S26)、使用者に電池交換を促してから、処理をS27に進める。
【0071】
右コンロバーナ4の通常制御中に、CPU71は、機能スイッチの何れかが押されたか否か判断する(S27)。機能スイッチが何れも押下されない場合(S27:NO)、CPU71は燃焼中の右コンロバーナ4が消火されたか否か判断する(S35)。消火された場合(S35:YES)、CPU71は対応する安全弁67の通電を遮断し、本処理を終了する。まだ消火されていない場合(S35:NO)、CPU71はS25に戻り、処理を繰り返す。
【0072】
-高温炒めスイッチ41が押下された場合-
例えば、右コンロバーナ4の通常制御中に、高温炒め機能を設定する為に、使用者が高温炒めスイッチ41を押下した場合(S27:YES)、CPU71は、電池電圧が2.2V以上か否か判断する(S28)。ここで、電池電圧が2.2V以上であった場合(S28:YES)、電池電圧は十分であるので、高温炒め機能を実行する(S32)。
【0073】
一方、電池電圧が2.2V未満であった場合(S28:NO)、CPU71は電池交換サイン53を点灯すると共に(S29)、高温炒めスイッチ41に対応する高温炒め機能に機能制限が有るか否か判断する(S30)。機能制限テーブル742(図7参照)を参照すると、高温炒め機能に対し、機能制限は有りに設定されている。よって、CPU71は高温炒め機能を実行せずに、電池電圧の低下により機能を実行できない旨のメッセージを音声で報知する(S33)。
【0074】
この場合、例えば、スピーカ25から「電池電圧低下により、高温炒め機能を実行できません。電池交換を速やかに行って下さい。」等の音声を出力するとよい。これにより、仮に使用者が電池交換サイン53の点灯に気付かなかった場合でも、高温炒め機能を使用できないことに、使用者は不便さを感じることから、電池交換の意識を強めることができる。また、音声によって、電池電圧の低下で機能が制限されたことを報知できるので、使用者は、高温炒め機能を実行できなかった理由を正確に知ることができる。
【0075】
-コンロタイマ選択スイッチ32が押下された場合-
例えば、右コンロバーナ4の通常制御中に、コンロタイマを設定する為に、使用者がコンロタイマ選択スイッチ32を押下した場合(S27:YES)、CPU71は、電池電圧が2.2V以上か否か判断する(S28)。ここで、電池電圧が2.2V未満であった場合(S28:NO)、CPU71は電池交換サイン53を点灯すると共に(S29)、コンロタイマ選択スイッチ32に対応するタイマ機能に機能制限が有るか否か判断する(S30)。機能制限テーブル742を参照すると、タイマ機能に対し機能制限は無しに設定されている。そこで、CPU71は、今回の調理でコンロタイマを実行しても問題無いか確認する為、電池電圧が2.1V以上か否か判断する(S31)。
【0076】
電池電圧が2.1V以上であった場合(S31:YES)、今回の調理でコンロタイマを実行しても問題無いので、CPU71は、コンロタイマ選択スイッチ32の押下によって選択された右コンロバーナ4に対し、コンロタイマを実行する(S34)。これにより、使用者は、現在行っている調理を終えてから電池交換を行うことができるので、コンロ1は使い勝手を向上できる。
【0077】
一方、電池電圧が2.1V未満であった場合(S31:NO)、機能制限は無しであっても、今回の調理でコンロタイマを実行すると、電池電圧が完全に切れてしまう可能性があるので、CPU71はタイマ機能をセットせずに、電池電圧の低下により機能を実行できない旨のメッセージを音声で報知する(S33)。この場合、例えば、スピーカ25から「電池電圧低下により、タイマ機能を実行できません。電池交換を速やかに行って下さい。」等の音声を出力するとよい。これにより、仮に使用者が電池交換サイン53の点灯に気付かなかった場合でも、タイマ機能を使用できないことに、使用者は不便さを感じることから、電池交換の意識を強めることができる。
【0078】
そして、通常制御、若しくは機能実行中において、CPU71は、操作ボタン13が再度押下され、燃焼中のバーナが消火されたか否か判断する(S35)。消火されていない場合(S35:NO)、CPU71はS25に戻り、引き続き通常制御、若しくは実行中の機能を続行する。燃焼中のバーナが消火された場合(S35:YES)、基板スイッチ18はオフするので、CPU71は安全弁67への通電をオフする(S36)。これにより、安全弁67も閉弁するので、CPU71は本処理を終了する。なお、タイマ機能が実行された場合、設定されたタイマ時間で対応するバーナは消火されるので、本処理は強制的に終了する。また、炊飯機能が実行された場合も、沸騰後にバーナは消火されるので、本処理は強制的に終了する。
【0079】
以上説明したように、第二実施形態のコンロ1においても、第一実施形態と同様に、電池26を電源として駆動する。コンロ1のCPU71は、電圧測定部27が検出した電池電圧に応じて、燃焼中のバーナにおいて、実行可能な機能を特定機能に制限する。これにより、コンロ1は正常時よりの不便さを使用者に感じさせることができるので、電池26を交換する意識を強めることができる。さらに、使用可能な機能を残すことで、最低限の調理を行うことができる。よって、本実施形態は、使い勝手のよいコンロ1を提供できる。
【0080】
上記実施形態では、燃焼中のバーナで実行可能な機能の中に、温度キープ機能を含む。温度キープ機能は、被調理物の温度を設定温度に調節可能な機能である。温度キープ機能は、油調理等に用いられる機能であり、安全性を向上できる機能である。よって、例えばバーナ燃焼中に、電池電圧が低下した場合でも、温度キープ機能に対しては機能制限をかけない。これにより、第二実施形態は、コンロ1の安全性を担保できる。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0082】
(第一,第二実施形態共通の変形例)
上記第一,第二実施形態のコンロ1は、右コンロバーナ4と左コンロバーナ5を備えるが、天板3上のコンロバーナの数は一つでもよく、三つ以上であってもよい。コンロ1はテーブルコンロであるが、ビルトインコンロであってもよく、ガスの供給がカセット式の小型コンロであってもよい。また、グリルを備えていないコンロであってもよい。
【0083】
上記第一、第二実施形態において、右コンロバーナ4は強火力バーナ、左コンロバーナ5は標準バーナであるが、右コンロバーナ4を標準バーナ、左コンロバーナ5を強火力バーナとしてもよい。また、右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5の両方を強火力バーナ、若しくは標準バーナとしてもよい。
【0084】
電池電圧の閾値は2.2Vであるが、これ以外の数値に変更してもよい。また、第一実施形態の図6のS6の判断処理、第二実施形態の図8のS31の判断処理は省略してもよい。このとき、例えば、図6のS3、S14の判断処理、図8のS25、S28の判断処理において、電池電圧が2.1V以上か否かで判断してもよい。
【0085】
第一実施形態の図6のS11の報知処理、第二実施形態の図8のS33の報知処理は省略してもよい。また、これら報知処理においてスピーカ25から出力する音声メッセージは上記実施形態以外のメッセージでもよく、例えば、音声の代わりにブザー、アラーム等を出力してもよい。
【0086】
第一実施形態のコンロ1は、電池電圧の低下を検出した場合、点火可能なバーナを制限し、第二実施形態のコンロ1は、電池電圧の低下を検出した場合、実行可能な機能を制限するが、例えば、第一実施形態の制御内容と、第二実施形態の制御内容とを併せ持っていてもよい。
【0087】
(第一実施形態の変形例)
第一実施形態では、電池電圧が低下した場合に、点火可能なバーナを強火力バーナである右コンロバーナ4のみに制限するが、例えば、標準バーナである左コンロバーナ5のみに制限してもよい。この場合、強火力バーナよりも最大火力の小さい左コンロバーナ5で対応しなければならないので、正常時よりの不便さを使用者に強く感じさせることができる。
【符号の説明】
【0088】
1 コンロ
4 右コンロバーナ
5 左コンロバーナ
11~13 操作ボタン
26 電池
27 電圧測定部
32 コンロタイマ選択スイッチ
34 「-」スイッチ
35 「+」スイッチ
41 高温炒めスイッチ
42 湯沸しスイッチ
44 温度選択スイッチ
51 炊飯スイッチ
53 電池交換サイン
71 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8