(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】安全注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A61M5/32 510H
(21)【出願番号】P 2019516619
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2018103110
(87)【国際公開番号】W WO2020042049
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2019-04-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】519103045
【氏名又は名称】ジアンスー ツァィナー メディカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jiangsu Caina Medical Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】No.23 Huanxi Road,Zhutang Town Jiangyin City,Jiangsu,214425 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ リージェ
(72)【発明者】
【氏名】ニー リン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ティェンヂュ
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/079811(WO,A1)
【文献】特表2013-517072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0236183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全注射器であって、
近位ケーシング端部から遠位ケーシング端部まで中心軸に沿って延びる内面および外面を有するケーシングであって、遠位ケーシング端部が複数のフィンガを形成する1つ以上のスロットによって分割され、各フィンガが遠位に延びており、各スロットはケーシングの最遠位端部から近位に延び、ケーシングの内面および外面を通って延びており、各フィンガがそれぞれの内面およびそれぞれのフックを含み、当該フックは中心軸に向かって半径方向に延びるようなケーシングと、
中心軸に沿って延び、ケーシング内のチャンバ内で移動可能なプランジャアセンブリと、
引き込み注射器アセンブリと、を含み、
引き込み注射器アセンブリは、
遠位に延在する複数のフィンガに面する作動面を有するスライダと、
スライダ内で中心軸に沿って摺動するように構成された針座であって、針座がスライダの遠位端を通って延びるように構成された遠位部分を有し、遠位部分がその中にフックを受け入れるように構成された1つ以上の半径方向開口を有する針座と、
針座に取り付けられ、かつ針座と共に移動するように構成された中空ニードルと、
スライダと針座との間に配置され、かつ針座をスライダから離れる方向に付勢するように構成されたバネと、を含み、
スライダは、作動面が1つ以上の半径方向開口からフックを変位させない第一スライダ位置と、作動面がフィンガの内面と干渉する第二スライダ位置との間で中心軸に沿って移動可能であり、それによってフックを1つ以上の半径方向開口から変位させ、
前記プランジャアセンブリは、1つ以上の半径方向突起を有するプランジャを含み、前記ケーシングは、1つ以上の半径方向突起に係合して前記プランジャの近位ケーシング端部への移動を阻止するように構成されたロックを含み、
前記ロックは、前記ケーシングから前記プランジャに向かって延びる1つ以上のタブを含み、
前記1つ以上のタブは、前記プランジャが第一プランジャ位置から第二プランジャ位置まで遠位ケーシング端部に向かって遠位に移動することを可能にするが、前記プランジャが前記第二プランジャ位置から前記第一プランジャ位置まで遠位ケーシング端部から近位に移動するのを阻止し、
前記プランジャアセンブリは、中空本体を有する前記プランジャに加えて、前記中空本体内に配置されたプラグと、前記プランジャを取り囲み、前記ケーシングの内面に対してシールを形成するように延びるシールと、をさらに含み、
プランジャの遠位端、プラグの遠位端、およびシールの遠位端は、集合的に、チャンバを連続的に横切って中心軸に垂直な平面内に延びる第一平面を形成し、
スライダの近位端および針座の近位端は、集合的に、中空針への入口を除いて、チャンバを連続的に横切って中心軸に垂直な平面内に延びる第二平面を形成し、
前記プランジャは、第一半径を有する第一領域、および第一半径より大きい第二半径を有する第二領域を有する内側通路を有しており、
前記プラグは、
前記第一領域に摩擦係合する
遠位プラグ端部、前記第二領域に摩擦係合する近位プラグ端部、および前記遠位プラグ端部と前記近位プラグ端部との間に位置する中間領域を有
しており、前記中間領域の前記プラグの外面は、前記内側通路と接触しない、ことを特徴とする、
安全注射器。
【請求項2】
各フィンガは、遠位方向に中心軸から距離が減少する遠位に延びるテーパ内面部分を含む、ことを特徴とする、
請求項1に記載の安全注射器。
【請求項3】
作動面は、テーパ面を含む、ことを特徴とする、
請求項1に記載の安全注射器。
【請求項4】
スライダは、近位に面する肩部を有し、針座は、遠位に面する肩部を有し、バネは、近位に面する肩部と遠位に面する肩部との間に配置される、ことを特徴とする、
請求項1に記載の安全注射器。
【請求項5】
前記1つ以上のタブの各々は、遠位方向に対してプランジャに向かって先細になる、ことを特徴とする、
請求項1に記載の安全注射器。
【請求項6】
前記ロックは環状本体をさらに含み、前記1つ以上のタブは、前記環状本体から前記プランジャに向かって延びており、前記環状本体は、前記ケーシングの環状カップ部分内に保持される、ことを特徴とする、
請求項1に記載の安全注射器。
【請求項7】
前記プランジャアセンブリは、前記プランジャアセンブリが第三プランジャアセンブリ位置にあるときに、前記ケーシングの環状カップ部分から延びる近位端を含む、ことを特徴とする、
請求項6に記載の安全注射器。
【請求項8】
複数のフィンガは、3本のフィンガまたは4本のフィンガを含む、ことを特徴とする、
請求項1に記載の安全注射器。
【請求項9】
1つ以上の半径方向開口は、環状溝を含む、ことを特徴とする、
請求項1に記載の安全注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体注入プロセスの完了時に装置の本体の中に引き込んで針との偶発的接触を防止する針を有する安全注射器と呼ばれることがある自動引き込み注射器の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な安全注射器装置は、文献および商業市場で知られる。このような装置は、一般的に、概して管状の外側ケーシング、ケーシングの一端に皮下注射針または注射器、およびケーシング内で摺動して注射器により液体を押し出すプランジャを有する。プランジャが圧縮行程の終わりに達すると、それは、プランジャを解放する機構を作動させ、バネがプランジャ内に位置する空洞内に注射器を押し込む。
【0003】
図1~3は、外側ケーシング100、プランジャ102、およびケーシング100の遠位端内に配置された引き込み注射器アセンブリ104を有する1つの公知の安全注射器を示す。引き込み注射器アセンブリ104は、針座108に固定された針106、引き込みバネ110、および固定スリーブ112を含む。バネ110は、針座108上の前向き肩部114とケーシング100上の後向き肩部116との間に圧縮状態で設けられる。固定スリーブ112は、針座108の外壁とケーシング100の内壁との間に圧縮状態で取り付けられた弾性材料からなる環状リングを含む。固定スリーブ112は、バネ110の伸張を防止する摩擦力を生成し、したがって、針106がケーシング100の遠位端から突起している状態で針106および針座108を固定位置に保持するように構成される。
【0004】
プランジャ102は、固定スリーブ112を移動させることによって、針座108がケーシング100と摩擦係合することを解放し、バネ110が針座108および針106を引き込み位置に移動することを可能にするように構成される。特に、プランジャ102は、プランジャ102がケーシング100の遠位端に接近するときに、環状固定スリーブ112を押圧する大きさの前向き環状突起118を有する。プランジャ102に十分な力が加えられると、突起118は、固定スリーブを環状空間120内に押し込み、環状空間120に入り、針座108に接触しなくなる。これにより、針座108および針106をケーシング100との摩擦係合から解放する。
【0005】
プランジャ102は、針座108および針106を受け入れるように寸法決めされた内腔122を有する。ストッパ124は、プランジャ102が中空針106を通って液体を分配するように移動するとき、管腔122を封止するように管腔122の遠位端の狭い領域に設けられる。ストッパ124は、環状突起118が環状固定スリーブ112と接触するのとほぼ同時に針座108の後端部に接触するように構成される。したがって、プランジャ102が前向きに移動すると、ストッパ124は、針座108の後部と接触することによって変位し、このような移動により、ストッパ124が管腔122の狭い領域から外に移動する。ストッパ124が十分に遠くに戻ると、それは、管腔122の比較的広い領域に入り、もはやバネ110の力に対していかなる抵抗ももたらさない。したがって、ストッパ124は、環状固定スリーブ112が解放されるのとほぼ同時に解放され、それにより、バネ110が針106および針座108をプランジャ内に押し込むことを可能にする。
図1~3のもののような装置の詳細は、米国特許No.6,221,055および6,572,584ならびに米国公開No.2013/0006190、2015/0283329および2017/0239426に記載され、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0006】
本発明者は、上記の装置が特定の欠点を有することを発見した。
【0007】
1つの問題は、環状固定スリーブ112が、比較的小さな抵抗を提供して針106を所定の位置に保持させ、したがって、装置が誤って引き込まれ、または部分的に引き込まれる可能性があることである。例えば、薬剤バイアル上のゴムストッパにより針106を押し込もうとすると、ストッパを穿刺するのに必要な力が固定スリーブ112によって提供された保持力を超えることがある。ゴムストッパにより薬剤を取得しようとすると針106が引き込まれる。この問題により、このような装置は通常の注射器としての用途が限られる。固定スリーブ112はまた、プランジャが前向きに押し出されて薬剤を分配するため、ケーシング内に生成された大きな液圧に抵抗するほど強くないことがある。
【0008】
上記の装置の別の問題は、プランジャ102が完全に圧縮された位置にあるときに、プランジャ102がケーシング100内に積極的にロックされないことである。例えば、
図1に示すとおり、プランジャ102が完全に圧縮されるとき、プランジャ102の近位端126は、ユーザがプランジャ102を容易に取り外すことを防止するケーシング100の近位端に配置された環状カップ130内に配置される。しかしながら、プランジャ102をこの位置に保持するのに不十分な摩擦があれば、プランジャを取り外すことはまだ可能である。プランジャ102の近位端部126とケーシング100上に配置された操作グリップ128との間の距離D
Xは、装置を不安定にし、操作者および患者にとって快適性を低減させる可能性があるこのような医療装置のための推奨基準より低くなり得ることが分かる(例えば、国際標準化機構標準ISO7886参照)。
【0009】
また、
図1~3の装置は、分配が完了したときに過剰な量の残留薬剤の保持を受けることも分かる。
図3はこの問題を示す。プランジャ102が前向きに押されると、環状突起118は最終的に環状固定スリーブ112に接触して密封する。この時点で、環状突起118を取り囲む環状領域300内の薬剤は、針106を通過することができない。プランジャ102がさらに前向きに押されると、捕捉された薬剤は針座108の外側を前向きに移動して無駄になる。この薬剤の損失を緩和するために(例えば、テーパまたは流体通路で環状突起118を形成するが、一部の薬剤は依然として針座108を囲む領域内に失われる)いくつかのステップが取られてもよい。少量の薬液を損失しても、非常に高価になることがあり、
図1~3のような装置で経験した損失は、薬液の残量の最低基準値に対する確立された推奨値を超える可能性がある(例えば、国際標準化機構標準ISO7886-1参照)。
【0010】
別の公知のタイプの安全注射器装置が
図4に示される。この装置は、ケーシング400の遠位端に配置された引き込み注射器アセンブリ402を備えた外側ケーシング400を有する。引き込み注射器アセンブリ402は、針座406に固定された針404、引き込みバネ408、および引き込みバネ408を取り囲むスライダ410を有する。バネ408は、針座406の前向き肩部412とスライダ410の後向き肩部414との間の圧縮状態で適所に捕捉され、それによってバネ408の復元力は、針座406と針404をケーシング400の遠位端から遠ざけるように移動する力を加える。
【0011】
バネ408の力は、針座406の対応する環状溝418と係合する複数のフック416によって抵抗される。より具体的には、フック416は、ケーシング400の内面の一部として形成され、環状溝418内に突起する。フック416の近位端は、スライダ410の端部に配置された対応形状の円錐面422に面するランプ420を含む。スライダ410がケーシング400の遠位端に向かって移動すると、円錐面422が、円錐面422をランプ420に押し付け、フック416を環状溝418から離れ、したがって、針座406をフック416から解放する。スライダ410は、
図1~3に関して上述したのと同様の方法で、プランジャ(図示せず)によって移動する。したがって、プランジャをケーシング400内に完全に圧縮すると、スライダ410を移動させてフック416を外し、針座406および針404は、バネ408によってプランジャ内に引き込まれる。この装置の動作のさらなる詳細は、本開示全体に参照により組み込まれた公開された国際出願WO2017/079811に記載される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明者は、
図4に示された装置もある欠点を有することを発見した。
【0013】
最初に、
図4の装置は、引き込み注射器アセンブリ402内に配置されたフック416を使用する。これは、フック416が一貫した解放特性を提供するように正確に作られなければならないため、問題を生じる。内部フック416の製造には複雑な成形技術が必要であり、成形と機械加工技術の組み合わせが必要であり、その製造コストが比較的高くなるため、安全注射器装置の形状およびサイズを考慮すると、これは比較的困難な作業である。例えば、内部フック416を外部ケーシング400に直接形成することは不可能であり、したがってフックはケーシング400に取り付けられた別個のサブ構造424に作られる必要がある。別個のサブ構造424の使用は、コストを増加させ、追加の組み立てステップを必要とする。この複数部品構成はまた、接続の信頼性に影響を及ぼし、潜在的な漏れおよび安全性の問題、および製品の異なる実施例間での一貫性のない解放力要件につながる製造公差の積み重ねの問題の影響を受ける。
【0014】
図4の装置に関する別の問題は、フック416の内部位置が、商業的製品が所望の解放特性を提供するのに必要な正しい寸法および形状で確実に適切に構成されることを保証する従来の品質管理手順を実行することが非実用的または不可能になることである。したがって、品質管理はより複雑で潜在的に効果が低い。
【0015】
また、
図4における内部フック設計は、特に、図面設計にマッチングした製品を正確かつ一貫して作ることができないという生産上の問題を引き起こすと考えられる。これらの問題により、フック416と環状溝418との間のロック力が比較的小さくなり、それにより針404の端部をあまりにも強く押すことによってフック416を環状溝418から押し出すことができると考えられる。これは、従来の薬剤バイアルを包囲するゴムストッパの中に針404を押し込むとき、引き込み注射器アセンブリ402が誤って引き込む原因となり得る。この問題により、このような装置は通常の注射器としての用途が限られる。
【0016】
また、
図4に示すような装置は、薬液の残量の最低基準値を満たすことができないと考えられる(例えば、国際標準化機構標準ISO7886-1参照)。
【0017】
背景のこの説明は、例示的な実施例の以下の説明の理解を助けるために提供され、この背景情報のいずれかまたはすべてが必然的に先行技術であることを認めるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一態様では、近位ケーシング端部から遠位ケーシング端部まで中心軸に沿って延びるケーシングと、中心軸に沿って延び、ケーシング内のチャンバ内で移動可能なプランジャアセンブリと、ケーシングの遠位端に取り付けられた引き込み注射器アセンブリと、を有する安全注射器が提供され、引き込み注射器アセンブリは、針座と、スライダと、針座とスライダとの間に配置され、かつ針座をスライダから離れるように付勢するバネと、を含む。針座の遠位端は、1つ以上の半径方向開口を含み、ケーシングの遠位端は、1つの以上の半径方向開口と係合してバネの付勢に対抗し、針座がスライダから離れるのを防止するように構成された遠位に延びる複数のフィンガを含み、遠位に延びるフィンガの各々は、ケーシングを完全に貫通する1対のスロットの間に画定される。
【0019】
別の態様では、近位ケーシング端部から遠位ケーシング端部まで中心軸に沿って延びる内面および外面を有するケーシングと、遠位ケーシング端部が、ケーシングの最遠位端部から近位に延び、内面および外面を通って遠位に延びる複数のフィンガを形成する1つ以上のスロットによって分割され、各フィンガがそれぞれの内面および中心軸に向かって半径方向に延びるそれぞれのフックを含み、中心軸に沿って延び、ケーシング内のチャンバ内で移動可能なプランジャアセンブリと、引き込み注射器アセンブリと、を有する安全注射器が提供される。引き込み注射器アセンブリは、遠位に延在する複数のフィンガに面する作動面を有するスライダと、スライダ内で中心軸に沿って摺動するように構成された針座と、針座がスライダの遠位端を通って延びるように構成された遠位部分を有し、遠位部分がその中にフックを受け入れるように構成された1つ以上の半径方向開口を有し、針座に取り付けられ、かつ針座と共に移動するように構成された中空ニードルと、スライダと針座との間に配置され、かつ針座をスライダから離れる方向に付勢するように構成されたバネと、を有する。スライダは、作動面が1つ以上の半径方向開口からフックを変位させない第一スライダ位置と、作動面がフィンガの内面と干渉する第二スライダ位置との間で中心軸に沿って移動可能であり、それによってフックを1つ以上の半径方向開口から変位させる。
【0020】
いくつかの態様では、各フィンガは、遠位方向に中心軸から距離が減少する遠位に延びるテーパ内面部分を含む。
【0021】
いくつかの態様では、作動面は、テーパ面を含む。
【0022】
いくつかの態様では、スライダは、近位に面する肩部を有し、針座は、遠位に面する肩部を有し、バネは、近位に面する肩部と遠位に面する肩部との間に配置される。
【0023】
いくつかの態様では、プランジャアセンブリは、中空本体を有するプランジャと、中空本体内に配置されたプラグと、プランジャを取り囲み、ケーシングの内面に対してシールを形成するように延びるシールと、を含む。
【0024】
いくつかの態様では、プランジャの遠位端、プラグの遠位端、およびシールの遠位端は、集合的に(共同して)(collectively)、チャンバを連続的に横切って中心軸に垂直な平面内に延びる第一平面を形成し、スライダの近位端および針座の近位端は、集合的に、中空針への入口を除いて、チャンバを連続的に横切って中心軸に垂直な平面内に延びる第二平面を形成する。
【0025】
いくつかの態様では、プランジャアセンブリは、第一半径を有する第一領域、および第一半径より大きい第二半径を有する第二領域を有する内部通路を有するプランジャと、第一領域に摩擦係合する末端プラグ端部、第二領域に摩擦係合する近位プラグ端部、および遠位プラグ端部と近位プラグ端部との間に位置する中間領域を有するプラグと、を含み、中間領域のプラグの外面は、内側通路と接触しない。
【0026】
いくつかの態様では、プランジャアセンブリは、1つ以上の半径方向突起を有するプランジャを含み、ケーシングは、1つ以上の半径方向突起に係合してプランジャの近位ケーシング端部への移動を阻止するように構成されたロックを含む。
【0027】
いくつかの態様では、ロックは、ケーシングからプランジャに向かって延びる1つ以上のタブを含む。
【0028】
いくつかの態様では、1つ以上のタブは、プランジャが第一プランジャ位置から第二プランジャ位置まで遠位ケーシング端部に向かって遠位に移動することを可能にするが、プランジャが第二プランジャ位置から第一プランジャ位置まで遠位ケーシング端部から近位に移動するのを阻止する。
【0029】
いくつかの態様では、1つ以上のタブの各々は、遠位方向に対してプランジャに向かって先細になる。
【0030】
いくつかの態様では、ロックは、環状本体と、環状本体からプランジャに向かって延びる1つ以上のタブと、を含み、環状本体は、ケーシングの環状カップ部分内に保持される。
【0031】
いくつかの態様では、プランジャアセンブリは、プランジャアセンブリが第三プランジャアセンブリ位置にあるときに、ケーシングの環状カップ部分から突起する近位端を含む。
【0032】
いくつかの態様では、複数のフィンガは、3本のフィンガまたは4本のフィンガを含む。
【0033】
いくつかの態様では、1つ以上の半径方向開口は、環状溝を含む。
【0034】
いくつかの態様では、近位ケーシング端部から遠位ケーシング端部まで中心軸に沿って延びるケーシングと、中心軸に沿って延び、ケーシング内のチャンバ内で移動可能なプランジャアセンブリと、プランジャアセンブリの遠位端がチャンバを連続的に横切って中心軸に垂直な平面内に延びる第一平面を含み、ケーシングの遠位端に取り付けられた引き込み注射器アセンブリと、を有する安全注射器が提供され、引き込み注射器アセンブリは、中空針への入口を除いて、チャンバを連続的に横切って中心軸に垂直な平面内に延びる第二平面を含む。
【0035】
いくつかの態様では、プランジャアセンブリは、プランジャ、プラグおよびシールを含み、プランジャの遠位端、プラグの遠位端、およびシールの遠位端は、集合的に第一平面を形成する。
【0036】
いくつかの態様では、引き込み注射器アセンブリは、スライダおよび針座を含み、スライダの近位端および針座の近位端は、集合的に第二平面を形成する。
【0037】
いくつかの態様では、引き込み注射器アセンブリは、針座と、スライダと、針座とスライダとの間に配置され、かつ針座をスライダから離れる方向に付勢するように構成されたバネと、を含み、針座の遠位端は、1つ以上の半径方向開口を含み、ケーシングの遠位端は、1つ以上の半径方向開口に係合してバネの付勢に対抗し、針座がスライダから離れるのを防止するように構成された遠位に延びる複数のフィンガを含む。
【0038】
いくつかの態様では、遠位に延びるフィンガの各々は、ケーシングを完全に貫通する1対のスロットの間に画定される。
【0039】
いくつかの態様では、近位ケーシング端部から遠位ケーシング端部まで中心軸に沿って延びるケーシングと、中心軸に沿って延び、ケーシング内のチャンバ内で移動可能なプランジャアセンブリと、プランジャが、第一半径を有する第一領域および第一半径より大きい第二半径を有する第二領域を有する内部通路を有するプランジャを含み、第一領域に摩擦係合する末端プラグ端部、第二領域に摩擦係合する近位プラグ端部、および遠位プラグ端部と近位プラグ端部との間に位置する中間領域を有するプラグと、中間領域のプラグの外面が内側通路と接触せず、遠位ケーシング端部に取り付けられた引き込み注射器アセンブリと、を含む安全注射器が提供される。
【0040】
いくつかの態様では、引き込み注射器アセンブリは、針座と、針座をケーシングの遠位端から離れるように付勢するように構成されたバネと、を含む。
【0041】
いくつかの態様では、引き込み注射器アセンブリは、スライダを含み、バネは、スライダと針座との間に配置され、針座の遠位端は、1つ以上の半径方向開口を含み、ケーシングの遠位端は、1つ以上の半径方向開口に係合してバネの付勢に対抗し、針座がスライダから離れるのを防止するように構成された遠位に延びる複数のフィンガを含み、遠位に延びるフィンガの各々は、ケーシングを完全に貫通する1対のスロットの間に画定される。
【0042】
いくつかの態様では、第一領域は、中心軸に沿って第一距離だけ延び、第二領域は、中心軸に沿って第二距離だけ延び、スライダは、遠位に延びる複数のフィンガを1つ以上の半径方向開口から外すことによって、バネが針座をスライダから離れるように移動することを可能にするように中心軸に沿って所定距離だけ移動可能であり、第一距離および第二距離は所定の距離より小さい。
【0043】
いくつかの態様では、近位ケーシング端部から遠位ケーシング端部まで中心軸に沿って延びるケーシングと、中心軸に沿って延び、ケーシング内のチャンバ内で移動可能なプランジャアセンブリと、プランジャアセンブリが1つ以上の半径方向突起を含み、遠位ケーシング端部に取り付けられた引き込み注射器アセンブリと、1つ以上の半径方向突起に係合してプランジャの近位ケーシング端部への移動を阻止するように構成されたロックと、を含む安全注射器が提供される。
【0044】
いくつかの態様では、ロックは、ケーシングからプランジャに向かって延びる1つ以上のタブを含む。
【0045】
いくつかの態様では、1つ以上のタブは、プランジャが第一プランジャ位置から第二プランジャ位置まで遠位ケーシング端部に向かって遠位に移動することを可能にするが、プランジャが第二プランジャ位置から第一プランジャ位置まで遠位ケーシング端部から近位に移動するのを阻止する。
【0046】
いくつかの態様では、1つ以上のタブの各々は、遠位方向に対してプランジャに向かって先細になる。
【0047】
いくつかの態様では、ロックは、環状本体と、環状本体からプランジャに向かって延びる1つ以上のタブと、を含み、環状本体は、ケーシングの環状カップ部分内に保持される。
【0048】
いくつかの態様では、プランジャアセンブリは、プランジャアセンブリが第三プランジャアセンブリ位置にあるときに、ケーシングの環状カップ部分から突起する近位端を含む。
【0049】
本明細書に開示された上記の態様および装置を使用する方法はまた、本発明の範囲内にあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明の実施例は、添付の図面を参照して、厳密に例として以下に説明する。
【0051】
【
図1】
図1は従来技術における注射器の断面図である。
【
図4】
図4は別の従来技術における注射器の断面図である。
【
図5】
図5は本発明の態様を組み込んだ安全注射器の等角図である。
【
図8】
図8はプランジャアセンブリが第一位置にあり、引き込み注射器アセンブリが開始位置にある状態で示される
図5における安全注射器の断面図である。
【
図9】
図9はプランジャアセンブリが第三位置にあり、引き込み注射器アセンブリが作動位置にある状態で示された
図5における安全注射器の断面図である。
【
図10】
図10はプランジャアセンブリが第二位置にあり、引き込み注射器アセンブリが開始位置にある状態で示された
図5における安全注射器の断面図である。
【
図11】
図11はプラグが取り付けられた位置にある状態で示された
図5における安全注射器アセンブリの断面図である。
【
図12】
図12はプラグが取り外された状態で示された
図5における安全注射器アセンブリの断面図である。
【
図13】
図13はプランジャがロック位置に近づいている状態で示された
図5における安全注射器アセンブリの断面図である。
【
図14】
図14はプランジャがロック位置にある状態で示された
図5における安全注射器アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
次に、本発明の態様について詳細に説明する。本発明の実施例は、従来の装置で上記で特定された問題のすべてまたは一部を緩和または軽減することができるが、これは厳密には必要ではないことを理解されたい。実際に、本明細書に記載された発明は、上記の市販品との比較とは別個独立に利点がある。
【0053】
本明細書で使用するように、「近位」という用語は、使用中(すなわち、操作者に向かって)安全注射器の操作者により近い部分の位置を指し、「遠位」という用語は、使用中(すなわち、患者に向かって)患者に近い部分の位置を指す。「軸方向」および「縦方向」という用語は、安全注射器の近位端から遠位端への方向を指す。「半径方向」とは、軸方向に垂直な方向を指す。
【0054】
ここで
図5および6を参照し、安全注射器500の例示的な実施例を詳細に説明する。一般的に、安全注射器500は、ケーシング502と、ケーシング502内に嵌合するプランジャ504と、ケーシング502に嵌合された引き込み注射器アセンブリ506と、を有する。ケーシング502は、近位端508から遠位端510まで中心軸Cに沿って延びる外面502’および内面502’’によって形成された中空チャネルを含む。近位端508において、ケーシング502は、中空チャネル内に開口してプランジャ504を受け入れる環状カップ512を有する。近位端508はまた、使用中に操作者の指を受け入れる1つ以上の横方向に延びるグリップ514を含む。引き込み注射器アセンブリは、以下でより詳細に説明するように、遠位ケーシング端510に配置される。安全注射器500はまた、当技術分野で知られるように、ケーシング502の遠位端510に選択的に接続するキャップ516を含むことができる。
【0055】
プランジャ504は、軸線Cに対して遠位端518から近位端520まで延びるほぼ管状の中空本体を含む。プランジャ504は、好ましくは、プランジャ504、プラグ522およびシール524を含むプランジャアセンブリに組み立てられる。プラグ522は、開いた遠位端518でプランジャの中空本体に嵌合され、環状シールまたは1つ以上のOリングなどであり得るシール524は、遠位端518の外周に嵌合される。シール524は、ケーシング502の内面をシールおよび摺動するように寸法決めされ、プランジャ504がケーシング502の遠位端510に向かって遠位方向に押し込まれるとき、プラグ522およびシール524は共にケーシング502内の液体がプランジャ504を通ってまたはその周りを近位方向に通過することを防止する。カバー526は、プランジャ504の近位端520の上に設けられてもよい。
【0056】
プランジャ504は、近位端520に近い位置に1つ以上の半径方向突起528を含むことができる。図示された半径方向突起528は、プランジャの外面から半径方向に延びる環状リングを含むが、他の実施例は、1つ以上の別個のバンプ、リブなどを使用することができる。半径方向突起は、以下により詳細に説明するように、ケーシング502の環状カップ512内に固定されたロック530と協働する。
【0057】
ここでも
図7Aを参照し、引き込み注射器アセンブリ506のケーシング502への接続がより詳細に説明される。引き込み注射器アセンブリ506は、中空針532、針座534、スライダ536、およびバネ538を含む。針532は、摩擦嵌合または接着結合などによって針座534に固定される。針532の遠位端は鋭くされ、針532および針座534は、当技術分野で知られるように、液体薬剤を通す連続的な内部のカニューレ710を有する。針座534は、スライダ536内で摺動するように寸法決めされる。この目的のために、針座534の遠位部分700は、スライダ536の遠位開口702内に摺動可能に嵌合する第一直径を有する可能性があり、近位部分704は、スライダ536の本体内に摺動可能に嵌合する第二より大きな直径を有する可能性がある。バネ538は、圧縮状態で、針座534の遠位向き肩部706とスライダ536の近位向き肩部708との間の適所に捕捉される。したがって、バネ538は、針座534および取り付けられた針532をスライダ536から近位方向に押し離そうとする復元力を生成する。バネ538は、好ましくは、従来のバネ鋼またはステンレス鋼のような、圧縮状態での長期間の貯蔵中に復元力を保持する材料からなるコイルバネを含む。
【0058】
スライダ536は、ケーシング502の遠位端510の内側に配置される。図示の実施例では、ケーシング502の遠位端510は、線状内面部分712、および線状内面部分712から遠位方向に延びるテーパ内面部分714を含む。好ましい実施例では、線状内面部分712およびテーパ内面部分714は、ケーシング502の中心軸に沿って見たときに円形断面形状を有し、この場合、線状内面部分712は円筒形であり、テーパ内面部分714は円錐形である。しかしながら、これは厳密には要求されず、他の実施例は、正方形、長方形、六角形または他の断面形状を有することができる。テーパ付き内面部分714は、遠位方向に延びるにつれて、軸方向のサイズが小さくなる(すなわち、ケーシング502の中心軸Cからの距離が短くなる)。例えば、テーパ内面部分714は、線状内面部分712に接合する近位端に比較的大きな直径を有し、その遠位端に比較的小さな直径を有する切頭円錐形を含むことができる。テーパ内面部分714は、好ましくは、ケーシング502(例えば、
図7A参照)の長手方向軸に垂直に見て円錐形であるが、球形、放物線形状などの他の形状を使用してもよい。
【0059】
線状内面部分712は、好ましくは、線状内面部分712より大きな直径を有し得る薬液チャンバ720の遠位端に配置されるが、これは厳密には要求されない。
【0060】
テーパ内面部分714におけるケーシング502の遠位端510の部分は、ケーシング502の最遠位先端から近位に延びる1つ以上のスロット542によってフィンガ540(
図5)に分割される。スロット542は、ケーシング502の外面502’および内面502’’を通って延び、各フィンガ540は、テーパ内面部分714の一部を含む。フィンガ540およびスロット542は、ケーシング502の外側から見え、アクセス可能である。
【0061】
スロット542は、フィンガ540のサイズと比較して比較的狭く示されるが、これはすべての実施例において必ずしも必要ではない。例えば、フィンガ540は、隣接するフィンガ540間に比較的広いスロット542を有する狭い延長部を含むことができる。各フィンガ540は、ケーシング502の中心軸Cに向かって半径方向に延びるフック544まで遠位方向に延びる。好ましい実施例では、3つまたは4つのフィンガ540があるが、他の数を使用することもできる。
【0062】
スライダ536は、線状内面部分712内で摺動するように寸法決めされた外壁を有する。例えば、スライダ536は、ケーシング502の軸に沿って摺動移動を可能にするが、側方移動を防止する線状内面部分712に密接に嵌合する円筒形の外壁を有してもよい。スライダ536は、スライダ536の遠位端またはその近くに位置する作動面716を有する。スライダ536が
図7Aに示すような開始位置にあるとき、作動面716は、ケーシングのテーパ内面部分714に面し、テーパ内面部分714から離隔しているか、またはテーパ内面部分714と軽く接触する。
【0063】
針532、針座534、スライダ536、およびバネ538は、バネ538が圧縮され、かつ針座534がケーシング502の遠位端510から部分的に延びる状態で、ケーシング502内に取り付けられる。針座534とケーシング502の遠位端510との接合部において、針座534の遠位端700は、1つ以上のフック544を受け入れるように配置された1つ以上の半径方向開口722を含む。例えば、針座534は、針座534の周囲に部分的または全体的に延びる1つ以上の環状溝722の形態の開口722を含むことができる。溝722内のフック544によって、フック544は、針座534が近位方向に移動するのを防止する。したがって、フック544は、バネ538の付勢力に抗して、針座534および取り付けられた針532を所定の位置に保持する。
【0064】
フック544は、スライダ536を第一スライダ位置から第二スライダ位置に遠位方向に移動させることによって、溝722から係合解除される。このような移動により、作動面716は、テーパ内面部分714を押してフィンガ540および取り付けられたフック544を広げる。スライダ536が移動すると、フック544は、針座534から半径方向に離れる。そのような移動により、最終的には、フック544が溝722から引き込まれ、この時点でフック544はもはやバネ538の付勢力に対抗しない。
【0065】
作動面716およびフィンガ540の内面は、フィンガ540を針座534から離すように機能させる任意の適切な協働する形状を有し得ることを理解されたい。例えば、図示の実施例では、作動面716は、フィンガ540の先細の内面上で摺動するスライダ536の遠位端の全体の周りに延びる環状面を含む。環状表面は、フィンガ540のそれぞれと整列する別個の突起で置き換えてもよい。作動面716はまた、スライダ536の遠位端に配置してもよく、または遠位端から近位方向にオフセットしてもよい。作動面716は、図示のように、スライダ536の軸に垂直に延びる遠位壁の外側リムを含むことができ、または、スライダ536が遠位方向に前進されるときにフィンガ540を外側に押すように構成される限り、円錐面、半球面などを含むことができる。
【0066】
作動面およびフィンガ540の内面は、半径方向開口722からフック544を駆動するために協働する他の代替形状を有してもよいことも想定される。例えば、
図7Bは、作動面716が遠位方向(例えば、円錐形、半球状など)で内向きに先細になる表面を含み、フィンガ540が半内向き径方向段差724を含む代替の実施例を示す。半径方向内向き段差724に対するテーパ作動面716の移動は、フィンガ540を半径方向外側に撓ませてフック544を半径方向開口722から解放する。さらに他の実施例では、内向き半径方向段差724は、曲面、テーパ面などで置き換えてもよい。作動面716は、フィンガ540の任意の部分に作用し得ることも理解されたい。例えば、作動面716は、(図示のように)フック544から離隔したフィンガ540の内面の一部、またはフック544に隣接して位置する内面の一部に作用してもよい。本開示を考慮すれば、他の代替および変形が当業者には明らかである。
【0067】
スライダ536の遠位移動は、プランジャ504をスライダ536に押し付けることによって達成される。この目的のために、スライダ536の近位端718は、線状内面部分712から液体薬剤チャンバ720内に延び、それはプランジャ504の遠位端518に接触することができる。
図7Aに示すように、プランジャ504の遠位端518は、スライダ536の近位端718に接触するように構成された遠位対向面を含む。特に、プランジャ504の遠位端518は、スライダ536と接触するような形状であり、プラグ522は、針座534と接触するように配置される。例えば、プランジャ504の遠位端518は、針座534に接触することなく、スライダ534の同様の形状の近位端に接触するような形状の環状リングを含むことができる。
【0068】
図8および
図9は、引き込み注射器アセンブリ506の動作をより詳細に示す。
図8において、プランジャアセンブリ(すなわち、プランジャ504、プラグ522およびシール524)は、薬液がチャンバ720内に保持される第一位置で始まる。力Fは、プランジャアセンブリをケーシング502に対して遠位に引き込み注射器アセンブリ506に向かって移動するように加えられ、反対の力Rがグリップ514に対して加えられてケーシング502を所定の位置に保持する。プランジャアセンブリが第二位置に達すると、プランジャ504の遠位端518は、引き込み注射器アセンブリ506、特にスライダ536に接触する(
図10参照)。次いで、プランジャアセンブリ(またはプラグ522以外の部分)は、プランジャ504がスライダ536を遠位に遠く変位させてフィンガ540がフック544を環状溝722から完全に引き出すのに十分に遠くに移動させる第三位置まで遠位に移動する。第二と第三プランジャアセンブリ位置との間のこの過渡期間中、フック544は、針座534がスライダ536と共に遠位に移動するのを防止し、このようにプランジャ504が遠位に前進するときに針座534は所定の位置に保持する。これにより、針座534がスライダ536から基端方向に突起してプラグ522を押圧する。一定量のこの移動の後、プラグ522は、プランジャ504の内部との摩擦係合から緩められる。プランジャ504がスライダ536を遠位に移動し続けると、フック544は、最終的に環状溝722から解放され、このとき、
図10に示すように、バネ538は、針座534および針532ならびに緩められたまたは解放されたプラグ522を近位方向に押してプランジャ504内で安全に収縮させる。したがって、プランジャ504が遠位方向に移動すると、フック544が環状溝722を解放させ、プラグ522が、バネ538が針532を安全注射器500内に完全に引っ込めることを可能にするプランジャ504から解放させることを理解されたい。
【0069】
前述の構成は、従来の注射器引き込み機構を超えるいくつかの利点を提供することが期待される。第1に、注射器500の遠位端510にスロット542を設けることによるフィンガ540およびフック544の構成は、
図4に示され、国際公開2017/079811に記載される装置のように、注射器ケーシング内に封入された保持機構を形成するよりも、著しく達成しやすい。特に、フィンガ540、スロット542およびフック544は、単純な2部品射出成形装置を使用して形成することができる。第2に、フィンガ540およびフック544をケーシング502の外部の一部として設けることにより、製造プロセスの品質を容易に監視することができる。第3に、フック544が環状溝722から解放されない場合、操作者は手動でフック544を引き込んで針532を(例えば、対象物をスロット542に挿入して指540を押し離すことによって)引き込ませる。第4に、装置の安全性を向上させる注射器500を使用する前に、フック544が環状溝722内に適切に挿入されることを確実にするために、最終使用者が安全注射器500を検査することができる。
【0070】
例示的な実施例におけるフック544は、フック544が環状溝722から外れるために移動しなければならない方向に垂直な主軸(その長さに沿って少なくとも1つの位置に)、および移動方向に平行な短軸(環状溝722から半径方向に離れる必要な移動方向に)を有するフィンガ540の端部に形成することができることにも注意されたい。したがって、フィンガ540は、フック544を環状溝722から解放するのに必要な方向への曲げに対する抵抗が比較的少ないが、誤った引き込みを防止するためにフック544と環状溝722との間に強い接続を提供する。したがって、例示的な実施例などの実施例は、従来の注射器と同じ方法で使用することができる。例えば、実施例は、針532を誤って引き込ませることなく、従来の薬瓶のゴムストッパを突き刺すために使用することができる。
【0071】
本開示から、フィンガ540の正確な形状は、フィンガ540の撓み特性を変更して装置の人間工学的操作を微調整するように変更することができることを理解されたい。例えば、フィンガ540を軸方向に厚くすることは、フック544を外すために必要な力の量を増加させることができ、逆もまた同様である。フィンガ540はまた、「リビングヒンジ」として作用してフィンガ540がピボットするより離散した位置を提供する狭窄部分を含むことができる。本開示を考慮すれば、他の代替および変形が当業者には明らかである。これにより、安全注射器500は、プランジャ504を摺動させるかまたは全体的な人間工学的性能を向上させる引き込み注射器アセンブリ506を作動させるのに必要な力の大きさを大幅に変化させることなく円滑な動作を提供するように構成することができる。
【0072】
対照的に、
図4およびWO2017/079811に示される装置は、解放方向に平行な主軸を有する保持機構を有し、これは、針座を解放するために本質的に比較的大きな力が必要であることを意味する。このような力は、注射器の人間工学的使用を少なくする可能性があり、このような装置の製造者は、保持機構を特に薄くして操作力を減少させ、部品を品質管理しにくくし、誤った解放を起こしやすくし、信頼性を低減させると考えられる。このような装置は、誤った引き込みを伴わずにゴム製薬瓶のストッパを穿孔しにくいため、従来の注射器としての使用には適していない。
【0073】
また、比較すると、
図1~3に示す装置は、固定スリーブ112を使用して針を、そのような装置の機能性を制限する適所に保持する。特に、固定スリーブは、通常の使用中に固定スリーブを移動させることを特に困難にすることなく、ゴム薬瓶のストッパを穿孔するときに生成されるような大きな力に抵抗することができない。したがって、このような装置は、人間工学(すなわち、滑らかで弱い動作)または従来の注射器として動作してゴムストッパ等を穿刺するための能力のいずれかを犠牲にする。
【0074】
好ましい実施例では、引き込み注射器アセンブリ506の近位端およびプランジャアセンブリの遠位端は、薬液チャンバ720の断面全体にわたって延びる概ね一致する平坦面として形成される。例えば、図示の実施例では、スライダ536の近位端は平坦であり、かつチャンバ720の内壁まで延びる半径方向に延びる部分を有し、それによって、スライダ536はT字形状であり、針座534は平坦でスライダ536と面一であり、それによって、組み立てられた部品の近位端は、中心軸Cに垂直な平面内に延びるチャンバ720を横断する(カニューレ710への開口を除いて)連続した平面を形成する。同様に、プランジャ504、プラグ522、およびシール524の遠位端はすべて、概して平坦であり、中心軸Cに垂直に延びる共通の平面内にあり、チャンバ720全体を横切って延びる連続面を形成することもできる(シール524は、スライダ536に対する適切な密封を保証するために、プランジャ504から遠位方向にわずかに突起してもよい)。
図10に示すように、この構成は、プランジャ504がスライダ536と係合するときのチャンバ720内の容積を最小にし、それにより注入中の薬液の損失を最小にする。平坦な整合面の使用は、特に、より大きい体積の失われた流体を許容することができる凸状および凹状の形状に一致する場合と比較して、表面間に可能な限り小さな容積を提供することも理解されたい。
【0075】
上に示したように、安全注射器500を作動させるのに必要な作業の量を低減することによって、安全注射器500の人間工学的品質を改善できることが期待される。操作の一態様は、針座534および針532が引き込むことを可能にするように、プラグ544をプランジャ504から解放するために必要な力に関する。従来の装置(例えば、米国特許No.6,572,584参照)において、プラグの近位端の広がった部分でプラグ(42)がプランジャ(32)内に保持され、プラグの遠位端は、遠位に突出し、プランジャと接触しない。このような装置では、プラグは、プラグの連続的な長さに沿ってプランジャと摩擦係合される。したがって、プラグが解放される前に、摩擦接続領域の全長に沿ってプラグを連続的に押す必要があり、そのため、より多くの作業が必要となり、注射器の操作が比較的困難になる可能性がある。
【0076】
この問題に対処するために、実施例は、
図11および12に示すように、プラグ522とプランジャ504との間の段差接続を含むことができる。この例示的な実施例では、プランジャ504の内側通路1102は、プランジャ518の遠位端に第一直径D
1を有する第一領域1104、および第一領域1104から近位方向に所定の長さL
1に位置し、かつ第二直径D
2を有する第二領域1106を含む。内側通路1102は、第二領域1106の近位端で第三直径D
3に延び、第三直径D
3は第二直径D
2より大きい。したがって、内側通路1102は3つの「段差」を有し、各段差は隣接する遠位段差より大きな直径を有する。これらの段差は離散的であってもよい(すなわち、中心軸に垂直に延びる壁によって形成され、またはそれらはテーパまたは他の形状を有してもよい)。
【0077】
同様に、プラグ522は、第一直径D1と摩擦係合する外径を有する遠位端1108、および第二直径D2と摩擦係合する外径を有する近位端1110を有する。摩擦係合を得るために、プラグ522は、エラストマーまたは他の弾性材料を含むことができ、第一領域1104および第二領域1106に対応する位置におけるプラグ522の直径は、摩擦嵌合を提供するために、それぞれ第一および第二直径D1、D2よりわずかに大きくてもよい。プラグ522はまた、遠位端1108と近位端1110との間に位置する中間領域1112を有し、プラグ522の直径は、通路1102の隣接部分の直径より小さく、それによって、中間領域1112内の通路1102とプラグ522との間には接触がない。中間領域1112は、通路1102の第一領域1104と第二領域1106との間の長さL1に対応する軸方向の長さを有する。したがって、プラグ522は、プラグ522の遠位端1108およびプラグ522の近位端1110において通路1102に摩擦的に接続されるが、中間領域1112では摩擦的に接続されない。
【0078】
中間領域1112は、任意の適切な形状を有することができる。例えば、図示の実施例では、中間領域1112は、第一直径D1とほぼ等しい連続的な直径を有し、プラグの中間領域1112に隣接する通路1102の部分は、第二直径D2に等しい直径を有する。他の例では、他の相対的な形状が使用されてもよい。例えば、プラグ522の中間領域1112は、第一直径D1から第二直径D2まで近位方向に先細になることができる。別の例として、中間領域1112は、第一直径D1にほぼ等しい連続的な直径を有し、隣接する通路壁1102は、第一直径D1から第二直径D2に向かって先細になる。本開示を考慮すれば、他の代替および変形が当業者には明らかである。
【0079】
この接続は、保持注射器アセンブリ506を作動させるために必要とされる解放作業プロファイルに関して利点を提供することが期待される。プラグとプランジャとの間に単一の接続領域を有する従来の装置では、プラグを解放する前に、プラグを接続領域の全長に沿って押す必要がある。対照的に、上述したプラグ522は、第一領域1104の長さと第二領域1106の長さとの合計に等しい総接続領域長を有するが、プラグ522は、摩擦接続領域1104および1106の全長未満の移動で、通路1102との摩擦接続から完全に解放される。例えば、第一および第二領域1104、1106の軸方向長さが等しい実施例では、プラグ522は、全摩擦接続長さの半分に等しい距離を移動すると同時に、領域1104、1106の両方から解放される。したがって、プラグとプランジャとの間の接続の所与の長さに対して、
図11および12に示すような実施例を解放するために必要な作業量は、プランジャとの摩擦接触の単一の連続領域を有する従来のプラグを解放するのに必要な作業量よりも少ない(わずかに半分である)。これにより、安全注射器500をより使いやすくし、患者の経験を改善することが期待される。
【0080】
図11および12に示すようなプラグ522と通路1102との間の2つの別個の摩擦接続の使用は、より大きな横方向安定性を提供し、プラグ522が通路1102を塞ぐように回される可能性を低減させる。
【0081】
中間領域1112のサイズは、解放動作プロファイルを最適化または改善するように選択され得るが、プラグ522が針の引き込み中に詰まった位置にねじれたり回転したりしないように、プラグ522を十分に長く保持したいという要望も考慮する。好ましい実施例では、中間領域は、プラグ522の全長の50~85%、より好ましくは、プラグ522の全長の60~75%、さらに好ましくは、プラグ522の全長の約65~70%に等しい。また、第一および第二接続領域1104および1106の縦方向の長さ(すなわち、軸方向の長さ)は同じであることが好ましいが、これはすべての実施例において厳密には要求されない。
【0082】
摩擦接続領域1104、1106のサイズは、好ましくは、軸方向における一方または両方の領域1104、1106の最大長さが、フック544を環状溝722から外すためにスライダ536が移動するのに必要な距離に等しいかそれよりも小さいように選択される。例えば、
図9に示すように、フック544が環状溝722を塞ぐ前に、スライダ536をケーシング502に対して作動距離L
Aだけ移動させる必要がある。スライダ536が作動距離L
Aに達すると、プラグ522がプランジャ504から完全に解放されることが好ましい。したがって、軸方向の長さが作動距離L
A以下である摩擦接続領域1104、1106を形成することにより、プラグ522をプランジャ504から解放するために、ケーシング502に対するプランジャ504のさらなる遠位移動が必要でないことが保証され得る。
【0083】
前述の特徴が望ましいが、すべての実施例において厳密に必要ではないことを理解されたい。例えば、摩擦接続領域1104、1106の一方または両方の軸方向長さが作動距離LAより大きい場合、プラグ522は、プランジャ504から十分に解放され、残りの接続力がバネ538によって克服されるか、または解放力Fの操作者の継続的な適用によって容易に克服され得る。
【0084】
ここで、
図13および14を参照し、実施例は、引き込み注射器アセンブリ506が作動されて針532を引き戻した後に、プランジャ504をロックする機構も含むことができる。例えば、上述したように、プランジャ504は、プランジャ504が引き込み注射器アセンブリ506を作動させるのに十分に遠くに移動したときに、ロック530によって捕捉される1つ以上の半径方向突起528を含むことができる。図示の例では、ロック530は、プランジャ504を囲み、ケーシング502の近位端に形成された環状カップ512内にぴったりと嵌合する環状本体1302を含む。1つ以上のタブ1304は、環状本体1302からプランジャ504に向かって延びる。タブ1304は、プランジャ504がケーシング502に対して移動すると、半径方向突起528と干渉するように配置される。例えば、半径方向突起528は、プランジャ504の軸から第一距離だけ延び、タブ1304は、第一半径方向距離内に位置するタブ端部1306まで延びることができる。したがって、タブ1304と半径方向突起との間の接触は、プランジャ504がケーシング502に対して移動することを禁止するかまたは防止する。
【0085】
タブ端部1306および半径方向突起528の位置は、プランジャ504が遠位方向に十分に移動したときにタブ端部1306の遠位対向側部が突起528の近位対向側部に係合するように選択されて、引き込み注射器アセンブリ506を作動させる。したがって、針532がプランジャ504内に引き込まれると、プランジャ504はケーシング502から引き込むことができない。これは、プランジャ504の動作が誤って針532を露出させることを防止することによって、安全性の追加の尺度を提供する。図示された例では、プランジャアセンブリを第三位置に移動すると直ちに係合するようにタブ端部1306および半径方向突起528が配置され、針532を引き込ませ、したがって、ロック530は、プランジャアセンブリが第三位置から第二位置および第一位置に移動することを防止する。他の場合には、ロック530は、プランジャ504がいくらか少量で引き抜かれるが、針532が露出する可能性のある蓋然性があるほど十分には引き抜かれないように構成することができる。例えば、ロック530は、プランジャ504が第二プランジャアセンブリの位置に戻るが、開始位置まで完全に移動することができないように構成することができる。
【0086】
タブ1304および半径方向突起528のために、任意の適切な構成を使用することができる。好ましい実施例では、タブ1304および突起528は、プランジャ504がケーシング502に対して移動する方向に依存して、異なる係合特性を有するように構成される。特に、プランジャ504がケーシング502に対して遠位方向に移動しているときに突起528がタブ1304を過ぎて容易に移動することが望ましいが、プランジャ504がケーシング502に対して近位方向に移動するときに、突起528はタブ1304を越えて移動することができない(少なくとも実質的に問題なし)。図示の例では、そのような異なる力の特性は、タブ1304を遠位方向に関してプランジャ504に向かって先細になるように配向することによって得られる。この構成により、突起528は、タブ1304のテーパ面に沿って摺動して、プランジャ504が遠位に移動するときにタブ1304をプランジャ504から半径方向に穏やかに押し出すための半径方向外向きの力を生成する。しかしながら、プランジャ504が近位に移動すると、突起528は、タブ1304の遠位面に接触し、それによって、突起528とタブ1304との間の力は、移動方向と平行に配向され、したがって、タブ1304が突起528のさらなる移動を防止するようにする。
【0087】
同様の差分力プロファイルを得るために代替の構成を使用してもよいことは理解されたい。例えば、タブ1304は、単純な半径方向突起(すなわち、図示のように遠位方向に先細になっていない)を含むことができ、突起528は、近位方向に外向きに先細になる可撓性フィンガを含むことができる。したがって、プランジャ504が遠位に移動すると、突起528がプランジャ504に向かって屈曲してタブ1304を通過するが、プランジャ504がタブ1304を通過するときにプランジャ504から離れる方向に跳ね返って引き込み注射器アセンブリ506が作動した後に操作者がプランジャ504を近位に引っ張るのを防止する。本開示を考慮すれば、他の代替および変形が当業者には明らかである。
【0088】
ロック530は、部品を形成する任意の適切な方法を使用してケーシング502に取り付けることができる。図示の実施例では、ロック530は、環状カップ512の近位端に形成された内側半径方向リップ1308によって環状カップ512内の適所に保持される別個の部分である。他の実施例では、ロック530は、接着結合、熱ステーキング、ファスナ、摩擦嵌合などによって保持されてもよい。さらに他の実施例では、ロック530は、ケーシング502と一体に形成されてもよい。例えば、タブ1304は、環状カップ512と一体的に形成されてもよく、その場合、環状本体1302は省略されてもよい。環状本体1302がタブ1304を一緒に結合することを必要とすることなく、タブ1304を環状カップ512に直接取り付けることもできることも想定される。例えば、1つ以上のタブ1304は、加熱カップリングされてもよいし、別個の位置で環状カップの内側に超音波溶接されてもよい。本開示を考慮すれば、他の代替および変形が当業者には明らかである。
【0089】
上記のようなロック530の使用はまた、安全注射器500の人間工学的な動作に関して利点を提供することが期待される。特に、このようなロックは、プランジャ504の近位端とグリップ514の遠位面との間の任意の所望の距離DXで安全注射器500を作製することを可能にする。例えば、この距離は、国際標準化機構標準ISO7886などの推奨標準に準拠するように選択することができる。この距離を所定の最小距離以上にすることにより、装置の操作が容易になり、患者にとってより快適になる。これはまた、引き込み注射器アセンブリ506が作動された後に、プランジャ504の近位端が環状カップ512から延びるように装置を製造することを可能にする。
【0090】
比較すると、
図1~3に示されるもののような装置は、プランジャ102の近位端部126を環状カップ130に埋め込むことに依存して使用後の後の除去を防止する。これは、操作者の親指をグリップ128に比較的接近させ、操作者および患者にとって装置の快適さが低減する。
【0091】
本明細書に記載の本発明の実施例は、任意の適切な技術を使用して構成することができ、任意の適切な材料を含むことができることを理解されたい。例えば、針532およびバネ538は、金属であってもよく、残りの部分は、射出成形または他の技術を用いてプラスチックまたはエラストマー材料で形成されてもよい。また、部品は、任意の数のサブアセンブリから構成されてもよいことも理解されたい。例えば、ケーシング502は、一緒に取り付けられる複数の部品(例えば、遠位端510は、近位端から別個に作製される)として製造されてもよい。
【0092】
本開示は、単独で、または互いに組み合わせて、または他の技術と組み合わせて使用され得る複数の本発明の特徴および/または特徴の組み合わせを記載する。本明細書に記載された実施例はすべて例示的なものであり、請求項の範囲を限定するものではない。また、本明細書に記載された発明は、様々な方法で修正され、適合されてもよく、そのような修正および適合はすべて、本開示の範囲および添付の請求項の範囲に含まれることが意図されることも理解されたい。