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特許7178103無機成形体製造用組成物、無機成形体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】無機成形体製造用組成物、無機成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/14 20060101AFI20221117BHJP
   C03B 19/01 20060101ALI20221117BHJP
   C03C 12/00 20060101ALI20221117BHJP
   C03C 17/30 20060101ALI20221117BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20221117BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221117BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20221117BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
C04B35/14
C03B19/01
C03C12/00
C03C17/30 Z
B33Y70/00
B33Y10/00
B29C64/106
B28B1/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019525704
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2018023813
(87)【国際公開番号】W WO2018235943
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2017122965
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】藤野 茂
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-143247(JP,A)
【文献】特開2000-119373(JP,A)
【文献】国際公開第2016/140316(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/064696(WO,A1)
【文献】特開2008-189530(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106431367(CN,A)
【文献】特開平11-300838(JP,A)
【文献】MACIEJ WOZNIAK et al.,Rheology of UV curable colloidal silica dispersions for rapid prototyping applications,JOURNAL OF THE EUROPEAN CERAMIC SOCIETY,2011年05月25日,vol. 31, no. 13,pages 2221 - 2229
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84
C03B 19/01,20/00
C03C 12/00
C03C 17/30
B33Y 10/00,70/00
B29C 64/106,67/00
B28B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機粒子と、光硬化性樹脂組成物とからなる無機成形体製造用樹脂組成物であって、
前記無機粒子は、非晶質SiO からなる粒子本体と、前記粒子本体の表面の少なくとも一部を覆い、シランカップリング剤を形成材料とする表面処理層と、を有する粒子であり、
前記シランカップリング剤は、官能基としてアクリル基又はメタクリル基を有し、
前記光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂前駆体と、光重合開始剤とからなり
前記光硬化性樹脂前駆体は、アクリル系モノマー又はオリゴマーであり、
前記無機粒子の含有率は、前記光硬化性樹脂組成物と前記無機粒子との合計に対し60質量%以上、かつ前記無機成形体製造用樹脂組成物の全体に対し60質量%以上であり、
測定温度30℃において粘度計(SV-10、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて測定した前記無機成形体製造用樹脂組成物の粘度が10000mPa・s以下である無機成形体製造用組成物。
【請求項2】
分散媒をさらに有する請求項1に記載の無機成形体製造用組成物。
【請求項3】
前記分散媒は、有機溶媒である請求項2に記載の無機成形体製造用組成物。
【請求項4】
無機粒子と、光硬化性樹脂組成物とからなる無機成形体製造用樹脂組成物であって、
前記無機粒子は、非晶質SiO からなる粒子であり、
前記光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂前駆体と、光重合開始剤とからなり、
前記光硬化性樹脂前駆体は、アクリル系モノマー又はオリゴマーであり、
前記無機粒子の含有率は、前記光硬化性樹脂組成物と前記無機粒子との合計に対し60質量%以上、かつ前記無機成形体製造用樹脂組成物の全体に対し60質量%以上であり、
前記光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、前記無機粒子の溶解度パラメータとの差の絶対値が4以下であり、
測定温度30℃において粘度計(SV-10、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて測定した前記無機成形体製造用樹脂組成物の粘度が10000mPa・s以下である無機成形体製造用組成物。
【請求項5】
分散媒をさらに有し、
前記分散媒は、有機溶媒のみからなる請求項4に記載の無機成形体製造用組成物。
【請求項6】
レーザー回折・散乱法により測定した平均粒子径が1nm以上50nm以下であるナノ粒子をさらに含む請求項1から5のいずれか1項に記載の無機成形体製造用組成物。
【請求項7】
前記無機粒子は、球状である請求項1から6のいずれか1項に記載の無機成形体製造用組成物。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の無機成形体製造用組成物に光を照射して、前記無機粒子と光硬化性樹脂とを含む第1成形体を形成する工程と、
前記第1成形体を焼成して前記光硬化性樹脂を除去し、前記無機粒子を形成材料とする第2成形体を形成する工程と、
前記第2成形体を焼結する工程と、を有する無機成形体の製造方法。
【請求項9】
前記無機成形体製造用組成物の粘度が5000mPa・s以上10000mPa・s以下であり、
前記第1成形体を形成する工程は、前記無機成形体製造用組成物を選択的に塗布し前記無機成形体製造用組成物のパターンを形成する工程と、
前記無機成形体製造用組成物のパターンに前記光を照射し、前記パターンの形状を有する硬化物を形成する工程と、を有し、
前記パターンを形成する工程と、前記硬化物を形成する工程とを交互に行うことで、前記硬化物の積層体として前記第1成形体を形成する請求項に記載の無機成形体の製造方法。
【請求項10】
前記無機成形体製造用組成物の粘度が5000mPa・s未満であり、
前記第1成形体を形成する工程は、前記無機成形体製造用組成物に選択的に前記光を照射し、前記無機成形体製造用組成物の硬化物のパターンを形成する工程と、
前記硬化物のパターンの表面に前記無機成形体製造用組成物を供給する工程と、を有し、
前記パターンを形成する工程と、前記無機成形体製造用組成物を供給する工程とを交互に行うことで、前記硬化物の積層体として前記第1成形体を形成する請求項に記載の無機成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機成形体製造用組成物、無機成形体の製造方法に関するものである。
本願は、2017年06月23日に出願された日本国特願2017-122965号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器、医療、自動車などの様々な分野において、安価且つ高機能な透明部材が検討されている。透明部材の形成材料としては、透明性を有する高分子材料や、ガラスに代表される無機材料を挙げることができる。
【0003】
このうち、高分子材料は、製造プロセスが容易であり、種々の形状の部材を容易に形成可能であるという特徴を有している。一方で、一般に高分子材料は、透明性において無機材料に劣る。また、高分子材料は、一般に耐熱性、耐薬品性などの耐久性においても無機材料に劣っている。そのため、近年では、高分子材料を用いて形成されていた透明部材を、無機材料を形成材料とする透明部材に置き換えることが求められている。無機材料を形成材料とする透明部材は、高分子材料を形成材料とする部材と比べ、より高性能な部材となることが期待できる。
【0004】
無機材料を用いた透明部材の検討においては、無機材料を用いて種々の形状の部材を形成する必要が生じる。無機材料を形成材料とし、所望の形状を有する立体形状物を形成する方法としては、例えば、光硬化性樹脂に無機系微粒子を分散させた組成物を用い、公知の光造形法を利用して、所望の立体形状を造形する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-143247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、無機系微粒子としてセラミックス粉末を用い、得られた立体形状物を焼成することで、セラミックス焼成体が得られることは記載されている。しかし、特許文献1には、透明性を有する立体形状物を成形する方法は記載が無い。一般に、セラミックス粉末を焼結して得られる焼結体に光を照射すると、焼結体内部の粒界における散乱や、焼結体内部の空孔や異相による散乱に起因して、不透明な成形体となる。このことから、特許文献1に記載の方法では、十分な透明性を有し、かつ所望の形状を有する透明部材を形成することはできないと考えられる。
【0007】
そのため、無機材料を形成材料とする透明部材を容易に形成可能な材料や製造方法が求められていた。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、無機材料を形成材料とする透明部材の原料として好適に用いられ、所望の形状の透明部材を容易に形成可能な無機成形体製造用組成物を提供することを目的とする。また、無機材料を形成材料とし、所望の形状の透明部材を容易に形成可能な無機成形体の製造方法を提供することを併せて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は以下のとおりである。
[1]無機粒子と、光硬化性樹脂組成物と、を備え、前記無機粒子は、非晶質の無機材料を主成分とする粒子本体と、前記粒子本体の表面の少なくとも一部を覆う表面処理層と、を有し、前記非晶質の無機材料は、非晶質SiOを含み、前記光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂前駆体と、光重合開始剤とを有し、前記無機粒子は、前記光硬化性樹脂組成物と前記無機粒子との合計に対し、60質量%以上含まれる組成物を提供する。
【0010】
[2]無機粒子と、光硬化性樹脂組成物と、を備え、前記無機粒子は、非晶質の第1無機材料と、結晶質の第2無機材料とを含む粒子本体と、前記粒子本体の表面の少なくとも一部を覆う表面処理層と、を有し、前記非晶質の第1無機材料は、非晶質SiOを含み、前記結晶質の第2無機材料は、結晶子径が50nm以下であり、前記光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂前駆体と、光重合開始剤とを有し、前記無機粒子は、前記光硬化性樹脂組成物と前記無機粒子との合計に対し、60質量%以上含まれる組成物を提供する。
【0011】
[3]本発明の一態様においては、前記表面処理層は、シランカップリング剤を形成材料とする[1]または[2]に記載の構成としてもよい。
【0012】
[4]本発明の一態様においては、前記無機粒子は、球状である[1]から[3]のいずれか1項に記載の構成としてもよい。
【0013】
[5]本発明の一態様においては、前記粒子本体は、形成材料としてTiOおよびAlのいずれか一方または両方を含む[1]から[4]のいずれか1項に記載の構成としてもよい。
【0014】
[6]本発明の一態様においては、前記光硬化性樹脂前駆体は、アクリル系モノマーである[1]から[5]のいずれか1項に記載の構成としてもよい。
【0015】
[7]本発明の一態様においては、分散媒をさらに有する[1]から[6]のいずれか1項に記載の構成としてもよい。
【0016】
[8]本発明の一態様においては、前記分散媒は、有機溶媒である[7]に記載の構成としてもよい。
【0017】
[9]上記の組成物に光を照射して、前記無機粒子と光硬化性樹脂とを含む第1成形体を形成する工程と、前記第1成形体を焼成して前記光硬化性樹脂を除去し、前記無機粒子を形成材料とする第2成形体を形成する工程と、前記第2成形体を焼結する工程と、を有する無機成形体の製造方法を提供する。
【0018】
[10]本発明の一態様においては、前記組成物の粘度が5000mPa・s以上であり、前記第1成形体を形成する工程は、前記組成物を選択的に塗布し前記組成物のパターンを形成する工程と、前記組成物のパターンに前記光を照射し、前記パターンの形状を有する硬化物を形成する工程と、を有し、前記パターンを形成する工程と、前記硬化物を形成する工程とを交互に行うことで、前記硬化物の積層体として前記第1成形体を形成する[9]に記載の製造方法としてもよい。
【0019】
[11]本発明の一態様においては、前記組成物の粘度が5000mPa・s未満であり、前記第1成形体を形成する工程は、前記組成物に選択的に前記光を照射し、前記組成物の硬化物のパターンを形成する工程と、前記硬化物のパターンの表面に前記組成物を供給する工程と、を有し、前記パターンを形成する工程と、前記組成物を供給する工程とを交互に行うことで、前記硬化物の積層体として前記第1成形体を形成する[9]に記載の製造方法としてもよい。
【0020】
すなわち、上記の課題を解決するため、本発明の一態様は以下のとおりである。
【0021】
[1]非晶質SiOを含む無機粒子と、光硬化性樹脂組成物とを備えた無機成形体製造用樹脂組成物であって、前記光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂前駆体と、光重合開始剤とを有し、前記無機粒子の含有率は、前記光硬化性樹脂組成物と前記無機粒子との合計に対し60質量%以上、かつ前記無機成形体製造用樹脂組成物の全体に対し60質量%以上であり、粘度が10000mPa・s以下である無機成形体製造用組成物。
【0022】
[2]前記無機粒子は、非晶質の無機材料を主成分とする粒子本体と、前記粒子本体の表面の少なくとも一部を覆う表面処理層と、を有し、前記非晶質の無機材料は、非晶質SiOを含む[1]に記載の無機成形体製造用組成物。
【0023】
[3]前記無機粒子は、非晶質の第1無機材料と、結晶質の第2無機材料とを含む粒子本体と、前記粒子本体の表面の少なくとも一部を覆う表面処理層と、を有し、前記非晶質の第1無機材料は、非晶質SiOを含み、前記第2無機材料は、結晶子径が50nm以下である[1]に記載の無機成形体製造用組成物。
【0024】
[4]前記表面処理層は、シランカップリング剤を形成材料とする[2]または[3]に記載の無機成形体製造用組成物。
【0025】
[5]前記無機粒子は、非晶質SiOを主成分とし、前記光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、前記無機粒子の溶解度パラメータとの差の絶対値が4以下である[1]に記載の無機成形体製造用組成物。
【0026】
[6]前記無機粒子は、非晶質SiOである第1無機材料と、結晶質の第2無機材料とを含み、前記第2無機材料の結晶子径が50nm以下であり、前記光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、前記無機粒子の溶解度パラメータとの差の絶対値が4以下である[1]に記載の無機成形体製造用組成物。
【0027】
[7]前記無機粒子は、球状である請求項1から5のいずれか1項に記載の無機成形体製造用組成物。
【0028】
[8]前記無機粒子は、形成材料としてTiOおよびAlのいずれか一方または両方を含む[1]から[7]のいずれか1項に記載の無機成形体製造用組成物。
【0029】
[9]前記光硬化性樹脂前駆体は、アクリル系モノマーである[1]から[8]のいずれか1項に記載の無機成形体製造用組成物。
【0030】
[10]分散媒をさらに有する[1]から[9]のいずれか1項に記載の無機成形体製造用組成物。
【0031】
[11]前記分散媒は、有機溶媒である[10]に記載の無機成形体製造用組成物。
【0032】
[12][1]から[11]のいずれか1項に記載の無機成形体製造用組成物に光を照射して、前記無機粒子と光硬化性樹脂とを含む第1成形体を形成する工程と、前記第1成形体を焼成して前記光硬化性樹脂を除去し、前記無機粒子を形成材料とする第2成形体を形成する工程と、前記第2成形体を焼結する工程と、を有する無機成形体の製造方法。
【0033】
[13]前記無機成形体製造用組成物の粘度が5000mPa・s以上10000mPa・s以下であり、前記第1成形体を形成する工程は、前記無機成形体製造用組成物を選択的に塗布し前記無機成形体製造用組成物のパターンを形成する工程と、
前記無機成形体製造用組成物のパターンに前記光を照射し、前記パターンの形状を有する硬化物を形成する工程と、を有し、前記パターンを形成する工程と、前記硬化物を形成する工程とを交互に行うことで、前記硬化物の積層体として前記第1成形体を形成する[12]に記載の無機成形体の製造方法。
【0034】
[14]前記無機成形体製造用組成物の粘度が5000mPa・s未満であり、前記第1成形体を形成する工程は、前記無機成形体製造用組成物に選択的に前記光を照射し、前記無機成形体製造用組成物の硬化物のパターンを形成する工程と、前記硬化物のパターンの表面に前記無機成形体製造用組成物を供給する工程と、を有し、前記パターンを形成する工程と、前記無機成形体製造用組成物を供給する工程とを交互に行うことで、前記硬化物の積層体として前記第1成形体を形成する[12]に記載の無機成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、無機材料を形成材料とする透明部材の原料として好適に用いられ、所望の形状の透明部材を容易に形成可能な無機成形体製造用組成物を提供することができる。また、無機材料を形成材料とし、所望の形状の透明部材を容易に形成可能な無機成形体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1成形体を形成する工程の一例を示す説明図である。
図2】第1成形体を形成する工程の一例を示す説明図である。
図3】第2成形体を形成する工程を示す説明図である。
図4】第2成形体を焼結する工程を示す説明図である。
図5】第1成形体を形成する工程の別の例を示す説明図である。
図6】第1成形体を形成する工程の別の例を示す説明図である。
図7】実施例の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<無機成形体製造用組成物>
本実施形態の無機成形体製造用組成物は、非晶質SiOを含む無機粒子と、後述する光硬化性樹脂組成物と、を備えている。また、本実施形態の無機成形体製造用組成物における無機粒子の含有率は、光硬化性樹脂組成物と無機粒子との合計に対し60質量%以上である。また、本実施形態の無機成形体製造用組成物における無機粒子の含有率は、無機成形体製造用樹脂組成物の全体に対し60質量%以上である。さらに、本実施形態の無機成形体製造用組成物の粘度は、10000mPa・s以下である。
【0038】
詳しくは後述するが、本実施形態の無機成形体製造用組成物を用いて光造形し、得られた成形体を焼成することで、無機材料を形成材料とする透明な無機成形体(透明部材)を容易に得ることができる。すなわち、本実施形態の無機成形体製造用組成物は、透明部材の原料、すなわち透明無機成形体製造用の組成物として好適に用いられる。以下の説明においては、「無機成形体製造用組成物」を単に「組成物」と称することがある。
【0039】
上記概略した方法で、所望の透明性、大きさおよび形状を備えた無機成形体を製造する場合、焼成時の収縮が仕上がりに大きな影響を及ぼす。焼成時の収縮を抑制し、得られる無機成形体の透明性、大きさや形状を好適に制御するためには、透明無機成形体用組成物における無機粒子の含有率を高めると良いと考えられる。
【0040】
しかし、組成物において無機粒子の含有率を60質量%以上と高くすると、組成物の流動性が低下し、光造形には不向きとなり易い。
【0041】
これに対し、本発明においては、後述する構成の組成物とすることで、得られる組成物の粘度を10000mPa・s以下に制御している。これにより、本発明の透明無機成形体用組成物は、高い含有率と、光造形に適した流動性とを両立している。
【0042】
組成物の粘度は、10000mPa・s以下の範囲であれば、5000mPa・s以下とすることもでき、5000mPa・sを超えることとすることもできる。なお、後述する方法で成形体(第1成形体)を成形可能な粘度であれば、組成物の粘度は10000mPa・s以下には限られず、10000mPa・sを超えてもよい。
以下、順に説明する。
【0043】
[第1実施形態]
(無機粒子)
第1実施形態の組成物が有する無機粒子は、無機材料を形成材料とする粒子本体と、前記粒子本体の表面の少なくとも一部を覆う表面処理層と、を有している。
【0044】
(粒子本体)
粒子本体は、非晶質の第1無機材料と、結晶質の第2無機材料とを含む。非晶質である第1無機材料は、透明性を有する。また、第2無機材料は、結晶子径が50nm以下である。第2無機材料の結晶子径は、可視光域の光に対してレイリー散乱を生じる粒径よりも小さい。そのため、第1無機材料と第2無機材料とを有する粒子本体は、透明性を有する。
【0045】
本実施形態においては、粒子本体の形成材料のうち第1無機材料の含有率を、例えば30質量%以上、50質量%以上とすることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、粒子本体の形成材料は、第1無機材料を主成分とすることもでき、主成分としないこともできる。第1無機材料を主成分とする場合、粒子本体を第1無機材料のみで構成することもできる。以下、粒子本体の形成材料が第1無機材料を主成分とすることについて説明する。
【0047】
粒子本体について、非晶質の無機材料を「主成分とする」とは、粒子本体の形成材料のうち、80質量%以上が非晶質の無機材料であることを指す。本実施形態においては、粒子本体の形成材料のうち非晶質の無機材料の含有率を例えば90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上とすることができる。すなわち、本実施形態においては、粒子本体の形成材料のうち非晶質である第1無機材料の含有率を、例えば80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上とすることができる。
【0048】
粒子本体が非晶質の無機材料を主成分とすることで、無機粒子が透明性を備えるものとなる。
【0049】
本実施形態の粒子本体を構成する非晶質の無機材料は、非晶質SiOを含んでいる。非晶質SiOを含む無機材料としては、例えば、石英ガラス(シリカガラス)、ソーダ石灰ガラス、パイレックス(登録商標)ガラスなどが挙げられる。
【0050】
また、粒子本体は、形成材料として他の無機材料を含むことができる。例えば、粒子本体は、形成材料としてTiOおよびAlのいずれか一方または両方を含むことができる。
【0051】
粒子本体が、形成材料としてTiOを含む場合、粒子本体がTiOを含まない場合と比べて無機粒子の膨張率が低くなる。そのため、本実施形態の組成物を用いて形成される無機成形体(後述)の成形時に、歪みが生じにくく精度よく成形することが可能となる。また、形成される無機成形体に、TiOが有する光触媒機能を付与することができる。
【0052】
粒子本体が、形成材料としてAlを含む場合、粒子本体がAlを含まない場合と比べて、本実施形態の組成物を用いて形成される無機成形体が高強度となる。
【0053】
さらに、粒子本体は、透明部材の原料として好適に用いられる、という発明の効果を損なわない限り、形成材料として下記化合物のうち少なくとも1つを含むことができる。粒子本体が含んでいてもよい化合物としては、
Si、SiCなどのケイ素化合物;
Au、Agなどの金属元素;
グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤモンド、メソポーラスカーボンなどの炭素同素体および炭素同素体の酸化物;
CuO,Fe、Co、ZnO、ZrO、CeO、ITO(Indium Tin Oxide、スズドープ酸化インジウム)、ATO(Antimony Tin Oxide、アンチモンドープ酸化インジウム)、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、Y、Mn、In、SnO、La、Pr3、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dyなどの金属酸化物;
ヒドロキシアパタイト、を挙げることができる。
【0054】
これら粒子本体が含みうる他の無機材料は、非晶質であってもよく、結晶質であってもよい。
【0055】
これら粒子本体が含みうる他の無機材料は、複数の無機粒子(粒子本体)の集合において、単一の形成材料で粒子本体を形成してもよい。この場合、無機粒子の集合は、非晶質SiOを形成材料とする粒子本体を含む無機粒子と、他の無機材料を形成材料とする粒子本体を含む無機粒子と、を含む。
【0056】
また、これら粒子本体が含みうる他の無機材料は、無機粒子(粒子本体)において、非晶質SiOと共に粒子本体を形成してもよい。この場合、粒子本体は、非晶質SiOと他の無機粒子との混合物を形成材料とする。
【0057】
粒子本体は、後述する製造方法において、緻密に充填されやすい形状を有しているとよい。粒子本体の形状は、このように充填されやすい性質を備えていれば、種々の形状を採用することができる。このような粒子本体の形状としては、例えば球状を例示することができる。粒子本体が球状であると、無機粒子も球状となる。なお、ここでいう「球状」とは、製造誤差などにより真球から形状が崩れたものも含む。
また、粒子本体は、結晶方位性を有しないことが好ましい。結晶方位性を有しない粒子本体を用い、本発明における製造方法で無機成形体を製造すると、透明性が高い無機成形体を得ることができる。
【0058】
なお、本明細書において無機粒子が「球状」であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて粒子を10000倍に拡大観察した場合の輪郭形状に基づいて評価する。
【0059】
さらに、粒子本体の形成材料は、上述の非晶質SiOや他の無機材料に、さらに金属元素をドープした材料とすることができる。ドープする金属元素としては、例えば、金、銀、遷移金属元素、希土類元素を挙げることができる。発明の効果を損なわない範囲において、金属元素のドープ量はドープする元素の種類に応じて定めることができる。例えば、金属元素は、上述の非晶質SiOや他の無機材料に対して1mol%程度までドープ可能である。
【0060】
粒子本体の形成材料に上記金属元素をドープすることにより、当該形成材料を用いて作製する無機粒子の屈折率を調整することができる。
【0061】
粒子本体は、平均粒子径がナノメートルオーダーの粒子からマイクロメートルオーダーの粒子まで用いることができる。
【0062】
例えば、粒子本体は、平均粒子径がマイクロメートルオーダーの粒子を用いることができる。この場合、粒子本体の平均粒子径は、例えば0.1μm以上100μmとすることができる。
【0063】
本実施形態においては、後述するように粒子本体の表面に表面処理層を形成して無機粒子とする。この際、粒子本体の平均粒子径が小さいと、相対的に粒子本体の表面積が増え、表面処理が不十分となり易い。対して、粒子本体の平均粒子径がマイクロメートルオーダーであると、粒子本体の表面に適切な量の表面処理層を形成可能となる。
【0064】
また、粒子本体は、平均粒子径がナノメートルオーダーの粒子を用いることもできる。この場合、粒子本体の平均粒子径は、例えば1nm以上100nmとすることができる。
【0065】
粒子本体の平均粒子径がナノメートルオーダーであると、粒子本体の平均粒子径がマイクロメートルオーダーの粒子を用いる場合と比べ、後述する焼結温度をより低温とすることができる。そのため、無機成形体の製造効率を向上させやすい。
【0066】
(表面処理層)
表面処理層は、例えばシランカップリング剤を形成材料とし、粒子本体の表面の少なくとも一部を覆う層である。無機粒子が表面処理層を備えることにより、無機粒子同士の不均一な凝集を抑制し、無機粒子を光硬化性樹脂組成物に良好に分散させることができる。これにより、組成物における無機粒子の含有率を高めることができる。
【0067】
表面処理層は、例えば、粒子本体とシランカップリング剤とを混合し、撹拌することで形成することができる。
【0068】
表面処理層を形成する際のシランカップリング剤の使用量は、例えば、粒子本体に対して0.1質量%以上10質量%以下とすることができる。シランカップリング剤の使用量は、粒子本体に対して、例えば0.5質量%以上とすることができ、0.7質量%以上とすることができる。また、シランカップリング剤の使用量は、粒子本体に対して、例えば5質量%以下とすることができ、1.2質量%以下とすることができる。
シランカップリング剤の使用量の上限値と下限値とは、任意に組み合わせることができる。
【0069】
シランカップリング剤としては、加水分解により粒子本体の表面に存在する水酸基(-OH)とシロキサン結合を形成可能な加水分解基を1以上有する化合物が挙げられる。加水分解基としては、ハロゲン基やアルコキシシリル基を挙げることができる。また、ハロゲン基としては、塩素原子、臭素原子を挙げることができる。
【0070】
また、このようなシランカップリング剤は、官能基としてアクリル基、メタクリル基を有することができる。
【0071】
このようなシランカップリング剤としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0072】
無機粒子における表面処理層の量は、例えば、無機粒子の熱重量測定(Thermo Gravimetry、TG)の結果から、測定前後の変化量を表面処理層の量として求めることができる。
【0073】
熱重量測定は、例えば以下のような条件で行う。
装置:TG-60(株式会社島津製作所製)
試料:表面修飾した無機粒子 数十mgを精秤
参照:α-アルミナ 10mg
セル:白金セル
温度範囲:室温~600℃
昇温速度:5℃/分
流通ガス:空気(50mL/分)
【0074】
(光硬化性樹脂組成物)
本実施形態の組成物が備える光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂前駆体と、光重合開始剤とを有する。
【0075】
光硬化性樹脂前駆体は、光硬化性樹脂の原料(前駆体)として用いられる通常知られたモノマーやオリゴマーであれば使用可能である。
光硬化性樹脂前駆体としては、例えば、透明性が高く、光硬化反応を阻害しにくいことから、アクリル系モノマーやオリゴマーを用いることができる。また、エポキシ系モノマーやオリゴマー、ウレタン系モノマーやオリゴマーを例示することもできる。
【0076】
アクリル系モノマーとしては、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであれば、種々のモノマーを用いることができる。また、アクリル系オリゴマーとしては、アクリル酸エステル部またはメタクリル酸エステル部を分子構造中に含むオリゴマーであれば、種々のモノマーを用いることができる。
【0077】
アクリル系モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、CHDMMA(シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート)、IBA(イソブチルアクリレート)、IBXA(イソボルニルアクリレート)、THFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート)、2-HEA(2-ヒドロキシエチルアクリレート)、2-HEM(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、HPA(ヒドロキシプロピルアクリレート)、HPM(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、4-HBA(4-ヒドロキシブチルアクリレート)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#550アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルサクシネート、イソステアリルアクリレート、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール#1000メタクリレート、フェノキシエチレングリコールメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルサクシネートなどの、アクリロイル基、またはメタクリロイル基を分子内に1つ有する単官能モノマー、単官能オリゴマーを挙げることができる。
【0078】
また、アクリル系モノマーとして、1-(アクリロイルオキシ)-3-(メタクリロイルオキシ)-2-プロパノール、APG-400(ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート)、テトラエチレングリコジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#1000ジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートなどの、アクリロイル基、またはメタクリロイル基を分子内に2つ有する二官能モノマー、二官能オリゴマーを挙げることができる。
【0079】
光硬化性樹脂前駆体として、単官能モノマー、二官能モノマー、単官能オリゴマー、二官能オリゴマーを用いることで、焼成前から焼成後の組成物の収縮率を低減することができる。
【0080】
さらに、光硬化性樹脂前駆体として、アクリロイル基、またはメタクリロイル基を分子内に3つ以上有する多官能モノマー、多官能オリゴマーを用いることもできる。光硬化性樹脂前駆体として、多官能モノマー、または多官能オリゴマーを用いることで、組成物の光硬化速度を向上させることができる。
【0081】
これらのモノマーまたはオリゴマーは、1種のみ用いることとしてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0082】
(光重合性開始剤)
光重合性開始剤は、通常知られた光重合開始剤であれば種々の開始剤を使用可能である。本実施形態の組成物においては、取扱いの容易さから、光重合性開始剤としてはケトン化合物を用いることができる。
【0083】
光重合性開始剤は、例えば、1-ヒドロキシシクロへキシル-フェニルケトン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-エチルアントラキノン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンなどを用いることができる。
【0084】
本実施形態の組成物においては、上述の無機粒子を、光硬化性樹脂組成物と無機粒子との合計に対してできるだけ多く含む処方とすることができる。本実施形態の組成物は、光硬化性樹脂組成物と無機粒子との合計に対して、無機粒子を60質量%以上含む。本実施形態の組成物は、光硬化性樹脂組成物と無機粒子との合計に対して、無機粒子を70質量%以上含むこともでき、80質量%以上含むこともできる。
【0085】
また、本実施形態の組成物は、組成物全体に対して、無機粒子を60質量%以上含む。本実施形態の組成物は、組成物全体に対して、無機粒子を70質量%以上含むこともでき、80質量%以上含むこともできる。
【0086】
組成物における無機粒子の含有率は、無機粒子の形状、粒度分布を制御することにより調整可能である。例えば、組成物が球状の無機粒子を有すると共に、球状の無機粒子の間を充填する無機粒子の微粒子や非球状の無機粒子をさらに含むこととすると、組成物における無機粒子の含有率を高めやすい。また、無機粒子が球形である場合、組成物の流動性が向上しやすく、無機成形体の成形が容易となる。
【0087】
本実施形態の組成物は、光硬化性樹脂組成物と無機粒子との合計に対してより多くの無機粒子を含むことで、後述する無機成形体の製造時において、焼成前から焼成後の収縮率が低減する。これにより、無機成形体の収縮が等方的となり、所望の形状が得られやすい。また、無機成形体の収縮が等方的となることで、収縮時の破損を抑制することができる。
【0088】
(その他の含有物)
なお、本実施形態の組成物は、発明の効果を損なわない範囲において、分散媒を有することができる。分散媒を用いることにより、組成物における無機粒子の分散を促進する。また、組成物の濃度を調整するために、分散媒を用いることができる。
【0089】
分散媒としては、有機溶媒とすることができる。有機溶媒には、水が混合してもよく、水が混合せず有機溶媒のみからなることとしてもよい。有機溶媒としては、例えば、ヘキサンなどの炭化水素類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることができる。これらの有機溶媒は、1種のみ用いることとしてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0090】
また、上述した有機溶媒(ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン)は、水よりも蒸気圧が高く、沸点が低い。そのため、組成物にこれらの有機溶媒を用いて、無機成形体の成形時に乾燥させやすく、生産効率を向上させやすくすることもできる。
【0091】
分散媒が有機溶媒である場合、後述する無機成形体の製造方法において、分散媒の乾燥除去が容易となる。そのため、形成する成形体のクラック(破損)を抑制し、効率的に成形体を製造可能となる。
【0092】
また、分散媒の使用量は、組成物全体に対して、10質量%以下とすることもでき、5質量%以下とすることもでき、2質量%以下とすることもできる。分散媒の使用量が少ないほど、後述の第1成形体を成形する際に成形体が収縮しにくく、所望の形状の第1成形体を得やすい。
【0093】
本実施形態の組成物は、以上のような構成となっている。
【0094】
以上のような第1実施形態の無機成形体製造用組成物では、無機粒子の表面に表面処理層を設けることにより、得られる組成物の粘度を10000mPa・s以下とすることができる。
【0095】
[第2実施形態]
(無機粒子)
第2実施形態の組成物が有する無機粒子は、第1実施形態の組成物が有する無機粒子から表面処理層を除いたものである。すなわち、第2実施形態の組成物が有する無機粒子は、第1実施形態の組成物が有する粒子本体が該当する。
【0096】
(光硬化性樹脂組成物)
本実施形態の組成物が備える光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂前駆体と、光重合開始剤とを有する。
【0097】
本実施形態の組成物においては、光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、無機粒子の溶解度パラメータとに着目して、用いる光硬化性樹脂組成物を選択する。すなわち、本実施形態の組成物においては、光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、無機粒子の溶解度パラメータとの差の絶対値が4以下となるような光硬化性樹脂組成物を選択する。
【0098】
光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、無機粒子の溶解度パラメータとの差の絶対値を上記のように制御することにより、無機粒子を光硬化性樹脂組成物に良好に分散させることができる。これにより、組成物における無機粒子の含有率を高めることができる。
【0099】
本明細書において、「溶解度パラメータ」は、ヒルデブランド溶解度パラメータ(SP値、単位:MPa1/2)を指す。溶解度パラメータは、例えば「シルセスキオキサン材料の化学と応用」(2007,シーエムシー出版)、「Hansen Solubility Parameters: A User’s Handbook」(2007)などに記載された文献値、または文献値として記載されたハンセン溶解度パラメータの分極項(δP)、水素結合項(δH)、分散項(δD)に基づいて下記式に基づいて算出した値を採用することができる。
[SP値]=√(δP+δH+δD
【0100】
また、光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータが不明である場合には、公知の方法で測定して求めた値、または用いるモノマーの分子構造に基づいて、公知のFedorsの推算法(Polymer Engineering and Science 14〔2〕, 147-154(1974)参照)を用いて推算した値を用いることができる。
【0101】
なお、光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータを算出する場合、光硬化性樹脂組成物に含まれる分散媒も含めて計算することとする。また、光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータを算出する場合、光硬化性樹脂組成物に含まれる重合開始剤は捨象して計算することとする。
【0102】
光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、無機粒子の溶解度パラメータとの差の絶対値が4以下であると、無機粒子が光硬化性樹脂組成物に好適に分散し、凝集しにくい。その結果、得られる無機成形体製造用組成物の粘度を10000mPa・s以下に制御しやすく、流動性を担保し易い。
【0103】
光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、無機粒子の溶解度パラメータとの差の絶対値は、3以下とすることもでき、2以下とすることもできる。
【0104】
例えば、無機粒子としてシリカ粒子を採用する場合、シリカの溶解度パラメータである「25」を基準とし、上記絶対値が4以下となるような溶解度パラメータ光硬化性樹脂組成物を用いることができる。
【0105】
以上のような第2実施形態の無機成形体製造用組成物では光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、無機粒子の溶解度パラメータとの差の絶対値を4以下とすることにより、得られる組成物の粘度を10000mPa・s以下とすることができる。
なお、第1実施形態と第2実施形態とを適宜組み合わせることができるのは言うまでもない。例えば、第1実施形態にて述べた無機粒子に表面処理層を有した組成物について、第2実施形態と同様に、光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータと、無機粒子の溶解度パラメータとの差の絶対値を4以下または3以下または2以下とすることにより、得られる組成物の粘度を10000mPa・s以下とすることができる。
【0106】
(ナノ粒子)
なお、第1実施形態および第2実施形態に共通して、粒子本体として、上述の粒子本体の一部をナノ粒子に置き換えることとしてもよい。本明細書において、「ナノ粒子」とは、公知のレーザー回折・散乱法により測定した平均粒子径が1nm以上50nm以下の粒子のことを指す。
【0107】
ナノ粒子の形成材料には、上述した粒子本体の形成材料を採用することができる。
【0108】
上記平均粒子径のようなナノ粒子は、平均粒子径がマイクロメートルオーダーの粒子と比べて、粒子表面のエネルギーが高く活性であり、凝集しやすいことが知られている。そのため、ナノ粒子を添加した組成物においては、ナノ粒子同士またはナノ粒子と粒子本体とが凝集しやすくなる。その結果、ナノ粒子を添加した組成物は、ナノ粒子を添加しない組成物と比べて、組成物全体の粘度が上昇する。
【0109】
すなわち、組成物へのナノ粒子の添加率を増やすと、組成物の粘度が上昇し、組成物へのナノ粒子の添加率を減らすと、組成物の粘度が低下する傾向にある。ナノ粒子の添加率の上限値は、用いる粒子本体の粒径、形成材料、組成物全体に対する粒子本体の比率、粒子本体の表面処理層の有無、用いる光硬化性樹脂組成物の種類などに応じて異なる。そのため、ナノ粒子を添加して組成物の粘度を制御する場合には、ナノ粒子の添加率と組成物の粘度との関係を予め予備実験で確かめ、所望の粘度となるようにナノ粒子の添加率を制御するとよい。
【0110】
本実施形態の組成物は、以上のような構成となっている。
【0111】
<無機成形体の製造方法>
本実施形態の無機成形体の製造方法は、
(i)上述の組成物に光を照射して、前記無機粒子と光硬化性樹脂とを含む第1成形体を形成する工程
(ii)前記第1成形体を焼成して前記光硬化性樹脂を除去し、前記無機粒子を形成材料とする第2成形体を形成する工程
(iii)前記第2成形体を焼結する工程
を有する。
【0112】
以下、図1図6を参照しながら、本発明の実施形態に係る無機成形体の製造方法について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0113】
(第1成形体を形成する工程(1))
図1,2は、本実施形態の無機成形体の製造方法における、第1成形体を形成する工程の一例を示す説明図である。
【0114】
図1,2の説明においては、xyz直交座標系を設定し、このxyz直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。ここでは、水平面内の所定方向をx軸方向、水平面内においてx軸方向と直交する方向をy軸方向、x軸方向およびy軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をz軸方向とする。
【0115】
図1,2に示すように、本実施形態の無機成形体の製造方法においては、製造装置100を用いて第1成形体1100を成形することができる。
【0116】
製造装置100は、ステージ110、支持部120、塗布部130、光照射部140を有している。
【0117】
ステージ110は、xy面と平行な載置面110aを有する板状部材である。ステージ110は、載置面110aの法線方向からの視野(z方向からの視野)において矩形を呈している。
【0118】
支持部120は、一対の橋脚121、一対の第1レール122、第2レール123、第3レール124を有している。
【0119】
一対の橋脚121はそれぞれ、ステージ110の角部からz方向に延在して設けられた一対の柱部121aと、柱部121aの上端を接続する梁部121bとにより構成されている。一対の橋脚121は、梁部121bが平行となるように配置されている。
【0120】
第1レール122は、一対の橋脚121のそれぞれに設けられている。第1レール122は一対の柱部121aに掛け渡された棒状の部材であり、x方向に延在して設けられている。第1レール122は、柱部121aに沿ってz方向に平行移動可能に設けられている。
【0121】
第2レール123は、一対の第1レール122に掛け渡された棒状の部材であり、y方向に延在して設けられている。第2レール123は、第1レール122に沿ってx方向に平行移動可能に設けられている。
【0122】
第3レール124は、一対の第1レール122に掛け渡された棒状の部材であり、y方向に延在して設けられている。第3レール124は、第1レール122に沿ってx方向に平行移動可能に設けられている。
【0123】
塗布部130は、ヘッド131、ノズル132、タンク138、配管139を有している。塗布部130は、上述した本実施形態の組成物をステージ110に塗布する機能を有する。
【0124】
ヘッド131は、第2レール123に取り付けられ、第2レール123に沿ってy方向に平行移動可能に構成された部材である。
【0125】
ノズル132は、ヘッド131に取り付けられた管状の部材である。ノズル132の先端は、ステージ110の載置面110aに向けられている。ノズル132は、ヘッド131の移動に伴い、第2レール123に沿ってy方向に平行移動可能である。
【0126】
タンク138は、上述した本実施形態の組成物を貯留している。タンク138とノズル132の他端とは、配管139により接続されている。タンク138内の組成物は、不図示のポンプを用いて配管139を介してノズル132に供給され、ノズル132から載置面110aに吐出される。
【0127】
図1に示すように、製造装置100においては、x方向に平行移動可能な第2レール123、y方向に平行移動可能なヘッド131、z方向に平行移動可能な第1レール122の動作を制御することで、塗布部130は、組成物を選択的に塗布することができる。これにより、製造装置100においては、組成物のパターンを任意の形状で形成することができる。
【0128】
組成物のパターンは、製造する目的物(無機成形体)の形状のスライスデータに基づいて設定される。
【0129】
光照射部140は、ヘッド141、光源142、電源148、ケーブル149を有している。光照射部140は、載置面110aに載置された組成物に光を照射する機能を有する。
【0130】
ヘッド141は、第3レール124に取り付けられ、第3レール124に沿ってy方向に平行移動可能に構成された部材である。
【0131】
光源142は、ヘッド141に取り付けられ、上述した本実施形態の組成物に含まれる光硬化性樹脂組成物を硬化させる波長の光を射出する装置である。光源142には、ケーブル149を介して電源148が接続されている。光源142は、例えば、紫外線を照射可能なレーザー光源を好適に採用することができる。
【0132】
光源142からの光射出方向は、ステージ110の載置面110aの方向に設定されている。光源142は、ヘッド141の移動に伴い、第3レール124に沿ってy方向に平行移動可能である。
【0133】
図2に示すように、製造装置100においては、x方向に平行移動可能な第3レール124、y方向に平行移動可能なヘッド141、z方向に平行移動可能な第1レール122の動作を制御することで、光照射部140は、載置面110a上に形成された組成物のパターンに沿って光を照射することができる。これにより、製造装置100においては、組成物のパターンの形状を有する硬化物を形成することができる。
【0134】
光照射部140を用いた硬化物の形成が終わると、第1レール122が+z方向に移動する。移動距離は、例えば25μm程度である。移動後には、再度図1のように組成物のパターンを形成する。
【0135】
このように、組成物のパターンの形成と、組成物のパターンの表面への光照射とを交互に行うことで、硬化物の積層体である第1成形体1100を形成する。
【0136】
このようにして第1成形体1100を形成する際には、組成物の塗布と、光照射との間に組成物が流動してしまうと、所望の形状の硬化物が得られにくい。そのため、製造装置100のように組成物のパターンを形成する工程と、硬化物を形成する工程とを交互に繰り返して第1成形体1100を形成する場合、用いる組成物の粘度は500mPa・s以上とする。組成物の粘度は、5000mPa・s以上とすることができる。
【0137】
これにより、任意の形状を有する第1成形体1100を形成することができる。
【0138】
(第2成形体を形成する工程)
次いで、図3に示すように、第1成形体1100を加熱して焼成し、第1成形体1100に含まれる光硬化性樹脂を除去する。焼成温度は、使用する光硬化性樹脂の分解温度より高く、且つ上述の組成物に含まれる無機粒子が焼結する温度よりも低い温度とすることができる。
【0139】
第1成形体1100に含まれる光硬化性樹脂を除去する際の焼成は、例えば、室温から200℃まで約10℃/分で昇温し、200℃から600℃まで5℃/分で昇温し、600℃から800℃まで10℃/分で昇温し、その後800℃で30分保持することで行う。
【0140】
焼成時の昇温速度は、小さい方が好ましい。昇温速度が小さいと、得られる第2成形体に亀裂が入りにくい。
【0141】
この観点から、第1成形体1100に含まれる光硬化性樹脂を除去する際の焼成では、例えば、室温から200℃まで約5℃/分で昇温してもよい。
同様に、同焼成では、200℃から600℃まで1℃/分で昇温してもよい。
同様に、同焼成では、600℃から800℃まで5℃/分で昇温し、その後800℃で30分保持してもよい。
【0142】
上記焼成条件は一例であり、第1成形体1100の形状、大きさ、用いる光硬化性樹脂の種類、原料である無機成形体製造用組成物における光硬化性樹脂組成物の含有率などに応じて、適宜変更することができる。
【0143】
焼成条件の決定にあたっては、予め予備実験を行い、光硬化性樹脂が充分に除去される温度条件、昇温速度条件、保持時間など設定することができる。
【0144】
例えば、用いる無機成形体製造用組成物の処方と、第1成形体1100の質量とから、第1成形体1100に含まれる有機物の量を推算することができる。第1成形体1100の質量と、焼成後の成形体の質量との差から、焼成により除去された有機物の量を求めることができる。これら第1成形体1100に含まれる有機物の推算値と、焼成により除去された有機物の量とを比較することにより、光硬化性樹脂が充分に除去されたことを確認することができる。
【0145】
第1成形体1100の焼成は、酸素を含む雰囲気下、例えば大気雰囲気下で行う。
【0146】
焼成時間は、原料として使用する上述の組成物の種類ごとに予備実験を行い、予め設定しておくとことができる。
【0147】
上記焼成処理により、無機粒子を形成材料とし、任意の形状を有する第2成形体1200が生成する。第2成形体1200の形状は、第1成形体1100の形状を反映した形状となる。
【0148】
第2成形体1200は、第1成形体1100と比べ、光硬化性樹脂が除去される分だけ収縮する。本実施形態においては、原料である組成物の無機粒子の含有率が、光硬化性樹脂組成物と無機粒子との合計に対し、60質量%以上としている。また、無機粒子の含有率が、組成物全体に対し、60質量%以上としている。そのため、生成する第2成形体1200について、過度の収縮を抑制することができる。
【0149】
(第2成形体を焼結する工程)
次いで、図4に示すように、第2成形体1200を加熱し、第2成形体1200を構成する無機粒子を焼結する。これにより、第2成形体1200を構成する無機粒子同士が焼結して合一し、収縮しながら目的物である無機成形体1300が得られる。無機成形体1300の形状は、第2成形体1200の形状を反映した形状となる。
【0150】
焼結温度は、第2成形体1200を構成する無機粒子の種類(形成材料、平均粒子径)に応じて適宜設定するとよい。
また、焼結時間は、得られる無機成形体が、所望の透明性を発現するまで十分な時間を確保するとよい。
【0151】
第2成形体1200の焼結は、例えば、室温から800℃まで約10℃/分で昇温し、800℃から1300℃まで5℃/分で昇温し、1300℃で30分保持することで行う。その後、1300℃から1600℃まで10℃/分で昇温した後、室温まで放冷する。
【0152】
上記焼結条件は一例であり、第2成形体1200の形状、大きさ、原料である無機成形体製造用組成物における無機粒子の種類、形状、含有率などに応じて、適宜変更することができる。
【0153】
燒結条件の決定にあたっては、予め予備実験を行い、第2成形体1200が充分に焼結される温度条件、昇温速度条件、保持時間など設定することができる。
【0154】
例えば、得られた無機成形体1300の表面から無機成形体1300の内部に光を照射した状態で、光学顕微鏡を用いて無機成形体1300の内部を観察する。このとき、無機成形体1300の内部の粒子と粒子との界面が確認できない場合には、第2成形体1200が充分に焼結されたと判断することができる。
【0155】
また、焼結時間を異ならせた同じ形状の無機成形体1300について、JISK7136に準拠してヘーズ値(Hz値)を測定することで、第2成形体1200が充分に焼結されたことを確認することができる。
【0156】
焼結時間を長くし焼結が進むと、無機成形体1300の内部で生じる散乱光量が減少し、ヘーズ値が低減する。そのため、ある焼結時間(T0)の無機成形体のヘーズ値と、焼結時間T0よりも長い焼結時間(T1。T1>T0)の無機成形体のヘーズ値とを比べたときに、例えば両者のヘーズ値の差が±1.0%程度にまで低減した場合に、焼結時間T0において充分に焼結されたと判断することができる。
【0157】
もちろん、上記方法で充分に焼結されたと判断できる焼結時間T0から、さらに焼結時間を確保しても構わない。
【0158】
第2成形体1200の焼成は、大気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で行うとよく、不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウム)雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、1400℃を超えるような条件の焼成時には、真空焼成することが好ましい。
【0159】
なお、上述の製造方法においては、第2成形体を形成する工程と、第2成形体を焼結する工程との間に、例えば第2成形体1200を室温まで冷却する冷却工程を挟むことができる。第2成形体1200に不良品が含まれる場合、第2成形体1200の冷却工程を挟むことにより、不良品を除外しやすく、目的物である無機成形体1300の不良品数を低減させることができる。
【0160】
また、上述の製造方法においては、第2成形体を形成する工程の後、冷却することなく第2成形体を形成する温度から第2成形体の焼結温度に昇温し、第2成形体を焼結する工程を実施することができる。この場合、第2成形体を形成する工程から第2成形体の焼結工程までが連続した処理となるため、無機成形体1300の成形に要する総時間を短縮することができる。
【0161】
無機成形体1300の原料である無機粒子は、非晶質であるため透明性を有する。また、無機成形体1300は、原料である無機粒子が非晶質のため、焼結体において結晶粒界を形成しにくい。
【0162】
また、無機粒子が球状である場合、無機成形体の成形途中の第1成形体1100や第2成形体1200において、無機粒子の充填密度が高まる。そのため、成形体の内部に気泡を含みにくく、焼結時にも空隙が形成されにくい。これらの気泡や空隙は、可視光の散乱源となり、無機成形体の光透過率を低下させる原因となり得る。
【0163】
これらにより、焼結して得られる無機成形体1300は、透明性を有する「透明部材」となる。
【0164】
原料の組成物に含まれる無機粒子が球状である場合、焼結前の第2成形体1200において無機粒子が緻密に充填された構造となり易い。その結果、無機粒子が球状である場合、焼結して得られる無機成形体1300の内部に空孔を形成しにくい。そのため、得られる無機成形体1300が高い透明性を備えることができる。
【0165】
以上のような構成の組成物によれば、無機材料を形成材料とする透明部材の原料として好適に用いられ、所望の形状の透明部材を容易に形成可能な組成物となる。
また、以上のような構成の無機成形体の製造方法によれば、無機材料を形成材料とし、所望の形状の透明部材を容易に形成可能となる。
【0166】
なお、本実施形態においては、第1成形体を形成する工程の例として、製造装置100を用いる方法を示したが、これに限らない。第1成形体は、次のような方法によっても形成することができる。
【0167】
(第1成形体を形成する工程(2))
図5,6は、本実施形態の無機成形体の製造方法における、第1成形体を形成する工程の別の例を示す説明図である。
【0168】
図5,6に示すように、本実施形態の無機成形体の製造方法においては、製造装置200を用いて第1成形体1100を成形することもできる。
【0169】
製造装置200は、貯留槽210、ステージ220、駆動部230、光照射部240を有している。製造装置200は、いわゆる規制液面方式(または制限液面方式)を採用した3Dプリンタ装置である。
【0170】
また、図5,6の説明においては、図5,6に示す+z方向を「上」、-z方向を「下」として示すことがある。
【0171】
貯留槽210は、液状の組成物1000を貯留する容器である。貯留槽210は、上方が開口し、液状の組成物1000を貯留する内部空間Sを有している。貯留槽210の底部は、組成物1000を硬化させる光に対して透明性を有する光透過部211となっている。光透過部211の形成材料としては、光に対して透明性を有するならば種々の材料を用いることができる。
【0172】
ステージ220は、貯留槽210の内部空間Sに配置される板状部材である。ステージ220は、ステージ220の下面220aに形成される第1成形体1100を保持する。
【0173】
駆動部230は、ステージ220を上下移動させる機能を有する。駆動部230は、ステージ220を上方から保持する保持部231と、保持部231が接続され上下移動する基台232とを有している。製造装置200では、駆動部230の移動に伴ってステージ220が上下移動する。
【0174】
光照射部240は、組成物1000を硬化させる光を射出する。光照射部240には、例えば、光を用いた画像光Lを照射するプロジェクタを使用することができる。画像光Lは、形成する第1成形体1100のスライスデータを画像データとして用い、画像データに基づいて形成される。
【0175】
光照射部240であるプロジェクタは、液晶プロジェクタであってもよく、DMD(Digital Micromirror Device)を用いた方式のプロジェクタであってもよく、走査型のレーザープロジェクタであってもよい。
【0176】
このような製造装置200においては、図5に示すように、光照射部240の本体241で形成された画像光Lが集光光学系242を介して投射される。画像光Lは、光透過部211を介して組成物1000において結像する。画像光Lの結像位置Fにおいては、組成物1000に対して選択的に画像光Lが照射されることとなり、形成される像に応じて組成物1000が硬化する。これにより、硬化物のパターン(硬化パターンP)が形成される。
【0177】
次いで、図6に示すように、製造装置200では、駆動部230がステージ220を+z方向に平行移動させる。移動距離は、例えば25μm程度である。これにより、画像光Lの照射で形成した硬化パターンPの表面に組成物1000を供給する。
【0178】
次いで、再度、光照射部240から画像光Lを組成物1000に照射し、画像光Lにより形成される像に応じた硬化パターンPを形成する。
【0179】
このように、硬化パターンPの形成と、硬化パターンPの表面への組成物1000の供給とを交互に行うことで、硬化パターンPの積層体である第1成形体1100を形成することができる。
【0180】
このようにして第1成形体1100を形成する際には、硬化パターンPの形成後、ステージ220を移動させた際に、硬化パターンPと光透過部211との隙間に組成物1000が流れ込む必要がある。また、ステージ220を移動させた際に、硬化パターンPの表面を覆うように組成物1000が好適に流動する必要がある。
【0181】
そのため、製造装置200のように硬化物のパターンを形成する工程と、組成物を供給する工程とを交互に繰り返して第1成形体1100を形成する場合、用いる組成物1000の粘度は5000mPa・s未満とする。組成物の粘度は、2000mPa・s未満とすることもできる。
【0182】
形成された第1成形体は、図3,4を用いて説明したように、焼成、焼結を経て、所望の無機成形体とすることができる。
【0183】
また、以上のような構成の無機成形体の製造方法であっても、無機材料を形成材料とし、所望の形状の透明部材を容易に形成可能となる。
【0184】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせなどは一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求などに基づき種々変更可能である。
【0185】
例えば、上述した製造装置200においては、貯留槽210の底部が光透過部211となっており、光透過部211を介して貯留槽210の下方から画像光Lを照射することとしたが、これに限らない。
【0186】
画像光Lを貯留槽210の上方から組成物1000に向けて照射すると共に、組成物1000の液面で硬化した硬化物をステージ220の上面で保持する構成とすることができる。この場合、成形が進むにしたがって、ステージ220を-z方向に下げる構成とすることができる。
【実施例
【0187】
[水準1]
(実施例1)
(a)イソボルニルアクリレート、(b)テトラヒドロフルフリルアクリレート、(c)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレートを、表1に記載の質量比で混合し、混合溶液を得た。
【0188】
さらに、混合溶液に対し光重合開始剤(BASF社製、製品名:IRGACURE TPO、Diphenyl(2,4,6-trimethylbenzoyl)phosphine Oxide)を、混合溶液:光重合開始剤=98:2(質量比)となるように混合した。
【0189】
一方、シランカップリング剤(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)と、シランカップリング剤にて表面修飾されていない球状のシリカ粒子(平均一次粒子径:1μm)とを混合し、表面修飾されたシリカ粒子を得た。シランカップリング剤は、シリカ粒子に対して1質量%用いた。
【0190】
次いで、シランカップリング剤により表面修飾されたシリカ粒子と、シランカップリング剤にて表面修飾されていないシリカナノ粒子(平均一次粒子径:10nm)と、上記混合溶液とを混合し、実施例1の組成物を得た。実施例1の組成物は、シリカ粒子と混合溶液との合計に対し、シリカ粒子を60質量%含んでいた。また、実施例1の組成物は、組成物全体に対し、シリカ粒子を60質量%含んでいた。
【0191】
(実施例2~8)
(a)イソボルニルアクリレート、(b)テトラヒドロフルフリルアクリレート、(c)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレートの混合比、および表面修飾されたシリカ粒子と、シリカナノ粒子と、混合溶液との混合比を、表1に記載の質量比としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2~8の組成物を得た。
【0192】
(比較例1~4)
(a)イソボルニルアクリレート、(b)テトラヒドロフルフリルアクリレート、(c)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレートの混合比、および表面修飾されたシリカ粒子と、表面修飾する前のシリカ粒子と、シリカナノ粒子と、混合溶液との混合比を、表2に記載の質量比としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1~4の組成物を得た。
【0193】
(無機成形体の成形)
得られた実施例1~5、および比較例1~4の組成物を用い、図5,6に示す原理の3Dプリンタ装置(武藤工業株式会社製、型式:ML-48)を用いて、上述した実施形態における第1成形体を作製した。3Dプリンタ装置においては、光源波長405nm、1層積層あたりの露光時間10秒、積層ピッチ25μmまたは100μmとした。第1成形体は、平面視矩形の板状、または円板状とした。
【0194】
第1成形体を大気中、昇温速度1℃/分で900℃まで昇温し、上述した実施形態における第2成形体を作製した。
得られた第2成形体を真空雰囲気中、1600℃で焼成し、無機成形体を得た。
【0195】
(評価)
(組成物の流動性)
組成物の流動性は、測定温度30℃において粘度計(SV-10、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて評価した。水準1の各実施例においては、粘度が、図5,6に示す3Dプリンタ装置に適した5000mPa・s以下である組成物を良品として判断した。
【0196】
(無機成形体の透明性)
無機成形体の透明性は、紫外-可視分光光度計(U-4000、株式会社日立製作所製)を用いて測定した。測定に用いた試験片(無機成形体)は、各実施例、比較例の組成物を用いて作製した。試験片の厚さは、1mmとした。得られた測定値を、下記基準に基づいて評価した。
◎:光透過率80%以上
○:光透過率70%以上80%未満
【0197】
実施例1~8、比較例1~4の組成物について、評価結果を表1、2に示す。
【0198】
【表1】
【0199】
【表2】
【0200】
評価の結果、実施例1~8の組成物は、無機粒子の含有率が60質量%以上であるにもかかわらず、粘度が5000mPa・s以下であり、流動性に優れていた。また、実施例1~8の組成物を用いて成形した無機成形体は、高い透明性を示すことが分かった。
【0201】
また、実施例1~8の組成物を用いると、例えば、図7に示すような容器の表面や内側が波打つデザインを有する、意匠性の高い容器を製造することができた。製造した容器は、口径が30mm、高さが50mmであった。すなわち、本実施形態の組成物を用いると、複雑な形状の無機成形体を製造可能であることが確かめられた。
【0202】
なお、図7に示す容器の大きさは、製造で用いた3Dプリンタ装置の最大造形サイズや製造で用いた電気炉の容量の制約を受けている。大型サイズが可能な3Dプリンタ装置や大きな容量の炉を用いて第2成形体の形成と焼結とを行うことで、図7に示した無機成形体と比べ、大型の無機成形体を製造することが可能と考えられる。
【0203】
また、実施例5の組成物を用いて無機成形体を成形したところ、第2成形体の寸法と無機成形体の寸法とから下記式に基づいて算出される線形収縮率は11%であった。
(線形収縮率)=([第2成形体の寸法]-[無機成形体の寸法])/[第2成形体の寸法]×100
【0204】
一方、比較例1の組成物は、無機粒子の含有率が40質量%と低いにもかかわらず、粘度が5000mPa・sを超え、流動性が低かった。また、比較例1の組成物を用いて無機成形体を成形したところ、光照射後、第1成形体を昇温して第2成形体を製造する過程で成形体に亀裂が入り、無機成形体が得られなかった。
【0205】
また、無機粒子の含有率が60質量%である比較例2の組成物は、測定ができないほど粘度が高く、3Dプリンタ装置を用いて無機成形体を成形することができなかった。
【0206】
また、無機粒子の含有率が20質量%である比較例3の組成物は、流動性に優れ3Dプリンタ装置を用いて第1成形体を成形し、得られた第1成形体を焼成して第2成形体を成形することは可能であった。しかし、第2成形体の焼結の際、成形体が割れてしまい、目的とする無機成形体が得られなかった。
【0207】
樹脂を含む第1成形体は、第2成形体にするための焼成の際に樹脂が除かれ、樹脂が存在していた部分に空隙を生じると考えられる。また、第2成形体を焼結すると、上記空隙を埋めるように収縮しながら無機成形体になると考えられる。比較例3の組成物を用いて成形した第1成形体は、含まれる樹脂が多いため、無機成形体を得るための焼結時の収縮率が大きく、収縮に伴うひずみが大きくなった結果、成形体が割れてしまったものと考えられる。
【0208】
また、シリカナノ粒子の含有率が30質量%である比較例4の組成物は、無機粒子の量、すなわちシリカ粒子とシリカナノ粒子の合計量は実施例1~3と同じであるにもかかわらず、測定ができないほど粘度が高くなった。シリカナノ粒子の使用により組成物の粘度を制御することが可能であるが、入れすぎると粘度が上がりすぎることが確認できた。
【0209】
以上より、シリカ粒子の表面をシランカップリング剤で修飾することで、シリカ粒子の分散状態が良好な組成物となることが確かめられた。組成物中に無機粒子が良好に分散することにより、組成物の粘度上昇が抑制され、流動性に優れた組成物が得られたと考えられる。
【0210】
また、用いるシリカ粒子にシリカナノ粒子を加えることにより、シリカ粒子の分散状態を調製し、組成物の粘度を制御可能であることが確かめられた。
【0211】
[水準2]
(実施例9)
(b)テトラヒドロフルフリルアクリレート、(c)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、(d)2-ヒドロキシエチルアクリレートを、表3に記載の質量比で混合し、混合溶液を得た。
【0212】
さらに、混合溶液に対し光重合開始剤(BASF社製、製品名:IRGACURE TPO、Diphenyl(2,4,6-trimethylbenzoyl)phosphine Oxide)を、混合溶液:光重合開始剤=98:2(質量比)となるように混合した。
【0213】
次いで、シランカップリング剤にて表面修飾されていない球状のシリカ粒子(平均一次粒子径:1μm)と上記混合溶液とを混合し、実施例6の組成物を得た。実施例6の組成物は、シリカ粒子と混合溶液との合計に対し、シリカ粒子を60質量%含んでいた。
【0214】
(実施例10~13、比較例5)
(a)イソボルニルアクリレート、(b)テトラヒドロフルフリルアクリレート、(c)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、(d)2-ヒドロキシエチルアクリレートの混合比、およびシリカ粒子と混合溶液との混合比を、表3、4に記載の質量比としたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例10~13、比較例5の組成物を得た。
【0215】
実施例9~13、比較例1~3,5の組成物について、上述の方法にて流動性を評価した。評価結果を表3,4に示す。比較例1~3については、水準1で示した結果と同じ結果を示す。
【0216】
なお、シリカ粒子のSP値(単位:MPa1/2)については、公知の文献値(Powder Technology,192(2009)p.92-98)を用いた。
また、(a)~(d)の各モノマーのSP値(単位:MPa1/2)については、Fedorsの推算法を用いて算出した以下の値を採用した。光硬化性樹脂組成物のSP値については、各モノマーのSP値を質量比で合算した値を採用した。
(SP値)
シリカ粒子:25
(a)イソボルニルアクリレート:19.7
(b)テトラヒドロフルフリルアクリレート:20.5
(c)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート:18.6
(d)2-ヒドロキシエチルアクリレート:23.6
【0217】
【表3】
【0218】
【表4】
【0219】
評価の結果、実施例9~13の組成物は、無機粒子の含有率が60質量%以上であるにもかかわらず、粘度が5000mPa・s以下であり、流動性に優れていた。また、実施例9~13の組成物を用いて成形した無機成形体は、高い透明性を示すことが分かった。
【0220】
一方、比較例1,2の組成物は、無機粒子の含有率が60質量%以下であり、実施例9~13と同等以下であるにもかかわらず、粘度が5000mPa・sを超え、流動性が低かった。
【0221】
また、無機粒子の含有率が20質量%である比較例5の組成物は、流動性に優れ3Dプリンタ装置を用いて第1成形体を成形し、得られた第1成形体を焼成して第2成形体を成形することは可能であった。しかし、第2成形体の焼結の際、成形体が割れてしまい、目的とする無機成形体が得られなかった。
【0222】
一方、比較例1の組成物は、無機粒子の含有率が40質量%と低いにもかかわらず、測定ができないほど粘度が高くなった。
【0223】
また、無機粒子の含有率が60質量%である比較例2の組成物は、測定ができないほど粘度が高かった。
【0224】
また、無機粒子の含有率が20質量%である比較例3,5の組成物は、流動性に優れ3Dプリンタ装置を用いて第1成形体を成形し、得られた第1成形体を焼成して第2成形体を成形することは可能であった。しかし、第2成形体の焼結の際、成形体が割れてしまい、目的とする無機成形体が得られなかった。
【0225】
なお、比較例3と比較例5との比較によっても、用いるシリカ粒子にシリカナノ粒子を加えることにより、シリカ粒子の分散状態を調製し、組成物の粘度を制御可能であることが確かめられた。
【0226】
以上より、シリカ粒子の表面をシランカップリング剤で修飾しなくても、無機粒子(シリカ粒子)の溶解度パラメータと、光硬化性樹脂組成物の溶解度パラメータとの差が小さくなるように光硬化性樹脂組成物の組成を調製することで、シリカ粒子の分散状態が良好な組成物となることが確かめられた。組成物中に無機粒子が良好に分散することにより、組成物の粘度上昇が抑制され、流動性に優れた組成物が得られたと考えられる。
【0227】
[水準3]
(実施例14)
(a)イソボルニルアクリレート、(b)テトラヒドロフルフリルアクリレート、(c)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレートの混合比、および表面修飾されたシリカ粒子と、シリカナノ粒子と、混合溶液との混合比を、表5に記載の質量比としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例14の組成物を得た。
【0228】
【表5】
【0229】
(無機成形体の成形)
得られた実施例14の組成物を用い、図1に示す原理の光造形装置(武蔵エンジニアリング株式会社製、SHOTmini200Sx)と、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製、ML-808GX)と、紫外線を照射する光源(波長405nm)とを用いて、上述した実施形態における第1成形体を作製した。
【0230】
得られた第1成形体について、実施例1と同様にして焼成および焼結のための加熱を行い、無機成形体を得た。
【0231】
得られた無機成形体については、高い光透過性を有することを確認した。
【0232】
以上の結果から、本発明が有用であることが分かった。
【符号の説明】
【0233】
1000…組成物、1100…第1成形体、1200…第2成形体、1300…無機成形体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7