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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】空中で結像するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20221117BHJP
   G02B 5/124 20060101ALI20221117BHJP
   H04N 13/346 20180101ALI20221117BHJP
   G02B 17/02 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B5/124
H04N13/346
G02B17/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021126378
(22)【出願日】2021-08-02
(62)【分割の表示】P 2019552326の分割
【原出願日】2017-12-06
(65)【公開番号】P2021182152
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】201711270401.9
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201611124003.1
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201711271270.6
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201711269267.0
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201711271272.5
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519206335
【氏名又は名称】フューチュラス テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ジュンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,タオ
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-025776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0248014(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0103255(US,A1)
【文献】特開2002-323612(JP,A)
【文献】特開2003-195788(JP,A)
【文献】特表2002-538485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/56
G02B 5/12 - 5/136
H04N 13/346
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像源と、半透鏡と、再帰反射素子とを備える空中で結像するためのシステムであって、
前記像源から発せられた光線は、前記半透鏡により反射されて前記再帰反射素子に照射してから、前記再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、前記半透鏡を透過して実像を形成しており、
前記再帰反射素子は、複数の再帰反射サブ素子によって形成されるアレイを含んでおり、前記再帰反射サブ素子のそれぞれは、基材と、前記基材に分布され、且つ反射面を有する複数の再帰反射ユニットとを備えており、少なくとも1つの再帰反射ユニットは、少なくとも1つの直角頂点を有するとともに前記直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなす直角頂点微細構造体を含み、前記直角頂点微細構造体の中心線と前記基材の平面の法線とのなす角度が15°未満で、前記中心線と前記直角頂点微細構造体の3本の稜線とのなす角度が全て同じであり、
前記像源と、前記半透鏡と、前記アレイと、前記実像を含む断面図には完全な実像となる完全な実像視域を含んでおり、前記完全な実像視域は、交点を視域点とする、第1視域境界線と第2視域境界線とを備え、前記半透鏡の前記像源から離れる端が半透鏡の第1端で、前記半透鏡の前記像源に近い端が半透鏡の第2端であり、前記第1視域境界線の逆延長線が前記半透鏡の前記第1端と交差するとともに前記第2視域境界線の逆延長線が前記半透鏡の前記第2端と交差し、前記像源から発せられた光線は、前記像源と前記半透鏡との間に位置する有効照射領域を有し、前記有効照射領域は、第1境界線と第2境界線とを含み、前記第1境界線が、前記半透鏡の前記第1端から前記像源の各発光点までの結ぶ線のうち、前記半透鏡とのなす角度が最大である結ぶ線であり、前記第2境界線が、前記半透鏡の前記第2端から前記像源の各発光点までの結ぶ線のうち、前記半透鏡とのなす角度が最小である結ぶ線であり、
前記アレイは、各前記再帰反射サブ素子がいずれも前記像源から前記半透鏡に入射した光線を遮断せずに、前記実像を形成する光線の逆延長線がいずれも前記再帰反射サブ素子に位置するように設置される、システム。
【請求項2】
各前記再帰反射サブ素子は、前記像源から離れる端がその第1端で、前記像源に近い端がその第2端であり、少なくとも一つの前記再帰反射サブ素子の前記第1端が前記第1境界線上、あるいは、前記有効照射領域以外に位置し、且つ当該再帰反射サブ素子の前記第2端が前記有効照射領域以外に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各前記再帰反射サブ素子は、前記像源から離れる端がその第1端で、前記像源に近い端がその第2端であり、少なくとも一つの前記再帰反射サブ素子の幾何中心と前記視域点との結ぶ線と、当該再帰反射サブ素子における前記直角頂点微細構造体の中心線とのなす角度が、15度未満である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも一つの前記再帰反射サブ素子の幾何中心と前記視域点との結ぶ線と、当該再帰反射サブ素子における前記直角頂点微細構造体の中心線とのなす角度が0度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
隣接する2つの前記再帰反射サブ素子のうち、前記半透鏡の前記第1端に近い一方が第1再帰反射サブ素子で、前記半透鏡の前記第1端から離れる他方が第2再帰反射サブ素子であり、
前記第1再帰反射サブ素子の前記第2端と前記視域点との結ぶ線と、前記第1境界線とが交差した交点は第1交点であり、前記第2再帰反射サブ素子の前記第1端と前記視域点との結ぶ線と、前記第1境界線とが交差した交点は第2交点であり、
前記第2交点は、前記第1交点よりも前記半透鏡の前記第1端側に位置し、又は、前記第1交点と重なる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
像源と、半透鏡と、再帰反射素子とを備える空中で結像するためのシステムであって、
前記像源から発せられた光線は、前記半透鏡を透過して前記再帰反射素子に照射してから、前記再帰反射素子で反射された後元の入射経路に沿って逆方向に出射し、前記半透鏡により反射されて実像を形成しており、
前記再帰反射素子は、複数の再帰反射サブ素子によって形成されるアレイを含んでおり、前記再帰反射サブ素子のそれぞれは、基材と、前記基材に分布され、且つ反射面を有する複数の再帰反射ユニットとを備えており、少なくとも1つの再帰反射ユニットは、少なくとも1つの直角頂点を有するとともに前記直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなす直角頂点微細構造体を含み、前記直角頂点微細構造体の中心線と前記基材の平面の法線とのなす角度が15°未満で、前記中心線と前記直角頂点微細構造体の3本の稜線とのなす角度が全て同じであり、
前記像源と、前記半透鏡と、前記アレイと、前記実像を含む断面図には完全な実像となる完全な実像視域を含んでおり、前記完全な実像視域は、交点を視域点とする、第1視域境界線と第2視域境界線とを備え、前記半透鏡の前記像源から離れる端が半透鏡の第1端で、前記半透鏡の前記像源に近い端が半透鏡の第2端であり、前記第1視域境界線の逆延長線が前記半透鏡の前記第1端と交差するとともに前記第2視域境界線の逆延長線が前記半透鏡の前記第2端と交差し、前記像源から発せられた光線は、前記像源と前記半透鏡との間に位置する有効照射領域を有し、前記有効照射領域は、第1境界線と第2境界線とを含み、前記第1境界線が、前記半透鏡の前記第1端から前記像源の各発光点までの結ぶ線のうち、前記半透鏡とのなす角度が最大である結ぶ線であり、前記第2境界線が、前記半透鏡の前記第2端から前記像源の各発光点までの結ぶ線のうち、前記半透鏡とのなす角度が最小である結ぶ線であり、
前記断面図には、第3境界線、有効結像領域、及び仮想視域点をさらに含み、前記第3境界線が前記半透鏡に対して前記第1境界線と鏡面対称になり、前記有効結像領域が前記半透鏡に対して前記有効照射領域と鏡面対称になり、前記仮想視域点が前記半透鏡に対して前記視域点と鏡面対称になり、
前記アレイは、各前記再帰反射サブ素子がいずれも前記半透鏡から前記実像へ照射する光線を遮断せずに、前記半透鏡から前記実像へ照射する光線の当該半透鏡での入射光線の逆延長線が前記再帰反射サブ素子に位置する、システム。
【請求項7】
各前記再帰反射サブ素子は、前記像源から離れる端がその第1端で、前記像源に近い端がその第2端であり、少なくとも一つの前記再帰反射サブ素子の前記第1端が前記第3境界線上、あるいは、前記有効照射領域以外に位置し、且つ当該少なくとも一つの再帰反射サブ素子の前記第2端が前記有効照射領域以外に位置する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
各前記再帰反射サブ素子は、前記像源から離れる端がその第1端で、前記像源に近い端がその第2端であり、各前記再帰反射サブ素子の前記第1端がいずれも前記第3境界線上に位置し、各前記再帰反射サブ素子の幾何中心と前記仮想視域点との結ぶ線と、対応する再帰反射サブ素子の前記中心線とのなす角度が、15度未満である、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
各前記再帰反射サブ素子の幾何中心と前記仮想視域点との結ぶ線と、対応する再帰反射サブ素子の前記中心線とのなす角度が0度である、請求項6または8に記載のシステム。
【請求項10】
隣接する2つの前記再帰反射サブ素子のうち、前記半透鏡の前記第1端に近い一方が第1再帰反射サブ素子で、前記半透鏡の前記第1端から離れる他方が第2再帰反射サブ素子であり、
前記第1再帰反射サブ素子の前記第2端と前記仮想視域点との結ぶ線と、前記第3境界線とが交差した交点は第1交点であり、前記第2再帰反射サブ素子の前記第1端と前記仮想視域点との結ぶ線と、前記第3境界線とが交差した交点は第2交点であり、
前記第2交点は、前記第1交点よりも前記半透鏡の前記第1端側に位置し、又は、前記第1交点と重なる、請求項6ないし9のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年12月8日に提出した中国特許出願CN2016111240031の優先権、2017年12月5日に提出した中国特許出願CN2017112704019の優先権、2017年12月5日に提出した中国特許出願CN2017112712706の優先権、2017年12月5日に提出した中国特許出願CN2017112692670の優先権、2017年12月5日に提出した中国特許出願CN2017112712725の優先権を主張しており、これらの出願を援用により本明細書に完全に組み込んでいる。
【0002】
本発明は、ホログラフィックイメージングの分野に関し、より具体的には、空中で結像するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ホログラムは、干渉及び回折の原理に基づいて物体のリアルな3次元像を記録して再生する技術のことである。
【0004】
従来のホログラフィックイメージング方法は、レーザ干渉の原理でホログラフィック画像を生成する。レーザ光源から発せられた光は、2つに分けられて、一方が感光材へ直接出射し、他方が被写体により反射されて感光材へ出射する。これらが感光材において重ね合わせて干渉させ、最終的に、デジタル画像の基本原理によって再生されたホログラフィック画像に対して更なる処理を行い、デジタルの干渉を除去して、鮮明なホログラフィック画像を得る。このような方法は、単色性に対する要件が高く、カラー画像の形成が実現しにくいという欠点がある。
【0005】
従来のホログラフィックイメージング技術は、一般的に以下の3種類に分けられる。
【0006】
第1種は、マイクロソフト社製のHoloLens等のような仮想現実又は拡張現実の眼鏡又はヘルメットを使用する必要がある。この技術は、補助器具が必要であるため、応用できるシーンが制限され、且つ現在では製造コストが高い。
【0007】
第2種は、3次元像を実現するには、高速で回転する反射板および高速でリフレッシュするプロジェクタにより画像を該反射板に投影する必要がある。特許文献CN105372926Aには、このような技術を利用した回転式のホログラフィックプロジェクションションウィンドウが開示されている。このような技術はインタラクションを実現しにくく、且つ、場所空間に対する要件が非常に厳しい。
【0008】
第3種は、水蒸気を含む空気のような微粒子が含まれている媒体を介して、水蒸気の液化により形成された小さな水滴において画像を投影し、不均衡な分子振動によって、階層性及び立体感が非常に高い画像を結像させることができる。特許文献CN104977794A及びCN103116422Aには、このような技術を応用したことが開示されており、両方とも水蒸気カーテンウォールによって空気中で画像を結像させる。このような技術を応用すると、水蒸気カーテンウォールを形成するための補助工具を配備する必要があり、従って、使用上にはあまり便利ではない。
【0009】
要するには、以上の技術は、仮想現実又は拡張現実用の工具、高速で回転する反射板、又は空気中の蒸気微粒子に画像を結像させ、いずれも実質上に空中で画像を結像させることではない。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、上記した技術の欠陥を克服し、いずれの特別な媒体を介さずに空気中さらには真空中で直接画像を結像させることを可能とする実質的な空中で画像を結像させるシステム及び方法を提供することである。これにより、応用範囲を大幅に拡大させて、補助工具に制限されず、且つ現在のマン-マシンインタラクションのシーンに革命的な突破をもたらす。
【0011】
本発明の主な態様によれば、空中で結像するためのシステムを提供し、像源、半透鏡及び再帰反射素子を備え、
像源から発せられた光線は、半透鏡により反射されて再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡を透過して実像を形成する。
【0012】
本発明の別の主な態様によれば、空中で結像するためのシステムを提供し、像源、半透鏡及び再帰反射素子を備え、
像源から発せられた光線は、半透鏡を透過して再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射されて元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡により反射されて実像を形成する。
【0013】
本発明のまた別の主な態様によれば、空中で結像するためのシステムを提供し、像源、半透鏡、第1再帰反射素子、及び第2再帰反射素子を備え、
像源から発せられた光線は、半透鏡により反射されて第1再帰反射素子に照射してから、第1再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡を透過して第1実像を形成するのに加えて、
半透鏡を透過して第2再帰反射素子に照射してから、第2再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡により反射されて第2実像を形成する、システム。
【0014】
本発明のまた別の主な態様によれば、空中で結像するためのシステムを提供し、第1像源、第2像源、半透鏡及び再帰反射素子を備え、
第1像源から発せられた光線は、半透鏡により反射されて再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡を透過して第1実像を形成し、
第2像源から発せられた光線は、半透鏡を透過して再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射されて元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡により反射されて実像を形成し、且つ、
第1像源と第2像源の位置は、第1実像と第2実像を同じ位置に形成するように設置される。
【0015】
好ましくは、像源は、虚像又は実像を出す結像表示装置であり、又はこれらの結像表示装置によって形成された虚像又は実像である。
【0016】
好ましくは、像源の光源はレーザ、発光ダイオード、有機発光ダイオード、励起蛍光発光材料のうちの一種又は複数種である。
【0017】
好ましくは、半透鏡の透過率の範囲は20%~80%である。
【0018】
好ましくは、半透鏡の反射率の範囲は20%~80%である。
【0019】
好ましい実施態様では、再帰反射素子は、反射面を有する基材と、基材に分布される微細構造体とを備える。
【0020】
好ましくは、微細構造体は、透明材で形成された直角頂点微細構造体であって、当該直角頂点微細構造体が少なくとも1つの直角頂点を有するとともに当該直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなす。
【0021】
好ましくは、微細構造体は、直角頂点微細構造体が含まれる凹部であり、当該直角頂点微細構造体が少なくとも1つの直角頂点を有するとともに当該直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなす。
【0022】
好ましくは、微細構造体は、透明材で形成された球状微細構造体である。
【0023】
好ましくは、反射面は、前記基材の前記微細構造体に向けた面に形成される。
【0024】
好ましくは、反射面は、前記基材と前記微細構造体との境界領域に形成される。
【0025】
好ましくは、微細構造体と前記基材とは、同じ透明材で一体的に形成されており、前記直角頂点が外に突起し、前記反射面が前記直角頂点の3本の稜線のうち2つずつが交差してなる3つの面に形成される。
【0026】
好ましくは、微細構造体は、基材に均一に分布される。
【0027】
好ましくは、前記基材は、フィルム、幕又は板材である。
【0028】
また別の好ましい実施態様では、再帰反射素子は、複数の再帰反射ユニットを備える。
【0029】
好ましくは、再帰反射ユニットは、反射面を有する微細構造体を備える。
【0030】
好ましくは、微細構造体は、透明材で形成された直角頂点微細構造体であって、当該直角頂点微細構造体が少なくとも1つの直角頂点を有するとともに当該直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなしており、これらの3本の稜線のうち2つずつが交差してなる3つの面の、全面もしくは少なくとも一部の領域が反射面として形成される。
【0031】
好ましくは、微細構造体は、直角頂点微細構造体が含まれる凹部であって、当該直角頂点微細構造体が少なくとも1つの直角頂点を有するとともに当該直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなしており、これらの3本の稜線のうち2つずつが交差してなる3つの面の、全面もしくは少なくとも一部の領域が反射面として形成される。
【0032】
好ましくは、微細構造体は、透明材で形成された球状微細構造体であって、当該球状微細構造体の前記半透鏡からより遠く離れる表面が反射面として形成される。
【0033】
好ましくは、微細構造体の反射面は、前記再帰反射素子を載置可能な基材に付着され、又はそれと一体的に形成される。
【0034】
好ましくは、微細構造体の反射面以外の面は、前記再帰反射素子を載置可能な透明基材に付着され、又はそれと一体的に形成される。
【0035】
また別の好ましい実施態様では、再帰反射素子は、複数の再帰反射ユニットを備える。
【0036】
好ましくは、再帰反射ユニットは、第1材と第2材のうちの一種を備え、当該再帰反射ユニットはさらに反射面を備え、
第1材は、透明な実体材料であり、
第1材は、光線の入射経路から見るとき反射面の前方に位置し、光線が第1材を介して入射した後、反射面で反射されてから、再び第1材から出射し、
第2材は、光線の入射経路から見るとき反射面の後方に位置する。
【0037】
好ましくは、再帰反射ユニットは、第1材と第2材とを備え、さらに反射面を備え、
第1材は、空気又は真空であり、第2材は、フィルム、幕又は板材であり、
第1材は、光線の入射経路から見るとき反射面の前方に位置しており、光線が第1材を介して入射した後、反射面で反射されてから、再び第1材から出射し、
第2材は、光線の入射経路から見るとき反射面の後方に位置する。
【0038】
好ましくは、反射面は、互いに直角をなす3本の稜線のうち2つずつが交差してなる3つの面の、全面もしくは少なくとも一部の領域である。
【0039】
好ましくは、反射面は、球体表面の一部であり、前記球体の円心は、光線の入射経路から見るとき前記反射面の前方に位置する。
【0040】
好ましくは、第2材はフィルム、幕又は板材である。
【0041】
好ましくは、直角頂点の3本の稜線は、長さが等しい。
【0042】
好ましくは、反射面には高反射材料が付着されている。
【0043】
好ましくは、高反射材料の反射率は60%、70%、80%又は90%以上に達する。
【0044】
好ましくは、高反射材料は、スプレー又はメッキの方式で反射面に付着される。
【0045】
好ましくは、再帰反射素子は、半透鏡に向かって湾曲される曲率を有する。
【0046】
好ましくは、微細構造体は、再帰反射素子に均一に分布される。
【0047】
好ましくは、像源は立体像源である。
【0048】
好ましくは、立体像源が、三次元の画像、構造及びビデオ源を表示できる三次元立体表示装置である。
【0049】
好ましくは、三次元立体表示装置は、並進走査型結像システム又は回転走査型結像システムを含む。
【0050】
好ましくは、半透鏡の2つの面のうち一方の面には半透過材料が付着されて、反射率が20%-80%、対応する透過率が80%-20%になるようにする。
【0051】
好ましくは、半透鏡の2つの面のうち半透過材料が付着されていない面には、反射防止材料が付着されている。
【0052】
好ましくは、3本の稜線の長さは20ミクロン~5ミリメートルである。
【0053】
好ましくは、3本の稜線のうち、最も長い稜線の長さは、最も短い稜線の長さの10倍以下である。
【0054】
好ましくは、第1材が透明な実体材料である場合、その入射面には反射防止材料が付着されている。
【0055】
好ましくは、第1材が透明な実体材料である場合、その入射面が平面である。
【0056】
好ましくは、3本の稜線により形成された3つの面のうちの少なくとも1つと入射面となす角度が54度未満である。
【0057】
本発明の主な態様によれば、空中で結像するための方法を提供し、
像源、半透鏡及び再帰反射素子を提供するステップ(1)と、
像源から発せられた光線を、半透鏡により反射させて、再帰反射素子に照射させるステップ(2)と、
光線を、再帰反射素子で反射させてから、元の入射経路に沿って逆方向に出射させ、再び半透鏡を透過させて実像を形成するステップ(3)とを含む。
【0058】
本発明の別の主な態様によれば、空中で結像するための方法を提供し、
像源、半透鏡及び再帰反射素子を提供するステップ(1)と、
像源から発せられた光線を半透鏡を透過させて、再帰反射素子に照射させるステップ(2)と、
光線を、再帰反射素子で反射させてから、元の入射経路に沿って逆方向に出射させ、半透鏡により反射させて実像を形成するステップ(3)とを含む。
【0059】
本発明のまた別の主な態様によれば、空中で結像するための方法を提供し、
像源、半透鏡、第1再帰反射素子、及び第2再帰反射素子を提供するステップ(1)と、
像源から発せられた光線を、半透鏡により反射させて、第1再帰反射素子に照射させるのに加えて、半透鏡を透過させて、第2再帰反射素子に照射させるステップ(2)と、
光線を、第1再帰反射素子で反射させて、元の入射経路に沿って逆方向に出射させ、半透鏡を透過させて第1実像を形成するのに加えて、第2再帰反射素子で反射させてから、元の入射経路に沿って逆方向に出射させ、半透鏡により反射させて第2実像を形成するステップ(3)とを含む。
【0060】
本発明のまた別の主な態様によれば、空中で結像するための方法を提供し、
第1像源、第2像源、半透鏡、及び再帰反射素子を提供するステップ(1)と、
第1像源から発せられた光線を半透鏡により反射させて再帰反射素子に照射させ、且つ、第2像源から発せられた光線を半透鏡を透過させて再帰反射素子に照射させるステップ(2)と、
第1像源から発せられた光線を再帰反射素子で反射させてから元の入射経路に沿って逆方向に出射させ、半透鏡を透過させて第1実像を形成し、且つ、第2像源から発せられた光線を再帰反射素子で反射させてから元の入射経路に沿って逆方向に出射させ、半透鏡により反射させて第2実像を形成するステップ(3)と、
第1像源と第2像源の位置を、第1実像と第2実像を同じ位置に形成するように設置するステップ(4)とを含む。
【0061】
本発明において、「再帰反射」とは、光線が再帰反射素子で再帰反射するとき、巨視的な観点から、反射光線が入射光線と同じ経路に位置し、方向が反対である(勿論、微視的な観点から、反射経路と入射経路はわずかにずれていると考えることができる)ことである。また、光が波動・粒子二重性を有するため、光線は再帰反射素子から反射されるとき、一定の回折効果を起こす、反射光には一定の発散角を発生させる。この点から理解する場合、反射光の主軸が入射光方向と反対であれば、本発明における「再帰反射」のことを満たす。
【0062】
再帰反射による光線の微視的なずれ及びフラウンホーファー回折は本発明の空中で結像する解像度に影響を与える2つの中核要素であり、この二つの要素も相互に制約される。再帰反射素子の微細構造のサイズが小さいほど、引き起こされる光線のずれが小さくなるが、回折によるスポットが大きくなり、一方、微細構造のサイズが大きいほど、回折によるスポットが小さくなるが、引き起こされた光線のずれが大きくなる。それらの相互制約関係による結像解像度への悪い影響を解消するために、本発明はさらに、最適な結像解像度を取得するように、以下の解決策を提供する。
【0063】
本発明の主な態様によれば、空中で結像するためのシステムを提供し、像源、半透鏡及び再帰反射素子を備え、
像源から発せられた光線は、半透鏡により反射されて再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡を透過して実像を形成し、
再帰反射素子は、複数の再帰反射用の微細構造体を備えており、微細構造体の半径、像源画素配列のドットピッチ(像源画素ドット間のドットピッチ)、及び実像から再帰反射素子までの光路の間の関係は、微細構造体の直径がドットピッチの増加に伴って大きくなり、且つ光路もドットピッチの増加に伴って大きくなるように設計される。
【0064】
好ましくは、当該微細構造の直径、当該像源画素配列のドットピッチ、及び当該実像から再帰反射素子までの光路の間の関係は、当該微細構造体の直径と当該ドットピッチが線形関係になり、当該光路と当該ドットピッチの平方が線形関係になるように設計される。
【0065】
好ましくは、当該微細構造の直径と当該実像から再帰反射素子までの光路との間の関係は、当該光路が選定された場合、当該微細構造の面積が像源から発せられた光線の波長に反比例するように設計されるように設定される。
【0066】
好ましくは、当該微細構造の直径と当該像源画素配列のドットピッチとの間の関係は、当該微細構造の直径が当該像源画素配列のドットピッチの半分以下であるように設定される。
【0067】
好ましくは、ユーザーが上記実像を観察する予め設定された観察距離が、当該実像から再帰反射素子までの光路の増加に伴って大きくなる。
【0068】
好ましくは、ユーザーが上記実像を観察する予め設定された観察距離が、当該実像から再帰反射素子までの光路に対して線形関係となる。
【0069】
好ましくは、当該像源画素配列のドットピッチが、ユーザーが上記実像を観察する予め設定された観察距離の増加に伴って大きくなるように選択される。
【0070】
好ましくは、当該像源画素配列のドットピッチが、ユーザーが上記実像を観察する予め設定された観察距離に比例するように選択される。
【0071】
本発明の別の主な態様によれば、像源、半透鏡及び再帰反射素子を備えるシステムを用いた、空中で結像するための方法を提供し、
像源から発せられた光線を半透鏡により反射させてから、再帰反射素子に照射させることと、
光線を再帰反射素子で反射させてから、元の入射経路に沿って逆方向に出射させることで、再び半透鏡を透過させて実像を形成することとを含み、
当該再帰反射素子は、複数の再帰反射用の微細構造体を備えており、当該方法は、微細構造体の半径、像源画素配列のドットピッチ、及び実像から再帰反射素子までの光路の間の関係は、微細構造体の直径がドットピッチの増加に伴って大きくなり、且つ光路もドットピッチの増加に伴って大きくなるように設計される。
【0072】
好ましくは、当該微細構造の直径、当該像源画素配列のドットピッチ、及び当該実像から再帰反射素子までの光路の間の関係を、当該微細構造の直径と当該ドットピッチが線形関係になり、当該光路と当該ドットピッチの平方が線形関係になるように設計する。
【0073】
好ましくは、当該微細構造の直径と当該実像から再帰反射素子までの光路との間の関係を、当該光路が選定された場合、当該微細構造の面積が像源から発せられた光線の波長に反比例するように設定する。
【0074】
好ましくは、当該微細構造の直径と当該像源画素配列のドットピッチとの間の関係を、当該微細構造の直径が当該像源画素配列のドットピッチの半分以下であるように設計する。
【0075】
好ましくは、ユーザーが上記実像を観察する予め設定された観察距離を、当該実像から再帰反射素子までの光路の増加に伴って大きくする。
【0076】
好ましくは、ユーザーが上記実像を観察する予め設定された観察距離を、当該実像から再帰反射素子までの光路に対して線形関係にする。
【0077】
好ましくは、当該像源画素配列のドットピッチを、ユーザーが上記実像を観察する予め設定された観察距離の増加に伴って大きくするように選択する。
【0078】
好ましくは、当該像源画素配列のドットピッチを、ユーザーが上記実像を観察する予め設定された観察距離に比例するように選択する。
【0079】
本発明の別の主な態様によれば、空中で結像するためのシステムを構築する方法を提供し、当該システムは像源、半透鏡及び再帰反射素子を備え、当該再帰反射素子は複数の再帰反射用の微細構造を備え、
像源、半透鏡及び再帰反射素子は、像源から発せられた光線が半透鏡により反射されて再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡を透過して実像を形成するような光路を形成することと、
ユーザーが上記実像を観察する観察距離を決定することと、
観察距離に基づいて、当該観察距離の増加に伴って大きくなった、当該実像から再帰反射素子までの光路を決定することと、
観察距離に基づいて、当該観察距離の増加に伴って大きくなった、当該像源画素配列のドットピッチを決定することと、
当該ドットピッチに基づいて、当該像源画素配列のドットピッチの半分以下である当該微細構造体の直径を決定することとを含む。
【0080】
好ましくは、当該光路が当該観察距離に比例し、及び/又は当該ドットピッチが当該観察距離に比例する。
【0081】
光線のずれによるスポットの大きさへの影響が結像距離に伴って変化しないが、微細構造体のサイズに対して線形的に変化する。従って、微細構造体ユニットの大きさを減少させ、たとえば超微細加工等の方法で解決することができる。回折によるスポットの大きさが結像距離の変化に対して線形的に変化するため、回折による光線の発散を低減させる工夫が非常に重要な要素となる。
【0082】
一般的な直角三角錐構造を再帰反射ユニットとして使用する場合、入射光線が上表面において屈折してから、再帰反射ユニットの直角三角錐に入射して反射され、その同時にフラウンホーファー回折により一定の角度で発散する。その後、再帰反射素子の上表面において再び屈折して、その主軸が入射光線の方向と反対であるが少しの変位及び一定の発散角を有する反射光線を形成する。
【0083】
回折による光線の発散の結像解像度への悪い影響を最大限に低減させるために、本発明はさらに、結像解像度を向上させるように、以下の解決策を提供する。
【0084】
本発明の主な態様によれば、透明基体と、透明基体に付着している反射材料とを備える再帰反射素子を提供し、光線が透明基体を経て入射し、反射材料に到達して反射材料で反射された後、再び透明基体を経て元の入射経路に沿って逆方向に出射し、当該再帰反射素子は複数の再帰反射用の微細構造体を備え、各微細構造体は1つの凸レンズユニット及び複数の直角三角錐ユニットを備え、当該複数の直角三角錐ユニットが入射経路において当該凸レンズユニットの下流側に位置し、当該反射材料が入射経路において当該複数の直角三角錐ユニットの下流側に位置するとともに当該直角三角錐ユニットに付着し、当該複数の直角三角錐ユニットが当該凸レンズユニットの焦点面に並んでいる。
【0085】
本発明の別の主な態様によれば、透明基体と、透明基体に付着している反射材料とを備える再帰反射素子を提供し、光線が透明基体を経て入射し、反射材料に到達して反射材料で反射された後、再び透明基体を経て元の入射経路に沿って逆方向に出射し、当該再帰反射素子がさらに、凸レンズユニットアレイと直角三角錐ユニットアレイとを備え、当該直角三角錐ユニットアレイが入射経路において当該凸レンズユニットアレイの下流側に位置し、当該反射材料が入射経路において当該直角三角錐ユニットアレイの下流側に位置するとともに当該直角三角錐ユニットアレイに付着し、各凸レンズユニットは複数の直角三角錐ユニットを被覆し、且つ、当該複数の直角三角錐ユニットが当該凸レンズユニットの焦点面に並んでいる。
【0086】
好ましくは、当該凸レンズユニットの表面に反射防止材料が付着しており、その表面透過率を0.7、0.8又は0.9より大きくする。
【0087】
好ましくは、当該反射材料の反射率が0.5、0.6、0.7、0.8又は0.9より大きい。
【0088】
好ましくは、当該凸レンズユニットの直径は当該直角三角錐ユニットの辺長の約50倍である。
【0089】
好ましくは、当該凸レンズユニットの直径は1mm以下である。
【0090】
好ましくは、当該直角三角錐ユニットの辺長は0.02mm以下である。
【0091】
本発明の別の主な態様によれば、像源、半透鏡及び上記の当該再帰反射素子を備える空中で結像するためのシステムを提供し、像源から発せられた光線は半透鏡により反射されて再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡を透過して実像を形成する。
【0092】
本発明の別の主な態様によれば、像源、半透鏡及び上記の当該再帰反射素子を備える空中で結像するためのシステムを提供し、像源から発せられた光線は半透鏡を透過して再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡により反射されて実像を形成する。
【0093】
本発明の別の主な態様によれば、像源、半透鏡、第1再帰反射素子、及び第2再帰反射素子を備える空中で結像するためのシステムを提供し、第1再帰反射素子と第2再帰反射素子がいずれもそれぞれ上記の当該再帰反射素子によって形成され、像源から発せられた光線は半透鏡により反射されて第1再帰反射素子に照射してから、第1再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡を透過して第1実像を形成し、また、像源から発せられた光線は半透鏡を透過して第2再帰反射素子に照射してから、第2再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡により反射されて第2実像を形成する。
【0094】
本発明の上記の空中で結像するシステムによれば、像源から発せられた光線は半透鏡による一回の反射及び一回の投影(特定の順序がない)、及び再帰反射素子による反射を経てから結像することができる。従って、形成された実像の輝度は像源の光線輝度と半透鏡の反射率、透過率、及び再帰反射素子の反射光効率の積にほぼ等しい。すなわち、最終の表示された結像の輝度Lの近似計算式は、
L=L×T×R×ηであり、
ここでLが像源の輝度であり、
とRがそれぞれ半透鏡の透過率と反射率であり、
ηが再帰反射素子の反射光効率である。
【0095】
一般的な半透鏡は、基材による光エネルギー吸収を考慮しない場合、反射率と透過率の和が100%であるべきであり、すなわち、以下の近似関係が存在し、
=(1-R)であり、
その場合、
×R=(1-R)×R≦25%であり、
これから分かるように、半透鏡の光効率が1/4以下であり、比較的に低い。
【0096】
これに基づき、本発明はさらに光効率を向上させて、結像の輝度を高める技術及び相応な空中結像装置を提供する。
【0097】
本発明の主な態様によれば、像源、半透鏡及び再帰反射素子を備える空中で結像するためのシステムを提供し、
像源から発せられた光線は半透鏡により反射されて再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡を透過して実像を形成し、
前記像源はs偏光源を使用し、前記半透鏡の前記像源に向けた一側に、選択性透過フィルムがメッキされ、前記選択性透過フィルムが、s偏光に対する反射率が高く、p偏光に対する透過率が高いように設定され、
前記再帰反射素子の前記半透鏡に向けた一側に、位相遅延光学素子が設けられ、前記半透鏡から前記再帰反射素子に照射するs偏光源が前記位相遅延光学素子を通った後に円偏光になる。
【0098】
好ましくは、前記選択性透過フィルムの成分は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物コーティング、及び有機ポリマーのうちの一種を含む。
【0099】
好ましくは、前記選択性透過フィルムは1つの又は複数の膜層を含み、各膜層の成分が金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物コーティング、及び有機ポリマーのうちの一種を含む。
【0100】
好ましくは、前記像源が特定の波長帯域のs偏光を選択し、前記選択性透過フィルムが、当該特定の波長帯域のs偏光に対する反射率が高く、他の波長帯域のs偏光及び可視光の波長帯域内のp偏光に対する透過率が高いように設定される。
【0101】
好ましくは、前記選択性透過フィルムの前記s偏光に対する平均反射率が70%、80%又は90%より大きい。
【0102】
好ましくは、前記選択性透過フィルムの前記p偏光に対する平均透過率が70%、80%又は90%より大きい。
【0103】
好ましくは、前記位相遅延光学素子は1/4波長板である。
【0104】
好ましくは、前記半透鏡の前記像源とは反対の側に反射防止フィルムが付着している。
【0105】
本発明の別の主な態様によれば、像源、半透鏡及び再帰反射素子を備える空中で結像するためのシステムを提供し、
像源から発せられた光線は半透鏡を透過して再帰反射素子に照射してから、再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、半透鏡により反射されて実像を形成し、
前記像源はp偏光源を使用し、前記半透鏡の前記像源に向けた一側に、選択性透過フィルムがメッキされ、前記選択性透過フィルムが、s偏光に対する反射率が高く、p偏光に対する透過率が高いように設定され、
前記再帰反射素子の前記半透鏡に向けた一側に、位相遅延光学素子が設けられ、前記半透鏡から前記再帰反射素子に照射するp偏光源は前記位相遅延光学素子を通った後に、円偏光になる。
【0106】
更に研究して分かるように、再帰反射素子の反射光効率は、反射面の反射率に加えて、再帰反射ユニットに入射した光線角度、及び再帰反射ユニットの形状構造等の要素にも関係している。
【0107】
再帰反射ユニットの3本の稜線との角度が全て同じ(約54.7°)である直線を、中心線として定義し、研究して分かるように、入射光線は、中心線の方向となす角度が小さいほど、反射光効率が高く、逆に、中心線の方向となす角度が大きいほど、反射光効率が低い。
【0108】
結像輝度と結像解像度に対する分析に基づき、空気中での結像輝度と解像度を向上させるために、以下のような構造設計を提案した。すなわち、再帰反射素子を複数の小さな部分に分割し、所定規則で半透鏡の一側に離散的に分布している。
【0109】
これに基づき、本発明はさらに像源、半透鏡及び再帰反射素子を備える空中で結像するためのシステムを提供し、
像源から発せられた光線は、半透鏡により反射されて再帰反射素子に照射してから、当該再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、当該半透鏡を透過して実像を形成し、
当該再帰反射素子は、複数の再帰反射サブ素子を含むアレイによって形成されており、当該再帰反射サブ素子は、略平面状の基材と、基材に分布していると共に反射面を有する複数の再帰反射ユニットとをそれぞれ備えており、当該再帰反射ユニットは、直角頂点微細構造体であり、当該直角頂点微細構造体が少なくとも1つの直角頂点を有するとともに当該直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなしており、当該直角頂点微細構造体の中心線と当該基材平面の法線とのなす角度が15度未満であり、当該中心線と当該直角頂点微細構造体の3本の稜線とのなす角度が全て同じであり、
当該システムの側面図から見れば、完全な当該実像が見られる、交点を視域点とする二本の視域境界線を備える完全な実像視域を有しており、当該アレイは、当該半透鏡までの距離がより近いアレイ第1端と、当該半透鏡までの距離がより遠いアレイ第2端とを含んでおり、当該視域境界線の逆延長線が当該アレイ第1端により近い半透鏡の第1点及び当該アレイ第1端からより遠い半透鏡の第2点に当該半透鏡と交差しており、当該像源から発せられた光線は、当該像源と当該半透鏡との間に位置する有効照射領域を有し、当該有効照射領域は、第1境界線と第2境界線を含み、当該第1境界線が、当該半透鏡の第1点から当該像源の各発光点までの結ぶ線のうち、当該半透鏡とのなす角度が最大である結ぶ線であり、当該第2境界線が、当該半透鏡第2点から当該像源の各発光点までの結ぶ線のうち、当該半透鏡とのなす角度が最小である結ぶ線であり、
且つ、当該再帰反射サブ素子のアレイは、当該再帰反射サブ素子が当該像源から当該半透鏡に入射した光線を遮断せずに、当該実像を形成するすべての光線の逆延長線がいずれも、何れかの再帰反射サブ素子に位置可能とするように設置される。
【0110】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該再帰反射サブ素子は、いずれもサブ素子第1端とサブ素子第2端を備え、各サブ素子第1端が当該第1境界線上、あるいは、当該有効照射領域以外に位置し、各サブ素子第2端が当該有効照射領域以外に位置する。
【0111】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該再帰反射サブ素子は、いずれもサブ素子第1端とサブ素子第2端を備え、各サブ素子第1端が当該第1境界線に位置し、当該再帰反射サブ素子の幾何中心と当該視域点との結ぶ線と、当該再帰反射サブ素子の当該直角頂点微細構造体の中心線とのなす角度が、15度未満である。
【0112】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該再帰反射サブ素子は、いずれもサブ素子第1端とサブ素子第2端を備え、各サブ素子第1端が当該第1境界線に位置し、当該再帰反射サブ素子の幾何中心と当該視域点との結ぶ線と、当該中心線とのなす角度が0度である。
【0113】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該アレイにおけるすべての再帰反射サブ素子を、当該半透鏡第1点からの距離に応じて近から遠に配置し、当該半透鏡第1点からの距離が最も近い位置を最前方とし、当該半透鏡第1点からの距離が最も遠い位置を最後方とするように定義し、隣接する2つの再帰反射サブ素子のうち、前の再帰反射サブ素子のサブ素子第2端及び後ろの再帰反射サブ素子のサブ素子第1端は、前者から当該視域点までの結ぶ線と当該第1境界線との交点が、後者から当該視域点までの結ぶ線と当該第1境界線との交点の後方に位置し又はそれと重なるように設置される。
【0114】
好ましくは、当該直角頂点微細構造体の中心線と当該基材平面の法線となす角度が10度未満又は5度未満である。
【0115】
好ましくは、当該直角頂点微細構造体の中心線と当該基材平面の法線とのなす角度が0度であり、且つ当該直角頂点微細構造体の3本の稜線の長さが同じである。
【0116】
また、本発明はさらに像源、半透鏡及び再帰反射素子を備える空中で結像するためのシステムを提供し、
像源から発せられた光線は、半透鏡を透過して再帰反射素子に照射してから、当該再帰反射素子で反射された後元の入射経路に沿って逆方向に出射し、当該半透鏡により反射されて実像を形成し、
当該再帰反射素子は、複数の再帰反射サブ素子を含むアレイによって形成されており、当該再帰反射サブ素子は、略平面状の基材と、基材に分布していると共に反射面を有する複数の再帰反射ユニットとをそれぞれ備えており、当該再帰反射ユニットは、直角頂点微細構造体であり、当該直角頂点微細構造体が少なくとも1つの直角頂点を有するとともに当該直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなしており、当該直角頂点微細構造体の中心線と当該基材平面の法線とのなす角度が15度未満であり、当該中心線と当該直角頂点微細構造体の3本の稜線とのなす角度が全て同じであり、
当該システムの側面図から見れば、完全な当該実像が見られる、交点を視域点とする二本の視域境界線を備える完全な実像視域を有しており、当該アレイは、当該半透鏡までの距離がより近いアレイ第1端と、当該半透鏡までの距離がより遠いアレイ第2端とを含んでおり、当該視域境界線の逆延長線が当該アレイ第1端により近い半透鏡の第1点及び当該アレイ第1端からより遠い半透鏡の第2点に当該半透鏡と交差しており、当該像源から発せられた光線は、当該像源と当該半透鏡との間に位置する有効照射領域を有し、当該有効照射領域は、第1境界線と第2境界線を含み、当該第1境界線が、当該半透鏡の第1点から当該像源の各発光点までの結ぶ線のうち、当該半透鏡とのなす角度が最大である結ぶ線であり、当該第2境界線が、当該半透鏡第2点から当該像源の各発光点までの結ぶ線のうち、当該半透鏡とのなす角度が最小である結ぶ線であり、第3境界線を当該半透鏡に対して当該第1境界線と鏡面対称になり、有効結像領域を当該半透鏡に対して当該有効照射領域と鏡面対称になり、仮想視域点を当該半透鏡に対して当該視域点と鏡面対称になるように定義し、
且つ、当該再帰反射サブ素子のアレイは、当該再帰反射サブ素子が当該半透鏡から当該実像へ照射する光線を遮断せずに、当該半透鏡から当該実像へ照射する光線における当該半透鏡での入射光線の逆延長線がいずれも、何れかの再帰反射サブ素子に位置可能とするように設置される。
【0117】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該再帰反射サブ素子はいずれもサブ素子第1端とサブ素子第2端を備え、各サブ素子第1端が当該第3境界線又は当該有効結像領域以外に位置し、各サブ素子第2端が当該有効結像領域以外に位置する。
【0118】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該再帰反射サブ素子はいずれもサブ素子第1端とサブ素子第2端とを備え、各サブ素子第1端が当該第3境界線に位置し、当該再帰反射サブ素子の幾何中心と当該仮想視域点との結ぶ線と、当該中心線とのなす角度が、15度未満である。
【0119】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該再帰反射サブ素子はいずれもサブ素子第1端とサブ素子第2端とを備え、各サブ素子第1端が当該第3境界線に位置し、当該再帰反射サブ素子の幾何中心と当該仮想視域点との結ぶ線と、当該中心線とのなす角度が0°である。
【0120】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該アレイにおけるすべての再帰反射サブ素子を、当該半透鏡第1点からの距離に応じて近から遠に配置し、当該半透鏡第1点からの距離が最も近い位置を最前方とし、当該半透鏡第1点からの距離が最も遠い位置を最後方とするように定義し、隣接する2つの再帰反射サブ素子のうち、前の再帰反射サブ素子のサブ素子第2端及び後ろの再帰反射サブ素子のサブ素子第1端は、前者から当該視域点までの結ぶ線と当該第3境界線との交点が、後者から当該視域点までの結ぶ線と当該第3境界線との交点の後方に位置し又はそれと重なるように設置される。
【0121】
本発明はさらに像源、半透鏡及び再帰反射素子を備える空中で結像するためのシステムを提供し、
像源から発せられた光線は半透鏡により反射されて再帰反射素子に照射してから、当該再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、当該半透鏡を透過して実像を形成し、
当該再帰反射素子は、複数の再帰反射サブ素子を含むアレイによって形成されており、当該再帰反射サブ素子は、略平面状の基材と、基材に分布しているとともに反射面を有する複数の再帰反射ユニットとをそれぞれ備えており、当該再帰反射ユニットは、直角頂点微細構造体であり、当該直角頂点微細構造体が少なくとも1つの直角頂点を有するとともに当該直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなしており、当該直角頂点微細構造体の中心線と当該基材平面の法線とのなす角度が15度未満であり、当該中心線と、当該直角頂点微細構造体の3本の稜線との角度が全て同じであり、
当該システムの側面図から見れば、交点を視域点とする二本の視域境界線を備える完全な実像視域を有しており、各当該再帰反射サブ素子の幾何中心と当該視域点との結ぶ線と、当該再帰反射サブ素子の当該直角頂点微細構造体の中心線とのなす角度が、いずれも15度未満である。
【0122】
好ましくは、各当該再帰反射サブ素子の幾何中心と当該視域点との結ぶ線と、当該中心線とのなす角度がいずれも0度である。
【0123】
好ましくは、当該再帰反射サブ素子のアレイが、当該再帰反射サブ素子が当該像源から当該半透鏡に入射した光線を遮断せずに、且つ/又は当該実像を形成するすべての光線の逆延長線がいずれも、いずれかの再帰反射サブ素子に位置可能とするように設置される。
【0124】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該アレイは、当該半透鏡までの距離がより近いアレイ第1端と、当該半透鏡までの距離がより遠いアレイ第2端とを含んでおり、当該視域境界線の逆延長線が当該アレイ第1端からより近い半透鏡第1点及び当該アレイ第1端からより遠い半透鏡第2点に当該半透鏡と交差しており、当該像源から発せられた光線は、当該像源と当該半透鏡との間に位置する有効照射領域を有し、当該有効照射領域は、第1境界線と第2境界線を含み、当該第1境界線が、当該半透鏡第1点から当該像源の各発光点までの結ぶ線のうち、当該半透鏡とのなす角度が最大である結ぶ線であり、当該第2境界線が、当該半透鏡第2点から当該像源の各発光点までの結ぶ線のうち、当該半透鏡とのなす角度が最小である結ぶ線であり、当該再帰反射サブ素子は、いずれもサブ素子第1端とサブ素子第2端とを備え、各サブ素子第1端が、いずれも当該第1境界線上又は当該有効照射領域以外に位置し、各サブ素子第2端が、いずれも当該有効照射領域以外に位置する。
【0125】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該アレイにおけるすべての再帰反射サブ素子を、当該半透鏡第1点からの距離応じて近から遠に配置し、当該半透鏡第1点からの距離が最も近い位置を最前方とし、当該半透鏡第1点からの距離が最も遠い位置を最後方とするように定義し、隣接する2つの再帰反射サブ素子のうち、前の再帰反射サブ素子のサブ素子第2端及び後ろの再帰反射サブ素子のサブ素子第1端は、前者から当該視域点までの結ぶ線と当該第1境界線との交点が、後者から当該視域点までの結ぶ線と当該第1境界線との交点の後方に位置し又はそれと重なるように設置される。
【0126】
好ましくは、当該直角頂点微細構造体の中心線と当該基材平面の法線とのなす角度が10度未満又は5度未満である。
【0127】
好ましくは、当該直角頂点微細構造体の中心線と当該基材平面の法線とのなす角度が0度であり、且つ当該直角頂点微細構造体の3本の稜線の長さが同じである。
【0128】
本発明はさらに像源、半透鏡及び再帰反射素子を備える空中で結像するためのシステムを提供し、
像源から発せられた光線は、半透鏡を透過して再帰反射素子に照射してから、当該再帰反射素子で反射された後、元の入射経路に沿って逆方向に出射し、当該半透鏡により反射されて実像を形成し、
当該再帰反射素子は、複数の再帰反射サブ素子を含むアレイによって形成されており、当該再帰反射サブ素子は、略平面状の基材と、基材に分布していると共に反射面を有する複数の再帰反射ユニットとをそれぞれ備えており、当該再帰反射ユニットは、直角頂点微細構造体であり、当該直角頂点微細構造体が少なくとも1つの直角頂点を有すると共に当該直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなしており、当該直角頂点微細構造体の中心線と当該基材の平面の法線とのなす角度が15度未満であり、当該中心線と、当該直角頂点微細構造体の3本の稜線とのなす角度が全て同じであり、
当該システムの側面図から見れば、交点を視域点とする二本の視域境界線を備える完全な実像視域を有しており、仮想視域点を当該半透鏡に対して当該視域点と鏡面対称にするように定義し、各当該再帰反射サブ素子の幾何中心と当該仮想視域点との結ぶ線と、当該中心線とのなす角度が、いずれも15度未満である。
【0129】
好ましくは、各当該再帰反射サブ素子の幾何中心と当該仮想視域点との結ぶ線と、当該中心線とのなす角度がいずれも0°である。
【0130】
好ましくは、当該再帰反射サブ素子のアレイは、当該再帰反射サブ素子が当該半透鏡から当該実像へ照射する光線を遮断せずに、且つ/又は、当該半透鏡から当該実像へ照射する光線の当該半透鏡での入射光線の逆延長線がいずれも、いずれかの再帰反射サブ素子に位置可能なように設置される。
【0131】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該アレイは、当該半透鏡までの距離がより近いアレイ第1端と、当該半透鏡までの距離がより遠いアレイ第2端とを含んでおり、当該視域境界線の逆延長線が当該アレイ第1端からより近い半透鏡第1点及び当該アレイ第1端からより遠い半透鏡第2点に当該半透鏡と交差しており、当該像源から発せられた光線は、当該像源と当該半透鏡との間に位置する有効照射領域を有し、当該有効照射領域は、第1境界線と第2境界線を含み、当該第1境界線が、当該半透鏡第1点から当該像源の各発光点までの結ぶ線のうち、当該半透鏡とのなす角度が最大である結ぶ線であり、当該第2境界線が、当該半透鏡第2点から当該像源の各発光点までの結ぶ線のうち、当該半透鏡とのなす角度が最小である結ぶ線であり、第3境界線を当該半透鏡に対して当該第1境界線と鏡面対称になり、且つ有効結像領域を当該半透鏡に対して当該有効照射領域と鏡面対称になるように定義し、当該再帰反射サブ素子は、いずれもサブ素子第1端とサブ素子第2端とを備え、各サブ素子第1端が、いずれも当該第3境界線上又は当該有効照射領域以外に位置し、各サブ素子第2端が、いずれも当該有効照射領域以外に位置する。
【0132】
好ましくは、当該システムの側面図から見れば、当該アレイにおけるすべての再帰反射サブ素子を、当該半透鏡第1点からの距離応じて近から遠に配置し、当該半透鏡第1点からの距離が最も近い位置を最前方とし、当該半透鏡第1点からの距離が最も遠い位置を最後方とするように定義し、隣接する2つの再帰反射サブ素子のうち、前の再帰反射サブ素子のサブ素子第2端及び後ろの再帰反射サブ素子のサブ素子第1端は、前者から当該仮想視域点までの結ぶ線と当該第3境界線との交点が、後者から当該仮想視域点までの結ぶ線と当該第3境界線との交点の後方に位置し又はそれと重なるように設置される。
【0133】
離散式の配置方式であるため、各再帰反射サブ素子に対して入射光線と再帰反射ユニットの中心線とのなす角度を減少させることに有利であり、なす角度が小さいほど、結像輝度が高くなる。それだけでなく、各再帰反射サブ素子から実像までの光路を短くすることに有利であり、光路が短いほど、結像解像度が高くなる。
【0134】
なお、以上では各々の主な態様においてそれぞれ複数の好ましい特徴が記載されているが、これらの特徴が当該主な態様のみに適用できるものではなく、適切な場合に他の主な態様にも適用でき、特に説明しない限り、これらの特徴は、単独で又は組み合わせて使用できる。
【0135】
本発明は、たとえば再帰反射フィルムと半透鏡の組合せを先駆的に使用して、虚像を実像に変換することにより、空中での結像を実現する。本発明は、いずれの媒体(たとえばスクリーン、微粒子を含む気体又は液体等)も介さずに空気さらには真空中に映像を直接表示することができ、ヘルメット、眼鏡等の他の補助装置を介さずに多人が同時に映像を見ることができ、また画像が空中に浮かんでいるので、手で直接触れることにより、非常に多いインタラクティブアプリケーションをもたらすことができる、といった利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0136】
本発明の実施例又は従来技術の技術案をより明瞭に説明するために、以下では実施例又は従来技術の説明に必要となる図面を簡単に説明する。なお、後述する図面は単に本発明の一部の実施例を説明するためのものである。これらは本発明を限定するものではなく、例示的なものである。
図1】本発明の1つの実施形態による結像システムを概略的に示す。
図2】本発明の別の実施形態による結像システムを概略的に示す。
図3】本発明の1つの実施形態による再帰反射素子を概略的に示す。
図4】本発明の1つの実施形態による再帰反射素子の微細構造体及び再帰反射経路を概略的に示す模式図である。
図5】本発明の別の実施形態による再帰反射素子を概略的に示す。
図6A】本発明の別の実施形態による再帰反射素子の微細構造体及び再帰反射経路を概略的に示す模式図である。
図6B】本発明の別の実施形態による再帰反射素子の微細構造体及び再帰反射経路を概略的に示す模式図である。
図6C】本発明の別の実施形態による再帰反射素子の微細構造体及び再帰反射経路を概略的に示す模式図である。
図7】本発明のまた別の実施形態による再帰反射素子を概略的に示す。
図8】本発明のまた別の実施形態による再帰反射素子の微細構造体及び再帰反射経路を概略的に示す模式図である。
図9】本発明の1つの実施形態による再帰反射素子の微細構造体の分布を概略的に示す上面図である。
図10】本発明の1つの実施形態による直角三角錐構造を再帰反射ユニットとする場合の光路を示す模式図である。
図11】本発明の1つの実施形態による直角三角錐構造と凸レンズ構造を組み合わせて再帰反射ユニットとする場合の光路を示す模式図である。
図12】本発明の1つの実施形態による結像輝度を向上させるための結像システムを概略的に示す。
図13】本発明の別の実施形態による結像輝度を向上させるための結像システムを概略的に示す。
図14a】本発明の1つの実施形態による結像輝度と解像度を向上させるための結像システムを概略的に示す。
図14b】本発明の1つの実施形態による結像輝度と解像度を向上させるための結像システムを概略的に示す。
図15a】本発明の別の実施形態による結像輝度と解像度を向上させるための結像システムを概略的に示す。
図15b】本発明の別の実施形態による結像輝度と解像度を向上させるための結像システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0137】
本発明は、その目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下では図面を参照しながらをさらに詳細に説明する。
【0138】
本発明は、説明を簡潔且つ直感的にするために、以下ではいくつかの代表的な実施形態を基づいて説明する。実施形態における複数の詳細は本発明の技術案を理解するためのものに過ぎない。なお、本発明の技術案を実現する際には、これらの詳細に限定されなくてもよい。いくつかの実施形態は、本発明の技術案を不必要に暈させることを回避するように詳細に説明されず、枠組みのみが与えられる。以下では、「含む」とは「…含むがこれに限定されない」と意味し、「に基づく」とは「少なくとも…に基づくが、…のみに基づくことに限定されない」と意味する。「第1」、「第2」等は特徴を示すためのみに用いられ、順序上の限定など、当該特徴を何らかに限定することは意図していない。以下では、中国語の言語習慣のため、1つの構成要素の数は、特に示さない場合、1つでもよく複数でもよいことを意味し、又は少なくとも1つとして理解されてもよい。
【0139】
図1は本発明の1つの実施形態による結像システムを示す。当該システムは、図に示すように、像源1、半透鏡2及び再帰反射素子3を備え半透鏡2が位置する平面によって空間を第1半領域Iと第2半領域IIに区分し、像源1及び再帰反射素子3はいずれも第1半領域Iに位置する。
【0140】
そのうち、像源1から発せられた光線は、半透鏡2によって反射されて再帰反射素子3に照射し、再帰反射素子3において再帰反射されることにより、再帰反射素子3における反射光線が入射光線と同じ経路に位置し、その方向が反対である。従って、光線が再帰反射素子3により反射された後に元の入射経路に沿って出射し(勿論、微視的な観点から、反射経路と入射経路はわずかにずれていると考えることができるが、巨視的な観点から、その二本の経路は完全に重なると考えることができる)、半透鏡を透過した後、第2半領域IIに実像4を形成する。
【0141】
像源1は結像表示装置でもよいし、又はこれらの結像表示装置により形成された虚像又は実像でもよい。
【0142】
たとえば、結像表示装置は、バックライト光源がレーザ、発光ダイオード、有機発光ダイオード、励起蛍光発光材料、量子ドット励起光源のうちの一種又は複数種を含む液晶スクリーンであってもよく、LED、OLED、プラズマ発光点等の発光点光源からなる能動発光型ドットマトリクススクリーンであってもよく、DLP、LCOS、LCD等の投影技術に基づいて、LED、OLED、レーザ、蛍光等の光源又はそれらの組合せによって駆動され、DMD、LCOS、LCD等の表示パネルによって反射又は透過され、さらに投影レンズを介して投影スクリーン上に投影して結像させる投影型の結像システムであってもよく、レーザビームがスクリーン上に走査して結像させる投影型の結像システムであってもよい。そして、以上に記載されるすべての結像表示装置により一回又は複数回屈折又は反射によって形成された実像又は虚像も像源としてもよい。
【0143】
好ましい実施形態では、像源1は立体像源であってもよい。立体像源は3D立体画像、構造及びビデオ源を表示できる三次元立体表示装置を含む。一般的に、このような三次元立体表示装置は制御モジュールと高速投影モジュール又は高速表示モジュールとを備え、観察者が三次元立体の画像、構造又はビデオを視認することできるように、制御モジュールにより投影モジュール又は表示モジュールを制御して一連の2D画像スライスを複数の光学平面に高速に投影し又は表示する。三次元立体表示装置は、並進走査型結像システム、回転走査型結像システム等を含む。
【0144】
半透鏡は、たとえば、PC樹脂、PET樹脂、PMMA樹脂、ガラス、石英等の各種の適切な透明な材料で製造されてもよい。その透過率が20%-80%であり、好ましくは約50%であり、その反射率も20%-80%であり、好ましくは約50%である。
【0145】
再帰反射素子3は、好ましくは、微細構造体が分布されているフィルム、カーテン又は板材であり、結像された画像の輝度を増加させるように、半透鏡に向って湾曲されている所定の曲率を有することは最適である。以下、再帰反射素子3について詳細に説明する。
【0146】
図2に示すように、本発明の別の実施形態では、システムは、像源1、半透鏡2及び再帰反射素子3を備え、半透鏡2が位置する平面によって空間を第1半領域Iと第2半領域IIに区分し、像源1は第1半領域Iに位置するが、再帰反射素子3は第2半領域IIに位置する。
【0147】
そのうち、像源1から発せられた光線は半透鏡2を透過して再帰反射素子3に照射し、再帰反射素子3において再帰反射されることにより、再帰反射素子3における反射光線が入射光線と同じ経路に位置し、その方向が異なる。従って、光線が再帰反射素子3により反射された後に元の入射経路に沿って出射し、半透鏡によって反射された後、第2半領域IIに実像4を形成する。
【0148】
なお、光が波動・粒子二重性を有するため、光線は再帰反射素子3から反射されるとき、一定の回折効果を起こす、反射光には一定の発散角を発生させる。この点から理解する場合、反射光の主軸が入射光方向と反対であれば、本発明における「再帰反射」のことを満たすと言える。
【0149】
この実施形態では、像源1から発せられた光線は半透鏡2を透過(反射ではない)して再帰反射素子3に到達する。そして、再帰反射素子3により反射された光線がさらに半透鏡2により反射(透過せず)されて実像4を生成する。最終的に形成された実像4は再帰反射素子3と異なる半領域ではなく同じ半領域に位置する。
【0150】
本発明のまた別の実施形態では(図示せず)、上記2つの実施形態を組み合せて、2つの再帰反射素子を用いる。像源から発せられた光線は半透鏡により反射されて一方の再帰反射素子に到達し、そして、当該再帰反射素子により反射された光線はさらに半透鏡を透過して実像を生成する。像源から発せられた光線は半透鏡を透過して他方の再帰反射素子に到達し、そして、当該他方の再帰反射素子により反射された光線がさらに半透鏡により反射されて実像を生成する。このようにして形成された2つの実像は重なり、それにより、輝度がより高い画像を得る。
【0151】
なお、勿論、他の実施形態では、追加的又は代替的に、2つの像源を使用することができる。この場合、最終的に上記実像が空間中で重なるように、この2つの像源と半透鏡及び再帰反射素子の位置を調整する必要がある。
【0152】
本発明における再帰反射素子は、特別な処理が行われた素子であり、たとえば高反射塗層が塗布された基材、及びたとえば基材に均一に分布された再帰反射微細構造体を含む。当該高反射塗層の反射率は60%以上であり、好ましくは、70%、80%又は90%以上である。なお、当該高反射塗層は、メッキのような他の方式で基材に付着されてもよい。
【0153】
勿論、当該高反射塗層は、たとえば、微細構造体の基材に向ける面に付着されてもよく、又は微細構造体と基材との境界領域に付着されてもよい。
【0154】
なお、基材に分布された再帰反射微細構造体は、その分布が不均一であってもよいが、均一であればより良好な結像効果を有する。但し、いくつかの意図的に設置された不均一な分布は特殊の結像の目的に用いられる。
【0155】
図3は、本発明の1つの実施形態による再帰反射素子を示す。当該再帰反射素子3は基材30とするフィルム又はカーテンを含む。基材30に高反射塗層が塗布されている。また、基材30にさらに球状微細構造体31が均一に分布している。
【0156】
図4は、球状微細構造体の拡大図及び再帰反射経路の模式図を示す。
【0157】
光線は半透鏡から球状微細構造体31の上表面によって屈折された後に基材30の高反射塗層へ照射し、反射された後、球状微細構造体31の上表面に戻り、再び屈折されて半透鏡へ出射する。光線は、球状微細構造体31の構造によりほとんど元の経路に沿って半透鏡に戻ることができる(前述のように、巨視的な観点から、光線が元の経路に沿って戻ると考えることができる)。
【0158】
図5は、本発明のまた別の実施形態による再帰反射素子を示す。当該再帰反射素子3の基材30にはさらに直角頂点微細構造体31’が均一に分布している。直角頂点微細構造体31’は、基材30に嵌め込まれた少なくとも1つの頂点を有し且つ当該頂点の3本の稜線が互いに直角をなす透明な微細構造体であってもよく、たとえば、微細立方体又は微細直方体、又はそれらの少なくとも1つの頂点を含む一部である。勿論、当該少なくとも1つの頂点が基材30に嵌め込まれている(図6A参照)。いくつかの実施形態では、直角頂点微細構造体31’は3本の稜線が互いに直角をなす微細三角錐体であり、その頂点が基材30に嵌め込まれており(図6B参照)、好ましくは、頂点に相対する底面は基材30と同じ水平面にあり、より好ましくは、当該底面には反射防止膜が付着している。より好ましい実施形態では、当該底面は、3本の稜線で形成された3つの面のうち、少なくとも1つとなす角度が54度未満である。
【0159】
なお、この3本の稜線は、それらの長さが等しいであってもよく、勿論、異なってもよい。稜線の長さは20ミクロン~5ミリメートルから選択可能である。好ましくは、3本の稜線のうち、最も長い稜線の長さは最も短い稜線の10倍を超えていない。
【0160】
なお、3本の稜線で形成された3つの面も相互に垂直であるべきであり、すなわち3つの面のうち、いずれの二つの面が互いになす角度が90度であるべきである。ただし、プロセスの制約により、これらの角度の大きさが正確に90度ではなく、加工の許可誤差範囲内、たとえば+-2度であっても、本発明の要件を満たすことができる。
【0161】
別の実施形態では、当該直角頂点微細構造体31’は基材30に上記微細構造体の1つの頂点の一部をエンボス加工することにより形成された凹部であってもよい(図6C参照)。
【0162】
図6A図6B及び図6Cは、図5における直角頂点微細構造体の拡大図及び再帰反射経路の模式図を示す。図6A及び図6Bに示される実施形態では、直角頂点微細構造体31’は透明な微細構造体である。光線は半透鏡から直角頂点微細構造体31’の入射表面(たとえば上表面)によって屈折された後にフィルム又はカーテン30の高反射塗層へ照射し、3回反射された後、直角頂点微細構造体31’の出射表面(たとえば上表面)に戻り、再び屈折されて半透鏡へ出射する。図6Cに示される実施形態では、直角頂点微細構造体31’は凹部であり、光線は半透鏡によって透過し又は反射されて凹部に直接入射し、3回反射された後、半透鏡へ出射する。光線は、直角頂点微細構造体31’の構造によりほとんど元の経路に沿って半透鏡に戻ることができる(同様に、巨視的な観点から、光線が元の経路に沿って戻ると考えることができる)。
【0163】
図7は本発明のまた別の実施形態の再帰反射素子を示す。当該再帰反射素子3の基材30’には、直角頂点微細構造体31’が均一に分布されている。基材30’自体は透明なものであり、直角頂点微細構造体31’も透明なものである。直角頂点微細構造体31’の基材30’から離れる面には高反射塗層が塗布されている。
【0164】
好ましくは、直角頂点微細構造体31’は、基材30’と一体的に形成され、勿論、別々に製造された後、基材30’に付着してもよい。基材30’は、その材料は直角頂点微細構造体31’と同じであり、又は、少なくとも直角頂点微細構造体31’と同じ屈折率を有することが好ましい。
【0165】
図8図7における直角頂点微細構造体の拡大図及び再帰反射経路の模式図を示す。光線は半透鏡から基材30’の上表面によって屈折された後に直角頂点微細構造体31’の高反射塗層へ照射し、3回反射された後、基材30’の上表面に照射して戻され、再び屈折されて半透鏡へ出射する。光線は、直角頂点微細構造体31’の構造によりほとんど元の経路に沿って半透鏡に戻ることができる(前述のように、巨視的な観点から、光線が元の経路に沿って戻ると考えることができる)。
【0166】
図9は、微細構造体の分布状況をより良好に理解するように、本発明の1つの実施形態による再帰反射素子における微細構造体の分布を概略的に示す上面図である。図に示すように、複数の微細構造体は、順に互いに隣接して分布しており、再帰反射素子に沿って延びている。なお、図において再帰反射素子の一部のみが示されており、微細構造体は、再帰反射素子全体においてこのような分布をしてもよい。また、微細構造体は、本図では略直方体状の凹部であるが、その形状がこれに限定されず、上記のようないずれの微細構造体であってもよいことが理解すべきである。
【0167】
前記のように、再帰反射素子は微視的に光線の反射経路と入射経路に一定のずれをもたらし、また、光の回折効果により反射光には一定の発散角を発生させる。これらは本発明の空中結像の解像度に影響を与える2つの中核要素となり、この二つの要素も相互に制約される。再帰反射素子の微細構造体のサイズが小さいほど、引き起こされる光線のずれが小さくなるが、回折によるスポットが大きくなり、一方、微細構造体のサイズが大きいほど、回折によるスポットが小さくなるが、引き起こされた光線のずれが大きくなる。それらの相互制約関係による結像解像度への悪い影響を解消するために、本発明は、微細構造体の直径、像源画素配列のドットピッチ、及び実像から再帰反射素子までの光路の間のサイズ関係について、特定な設計がされる。
【0168】
一般的に、観察者が上記実像を観察する観察距離は、実像から再帰反射素子までの光路の増加に伴って大きくなり、好ましくは、当該観察距離と当該距離が実質的に線形関係になる。観察者にとって、快適な視野角を考慮すると、上記実像の画面幅がその観察距離のたとえば1~2倍であることは好ましく、観察者が十分に明瞭な実像を取得するには、観察された画素点が所定の数を満たす必要があり、たとえば、各次元において少なくとも1024ピクセルを有し、それにより、選択された像源のドットピッチを推定することができる(像源のドットピッチは上記実像のスポットの大きさを決定する)。空中結像の視覚効果を考慮して、本発明において、微細構造体の直径を、像源ドットピッチと同じ数量レベルに設定し、好ましくは像源ドットピッチの約1/5、1/4、1/3、1/2であり、又は像源ドットピッチに等しい。従って、実際の応用シーンの観察距離に応じて光路と光源(ドット配列光源である場合)のドットピッチを選択することができ、それにより、微細構造体のサイズを選択できる。
【0169】
1つの例では、たとえば大型の広告表示等の応用シーンである場合、適切な観察距離が約5mであり、2m又はやや長い光路を有する結像システムを選択してもよいが、適切な実像画面の長さが約5mであり、このとき1024ピクセルの解像度に達することが望まれると、ドットピッチが5mm程度の配列像源を使用してもよく、したがって、計算から分かるように、微細構造体の好ましいサイズ範囲が0.6mm~4.4mmであり、より好ましいサイズが約1.7mmである。
【0170】
別の例では、たとえば普通サイズの広告表示等の応用シーンである場合、適切な観察距離が1m以上であり、約0.5m光路を有する結像システムを選択してもよいが、適切な実像画面の長さが約2mであり、このとき1024ピクセルの解像度に達することが望まれると、ドットピッチが2mm程度の配列像源を使用してもよく、したがって、計算から分かるように、微細構造体の好ましいサイズ範囲が0.43mm~1.57mmであり、より好ましいサイズが約0.82mmである。
【0171】
また別の例では、近距離又は小さいサイズの表示等の応用シーンである場合、適切な観察距離が0.5m以下であり、約0.1m光路を有する結像システムを選択してもよいが、適切な実像画面の長さが約1mであり、このとき1024ピクセルの解像度に達することが望まれると、ドットピッチが0.5mm程度の配列像源を使用してもよく、したがって、計算から分かるように、微細構造体の好ましいサイズ範囲が0.16mm~0.84mmであり、より好ましいサイズが約0.37mmである。
【0172】
前記のように、再帰反射素子が微視的に光線の反射経路と入射経路に一定のずれをもたらし、また、光の回折効果により反射光には一定の発散角を発生させる。光線のずれによるスポットの大きさへの影響が結像距離に伴って変化しないが、微細構造体のサイズに対して線形的に変化する。従って、微細構造体ユニットの大きさを減少させ、たとえば超微細加工等の方法で解決することができる。回折によるスポットの大きさが結像距離の変化に対して線形的に変化するため、回折による光線の発散の低減をさせる工夫が非常に重要な要素となる。
【0173】
図10に概略的に示すように、直角三角錐構造を再帰反射ユニットとする場合、入射光線が上表面に屈折された後に、再帰反射ユニットの直角三角錐に入射して反射され、その同時にフラウンホーファー回折により一定の角度で発散する。その後再帰反射素子の上表面に再び屈折して、主軸が入射光線の方向と反対であるがすこしの変位と一定の発散角を有する反射光線を形成させる。
【0174】
回折による光線発散の結像解像度への悪い影響を最大限に低減させるために、本発明は、回折による発散を低減させるように再帰反射ユニットを新たに設計する。
【0175】
図11に示すように、1つの実施形態では、再帰反射ユニットの基体部分を2つの主要部分に分ける。基体部分の上部、すなわち半透鏡に向けた側に、凸レンズ構造を用いて凸レンズアレイを形成し、基体部分の下部、すなわち半透鏡から離れた側に、直角三角錐構造を用いて直角三角錐アレイを形成する。基体部分全体が透明基材を用いる。また、基体部分の厚さが、下部の直角三角錐構造が上部の凸レンズの焦点面に並んでいるように設計される。
【0176】
基体部分の下表面、すなわち直角三角錐構造の下表面或いは外側には、高反射材料層がメッキされている。これにより、入射光線が基体部分の上表面、すなわち凸レンズ構造の上表面或いは外側に屈折された後に直角三角錐に入射し、その下表面に複数回反射され、その同時にフラウンホーファー回折により一定の角度で発散し、その後、再帰反射素子の上表面に再び屈折されて、凸レンズによる集束の原理のため、一定程度に散乱した光線がこの屈折によって集められて、ほぼ平行光で出射する。これにより、回折による発散を低減させ、結像距離が長い場合においても、回折によるスポットのサイズを減少させることができる。
【0177】
この実施形態では、凸レンズアレイにおける各凸レンズ構造体の直径が約1mmであり、好ましくは1mm以下であり、直角三角錐アレイにおける各直角三角錐構造体は等辺直角三角錐構造体であり、その底面が等辺三角形であり、当該底面の辺長が約0.02mmであり、好ましくは0.02mm以下である。一般的には、1つの凸レンズ構造体は数十個の直角三角錐構造体に対応し、ただし、1つの凸レンズ構造体が1つの直角三角錐構造体に対応することも可能である。
【0178】
この実施形態では、基体部分の下表面にメッキされている反射材料層の反射率は60%以上であり、好ましくは、70%、80%又は90%以上である。
【0179】
1つの好ましい実施形態では、基体部分の上表面には、さらに反射防止材料がメッキされており、それにより当該表面の透過率が70%以上に達する。より好ましくは、80%又は90%以上に達する。
【0180】
前記のように、図1及び図2に示される空中で結像するシステムによれば、像源から発せられた光線は半透鏡による一回の反射及び一回の投影(特定の順序がない)、及び再帰反射素子による反射を経てから結像することができる。最終の結像輝度Lの近似計算式は、
L=L×T×R×ηであり、
ここでLが像源の輝度であり、
とRがそれぞれ半透鏡の透過率と反射率であり、
ηが再帰反射素子の反射光効率である。
【0181】
一般的な半透鏡は、基材による光エネルギー吸収を考慮しない場合、以下の近似関係が存在し、
=(1-R)であり、
その場合、
×R=(1-R)×R≦25%であり、
これから、半透鏡の光効率が1/4以下である。
【0182】
結像輝度を向上させるために、本発明はさらに、光効率を向上させて結像輝度を高める技術を提案する。図12は、当該技術による結像輝度を向上させるための結像システムの1つの実施形態を示す。
【0183】
図1に示される実施形態と類似し、当該システムは像源1、半透鏡2及び再帰反射素子3を備え、半透鏡2が位置する平面は空間を第1半領域Iと第2半領域IIに分けて、像源1と再帰反射素子3とがいずれも第1半領域Iに位置する。
【0184】
像源1から発せられた光線は、半透鏡2により反射されて再帰反射素子3に照射してから、再帰反射素子3で再帰反射され、それにより、再帰反射素子3での反射光線が入射光線と同じ経路に位置し、方向が反対である。従って、光線が再帰反射素子3により反射された後に元の入射経路に沿って出射し(勿論、微視的な観点から、反射経路と入射経路はわずかにずれていると考えることができるが、巨視的な観点から、二本の経路は完全に重なると考えることができる)、さらに半透鏡を透過して第2半領域IIに実像4を形成する。
【0185】
像源1はs偏光源を使用し、半透鏡2の像源1に向けた側に、選択性透過フィルムがメッキされており、選択性透過フィルムが、s偏光に対する反射率が高く、p偏光に対する透過率が高いように設定される。選択性透過フィルムは単独な膜層であってもよく、又は複数の膜層が積層されたものであってもよい。選択性透過フィルムの成分は、特殊の金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物コーティング、フッ化物、及び/又は有機ポリマーから選択され、五酸化タンタル、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ジルコニア、シリカ、フッ化マグネシウム、窒化ケイ素、酸窒化シリコン、フッ化アルミニウムのうちの一種又は複数種であってもよい。
【0186】
図12に示すように、再帰反射素子3の半透鏡2に向けた側に、位相遅延光学素子5がさらに設けられ、好ましくは1/4波長板であり、半透鏡2から再帰反射素子3に照射するs偏光源が位相遅延光学素子5を通った後、円偏光になる。円偏光は、さらに再帰反射素子3により反射された後、位相遅延光学素子5を通ってから、p偏光になる。
【0187】
選択性透過フィルムのs偏光に対する平均反射率が70%より大きく、好ましくは80%より大きく、さらに90%より大きく、p偏光に対する平均透過率が70%より大きく、好ましくは80%より大きく、さらに90%より大きい。
【0188】
選択性透過フィルムのs偏光に対する平均反射率が70%より大きくp偏光に対する平均透過率も70%より大きいことを例として、光線が半透鏡を通る際には、その光効率が、
×R≒70%×70%=49%より大きいであるべきであり、
上記システムにおけるたとえば25%の光効率に比べて、ほぼ一倍向上した。それにより、最終の結像輝度もほぼ一倍向上した。
【0189】
好ましい実施形態では、像源1が特定の波長帯域のs偏光を選択し、選択性透過フィルムも、当該特定の波長帯域のs偏光に対する反射率が高いが他の波長帯域のs偏光及び可視光の波長帯域内のp偏光に対する透過率が高いように設定される。たとえば、当該特定の波長帯域のs偏光に対する平均反射率が80%より大きく、さらに90%より大きいが他の波長帯域のs偏光及び可視光の波長帯域内のp偏光に対する平均透過率が80%より大きく、さらに90%より大きい。当該特定の波長帯域は、たとえば590nm~690nmの赤色光、500nm~565nmの緑色光、410nm~480nmの青色光であってもよい。
【0190】
選択性透過フィルムの特定の波長帯域のs偏光に対する平均反射率が80%より大きいが可視光の波長帯域内のp偏光に対する平均透過率が80%より大きいことを例として、光線が半透鏡を通る際には、その光効率が、
×R≒80%×80%=64%より大きいであるべきであり、
これは上記システムにおけるたとえば25%の光効率に比べて、ほぼ1.6倍向上した。それにより、最終の結像輝度もほぼ1.6倍向上した。
【0191】
別の好ましい形態では、光の透過率を増加して光効率を向上させるように、半透鏡2の像源1に対向した側には、さらに反射防止フィルムが付着している。反射防止フィルムは、光の透過率が3%、さらに5%以上増加されることを可能とするものが好ましい。
【0192】
図13は、当該技術による結像輝度を向上させるための結像システムの別の実施形態を示す。
【0193】
図2に示される実施形態に類似し、当該システムは像源1、半透鏡2及び再帰反射素子3を備え、半透鏡2が位置する平面は空間を第1半領域Iと第2半領域IIに分けて、像源1が第1半領域Iに位置し、再帰反射素子3が第II半領域に位置する。
【0194】
像源1から発せられた光線が半透鏡2を透過して再帰反射素子3に照射してから、再帰反射素子3で再帰反射されて、再帰反射素子3での反射光線が入射光線と同じ経路に位置し、方向が反対である。従って、光線が再帰反射素子3により反射された後に元の入射経路に沿って出射し(勿論、微視的な観点から、反射経路と入射経路はわずかにずれていると考えることができるが、巨視的な観点から、二本の経路は完全に重なると考えることができる)、さらに半透鏡により反射されて第2半領域IIに実像4を形成する。
【0195】
像源1はp偏光源を使用し、半透鏡2の像源1に向けた側に、選択性透過フィルムがメッキされており、選択性透過フィルムが、s偏光に対する反射率が高いがp偏光に対する透過率が高いように設定される。選択性透過フィルムは単独な膜層であってもよく、又は複数の膜層が積層されたものであってもよい。選択性透過フィルムの成分は、特殊の金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物コーティング、フッ化物、及び/又は有機ポリマーから選択され、五酸化タンタル、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ジルコニア、シリカ、フッ化マグネシウム、窒化ケイ素、酸窒化シリコン、フッ化アルミニウムのうちの一種又は複数種であってもよい。
【0196】
図13に示すように、再帰反射素子3の半透鏡2に向けた側に、位相遅延光学素子5がさらに設けられ、好ましくは1/4波長板であり、半透鏡2から再帰反射素子3に照射するp偏光源は、位相遅延光学素子5を通った後、円偏光になる。この円偏光は、さらに再帰反射素子3により反射された後、位相遅延光学素子5を通って、s偏光になる。
【0197】
図12における実施例の分析方式と類似し、選択性透過フィルムのs偏光に対する平均反射率が非常に高いが、p偏光に対する平均透過率も非常に高い。従って、図13における実施例が上記システムにおけるたとえば25%の光効率に比べて、最終の結像輝度もほぼ一倍向上した。
【0198】
同様に、図13における実施例では、光の透過率を増加して光効率を向上させるように、反射防止フィルムが利用されてもよい。好ましくは、反射防止フィルムは、光の透過率が3%、さらに5%以上増加されることを可能とするものが好ましい。
【0199】
結像輝度と結像解像度に対する分析に基づき、空中結像の輝度と解像度を向上させるために、さらに改良した構造設計を提案した。再帰反射素子を複数の小さな部分(再帰反射サブ素子)に分割し、一定の規則で半透鏡の一側に離散的に分布され、入射光線と再帰反射ユニットの中心線とのなす角度をできるだけ小さくするとともに各再帰反射サブ素子から実像までの光路をできるだけ短くする。このようにして、結像輝度と解像度を向上させることに有利である。
【0200】
図14aと図14bは、当該技術による結像輝度と解像度を向上させるための結像システムの1つの実施形態を示す。
【0201】
図14aを参照すると、図1に示される実施形態と類似し、当該システムは像源1、半透鏡2、及び複数の再帰反射サブ素子300を備え、半透鏡2が位置する平面は空間を第1半領域Iと第2半領域IIに分けて、像源1と再帰反射サブ素子300がいずれも第1半領域Iに位置する。複数の再帰反射サブ素子300は再帰反射サブ素子アレイ3000を形成する(便宜上、図において符号3000と符号300を同じ箇所にマークする)。
【0202】
像源1から発せられた光線は、半透鏡2により反射されて再帰反射サブ素子300に照射してから、再帰反射サブ素子300で再帰反射されて、再帰反射サブ素子300での反射光線が入射光線と同じ経路に位置し、方向が反対である。従って、光線が再帰反射サブ素子300により反射された後に元の入射経路に沿って出射し(勿論、微視的な観点から、反射経路と入射経路はわずかにずれていると考えることができるが、巨視的な観点から、二本の経路は完全に重なると考えることができる)、さらに半透鏡を透過して第2半領域IIに実像4を形成する。
【0203】
更に図14bを参照すると、システムの側面図から見れば、完全な実像が見られる完全な実像視域CRIVD(Complete Real Image Vision Domain)を有し、完全な実像視域CRIVDは、交点を視域点VDP(Vision Domain Point)とする二本の視域境界線VDB1とVDB2(Vision Domain Boundary)を有し、再帰反射サブ素子アレイ3000は、半透鏡2までの距離がより近いアレイ第1端3001と、半透鏡2までの距離がより遠いアレイ第2端3002とを含む。視域境界線VDB1の逆延長線と半透鏡2とがアレイ第1端3001により近い半透鏡第1点21に交差しており、視域境界線VDB2の逆延長線と半透鏡2とがアレイ第1端3001からより遠い半透鏡第2点22に交差している。
【0204】
続いて図14bを参照すると、像源1から発せられた光線は、像源1と半透鏡2との間に位置する有効照射領域EED(Effective Exposure Domain)を有し、有効照射領域EEDは第1境界線L1と第2境界線L2を含み、第1境界線L1が、半透鏡第1点21から像源1の各発光点までの結ぶ線のうち、半透鏡2とのなす角度が最大である結ぶ線であり、第2境界線L2が、半透鏡第2点22から像源1の各発光点までの結ぶ線のうち、半透鏡2とのなす角度が最小である結ぶ線である。
【0205】
図14a及び図10bに示される実施形態では、再帰反射サブ素子300はそれぞれ、略平面状の基材と、基材に分布していると共に反射面を有する複数の再帰反射ユニット(図示せず)とを備える。再帰反射ユニットは直角頂点微細構造体であり、当該直角頂点微細構造体が少なくとも1つの直角頂点を有すると共に当該直角頂点の3本の稜線が互いに直角をなす。当該直角頂点を通った、直角頂点微細構造体の3本の稜線とのなす角度が全て同じ(約54.7°)である線を、当該直角頂点微細構造体の中心線として定義し、いくつかの好ましい実施形態では、直角頂点微細構造体の中心線と基材平面の法線とのなす角度をできるだけ小さくし、たとえば、15°未満、10°未満、5°未満、更に0°であることが求められる。
【0206】
図14bにおける、一部を拡大した部分に示すように、各再帰反射サブ素子300はサブ素子第1端301とサブ素子第2端302を備える。一般的には、サブ素子第1端301が上方にあり、サブ素子第2端302が下方にあり、サブ素子300を垂直に設置し、又は好ましくは垂直方向と一定の角度がなすように設置する。
【0207】
いくつかの好ましい実施形態では、各サブ素子第1端301の位置が確定された場合、再帰反射サブ素子300と垂直方向との角度を調整して、再帰反射サブ素子300の幾何中心303(図14bの拡大した部分を参照)と視域点VDPとの結ぶ線と、当該再帰反射サブ素子300における直角頂点微細構造体の中心線とのなす角度が、15°未満であり、好ましくは10°未満であり、より好ましくは5°未満であり、最適には0°であり、それにより反射光効率をできるだけ高くする。
【0208】
いくつかの好ましい実施形態では、再帰反射サブ素子アレイ3000が、各再帰反射サブ素子300が像源1から半透鏡2に入射した光線を遮断しないように設置され、このようにして、像源1から実像4までの光線の遮断による結像の損失をなくすように確保できる。
【0209】
たとえば、各サブ素子第1端301と各サブ素子第2端302は有効照射領域EED以外に位置して、像源1から実像4までの光線が遮断されない。より好ましい場合に、各サブ素子第1端301が第1境界線L1に位置し、各サブ素子第2端302が有効照射領域EED以外に位置し、このようにして、再帰反射サブ素子300から上記実像4までの光路をできるだけ短くすることを更に確保できる。
【0210】
いくつかの好ましい実施形態では、再帰反射サブ素子アレイ3000は、実像4を形成するすべての光線の逆延長線が何れかの再帰反射サブ素子300に位置することができるように設置される。このようにして、像源1から実像4までの光線の反射漏れによる結像の損失がなくすように確保できる。
【0211】
たとえば、図14bに示すように、システムの側面図から見れば、アレイ3000のすべての再帰反射サブ素子300を、半透鏡第1点21からの距離に応じて近から遠に配置し、半透鏡第1点21からの距離が最も近い位置を最前方とし、半透鏡第1点21からの距離が最も遠い位置を最後方とするように定義し、隣接する2つの再帰反射サブ素子300のうち、前の再帰反射サブ素子300のサブ素子第2端302と視域点VDPとの結ぶ線が、第1境界線L1と1つの交点を形成し、後ろの再帰反射サブ素子300のサブ素子第1端301と視域点VDPとの結ぶ線も、第1境界線L2と1つの交点を形成し、前者の交点が後者の交点の後方に位置し、又は少なくともそれと重なり、このようにして、像源1から出射した、半透鏡2によりアレイ3000に第一回反射されたすべての光線が漏れることなく再帰反射されることを確保する。
【0212】
図15a及び図15bは、本発明の別の実施形態による結像輝度と解像度を向上させる結像システムを概略的に示す。
【0213】
図15aを参照すると、図2に示される実施形態に類似し、システムは像源1、半透鏡2、及び複数の再帰反射サブ素子300を備え、半透鏡2が位置する平面は空間を第1半領域Iと第2半領域IIに分けて、像源1が第1半領域Iに位置し、複数の再帰反射サブ素子300が第2半領域IIに位置する。複数の再帰反射サブ素子300は再帰反射サブ素子アレイ3000を形成する(便宜上、図において符号3000と符号300を同じ箇所にマークする)。
【0214】
像源1から発せられた光線は、半透鏡2を透過して再帰反射サブ素子300に照射してから、再帰反射サブ素子300で再帰反射されて、再帰反射サブ素子300での反射光線が入射光線と同じ経路に位置し、方向が反対である。従って、光線が再帰反射サブ素子300により反射された後、元の入射経路に沿って出射し(勿論、微視的な観点から、反射経路と入射経路はわずかにずれていると考えることができるが、巨視的な観点から、二本の経路は完全に重なると考えることができる)、さらに半透鏡により反射されて第2半領域IIに実像4を形成する。
【0215】
この実施形態では、像源1から発せられた光線は半透鏡2を透過(反射ではない)して反射サブ素子300に到達する。反射サブ素子300により反射された光線が半透鏡2により反射(透過ではない)されて実像4を生成する。最終的に上記実像4は反射サブ素子300と、異なる半領域ではなく同じ半領域に位置する。
【0216】
図14bと類似し、側面図から見れば、図15bのシステムも完全な実像視域CRIVD、視域点VDP、二本の視域境界線VDB1及びVDB2(図15bに図示せず)を含み、同様に有効照射領域EED、及び第1境界線L1と第2境界線L2(図15bに図示せず)を含み、さらに再帰反射サブ素子アレイ3000のアレイ第1端3001とアレイ第2端3002、半透鏡第1点21、半透鏡第2点22を含む。これらの特徴の定義についてはいずれも図14bにおけるシステムを参照する。図15bのシステムにおける微細構造体の構成も図14bに示される実施形態と一致する。
【0217】
これに加えて、第3境界線L3を、半透鏡2に対して第1境界線L1と鏡面対称になるように定義し、有効結像領域EID(Effective Imaging Domain)を、半透鏡2に対して有効照射領域EEDと鏡面対称になるように定義し、仮想視域点VVDPを、半透鏡2に対して視域点VDPと鏡面対称になるように定義する。
【0218】
図15bにおいて、一般的には、各再帰反射サブ素子300のサブ素子第1端301が右方にあり(半透鏡2により近い)、サブ素子第2端302が左方にあり(半透鏡2からより遠い)、サブ素子300を水平に設置し、又は好ましくは水平方向と一定の角度がなすように設置する。
【0219】
いくつかの好ましい実施形態では、各サブ素子第1端301の位置が確定された場合、再帰反射サブ素子300と水平方向との角度を調整して、再帰反射サブ素子300の幾何中心303と仮想視域点VVDPとの結ぶ線と、当該再帰反射サブ素子300における直角頂点微細構造体の中心線とのなす角度が、15°未満であり、好ましくは10°未満であり、より好ましくは5°未満であり、最適には0°であり、それにより反射光効率をできるだけ高くする。
【0220】
いくつかの好ましい実施形態では、再帰反射サブ素子アレイ3000が、各再帰反射サブ素子300が半透鏡2から実像4へ照射して入射された光線を遮断しないように設置され、このようにして、像源1から実像4までの光線の遮断による結像の損失がなくすように確保できる。
【0221】
たとえば、各サブ素子第1端301と各サブ素子第2端302は有効結像領域EID以外に位置して、像源1から実像4までの光線が遮断されない。より好ましい場合に、各サブ素子第1端301が第1境界線L1に位置し、各サブ素子第2端302が有効結像領域EID以外に位置し、このようにして、再帰反射サブ素子300から形成された実像4までの光路をできるだけ短くすることを更に確保できる。
【0222】
いくつかの好ましい実施形態では、再帰反射サブ素子アレイ3000が、像源1から発せられた有効照射領域EED内のすべての光線の延長線が何れかの再帰反射サブ素子300に位置可能とするように設置される。このようにして、像源1から実像4までの光線の反射漏れによる結像の損失をなくすように確保できる。
【0223】
たとえば、図15bに示すように、システムの側面図から見れば、アレイ3000のすべての再帰反射サブ素子300を、半透鏡第1点21からの距離に応じて近から遠に配置し、半透鏡第1点21からの距離が最も近い位置を最前方とし、半透鏡第1点21からの距離が最も遠い位置を最後方とするように定義し、隣接する2つの再帰反射サブ素子300のうち、前の再帰反射サブ素子300のサブ素子第2端302と仮想視域点VVDPとの結ぶ線が、第3境界線L3と1つの交点を形成し、後ろの再帰反射サブ素子300のサブ素子第1端301と仮想視域点VVDPとの結ぶ線も、第3境界線L3と1つの交点を形成し、前者の交点が後者の交点の後方に位置し、又は少なくともそれと重なり、このようにして、像源1から出射して半透鏡2を第一回透過してアレイ3000に照射するすべての光線が漏れることなく再帰反射されることを確保する。
【0224】
単一の再帰反射素子を用いる場合と類似し、本発明の別の実施形態では(図示せず)、上記2つの実施形態を組み合せて、2つの再帰反射素子アレイを用いることができ、それにより、輝度がより高い画像を得る。2つの像源を追加的又は代替的に使用してもよい。
【0225】
なお、本発明において、多くの場合、再帰反射素子における反射面(たとえば、高反射塗層が塗布されている面)を基材に付着しているものとして説明したが、反射面が微細構造体に付着しているものであると考えてもよい。たとえば、再帰反射素子を複数の再帰反射ユニットに分割してもよく、各再帰反射ユニットはいずれも反射面を有する微細構造体を備え、微細構造体は前述した球状微細構造体又は直角頂点微細構造体であってもよい。又は、さらに反射面を1つの独立構造ユニットとして説明してもよい。たとえば、各再帰反射ユニットはいずれも反射面と、反射面を付着可能とする第1材料及び第2材料のうちの少なくとも1つとを備え、反射面は前述した微細構造体の1つ又は複数の面で形成されてもよい。
【0226】
本発明によれば、ヘルメット等の補助装置も、結像スクリーンや空気中の微粒子媒体も使用せずに、空気中、さらに真空中で直接結像することができる。本質的な空中結像技術である。形成された像が空気に浮かんでいるので、大量のインタラクションと応用を作り出すことができ、画期的な意義がある。
【0227】
なお、開示されている実施例の上記説明に基づき、当業者は本発明を実現し又は使用することができる。ただし、特に説明しない限り、以上の実施例に開示されている特徴は、単独で又は組み合わせて使用できる。これらの実施例に対する様々の変更は当業者にとって自明なものであり、本明細書に定義された一般的な原理は本発明の主旨又は範囲を逸脱せずに、他の実施例において実現可能である。従って、本明細書に開示されている本発明は、開示されている具体的な実施例に限定されるものではなく、添付の請求項の範囲に限定された本発明の主旨及び範囲に属する変更を含むことを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図15a
図15b