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特許7178137直接投影型ライト・フィールド・ディスプレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】直接投影型ライト・フィールド・ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/33 20200101AFI20221117BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221117BHJP
   G03B 35/18 20210101ALI20221117BHJP
   H04N 13/307 20180101ALI20221117BHJP
   H04N 13/363 20180101ALI20221117BHJP
【FI】
G02B30/33
G09F9/00 313
G09F9/00 361
G09F9/00 350Z
G03B35/18
H04N13/307
H04N13/363
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021513280
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 CA2019051393
(87)【国際公開番号】W WO2020061714
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】16/433,303
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/738,307
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521093576
【氏名又は名称】アヴァロン ホログラフィックス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176337
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】ペッカム ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー ダニエル
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-062295(JP,A)
【文献】特開2000-298293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/309049(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/373701(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/201176(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/194458(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/285968(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/144174(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/309754(US,A1)
【文献】米国特許第6795241(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/33
G09F 9/00
G03B 35/18
H04N 13/307
H04N 13/363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライト・フィールド・ディスプレイであって、
複数のライト・フィールドプロジェクタを含むプロジェクタ・アレイであって、各プロジェクタは光線を生成するように構成されているプロジェクタ・アレイと、
前記プロジェクタ・アレイによって生成された前記光線にライト・フィールドを作成させるように構成された複数のレンズ・システムとを含み、
前記複数のレンズ・システムは、
第1のレンズ・システムであって、
小型レンズのアレイを含む第1のレンズ・サブシステムであって、前記第1のレンズ・サブシステムは、前記プロジェクタ・アレイからの前記光線を受け取るように配置された、第1のレンズ・サブシステム、および
前記第1のレンズ・サブシステムから光を受け取るように配置された第2のレンズ・サブシステムであって、前記第2のレンズ・サブシステムは、前記第1のレンズ・サブシステム内の前記小型レンズのうちの1つまたは複数から平行にされたビームを受け取るように配置された拡散アレイを含む、第2のレンズ・サブシステム、
を含む、第1のレンズ・システムと、
マイクロアレイ小型レンズを含む第2のレンズ・システムであって、前記第2のレンズ・システムは、前記第2のレンズ・サブシステムから拡散され平行にされたビームを受け取るように配置され、前記マイクロアレイ小型レンズからの光出力は、前記ライト・フィールドを形成する、第2のレンズ・システムとを含む、
ライト・フィールド・ディスプレイ。
【請求項2】
前記第1のレンズ・サブシステムの各小型レンズは、前記プロジェクタ・アレイ内の前記プロジェクタのうちの対応する1つから光を受け取るように配置されている、請求項1に記載のライト・フィールド・ディスプレイ。
【請求項3】
前記第1のレンズ・サブシステムは、平行にする小型レンズのアレイを含む、請求項1に記載のライト・フィールド・ディスプレイ。
【請求項4】
前記第2のレンズ・システムによって受け取られた前記拡散され平行にされたビームは、点広がり関数に従って拡散される、請求項1に記載のライト・フィールド・ディスプレイ。
【請求項5】
前記点広がり関数は、前記ライト・フィールド・ディスプレイの1つまたは複数のパラメータによって特徴付けられる半値全幅(FWHM)を有するガウス関数によって記述される、請求項4に記載のライト・フィールド・ディスプレイ。
【請求項6】
前記ライト・フィールド・ディスプレイの前記1つまたは複数のパラメータは、
ホーゲル・ピッチ、
ピクセル・ピッチ、および、
前記第2のレンズ・システムの焦点距離
のうちの1つまたは複数を含む、請求項5に記載のライト・フィールド・ディスプレイ。
【請求項7】
前記プロジェクタ・アレイは、各プロジェクタの方向を調整するための調整要素を含む、請求項1に記載のライト・フィールド・ディスプレイ。
【請求項8】
前記プロジェクタ・アレイおよび複数のレンズ・システムが収納容器内に配置されている、前記収納容器をさらに含む、請求項1に記載のライト・フィールド・ディスプレイ。
【請求項9】
ライト・フィールドを作成するための方法であって、
プロジェクタ・アレイの複数のプロジェクタのそれぞれによって光線を生成することと、
前記プロジェクタ・アレイによって生成された前記光線を、ライト・フィールド画像にレンダリングすることを含み、
前記レンダリングすることは、小型レンズの第1のアレイによって、平行にされたビームを形成するために前記プロジェクタ・アレイによって生成された前記光線を平行にすることと、
マイクロアレイ小型レンズの少なくとも1つのアレイを含む拡散アレイに前記小型レンズの第1のアレイからの前記平行にされたビームを受け取らせ、拡散され平行にされたビームをライト・フィールドにレンダリングすることと、
を含む方法。
【請求項10】
前記拡散アレイから放出された拡散光は、点広がり関数によって特徴付けられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記点広がり関数は、ライト・フィールド・ディスプレイの1つまたは複数のパラメータによって特徴付けられる半値全幅(FWHM)を有するガウス関数によって記述される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロジェクタ・アレイの前記複数のプロジェクタのうちの1つまたは複数のプロジェクタの方向を調整することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2018年9月28日に出願された米国特許出願第62/738,307号の優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
3次元ディスプレイにより、視聴者は自分が見ている画像についてより広い視野を得ることができる。一部の3次元ディスプレイは偏光を使用し、視聴者は専用のメガネを着用する必要がある。他の3次元ディスプレイは、直接投影を使用して、一次元で視差を提供する画像を作成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、要素画像の固定されたセットを用いてライト・フィールドを直接投影するためのプロジェクタのアレイに関する。直接投影法は、システム深度の減少、直接ピクセルとビュー数の関係、プロジェクタあたりの輝度要件の減少など、設計全体に多くの利点をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある態様によれば、ライト・フィールド・ディスプレイは、以下を含む。
i.複数の光プロジェクタを含むプロジェクタ・アレイであって、各プロジェクタは光線を生成するように構成される。
ii.プロジェクタ・アレイによって生成された光線に、ライト・フィールドを作成させるように構成された複数のレンズ・システムであって、複数のレンズ・システムは、以下を含む。
a.小型レンズのアレイを含む第1のレンズ・システムであって、プロジェクタ・アレイからの光線を受け取るように配置された第1のレンズ・システム。
b.マイクロアレイ小型レンズを含む第2のレンズ・システムであって、第2のレンズ・システムは、第1のレンズ・システムから、拡散され平行にされたビームを受け取るように配置され、マイクロアレイ小型レンズからの光出力がライト・フィールドを形成する。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0006】
ライト・フィールド・ディスプレイの一実施形態では、第1のレンズ・システムの各小型レンズは、プロジェクタ・アレイ内の対応するプロジェクタのうちの1つから光を受け取るように配置されている。
【0007】
ライト・フィールド・ディスプレイの一実施形態では、第1のレンズ・システムは、第1のレンズ・サブシステムおよび第2のレンズ・サブシステムを含み、第2のレンズ・サブシステムは、第1のレンズ・サブシステムと第2のレンズ・システムとの間に配置され、第2のレンズ・サブシステムは、第1のレンズ・サブシステムからの光を受け取るように配置され、そして、第2のレンズ・システムは、第2のレンズ・サブシステムから、拡散され平行にされたビームを受け取るように配置されている。
【0008】
ライト・フィールド・ディスプレイの一実施形態では、第2のレンズ・サブシステムは拡散アレイを含む。
【0009】
ライト・フィールド・ディスプレイの一実施形態では、拡散アレイは、第1のレンズ・サブシステムの1つまたは複数の小型レンズから平行にされたビームを受け取るように配置される。
【0010】
ライト・フィールド・ディスプレイの一実施形態では、第1のレンズ・システムは、コリメート小型レンズのアレイを含む。
【0011】
ライト・フィールド・ディスプレイの一実施形態では、第2のレンズ・システムによって受け取られた、拡散され平行にされたビームは、点広がり関数に従って拡散される。
【0012】
ライト・フィールド・ディスプレイの実施形態では、点広がり関数は、ライト・フィールド・ディスプレイの1つまたは複数のパラメータによって特徴付けられる半値全幅(FWHM)を有するガウス関数によって記述される。
【0013】
ライト・フィールド・ディスプレイの一実施形態では、ライト・フィールド・ディスプレイの1つまたは複数のパラメータは、以下のうちの1つまたは複数を含む。
i.ホーゲル・ピッチ
ii.ピクセル・ピッチ
iii.第2のレンズ・システムの焦点距離
【0014】
ライト・フィールド・ディスプレイの一実施形態では、プロジェクタ・アレイは、各プロジェクタの方向を調整するための調整要素を含む。
【0015】
収納容器を含むライト・フィールド・ディスプレイの一実施形態では、プロジェクタ・アレイおよび複数のレンズ・システムが収納容器内に配置されている。
【0016】
ある態様によれば、以下を含むライト・フィールドを作成するための方法がある。
i.プロジェクタ・アレイの複数のプロジェクタのそれぞれによって光線を生成する。
ii.プロジェクタ・アレイによって生成された光線を、次のようなライト・フィールド・イメージにレンダリングする。
a.平行にされたビームを形成するために、小型レンズのアレイを含む第1のレンズ・システムによって、プロジェクタ・アレイによって生成された光線を平行にする。
b.マイクロアレイ小型レンズを含む第2のレンズ・システムによって、拡散され平行にされたビームをライト・フィールドにレンダリングする。
【0017】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0018】
本方法の一実施形態では、マイクロアレイ小型レンズの第1のアレイの対応する1つの小型レンズから放出された光は、拡散アレイで受け取られる。
【0019】
本方法の一実施形態では、拡散器アレイから放出される拡散光は、点広がり関数によって特徴付けられる。
【0020】
本方法の一実施形態では、点広がり関数は、ライト・フィールド・ディスプレイの1つまたは複数のパラメータによって特徴付けられる半値全幅(FWHM)を有するガウス関数によって記述される。
【0021】
本方法の一実施形態では、プロジェクタ・アレイの1つまたは複数のプロジェクタのそれぞれの方向が調整される。
【0022】
ここで説明するアプローチには、次の1つ以上の利点がある。ライト・フィールド・ディスプレイは、広い視野と高い角度分解能を持つことができる裸眼立体視ディスプレイにすることができる。ライト・フィールド・ディスプレイは、水平視差と垂直視差の両方を考慮に入れることができる。ライト・フィールド・ディスプレイの消費電力を、比較的低くできる。ピクセル・サイズを小さくすることで、自然な「現実の」画像を高解像度で複製することを目的としたライト・フィールド・ディスプレイが作製される。
【0023】
1つまたは複数の実装の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ライト・フィールド・ディスプレイの分解図である。
【0025】
図2】ライト・フィールド・ディスプレイの例示的な実施形態の分解図である。
【0026】
図3A】コリメート・レンズ・アレイの正面図である。
【0027】
図3B図3Aのコリメート・レンズ・アレイの2x4グリッドの拡大図である。
【0028】
図3C】コリメート・レンズ・アレイ図3Aの側面図である。
【0029】
図3D】コリメート・レンズ・アレイ図3Aの単一レンズの等角図である。
【0030】
図4A】設計された拡散器の正面図である。
【0031】
図4B】レーザ・エッチングされた設計された拡散器の拡大図である。
【0032】
図4C】拡散器レンズ・アレイの拡大図である。
【0033】
図4D図4Aの設計された拡散器の等角図である。
【0034】
図5】設計された拡散器アレイ内のピクセルの点広がり関数の図である。
【0035】
図6A】ディスプレイ・レンズ・アレイの図である。
【0036】
図6B】メタサーフェス・ディスプレイ・レンズの拡大図である。
【0037】
図6C】メタサーフェス・ディスプレイ・レンズの拡大図である。
【0038】
図7A】ディスプレイ・レンズ・アレイの水平レンズ状の部分の正面図である。
【0039】
図7B図7Aのディスプレイ・レンズ・アレイの水平レンズ状の部分の拡大図である。
【0040】
図7C図7Aに示されるディスプレイ・レンズ・アレイの水平レンズ状の部分の側面図である。
【0041】
図7D図7Aのディスプレイ・レンズ・アレイの水平レンズ状の部分の側面図の拡大図である。
【0042】
図7E】ディスプレイ・レンズ・アレイの垂直レンズ状の部分の正面図である。
【0043】
図7F図7Aのディスプレイ・レンズ・アレイの垂直レンズ状の部分の拡大図である。
【0044】
図7G図7Aに示されるディスプレイ・レンズ・アレイの垂直レンズ状の部分の側面図である。
【0045】
図7H図7Aのディスプレイ・レンズ・アレイの垂直レンズ状の部分の側面図の拡大図である。
【0046】
図8】単一のプロジェクタから直接投影型ライト・フィールド・ディスプレイを通過するピクセルの光線経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ここでは、マルチ・ビュー、裸眼立体視、高角度分解能のライト・フィールド・ディスプレイについて説明する。ライト・フィールド・ディスプレイは、水平視差と垂直視差の両方で表示できる。
【0048】
空間および時間に基づく観察者ベースの関数、またはプレノプティック関数の概念は、視覚システムによって感じられる視覚刺激を説明するために開発された。プレノプティック関数が依存する基本変数は、光が表示されている3次元座標(x、y、z)、および、角度(θ,φ)で記述される、この視点に光が近づく方向を含む。光の波長λおよび観測時間tとともに、これらが、プレノプティック関数となる。
【式1】
【0049】

P(x,y,z,θ,φ,λ,t)
プレノプティック関数の代わりに、ある点での3次元空間の光線に沿った放射輝度を使用することができ、特定の方向をライト・フィールドで表し得る。ライト・フィールドの定義は、プレノプティック関数の定義と同等であり得る。ライト・フィールドは、5次元関数として、すべての可能な方向にすべてのポイントを通過して流れる放射輝度として説明し得る。静的ライト・フィールドの場合、ライト・フィールドはスカラー関数として表し得る。
【式2】
【0050】

L(x,y,z,θ,φ)
ここで、(x、y、z)は位置関数としての放射輝度を表し、光の進行方向は(θ,φ)で特徴付けられる。3次元の実世界オブジェクトの視聴者は、無限大のビュー、または連続的に分散されたライト・フィールドの影響を受ける。これを実際に複製するために、本開示は、ライト・フィールドを近似するために、連続的に分散されたライト・フィールドを有限数のビューまたは複数のビューにサブ・サンプリングする直接投影型ライト・フィールド・ディスプレイについて説明する。直接投影型ライト・フィールド・ディスプレイの出力はライト・フィールドであり、ヒト眼球の角度分解能を超える有限数のビューに基づく、連続的に分散されたライト・フィールドの3次元表現である。
【0051】
プロジェクタ・アレイベースのディスプレイは、設計が難しい場合がある。それは、例えば、正確に位置合わせされた高密度を重視したプロジェクタが多数含まれているためである。図1を参照すると、ライト・フィールド・ディスプレイは、プロジェクタ・アレイ12および2つのレンズ・アレイ16、18を収容する筐体10を含む。プロジェクタ・アレイ12は、それぞれが光を生成する複数のプロジェクタを含む。プロジェクタ・アレイ内のプロジェクタは、拡張現実ヘッドセットまたは自動車用ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)に特化した超小型プロジェクタであり得る。プロジェクタは、画像データを受け取り、画像データを投影光に変換する。次に、投影光は、プロジェクタから第1のレンズ・システムまたはアレイ16に送信される。次に、光は、第1のレンズ・システム16から第2のレンズ・システム18に転送され、これがライト・フィールド画像を形成する。すべてのオプト・メカニカル構成要素は、レンズ筐体14内に収まる。
【0052】
一般に、当技術分野で知られているライト・フィールド・ディスプレイには、非常に高輝度のプロジェクタが必要である。本開示のライト・フィールド・ディスプレイの利点は、プロジェクタ・アレイ12内のプロジェクタの輝度要件が低減されることである。輝度要件の低下は、光の角度分布を制御する直接投影ディスプレイのレンズ・システムの機能の設計と、光ビームへの点広がり関数の適用によって実現される。プロジェクタ・アレイ12の輝度要件の低下は、内部冷却要件のない小型LEDを可能にし得る。それゆえ、プロジェクタの占有面積が小さくなる結果、プロジェクタ・アレイ12の実装密度をより密にすることができ、個々のプロジェクタのサイズおよび重量を減少させ、直接投影型ライト・フィールド・ディスプレイに対する電力要件を低下させることができる。
【0053】
コリメート・アレイであり得る第1のレンズ・サブシステム16は、プロジェクタ・アレイ12から放出される光の発散を低減する。第1のレンズ・サブシステム16は、プロジェクタ・アレイ12から投写距離に配置されている。一例では、投写距離は、プロジェクタ画像の各ピクセルが隣接するピクセルに比例してサイズが大きくなるようにして、その結果、ピクセルの重なりが生じない。プロジェクタと第1のレンズ・サブシステム16との間の距離が、第1のレンズ・サブシステム16内の単一の小型レンズと同一サイズの投影画像を作成するように、プロジェクタが配置される。プロジェクタ・アレイ12からの発散パターンは、単一のプロジェクタとほぼ同一サイズであり、第1のレンズ・サブシステム16のコリメート・アレイ小型レンズとプロジェクタ12との間を、1:1の比率にすること可能とする。
【0054】
図2は、ライト・フィールド・ディスプレイを示す。平行にされた光ビームは、第1のレンズ・サブシステム16および第2のレンズ・サブシステム20を含む第1のレンズ・システム22を離れ、第2のレンズ・サブシステム20は、設計された拡散器アレイであり得る。第2のレンズ・サブシステム20は、第1のレンズ・サブシステム16と第2のレンズ・システム18との間に配置され、第2のレンズ・サブシステム20は、第1のレンズ・サブシステム16から光を受け取る。第1および第2のレンズ・サブシステム16、20は、単一の統合された部品であり得るか、または別個であり得る。第2のレンズ・システム18は、第2のレンズ・サブシステム20から拡散され平行にされたビームを受け取るように配置することができる。したがって、第1のレンズ・サブシステムまたはコリメート・アレイ16からの光は、第2のレンズ・サブシステムまたは拡散アレイ20(一例では、設計された拡散器アレイ)に進む。プロジェクタ12の出力は、画像の投影されたサイズを維持するために平行にされる。
【0055】
第2のレンズ・サブシステム20では、各ピクセルの発散は、以下の要因で増加する。
【式3】
【0056】
ここで、Cは、サンプリングされた波面を適切に再構成するために選択された定数であり、fmは、フィル・ファクタである。一例では、Cの値は約2である。このような場合、フィル・ファクタfmは約0.9であるため、スポット・サイズxsは、次のようにピクセル間隔xpに関係する。
【式4】
【0057】
ここで、xpはレンズ・ピッチを角度サンプルの数で割ったものである。したがって、第2のレンズ・サブシステムまたは拡散アレイ20は、画像内の各ピクセルに点広がり関数を与える。図5は、前記点広がり関数の平面図の画像を示している。
【0058】
次に、第2のレンズ・サブシステムまたは拡散アレイ20からの点広がり関数を有するピクセルが、ディスプレイ・レンズを構成する第2のレンズ・システム18の背面に入射する。第2のレンズ・システム18と第2のレンズ・サブシステム20との間の距離は、画像あたりのピクセルの出力幅の微調整することを可能にし、システムの空間を減らすように最小化され得る。
【0059】
光が第1のレンズ・サブシステムまたは設計された拡散器アレイ20に入射して通過するとき、光は、ガウス関数として近似される点広がり関数に従って分散される。第2のレンズ・サブシステムは、所望の角度を達成し、かつ隣接するプロジェクタ12からの光の投射からの漏れを防止するために使用される、角度拡散器または設計された拡散アレイ20を含み得る。本開示の一例では、特定の点広がり関数が、個々のプロジェクタピクセルからの光に適用され、ピクセルを特定の角度に向ける。1台のプロジェクタおよびそのピクセルが、小さな画像を作成できる。
【0060】
例えば、各プロジェクタが、プロジェクタの投写比によって定義された距離で26mm×15mmの画像を作成することを、観察する場合がある。次に、この画像は第1のレンズ・サブシステムまたはコリメーション・レンズ16に投影され得、その結果、拡散器スクリーンまたは工学的拡散器アレイ20からなる第2のレンズ・サブシステムに向かって投影される正確なサイズ(26mm×15mm)のパケット画像が得られる。次に、第2のレンズ・サブシステム20は、小さな、定義された点広がり関数を作成することができる。所望の点広がり関数を使用して、解像度の偏り誤差、またはピケット・フェンス効果(杭垣効果)を減らし、より良い表示体験のために光を分散させるためにピクセル間の適切な重なりを実現する。解像度の偏り誤差は、スペクトル内のサンプル間で欠落している情報を参照する。解像度の偏り誤差の低減により、スムーズな表示ゾーンの遷移が可能になる。この場合の第2のレンズ・サブシステム20は、例えば、設計された発散が5度の円形FWHM(半値全幅)を有する場合、レンズ・システムを通過するビームもまた5度の強度プロファイルを有するように、非常に特殊な角度出力に設計される。この出力は、ディスプレイ・レンズ18に向けられた光であり、メタサーフェス、屈折率分布型レンズ材料、または上記のプレノプティック・サンプリング関数に従って各ピクセルからの光を分散するための任意の代替光学構造であり得る。
【0061】
各プロジェクタ12は、第1のレンズ・システム22を出る光が第2のレンズ・システム18に垂直に当たるように位置合わせすることができる。したがって、各プロジェクタ12は、位置合わせ機構および微調整を備えていてもよい。必要な許容誤差に応じて、プロジェクタ12の位置合わせにはいくつかのアプローチがある。
● 調整要素、つまり、ネジ調整器付きで、1回限りの大まかな位置合わせを提供する、機械的な取付台。
● ナノからマイクロスケールの電子調整用の圧電トランスデューサ。フィードバックを利用した能動的な較正機構に役立つ可能性がある。
【0062】
調整要素は、運動学的な取付台、および/または上記の圧電トランスデューサなどのデジタル制御された調整要素を含み得る。
【0063】
調整の最大量は、各プロジェクタ12によって照らされる小型レンズの寸法によって決定される。
【0064】
図3Aは、第1のレンズ・サブシステムまたはコリメート・レンズ・アレイ16の例を示す。いくつかの例では、第1のレンズ・サブシステム・コリメート・レンズ・アレイ16は、図3Dに示されるように、複数のコリメート小型レンズ24を有する、通常、長方形であり得る。第1のレンズ・サブシステム16は、複数の小さなレンズに接着された基板28を使用して、特定の屈折率を有する光学的に透明な接着剤または光学的に透明なテープを使用して基板に固定された単一の部品を形成するように構築されて、コリメート小型レンズのアレイ16として、第1のレンズ・サブシステムを形成し得る。基板は、とりわけ、環状オレフィン・コポリマー(COC)、ガラス、環状オレフィン・ポリマー(COP)、PMMA、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイソプラスト、ゼオネックス、光学ポリエステル、アクリル、ポリエーテルイミド(PEI)であり得る。
【0065】
各コリメート小型レンズ24は、各コリメート小型レンズ24がその対応するプロジェクタから光を受け取るように、プロジェクタ・アレイ内の対応するプロジェクタと位置合わせするように配置し得る。第1のレンズ・サブシステム・コリメート・レンズ・アレイ16は、片面または両面を反射防止コーティングでコーティングされ得る。
【0066】
図3Dは、第1のレンズ・システム・コリメート・アレイ16内の単一のコリメート小型レンズ24を示す。図3Bの例では、コリメート小型レンズ24は、2つの平凸レンズおよび基板28を含む。凸レンズは、例えば、Zeonex(登録商標)E48R、ガラス、環状オレフィン・ポリマー(COP)、PMMA、ポリスチレン、アイソプラスト、光学ポリエステル、アクリル、ポリエーテルイミド(PEI)、または他の適切な材料で形成し得る。2つの平凸レンズおよび基板28は、コリメート小型レンズ24として機能することができる単一の双非球面凸レンズを形成するように配置できる。
【0067】
図4Aは、第2のレンズ・サブシステムまたは設計された拡散器アレイ20を示す。いくつかの例では、第2のレンズ・サブシステム20は、図4Bに示されるような、レーザ・エッチングされた設計された拡散器56である。いくつかの例では、第2のレンズ・サブシステム20は、図4Cに示されるような、拡散器レンズ・アレイ58である。本開示の一実施形態では、第2のレンズ・サブシステム20は、3.5度の円形角度を有し、コーティングを必要としない。図4Dは、図4Aに示されるような第2のレンズ・サブシステム20の等角投影を示す。
【0068】
図5は、第2のレンズ・サブシステム20における小型レンズの開示の一実施形態による公称点広がり関数を示している。一例では、点広がり関数36は、2つの指向性ピクセル間の角度の2倍の半値全幅(FWHM)を有し得る。図5は、第2のレンズ・サブシステム20の関数としての光線の強度50に対する方位角48および極角46に関するピクセルの角度広がりのグラフ表示を示している。
【0069】
第1に、光は、指定された投写比を特徴とするプロジェクタ12から放出され、プロジェクタ画像の各ピクセルは、隣接するピクセルに比例してサイズが大きくなり、ピクセルの重なりがなくなる。プロジェクタ12は、プロジェクタと第1のレンズ・サブシステム・コリメート・レンズ・アレイ16との間の距離が、プロジェクタ12が照らしている小型レンズ18の数に等しいサイズの投影画像を作成するように配置される。
【0070】
続いて、第1のレンズ・サブシステム16で、プロジェクタの出力は、画像の投影されたサイズを維持するために平行にされる。次に、平行にされたビームは、第2のレンズ・サブシステム20に入射し、ビームの幅は、両方のレンズ・システム16、20でほぼ等しい。
【0071】
最後に、第2のレンズ・サブシステム20からの点広がり関数36を有するピクセルは、次に、ディスプレイ・レンズ18を構成するマイクロレンズ・アレイの背面に入射する。ディスプレイ18と第2のレンズ・サブシステム20との間の距離は、画像あたりのピクセルの出力幅の微調整を可能にする。
【0072】
図6Aは、ディスプレイ・レンズ・システム18を示している。ディスプレイ・レンズ・システム18は、図6Bに示されるようなメタサーフェスまたは図6Cに示されるようなメタマテリアル・ベースのレンズから構成され得る。
【0073】
いくつかの例では、図7Aおよび図7Eに示されるように、第2のレンズ・システムは、水平レンズ状の部分38および垂直レンズ状の部分40を含む。図7Cはまた、水平レンズ状の部分38の側面図42を示す。図7Fはまた、垂直レンズ状の部分40の側面図50を示す。第2のレンズ・サブシステム20を離れる光が各部分を連続的に通過するように、水平部分および垂直部分を積み重ねることができる。
【0074】
図8は、直接投影型ライト・フィールド・ディスプレイにおける単一のプロジェクタ12からの光線経路を示す。単一のプロジェクタ12から第1のレンズ・システム16に進む単一のピクセル62のサンプルの光線経路。平行にされた光ビームは、第1のレンズ・システム16を離れて第2のレンズ・サブシステム20に入り、第2のレンズ・サブシステムは、設計された拡散器アレイ20であり得る。点広がり関数は、単一のピクセル62からの光線が第2のレンズ・サブシステム20を通過するときに光線に適用され、拡散され平行にされた光ビーム36を生成する。拡散され平行にされた光ビームは、ディスプレイ・レンズ18を通過し、結果としてライト・フィールド64をもたらす。
【0075】
本明細書で使用される場合、ライト・フィールド・ディスプレイの1つまたは複数のパラメータは、ホーゲル・ピッチ、ピクセル・ピッチ、および焦点距離のうちの1つまたは複数を含む。ピクセルという用語は、赤、緑、および青のサブピクセルのセットを指す。ピクセル・ピッチは、あるピクセルの中心から次のピクセルの中心までの距離として定義される。本明細書で使用される場合、ピクセル・アレイは、ホーゲル内のピクセルのアレイを指す。ホーゲルは、方向制御を有する従来のピクセル(複数)であるホログラフィック・ピクセルの代替用語である。ホーゲルのアレイは、ライト・フィールドを生成できる。したがって、ホーゲル・ピッチは、1つのホーゲルの中心から隣接するホーゲルの中心までの距離として定義される。レンズの視野角は、その焦点距離によって定義される。一般的に、焦点距離が短いほど視野が広くなる。焦点距離はレンズの後部主平面から測定されることに注意する必要がある。レンズの後部主平面がイメージング・レンズの機械的な背面に配置されることは、ほとんどない。このため、システムの近似と機械設計は、通常、コンピューター・シミュレーションを使用して計算される。
【0076】
いくつかの実施形態が説明されてきた。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されよう。例えば、上記の手順の一部は順序に依存しない場合があるため、説明した順序とは異なる順序で実行することができる。
【0077】
他の実装もまた、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8