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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ボンディング装置及びボンディング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20221117BHJP
   H01L 21/58 20060101ALI20221117BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20221117BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20221117BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/58
H01L25/08 Y
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021551769
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2020047709
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁平 秀治
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-62958(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079991(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/58
H01L 25/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材の複数のボンディング領域の上にそれぞれ複数の半導体チップを積層ボンディングするボンディング装置であって、
前記ベース部材の各ボンディング領域の各位置及び前記ベース部材の各ボンディング領域の上に積層ボンディングされた各段の半導体チップの各位置を検出し、検出した各位置のデータを前記ベース部材のボンディング領域毎に位置データベースに格納する位置検出部と、
前記位置データベースを参照しながらボンディング位置の補正を行い、補正後のボンディング位置を出力する位置補正部と、
前記位置補正部から入力された補正後のボンディング位置に基づいて半導体チップのボンディングを行うボンディング制御部と、を備え、
前記位置補正部は、
各段の半導体チップをボンディングする毎に、前記ベース部材のボンディング領域の位置とその上にボンディングされた半導体チップの位置との間の位置ずれ量、又は、ボンディングされた半導体チップの位置とその直上にボンディングされた半導体チップの位置との間の位置ずれ量を算出し、算出した各位置ずれ量を前記ベース部材のボンディング領域毎に前記位置データベースに格納し、
半導体チップを積層ボンディングした際の前記ベース部材からボンディングされた段の半導体チップまでの位置ずれ量を積算して累積位置ずれ量を算出し、
前記累積位置ずれ量が所定の閾値以上の場合には、前記位置検出部で検出した直前にボンディングされた段の各半導体チップの各位置を前記累積位置ずれ量だけ補正して補正後のボンディング位置として出力し、
前記ボンディング制御部は、前記位置補正部から入力された補正後のボンディング位置に次の段の半導体チップのボンディングを行うこと、
を特徴とするボンディング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボンディング装置であって、
前記位置補正部は、前記累積位置ずれ量が所定の閾値未満の場合には、前記位置検出部で検出した直前にボンディングされた段の各半導体チップの各位置をその段の各位置ずれ量だけ補正して次の段のボンディング位置として出力すること、
を特徴とするボンディング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のボンディング装置であって、
前記位置補正部は、前記累積位置ずれ量が所定の停止閾値以上の場合には、前記ボンディング制御部にボンディング動作を停止する停止指令を出力し、
前記ボンディング制御部は、前記位置補正部から前記停止指令が入力された場合に、ボンディング動作を停止すること、
を特徴とするボンディング装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のボンディング装置であって、
前記位置補正部は、中間段まで積層ボンディングした状態でボンディングが中止され、前記ベース部材が取り外された後、再度、前記ベース部材がセットされた場合に、
前記位置データベースを参照しながら前記ベース部材から中間段の半導体チップまでの各位置ずれ量を積算して中間累積位置ずれ量を算出し、
ボンディングを中止する直前にボンディングされた段の半導体チップの各位置を算出した前記中間累積位置ずれ量だけ補正して補正後のボンディング位置として出力すること、
を特徴とするボンディング装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のボンディング装置であって、
前記ベース部材の各ボンディング領域の上にそれぞれ複数のダミーチップを積層ボンディングし、
前記位置検出部は、前記ベース部材のボンディング領域の各位置及び前記ベース部材の各ボンディング領域の上に積層ボンディングされた各段のダミーチップの各位置を検出し、検出した各位置のデータを前記ベース部材のボンディング領域毎に前記位置データベースに格納し、
前記位置補正部は、前記ベース部材のボンディング領域の位置とその上にボンディングされたダミーチップの位置との間の位置ずれ量、又は、ボンディングされたダミーチップの位置とその直上にボンディングされたダミーチップの位置との間の位置ずれ量を算出し、算出した各位置ずれ量を前記ベース部材のボンディング領域毎に前記位置データベースに格納し、
前記位置データベースに基づいて半導体チップを積層ボンディングする際の各段のボンディング位置を補正すること、
を特徴とするボンディング装置。
【請求項6】
ベース部材の複数のボンディング領域の上にそれぞれ複数の半導体チップを積層ボンディングするボンディング方法であって、
前記ベース部材の各ボンディング領域の各位置及び前記ベース部材の各ボンディング領域の上に積層ボンディングされた各段の半導体チップの各位置を検出し、検出した各位置のデータを前記ベース部材のボンディング領域毎に位置データベースに格納する位置検出ステップと、
各段の半導体チップをボンディングする毎に、前記ベース部材のボンディング領域の位置とその上にボンディングされた半導体チップの位置との間の位置ずれ量、又は、ボンディングされた半導体チップの位置とその直上にボンディングされた半導体チップの位置との間の位置ずれ量を算出し、算出した各位置ずれ量を前記ベース部材のボンディング領域毎に前記位置データベースに格納する位置ずれ量算出ステップと、
半導体チップを積層ボンディングした際の前記ベース部材からボンディングされた段の半導体チップまでの位置ずれ量を積算して累積位置ずれ量を算出する累積位置ずれ量算出ステップと、
前記累積位置ずれ量が所定の閾値以上の場合には、前記位置検出ステップで検出した直前にボンディングされた段の各半導体チップの各位置を前記累積位置ずれ量だけ補正して次の段のボンディング位置とする位置補正ステップと、
補正したボンディング位置に次の段の半導体チップを積層ボンディングするボンディングステップと、を有すること、
を特徴とするボンディング方法。
【請求項7】
請求項6に記載のボンディング方法であって、
前記位置補正ステップは、前記累積位置ずれ量が所定の閾値未満の場合には、前記位置検出ステップで検出した直前にボンディングされた段の各半導体チップの各位置を前記位置ずれ量算出ステップで算出したその段の各位置ずれ量だけ補正して次の段のボンディング位置とすること、
を特徴とするボンディング方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のボンディング方法であって、
前記累積位置ずれ量が所定の停止閾値以上の場合には、ボンディング動作を停止するボンディング停止ステップを有すること、
を特徴とするボンディング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップを積層ボンディングするボンディング装置の構造及びそのボンディング装置を用いたボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップを積層ボンディングした積層型の半導体装置が用いられている。半導体チップを積層ボンディングする際には、半導体チップの表面に設けられている位置検出用のマークを利用して半導体チップをボンディングする方法が用いられる場合がある。例えば、ボンディング後の半導体チップのマークの位置を検出し、次にボンディングする半導体チップのマークの位置が先にボンディングした半導体チップのマークの位置となるようにボンディング位置を調整する方法が用いられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5243284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように、先にボンディングした半導体チップのマークの位置に次にボンディングする半導体チップのマークの位置を合わせてボンディングする場合、ボンディング装置の誤差等により、半導体チップが連続的に一方向に横ずれした状態で積層ボンディングされてしまい積層型半導体装置が傾斜したものとなってしまう場合があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、積層ボンディングの際に半導体チップが連続的に一方向へ横ずれすることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のボンディング装置は、ベース部材の複数のボンディング領域の上にそれぞれ複数の半導体チップを積層ボンディングするボンディング装置であって、ベース部材の各ボンディング領域の各位置及びベース部材の各ボンディング領域の上に積層ボンディングされた各段の半導体チップの各位置を検出し、検出した各位置のデータをベース部材のボンディング領域毎に位置データベースに格納する位置検出部と、位置データベースを参照しながらボンディング位置の補正を行い、補正後のボンディング位置を出力する位置補正部と、位置補正部から入力された補正後のボンディング位置に基づいて半導体チップのボンディングを行うボンディング制御部と、を備え、位置補正部は、各段の半導体チップをボンディングする毎に、ベース部材のボンディング領域の位置とその上にボンディングされた半導体チップの位置との間の位置ずれ量、又は、ボンディングされた半導体チップの位置とその直上にボンディングされた半導体チップの位置との間の位置ずれ量を算出し、算出した各位置ずれ量をベース部材のボンディング領域毎に位置データベースに格納し、半導体チップを積層ボンディングした際のベース部材からボンディングされた段の半導体チップまでの位置ずれ量を積算して累積位置ずれ量を算出し、累積位置ずれ量が所定の閾値以上の場合には、位置検出部で検出した直前にボンディングされた段の各半導体チップの各位置を累積位置ずれ量だけ補正して補正後のボンディング位置として出力し、ボンディング制御部は、位置補正部から入力された補正後のボンディング位置に次の段の半導体チップのボンディングを行うこと、を特徴とする。
【0007】
このように、積層ボンディングの際に各段の位置ずれ量を位置データベースに格納して累積位置ずれ量を算出し、累積位置ずれ量が所定の閾値よりも大きくなった場合に、累積位置ずれ量だけボンディング位置を補正するので、積層ボンディングの際に半導体チップが連続的に一方向へ横ずれすることを抑制できる。
【0008】
本発明のボンディング装置において、位置補正部は、累積位置ずれ量が所定の閾値未満の場合には、位置検出部で検出した直前にボンディングされた段の各半導体チップの各位置をその段の各位置ずれ量だけ補正して次の段のボンディング位置として出力してもよい。
【0009】
このように、累積位置ずれ量が所定の閾値未満の場合に、各段のボンディング後に各段の半導体チップの位置ずれ量だけボンディング位置を補正して次の段のボンディングを行うので、各段のボンディングのずれ量を抑制することができる。
【0010】
本発明にボンディング装置において、位置補正部は、累積位置ずれ量が所定の停止閾値以上の場合には、ボンディング制御部にボンディング動作を停止する停止指令を出力し、ボンディング制御部は、位置補正部から停止指令が入力された場合に、ボンディング動作を停止してもよい。
【0011】
このように、積層ボンディングの際の異常な傾きを検出してボンディング装置を停止することができる。
【0012】
本発明のボンディング装置において、位置補正部は、中間段まで積層ボンディングした状態でボンディングが中止され、ベース部材が取り外された後、再度、ベース部材がセットされた場合に、位置データベースを参照しながらベース部材から中間段の半導体チップまでの各位置ずれ量を積算して中間累積位置ずれ量を算出し、ボンディングを中止する直前にボンディングされた段の半導体チップの各位置を算出した中間累積位置ずれ量だけ補正して補正後のボンディング位置として出力してもよい。
【0013】
これにより、ボンディングを中止して、一旦、基板をボンディング装置から取外して、再度ボンディング装置にセットした後にボンディングを再開する際に半導体チップを基板の基準位置の近傍にボンディングすることができ、ボンディングの途中で基板の取外し、再セットを行った場合でも半導体チップの横ずれ量を抑制することができる。
【0014】
本発明のボンディング装置において、ベース部材の各ボンディング領域の上にそれぞれ複数のダミーチップを積層ボンディングし、位置検出部は、ベース部材のボンディング領域の各位置及びベース部材の各ボンディング領域の上に積層ボンディングされた各段のダミーチップの各位置を検出し、検出した各位置のデータをベース部材のボンディング領域毎に位置データベースに格納し、位置補正部は、ベース部材のボンディング領域の位置とその上にボンディングされたダミーチップの位置との間の位置ずれ量、又は、ボンディングされたダミーチップの位置とその直上にボンディングされたダミーチップの位置との間の位置ずれ量を算出し、算出した各位置ずれ量をベース部材のボンディング領域毎に位置データベースに格納し、位置データベースに基づいて半導体チップを積層ボンディングする際の各段のボンディング位置を補正してもよい。
【0015】
このように、予めダミーチップを用いてボンディングを行い、最下段から最上段までのダミーチップの位置ずれ量をデータベースに格納しておき、データベースを参照しながらボンディング位置の調整を行うので、積層ボンディングの際の各段の半導体チップの位置ずれ量を抑制することができる。
【0016】
本発明のボンディング方法は、ベース部材の複数のボンディング領域の上にそれぞれ複数の半導体チップを積層ボンディングするボンディング方法であって、ベース部材の各ボンディング領域の各位置及びベース部材の各ボンディング領域の上に積層ボンディングされた各段の半導体チップの各位置を検出し、検出した各位置のデータをベース部材のボンディング領域毎に位置データベースに格納する位置検出ステップと、各段の半導体チップをボンディングする毎に、ベース部材のボンディング領域の位置とその上にボンディングされた半導体チップの位置との間の位置ずれ量、又は、ボンディングされた半導体チップの位置とその直上にボンディングされた半導体チップの位置との間の位置ずれ量を算出し、算出した各位置ずれ量をベース部材のボンディング領域毎に位置データベースに格納する位置ずれ量算出ステップと、半導体チップを積層ボンディングした際のベース部材からボンディングされた段の半導体チップまでの位置ずれ量を積算して累積位置ずれ量を算出する累積位置ずれ量算出ステップと、累積位置ずれ量が所定の閾値以上の場合には、位置検出ステップで検出した直前にボンディングされた段の各半導体チップの各位置を累積位置ずれ量だけ補正して次の段のボンディング位置とする位置補正ステップと、補正したボンディング位置に次の段の半導体チップを積層ボンディングするボンディングステップと、を有すること、を特徴とする。
【0017】
本発明のボンディング方法において、位置補正ステップは、累積位置ずれ量が所定の閾値未満の場合には、位置検出ステップで検出した直前にボンディングされた段の各半導体チップの各位置を位置ずれ量算出ステップで算出したその段の各位置ずれ量だけ補正して次の段のボンディング位置としてもよい。
【0018】
本発明のボンディング方法において、累積位置ずれ量が所定の停止閾値以上の場合には、ボンディング動作を停止するボンディング停止ステップを有してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、積層ボンディングの際に半導体チップが連続的に一方向へ横ずれすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態のボンディング装置の構成を示す系統図である。
図2図1に示すボンディング装置の平面図である。
図3図1に示すボンディング装置の制御装置の機能ブロック図である。
図4図1に示すボンディング装置によって半導体チップを積層ボンディングした際の各段の半導体チップの横方向への位置ずれを示す立面図である。
図5図1に示すボンディング装置の記憶部に格納されている位置データベースのデータベース構造を示す図である。
図6図1に示すボンディング装置の動作を示すフローチャートである。
図7図1に示すボンディング装置の動作を示すフローチャートである。
図8】カメラで撮像した基板のアイランドの画像である。
図9図8に示すアイランドの上に1段目の半導体チップをボンディングした状態をカメラで撮像した画像である。
図10図9に示す一段目の半導体チップの上にN段目の半導体チップを積層ボンディングした状態をカメラで撮像した画像である。
図11図1に示すボンディング装置で半導体チップを積層ボンディングした際に、N段目の半導体チップの累積位置ずれ量が所定の閾値以上の場合の各段の半導体チップの横方向への位置ずれを示す立面図である。
図12】中間段でボンディングを停止した後、ボンディングを再開する際の図1に示すボンディング装置の動作を示すフローチャートである。
図13】ダミーチップを用いてアイランドの各位置及び積層ボンディングされた各段の半導体チップの各位置と、各段の位置ずれ量と、各段の累積位置ずれ量と、をアイランド41毎に格納した位置データベースを用いて半導体チップの積層ボンディングを行う場合のボンディング装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施形態のボンディング装置100について説明する。図1図2に示す様に、ボンディング装置100は、ボンディングステージ16と、ガントリーレール15と、ボンディングヘッド11と、ボンディングノズル12と、カメラ13と、制御装置50とで構成されている。
【0022】
ボンディング装置100は、基板40の複数のアイランド41の上に複数の半導体チップ20を積層ボンディングする。以下の説明では、積層ボンディングの積層段を区別する場合には、1段目の半導体チップ、2段目の半導体チップをそれぞれ半導体チップ21、22と記載し、N段目の半導体チップを半導体チップ20(N)と表記する。また、積層段を区別しない場合には、半導体チップ20と表記する。
【0023】
ボンディングステージ16は、上面に設けられた2本のガイドレール17でベース部材である基板40を両側からガイドすると共に上面に基板40を吸着固定する。また、ボンディングステージ16は、内部に基板40を加熱するヒータが搭載されている。基板40は、ガイドレール17にガイドされてX方向に搬送される。以下の説明では、基板40の搬送方向をX方向、水平面でX方向と直角方向をY方向、上下方向をZ方向として説明する。
【0024】
ガントリーレール15は、ボンディングステージ16の上方に設けられてX方向に移動する。ボンディングヘッド11はガントリーレール15にガイドされてY方向に移動する。従って、ボンディングヘッド11は、ボンディングステージ16の上に吸着固定された基板40に対してXY方向に移動可能である。
【0025】
ボンディングノズル12は、ボンディングヘッド11に搭載されてボンディングヘッド11と共にY方向に移動する。また、ボンディングノズル12は、下端に半導体チップ20を吸着保持するコレットを備え、Z方向に移動可能である。ボンディングノズル12は、Z方向に移動して先端に吸着固定した半導体チップ20を基板40のボンディング領域であるアイランド41、又はアイランド41の上にボンディングされた半導体チップ20の上にボンディングする。
【0026】
カメラ13は、ボンディングヘッド11に搭載されてボンディングノズル12と共にY方向に移動し、基板40のアイランド41、或いはアイランド41の上にボンディングされた半導体チップ20の画像を撮像する。カメラ13の光軸13zとボンディングノズル12のZ方向中心線12zとは、Y方向にオフセットAだけ離れている。
【0027】
ボンディングヘッド11、ガントリーレール15、ボンディングノズル12は、制御装置50に接続されて制御装置50の指令によって動作する。カメラ13は、制御装置50に接続されており、カメラ13が撮像した画像データは、制御装置50に入力される。制御装置50は、内部に情報処理を行うプロセッサであるCPU51と、動作プログラム、動作データ等を格納する記憶部52とを含むコンピュータである。
【0028】
図3に示す様に、制御装置50は、位置検出部55と、位置データベース56と、位置補正部57と、ボンディング制御部58の4つの機能ブロックを備えている。位置検出部55と、位置補正部57と、ボンディング制御部58とは、CPU51が記憶部52の中に格納されている動作プログラムを実行することにより実現される。また、位置データベース56は記憶部52によって実現される。
【0029】
位置検出部55は、カメラ13の撮像した基板40のアイランド41の画像に基づいてアイランド41の位置を検出する。又、位置検出部55は、アイランド41の上にボンディングされた各段の半導体チップ20の画像に基づいて、基板40のアイランド41の上に積層ボンディングされた各段の半導体チップ20の各位置を検出する。位置検出部55は、検出した各位置を後で説明する位置データベース56の中に格納する。
【0030】
位置補正部57は、位置データベース56を参照しながらボンディング位置を補正して補正後のボンディング位置をボンディング制御部58に出力する。
【0031】
ボンディング制御部58は、位置補正部57から入力された補正後のボンディング位置に半導体チップ20をボンディングする。
【0032】
次に、図4図5を参照しながら位置データベース56の構成について説明する。ボンディング装置100が基板40の複数のアイランド41の上に複数の半導体チップ20を積層ボンディングすると、図1に示す様に、各半導体チップ20は、Z方向に積層されて積層型半導体装置30が形成される。半導体チップ20が正確に積層された場合には、積層型半導体装置30は基板40に対して垂直上方に向かって積層される。
【0033】
しかし、ボンディング装置100の各部の製造誤差、或いは、ボンディング装置100の熱変形等により、図4に示す例の様に半導体チップ20のボンディング位置が横方向にずれてしまう場合がある。図4では1段目の半導体チップ21は、基板40のアイランド41に対してY方向マイナス側にΔy1だけずれてアイランド41の上にボンディングされている。同様に2段目の半導体チップ22は1段目の半導体チップ21に対してY方向マイナス側Δy2だけずれてボンディングされている。以下同様に、N段目の半導体チップ20(N)は、N-1段目の半導体チップ20(N-1)に対してY方向マイナス側にΔyNだけずれてボンディングされている。このように半導体チップ20の位置がずれてボンディングされた場合、アイランド41から1段目までの累積位置ずれ量はΔy1、2段目までの累積位置ずれ量は、Δy1+Δy2、N段目までの累積位置ずれ量は、
【数1】
となる。
【0034】
図5に示す様に、位置データベース56は、基板40のアイランド41の各位置及び積層ボンディングされた各段の半導体チップ20の各位置と、各段の位置ずれ量と、各段の累積位置ずれ量と、を基板40のアイランド41毎に格納したものである。
【0035】
図5において、(x0,y0)は、位置検出部55がカメラ13の撮像した基板40のアイランド41の画像に基づいて算出したアイランド41の中心のXY座標位置を示す。また、(x1,y1)は、位置検出部55がカメラ13の撮像した1段目の半導体チップ21の画像に基づいて算出した半導体チップ21の中心のXY座標位置を示す。同様に、(xN,yN)は、位置検出部55がカメラ13の撮像したN段目の半導体チップ20(N)の画像に基づいて算出した半導体チップ20(N)中心のXY座標位置を示す。
【0036】
また、(Δx1,Δy1)は、位置補正部57が算出した基板40のアイランド41の中心座標(x0,y0)と1段目の半導体チップ21の中心座標(x1,y1)との位置ずれ量を示す。ここで、Δx1=x1-x0、Δy1=y1-y0である。同様に、(ΔxN,ΔyN)は、N段目の半導体チップ20(N)の中心座標とN-1段目の半導体チップ20(N-1)の中心座標との位置ずれ量を示し、ΔxN=x(N)-x(N-1)、ΔyN=y(N)-y(N-1)である。
【0037】
また、累積位置ずれ量は、アイランド41からN段目までの半導体チップ20の中心位置の位置ずれ量を積算したものである。1段目の半導体チップ21の累積位置ずれ量は、アイランド41の中心座標(x0,y0)と1段目の半導体チップ21の中心座標(x1,y1)との位置ずれ量(Δx1,Δy1)と同一である。2段目以上のN段の累積位置ずれ量は、N段までの位置ずれ量の積算値であり、
【数2】
である。
【0038】
次に図6から11を参照しながら実施形態のボンディング装置100の動作について説明する。図6のステップS101、図8に示す様に、ボンディング制御部58はカメラ13の視野60の中心が基板40のアイランド41の中央になるように、ボンディングヘッド11とガントリーレール15とを動作させてボンディングヘッド11をXY方向に移動させる。図8に示す様に、カメラ13の視野60の中央にアイランド41の中央が位置したら、位置検出部55は、カメラ13が撮像したアイランド41の画像を受信する。そして、位置検出部55は画像を解析してマーク42,43の位置を検出し、2つのマーク42,43の位置からX方向の中心線41xとY方向の中心線41yを検出して、2つの中心線41x,41yの交点としてアイランド41の中心位置45のXY座標(x0,y0)を算出する。そして位置検出部55は、算出したXY座標(x0,y0)を図5に示すように位置データベース56に格納する。
【0039】
この場合、位置ずれ量の算出は行わないので、位置補正部57は、位置データベース56に格納されたアイランド41の中心位置45のXY座標(x0,y0)を1段目の半導体チップ21の補正後のボンディング位置としてボンディング制御部58に出力する。
【0040】
図6のステップS102において、ボンディング制御部58は、XY座標(x0,y0)にボンディングノズル12のZ方向中心線12zが来るように、ボンディングヘッド11をY方向にオフセットAだけ移動させる。ボンディングノズル12の先端には、中心座標XYがZ方向中心線12zの位置となるように半導体チップ20が吸着固定されている。従って、ボンディングノズル12のZ方向中心線12zをXY座標(x0,y0)に合わせると、半導体チップ21の中心位置215はアイランド41の中心位置45と同一のXY位置となる。そして、ボンディング制御部58は、ボンディングノズル12を降下させて1段目の半導体チップ21をアイランド41の上にボンディングする。
【0041】
図6のステップS103で、ボンディング制御部58は、カメラ13の視野60の中心が半導体チップ21の中央になるように、ボンディングヘッド11をオフセットAだけY方向マイナス側に移動させる。位置検出部55は、カメラ13から図9に示すように視野60の中にボンディングされた1段目の半導体チップ21が入った画像を受信する。そして、位置検出部55は画像を解析して1段目の半導体チップ21のマーク212,203の位置を検出し、2つのマーク212,213の位置からX方向の中心線21xとY方向の中心線21yを検出して、2つの中心線21x,21yの交点として半導体チップ21の中心位置215のXY座標(x1,y1)を算出する。そして位置検出部55は、算出したXY座標(x1,y1)を図5に示すように位置データベース56に格納する。
【0042】
図6のステップS104において、位置補正部57は、位置データベース56に格納されたアイランド41の中心位置45のXY座標(x0,y0)とアイランド41の上にボンディングされた1段目の半導体チップ21の中心位置215のXY座標(x1,y1)との位置ずれ量(Δx1,Δy1)を算出する。そして、位置補正部57は、図6のステップS105において、算出した位置ずれ量(Δx1,Δy1)を図5に示すように位置データベース56に格納する。ここで、(Δx1,Δy1)は、1段目の半導体チップ21の位置ずれ量であり、Δx1=x1-x0、Δy1=y1-y0である。
【0043】
図6のステップS106において、位置補正部57は、算出した1段目の半導体チップ21の位置ずれ量を1段目の累積位置ずれ量に設定して図5に示すように位置データベース56に格納する。
【0044】
図6のステップS107において、位置補正部57は、1段目の半導体チップ21の中心位置215のXY座標(x1,y1)を1段目の半導体チップ21の位置ずれ量(Δx1,Δy1)だけ補正して2段目の半導体チップ22のボンディング位置としてボンディング制御部58に出力する。
【0045】
制御装置50は、図7のステップS108において、カウンタNを2に設定し、図7のステップS109からS119を繰り返して実行して半導体チップ20を積層ボンディングしていく。
【0046】
図7のステップS109において、ボンディング制御部58は、図10に示すように、N段目の半導体チップ20(N)をボンディングする。そして位置検出部55は、図7のステップS110において、1段目の半導体チップ21の場合と同様、カメラ13が撮像したN段目の半導体チップ20(N)の画像を受信し、2つのマーク202(N),203(N)の位置からX方向の中心線NxとY方向の中心線Nyを検出して、中心位置205(N)のXY座標(xN,yN)を算出する。そして位置検出部55は、算出したXY座標(xN,yN)を図5に示すように位置データベース56に格納する。
【0047】
図7のステップS111において、位置補正部57は、位置データベース56に格納されたN-1段目の半導体チップ20(N-1)の中心位置205(N-1)のXY座標(xN-1,yN-1)とN段目の半導体チップ20(N)の中心位置205(N)のXY座標(xN,yN)との位置ずれ量(ΔxN,ΔyN)を算出する。そして、位置補正部57は、図6のステップS112において、算出したN段目の半導体チップ20(N)の位置ずれ量(ΔxN,ΔyN)を図5に示すように位置データベース56に格納する。ここで、(ΔxN,ΔyN)は、ΔxN=xN-(xN-1)、ΔyN=yN-(yN-1)である。
【0048】
図7のステップS113において、位置補正部57は、算出したN段目の半導体チップ20(N)の位置ずれ量をN-1段目の累積位置ずれ量に加算してN段目の累積位置ずれ量を算出して図5に示すように位置データベース56に格納する。ここで、N段目の累積位置ずれ量は、
【数3】
である。
【0049】
位置補正部57は、図7のステップS114でN段目の累積位置ずれ量が所定の閾値以上かどうかを判断する。位置補正部57は、の累積位置ずれ量が所定の閾値未満で図7のステップS114でNOと判断した場合には、図7のステップS119に進んで、N段目の半導体チップ20(N)の中心位置205のXY座標(xN,yN)をN段目の半導体チップ20(N)の位置ずれ量(ΔxN,ΔyN)だけ補正して、(xN+1)=xN+ΔxN、(yN+1)=yN+ΔyNをN+1段目の半導体チップ20(N+1)の補正後のボンディング位置としてボンディング制御部58に出力して図7のステップS117に進む。
【0050】
制御装置50は、図7のステップS117でカウンタNを1だけインクレメントし、図7のステップS118でNが全積層数Nendを越えているかどうか判断する。そして図7のステップS118でNOと判断した場合には、図7のステップS109に戻り、N+1段目の半導体チップ20(N+1)をボンディングする。
【0051】
このように、累積位置ずれ量が所定の閾値未満の場合に、各段のボンディング後に各段の半導体チップ20の位置ずれ量(ΔxN,ΔyN)だけボンディング位置を補正して次の段のボンディングを行うので、各段のボンディングのずれ量を抑制することができる。
【0052】
一方、積層段数が多くなって累積位置ずれ量が所定の閾値以上となり、位置補正部57が図7のステップS114でYESと判断した場合には、位置補正部57は、図7のステップS115に進んでN段目の累積位置ずれ量が所定の閾値よりも大きい停止閾値以上かどうか判断する。位置補正部57は、図7のステップS115でNOと判断した場合には、図7のステップS116に進んで、N段目の半導体チップ20(N)の中心位置205(N)のXY座標(xN,yN)をN段目の半導体チップ20(N)の累積位置ずれ量
【数4】
だけ補正してN+1段目の半導体チップ20(N+1)の補正後のボンディング位置としてボンディング制御部58に出力する。
【0053】
ボンディング制御部58は、XY座標
【数5】
にボンディングノズル12のZ方向中心線12zが来るように、ボンディングヘッド11をXY方向に移動させる。ボンディングノズル12の先端には、中心座標XYがZ方向中心線12zの位置となるようにN+1段目の半導体チップ20(n+1)が吸着固定されている。従って、ボンディングノズル12のZ方向中心線12zをXY座標
【数6】

に合わせると、半導体チップ20(N+1)の中心位置205(N+1)は、基板40のアイランド41の中心位置45と同一の位置となる。そして、ボンディング制御部58は、ボンディングノズル12を降下させてN+1段目の半導体チップ20(N)を半導体チップ20(N)の上にボンディングする。これにより、図11に示すように、N+1段目の半導体チップ20(N+1)の中心位置205(N+1)をアイランド41の中心位置45に合わせてボンディングすることができる。
【0054】
このように、半導体チップ20を積層ボンディングすることにより、図11に示すように、各段の半導体チップ20が連続的に一方向へ横ずれして積層された場合でも、積層ボンディングの際に半導体チップ20が所定の閾値を越えて連続的に一方向へ横ずれすることを抑制できる。
【0055】
そして、制御装置50は、図7のステップS117でカウンタNを1だけインクレメントし、図7のステップS118でNが全積層数Nendを越えているかどうか判断する。そして図7のステップS118でNOと判断した場合には、図7のステップS109に戻り、N+1段目の半導体チップ20(N+1)をボンディングする。
【0056】
また、制御装置50は、図7のステップS118でYESと判断した場合には、ボンディング動作を終了する。
【0057】
また、位置補正部57は、図7のステップS115でYESと判断した場合には、図7のステップS120に進んでボンディング制御部58にボンディング停止指令を出力する。ボンディング制御部58は、ボンディング停止指令が入力されたらボンディング動作を停止する。これにより、積層ボンディングの際の異常な傾きを検出してボンディング装置100を停止することができる。
【0058】
ボンディング装置100は、以上説明したように半導体チップ20を基板40の複数のアイランド41において積層ボンディングする際に、各アイランド41の各位置及び積層ボンディングされた各段の半導体チップ20の各位置と各段の位置ずれ量とを基板40のアイランド41毎に位置データベース56に格納し、この位置データベース56を参照しながら各アイランド41における半導体チップ20の各段のボンディング位置を補正する。
【0059】
これにより、アイランド41によって位置ずれ量の方向、大きさにばらつきがあった場合でも、アイランド毎に適切なボンディング位置の補正を行うことができる。
【0060】
次に、図12図13を参照して全積層数Nendより少ない中間段のM段まで、積層ボンディングを行った後にボンディングを中止して、半導体チップ20が積層された基板40をボンディングステージ16から取り出して検査を行った後、再度、基板40をボンディングステージ16に吸着固定してM+1段目から積層ボンディングを再開する場合の動作について説明する。
【0061】
M段目までの積層ボンディングは、図6,7に示すフローチャートに示す動作によって行われている。このため、位置データベース56には、アイランド41の位置及び積層ボンディングされた1段目からM段目までの各段の半導体チップ20の各位置と各段の位置ずれ量と、1段目からM段目までの各段の累積位置ずれ量が格納されている。
【0062】
位置検出部55は、図12のステップS201でボンディングが再開されると、図12のステップS202に示すように、1段目の半導体チップ21の場合と同様、カメラ13が撮像したM段目の半導体チップ20(M)の画像を受信し、2つのマーク202(M),203(M)の位置から中心位置205(M)のXY座標(xM,yM)を算出する。そして位置検出部55は、算出したXY座標(xM,yM)を図5に示すように位置データベース56に格納する。この際、位置検出部55は、ボンディング中止前に図7のステップS110で検出したM段目の半導体チップ20(M)のXY座標(xM,yM)を書き換えて更新する。
【0063】
位置補正部57は、図12のステップS203に示すように、位置データベース56に格納しているM段目までの中間累積位置ずれ量をM段目の半導体チップ20(M)のXY座標(xM,yM)に加えて、M+1段目の半導体チップ20(M+1)の補正後のボンディング位置を
【数7】
のように算出して、ボンディング制御部58に出力する。
【0064】
そして、制御装置50は、図12のステップS204でカウンタNをM+1にセットして図7のステップS109に進んで、M+1段目の半導体チップ20(M+1)のボンディングを行う。
【0065】
その後、制御装置50は、図7のステップS109からS119を繰り返して実行して半導体チップ20を積層ボンディングし、全積層数Nendまでのボンディングが終了したら、ボンディング動作を停止する。
【0066】
以上説明したように、ボンディング装置100は、中間段のM段まで積層ボンディングを行った後、M+1段目から積層ボンディングを再開する場合に、M+1段目の半導体チップ20(M+1)の中心位置205(M+1)をアイランド41の中心位置45に合わせてボンディングすることができる。このため、ボンディングを中止して基板40をボンディングステージ16の上から取り外した後、基板40を再セットしてボンディングを再開する際に、半導体チップ20が一方向へ横ずれした状態をリセットでき、ボンディング再開後に半導体チップ20が大きく横ずれしてしまうことを抑制することができる。
【0067】
また、位置データベース56は、全てのアイランド41の上にボンディングされた各半導体チップ20の1段目からM段目までの各段の半導体チップ20の各位置と各段の位置ずれ量と、1段目からM段目までの各段の累積位置ずれ量が格納されている。このため、同一のボンディング装置100ではなく、別のボンディング装置100でM+1段目以降の積層ボンディングを行う場合でも、ボンディング再開後に半導体チップ20が大きく横ずれしてしまうことを抑制することができる。
【0068】
次に、ボンディング装置100において、ガラス等で構成されたダミーチップを用いて試験ボンディングを行った後、半導体チップ20をボンディングする場合について説明する。
【0069】
この場合、制御装置50は、図6のステップS101から図7のステップS108を実行した後、図7のステップS109からS119を連続して実行してNend段目までダミーチップを積層し、各アイランド41の各位置及び積層ボンディングされた各段の半導体チップ20の各位置と、各段の位置ずれ量と、各段の累積位置ずれ量と、をアイランド41毎に位置データベース56に格納する。
【0070】
そして、半導体チップ20を積層ボンディングする際には、各段の位置ずれ量と、各段の累積位置ずれ量との算出を行わず、図13のステップS301,303に示すように、アイランド41の位置及び各段の半導体チップ20の各位置の検出を行い、図13のステップS304のように検出した各位置を位置データベース56に格納した各段の位置ずれ量だけ補正して次の段の補正後のボンディング位置として各段の積層ボンディングを行うようにしてもよい。
【0071】
この場合、各段の位置ずれ量と、各段の累積位置ずれ量との算出を行わないので、半導体チップ20が連続的に一方向にずれることを抑制しつつ、高速に積層ボンディングを行うことができる。
【0072】
さらに、ダミーチップを用いた試験ボンディングにより補正量を取得して半導体チップ20を積層ボンディングした後に全て又は一部のアイランド41への実装行い、各段の位置ずれ量、累積位置の位置ずれを測定してもよい。この場合、積層ボンディングの測定値を試験ボンディングで得た補正量にフィードバックすることができる。これにより、熱や経時変化によるステージやガントリーレール15の歪みなどの影響を小さくして、より精度の良い積層ボンディングを行うことができる。
【0073】
以上説明したように、実施形態のボンディング装置100は、積層ボンディングの際に半導体チップ20が連続的に一方向へ横ずれすることを抑制できる。
【0074】
以上の説明では、ボンディング装置100は、基板40のアイランド41の上に半導体チップ20を積層ボンディングすることとして説明したが、これに限らず、ウェーハに形成された複数のベースチップの上に半導体チップ20を積層ボンディングすることにも適用することができる。
【0075】
また、以上の説明では、ボンディングヘッド11をガイドするレールをガントリーレール15であると説明したが、ガントリーレール15は、一例であり、例えばガイドレール17の両端が固定されていてもよい。この場合、一方向のみにボンディングヘッド11が駆動し、これと直交する方向にステージが駆動する構成とすることができる。また、ガイドレール17は、ガントリー形状でなくても用いることができる。
【符号の説明】
【0076】
11 ボンディングヘッド、12 ボンディングノズル、12z Z方向中心線、13 カメラ、13z 光軸、15 ガントリーレール、16 ボンディングステージ、17 ガイドレール、20,21,22 半導体チップ、21x,21y,41x,41y 中心線、30 積層型半導体装置、40 基板、41 アイランド、42,43 マーク、45 中心位置、50 制御装置、51 CPU、52 記憶部、55 位置検出部、56 位置データベース、57 位置補正部、58 ボンディング制御部、60 視野、100 ボンディング装置。
【要約】
半導体チップの位置を検出し、検出した各位置を位置データベース(56)に格納する位置検出部(55)と、補正後のボンディング位置を出力する位置補正部(57)と、位置補正部(57)から入力された補正後のボンディング位置に基づいて半導体チップのボンディングを行うボンディング制御部(58)と、を備え、位置補正部(57)は、各段の半導体チップ間の位置ずれ量と、累積位置ずれ量とを算出し、累積位置ずれ量が所定の閾値以上の場合には、半導体チップの位置を累積位置ずれ量だけ補正して補正後のボンディング位置として出力し、ボンディング制御部(58)は、位置補正部から入力された補正後のボンディング位置に次の段の半導体チップのボンディングを行う。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13