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特許7178144ゴルフのグリーン用の転動式傾斜検知器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ゴルフのグリーン用の転動式傾斜検知器具
(51)【国際特許分類】
   G01C 9/10 20060101AFI20221117BHJP
   H01H 35/02 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G01C9/10
H01H35/02 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022061366
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2022-04-18
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517406722
【氏名又は名称】石田 峻之
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】石田 峻之
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3034476(JP,U)
【文献】特開平07-004962(JP,A)
【文献】実公昭47-025290(JP,Y1)
【文献】米国特許第05411253(US,A)
【文献】米国特許第04514908(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 9/10
H01H 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリーン等の傾斜を読み取る検知器具であって、左右に直方形の中空箱1を備え、左箱部12には左右方向に自重移動自在な左転動体T2、右箱部11には前後方向に自重移動自在な右転動体T1を備えたことを特徴とする転動式傾斜検知器具。
【請求項2】
前記左転動体T2が左ローラR2であり、前記右転動体T1が右ローラR1であって、
前記左ローラR2及び前記右ローラR1のそれぞれの両端部に突出軸Jを備え、それらの突出軸Jが前記中空箱1の側立壁11A、12Aに設けられた案内溝Gに沿って移動することを特徴とする請求項1記載の転動式傾斜検知器具。
【請求項3】
前記左転動体T2が左ローラR2であり、前記右転動体T1が右ローラR1であって、
前記左ローラR2の周囲に凹部Dを設け且つ前記左箱部12の底壁12Bには突出した案内レール部Pを設け、前記右ローラR1の周囲に前記凹部Dを設け且つ前記右箱部11の底壁11Bには突出した前記案内レール部Pを設け、前記左ローラR2の前記凹部Dが前記左箱部12の前記案内レール部Pに案内されて移動し、前記右ローラR1の前記凹部Dが前記右箱部11の前記案内レール部Pに案内されて移動することを特徴とする請求項1記載の転動式傾斜検知器具。
【請求項4】
前記左転動体T2が左ローラR2であり、前記右転動体T1が右ローラR1であって、
前記左箱部12の側立壁12Aの一部と底壁12Bの一部に一方側の側電極C1と底電極C2及び他方側の側電極D1と底電極D2が設けられ、一方側の前記側電極C1と前記底電極C2が電球L3に且つ他方側の前記側電極D1と前記底電極D2が電球L4に電源を介して配線されており、前記左ローラR2が前記各側電極と前記底電極に接触することにより導通し、前記電球L3又は前記電球L4が点灯するものであり、前記右箱部11の側立壁11Aの一部と底壁11Bの一部に一方側の側電極A1と底電極A2及び他方側の側電極B1と底電極B2が設けられ、一方側の前記側電極A1と前記底電極A2が電球L1に且つ他方側の前記側電極B1と前記底電極B2が電球L2に電源を介して配線されており、前記右ローラR1が前記各測電極と前記底電極に接触することにより導通し、前記電球L1又は前記電球L2が点灯するものであることを特徴とする請求項1記載の転動式傾斜検知器具。
【請求項5】
前記左転動体T2が左側球体S2であり、前記右転動体T1が右側球体S1であって、前記左箱部12に前記左側球体S2を案内する誘導案内壁体G2を設け、前記右箱部11に前記右側球体S1を案内する前記誘導案内壁体G1を設けたことを特徴とする請求項1記載の転動式傾斜検知器具。
【請求項6】
前記左転動体T2が左側球体S2であり、前記右転動体T1が右側球体S1であって、
前記左箱部12の側立壁12Aの一部と底壁12Bの一部に一方側の側電極C1と底電極C2及び他方側の側電極D1と底電極D2が設けられ、一方側の前記側電極C1と前記底電極C2が電球L3に且つ他方側の前記側電極D1と前記底電極D2が電球L4に電源を介して配線されており、前記左側球体S2が前記各側電極と前記底電極に接触することにより導通し、前記電球L3又は前記電球L4が点灯するものであり、前記右箱部11の側立壁11Aの一部と底壁11Bの一部に一方側の側電極A1と底電極A2及び他方側の側電極B1と底電極B2が設けられ、一方側の前記側電極A1と前記底電極A2が電球L1に且つ他方側の前記側電極B1と前記底電極B2が電球L2に電源を介して配線されており、前記右側球体S1が各前記側電極と前記底電極に接触することにより導通し、前記電球L1又は前記電球L2が点灯するものであることを特徴とする請求項1記載の転動式傾斜検知器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフグラウンドにおいてグリーン表面の傾斜を検知するためのグリーン用の転動式傾斜検知器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴルフプレーにおいては、ボールを打った数の総数で勝負の勝ち負けを決める。
ティグラウンドでのティショットから、グリーンにおけるホールインまでの間に叩いた打数が少ないほどよい。
このようにゴルフプレーでは、ティグラウンドとグリーンまでの合計打数で勝敗又は成果を決めるため、スコアメイクを考えた場合、フェアウエイでの打数だけではなく、グリーン上での打数も極めて重要である。
フェアウエイにおいては傾斜及びライの状態を正確に把握しないと良いショットができない。
同様に、グリーン上では、面の傾斜及び芝目の状態を正確に把握することが重要である。
【0003】
ここでパットについては経験を得ることによって、徐々にグリーン上での傾斜状態を読み取ることができるようになる。
しかし、初心者は、もとより、熟練者においても、グリーンの傾斜状態を常に正確に読み取ることは極めて困難である。
人には錯覚というものがあるため感覚が狂って、実際の真の正確な傾斜とプレーする人が目で読み取る傾斜とは、異なる場合も多々生じる。
そのため、プレーする人或いは競技者が読み取った傾斜を基準にしてパットしても、意外や、全く異なる方向にゴルフ球が動いてしまうことは、よく経験することである。
このようなことから、プレーする人が、極力、正確に傾斜を読み取ることができるように、傾斜を検知するハンデイな器具が開発されている。
【0004】
例えば、その一つに、パターのヘッドに水準器を取り付けたものや、アイアンのヘッドに水準器を取り付けたもの(組み込んだもの)がある(
【文献】,
【文献】)。 しかし、これらの水準器は、パター或いはアイアンをグリーンにアドレス、すなわち位置決めした地点の傾斜しか読み取ることはできない。 ホールと球の位置の間の領域における傾斜を読み取ろうとすると、パター、或いはアイアン全体をそのまま傾斜を読み取るべく位置に移動して置き直す必要があり面倒である。
【0005】
このようなことから、パター、或いはアイアン自体とは独立した別個のハンデイな傾斜読み取り器が提供されている(
【文献】)。 しかし、この傾斜読み取り器は、気泡があらゆる方向に速く敏感に動くため、左右の傾斜ライン或いは上下の傾斜ラインというように2方向に区別して読み取ることは極めて困難である。 因みに、プレーする人は、上下及び左右の傾斜が分かれば十分である。 また、スマートホーン(アイホーン)によりグリーンの傾斜を読み取るものもあるが、指標点の動きがやはり敏感過ぎることや、一定の大きさの表示画面が必要なこと等必ずしも満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平2007-559号公報
【文献】実開平2-130661号公報
【文献】特開昭61-212712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の技術的な問題点を解決するものである。
すなわち、本発明の目的は、グリーン面の上下及び左右の傾斜を明確に確認できるハンデイな転動式の傾斜検知器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような、背景に対して、本発明者らが創意工夫を重ねた結果、左右と上下の方向を各々区別して確認できるように、転動体を別々の空間で自重により傾斜面を移動可能とすることにより、グリーン上の傾斜を明確に確認できることを見出し、この知見により、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)、グリーン等の傾斜を読み取る検知器具であって、左右に直方形の中空箱1を備え、左箱部12には左右方向に自重移動自在な左転動体2、右箱部11には前後方向に自重移動自在な右転動体1を備えた転動式傾斜検知器具に存する。
【0010】
また、本発明は、(2)、左転動体2が左ローラR2であり、右転動体1が右ローラR1であって、左ローラR2及び右ローラR1のそれぞれの両端部に突出軸Jを備え、それらの突出軸Jが中空箱1の側立壁11A、12Aに設けられた案内溝Gに沿って移動する転動式傾斜検知器具に存する。
【0011】
また、本発明は、(3)、左転動体2が左ローラR2であり、右転動体1が右ローラR1であって、左ローラR2の周囲に凹部Dを設け且つ左箱部12の底壁12Bには突出した案内レール部Pを設け、右ローラR1の周囲に凹部Dを設け且つ右箱部11の底壁11Bには突出した案内レール部Pを設け、左ローラR2の凹部Dが左箱部12の案内レール部Pに案内されて移動し、右ローラR1の凹部Dが右箱部11の案内レール部Pに案内されて移動する転動式傾斜検知器具に存する。
【0012】
また、本発明は、(4)、左箱部12の側立壁12Aの一部と底壁12Bの一部に一方側の側電極C1と底電極C2及び他方側の側電極D1と底電極D2が設けられ、一方側の側電極C1と底電極C2が電球L3に且つ他方側の側電極D1と底電極D2が電球L4に電源を介して配線されており、左ローラR2が各側電極と底電極に接触することにより導通し、電球L3又は電球L4が点灯するものであり、右箱部11の側立壁11Aの一部と底壁11Bの一部に一方側の側電極A1と底電極A2及び他方側の側電極B1と底電極B2が設けられ、一方側の側電極A1と底電極A2が電球L1に且つ他方側の側電極B1と底電極B2が電球L2に電源を介して配線されており、右ローラR1が各測電極と底電極に接触することにより導通し、電球L1又は電球L2が点灯するものである転動式傾斜検知器具に存する。
【0013】
また、本発明は、(5)、左転動体T2が左側球体S2であり、右転動体T1が右側球体S1であって、左箱部12に左側球体S2を案内する誘導案内壁体G2を設け、右箱部11に右側球体S1を案内する誘導案内壁体G1を設けた転動式傾斜検知器具に存する。
【0014】
また、本発明は、(6)、左転動体T2が左側球体S2であり、右転動体T1が右側球体S1であって、左箱部12の側立壁12Aの一部と底壁12Bの一部に一方側の側電極C1と底電極C2及び他方側の側電極D1と底電極D2が設けられ、一方側の側電極C1と底電極C2が電球L3に且つ他方側の側電極D1と底電極D2が電球L4に電源を介して配線されており、左側球体S2が各側電極と底電極に接触することにより導通し、電球L3又は電球L4が点灯するものであり、右箱部11の側立壁11Aの一部と底壁11Bの一部に一方側の側電極A1と底電極A2及び他方側の側電極B1と底電極B2が設けられ、一方側の側電極A1と底電極A2が電球L1に且つ他方側の側電極B1と底電極B2が電球L2に電源を介して配線されており、右側球体S1が各側電極と底電極に接触することにより導通し、電球L1又は電球L2が点灯するものである左転動体T2が点灯するものである転動式傾斜検知器具に存する。
【発明の効果】
【0015】
(1)、グリーン等の傾斜を読み取る検知器具であって、左右に直方形の中空箱1を備え、左箱部12には左右方向に自重移動自在な左転動体2、右箱部11には前後方向に自重移動自在な右転動体1を備えた転動式傾斜検知器具であるのでグリーン等の傾斜面に載置した場合、左右の転動体が容易に転がり、平坦、或いは前後及び左右の傾斜を、人の感覚によらず、明確に検知することができる。
【0016】
(2)、左転動体2が左ローラR2であり、右転動体1が右ローラR1であって、左ローラR2及び右ローラR1のそれぞれの両端部に突出軸Jを備え、それらの突出軸Jが中空箱1の側立壁11A、12Aに設けられた案内溝Gに沿って移動する転動式傾斜検知器具ので、左ローラR2及び右ローラR1がスムーズにしかも安定して移動することができる。
【0017】
(3)、左転動体2が左ローラR2であり、右転動体1が右ローラR1であって、左ローラR2の周囲に凹部Dを設け且つ左箱部12の底壁12Bには突出した案内レール部Pを設け、右ローラR1の周囲に凹部Dを設け且つ右箱部11の底壁11Bには突出した案内レール部Pを設け、左ローラR2の凹部Dが左箱部12の案内レール部Pに案内されて移動し、右ローラR1の凹部Dが右箱部11の案内レール部Pに案内されて移動する転動式傾斜検知器具であるので、左ローラR2及び右ローラR1がスムーズにしかも安定して移動することができる。
【0018】
(4)、左箱部12の側立壁12Aの一部と底壁12Bの一部に一方側の側電極C1と底電極C2及び他方側の側電極D1と底電極D2が設けられ、一方側の側電極C1と底電極C2が電球L3に且つ他方側の側電極D1と底電極D2が電球L4に電源を介して配線されており、左ローラR2が各側電極と底電極に接触することにより導通し、電球L3又は電球L4が点灯するものであり、右箱部11の側立壁11Aの一部と底壁11Bの一部に一方側の側電極A1と底電極A2及び他方側の側電極B1と底電極B2が設けられ、一方側の側電極A1と底電極A2が電球L1に且つ他方側の側電極B1と底電極B2が電球L2に電源を介して配線されており、右ローラR1が各測電極と底電極に接触することにより導通し、電球L1又は電球L2が点灯する転動式傾斜検知器具であるので、光によって、グリーン上の平坦或いは前後及び左右の傾斜を容易かつ明確に検知することができる。
また、夜間や暗いグリーンにおいても傾斜を容易に検知できる。
【0019】
(5)、左転動体T2が左側球体S2であり、右転動体T1が右側球体S1であって、左箱部12に左側球体S2を案内する誘導案内壁体G2を設け、右箱部11に右側球体S1を案内する誘導案内壁体G1を設けた転動式傾斜検知器具」であるので、左側球体S2や右側球体S1の転がる方向が誘導規制され、且つ安定した動きが得られる。
【0020】
(6)、左転動体T2が左側球体S2であり、右転動体T1が右側球体S1であって、左箱部12の側立壁12Aの一部と底壁12Bの一部に電極C1、C2及び電極D1、D2が設けられ、電極C1、C2が電球L3に且つ電極D1、D2が電球L4に電源を介して配線されており、左側球体S2が各両電極に接触することにより導通し、電球L3又は電球L4が点灯するものであり、右箱部11の側立壁11Aの一部と底壁11Bの一部に電極A1、A2及び電極B1、B2が設けられ、電極A1、A2が電球L1に且つ電極B1、B2が電球L2に電源を介して配線されており、右側球体S1が各両電極に接触することにより導通し、電球L1又は電球L2が点灯する転動式傾斜検知器具であるので、光によって、グリーン上の平坦或いは前後及び左右の傾斜を容易かつ明確に検知することができる。
また、暗い視界の悪い状態のグリーンにおいても傾斜を容易に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明のローラを使った転動式傾斜検知器具を示す概略図である。
図2図2は、右ローラ或いは左ローラが、右箱部或いは左箱部の側立壁、に当接した状態を示す説明図である。
図3図3は、左ローラ或いは右ローラの一方のみが、右箱部或いは左箱部の側立壁に当接した状態を示す説明図である。
図4図4は、右ローラ及び左ローラの両端に突出した軸部Jが設けられている例を示す概略図である。
図5図5は、右ローラ及び左ローラの周囲に凹部が形成されている例を示す概略図である。
図6図6は、傾斜が光によって明確に認識できる傾斜検知器具を示す概略図である。
図7図7は、球体を使った傾斜検知器具を示す概略図である。
図8図8は、傾斜が光によって明確に認識できる球体を使った傾斜検知器具を示す概略図である。
図9図9は、導通回路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明はグリーン上の傾斜を明確に認識できるハンデイな転動式の傾斜検知器具である。
この傾斜検知器具は持ち運びが容易であり、グリーン上の上下左右の、すなわち上下方向及び左右方向の傾斜を正確に且つ容易に読み取ることができるものである。
そして、構造としては、左右に直方形の中空箱1を備え、左箱部12には左右方向に自重移動自在な左転動体T2、右箱部11には前後方向に自重移動自在な右転動体T1を備えている。
【0023】
(第1の実施の形態)
最初に、転動体T1、T2が、ローラである実施の形態について述べる。
図1は、本発明のローラを使った転動式傾斜検知器具を示す概略図である。
この転動式傾斜検知器具は、グリーン等の傾斜を読み取る器具であり、中空箱1とローラを備え、全体として直方体に形成されている。
中空箱1の中央には、仕切りがあり、左右が2つの更に小さい直方体の中空箱1となっている。
すなわち、中空箱1は右の中空箱(以下「右箱部11」という)、及び左の中空箱1(以下「左箱部12」という)を備えている。
そして、これらの中空箱1には、自重で自在に移動するローラが内蔵されている。
【0024】
詳しくは、左箱部12には前後方向に自重移動自在な左転動体T2である左ローラR2、右箱部11には左右方向に自重移動自在な右転動体T1である右ローラR1を備えている。
左ローラR2は、傾斜検知器具すなわち中空箱1が、後方に傾斜すると速やかに後方に自重で転がって移動する。
また、前方に傾斜すると速やかに前方に自重で転がって移動する。
【0025】
一方、右ローラR1は、傾斜検知器具が、右方に傾斜すると速やかに右方に自重で転がって移動する。
また、左方に傾斜すると速やかに左方に自重で転がって移動する。
これら、左ローラR2や右ローラR1は、左箱部12の側立壁12Aや右箱部11の側立壁11Aに当接した状態で停止する。
これらの各ローラが停止した位置によって、前後及び左右の傾斜を読み取ることができるのである。
【0026】
右箱部11において、右ローラR1が向こう側の側立壁11Aに当接して停止している場合は、後方に傾斜していることを示し、右ローラR1が手前側の側立壁11Aに当接して停止している場合は、前方に傾斜していることを示す。
左箱部12において、左ローラR2が左側の側立壁12Aに当接して停止している場合は、左方に傾斜していることを示し、左ローラR2が右側の側立壁12Aに当接して停止している場合は、右方に傾斜していることを示す。
【0027】
また、右箱部11において、右ローラR1がどちらの側立壁11Aにも当接していない位置にある場合は、前後方向に傾斜が無く平であることを示す。
また、左箱部12において、左ローラR2がどちらの側立壁12Aにも当接していない位置にある場合は、左右方向に傾斜が無く平であることを示す。
以上より、「後方傾斜と左方傾斜」、「後方傾斜と右方傾斜」、「前方傾斜と左方傾斜」、「前方傾斜と右方傾斜」、「後方傾斜と左右平」、「前方傾斜と左右平」、「左方傾斜と前後平」「右方傾斜と前後平」の何れかが分かるので、グリーン上の傾斜を読み取ることができるのである。
【0028】
次に、理解を深めるため、グリーンの傾斜の状態によって、ローラは、具体的にどのような動きを行うかを見てみる。
以下に説明する図2及び図3は、左ローラR2と右ローラR1が、いろいろなグリーンの傾斜によって如何なる動きを行うかを示す。
【0029】
すなわち図2は、右ローラR1或いは左ローラR2が、右箱部11或いは左箱部12の側立壁11A、12A、に当接した状態を示す説明図である。
因みに、(A)は、左低、手前低、(B)は、右低、手前低、(C)は、左低、後低、(D)は、右低、後低、をそれぞれ示す。
【0030】
今、グリーンに傾斜検知器具を置いた場合を想定する。
まず、(A)は、左ローラR2が左に移動し、右ローラR1が手前に移動している。
この場合は、グリーンは、左が低く、手前が低い傾斜(スロープ)を示す。
【0031】
次に(B)は、左ローラR2が右に移動し、右ローラR1が手前に移動している。
この場合は、グリーンは、右が低く、手前が低い、すなわち、後方が高い傾斜(スロープ)を示す。
【0032】
次に(C)は、左ローラR2が左に移動し、右ローラR1が後方に移動している。
この場合は、グリーンは、左が低く、手前が高い、すなわち、後方が低い傾斜(スロープ)を示す。
【0033】
次に(D)は、左ローラR2が右に移動し、右ローラR1が後方に移動している。
この場合は、グリーンは、右が低く、手前が高い、すなわち、後ろが低い傾斜(スロープ)を示す。
【0034】
図3は、左ローラR2或いは右ローラR1の一方のみが、右箱部11或いは左箱部12の側立壁11A、12Aに当接した状態を示す説明図である。
因みに、(A)は、手前低、左右平、(B)は、後低、左右平、(C)は、左低、前後平、(D)は、右低、前後平、(E)は、左右に平、前後に平、をそれぞれ示す。
【0035】
今、グリーンに傾斜検知器具を置いた場合を想定する。
尚、左ローラR2が中央に位置した状態を示したが、右寄りでも左寄りでも何らかまわなく、後述する図でも同様である。
まず、(A)は、左ローラR2が動かず、右ローラR1が手前に移動している。
この場合は、グリーンは、左右方向に平であり、前後方向に手前が低い,すなわち後方が高い傾斜(スロープ)を示す。
【0036】
次に(B)は、左ローラR2が動かず、右ローラR1が後ろに移動している。
この場合は、グリーンは、左右方向に平であり、前後方向に後ろが低い、すなわち手前が高い傾斜(スロープ)を示す。
【0037】
次に(C)は、左ローラR2が左に移動し、右ローラR1が動かない。
この場合は、グリーンは、左が低く、前後方向に平である傾斜(スロープ)を示す。
【0038】
次に(D)は、左ローラR2が右に移動し、右ローラR1が動かない。
この場合は、グリーンは、右が低く、前後方向に平である傾斜(スロープ)を示す。
【0039】
次に(E)は、左ローラR2も右ローラR1も動かない。
この場合は、グリーンは、左右方向に平であり、且つ前後方向にも平である傾斜(スロープ)を示す。
この実施の形態においては、グリーン等の傾斜を読み取るために、ローラの動きや、位置を目で直接、認識できる必要、すなわち、上方から視認できる必要がある。
そのため、この中空箱1は内部のローラの状態が視認可能な透明の材質、例えばプラスチック材により形成されていることが好ましい。
【0040】
(第2の実施形態)
本発明の傾斜検知器具においては、ローラRは中空箱1が傾くことにより素直に反応して、自重により軽やかに転がって移動するものであることが好ましい。(例えば、左右のローラとしては、金属ローラ、プラスチックローラ等が使われる。)
この実施の形態では、左右のローラRのスムーズ且つ安定した移動を得るため、右ローラR1及び左ローラR2の両端には、突出した軸部Jが設けられている。
【0041】
図4は、右ローラR1及び左ローラR2の両端に突出した軸部Jが設けられている例を示す概略図である。
右箱部11における相対する側立壁11Aには、例えば図に示すように案内部である断面凹状の案内溝Gが形成されている。
左箱部12における相対する側立壁12Aにも、同様な案内溝Gが形成されている。
従って、ローラRの両端に形成された軸部Jが、この案内溝Gにそれぞれ嵌って誘導される。
【0042】
例えば、傾斜検知器具が、手前側に傾斜すると右ローラR1は滑らかに案内溝Gに案内されて手前側に転がりスムーズ且つ安定した移動を行うことができる。
尚、右ローラR1が移動する場合、軸部Jが案内溝Gに案内される、共に、底壁11Bに沿って転がって移動する。
右箱部11における右ローラR1も上述したと同様な動きを行う。
【0043】
(第3の実施形態)
図5は、右ローラR1及び左ローラR2の周囲に凹部Dが形成されている例を示す概略図である。
左ローラR2及び右ローラR1のスムーズ且つ安定した移動を得るため、左ローラR2の中央部の周囲には凹部Dが設けられ、左箱部12の底壁12Bには、該凹部Dに対応する突出した誘導用の案内レール部Pが設けられている。
従って左ローラR2の凹部Dに底壁12Bの案内レール部Pが嵌り込むことで、左ローラR2は、的確に案内レール部Pに沿って誘導案内されることとなる。
ここで嵌まり込むとは、嵌って案内移動がし易い状態である。
同様に右ローラR1の中央部の周囲には凹部Dが設けられ、右箱部11の底壁11Bには、該凹部Dに対応する突出した案内レール部Pが設けられている。
従って右ローラR1の凹部Dに底壁11Bの案内レール部Pが嵌り込むことで、右ローラR1は、的確に案内レール部Pに沿って案内されることとなる。
【0044】
(第4の実施の形態)
図6は、傾斜が光によって明確に認識できる傾斜検知器具を示す概略図である。
この傾斜検知器具は、左右及び前後の傾斜が光によって認識できるものである。
第1の実施の形態は、左ローラR2及び右ローラR1の移動が視認できるように、右箱部11や左箱部12の少なくとも一部が透明になっていることが必要である。
例えば、左ローラR2が、左箱部12の側立壁12Aに当接した状態、右ローラR1が、右箱部11の側立壁11Aに当接した状態等が上方から視認できるように透明に形成されていることである。
しかし、この第4の実施形態の傾斜検知器具は、グリーン上において、プレーする人或いは競技者から離れた位置にある場合にも、傾斜が読み取れるように、光で示すようになっている。
【0045】
最初に、前後方向の傾斜を読み取ることができる場合について述べる(図9(A)、図9(B)参照)。
この場合、右箱部11において、後方の側立壁11Aには側電極A1が設けられており、また、該側電極A1に対応する底電極A2が底壁11Bに設けられている。
そして、側電極A1と底電極A2は、赤電球L1(発光部)及び図示しない電源に配線されている。
また、手前の側立壁11Aには側電極B1が設けられており、また該側電極B1に対応する底電極B2が底壁11Bに設けられている。
そして、側電極B1と底電極B2は、青電球L2(発光部)及び図示しない電源に配線されている。
【0046】
(後方が低い)
今、導電材(例えば、鉄)よりなる右ローラR1が移動してきて、底電極A2に乗った状態で、側立壁11Aの側電極A1に当接すると、右ローラR1を介して配線回路が導通し、後ろ側の側立壁11Aに設けられた赤電球L1が光る。
これにより、後方が低い傾斜であることが、瞬時的にわかる。
【0047】
(手前側が低い)
今、導電材(例えば、鉄)よりなる右ローラR1が移動してきて、底電極B2に乗った状態で、側立壁11Aの側電極B1に当接すると、右ローラR1を介して配線回路が導通し、手前側の側立壁11Aに設けられた青電球L2が光る。これにより、手前側が低い傾斜であることが、瞬時的にわかる。
【0048】
次に、左右方向の傾斜を読み取ることができる場合について述べる(図9(C)、図9(D)参照)。
この場合、左箱部12において左の側立壁12Aには側電極C1が設けられており、また該側電極C1に対応する底電極C2が底壁12Bに設けられている。
そして、側電極C1と底電極C2は、黄電球L3(発光部)及び図示しない電源に配線されている。
また、右の側立壁12Aには側電極D1が設けられており、また該側電極D1に対応する底電極D2が底壁12Bに設けられている。
そして、側電極D1と底電極D2は、緑電球L4(発光部)及び図示しない電源に配線されている。
【0049】
(左側が低い)
今、導電材(例えば、鉄)よりなる左ローラR2が移動してきて、側電極C1に乗った状態で、側立壁12Aの底電極C2に当接すると、左ローラR2を介して配線回路が導通し、左側の側立壁12Aに設けられた黄電球L3が光る。
これにより、左側が低い傾斜であることが、瞬時的にわかる。
【0050】
(右側が低い)
今、導電材(例えば、鉄)よりなる表面を有する左ローラR2が移動してきて、底電極D2に乗った状態で、側立壁12Aの側電極D1に当接すると左ローラR2を介して配線回路が導通し、右側の側立壁12Aに設けられた緑電球L4が光る。
これにより、右側が低い傾斜であることが、瞬時的にわかる。
【0051】
上述したように、光により、右ローラR1により前後方向の傾斜が一目で瞬時的に分かり、また、左ローラR2により左右方向の傾斜が一目で瞬時的に分かるのである。
この実施の形態においては、ローラの最終位置を光で知らせてくれることから、ローラの動きや、位置を目で直接、認識しなくてもよい。
尚、傾斜が平である場合は、通電しないため、各電球は点灯しない。
そのため、この実施の形態においては、中空箱1の内部は、見えなくてもよく、必ずしも透明のプラスチックにより形成される必要はない。
且つ夜間等の暗い状態でのプレーにも有用である。
【0052】
(第5の実施の形態)
この実施の形態は、転動体T1,T2が上述したようなローラではなく、球体S1、S2を使った場合である。
図7は、球体を使った傾斜検知器具を示す概略図である。
球体は、ローラと異なって転がる方向の自由度が大きいため、右箱部11又は左箱部12の中で転がる方向を規制することが必要である。
そのため、箱部の中で球体S1、S2が前後と左右に転がるように、転がり方向を規制する誘導案内壁体Wを設けている。
【0053】
誘導案内壁体Wは一対で球体の両側に設けられており、球体が傾斜面を転がる際、方向を決めて誘導させるものである。
誘導案内壁体Wの間隔は、球体が容易に転動できるように、球径よりやや大きくなっている。
球体はこの誘導案内壁体Wの間で自由に転がることができる。
左箱部12において、左側球体S2は、左に傾けると左方向に転がって移動し、右に傾けると右方向に転がって移動する。
【0054】
また、右箱部11において右側球体S1は、後方に傾けると後方に転がって移動し、手前に傾けると、手前に転がって移動する。
球体は、前述したローラに比べて底面との摩擦が少ないため速く移動することができる。
この球体の移動により、「後方傾斜と左方傾斜」、「後方傾斜と右方傾斜」、「前方傾斜と左方傾斜」、「前方傾斜と右方傾斜」、「後方傾斜と左右平」、「前方傾斜と左右平」、「左方傾斜と前後平」「右方傾斜と前後平」の何れかが分かるので、グリーン上の傾斜を読み取ることができこととなる。
【0055】
ところで、図8は、傾斜が光によって明確に認識できる球体を使った傾斜検知器具を示す概略図である。
導通機構(通電回路)は、前述したローラによるものと同じである。
すなわち、右箱部11において、後方の側立壁11Aには側電極A1が設けられており、また、該側電極A1に対応する底電極A2が底壁11Bに設けられている。
そして、側電極A1と底電極A2は、赤電球L1及び図示しない電源に配線されている。
【0056】
また、手前の側立壁11Aには側電極B1が設けられており、また、該側電極B1に対応する底電極B2が底壁11Bに設けられている。
そして、側電極B1と底電極B2は、青電球L2及び図示しない電源に配線されている。
球体を介して電極が導通し、赤電球L1や青電球L2の点灯により、前後方向の傾斜が検知できるのは、前述したローラによる導通原理(通電原理)と同じである。
一方、左箱部12において左の側立壁12Aには側電極C1が設けられており、また、該側電極C1に対応する底電極C2が底壁12Bに設けられている。
そして、側電極C1と底電極C2は、黄電球L3及び図示しない電源に配線されている。
【0057】
また、右の側立壁12Aには側電極D1が設けられており、また該側電極D1に対応する底電極D2が底壁12Bに設けられている。
そして、側電極D1と底電極D2は、緑電球L4及び図示しない電源に配線されている。
黄電球L3と緑電球L4により、左右方向の傾斜が検知できるのは、前述したローラによる導通原理(通電原理)と同じである。
以上、本発明を述べたが、本発明は、実施の形態に限定されず、その変形例が採用可能である。
【0058】
第4の実施の形態の場合、左ローラR2や右ローラR1の全体が導電材(例えば、鉄)よりなる必要はなく、電極を導通させるべく、左ローラR2や右ローラR1の表面に導電機能を有すればよく、このことは第6の実施の形態である球体の場合も同様である。
また、各電球(発光部)の色は、区別されているが、同色であっても傾斜の認識は可能である。
また、各電球(発光部)の設置位置は、図に限らす視認し易い位置であればよい。
また、電極の設け方は、ローラが中空箱1の端部に位置した際、即ち右箱部11や左箱部12の側立壁11Aや側立壁12Aに当接した際に導通する回路であれば、適宜採用できる。
その意味で、側立壁11Aや側立壁12Aにそれぞれ一対の側電極を設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
グリーン等の傾斜を読み取る傾斜検知器具であり、左右に直方形の中空箱1を備え、左箱部12には左右方向に自重移動自在な左転動体2、右箱部11には前後方向に自重移動自在な右転動体1を備えたものである。
転動体の位置を確認することにより、自身の感覚によらずグリーンの傾斜を確実に読み取ることができる。
傾斜を読み取る必要のある場合には、グリーン上に限らず、スルーザグリーンにも適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…中空箱
11…右箱部
11A…右箱部の側立壁
11B…右箱部の底壁
12…左箱部
12A…左箱部の側立壁
12B…左箱部の底壁
R…ローラ
R1…右ローラ
R2…左ローラ
S1…右側球体
S2…左側球体
T1…右転動体
T2…左転動体
J…軸部
A1…側電極
A2…底電極
B1…側電極
B2…底電極
C1…側電極
C2…底電極
D…凹部
D1…側電極
D2…底電極
G…案内溝
L1…電球(発光部)
L2…電球(発光部)
L3…電球(発光部)
L4…電球(発光部)
P…凸部
W…誘導案内壁体
X…転動式傾斜検知器具

【要約】
【課題】グリーン面の上下及び左右の傾斜を明確に確認できるハンデイな転動式傾斜検知器具を提供する。
【解決手段】本発明は、グリーン等の傾斜を読み取る検知器具であって、左右に直方形の中空箱1を備え、左箱部12には左右方向に自重移動自在な左転動体R2、右箱部11には前後方向に自重移動自在な右転動体R1を備えた転動式傾斜検知器具であり、左転動体R2が左ローラR2であり、右転動体R1が右ローラR1であって、左ローラR2及び右ローラR1のそれぞれの両端部に突出軸Jを備え、それらの突出軸Jが中空箱1の側立壁11A、12Aに設けられた案内溝Gに沿って移動する転動式傾斜検知器具でもある。
【選択図】図6

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9