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特許7178156圧電トランシーバーを有する画像処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-16
(45)【発行日】2022-11-25
(54)【発明の名称】圧電トランシーバーを有する画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20221117BHJP
   H04R 1/26 20060101ALI20221117BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20221117BHJP
   H04R 19/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61B8/00
H04R1/26 330
H04R17/00 332B
H04R19/00 330
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020555165
(86)(22)【出願日】2019-03-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019021515
(87)【国際公開番号】W WO2019199398
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-12-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】15/951,118
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520342725
【氏名又は名称】エコー イメージング,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】アッカラジュ,サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヘソン
(72)【発明者】
【氏名】バーカムショー,ブライアン
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0209121(US,A1)
【文献】国際公開第2011/033887(WO,A1)
【文献】米国特許第10656007(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の互い違いに配置された複数のマイクロマシン超音波トランスデューサ(MUT)を備えている、トランスデューサアレイであって、
ここで、第1の互い違いに配列された複数のMUTは、第1および第2の行を有する2次元アレイに配置され、第1の行のMUTは、水平方向へ水平ピッチによって等間隔に配置され、第2の行のMUTは、水平方向へ水平ピッチによって等間隔に配置され、
第2の行のMUTは、第1の行のMUTに対して水平方向に沿って第1の水平距離だけ推移され、第1の行のMUTに対して垂直方向に沿って第1の垂直距離だけ推移され、
前記第1の複数のMUTの各MUTは、幅である第2の方向に沿った寸法よりも大きな高さである第1の方向に沿った寸法を有し、前記第1の複数のMUTは対称的に配置された第2の複数のMUTよりも広い帯域幅を有し、前記第2の複数のMUTの各MUTは前記第1の方向と前記第2の方向に沿った同じ寸法を有し、
ここで、前記トランスデューサアレイは、第1の複数のMUTのみを含み、第2の複数のMUTを含まない、
トランスデューサアレイ。
【請求項2】
水平方向への前記第1の複数のMUTの間の中心間距離が高さ方向への前記第1の複数のMUTの間の中心間距離と異なる、請求項1に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項3】
前記第1の複数のMUTが、前記第2の複数のMUTより小さい相互インピーダンスを有する、請求項1に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項4】
前記第1の複数のMUTが、前記第2の複数のMUTに比べて1つ以上の追加の振動モードを有する、請求項1に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項5】
前記第1の複数のMUTの各MUTが、たわみモードの作動で1つ以上の振動モードをサポートする細長い形状を有する、請求項1に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項6】
前記第1の複数のMUTが、高さである第1の方向の軸に沿った細長い形状のMUTの群を備えており、そして、前記細長い形状のMUTの群は、幅である第2の方向に互いにオフセットされるMUTの同様の群と並べられている、請求項1から5のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項7】
前記第1の複数のMUTの各々の上部電極が、長方形、楕円形、または円形の形状である、請求項1から5のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項8】
前記第1の複数のMUTによって生成されたビームのサイドローブ振幅が、前記第2の複数のMUTによって生成されたビームのサイドローブ振幅より小さい、請求項1から5のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項9】
前記第1の複数のMUTの帯域幅が、前記第2の複数のMUTの帯域幅より広い、請求項1から5のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項10】
前記第1の複数のMUTの各MUTが、トランスデューサアレイの軸方向に対してランダムな角度によって回転される、請求項1から5のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項11】
前記第1の複数のMUTの各々が、超音波の送信および超音波の受信のうち少なくとも1つを実行する、請求項1に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項12】
前記第1の複数のMUTの各々が、対称的な振動モードおよび非対称的な振動モードの少なくとも1つで作動する、請求項1に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項13】
互い違いに配置された第1の複数のマイクロマシン超音波トランスデューサ(MUT)を備えている、トランスデューサアレイであって、
ここで、第1の互い違いに配列された複数のMUTは、第1および第2の行を有する2次元アレイに配置され、第1の行のMUTは、水平方向へ水平ピッチによって等間隔に配置され、第2の行のMUTは、水平方向へ水平ピッチによって等間隔に配置され、
第2の行のMUTは、第1の行のMUTに対して水平方向に沿って第1の水平距離だけ推移され、第1の行のMUTに対して垂直方向に沿って第1の垂直距離だけ推移され、
第1の複数のMUTは、高さである第1の方向と幅である第2の方向に沿った同じ方向を有する対称的に配置された第2の複数のMUTよりも高い正規化された指向性を有し、ここで、前記トランスデューサアレイは、第1の複数のMUTのみを含み、第2の複数のMUTを含まない、
トランスデューサアレイ。
【請求項14】
MUTの高さである第1の方向がMUTの幅である第2の方向より大きい、請求項13に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項15】
水平方向への前記第1の複数のMUTの間の中心間距離が高さ方向への前記第1の複数のMUTの間の中心間距離と異なる、請求項13に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項16】
前記第1の複数のMUTが、前記第2の複数のMUTより小さい相互インピーダンスを有する、請求項13に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項17】
前記第1の複数のMUTが、前記第2の複数のMUTに比べて1つ以上の追加の振動モードを有する、請求項13に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項18】
前記第1の複数のMUTの各MUTが、たわみモードの作動で1つ以上の振動モードをサポートする細長い形状を有する、請求項13に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項19】
前記第1の複数のMUTが、高さである第1の方向の軸に沿った細長い形状のMUTの群を備えており、そして、前記細長い形状のMUTの群は、幅である第2の方向に互いにオフセットされるMUTの同様の群と並べられている、請求項14から18のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項20】
前記第1の複数のMUTの各々の上部電極が、長方形、楕円形、または円形の形状である、請求項14から18のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項21】
前記第1の複数のMUTによって生成されたビームのサイドローブ振幅が、前記第2の複数のMUTによって生成されたビームのサイドローブ振幅より小さい、請求項14から18のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項22】
前記第1の複数のMUTの帯域幅が、前記第2の複数のMUTの帯域幅より広い、請求項14から18のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項23】
前記第1の複数のMUTの各MUTが、トランスデューサアレイの軸方向に対してランダムな角度によって回転される、請求項14から18のいずれか1つに記載のトランスデューサアレイ。
【請求項24】
前記第1の複数のMUTの各々が、超音波の送信および超音波の受信のうち少なくとも1つを実行する、請求項13に記載のトランスデューサアレイ。
【請求項25】
前記第1の複数のMUTの各々が、対称的な振動モードおよび非対称的な振動モードの少なくとも1つで作動する、請求項13に記載のトランスデューサアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、より具体的にはマイクロマシン超音波トランスデューサ(MUT)を有する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の内部器官を画像処理し、内部器官の画像を表示するための非侵入型画像システムは、人体へ信号を送信し、器官から反映された信号を受信する。通常は、画像処理システムで使用されるトランスデューサはトランシーバーと呼ばれており、そのトランシーバーの一部は光音響効果または超音波結果に基づく。一般に、トランシーバーは、画像処理や、医療用画像処理、パイプ中の流量測定、スピーカー、マイクロホン、砕石術、治療用の組織加熱、および外科用の高密度焦点式超音波(HIFU)等の他の用途と同様に使用される。
【0003】
マイクロ・マシニング技術の進歩によって、センサーとアクチュエーターを基板上に効率的に搭載することが可能になる。特に、静電容量型トランスデューサ(cMUT)または圧電トランスデューサ(pMUT)を使用するマイクロマシン超音波トランスデューサ(MUT)は、大きな形状因子がある従来型のMUTと比較して特に有利である。図1は従来型のシステムの2次元直線的なトランシーバーアレイ(50)を示す。描かれている通り、トランシーバーアレイ(50)は、送信モード/プロセスにおいて圧力波を生成して送信し、そして受信モード/プロセスにおいて圧力波を受信して受信した圧力波に応じて電荷を発生させるMUT(52)のセットを備えてもよい。描かれている通り、MUT(52)は、x方向およびy方向へ均一な間隔で配置され、すなわち、x方向(またはy方向)に沿った1つのMUTから隣接のMUTまでの距離は、アレイ全体を通じて同じである。MUT(52)は限定数の振動共振を有する傾向があり、すなわち、MUT(52)は周波数領域において有限帯域幅を有する可能性がある。全体として、MUT(52)が有する帯域幅が広ければ広いほど、MUT(52)はより高度な作動モードで作動することができ、トランシーバーアレイ(50)はより良質な画像を生成することができる。それ故に、音響性能を向上させるために帯域幅が増大したMUTを設計することが強く必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
実施形態では、トランスデューサアレイは非対称的に整えられた複数のマイクロマシン超音波トランスデューサ(MUT)を備えている。
【0005】
実施形態では、マイクロマシン超音波トランスデューサ(MUT)アレイは、第1行と第2行を有する2次元アレイに配置されたMUTを備えており、第1行のMUTは水平方向へ水平ピッチにより等間隔に配置されており、第2行のMUTは水平方向へ水平ピッチにより等間隔に配置されている。第2行のMUTは、第1行のMUTに対して第1水平距離によって水平方向に沿って推移され、第1行のMUTに対して第1垂直距離によって垂直方向に沿って推移されている。第1水平距離は0より大きく、水平ピッチより小さい。第1垂直距離は、複数のMUTのうちの1つMUTの水平幅の10分の1からMUTの垂直寸法の半分までの範囲内である。
【0006】
実施形態では、画像処理システムは圧力波の生成し外部圧力派を電気信号へ変換するためのトランシーバータイル、およびトランシーバータイルを制御するための制御装置を備えている。トランシーバータイルは、マイクロマシン超音波トランスデューサ(MUT)アレイを備えており、そのアレイは第1行と第2行を有する2次元アレイに配置されたMUTを備えており、第1行のMUTは水平方向へ水平ピッチにより等間隔に配置されており、第2行のMUTは水平方向へ水平ピッチにより等間隔に配置されている。第2行のMUTは、第1行のMUTに対して第1水平距離によって水平方向に沿って推移され、第1行のMUTに対して第1垂直距離によって垂直方向に沿って推移される。第1水平距離は0より大きく、水平ピッチより小さい。第1垂直距離は、複数のMUTのうちの1つMUTの水平横の10分の1からMUTの垂直高さの半分までの範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下に本発明の実施形態に対する言及を行う。その例は添付図面において図示される。これらの図面は、本発明の例示として意図されているが、本発明を限定的に示すものではない。本発明は全体としてこれらの実施形態のコンテキストに記載されているが、本発明の範囲をこれらの具体的な実施形態に制限するように意図されていないことを理解されたい。
図1図1は、従来型のシステムの2次元直線的なトランシーバーアレイを示す。
図2図2は、本開示の実施形態に係る画像処理システムを示す。
図3図3は、本開示の実施形態に係る画像装置の概略図を示す。
図4図4は、本開示の実施形態に係る非対称的な(または互い違いの)直線的なトランシーバーアレイを示す。
図5図5は、本開示の実施形態に係るMUTアレイの拡大図を示す。
図6図6は、本開示の実施形態に係るMUTアレイの拡大図を示す。
図7図7は、本開示の実施形態に係る互い違いの構成に配置された2対の長方形のMUTおよびパッドを示す。
図8A図8Aは、図7で線7-7に沿って取られた、本開示の実施形態に係るMUTの振動モード形状のセットを示す。
図8B図8Bは、図7で線7-7に沿って取られた、本開示の実施形態に係るMUTの振動モード形状のセットを示す。
図8C図8Cは、図7で線7-7に沿って取られた、本開示の実施形態に係るMUTの振動モード形状のセットを示す。
図8D図8Dは、図7で線7-7に沿って取られた、本開示の実施形態に係るMUTの振動モード形状のセットを示す。
図9図9は、本開示の実施形態に係る非対称的なアレイの周波数応答プロットを示す。
図10図10は、本開示の実施形態に係る仰角の関数としてMUTアレイのビームパターンの音響応答プロットを示す。
図11図11は、本開示の実施形態に係る互い違いの構成に配置された2対の楕円形のMUTおよびパッドを示す。
図12図12は、本開示の実施形態に係る非対称的な(または互い違いの)直線的なトランシーバーアレイを示す。
図13A図13Aは、本開示の実施形態に係る典型的なMUTの平面図を示す。
図13B図13Bは、本開示の実施形態に係る典型的なMUTの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の記述において、説明を目的として、本開示を理解するために具体的なの詳細を示す。しかし、これらの詳細を必要とすることなく本開示を実施可能であることが、当業者に明白であろう。更に、当業者は、以下に記載された本開示の実施形態がプロセス、装置、システム、またはデバイス等の様々な方法で実施可能であると認識するであろう。
【0009】
図に示される要素/構成部分は、本開示の典型的な実施形態の例示であり、本開示を不明瞭にしないことを目的とする。本明細書では、「1つの実施形態」、「好ましい実施形態」、「実施形態」、または「複数の実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、特性、または機能が本開示の少なくとも1つの実施形態に備わっており、1より多くの実施形態にも備わっていても良いことを意味している。本明細書の様々なところにおいて「1つの実施形態では」、「実施形態において」、または「複数の実施形態では」との句が現れる場合、必ずしもすべて同じ実施形態を言及するものではない。「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「包含する(comprise)」、および「包含している(comprising)」との用語は、オープンタームとして理解されるものであり、また、それに先立つあらゆる列記は単なる例示であり、列記された項目に制限されていることを意味していない。ここに使用されるあらゆる見出しは、構成のみを目的とするものであり、記述または請求項の範囲を制限するために使用されないものとする。さらに、本明細書の様々な場所でのとある用語の使用は、単なる例示であり、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0010】
図2は、本開示の実施形態に係る画像処理システム(100)を示す。描かれている通り、システム(100)は、送信モード/プロセスにおいて、圧力波(122)を生成して心臓等の内臓器官(112)に送信する画像装置(120)と、通信路(130)を通じて画像装置へ信号を通信するデバイス(102)とを備えていてもよい。実施形態では、内臓器官(112)は圧力波(122)の一部を画像装置(120)へ反映することができ、また、画像装置(120)は受信モード/プロセスにて反映された圧力波を捉え電気信号を生成することができる。画像装置(120)はデバイス(102)に電気信号を通信することができ、また、デバイス(102)は、電気信号を使用して、人間の器官の画像をディスプレイ/スクリーン(104)に表示することができる。
【0011】
実施形態では、画像装置(120)は動物の内臓器官の画像を撮るためにも使用されてもよいことに注目されたい。圧力波(122)は、人間/動物の身体を通って、内臓器官によって反映されることができる音響波、超音波、または光音響波であっても良いことにも注目されたい。
【0012】
実施形態では、画像装置(120)は携帯型デバイスであってもよく、無線でまたはケーブルを経由して通信路(130)を通じて、信号をデバイス(102)と通信させることができる。実施形態では、デバイス(102)は、携帯電話またはiPad(登録商標)等のモバイルデバイス、またはユーザへ画像を表示できる固定コンピューターデバイスであっても良い。
【0013】
図3は、本開示の実施形態に係る画像装置(120)の概略図を示す。実施形態では、画像装置(120)は超音波画像装置であっても良い。図2に描かれている通り、画像装置(120)は、圧力波を送受信するためのトランシーバータイル(210)と、圧力波を収束させるためのレンズとして作動し、トランシーバータイルと人体(110)の間のインピーダンスインターフェースとしても機能するコーティング層(212)と、トランシーバータイル(210)を制御するためのASICチップ等の制御装置(202)と、画像装置(120)の構成部分を制御するためのマイクロプロセッサー(214)と、1つ以上のポート(230)を通じてデバイス(102)等の外部デバイスとデータを通信するための通信ユニット(208)と、データを記憶するためのメモリ(218)と、画像装置の構成部分に電力を供給するためのバッテリー(206)と、随意に、標的器官の画像を表示するためのディスプレイ(216)とを備えていてもよい。
【0014】
実施形態では、デバイス(102)はディスプレイ/スクリーンを備えてもよい。そのような場合、ディスプレイは画像装置(120)に備わっていなくてもよい。実施形態では、画像装置(120)はポート(230)のうち1つを通じてデバイス(102)から電力を受け取ることができる。そのような場合、画像装置(120)はバッテリー(206)を備えていなくてもよい。画像装置(120)の構成部分の1つ以上を1つの不可欠な電気要素へ組み合わせてもよいことに注目されたい。同様に、画像装置(120)の構成部分は各々1つ以上の電気要素の中に実装されてもよい。
【0015】
実施形態では、ユーザはコーティング層(212)にゲルを塗布してもよく、そうすることでコーティング層(212)と人体(110)の間のインピーダンスマッチングが改善され、すなわち、インターフェースにて電力の損失が減少する。
【0016】
図4は、本開示の実施形態に係るMUT(402)を備えている非対称的な(または互い違いの)直線的なトランシーバーアレイ(400)の拡大図を示す。実施形態では、アレイ(400)はトランシーバータイル(210)に含まれてもよい。MUT(402)はアレイの音響性能を向上させるために、互い違いの構成に配置されてもよい。以下に、互い違いの(または非対称的な)アレイとの用語は、第1行のMUTが第2行のMUTに対してx方向(403)に沿って推移されたMUTのアレイを指す。実施形態では、行のMUTは水平距離(ピッチ)P1(430)によって均等に配置されてもよい。また、列のMUTは垂直距離(ピッチ)P2(432)によって均等に配置されてもよい。
【0017】
実施形態では、MUT(402)の各々はpMUTであっても良く、PZT、KNN、PZT-N、PMN-Pt、AlN、Sc-AlN、ZnO、PVDF、およびLiNiOの少なくとも1つから作られた圧電気層を備えてもよい。代替の実施形態では、MUT(402)の各々はcMUTであっても良い。図4では、MUT(402)の各々は長方形で示される。より具体的には、MUTの各々は、長方形の投影領域のある上部電極を備えていてもよい。上部電極は正方形、円形、長円形、楕円形等のその他適切な幾何学的形状があっても良いことが当業者に明白であろう。例示目的のために、本出願の図面では、MUTの各々は上部電極の幾何学的形状により象徴的に表示される。
【0018】
図5は、本開示の実施形態に係るMUTアレイ(500)の拡大図を示す。実施形態では、アレイ(500)は図4のアレイ(404)の部分に相当してもよい。描かれている通り、アレイ(500)はMUT(502)および電気パッド(504)を備えていてもよい。実施形態では、MUT(502)およびパッド(504)は互い違いの構成に配置されている。実施形態では、電気パッド(504)の各々は、ASICまたは電気基板(図5に示されない)等の基板にMUT(502)の1つ以上を電気的に連結してもよく、その基板はMUT(502)に電気信号を送受信するためにエレクトロニクスを備えていてもよい。実施形態では、基板はMUTアレイの下で配置されてもよく、また、パッド(504)の各々は、垂直方向(すなわち、紙に対して垂直な方向)に延在してもよい。MUT(502)とパッド(504)の間の電気接続が図5に示されていないことに注目されたい。しかし、パッド(504)にMUT(502)を電気接続するために、配線とワイヤー等の適切な電気接続が使用されてもよいことが当業者に明白であろう。
【0019】
図6は、本開示の実施形態に係るMUTアレイ(600)の拡大図を示す。実施形態では、アレイ(600)は図4のアレイ(404)の部分に相当してもよい。実施形態では、MUT(60)は互い違いのまたは非対称的な構成に配置され、さらに、各々のMUTの配向づけにある程度の乱数性が導入されていてもよい。実施形態では、乱数性は、MUT(602)の間のクロストークの減少により画像装置に音響信号の向上をもたらすことができる。実施形態では、ランダムに回転されたMUT(602)は、x-y平面で残っていてもよい。その一方で、電気パッド(604)の各々は、MUTアレイ(500)中のパッド位置に相当するように配置されていてもよい。
【0020】
図7は、本開示の実施形態に係る互い違いの構成に整えられた2対の長方形のMUT(702)およびパッド(704)を示す。例示目的のために、MUTの各々は、MUTの上部電極の投影領域である長方形によって表示される。実施形態では、図7の2つのMUT(702a)および(702b)は、MUTアレイ(400)の2つの隣接のMUTであってもよい。描かれている通り、MUT(702a)および(702b)は、x方向に水平距離HD(706)によって、そしてy方向に垂直距離VD(708)によって分けられていてもよい。MUT(702)の各々は、幅W(712)および高さH(714)を備えた長方形形状であってもよい。実施形態では、水平距離HD(706)は、0より大きく、かつMUTの水平幅(712)の4倍未満であり、かつx方向のピッチ未満であってもよい。
【0021】
従来のMUTアレイ(50)と異なり、実施形態では、MUT(702a)および(702b)は互い違いの構成に配置されてもよく、すなわち、第1行のMUT(702a)およびパッド(704a)との対は、第2行のMUT(702b)およびパッド(704b)との対に対してx方向に沿って推移されてもよい。互い違いの構成によって、MUTアレイ(400)には1つ以上の非対称的な振動モード(または、短縮して、非対称的モード)があってもよく、その結果、帯域幅は従来のMUTアレイ(50)よりも広くなる。MUTアレイ(400)の帯域幅がより広くなるので、MUTアレイはより高度な作動モードで作動することができる。
【0022】
全体的に、MUTアレイ中のMUTの数密度は、MUTアレイによって生成された画像の解像度に影響する場合がある。従来のMUTアレイ(50)では、MUTの数密度は、MUTの間の水平距離(または、同様に、水平ピッチ)を減少させることにより増加させられてもよい。しかし、従来のMUTアレイでは、2つの隣接のMUTの間の相互インピーダンスは、水平ピッチの減少につれて増加する場合もある。それにより数密度の増加によって得られた利点が無効なる可能性がある。以下に、相互インピーダンスは、2つのMUTの間の音響接続を指す。対照的に、実施形態では、対角線距P(730)はMUT(702a)と(702b)との間の有効な分離距離であってもよい。そのため、実施形態では、相互インピーダンスは、同じ水平分離距離HD(706)がある従来の対称的なMUTアレイより小さくてもよい。言い換えれば、互い違いの構成によって、相互インピーダンスを著しく増加させることなく数密度を増加させることができる。
【0023】
実施形態では、図8A~9に関連して説明されている通り、垂直距離(708)は、非対称的モードの周波数および振動モードの音圧等の非対称的モードの特性に影響する場合がある。以下に、音圧との用語は、MUTの各々によって生成された音響出力のレベルを指す。実施形態では、垂直距離(708)は幅(712)の10分の1より大きく、かつ高さ(714)の半分未満であることが好ましい場合がある。実施形態では、VD(708)が高さ(714)の半分未満までに増加すると、非対称的モードの音圧振幅は増加する場合がある。
【0024】
図8A~8Dは、図7で線7-7に沿って取られた、本開示の実施形態に係るMUT(702b)の振動モード形状のセットを示す。例示目的のために、MUT(702b)は図8A~8Dで1本の線で表示される。しかし、MUTは積層体を備えていてもよいことが当業者に明白であろう。描かれている通り、図8Aおよび図8Cは、第1の共振周波数および第3の共振周波数のそれぞれでのMUT(702b)の第1の振動モード(801)および第3の振動モード(807)を示し、そこで、矢印(804)は、MUT(702b)の運動方向を示す。実施形態では、第1の振動モードおよび第3の振動モードは対称的であっても良く、すなわち、モードの形状はMUT(702b)の中心線(820)に対して対称的である。実施形態では、MUTが互い違いでなくても、対称的モードが生成されてもよく、すなわち、対称的なMUTアレイ(50)は図8Aおよび図8Cで対称的振動モードを有していてもよい。
【0025】
実施形態では、図8Bおよび図8Dは、MUT(702b)の第2の共振周波数および第4の共振周波数それぞれでの第2の振動モード(805)および第4の振動モード(809)を示す。描かれている通り、第2および第4の振動モードは非対称的であってもよく、すなわち、MUTは中心線(820)に対して対称的ではない。実施形態では、図4に示されているように、振動モードの非対称性はMUTを互い違いの(非対称的)構成に配置することにより得ることができる。
【0026】
全体として、音圧性能はある周波数で各MUTによって生成された音圧波のエネルギーを指す。音圧性能は、その周波数でMUTのピーク振幅が増加するにつれて増加することができる。実施形態では、MUTが同じ順序に振動している場合、非対称的なモードは帯域幅を対称的なモードより広くすることができる。例えば、第3のモード(807)および第4のモード(809)は同じ順序、すなわち、同じ数の節点を有することができ、そして、第3のモード(807)のピーク振幅(840)は、第4のモード(809)のピーク振幅(842)より小さい。
【0027】
図9は、本開示の実施形態に係る非対称的なアレイ(400)の周波数応答プロット(900)を示す。図9では、曲線(912)は周波数の関数としてアレイ(400)の応答(y軸)を示し、この応答は、送信モード中のアレイにより生成された圧力派または受信モード中に発生された電荷のピーク振幅を指す。図9では、曲線(910)は、周波数の関数として対称的なアレイ(50)の応答を示す。
【0028】
描かれている通り、互い違いのMUTアレイ(400)は、周波数(914)の近くに共振振動モードを有していてもよく、その周波数(914)は対称的なMUTアレイ(50)の共振振動モードであってもよい。実施形態では、図7の互い違いのMUTアレイ(400)は、周波数(916)で追加の共振周波数を有していてもよく、それは非対称的な共振周波数と呼ばれる。実施形態では、図9に描かれている通り、対称的および非対称的な振動モード両方の場合、音響応答の利得は増加することができ、帯域幅は改善することができる。その理由として、MUTアレイ(400)が中心の対称的な周波数(914)および高い非対称的な周波数(916)両方で作動することができるからである。
【0029】
周波数応答曲線(912)がアレイ(400)のMUTのすべてからの寄与を含めてもよいことに注目されたい。互い違いのMUTアレイ(400)のMUTの各々は同様の周波数応答特性を有することができるので、MUTの各々は曲線(912)と同様の周波数応答曲線を有しており、すなわち、非対称的なアレイ(400)のMUTの各々は中心の対称的な周波数(914)および非対称的な周波数(916)両方で共振周波数を有することができる。
【0030】
実施形態では、ビームフォーミング技術を使用して、画像装置(120)によって送信された圧力波を特定の角度に向けてもよく、すなわち、特定の角度(つまり、ビームフォーミング方向)の圧力波が建設的干渉を受け、一方でその他が相殺的干渉を受けるように、MUTアレイ(400)からの圧力波を組み合わせてもよい。実施形態では、制御装置(202)は、ビームフォーミング方向を操作するために、MUTアレイ(400)によって生成された圧力波の位相および/または振幅を調整してもよい。図10は、本開示の実施形態に係る仰角の関数としてMUTアレイのビームパターン音響応答プロットを示す。図10では、各曲線は仰角の関数としてMUTアレイの音響応答(y軸)を示し、そこで音響応答は送信モード中のMUTアレイによって生成された圧力波(または受信モード中に発生した電荷)のピーク振幅を指し、仰角はビームフォーミング方向に対する角距離を指す。
【0031】
全体として、目的の方向(1020)外の雑音の遮断を指す指向性は、ビームフォーミングの信号対雑音比に影響する(以下に、目的の方向との用語は、ビームフォーミング方向のまわりのプリセット角度の範囲を指す)。図10では、曲線(1002)は、1.5MHzの周波数で対称的な(互い違いの)MUTアレイ((400)等)および対称的な(互い違いでない)アレイ((50)等)両方に対して標準化されたパワー指向性を示す場合がある。曲線(1006a)および(1006b)はそれぞれ、3.0MHzの周波数で対称的および対称的なアレイの指向性を示す。描かれている通り、対称的なMUTアレイは1.5MHzおよび3.0MHzの周波数で非対称的なMUTアレイと同様のビームパターンを有してもよい。
【0032】
曲線(1004a)および(1004b)はそれぞれ、5.7MHzの周波数で対称的および対称的なアレイのビームパターンを示す。描かれている通り、非対称的なアレイは対称的なアレイより高い(改善された)指向性を有しており、それにより信号対雑音比および画質が改善される。例えば、曲線(1004a)および(1004b)は目的の方向(1020)外に存在する領域(1010a)および(1010b)を有している。領域(1010b)のパワーレベルが領域(1010a)のパワーレベルより低いと、非対称的なアレイの信号対雑音比を改善することができ、これにより画質が改善する。
【0033】
実施形態では、アレイ(400)のMUTの上部電極は、円形、長円形、楕円形等の様々な幾何学的形状を有していてもよい。図11は、本開示の実施形態に係る互い違いの構成に配置された2対の楕円形のMUTおよび円形パッドを示す。描かれている通り、MUT(1102)は、x方向に水平距離HD(1106)によって、そしてy方向に垂直距離VD(1108)によって分けられていてもよい。MUT(1102)の各々は幅W(1112)および高さH(1114)を備えた楕円形を有していてもよい。
【0034】
従来のMUTアレイ(50)と異なり、実施形態では、MUT(1102a)および(1102b)は、互い違いの構成に配置されてもよく、すなわち、第1行のMUT(1102a)およびパッド(1104a)の対は、第2行のMUT(1102b)およびパッド(1104b)の対に対してx方向に沿って推移されてもよい。実施形態では、垂直距離(1108)は水平幅(1112)の10分の1より大きく、かつ垂直の高さ(1114)の半分未満であるのが好ましい場合がある。実施形態では、VD(1108)が垂直の高さ(1114)の半分まで増加すると、非対称的なモードの音圧振幅は増加する場合がある。
【0035】
互い違いの構成によって、図11の互い違いの構成のMUTアレイは、図7の互い違いの構成のMUTアレイと同様の利点を有していてもよい。すなわち、図11の互い違いの構成のMUTアレイは、互い違いでないMUTアレイに比べて、改善された帯域幅、画像解像度、視野、音圧、そしてMUTの間の相互インピーダンスを有していてもよい。実施形態では、MUTは水平距離(1106)によって分けられてもよく、その水平距離(1106)は、0より大きく、MUTの幅(1112)の4倍未満、およびx方向のピッチ未満であってもよい。
【0036】
図12は、本開示の実施形態に係るMUT(1202)を備えている非対称的な(または互い違いの)直線的なトランシーバーアレイ(1200)の拡大図を示す。MUT(1202)はアレイの音響性能を改善させるために、互い違いの構成に配置されてもよい。描かれている通り、各行のMUTは水平距離(ピッチ)によって均等に配置されてもよい。また、各列のMUTは垂直距離(ピッチ)によって均等に配置されてもよい。実施形態では、第2行のMUTは、第1行のMUTに対してx方向(1203)に沿って第1の水平距離によって推移されてもよい。そして、第3行のMUTは、第1行のMUTに対してx方向に沿って第2の水平距離によって推移されてもよく、第1の水平距離と第2の水平距離は0より大きく、かつ水平のピッチP1未満であってもよい。
【0037】
図13Aは、本開示の実施形態に係る例示のMUT(1300)の平面図を示す。図13Bは、図13Aで線13-13に沿って取られた、本開示の実施形態に係るMUT(1300)の断面図を示す。描かれている通り、MUTは基板(1302)上にある(suspended from)膜層(1306)と、膜層(または、短縮して、膜)(1306)に配置された下部電極(O)(1308)と、下部電極(O)(1308)に配置された圧電気層(1310)と、圧電気層(1310)に配置された上部電極(X)(1312)とを備えていてもよい。実施形態中では、導電性材料で満たされてもよい電気パッド(1314)は、下部電極(O)(1308)が導電体(1320)に電気接続されるように形成されてもよい。実施形態では、導電体(1322)は、上部電極(1312)に電気接続されてもよい。実施形態では、導電体(1320)および(1322)は、金属層のパターニングによって形成された電気ワイヤまたは配線であってもよい。実施形態では、パッド(1314)および上部電極(1312)はそれぞれ、パッド(704)(または(1104))およびMUT(02)(または(1102))に相当してもよい。
【0038】
実施形態では、基板(1302)および膜(1306)は一体形成されてもよく、また、膜(1306)を画定するために空洞(1304)が形成されてもよい。実施形態では、空洞(1304)は、膜(1306)の振動を制御するために、所定の圧力のガスまたは音響制振材で満たされてもよい。
【0039】
トランシーバーアレイ(400)および(1200)のMUTは、図13AのMUT(1300)以外の構成を有してもよいことに注目されたい。例えば、MUTの各々は、1つより多くの上部電極を備えていてもよい。図4~7(または図11~12)の長方形(または楕円形)の各々は、象徴的にMUTを表示しており、そこでMUTは1つ以上の上部電極を備えてもよく、上部電極は円形、長方形、楕円形などの適切な幾何学的形状であってもよいことが、当業者に明白であろう。
【0040】
本発明は様々な変形および代替形態の影響を受けやすいものの、その特定の例は図面に示されており、本明細書で詳細が記述されている。しかし、本発明は開示された具体的な形態に制限されることなく、逆に本発明は、添付の特許請求の範囲以内にある全ての変形、等価物、および代替物を対象とすることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B